説明

給餌具

【課題】愛玩用の犬にある程度時間の餌取り行為を行わせることが出来、餌を犬が確実に得ることが出来、犬が餌獲得のために活発に活動する犬用の給餌具を提供することを目的とする。
【解決手段】開口部を有して開口部内に収納部を有する筒形布体と、ポケット袋体とを備え、ポケット袋体は、筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いでありポケット口をポケット袋体の底部でポケット底穴と連通させポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口して形成してあることを特徴とする給餌具とした。
ポケット袋体は内蓋布とポケット布とを有し、内蓋布は筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いであり、ポケット布はポケット布縁部の所定範囲を筒形布体の開口縁部あるいは内蓋布に連結して内蓋布の外側に重ねてポケット底穴を覆いポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口するポケット口を内蓋布との間に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩犬に遊ばせながら餌を与えるための給餌具に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、愛玩用の犬に、遊ばせながら餌をやるものとして図4に示すような中空体からなる給餌具110が用いられている。
この給餌具110は開口部111を設けた中空部112を有し、この開口部111から中空部112内に餌を入れて犬に与え、犬が給餌具110を転がしたりすることで餌を開口部111から取りだし獲得させるものであるが、与える餌の大きさが様々であるのに対し開口部111の大きさは一定であるため、通常は餌の大きさと開口部111の大きさは合わず、餌が小さい場合には開口部111からすぐに出てしまったり、逆に大きい餌を押し込んで入れた場合にはいつまでも取り出すことが出来ない問題があった。
また、この給餌具110での犬の餌とり行為は例えば給餌具110を転がしたり、給餌具110の開口部111から舌を挿し入れるような動きの小さい行為となり、犬が活発に動き回る姿を期待する給餌者が見ていて物足りなかった。
特開2002−119166号公報に、合成ゴム材製でボール状の容器に切れ目を設け、餌を切れ目内に投入して犬に与える犬用食事容器を示すが、犬が容器を噛み締めた際に広がった切れ目から餌を取り出させる構造であり、やはり、餌の大きさによっては簡単に餌が出てしまったり、あるいは、この噛んで切れ目を拡げて餌を取り出すという行為が行えない場合にはいつまでも餌が取り出せない問題があった。
また、餌取り行為はボール状の容器を噛む行為に限定されるため犬の動きが小さく、給餌者が見ていて物足りないものであった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−119166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記技術的課題に鑑みて、愛玩用の犬にある程度の時間を要する餌取り行為を行わせることが出来、餌を犬が確実に得ることが出来、犬が餌獲得のために活発に活動する給餌具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的要旨は、開口部を有して開口部内に収納部を有する筒形布体と、
ポケット袋体とを備え、ポケット袋体は、筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いでありポケット口をポケット袋体の底部でポケット底穴と連通させポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口して形成してあることを特徴とする給餌具とした点である。
【0006】
筒形布体は、犬の給餌具振り回し行為による遠心力の作用で収納部に収納した餌を収納部の端部の開口部側に収納部の内周面で案内出来ればよく、筒形布体の形状は必ずしも筒形のみに限定するものではない。
よって筒形布体は、例えば筒形の布材を複数組み合わせたものや、布材を屈曲した管形としたものや、あるいは筒形の布材を犬用玩具の一部に設けたもの等でも良い。
ポケット袋体は内蓋布とポケット布とを有し、内蓋布は筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いであり、ポケット布はポケット布縁部の所定範囲を筒形布体の開口縁部あるいは内蓋布に連結して内蓋布の外側に重ねてポケット底穴を覆いポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口するポケット口を内蓋布との間に形成すると良い。
【0007】
請求項3記載の発明の技術的要旨は、内蓋布はポケット底穴を覆う舌形に延在させた内蓋弁部を有する点である。
舌形に延在させた内蓋弁部とは、内蓋布のポケット底穴に臨む一部からポケット底穴形状に合わせた舌形の延在部を設けて、ポケット底穴の開口量をこの延在部で小さくしつつ、この延在部を撓ませることでポケット底穴の開口量を大きく出来るようにする趣旨である。
【0008】
請求項4記載の発明の技術的要旨は、ポケット布はポケット口の開口方向に舌形に延在させたポケット弁部を有する点である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る給餌具においては、餌を収納部内に入れた給餌具を犬が振り回すと、餌は遠心力の作用でポケット袋体を設けた収納部の端部に案内されて収納部の端部付近で移動して、やがてポケット底穴から外向きに飛び出そうとしてポケット底穴外側のポケット布に当たり、餌の一部がポケット底穴の外側のポケット袋体の底部に出た状態となる。
このポケット袋体の底部に餌の一部が出た状態で、犬にポケット口から口や足を入れさせて、飛び出している餌の一部を引っ張らせる等し、比較的小さい餌の場合はそのまま、比較的大きな餌の場合には内蓋弁部を撓ませてポケット底穴を拡げさせて、餌を取り出させることができる。
給餌具の振り回し行為で餌がポケット袋体の底部に飛び出る部分の大きさは、ポケット底穴の大きさとポケット袋体の底部の空間の大きさによって限定することが出来るため、内蓋布に内蓋弁部を設けてポケット底穴の開口幅を狭めることで、餌の大きさに関らずにほぼ同じサイズの大きさの餌の一部を給餌具の振り回し行為でポケット袋体の底部に飛び出させることが出来る。
これにより、餌の大きさに影響されずにほぼ一定の時間を要する餌取り行為を行わせて、また取り出し不能とせずに確実に、犬に餌を与えることが出来る。
犬が給餌具から餌を取り出そうとする行為は、給餌具をくわえて振り回したりする動きの大きく活発な行為となるため、給餌者は犬が活発に活動する様子を見て楽しむことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る給餌具の実施例の外観図を図1に示す。
給餌具10はいずれも布製の筒形布体20と内蓋布30とポケット布40とを備えている。
また、給餌具10のポケット布40を取り外した分解図を図2(a)に示し、内蓋布30とポケット布40を筒形布体20から取り外した分解図を図2(b)に示す。
図2(b)に示すように筒形布体20は両端に開口部22を有している。
内蓋布30とポケット布40はほぼ筒形布体30の開口部22と同形に形成してある。
図2(a)に示すように内蓋布30は、その縁部31の所定範囲を筒形布体20の両端の開口部22のそれぞれの縁部23に連結して、内蓋布30の縁部31と筒形布体開口部22の縁部23の間に所定の大きさのポケット底穴13を形成してある。
ポケット布40は内蓋布30の外側に重ねて、ポケット布縁部41の所定範囲を筒形布体30の開口部22の縁部23に縫製により連結して、内蓋布30とポケット布40とでポケット袋体11を形成してある。
ポケット袋体11は、ポケット布40でポケット底穴13を覆いつつ、筒形布体開口部22の周方向においてポケット底穴13の略反対側にポケット口14をポケット底穴13と連通させて形成してある。
ポケット布40にはポケット弁部44をポケット口14の開口方向に延在して設けてある。
筒形布体20は開口部22に比較して筒形の軸方向の長さを長くしてあり、筒形の一方の端部をくわえた犬の振り回し行為によって収納部21内に入れた餌を筒形の他方の端部側に遠心力で寄せることが出来るようにしてある。
そして振り回し行為で収納部21内の端部に寄せた餌を、ポケット底穴13から外へ出させてポケット布40の内面42に突き当たらせ、ポケット袋体11の底部12に一部を出した状態とするようにしてある。
ポケット袋体11は、筒形布体20の端部をくわえて振り回した時の遠心力の方向と略直角方向に開口するようにポケット口14を設けて、ポケット布40でポケット底穴13を覆ってあるため、ポケット底穴13位置に合った餌の振り回しによる飛び出しをポケット布で防ぎ、ポケット口14からポケット袋体底部12に飛び出た餌の取り出しを可能とする。
内蓋布30にはポケット底穴13に向けてポケット底穴13を狭めるように舌形に延在させた内蓋弁部33を設けてある。
この内蓋弁部33は、ポケット口14の開口方向と反対方向に向けて内蓋布30から延在させて形成してあり、ポケット底穴13形状を筒形布体20の縁部23に沿った弧形の細い隙間としている。
これによりポケット底穴13は、犬の振り回し行為でポケット底穴13からポケット袋体11の底部12に飛び出す部分の餌の大きさを、細い弧形の隙間形状に限定した餌全体の大きさによらないほぼ同じ大きさにして、犬の餌取り行為に要する時間が餌の大きさの影響をあまり受けなくなるようにしてある。
また、ポケット底穴13の大きさを内蓋弁部33で狭めることでポケット口14から容易には犬が餌を取り出せないようにしてある。
ポケット袋体11は、例えば内蓋布のポケット袋体の底部に相当する位置に弧形に穴を開けてポケット底穴と内蓋弁部を形成したものとしたり、内蓋布やポケット布、あるいは筒形布体をも含めて、全て、あるいは一部を一体で形成したものとしても良い。
給餌具10は、犬に振り回し行為をさせて餌をポケット底穴に案内して取り出させるため、学習することで犬は振り回し行為を積極的に行うようになる。
【0011】
犬に給餌具10を用いて餌を与える時の給餌具10と餌1の状態の説明図を図3に示す。
図3(a)は餌を給餌具に入れる状態の説明図を示し、図3(b)は餌取り行為を行う前の給餌具10と餌1の状態を示す。
図3(c)は犬が給餌具10の振り回しを行った後の状態を示す。
餌1は、図3(a)に示すようにポケット口14から、内蓋布30の内蓋弁部33を収納部21側に折り曲げてポケット底穴13を拡げて図3(b)に示すように収納部21に入れる。
給餌具10の端部を犬がくわえて振り回すと、餌1には収納部21の筒形の軸方向の遠心力が作用して収納部21の端へ移動する。
そして、振り回し行為を繰り返して餌1が収納部21の端部分で移動するうちに、図3(c)に示すように餌1がポケット底穴13位置と合いポケット袋体11の底部12に一部を出した状態となる。
餌1がこのようにポケット袋体11の底部12に嵌った状態で、犬にポケット口14から口や足先を入れさせて、餌1の飛び出している部分を足や口で引っ張り出させ、餌1を給餌具10から取り出させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る給餌具の外観図を示す。
【図2】本発明に係る給餌具の分解図を示す。
【図3】本発明に係る給餌具の使用状態の説明図を示す。
【図4】従来の給餌具を示す。
【符号の説明】
【0013】
1 餌
10 給餌具
11 ポケット袋体
12 ポケット袋体底部
13 ポケット底穴
14 ポケット口
20 筒形布体
21 収納部
22 筒形布体開口部
23 筒形布体の開口縁部
30 内蓋布
31 内蓋布縁部
33 内蓋弁部
40 ポケット布
41 ポケット布縁部
42 ポケット布の内面
44 ポケット弁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有して開口部内に収納部を有する筒形布体と、
ポケット袋体とを備え、
ポケット袋体は、筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いでありポケット口をポケット袋体の底部でポケット底穴と連通させポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口して形成してあることを特徴とする給餌具。
【請求項2】
ポケット袋体は内蓋布とポケット布とを有し、
内蓋布は筒形布体開口部を筒形布体開口部より小さいポケット底穴を残して塞いであり、ポケット布はポケット布縁部の所定範囲を筒形布体の開口縁部あるいは内蓋布に連結して内蓋布の外側に重ねてポケット底穴を覆いポケット底穴の開口方向と略直角方向に開口するポケット口を内蓋布との間に形成してあることを特徴とする請求項1記載の給餌具。
【請求項3】
内蓋布はポケット底穴を覆う舌形に延在させた内蓋弁部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の給餌具。
【請求項4】
ポケット布はポケット口の開口方向に舌形に延在させたポケット弁部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の給餌具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−48718(P2008−48718A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258002(P2006−258002)
【出願日】平成18年8月26日(2006.8.26)
【出願人】(505069546)
【Fターム(参考)】