説明

系統連系用電力変換装置の制御装置、及び系統連系用電力変換装置

【課題】系統瞬低時において出力電流を継続させつつも共振電流の発生を抑制し、一層の系統安定化を図ることが可能な系統連系用電力変換装置の制御装置を提供する。
【解決手段】出力電流値の設定に用いる電流位相θαβの算出を行う位相算出部22に位相保持部44を備え、該位相保持部44にて系統電圧の電圧低下異常が判定される時までの正常時の位相情報がmサイクル分(例えば1サイクル分)、更新されつつ保持される。出力電流値の設定に際しては、位相値切替部43及び電圧低下判定部47等の動作にて、電圧低下異常が生じていない場合には、位相演算部42から出力される都度抽出の位相情報を出力し、電圧低下異常が生じた場合には、先の位相保持部44にて保持された位相情報が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統連系用電力変換装置の制御装置、及び系統連系用電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の小さい太陽光発電システムが益々注目されており、数百軒程度の街全体で太陽光発電システムを一斉導入するといった新たな試みがなされている。このように比較的狭い地域に集中して多くの太陽光発電システムが電力系統に接続されると、様々な懸念材料が生まれてくる。
【0003】
太陽光発電システム等の分散電源システムでは、太陽光発電パネル等の発電装置と電力系統との間に電力変換装置、所謂パワーコンディショナ(PCS、以下単にパワコンと称す)が設置されている。パワコンは、発電電力を系統周波数に合わせた交流電力に変換するインバータとその制御装置とを備え、電力変換動作に加えて、系統で停電等が生じた場合に個々の分散電源システムを系統から解列させる単独運転防止機能や、瞬時電圧低下時(瞬低時)に先の機能により不要解列するのを防止する瞬低時運転継続機能(FRT機能)を備えることが必要とされてきている。該機能は、上記のような太陽光発電システムが集中大量導入された地域においては特に、地域全体の太陽光発電システムが一斉解列することで系統に与える影響が多大となるため、系統安定化を図るためも必要な機能でもある。
【0004】
また、パワコンでは、系統電圧の基本波電圧位相を検出し、その位相検出に基づいて系統に合わせた交流電力の生成と注入とを行っているが、系統の電圧低下異常時に基本波電圧位相を喪失する虞があり、喪失した状態で交流電力を系統に出力すると、系統や他の電力機器に悪影響を与えてしまう。そのため、例えば特許文献1に開示の電力変換装置(制御装置)のように、基本波電圧位相を系統からその都度検出し、上記のような瞬低を含む電圧低下異常時において、基本波電圧位相の喪失を低減する技術が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3505626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電力系統にて瞬低が生じてパワコン側で基本波電圧位相を喪失し、それが復帰するまでの期間においては、位相が不安定な状況でその位相に基づいて動作するパワコンと、系統上や系統に接続される電力機器に備えられたリアクトル、コンデンサ等との関係で、非基本波次数の共振電流が系統上の電流に重畳し、継続的に発生する。特に、系統に太陽光発電システムが大量連系された場合では、系統上の共振電流が多大となり、このことで更に需要家の負荷機器の電圧低下による停止、所謂負荷脱落等が加わって共振現象が一層増大し、大量の太陽光発電システムが系統から一斉解列してしまうことが懸念材料となっている。
【0007】
また、解列の前段階で数サイクルの一時的な動作停止機能(ゲートブロック機能)を追加するような場合、動作停止中の出力電流はゼロとなり、その後の瞬低復帰時の電流ソフトスタートの影響を受けることになる。つまり、該機能が用いられた場合では、瞬低復帰時からの出力電流の立ち上がりが緩やかとなり、瞬低前の状態まで速やかに回復できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、系統瞬低時において出力電流を継続させつつも共振電流の発生を抑制し、一層の系統安定化を図ることができる系統連系用電力変換装置の制御装置、及び系統連系用電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、発電装置にて発電された発電電力を電力系統に出力可能な交流電力に変換動作する電力変換器に対して、前記電力系統でのその時々の電力状況に適切な制御を実施する系統連系用電力変換装置の制御装置であって、前記発電装置の発電電圧に基づいて前記電力変換器の出力電流振幅を設定する出力電流振幅設定手段と、前記電力系統の系統電圧の振幅及び位相情報を都度抽出する系統電圧情報抽出手段と、前記設定した出力電流振幅と前記抽出した位相情報とに基づいて、前記電力変換器の動作を制御すべく該電力変換器の出力電流値を設定する出力電流値設定手段と、前記系統電圧の振幅情報に基づいて電圧低下異常の判定を行う異常判定手段と、前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を保持する位相情報保持手段と、前記出力電流値設定手段での前記出力電流値の設定に際し、前記電圧低下異常が生じていない場合には前記抽出した位相情報を適用し、前記電圧低下異常が生じた場合には前記抽出した位相情報に替えて前記保持した位相情報を適用すべく切り替える位相情報切替手段とを備えたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、系統電圧の電圧低下異常が判定される時までの正常時の位相情報が保持される。そして、出力電流値設定手段での出力電流値の設定に際し、電圧低下異常が生じていない場合には都度抽出される位相情報が適用され、電圧低下異常が生じた場合には先の保持された位相情報が適用されるように切り替えられる。つまり、電圧低下異常が生じた場合、正常時の安定した位相情報を用いて出力電流値が設定されるため、この制御装置にて制御される電力変換器の動作は正常時と同様に安定したものとなる。結果、電力変換器からの出力電流に非基本波次数の共振電流が発生することが低減され、一層の系統安定化に寄与できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、前記位相情報保持手段は、前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を少なくとも1サイクル分保持し、前記電圧低下異常が生じた場合に、前記保持した位相情報が前記出力電流値設定手段に対して順次出力されるように構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報が少なくとも1サイクル分保持可能とされ、電圧低下異常が生じた場合に、保持した位相情報が出力電流値設定手段に対して順次出力される。これにより、電圧低下異常が生じた場合の適切な位相情報の出力を演算不要で容易に行うことが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、前記位相情報保持手段は、前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を所定個保持し、前記電圧低下異常が生じた場合に、前記保持した所定個の位相情報に基づいてその時の位相情報を算出しながら前記出力電流値設定手段に対して順次出力されるように構成されたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報が所定個保持可能とされ、電圧低下異常が生じた場合に、保持した所定個の位相情報に基づくその時の位相情報を算出しながら、その算出された位相情報が出力電流値設定手段に対して順次出力される。これにより、電圧低下異常が生じた場合の適切な位相情報の出力を容易に行うことが可能で、保持する位相情報が少なくて済む。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、前記系統電圧情報抽出手段は、前記系統電圧の振幅及び位相情報の抽出に際し、αβ変換器又は瞬時正相変換器によるαβ変換又は瞬時正相変換を用いたことをその要旨とする。
【0016】
この発明では、系統電圧の振幅及び位相情報の抽出に際し、αβ変換又は瞬時正相変換が用いられる。これにより、いずれの変換であっても、変換後の出力値が瞬低等の電圧低下異常にて瞬時に変化するため、瞬低等を含む電圧低下異常の判定をより確実に行うことが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、前記位相情報切替手段は、前記電圧低下異常が判定された後に正常状態に復帰する際、前記出力電流値設定手段に出力する前記位相情報をその復帰時から遅延手段にて所定時間遅延させて保持態様側から抽出態様側に切り替えることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、電圧低下異常が判定された後に正常状態に復帰する際、出力電流値設定手段に出力する位相情報がその復帰時から所定時間の遅延を経て保持態様側から抽出態様側に切り替えられる。これにより、電圧低下異常からの復帰時に系統上で過渡変化が生じている可能性があるため、その過渡変化が位相情報に反映されることが防止され、電力変換器の出力安定化、一層の系統安定化に寄与できる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、発電装置にて発電された発電電力を電力系統に出力可能な交流電力に変換動作する電力変換器と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置とを備えた系統連系用電力変換装置である。
【0020】
この発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置が用いられることで、電力変換器からの出力電流に非基本波次数の共振電流が発生することが低減され、一層の系統安定化に寄与できる系統連系用電力変換装置として提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、系統瞬低時において出力電流を継続させつつも共振電流の発生を抑制でき、一層の系統安定化を図ることができる系統連系用電力変換装置の制御装置、及び系統連系用電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態における太陽光発電システムの構成を示すブロック図。
【図2】同形態における位相算出部の詳細構成を示すブロック図。
【図3】同形態における瞬低時の系統(連系点)電圧及び電流の変化を示す波形図。
【図4】比較例における瞬低時の系統(連系点)電圧及び電流の変化を示す波形図。
【図5】別例における位相算出部を示すブロック図。
【図6】別例における変換器を示すブロック図。
【図7】別例における変換器を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態における太陽光発電システムを示す。太陽光発電システム10は、太陽光発電パネルPVで発電した直流電力を、パワーコンディショナ(パワコン)11にて系統周波数(50Hz又は60Hz)の三相交流電力に変換し、変換した交流電力を商用電力系統Lsに出力するものである。パワコン11は、電圧型電流制御方式を採用している。
【0024】
パワコン11は、直流−交流電力変換器であるインバータ12とそれを制御する制御装置13とを備えている。インバータ12は、半導体スイッチング素子(図示略)を複数用いた三相ブリッジ回路にて構成されている。インバータ12には、発電にて得られた太陽光発電パネルPVからの直流電力が充電コンデンサ14を経て入力される。インバータ12は、制御装置13によるスイッチング制御(PWM制御)に基づいて、入力された直流電力をその時々の電力系統Lsの状況に応じた三相交流電力に変換し、各相の連系リアクトル15を介して電力系統Lsに出力する。
【0025】
制御装置13は、インバータ12の制御を実施するにあたり、連系リアクトル15の後段、即ち系統Lsとの連系点における三相の系統電圧Vsa,Vsb,Vsc及び系統電流Isa,Isb,Iscを所定サンプリング周期で入力する。系統電圧Vsa,Vsb,Vsc及び系統電流Isa,Isb,Iscは、三相/二相(3Φ/2Φ)変換部21にて、αβ軸の固定座標系の二相電圧値Vsα,Vsβ及び二相電流値Isα,Isβにそれぞれ変換される(αβ変換)。
【0026】
位相算出部22は、三相/二相変換部21からの二相電圧値Vsα,Vsβを入力し、これらから電圧位相を算出し、算出した電圧位相を電流位相に変換(位相調整)することで、その時々で適切な電流位相θαβの算出を行っている。尚、位相算出部22の詳細構成は、図2を用いて後述する。位相算出部22は、算出した電流位相θαβを出力電流値算出部23に出力する。出力電流値算出部23には、電流位相θαβとともに指令値切替部24からの出力電流振幅指令値Icも入力される。
【0027】
指令値切替部24について、第1及び第2入力端子a1,a2を有し、第1入力端子a1には、直流電圧制御部25からの出力電流振幅指令値が入力される。直流電圧制御部25は、太陽光発電パネルPVとインバータ12との間に設けられた充電コンデンサ14の充電電圧Vdcを該発電パネルPVの発電電圧として入力し、充電電圧Vdcが定常電圧となるようにその時々の出力電流振幅指令値を設定し、設定した指令値を第1入力端子a1に出力する。
【0028】
第2入力端子a2には、指令値保持部26にて保持された出力電流振幅指令値が入力される。指令値保持部26は、直流電圧制御部25から出力電流振幅指令値が入力されており、位相算出部22に備えられる後述の電圧低下判定部47にて電圧低下異常時と判定された際、その判定信号を保持指令信号として入力し、その時に取得した出力電流振幅指令値の保持を行うとともに、保持したその指令値を第2入力端子a2に出力する。
【0029】
尚、後述の電圧低下判定部47(図2参照)では、二相電圧値Vsα,Vsβとして入力される系統電圧Vsa,Vsb,Vscから、電力系統Lsにて瞬時電圧低下時(瞬低時)を含む所定レベル以上の電圧低下異常が生じているか否かの判定が行われている。
【0030】
また、電圧低下異常と判定された判定信号は、切替制御信号として指令値切替部24の制御端子a0に入力される。即ち、電圧低下異常と判定されていない正常時(系統健全時)において、その旨を切替制御信号として入力される指令値切替部24では第1入力端子a1が選択され、直流電圧制御部25から第1入力端子a1を介して入力されるその時々の出力電流振幅指令値が指令値切替部24の出力電流振幅指令値Icとして出力電流値算出部23に出力される。
【0031】
これに対し、瞬低を含む所定レベル以上の電圧低下異常が生じたと判定されると、その旨を切替制御信号として入力される指令値切替部24では第2入力端子a2が選択される。また同時に、指令値保持部26にもその異常判定に基づく保持指令信号が入力され、その時の直流電圧制御部25からの出力電流振幅指令値が指令値保持部26にて保持されるとともに、第2入力端子a2に出力される。そのため、指令値切替部24では第2入力端子a2を介して入力される指令値保持部26にて保持された出力電流振幅指令値が指令値切替部24の出力電流振幅指令値Icとして出力電流値算出部23に出力される。
【0032】
出力電流値算出部23は、入力された出力電流振幅指令値Icと電流位相θαβとに基づいて、その時々で適切な振幅及び位相の出力電流値の算出を行う。算出された出力電流値は、αβ軸の固定座標系の二相電流値Icα,Icβとしてそれぞれ演算器27a,27bに入力される。
【0033】
演算器27aは、指令値に基づく出力電流値算出部23からの二相電流値Icαと、実値に基づく三相/二相変換部21からの二相電流値Isαとを用いて偏差を演算し、α軸側の演算結果を電圧変換器28aに出力する。演算器27bは、指令値に基づく出力電流値算出部23からの二相電流値Icβと、実値に基づく三相/二相変換部21からの二相電流値Isβとを用いて偏差を演算し、β軸側の演算結果を電圧変換器28bに出力する。
【0034】
電圧変換器28aは、演算器27aの演算結果である電流指令値と実値との偏差電流値を電圧値に変換し、α軸側の偏差電圧値として演算器29aに出力する。電圧変換器28bは、演算器27bの演算結果である電流指令値と実値との偏差電流値を電圧値に変換し、β軸側の偏差電圧値として演算器29bに出力する。
【0035】
演算器29aは、電圧変換器28aからの偏差電圧値を、三相/二相変換部21からの二相電圧値Vsαに反映し、α軸側の出力電圧値Vcαとして二相/三相(2Φ/3Φ)変換部30に出力する。演算器29bは、電圧変換器28bからの偏差電圧値を、三相/二相変換部21からの二相電圧値Vsβに反映し、β軸側の出力電圧値Vcβとして二相/三相変換部30に出力する。
【0036】
二相/三相変換部30は、αβ軸の固定座標系の二相出力電圧値Vcα,Vcβを三相出力電圧値Vca,Vcb,Vccに変換する。変換された三相出力電圧値Vca,Vcb,Vccは、PWM制御部31に出力される。
【0037】
PWM制御部31は、インバータ12のPWM制御を実施する際に用いる制御パルスを設定するものであり、入力された三相出力電圧値Vca,Vcb,Vccに基づいて制御パルスのオンパルス幅(デューティ)を適切値に決定する。そして、PWM制御部31は、その時々で決定される制御パルスに基づいて、インバータ12の適切なスイッチング動作を行っている。
【0038】
次に、位相算出部22の詳細構造について図2を用いて説明する。
位相算出部22では、三相/二相変換部21からの二相電圧値Vsα,Vsβが振幅演算部41及び位相演算部42にそれぞれ所定サンプリング周期毎に入力される。位相演算部42は、入力された二相電圧値Vsα,Vsβに基づいて電圧位相を算出し、算出した電圧位相を電流位相に変換するといったその時々の電流位相θαβの演算を行い、位相値切替部43の第1入力端子b1に出力する。
【0039】
位相値切替部43は、第1及び第2入力端子b1,b2を有し、第1入力端子b1には、位相演算部42からの電流位相θαβが入力される。第2入力端子b2には、位相保持部44にて保持された電流位相θαβが入力される。
【0040】
位相保持部44は、位相値切替部43から出力される電流位相θαβを入力し、mサイクル分(本実施形態では1サイクル、即ち1周期分)の位相情報の更新及び保持を行っている。例えば、位相値切替部43において第1入力端子b1が選択される場合、位相保持部44には、位相演算部42からの電流位相θαβの過去mサイクル分の位相情報が順次更新されて保持される。また、位相値切替部43において第2入力端子b2が選択される場合、第2入力端子b2に切り替わる前までに第1入力端子b1から入力されていた電流位相θαβの過去mサイクル分の位相情報が保持され、また位相値切替部43と位相保持部44の接続態様から同一情報にて繰り返し更新される。
【0041】
振幅演算部41は、入力された二相電圧値Vsα,Vsβに基づいてその時々の電圧振幅値|V|、この場合絶対値の演算を行い、振幅変化分算出部45及び後述の第2判定器48にそれぞれ出力する。
【0042】
振幅変化分算出部45は、今回のサンプリングで算出された電圧振幅値|V|をそのまま演算器45aに入力するとともに、1サイクル前(1周期前)のサンプリングで算出された電圧振幅値|V|を入力し、両値の差分から電圧振幅変化分|ΔV|の算出を行う。算出された電圧振幅変化分|ΔV|は、第1判定器46に出力される。
【0043】
第1判定器46は、入力された電圧振幅変化分|ΔV|と予め設定された基準値ΔVrefとの比較を行い、電圧振幅変化分|ΔV|が基準値ΔVrefより小であるときは出力信号をLレベル、電圧振幅変化分|ΔV|が基準値ΔVrefより大となったときには出力信号をHレベルに切り替える。つまり、第1判定器46は、電圧振幅変化分|ΔV|を用いて、瞬低を含む電圧低下異常が生じたか否かの判定を行っている。第1判定器46からの出力信号は、電圧低下判定部47に出力される。
【0044】
電圧低下判定部47は、RSフリップフロップにて構成されており、第1判定器46からの出力信号はS端子(セット端子)に入力される。電圧低下判定部47のR端子(リセット端子)には、第2判定器48の出力信号がアンド回路(AND回路)49、オンディレイタイマ50を介して入力される。
【0045】
第2判定器48は、入力された電圧振幅値|V|と予め設定された基準値Vrefとの比較を行い、電圧振幅値|V|が基準値Vrefより小であるときは出力信号をLレベル、電圧振幅値|V|が基準値Vrefより大となったときには出力信号をHレベルに切り替える。つまり、第2判定器48は、電圧振幅値|V|を用いて、瞬低を含む電圧低下異常が生じた後に正常電圧レベルに復帰したか否かの判定を行っている。第2判定器48からの出力信号は、アンド回路49に出力される。
【0046】
アンド回路49は、2入力型であり、一方の入力端子に第2判定器48からの出力信号が、他方の入力端子に電圧低下判定部47からの出力信号がそれぞれ入力される。アンド回路49の出力信号は、信号伝達を所定時間Tdだけ遅延させるオンディレイタイマ50を介して電圧低下判定部47のR端子に出力される。そして、電圧低下判定部47は、このR端子と先のS端子とに入力される信号に基づいてQ端子から出力する出力信号の論理を変更し、該出力信号は位相値切替部43の制御端子b0に出力される。
【0047】
ここで、電圧低下判定部47は、初期状態としてQ端子からLレベルの出力信号を出力する。これを受け、位相値切替部43では、第1入力端子b1が選択され、その時々の二相電圧値Vsα,Vsβに基づいて位相演算部42から出力される電流位相θαβが出力されるようになっている。つまり、系統電圧Vsa,Vsb,Vscが正常電圧レベルである場合、このようにして電流位相θαβが位相値切替部43、即ち位相算出部22から出力され、出力電流値算出部23(図1参照)にて出力電流値の設定が行われる。また、位相値切替部43から出力される電流位相θαβは、位相保持部44において過去1サイクル分が更新されつつ保持される。
【0048】
そして、系統電圧Vsa,Vsb,Vscに瞬低等の電圧低下異常が生じて第1判定器46にて電圧振幅変化分|ΔV|が基準値ΔVrefより大となると、第1判定器46の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わり、電圧低下判定部47のS端子がHレベルになる。これを受け、電圧低下判定部47のQ端子から出力される出力信号がLレベルからHレベルに切り替わり、次にR端子がHレベルになるまで、Q端子から出力される出力信号がHレベルに維持される。すると、位相値切替部43では、第1入力端子b1から第2入力端子b2に切り替わり、位相保持部44にて保持した1サイクル分の電流位相θαβが位相値切替部43(位相算出部22)から順次出力されるようになる。
【0049】
このとき、位相保持部44にて保持される1サイクル分の電流位相θαβは、瞬低等の電圧低下異常となる直前の正常時(系統健全時)のものであるため、瞬低等の電圧低下異常が生じている期間においても、安定した正常時の電流位相θαβに基づいて出力電流値算出部23(図1参照)にて出力電流値の設定が行われる。
【0050】
やがて、系統電圧Vsa,Vsb,Vscが瞬低等の電圧低下異常から正常電圧レベルまで復帰して第2判定器48にて電圧振幅値|V|が基準値Vrefより大となると、第2判定器48の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わる。このとき、アンド回路49に入力される電圧低下判定部47のQ端子からの出力信号がHレベルとなっていることから、第2判定器48の出力信号がHレベルになることで、アンド回路49の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わる。そして、所定時間Td経過後、オンディレイタイマ50の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わり、電圧低下判定部47のR端子がHレベルになる。
【0051】
これを受け、電圧低下判定部47のQ端子から出力される出力信号がHレベルからLレベルに切り替わり、位相値切替部43では、第2入力端子b2から第1入力端子b1に切り替わる。位相値切替部43(位相算出部22)からは、その時々の二相電圧値Vsα,Vsβに基づく電流位相θαβが出力され、出力電流値算出部23(図1参照)での出力電流値の設定に用いられる。
【0052】
次に、このように構成された制御装置13の制御によるパワコン11の動作(作用)を図1及び図2を参照しつつ説明する。
系統電圧Vsa,Vsb,Vscが正常電圧レベルで推移している場合では、インバータ12の動作を決定する出力電流値算出部23での出力電流値は、その時々の充電電圧Vdcに基づいて算出される出力電流振幅指令値と、その時々の系統電圧Vsa,Vsb,Vsc(二相電圧値Vsα,Vsβ)に基づいて算出される電流位相θαβとを用いて設定される。こうして設定された出力電流値に基づいて動作するインバータ12により、太陽光発電パネルPVで発電した直流電力が電力系統Lsに合った交流電力に適切に変換されて、該系統Lsに出力される。
【0053】
系統電圧Vsa,Vsb,Vscに瞬低等の電圧低下異常が生じると、その異常と判定された時点(電圧低下判定部47のQ端子がHレベルとなった時点)の出力電流振幅指令値が指令値保持部26にて保持されるとともに、保持された出力電流振幅指令値が異常判定期間で継続して出力電流値算出部23に出力されるようになる。また、異常と判定される直前の正常時の電流位相θαβが位相保持部44にてmサイクル分(1サイクル分)保持されていることから、正常時の電流位相θαβが異常判定期間で継続して出力電流値算出部23に出力される。
【0054】
従って、出力電流値算出部23では、系統Lsが正常時の安定した位相情報を用いて出力電流値が設定されるため、インバータ12の動作は正常時と同様に安定したものとなり、インバータ12からの出力電流に非基本波次数の共振電流が発生することが低減される。また本実施形態の手法を用いれば、系統電圧Vsa,Vsb,Vscがゼロとなったとしても、位相を喪失しない点で優れている。
【0055】
ここで、図4は、系統から基本波電圧位相を都度検出して位相喪失の低減を図る仕様のパワコンが使用された時の連系点での系統電圧Vsa,Vsb,Vsc及び系統電流Isa,Isb,Iscの変化を示しているが、同図4に示すように、系統上で瞬低が発生すると、非基本波次数の共振電流及び共振電圧が発生するとともに、それが継続してしまう。特に系統にこの仕様のパワコンが大量連系されるような場合、系統上の共振電流及び共振電圧が多大となり、また需要家の負荷脱落等が加わって共振現象の増大を招いて、場合によってはパワコン(太陽光発電システム)が一斉解列する虞がある。
【0056】
これに対して図3は、本実施形態のパワコン11の動作に基づく系統電圧(連系点電圧)Vsa,Vsb,Vsc及び系統電流(連系点電流)Isa,Isb,Iscの変化を示しているが、同図3に示すように、系統Ls上で瞬低が発生しても、非基本波次数の共振電流及び共振電圧の発生が即座に抑制される。またこのことは、系統Lsにパワコン11(太陽光発電システム10)が大量連系されるような場合に特に有効である。
【0057】
やがて、系統電圧Vsa,Vsb,Vscが瞬低等の電圧低下異常から正常電圧レベルまで復帰すると、オンディレイタイマ50の動作により所定時間Tdを経過した後から、位相保持部44からの電流位相θαβの出力から正常時の位相演算部42からの電流位相θαβの出力に切り替わる。つまり、復帰時において系統Ls上で過渡変化が生じている可能性があり、その過渡変化が電流位相θαβに反映されることが防止される。このことは、復帰時のインバータ12の動作の安定化に寄与するものとなり、図3に示すように、復帰時(瞬低解除時)の系統電圧Vsa,Vsb,Vsc及び系統電流Isa,Isb,Iscの歪み抑制に寄与できる。
【0058】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)出力電流値の設定に用いる電流位相θαβの算出を行っている位相算出部22に位相保持部44が備えられ、該位相保持部44にて系統電圧Vsa,Vsb,Vscの電圧低下異常が判定される時までの正常時の位相情報がmサイクル分(本形態では1サイクル分)、更新されつつ保持される。そして、出力電流値算出部23での出力電流値の設定に際し、位相算出部22の位相値切替部43及び電圧低下判定部47等の動作にて、電圧低下異常が生じていない場合には、位相演算部42から出力される都度抽出の位相情報が適用され、電圧低下異常が生じた場合には、先の位相保持部44にて保持された位相情報が適用されるようにしている。つまり、電圧低下異常が生じた場合、位相保持部44にて保持された正常時の安定した位相情報を用いて出力電流値が設定されるため、インバータ12の動作は正常時と同様に安定したものとなる。結果、インバータ12(パワコン11)からの出力電流に非基本波次数の共振電流が発生することを低減でき、一層の系統Ls安定化に寄与することができる。
【0059】
(2)電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報がmサイクル分(本形態では1サイクル)分保持可能な位相保持部44が備えられ、電圧低下異常が生じた場合に、保持したmサイクル分の位相情報の順次出力が行われている。これにより、電圧低下異常が生じた場合の適切な位相情報の出力を演算不要で容易に行うことができる。
【0060】
(3)系統電圧Vsa,Vsb,Vscの振幅及び位相情報の抽出に際し、αβ変換を行う三相/二相変換部21が用いられている。これにより、変換後の出力値が瞬低等の電圧低下異常にて瞬時に変化するため、瞬低等を含む電圧低下異常の判定をより確実に行うことができる。また、αβ変換を用いれば、系統周波数が変化しても正確な位相情報を得ることができる。
【0061】
(4)電圧低下異常が判定された後に正常状態に復帰する際、出力電流値算出部23に出力する位相情報がオンディレイタイマ50の動作にてその復帰時から所定時間Tdの遅延を経て保持態様側から抽出態様側に切り替えるようにしている。これにより、電圧低下異常からの復帰時に系統Ls上で過渡変化が生じている可能性があるため、その過渡変化が位相情報に反映されることを防止でき、インバータ12の出力安定化、一層の系統Ls安定化に寄与することができる。
【0062】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、位相算出部22を図2のように構成したが、適宜変更してもよい。例えば、図5に示すような位相算出部22Aの構成としてもよい。
【0063】
図5に示す位相算出部22Aは、mサイクル分の位相情報を保持する位相保持部44に替えて、位相記憶部51、位相カウンタ52、及び演算器53を備える。位相記憶部51は、位相値切替部43から出力される電流位相θαβを入力し、所定個(例えば1個)の位相情報の更新及び保持を行う。また、位相記憶部51は、電圧低下判定部47からの出力信号が入力され、電圧低下異常判定がなされた旨の出力信号が入力されると、位相値切替部43が第2入力端子b2に切り替わる直前の第1入力端子b1から入力された正常時の電流位相θαβが例えば1個保持され、電圧低下異常判定がなされている期間中はその更新が禁止される。位相カウンタ52は、サンプリング毎に系統周波数を考慮した位相変化分を算出する。そして、演算器53では、位相記憶部51で記憶される正常時の電流位相θαβに対しその時々のサンプリング毎の位相変化分が加えられ、正常時の位相情報が順次出力可能となっている。このように構成しても、電圧低下異常が生じた場合の適切な位相情報の出力を容易に行うことができる。また、位相記憶部51にて保持する位相情報が少なくて済む。
【0064】
・上記実施形態では、系統電圧Vsa,Vsb,Vscの振幅及び位相情報の抽出を行うべくαβ変換を行う三相/二相変換部21を用いたが、その他の変換器を用いてもよい。例えば図6に示すような瞬時正相変換器21Aを用いてもよい。
【0065】
図6に示す瞬時正相変換器21Aは、演算器61a〜61d、遅延部62a〜遅延部62c、回転演算器63a,63bを備える。第1相系統電圧Vsaは、その実部(Re)が演算器61aに入力されるとともに、同実部(Re)が1/4サイクル遅延を行う遅延部62aを介して虚部(Im)として演算器61bに入力される。第2相系統電圧Vsbは、その実部(Re)が演算a(=ej2π/3)を行う回転演算器63aを介して演算器61cに入力されるとともに、同実部(Re)が1/4サイクル遅延を行う遅延部62b、回転演算器63aを介して虚部(Im)として演算器61dに入力される。第3相系統電圧Vscは、その実部(Re)が演算aを行う回転演算器63bを介して演算器61cに入力されるとともに、同実部(Re)が1/4サイクル遅延を行う遅延部62c、回転演算器63bを介して虚部(Im)として演算器61dに入力される。演算器61c,61dの演算結果は、演算器61a,61bにそれぞれ入力される。そして、演算器61aからは、実部側の演算結果として第1電圧値Vs1が、演算器61bからは虚部側の演算結果として第2電圧値Vs2がそれぞれ位相算出部22に出力され、振幅情報を含む第1電圧値Vs1及び位相情報を含む第2電圧値Vs2から振幅及び位相情報の抽出が行われる。このような瞬時正相変換器21Aを用いても、振幅情報を含む第1電圧値Vs1が瞬低等の電圧低下異常にて瞬時に変化するため、瞬低等を含む電圧低下異常の判定をより確実に行うことができる。
【0066】
また、先の瞬時正相変換器21Aは、三相の系統Lsに対応すべく、三相の電圧Vsa,Vsb,Vscを振幅及び位相情報の抽出を行うための第1及び第2電圧値Vs1,Vs2に変換するものであったが、図7に示す瞬時正相変換器21Bを用いて、単相の系統に適用できるようにしてもよい。瞬時正相変換器21Bは遅延部62aのみを備え、単相電圧Vsの実部(Re)が第1電圧値Vs1として、また1/4サイクル遅延を行う遅延部62aを介した虚部(Im)が第2電圧値Vs2として位相算出部22に出力され、第1及び第2電圧値Vs1,Vs2から振幅及び位相情報の抽出が行われる。これに合わせてインバータ12を単相インバータに変更する等の構成変更により、パワコン11が単相系統に適用できるものとなる。
【0067】
・上記実施形態の位相情報の保持する個数や保持のタイミング等、位相情報の保持態様を適宜変更してもよい。
・上記実施形態の出力電流振幅指令値の保持する個数や保持のタイミング等、出力電流振幅指令値の保持態様を適宜変更してもよい。
【0068】
・上記実施形態では、電力変換器としてインバータ12を備えていたが、その他の電力変換器と置換してもよく、その他の電力変換器と組み合わせてもよい。
・上記実施形態では、太陽光発電システム10のパワコン11に適用したが、その他の分散電源システムのパワコン、例えば風力発電システム、コージェネレーションシステム等のパワコンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
11 パワーコンディショナ(パワコン、系統連系用電力変換装置)
12 インバータ(電力変換器)
13 制御装置
21 三相/二相変換部(系統電圧情報抽出手段、αβ変換器)
21A,21B 瞬時正相変換器
23 出力電流値算出部(出力電流値設定手段)
24 指令値切替部(出力電流振幅設定手段)
25 直流電圧制御部(出力電流振幅設定手段)
26 指令値保持部(出力電流振幅設定手段)
41 振幅演算部(系統電圧情報抽出手段)
42 位相演算部(系統電圧情報抽出手段)
43 位相値切替部(位相情報切替手段)
44 位相保持部(位相情報保持手段)
46 第1判定器(異常判定手段)
47 電圧低下判定部(異常判定手段、位相情報切替手段)
50 オンディレイタイマ(遅延手段)
51 位相記憶部(位相情報保持手段)
PV 太陽光発電パネル(発電装置)
Ls 電力系統
Vdc 充電電圧(発電電圧)
Vsa,Vsb,Vsc 系統電圧
Ic 出力電流振幅指令値(出力電流振幅、振幅情報)
θαβ 電流位相(位相情報)
Td 所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置にて発電された発電電力を電力系統に出力可能な交流電力に変換動作する電力変換器に対して、前記電力系統でのその時々の電力状況に適切な制御を実施する系統連系用電力変換装置の制御装置であって、
前記発電装置の発電電圧に基づいて前記電力変換器の出力電流振幅を設定する出力電流振幅設定手段と、
前記電力系統の系統電圧の振幅及び位相情報を都度抽出する系統電圧情報抽出手段と、
前記設定した出力電流振幅と前記抽出した位相情報とに基づいて、前記電力変換器の動作を制御すべく該電力変換器の出力電流値を設定する出力電流値設定手段と、
前記系統電圧の振幅情報に基づいて電圧低下異常の判定を行う異常判定手段と、
前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を保持する位相情報保持手段と、
前記出力電流値設定手段での前記出力電流値の設定に際し、前記電圧低下異常が生じていない場合には前記抽出した位相情報を適用し、前記電圧低下異常が生じた場合には前記抽出した位相情報に替えて前記保持した位相情報を適用すべく切り替える位相情報切替手段と
を備えたことを特徴とする系統連系用電力変換装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、
前記位相情報保持手段は、前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を少なくとも1サイクル分保持し、前記電圧低下異常が生じた場合に、前記保持した位相情報が前記出力電流値設定手段に対して順次出力されるように構成されたことを特徴とする系統連系用電力変換装置の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、
前記位相情報保持手段は、前記電圧低下異常の判定時までの正常時の位相情報を所定個保持し、前記電圧低下異常が生じた場合に、前記保持した所定個の位相情報に基づいてその時の位相情報を算出しながら前記出力電流値設定手段に対して順次出力されるように構成されたことを特徴とする系統連系用電力変換装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、
前記系統電圧情報抽出手段は、前記系統電圧の振幅及び位相情報の抽出に際し、αβ変換器又は瞬時正相変換器によるαβ変換又は瞬時正相変換を用いたことを特徴とする系統連系用電力変換装置の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の系統連系用電力変換装置の制御装置において、
前記位相情報切替手段は、前記電圧低下異常が判定された後に正常状態に復帰する際、前記出力電流値設定手段に出力する前記位相情報をその復帰時から遅延手段にて所定時間遅延させて保持態様側から抽出態様側に切り替えることを特徴とする系統連系用電力変換装置の制御装置。
【請求項6】
発電装置にて発電された発電電力を電力系統に出力可能な交流電力に変換動作する電力変換器と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置とを備えたことを特徴とする系統連系用電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85364(P2013−85364A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223190(P2011−223190)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】