説明

組立式コネクタ

【目的】 組立作業の自動化を可能ならしめる組立式コネクタの開発。
【構成】 接続端子28を挿着すべきコネクタハウジング本体11及び棚枠22に形成する各端子収容室上側が開口される構造となして、各接続端子28をそれら端子収容室の上側開口部から、その端子収容室内に収めることができる構造。
【効果】 それぞれの接続端子を自動機を用いてコネクタハウジング本体及び棚枠内へセット(内装)することが容易であって、組立式コネクタの組立作業性が大幅に改善される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動機により接続端子を挿着せしめた複数のコネクタハウジングを一体に組合せて、多回路の接続端子を保有するコネクタに構成する組立式コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】接続端子の収容室が横一列に形成されている分割コネクタハウジングが複数個用意されており、これら分割コネクタハウジングには、自動機による接続端子挿着を行なった後にそれら分割コネクタハウジングを上下多段に結合して多回路保有のコネクタを構成する組立式コネクタが知られている。
【0003】この組立式コネクタの従来例としては、図1R>1に示す如き構造のものがあって、1は第1の分割コネクタハウジング、2は第2の分割コネクタハウジングであって、この双方の分割コネクタハウジング1と2は、先ずそれぞれの分割コネクタハウジングに接続端子を自動機で挿着した後に一体に組付けることができるように形成されている。
【0004】この両分割コネクタハウジング1及び2には、その横一列に複数個の端子収容室3が形成されており、この各端子収容室3内に、電線4を予め接続してなる接続端子5を自動機により挿着することができる。
【0005】また第1の分割コネクタハウジング1の下面4隅部には係止爪6が突設され、また第2の分割コネクタハウジング2の上面4隅部には上記それぞれの係止爪6が係止される係止孔7が穿設されている。
【0006】そして上記それぞれの分割コネクタハウジング1及び2内の各端子収容室3内に、電線4を予め接続している接続端子5を挿着する作業は、その電線4を自動機によって挟持しながら接続端子5を端子収容室3に近づけ、さらにその電線を挟持しながら接続端子を端子収容室内へ押し入れて、接続端子の挿着を終える。そしてかくして各端子収容室内への端子挿着が終えた後の第1の分割コネクタハウジング1と第2の分割コネクタハウジング2とを、係止爪6と係止孔7との係止作用によって、結合せしめれば目的とする多極コネクタが構成されるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが前記各端子収容室3内へ接続端子5を挿入するとき、電線4を挟持して行なうために、その電線4の太さが細くなると、その端子挿入時に該電線に座屈が生じやすく、これが原因で接続端子の完全収容(確実収容)が円滑になされ難く、時には挿着不良が生じたり、あるいは自動機による端子挿着が不可能となる等の問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる従来の問題点に着目してなされたもので、接続端子を挿着すべきコネクタハウジング本体及び棚枠に形成する各端子収容室上側が開口される構造となして、各接続端子をそれら端子収容室の上側開口部から、その端子収容室内に収めることができる構造となして、電線の太さに左右されることなく、それぞれの接続端子を自動機を用いてコネクタハウジング本体内及び棚枠内へセット(内装)することが容易かつ確実に行なえる組立式コネクタを提供することにある。
【0009】
【実施例】以下に本発明を図面に示す実施例に基いて詳細に説明する。
【0010】実施例1図2において、11はコネクタハウジング本体であって、このコネクタハウジング本体11は、底壁部12上に、複数の端子収容溝13を横一列かつ平行に形成する複数の隔壁14が一体形成されている。15は底壁部12の一側辺縁より起立する正面壁であって、この正面壁15には、前記の各端子収容溝13に対応する相手の端子が挿入される端子挿入孔16が穿設されていると共に、その正面壁15の上側辺縁には、ヒンジ17を介して上蓋18が起伏可能に形成されている。またこの上蓋18の両側部には、後述する係止孔と係止される係止爪19が形成されている。前記各隔壁14には、その端子収容溝13方向へ突出して後述する接続端子との係合を保持する係止突起20が設けられ、また最も外側に位置されている両側の隔壁14には係止孔21が設けられている。
【0011】22は上記コネクタハウジング本体11の各隔壁14上に載置される棚枠であって、この棚枠22にも複数の端子収容溝23を横一列かつ平行に形成するための複数の隔壁24が一体形成されている。これらの各隔壁24には、各端子収容溝23方向へ突出して接続端子との係合を保持する係止突起25が設けられ、また最も外側に位置されている両側の隔壁24には前記の上蓋18に設けられている係止爪19が係止される係止孔26が形成されている。またその棚枠22の両側より下方へ延出して、前記の係止孔21と係止される係止爪27が形成されている。
【0012】28は、電線29を予め接続している接続端子を示す。
【0013】以上が本実施例の構成であるが、次にその作用について述べると、上記コネクタハウジング本体11及び棚枠22に配列形成されているそれぞれの端子収容溝13及び23内に、不図示の自動機により運ばれてくる接続端子28を、その端子収容溝13及び23の真上から嵌合する。この嵌合動作は、自動機による単純な嵌合動作で行なうことができる。
【0014】その接続端子28が嵌合セットされた後のコネクタハウジング本体11上に、接続端子28が嵌合セットされた棚枠22を載置し、その棚枠22に設けられている係止爪27をコネクタハウジング本体11に設けられている係止孔21に係止して、コネクタハウジング本体11と棚枠22とを結合する。次いでそのコネクタハウジング本体11に設けられている上蓋18を棚枠22上に被せ、その係止爪19を棚枠22に設けられている係止孔26に係止させれば、目的とする組立式の雄型コネクタが完成される。
【0015】このように本実施例にあっては、コネクタハウジング本体11及び棚枠22に上面が開口する端子収容溝13及び23を設けて、その上面部を利用して接続端子28を各端子収容溝13,23内に嵌着する構造であるから、自動機による接続端子嵌着作業が円滑かつ容易であり、組立工数の削減が可能で生産性が向上する。
【0016】実施例2本実施例は、図3に示すもので、この実施例で示されたコネクタハウジング本体11’は、前記実施例1で示した雄型コネクタを嵌入する相手コネクタ嵌合部30を、前記実施例1と同様の複数の端子収容溝13を形成する底壁部12、隔壁14と一体に設けたものである。なお以下の説明は実施例1で示した構造と略同一構造であるので、実施例1と同一符号を付して構造の概略を述べる。つまり18はヒンジ17を介して起伏可能に設けられている上蓋、19はその上蓋の両側に設けられている係止爪、20は接続端子嵌着用の係止突起、21は係止孔を示す。22は複数の隔壁24によって複数の端子収容溝23を形成している棚枠であり、この棚枠22には、前記係止孔21の内側と係止される係止爪27が設けられている。
【0017】従って、この実施例2も、前記実施例1と同様にコネクタハウジング本体11’及び棚枠22に配列形成されているそれぞれの端子収容溝13及び23内に自動機により運ばれてくる接続端子28を、その端子収容溝13及び23の真上から嵌合する。
【0018】その接続端子28が嵌合セットされた後のコネクタハウジング本体11’上に、接続端子28が嵌合セットされた棚枠22を載置し、その棚枠22に設けられている係止爪27をコネクタハウジング本体11に設けられている係止孔21の内側に係止して、コネクタハウジング本体11’と棚枠22とを結合する。次いでそのコネクタハウジング本体11’に設けられている上蓋18を棚枠22上に被せ、その係止爪19を係止孔21の外側に係止させれば目的とする組立式の雌型コネクタが完成される。
【0019】従ってこの実施例2においても、前記実施例同様に自動機を用いて接続端子の挿着作業が円滑かつ確実になされる。
【0020】なお上記いずれの実施例においてもコネクタハウジング本体上に一枚の棚板を重ね合せる2段構造を示しているが、これに限られるものではなく、例えば2段以上の積重ね構造であってもよい。また上記実施例においては上蓋18を開閉可能に保持するヒンジ17の向きを端子収容溝の溝方向と直交する方向に設けているが、これに限るものではなく、例えばそのヒンジ向きを溝方向と平行方向に設けてもよい。更に上記上蓋18は、コネクタハウジング本体と別体としても良い。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明は、複数本の接続端子を嵌入する複数の端子収容溝を配列形成したコネクタハウジング本体11又は11’と、このコネクタハウジング本体の上記端子収容溝の開口面上に載置され、かつ複数本の接続端子を嵌入する複数の端子収容溝を配列形成した棚枠22と、上記コネクタハウジング本体上に前記棚枠を重ね合せた後、その棚枠上に被着される上蓋18を前記コネクタハウジング本体に開閉可能に設けた組立式コネクタであるから、これによれば、コネクタハウジング本体及び棚枠に設けた各端子収容溝は、その上側が開口されていることから、それら各端子収容溝内への接続端子の嵌着作業及びコネクタハウジング本体と棚枠との結合作業を自動化することが可能となり、しかも一列毎の同時嵌着も可能となり、これによって多極コネクタの組立工数の削減に伴なう生産性と経済性が向上するといった効果が得られる。又、従来例のように個別に完成体であるコネクタを重ね合わせるのではないため、相手コネクタをそれぞれの列毎の別体コネクタとして組合わせる必要がない上、各々のコネクタハウジングの壁の積み重ねとならないので重ね合わせ方向(実施例では上方)の大きさも最小限とすることができコンパクトな安いコネクタを提供できる等の効果がでるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の組立式コネクタを示した構造説明図。
【図2】本発明第1実施例の組立式コネクタを示した構造説明図。
【図3】本発明第2実施例の組立式コネクタを示した構造説明図。
【図4】本発明第1実施例における接続端子の挿着状態を示した説明図。
【符号の説明】
11…コネクタハウジング本体 12…底壁部
13…端子収容溝 14…隔壁
15…正面壁 16…端子挿入孔
17…ヒンジ 18…上蓋
19…係止爪 20…係止突起
21…係止孔 22…棚枠
23…端子収容溝 24…隔壁
25…係止突起 26…係止孔
27…係止爪 28…接続端子
29…電線 30…相手コネクタ嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本の接続端子を嵌入する複数の端子収容溝を配列形成したコネクタハウジング本体(11)又は(11’)と、このコネクタハウジング本体の上記端子収容溝の開口面上に載置され、かつ複数本の接続端子を嵌入する複数の端子収容溝を配列形成した棚枠(22)と、上記コネクタハウジング本体上に前記棚枠を重ね合せた後、その棚枠上に被着される上蓋(18)を前記コネクタハウジング本体に開閉可能に設けたことを特徴とする組立式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−138789
【公開日】平成8年(1996)5月31日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−278898
【出願日】平成6年(1994)11月14日
【出願人】(000001476)株式会社カンセイ (9)