説明

粘着剤組成物及び粘着シート

【課題】透明性、接着性、耐久性に優れ、屈折率の調整が容易であり、しかも製造法が簡便な粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。本発明の粘着剤組成物及び粘着シートは、画像表示装置用光学フィルムに使用されるものとして好適である。また、本発明は、粘着剤の原料として有用な新規なスチレン系重合性化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ(FED)、プロジェクションディスプレイ、タッチパネル等の画像表示装置に使用する光学フィルムの輝度向上や視認性の向上等の高機能化の需要が高まっている。
【0003】
上記画像表示装置に使用する光学フィルムとして、例えばLCDにおいては、偏光板、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、光学等方性フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、導光板等の光学フィルムが用いられている。
また、PDPにおいては、青と緑の間の480〜520nm、緑と赤の間の550〜600nm等の表示品質の低下をきたす光や、750〜1100nmの周辺機器の誤作動の原因となる光等の不要な波長の光を選択的に吸収する光学フィルム;蛍光灯等の外光の反射や映り込みを防止するために480〜500nm及び540〜560nmの波長の光を吸収する光学フィルム;これらの光学フィルタに含まれる色素が日光等に由来する紫外線で劣化するのを防止するために紫外線を吸収する光学フィルム;電磁波遮蔽フィルム;色補正機能、近赤外線吸収機能、紫外線吸収機能等を複合化して一体化した複合フィルム等が用いられている。
【0004】
これらの光学フィルムは、例えば画像表示装置の基板の表面に粘着剤層を介して貼着して用いられるが、粘着剤層を用いる場合、光学フィルムと粘着剤層の屈折率差が大きいと、光学フィルムと粘着剤層の界面で光の反射が起こり、バックライト等からの光の透過率が低下するという問題があった。また、これを解決するために屈折率調整剤を用いると、粘着剤との相溶性が悪く、粘着剤層において屈折率調整剤がブリードアウトや結晶化を起こし、反射ムラ、透過率の低下や白化現象が起こるという問題があった。
【0005】
光の有効利用による消費電力低減の観点から、光学フィルムと粘着剤層との界面でのバックライト方向への反射防止が求められている。
一般的に光学フィルムに用いられる材料の屈折率は、トリアセチルアセテート(TAC)が1.47、ポリビニルアルコール(PVA)が1.49〜1.53、ポリエチレンテレフタレート(PET)が1.54、ポリカーボネート(PC)が1.585、ガラスが1.52と広範囲に渡っており、これらの材料を接着する粘着剤には、屈折率をできるだけこれらの高分子材料やガラスに近付けて全反射する割合を少なくし、透過率を向上させる必要がある。
【0006】
例えば、特許文献1には、粘着剤の屈折率を調整して光学フィルムや光学用部材と感圧性接着剤層との界面における光の全反射を低減することができる感圧性接着剤組成物及び該感圧性接着剤組成物からなる感圧性接着剤層が形成されている光学フィルムが開示されている。特許文献2には、屈折率が高い感圧接着剤が開示されている。特許文献3には、高温、高湿の条件下においても光学積層体とガラス基板との接着性に優れ、光学フィルムの収縮により生じる白抜け現象を抑制することができる耐久性に優れた液晶表示板を得るための粘着層付き光学積層体が開示されている。特許文献4には、粘着剤層の複屈折をゼロに近付け、液晶素子に色むら・白抜け現象を発生させない光学用粘着剤組成物が開示されている。しかし、これらの光学フィルムは、接着性、耐久性、透明性等の点で満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−173656号公報
【特許文献2】特表2003−535921号公報
【特許文献3】特開2006−330714号公報
【特許文献4】特開2007−169329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、透明性、接着性、耐久性に優れ、屈折率の調整が容易であり、しかも製造法が簡便な粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物よりなる粘着剤層を設けた光線透過率の優れた粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するスチレン系新規重合性化合物を用いて粘着剤組成物を調製すると、粘着剤層の屈折率を調整できるため、光学フィルムと粘着剤層界面での屈折率差を少なくして全反射率を低減し、また粘着剤組成物の複屈折が低下するため、伸収縮時にも光学フィルムの光学特性が変化せず、白ムラや白抜けを抑制し、その結果、光の透過効率を向上し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、下記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する粘着剤組成物を提供するものである。
【0011】
【化1】

(式中、Lは、直接結合又は下記一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される置換基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよい。)
【0012】
【化2】

(式中、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、X9、X10、X11及びX12中、X13、X14、X15及びX16中並びにX17、X18、X19及びX20中の隣接する置換基は互いに環を形成していてもよく、
Yは、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、
sは0〜8の数を表し、xは0〜4の数を表し、yは0〜4の数を表し、xとyの数の合計は2〜4であり、
1及びR2は、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、R1及びR2は互いに環を形成していてもよい。)
【0013】
また、本発明は、上記粘着剤組成物中に含まれる上記一般式(I)で表される重合性化合物を(共)重合させてなる(共)重合体含有粘着剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記(共)重合体含有粘着剤組成物より形成した粘着剤層を有する粘着シートを提供するものである。
また、本発明は、上記一般式(I)で表される重合性化合物を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着剤組成物は、透明性、接着性、耐久性に優れ、しかも製造法が簡便である。
また、本発明の粘着剤組成物は、上記一般式(I)で表される重合性化合物以外の任意の重合性化合物をさらに含有させて共重合させることにより、屈折率を1.45〜1.60の範囲で任意に調整できる。従って、本発明の粘着剤組成物により粘着剤層を形成して偏光フィルム等の光学フィルムを画像表示装置の基板に貼付すれば、粘着剤層と光学フィルムとの界面での反射率を最小限に抑え、バックライトからの光の透過効率を向上させることができる。
さらに、本発明の該粘着剤組成物中に含まれる上記一般式(I)で表される重合性化合物は、複屈折が発生し難い構造となっているため、経時的な伸収縮の寸法変化や配向に伴う複屈折を低下させ、白ムラ、白抜けが抑制された粘着剤層を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の粘着剤組成物及び本発明の重合性化合物について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、上記一般式(I)で表される本発明の重合性化合物を少なくとも一種含有してなる重合性組成物である。本発明の重合性化合物において、上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19及びX20並びにY、並びに上記一般式(IV)のR1及びR2で表されるハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、メトキシ、メトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシ、メチルチオ、エトキシ、ビニルオキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、t−ブトキシカルボニルメトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられる。
【0016】
上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19及びX20並びにY、並びに上記一般式(IV)のR1及びR2で表されるハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、1−フェナントリル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、3−フルオレニル、9−フルオレニル、1−テトラヒドロナフチル、2−テトラヒドロナフチル、1−アセナフテニル、1−インダニル、2−インダニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル、2,5−ジ−t−アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−トリクロロフェニル、4−トリフルオロフェニル、パーフルオロフェニル、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、3−メチルフェノキシ、4−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2,3,4−トリメチルフェノキシ、2,3,5−トリメチルフェノキシ、2,3,6−トリメチルフェノキシ、2,4,5−トリメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、3,4,5−トリメチルフェノキシ、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ、ペンタメチルフェノキシ、エチルフェノキシ、n−プロピルフェノキシ、イソプロピルフェノキシ、n−ブチルフェノキシ、sec−ブチルフェノキシ、tert−ブチルフェノキシ、n−ヘキシルフェノキシ、n−オクチルフェノキシ、n−デシルフェノキシ、n−テトラデシルフェノキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、1−アントリルオキシ、1−フェナントリルオキシ、o−トリルオキシ、m−トリルオキシ、p−トリルオキシ、9−フルオレニルオキシ、1−テトラヒドロナフトキシ、2−テトラヒドロナフトキシ、1−アセナフテニルオキシ、1−インダニルオキシ、2−インダニルオキシ等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19及びX20並びにYで表されるハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、4−クロロフェニルメチル、ベンジルオキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1−アントリルメトキシ等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19及びX20並びにYで表されるハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数2〜20の複素環基としては、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19及びX20並びにYで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0020】
上記一般式(II)におけるX9、X10、X11及びX12中及びX13、X14、X15及びX16中の隣接する置換基同士、上記一般式(III)におけるX17、X18、X19及びX20の隣接する置換基同士並びに上記一般式(IV)中のR1及びR2で形成していてもよい環構造としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環、及びナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、アセナフテン環、インダン環、テトラリン環等の縮合環が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は、水素原子、無置換の炭素原子数1〜4のアルキル基、又は無置換の炭素原子数6〜12のアリール基であることが好ましい。
【0022】
上記一般式(I)で表される重合性化合物の中でも、Lが上記一般式(II)であるもの;Lが上記一般式(III)であるもの;あるいは上記一般式(IV)においてR1及びR2が炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素原子数3〜10の環状アルキル基)又は炭素原子数6〜20のアリール基であるもの〔とりわけ、R1が炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素原子数3〜10の環状アルキル基)であり、R2が炭素原子数6〜20のアリール基であるもの〕が、得られる化合物の屈折率が高くなるので好ましい。
また、上記一般式(II)中のX9、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16、上記一般式(III)中のX17、X18、X19、X20及びYは、水素原子、無置換の炭素原子数1〜4のアルキル基、又は無置換の炭素原子数6〜12のアリール基であることが好ましい。
【0023】
上記一般式(I)で表される重合性化合物としては、例えば下記化合物A〜Zが挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
【化5】

【0027】
【化5A】

【0028】
【化5B】

【0029】
上記一般式(I)で表される重合性化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、Lが上記一般式(III)で表される置換基である重合性化合物は、ビスフェノール誘導体(1)とハロゲン化メチルスチレンを、アルカリ存在下で反応させることにより得ることができる。その反応式を以下に示す。下記の反応は、常法に準じて行うことができ、例えば40〜90℃にて30分〜90時間行えばよい。なお、下記式中のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8、X17、X18、X19及びX20、Y、s、x及びyは、上記一般式(I)と同じであり、Eはハロゲン原子を表す。また、Lが上記一般式(II)又は(IV)で表される置換基である重合性化合物も、対応するビスフェノール誘導体を使用して同様にして得ることができる。
【0030】
【化6】

【0031】
上記反応で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム等が挙げられ、ルイス酸としては、上記で例示した如き酸性触媒の他、四塩化スズ、三フッ化ホウ素、四塩化チタン、活性白土、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム等が挙げられ、相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージド等が挙げられる。アルカリの使用量は、ビスフェノール化合物(1)の水酸基1個に対し、0.1〜2.0モル、特に0.3〜1.5モルの範囲で使用されることが好ましい。
【0032】
また、上記反応には、従来公知の溶媒を使用することができ、該溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、中でも、ケトン類あるいはセロソルブ系溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種類で、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0033】
尚、上記一般式(I)で表される本発明の重合性化合物は、粘着剤の原料として好適である。さらに、CD、DVD、MO、PD、VHS、DV、UMD、Blue−Ray Disk、HD DVD等の各種光学記録媒体のスペーサー層;複層ガラスのスペーサー;光硬化性塗料、光硬化性接着剤;各種保護コート剤、各種レンズ、窓等のほか、分析装置用途、半導体装置用途、天文観測用途、光通信用途、光造形用途等の各種用途にも用いることができる。
【0034】
本発明の粘着剤組成物は、上記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する組成物であり、さらに溶媒並びに必要に応じて上記一般式(I)で表される重合性化合物以外の不飽和結合を有するモノマー及び熱重合開始剤を含有する。本発明の粘着剤組成物において、上記一般式(I)で表される重合性化合物の含有量は、粘着剤組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で好ましくは0.001〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%であり、最も好ましくは1〜10質量%である。
【0035】
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、芳香族環含有アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、芳香族環非含有エチレン性不飽和モノマー等を用いることができる。本発明の粘着剤組成物において、上記不飽和結合を有するモノマーの含有量は、粘着剤組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは50〜95質量%であり、最も好ましくは70〜90質量%である。これらの不飽和結合を有するモノマーは、1種類で又は2種類以上混合して使用することができる。
【0036】
上記芳香族環含有アクリル系モノマーとしては、例えば、特開2002−173656号公報や特開2003−13029号公報に記載の芳香族環含有アクリル系モノマー、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0037】
上記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられる。
【0038】
上記芳香族環非含有共重合性モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等のアクリル酸エステル結合を2以上有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛が挙げられる。
【0039】
また、上記不飽和結合を有するモノマーとして、アクリル系感圧性接着剤の改質用モノマーとして知られる各種モノマーを用いることもできる。該モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有共重合性単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有共重合性単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有共重合性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有共重合性単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアミノ基含有共重合性単量体等が挙げられる。
【0040】
本発明の粘着剤組成物においては、上記不飽和結合を有するモノマーの合計質量に占める割合で、上記芳香族環含有アクリル系モノマーを30〜60質量%、上記芳香族環非含有共重合性モノマーを30〜60質量%、上記改質用モノマーを0.01〜10質量%の割合で使用することが好ましい。斯かる割合で各モノマーを用いると、屈折率を1.45〜1.60の間に調整することがより容易となる。
【0041】
上記溶媒としては、上記一般式(I)で表される重合性化合物を製造するのに用いられる溶媒として例示したものが挙げられる。本発明の粘着剤組成物中における上記溶媒の含有量は、各成分を均一に溶解・分散することができ、本発明の粘着剤組成物の塗布又は製膜が可能である限り特に制限されるものではないが、本発明の粘着剤組成物中における溶媒を除いた全固形分量が30〜70質量%、特に40〜60質量%となる範囲が適当である。
【0042】
上記熱重合開始剤は、加熱によりラジカルを発生する化合物のことを指し、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物及びレドックス開始剤等が挙げられる。
【0043】
上記有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートのようなペルオキシド;1,6ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネート;パーオキシケタール;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0044】
上記アゾ化合物としては、2,2'−アゾビスプロパン、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスプロパン、1,1'−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビスイソブチルアミド、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスブタン、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等を挙げることができる。
【0045】
上記レドックス開始剤としては、例えば過酸化水素−鉄(II)塩、有機化酸化物−ジメチルアニリン、セリウム(IV)塩−アルコール等の組み合わせを挙げることができる。
【0046】
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、粘着剤組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で0.01〜10質量%の範囲が好ましい。
【0047】
本発明の粘着剤組成物は、上記一般式(I)で表される重合性化合物を、必要に応じて含有させた上記の不飽和結合を有するモノマーと(共)重合することにより、上記一般式(I)で表される重合性化合物を構成モノマーとする(共)重合体を含有する本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物にして用いられる。上記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する本発明の粘着剤組成物は、潜在的に粘着剤となり得るものであり、上記一般式(I)で表される重合性化合物が(共)重合体とされることにより粘着剤としての機能を発揮するものとなる。重合方法としては、上記熱重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法、後述の光重合開始剤を用いて光や放射線を照射して行うラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、リビング重合等の各種重合方法を採用することができる。尚、本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物についても、上記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する本発明の粘着剤組成物についての説明を適宜適用することができる。
【0048】
粘着剤組成物の粘着性をより確実にする観点から、上記(共)重合体は、重量平均分子量Mwが1×105〜5×106の範囲であることが好ましい。
【0049】
上記熱重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法は、常法に準じて行うことができる。例えば、これらの重合反応は50〜120℃にて、5〜20時間行うことが好ましい。
【0050】
上記光の好ましい種類は、紫外線、可視光線、赤外線等である。電子線、X線等の電磁波を用いてもよい。通常は、紫外線又は可視光線が好ましい。好ましい波長の範囲は150〜500nmである。さらに好ましい範囲は250〜450nmであり、最も好ましい範囲は300〜400nmである。光源は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、又はショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が挙げられるが、超高圧水銀ランプが好ましく使用することができる。光源からの光はそのまま粘着剤組成物に照射してもよく、フィルターによって選択した特定の波長(又は特定の波長領域)を粘着剤組成物に照射してもよい。好ましい照射エネルギー密度は、2〜5000mJ/cm2であり、さらに好ましい範囲は10〜3000mJ/cm2であり、特に好ましい範囲は100〜2000mJ/cm2である。好ましい照度は0.1〜5000mW/cm2であり、さらに好ましい照度は1〜2000mW/cm2である。
【0051】
上記光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、並びに特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2005−97141号公報、特表2006−516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報に記載の化合物、下記一般式(a)又は(c)で表される化合物等が挙げられる。
【0052】
【化7】

(式中、R3、R4及びR5は、各々独立に、R、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R及びR’は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアリールアルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよく、また、R及びR’は一緒になって環を形成していてもよく、R6は、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、R7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又は下記一般式(b)で表される置換基を表し、aは0〜4の整数であり、aが2以上の時、複数のR4は異なる基でもよい。)
【0053】
【化8】

(式中、環Mはシクロアルカン環、芳香環又は複素環を表し、R8はハロゲン原子又はアルキル基を表し、Z1は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Z2は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、bは0〜4の整数であり、bが2以上の時、複数のR8は異なる基でもよい。)
【0054】
【化9】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、R15、OR15、COR15、SR15、CONR1617又はCNを表し、R15、R16及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び複素環基の水素原子は更にOR18、COR18、SR18、NR1920、CONR1920、−NR19−OR20、−NCOR19−OCOR20、−C(=N−OR18)−R19、−C(=N−OCOR18)−R19、CN、ハロゲン原子、−CR18=CR1920、−CO−CR18=CR1920、カルボキシル基、エポキシ基で置換されていてもよく、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、上記R15、R16、R17、R18、R19及びR20で表される置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1〜5回中断されていてもよく、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよく、また、R16とR17及びR19とR20はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。R13及びR14は、それぞれ独立に、R15、OR15、SR15、COR15、CONR1617、NR16COR17、OCOR15、COOR15、SCOR15、OCSR15、COSR15、CSOR15、CN、ハロゲン原子又は水酸基を表す。Z3は、直接結合又はCOを表し、Z4は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR2122、CO、NR23又はPR24を表し、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、R15、OR15、COR15、SR15、CONR1617又はCNを表し、R13は、−Z2−を介して隣接するベンゼン環の炭素原子の1つと結合して環構造を形成していてもよく、あるいはR13とR14が一緒になって環を形成していてもよく、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。)
【0055】
本発明の粘着剤組成物は、重合反応により上記(共)重合体を得た後、必要に応じて架橋剤を添加し、該(共)重合体に架橋を形成することにより、粘着剤としての凝集力を一層大きくすることができる。(共)重合体の架橋には、常法による加熱架橋方法が好適に用いられる。例えば、50〜130℃にて1分〜100時間加熱すればよい。
【0056】
上記架橋剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、多官能性メラミン化合物、ポリイソシアネート化合物、グリシジル化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アマイド樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。上記架橋剤を使用する場合、架橋剤の使用量は、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び該重合性化合物以外の上記不飽和結合を有するモノマーの合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲が好ましい。
【0057】
上記多官能性メラミン化合物としては、例えば、メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
【0058】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等を挙げることができる。
【0059】
上記グリシジル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジルm−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
【0060】
上記アジリジン化合物としては、具体的には、1,1'−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、1,1'−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
【0061】
本発明の粘着性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を含有させて密着性をさらに高めることができる。該シランカップリング剤を使用する場合、シランカップリング剤の使用量は、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び該重合性化合物以外の上記不飽和結合を有するモノマーの合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲が好ましい。
【0062】
上記シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
本発明の粘着剤組成物には、さらに連鎖移動剤、界面活性剤等を含有させることができる。
【0064】
上記連鎖移動剤としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物等が挙げられる。これらは1種類で、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0065】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは1種類で、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0066】
本発明の粘着剤組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。これらは1種類で、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0067】
本発明の粘着剤組成物を画像表示装置用光学フィルムに使用する用いる場合、本発明の粘着剤組成物には、色調調整機能を有する550〜620nmの波長の光を吸収する光吸収剤、外光の反射や映り込み防止を有する480〜500nm対応の光吸収剤あるいは750〜1100nm対応の近赤外線吸収剤を含有させて、粘着剤層を形成することができる。
【0068】
色調調整機能を有する上記光吸収剤としては、550〜620nmのオレンジ光の除去のために用いられるものとして、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンベンゾオキサゾリウム化合物、トリメチンベンゾチアゾリウム化合物等のトリメチンシアニン化合物;ペンタメチンオキサゾリウム化合物、ペンタメチンチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン化合物;スクアリリウム色素;アゾメチン色素;キサンテン色素;アゾ色素;ピロメテン色素;アゾ金属錯体:ローダミン色素;フタロシアニン化合物;ポルフィリン化合物;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0069】
また、外光の映り込み防止機能を有する480〜500nm対応の上記光吸収剤としては、モノメチンシアニン誘導体;トリメチンインドリウム化合物、トリメチンオキサゾリウム化合物、トリメチンチアゾリウム化合物、インドリデントリメチンチアゾニウム化合物等のトリメチンシアニン化合物;メロシアニン化合物;フタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;ポルフィリン化合物;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0070】
また、赤外リモコン誤作動防止機能を有する750〜1100nm対応の近赤外線吸収剤としては、ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン化合物;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン化合物;ジイモニウム化合物;アミニウム化合物;スクアリリウム化合物;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム化合物;アゾ色素;フタロシアニン化合物;ポルフィリン化合物;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0071】
また、本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;硬化触媒;モノグリシジルエーテル類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の反応性又は非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質等の充填剤もしくは顔料;染料;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、イボタロウ、みつろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス、石油ワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族エステル、芳香族エーテル等の潤滑剤;ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂等の粘着付与剤;増粘剤;チキソトロピック剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;難燃剤;消泡剤;接着促進剤;流動性改良剤;密着性改良剤;軟化剤;分散剤;レベリング剤;防錆剤;帯電防止剤;乳化剤;抗菌剤;架橋助剤;ブロッキング防止剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加物を含有させてもよい。本発明の粘着剤組成物において、これらの任意の添加物は、これらは1種類で、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0072】
本発明の粘着剤組成物において、任意の添加物(上記一般式(I)で表される重合性化合物、該重合性化合物以外の上記不飽和結合を有するモノマー、熱重合開始剤、架橋剤、シランカップリング剤及び溶剤以外の添加物)を含有させる場合、それらの含有量は、上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記不飽和結合を有するモノマーの合計量100質量部に対し100質量部以下の範囲が好ましい。
【0073】
本発明の粘着剤組成物は、主に、画像表示装置用光学フィルタに使用される粘着剤として好適に用いることができるほか、半導体ウェハ面保護用粘着テープ、自動車用保護フィルム、熱接着フィルムラベル、シール(紙の接着)等の用途に用いることもできる。
【0074】
画像表示装置用光学フィルタに使用する粘着剤とする場合、本発明の粘着剤組成物は、視野角拡大フィルム、位相差フィルム、偏光板等の光学フィルムを固定するあるいは貼り合わせるために、本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物としてから、画像表示装置の支持基板上又は光学フィルム上に塗布してそのまま使用しても良い。また、後述のように、剥離ライナー上に本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物から形成された粘着剤層(粘着膜)を形成し、該粘着剤層を剥離ライナーから剥離して、上記画像表示装置の支持基板又は光学フィルム上に転写して使用してもよい。また、光学フィルムが複合フィルタである場合には、複合フィルタにおける各機能層同士の接着に用いることもできる。
【0075】
上記一般式(I)で表される重合性化合物は屈折率が1.60〜1.70と高く、上記の不飽和結合を有するモノマーと適宜共重合させることにより、屈折率が1.45〜1.60の間の任意の値を取る粘着剤組成物を得ることができる。これによって、本発明の粘着剤組成物の屈折率を、後述の透明支持体の屈折率に近付け、光が全反射する割合を少なくし、光線透過率を向上させることができる。このことは、画像表示装置に用いる場合、バックライトからの光の透過効率を向上させることができるため有効である。一般的な画像表示装置に用いられる透明支持体の屈折率を考慮すると、本発明の粘着剤組成物の屈折率は、1.45〜1.60が好ましく、1.48〜1.58がさらに好ましい。
【0076】
また、上記一般式(I)で表される重合性化合物は、分子内のベンゼン環がそれぞれ直交し屈折率異方性が打ち消し合う構造となっているため、複屈折を抑制する効果が得られ、本発明の粘着剤組成物を硬化させた時に、経時的な伸収縮によるズレや配向が生じても白ムラや白抜けが防止できる。
【0077】
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物より形成した粘着剤層(粘着膜)を有するものである。本発明の粘着シートは、公知の手段で、画像表示装置の支持基板又は光学フィルムを構成する後述の透明支持体等の対象面上に適用して用いられる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。本発明の粘着シートにおいて粘着剤層の膜厚は、用途によって適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、10〜100μmの範囲から選択することが好ましい。
【0078】
本発明の粘着シートにおいては、粘着剤層の粘着面を剥離ライナーにより保護してもよい。該剥離ライナーは、両面が剥離面となっているものを用いてもよく、また片面のみが剥離面となっているものを用いてもよい。
【0079】
このような剥離ライナーとしては、特に制限されず公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。例えば、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルムが好適に用いられる。該プラスチックフィルムの素材としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体又はランダム共重合体)、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、テフロン(登録商標)が挙げられる。プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムの何れであってもよい。
【0080】
上記プラスチックフィルムのほか、後述の透明支持体の材料として挙げる材料からなるフィルムの表面(片面又は両面)に剥離処理層が形成された構成の剥離ライナーも好適に用いることができる。また、紙(例えば和紙、洋紙、グラシン紙等)、不織布や布、発砲体、金属箔、各種基材による複合基材(例えば、金属蒸着プラスチックフィルム等)等であってもよい。
剥離ライナーの厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般には10〜500μm程度である。
【0081】
また、剥離ライナーにおける剥離処理層を形成する剥離処理剤としては、公知ないし慣用の剥離処理剤(例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤等)を用いることができる。なお、剥離処理層は、後述の透明支持体の材料として挙げる材料からなるフィルムの表面に、上記プラスチックフィルムの素材として挙げた各種素材をラミネート又はコーティングすることにより、形成されていてもよい。剥離ライナーにおいて、剥離処理層は、前述のように、基材の片面又は両面に設けることができる。
【0082】
本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物による粘着剤層の形成方法は、特に制限されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。剥離ライナーの上に、流延塗布、スクリーン塗布、スピン塗布等の方法により、本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物を塗布し、乾燥させる。乾燥は例えば80〜150℃にて1〜30分加熱すればよい。さらに、40〜70℃にて50〜100時間エージングさせることが好ましい。尚、(共)重合体含有粘着剤組成物に前述の架橋剤を添加した場合は、この乾燥からエージングの工程にて、架橋剤による架橋を形成することができる。
【0083】
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリス
チレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリスチレン;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シリコン等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0084】
本発明の粘着剤組成物を上記透明支持体に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、各種のスクリーン印刷、インクジェット印刷等、浸漬及び流延成膜法等を用いることができる。塗布後は、上述の剥離ライナー上に粘着剤層を形成する場合に準じて、加熱及びエージングをすることが好ましい。
【0085】
上記透明支持体中には、紫外線吸収剤、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機微粒子等を添加したり、また、透明支持体には、各種の表面処理を施すことができる。
【0086】
上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0087】
上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
【0088】
以下に、本発明の粘着剤組成物及び粘着シートの代表的な実施形態についてまとめる。ここで特に説明しない点は、以上に詳述した内容を適宜適用することができる。
先ず、溶媒に、上記一般式(I)で表される重合性化合物、並びに必要に応じて上記不飽和結合を有するモノマー及び熱重合開始剤を添加して、本発明の粘着剤組成物とする。次いで、該粘着剤組成物を(共)重合反応に付して、該粘着剤組成物中に含まれる上記一般式(I)で表される重合性化合物及び必要に応じて添加した上記不飽和結合を有するモノマーを(共)重合することにより、本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物とする。本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物に、必要に応じて溶媒を加えて粘度を調整する。ここでの(共)重合体含有粘着剤組成物の粘度は、後の粘着剤層を形成する際のハンドリング性の観点から、1000〜10000mPs・sの範囲に調整することが好ましい。次いで、必要に応じて架橋剤及びシランカップリング剤等の任意の添加剤を添加する。
次に、以上のようにして得られた必要に応じて任意の添加剤を含有する本発明の(共)重合体含有粘着剤組成物を、剥離ライナー上に塗布し、加熱乾燥した後、エージングを行って、本発明の粘着シートとする。
【実施例】
【0089】
以下、実施例等を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。以下において、「部」とあるのは質量部を意味する。
尚、製造例1〜4は、上記一般式(I)で表される本発明の重合性化合物の実施例を示す。実施例1〜5及び比較例1〜4は、本発明の粘着剤組成物及び比較粘着剤組成物並びにそれらを用いた粘着シートの例を示す。評価例においては、実施例1〜5の本発明の粘着剤組成物よりなる粘着シート並びに比較例1〜4の比較用粘着剤組成物よりなる粘着シートについて、粘着性、粘着耐久性及び光学特性の評価を行った。
【0090】
[製造例1]9,9−ビス(4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル)フルオレン(以下、化合物No.1とする)の製造
下記化合物No.1を以下の手順で製造した。
【0091】
【化10】

【0092】
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン35.0g、水酸化カリウム14.0g及びジメチルアセトアミド150gを混合し、110℃で2時間加熱した。70℃で4−クロロメチルスチレン38.1gを30分かけて滴下した。さらに70℃で1時間反応させた後、40℃で酢酸エチル500gと水1000gで油水分離した。硫酸ナトリウムで乾燥、シリカゲル処理して溶媒を留去し、メタノールから再結晶を行い、白色結晶36g(収率62%)を得た。各種分析の結果、目的の化合物No.1であることを確認した。得られた化合物No.1は、明確な融点を示す結晶性有機化合物であった。
【0093】
(分析結果)
(1)1H−NMR(CDCl3−d)のケミカルシフト(ppm)
4.98(m:4H),5.21−5.24(m:2H),5.70−5.75(m:2H),6.65−6.72(m:2H),6.78−7.84(m:4H),7.08−7.12(m:4H),7.20−7.25(m:2H),7.29−7.39(m:10H),7.71−7.73(m:2H)
(2)IRスペクトル(cm-1
3065,3008,2892,1907,1630,1607,1602,1581,1505,1447,1407,1379,1292,1275,1244,1178,1115,1036,1015,990,909
(3)融点:114.5℃、125.6℃
【0094】
[製造例2]1,1−ビス(4−ベンジルオキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下、化合物No.2とする)の製造
下記化合物No.2を以下の手順で製造した。
【0095】
【化11】

【0096】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン8.7g、水酸化カリウム4.71g及びジメチルアセトアミド47gを混合し、110℃で1時間加熱した。65℃で4−クロロメチルスチレン11.9gを30分かけて滴下した。さらに65℃で1時間反応させた後、40℃で酢酸エチル200gと水1000gで油水分離した。更に油層を300gの水で3回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥、シリカゲル処理して溶媒を留去し、酢酸エチルとメタノールの混合溶媒から再結晶を行い、白色結晶8.1g(収率52%)を得た。各種分析の結果、目的の化合物No.2であることを確認した。得られた化合物No.2は、明確な融点を示す結晶性有機化合物であった。
【0097】
(分析結果)
(1)1H−NMR(CDCl3−d)のケミカルシフト(ppm)
2.12(m:3H),4.98(m:6H),5.23−5.25(m:2H),5.72−5.77(m:2H),6.67−6.74(m:2H),6.82−7.86(m:4H),6.94−7.01(m:4H),7.06−7.09(m:2H),7.16−7.21(m:2H),7.33−7.42(m:7H)
(2)IRスペクトル(cm-1
3060、2980、1629、1607、1602、1579、1508、1491、1467、1445、1407、1377、1292、1246、1228、1181、1119、1061、1034、1027、1014、990、909
【0098】
[製造例3]1,1−ビス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル]−3−フェニルインダン(以下、化合物No.3とする)の製造
下記化合物No.3を以下の手順で製造した。
【0099】
【化12】

【0100】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルインダン5.00gとアセトン20.0g、メタノール4.00g、水酸化ナトリウム1.16gを混合し、55℃まで加熱し、4−クロロメチルスチレン4.23gをゆっくりと滴下した。さらに55℃で4時間反応させた後、この反応液にメタノール50mLを加えてよく攪拌し、底に沈んだ粘調性の液体の上澄みをデカントで取り除いた。この残った液体にアセトン50mLを加え溶解させた後、溶媒を留去したところ、黄色結晶固体が得られた。これをアセトン洗浄することで、黄色結晶3.31g(収率41%)を得た。各種分析の結果目的の化合物No.3であることを確認した。
【0101】
(分析結果)
(1)1H−NMR(DMSO−d6)のケミカルシフト(ppm)
2.66−2.73(m:1H),3.16−3.25(m:1H),4.14(dd:1H),5.03−5.10(m:4H),5.23−5.31(m:2H),5.81−5.86(m:2H),6.68−6.81(m:3H),6.91−7.10(m:7H),7.11−7.30(m:7H),7.31−7.39(m:2H),7.39−7.46(m:4H),7.46−7.54(m:4H)
(2)IRスペクトル(cm-1
3025,2964,2940,2868,1629,1606,1579,1507,1457,1407,1381,1291,1245,1179,1117,1045,1012,912,877,829,758,732,700
【0102】
[製造例4]9,9−ビス(4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル)フルオレン(以下、化合物No.4とする)の製造
下記化合物No.4を以下の手順で製造した。
【0103】
【化13】

【0104】
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン7.56g、水酸化カリウム2.92g及びメタノール18.3gを混合し、60℃で30分加熱した。60℃で4−クロロメチルスチレン7.32gを30分かけて滴下した。さらに60℃で2時間反応させた後、40℃で酢酸エチル100gと水100gで油水分離した。硫酸ナトリウムで乾燥、シリカゲル処理して溶媒を留去し、メタノールから再結晶を行い、白色結晶8.3g(収率68%)を得た。各種分析の結果、目的の化合物No.4であることを確認した。
【0105】
(分析結果)
(1)1H−NMR(CDCl3−d6)のケミカルシフト(ppm)
2.15(m:6H),4.96(m:2H),5.21−5.24(m:2H),5.71−5.75(m:2H),6.63−6.73(m:4H),6.92−7.03(m:4H),7.15−7.22(m:2H),7.24−7.43(m:10H),7.71−7.73(m:2H)
(2)IRスペクトル(cm-1
2948、2937、1741、1630、1607、1502、1447、1406、1378、1305、1251、1222、1178、1150、1131、1032、1016、990、908
(3)融点:150℃
【0106】
[実施例1]粘着剤組成物No.1及び粘着シートNo.1の製造
製造例1で得られた化合物No.1の5部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸ベンジル45部、アクリル酸1部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル0.1部、酢酸エチル50部及びメチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下60℃で2時間撹拌し、重合系内の酸素を除去した。アゾビスイソブチロニトリル0.2部を添加して粘着剤組成物No.1とした。
該粘着剤組成物を、65℃に昇温して10時間反応させた後、75℃に昇温して2時間反応させた。その反応液に酢酸エチル100部を加え、共重合体含有粘着剤組成物No.1A(Mw=800000、粘度2700mPs・s)を得た。
得られた共重合体含有粘着剤組成物No.1Aに、架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート0.5部及びカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルメチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学工業社製)0.1部を加えて撹拌し、共重合体含有粘着剤組成物No.1Bを得た。
厚さ38μmのPETフィルムからなるシリコンコートされた剥離ライナー上に乾燥後の厚さが約25μmとなるように、上記共重合体含有粘着剤組成物No.1Bを流延塗布し、100℃で3分間加熱乾燥した後、表面を剥離ライナーでカバーし、さらに50℃で72時間エージングを行い、架橋構造化した粘着シートNo.1を得た。
【0107】
[実施例2〜5及び比較例1〜4]粘着剤組成物No.2〜5及び比較粘着剤組成物No.1〜4並びに粘着シートNo.2〜5及び比較粘着シートNo.1〜4の製造
[表1]の配合に変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物No.2〜5及び比較粘着剤組成物No.1〜4を作製した後、各粘着剤組成物を共重合し酢酸エチルを加えて、共重合体含有粘着剤組成物No.2A〜5A及び比較共重合体含有粘着剤組成物No.1A〜4Aとし、そこへ架橋剤及びカップリング剤を添加して共重合体含有粘着剤組成物No.2B〜5B及び比較共重合体含有粘着剤組成物No.1B〜4Bとした。次いで、それらを用いてそれぞれ粘着シートNo.2〜5及び比較粘着シートNo.1〜4を得た。尚、下記表1に記載のポリイソシアネートは、商品名「コロネートL」(日本ポリウレタン社製)である。
【0108】
【表1】

【0109】
【化14】

【0110】
【化15】

【0111】
[評価例]
粘着シートNo.1〜5及び比較粘着シートNo.1〜4について下記<粘着性評価>、<粘着耐久性評価>及び<光学特性評価>を行った。結果を[表2]に示す。
【0112】
<粘着性評価>
(1)粘着力
得られた粘着シートについて、JIS Z−0237に準じて180°引き剥がし粘着力を測定した。被着体はガラス板を使用した。
(2)保持力
得られた粘着シートについて、JIS Z−0237の保持力測定法に準じてズレ量を測定した。測定は、吸収軸が偏光板長辺に対して90°になるように粘着シートを25mm×55mmに裁断して、接着面積が25mm×10mmになるようにガラス板に50℃で5kg/cm2の圧力をかけ、18分間保持して貼り付けた試験試料を作製し、該試験試料に90℃の雰囲気中で9.8Nの荷重をつるし、1時間後のズレを測定することにより行った。
【0113】
<粘着耐久性評価>
粘着シートについて耐熱(80℃、500時間)及び耐湿熱(60℃、90%RH、500時間)試験を行った後、以下の評価基準に従い、発泡及び剥れについて目視にて評価を行った。
(1)発泡評価基準
○:粘着シートに発泡が確認されない。
△:粘着シートに発泡が僅かに確認された。
×:粘着シートに発泡が確認された。
(2)剥れ評価基準
○:粘着シートに剥れが確認されない。
△:粘着シートに剥れが僅かに確認された。
×:粘着シートに剥れが確認された。
【0114】
<光学特性評価>
(1)屈折率
アッベ屈折率計にて25℃でナトリウムD線を照射して屈折率の測定を行った。
(2)全光線透過率
日本電色工業社製 NDH2000 ヘーズメーターを用いて全体35点の全光線透過率(%)を測定し、下記[式1]より全光線透過率の差を算出した。
[式1]
全光線透過率の差Δ=最大全光線透過率−最小全光線透過率
【0115】
(3)白ヌケ
得られた粘着シートのそれぞれを2枚クロスニコルにして貼り合せ、液晶モニターのバックライト上に置き白ヌケの状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
・評価基準
〇:光学フィルムに白ヌケが確認されなかった。
△:光学フィルムに白ヌケがわずかに確認された。
×:光学フィルムに白ヌケが確認された。
【0116】
(4)全反射角
得られた粘着シートを介して直角プリズム(材質BK−7:nD1.517)とガラス基板(材質BK−7:nD1.517)とを貼り合わせ、ガラス基板端部より光を入射して、その入射角度と粘着シート及びプリズムを通過して出てくる光の有無を調べ、光が出てこなくなった角度θを全反射角度(°)として評価した。なお、ガラス基板の上下面は平行、上下面と端面(側面)は垂直となるように加工した。また、光源は単一モードのHe−Neレーザを用い、端面に対して偏光方向が45°となるようにして用いた。
【0117】
(5)出射光強度比
得られた粘着シートを介して予め屈折率1.517となるように調整したマッチングオイルを用いて直角プリズム(nd=1.517)とガラス基板(nd=1.517)を接着してガラス基板端部より光を入射させ、直角プリズムからの出射光強度を入射させるレーザ光の角度を変えながら測定し、その入射角度により粘着剤層とプリズムを通過して出てくる入射光の総和(入射光強度)を測定し、出射光強度/入射光強度×100にて出射光強度比を算出した。
【0118】
【表2】

【0119】
〔表2〕の結果から、本発明の粘着剤組成物よりなる粘着シートは、比較粘着シートと比較して、十分な粘着力を有しながら、高い保持力を有していることが分かる。
さらに、本発明の粘着シートは、比較粘着シートと比較して、高い耐熱性及び耐湿熱性を示すことが明らかである。
また、本発明の粘着シートは1.48〜1.58の間で任意の屈折率を取るように調整可能である。
また、本発明の粘着シートの全光線透過率の差Δは、0.05以下であり、偏光板に使用した時に色むら・白ヌケ現象を抑制することができ、透明性が高い。
また、本発明の粘着シートは、屈折率が接着対象の光学部材とほぼ同じであるため出射光強度比が大きく全反射が低く抑えられており、バックライト方向からくる光を反射しにくくして光を有効活用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される重合性化合物を含有する粘着剤組成物。
【化1】

(式中、Lは、直接結合又は下記一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される置換基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよい。)
【化2】

(式中、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、X9、X10、X11及びX12中、X13、X14、X15及びX16中並びにX17、X18、X19及びX20中の隣接する置換基は互いに環を形成していてもよく、
Yは、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、
sは0〜8の数を表し、xは0〜4の数を表し、yは0〜4の数を表し、xとyの数の合計は2〜4であり、
1及びR2は、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、R1及びR2は互いに環を形成していてもよい。)
【請求項2】
上記一般式(I)において、Lが上記一般式(II)で表される置換基である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
上記一般式(I)において、Lが上記一般式(III)で表される置換基である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
上記一般式(I)において、Lが上記一般式(IV)で表される置換基であり、R1が炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2が炭素原子数6〜20のアリール基である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
さらに上記一般式(I)で表される重合性化合物以外の不飽和結合を有するモノマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
さらに熱重合開始剤を含有する請求項5記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤組成物中に含まれる上記一般式(I)で表される重合性化合物を(共)重合させてなる(共)重合体含有粘着剤組成物。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の粘着剤組成物中に含まれる上記一般式(I)で表される重合性化合物及び上記不飽和結合を有するモノマーを共重合させてなる共重合体含有粘着剤組成物。
【請求項9】
請求項7又は8記載の(共)重合体含有粘着剤組成物より形成した粘着剤層を有する粘着シート。
【請求項10】
下記一般式(I)で表される重合性化合物。
【化3】

(式中、Lは、直接結合又は下記一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される置換基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよい。)
【化4】

(式中、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、水素原子、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、X9、X10、X11及びX12中、X13、X14、X15及びX16中並びにX17、X18、X19及びX20中の隣接する置換基は互いに環を形成していてもよく、
Yは、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−で中断されていてもよく、
sは0〜8の数を表し、xは0〜4の数を表し、yは0〜4の数を表し、xとyの数の合計は2〜4であり、
1及びR2は、ハロゲン原子で置換されているか無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、R1及びR2は互いに環を形成していてもよい。)

【公開番号】特開2011−190336(P2011−190336A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57104(P2010−57104)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】