説明

給湯ユニットおよびこれを備えた給湯装置

【課題】湯水加熱用のヒートポンプや瞬間式湯沸器などの構成機器をスペース効率や作業性がよく、さらには見栄えも良好な状態に設置することが可能な給湯ユニットを提供する。
【解決手段】湯水加熱用のヒートポンプ1と、瞬間式湯沸器2と、ヒートポンプ1および瞬間式湯沸器2のそれぞれの入水口15a,25aおよび出湯口15b,25bに接続され、かつ貯湯タンク5を配管接続するための配管接続口40a,40bを有する複数の主配管部材4A,4Bと、機器設置用の架台3と、を備えている、給湯ユニットU1であって、架台3は、ヒートポンプ1が載置されるベース部30と、このベース部30から上向きに起立した起立部31とを有し、この起立部31に、瞬間式湯沸器2および複数の主配管部材4A,4Bが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水加熱用のヒートポンプと瞬間式湯沸器とを組み合わせて構成された給湯ユニット、およびこれを備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、給湯装置の一例として、特許文献1に記載されたものを先に提案している。同文献に記載された給湯装置は、湯水加熱機能用のヒートポンプと貯湯タンクとを組み合わせた給湯装置において、瞬間式湯沸器をさらに備えた構成とされている。このような構成によれば、通常時には、ヒートポンプを用いて加熱され、かつ貯湯タンクに貯留された湯水を優先的に用いる。一方、貯湯タンク内が湯切れ状態となる場合には、瞬間式湯沸器を稼働させて所望温度の温水を迅速に生成し、給湯動作を継続することができる。
【0003】
前記した給湯装置を設置する場合、貯湯タンクに加えて、ヒートポンプおよび瞬間式湯沸器を設置する必要があるが、従来においては、これらの機器をスペース効率良く、かつ体裁の良い状態に一纏めにして設置するための技術は提案されていない。従来においては、ヒートポンプと瞬間式湯沸器とを個別に設置し、かつこれらを互いに配管接続していたのが実情であった。
しかしながら、このような設置態様を採用したのでは、ヒートポンプや瞬間式湯沸器を別個の場所に設置する作業が煩雑であるばかりか、これらを互いに接続するための配管作業も煩雑となる。加えて、給湯装置全体の設置スペースが大きくなる。さらに、給湯装置の構成機器やこれらを繋ぐ配管部材が不揃いに並び、全体の見栄えが悪くなるといった不具合も生じる。
ホテルや飲食店などで利用される給湯装置は、一般家庭用の給湯装置と比較して、その給湯能力をかなり大きくしなければならない場合が多い。このための手段としては、ヒートポンプや瞬間式湯沸器の台数を多くし、これらを一連に配管接続して使用することが考えられる。ところが、このようにヒートポンプや瞬間式湯沸器の台数を多くすると、前記した不具合は一層顕著となる。
従来においては、たとえば特許文献2に記載されているように、複数の瞬間式湯沸器を横並び状に設けるための架台が提案されている。ところが、このような架台は、瞬間式湯沸器を設置対象機器としているに過ぎず、ヒートポンプをさらに設置する場合には、それ専用の架台または台座を用いる必要がある。したがって、特許文献2に記載の手段では、前述したような不具合を適切に解消することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−125226号公報
【特許文献2】特許第2767500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、湯水加熱用のヒートポンプや瞬間式湯沸器などの構成機器をスペース効率や作業性がよく、さらには見栄えも良好な状態に設置することが可能な給湯ユニット、およびこれを備えた給湯装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面により提供される給湯ユニットは、湯水加熱用の少なくとも1つのヒートポンプと、少なくとも1つの瞬間式湯沸器と、前記ヒートポンプおよび前記瞬間式湯沸器のそれぞれの入水口および出湯口に、補助配管部材を介して間接的に接続され、または補助管体部材を介することなく直接接続され、かつ所望の配管接続対象機器に配管接続するための配管接続口を有する複数の主配管部材と、機器設置用の架台と、を備えている、給湯ユニットであって、前記架台は、前記ヒートポンプが載置されるベース部と、このベース部から上向きに起立した起立部とを有し、この起立部に、前記瞬間式湯沸器および前記複数の主配管部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、1つの架台に、ヒートポンプ、瞬間式湯沸器、およびこれらの入水口や出湯口を接続するための複数の主配管部材を設置しており、これらの集約化が図られる。したがって、ヒートポンプや瞬間式湯沸器に別個の場所に設置してこれらを配管接続するような場合と比較して、各構成機器の設置作業が容易化される。また、全体の省スペース化を図るとともに、各構成機器を整然とした配置とし、全体の見栄えもよくすることができる。ヒートポンプは瞬間式湯沸器よりもサイズが大きく、かつ重量が重いのが一般的であるために、架台のベース部にヒートポンプを設置し、かつ起立部に瞬間式湯沸器および複数の瞬間式湯沸器を取り付けた構成とすれば、ユニット全体の安定性を良くし、耐震性などにも優れたものとすることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記瞬間式湯沸器は、前記ヒートポンプの上方に配されており、前記瞬間式湯沸器と前記ヒートポンプとの間に、前記複数の主配管部材が配されている。
【0010】
このような構成によれば、たとえばヒートポンプの横に瞬間式湯沸器を設けるような場合と比較して、ユニット全体の占有面積を小さくする上で有利となる。また、ヒートポンプと瞬間式湯沸器との間に複数の主配管部材が配されていれば、これら主配管部材からヒートポンプや主配管部材の入水口や出湯口までの距離を短くし、配管構造の簡素化や、配管作業の容易化をより促進することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記瞬間式湯沸器は、前記起立部を挟んで前記ヒートポンプとは反対側に配され、かつ前記瞬間式湯沸器の下方には、前記複数の主配管部材が配されている。
このような構成において、より好ましくは、前記瞬間式湯沸器および前記ヒートポンプは、少なくともこれらの一部分同士が上下高さ方向においてオーバラップしている。
【0012】
このような構成によれば、ヒートポンプの上方に瞬間式湯沸器や主配管部材を重ねた状態に配置する場合と比較して、全体の高さを低くし、全体を安定したものとすることが可能となる。とくに、瞬間式湯沸器とヒートポンプとをオーバラップさせた場合には、ユニット全体の高さが高くなることを抑制するのにより好適である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記複数の主配管部材は、前記架台の左右幅方向に延び、かつその長手方向両端部は、前記配管接続口としての第1および第2の配管接続口として構成されており、前記第1の配管接続口に前記配管接続対象機器としての貯湯タンクを接続しつつ、前記第2の配管接続口には前記配管接続対象機器として他の給湯ユニットを配管接続した構成、または前記第1および第2の配管接続口のそれぞれに他の給湯ユニットを配管接続した構成とすることが可能とされている。
【0014】
このような構成によれば、本発明に係る給湯ユニットを複数準備し、かつこれら複数の給湯ユニットを一連に繋げて貯湯タンクに接続することが容易に実現できることとなる。
したがって、レストランやホテルなどでの用途に適する給湯能力が大きい給湯装置を構築するのに好ましいものとなる。
【0015】
本発明の第2の側面により提供される給湯装置は、湯水加熱手段と、この湯水加熱手段に配管接続され、かつ前記湯水加熱手段によって加熱された湯水を貯留可能な貯湯タンクと、を備えている、給湯装置であって、前記湯水加熱手段として、本発明の第1の側面により提供される給湯ユニットが用いられていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される給湯ユニットについて述べたのと同様な効果が得られる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、本発明に係る給湯ユニットを備えた給湯装置の一例を示す概略正面図であり、(b)は、(a)のIb−Ib断面図である。
【図2】図1に示す給湯ユニットの分解斜視図である。
【図3】図1に示す給湯装置において給湯ユニットを増設した例を示す概略正面図である。
【図4】(a)は、本発明に係る給湯ユニットを備えた給湯装置の他の例を示す概略正面図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb断面図である。
【図5】図4に示す給湯装置において給湯ユニットを増設した例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1に示す給湯装置A1は、給湯ユニットU1と、貯湯タンク5とが組み合わされて構成されている。給湯ユニットU1は、湯水加熱用の1つのヒートポンプ1、2つの瞬間式湯沸器2、入水用および出湯用の主配管部材4A,4B、およびこれらを設置するための架台3を備えている。
【0021】
図2に示すように、架台3は、全体の軽量化などを図るべく、平板状、断面L字状、あるいは角パイプ材などを用いて構成されており、ベース部30、および起立部31を有している(図2では、主配管部材4A,4Bを省略している)。ベース部30は、全体が枠状またはこれに近い形態とされているが、上面が平面状とされた1または複数の平面部30aを有しており、この平面部30a上に、ヒートポンプ1が安定的に載置される。ヒートポンプ1は、平面部30aに設けられた複数の孔部32およびこれらに螺合または挿通するネジ体92を用いてベース部30に固定される。ベース部30には、複数の孔部33aを有するブラケット部33が設けられており、複数の孔部33aにアンカボルト(図示略)を挿通させて打ち込むことにより、架台3を所定のコンクリート製の基礎あるいは地面などに固定することが可能である。このことにより、架台3の位置ずれや転倒が防止される。
【0022】
架台3の起立部31は、ベース部30上に複数の角パイプ材を起立させるなどして形成されている。この起立部31の最上部および中間高さ部分には、架台3の左右幅方向に延びたブラケット部34,35が設けられている。これらブラケット部34,35には、瞬間式湯沸器2をボルト止めするための複数の孔部36a,36bが設けられている。下側のブラケット部35は、たとえば断面L字状の部材を用いて構成され、架台3の正面に向
けて突出した水平板部35aを有している。瞬間式湯沸器2は、いわゆる壁掛けタイプであり、水平板部35aに下部が係止された状態で、複数のネジ体96aなどを用いてブラケット部34,35に固定される。図1に示すように、2つの瞬間式湯沸器2は、左右横並び状に配されるが、その位置はヒートポンプ1の直上である。瞬間式湯沸器2の横幅は、たとえばヒートポンプ1の横幅の約1/2であり、2つの瞬間式湯沸器2はヒートポンプ1の直上位置から大きくはみ出さないように設定される。
【0023】
主配管部材4A,4Bは、ヒートポンプ1および2つの瞬間式湯沸器2を貯湯タンク5に配管接続するための主要部材であり、ヒートポンプ1と2つの瞬間式湯沸器2との間に位置するようにして、架台3の起立部31に固定して取り付けられている。主配管部材4A,4Bの取り付け手段としては、たとえばΩ状または略半円状の形態を有する金属製の管体押さえ金具を用いることができる。主配管部材4A,4Bは、架台3の左右幅方向に延びており、これらの両端部は、第1の配管接続口40a,40b、および第2の配管接続口41a,41bとして構成されている。第2の配管接続口41a,41bは、本実施形態と同様な構成の他の給湯ユニットを接続するためのものであり(図3を参照して後述)、本実施形態においては、適当な蓋材(図示略)を用いて閉塞されている。第1の配管接続口40a,40bは、貯湯タンク5の配管部50,51と接続されている。
【0024】
ヒートポンプ1は、たとえばCO2などの冷媒の循環路に、ファン10aを利用して取り込まれる空気から熱を吸収する蒸発器10、圧縮器11、凝縮器としての湯水加熱用熱交換器12、および熱膨張弁13が設けられたものである。ヒートポンプ1の入水口15aおよび出湯口15bは、補助配管部材45を介して主配管部材4A,4Bに分岐接続されている。入水口15aに接続された補助配管部材45には、開閉弁V1が設けられている。ただし、この開閉弁V1は、後述する図4の開閉弁V1のように、ヒートポンプ1に内蔵させた構成とすることもできる。
【0025】
各瞬間式湯沸器2は、たとえば燃料ガスを燃焼させるバーナ20、このバーナ20によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なう熱交換器21、およびこの熱交換器21への湯水の供給をオン・オフ可能とする開閉弁V2を有している。熱交換器21に繋がった入水口25aおよび出湯口25bは、補助配管部材45を介して主配管部材4A,4Bに分岐接続されている。なお、バーナ20に燃料ガスを供給するためのガス管6は、主配管部材4A,4Bよりも上側に配置されるようにして架台3の起立部31に取り付けられている。ガス管6の主要管体部は、架台3の左右横幅方向に延びており、その両端部はガス管用の接続口として構成されている。もちろん、本実施形態では、ガス管6の一端側の接続口(ガス非供給側)は、ガス漏れを生じないように閉塞されている。
【0026】
貯湯タンク5は、給湯ユニットU1を利用して加熱された湯水を貯留するためのものであり、この貯湯タンク5の下部には、ポンプP1および開閉弁V3を有する配管部50に加え、入水口52aを有する給水用配管部52が接続されている。このことにより、開閉弁V3を閉じた状態では、入水口52aに供給された湯水を貯湯タンク5に流入させることが可能である。開閉弁V3を開いた状態でポンプP1を駆動させれば、貯湯タンク5内の湯水を配管部50から主配管部材4Aに送り込むことが可能である。この際に、開閉弁V1を開状態とすれば、ヒートポンプ1への入水がなされ、このヒートポンプ1を利用した湯水加熱が可能である。また、開閉弁V2を開状態とすれば、瞬間式湯沸器2への入水がなされ、この瞬間式湯沸器2を利用した湯水加熱が可能である。
【0027】
貯湯タンク5の上部には、三方弁V4を介して配管部51および出湯用配管部53が接続されている。このため、ヒートポンプ1または瞬間式湯沸器2によって加熱された湯水については、主配管部材4Bから配管部51を経由させて、貯湯タンク5に流入させることができる。また、三方弁V4を切り替えた場合には、前記とは異なり、配管部51を通
過してきた湯水を貯湯タンク5に流入させることなく出湯用配管部53に導き、所望の給湯先に直接供給させることも可能である。給湯装置A1は、前記した各部の動作を統括制御するコントローラ(図示略)を具備している。
【0028】
次に、前記した給湯装置A1の作用について説明する。
【0029】
まず、給湯ユニットU1は、湯水加熱手段として、1つのヒートポンプ1と2つの瞬間式湯沸器2とを有しており、かつこれらのいずれを稼働させるかを適宜切り替え可能である。このため、たとえば通常時における温水生成動作はヒートポンプ1に負担させることにより、ランニングコストを低減することが可能である。一方、たとえば給湯負荷が急変し、湯切れの虞が生じた場合には、2つの瞬間式湯沸器2の双方または一方を稼働させて補助熱源機として役立たせ、湯切れの虞を適切に回避することが可能である。給湯能力を高めるための手段としては、本実施形態とは異なり、たとえば瞬間式湯沸器2を一切用いることなく、ヒートポンプ1を2台用いることも考えられるが、このような構成によれば、2台のヒートポンプ1の購入コストが高価となる。これと比較して、ヒートポンプ1を1台とし、かつ比較的廉価な瞬間式湯沸器2を2台とした本実施形態の構成の方が、装置全体を廉価にすることができる。
【0030】
給湯ユニットU1は、ヒートポンプ1や瞬間式湯沸器2に加え、これらを配管接続する主配管部材4A,4Bについても、1つの架台3に設置した構成とされている。このため、たとえば複数の架台に前記した構成機器を別々に設置するような場合と比較すると、構成機器の全体をスペース効率良く集約し、給湯ユニットU1の占有面積(設置面積)、ひいては給湯装置A1全体の占有面積を小さくすることができる。また、ヒートポンプ1と瞬間式湯沸器2とを配管接続する作業も容易化される。とくに、本実施形態では、主配管部材4A,4Bが、ヒートポンプ1と瞬間式湯沸器2との間に位置しているために、ヒートポンプ1や瞬間式湯沸器2のそれぞれから主配管部材4A,4Bまでの距離が短く、これらの配管接続作業性も良好となる。さらに、ヒートポンプ1、瞬間式湯沸器2、および主配管部材4A,4Bが整然とした配置に設けられているために、全体の外観体裁も良い。さらに、それらの機器のうち、重量が最大のヒートポンプ1が低位置に設けられているために、安定性もよい。
【0031】
給湯装置A1は、たとえば図3に示すように、給湯ユニットU1’を増設した給湯装置A1’に変更することが可能である。より具体的には、給湯ユニットU1’は、給湯ユニットU1と実質的に同一の構成である(同一構成要素は、同一符号で示している)。2つの給湯ユニットU1,U1’は横並び状とされ、給湯ユニットU1の第2の配管接続口41a,41bと、給湯ユニットU1’の第1の配管接続口40a,40bとは、直接接続され、または適当な配管部材(図示略)を介して間接的に接続されている。このことにより、給湯ユニットU1に加え、給湯ユニットU1’のヒートポンプ1や瞬間式湯沸器2も、貯湯タンク5に間接的に配管接続されている。給湯装置A1’においては、給湯ユニットU1,U1’の各部の動作制御が貯湯タンク5とともに所定のコントローラ(図示略)によって統括制御される。
【0032】
前記した給湯装置A1’によれば、給湯装置A1よりも給湯能力をさらに向上させることが可能である。このような給湯能力の向上に際し、給湯ユニットU1’の設置作業および給湯ユニットU1への配管接続作業は容易であるために、設置工事費用などの上昇を抑制する上で好ましい。また、給湯ユニットU1,U1’を整然と並べることができるために、全体の見栄えについても、やはり良好な状態に維持することが可能である。図3では、給湯ユニットU1’を1つだけ増設しているが、これに代えて、複数の給湯ユニットU1’を増設した構成(図3に示す給湯ユニットU1’の隣に他の給湯ユニットをさらに並べ、かつ給湯ユニットU1’の第2の接続口41a,41bに前記他の給湯ユニットの主
配管部材を接続した構成)とすることもできる。
【0033】
図4および図5は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0034】
図4に示す給湯装置A2は、貯湯タンク5に給湯ユニットU2が配管接続された構成である。給湯ユニットU2は、ヒートポンプ1が架台3のベース部30上に設置され、かつ瞬間式湯沸器2が起立部31に設置された構成であるが、同図(b)によく表われているように、瞬間式湯沸器2は、起立部31を挟んでヒートポンプ1とは反対側に設けられている。ただし、ヒートポンプ1の下部寄りの部分は、ヒートポンプ1の上部寄り部分に対し、上下高さ方向において適当な寸法L1だけオーバラップしている。また、瞬間式湯沸器2は、ヒートポンプ1のファン10aの吸気口16(または排気口、以下同様)の正面を塞がないように、正面視において吸気口16からオフセットされた配置とされている。
【0035】
主配管部材4A,4B、およびガス管6は、瞬間式湯沸器2の下方に位置するようにして架台3の起立部31に取り付けられている。ヒートポンプ1のファン10aの吸気方向は、好ましくは、図4(b)の矢印N1で示すように、主配管部材4A,4Bがヒートポンプ1よりも吸気方向上流側となる方向とされる。このような構成によれば、ヒートポンプ1から排気される空気が主配管部材4A,4Bに当たらないようにすることができる。主配管部材4A,4Bに前記空気が当たると、主配管部材4A,4Bおよびその内部を流通する湯水が冷却される虞があるが、前記構成によれば、そのような虞を回避することが可能である。ただし、ヒートポンプ1の吸排気方向は、本実施形態とは異なる方向としてもよい。この場合、好ましくは、主配管部材4A,4Bがヒートポンプ1の排気口の正面からできる限りオフセットされた構成とされ、より好ましくは、補助配管部材45についてもオフセットされた構成とされる。
【0036】
本実施形態においては、ヒートポンプ1の上方に瞬間式湯沸器2や主配管部材4A,4Bが配置されておらず、給湯ユニットU2の全体の高さを低くする上で有利となる。ヒートポンプ1としては、背が高い大サイズのものが用いられる場合があるが、このような場合において給湯ユニットU2の全体高さを抑制するのにより好ましい。また、ヒートポンプ1と瞬間式湯沸器2とは、既述したように、上下高さ方向においてオーバラップしているために、給湯ユニットU2の全体高さをより抑制することが可能である。
【0037】
図5に示した給湯装置A2’は、図4に示した給湯装置A2に、給湯ユニットU2’を増設したものである。給湯ユニットU2’は、給湯ユニットU2と実質的に同一の構成であり、給湯ユニットU2’の第1の配管接続口40a,40bは、給湯ユニットU2の第2の配管接続口41a,41bに接続されている。このような構成によれば、給湯ユニットU2’が増設されていることにより、全体の給湯能力が向上する。なお、図3および図5に示した実施形態では、構成が実質的に同一とされた給湯ユニットを複数並べて接続しているが、複数の給湯ユニットを接続して用いる場合、これに限定されない。たとえば、図1に示した給湯装置A1に対し、図4に示された給湯ユニットU2を増設し、あるいは図4に示した給湯装置A2に対し、図1に示された給湯ユニットU1を増設するといったことも可能である。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯ユニット、およびこれを備えた給湯装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0039】
ヒートポンプは、ヒートポンプ方式によって湯水加熱が可能な構成であればよい。瞬間式湯沸器は、ガスバーナに代えて、たとえばオイルバーナを有するオイル燃焼式とするこ
ともできる。図4および図5に示した実施形態から理解されるように、本発明においては、湯水加熱用のヒートポンプおよび瞬間式湯沸器は、1つの架台にそれぞれ1以上設置されていればよく、ヒートポンプおよび瞬間式湯沸器の具体的な数は限定されない。また、ヒートポンプおよび瞬間式湯沸器の具体的なサイズなども問わない。
【0040】
本発明でいう「主配管部材」は、ヒートポンプや瞬間式湯沸器に対する入水や出湯を行なわせるためのメインとなる配管部材であって、所望の配管接続対象機器に配管接続するための配管接続口を有する配管部材である。ここで、配管接続対象機器の具体例としては、貯湯タンクが挙げられるが、図3および図5に示した実施形態から理解されるように、他の給湯ユニットを配管接続対象機器とすることもできる。主配管部材は、ヒートポンプや瞬間式湯沸器の入水口や出湯口に対して、必ずしも補助配管部材を介して接続されていなくてもよく、たとえば第2の配管接続口41a,41bに相当する部分を、ヒートポンプまたは瞬間式湯沸器の入水口や出湯口に直接接続させた構成とすることもできる。主配管部材は、架台の起立部に設置されるが、そのための具体的な固定手段もとくに限定されるものではない。
【0041】
本発明でいう「架台」は、ベース部と、このベース部から起立した起立部とを有し、ベース部は、ヒートポンプを載置可能であればよい。起立部は、瞬間式湯沸器および主配管部材を取り付け可能であればよい。ベース部および起立部の具体的な形状、サイズ、材質などは限定されない。上述した実施形態では、ベース部と起立部とは、側面視逆T字状に繋がっているが(たとえば図1(b)を参照)、これに代えて、たとえば側面視L字状に繋がった構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0042】
A1, A1'給湯装置
A2, A2’給湯装置
U1,U2 給湯ユニット
1 ヒートポンプ
2 瞬間式湯沸器
3 架台
4A,4B 主配管部材
5 貯湯タンク(配管接続対象機器)
15a 入水口(ヒートポンプの)
15b 出湯口(ヒートポンプの)
25a 入水口(瞬間式湯沸器の)
25b 出湯口(瞬間式湯沸器の)
30 ベース部(架台の)
31 起立部(架台の)
40a,40b 第1の配管接続口(配管接続口)
41a,41b 第2の配管接続口(配管接続口)
45 補助配管部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水加熱用の少なくとも1つのヒートポンプと、
少なくとも1つの瞬間式湯沸器と、
前記ヒートポンプおよび前記瞬間式湯沸器のそれぞれの入水口および出湯口に、補助配管部材を介して間接的に接続され、または補助管体部材を介することなく直接接続され、かつ所望の配管接続対象機器に配管接続するための配管接続口を有する複数の主配管部材と、
機器設置用の架台と、
を備えている、給湯ユニットであって、
前記架台は、前記ヒートポンプが載置されるベース部と、このベース部から上向きに起立した起立部とを有し、この起立部に、前記瞬間式湯沸器および前記複数の主配管部材が取り付けられていることを特徴とする、給湯ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯ユニットであって、
前記瞬間式湯沸器は、前記ヒートポンプの上方に配されており、前記瞬間式湯沸器と前記ヒートポンプとの間に、前記複数の主配管部材が配されている、給湯ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯ユニットであって、
前記瞬間式湯沸器は、前記起立部を挟んで前記ヒートポンプとは反対側に配され、かつ前記瞬間式湯沸器の下方には、前記複数の主配管部材が配されている、給湯ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の給湯ユニットであって、
前記瞬間式湯沸器および前記ヒートポンプは、少なくともこれらの一部分同士が上下高さ方向においてオーバラップしている、給湯ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の給湯ユニットであって、
前記複数の主配管部材は、前記架台の左右幅方向に延び、かつその長手方向両端部は、前記配管接続口としての第1および第2の配管接続口として構成されており、
前記第1の配管接続口に前記配管接続対象機器としての貯湯タンクを接続しつつ、前記第2の配管接続口には前記配管接続対象機器として他の給湯ユニットを配管接続した構成、または前記第1および第2の配管接続口のそれぞれに他の給湯ユニットを配管接続した構成とすることが可能とされている、給湯ユニット。
【請求項6】
湯水加熱手段と、
この湯水加熱手段に配管接続され、かつ前記湯水加熱手段によって加熱された湯水を貯留可能な貯湯タンクと、
を備えている、給湯装置であって、
前記湯水加熱手段として、請求項1ないし5のいずれかに記載の給湯ユニットが用いられていることを特徴とする、給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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