説明

給湯評価システム

【課題】 過去の給湯負荷(負荷パターン、負荷量)を再現させて給湯システムの評価を行うことができる給湯評価システムを提供すること。
【解決手段】 過去の給湯負荷を再現させて給湯装置11を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システム。この給湯評価システムのコントローラ122は、設定単位時間帯における給湯流量に基づいてこの設定単位時間帯の平均給湯流量を演算し、演算された平均給湯流量と給湯しきい値とを比較し、平均給湯流量が給湯しきい値より小さいときに部分的給湯と判定し、部分的給湯の判定のときには、給湯しきい値を平均給湯流量とする給湯時間に変更する。部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、このコントローラ122は、給湯しきい値の平均給湯流量でもって変更給湯時間にわたって給湯システムを再現運転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を供給する給湯装置を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置を含む給湯システムにおいては、過去の給湯負荷に基づいて当日の予測給湯負荷データを作成し、この作成した予測給湯負荷データに基づいて給湯システムを運転制御している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような給湯システムでは、信頼性、省エネ性などの評価を行うために評価試験が行われ、この評価試験結果を利用して給湯システムの運転制御方法に改良が施されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−48838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の評価試験では、過去の給湯負荷データを参考に給湯システムを運転して評価を行うが、その評価のための手間、時間が大変であり、また給湯装置などの機器の省エネ性の向上などの評価を定量的に評価することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、過去の給湯負荷(負荷パターン、負荷量)を再現させて給湯システムの評価を簡単に且つ正確に行うことができる給湯評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の給湯評価システムは、過去の給湯負荷を再現させて給湯装置を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システムであって、
前記給湯システムを過去の給湯負荷に基づいて再現運転するためのコントローラを備え、前記コントローラは、設定単位時間帯における給湯流量に基づいてこの設定単位時間帯の平均給湯流量を演算する平均給湯流量演算手段と、前記平均給湯演算手段により演算された前記平均給湯流量と給湯しきい値とを比較し、前記平均給湯流量が前記給湯しきい値より小さいときに部分的給湯と判定する部分的給湯判定手段と、前記部分的給湯判定手段の前記部分的給湯の判定に基づいて、給湯しきい値を平均給湯流量とする給湯時間に変更する変更給湯時間演算手段と、を含んでおり、
前記部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、前記コントローラは、前記給湯しきい値の平均給湯流量でもって前記変更給湯時間にわたって前記給湯システムを再現運転することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の給湯評価システムでは、前記コントローラは、更に、給湯負荷を後送りする給湯後送り手段を含んでおり、部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、再現する単位時間帯に続く後の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、前記給湯後送り手段は、前記給湯しきい値の平均流量でもって給湯する変更給湯時間を前記後の単位時間帯に連続するように後送りすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の給湯評価システムでは、前記コントローラは、更に、給湯熱量をバッファするための熱量バッファと、単位時間の給湯熱量を加算するバッファ熱量演算手段と、給湯負荷を再現する際の給湯熱量を演算する再現給湯熱量演算手段と、前記熱量バッファの残りバッファ給湯熱量を演算するための残りバッファ熱量演算手段と、を含み、前記バッファ熱量演算手段は、再現給湯開始時及び単位時間帯開始時にそれらの単位時間帯の給湯熱量を前記熱量バッファに加算し、前記残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロになると再現給湯運転が終了することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の給湯評価システムでは、特定の単位時間帯において前記残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロになった場合において、前記特定の単位時間に続く次の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、前記バッファ熱量演算手段は、前記残りバッファ給湯熱量がゼロになった時点で次の単位時間帯の給湯熱量を前記熱量バッファに加算して再現給湯運転が継続されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の給湯評価システムは、過去の給湯負荷を再現させて給湯装置を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システムであって、
前記給湯システムを過去の給湯負荷に基づいて再現運転するためのコントローラを備え、前記コントローラは、所定時間先までの追焚き給湯負荷データを抽出する追焚きデータ抽出手段と、前記所定時間先までの風呂張り給湯負荷データを抽出する風呂張りデータ抽出手段と、浴槽に関する給湯負荷が追焚きか風呂張りかを判定する追焚き・風呂張り判定手段と、を含んでおり、
前記追焚き・風呂張り判定手段は、前記所定時間先までの所定時間範囲において前記風呂張りデータ抽出手段による風呂張り給湯負荷データが最初に出現し、且つ前記風呂張り給湯負荷データが風呂張り設定時間以上継続して出現したときに風呂張りと判定することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項6に記載の給湯評価システムでは、前記追焚き・風呂張り判定手段が風呂張りと判定すると、この風呂張り判定結果に基づいて、前記コントローラは浴槽の排水弁を開放して浴槽内の水を排水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の給湯評価システムによれば、例えば、給湯システムの給湯負荷データなどの各種データをデータ取得時間間隔として例えば1秒毎に取得し、このように取得した各種データをデータ再現時間間隔として例えば1分毎に再現運転する場合、データ再現時間間隔に対応する設定単位時間帯に平均化したデータ(給湯負荷データなど)に変換して再現運転するようになる。このようなことから、給湯流量に関して、平均給湯流量演算手段は、設定単位時間帯における給湯流量に基づいてこの設定単位時間帯の平均給湯流量を演算し、部分的給湯判定手段は、この平均給湯流量と給湯しきい値とを比較し、平均給湯流量が給湯しきい値より小さいときに部分的給湯と判定し、変更給湯時間演算手段は、この部分的給湯の判定に基づいて、給湯しきい値を平均給湯流量とする給湯時間に変更するので、再現運転のときに給湯装置が動作しないなどの不都合が発生することがなく、過去の給湯負荷データをできる限り忠実に再現して運転することができる。一般的に、給湯装置においては、給湯動作が確実に行われるように最低作動流量が設定され、この最低作動流量より少ない流量では給湯装置が作動しないように構成されており、このようなことから、この最低作動流量以上の流量値を給湯しきい値として設定し、再現運転のときには、この給湯しきい値の給湯流量で動作させ、このように再現運転することによって、過去の給湯負荷データにできる限り忠実に再現運転することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の給湯評価システムによれば、部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、再現する単位時間帯に続く後の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、給湯後送り手段は、給湯しきい値による給湯の変更給湯時間を後の単位時間帯に連続するように後送りするので、この単位時間帯と後の単位時間帯の給湯が連続した一連の給湯動作として再現運転され、再現運転のときの給湯装置の作動、作動停止が繰り返されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の給湯評価システムによれば、給湯動作の再現運転のときには、熱量バッファという概念を用い、バッファ熱量演算手段は単位時間の給湯熱量を加算し、再現給湯熱量演算手段は給湯負荷を再現する際の給湯熱量を演算し、残りバッファ熱量演算手段は熱量バッファの残りバッファ給湯熱量を演算し、このバッファ熱量演算手段は再現給湯開始時及び単位時間帯開始時にそれらの単位時間帯の給湯熱量を熱量バッファに加算し、残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロ(零)になると再現給湯運転が終了するので、給湯熱量に着目して一連の給湯動作をより忠実に再現して運転することができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の給湯評価システムによれば、特定の単位時間帯において残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロになった場合において、特定の単位時間に続く次の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、バッファ熱量演算手段は、残りバッファ給湯熱量がゼロになった時点で次の単位時間帯の給湯熱量を熱量バッファに加算するので、特定の単位時間帯及び次の単位時間帯における給湯負荷を一連の給湯動作として再現運転し、給湯装置の作動、作動停止の繰り返し発生を回避しながら、過去の給湯負荷をできる限り忠実に再現運転することができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の給湯評価システムによれば、追焚き・風呂張り判定手段は、再現運転するときに所定時間(例えば、60分)先までの所定時間範囲において風呂張りデータ抽出手段による風呂張り給湯負荷データが最初に出現し、この風呂張り給湯負荷データが風呂張り設定時間以上継続して出現したときに風呂張りと判定するので、再現運転を行う際には、少なくとも風呂張り設定時間(例えば、5分)以上継続して風呂張り動作が行われ、これによって、後に追い炊き動作が行われても浴槽が空焚きされることがなく、浴槽の空焚きの発生を回避しながら再現運転を行うことができる。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の給湯評価システムでは、追焚き・風呂張り判定手段が風呂張りと判定すると、コントローラは浴槽の排水弁を開放して浴槽内の水を排水するので、風呂張り動作の再現運転の前に浴槽の水が空になり、所望の風呂張り再現運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う給湯評価システムの一実施形態について説明する。図1は、給湯評価システムの一実施形態を簡略的に示すシステム図であり、図2は、図1の給湯評価システムを再現運転する際に必要なデータなどを示す図であり、図3は、図1の給湯評価システムの制御系の一部を示すブロック図であり、図4は、図3の制御系による部分的給湯を説明するための図であり、図5は、図3の制御系による部分的給湯の流れを説明するフローチャートであり、図6は、図3の制御系により再現運転される給湯負荷のデータの一部を示す図であり、図7は、図3の制御系による再現給湯運転における給湯熱量の変化を示す図であり、図8は、図3の制御系による再現給湯運転の流れを示すフローチャートであり、図9は、図1の給湯評価システムの制御系の他の一部を示すブロック図であり、図10は、図9の制御系により再現運転される給湯負荷データの一部を示す図であり、図11は、図9の制御系による風呂張り判定の流れを示すフローチャートである。
【0020】
図1において、この給湯評価システムは、過去の給湯を再現するための評価システムであり、この実施形態では、家庭用コージェネレーションシステムの評価を行うための評価システムに給湯評価システムが組み込まれている。この家庭用コージェネレーション評価システムは、家庭において消費された各種負荷、即ち電力負荷、給湯負荷(通常の給湯負荷、浴槽への給湯負荷)、暖房負荷を再現するためのものであり、従って、家庭用コージェネレーションシステムと同様の構成を備えているとともに、家庭で用いられた各種家庭用機器、家庭用装置が家庭用コージェネレーションシステムに接続されている。尚、暖房負荷は、温水の熱を消費するので、給湯負荷の一部と考えられ、広い概念で給湯負荷に含めることができるが、後の説明を理解し易いものにするために、給湯負荷に含めず、暖房負荷として説明する。
【0021】
この家庭用コージェネレーションシステムの評価システムは、ガスエンジン2によって発電機4が駆動され、この発電機4によって発電された電力がインバータ6を介して住宅分電盤8に送給され、この住宅分電盤8から電力負荷10(交流負荷装置)に送られ、この交流負荷装置10によって消費され、電力が不足するときには、外部からの電力(商用電力)が住宅分電盤8を通して電力負荷10に送給される。
【0022】
また、このコージェネレーションシステムの評価システムは、温水を供給するための給湯装置11を備え、この給湯装置11は温水を貯める貯湯タンク12を有し、この貯湯タンク12にガスエンジン2からの排熱が温水として貯えられるように構成されている。ガスエンジン2から冷却水が冷却水流路14及び熱交換器16を通して循環され、また貯湯タンク12の温水が循環流路18及び熱交換器16を通して循環され、熱交換器16にて冷却水流路14の冷却水と循環流路18の水との間で熱交換され、この熱交換によって加温された温水が貯湯タンク12に貯えられる。この循環流路18には余剰電力ヒータ17が配設され、発電機4にて発電された余剰電力は、この余剰電力ヒータ17に送給されて循環流路18を流れる温水を加熱するのに消費されるように構成されている。また、循環流路18にはボイラ手段20が設けられ、熱交換による熱量では熱負荷(給湯負荷、暖房負荷)をまかなうことができないとき、このボイラ手段20が作動される。
【0023】
この貯湯タンク12には給水流路22が接続され、この給水流路22の一方側は水道管24に接続され、その他方側は冷水供給管26に接続され、水道管24からの水道水と冷水供給源28から冷水供給管26を流れる冷水とが混合弁30により混合されて温度調整され、このように温度調整された水が給水流路22を通して貯湯タンク12に補給される。
【0024】
この家庭用コージェネレーションシステムの評価システムにおいて温水を消費する給湯負荷として、温水供給の通常の給湯負荷と浴槽への給湯負荷とがあり、温水供給負荷として貯湯タンク12に第1給湯流路32が接続され、この第1給湯流路32に給湯排水弁34が設けられ、貯湯タンク12内の温水が第1給湯流路32及び給湯排水弁34を通して外部に排水される。また、浴槽への給湯負荷として貯湯タンク12に第2給湯流路36が接続され、貯湯タンク12からの温水が第2給湯流路36を通して浴槽38に供給されて風呂張りが行われる。また、浴槽への給湯負荷として第2給湯流路36が利用されるとともに、戻り流路40が接続され、浴槽38内の水(又は温水)が戻し流路40を通して流れることによって貯湯タンク12の温水を利用して加温され、加温された温水が第2給湯流路36を通して浴槽38に送給され、このようにして追焚きが行われる。浴槽38には排水管42が接続され、この排水管42に排水弁44が配設され、浴槽38内の水(温水)が排水管42及び排水弁44を通して外部に排水される。
【0025】
また、温水を消費する暖房負荷として2種類の暖房負荷、即ち第1及び第2暖房負荷46,48が用いられ、第1暖房負荷46(熱交換器)が第1循環流路50を介して貯湯タンク12に接続され、この第1循環流路50に第1開閉弁52が配設され、貯湯タンク12の温水が第1循環流路50及び第1開閉弁52を通して循環される。この第1暖房負荷46は、第1冷水流路54を流れる冷水との間で熱交換することによって熱を消費する。この第1暖房負荷46は、例えば60℃の温水を利用して床暖房を行う床暖房装置に相当する熱を消費するように構成される。また、第2暖房負荷48(熱交換器)が第2循環流路56を介して貯湯タンク12に接続され、この第2循環流路56に第2開閉弁58が配設され、貯湯タンク12の温水が第2循環流路56及び第2開閉弁58を通して循環される。この第2暖房負荷48は、第2冷水流路60を流れる冷水との間で熱交換することによって熱を消費する。この第2暖房負荷48は、例えば80℃の温水を利用して床暖房を行う床暖房装置に相当する熱を消費するように構成される。尚、第1及び第2冷水流路54,60には開閉弁62,64が配設される。
【0026】
上述した評価システムでは、過去の負荷の再現を容易とするために、電力負荷として交流負荷装置を用い、また暖房負荷として冷水を利用した熱交換器を用いているが、暖房負荷として床暖房装置を用いるようにしてもよい。また、暖房負荷として浴室暖房機、浴室乾燥暖房機などを追加して装備するようにしてもよい。
【0027】
このコージェネレーションシステムの評価システムは、家庭において運転されたコージェネレーションシステムの運転状況を再現して省エネ性の向上、給湯効率の向上などを評価するものであり、過去のコージェネレーションシステムの運転状況を再現するために、コージェネレーションを運転したときに図2に示す通りの各種モニターデータが取得される。そして、この取得した各種モニターデータを再現するために、この評価システムでは、次の通りの計測機器、計測センサなどが設けられる。ガスエンジン2に接続される第1ガス流路66に、ガスエンジン2に供給される燃料ガスの流量(GEガス量)を計測する第1ガス流量計68が設けられ、またボイラ手段20に接続される第2ガス流路70に、ボイラ手段20に供給される燃料ガスの流量(BUガス量)を計測する第2ガス流量計72が設けられる。また、コージェネレーションシステムに関連して、循環流路14に、この循環流路14を流れる流れる温水の流量(冷却水流量)を計測するための第1水流量計74が設けられ、また循環流路14の往き流路部に、ガスエンジン2から熱交換器16に流れる温水の温度(冷却水Hi温度)を検知する第1温度センサ76が配設され、循環流路14の戻り流路部に、熱交換器16からエンジン2に戻る温水の温度(冷却水Low温度)を検知する第2温度センサ78が設けられる。また、図示していないが、発電機4の発電電力(GE発電量)を計測する第1電力計、発電機4からインバータ6を介して住宅分電盤8に送給される電力(GE発電出力)を計測する第2電力計、及び余剰電力ヒータ17に送給される電力(ヒータ電力)を計測する第3電力計が設けられる。
【0028】
商用電源側には第4電力計80が設けられ、この第4電力計80は買電電力(買電量)を計測し、また電力負荷10側には第5電力計82が設けられ、この第5電力計82は電力負荷10に送給される電力(換言すると、電力負荷10にて消費される電力負荷)を計測する。
【0029】
また、給湯タンク12内には、タンク容量の20%、40%、60%、80%及び100%の温水(又は水)の温度(タンク20%温度、タンク40%温度、タンク60%温度、タンク80%温度、タンク100%温度)を検知する第3〜第8温度センサ84,86,88,90,92が設けられている。また、外気温を検知する第9温度センサ(図示せず)が設けられる。
【0030】
浴槽38に関連して、第2給湯流路36に第2水流量計94及び第10温度センサ96が設けられ、また戻り流路40に第11温度センサ98が設けられる。第2水流量計94は第2給湯流路36を流れる温水の流量(風呂流量)を計測し、第10温度センサ96は第2給湯流路36を流れる温水の温度(風呂往き温度)を検知し、また第11温度センサ98は戻り流路40を流れる水(温水)の温度(風呂戻り温度)を検知する。
【0031】
第1暖房負荷46(熱交換器)に関連して、第1循環流路50の往き流路部に第12温度センサ100が設けられ、その戻り流路部に第13温度センサ102及び第3水流量計104が設けられている。第12温度センサ100は第1暖房負荷46に送給される温水の温度(暖房往き温度)を検知し、第13温度センサ102は貯湯タンク12に戻る温水の温度(暖房戻り温度)を検知し、また第3水流量計104は第1循環流路50を流れる温水の流量(暖房流量)を計測する。
【0032】
第1暖房負荷48(熱交換器)に関連して、第2循環流路56の往き流路部に第14温度センサ106が設けられ、その戻り流路部に第15温度センサ108及び第4水流量計110が設けられている。第14温度センサ106は第2暖房負荷48に送給される温水の温度(暖房往き温度)を検知し、第15温度センサ108は貯湯タンク12に戻る温水の温度(暖房戻り温度)を検知し、また第4水流量計110は第2循環流路56を流れる温水の流量(暖房流量)を計測する。
【0033】
給湯流路32には、第16温度センサ112及び第5水流量計114が設けられる。第16温度センサ112は給湯流路32を流れる温水の温度(給湯温度)を検知し、第5水流量計114は給湯流路32を流れる温水の流量(給湯流量)を計測する。
【0034】
また、給水流路22には、第17温度センサ116及び第6水流量計118が設けられる。第17温度センサ116は給水流路22を流れる水の温度(給水温度)を検知し、第6水流量計118は給水流路22を流れる水の流量(給水流量)を計測する。
【0035】
このコージェネレーションシステムの評価システムでは、上述した各種データは単位時間毎、例えば1秒毎に取得され、単位時間毎に取得したデータに基づいて再現運転するときには、単位時間よりも時間的に長い単位時間帯、例えば1分毎の再現データに変換されて再現運転される。この再現運転の際には、単位時間帯の範囲における単位時間毎の取得データをこの範囲の単位時間帯の平均化したデータに変換されて再現運転される。そして、各種測機器(第1〜第6水流量計、第1〜第5電力計など)、各種計測センサ(第1〜第17温度センサなど)の計測値及び検知値が再現されるようにこの評価システムを運転したときにおける第1及び第2ガス流量計68,72の流量、即ちガスエンジン2及びボイラ手段20における燃料ガスの使用量を調べることによって、過去の負荷状態における各種機器の省エネ性向上、給湯効率の向上を評価するものである。尚、取得データのうち冷却水熱量、貯湯タンク熱量、給湯負荷、風呂張り熱量、追焚き熱量などは、上述した各種取得データを利用して演算して算出することができる。
【0036】
この評価システムを用いて再現運転するときには、単位時間(例えば、1秒)毎の取得データをそれよりも長い単位時間帯(例えば、1分)の再現データに変換して、上述した評価システムを再現するので、次の通りの改善が施されている。
【0037】
一般的に、給湯タンク12を含む給湯システムでは、給湯動作が確実に行われるように最低作動流量(最低作動流量として例えば2L/分)が設定され、この最低作動流量よりも少ない流量では作動しないように構成されている。このようなことから、再現運転では最低作動流量以上の値で給湯する給湯しきい値を設定し、この給湯しきい値で給湯するように構成されている。
【0038】
図3〜図5を参照して、この評価システムは、システム全体を制御するためのコントローラ122を備え、コントローラ122の機能の一部である図3に示す構成によって、この給湯制御が行われる。更に説明すると、コントローラ122は、給湯排水弁34などを作動制御するための作動制御手段124、平均給湯流量演算手段126、部分的給湯判定手段128、変更給湯時間演算手段130、給湯後送り手段140及びメモリ手段142を有し、このメモリ手段142に、過去の運転において取得した各種運転データである運転環境データ(換言すると、再現運転するための運転データ)、及び再現運転のときの最低作動流量となる給湯しきい値が登録されている。平均給湯流量演算手段126は、単位時間帯における給湯流量を、その単位時間帯の平均給湯流量を演算し、図4の左に示すように、例えば6L/分の割合で45秒間にわたって給湯したときには、
平均給湯流量=6X(3/4)=4.5(L/分)
となり、この単位時間帯における給湯流量を4.5L/分と演算する。また、例えば、図4の中央に示すように、例えば2L/分の割合で30秒間にわたって給湯したときには、平均給湯流量演算手段126は、上述したように演算して、平均給湯流量=1L/分と演算する。
【0039】
部分的給湯判定手段128は、平均給湯演算手段126により演算された平均給湯流量と給湯しきい値とを比較し、平均給湯流量が給湯しきい値以上のときには、その平均給湯流量で給湯する通常給湯と判定し、平均給湯流量が給湯しきい値よりも小さいときには部分的給湯と判定する。例えば、平均給湯流量が4.5L/分であるときには、給湯しきい値3L/分以上であるので通常給湯と判定し、再現運転するときには、コントローラ122はこの単位時間帯においては4.5L/分の割合で1分間にわたって給湯するように評価システムを運転制御し、例えば、平均給湯流量が1L/分のであるときには、給湯しきい値よりも小さいので部分的給湯と判定し、再現運転のときの給湯流量は給湯しきい値に設定される。
【0040】
この部分的給湯判定のときには、変更給湯時間演算手段130は、次のようにして給湯時間を演算する。変更給湯時間演算手段130は、
変更給湯時間=1/3=0.33分(20秒)
と演算し、再現運転のときには、給湯しきい値(3L/分)の割合で1/3分間(20秒間)にわって給湯するように評価システムを運転制御し、このように給湯流量を給湯しきい値に、また給湯時間を給湯しきい値で給湯したときの給湯時間に変更することによって、過去の運転状況をできる限り忠実に再現しながら評価システムを運転制御することができる。
【0041】
そして、このような部分的給湯の場合、給湯後送り手段140は、図7に破線で示すように、この部分的給湯、即ち部分的給湯負荷をその単位時間帯の後ろに、即ちその後の単位時間帯に続くように後送りする。例えば、図4において中央の給湯負荷(3時28分〜3時29分の間の給湯負荷)の場合、変更給湯時間が20秒であるので、給湯後送り手段140は再現運転場合に給湯しきい値による給湯負荷を後送りし、3時28分40秒から3時29分までの20秒間にわたって給湯しきい値(3L/分の割合)でもって給湯する。このよう変更給湯時間を次の単位時間帯に続くように後送りすることによって、図4の右側において示すように、後に給湯負荷がある場合に単位時間帯(3時30分〜3時31分)の給湯負荷とそれに続く単位時間帯(3時31分〜3時32分)の給湯負荷とが連続して給湯されるようになり、これによって、給湯システムの作動、作動停止が短時間で繰り返されることが回避され、過去の運転状況により沿った再現運転を行うことができる。
【0042】
図4の右側に示すように、単位時間帯及びこの単位時間帯に続く次の単位時間帯に給湯負荷がある場合、単位時間帯の変更給湯時間を上述したように次の時間帯に続くように後送りするのが望ましいが、次の単位時間帯に給湯負荷がない場合には、この変更給湯時間を後送りをしてもよいが、この単位時間帯の前側に先送りをするようにしてもよい。
【0043】
評価システムを再現運転する場合、給湯制御における給湯の開始は、図5に示すフローチャートの流れに沿って行われる。主として図3及び図5を参照して、上述した評価システムによる再現運転を行うために、コントローラ122のメモリ手段142には家庭用コージェネレーションシステムの過去の各種運転データ、即ち運転環境データが登録されており、この運転環境データに基づいて再現運転の給湯制御を行うには、まず、メモリ手段142に登録された運転環境データの読出しが行われ(ステップS1)、読み出された運転環境データの一部、給湯流量に関するデータを用いて給湯制御が次のように行われる。
【0044】
給湯制御においては、例えば単位時間(例えば、1秒)毎の取得運転データを単位時間帯(例えば、1分間)毎の再現運転データに変更するために、単位時間帯毎の給湯流量の演算が行われる(ステップS2)。平均給湯流量演算手段126は、単位時間帯毎の給湯流量を演算して平均し、単位時間帯にわたって平均給湯流量で給湯する運転データに変更する。
【0045】
そして、この平均給湯流量と給湯しきい値(メモリ手段142に登録されている)との比較が行われ(ステップS3)、平均給湯流量が給湯しきい値以上であるときには、ステップS5に進む。部分的給湯判定手段128は、平均給湯流量と給湯しきい値とを対比し、平均給湯流量が給湯しきい値以上のときには給湯システムを安定的に作動することができるとして通常給湯と判定し、再現運転における単位時間帯にわたる給湯流量としてこの平均給湯流量を設定し、再現運転においてはこの平均給湯流量でもって単位時間帯にわたって給湯される。
【0046】
一方、平均給湯流量が給湯しきい値より小さいときには、ステップS6に移り、部分的給湯判定手段128は、再現運転の際に給湯システムを安定的に作動することができないとして部分的給湯と判定し、この部分的判定に基づいて、給湯しきい値を再現運転における給湯流量として設定し、変更給湯時間演算手段130は、給湯しきい値を給湯流量としたときの給湯時間を上述したように演算し(ステップS7)、このように演算された給湯時間が変更給湯時間として設定され、給湯後送り手段140は、この変更された給湯時間を次の単位時間帯に続くように後側に後送りする。例えば、図4において中央の給湯負荷(3時28分〜3時29分の間の時間帯の給湯負荷)の場合、上述したように演算された20秒の変更給湯時間が後側に後送りされるので、3時28分40秒から再現運転における給湯が20秒間にわたって給湯される。
【0047】
また、一般的な給湯動作においては、給湯が例えば5分間にわたって行われている場合、5分間の継続給湯動作として再現運転することが実際の稼働運転に即しており、またこのように再現運転することによって給湯システムの作動、作動停止が多数回繰り返されることが回避され、更には所定の熱量を消費しないままに次の熱量消費に移行することが回避される。このようなことから、給湯負荷の終了については、給湯熱量を貯える熱量バッファという概念を用い、この熱量バッファがゼロ(零)になったときに再現運転における給湯が終了するように構成されている。
【0048】
再び、図3参照して、このコントローラ122は、熱量バッファの概念を用いて給湯負荷を再現運転するために、バッファ熱量演算手段152、再現給湯熱量演算手段154及び残りバッファ熱量演算手段156を有するとともに、メモリ手段142は熱量バッファ158を含んでいる。バッファ熱量演算手段152は、メモリ手段142の熱量バッファ158に貯えられるバッファ給湯熱量を演算し、再現運転時の給湯制御開始時に、その単位時間帯の給湯負荷(給湯熱量)を熱量バッファ158に加算し、また単位時間帯の初めに、その単位時間帯の給湯負荷を熱量バッファ158に加算し、更に、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロになったときにおいて次の単位時間帯に給湯負荷があるときに、次の単位時間帯の給湯負荷を熱量バッファ158に加算する。
【0049】
また、再現給湯熱量演算手段154は、再現運転時の再現給湯熱量を演算する。この再現給湯熱量は、
再現給湯熱量=〔(給湯温度)−(給水温度)〕×(給湯流量)
と演算される。また、残りバッファ熱量演算手段156は、熱量バッファ158に残る残りバッファ給湯熱量を演算する。この残りバッファ給湯熱量は、
残りバッファ給湯熱量=(熱量バッファのバッファ給湯熱量)−(再現給湯熱量)
と演算され、この残りバッファ給湯熱量が、再現運転するときの残りの給湯負荷となる。
【0050】
評価システムを再現運転する場合、給湯制御における給湯終了は、図8に示すフローチャートの流れに沿って行われる。図3とともに図6〜図8を参照して、上述した評価システムによる再現運転を行うために、コントローラ122のメモリ手段142には運転環境データが登録されており、この運転環境データの一部は、図6に示す通りであり、各単位時間帯の給湯流量、給湯負荷(給湯熱量)、給水温度、給湯温度などの再現運転データを含んでいる。
【0051】
再現運転の給湯制御において給湯動作が開始されると、ステップS11からステップS12に進み、メモリ手段142の熱量バッファ158に給湯熱量が加算される。即ち、図7において7時34分32秒になると、再現運転において給湯が開始され、バッファ熱量演算手段152は、運転環境データにおけるこの単位時間帯(7時34分〜7時35分の時間帯)の給湯負荷(給湯熱量)を演算してその給湯熱量を熱量バッファ158に登録する。
【0052】
そして、この評価システムの再現運転が開始されると、給湯熱量演算手段154は、再現運転の給湯動作による給湯熱量を上述したようにして演算し(ステップS13)、残りバッファ熱量演算手段156は、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量から再現運転に伴う給湯熱量を減算し(ステップS14)、このようにして再現運転する際の残り給湯熱量、即ち残りのバッファ給湯熱量を算出する。
【0053】
このようにして残りのバッファ給湯熱量が演算されると、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロか否かが判断され(ステップS15)、所定の単位時間帯が経過したか否かが判断され(ステップS16)、更に給湯が継続されるか否かが判断される(ステップS17)。
【0054】
再現運転における給湯動作の開始の単位時間帯(7時34分〜7時35分の単位時間帯)が終了して次の単位時間帯(7時35分〜7時36分の単位時間帯)になると、図7に示すように、このときには次の単位時間帯が開始されるときに熱量バッファ158にバッファ給湯熱量が残っているので、ステップS15からステップS16経てステップS12に戻り、バッファ熱量演算手段152は、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量に次の単位時間帯の給湯負荷(給湯熱量)を加算し、ステップS13〜ステップS17が繰り返し遂行される。このようにステップS16からステップS12に戻る流れは、更に次の単位時間帯(7時36分〜7時37分の単位時間帯)及びその次の単位時間帯(7時37分〜7時38分の単位時間帯)の初めにおいても、図7に示すように行われる。
【0055】
また、再現運転における給湯動作の単位時間帯(7時37分〜7時38分の単位時間帯)においては、再現運転の給湯動作中に熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロ(零)になるが、この単位時間帯に続く次の単位時間帯(7時38分〜7時39分の単位時間帯)において給湯熱量が存在して給湯が行われるために、この場合には、ステップS15及びステップS17を経てステップS12に戻り、この単位時間帯(7時37分〜7時38分の単位時間帯)が経過していないが、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロになった時点で次の単位時間帯(7時38分〜7時39分の単位時間帯)の給湯負荷(給湯熱量)を加算してステップS13に進む。
【0056】
また、再現運転における給湯動作の単位時間帯(7時38分〜7時39分の単位時間帯)においては、再現運転の給湯動作中に熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロ(零)になり、この単位時間帯に続く次の単位時間帯(7時39分〜7時40分の単位時間帯)において給湯熱量が存在しないために、この場合には、ステップS15及びステップS17を経てステップS18に進み、熱量バッファ158のバッファ給湯熱量がゼロになった時点で再現運転の給湯が終了する。
【0057】
このように再現運転の給湯制御において熱量バッファという概念を用い、そのバッファ給湯熱量に基づいて給湯を終了させているので、例えば、図7に示すように、過去の給湯運転において5分間(7時34分〜7時38分)の給湯動作が遂行された場合、その再現運転においては、上述したように5分間(7時34分〜7時38分)の一連の継続した給湯動作として再現され、このように再現することによって、実際の給湯運転に即してより忠実に再現運転することができるとともに、再現運転における給湯システムの作動、作動停止が繰り返されることを回避することができる。
【0058】
また、この評価システムは浴槽38を備え、浴槽38の風呂張り及び追焚きをも再現して運転するように構成されており、このことに関連して、更に、次の通りの改善が施されている。
【0059】
コントローラ122は、作動制御手段124(図9にも示す)、メモリ手段142(図9にも示す)、平均給湯流量演算手段126及び部分的給湯判定手段128など(図3参照)に加えて、更に、データ読出し手段162、追焚きデータ抽出手段164、風呂張りデータ抽出手段166、風呂張り継続判定手段168及び追焚き・風呂張り判定手段170を含んでおり、またメモリ手段142には、上述した各種データに加えて所定設定時間が登録される。データ読出し手段162は、メモリ手段142に登録された運転環境データの一部である図10に示すデータを読み出し、追焚きデータ抽出手段164は、読み出したデータから追焚きデータを抽出し、また風呂張りデータ抽出手段166は、読み出したデータから風呂張りデータを抽出する。また、風呂張り継続判定手段168は風呂張りが所定設定時間(例えば、5分程度に設定される)継続して行われたか否かを判定し、追焚き・風呂張り判定手段170は、後述するようにして追焚き、風呂張りを判定する。
【0060】
更に、浴槽38には、液面レベルを検知するためのレベル計174が設けられ、このレベル計174は、浴槽38の上液面(浴槽38に適切に水(温水)が入ったときの液面)を検知するための上レベルセンサ176と、浴槽38の下液面(浴槽38内の水(温水)が排出された面)を検知するための下レベルセンサ178を含んでおり、これら上レベル及び下レベルセンサ176,178からの検知信号は、コントローラ122に送給される。また、第2給湯流路36には風呂給湯開閉弁180が配設され、戻し流路40には追焚き戻し開閉弁182及び送給ポンプ184が配設され、再現運転における風呂張りのときには、風呂給湯開閉弁180が開状態に保持され、再現運転における追焚きのときには、追焚き戻し開閉弁182が開状態に保持されるとともに、送給ポンプ184が作動される。また、風呂張り動作の前には、後述するように、排水弁44が開放されて浴槽38内の水(温水)が外部に排水される。
【0061】
この評価システムを再現運転する場合、追焚き、風呂張りの判定は、図11に示すフローチャートの流れに沿って行われる。図9とともに図10及び図11を参照して、上述した評価システムによる再現運転を行うために、コントローラ122のメモリ手段142には運転環境データが登録されており、この運転環境データの一部は、図10に示す通りであり、各単位時間帯の追焚き熱量、風呂張り熱量などの再現運転データを含んでいる。
【0062】
再現運転の風呂判定を行うには、例えば所定時間(例えば、60分程度に設定される)先までの運転環境データの読み出しが行われ(ステップS21)、読み出された運転環境データから追焚きデータ及び風呂張りデータの抽出が行われる(ステップS22)。追焚きデータ抽出手段164は、運転環境データから追焚きデータ、即ち追焚き熱量データを抽出し、風呂張りデータ抽出手段166は、運転環境データから風呂張りデータ、即ち風呂張り熱量データを抽出する。
【0063】
追焚きデータ抽出手段164が追焚きデータを抽出せず、また風呂張りデータ抽出手段166が風呂張りデータを抽出しない(換言すると、所定設定時間先まで追焚き及び風呂張りが行われない)ときには、ステップS23を経て終了する。
【0064】
一方、追焚きデータ及び/又は風呂張りデータがあるときには、ステップS23を経てステップS24に進み、所定設定時間先までのデータにおいて追焚きデータが先に出現するか否か判断され、例えば、図10に示すように追焚きデータ、即ち追焚き熱量が先に出現するときには、追焚き・風呂張り判定手段170は追焚きと判定し(ステップS25)、浴槽38に張られた水(温水)はそのままの状態に保たれる。
【0065】
また、所定設定時間先までのデータにおいて風呂張りデータ、即ち風呂張り熱量が先に出現するときには、ステップS26からステップS27に進み、風呂張りが風呂張り設定時間(例えば、5分程度に設定される)以上継続して行われたかが判断され、風呂張り設定時間継続して行われないときには、追焚き・風呂張り判定手段170は追焚きと判定し(ステップS28)、このときも浴槽38に張られた水(温水)はそのままの状態に保たれる。風呂張りが風呂張り設定時間継続して行われないということは、浴槽38内の水(温水)を排水した後に風呂張りを行っても、浴槽38内にある程度の温水が貯まることがなく、この程度の風呂張りでは空焚きのおそれが生じるおそれがあり、それ故に、追焚き・風呂張り判定手段170は追焚きと判定し、浴槽38内の水(温水)はそのままの状態に保たれる。
【0066】
更に、所定設定時間先までのデータにおいて風呂張りデータが先に出現し、且つ風呂張りが風呂張り設定時間継続して行われたときには、追焚き・風呂張り判定手段170は風呂張りと判定し(ステップS29)、この風呂張りの判定に基づいてコントローラ122は排水弁44を開状態にし(ステップS30)、浴槽38内の水(温水)の排水が行われる。この排水弁44の開状態は再現して風呂張りを行う時刻、即ち風呂張り時刻まで維持され、風呂張り時刻になると、ステップS31からステップS32に進み、排水弁44が閉となり、浴槽38への風呂張りが行われる(ステップS33)。そして、この風呂張りによって所定熱量(即ち、風呂張りによる風呂張り熱量)のお湯が浴槽38に供給されると、ステップS34からステップS35に進み、再現運転における風呂張りが終了する。このように浴槽38の水(温水)を排水することによって、評価システムの再現運転において風呂張りを行うことができる。
【0067】
尚、排水弁44の開状態から閉状態への切換えは、レベル計174の下レベルセンサ178が水面を検知したときに行うようにしてもよい。
以上、本発明に従う給湯評価システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、本発明に従う給湯評価システムを組み込んだ家庭用コージェネレーションシステムの評価システムに適用して説明したが、本発明はこのような評価システムに限定されず、給湯装置、貯湯式給湯装置などから構成される給湯システムの評価システムとして適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】給湯評価システムの一実施形態を簡略的に示すシステム図。
【図2】図1の給湯評価システムを再現運転する際に必要なデータなどを示す図。
【図3】図1の給湯評価システムの制御系の一部を示すブロック図。
【図4】図3の制御系による部分的給湯を説明するための図。
【図5】図3の制御系による部分的給湯の流れを説明するフローチャート。
【図6】図3の制御系により再現運転される給湯負荷のデータの一部を示す図。
【図7】図3の制御系による再現給湯運転における給湯熱量の変化を示す図。
【図8】図3の制御系による再現給湯運転の流れを示すフローチャート。
【図9】図1の給湯評価システムの制御系の他の一部を示すブロック図。
【図10】図9の制御系により再現運転される給湯負荷データの一部を示す図。
【図11】図9の制御系による風呂張り判定の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
2 ガスエンジン
4 発電機
10 電力負荷
11 給湯装置
12 貯湯タンク
20 ボイラ手段
38 浴槽
46,48 暖房負荷
122 コントローラ
126 平均給湯流量演算手段
128 部分的給湯判定手段
130 変更給湯時間演算手段
152 バッファ熱量演算手段
154 再現給湯熱量演算手段
156 残りバッファ熱量演算手段
170 追焚き・風呂張り判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の給湯負荷を再現させて給湯装置を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システムであって、
前記給湯システムを過去の給湯負荷に基づいて再現運転するためのコントローラを備え、前記コントローラは、設定単位時間帯における給湯流量に基づいてこの設定単位時間帯の平均給湯流量を演算する平均給湯流量演算手段と、前記平均給湯演算手段により演算された前記平均給湯流量と給湯しきい値とを比較し、前記平均給湯流量が前記給湯しきい値より小さいときに部分的給湯と判定する部分的給湯判定手段と、前記部分的給湯判定手段の前記部分的給湯の判定に基づいて、給湯しきい値を平均給湯流量とする給湯時間に変更する変更給湯時間演算手段と、を含んでおり、
前記部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、前記コントローラは、前記給湯しきい値の平均給湯流量でもって前記変更給湯時間にわたって前記給湯システムを再現運転することを特徴とする給湯評価システム。
【請求項2】
前記コントローラは、更に、給湯負荷を後送りする給湯後送り手段を含んでおり、部分的給湯と判定された給湯負荷を再現する場合、再現する単位時間帯に続く後の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、前記給湯後送り手段は、前記給湯しきい値の平均流量でもって給湯する変更給湯時間を前記後の単位時間帯に連続するように後送りすることを特徴とする請求項1に記載の給湯評価システム。
【請求項3】
前記コントローラは、更に、給湯熱量をバッファするための熱量バッファと、単位時間の給湯熱量を加算するバッファ熱量演算手段と、給湯負荷を再現する際の給湯熱量を演算する再現給湯熱量演算手段と、前記熱量バッファの残りバッファ給湯熱量を演算するための残りバッファ熱量演算手段と、を含み、前記バッファ熱量演算手段は、再現給湯開始時及び単位時間帯開始時にそれらの単位時間帯の給湯熱量を前記熱量バッファに加算し、前記残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロになると再現給湯運転が終了することを特徴とする請求項2に記載の給湯評価システム。
【請求項4】
特定の単位時間帯において前記残りバッファ熱量演算手段による残りバッファ給湯熱量がゼロになった場合において、前記特定の単位時間に続く次の単位時間帯に給湯負荷が存在するときには、前記バッファ熱量演算手段は、前記残りバッファ給湯熱量がゼロになった時点で次の単位時間帯の給湯熱量を前記熱量バッファに加算して再現給湯運転が継続されることを特徴とする請求項3に記載の給湯評価システム。
【請求項5】
過去の給湯負荷を再現させて給湯装置を含む給湯システムの評価を行う給湯評価システムであって、
前記給湯システムを過去の給湯負荷に基づいて再現運転するためのコントローラを備え、前記コントローラは、所定時間先までの追焚き給湯負荷データを抽出する追焚きデータ抽出手段と、前記所定時間先までの風呂張り給湯負荷データを抽出する風呂張りデータ抽出手段と、浴槽に関する給湯負荷が追焚きか風呂張りかを判定する追焚き・風呂張り判定手段と、を含んでおり、
前記追焚き・風呂張り判定手段は、前記所定時間先までの所定時間範囲において前記風呂張りデータ抽出手段による風呂張り給湯負荷データが最初に出現し、且つ前記風呂張り給湯負荷データが風呂張り設定時間以上継続して出現したときに風呂張りと判定することを特徴とする給湯評価システム。
【請求項6】
前記追焚き・風呂張り判定手段が風呂張りと判定すると、この風呂張り判定結果に基づいて、前記コントローラは浴槽の排水弁を開放して浴槽内の水を排水することを特徴とする請求項5に記載の給湯評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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