組立式ドーム型トラスベース構造体
【課題】 太い梁材を必要とせず、フレーム部材のみによって木肌の質感を得ることができるようにする。また、フレーム部材がハブの周方向に変形するのを確実に規制し、ドーム型トラスベース構造体の強度を増大させる。
【解決手段】 非金属製のフレーム本体26と、先端部にハブ3の連結溝8に圧入嵌合される接続端部5を一体に有しフレーム本体26の各端部にそれぞれ取付けられる金属製の端部部材27とでフレーム部材25を構成する。フレーム本体26は、木材または繊維強化樹脂によって形成される。合成樹脂の場合は、表面に木目模様の印刷が施される。また、ドーム型トラスベース構造体の少なくとも弱点部位におけるハブ3およびフレーム部材25の端部をカバー21によって上下方向から覆い、両カバーの内側に隣り合うフレーム部材25の端部間の空間を埋める突起状規制部22を周方向に間隔をおいて一体に成形する。
【解決手段】 非金属製のフレーム本体26と、先端部にハブ3の連結溝8に圧入嵌合される接続端部5を一体に有しフレーム本体26の各端部にそれぞれ取付けられる金属製の端部部材27とでフレーム部材25を構成する。フレーム本体26は、木材または繊維強化樹脂によって形成される。合成樹脂の場合は、表面に木目模様の印刷が施される。また、ドーム型トラスベース構造体の少なくとも弱点部位におけるハブ3およびフレーム部材25の端部をカバー21によって上下方向から覆い、両カバーの内側に隣り合うフレーム部材25の端部間の空間を埋める突起状規制部22を周方向に間隔をおいて一体に成形する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジョイントによってパイプ、押出型材のような任意の断面形状を有し構造材を構成するフレーム部材を順次接続して組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本件の組立式立体トラス構造物は、フレーム部材をジョイント(ハブ)によって接続することにより構築されるもので、組立においてボルトや溶接による接合を必要としないため組立作業が簡単で、高い継手効率が得られ、スマートで高い採光性と広い無柱空間が得られるなどの優れた特徴を有していることから、野外コンサートホール、ガソリンスタンド、プール、展示場等の屋根、ビルの側面外壁、植物園用ドーム、寺院ドーム等に広く採用されている。
【0003】このような組立式立体トラス構造物のうち、円筒ジョイント方式を採用したものは、トラス格点に円筒ハブを使用し、これによってフレーム部材を順次連結している(米国特許第2,931,467号、実開平2−98121号公報、特開平7−102633号公報等)。このような組立式立体トラス構造物とは、トラス部分がドーム型、モスク型、ピラミッド型、フラットストラクチャー型、あるいはバレルヴォールト型等の形状を呈するトラス構造体があるが、それらが独立した構築物とされる場合並びに構築物の一部の構造部分として併設される構造物とされる場合なども含まれる。これらのトラス構造体の中、本発明はドーム型トラス構造物を対象とする。
【0004】図28(A)、(B)は従来の円筒ジョイント方式を採用した組立式立体トラス構造物におけるトラスベースの一例を示すドーム型トラスベース構造体の平面図および正面図、図29はトラス格点を形成する接合構造を示す分解斜視図、図30(A)、(B)、(C)はフレーム部材の正面図、平面図および側面図である。これらの図において、1はドーム状のトラス構造物におけるトラスベース構造体で、多数のフレーム部材2と、これらのフレーム部材2を接続する円筒状ハブ(以下、単にハブという)3とで構成されている。
【0005】フレーム部材2は、通常アルミニウム合金等の直管からなり、その両端部を塑性加工によって偏平状の接続端部5とし、さらにその両面にディンプルと称する凹凸4を設けている。
【0006】ハブ3は、通常アルミニウム合金(例:Al−Mg−Si系合金)製の押出型材、鍛造品等によって円筒体に形成され、中心にボルト挿通孔6を有している。また、ハブ3の外周面には、溝壁面に凹凸7を有する6個の連結溝(スロット)8が放射状に形成され、この連結溝8に前記フレーム部材2の接続端部5が軸線方向から圧入嵌合されることによりフレーム部材2を互いに接続し、トラス格点を形成している。ボルト9はボルト挿通孔6に挿通され、その上下の突出端部にワッシャ10および保持板11が嵌装され、ナット12の締結によって保持板11をハブ3の上下面に押し付けることで、接続端部5が連結溝8から抜けるのを防止している。また、このボルト9と保持板11は、ルーフパネル部材をハブ3上に取り付けるためにも利用される。そして、このトラス格点をフレーム部材2で連結することにより組立式トラスベース構造体1が構築され、さらにその上を屋根部材で覆うとドーム型トラス構造物が完成する。
【0007】このようなトラスベース構造体1の接合構造においては、フレーム部材2の端部に偏平状に押し潰された接続端部5を一体に設けているので、連結部材の部品点数が削減できるとともに、立体曲面構造の構造物を構築する場合には、ハブ3の連結溝8間に割り角度θ以外に接続部に3つの角度付け(コイン角α、ベンド角β、ツイスト角γ)をすることによってフレーム部材自体での任意の球面度を出すことができる。また、ハブ3の軸線方向(面外方向)の負荷に対しては耐力が高く、設計上は一層のトラスでよいのでトラスベース構造体を簡略化することができる。なお、コイン角αは接続端部5のフレー謀反Tないの軸方向に対する切断角度、ベンド角βはフレーム部材2の軸線と接続端部5の軸線とのなす角度、ツイスト角γはフレーム部材2を介して隣合い高さおよびハブ軸方向の曲率中心位置が異なるハブ間の連結溝を連結するフレーム部材における接続端部間のなす角度である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来のトラスベース構造体は、いずれもフレーム部材2をアルミニウム合金によって製作していた。しかしながら、金属製のトラスベース構造体は、質感が冷たく馴染み難いため近年自然指向の傾向が強くなり、木肌の質感が注目されている。そこで、フレーム部材2全体を木材で製作することも考えられているが、その場合は強度上、特に接続端部の強度に難点があることから金属製のフレーム部材と木材からなる太い梁材を併用してトラスベース構造体を構築したものが出現している。しかし、太い梁材は、資源的に乏しく高価で入手が困難であるという難点があった。特に、直径が50m程度に及ぶ大型のドーム型トラスベース構造体には不向きである。
【0009】また、上記した従来の組立式トラスにおけるトラスベース構造体の接合構造において、フレーム部材2の接続端部5はハブ3の軸線方向(面外方向)に長い偏平状に形成されていることから、ハブ3の軸線方向の外力に対しては強度的に特に問題はない。しかし、ハブ3の面内方向(ハブの円周方向)に対しては相対的に弱く、そのため大型のドーム型トラスベース構造体にあって積雪、地震等でフレーム部材2に軸線方向の圧縮または引張荷重が不均一に加わった場合、特にドームの弱点部位における終局破壊形態として接続端部5の付根部5aがトラス面内において周方向に変形して折れ曲がり、部分的に破壊したり構造物全体が破壊するおそれが想定され、今までのニーズと設計技術とから実用的には直径50m程度のドームになっていた。
【0010】特に、図28に示すようなドーム体の場合に、頂点から下方への角度出しのために複数箇所に三角形以外の異形部分、本図では1Aおよび1Bの円周方向に四角形部分が現れている。このような部分のハブ並びに連結したハブではハブの6スロットの中5スロットにフレーム部材が嵌合され、1スロットが空いた状態になるため他の部分よりバランスが異なるためにトラス構造体での弱点部分となり易い。この部分を優先的に補強するのが効果的であり、コスト的に許容されれば全てのトラス格点を補強すればより望ましい。また、このような弱点部分に相当するものとして、トラス構造物の基台部への取付部である柱脚部などにも部分的にスロットにフレーム部材が嵌合されないものが現れるので、このような部位にも適用することができる。
【0011】そのため、大きな構造物を構築するためには、厚肉パイプからなるフレーム部材を使用したり、フレーム部材の長さを短くしたり、あるいは上記した特開平7−102633号公報に開示されているように補強板を接続端部5に設けるなど種々の対策を講じている。
【0012】しかしながら、厚肉パイプを使用すると、トラスベース構造体自体の重量が増加し、フレーム部材2を短くすると、フレーム部材2およびトラス格点の数が増加するため組立作業に時間を要する。また、補強板を用いると、部品点数が増加し接続端部5の製作が面倒であるばかりか、接続端部5の厚みが増大するため、連結溝8の溝幅が大きくなり、ハブ3の径も比例して大きくなりハブ3による重量も大きくなるという不具合があった。
【0013】本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、太い梁材を必要とせずフレーム部材のみによって木肌の質感を得ることができるようにした組立式ドーム型トラスベース構造体を提供することにある。また、本発明は、上記発明において、比較的簡単な構成でフレーム部材がハブの周方向に変形するのを確実に規制し、トラス構造物の強度を増大させることができるようにした組立式ドーム型トラスベース構造体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したことを特徴とする。また、第二の本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたことを特徴とする。また、第三の本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したことを特徴とする。また、第四の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を木材で形成したことを特徴とする。また、第五の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を繊維強化した合成樹脂で形成し、表面に木目模様の印刷を施したことを特徴とする。さらに、第六の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、端部部材をアルミニウム合金の押出型材で形成したことを特徴とする。
【0015】本発明において、隣接するフレーム部材の端部間の空間に介在される規制部は、フレーム部材の割り角度θを保持しフレーム部材の周方向の変形を規制する。分割ハブ間に介在された回転規制部材は、外径が円筒状ハブの外径より大きく、フレーム部材の接続端部よりも中央部側において当接するので、フレーム部材が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材がハブの周方向に変形するのを規制する。隣接するフレーム部材の端部間の空間に介在される補強部材は、フレーム部材の割り角度θを保持しフレーム部材の周方向の変形を規制する。フレーム本体を木材で形成すると、木肌の質感が得られ、自然指向に叶っている。フレーム本体を繊維強化合成樹脂で形成し、その表面に木目模様の印刷を施すと、木材と殆ど変わらない質感が得られる。金属製の端部部材は、その扁平な接続端部が従来の金属製フレーム部材の接続端部と同等の機械的強度を有しているので、大型の構造物に対しても適用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るドーム型トラスベース構造体の接合構造部の一実施の形態を示す平面図、図2は同接合構造部の正面図、図3は図2R>2のA−A線断面図、図4はカバーを取り外した斜視図、図5(a)、(b)は他の形態における端部部材を適用するケースでのフレーム部材の一部を省略した断面図および正面図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材等と同一のものについては同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。また、図3においては1本のフレーム部材のみを示し、他のフレーム部材については図示を省略している。これらの図において、本実施の形態においては、筒状を呈するカバー21によってハブ3とフレーム部材2の端部を上下から覆い、このカバー21の内部に一体に設けた規制部22を隣合うフレーム部材25の端部間の空間に介在させることによりフレーム部材25の割り角度θを保持するようにしている。また、フレーム部材25を分割して形成することにより、非金属製のフレーム本体26と、このフレーム本体26の各端部にそれぞれ取付けられる同一形状からなる2つの金属製端部部材27とで構成している。そして、端部部材27の形態例を図4と図5に例示する。
【0017】前記ハブ3は、従来用いられているものと同様にアルミニウム合金の押出型材または鍛造品によって製作される。連結溝8の数は、図28に示すドーム型および図27に示すモスク型の場合、通常6つである。なお、弱点部分のハブについては、フレーム部材が嵌合されない連結溝には、通常短尺のダミー材が嵌合されるが、所望によって弱点部分のハブについては連結されるフレーム部材数に対応する連結溝数のものとすることもできる。
【0018】前記カバー21は、図29に示す上下一対の保持板11を兼ね備え、ボルト9およびナット12によってハブ3の上下面に固定されることにより、フレーム部材25の接続端部5がハブ3の連結溝8からハブ3の軸線方向に抜けるのを防止する。このようなカバー21は、高さ方向中央において上下に分割して形成されることにより同一形状からなる2つの部材21A,21Bで構成されている。部材21A,21Bは、ハブ3より十分に大きな外径を有する円板状に形成され、その中央には前記ボルト9が挿通されるボルト挿通孔23が形成され、ハブ3と対向する面には6つの規制部22が周方向に等間隔をおいて一体に突設されている。規制部22は、図3に示すように断面形状が略五角形(または三角形)を呈する突状体に形成され、その頂部22aが部材21A,21Bの中心を指向し、ハブ3の外周面に近接もしくは当接している。隣合う規制部22間に設けられた溝24は、溝幅が部材21A,21Bの中心側において小さく、外周側に向かって大きくなるように形成されている。また、部材21A,21Bの中央において互いに連通している。言い換えれば、6つの溝24は放射状に形成され、これらの溝24を仕切る仕切壁がフレーム部材25の左右方向(図1の矢印A,B方向)の回転を規制する規制部22を構成している。なお、カバー21はアルミニウムなどの金属、繊維強化プラスチック、もしくはこれらの組み合わたものから製作することができる。
【0019】図5において、前記フレーム部材25を構成するフレーム本体26は、長さが1〜3m程度で、直径が3〜15cmの木材または繊維強化合成樹脂によって形成され、両端部に前記端部部材27aを締結固定するためのボルト30が挿通される図示しないボルト取付孔が側面方向に貫通して形成されている。なお、図4においてはボルト30の図示を省略している。フレーム本体26としては、丸材に限らず種々の形状とすることが可能であり、例えば角材を用いたり、あるいは図6に示すように中央部の断面形状が角形で、端部が丸形のものであってもよい。
【0020】フレーム本体26の材質としては、木材の場合、杉、桧、松、米松、樫、欅、ラワン材、レッドウッド、ジラ、ボンゴン等の木材を、含浸強化材、防腐剤、表面汚染防止材、強化剤等によって処理したものが用いられる。合成樹脂の場合は、繊維強化樹脂(FRP)が用いられ、表面に木目模様が印刷される。
【0021】端部部材27は、通常JISA6063合金のT6調質材(特殊な場合はSUS304)のパイプからなる押出型材を所定長さに切断し、プレス加工することにより製作されるもので、円筒状の基部27aと、ハブ3の連結溝8に圧入嵌合される接続端部5と、この接続端部5と基部27aを連結する連結部27bとからなり、基部27aがフレーム本体26の端部に嵌合され、それぞれ4つのボルト30およびナット31によって締結固定される。連結部27bは、プレス加工により両側から押し潰されることにより平面視形状が略三角形で、図3に示すように前記カバー21の溝24に嵌合される。したがって、各フレーム部材25の接続端部5をハブ3の連結溝8にそれぞれ圧入嵌合した後、2つの部材21A,21Bをハブ3にその上下方向から被冠して溝24にフレーム部材25の連結部27bを挿入すると、その側面が溝壁に密接するため、規制部22が全てのフレーム部材25の左右方向の回転を完全に規制する。そして、ボルト9をカバー21およびハブ3のボルト挿通孔6に挿通してナット12を締結すると、カバー21をハブ3に取り付けることができる。なお、接続端部5の両面には、従来と同様、ディンプルと称する凹凸4が形成されている。
【0022】このような端部部材27は、構築するトラスベース構造体の大きさに応じて大きさが異なるが、通常肉厚が3〜12mm、接続端部5の長さが5〜30mm、接続端部5の嵌合長さが5〜20mm程度とされる。
【0023】このような構成からなるフレーム部材25は、ドーム型またはモスク型トラスベース構造体を構築する場合、従来のフレーム部材2と同様に、所定のコイン角α、ベンド角βおよびツイスト角γ(図30参照)が付与される。
【0024】フレーム部材25を組立てるには、端部部材27の基部27aをフレーム本体26の端部に嵌合してボルト30およびナット31で締結すればよい。また、トラスベース構造体の組立てに際しては、端部部材27の接続端部5をハブ3の連結溝8に順次圧入嵌合してカバー21をハブ3とフレーム部材25の端部に固定していくと、ドーム型トラスベース構造体を構築することができる。
【0025】このような構造からなるドーム型トラスベース構造体においては、木材または表面に木目模様の印刷が施された繊維強化合成樹脂によって形成されたフレーム本体26と、このフレーム本体26の各端部に接続された金属製の端部部材27とでフレーム部材25を構成したので、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさを得ることができ、その使用環境に応じて組立式トラス構造物への親近感さらには居心地性を向上させることができる。
【0026】また、フレーム部材25は端部部材27を金属で形成しているので、従来の金属製フレーム部材2に比べて強度的に何ら問題がなく、大型のトラスベース構造体の構築にも適用することが可能である。例えば、ドーム型およびモスク型の場合は、木質フレーム本体を使用するときドーム径が2mから70m級のトラスベース構造体の構築が可能である。さらに、端部部材27は、アルミニウム合金の押出型材によって製作されるため、従来の設備をそのまま使用して製作することができ、しかも長さが短かいので軽くて取扱い性に優れ、穴明け工程時等において有利である。
【0027】また、本発明においては、カバー21の規制部22によって隣り合うフレーム部材25の割り角度θを一定に保持するようにしているので、フレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、ハブ3に周方向の回転モーメントが発生せず、ハブ3の面内方向(図1の矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。したがって、フレーム部材2の接続端部5が面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の強度を増大させることができる。また、カバー21に規制部22を設けているので、厚肉のパイプで端部部材27を形成したり、フレーム本体26を短くしたり、あるいは接続端部5に補強板を設けたりする必要がない。さらに、カバー21の構造も簡単で容易に鋳造法などで製作することができる。
【0028】図7は本発明の他の実施の形態を示すドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図、図8は同接合構造部の正面図、図9は図8のB−B線断面図である。この実施の形態においては、6つの突状規制部22が一体に形成された第1の部材21Cと、円板状に形成され規制部22を備えない第2の部材21Dとでカバー21を構成している。その他の構成は上記した実施の形態と同じである。
【0029】図10は本発明のさらに他の実施の形態を示す組立式ドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図、図11は同接合構造部の正面図、図12は図13R>3のC−C線断面図である。トラスベース構造体の周端部にあって基台への取付部位である柱脚部並びに異形メッシュでの弱点部分などでは3〜5本のフレーム部材2が連結されるので、ハブ3の連結溝8に空きができる。その場合は、図に示すように大きさの異なる2種類の突状規制部22(22A,22B)をカバー21に設け、隣合うフレーム部材2の端部間の空間にそれぞれ介在させればよい。カバー21は、図1〜図3に示した実施の形態と同様に高さ方向中央で上下に分割されることにより同一形状の規制部材を形成してなる2つの部材21A,21Bによって形成される。その他の構成は上記した実施の形態と同様である。なお、この場合、図8に示すように一方のカバー部材に規制部材を設けることができることは勿論である。
【0030】図13は本発明のさらに他の実施の形態を示すドーム型トラスベース構造体の接合構造部の主要部品を示す分解斜視図で、図29に示したボルト9と保持板11を省略した状態で描かれている。本実施の形態においては、少なくともトラスベース構造体の弱点部分に属する位置の円筒状ハブ3をその軸線方向の略中央で上下に分割した2つの分割ハブ3A,3Aで構成し、これらの分割ハブ3A,3Aの間に回転規制部材31を介在させ、これらを図29に示した一対の保持板11を介してボルト9およびナット12により締結している。フレーム部材25は、図5に示したものと同一である。
【0031】各分割ハブ3Aは、アルミニウム合金の押出成形によって製作され、その外周にはフレーム部材25の接続端部5が圧入嵌合される複数個の連結溝8が放射状に形成されている。また、連結溝8の溝壁面には凹凸(ディンプル)7が全長にわたって形成され、この連結溝8にフレーム部材2の接続端部5が軸線方向から圧入嵌合されることによりフレーム部材25を互いに接続し、トラス格点を形成している。
【0032】前記回転規制部材31は、適宜な板厚を有する円板状に形成されて外径が分割ハブ3Aの外径より大きく、外周にはフレーム部材25の接続端部5が圧入嵌合される複数個の嵌合溝32が放射状に形成されている。この嵌合溝32の奥側溝壁面には、凹凸33が前記分割ハブ3Aの凹凸7と対応して一致するように形成され、開放部は外側に向かって広がる扇形状に形成されている。
【0033】このような回転規制部材31としては、種々の製造方法によって製作することができるが、量産する場合はアルミ押出材を輪切りにして製作する。また、少量生産時にはアルミニウム合金等からなる板材をレーザー切断したり、ダイキャスト鋳造によって製作する。
【0034】このような構造からなる接合構造においては、2つの分割ハブ3Aの間にこれらより外径が大きい回転規制部材31を介在させ、その嵌合溝32の開放部側溝壁面をフレーム部材25の連結部27bの傾斜した側面に密接させているので、フレーム部材25に対して回転規制部材31が支えとなり、隣合うフレーム部材25の割り角度(θ)を一定に保持する。したがって、局部的にフレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材25がハブ3の周方向に回転するような回転モーメントが発生せず、フレーム部材25の面内方向(矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、端部部材27の接続端部5がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の全体強度を増大させることができる。
【0035】また、分割ハブ3Aは、接続端部5の長さから回転規制部材31の板厚を引いた長さの1/2の長さに形成するだけでよいので、形状を設計変更せずに利用できる。また、アルミ押出材を輪切りにして形成した回転規制部材31は、大量に使用する場合、低コストで製作できる。一方、少量生産時には板材をレーザー切断して形成することにより、アルミ押出型材を製作するための押出ダイスの製作が不要で、コスト上有利である。
【0036】図14は本発明のさらに他の実施の形態を示す分解斜視図である。この実施の形態においては、回転規制部材31Aをダイキャスト鋳造によって製作し、この回転規制部材31のフレーム部材25の接続端部5より外側となる外周部31aを内周部31bより厚肉に形成している。また、回転規制部材31Aの上下面中央部に上方、下方側の分割ハブ3Aが嵌合する凹陥部35を形成している。更に、所望によって厚肉の外周部31aの上下面側に凹部36を形成し、これによって軽量化を図ってもよい。これらは鋳造法や鍛造法によって製作される。
【0037】このような回転規制部材31Aにおいては、フレーム部材25を構成する端部部材27の連結部27bが当接する外周部31aの肉厚が上記した実施の形態に比べて大であるため、フレーム部材25の面内方向の回転に対する抵抗力をより一層増大させることができる。その結果、接続端部5がドームの面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の全体強度を増大させることができる。また、回転規制部材31Aをダイキャスト鋳造で製作すると、切削加工によって製作したものと比較して安価である。なお、本実施の形態においては、回転規制部材31Aの上面側に凹部35を形成したが、下面側または上下両面に凹部を形成したものであってもよい。また、これらの回転規制部材における嵌合溝の数は、ハブへのフレーム部材の嵌合数に対応するものとされる。
【0038】図15は本発明のさらに他の実施の形態を示す接合構造部の平面図、図16は同接合構造部の正面図、図17は図16のD−D線断面図である。これらの図において、本実施の形態においては、筒状を呈するカバー40によってハブ3とフレーム部材25の端部を上下から覆い、このカバー40の内部に設けた6つの補強部材42を隣合うフレーム部材25の端部間の空間に介在させることによりフレーム部材25の割り角度θを保持するようにしている。フレーム部材25は図5に示したものと同一である。なお、ハブに5本のフレーム部材が連結される場合には補強部材42も5個となる。
【0039】カバー40は、図29に示す上下一対の保持板11を兼ね備え、またボルト9およびナット12によって円筒状ハブ3の上下面に締結固定されることにより、フレーム部材25の接続端部5がハブ3の連結溝8からハブ3の軸線方向に抜けるのを防止している。このようなカバー40は、アルミニウム、強化プラスチック、もしくはこれらの組み合わたものによって上下方向に分割して形成されることにより略同一形状からなる2つの部材41A,41Bで構成されている。部材41A,41Bは、ハブ3より大きな外径を有する円筒状に形成され、その対向面には図18および図19に示すようにハブ3の端部外周面が嵌合する凹陥部43がそれぞれ形成され、また中央には前記ボルト9が挿通されるボルト挿通孔44が形成されている。さらに、下側の部材41Bの凹陥部43の底面中央には前記挿通孔44を取り囲む筒部45が上方へ向かって一体に突設されており、この筒部45上には前記ハブ3が載置される。ハブ3と筒部45の外径は略等しい。
【0040】前記補強部材42は、図17および図20に示すように断面形状が略扇形状を呈する中空体に形成され、隣合う端部部材27の間に介在されることにより左右両側面42aが隣合うフレーム部材25の連結部27bの側面に密接し、外側円弧部42bの上下端部が前記各部材41A,41Bの内周面、すなわち凹陥部43を取り囲む周壁部41aの内面に密接する。このような補強部材42としては、アルミニウム合金の押出型材、強化プラスチックの押出型材等によって形成される。なお、補強部材42は同形の扇形中空体となし得るが、金属製の場合、高重量化するので余り好ましくないが、強力プラスチック製であれば適用できる。
【0041】このような構成において、各端部部材27の接続端部5をハブ3の連結溝8に圧入嵌合した後、下側の部材41Bをハブ3の下端側外周面に下から嵌合して隣合う端部部材27間に補強部材42を嵌装し、しかる後上側の部材41Aをハブ3の上端側外周面に嵌合する。そして、ボルト9をカバー41およびハブ3のボルト挿通孔に挿通してナット12で締結すると、ドーム型トラスベース構造体のトラス格点を形成することができる。
【0042】トラスベース構造体の組立に際しては、上記のカバー40と補強部材42を備えたハブ3をトラス格点の弱点部分に設け、他の部位では従来型のハブを用いてトラスベース構造体を構築したりあるいは全てのトラス格点にカバー40と補強部材42を用いて構築することができ、その全体構造の外観は図28と同様なものとなる。
【0043】このような構造からなるカバー40と補強部材42を用いて組み立てたトラスベース構造体の接合構造においては、補強部材42によってフレーム部材25の割り角度θを一定に保持するようにしているので、フレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、ハブ3に周方向の回転モーメントが発生した場合においても、ハブ3の面内方向(矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。したがって、フレーム部材25の接続端部5の付根部が面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の強度を増大させることができる。また、補強部材42を用いているので、厚肉のパイプでフレーム部材25を形成したり、フレーム部材25を短くしたり、あるいは接続端部5に補強板を設けたりする必要がない。さらに、カバー40の構造も簡単で容易に製作することができる。
【0044】図21(A)〜(D)はそれぞれ補強部材42の他の実施の形態を示す平面図である。補強部材42の形状としては、上記した実施の形態において示した扇形中空部材に限らず種々の形状とすることができる。例えば、円筒状ハブの中心に向かって幅が連続的に狭くなる断面Hの字状部材(A)や、同じくハブの中心に向かって幅が連続的に狭くなる断面梯子状部材(B)を補強部材として用いてもよい。また、ハブの周方向に延在しフレーム部材の端部側面に当接する3つの当接部42c,42d,42eの長さが異なりハブの中心に近いものほど短い辺になっている断面王の字状部材(C)、同じくハブの周方向に延在しフレーム部材の端部側面に当接する2つの当接部42f,42gの長さが異なり、ハブの中心に近い当接部42gが外側の当接部42fより短い辺になっている断面エの字状部材(D)を補強部材としてもよい。
【0045】図22は本発明の補強部材の取付状態を示すトラスベース構造体の接合構造部の概念図である。この実施の形態においては、下側の部材41Bの凹陥部の底面中央に突設される筒部45の高さを十分に高くして部材41Bの上方に突出させ、その上にハブ3を載置している。このように筒部45を高く形成すると、フレーム部材25の高さが高くなり、フレーム部材25の下面が前記部材41Bの上面に接触しないようにすることができる。なお、その他の構成は図15〜図17に示した実施の形態と同じである。
【0046】次に、フレーム部材、特にその中の端部部材の他の実施の形態について説明する。図23(a)は端部部材の他の実施の形態を示す一部を省略した正面図、(b)は(a)図のII−II線矢視断面図であり、図2424はこの端部部材の製作を示す斜視図である。また、図25は図23のIII −III 線矢視断面図であり、図26R>6はそれに用いられるブロックの斜視図である。この実施の形態においては、フレーム本体26の端部を円柱体に形成し、中央部を角柱体に形成している。端部部材27Aは図1に示した端部部材と同様に形成され、その基部27aが2本のボルト30およびナット31によってフレーム本体26の端部に締結固定される。また、フレーム本体26の端部を、合成樹脂等によって図26に示すような形状に形成された2つのブロック60で挾み、これらのブロック60をボルト61およびナット62によって締結固定している。
【0047】なお、この場合、端部部材27Aは、押出成形素体をコイン角相当分斜めにして切断して製作される(図24参照)し、フレーム部材26の端部を丸棒状とすることによってツイスト角に対する角度付けが容易になるとともに、ブロック60によって適切に固定される。また、63は補強固定用のプレートであるが、必ずしも必要ではなく、本発明は上記した実施の形態に特定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。例えば、ハブ3および端部部材27,27A等をステンレス製のものとすることも適宜成し得ることである。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したので、フレーム本体を木材で形成したりあるいは繊維強化合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができ、組立式トラス構造物への親近感さらには居心地性を向上させることができる。また、太くて長い梁材を必要とせず、木材の入手が容易である。また、金属製のフレーム部材と比較して機械的に何ら問題がなく、大型の構造物に対しても適用可能である。さらに、端部部材は、長さが短く、軽くて取扱い性に優れ、孔明け工程時等において有利である。
【0049】また、カバーの突起状規制部によって隣り合うフレーム部材の割り角度を一定に保持しているので、積雪や地震などによってフレーム部材が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材にハブの周方向の回転モーメントが発生せず、フレーム部材の面内方向の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、フレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができる。
【0050】また、本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたので、上記発明と同様にフレーム部材の面内方向の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、フレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができる。また、フレーム本体を木材で形成したりあるいは合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができる。
【0051】さらに、本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベースの少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したので、上記発明と同様にフレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができ、特に従来困難であったドーム型やモスク型などの大型トラスを構築することが可能となる。また、フレーム本体を木材で形成したりあるいは合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、上記した発明と同様に木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトラスベース構造体の接合構造部の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】 図1に示す接合構造部の正面図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 カバーを取り外した斜視図である。
【図5】 (a)、(b)はフレーム部材の断面図および正面図である。側面図である。
【図6】 フレーム本体の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】 本発明の他の実施の形態を示すトラスベース構造体の接合構造部の平面図である。
【図8】 図7の接合構造部の正面図である。
【図9】 図8のB−B線断面図である。
【図10】 本発明のさらに他の実施の形態を示す組立式ドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図である。
【図11】 図10の接合構造部の正面図である。
【図12】 図11のC−C線断面図である。
【図13】 本発明のさらに他の実施の形態を示すトラスベース構造体の接合構造部の主要部品を示す分解斜視図である。
【図14】 本発明のさらに他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図15】 本発明のさらに他の実施の形態を示す接合構造部の平面図である。
【図16】 図15の接合構造部の正面図である。
【図17】 図16のD−D線断面図である。こ
【図18】 (A)、(B)は上側のカバーの底面図および一部を破断して示す側面図である。
【図19】 (A)、(B)は下側のカバーの底面図および一部を破断して示す側面図である。
【図20】 (A)、(B)は補強部材の正面図および一部を破断して示す側面図である。
【図21】 (A)〜(D)はそれぞれ補強部材の他の実施の形態を示す平面図である。
【図22】 本発明の補強部材の取付状態を示すトラスベース構造体の接合構造部の概念図である。
【図23】 (a)、(b)は端部部材の他の実施の形態を示す一部を省略した正面図および断面図である。
【図24】 押出成形素体から端部部材を切り出す態様を示す斜視図である。
【図25】 図23のIII −III 線矢視断面図である。
【図26】 図25に示すブロックの斜視図である。
【図27】 モスク型トラスベース構造体の正面図である。
【図28】 (A)、(B)は組立式ドーム型トラスベース構造体の平面図および正面図である。
【図29】 従来のトラス格点を形成する接合構造部を示す分解斜視図である。
【図30】 (A)、(B)、(C)はフレーム部材の正面図、平面図および側面図である。
【符号の説明】
1…ドーム型トラスベース構造体、1A,1B…弱点部分、2,2A…フレーム部材、3…ハブ、5…接続端部、8…連結溝、9…ボルト、21…カバー、21A,21B…部材、22…規制部、24…溝、25…フレーム部材、26…フレーム本体、27,27A…端部部材、27a…基部、27b…連結部、31…回転規制部材、32…嵌合溝、40…カバー、41A,41B…部材、42…補強部材、60…ブロック。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジョイントによってパイプ、押出型材のような任意の断面形状を有し構造材を構成するフレーム部材を順次接続して組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本件の組立式立体トラス構造物は、フレーム部材をジョイント(ハブ)によって接続することにより構築されるもので、組立においてボルトや溶接による接合を必要としないため組立作業が簡単で、高い継手効率が得られ、スマートで高い採光性と広い無柱空間が得られるなどの優れた特徴を有していることから、野外コンサートホール、ガソリンスタンド、プール、展示場等の屋根、ビルの側面外壁、植物園用ドーム、寺院ドーム等に広く採用されている。
【0003】このような組立式立体トラス構造物のうち、円筒ジョイント方式を採用したものは、トラス格点に円筒ハブを使用し、これによってフレーム部材を順次連結している(米国特許第2,931,467号、実開平2−98121号公報、特開平7−102633号公報等)。このような組立式立体トラス構造物とは、トラス部分がドーム型、モスク型、ピラミッド型、フラットストラクチャー型、あるいはバレルヴォールト型等の形状を呈するトラス構造体があるが、それらが独立した構築物とされる場合並びに構築物の一部の構造部分として併設される構造物とされる場合なども含まれる。これらのトラス構造体の中、本発明はドーム型トラス構造物を対象とする。
【0004】図28(A)、(B)は従来の円筒ジョイント方式を採用した組立式立体トラス構造物におけるトラスベースの一例を示すドーム型トラスベース構造体の平面図および正面図、図29はトラス格点を形成する接合構造を示す分解斜視図、図30(A)、(B)、(C)はフレーム部材の正面図、平面図および側面図である。これらの図において、1はドーム状のトラス構造物におけるトラスベース構造体で、多数のフレーム部材2と、これらのフレーム部材2を接続する円筒状ハブ(以下、単にハブという)3とで構成されている。
【0005】フレーム部材2は、通常アルミニウム合金等の直管からなり、その両端部を塑性加工によって偏平状の接続端部5とし、さらにその両面にディンプルと称する凹凸4を設けている。
【0006】ハブ3は、通常アルミニウム合金(例:Al−Mg−Si系合金)製の押出型材、鍛造品等によって円筒体に形成され、中心にボルト挿通孔6を有している。また、ハブ3の外周面には、溝壁面に凹凸7を有する6個の連結溝(スロット)8が放射状に形成され、この連結溝8に前記フレーム部材2の接続端部5が軸線方向から圧入嵌合されることによりフレーム部材2を互いに接続し、トラス格点を形成している。ボルト9はボルト挿通孔6に挿通され、その上下の突出端部にワッシャ10および保持板11が嵌装され、ナット12の締結によって保持板11をハブ3の上下面に押し付けることで、接続端部5が連結溝8から抜けるのを防止している。また、このボルト9と保持板11は、ルーフパネル部材をハブ3上に取り付けるためにも利用される。そして、このトラス格点をフレーム部材2で連結することにより組立式トラスベース構造体1が構築され、さらにその上を屋根部材で覆うとドーム型トラス構造物が完成する。
【0007】このようなトラスベース構造体1の接合構造においては、フレーム部材2の端部に偏平状に押し潰された接続端部5を一体に設けているので、連結部材の部品点数が削減できるとともに、立体曲面構造の構造物を構築する場合には、ハブ3の連結溝8間に割り角度θ以外に接続部に3つの角度付け(コイン角α、ベンド角β、ツイスト角γ)をすることによってフレーム部材自体での任意の球面度を出すことができる。また、ハブ3の軸線方向(面外方向)の負荷に対しては耐力が高く、設計上は一層のトラスでよいのでトラスベース構造体を簡略化することができる。なお、コイン角αは接続端部5のフレー謀反Tないの軸方向に対する切断角度、ベンド角βはフレーム部材2の軸線と接続端部5の軸線とのなす角度、ツイスト角γはフレーム部材2を介して隣合い高さおよびハブ軸方向の曲率中心位置が異なるハブ間の連結溝を連結するフレーム部材における接続端部間のなす角度である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来のトラスベース構造体は、いずれもフレーム部材2をアルミニウム合金によって製作していた。しかしながら、金属製のトラスベース構造体は、質感が冷たく馴染み難いため近年自然指向の傾向が強くなり、木肌の質感が注目されている。そこで、フレーム部材2全体を木材で製作することも考えられているが、その場合は強度上、特に接続端部の強度に難点があることから金属製のフレーム部材と木材からなる太い梁材を併用してトラスベース構造体を構築したものが出現している。しかし、太い梁材は、資源的に乏しく高価で入手が困難であるという難点があった。特に、直径が50m程度に及ぶ大型のドーム型トラスベース構造体には不向きである。
【0009】また、上記した従来の組立式トラスにおけるトラスベース構造体の接合構造において、フレーム部材2の接続端部5はハブ3の軸線方向(面外方向)に長い偏平状に形成されていることから、ハブ3の軸線方向の外力に対しては強度的に特に問題はない。しかし、ハブ3の面内方向(ハブの円周方向)に対しては相対的に弱く、そのため大型のドーム型トラスベース構造体にあって積雪、地震等でフレーム部材2に軸線方向の圧縮または引張荷重が不均一に加わった場合、特にドームの弱点部位における終局破壊形態として接続端部5の付根部5aがトラス面内において周方向に変形して折れ曲がり、部分的に破壊したり構造物全体が破壊するおそれが想定され、今までのニーズと設計技術とから実用的には直径50m程度のドームになっていた。
【0010】特に、図28に示すようなドーム体の場合に、頂点から下方への角度出しのために複数箇所に三角形以外の異形部分、本図では1Aおよび1Bの円周方向に四角形部分が現れている。このような部分のハブ並びに連結したハブではハブの6スロットの中5スロットにフレーム部材が嵌合され、1スロットが空いた状態になるため他の部分よりバランスが異なるためにトラス構造体での弱点部分となり易い。この部分を優先的に補強するのが効果的であり、コスト的に許容されれば全てのトラス格点を補強すればより望ましい。また、このような弱点部分に相当するものとして、トラス構造物の基台部への取付部である柱脚部などにも部分的にスロットにフレーム部材が嵌合されないものが現れるので、このような部位にも適用することができる。
【0011】そのため、大きな構造物を構築するためには、厚肉パイプからなるフレーム部材を使用したり、フレーム部材の長さを短くしたり、あるいは上記した特開平7−102633号公報に開示されているように補強板を接続端部5に設けるなど種々の対策を講じている。
【0012】しかしながら、厚肉パイプを使用すると、トラスベース構造体自体の重量が増加し、フレーム部材2を短くすると、フレーム部材2およびトラス格点の数が増加するため組立作業に時間を要する。また、補強板を用いると、部品点数が増加し接続端部5の製作が面倒であるばかりか、接続端部5の厚みが増大するため、連結溝8の溝幅が大きくなり、ハブ3の径も比例して大きくなりハブ3による重量も大きくなるという不具合があった。
【0013】本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、太い梁材を必要とせずフレーム部材のみによって木肌の質感を得ることができるようにした組立式ドーム型トラスベース構造体を提供することにある。また、本発明は、上記発明において、比較的簡単な構成でフレーム部材がハブの周方向に変形するのを確実に規制し、トラス構造物の強度を増大させることができるようにした組立式ドーム型トラスベース構造体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したことを特徴とする。また、第二の本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたことを特徴とする。また、第三の本発明は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したことを特徴とする。また、第四の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を木材で形成したことを特徴とする。また、第五の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を繊維強化した合成樹脂で形成し、表面に木目模様の印刷を施したことを特徴とする。さらに、第六の本発明は、上記ドーム型トラスベース構造体において、端部部材をアルミニウム合金の押出型材で形成したことを特徴とする。
【0015】本発明において、隣接するフレーム部材の端部間の空間に介在される規制部は、フレーム部材の割り角度θを保持しフレーム部材の周方向の変形を規制する。分割ハブ間に介在された回転規制部材は、外径が円筒状ハブの外径より大きく、フレーム部材の接続端部よりも中央部側において当接するので、フレーム部材が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材がハブの周方向に変形するのを規制する。隣接するフレーム部材の端部間の空間に介在される補強部材は、フレーム部材の割り角度θを保持しフレーム部材の周方向の変形を規制する。フレーム本体を木材で形成すると、木肌の質感が得られ、自然指向に叶っている。フレーム本体を繊維強化合成樹脂で形成し、その表面に木目模様の印刷を施すと、木材と殆ど変わらない質感が得られる。金属製の端部部材は、その扁平な接続端部が従来の金属製フレーム部材の接続端部と同等の機械的強度を有しているので、大型の構造物に対しても適用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るドーム型トラスベース構造体の接合構造部の一実施の形態を示す平面図、図2は同接合構造部の正面図、図3は図2R>2のA−A線断面図、図4はカバーを取り外した斜視図、図5(a)、(b)は他の形態における端部部材を適用するケースでのフレーム部材の一部を省略した断面図および正面図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材等と同一のものについては同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。また、図3においては1本のフレーム部材のみを示し、他のフレーム部材については図示を省略している。これらの図において、本実施の形態においては、筒状を呈するカバー21によってハブ3とフレーム部材2の端部を上下から覆い、このカバー21の内部に一体に設けた規制部22を隣合うフレーム部材25の端部間の空間に介在させることによりフレーム部材25の割り角度θを保持するようにしている。また、フレーム部材25を分割して形成することにより、非金属製のフレーム本体26と、このフレーム本体26の各端部にそれぞれ取付けられる同一形状からなる2つの金属製端部部材27とで構成している。そして、端部部材27の形態例を図4と図5に例示する。
【0017】前記ハブ3は、従来用いられているものと同様にアルミニウム合金の押出型材または鍛造品によって製作される。連結溝8の数は、図28に示すドーム型および図27に示すモスク型の場合、通常6つである。なお、弱点部分のハブについては、フレーム部材が嵌合されない連結溝には、通常短尺のダミー材が嵌合されるが、所望によって弱点部分のハブについては連結されるフレーム部材数に対応する連結溝数のものとすることもできる。
【0018】前記カバー21は、図29に示す上下一対の保持板11を兼ね備え、ボルト9およびナット12によってハブ3の上下面に固定されることにより、フレーム部材25の接続端部5がハブ3の連結溝8からハブ3の軸線方向に抜けるのを防止する。このようなカバー21は、高さ方向中央において上下に分割して形成されることにより同一形状からなる2つの部材21A,21Bで構成されている。部材21A,21Bは、ハブ3より十分に大きな外径を有する円板状に形成され、その中央には前記ボルト9が挿通されるボルト挿通孔23が形成され、ハブ3と対向する面には6つの規制部22が周方向に等間隔をおいて一体に突設されている。規制部22は、図3に示すように断面形状が略五角形(または三角形)を呈する突状体に形成され、その頂部22aが部材21A,21Bの中心を指向し、ハブ3の外周面に近接もしくは当接している。隣合う規制部22間に設けられた溝24は、溝幅が部材21A,21Bの中心側において小さく、外周側に向かって大きくなるように形成されている。また、部材21A,21Bの中央において互いに連通している。言い換えれば、6つの溝24は放射状に形成され、これらの溝24を仕切る仕切壁がフレーム部材25の左右方向(図1の矢印A,B方向)の回転を規制する規制部22を構成している。なお、カバー21はアルミニウムなどの金属、繊維強化プラスチック、もしくはこれらの組み合わたものから製作することができる。
【0019】図5において、前記フレーム部材25を構成するフレーム本体26は、長さが1〜3m程度で、直径が3〜15cmの木材または繊維強化合成樹脂によって形成され、両端部に前記端部部材27aを締結固定するためのボルト30が挿通される図示しないボルト取付孔が側面方向に貫通して形成されている。なお、図4においてはボルト30の図示を省略している。フレーム本体26としては、丸材に限らず種々の形状とすることが可能であり、例えば角材を用いたり、あるいは図6に示すように中央部の断面形状が角形で、端部が丸形のものであってもよい。
【0020】フレーム本体26の材質としては、木材の場合、杉、桧、松、米松、樫、欅、ラワン材、レッドウッド、ジラ、ボンゴン等の木材を、含浸強化材、防腐剤、表面汚染防止材、強化剤等によって処理したものが用いられる。合成樹脂の場合は、繊維強化樹脂(FRP)が用いられ、表面に木目模様が印刷される。
【0021】端部部材27は、通常JISA6063合金のT6調質材(特殊な場合はSUS304)のパイプからなる押出型材を所定長さに切断し、プレス加工することにより製作されるもので、円筒状の基部27aと、ハブ3の連結溝8に圧入嵌合される接続端部5と、この接続端部5と基部27aを連結する連結部27bとからなり、基部27aがフレーム本体26の端部に嵌合され、それぞれ4つのボルト30およびナット31によって締結固定される。連結部27bは、プレス加工により両側から押し潰されることにより平面視形状が略三角形で、図3に示すように前記カバー21の溝24に嵌合される。したがって、各フレーム部材25の接続端部5をハブ3の連結溝8にそれぞれ圧入嵌合した後、2つの部材21A,21Bをハブ3にその上下方向から被冠して溝24にフレーム部材25の連結部27bを挿入すると、その側面が溝壁に密接するため、規制部22が全てのフレーム部材25の左右方向の回転を完全に規制する。そして、ボルト9をカバー21およびハブ3のボルト挿通孔6に挿通してナット12を締結すると、カバー21をハブ3に取り付けることができる。なお、接続端部5の両面には、従来と同様、ディンプルと称する凹凸4が形成されている。
【0022】このような端部部材27は、構築するトラスベース構造体の大きさに応じて大きさが異なるが、通常肉厚が3〜12mm、接続端部5の長さが5〜30mm、接続端部5の嵌合長さが5〜20mm程度とされる。
【0023】このような構成からなるフレーム部材25は、ドーム型またはモスク型トラスベース構造体を構築する場合、従来のフレーム部材2と同様に、所定のコイン角α、ベンド角βおよびツイスト角γ(図30参照)が付与される。
【0024】フレーム部材25を組立てるには、端部部材27の基部27aをフレーム本体26の端部に嵌合してボルト30およびナット31で締結すればよい。また、トラスベース構造体の組立てに際しては、端部部材27の接続端部5をハブ3の連結溝8に順次圧入嵌合してカバー21をハブ3とフレーム部材25の端部に固定していくと、ドーム型トラスベース構造体を構築することができる。
【0025】このような構造からなるドーム型トラスベース構造体においては、木材または表面に木目模様の印刷が施された繊維強化合成樹脂によって形成されたフレーム本体26と、このフレーム本体26の各端部に接続された金属製の端部部材27とでフレーム部材25を構成したので、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさを得ることができ、その使用環境に応じて組立式トラス構造物への親近感さらには居心地性を向上させることができる。
【0026】また、フレーム部材25は端部部材27を金属で形成しているので、従来の金属製フレーム部材2に比べて強度的に何ら問題がなく、大型のトラスベース構造体の構築にも適用することが可能である。例えば、ドーム型およびモスク型の場合は、木質フレーム本体を使用するときドーム径が2mから70m級のトラスベース構造体の構築が可能である。さらに、端部部材27は、アルミニウム合金の押出型材によって製作されるため、従来の設備をそのまま使用して製作することができ、しかも長さが短かいので軽くて取扱い性に優れ、穴明け工程時等において有利である。
【0027】また、本発明においては、カバー21の規制部22によって隣り合うフレーム部材25の割り角度θを一定に保持するようにしているので、フレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、ハブ3に周方向の回転モーメントが発生せず、ハブ3の面内方向(図1の矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。したがって、フレーム部材2の接続端部5が面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の強度を増大させることができる。また、カバー21に規制部22を設けているので、厚肉のパイプで端部部材27を形成したり、フレーム本体26を短くしたり、あるいは接続端部5に補強板を設けたりする必要がない。さらに、カバー21の構造も簡単で容易に鋳造法などで製作することができる。
【0028】図7は本発明の他の実施の形態を示すドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図、図8は同接合構造部の正面図、図9は図8のB−B線断面図である。この実施の形態においては、6つの突状規制部22が一体に形成された第1の部材21Cと、円板状に形成され規制部22を備えない第2の部材21Dとでカバー21を構成している。その他の構成は上記した実施の形態と同じである。
【0029】図10は本発明のさらに他の実施の形態を示す組立式ドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図、図11は同接合構造部の正面図、図12は図13R>3のC−C線断面図である。トラスベース構造体の周端部にあって基台への取付部位である柱脚部並びに異形メッシュでの弱点部分などでは3〜5本のフレーム部材2が連結されるので、ハブ3の連結溝8に空きができる。その場合は、図に示すように大きさの異なる2種類の突状規制部22(22A,22B)をカバー21に設け、隣合うフレーム部材2の端部間の空間にそれぞれ介在させればよい。カバー21は、図1〜図3に示した実施の形態と同様に高さ方向中央で上下に分割されることにより同一形状の規制部材を形成してなる2つの部材21A,21Bによって形成される。その他の構成は上記した実施の形態と同様である。なお、この場合、図8に示すように一方のカバー部材に規制部材を設けることができることは勿論である。
【0030】図13は本発明のさらに他の実施の形態を示すドーム型トラスベース構造体の接合構造部の主要部品を示す分解斜視図で、図29に示したボルト9と保持板11を省略した状態で描かれている。本実施の形態においては、少なくともトラスベース構造体の弱点部分に属する位置の円筒状ハブ3をその軸線方向の略中央で上下に分割した2つの分割ハブ3A,3Aで構成し、これらの分割ハブ3A,3Aの間に回転規制部材31を介在させ、これらを図29に示した一対の保持板11を介してボルト9およびナット12により締結している。フレーム部材25は、図5に示したものと同一である。
【0031】各分割ハブ3Aは、アルミニウム合金の押出成形によって製作され、その外周にはフレーム部材25の接続端部5が圧入嵌合される複数個の連結溝8が放射状に形成されている。また、連結溝8の溝壁面には凹凸(ディンプル)7が全長にわたって形成され、この連結溝8にフレーム部材2の接続端部5が軸線方向から圧入嵌合されることによりフレーム部材25を互いに接続し、トラス格点を形成している。
【0032】前記回転規制部材31は、適宜な板厚を有する円板状に形成されて外径が分割ハブ3Aの外径より大きく、外周にはフレーム部材25の接続端部5が圧入嵌合される複数個の嵌合溝32が放射状に形成されている。この嵌合溝32の奥側溝壁面には、凹凸33が前記分割ハブ3Aの凹凸7と対応して一致するように形成され、開放部は外側に向かって広がる扇形状に形成されている。
【0033】このような回転規制部材31としては、種々の製造方法によって製作することができるが、量産する場合はアルミ押出材を輪切りにして製作する。また、少量生産時にはアルミニウム合金等からなる板材をレーザー切断したり、ダイキャスト鋳造によって製作する。
【0034】このような構造からなる接合構造においては、2つの分割ハブ3Aの間にこれらより外径が大きい回転規制部材31を介在させ、その嵌合溝32の開放部側溝壁面をフレーム部材25の連結部27bの傾斜した側面に密接させているので、フレーム部材25に対して回転規制部材31が支えとなり、隣合うフレーム部材25の割り角度(θ)を一定に保持する。したがって、局部的にフレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材25がハブ3の周方向に回転するような回転モーメントが発生せず、フレーム部材25の面内方向(矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、端部部材27の接続端部5がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の全体強度を増大させることができる。
【0035】また、分割ハブ3Aは、接続端部5の長さから回転規制部材31の板厚を引いた長さの1/2の長さに形成するだけでよいので、形状を設計変更せずに利用できる。また、アルミ押出材を輪切りにして形成した回転規制部材31は、大量に使用する場合、低コストで製作できる。一方、少量生産時には板材をレーザー切断して形成することにより、アルミ押出型材を製作するための押出ダイスの製作が不要で、コスト上有利である。
【0036】図14は本発明のさらに他の実施の形態を示す分解斜視図である。この実施の形態においては、回転規制部材31Aをダイキャスト鋳造によって製作し、この回転規制部材31のフレーム部材25の接続端部5より外側となる外周部31aを内周部31bより厚肉に形成している。また、回転規制部材31Aの上下面中央部に上方、下方側の分割ハブ3Aが嵌合する凹陥部35を形成している。更に、所望によって厚肉の外周部31aの上下面側に凹部36を形成し、これによって軽量化を図ってもよい。これらは鋳造法や鍛造法によって製作される。
【0037】このような回転規制部材31Aにおいては、フレーム部材25を構成する端部部材27の連結部27bが当接する外周部31aの肉厚が上記した実施の形態に比べて大であるため、フレーム部材25の面内方向の回転に対する抵抗力をより一層増大させることができる。その結果、接続端部5がドームの面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の全体強度を増大させることができる。また、回転規制部材31Aをダイキャスト鋳造で製作すると、切削加工によって製作したものと比較して安価である。なお、本実施の形態においては、回転規制部材31Aの上面側に凹部35を形成したが、下面側または上下両面に凹部を形成したものであってもよい。また、これらの回転規制部材における嵌合溝の数は、ハブへのフレーム部材の嵌合数に対応するものとされる。
【0038】図15は本発明のさらに他の実施の形態を示す接合構造部の平面図、図16は同接合構造部の正面図、図17は図16のD−D線断面図である。これらの図において、本実施の形態においては、筒状を呈するカバー40によってハブ3とフレーム部材25の端部を上下から覆い、このカバー40の内部に設けた6つの補強部材42を隣合うフレーム部材25の端部間の空間に介在させることによりフレーム部材25の割り角度θを保持するようにしている。フレーム部材25は図5に示したものと同一である。なお、ハブに5本のフレーム部材が連結される場合には補強部材42も5個となる。
【0039】カバー40は、図29に示す上下一対の保持板11を兼ね備え、またボルト9およびナット12によって円筒状ハブ3の上下面に締結固定されることにより、フレーム部材25の接続端部5がハブ3の連結溝8からハブ3の軸線方向に抜けるのを防止している。このようなカバー40は、アルミニウム、強化プラスチック、もしくはこれらの組み合わたものによって上下方向に分割して形成されることにより略同一形状からなる2つの部材41A,41Bで構成されている。部材41A,41Bは、ハブ3より大きな外径を有する円筒状に形成され、その対向面には図18および図19に示すようにハブ3の端部外周面が嵌合する凹陥部43がそれぞれ形成され、また中央には前記ボルト9が挿通されるボルト挿通孔44が形成されている。さらに、下側の部材41Bの凹陥部43の底面中央には前記挿通孔44を取り囲む筒部45が上方へ向かって一体に突設されており、この筒部45上には前記ハブ3が載置される。ハブ3と筒部45の外径は略等しい。
【0040】前記補強部材42は、図17および図20に示すように断面形状が略扇形状を呈する中空体に形成され、隣合う端部部材27の間に介在されることにより左右両側面42aが隣合うフレーム部材25の連結部27bの側面に密接し、外側円弧部42bの上下端部が前記各部材41A,41Bの内周面、すなわち凹陥部43を取り囲む周壁部41aの内面に密接する。このような補強部材42としては、アルミニウム合金の押出型材、強化プラスチックの押出型材等によって形成される。なお、補強部材42は同形の扇形中空体となし得るが、金属製の場合、高重量化するので余り好ましくないが、強力プラスチック製であれば適用できる。
【0041】このような構成において、各端部部材27の接続端部5をハブ3の連結溝8に圧入嵌合した後、下側の部材41Bをハブ3の下端側外周面に下から嵌合して隣合う端部部材27間に補強部材42を嵌装し、しかる後上側の部材41Aをハブ3の上端側外周面に嵌合する。そして、ボルト9をカバー41およびハブ3のボルト挿通孔に挿通してナット12で締結すると、ドーム型トラスベース構造体のトラス格点を形成することができる。
【0042】トラスベース構造体の組立に際しては、上記のカバー40と補強部材42を備えたハブ3をトラス格点の弱点部分に設け、他の部位では従来型のハブを用いてトラスベース構造体を構築したりあるいは全てのトラス格点にカバー40と補強部材42を用いて構築することができ、その全体構造の外観は図28と同様なものとなる。
【0043】このような構造からなるカバー40と補強部材42を用いて組み立てたトラスベース構造体の接合構造においては、補強部材42によってフレーム部材25の割り角度θを一定に保持するようにしているので、フレーム部材25が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、ハブ3に周方向の回転モーメントが発生した場合においても、ハブ3の面内方向(矢印A,B方向)の回転に対する抵抗力を増大させることができる。したがって、フレーム部材25の接続端部5の付根部が面内方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の強度を増大させることができる。また、補強部材42を用いているので、厚肉のパイプでフレーム部材25を形成したり、フレーム部材25を短くしたり、あるいは接続端部5に補強板を設けたりする必要がない。さらに、カバー40の構造も簡単で容易に製作することができる。
【0044】図21(A)〜(D)はそれぞれ補強部材42の他の実施の形態を示す平面図である。補強部材42の形状としては、上記した実施の形態において示した扇形中空部材に限らず種々の形状とすることができる。例えば、円筒状ハブの中心に向かって幅が連続的に狭くなる断面Hの字状部材(A)や、同じくハブの中心に向かって幅が連続的に狭くなる断面梯子状部材(B)を補強部材として用いてもよい。また、ハブの周方向に延在しフレーム部材の端部側面に当接する3つの当接部42c,42d,42eの長さが異なりハブの中心に近いものほど短い辺になっている断面王の字状部材(C)、同じくハブの周方向に延在しフレーム部材の端部側面に当接する2つの当接部42f,42gの長さが異なり、ハブの中心に近い当接部42gが外側の当接部42fより短い辺になっている断面エの字状部材(D)を補強部材としてもよい。
【0045】図22は本発明の補強部材の取付状態を示すトラスベース構造体の接合構造部の概念図である。この実施の形態においては、下側の部材41Bの凹陥部の底面中央に突設される筒部45の高さを十分に高くして部材41Bの上方に突出させ、その上にハブ3を載置している。このように筒部45を高く形成すると、フレーム部材25の高さが高くなり、フレーム部材25の下面が前記部材41Bの上面に接触しないようにすることができる。なお、その他の構成は図15〜図17に示した実施の形態と同じである。
【0046】次に、フレーム部材、特にその中の端部部材の他の実施の形態について説明する。図23(a)は端部部材の他の実施の形態を示す一部を省略した正面図、(b)は(a)図のII−II線矢視断面図であり、図2424はこの端部部材の製作を示す斜視図である。また、図25は図23のIII −III 線矢視断面図であり、図26R>6はそれに用いられるブロックの斜視図である。この実施の形態においては、フレーム本体26の端部を円柱体に形成し、中央部を角柱体に形成している。端部部材27Aは図1に示した端部部材と同様に形成され、その基部27aが2本のボルト30およびナット31によってフレーム本体26の端部に締結固定される。また、フレーム本体26の端部を、合成樹脂等によって図26に示すような形状に形成された2つのブロック60で挾み、これらのブロック60をボルト61およびナット62によって締結固定している。
【0047】なお、この場合、端部部材27Aは、押出成形素体をコイン角相当分斜めにして切断して製作される(図24参照)し、フレーム部材26の端部を丸棒状とすることによってツイスト角に対する角度付けが容易になるとともに、ブロック60によって適切に固定される。また、63は補強固定用のプレートであるが、必ずしも必要ではなく、本発明は上記した実施の形態に特定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。例えば、ハブ3および端部部材27,27A等をステンレス製のものとすることも適宜成し得ることである。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したので、フレーム本体を木材で形成したりあるいは繊維強化合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができ、組立式トラス構造物への親近感さらには居心地性を向上させることができる。また、太くて長い梁材を必要とせず、木材の入手が容易である。また、金属製のフレーム部材と比較して機械的に何ら問題がなく、大型の構造物に対しても適用可能である。さらに、端部部材は、長さが短く、軽くて取扱い性に優れ、孔明け工程時等において有利である。
【0049】また、カバーの突起状規制部によって隣り合うフレーム部材の割り角度を一定に保持しているので、積雪や地震などによってフレーム部材が軸線方向の圧縮または引張荷重を受けたとき、フレーム部材にハブの周方向の回転モーメントが発生せず、フレーム部材の面内方向の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、フレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができる。
【0050】また、本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたので、上記発明と同様にフレーム部材の面内方向の回転に対する抵抗力を増大させることができる。そのため、フレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、ドーム型トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができる。また、フレーム本体を木材で形成したりあるいは合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、従来の金属製フレーム部材には期待できない木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができる。
【0051】さらに、本発明に係る組立式ドーム型トラスベース構造体は、両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベースの少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したので、上記発明と同様にフレーム部材の接続端部がハブの周方向に折れ曲がったりせず、トラスベース構造体の弱点部分や全体強度を向上させることができ、特に従来困難であったドーム型やモスク型などの大型トラスを構築することが可能となる。また、フレーム本体を木材で形成したりあるいは合成樹脂で形成してその表面に木目模様を印刷すると、上記した発明と同様に木肌の質感、暖かさないし柔らかさに溢れたトラスベース構造体を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトラスベース構造体の接合構造部の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】 図1に示す接合構造部の正面図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 カバーを取り外した斜視図である。
【図5】 (a)、(b)はフレーム部材の断面図および正面図である。側面図である。
【図6】 フレーム本体の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】 本発明の他の実施の形態を示すトラスベース構造体の接合構造部の平面図である。
【図8】 図7の接合構造部の正面図である。
【図9】 図8のB−B線断面図である。
【図10】 本発明のさらに他の実施の形態を示す組立式ドーム型トラスベース構造体の接合構造部の平面図である。
【図11】 図10の接合構造部の正面図である。
【図12】 図11のC−C線断面図である。
【図13】 本発明のさらに他の実施の形態を示すトラスベース構造体の接合構造部の主要部品を示す分解斜視図である。
【図14】 本発明のさらに他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図15】 本発明のさらに他の実施の形態を示す接合構造部の平面図である。
【図16】 図15の接合構造部の正面図である。
【図17】 図16のD−D線断面図である。こ
【図18】 (A)、(B)は上側のカバーの底面図および一部を破断して示す側面図である。
【図19】 (A)、(B)は下側のカバーの底面図および一部を破断して示す側面図である。
【図20】 (A)、(B)は補強部材の正面図および一部を破断して示す側面図である。
【図21】 (A)〜(D)はそれぞれ補強部材の他の実施の形態を示す平面図である。
【図22】 本発明の補強部材の取付状態を示すトラスベース構造体の接合構造部の概念図である。
【図23】 (a)、(b)は端部部材の他の実施の形態を示す一部を省略した正面図および断面図である。
【図24】 押出成形素体から端部部材を切り出す態様を示す斜視図である。
【図25】 図23のIII −III 線矢視断面図である。
【図26】 図25に示すブロックの斜視図である。
【図27】 モスク型トラスベース構造体の正面図である。
【図28】 (A)、(B)は組立式ドーム型トラスベース構造体の平面図および正面図である。
【図29】 従来のトラス格点を形成する接合構造部を示す分解斜視図である。
【図30】 (A)、(B)、(C)はフレーム部材の正面図、平面図および側面図である。
【符号の説明】
1…ドーム型トラスベース構造体、1A,1B…弱点部分、2,2A…フレーム部材、3…ハブ、5…接続端部、8…連結溝、9…ボルト、21…カバー、21A,21B…部材、22…規制部、24…溝、25…フレーム部材、26…フレーム本体、27,27A…端部部材、27a…基部、27b…連結部、31…回転規制部材、32…嵌合溝、40…カバー、41A,41B…部材、42…補強部材、60…ブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項2】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項3】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項4】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を木材で形成したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項5】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を繊維強化した合成樹脂で形成し、表面に木目模様の印刷を施したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項6】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、端部部材をアルミニウム合金の押出型材で形成したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項1】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を2つのカバーによって上下から覆い、両カバーの少なくとも一方の内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める突起状規制部を周方向に間隔をおいて一体に成形したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項2】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブをその軸線方向の略中央で分割した2つの分割ハブで構成し、この分割ハブより外径が大きく前記フレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の嵌合溝が放射状に形成された円板状の回転規制部材を前記2つの分割ハブの間に介在させたことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項3】 両端部が偏平な接続端部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材の前記接続端部が圧入嵌合される複数個の連結溝が放射状に形成された円筒状ハブとによって組立式立体トラス構造物を構築する組立式ドーム型トラスベース構造体において、前記フレーム部材を非金属製のフレーム本体と、先端部に前記円筒状ハブの連結溝に圧入嵌合される接続端部を一体に有し前記フレーム本体の各端部にそれぞれ取付けられる2つの金属製端部部材とで構成し、トラスベース構造体の少なくとも弱点部位における前記円筒状ハブおよびフレーム部材の端部を上下から覆うカバーを設け、両カバーの内側に隣合うフレーム部材の端部間の空間を埋める補強部材を周方向に間隔をおいて配設したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項4】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を木材で形成したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項5】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、フレーム本体を繊維強化した合成樹脂で形成し、表面に木目模様の印刷を施したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【請求項6】 請求項1,2または3記載の組立式ドーム型トラスベース構造体において、端部部材をアルミニウム合金の押出型材で形成したことを特徴とする組立式ドーム型トラスベース構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図4】
【図6】
【図8】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図20】
【図18】
【図21】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図22】
【図17】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図20】
【図18】
【図21】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図22】
【図17】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開平10−169007
【公開日】平成10年(1998)6月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−332552
【出願日】平成8年(1996)12月12日
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【公開日】平成10年(1998)6月23日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)12月12日
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
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