組成物及び該組成物を用いたアンモニア製造方法
【課題】安定性に優れた、特定の金属原子と多孔性金属錯体とを配合した組成物、及び、該組成物を用いたアンモニア製造方法を提供する。
【解決手段】(1)及び(2)を配合した組成物、及び、該組成物を触媒として用いて、窒素と水素とを反応させてアンモニアを製造する方法。(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
【解決手段】(1)及び(2)を配合した組成物、及び、該組成物を触媒として用いて、窒素と水素とを反応させてアンモニアを製造する方法。(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属と多孔性金属錯体からなる組成物及び該組成物を用いたアンモニア製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しい多孔性材料として多孔性金属錯体が注目されている。多孔性金属錯体は、有機金属錯体骨格が集積することによって細孔構造が形成された構造を有している。多孔性金属錯体によれば、ゼオライトや活性炭などの多孔性材料と比較して、ミクロ孔をより精密に設計、制御することができる。
一方、遷移金属は触媒として工業的に幅広く利用されている。例えば近年では、ルテニウムがアンモニア合成触媒として有効に機能することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
上記遷移金属を多孔性金属錯体に担持させた例は数少ないが、例えば非特許文献2ではルテニウムをMOF‐5([Zn4O(bdc)3];bdc=1,4−ベンゼンジカルボキシレート)に担持させた触媒(以下、Ru/MOF‐5と呼称する場合がある。)は、水素吸着性を有すること、CO吸着性を有すること、酸素存在下でベンジルアルコールをベンズアルデヒドに酸化できること、水素存在下でベンゼンをシクロヘキサンに還元できること等が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】秋鹿研一、「触媒」、2003年、第45巻、第1号、p17−19
【非特許文献2】Schroderら、「Journal of American Chemical Societry」、2008年、130号、p.6119−6130
【非特許文献3】Lowら、「Journal of American Chemical Societry」、2009年、131号、p.15834−15842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記非特許文献2で用いられたMOF−5について、非特許文献3には1モル%水蒸気、40℃で分解してしまうことが記載されている。このようにMOF−5は加水分解を受けやすく、耐熱性も低いため、触媒としての応用範囲が限られてしまうことが課題であった。特に、アンモニアは水よりも求核性が高く、MOF−5がさらに分解されやすいことから、アンモニア合成やアンモニア分解への適用は困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、安定性に優れた、特定の金属原子と多孔性金属錯体とを配合した組成物及び該組成物を用いたアンモニア製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では以下の[1]〜[3]の組成物及び[4]のアンモニア製造方法を提供する。
[1]下記(1)及び(2)を配合した組成物。
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
[2]前記(1)が、ルテニウム、ルテニウムを含む合金、ルテニウムを含む化合物、ロジウム、ロジウムを含む合金、ロジウムを含む化合物、オスミウム、オスミウムを含む合金、オスミウムを含む化合物、イリジウム、イリジウムを含む合金及びイリジウムを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の組成物。
[3]前記(2)が、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する多孔性金属錯体である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の組成物を触媒として用いて、窒素と水素を反応させてアンモニアを製造する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安定性に優れた、特定の金属原子と多孔性金属錯体とを配合した組成物を提供できる。該組成物は化学的安定性及び熱的安定性に優れるため、アンモニア等の塩基性ガスの製造、吸着、分離等も可能となり、適用範囲が拡大する。
また、本発明の組成物を用いることにより、アンモニアを良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で用いたアンモニアガス耐性評価装置を示す模式図である。
【図2】Cu2(bpdc)2(bpy)のXRDスペクトルである。
【図3】Zn2(bpdc)2(bpy)のXRDスペクトルである。
【図4】HKUST−1のXRDスペクトルである。
【図5】MOF−5のXRDスペクトルである。
【図6】MG(HCOO)2のXRDスペクトルである。
【図7】MIL−68(In)のXRDスペクトルである。
【図8】MIL−125のXRDスペクトルである。
【図9】UiO−66のXRDスペクトルである。
【図10】MIL−101(Cr)のXRDスペクトルである。
【図11】MOF−74(Mg)のXRDスペクトルである。
【図12】MOF−76(Y)のXRDスペクトルである。
【図13】Al−BTBのXRDスペクトルである。
【図14】ZIF−8のXRDスペクトルである。
【図15】実施例で用いたアンモニア合成反応装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[組成物]
本発明の第一の態様である組成物は、
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物、並びに、
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体、を配合したものである。
本発明の組成物は、成分(2)として配合する多孔性金属錯体が規則正しい細孔構造を有することにより、該細孔内に気体を高い濃度で取り込むことができる。そのため、例えば該多孔性金属錯体上で進行する触媒反応の反応速度を高めることができるため、組成物全体を良好な触媒として利用可能である。触媒としては、水素を貯蔵させての還元反応などへの応用が考えられる。
【0011】
また、本発明の組成物は、気体貯蔵材料としても利用可能である。
多孔性金属錯体は規則正しい細孔構造を有する。そこに成分(1)由来の金属成分が存在することにより、多孔性金属錯体単独ではなし得なかった気体吸着能が発現し得る。例えば成分(1)の金属成分で気体中の不純物を吸着するとともに気体を貯蔵し、純度の高まった気体を放出する等の利用が考えられる。
本発明の組成物により貯蔵しうる気体としては、水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。対象となる気体に応じて成分(1)及び(2)を適宜選択することにより、気体貯蔵材料として良好に利用可能である。
【0012】
以下、本発明の組成物の各成分を順に説明する。以下、配合成分をそれぞれ、「成分(1)」、「成分(2)」という。
【0013】
(1)金属、該金属を含む合金、又は該金属を含む化合物
本発明の組成物において、成分(1)はアンモニア製造における触媒として機能しうる。
成分(1)の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる金属元素群から選ばれる少なくとも1種であって、2種以上を組み合わせて用いてもよい。用いる金属は、適用する触媒に応じて適宜選択することができる。
なかでも、イオン化傾向が小さくイオン化して流亡しにくいことから、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
水素が付加しやすく、水素貯蔵材料としての応用が期待できることから、ルテニウム、ロジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
アンモニア合成やアンモニア分解反応のような高温反応への応用及び開環メタセシス反応への応用が拓けることから、ルテニウムがさらに好ましい。
【0014】
成分(1)の金属を含む合金としては、上述した金属元素群から選ばれる2種が共晶又は固溶体となったものであってもよく、上述した金属元素群から選ばれる1種又は2種以上と、上記以外の金属元素とが共晶又は固溶体となったものであってもよい。
好ましい金属元素としては、上記金属の説明中で好ましい金属として挙げたものと同様である。
上記以外の金属元素としては、上記金属元素と合金を形成しうるものであれば特に限定されるものではないが、アンモニア合成反応性を有し、触媒能を向上できることから、鉄、モリブデン及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アンモニア合成に工業的に用いられている点から鉄がより好ましい。
【0015】
成分(1)の金属を含む化合物としては、上述した金属元素と、配位子とからなる化合物が挙げられる。
好ましい金属元素としては、上記金属の説明中で好ましい金属として挙げたものと同様である。
配位子としては特に限定されるものではなく、中性配位子であってもイオン性配位子であってもよい。
金属を含む化合物として具体的には、塩化ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトナート、ルテニウムシアン酸カリウム、ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸カリウム、酸化ルテニウム、ドデカカルボニル三ルテニウム、硝酸ルテニウム等が挙げられる。
【0016】
成分(1)としては、上記金属、上記金属を含む合金、上記金属を含む化合物のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(1)が上記金属を含む合金又は上記金属を含む化合物である場合、該合金又は該化合物中の上記金属の含有割合は1質量%〜99質量%であることが好ましく、反応性を確保しやすいことから50質量%〜95質量%であることがより好ましい。
【0017】
組成物中の成分(1)の配合割合は、良好な触媒能を奏しうる割合であれば特に限定されるものではないが、1〜99質量%であることが好ましく、3〜97質量%であることがより好ましく、5〜95質量%であることがさらに好ましい。
また、組成物中の成分(1)の金属成分の配合割合は、金属換算で0.001〜0.15質量%であることが好ましく、0.010〜0.10質量%であることがより好ましい。0.001質量%以上とすることにより良好な触媒活性を得ることができる。また、0.15質量%以下とすることにより触媒活性とコストとのバランスを取ることができる。さらに、0.15質量%以下とすることにより、過剰の成分(1)が後述する成分(2)の細孔を塞ぐことに起因する成分(2)の機能阻害が発生することがない。
【0018】
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体
本発明の組成物において成分(2)は、多孔性の構造を有するため、該成分(2)中にガスを取り込むことができる。そのため、成分(2)は気体貯蔵材料として機能するのみならず、共に配合された成分(1)による触媒効率を向上させうる。
【0019】
本発明において多孔性金属錯体が「1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない」とは、該多孔性金属錯体を1atmのアンモニア存在下において、200℃に加熱した状態とした場合であっても、多孔性金属錯体が構造崩壊を起こさず、大気条件下且つ常温(18〜25℃)の場合と同等の構造を保持できることをいう。
同等の構造を保持できるか否かは、例えば、1atmのアンモニア存在下において200℃に加熱した後の多孔性金属錯体を粉末とし、XRD(X線回析)により構造(結晶性、相構造等)を解析した結果と、大気条件下且つ常温の状態の多孔性金属錯体について同様に構造を解析した結果とを比較することにより確認することができる。
成分(2)が上記のような熱的安定性及び化学的安定性を有することにより、本発明の組成物は、高温条件下で、且つ塩基性化合物による求核反応が存在する中でも用いることができ、例えばアンモニア製造等に利用することができる。
多孔性金属錯体としては特に限定されるものではなく、担体等の機能性材料として通常用いられるものを適宜選択することができる。成分(2)として多孔性金属錯体を用いることにより、多孔性金属錯体中に取り込まれたガスが、成分(1)による触媒効率を向上させうる。
【0020】
多孔性金属錯体としては例えば、文献1(Lowら、「Journal of American Chemical Societry」、2009年、131号、p.15834−15842)や、文献2(Schroderら、「Journal of American Chemical Societry」、2008年、130号、p.6119−6130)に記載のもののうち、1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさないものを選択して用いることができる。
【0021】
本発明の多孔性金属錯体としては、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を中心原子として有するものが好ましい。これらの金属元素を中心原子として有する多孔性金属錯体であれば、配位子が配位可能な部位を2つ以上有することにより、配位結合及びイオン結合によって良好な多孔質構造体を形成することができる。
また、多孔性金属錯体を構成する配位子としては、多孔性金属錯体の熱安定性、水蒸気安定性が確保できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼントリカルボキシラートアニオン、ベンゼンジカルボキシラートアニオン、ジオキシドベンゼンジカルボキシラートアニオン、メチルイミダゾラートアニオン、ホルマートアニオン、イミダゾラート−2−カルボキシアルデヒドアニオン等が挙げられる。
【0022】
なかでも成分(2)としては、ZIF−8、Al−PhBTB、Al−BTB、MIL−53(Al)、DUT−5、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、MOF−76(Tb)、MOF−76(Co)、MOF−74(Co)、MOF−74(Zn)、MOF−74(Mg)、MIL−101(Cr)、MIL−103(Tb)、UiO−67、UiO−66、UiO−66−1,4−Naph、MIL−125、MIL−68(Ga)及びAl−bpdcが好ましく;
300℃においても構造崩壊を起こさないことから、ZIF−8、Al−PhBTB、Al−BTB、MIL−53(Al)、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、MOF−76(Tb)、MOF−76(Co)、MOF−74(Co)、MOF−74(Zn)、MOF−74(Mg)、MIL−101(Cr)及びAl−bpdcがより好ましく;
350℃においても構造崩壊を起こさないことから、ZIF−8、Al−BTB、MIL−53(Al)、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、又はMOF−74(Mg)及びMIL−101(Cr)がさらに好ましい。
【0023】
なお上記略号はそれぞれ以下の意味を有する。
ZIF−8=Zn(min)2。
min=metyl−imidazolate。
Al−PhBTB=Al(PhBTB)。
PhBTB=benzene−1,3,5−tris(biphenylcarboxylate)。
Al−BTB=Al(btb)。
btb=benzene−1,3,5−tris(phenylcarboxylate)。
MIL−53(Al)=Al(OH)(bdc)。
bdc=benzene−1,4−dicarboxylate。
DUT−5=Al(OH)(bpdc)。
bpdc=biphenyl−4,4´−dicarboxylate。
MOF−76(M)=M(btc);M=Yb,Y,Tb又はCo。
btc=benzene−1,3,5−triscarboxylate。
MOF−74(M)=M2(dobdc);M=Co,Zn又はMg。
dobdc=2,5−dioxido−benzene−1,4−dicarboxylate。
MIL−101(Cr)=Cr3O(OH)(bdc)3。
MIL−103(Tb)=Tb(btb)。
UiO−67=Zr6O4(OH)4(bpdc)6。
UiO−66=Zr6O4(OH)4(bdc)6。
UiO−66−1,4−Naph=Zr6O4(OH)4(ndc)6。
ndc=naphthalene−1,4−dicarboxylate。
MIL−125=Ti8O8(OH)4(bdc)6。
MIL−68(Ga)=Ga(OH)(bdc)。
Al−bpdc=Al(OH)(bpdc)。
bpy=4,4’−bipyridine。
【0024】
組成物中の成分(2)の配合割合は、成分(1)の金属換算量に対して、0.10〜10000質量%であることが好ましく、1.0〜1000質量%がより好ましく、10〜500質量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、成分(1)及び(2)以外のその他の成分が配合されたものであってもよい。その他の成分としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
本発明において、成分(1)及び(2)を配合して組成物を調製する方法は特に限定されるものではないが、成分(1)と(2)とを何らかの方法により混合し、少なくとも成分(1)の部分構造と、成分(2)の部分構造とを有する複合体を形成することが好ましい。複合体において、触媒能を有する成分(1)の部分構造は、成分(2)の構造の表面に固着していてもよく、多孔性構造内に包含されていてもよい。
【0027】
調製する方法として例えば、以下の(A)〜(C)の方法が挙げられる。
(A)成分(1)と成分(2)とを物理混合した後、加熱する方法。
(B)成分(1)の前駆体の溶液を還元してゼロ価の成分(1)とした後、成分(2)を添加し、成分(2)中に前記ゼロ価の成分(1)を含浸させる方法。
(C)予め担体に担持させた成分(1)と成分(2)とを混合する方法。
以下、方法(A)〜(C)をそれぞれ説明する。
【0028】
(方法(A))
方法(A)では、成分(1)と成分(2)とを物理混合した後、加熱を行うことにより、組成物を調製する。
方法(A)において成分(1)としては、上述した特定の金属又は特定の金属の合金のみからなるものを用いてもよく、特定の金属を含む化合物を用いてもよい。方法(A)では、物理混合の後に加熱を行うことで、金属を含む化合物中の陰イオン又は配位子を除去し、触媒能を有するゼロ価金属とすることができる。該化合物としては、金属の塩化物、カルボニル錯体等が挙げられる。なかでも、鉄カルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体、ルテニウムカルボニル錯体、ロジウムカルボニル錯体が好ましく、常温常圧でも安定であることからRu3(CO)12がより好ましい。
成分(2)としては、公知の方法により合成してもよく、市販品を用いてもよい。例えばZIF−8の場合、J.Cravillonら、Chem.Mater.2009,21,1410−1412.に記載の方法にて合成できる。またBasoliteTMZ1200(Aldrich社より販売)のような市販品を用いることもできる。
【0029】
成分(1)と成分(2)とを物理混合する方法は特に限定されるものではなく、乳鉢による混合、ボールミルによる混合等、通常の方法により行うことができる。
加熱処理は、真空条件下又はHe等の不活性ガスの存在下で加熱処理することにより行うことができる。加熱は80〜500℃、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜500℃、さらに好ましくは200〜300℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
【0030】
(方法(B))
方法(B)では、成分(1)の前駆体を溶媒中で還元してゼロ価の成分(1)とした後、成分(2)を添加し、成分(2)中に前記ゼロ価の成分(1)を含浸させ、その後、必要に応じて加熱、留去等することにより、組成物を調製する。
【0031】
方法(B)において成分(1)の前駆体とは、還元することによりゼロ価の成分(1)、即ちゼロ価金属とすることが可能なものであって、具体的には、上述した特定の金属元素(ゼロ価)に、配位子や陰イオンが配位した金属塩が挙げられる。
より具体的には、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化オスミウム、塩化イリジウム等の塩化物;ルテニウムアセチルアセトナート、ロジウムアセチルアセトナート、オスミウムアセチルアセトナート、イリジウムアセチルアセトナート等のアセチルアセトナート錯体;ルテニウムシアン酸カリウム、ロジウムシアン酸カリウム、オスミウムシアン酸カリウム、イリジウムシアン酸カリウム等のシアン酸カリウム錯体;ルテニウム酸カリウム、ロジウム酸カリウム、オスミウム酸カリウム、イリジウム酸カリウム等のカリウム塩が例として挙げられる。これらの前駆体を、溶媒中で還元することにより、ゼロ価の成分(1)が得られる。
【0032】
溶媒としては前記前駆体を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、溶解性を確保しやすいことから水が好ましい。溶媒は、単一溶媒であっても混合溶媒であってもよい。また、溶媒は還元剤としての機能を有していてもよい。
【0033】
還元剤としては、例えば、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、シュウ酸、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール、及び、水素ガスのほか、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、ベンジルアルコール等のアルコール系還元性溶媒が挙げられ、
好ましくは溶媒としての性質を兼ね備えていることから、アルコール系還元性溶媒であり、より好ましくは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールであり、特に好ましくは1,2−エタンジオールである。
還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
還元剤の添加量は前駆体を十分に還元できる量以上であればよく、アルコール系還元性溶媒以外の場合、前駆体1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、1モル以上がより好ましい。
【0035】
方法(B)において成分(2)としては、方法(A)と同様のものを用いることができる。
成分(2)の添加後、必要に応じて、混合液の攪拌、加熱、溶媒又は水の留去、得られた生成物の乾燥等を行うことができる。加熱温度は80℃〜300℃が好ましく、100℃〜250℃がより好ましく、150℃〜230℃がさらに好ましい。
【0036】
また、上記還元反応中又は成分(2)の添加中に、前駆体の陰イオン由来の酸が生じることがあるため、中和できるよう塩基を添加しておくことが好ましい。特に、ルテニウムを成分(1)として用いる場合、反応液を塩基性条件としておくことにより、ルテニウムの凝集を低減できることからも好ましい。
中和に用いる塩基は特に制限されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。
【0037】
(方法(C))
方法(C)では、予め担体に担持させた成分(1)と成分(2)とを混合することにより、組成物を調製する。
【0038】
担体としては特に限定されるものではないが、金属酸化物が好ましく、Al2O3、MgO、TiO2、CeO2、La2O3、Pr6O11といった金属酸化物が好ましく、なかでもCeO2、La2O3、Pr6O11等のランタノイド酸化物がより好ましい。
【0039】
成分(1)の担体への担持は、例えば、溶媒又は水中に成分(1)を分散させた後、担体を添加することにより担持させる方法(含浸法)により行うことができる。
溶媒としては特に限定されるものではないが、アセトン、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
担体の添加量は特に限定されるものではないが、成分(1)と担体との合計に対する成分(1)の割合が0.1〜15質量%となるように添加することが好ましい。
担体の添加後、必要に応じて、混合液の攪拌、溶媒又は水の留去、得られた生成物の乾燥等を行うことができる。
【0040】
また、成分(1)がゼロ価でない化合物である場合、該化合物に含まれる陰イオン又は配位子は、担持後に除去されることが好ましい。陰イオン又は配位子の除去は例えば、真空条件下又はHe等の不活性ガスの存在下で、加熱処理することにより行うことができる。加熱は50〜600℃、好ましくは150〜550℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
【0041】
上記の様にして得られる担持された成分(1)と、上記同様の成分(2)とを混合する方法は特に限定されるものではない。例えば、物理混合であってもよく、溶媒中の担持された成分(1)に、成分(2)を添加することによる含浸であってもよい。物理混合、含浸はそれぞれ方法(A)、方法(B)と同様の方法で行うことができる。
【0042】
[アンモニア製造方法]
本発明の第二の態様であるアンモニア製造方法は、上記第一の態様の組成物を触媒として用いるものである。
【0043】
アンモニアの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、第一の態様の組成物が充填された反応容器内に、水素ガスと窒素ガスとからなる原料ガスを供給することによりアンモニアを製造することができる。
第一の態様の組成物は、予め粉砕、成型、整粒等を行った後にアンモニアの製造に用いてもよい。
【0044】
反応温度は、200℃〜600℃が好ましく、250℃〜500℃がより好ましく、300℃〜450℃がさらに好ましい。
【0045】
本発明のアンモニア製造方法においては、第一の態様の組成物を触媒として用いることにより、反応容器内が200℃以上となり、且つ、アンモニアによる求核反応がある状況においても触媒の構造が崩壊することがなく、好適にアンモニアを製造することができる。また、本発明によれば、アンモニアを高収率で製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
本実施例における成分(2)のアンモニアガス耐性評価は、図1に示す装置を用いて行った。
具体的には、成分(2)の多孔性金属錯体をミクロチューブに入れ、ミクロチューブをデシケーター内に置いた。デシケーター内を真空引きした後に、アンモニアガスを2時間フローした。窒素ガスでパージした後にミクロチューブを取り出し、アンモニア曝露後の多孔性金属錯体のXRD測定を行い、得られたXRDチャートをアンモニア曝露前のXRDチャートと比較することで、アンモニアガスに対する耐性を評価した。
デシケーターの代わりにシュレンク管を用い、マントルヒーターで加熱することで高温(200℃、300℃、350℃)での評価実験も同様の手順で行った。
【0048】
<参考例1>
各種の多孔性金属における、アンモニアガス耐性及び高温耐性を評価した結果を、表1に示す。なお、表1中、化学式の略号は前記同様である。表1中の「−」は検討を行っていないことを意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
また、Cu2(bpdc)2(bpy)のXRDチャートを図2に、Zn2(bpdc)2(bpy)のXRDチャートを図3に、HKUST−1のXRDチャートを図4に、MOF−5のXRDチャートを図5に、MgFo2のXRDチャートを図6に、MIL−68(In)のXRDチャートを図7に、MIL−125のXRDチャートを図8に、UiO−66のXRDチャートを図9に、MIL−101(Cr)のXRDチャートを図10に、MOF−74(Mg)のXRDチャートを図11に、MOF−76(Y)のXRDチャートを図12に、Al−BTBのXRDチャートを図13に、ZIF−8のXRDチャートを図14にそれぞれ示す。図2〜14中、(a)はシミュレーションにより予測されたXRDチャートであり、(b)はアンモニア曝露前(常温)におけるXRDチャート、(c)〜(f)はそれぞれ、アンモニア曝露後の、常温(23℃)、200℃、300℃、350℃のXRDチャートである。
【0051】
表1及び図2〜14の結果から、Cu2(bpdc)2(bpy)、Zn2(bpdc)2(bpy)、HKUST−1、MOF−5、MgFo2、MIL−68(In)では評価実験前後でXRD強度の著しい減少と、ピークパターンの変化が認められた。一方、それ以外の多孔性金属錯体ではXRDチャートに変化がなく、200℃で、アンモニアガスによって分解されないことが確認できた。
【0052】
<調製例1>
5質量%Ru/Pr6O11(5質量%のRuがPr6O11に担持された組成物を表す。以下、同じ)を以下のようにして調製した。
Ru3(CO)12(和光純薬工業(株)製)0.55mg(2.6mmol)をナスフラスコにいれ200mlのテトラヒドロフランに溶解させた後に、担体Pr6O11 5.0g(11.5mmol)を加え12時間常温でマグネットスターラーで攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを使用し溶媒を加熱除去した。このとき温浴の温度は70℃まで徐々に上げた。得られた固形物はナスフラスコから焼成皿に移して70℃の乾燥機で1日乾燥させた。その後パイレックス(登録商標)ガラス(コーニング社製)のボートにいれ、横型管状炉でHe流通下で350℃、5時間加熱処理することで,ルテニウム化合物の配位子を除去し、生成物4.7gを得た。
【0053】
<実施例1>
Al−BTBと5質量%Ru/Pr6O11とを質量比1:9で乳鉢にて物理混合を行い、Al−BTB+Ru/Pr6O11で表される組成物1を得た。その後、得られた組成物1(触媒)を乳鉢で充分に粉砕、混合し、ディスク成型した後、再度粉砕して250〜500μmに整粒し、反応に用いた。
以下の反応は、図15に示す常圧固定床流通式反応装置を用いて行った。内径7mmの石英製反応管に組成物1(触媒)を0.20g充填し、N2+3H2(10mL/分,0.1MPa)を流通し、反応温度350℃にて測定を行った。なお、以上の条件により空間速度(GHSV)は18000mL/時間・gであった。ガス分析にはイオンクロマトグラフィーを用いた。体積が既知のサンプリングループを介しサンプリングを行い、反応管入り口と反応管出口でH2とN2の物質量を測定し、アンモニアの物質量は計算により求めた。
【0054】
<イオンクロマトグラフィー分析条件>
カラム:Shodex IC YK−421
カラムサイズ:内径 4.6mm,長さ 125mm
充填剤:シリカゲルにカルボキシル基を持つポリマーを被覆した弱酸性の陽イオン交換体
溶離液:4mmol/lリン酸溶液
【0055】
アンモニア収率の計算には窒素原子を内部標準として用いた。計算式は次式の通りである。
【数1】
【0056】
<比較例1>
触媒として5質量%Ru/Pr6O11を用い、実施例1と同様の手順でアンモニア収率を測定した。結果を以下にまとめて示す。
【0057】
【表2】
【0058】
上記結果から、本発明の組成物1を触媒として用いることにより、アンモニア収率が向上することが確認できた。
【0059】
<実施例2>
乳鉢中で、Ru3(CO)12 10.8mgとZIF−8(BasoliteTM 1200)103.3mgを30分間、物理混合した。その後、混合物84.4mgを管状炉にて200mL/分の窒素気流下、3K/分の速度で200℃まで昇温し、2時間保持した。続いて室温まで放冷し、Ru及びZIF‐8の組成物2を81.2mgを得た。
得られたRu及びZIF‐8の組成物2をX’Pert Pro MPD(XRDスペクトリス株式会社製)により測定したところ、ZIF−8骨格が維持できていることが確認できた。
【0060】
<実施例3>
RuCl3 23.4mg(113μmol)をエチレングリコール(和光純薬製)2.0mlに溶解せしめた後、ZIF−8を211mg分散させた。続いて8M水酸化ナトリウム水溶液0.050mL(400μmol)を添加し、200℃で3時間加熱した。得られた反応混合物をろ過して、目的とするRu及びZIF−8の組成物3を184mg得た。
【0061】
<実施例4>
調製するZIF−8の原料である硝酸亜鉛六水和物0.041g(0.138mmol)、2−メチルイミダゾール0.0225g(0.274mmol)をそれぞれ溶媒であるジメチルホルムアミド10mlに完全に溶解させて混合した。さらに調製例1で得られた5質量%Ru/Pr6O11 0.5gを添加して原料溶液とした。原料の配合組成は、硝酸亜鉛六水和物:2−メチルイミダゾールを1:2とし、Ru/Pr6O11触媒(Ru含有率は5質量%)に対して、調製されるZIF−8が10質量%になるように配合した。原料溶液の調製は室温で行った。
上記の原料溶液を25mlのオートクレーブに入れ、反応温度140℃で24時間加熱した。得られた沈殿物をろ過回収し、アルコールで洗浄後に室温にて真空乾燥を行って5質量%Ru/Pr6O11とZIF−8の組成物4を得た。得られた組成物4は、XRDによる結晶相の確認、FT‐IR測定による配位結合形成の確認、SEM観察による形状の確認、TEM‐EDXによる元素分布状態の確認を行った。
XRD測定には、ブルカーエイエックスエス社製の新型完全自動多目的X線回折装置D8 ADVANCEを用い、SEM像観察には、日本電子社製の電界放出形走査電子顕微鏡JSM‐7000Fを用いた。また、赤外吸収スペクトルは、パーキンエルマー社製のフーリエ変換赤外分光分析装置Spectrum100を用いて、ATR法にて測定した。TEM‐EDXは日本電子社製の電界放出形電子顕微鏡JEM‐2200FSを用いて測定した。
X線回折測定で上記5質量%Ru/Pr6O11の存在を確認するとともに、FT‐IRによってZIF−8の存在を確認した。SEM像観察から、反応前後での粒子の表面状態に大きな差が見られていないことを確認した。また、TEM‐EDXによる解析により、5質量%Ru/Pr6O11とZIF−8の構成元素が偏析することなく、均一に分布していることを確認した。
【0062】
<実施例5>
調製するAl−BTBの原料である硝酸アルミニウム九水和物0.05g(0.108mmol)、1,3,5‐トリス(4‐カルボキシフェニル)ベンゼン(H3BTB)0.0489g(0.108mmol)をそれぞれ溶媒であるジエチルホルムアミド5mlに完全に溶解させて混合した。さらに調製例1で得られた5質量%Ru/Pr6O11 0.5gを添加して原料溶液とした。原料の配合組成は、硝酸アルミニウム九水和物:H3BTBが1:1とし、5質量%Ru/Pr6O11に対して、調製されるAl−BTBが10質量%になるように配合した。原料混合時の調製は室温で行った。
上記の原料溶液を25mlのオートクレーブに入れ、反応温度150℃で72時間加熱した。得られた沈殿物をろ過回収し、アルコールで洗浄後に室温にて真空乾燥を行って5質量%Ru/Pr6O11とAl−BTBの組成物5を得た。
X線回折測定で上記5質量%Ru/Pr6O11の存在を確認するとともに、FT‐IRによってAl−BTBの存在を確認した。SEM像観察から、反応前後での粒子の大きな差が見られていないことを確認した。また、TEM‐EDXによる解析により、5質量%Ru/Pr6O11とAl−BTBの構成元素が偏析することなく、均一に分布していることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の組成物は、適用温度範囲が広く、強塩基性に耐えられるため、アンモニアガス等の塩基性ガスの製造用の触媒、吸着剤又は分離材として、好適に利用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は金属と多孔性金属錯体からなる組成物及び該組成物を用いたアンモニア製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しい多孔性材料として多孔性金属錯体が注目されている。多孔性金属錯体は、有機金属錯体骨格が集積することによって細孔構造が形成された構造を有している。多孔性金属錯体によれば、ゼオライトや活性炭などの多孔性材料と比較して、ミクロ孔をより精密に設計、制御することができる。
一方、遷移金属は触媒として工業的に幅広く利用されている。例えば近年では、ルテニウムがアンモニア合成触媒として有効に機能することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
上記遷移金属を多孔性金属錯体に担持させた例は数少ないが、例えば非特許文献2ではルテニウムをMOF‐5([Zn4O(bdc)3];bdc=1,4−ベンゼンジカルボキシレート)に担持させた触媒(以下、Ru/MOF‐5と呼称する場合がある。)は、水素吸着性を有すること、CO吸着性を有すること、酸素存在下でベンジルアルコールをベンズアルデヒドに酸化できること、水素存在下でベンゼンをシクロヘキサンに還元できること等が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】秋鹿研一、「触媒」、2003年、第45巻、第1号、p17−19
【非特許文献2】Schroderら、「Journal of American Chemical Societry」、2008年、130号、p.6119−6130
【非特許文献3】Lowら、「Journal of American Chemical Societry」、2009年、131号、p.15834−15842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記非特許文献2で用いられたMOF−5について、非特許文献3には1モル%水蒸気、40℃で分解してしまうことが記載されている。このようにMOF−5は加水分解を受けやすく、耐熱性も低いため、触媒としての応用範囲が限られてしまうことが課題であった。特に、アンモニアは水よりも求核性が高く、MOF−5がさらに分解されやすいことから、アンモニア合成やアンモニア分解への適用は困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、安定性に優れた、特定の金属原子と多孔性金属錯体とを配合した組成物及び該組成物を用いたアンモニア製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では以下の[1]〜[3]の組成物及び[4]のアンモニア製造方法を提供する。
[1]下記(1)及び(2)を配合した組成物。
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
[2]前記(1)が、ルテニウム、ルテニウムを含む合金、ルテニウムを含む化合物、ロジウム、ロジウムを含む合金、ロジウムを含む化合物、オスミウム、オスミウムを含む合金、オスミウムを含む化合物、イリジウム、イリジウムを含む合金及びイリジウムを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の組成物。
[3]前記(2)が、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する多孔性金属錯体である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の組成物を触媒として用いて、窒素と水素を反応させてアンモニアを製造する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安定性に優れた、特定の金属原子と多孔性金属錯体とを配合した組成物を提供できる。該組成物は化学的安定性及び熱的安定性に優れるため、アンモニア等の塩基性ガスの製造、吸着、分離等も可能となり、適用範囲が拡大する。
また、本発明の組成物を用いることにより、アンモニアを良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で用いたアンモニアガス耐性評価装置を示す模式図である。
【図2】Cu2(bpdc)2(bpy)のXRDスペクトルである。
【図3】Zn2(bpdc)2(bpy)のXRDスペクトルである。
【図4】HKUST−1のXRDスペクトルである。
【図5】MOF−5のXRDスペクトルである。
【図6】MG(HCOO)2のXRDスペクトルである。
【図7】MIL−68(In)のXRDスペクトルである。
【図8】MIL−125のXRDスペクトルである。
【図9】UiO−66のXRDスペクトルである。
【図10】MIL−101(Cr)のXRDスペクトルである。
【図11】MOF−74(Mg)のXRDスペクトルである。
【図12】MOF−76(Y)のXRDスペクトルである。
【図13】Al−BTBのXRDスペクトルである。
【図14】ZIF−8のXRDスペクトルである。
【図15】実施例で用いたアンモニア合成反応装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[組成物]
本発明の第一の態様である組成物は、
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物、並びに、
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体、を配合したものである。
本発明の組成物は、成分(2)として配合する多孔性金属錯体が規則正しい細孔構造を有することにより、該細孔内に気体を高い濃度で取り込むことができる。そのため、例えば該多孔性金属錯体上で進行する触媒反応の反応速度を高めることができるため、組成物全体を良好な触媒として利用可能である。触媒としては、水素を貯蔵させての還元反応などへの応用が考えられる。
【0011】
また、本発明の組成物は、気体貯蔵材料としても利用可能である。
多孔性金属錯体は規則正しい細孔構造を有する。そこに成分(1)由来の金属成分が存在することにより、多孔性金属錯体単独ではなし得なかった気体吸着能が発現し得る。例えば成分(1)の金属成分で気体中の不純物を吸着するとともに気体を貯蔵し、純度の高まった気体を放出する等の利用が考えられる。
本発明の組成物により貯蔵しうる気体としては、水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。対象となる気体に応じて成分(1)及び(2)を適宜選択することにより、気体貯蔵材料として良好に利用可能である。
【0012】
以下、本発明の組成物の各成分を順に説明する。以下、配合成分をそれぞれ、「成分(1)」、「成分(2)」という。
【0013】
(1)金属、該金属を含む合金、又は該金属を含む化合物
本発明の組成物において、成分(1)はアンモニア製造における触媒として機能しうる。
成分(1)の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる金属元素群から選ばれる少なくとも1種であって、2種以上を組み合わせて用いてもよい。用いる金属は、適用する触媒に応じて適宜選択することができる。
なかでも、イオン化傾向が小さくイオン化して流亡しにくいことから、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
水素が付加しやすく、水素貯蔵材料としての応用が期待できることから、ルテニウム、ロジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
アンモニア合成やアンモニア分解反応のような高温反応への応用及び開環メタセシス反応への応用が拓けることから、ルテニウムがさらに好ましい。
【0014】
成分(1)の金属を含む合金としては、上述した金属元素群から選ばれる2種が共晶又は固溶体となったものであってもよく、上述した金属元素群から選ばれる1種又は2種以上と、上記以外の金属元素とが共晶又は固溶体となったものであってもよい。
好ましい金属元素としては、上記金属の説明中で好ましい金属として挙げたものと同様である。
上記以外の金属元素としては、上記金属元素と合金を形成しうるものであれば特に限定されるものではないが、アンモニア合成反応性を有し、触媒能を向上できることから、鉄、モリブデン及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アンモニア合成に工業的に用いられている点から鉄がより好ましい。
【0015】
成分(1)の金属を含む化合物としては、上述した金属元素と、配位子とからなる化合物が挙げられる。
好ましい金属元素としては、上記金属の説明中で好ましい金属として挙げたものと同様である。
配位子としては特に限定されるものではなく、中性配位子であってもイオン性配位子であってもよい。
金属を含む化合物として具体的には、塩化ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトナート、ルテニウムシアン酸カリウム、ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸カリウム、酸化ルテニウム、ドデカカルボニル三ルテニウム、硝酸ルテニウム等が挙げられる。
【0016】
成分(1)としては、上記金属、上記金属を含む合金、上記金属を含む化合物のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(1)が上記金属を含む合金又は上記金属を含む化合物である場合、該合金又は該化合物中の上記金属の含有割合は1質量%〜99質量%であることが好ましく、反応性を確保しやすいことから50質量%〜95質量%であることがより好ましい。
【0017】
組成物中の成分(1)の配合割合は、良好な触媒能を奏しうる割合であれば特に限定されるものではないが、1〜99質量%であることが好ましく、3〜97質量%であることがより好ましく、5〜95質量%であることがさらに好ましい。
また、組成物中の成分(1)の金属成分の配合割合は、金属換算で0.001〜0.15質量%であることが好ましく、0.010〜0.10質量%であることがより好ましい。0.001質量%以上とすることにより良好な触媒活性を得ることができる。また、0.15質量%以下とすることにより触媒活性とコストとのバランスを取ることができる。さらに、0.15質量%以下とすることにより、過剰の成分(1)が後述する成分(2)の細孔を塞ぐことに起因する成分(2)の機能阻害が発生することがない。
【0018】
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体
本発明の組成物において成分(2)は、多孔性の構造を有するため、該成分(2)中にガスを取り込むことができる。そのため、成分(2)は気体貯蔵材料として機能するのみならず、共に配合された成分(1)による触媒効率を向上させうる。
【0019】
本発明において多孔性金属錯体が「1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない」とは、該多孔性金属錯体を1atmのアンモニア存在下において、200℃に加熱した状態とした場合であっても、多孔性金属錯体が構造崩壊を起こさず、大気条件下且つ常温(18〜25℃)の場合と同等の構造を保持できることをいう。
同等の構造を保持できるか否かは、例えば、1atmのアンモニア存在下において200℃に加熱した後の多孔性金属錯体を粉末とし、XRD(X線回析)により構造(結晶性、相構造等)を解析した結果と、大気条件下且つ常温の状態の多孔性金属錯体について同様に構造を解析した結果とを比較することにより確認することができる。
成分(2)が上記のような熱的安定性及び化学的安定性を有することにより、本発明の組成物は、高温条件下で、且つ塩基性化合物による求核反応が存在する中でも用いることができ、例えばアンモニア製造等に利用することができる。
多孔性金属錯体としては特に限定されるものではなく、担体等の機能性材料として通常用いられるものを適宜選択することができる。成分(2)として多孔性金属錯体を用いることにより、多孔性金属錯体中に取り込まれたガスが、成分(1)による触媒効率を向上させうる。
【0020】
多孔性金属錯体としては例えば、文献1(Lowら、「Journal of American Chemical Societry」、2009年、131号、p.15834−15842)や、文献2(Schroderら、「Journal of American Chemical Societry」、2008年、130号、p.6119−6130)に記載のもののうち、1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさないものを選択して用いることができる。
【0021】
本発明の多孔性金属錯体としては、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を中心原子として有するものが好ましい。これらの金属元素を中心原子として有する多孔性金属錯体であれば、配位子が配位可能な部位を2つ以上有することにより、配位結合及びイオン結合によって良好な多孔質構造体を形成することができる。
また、多孔性金属錯体を構成する配位子としては、多孔性金属錯体の熱安定性、水蒸気安定性が確保できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼントリカルボキシラートアニオン、ベンゼンジカルボキシラートアニオン、ジオキシドベンゼンジカルボキシラートアニオン、メチルイミダゾラートアニオン、ホルマートアニオン、イミダゾラート−2−カルボキシアルデヒドアニオン等が挙げられる。
【0022】
なかでも成分(2)としては、ZIF−8、Al−PhBTB、Al−BTB、MIL−53(Al)、DUT−5、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、MOF−76(Tb)、MOF−76(Co)、MOF−74(Co)、MOF−74(Zn)、MOF−74(Mg)、MIL−101(Cr)、MIL−103(Tb)、UiO−67、UiO−66、UiO−66−1,4−Naph、MIL−125、MIL−68(Ga)及びAl−bpdcが好ましく;
300℃においても構造崩壊を起こさないことから、ZIF−8、Al−PhBTB、Al−BTB、MIL−53(Al)、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、MOF−76(Tb)、MOF−76(Co)、MOF−74(Co)、MOF−74(Zn)、MOF−74(Mg)、MIL−101(Cr)及びAl−bpdcがより好ましく;
350℃においても構造崩壊を起こさないことから、ZIF−8、Al−BTB、MIL−53(Al)、MOF−76(Yb)、MOF−76(Y)、又はMOF−74(Mg)及びMIL−101(Cr)がさらに好ましい。
【0023】
なお上記略号はそれぞれ以下の意味を有する。
ZIF−8=Zn(min)2。
min=metyl−imidazolate。
Al−PhBTB=Al(PhBTB)。
PhBTB=benzene−1,3,5−tris(biphenylcarboxylate)。
Al−BTB=Al(btb)。
btb=benzene−1,3,5−tris(phenylcarboxylate)。
MIL−53(Al)=Al(OH)(bdc)。
bdc=benzene−1,4−dicarboxylate。
DUT−5=Al(OH)(bpdc)。
bpdc=biphenyl−4,4´−dicarboxylate。
MOF−76(M)=M(btc);M=Yb,Y,Tb又はCo。
btc=benzene−1,3,5−triscarboxylate。
MOF−74(M)=M2(dobdc);M=Co,Zn又はMg。
dobdc=2,5−dioxido−benzene−1,4−dicarboxylate。
MIL−101(Cr)=Cr3O(OH)(bdc)3。
MIL−103(Tb)=Tb(btb)。
UiO−67=Zr6O4(OH)4(bpdc)6。
UiO−66=Zr6O4(OH)4(bdc)6。
UiO−66−1,4−Naph=Zr6O4(OH)4(ndc)6。
ndc=naphthalene−1,4−dicarboxylate。
MIL−125=Ti8O8(OH)4(bdc)6。
MIL−68(Ga)=Ga(OH)(bdc)。
Al−bpdc=Al(OH)(bpdc)。
bpy=4,4’−bipyridine。
【0024】
組成物中の成分(2)の配合割合は、成分(1)の金属換算量に対して、0.10〜10000質量%であることが好ましく、1.0〜1000質量%がより好ましく、10〜500質量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、成分(1)及び(2)以外のその他の成分が配合されたものであってもよい。その他の成分としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
本発明において、成分(1)及び(2)を配合して組成物を調製する方法は特に限定されるものではないが、成分(1)と(2)とを何らかの方法により混合し、少なくとも成分(1)の部分構造と、成分(2)の部分構造とを有する複合体を形成することが好ましい。複合体において、触媒能を有する成分(1)の部分構造は、成分(2)の構造の表面に固着していてもよく、多孔性構造内に包含されていてもよい。
【0027】
調製する方法として例えば、以下の(A)〜(C)の方法が挙げられる。
(A)成分(1)と成分(2)とを物理混合した後、加熱する方法。
(B)成分(1)の前駆体の溶液を還元してゼロ価の成分(1)とした後、成分(2)を添加し、成分(2)中に前記ゼロ価の成分(1)を含浸させる方法。
(C)予め担体に担持させた成分(1)と成分(2)とを混合する方法。
以下、方法(A)〜(C)をそれぞれ説明する。
【0028】
(方法(A))
方法(A)では、成分(1)と成分(2)とを物理混合した後、加熱を行うことにより、組成物を調製する。
方法(A)において成分(1)としては、上述した特定の金属又は特定の金属の合金のみからなるものを用いてもよく、特定の金属を含む化合物を用いてもよい。方法(A)では、物理混合の後に加熱を行うことで、金属を含む化合物中の陰イオン又は配位子を除去し、触媒能を有するゼロ価金属とすることができる。該化合物としては、金属の塩化物、カルボニル錯体等が挙げられる。なかでも、鉄カルボニル錯体、コバルトカルボニル錯体、ルテニウムカルボニル錯体、ロジウムカルボニル錯体が好ましく、常温常圧でも安定であることからRu3(CO)12がより好ましい。
成分(2)としては、公知の方法により合成してもよく、市販品を用いてもよい。例えばZIF−8の場合、J.Cravillonら、Chem.Mater.2009,21,1410−1412.に記載の方法にて合成できる。またBasoliteTMZ1200(Aldrich社より販売)のような市販品を用いることもできる。
【0029】
成分(1)と成分(2)とを物理混合する方法は特に限定されるものではなく、乳鉢による混合、ボールミルによる混合等、通常の方法により行うことができる。
加熱処理は、真空条件下又はHe等の不活性ガスの存在下で加熱処理することにより行うことができる。加熱は80〜500℃、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜500℃、さらに好ましくは200〜300℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
【0030】
(方法(B))
方法(B)では、成分(1)の前駆体を溶媒中で還元してゼロ価の成分(1)とした後、成分(2)を添加し、成分(2)中に前記ゼロ価の成分(1)を含浸させ、その後、必要に応じて加熱、留去等することにより、組成物を調製する。
【0031】
方法(B)において成分(1)の前駆体とは、還元することによりゼロ価の成分(1)、即ちゼロ価金属とすることが可能なものであって、具体的には、上述した特定の金属元素(ゼロ価)に、配位子や陰イオンが配位した金属塩が挙げられる。
より具体的には、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化オスミウム、塩化イリジウム等の塩化物;ルテニウムアセチルアセトナート、ロジウムアセチルアセトナート、オスミウムアセチルアセトナート、イリジウムアセチルアセトナート等のアセチルアセトナート錯体;ルテニウムシアン酸カリウム、ロジウムシアン酸カリウム、オスミウムシアン酸カリウム、イリジウムシアン酸カリウム等のシアン酸カリウム錯体;ルテニウム酸カリウム、ロジウム酸カリウム、オスミウム酸カリウム、イリジウム酸カリウム等のカリウム塩が例として挙げられる。これらの前駆体を、溶媒中で還元することにより、ゼロ価の成分(1)が得られる。
【0032】
溶媒としては前記前駆体を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、溶解性を確保しやすいことから水が好ましい。溶媒は、単一溶媒であっても混合溶媒であってもよい。また、溶媒は還元剤としての機能を有していてもよい。
【0033】
還元剤としては、例えば、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、シュウ酸、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール、及び、水素ガスのほか、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、ベンジルアルコール等のアルコール系還元性溶媒が挙げられ、
好ましくは溶媒としての性質を兼ね備えていることから、アルコール系還元性溶媒であり、より好ましくは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールであり、特に好ましくは1,2−エタンジオールである。
還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
還元剤の添加量は前駆体を十分に還元できる量以上であればよく、アルコール系還元性溶媒以外の場合、前駆体1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、1モル以上がより好ましい。
【0035】
方法(B)において成分(2)としては、方法(A)と同様のものを用いることができる。
成分(2)の添加後、必要に応じて、混合液の攪拌、加熱、溶媒又は水の留去、得られた生成物の乾燥等を行うことができる。加熱温度は80℃〜300℃が好ましく、100℃〜250℃がより好ましく、150℃〜230℃がさらに好ましい。
【0036】
また、上記還元反応中又は成分(2)の添加中に、前駆体の陰イオン由来の酸が生じることがあるため、中和できるよう塩基を添加しておくことが好ましい。特に、ルテニウムを成分(1)として用いる場合、反応液を塩基性条件としておくことにより、ルテニウムの凝集を低減できることからも好ましい。
中和に用いる塩基は特に制限されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。
【0037】
(方法(C))
方法(C)では、予め担体に担持させた成分(1)と成分(2)とを混合することにより、組成物を調製する。
【0038】
担体としては特に限定されるものではないが、金属酸化物が好ましく、Al2O3、MgO、TiO2、CeO2、La2O3、Pr6O11といった金属酸化物が好ましく、なかでもCeO2、La2O3、Pr6O11等のランタノイド酸化物がより好ましい。
【0039】
成分(1)の担体への担持は、例えば、溶媒又は水中に成分(1)を分散させた後、担体を添加することにより担持させる方法(含浸法)により行うことができる。
溶媒としては特に限定されるものではないが、アセトン、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
担体の添加量は特に限定されるものではないが、成分(1)と担体との合計に対する成分(1)の割合が0.1〜15質量%となるように添加することが好ましい。
担体の添加後、必要に応じて、混合液の攪拌、溶媒又は水の留去、得られた生成物の乾燥等を行うことができる。
【0040】
また、成分(1)がゼロ価でない化合物である場合、該化合物に含まれる陰イオン又は配位子は、担持後に除去されることが好ましい。陰イオン又は配位子の除去は例えば、真空条件下又はHe等の不活性ガスの存在下で、加熱処理することにより行うことができる。加熱は50〜600℃、好ましくは150〜550℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
【0041】
上記の様にして得られる担持された成分(1)と、上記同様の成分(2)とを混合する方法は特に限定されるものではない。例えば、物理混合であってもよく、溶媒中の担持された成分(1)に、成分(2)を添加することによる含浸であってもよい。物理混合、含浸はそれぞれ方法(A)、方法(B)と同様の方法で行うことができる。
【0042】
[アンモニア製造方法]
本発明の第二の態様であるアンモニア製造方法は、上記第一の態様の組成物を触媒として用いるものである。
【0043】
アンモニアの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、第一の態様の組成物が充填された反応容器内に、水素ガスと窒素ガスとからなる原料ガスを供給することによりアンモニアを製造することができる。
第一の態様の組成物は、予め粉砕、成型、整粒等を行った後にアンモニアの製造に用いてもよい。
【0044】
反応温度は、200℃〜600℃が好ましく、250℃〜500℃がより好ましく、300℃〜450℃がさらに好ましい。
【0045】
本発明のアンモニア製造方法においては、第一の態様の組成物を触媒として用いることにより、反応容器内が200℃以上となり、且つ、アンモニアによる求核反応がある状況においても触媒の構造が崩壊することがなく、好適にアンモニアを製造することができる。また、本発明によれば、アンモニアを高収率で製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
本実施例における成分(2)のアンモニアガス耐性評価は、図1に示す装置を用いて行った。
具体的には、成分(2)の多孔性金属錯体をミクロチューブに入れ、ミクロチューブをデシケーター内に置いた。デシケーター内を真空引きした後に、アンモニアガスを2時間フローした。窒素ガスでパージした後にミクロチューブを取り出し、アンモニア曝露後の多孔性金属錯体のXRD測定を行い、得られたXRDチャートをアンモニア曝露前のXRDチャートと比較することで、アンモニアガスに対する耐性を評価した。
デシケーターの代わりにシュレンク管を用い、マントルヒーターで加熱することで高温(200℃、300℃、350℃)での評価実験も同様の手順で行った。
【0048】
<参考例1>
各種の多孔性金属における、アンモニアガス耐性及び高温耐性を評価した結果を、表1に示す。なお、表1中、化学式の略号は前記同様である。表1中の「−」は検討を行っていないことを意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
また、Cu2(bpdc)2(bpy)のXRDチャートを図2に、Zn2(bpdc)2(bpy)のXRDチャートを図3に、HKUST−1のXRDチャートを図4に、MOF−5のXRDチャートを図5に、MgFo2のXRDチャートを図6に、MIL−68(In)のXRDチャートを図7に、MIL−125のXRDチャートを図8に、UiO−66のXRDチャートを図9に、MIL−101(Cr)のXRDチャートを図10に、MOF−74(Mg)のXRDチャートを図11に、MOF−76(Y)のXRDチャートを図12に、Al−BTBのXRDチャートを図13に、ZIF−8のXRDチャートを図14にそれぞれ示す。図2〜14中、(a)はシミュレーションにより予測されたXRDチャートであり、(b)はアンモニア曝露前(常温)におけるXRDチャート、(c)〜(f)はそれぞれ、アンモニア曝露後の、常温(23℃)、200℃、300℃、350℃のXRDチャートである。
【0051】
表1及び図2〜14の結果から、Cu2(bpdc)2(bpy)、Zn2(bpdc)2(bpy)、HKUST−1、MOF−5、MgFo2、MIL−68(In)では評価実験前後でXRD強度の著しい減少と、ピークパターンの変化が認められた。一方、それ以外の多孔性金属錯体ではXRDチャートに変化がなく、200℃で、アンモニアガスによって分解されないことが確認できた。
【0052】
<調製例1>
5質量%Ru/Pr6O11(5質量%のRuがPr6O11に担持された組成物を表す。以下、同じ)を以下のようにして調製した。
Ru3(CO)12(和光純薬工業(株)製)0.55mg(2.6mmol)をナスフラスコにいれ200mlのテトラヒドロフランに溶解させた後に、担体Pr6O11 5.0g(11.5mmol)を加え12時間常温でマグネットスターラーで攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを使用し溶媒を加熱除去した。このとき温浴の温度は70℃まで徐々に上げた。得られた固形物はナスフラスコから焼成皿に移して70℃の乾燥機で1日乾燥させた。その後パイレックス(登録商標)ガラス(コーニング社製)のボートにいれ、横型管状炉でHe流通下で350℃、5時間加熱処理することで,ルテニウム化合物の配位子を除去し、生成物4.7gを得た。
【0053】
<実施例1>
Al−BTBと5質量%Ru/Pr6O11とを質量比1:9で乳鉢にて物理混合を行い、Al−BTB+Ru/Pr6O11で表される組成物1を得た。その後、得られた組成物1(触媒)を乳鉢で充分に粉砕、混合し、ディスク成型した後、再度粉砕して250〜500μmに整粒し、反応に用いた。
以下の反応は、図15に示す常圧固定床流通式反応装置を用いて行った。内径7mmの石英製反応管に組成物1(触媒)を0.20g充填し、N2+3H2(10mL/分,0.1MPa)を流通し、反応温度350℃にて測定を行った。なお、以上の条件により空間速度(GHSV)は18000mL/時間・gであった。ガス分析にはイオンクロマトグラフィーを用いた。体積が既知のサンプリングループを介しサンプリングを行い、反応管入り口と反応管出口でH2とN2の物質量を測定し、アンモニアの物質量は計算により求めた。
【0054】
<イオンクロマトグラフィー分析条件>
カラム:Shodex IC YK−421
カラムサイズ:内径 4.6mm,長さ 125mm
充填剤:シリカゲルにカルボキシル基を持つポリマーを被覆した弱酸性の陽イオン交換体
溶離液:4mmol/lリン酸溶液
【0055】
アンモニア収率の計算には窒素原子を内部標準として用いた。計算式は次式の通りである。
【数1】
【0056】
<比較例1>
触媒として5質量%Ru/Pr6O11を用い、実施例1と同様の手順でアンモニア収率を測定した。結果を以下にまとめて示す。
【0057】
【表2】
【0058】
上記結果から、本発明の組成物1を触媒として用いることにより、アンモニア収率が向上することが確認できた。
【0059】
<実施例2>
乳鉢中で、Ru3(CO)12 10.8mgとZIF−8(BasoliteTM 1200)103.3mgを30分間、物理混合した。その後、混合物84.4mgを管状炉にて200mL/分の窒素気流下、3K/分の速度で200℃まで昇温し、2時間保持した。続いて室温まで放冷し、Ru及びZIF‐8の組成物2を81.2mgを得た。
得られたRu及びZIF‐8の組成物2をX’Pert Pro MPD(XRDスペクトリス株式会社製)により測定したところ、ZIF−8骨格が維持できていることが確認できた。
【0060】
<実施例3>
RuCl3 23.4mg(113μmol)をエチレングリコール(和光純薬製)2.0mlに溶解せしめた後、ZIF−8を211mg分散させた。続いて8M水酸化ナトリウム水溶液0.050mL(400μmol)を添加し、200℃で3時間加熱した。得られた反応混合物をろ過して、目的とするRu及びZIF−8の組成物3を184mg得た。
【0061】
<実施例4>
調製するZIF−8の原料である硝酸亜鉛六水和物0.041g(0.138mmol)、2−メチルイミダゾール0.0225g(0.274mmol)をそれぞれ溶媒であるジメチルホルムアミド10mlに完全に溶解させて混合した。さらに調製例1で得られた5質量%Ru/Pr6O11 0.5gを添加して原料溶液とした。原料の配合組成は、硝酸亜鉛六水和物:2−メチルイミダゾールを1:2とし、Ru/Pr6O11触媒(Ru含有率は5質量%)に対して、調製されるZIF−8が10質量%になるように配合した。原料溶液の調製は室温で行った。
上記の原料溶液を25mlのオートクレーブに入れ、反応温度140℃で24時間加熱した。得られた沈殿物をろ過回収し、アルコールで洗浄後に室温にて真空乾燥を行って5質量%Ru/Pr6O11とZIF−8の組成物4を得た。得られた組成物4は、XRDによる結晶相の確認、FT‐IR測定による配位結合形成の確認、SEM観察による形状の確認、TEM‐EDXによる元素分布状態の確認を行った。
XRD測定には、ブルカーエイエックスエス社製の新型完全自動多目的X線回折装置D8 ADVANCEを用い、SEM像観察には、日本電子社製の電界放出形走査電子顕微鏡JSM‐7000Fを用いた。また、赤外吸収スペクトルは、パーキンエルマー社製のフーリエ変換赤外分光分析装置Spectrum100を用いて、ATR法にて測定した。TEM‐EDXは日本電子社製の電界放出形電子顕微鏡JEM‐2200FSを用いて測定した。
X線回折測定で上記5質量%Ru/Pr6O11の存在を確認するとともに、FT‐IRによってZIF−8の存在を確認した。SEM像観察から、反応前後での粒子の表面状態に大きな差が見られていないことを確認した。また、TEM‐EDXによる解析により、5質量%Ru/Pr6O11とZIF−8の構成元素が偏析することなく、均一に分布していることを確認した。
【0062】
<実施例5>
調製するAl−BTBの原料である硝酸アルミニウム九水和物0.05g(0.108mmol)、1,3,5‐トリス(4‐カルボキシフェニル)ベンゼン(H3BTB)0.0489g(0.108mmol)をそれぞれ溶媒であるジエチルホルムアミド5mlに完全に溶解させて混合した。さらに調製例1で得られた5質量%Ru/Pr6O11 0.5gを添加して原料溶液とした。原料の配合組成は、硝酸アルミニウム九水和物:H3BTBが1:1とし、5質量%Ru/Pr6O11に対して、調製されるAl−BTBが10質量%になるように配合した。原料混合時の調製は室温で行った。
上記の原料溶液を25mlのオートクレーブに入れ、反応温度150℃で72時間加熱した。得られた沈殿物をろ過回収し、アルコールで洗浄後に室温にて真空乾燥を行って5質量%Ru/Pr6O11とAl−BTBの組成物5を得た。
X線回折測定で上記5質量%Ru/Pr6O11の存在を確認するとともに、FT‐IRによってAl−BTBの存在を確認した。SEM像観察から、反応前後での粒子の大きな差が見られていないことを確認した。また、TEM‐EDXによる解析により、5質量%Ru/Pr6O11とAl−BTBの構成元素が偏析することなく、均一に分布していることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の組成物は、適用温度範囲が広く、強塩基性に耐えられるため、アンモニアガス等の塩基性ガスの製造用の触媒、吸着剤又は分離材として、好適に利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)及び(2)を配合した組成物。
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
【請求項2】
前記(1)が、
ルテニウム、ルテニウムを含む合金、ルテニウムを含む化合物、ロジウム、ロジウムを含む合金、ロジウムを含む化合物、オスミウム、オスミウムを含む合金、オスミウムを含む化合物、イリジウム、イリジウムを含む合金及びイリジウムを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(2)が、
亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する多孔性金属錯体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を触媒として用いて、窒素と水素とを反応させてアンモニアを製造する方法。
【請求項1】
下記(1)及び(2)を配合した組成物。
(1)スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、該金属を含む合金又は該金属を含む化合物。
(2)1atmのアンモニア存在下で、200℃にて構造崩壊を起こさない多孔性金属錯体。
【請求項2】
前記(1)が、
ルテニウム、ルテニウムを含む合金、ルテニウムを含む化合物、ロジウム、ロジウムを含む合金、ロジウムを含む化合物、オスミウム、オスミウムを含む合金、オスミウムを含む化合物、イリジウム、イリジウムを含む合金及びイリジウムを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(2)が、
亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する多孔性金属錯体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を触媒として用いて、窒素と水素とを反応させてアンモニアを製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−111563(P2013−111563A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262903(P2011−262903)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」「化学品原料の転換・多様性を可能とする革新グリーン技術の開発」「気体原料の高効率利用技術の開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000186762)昭栄化学工業株式会社 (55)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」「化学品原料の転換・多様性を可能とする革新グリーン技術の開発」「気体原料の高効率利用技術の開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000186762)昭栄化学工業株式会社 (55)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】
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