説明

組立フェンス

【課題】 折り畳んだときに嵩張らない組立フェンスを提供する。
【解決手段】 枠体群(3)を連結部群(5)により回動自在に連結して成る組立フェンス(1)において、各連結部(5)は、所定幅を有する襠付支柱(51)を含み、襠付支柱(51)は、幅方向一端が一方の枠体(3)に枢支され、かつ、幅方向他端が隣接する他方の枠体(3)に枢支され、一方の枠体(3)と他方の枠体(3)を回動させたときに両枠体(3,3)が略平行になるように構成されている。襠付支柱(51)が枠体(3,3)の厚みを吸収するので、枠体(3,3)間の隙間を必要最小限に抑えられるので、それだけコンパクトな折り畳みを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてペットの周りを囲むための組立フェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに知られている組立フェンスとして、本出願人が出願した組立フェンス(例えば、特許文献1参照、以下「従来の組立フェンス」という)がある。従来の組立フェンスは、複数個の枠体を備えており、隣り合う枠体は連結部により連結されるようになっている。この連結部は、隣り合う一方の上側フレームから側方に突き出る下側連結片と、他方の上側フレームから側方に突き出る上側連結片と、を厚み方向に重ね合わせ、下側連結片に形成された嵌合穴と上側連結片に形成された嵌合穴とを整合させた後に連結用キャップを両嵌合穴に貫通させるように構成されている。下側フレーム同士も上記の構成と同様な構成により連結されるようになっており(考案掲載公報0024,0025,0026参照)、これにより、枠体同士は、上下の連結用キャップを枢軸として回動(回転)するようになっている。枠体は、上記した上側フレーム及び下側フレームと、両フレーム間に支持される複数の棒材から成る網体と、から構成され、両フレームには、棒材を嵌合支持するための棒材嵌合穴が設けられている(同0023参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3045381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の組立フェンスは、上記構成から明らかなように、連結用キャップを取り外すことにより各枠体を別々にして重ねられるようになっているとともに、別々にしなくても一定の範囲内で折り畳むことができるようになっている。つまり、考案掲載公報第2図に示されるような4個の枠体から成る組立フェンスの場合、上から見た状態の組立フェンスはほぼ矩形であるが、これを対角線方向に押しつぶすと各枠体が回動して菱形(平行四辺形)にすることができる。菱形より小さくできないのは、各枠体が上下の連結用キャップにより一軸で連結されているから上側連結片(下側連結片)同士が衝突してそれ以上各枠体を回動させることができないからである。菱形になった組立フェンスは、矩形のものより嵩張らないので、収納や持ち運びのためにたいへん便利である。各枠体を別々にして重ねた方が、別々にせずに押しつぶすより嵩張らないのも事実であるが、そのようにするためには、すべての連結用キャップを連結部から取り外す必要があるので少々煩わしさがある。本発明が解決しようとする課題は、従来の組立フェンスの利点を損なうことなく、これに改良を加えることにより、より嵩張らない組立フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために発明者は、組立フェンスをできるだけコンパクトに折り畳めるように一軸の代わりにニ軸で各枠体を枢支することを考えついた。本発明は、この観点からなされたものである。その詳しい構成については、次項以下で説明する。なお、何れかの請求項の説明において行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項の説明においても適用されるものとする。
【0005】
請求項1に記載した発明の構成
請求項1に記載した発明に係る組立フェンスは、枠体群を連結部群により連結して成る組立フェンスにおいて、前記各連結部は、所定幅を有する襠付支柱を含み、前記襠付支柱は、幅方向一端が一方の枠体に枢支され、かつ、幅方向他端が隣接する他方の枠体に枢支され、前記一方の枠体と他方の枠体とが折り畳み時において略平行になるように回動自在に構成されている。
【0006】
請求項1に記載した発明の作用効果
したがって、枠体自体を簡単にコンパクト化することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る組立フェンスを使用すると、折り畳んだときに嵩張らないので運搬や収納等のために便利である。また、本発明に係るフェンスを使用すると、フェンスの組立と分解が簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、各図を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。図1は本実施形態に係る組立フェンスの斜視図であり、図2は枠体の正面図である。図3は上側フレームの底面図及び下側フレームの平面図であり、図4は上側枢支構造の拡大斜視図である。図5は下側枢支構造の拡大斜視図であり、図6は組立フェンスを折り畳むときの状態を示す平面図である。また、図6は引張棒の部分拡大図であり、図7は本実施形態の変形例を示す平面図である。ここで、図2に示す上側フレーム及び下側フレームは、それぞれ縦断面が示されているが、図の複雑化を避けるためにそれらの断面のハッチングを省略している。なお、本実施形態の組立フェンスは、ペット用であることを前提に説明しているが、このようなペット用に限る必要はない。たとえば、空調装置の室外機や暖房器の保護カバーとしてや、乳幼児の遊び場を確保するための防護フェンスとしても用いることができる。さらに、屋内外を問わず使用することができる。
【0009】
組立フェンスの概略構造
図1及び2を参照しながら、組立フェンスの概略構造について説明する。本実施形態における組立フェンス1は、同じ形状を持つ4枚(個)の枠体3,3,..を環状に連結して成り、上から見た形状がほぼ正方形(矩形)になっている。隣り合わせの枠体3,3同士は、後述する連結部5により枢支され回動自在に連結されている。なお、枠体3は、本実施形態のように4枚により構成するのが一般的であるが、飼育するペットの大きさや数に応じて3枚により構成したり5枚以上により構成することもできる。また、必要に応じて、何れかの枠板3に開閉式の出入口を形成し、そこからペットがフェンス内に出入りできるように構成してもよい。
【0010】
枠体の構成
図2及び3に基づいて、枠体3について説明する。枠体3は、上下に平行配置される上側フレーム11と下側フレーム13と、この上側フレーム11と下側フレーム13間に配される網体15により構成されている。上側フレーム11(下側フレーム13)は、インテリアとデザイン的に調和し重厚感が生まれるように木製としたが、合成樹脂製とすることもできる。上側フレーム11の両端には、後述する枢支ピン7を貫通させるための貫通孔25が高さ方向に形成され、さらに、上側フレーム11の下端部には、フック用凹部27,27,..と、網体用凹部29,29が形成されている(図3(a)参照)。フック用凹部27は、後述する引張棒の上端部に形成されたフック部17fを受けいれるためのものであり、網体用凹部29は、網体15の上端部を受け入れて位置決めするためのものである。これに対し下側フレーム13の両端には、突出ピン35,35が係止孔41,41内に差し込み固定され、さらに、各引張棒17aに対応する位置にこれらを差し込むための差込孔37,37,.が高さ方向に貫通されている(図3(b)参照)。下側フレーム13の上端面には、網体15の下端部を受け入れるための網体用凹部39が形成されている。網体用凹部29,39は、上側フレーム11及び下側フレーム13とそれぞれ当接する網体15の上端部及び下端部の位置決めとズレ止めを主目的として形成されたものである。
【0011】
一方、図2に示す網体15は、横方向に一定間隔(たとえば、10センチメートル)を空けて配された縦棒群17,17,...と、この縦棒群17,17,...を連結して補強するために溶接された4本の横棒群19,19と、から構成されている。縦棒群17,17は、さらに、両端と中央部に配された引張棒17a,..と引張棒17a以外の突っ張り棒17b,17b,...により構成されている。引張棒17aは、上側フレーム11と下側フレーム13とを互いに引っ張るように構成され、他方、突っ張り棒17bは、その上端部が上側フレーム11の下端部に、その下端部が下側フレーム13の上端部に、それぞれ当接して引張棒群17aの引張力に抗するように構成されている。すなわち、引張棒群17aの引張力の作用と、この作用に抗する突っ張り棒群17bの反作用とのバランスにより、上側フレーム11と下側フレーム13との間に網体15が取り付けられるように構成されている。
【0012】
引張棒の構成
図2及び7に基づいて、引張棒17aの詳しい構成について説明する。引張棒17aには、その上端部を逆さU字状に折り返すことにより形成されたフック部17fと、その下端部外周にネジ溝が形成されて成るネジ固定部17kと、が設けられている。フック部17fは、上側フレーム11の下端部(下側フレーム13側)に刳り貫き形成されたフック用凹部27に受け入れられ、かつ、側方から差し込まれてフック用凹部27を貫通する係止ピン(係止部)23に引っ掛けられるように構成されている。ネジ固定部17kは、下側フレーム13の高さ方向に貫通形成された差込孔37内に差し込まれた後に、下方からボルト31により締め付け固定されるようになっている。具体的に説明すると、差込孔37はネジ固定部17kを貫通させられる形状(寸法)に形成された小径部37sと、ボルト31を受け入れられる形状(寸法)に形成された大径部37bと、小径部37sと大径部37bとの間に形成された、ボルト31を係止するための係止段部38とから構成されている。このボルト31による締めは、上側フレーム11と下側フレーム13との間に引張力を生じさせる。なお、引張棒17aは少なくとも1本あれば足りるが、本実施形態においては、網体15の両端に各1本と、中央部に1本の合計3本が設けられている。引張棒17aの本数を増減するのであれば、網体15の大きさや強度等を考慮した上で行うようにするとよい。
【0013】
連結部の構成
ここで、図4及び5を参照しながら、連結部5について説明する。連結部5は、後述する襠付支柱51の上端部と上側フレーム11との間に形成される上側枢支構造61と、襠付支柱51の下端部と下側フレーム13との間に形成される下側枢支構造63とにより構成されている。以下、個々の部材について説明する。
【0014】
襠付支柱の構成
上記記載から理解されるように、襠付支柱51は、上側フレーム11の一端と下側フレーム13の一端との間に配され、その上端部を上側枢支構造61により、その下端部を下側枢支構造63により、それぞれ枢支され、これにより、隣り合わせの枠体3,3が襠付支柱51に対して正逆方向に回転運動するよう(回動するように)、かつ、上側フレーム11と下側フレーム13に対して簡単に取り付け取り外しできるよう(着脱自在)になっている。襠付支柱51は、上側フレーム11や下側フレーム13とデザインを合わせるために木製であって、隣り合う枠体3,3の上側フレーム11,11(下側フレーム13,13)を重ね合わせた幅を吸収できるだけの幅、より具体的には、一方と他方の枠体3,3の上側フレーム11,11に、枢支ピン7,7を差し込み、両枠体3,3がが略平行になるまでこれらを回動させることができる程度の幅に形成されている。襠付支柱51の上端面には、枢支ピン7,7を差し込むための上端凹部53,53が形成され、これらの枢支ピン7,7及び上端凹部53,53と、上側フレーム11の高さ方向に形成された貫通孔25,25とにより上側枢支構造61が形成されている(図4参照)。
【0015】
他方、図5に示すように、襠付支柱51の下端面に形成された下側凹部55,55と、下側フレーム13,13の上端面から突き出す突出ピン35,35とにより、下側枢支構造63が構成されている。下側枢支構造63は、突出ピン35,35を下側凹部55,55に差し込むように襠付支柱51を上方から降ろすだけで組み立てることができるので、その取り扱いが極めて簡単である。逆に、襠付支柱51を取り外すには、まず、上側枢支構造61の枢支ピン7,7を引き抜いてから、図2に仮想線で示すように襠付支柱51を傾けてから引き上げることにより行えるようになっている。なお、本実施形態の下側枢支構造63は、襠付支柱51に下側凹部55が、下側フレーム13に突出ピン35が、それぞれ形成されているが、これとは逆に、襠付支柱51に突出ピンを、下側フレーム13に凹部を、それぞれ形成するようにしてもよい。
【0016】
枢支ピンの構成
図4に基づいて、枢支ピン7の構成について説明する。枢支ピン7は、上側フレーム11に形成された貫通孔25を介して襠付支柱51に形成された上側凹部53に差し込むためのピン本体47と、ピン本体47の上端部に形成されたヘッド部43と、ヘッド部43の下端部に形成されたフランジ部45と、から構成されている。ヘッド部43は、枢支ピン7を差し込んだり抜き取ったりする際に作業者が手で摘むためのものであり、フランジ部45は、枢支ピン7が差し込まれたときに上端フレーム11の上面に当接してピン本体45の差込長さを調整するためのものである。本実施形態におけるヘッド部43は、作業者が手を痛めたりペットが怪我をしたりすることのないように球状に形成されているが、これら以外の形状であってもよい。
【0017】
組立フェンスの折り畳み方法
図4乃至6を参照しながら、組立フェンスの折り畳み方法について説明する。まず、何れかの枢支ピン7を上側フレーム11から引き抜いて襠付支柱51を回動させて枠体3の一端を開放する。その後、他の枠体3,3,3を互い違いの方向に回動させて、図6に示すようにジグザグに折り畳む。抜き取った枢支ピン7は、これを紛失しないように、上側フレーム11の貫通孔25又は襠付支柱51の上側凹部53に差し込んでおくとよい。これが、組立フェンス1の基本的な畳み方である。この畳み方によれば、枠体3同士を略平行にすることができるので、枠体3,3間の隙間を必要最小限に抑えられるので、それだけコンパクトな折り畳みを実現することができる。さらに、襠付支柱51が上側フレーム11から側方に突き出ることがないので、この点でも組立フェンスのコンパクト化に貢献する。また、隣り合う枠体3,3のうち何れかの枢支ピン7を抜き、各枠体3をバラバラにする方法もある。この方法によれば、たとえば、収納場所の関係から複数箇所に分けて収納する必要がある場合や、変則的に積み重ねなければならない場合等にとても便利である。さらに、枢支ピン7を抜き取らずに組立フェンス1を対角線の方向に押しつぶす方法もある。この方法によれば、組立フェンスを僅かに移動させる場合や、一時的に隅に寄せておきたいような場合等に好都合である。
【0018】
本実施形態の変形例
図8を参照しながら、本実施形態の変形例(以下、「本変形例」という)について説明する。本変形例が本実施形態と異なるのは、本実施形態の襠付支柱の代わりに本変形例はヒンジ(平型蝶板)が用いられている点である。具体的には、次のとおりである。本変形例に係る組立フェンス91は、4個の枠体81,...を有し、これらの枠体81,...は、各枠体の側端面83,...に取り付けられたヒンジ群85,...により回動可能に相互連結されている。各枠体81に取り付けるヒンジ85は、本変形例では2個としているが、枠体81の高さに合わせて1個だけにしてもよいし3個以上としてもよい。ヒンジ85は左右のヒンジ片87,87を含み、各ヒンジ片87は隣り合う枠体81,81の側端面83,83の各々に取り付けられている。図8に実線で示すのは、折り畳んだ状態の組立フェンス91である。折り畳まれた状態の組立フェンス91は、ヒンジ85,...の働きにより直列接続された2個の枠体81,81同士が略平行に位置するように構成されている。想像線で示したのは、組み立てた状態の枠体91である。図8から理解されるように、折り畳まれた組立フェンス91は、組み立てたものに比べてコンパクト化している。なお、各ヒンジ85は、これを一方のヒンジ片87と、他方のヒンジ片87とに分離できるように構成してもよい。そのように構成すれば、各枠体81を分離できるので、よりコンパクト化することができる。
【0019】
本実施形態の応用例なお、本実施形態は、複数の枠体を有する組立フェンスに係るものであるが、この枠体の構成は、組立フェンス以外のフェンスにも応用することができる。すなわち、前述した上側フレームと下側フレームとの間に網体を支持する方法は、組立フェンスだけに限ることなく、固定式のフェンスやペットケージの前面に取り付けられるフェンス等にも応用することができる。係る構造を備えるフェンスは、突っ張り棒のボルトを外すだけで網体を外すことができるので、分解が簡単であるし、逆に組立も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る組立フェンスの斜視図である。
【図2】枠体の正面図である。
【図3】上側フレームの底面図及び下側フレームの平面図である。
【図4】上側枢支構造の拡大斜視図である。
【図5】下側枢支構造の拡大斜視図である。
【図6】組立フェンスを折り畳むときの状態を示す平面図である。
【図7】引張棒の部分拡大図である。
【図8】本実施形態の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 組立フェンス
3 枠体
5 連結部
7 枢支ピン
11 上側フレーム
13 下側フレーム
15 網体
17 縦棒
17a 引張棒
17b 突っ張り棒
17f フック部
17k ネジ固定部
19 横棒
23 係止ピン(係止部)
25 貫通孔
27 フック用凹部
29 網体用凹部
31 ボルト
35 突出ピン
37 差込孔
37b 大径部
37s 小径部
38 係止段部
39 網体用凹部
41 係止孔
43 ヘッド部
45 フランジ部
47 ピン本体
51 襠付支柱
53 上側凹部
55 下側凹部
上側枢支構造
63 下側枢支構造
81 枠体
83 側端面
85 ヒンジ
87 ヒンジ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体群を連結部群により連結して成る組立フェンスにおいて、前記各連結部は、所定幅を有する襠付支柱を含み、前記襠付支柱は、幅方向一端が一方の枠体に枢支され、かつ、幅方向他端が隣接する他方の枠体に枢支され、前記一方の枠体と他方の枠体とが折り畳み時において略平行になるように回動自在に構成されていることを特徴とする組立フェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−109843(P2006−109843A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365205(P2005−365205)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【分割の表示】特願2005−225131(P2005−225131)の分割
【原出願日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【出願人】(391001457)アイリスオーヤマ株式会社 (146)
【Fターム(参考)】