説明

組立式にわとり飼育小屋及びその飼育方法

【課題】少しの空きスペースを利用して、にわとりの飼育ができる組立式にわとり飼育小屋を提供する。
【解決手段】 夫々がさとうきびの搾りカスとカテキン類を含有する茶の煎じカスとを原材料とする成型材からなる切妻屋根2と、底板受部を有する左右の側面壁4と、背面壁と、正面側にある三角形状で複数の格子窓を有する小屋うら壁6及び下桁7と、格子状底板12と、から構成され、前記側面壁及び前記背面壁の上部縁部にある「ほぞ」が前記切妻屋根の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記背面壁の側縁部にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記小屋うら壁の下部両隅にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、夫々を嵌め合せて小屋を形成すると共に、正面側の前記小屋うら壁と前記下桁との間に横方向に摺動する格子扉9を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏(にわとり)の飼育箱に関し、特にベランダや少しの空きスペースに設置でき、しかも、騒音や悪臭の発生を軽減できる環境に優しい組立式にわとり飼育小屋及び環境に優しいにわとりの飼育方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来、鶏(にわとり)は人と共生してきた家禽であるが、最近では個人的に飼育するケースが少なくなってきている。これは、住宅地において飼育する場合に、場所を取ることや悪臭の発生する恐れ等に起因していると考えられる。一方、養鶏業界では大多数のにわとりを飼育する養鶏設備が改良され発展してきており、中でも移動式鶏舎や高品質の卵を生産できる鶏舎が先行技術として開示されている。(特許文献1、2参照)
【特許文献1】特開H10−023836号公報
【特許文献2】特開2004−057033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の先行技術は、養鶏産業で用いられる設備であり、大多数のにわとりを集中的に管理して鶏卵、鶏肉を得ることや、雛から成鳥に養鶏するものであって、個人的な規模に転用することができないものであった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解消するために為したものであって、その目的は、自然に触れ合う機会が少なくなった都市部で、ベランダや少しの空きスペースを利用して、騒音や悪臭の発生を軽減させてにわとりの飼育ができ、子供の情操教育の一環にも役立たせることができる組立式にわとり飼育小屋及び環境に優しいにわとりの飼育方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係る組立式にわとり飼育小屋は、夫々が植物性成型材からなる切妻屋根と、底板受部を有する左右の側面壁と、背面壁と、正面側にある三角形状で複数の格子窓を有する小屋うら壁及び下桁と、格子状底板と、から構成され、前記側面壁及び前記背面壁の上部縁部にある「ほぞ」が前記切妻屋根の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記背面壁の側縁部にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記小屋うら壁の下部両隅にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記下桁の両端にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、夫々を嵌め合せて小屋を形成すると共に、正面側の前記小屋うら壁と前記下桁との間に横方向に摺動する格子扉を設けたことを特徴とする。
【0006】
植物性の原材料を用いて、組立式にわとり飼育小屋の部材を夫々成型して製作しているから軽量で、かつ、強靭な組立品が得られる。また、部材同士を「ほぞ」)と「ほぞ」溝又は「ほぞ」穴とを組合せた嵌め込み合わせの構造を採用しているから、釘や木ネジ等の締結具を使用しなくても、簡易に組み立てられ、軽量で、かつ、強靭な組立式にわとり飼育小屋を提供することができる。「ほぞ」とは、周知のように、つなぎ合わせる木材などの、一方の材の穴や溝に嵌め込むため、他方の材に作る突起をいう。「ほぞ」には、蟻「ほぞ」や扇「ほぞ」などがある。本組立式にわとり飼育小屋は、基本的に、にわとり一羽を飼育対象としているので、設置場所の大きさも小さくて済み、家庭敷地内の何処にでも移動が可能で、ほんのチョットしたマンションのベランダでも設置可能である。よって、個人規模でのにわとりの飼育に適している。また、本組立式にわとり飼育小屋は、組み立て又は解体が容易であるから移動もし易い。
【0007】
また、本発明(請求項2)に係る組立式にわとり飼育小屋は、夫々が植物性成型材からなる切妻屋根と、網床受部を有する左右の側面壁と、背面壁と、底板とから構成され、前記側面壁及び前記背面壁の上部縁部にある「ほぞ」が前記切妻屋根の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記背面壁の側縁部にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記底板の縁部を前記側面壁及び前記背面壁の下部に配設された溝に、夫々を嵌め合せて小屋を形成すると共に、正面側に金網扉と、前記網床受部に載置される網床と、を設けたことを特徴とする。この構成は、正面側に軽量で、強度のある金網扉を採用すると共に、軽量な網床を採用できるので、全体として軽量化が図られる。また、開閉の頻度が多く、常時にわとりが動き踏まれている点を考慮すれば、耐久性に富んでいる。また、小屋内で、にわとりの飼育状況の観察も比較的容易である。
【0008】
また、本発明(請求項3)に係る組立式にわとり飼育小屋は、請求項1又は2に記載の植物性成型材が、さとうきびの搾りカスとカテキン類を含有する茶葉又は茶の煎じカスとを原材料として成型加工したものであることを特徴とする。また、本発明(請求項4)に係る組立式にわとり飼育小屋は、請求項3における前記植物性成型材の原材料の重量比率が、さとうきびの搾りカスが70〜90%で、残部がカテキン類を含有する茶葉又は茶の煎じカスであることを特徴とする。
【0009】
植物性成型材は、さとうきびを細裂して糖を圧搾機で搾汁した後のバガス繊維を70〜90%と、カテキンを含有する茶葉又は茶の煎じカスの粉末を30〜10%と、を混合したものを原材料として、これを乾燥した後、必要量の接着剤、例えば尿素系樹脂を噴霧混合したものを構成部材の型に装入して圧縮成型して製作される。このバガス繊維とカテキン茶の配合比は構成部材の強度とカテキンの殺菌効果とを勘案して決めるが、バガス繊維85%、茶の煎じカスの粉末15%の配合比が好適である。ここで用いられるバガス繊維は繊維長0.5〜2.5mmの範囲で、バラバラの状態であり、柔らかい特徴を有する。前述の植物性成型材で製作された組立式にわとり飼育小屋は、バガス繊維の特徴を引継いでいて、軽量であり、騒音が生じにくく、湿度調整機能に優れ、衝撃を受けても破片化せず安定性に富み、また、にわとりにとって危険な物質を含んでいない。また、小屋を廃棄する場合でも、構成部材が分解性有機材料だから、容易に燃やすこともできるし、埋め立て投棄しても徐々に分解されるもので、環境に悪影響を与えないものである。
【0010】
また、原材料の一部にカテキンを含有しているから、前記植物性成型材はカテキン効果で殺菌性に優れ、悪臭の発生を抑制できる性質を有するものである。したがって、本発明の組立式にわとり飼育小屋は、構成する部材が強い殺菌力を発揮し、小屋内部を殺菌、消臭効果により清潔に保ち、衛生的であって、にわとりの飼育に適した環境を提供できる。
【0011】
また、本発明(請求項5)に係る組立式にわとり飼育小屋は、請求項1に記載の格子状底板が、上面が複数の格子面を形成し、かつ、各格子面が階段状の凹部を形成していることを特徴とする。この構成を採用することにより、格子上面では、にわとりが居住しても自由に動き得るし、また、にわとりの糞は階段状の凹部に収容される。また、この鶏糞は結果的に鶏糞肥料として再利用しやすいプレカット状態で回収することができる。また、この格子状底板と植物のプランタとが、同じサイズであれば、そのままプランタの底部に装着して活用できるものとなる。
【0012】
また、本発明(請求項6)に係る組立式にわとりの飼育小屋は、請求項1乃至5のいずれかに記載の組立式にわとり飼育小屋を二つ又は複数連設したものであって、隣り合う切妻屋根をV字型屋根とし、かつ、隣り合う側面壁を一つに共有した共有側面壁として、一連一体に嵌め合せて、連設した小屋を形成することを特徴とする。
【0013】
この構成を採用することにより、組立式にわとりの飼育小屋を二つ又は複数個横方向に一列に連設することが、構成部材の簡単な嵌め込み合わせの組み立てによりできるので、製作が容易であり、かつ、連設することにより、組立式にわとりの飼育小屋をより強固なものにすることができる。
【0014】
また、本発明(請求項7)に係るにわとりの飼育方法は、請求項3乃至6のいずれかに記載の組立式にわとり飼育小屋において、EM酵母を含有した餌を与えてにわとりを飼育することを特徴とする。
【0015】
これらの構成を採用することにより、殺菌、消臭効果のある飼育小屋内でにわとりを飼育することができると共に、EM菌を含有する酵母を付着させた餌を与えることにより、にわとりの腸の働きが良くなって腸内に善玉菌が多量に増殖する効果で、糞の臭いを軽減することができる。また、にわとりを健康にして、ストレスを軽減し、肉質、卵質の向上、病害の抑制などの相乗効果が生ずる。また、EM菌を含んだ糞は家庭菜園や花木栽培の肥料として有効に再利用できる。ここで用いるEM(EffectiveMicroorganismの頭文字から付した造語)酵母は、黒又は褐色の液状で、液体に複数の微生物を共生させた微生物資材であって、多種の微生物が有機物を餌として、すぐに有用発酵・増殖という過程に進むことができるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1〜6記載の組立式にわとり飼育小屋によれば、廃棄物的なさとうきびの搾りカスとカテキンを含有する茶葉又は茶の煎じカスを利用して成型した植物性の各部材を用いて、「ほぞ」と「ほぞ」溝又は「ほぞ」穴とを組合せた嵌め込み合わせの構造を採用しているから、釘や木ネジ等の締結具を使用しなくても、簡易に組立てるものであって、軽量で、かつ、強靭な組立式にわとり飼育小屋を作ることができる。また、にわとりの飼育においても騒音の発生を少なくできるものである。しかも、二戸又は複数の飼育小屋を連続して横一列に繋げて連設することも簡単であって、複数のにわとりを飼育するのに好適である。また、本組立式にわとり飼育小屋は、組み立て又は解体が容易であるから移動もし易い。
【0017】
また、カテキンを含有した原材料を用いているので、本組立式にわとり飼育小屋は、構成する部材が強い殺菌力を発揮し、小屋内部を殺菌、消臭効果により清潔に保ち、衛生的であって、にわとりの飼育に適した環境を提供できる。したがって、にわとりの飼育を健全に、かつ、衛生的に、しかも、悪臭や病原菌等のない環境に優しい状況下で行うことができる。また、小屋を廃棄する場合でも、構成部材が分解性有機材料だから、容易に燃やすこともできるし、埋め立て投棄しても徐々に分解されるもので、環境に悪影響を与えないものである。
【0018】
本発明に係る請求項7記載の飼育方法によれば、にわとりの飼育を殺菌、消臭効果のある小屋内にて行うと共に、複数の微生物を共生させたEM酵母を配した餌を与えることにより、にわとりの肉質、卵質の向上、病害の抑制などの相乗効果を発揮させることができる。また、にわとりの糞はEM菌が多量に存在し、かつ、糞の臭いを軽減できるので、家庭菜園等に好適な肥料として再利用ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る組立式にわとり飼育小屋の模式的斜視図である。図2は、図1の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは切妻屋根部分、bは背面壁部分、cは側面壁部分である。図3は、図1の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは小屋うら壁部分、bは下桁部分、cは格子扉部分、dは小格子扉部分である。図4は、図1の組立式にわとり飼育小屋の格子状底板部分の模式的斜視図であって、aは格子状底板全体図、bはaのA−A線断面図、cはbのB部詳細図である。図5は、本発明の別の実施形態に係る組立式にわとり飼育小屋の模式的斜視図である。図6は、図5の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは切妻屋根部分、bは側面壁部分、cは金網扉及び背面壁部分、dは底板、糞取りラック及び網床部分である。図7は、aは図5におけるA部詳細図、bはB部詳細図である。
【0020】
また、図8は本発明の実施の形態に係る組立式にわとり飼育小屋を二つ連設したものであって、模式的斜視図である。図9は、図8における組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aはV字型切妻屋根部分、bは共有した側面壁部分、cは端の側面壁部分である。図10は、本発明の別の実施形態に係る組立式にわとり飼育小屋を複数連設したものであって、模式的正面図である。図11は、図10における組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aはV字型切妻屋根部分、bは共有した側面壁部分である。
【0021】
図1、2,3,4に基づいて本発明に係る組立式にわとり飼育小屋を説明すると、組立式にわとり飼育小屋1(以下、飼育小屋と称する。)は、主として切妻屋根2と、飼育小屋1の三方を囲う側面壁3,4及び背面壁5と、正面側にある小屋うら壁6及び下桁7と、格子扉8及び小格子扉9と、底部にある格子状底板12と、からなる植物性構成部材で構成される。
【0022】
そして、これらの全ての植物性構成部材は、さとうきびを細裂して糖を圧搾機で搾汁した後のバガス繊維を70〜90%と、カテキンを含有する茶葉又は茶の煎じカスの粉末を30〜10%と、を混合したものを原材料として、これを乾燥した後、必要量の接着剤、例えば尿素系樹脂を噴霧混合したものを構成部材の型に装入して圧縮成型して製作される。このバガス繊維とカテキン茶の配合比は構成部材の強度とカテキンの殺菌効果とを勘案して決めるが、バガス繊維85%、茶の煎じカスの粉末15%の配合比が好適である。ここで用いられるバガス繊維は繊維長0.5〜2.5mmの範囲で、バラバラの状態であり、柔らかい特徴を有する。前述のように製作された構成部材は、バガス繊維の特徴を引継いでいて、軽量であり、騒音が生じにくく、湿度調整機能に優れ、衝撃を受けても破片化せず安定性に富み、また、にわとりにとって危険な物質を含んでいない上に、カテキン効果で殺菌性に優れ、悪臭の発生を抑制できる性質を有するものである。
【0023】
飼育小屋1を構成する部材について説明すると、2枚の切妻風屋根板は棟木に相当する部位に「ほぞ」2−3と、それが嵌る「ほぞ」穴2−4を設けて、それらを嵌め込み合わせることにより切妻屋根2が形成される。また、側面壁3及び4の上部縁にある「ほぞ」3−3,4−3が切妻屋根2に突当たる位置、即ち屋根2の軒部に「ほぞ」溝2−2を設け、かつ、背面壁5の上部縁にある「ほぞ」5−1が屋根2に突当たる位置、即ち屋根2の側部に「ほぞ」溝2−1を設け、かつ、背面壁5の側部縁にある「ほぞ」5−2が側面壁3及び4に突当たる位置に夫々「ほぞ」溝3−2及び「ほぞ」溝4−2を設け、これらを夫々相互に嵌め込み合わせることにより屋根2、側面壁3、4及び背面壁5が確実に組み立てられて飼育小屋1の上部が形成される。また、前述の切妻屋根2は逆V字型に一体に成型してもよい。
【0024】
本実施形態では側面壁3、4及び背面壁5にある「ほぞ」は、断面台形型を呈し、これに嵌り合う屋根2の「ほぞ」溝も断面台形型であって、両者は分離し難い構造で組み立てられる。また、2枚の切妻風屋根板の「ほぞ」2−3は断面円筒形であり、それが嵌る「ほぞ」穴2−4も円筒形穴を設けて前述と同様な構造を採用している。これらの「ほぞ」と、対応する「ほぞ」穴又は「ほぞ」溝の断面形状は前述に拘泥されることなく、台形を含み、三角形を含む多角形や、円形、長円形をも採用することができ、「ほぞ」と、対応する「ほぞ」穴又は「ほぞ」溝が分離し難い構造であればよい。しかも、釘やネジ等の締結具を必要としないのが好適である。このよう飼育小屋1は上記構成部材を相互に嵌め合せて組立てることができ、また、逆に分解することも可能である。また、上記の嵌め合わせを固定するために、ネジ又は釘を使えば組立式を踏襲することも可能で、接着剤を用いると分解し難い固定式になるが、これらの固定方法の選択は任意である。
【0025】
また、飼育小屋1の正面側の小屋うら壁6は、図3aに示すように、多数の格子窓6−2を有する三角形状の壁で、その下部の両端に「ほぞ」6−1を設けて、側面壁3,4の上部の「ほぞ」穴3−4,4−4に嵌め込んで、前記側面壁3,4の間に構築される。また、小屋うら壁6の下端には、格子扉8が開閉用に摺動するための鴨居6−3が設けられる。また、小屋うら壁6の下方には、図3bに示す「ほぞ」7−1を有する下桁7が設けられ、側面壁3,4の下部の「ほぞ」穴3−5,4−5に嵌め込まれて、前記側面壁3,4の間に構築される。また、下桁7の上端には、格子扉8が開閉用に摺動するための敷居7−3が設けられる。このように飼育小屋1は切妻屋根2、飼育小屋1の四方を囲う側面壁3,4、背面壁5及び小屋うら壁6、下桁7がそれぞれ対応する「ほぞ」構造で組み込まれて強固な構造体を構築することができる。
【0026】
また、正面側に小屋うら壁6と下桁7の間には、多数の格子窓8−1を有する格子扉8が、図1に示すように、開閉のために右方向に摺動できるように設けられる。そして、格子扉8が摺動できるように、側面壁4には切り込み部4−6が設けられる。また、格子扉8の小窓部8−2には、鴨居と敷居を設けて、小格子扉9が開閉のために右方向に摺動できるようにする。格子扉8は、飼育されているにわとりの出入りに用いられ、また、飼育中のにわとりの状態を観察するのにも用いられる。また、小格子扉9は、にわとりの餌や水の入った容器の出し入れのために用いられる。また、側面壁4の格子状底板12上の位置に、産んだ卵を取り出すための摺動するドア4−9が設けられる。
【0027】
飼育小屋1内のにわとりは格子状底板12上で飼われるが、格子状底板12は格子状床面12−1と枠12−2と〜構成される。格子状床面12−1は、格子目約20mm角で、幅5〜10mmの格子であり、植物性構成部材からなる。また、格子目は下方へ階段状の凹部12−3を構成し、本実施例では、図4bに示すように、三段で構成され、二段目は約15mm角、三段目は約10mm角で、各段の深さは約20mmである。このように階段状の凹部12−3にすることにより、収容される鶏糞を鶏糞肥料として再利用しやすいプレカットのブロック状態で回収することができる。また、この格子状底板と植物のプランタとが、同じサイズであれば、そのままプランタの底部に装着して活用できるものとなる。また、にわとりの排泄物である糞が付着しないで、下に落下するように格子幅の寸法が決めらる。前記格子状底板12は、側面壁3及び4の下部に設けた、該側面壁と一体成型された角型の底板受部3−1aと4−1a上に載置される。
【0028】
図5、6,7,に基づいて本発明の別の実施形態に係る組立式にわとり飼育小屋を説明すると、組立式にわとり飼育小屋1(以下、飼育小屋と称する。)は、主として切妻屋根2と、飼育小屋1の三方を囲う側面壁3,4及び背面壁5と、底板13と、金網扉10と、からなる構成部材で構成される。飼育小屋1を構成する部材について、前述の飼育小屋1と異なる部分について説明すると、飼育小屋1の構成部材の1つである底板6は、その三方の周縁部を側面壁3,4の下部に設けた溝3−3、4−3と、背面壁5の下部に設けた溝5−1とに嵌め合わせて飼育小屋1の底板6が形成される。
【0029】
また、飼育小屋1の正面の壁に取り付く金網扉10は、側面壁3の前部内側面に配設された金属性の支柱10−1に対し、蝶番10−2を介して開閉自在に取り付けられる。前記支柱10−1は側面壁3の前部内側面に設けた溝3−10に嵌り、上端を屋根2の軒部にある支柱受11−3と、下端は、図7a、bに示すように、側面壁3のL状穴3−7と側面壁4のL状穴4−7とを挿通して設けた断面L字型のL字型材10−4において、その側面壁3の位置に穿孔して設けた支柱受11−3と、により支持される。また、上記L字型材10−4は側面壁3と側面壁4とを繋いで補強すると共に、金網扉9が小屋1内に閉まり過ぎることを防止するストッパーの役目をする。このL字型材10−4は側面壁と同じ成型材がよいが、木製でも、金属製でもよい。上記支柱受11−3は強度、耐磨耗の点で金属製がよいが、合成樹脂製でもよい。また、金網扉10の側面壁4側の下部コーナーに内扉11を設け、該内扉11は前記金網扉10に設けた支柱11−1に対して開閉自在に取り付けられる。また、金網扉10と内扉11には、夫々の扉を閉ざした状態にする簡易錠10−3及び11−2が設けられている。この金網扉10は、飼育されているにわとりの出入りに用いられ、また、飼育中のにわとりの状態を観察するのにも用いられる。また、内扉11はにわとりの餌や水の入った容器の出し入れのために用いられる。また、側面壁4の網床14上の位置に、産んだ卵を取り出すための外開きのドア4−9を設ける。
【0030】
飼育小屋1内のにわとりは網床14上で飼われるが、網床14は網目10×20mm程度の網であり、金属製又は合成樹脂製である。また、にわとりの排泄物である糞が付着しないで、下に落下するように網目の寸法が決めらる。また、付着防止のための表面加工がされていることが望ましい。前記網床14は側面壁3及び4の下部から突き出し、該側面壁と一体成型された角型の網床受部3−1bと4−1b上に載置される。
【0031】
また、網床14を通って落下した糞を収納するために、底板と前板の2枚から構成される糞取りラック15が底板13上を摺動するように載置される。また、糞取りラック15は、落下した糞をブロック状に小さくして乾燥させて、家庭菜園等の肥料に再利用しやすくするためにブロック状の区画を設けるのがよい。
【0032】
本発明に係る組立式にわとり飼育小屋1の大きさは、幅40〜60cm、奥行き70〜100cm、高さ90〜110cmであって、にわとりの成鳥1羽が運動できて、十分飼育できる広さを有する。また、その構成部材の厚みは1〜1.5cm程度が強度を満たし、経済的でもある。そして、飼育小屋1の重量は約9〜12kgである。また、飼育小屋1を雨などの耐候性にするために、飼育小屋1の外表面に耐候性の塗料を塗布することも有効であり、この場合内側表面は生地のままだから、カテキンの殺菌や消臭などの効果及び湿度調整機能を維持することが可能となる。また、飼育小屋1の構成部材は軽量で、圧縮した繊維質で作られているから、にわとりの動き等の音を吸収する吸音効果と相まって、騒音の発生が少ない。また、飼育小屋1は、木製や金属製のものに比し、軽量であることと、分解・組立ても容易であることから、女、子供でも飼育小屋1の移動が容易であり、季節により、また、気候変化に対し飼育に適切な場所に設置することが可能である。
【0033】
また、本発明に係る組立式にわとり飼育小屋1を連続して横一列に繋げて二戸のものを図8に、連設したものを図10に示している。以下に、二戸繋ぎの組立式にわとり飼育小屋1について、組立式にわとり飼育小屋1と異なる部分のみを、図8、図9を用いて説明すると、二戸繋ぎの組立式にわとり飼育小屋1の隣り合う切妻屋根2−5をV字型に一体ものに成型して製作する。そして、それらを棟部の「ほぞ」2−3と相対する切妻屋根2−5の「ほぞ」穴2−4を嵌め合せることにより連設した切妻屋根を組立てることができる。また、側面壁16は、隣り合う上記側面壁3,4を合体して共有した形状を呈したものであって、側面壁16の上端のM状「ほぞ」16−3が屋根2−5に突当たる位置、即ち屋根2−5の軒部に設けた逆M状「ほぞ」溝2−6に嵌り込み、かつ、側面壁16の両側面に設けた溝16−2に背面壁5の側部縁の「ほぞ」5−2が嵌り込み、このように夫々相互に嵌め合わせることにより切妻屋根2−5、側面壁16及び背面壁5が確実に組み立てられて二戸繋ぎの飼育小屋1が形成される。また、側面壁16の両側面下部に設けた底板受部16−1aに格子状底板12が載る。また、二つの格子扉8は、夫々勝手反対に開閉するように設けられる。よって、側面壁3bには、格子扉8が摺動するための切り込み部3−6が設けられる。また、産卵した卵は格子扉8に設けた小格子扉9から取り出すこともできるし、又は側面壁3b、4に卵取出し用扉3−9、4−9を設けてもよい。
【0034】
連設した組立式にわとり飼育小屋1について、二戸繋ぎの組立式にわとり飼育小屋1と異なる部分のみを、図10、図11を用いて説明すると、連設した組立式にわとり飼育小屋1の隣り合う切妻屋根2−5をV字型に一体ものに成型して製作する。そして、それらを棟部の「ほぞ」2−3と相対する切妻屋根2−5の「ほぞ」穴2−4を嵌め合せることにより連設した切妻屋根を組立てることができる。また、側面壁16は、隣り合う上記側面壁3,4を合体して共有した形状を呈したものであって、側面壁16の上端のM状「ほぞ」16−3が屋根2−5に突当たる位置、即ち屋根2−5の軒部に設けた逆M状「ほぞ」溝2−6に嵌り込み、かつ、側面壁16の両側面に設けた溝16−2に背面壁5の側部縁の「ほぞ」5−2が嵌り込み、かつ、側面壁16の両側面下部に設けた溝16−8に底板13の側部縁が嵌り、このように夫々相互に嵌め合わせることにより切妻屋根2−5、側面壁16、背面壁5及び底板6が確実に組み立てられて連設した飼育小屋1の中間部が形成される。また、網床受部16−1bが側面壁16の両側面に設けられる。また、L状型材10−4を側面壁16に挿通又は挿入するためのL状穴16−7が設けられる。また、産卵した卵は金網扉9に設けた内扉10から取り出すこともできるし、又は背面壁5に卵取出し用扉(図示しない)を設けてもよい。
【0035】
本発明に係る組立式にわとり飼育小屋におけるにわとりの飼育方法について説明すると、にわとりの飼育に際し、飼育小屋1はカテキンを含む材料から製作されているので、飼育小屋1の天井(屋根2の内側)や壁面3,4,5及び床板6は殺菌・消臭効果を有するから、にわとりを衛生的に、しかも悪臭や病原菌等のない環境下で健全に飼育することが可能となる。また、にわとりの飼育の餌としては、穀粒や穀粉等を主体とした餌にEM酵母を含む溶液、例えば、商品名EM−1(株式会社EM研究所製)の0.1%希釈液を1〜3%噴霧添加したものを与えることにより、にわとりの腸の働きが良くなって善玉菌が多量に増殖する効果で糞の臭いを軽減することができると共に、にわとりを健康にしてストレスを軽減できることで、肉質、卵質の向上、病害の抑制などの相乗効果が生ずる。これに加えて飲水にEM希釈液を添加しても同様な効果を得ることができる。また、EM菌である善玉菌を含んだ糞は、家庭菜園や花木栽培の肥料として有効性を発揮しての再利用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明に係る組立式にわとり飼育小屋及びにわとり飼育方法は家庭規模でのにわとりの飼育手段として、また、児童の動物愛護等についての情操教育の一環として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る組立式にわとり飼育小屋の模式的斜視図である。
【図2】図1の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは切妻屋根部分、bは背面壁部分、cは側面壁部分である。
【図3】図1の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは小屋うら壁部分、bは下桁部分、cは格子扉部分、dは小格子扉部分である。
【図4】図1の組立式にわとり飼育小屋の格子状底板部分の模式的斜視図であって、aは格子状底板全体図、bはaのA−A線断面図、cはbのB部詳細図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る組立式にわとり飼育小屋の模式的斜視図である。
【図6】図5の組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aは切妻屋根部分、bは側面壁部分、cは金網扉及び背面壁部分、dは底板、糞取りラック及び網床部分である。
【図7】aは図5におけるA部詳細図、bはB部詳細図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る組立式にわとり飼育小屋を二つ連設したものであって、模式的斜視図である。
【図9】図8における組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aはV字型切妻屋根部分、bは共有した側面壁部分、cは端の側面壁部分である。
【図10】本発明の別の実施形態に係る組立式にわとり飼育小屋を複数連設したものであって、模式的正面図である。
【図11】図10における組立式にわとり飼育小屋の各構成部分の模式的斜視図であって、aはV字型切妻屋根部分、bは共有した側面壁部分である。
【符号の説明】
【0038】
1:飼育小屋 2:屋根 2−1、2−2:「ほぞ」溝
2−3:「ほぞ」 2−4:「ほぞ」穴
2−5:V字型屋根板 2−6:「ほぞ」溝
3:側面壁 3−1a:底板受部 3−1b:網床受部 3−2:「ほぞ」溝 3−3:「ほぞ」 3−4、3−5:「ほぞ」穴 3−6:切り込み部 3−7:L状穴 3−8:溝 3−9:ドア 3−10:溝
4:側面壁 4−1a:底板受部 4−1b:網床受部 4−2:「ほぞ」溝 4−3:「ほぞ」 4−4、4−5:「ほぞ」穴 4−6:切り込み部 4−7:L状穴 4−8:溝 4−9:ドア 5:背面壁 5−1、5−2:「ほぞ」 5−3:溝
6:小屋うら部 6−1:「ほぞ」 6−2:格子窓 6−3:鴨居
7:下桁 7−1:「ほぞ」 7−2:敷居
8:格子扉 8−1:格子窓 8−2:小窓部
9:小格子扉 9−1:格子窓
10:金網扉 10−1:支柱 10−2:蝶番 10−3:簡易錠 10−4:L状型材 11:内扉 11−1:支柱 11−2:簡易錠 11−3:支柱受
12:格子状底板 12−1:格子状床面 12−2:枠 12−3:階段状凹部 13:底板 14:網床 15:糞取りラック
16:共有側面壁 16−1a:床板受部 16−1b:網床受部
16−2:「ほぞ」溝 16−3:「ほぞ」
16−4,16−5:「ほぞ」穴 16−6:溝 16−7:L状穴 16−8:溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が植物性成型材からなる切妻屋根と、底板受部を有する左右の側面壁と、背面壁と、正面側にある三角形状で複数の格子窓を有する小屋うら壁及び下桁と、格子状底板と、から構成され、前記側面壁及び前記背面壁の上部縁部にある「ほぞ」が前記切妻屋根の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記背面壁の側縁部にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記小屋うら壁の下部両隅にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記下桁の両端にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、夫々を嵌め合せて小屋を形成すると共に、正面側の前記小屋うら壁と前記下桁との間に横方向に摺動する格子扉を設けたことを特徴とする組立式にわとり飼育小屋。
【請求項2】
夫々が植物性成型材からなる切妻屋根と、網床受部を有する左右の側面壁と、背面壁と、底板とから構成され、前記側面壁及び前記背面壁の上部縁部にある「ほぞ」が前記切妻屋根の突当たる部位に配設された「ほぞ」溝に、かつ、前記背面壁の側縁部にある「ほぞ」が前記側面壁の突当たる部位に配設された「ほぞ」穴に、かつ、前記底板の縁部を前記側面壁及び前記背面壁の下部に配設された溝に、夫々を嵌め合せて小屋を形成すると共に、正面側に金網扉と、前記網床受部に載置される網床と、を設けたことを特徴とする組立式にわとり飼育小屋。
【請求項3】
前記植物性成型材がさとうきびの搾りカスとカテキン類を含有する茶葉又は茶の煎じカスとを原材料として成型加工したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の組立式にわとり飼育小屋。
【請求項4】
前記植物性成型材の原材料の重量比率が、さとうきびの搾りカスが70〜90%で、残部がカテキン類を含有する茶葉又は茶の煎じカスであることを特徴とする請求項3記載の組立式にわとり飼育小屋。
【請求項5】
請求項1に記載の格子状底板が、上面が複数の格子面を形成し、かつ、各格子面が階段状の凹部を形成していることを特徴とする組立式にわとり飼育小屋。
【請求項6】
前記組立式にわとり飼育小屋を複数連設したものであって、隣り合う切妻屋根をV字型屋根とし、かつ、隣り合う側面壁を一つの共有した側面壁として、一連一体に嵌め合せて、連設した小屋を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の組立式にわとり飼育小屋。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれかに記載の組立式にわとり飼育小屋において、EM酵母を含有した餌を与えてにわとりを飼育することを特徴とするにわとりの飼育方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−79584(P2008−79584A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272006(P2006−272006)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(500136810)株式会社 大通 (26)
【Fターム(参考)】