説明

絞り出し装置

【課題】袋内の粘性流体をより効率的に絞り出すことができる絞り出し装置を提供する。
【解決手段】絞り出し装置100は、粘性流体12が入った袋10から粘性流体12を絞り出すために使用される。絞り出し装置100は、袋10の一端14の付近を把持する把持部20と、袋10の他端16の付近に形成された穴18から粘性流体12が絞り出されるように把持部20を回転させて袋10を捻る回転機構30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粘性流体が入った袋から該粘性流体を絞り出すための絞り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糊等の粘性流体が入った袋からそれを絞り出す作業は、粘性流体の内容量が10Kg、20Kg或いはそれを超えるような量になると、非常に困難になる。
特許文献1には、高粘性体が入った袋を基台に載置した状態でローラーを水平方向に移動させることによって袋から高粘性体を絞り出す装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−225816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粘性流体が入った袋を手作業で押し潰して袋から粘性流体を絞り出す方法では、袋の内面に相当量の粘性流体が残りうる。例えば、出願人の実験では、20Kgの糊が入った袋から手作業で糊を絞り出した場合には、約300gもの糊が袋の中に残った。これは看過できない量である。もちろん、長時間を掛けて糊を絞り出せば、相応の効果を上げることができるが、そのための負担は大きい。
特許文献1に記載された装置では、作業者の負担は大幅に軽減されるが、特許文献1に記載されたような袋を平面状に押し潰して糊を絞り出す方式では、袋の内面の全体にわたって一様に粘性流体が残ってしまいうる。
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、袋内の粘性流体をより効率的に絞り出すことができる絞り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの側面は、粘性流体が入った袋から前記粘性流体を絞り出すための絞り出し装置に係り、前記絞り出し装置は、前記袋の一端付近を把持する把持部と、前記袋の他端付近に形成された穴から前記粘性流体が絞り出されるように前記把持部を回転させて前記袋を捻る回転機構とを備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、袋内の粘性流体をより効率的に絞り出すことができる絞り出し装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明の好適な実施形態の絞り出し装置の構成を模式的に示す正面図、断面図である。図3、図4は、本発明の好適な実施形態の絞り出し装置による袋からの粘性流体の絞り出しの手順を模式的に示す図である。
【0007】
本発明の好適な実施形態の絞り出し装置100は、粘性流体12が入った袋10から粘性流体12を絞り出すために使用される。粘性流体12は、例えば糊であるが、これに限定されるものではない。絞り出し装置100は、粘性流体12が入った袋10の一端14の付近を把持する把持部20と、図4に矢印Aで例示されるように把持部20を回転させて袋10の一端14側を捻る回転機構30とを備える。把持部20の回転によって袋10の一端14の側が徐々に捻られると、捻られた部分(捻り部分)11の長さが徐々に長くなり、これによって、袋10の他端16の付近に形成された穴18から粘性流体12が絞り出される。
回転機構30は、例えば、ハンドル32を含み、ハンドル32が作業者によって回転操作されることに応じて回転軸36を通して把持部20を回転させる。回転軸36は、ベアリングを介してフレーム60によって支持されうる。回転機構30は、ギアボックス34を含みうる。ギアボックス34は、例えば、ハンドル32によって与えられる回転を減速して回転軸36に伝達しうる。或いは、ギアボックス34は、ハンドル32によって与えられる回転を減速することなく回転軸36に伝達してもよい。或いは、ハンドル32の操作によって回転軸36が直接に回転駆動されてもよい。回転機構30は、ハンドル32に代えて、回転軸36を駆動するためのモータを含んでもよい。
【0008】
把持部20は、例えば、図3に例示的に示すように、袋10が吊り下げられるように袋10の一端14の付近を把持する。把持部20は、例えば、嘴状の構造を有しうるが、袋10の一端14の付近を把持することができる構造であれば、如何なる構造を有してもよい。
【0009】
絞り出し装置100は、押し付け機構40を更に備えることが好ましい。押し付け機構40は、袋10のうち把持部20の回転によって捻られた部分(捻り部分)11の長さが長くなるように、図4に矢印Bで例示的に示すように、袋10のうち粘性流体12が残っていることによって膨らんでいる部分15を他端16(粘性流体の押し出し方向)に向けて押し付ける。
【0010】
押し付け機構40は、捻り部分11が通る貫通孔43を有する操作部42を含み、袋10の膨らんでいる部分15を操作部42によって袋10の他端16に向けて押し付ける。操作部42は、例えば、リング形状を有しうる。
押し付け機構40は、回転機構30が把持部20を回転させることに伴って(すなわち回転に同期して)、操作部42を粘性流体12の押し出し方向に移動させることが好ましい。これにより、把持部20の回転による袋10の捻り部分11の拡大とともに、袋10の膨らんでいる部分15を袋10の他端16に向けて押し付けることができる。ここで、操作部42の移動方向は、典型的には、回転軸36と平行である。
押し付け機構40は、回転機構30から与えられる回転力を並進力に変換する送りネジ機構50を含み、送りネジ機構50によって操作部42を移動させうる。回転機構30から送りネジ機構50への回転力の伝達は、ギアボックス34を介してなされうる。ギアボックス34は、例えば、変速機を含み、該変速機を介して、ハンドル32の操作による回転力を送りネジ機構50に伝達しうる。送りネジ機構50は、ギアボックス34から与えられる回転力によって回転駆動されるネジ48と、ネジ48の回転に従って1軸方向(この実施形態では、押し出し方向或いは鉛直方向)に移動するナット49とを含みうる。ネジ48は、ベアリングを介してフレーム60によって支持される。押し付け機構40は、操作部42を保持するホルダ44と、ナット49とホルダ44とを連結する連結部材46とを含みうる。
【0011】
絞り出し装置100は、袋10を下方から支持する支持部70を更に備えることが好ましい。支持部70は、袋10の他端16の付近に形成された穴18を通して絞り出される粘性流体12を通すための開口部72を有する。穴18を通して袋10から絞り出された粘性流体12は、開口部72を通過して受け容器80に滴り落ちる。支持部70は、典型的には、上部が開口された容器の構造を有しうる。支持部70は、フレーム60によって支持されうる。
この実施形態において、袋10からの粘性流体12の絞り出しの作業手順は、次のとおりである。まず、図3に例示的に示すように、粘性流体12が入った袋10を支持部70によって支持させ、その一端14の側を操作部42の貫通孔43に通した後に、その一端14の付近を把持部20によって把持させる。また、操作部42をホルダ44に嵌め込む。
次いで、図4に例示的に示すように、袋10の他端16の付近にカッター等で穴18を形成し、ハンドル32を操作することによって、把持部20を回転させるとともに押し付け機構40の操作部42を下降させる。把持部20の回転および操作部42の移動によって捻り部分11の長さが徐々に長くなり、これによって、袋10の他端16の付近に形成された穴18を通して粘性流体12が絞り出される。
以上のように、袋を捻りながらその内容物である粘性流体を袋から絞り出すことによって、袋の内面に残る粘性流体を大幅に減らすことができる。袋を捻ることは、その内側に形成される空間を最小化するために効果的であり、それは、袋の内面に残る粘性流体を減らすことに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施形態の絞り出し装置の構成を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の絞り出し装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の絞り出し装置による袋からの粘性流体の絞り出しの手順を模式的に示す図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の絞り出し装置による袋からの粘性流体の絞り出しの手順を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0013】
10 袋
11 捻り部
12 粘性流体
14 袋の一端
15 袋の膨らんだ部分
16 袋の他端
18 袋に形成された穴
20 把持部
30 回転機構
32 ハンドル
34 ギアボックス
36 回転軸
40 押し付け機構
42 操作部
43 貫通孔
44 ホルダ
46 連結部材
48 ネジ
49 ナット
50 送りネジ機構
60 フレーム
70 支持部
72 開口部
80 受け容器
100 絞り出し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体が入った袋から前記粘性流体を絞り出すための絞り出し装置であって
前記袋の一端付近を把持する把持部と、
前記袋の他端付近に形成された穴から前記粘性流体が絞り出されるように前記把持部を回転させて前記袋を捻る回転機構と、
を備えることを特徴とする絞り出し装置。
【請求項2】
前記袋のうち前記把持部の回転によって捻られた部分の長さが長くなるように前記袋のうち前記粘性流体が残っていることによって膨らんでいる部分を前記他端に向けて押し付ける押し付け機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の絞り出し装置。
【請求項3】
前記押し付け機構は、前記捻られた部分が通る貫通孔を有する操作部を含み、前記袋のうち前記粘性流体が残っていることによって膨らんでいる部分を前記操作部によって前記他端に向けて押し付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の絞り出し装置。
【請求項4】
前記押し付け機構は、前記回転機構が前記把持部を回転させることに伴って前記操作部を移動させることによって、前記袋のうち前記粘性流体が残っていることによって膨らんでいる部分を前記他端に向けて押し付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載の絞り出し装置。
【請求項5】
前記押し付け機構は、前記回転機構から与えられる回転力を並進力に変換する送りネジ機構を含み、前記送りネジ機構によって前記操作部を移動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の絞り出し装置。
【請求項6】
前記回転機構は、ハンドルを含み、前記ハンドルが回転操作されることに応じて前記把持部を回転させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絞り出し装置。
【請求項7】
前記把持部は、前記袋を吊り下げるように前記袋の一端付近を把持する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の絞り出し装置。
【請求項8】
前記袋を下方から支持する支持部を更に備え、前記支持部は、前記袋の前記他端付近に形成された穴から絞り出される前記粘性流体を通すための開口部を有し、
前記穴から絞り出された粘性流体は、前記開口部を通過して滴り落ちる、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の絞り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−1037(P2010−1037A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159685(P2008−159685)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】