統合したマルチ無線アクセス方式のマルチ周波数アドミッション制御
マルチ無線アクセス方式(RAT)システムのノードは、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得する。マルチRATシステムのRATのリソース状態情報は、呼設定要求および/または呼終了メッセージジに関連する高位層プロトコル情報をスニッフィング(sniffing)することにより取得することができる。ノードは、取得したリソース状態情報に基づいて、アドミッション制御および/または負荷分散に使用するための、マルチRATシステムのRATに関連した総合的なリソースの利用可能性を表すフラグを更に保持する。フラグは、マルチRATシステムの、総合的なリソースの利用可能性状態の所定のセットに関連しており、の利用可能性状態は、アドミッション制御の判定という形で定義される。の利用可能性状態は、以下のアドミッション制御判定の内の少なくとも1つを備える。i)全てのサービスの無条件な受け入れ、iii)広帯域保証ビットレート(GBR:guaranteed bit rate)サービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、iii)広帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、狭帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、および他のサービスの無条件な受け入れ、または、iv)全てのサービス無条件な拒否。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記述した実施形態は、一般的に、無線アクセスシステムに関するものであり、さらに詳細には、マルチ無線アクセスシステムにおけるアドミッション制御に関する。
【背景技術】
【0002】
アドミッション制御(AC:admission control)は、よく知られており、広範囲の無線アクセスネットワークにおいて広く使用されている無線リソース管理(RRM:radio resource management)機能である。ここで、無線アクセスネットワークとしては、GSM(Global Standard for Mobile)通信、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、発展型GSM用拡張データ通信(EDGE:Enhanced Data for GSM Evolution)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、および進化型汎用地上無線アクセス(E−UTRA:evolved Universal Terrestrial Radio Access)の無線アクセスネットワークなどがある。一般に、アドミッション制御は、サービス要求が行われたときに利用可能なリソースと、その特定のサービスに対して適切な品質を保証するために必要となるリソースとに基づいて、そのサービス要求を受け入れるかまたは拒否するかを判定するタスクを実行する。例えば、WCDMAネットワークにおいて、アドミッション制御は、単一の無線セルの状態に基づいてアドミッション制御を行うのではなくて、マルチセルの無線リソースを考慮に入れる。
【0003】
複数の無線アクセス方式(RAT:radio access technology)を含む無線ネットワークの容量は、本発明の分野に密接に関わっており、また、十分に研究されてき分野である。マルチRATネットワークは、しばしば、容量範囲によって特徴付けられ、マルチRATシステムが収容できる異なるサービスの数もこの容量範囲によって特徴づけられる。
【0004】
負荷分散(ロード・バランシング)は、マルチRATネットワークにおいてしばしば使用される無線リソース管理(RRM)技術である。負荷分散の目的は、進行中のセッションに対して、無線アクセス方式を割り当てるか、または再割り当てを行い、これによって、無線リソースの全体が有効に利用されるようにし、それにより、いくつかのサービス品質または他の制約条件のもとでマルチRATシステムの総合的な容量を最大にすることである。
【0005】
無線ネットワークにおいてよく知られているトレードオフで、アドミッション制御に密接に関係するものは、新しく到着するサービス要求をブロックすることと進行中のサービスをドロップさせることとの間で生ずる。このトレードオフは、進行中のセッションの数が多ければ、リソースが十分に足りないことまたは完全に不足したことによって、いくつかのサービスをドロップさせる必要がある尤度が増すということで表現することができる。極端な場合を言えば、いずれのアドミッション制御も行わないシステムは、システムの安定性を保証し、ドロップさせないセッションに対してある程度のサービス品質を維持するために、ある特定のセッションが十分に完了しないうちに、それを終了させる必要があるかも知れないということを容認できる限りにおいて、そのシステムは運用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)では、現在、長期的進化(LTE:Long Term Evolution)標準規格スイートのリリース8の策定を完了したところである。LTEネットワークは、現行の事業者と共に新しく始める(グリーンフィールド)事業者によって、近い将来設置されるであろうことが予想される。従って、LTEシステムは、しばしば、実際に動作するマルチアクセス基盤の一部として設置されるであろうということが予想される。このような状況では、LTE無線アクセス装置は、典型的に、GSMシステム/GPRSシステム/EDGEシステム/WCDMAシステムの中に統合されて動作するであろう。
【0007】
2つの構成が可能であり、LTE基地局は、これらの構成に従って他のRATと連携して設置可能である。これらの可能な構成は、同一の場所に複数の基地局を配置する構成と、複数の技術のすべてに対応した混成技術による基地局を設置する構成とである。同一の場所に複数の基地局を配置する場合、LTEシステムに対する要求条件は、他のRATの装置と同じ場所に配置されるということであり、電力供給、転送ネットワーク、セルラ塔等を含む、現存するサイト基盤のいくつかの部分を共有することができる。このタイプの設置シナリオでは、種々のプロトコル層のレベルの上ではある程度の調整はあり得るとしても、各RATの装置のセットは独立している。
【0008】
混成技術に対応した基地局の場合、基地局が使用する無線装置は、全てのRAT(例えば、LTE、UTRAN、GSM等)によって共通に使用される。また、装置のベースバンド処理部分を共用することも可能であるかも知れない。しかしながら、より高位の層は独立に動作することになる。混成技術の基地局の主な利点は、単一の無線部分だけを使用することによって、コスト効率がよい点である。この半ば統合した解決策はまた、基地局全体を小型に、また電力効率を良くすることができ、それによってまたネットワークおよびサイト保守の運用コストを低減することができる。現在、この混成技術の基地局は、種々の標準化団体(GERANおよび3GPPRAN4を含む)における標準化の基本段階を進捗しているところである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記述する典型的な実施形態は、マルチRAT(複数の無線アクセス方式)のシステムにおけるアドミッション制御を実行するための技術を提供するものであり、このアドミッション制御は、マルチRATシステムの全てのRATにわたる総合的なシステムトラフィック負荷を考慮に入れている。典型的な実施形態においては、クロスレイヤー(複数層にまたがった)通信、クロスラット(複数RATにまたがった)通信を使用して、マルチRATシステムのRATにわたる負荷情報を判定および集約することができる。判定した総合的な負荷情報に基づいて、グローバルフラグを設定し、ユーザ装置(UE)が要求するサービスアクセスに関連した将来のサービス要求に関するマルチRATアドミッション制御(MRAC:multi−RAT admission control)判定のためにグローバルフラグを使用することができる。本明細書に記述するように、グローバルフラグを使用することによって、マルチRATシステムのRATに到着するサービス要求は、システム全体で十分なリソースが存在する限り、サービス要求条件に拘わらず、受け入れが可能になる。従って、サービス要求を受信するRATは、いずれのアドミッション制御も実行する必要がないようにすることができる。これは通常の場合であれば、サービス要求を受けたRATにおいて空いているリソースだけでサービス要求について調査し、サービス要求を実行することができるか否かを評価することになるが、その場合でも、いずれのアドミッション制御も実行する必要がない。
【0010】
1つの視点によれば、マルチ無線アクセス方式(RAT)システムのノードにおいて実行され方法が提供される。この方法は、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するステップを含むことができる。本方法は、アドミッション制御および/または負荷分散において使用するための、マルチRATシステムのRATに関連した総合的なリソースの利用可能性を表すフラグを、取得したリソース状態情報に基づいて保持するステップを更に含むことができる。
【0011】
更なる視点に従えば、複数の無線アクセス方式(マルチRAT)システムにおけるノードが提供される。このノードは、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するリソース状態取得ユニットと、取得したリソース状態情報に基づいて、マルチRATシステムの複数のRATに関連したリソースの利用可能性を表すフラグを保持するフラグ保持ユニットとを含むことができる。ノードは、フラグの内容に基づいて、システムアクセス要求に対するアドミッション制御を実行する、またはマルチRATシステムのRATにわたるシステムアクセス要求の負荷分散を実行する、1つ以上のユニットを更に含むことができる。
【0012】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、また本明細書の一部を構成し、本発明の1つ以上の実施形態を示し、記述ととともに本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】ユーザ装置がマルチRATシステムを含むネットワークを介して別のデバイスと通信することができる、典型的な環境を示す図である。
【図1B】図1Aのネットワークの典型的な実施形態を示す図であり、マルチRATシステムは、LTERAT、WCDMARAT、およびGSMRATを含む。
【図1C】図1BのLTERATの典型的な詳細を示す図である。
【図2A】図1Bの典型的な実施形態における複数のRATを有する、同一の場所に配置された基地局を示す図である。
【図2B】図1Bの典型的な実施形態における複数のRATを設置する、単一の基地局を示す図である。
【図3】図1Bのネットワークの主要なRATの無線基地局において、層にまたがる通信を使用してリソース状態情報を収集することができる、典型的な実施形態を示す図である。
【図4】図1AのUEの典型的な構成要素を示す図である。
【図5】図1CのeNodeBに対応することができる基地局の典型的な実施形態を示す図である。
【図6】図1BのLTERATのeNodeに対応することができるRATノードの機能的構成要素を示す図である。
【図7】図1Aのネットワークの複数のRATの総合的なリソースの利用可能性を示すために使用することができる典型的なグローバルフラグを示す図である。
【図8】マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するための典型的な処理を示すフローチャートである。
【図9】総合的なリソースの利用可能性を判定し、判定した総合的なリソースの利用可能性に基づいてマルチRATシステムにおけるアドミッション制御を実行するための典型的な処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の典型的な処理に関連した典型的なメッセージング図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の以下の詳細な記述は添付の図面を参照している。異なる図面の中での同一の参照番号は同一または同様の要素を識別することができる。また、以下の詳細な記述は、本発明を限定するものではない。
【0015】
複数の無線アクセス方式(マルチRAT)のシステムにおいては、サービスアクセス要求は、システム全体の中で利用可能なサービスに対して十分な量のリソースが存在する限りにおいて許容される。サービスアクセスを許容するアドミッション判定は、最新のリソース推定値に基づいて行われるべきであり、従って、リソースの利用可能性の推定値は、最小の遅延およびシグナリングオーバヘッドで利用可能とされる必要がある。マルチRATアドミッション制御(MRAC)システムは以下のことを達成できなければならない。
1)現在進行中の、および新しく受け入れたセッションに対してサービス品質を保証すること、
2)呼ブロッキング確率を最小にする(例えば、誤った拒否判定を回避する)こと、
3)呼/セッションのドロップを最小にする(例えば、誤った受け入れ判定を回避する)こと、
4)サービス要求があってからアドミッション制御の判定が終了するまでの間において低い遅延を保証すること、
5)ユーザサービスクラス(例えば、加入)、サービス特性(例えば、GBR/非GBR)、ブロッキングレート/ドロップレートに関するユーザの嗜好、およびユーザが嗜好するRAT(もしあるとすれば)を考慮に入れること、および、
6)総合的な無線リソースおよび他の無線ネットワークリソースを全体的に有効に使用すること。
上記に挙げた要求条件に加えて、MRAC手順は、極力複雑さが小さく抑えられるべきであり、また、新しい物理ネットワーク要素の導入を回避し、シグナリングオーバヘッドを削減し、かつ、新しいインタフェースまたはプロトコルまたはシグナリングメッセージを標準化する必要性を回避するために、集中化したマルチRATエンティティを前提としないことが望ましい。
【0016】
本明細書に記述する典型的な実施形態は、マルチRATシステム全体が、そのRATの内の1つのRAT(例えば、LTEシステム)においてもアドミッション制御を実行する必要が全然ないという状態にあるか否かを示す単一のフラグを維持管理することにより、上記に注記した要求条件を満足する。従って、典型的な実施形態は、可能である限りアドミッション制御の使用を回避して、サービス設定を単純化して低遅延を保証することができる。RATの内の1つ(例えば、LTERAT)に到着するサービス要求は、マルチRATシステム全体の中で十分なリソースが存在する限り、サービス要求条件に拘わらずに受け入れることができる。従って、サービス要求を受信するRAT(例えば、LTEシステム)は、その1つのRATにおける自由なリソースだけによって、サービス要求を調べて、サービス要求を実行することができるか否かを評価する必要性が決まるとしても、いずれのアドミッション制御手順も実行する必要がないというようにすることができる。典型的な実施形態は、現在の負荷情報全体を集約したフラグによって、アドミッション制御を行わないようにすることができる。フラグは、複数のレイヤーにまたがるクロスレイヤー通信や、複数のRATにまたがるクロスRAT通信を行うことにより、マルチRATシステムの「主要な」RAT(例えば、LTERAT)の中で維持管理できる。マルチRATシステム全体に対する、測定に基づいたMRACは、システム全体の中で利用可能なリソースの量を考慮に入れることができ、またサービス要求条件およびユーザの嗜好を考慮することができる。リソースの利用可能性情報は、システムRATの内の1つのRAT(例えば、主要なRAT)の中に記憶されたフラグの中に保持することができる。フラグは、リソースの利用可能性を判定するときに、またサービスアクセス要求に対してMRACを実行するときに使用することができる。
【0017】
本明細書に記述する更なる実施形態において、UEがMRACを利用することを嗜好するか否かに関するUEのプリファレンス(嗜好)は、UEに対するシステムサービスを要求するサービス要求とともに送信することができる。UEの嗜好は、UEがアドミッション制御を受けることを嗜好するか否かを指すことができる。さらに、RAT選択嗜好は、UEに対するシステムサービスを要求するサービス要求の中で送信することができる。RAT選択嗜好は、サービス要求に対してRATの再選択が受け入れ可能か否かを指示することができる。サービス要求に対してMRACを実行するか否かの判定、またはRATの選択/再選択を実行するか否かの判定は、MRAC嗜好またはRAT選択嗜好に基づくことができる。
【0018】
「通信システム」および「ネットワーク」という用語は、この記述を通して相互に交換して使用することができる。「RAT」という用語は広義に解釈されることを意図しており、任意のタイプの無線アクセス方式を含む。例えば、無線アクセス方式は、無線アクセス方式(例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)、LTE、GSM等)、マイクロ波アクセス技術(例えば、ブルートゥース、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.X、等)、および/または衛星アクセス技術に基づくことができる。
【0019】
図1Aは、典型的な環境100を示す。この環境100では、ユーザ装置(UE)110がネットワーク130を介して別のデバイス120と通信することができる。ネットワーク130は、任意のタイプの1つ以上のネットワークを含むことができる。任意のタイプの1つ以上のネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、大都市エリアネットワーク(MAN)、PSTNまたはPLMN等の電話ネットワーク、衛星ネットワーク、イントラネットおよびインターネット、または、これらのネットワークの組み合わせを含む。PLMNは、パケット交換サブネットワーク(例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、セルラディジタルパケットデータ(CDPD:Cellular Digital Packet Data)ネットワーク、またはモバイル移動IPネットワーク等)を更に含むことができる。図1Aに示したように、ネットワーク130は、複数の、異なるRAT(140−1から140−NまでのRATを含む)を含むマルチRATシステムを含むことができる。140−1から140−NまでのRATの内の1つ以上のRATは、UE110が使用してデバイス120と通信することができる。140−1から140−NまでのRATにおける各RATは、例えば、進化型汎用移動通信システム地上アクセスネットワーク(E−UTRAN:evolved Universal Mobile Telecommunications System Terrestrial Access Network)FDDRAT、E−UTRAN時分割複信(TDD)RAT、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)RAT、拡張E−UTRANTDDRAT、拡張E−UTRAN周波数分割複信(FDD)RAT、UTRANTDDRAT、高速パケットデータ(HRPD:high rate packet data)RAT、GSM(Global System for Mobile Communications)RAT、cdma2000RAT、または他のタイプのRATを含むことができる。いくつかの典型的な実施形態においては、140−1から140−NまでのRATの内の1つのRATは、「主要な」RATとしてサービスを提供することができ、この主要なRATのノードの内の1つのノードは、マルチRATシステムの中のリソースの総合的な状態を示すフラグを維持管理することができる。
【0020】
UE110は、セルラ無線電話機、携帯情報端末(PDA)、パーソナル通信システム(PCS:Personal Communications System)端末、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、または、無線リンクを介して他のデバイスとの通信を可能にする通信トランシーバ(送受信機)を含む、他の任意のタイプのデバイスまたは電気製品を含むことができる。PCS端末では、セルラ無線電話機に、データ処理機能、ファクシミリ機能、およびデータ通信機能を組み合わせることができる。PDAは、無線電話機、ページャ、インターネット/イントラネットアクセスデバイス、ウェブブラウザ、オーガナイザ、カレンダ、および/または全地球測位システム(GPS)受信機を含むことができる。UE110は、「パーベイシブコンピューティング(pervasive computing)」デバイスと呼ぶこともできる。
【0021】
デバイス120は、UE110と同様のデバイスを含むことができ、また、いくつかの実施形態では、公衆交換電話ネットワーク(PSTN:Public Switched Telephone Network)に接続された電話機(例えば、基本電話システム(POTs:Plain Old Telephone system)電話機)をさらに含むことができる。
【0022】
図1Bは、ネットワーク130の典型的な実施形態を示す。ネットワーク130では、RAT140−1がLTERATを含み、RAT140−2はWCDMARATを含み、RAT140−3はGSMRATを含む。LTERAT140−1は、長期的進化(LTE:Long Term Evolution)RATを含むことができる。WCDMARAT140−2は広帯域符号分割多元接続RATを含むことができる。GSMRAT140−3はGlobal System for Mobile Communications RATを含むことができる。ネットワーク130は、図1Bに示すRATと比較して、異なった、追加的な、および/または、より少ない数のRATを含むことができる。
【0023】
図1Cは、ネットワーク130のLTERAT140−1の典型的な詳細を示す。LTERAT140−1は進化型NodeB(eNodeB:evolved NodeB)ノード、移動管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)ノード、およびサービングゲートウェイ(S−GW:Serving Gateway)ノードを含むことができ、これらは全て転送ネットワーク150に接続されている。図1Cに示すように、LTERAT140−1は160−1から160−PまでのeNodeB、170−1から170−NまでのS−GW、180−1から180−MまでのMMEを含むことができる。160−1から160−PまでのeNodeBは、他のデバイスと通信するUEに対して中間ノードとして動作するLTE基地局を含むことができる。例えば、図1Cは、別のノード(図示せず)と通信するUE110に対する中間ノードとして動作するeNodeB160−1を示している。160−1から160−PまでのeNodeBは、無線インタフェースを介してUEと通信することができる。そして、転送ネットワーク150を介して、それらの通信を終点ノードまたは終点デバイスに向かって(例えば、デバイス120に向かって)転送することができる。
【0024】
170−1から170−NまでのS−GWは、UE接続(3GPPの用語では「EPSベアラ」と呼ばれる)を終端する論理ノードを含むことができる。EPSベアラは、UEと外部ネットワーク(例えば、インターネット)との間にSAE/LTEシステムによって提供される接続を含むことができる。170−1から170−NまでのS−GWは、それぞれが追加的に、パケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW:Packet Data Network Gateway)機能を含むことができ、P−GWは、IPアドレスをUEに割り当てて、UEと外部ネットワークとの間の接続を提供することができる。 180−1から180−MまでのMMEは、それぞれが、環境100の内部でのUEの移動を扱うための機能を含むことができる。例えば、MME180−1は、UE110にサービスを提供することができ、MME180−Mは別のUE(図示せず)にサービスを提供することができる。
【0025】
転送ネットワーク150は、任意のタイプの1つ以上のネットワークを含むことができ、この任意のタイプのネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、大都市エリアネットワーク(MAN)、衛星ネットワーク、イントラネットおよびインターネット、または、ネットワークの組み合わせを含む。160−1から160−PまでのeNodeB、170−1から170−NまでのS−GW、および180−1から180−MまでのMMEは、SAE/LTEネットワークの中に常駐することができ、転送ネットワーク150を介して接続されることができる。
【0026】
環境100の中で複数のRATを設置するためには、2つの可能な構成を使用することができる。これらは、1)それぞれが異なるRATを有し、同一の場所に配置された基地局、または2)異なる複数のRATをミックス(混成)した混成RAT技術を有する単一の基地局である。同一の場所に配置された基地局の場合には、LTEシステムに対する要求条件は他のRATの装置と同一の場所に配置されるということであり、電力供給、転送ネットワーク、セルラ塔等を含む、現存のサイト基盤のいくつかの部分を共有することが可能である。このタイプの設置シナリオでは、各RATの装置のセットは、種々のプロトコル層のレベルの上でどのくらいかの調整があるとしても、独立であってよい。この手法では、新しいRATを容易に追加することができる。または、現存のRATを取り除く、または別のRATで置き換えることができる。
【0027】
混成RAT技術を有する単一の基地局の場合には、基地局が使用する無線装置は、全てのRAT(例えば、LTE、UTRAN、GSM等)が共通に使用することができる。装置のベースバンド処理の部分を共有することもまた可能であるかも知れない。しかしながら、より高位の層は独立に動作することができる。混成RAT基地局の第1の利点は、無線部分は単一のものだけを使用することによって、混成RAT基地局はコスト効率がよいという点である。この半ば統合した解決策はまた、基地局全体をより小型に、かつ電力効率を良くすることができ、それにより、ネットワークおよびサイト保守の運用コストを低減することができる。
【0028】
図2Aは、複数のRATを有する、同一の場所に配置された基地局200を示す。図2Aの、同一の場所に配置された基地局200のそれぞれは、異なるタイプのRATを含むことができる。例えば、図2Aに示したように、同一の場所に配置された基地局200は、LTERAT210を設置した基地局、GSMRAT220を設置した基地局、および/またはWCDMARAT230を設置した基地局を含むことができる。同一の場所に配置された基地局200は地理的に互いに近接場所に配置することができる。
【0029】
図2Bは、複数のRATを設置した単一の基地局240を示す。図2Bの実施例に示したように、基地局240は、LTERAT250、WCDMA260、および/またはGSMRAT270を設置することができる。図2Bに示したように、単一の基地局の中で複数のRATを設置することにより、統合化した無線装置を使用することができ(すなわち、異なるRATのすべてが同一の無線装置を使用することができる)、そしてさらに、組み合わせた無線リソース管理(RRM)技術(例えば、アドミッション制御等)を使用することができる。組み合わせたRRM技術を使用することにより、システム事業者は、混成RATを有する基地局において総合的な無線リソースを効率よく使用することが可能になる。基地局240は、例えば、eNodeBを含むことができる。
【0030】
複数のRATが同一場所に配置された基地局200に設置される場合(図2Aに示されている)、または単一の基地局240に設置される場合(図2Bに示されている)には、マルチRATの複数の層にまたがる通信(クロスレイヤー通信)300を使用することができ(図3に示すように)、これにより、異なるRATの間の総合的なリソース状態情報を取得することが可能になる。同一の場所に配置されたセルを持つマルチRATシステムにおいては、リソース状態情報(例えば、アクティブなユーザの数、アクティブな無線ベアラの数、アクティブなセッションの数等)は、異なるノードにおいて得ることができる。このようなノードは、例えば、GSMに対してはBSC/CN、UTRANに対してはRNC/CN、cdma2000に対してはBSC/CN、およびE−UTRANに対してはeNodeB/CNを含むことができる。複数の異なるRATを利用する単一の基地局の場合でさえも、リソース状態情報は、より高位のプロトコル層は独立しているが故に、異なるノードの中に常駐することができる。本明細書に記述する典型的な実施形態においては、クロスレイヤー通信300を使用して、異なるRATのそれぞれから、リソース状態情報を取得することができる。図3は、典型的な実施形態を示し、ここでは、クロスレイヤー通信300を使用して、リソース状態情報を主要なRATの無線基地局の中に収集することができる。例えば、図3に示すように、LTEのeNodeB310は、WCDMAのNodeB320および/またはGSMの基地局330からリソース状態情報を収集することができる。リソース状態情報は、異なるプロトコル(例えば、SIP、RTP等)を読むことにより、異なる層(例えば、RRCまたはNAS)から得ることができる。収集したリソース状態情報に基づいて、マルチRATシステム全体に対するMRACは、例えば、LTEのeNodeB310が実行することができる。
【0031】
マルチRATの、クロスレイヤー通信300を介して取得するリソース状態情報は、各RATにおけるアクティブなセッションまたは呼、またはアクティブな無線ベアラの全数を含むことができる。この情報は、呼設定要求および呼終了メッセージ(例えば、SIPシグナリング等)に関係するより高位の層のプロトコル情報を追跡(例えば、「スニッフィング」)することにより、取得することができる。各RATに対するこのようなメッセージは対応した基地局を通過し、層にまたがる試験によって読むことができる。層にまたがる試験の間に、ある特定のプロトコル層(例えば、SIP)のパケットを検閲して該当する情報を別のプロトコル層(例えば、MAC)に供給することができる。この層にまたがる通信は、いずれの方向(すなわち、高位の層から低位の層に、またはその逆)にも行うことができる。
【0032】
例えば、1つのRATの中の、任意の時刻におけるアクティブな呼の全数は、全ての新しい呼要求(call request)(Nrequest)および呼解放(call release)(Nrelease)を追跡することにより推定することができる。従って、任意の時刻T1において、RATの中のアクティブな呼の数(Nactive)は以下の式で表現することができる。
Nactive(T1)=Nactive(T0)+Nrequest(Δt)−Nrelease(Δt)
(式1)
ここで、Δt=T1−T0である。
アクティブな呼の数はサービスタイプ(例えば、狭帯域、広帯域、実時間、非実時間等を含むサービスタイプ)ごとに追跡して保持することができる。同様に、他の動作性能パラメータ(例えば、アクティブなセッションまたは無線ベアラの数)も追跡することができる。マルチRATの、クロスレイヤー通信300を介して取得したリソース状態情報は、各RATの中の呼設定要求の集計した数および/または呼終了メッセージジの集計した数、各RATの中のサービスタイプごとの呼設定要求の数および/またはサービスタイプごとの呼終了メッセージジの数、または、各RATの中の無線ベアラタイプごとの呼設定要求の数および/または無線ベアラタイプごとの呼終了メッセージジの数、を更に含むことができる。
【0033】
図4は、UE110の典型的な構成要素を示す。UE110は、トランシーバ405、処理ユニット410、メモリ415、入力デバイス420、出力デバイス425、およびバス430を含むことができる。
【0034】
トランシーバ405はトランシーバ回路を含むことができ、トランシーバ回路は、1つ以上のアンテナを介して無線周波数信号を使用してシンボルシーケンスを送信および/または受信する。処理ユニット410は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することができる処理論理を含むことができる。処理ユニット410は、データバッファリングを含む、データの入力、出力、および処理を行うための全てのデータ処理機能と、UE制御機能(呼処理制御、ユーザインタフェース制御等)とを実行することができる。
【0035】
メモリ415は、処理ユニット410がデバイス処理機能を実行する際に使用するための、データおよび命令の永久、半永久、または一時動作記憶を提供することができる。メモリ415は、ROM、RAM、大容量記憶デバイス(磁気および/または光学記録媒体、およびそれに対応したドライブ等)、および/または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。入力デバイス420は、データをUE110の中に入力するためのメカニズムを含むことができる。例えば、入力デバイス420は、キーパッド(図示せず)、マイクロフォン(図示せず)、または表示ユニット(図示せず)を含むことができる。キーパッドによって、ユーザはデータをUE110の中へ手動で入力することが可能になる。マイクロフォンは、聴覚入力を電気信号に変換するためのメカニズムを含むことができる。表示ユニットは、スクリーン表示を含むことができ、スクリーン表示は、デバイス機能を選択するためにユーザが使用することができるユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインタフェース)を提供することができる。表示ユニットのスクリーン表示は、任意のタイプの視覚表示(例えば、液晶表示(LCD)、プラズマスクリーン表示、発光ダイオード(LED)表示、ブラウン管(CRT)表示、有機発光ダイオード(OLED)表示等)を含むことができる。
【0036】
出力デバイス425は、データをオーディオ、ビデオおよび/またはハードコピー様式で出力するためのメカニズムを含むことができる。例えば、出力デバイス425は、電気信号を聴覚出力に変換するためのメカニズムを含むスピーカ(図示せず)を含むことができる。出力デバイス425は、出力データをユーザに表示する表示ユニットを更に含むことができる。例えば、表示ユニットは、出力データをユーザに表示するグラフィカルユーザインタフェースを提供することができる。バス430は、UE110の種々の構成要素を相互に接続して、それらの構成要素が互いに通信できるようにすることができる。
【0037】
図4に示されたUE110の構成要素の構成は、例示の目的のためだけに示されている。より多く、または少ない数の構成要素を持つ他の構成、または構成要素の異なる配置もまた実施することができる。
【0038】
図5は基地局500の典型的な実施形態を示す。基地局500は、例えば、図1CのeNodeB160に対応させることができる。基地局500は、トランシーバ505、処理ユニット510、メモリ515、インタフェース520、およびバス525を含むことができる。
【0039】
トランシーバ505はトランシーバ回路を含むことができ、トランシーバ回路は、1つ以上のアンテナを介して無線周波数信号を使用してシンボルシーケンスを送信および/または受信する。処理ユニット510は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することができる処理論理回路を含むことができる。処理ユニット510は、全てのデバイスデータ処理機能を実行することができる。メモリ515は、処理ユニット510がデバイス処理機能を実行する際に使用するための、データおよび/または命令の永久、半永久、または一時動作記憶を提供することができる。メモリ515は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、大容量記憶デバイス(磁気および/または光学記録媒体、およびそれに対応したドライブ等)、および/または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。インタフェース520は、外部のネットワーク(例えば、転送ネットワーク150等)に接続するリンクに対してインタフェースするための回路を含むことができる。バス525は、基地局500の種々の構成要素を相互に接続して、構成要素が互いに通信できるようにすることができる。
【0040】
図5に示された基地局500の構成要素の構成は、例示の目的のためだけに示されている。より多く、または少ない数の構成要素を持つ他の構成、または構成要素の異なる配置もまた実施することができる。
【0041】
図6はRATノード600の機能要素を示す。RATノード600は、例えば、LTERAT140−1のeNodeB160に対応させることができる。従って、RATノード600は、ネットワーク130の主要なRATの中のノードに対応することができる。他の実施形態においては、RATノード600は、LTERAT140−1の中の他のノードに、または他のRAT(例えば、WCDMARATまたはGSMRAT)の中のノードに対応することができる。RATノード600は、リソース状態取得ユニット605、フラグ保持ユニット610、フラグデータベース620、リソースの利用可能性評価装置630、マルチRATアドミッション制御(MRAC)ユニット640、およびRAT選択ユニット650を含むことができる。
【0042】
リソース状態取得ユニット605は、RAT(例えば、図1Aの140−1から140−NまでのRAT)からマルチRATのリソース状態情報を得ることができる。このようなリソース状態情報は、各RATの中のアクティブなセッションまたは呼の全数、各RATの中のアクティブな無線ベアラの数、各RATの中のサービスタイプ(例えば、狭帯域サービス、広帯域サービス、実時間サービス、非実時間サービス等)ごとのアクティブな呼の数、各RATの中の呼設定要求の集計した数、各RATの中の呼終了メッセージの集計した数、各RATの中のサービスタイプごとの呼設定要求の数、各RATの中のサービスタイプごとの呼終了メッセージの数、を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
フラグ保持ユニット610は、マルチRATシステムの総合的なリソース状況を指示するNビットのグローバルフラグを、判定して保持することができる。いくつかの実施形態においては、フラグ保持ユニット610はまた、マルチRATシステムの各単一のRATのリソース状況を指示するローカルフラグを保持することもできる。グローバルフラグおよびローカルフラグに関しては、図7に関連して以下で更なる記述を行う。フラグデータベース620は、フラグ保持ユニット610が判定したグローバルフラグおよび/またはローカルフラグを記憶することができる。
【0044】
リソースの利用可能性評価装置630は、フラグデータベース620からグローバルフラグおよび/またはローカルフラグを検索し、検索したフラグを基礎として使用して、140−1から140−Nまでの複数のRATにわたる、総合的なリソースの利用可能性を判定することができる。MRACユニット640は、リソースの利用可能性評価装置630が判定した、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を使用して、マルチRATのアドミッション制御を実行するか、または実行しないかの判定を行うことができる。RAT選択ユニット650は、評価装置630が判定した、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を使用して、140−1から140−Nまでの複数のRATから、特定のUEのサービス要求に対してサービスを提供するRATを選択することができる。
【0045】
図7は、ネットワーク130の140−1から140−Nまでの複数のRATの総合的なリソースの利用可能性を指示するのに使用することができる典型的なグローバルフラグ700を示す。グローバルフラグ(例えば、グローバルフラグ700)の長さは、マルチRATのアドミッション制御処理に対して定義されるシステム状態の数に関して選択することができる。可能なシステム状態のセット(状態の数を含む)は、選択されたサービスグループに対して、関連する総合的なリソース閾値およびアドミッション条件を定義することにより、システム事業者が規定することができる。例えば、狭帯域サービス要求に対しては全てのRATがサービスを提供することができる。可能なシステム状態のセットは、可能なシステム状態のそれぞれに対応するアドミッション制御の判定という形で規定することができる。グローバルフラグによって規定される、マルチRATの総合的なリソースの利用可能性状態の所定のセットは、以下のものの内の1つ以上を含むことができる。
【0046】
a)全てのサービスの無条件な受け入れ、
b)広帯域保証ビットレート(GBR:guaranteed bit rate)サービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、
c)広帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、狭帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、または、
d)全てのサービスの無条件な拒否。
【0047】
図7に戻ると、典型的なグローバルフラグ700は、フラグ700に対する5つの異なる可能な値を表し、各値は3ビットで表されて、各値はいくつかの状態710の内の異なる1つに対応している。フラグ値「000」720は、全てのサービス要求が受け入れられる状態710に対応している。フラグ値「001」730は、アドミッション制御が広帯域GBRサービスに対してだけ実行することができる状態710に対応している。フラグ値「101」740は、アドミッション制御が広帯域GBRサービスおよび狭帯域GBRサービスに対して実行することができる状態710に対応している。フラグ値「010」750は、アドミッション制御が全てのGBRセッションに対して実行することができる状態710に対応している。フラグ値「011」760は全てのGBRセッションがブロックされる状態に対応している。
【0048】
グローバルフラグ(例えば、グローバルフラグ700)は、他のRATが主要なRATに対して通信する負荷状態および負荷情報に基づいて、主要なRATの中でコンパイルすることができる。全てのRATが全てのサービスをサポートすることができるということではないシステムにおいては、または全てのRATが全てのユーザをサポートすることができるということではないシステムにおいては、グローバルフラグは、RATの全ての可能な組み合わせ(すなわち、システムの中で要求される可能性があるRATのサブセット)を包含しなければならない。グローバルフラグは、マルチRATシステムのRATの内のいずれかのRATから情報が受信されるとすぐさま、単一のRAT情報が記憶されることなしに、直接に再コンパイルされることができる。あるいは、単一のRAT情報は、それを使用して、対応したローカルフラグを維持管理することができる(マルチRATシステムのそれぞれのRATに対して、1つのローカルフラグを主要なRATの中に保持することができる)。
【0049】
あるいは、主要なRATが、グローバルフラグに加えて、マルチRATシステムのそれぞれのRATに対するローカルフラグも保持する場合には、グローバルフラグは、要求に応じて再コンパイルされてもよい。この場合、ローカルフラグは、対応したRATから負荷情報が得られる度ごとに更新することができる。グローバルフラグは、RATに対するローカルフラグに基づいて、周期的に、またはイベントによって起動された後にコンパイルすることができる。ローカルフラグによって表される状態のセットは、全てのRATに対して同一であってよい。この場合であっても、同一の状態は、異なるRATの具体的な技術に依存して、異なるRATの中では異なるように定義することができる。ローカルのグローバル状態に対する状態のセットが一致する場合には、グローバルフラグは、全てのローカルフラグにわたる論理積演算(または論理的「AND」)の結果として求めることができる。
【0050】
図8は、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するための典型的な処理を示す。図8の典型的な処理は、典型的な実施形態におけるLTERAT140−1のeNodeB160によって実施することができ、この典型的な実施形態では、LTERAT140−1はマルチRATシステムの主要なRATとして行動する。他の実施形態においては、図8の典型的な処理は、LTERAT140−1における他のノード、またはネットワーク130の他のRAT(例えば、WCDMARAT140−2またはGSMRAT140−3)における他のノードの中で実施することができる。
【0051】
典型的な処理は、マルチRATシステムの各RATに対するリソース状態情報の取得から開始することができる(ブロック800)。リソース状態取得ユニット605は、140−1から140−NまでのRATの内の各RATに関連したリソース状態情報を得ることができる。このようなリソース状態情報は、例えば、以下のものを含むことができる。これらは、各RATにおけるアクティブなセッションまたは呼の総数、各RATにおけるアクティブな無線ベアラの数、各RATにおけるサービスタイプ(例えば、狭帯域サービス、広帯域サービス、実時間サービス、非実時間サービス等)ごとのアクティブな呼の数、各RATにおける呼設定要求の集計した数、各RATにおける呼終了メッセージジの集計した数、各RATにおけるサービスタイプごとの呼設定要求の数、または、各RATにおけるサービスタイプごとの呼終了メッセージジの数である。
【0052】
取得したリソース状態情報は、マルチRATシステムのRATのノードの中に収集することができる(ブロック810)。例えば、LTERAT140−1のeNodeB160のリソース状態取得ユニット605は、取得したリソース状態情報を収集してメモリの中に記憶することができる。ローカルフラグは、それぞれの各RATに対して取得したリソース状態情報に基づいてマルチRATシステムの各RATに対して更新することができる(ブロック820)。フラグ保持ユニット610は、取得ユニット605によって得られた各RATに対するリソース状態情報を解析することができ、また、それぞれの各RATに対するローカルフラグのビットを設定することができる。例えば、所与のRATに対して得られたリソース状態情報が、そのRATは現在トラフィックによって過負荷になっているということが示された場合には、フラグ保持ユニット610は、ローカルフラグを1つの値(例えば、「011」)に設定して、全てのサービス要求は拒否されるべきであることを示すことができる。
【0053】
グローバルフラグは、収集したリソース状態情報に基づいて、および/または各RATに対するローカルフラグに基づいて、マルチRATシステムに対して更新することができる(ブロック830)。1つの実施形態においては、フラグ保持ユニット610は、RATのそれぞれに対するローカルフラグを使用して、グローバルフラグのビットを設定することができる。別の実施形態においては、フラグ保持ユニット610は、取得ユニット605によって得られた各RATに対するリソース状態情報を直接に解析して、そのリソース状態情報に基づいてグローバルフラグのビットを設定することができる。例えば、図7のグローバルフラグ700を参照すれば、リソース状態情報の解析が、140−1から140−NまでのRATの内の1つ以上のRATが現在全てのサービスタイプを扱うことができると示す場合には、フラグ700は、「000」720という値に設定して、全てのサービス要求は受け入れられるであろうことを指示することができる。
【0054】
図9は、1つの典型的な処理を示す。これは、総合的なリソースの利用可能性を判定し、判定した総合的なリソースの利用可能性に基づいてマルチRATシステムの中でアドミッション制御を実行するための処理である。図9の典型的な処理は、典型的な実施形態におけるLTERAT140−1のeNodeB160によって実施することができ、この典型的な実施形態では、LTERAT140−1はマルチRATシステムの主要なRATとして行動する。他の実施形態においては、図9の典型的な処理は、LTERAT140−1における他のノード、またはネットワーク130の他のRAT(例えば、WCDMARAT140−2またはGSMRAT140−3)における他のノードの中で実施することができる。
【0055】
典型的な処理は、UEに関連したベアラ要求の受信(ブロック900)から開始することができる。図10に示すように、UE110に対して呼を接続しようとする試み、またはセッションを確立しようとする試みに関連したベアラ要求1000は、UE110に関連したMME180に(例えば、S−GW170を介して)サービス層から転送することができる。ベアラ要求1000は、アドミッション制御嗜好インジケータ(admission control preference indicator)および/またはRAT選択嗜好インジケータ(RAT selection preference indicator)を含むことができる。AC嗜好インジケータは、UEがMRACを経験することを嗜好するか、またはMRACを回避することを望むかを指示することができる。AC嗜好インジケータは、MRACを経験するか否かを選択する際の柔軟性をUEユーザに対して提供する。RAT選択嗜好インジケータは、RAT選択および再指向がベアラ要求に対して受け入れ可能であるか否かを指示することができる。これらのユーザ嗜好に対するシステム事業者の制御は、例えば、柔軟な課金ポリシーによって実行することができる。AC嗜好インジケータおよびRAT選択嗜好インジケータは、UEおよびユーザに対して完全に透明であってよい。ベアラ要求1000の受信に基づいて、MME180は、ベアラ設定要求1005をeNodeB160に転送することができる。ベアラ設定要求1005は、AC嗜好インジケータおよび/またはRAT選択嗜好インジケータを含む。
【0056】
ベアラ要求に関連したUEがアドミッション制御を回避することを嗜好するか否かに関する判定を行うことができる(ブロック910)。eNodeB160は、受信したベアラ設定要求(例えば、ベアラ設定要求1005)を検閲して、AC嗜好インジケータが、対応したUEがアドミッション制御を回避することを嗜好するということを指示しているか否かを判定することができる。もし指示しているのであれば(YES−ブロック910)、アドミッション制御を実行せずに複数のRATの内から1つのRATを選択することができる(ブロック920)。eNodeB160のAC嗜好インジケータに関する検閲が、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好していると識別した場合には、1つの典型的な実施形態では、UEはアドミッション制御を実行せずにアクセスすることを許容されることができる。別の典型的な実施形態では、eNodeB160のAC嗜好インジケータに関する検閲によって、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好していると識別された場合には、eNodeB160は、RAT選択嗜好インジケータを検閲して、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能であるか否かを識別することができる。RAT再選択が受け入れ可能である場合には、eNodeB160は、UEからの呼/セッション要求を扱うために、140−1から140−NまでのRATの内のいずれかのRATを選択することができる。RAT選択嗜好インジケータに従って、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能でない場合には、UEに対してはデフォルトのRATを選択することができる。図10は、eNodeB160で受信されるベアラ設定要求1005を示す。eNodeB160は、ベアラ設定要求1005からのAC嗜好インジケータおよびRAT選択嗜好を検閲して、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好するか否かを判定することができる。AC嗜好インジケータが、UEはアドミッション制御を回避することを嗜好すると識別している場合には、eNodeB160は、MRAC1010をスキップして、無線ベアラ設定メッセージ1015をUE110に送信することにより、アクセス許容処理を続行することができる。
【0057】
UEがアドミッション制御を回避することを嗜好しない場合には(NO−ブロック910)、グローバルフラグまたは複数のローカルフラグに基づいて、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を判定することができる(ブロック930)。eNodeB160は、AC嗜好インジケータを検閲して、UEがアドミッション制御を回避しないことを嗜好するか否かを識別することができる。AC嗜好インジケータが、UEはアドミッション制御を回避することを嗜好しないということを指示する場合には、eNodeB160のリソースの利用可能性評価装置630は、フラグデータベース620からグローバルフラグまたは複数のローカルフラグを検索することができる。検索されたグローバルフラグのビット値を検閲することにより、リソースの利用可能性評価装置630は、アドミッション制御の判定という形でマルチRATシステムのリソースの利用可能性状態を識別することができる。例えば、グローバルフラグ700が値「001」730を指示している場合には、リソースの利用可能性評価装置630は、広帯域GBRサービスに関連したサービス要求に対してアドミッション制御を実行するべきであると判定することができる。
【0058】
アドミッション制御は、複数のRATにわたって判定したリソースの利用可能性に基づいて、UEに対して、選択的に実行する、または実行しないとすることができる(ブロック940)。グローバルフラグ(またはローカルフラグ)によって識別されたリソースの利用可能性に基づいて、複数のアドミッション制御行動を実行することができる。グローバルフラグの検閲によって識別されたアドミッション制御行動は、以下のものを含むことができる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0059】
a)全てのサービスの無条件な受け入れ、
b)広帯域保証ビットレート(GBR:guaranteed bit rate)サービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、
c)広帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、狭帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、または、
d)全てのサービスの無条件な拒否。
【0060】
複数のRATにわたって判定したリソースの利用可能性に基づいて、UEにサービスを提供するRATを複数のRATから選択することができる(ブロック950)。eNodeB160はRAT選択嗜好インジケータを検閲して、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能であるか否かを識別することができる。RAT再選択が受け入れ可能である場合には、eNodeB160は、UEからの呼/セッション要求を扱うために、140−1から140−NまでのRATの内のいずれかのRATを選択することができる。これは、呼/セッション要求の内容(例えば、ベアラ設定要求)に基づいて、および判定したリソースの利用可能性に基づいて行う。RAT選択嗜好インジケータに従って、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能でない場合には、UEに対してデフォルトのRATを選択することができる。図10は、eNodeB160で受信されるベアラ設定要求1005を示す。eNodeB160は、ベアラ設定要求1005からのRAT選択嗜好を検閲して、無線ベアラ設定メッセージ1015をUE110に送信することにより、アクセス許容処理を続行することができる。図10に更に示すように、eNodeB160およびUE110は、無線ベアラ設定確立1020を共同で行うことができる。無線ベアラ確立1020に引き続いて、UE110は、無線ベアラ設定応答1025をeNodeB160に返送して、無線ベアラ設定の確立を確認することができる。次に、eNodeB160は、ベアラ設定応答メッセージ1030をMME180に返送して、無線ベアラ設定を確認することができる。MME180は、ベアラ応答メッセージ1035を、サービス層を介して、例えば、適切なS−GW170に更に送信することができる。
【0061】
実施形態に関するこれまでの記述は、例示と説明とを提供するものであるが、網羅的であることを意図するものではなく、また本発明をここに開示した厳密な形に限定することを意図するものでもない。上記の教示に照らして、変更および変形が可能であり、または本発明を実行する上で変更および変形を行うことができる。例えば、図8および図9に関しては、一連のブロックが記述されているが、他の実施形態においてはブロックの順序を変更することができ、これは本発明の原理と矛盾するものではない。更に、他のブロックに依存していないブロックは、並行して実行することができる。本明細書にはマルチ周波数のマルチRAT(MFMRAT:multi−frequency multi−RAT)システムに関して典型的な実施形態が記述されているが、この典型的な実施形態は、マルチ周波数および単一周波数のマルチRATシステム、およびマルチ周波数の単一RATシステムに適用することもできる。本明細書に記述した実施例では、LTEシステムがマルチRATシステムの主要なRATとして仮定されている。しかしながら、ネットワーク130の中の任意のRATをマルチRATシステムの主要なRATとして実施することができ、従って、任意のRATはシステム全体を代表して、提案しているMRAC方式を実行することができる。リソース状態情報を得るために層にまたがる通信を使用すること、およびリソース状態情報を保持するためにグローバルフラグを使用することはまた、マルチRATのアドミッション制御に加えて、またはその代わりに、負荷分散の中で使用するように適合させることもできる。
【0062】
本発明の視点はまた、方法および/またはコンピュータプログラムによって実行することができる。従って、本発明はハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)の中に組み込むことができる。さらに、本発明はコンピュータが使用可能なまたはコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の上のコンピュータプログラムの形を取ることができ、コンピュータプログラムは、命令実行システムによって、またはそれらとともに使用するための、これら媒体の中に組み込まれた、コンピュータが使用可能なまたはコンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する。本明細書に記述した実施形態を実施するのに使用するための実際のソフトウェアコードまたは特化された制御ハードウェアは、本発明を限定するものではない。従って、実施形態の動作および特性は具体的なソフトウェアコードを参照せずして記述されている。これは、通常の当業者であれば、ソフトウェアおよび制御ハードウェアの設計を行い、本明細書の記述に基づいた視点を実施することが可能であろうと理解されるからである。
【0063】
さらに、本発明のある部分は、1つ以上の機能を実行する「論理」として実施することができる。この論理は、ASIC(application secific integrated circuit)またはFPGA(field programmable gate array)等のハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含むことができる。
【0064】
本発明の特徴の特定の組み合わせが、特許請求の範囲の中で挙げられ、および/または明細書の中で開示されているが、これらの組み合わせは本発明を限定することを意図するものではない。事実、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲の中で挙げた、および/または明細書の中で開示した、具体的な様式とは異なる様式で組み合わせることが可能である。
【0065】
「備える/備えている」という用語は、これらをこの明細書の中で使用する場合には、言及する特徴、数値、ステップ、構成要素、またはグループの存在を規定するものであるが、1つ以上の他の特徴、数値、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないという点が強調されるべきである。
【0066】
本出願の中で使用する、いずれの要素、行為、または命令も、本発明にとって決定的または必須なものであると明白に記述していない限り、本発明にとっては決定的または必須なものではないと解釈されるべきである。また、本明細書において使用する、冠詞「a」は、1つ以上の項目を含むと意図される。1つの項目を意図する場合には、「1つの(one)」という用語または同様の言語を使用している。更に、「に基づいて」という表現は、明白に他様に述べていない限り、「少なくとも部分的に基づいて」いることを意味することを意図している。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記述した実施形態は、一般的に、無線アクセスシステムに関するものであり、さらに詳細には、マルチ無線アクセスシステムにおけるアドミッション制御に関する。
【背景技術】
【0002】
アドミッション制御(AC:admission control)は、よく知られており、広範囲の無線アクセスネットワークにおいて広く使用されている無線リソース管理(RRM:radio resource management)機能である。ここで、無線アクセスネットワークとしては、GSM(Global Standard for Mobile)通信、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、発展型GSM用拡張データ通信(EDGE:Enhanced Data for GSM Evolution)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、および進化型汎用地上無線アクセス(E−UTRA:evolved Universal Terrestrial Radio Access)の無線アクセスネットワークなどがある。一般に、アドミッション制御は、サービス要求が行われたときに利用可能なリソースと、その特定のサービスに対して適切な品質を保証するために必要となるリソースとに基づいて、そのサービス要求を受け入れるかまたは拒否するかを判定するタスクを実行する。例えば、WCDMAネットワークにおいて、アドミッション制御は、単一の無線セルの状態に基づいてアドミッション制御を行うのではなくて、マルチセルの無線リソースを考慮に入れる。
【0003】
複数の無線アクセス方式(RAT:radio access technology)を含む無線ネットワークの容量は、本発明の分野に密接に関わっており、また、十分に研究されてき分野である。マルチRATネットワークは、しばしば、容量範囲によって特徴付けられ、マルチRATシステムが収容できる異なるサービスの数もこの容量範囲によって特徴づけられる。
【0004】
負荷分散(ロード・バランシング)は、マルチRATネットワークにおいてしばしば使用される無線リソース管理(RRM)技術である。負荷分散の目的は、進行中のセッションに対して、無線アクセス方式を割り当てるか、または再割り当てを行い、これによって、無線リソースの全体が有効に利用されるようにし、それにより、いくつかのサービス品質または他の制約条件のもとでマルチRATシステムの総合的な容量を最大にすることである。
【0005】
無線ネットワークにおいてよく知られているトレードオフで、アドミッション制御に密接に関係するものは、新しく到着するサービス要求をブロックすることと進行中のサービスをドロップさせることとの間で生ずる。このトレードオフは、進行中のセッションの数が多ければ、リソースが十分に足りないことまたは完全に不足したことによって、いくつかのサービスをドロップさせる必要がある尤度が増すということで表現することができる。極端な場合を言えば、いずれのアドミッション制御も行わないシステムは、システムの安定性を保証し、ドロップさせないセッションに対してある程度のサービス品質を維持するために、ある特定のセッションが十分に完了しないうちに、それを終了させる必要があるかも知れないということを容認できる限りにおいて、そのシステムは運用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)では、現在、長期的進化(LTE:Long Term Evolution)標準規格スイートのリリース8の策定を完了したところである。LTEネットワークは、現行の事業者と共に新しく始める(グリーンフィールド)事業者によって、近い将来設置されるであろうことが予想される。従って、LTEシステムは、しばしば、実際に動作するマルチアクセス基盤の一部として設置されるであろうということが予想される。このような状況では、LTE無線アクセス装置は、典型的に、GSMシステム/GPRSシステム/EDGEシステム/WCDMAシステムの中に統合されて動作するであろう。
【0007】
2つの構成が可能であり、LTE基地局は、これらの構成に従って他のRATと連携して設置可能である。これらの可能な構成は、同一の場所に複数の基地局を配置する構成と、複数の技術のすべてに対応した混成技術による基地局を設置する構成とである。同一の場所に複数の基地局を配置する場合、LTEシステムに対する要求条件は、他のRATの装置と同じ場所に配置されるということであり、電力供給、転送ネットワーク、セルラ塔等を含む、現存するサイト基盤のいくつかの部分を共有することができる。このタイプの設置シナリオでは、種々のプロトコル層のレベルの上ではある程度の調整はあり得るとしても、各RATの装置のセットは独立している。
【0008】
混成技術に対応した基地局の場合、基地局が使用する無線装置は、全てのRAT(例えば、LTE、UTRAN、GSM等)によって共通に使用される。また、装置のベースバンド処理部分を共用することも可能であるかも知れない。しかしながら、より高位の層は独立に動作することになる。混成技術の基地局の主な利点は、単一の無線部分だけを使用することによって、コスト効率がよい点である。この半ば統合した解決策はまた、基地局全体を小型に、また電力効率を良くすることができ、それによってまたネットワークおよびサイト保守の運用コストを低減することができる。現在、この混成技術の基地局は、種々の標準化団体(GERANおよび3GPPRAN4を含む)における標準化の基本段階を進捗しているところである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記述する典型的な実施形態は、マルチRAT(複数の無線アクセス方式)のシステムにおけるアドミッション制御を実行するための技術を提供するものであり、このアドミッション制御は、マルチRATシステムの全てのRATにわたる総合的なシステムトラフィック負荷を考慮に入れている。典型的な実施形態においては、クロスレイヤー(複数層にまたがった)通信、クロスラット(複数RATにまたがった)通信を使用して、マルチRATシステムのRATにわたる負荷情報を判定および集約することができる。判定した総合的な負荷情報に基づいて、グローバルフラグを設定し、ユーザ装置(UE)が要求するサービスアクセスに関連した将来のサービス要求に関するマルチRATアドミッション制御(MRAC:multi−RAT admission control)判定のためにグローバルフラグを使用することができる。本明細書に記述するように、グローバルフラグを使用することによって、マルチRATシステムのRATに到着するサービス要求は、システム全体で十分なリソースが存在する限り、サービス要求条件に拘わらず、受け入れが可能になる。従って、サービス要求を受信するRATは、いずれのアドミッション制御も実行する必要がないようにすることができる。これは通常の場合であれば、サービス要求を受けたRATにおいて空いているリソースだけでサービス要求について調査し、サービス要求を実行することができるか否かを評価することになるが、その場合でも、いずれのアドミッション制御も実行する必要がない。
【0010】
1つの視点によれば、マルチ無線アクセス方式(RAT)システムのノードにおいて実行され方法が提供される。この方法は、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するステップを含むことができる。本方法は、アドミッション制御および/または負荷分散において使用するための、マルチRATシステムのRATに関連した総合的なリソースの利用可能性を表すフラグを、取得したリソース状態情報に基づいて保持するステップを更に含むことができる。
【0011】
更なる視点に従えば、複数の無線アクセス方式(マルチRAT)システムにおけるノードが提供される。このノードは、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するリソース状態取得ユニットと、取得したリソース状態情報に基づいて、マルチRATシステムの複数のRATに関連したリソースの利用可能性を表すフラグを保持するフラグ保持ユニットとを含むことができる。ノードは、フラグの内容に基づいて、システムアクセス要求に対するアドミッション制御を実行する、またはマルチRATシステムのRATにわたるシステムアクセス要求の負荷分散を実行する、1つ以上のユニットを更に含むことができる。
【0012】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、また本明細書の一部を構成し、本発明の1つ以上の実施形態を示し、記述ととともに本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】ユーザ装置がマルチRATシステムを含むネットワークを介して別のデバイスと通信することができる、典型的な環境を示す図である。
【図1B】図1Aのネットワークの典型的な実施形態を示す図であり、マルチRATシステムは、LTERAT、WCDMARAT、およびGSMRATを含む。
【図1C】図1BのLTERATの典型的な詳細を示す図である。
【図2A】図1Bの典型的な実施形態における複数のRATを有する、同一の場所に配置された基地局を示す図である。
【図2B】図1Bの典型的な実施形態における複数のRATを設置する、単一の基地局を示す図である。
【図3】図1Bのネットワークの主要なRATの無線基地局において、層にまたがる通信を使用してリソース状態情報を収集することができる、典型的な実施形態を示す図である。
【図4】図1AのUEの典型的な構成要素を示す図である。
【図5】図1CのeNodeBに対応することができる基地局の典型的な実施形態を示す図である。
【図6】図1BのLTERATのeNodeに対応することができるRATノードの機能的構成要素を示す図である。
【図7】図1Aのネットワークの複数のRATの総合的なリソースの利用可能性を示すために使用することができる典型的なグローバルフラグを示す図である。
【図8】マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するための典型的な処理を示すフローチャートである。
【図9】総合的なリソースの利用可能性を判定し、判定した総合的なリソースの利用可能性に基づいてマルチRATシステムにおけるアドミッション制御を実行するための典型的な処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の典型的な処理に関連した典型的なメッセージング図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の以下の詳細な記述は添付の図面を参照している。異なる図面の中での同一の参照番号は同一または同様の要素を識別することができる。また、以下の詳細な記述は、本発明を限定するものではない。
【0015】
複数の無線アクセス方式(マルチRAT)のシステムにおいては、サービスアクセス要求は、システム全体の中で利用可能なサービスに対して十分な量のリソースが存在する限りにおいて許容される。サービスアクセスを許容するアドミッション判定は、最新のリソース推定値に基づいて行われるべきであり、従って、リソースの利用可能性の推定値は、最小の遅延およびシグナリングオーバヘッドで利用可能とされる必要がある。マルチRATアドミッション制御(MRAC)システムは以下のことを達成できなければならない。
1)現在進行中の、および新しく受け入れたセッションに対してサービス品質を保証すること、
2)呼ブロッキング確率を最小にする(例えば、誤った拒否判定を回避する)こと、
3)呼/セッションのドロップを最小にする(例えば、誤った受け入れ判定を回避する)こと、
4)サービス要求があってからアドミッション制御の判定が終了するまでの間において低い遅延を保証すること、
5)ユーザサービスクラス(例えば、加入)、サービス特性(例えば、GBR/非GBR)、ブロッキングレート/ドロップレートに関するユーザの嗜好、およびユーザが嗜好するRAT(もしあるとすれば)を考慮に入れること、および、
6)総合的な無線リソースおよび他の無線ネットワークリソースを全体的に有効に使用すること。
上記に挙げた要求条件に加えて、MRAC手順は、極力複雑さが小さく抑えられるべきであり、また、新しい物理ネットワーク要素の導入を回避し、シグナリングオーバヘッドを削減し、かつ、新しいインタフェースまたはプロトコルまたはシグナリングメッセージを標準化する必要性を回避するために、集中化したマルチRATエンティティを前提としないことが望ましい。
【0016】
本明細書に記述する典型的な実施形態は、マルチRATシステム全体が、そのRATの内の1つのRAT(例えば、LTEシステム)においてもアドミッション制御を実行する必要が全然ないという状態にあるか否かを示す単一のフラグを維持管理することにより、上記に注記した要求条件を満足する。従って、典型的な実施形態は、可能である限りアドミッション制御の使用を回避して、サービス設定を単純化して低遅延を保証することができる。RATの内の1つ(例えば、LTERAT)に到着するサービス要求は、マルチRATシステム全体の中で十分なリソースが存在する限り、サービス要求条件に拘わらずに受け入れることができる。従って、サービス要求を受信するRAT(例えば、LTEシステム)は、その1つのRATにおける自由なリソースだけによって、サービス要求を調べて、サービス要求を実行することができるか否かを評価する必要性が決まるとしても、いずれのアドミッション制御手順も実行する必要がないというようにすることができる。典型的な実施形態は、現在の負荷情報全体を集約したフラグによって、アドミッション制御を行わないようにすることができる。フラグは、複数のレイヤーにまたがるクロスレイヤー通信や、複数のRATにまたがるクロスRAT通信を行うことにより、マルチRATシステムの「主要な」RAT(例えば、LTERAT)の中で維持管理できる。マルチRATシステム全体に対する、測定に基づいたMRACは、システム全体の中で利用可能なリソースの量を考慮に入れることができ、またサービス要求条件およびユーザの嗜好を考慮することができる。リソースの利用可能性情報は、システムRATの内の1つのRAT(例えば、主要なRAT)の中に記憶されたフラグの中に保持することができる。フラグは、リソースの利用可能性を判定するときに、またサービスアクセス要求に対してMRACを実行するときに使用することができる。
【0017】
本明細書に記述する更なる実施形態において、UEがMRACを利用することを嗜好するか否かに関するUEのプリファレンス(嗜好)は、UEに対するシステムサービスを要求するサービス要求とともに送信することができる。UEの嗜好は、UEがアドミッション制御を受けることを嗜好するか否かを指すことができる。さらに、RAT選択嗜好は、UEに対するシステムサービスを要求するサービス要求の中で送信することができる。RAT選択嗜好は、サービス要求に対してRATの再選択が受け入れ可能か否かを指示することができる。サービス要求に対してMRACを実行するか否かの判定、またはRATの選択/再選択を実行するか否かの判定は、MRAC嗜好またはRAT選択嗜好に基づくことができる。
【0018】
「通信システム」および「ネットワーク」という用語は、この記述を通して相互に交換して使用することができる。「RAT」という用語は広義に解釈されることを意図しており、任意のタイプの無線アクセス方式を含む。例えば、無線アクセス方式は、無線アクセス方式(例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)、LTE、GSM等)、マイクロ波アクセス技術(例えば、ブルートゥース、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.X、等)、および/または衛星アクセス技術に基づくことができる。
【0019】
図1Aは、典型的な環境100を示す。この環境100では、ユーザ装置(UE)110がネットワーク130を介して別のデバイス120と通信することができる。ネットワーク130は、任意のタイプの1つ以上のネットワークを含むことができる。任意のタイプの1つ以上のネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、大都市エリアネットワーク(MAN)、PSTNまたはPLMN等の電話ネットワーク、衛星ネットワーク、イントラネットおよびインターネット、または、これらのネットワークの組み合わせを含む。PLMNは、パケット交換サブネットワーク(例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、セルラディジタルパケットデータ(CDPD:Cellular Digital Packet Data)ネットワーク、またはモバイル移動IPネットワーク等)を更に含むことができる。図1Aに示したように、ネットワーク130は、複数の、異なるRAT(140−1から140−NまでのRATを含む)を含むマルチRATシステムを含むことができる。140−1から140−NまでのRATの内の1つ以上のRATは、UE110が使用してデバイス120と通信することができる。140−1から140−NまでのRATにおける各RATは、例えば、進化型汎用移動通信システム地上アクセスネットワーク(E−UTRAN:evolved Universal Mobile Telecommunications System Terrestrial Access Network)FDDRAT、E−UTRAN時分割複信(TDD)RAT、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)RAT、拡張E−UTRANTDDRAT、拡張E−UTRAN周波数分割複信(FDD)RAT、UTRANTDDRAT、高速パケットデータ(HRPD:high rate packet data)RAT、GSM(Global System for Mobile Communications)RAT、cdma2000RAT、または他のタイプのRATを含むことができる。いくつかの典型的な実施形態においては、140−1から140−NまでのRATの内の1つのRATは、「主要な」RATとしてサービスを提供することができ、この主要なRATのノードの内の1つのノードは、マルチRATシステムの中のリソースの総合的な状態を示すフラグを維持管理することができる。
【0020】
UE110は、セルラ無線電話機、携帯情報端末(PDA)、パーソナル通信システム(PCS:Personal Communications System)端末、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、または、無線リンクを介して他のデバイスとの通信を可能にする通信トランシーバ(送受信機)を含む、他の任意のタイプのデバイスまたは電気製品を含むことができる。PCS端末では、セルラ無線電話機に、データ処理機能、ファクシミリ機能、およびデータ通信機能を組み合わせることができる。PDAは、無線電話機、ページャ、インターネット/イントラネットアクセスデバイス、ウェブブラウザ、オーガナイザ、カレンダ、および/または全地球測位システム(GPS)受信機を含むことができる。UE110は、「パーベイシブコンピューティング(pervasive computing)」デバイスと呼ぶこともできる。
【0021】
デバイス120は、UE110と同様のデバイスを含むことができ、また、いくつかの実施形態では、公衆交換電話ネットワーク(PSTN:Public Switched Telephone Network)に接続された電話機(例えば、基本電話システム(POTs:Plain Old Telephone system)電話機)をさらに含むことができる。
【0022】
図1Bは、ネットワーク130の典型的な実施形態を示す。ネットワーク130では、RAT140−1がLTERATを含み、RAT140−2はWCDMARATを含み、RAT140−3はGSMRATを含む。LTERAT140−1は、長期的進化(LTE:Long Term Evolution)RATを含むことができる。WCDMARAT140−2は広帯域符号分割多元接続RATを含むことができる。GSMRAT140−3はGlobal System for Mobile Communications RATを含むことができる。ネットワーク130は、図1Bに示すRATと比較して、異なった、追加的な、および/または、より少ない数のRATを含むことができる。
【0023】
図1Cは、ネットワーク130のLTERAT140−1の典型的な詳細を示す。LTERAT140−1は進化型NodeB(eNodeB:evolved NodeB)ノード、移動管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)ノード、およびサービングゲートウェイ(S−GW:Serving Gateway)ノードを含むことができ、これらは全て転送ネットワーク150に接続されている。図1Cに示すように、LTERAT140−1は160−1から160−PまでのeNodeB、170−1から170−NまでのS−GW、180−1から180−MまでのMMEを含むことができる。160−1から160−PまでのeNodeBは、他のデバイスと通信するUEに対して中間ノードとして動作するLTE基地局を含むことができる。例えば、図1Cは、別のノード(図示せず)と通信するUE110に対する中間ノードとして動作するeNodeB160−1を示している。160−1から160−PまでのeNodeBは、無線インタフェースを介してUEと通信することができる。そして、転送ネットワーク150を介して、それらの通信を終点ノードまたは終点デバイスに向かって(例えば、デバイス120に向かって)転送することができる。
【0024】
170−1から170−NまでのS−GWは、UE接続(3GPPの用語では「EPSベアラ」と呼ばれる)を終端する論理ノードを含むことができる。EPSベアラは、UEと外部ネットワーク(例えば、インターネット)との間にSAE/LTEシステムによって提供される接続を含むことができる。170−1から170−NまでのS−GWは、それぞれが追加的に、パケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW:Packet Data Network Gateway)機能を含むことができ、P−GWは、IPアドレスをUEに割り当てて、UEと外部ネットワークとの間の接続を提供することができる。 180−1から180−MまでのMMEは、それぞれが、環境100の内部でのUEの移動を扱うための機能を含むことができる。例えば、MME180−1は、UE110にサービスを提供することができ、MME180−Mは別のUE(図示せず)にサービスを提供することができる。
【0025】
転送ネットワーク150は、任意のタイプの1つ以上のネットワークを含むことができ、この任意のタイプのネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、大都市エリアネットワーク(MAN)、衛星ネットワーク、イントラネットおよびインターネット、または、ネットワークの組み合わせを含む。160−1から160−PまでのeNodeB、170−1から170−NまでのS−GW、および180−1から180−MまでのMMEは、SAE/LTEネットワークの中に常駐することができ、転送ネットワーク150を介して接続されることができる。
【0026】
環境100の中で複数のRATを設置するためには、2つの可能な構成を使用することができる。これらは、1)それぞれが異なるRATを有し、同一の場所に配置された基地局、または2)異なる複数のRATをミックス(混成)した混成RAT技術を有する単一の基地局である。同一の場所に配置された基地局の場合には、LTEシステムに対する要求条件は他のRATの装置と同一の場所に配置されるということであり、電力供給、転送ネットワーク、セルラ塔等を含む、現存のサイト基盤のいくつかの部分を共有することが可能である。このタイプの設置シナリオでは、各RATの装置のセットは、種々のプロトコル層のレベルの上でどのくらいかの調整があるとしても、独立であってよい。この手法では、新しいRATを容易に追加することができる。または、現存のRATを取り除く、または別のRATで置き換えることができる。
【0027】
混成RAT技術を有する単一の基地局の場合には、基地局が使用する無線装置は、全てのRAT(例えば、LTE、UTRAN、GSM等)が共通に使用することができる。装置のベースバンド処理の部分を共有することもまた可能であるかも知れない。しかしながら、より高位の層は独立に動作することができる。混成RAT基地局の第1の利点は、無線部分は単一のものだけを使用することによって、混成RAT基地局はコスト効率がよいという点である。この半ば統合した解決策はまた、基地局全体をより小型に、かつ電力効率を良くすることができ、それにより、ネットワークおよびサイト保守の運用コストを低減することができる。
【0028】
図2Aは、複数のRATを有する、同一の場所に配置された基地局200を示す。図2Aの、同一の場所に配置された基地局200のそれぞれは、異なるタイプのRATを含むことができる。例えば、図2Aに示したように、同一の場所に配置された基地局200は、LTERAT210を設置した基地局、GSMRAT220を設置した基地局、および/またはWCDMARAT230を設置した基地局を含むことができる。同一の場所に配置された基地局200は地理的に互いに近接場所に配置することができる。
【0029】
図2Bは、複数のRATを設置した単一の基地局240を示す。図2Bの実施例に示したように、基地局240は、LTERAT250、WCDMA260、および/またはGSMRAT270を設置することができる。図2Bに示したように、単一の基地局の中で複数のRATを設置することにより、統合化した無線装置を使用することができ(すなわち、異なるRATのすべてが同一の無線装置を使用することができる)、そしてさらに、組み合わせた無線リソース管理(RRM)技術(例えば、アドミッション制御等)を使用することができる。組み合わせたRRM技術を使用することにより、システム事業者は、混成RATを有する基地局において総合的な無線リソースを効率よく使用することが可能になる。基地局240は、例えば、eNodeBを含むことができる。
【0030】
複数のRATが同一場所に配置された基地局200に設置される場合(図2Aに示されている)、または単一の基地局240に設置される場合(図2Bに示されている)には、マルチRATの複数の層にまたがる通信(クロスレイヤー通信)300を使用することができ(図3に示すように)、これにより、異なるRATの間の総合的なリソース状態情報を取得することが可能になる。同一の場所に配置されたセルを持つマルチRATシステムにおいては、リソース状態情報(例えば、アクティブなユーザの数、アクティブな無線ベアラの数、アクティブなセッションの数等)は、異なるノードにおいて得ることができる。このようなノードは、例えば、GSMに対してはBSC/CN、UTRANに対してはRNC/CN、cdma2000に対してはBSC/CN、およびE−UTRANに対してはeNodeB/CNを含むことができる。複数の異なるRATを利用する単一の基地局の場合でさえも、リソース状態情報は、より高位のプロトコル層は独立しているが故に、異なるノードの中に常駐することができる。本明細書に記述する典型的な実施形態においては、クロスレイヤー通信300を使用して、異なるRATのそれぞれから、リソース状態情報を取得することができる。図3は、典型的な実施形態を示し、ここでは、クロスレイヤー通信300を使用して、リソース状態情報を主要なRATの無線基地局の中に収集することができる。例えば、図3に示すように、LTEのeNodeB310は、WCDMAのNodeB320および/またはGSMの基地局330からリソース状態情報を収集することができる。リソース状態情報は、異なるプロトコル(例えば、SIP、RTP等)を読むことにより、異なる層(例えば、RRCまたはNAS)から得ることができる。収集したリソース状態情報に基づいて、マルチRATシステム全体に対するMRACは、例えば、LTEのeNodeB310が実行することができる。
【0031】
マルチRATの、クロスレイヤー通信300を介して取得するリソース状態情報は、各RATにおけるアクティブなセッションまたは呼、またはアクティブな無線ベアラの全数を含むことができる。この情報は、呼設定要求および呼終了メッセージ(例えば、SIPシグナリング等)に関係するより高位の層のプロトコル情報を追跡(例えば、「スニッフィング」)することにより、取得することができる。各RATに対するこのようなメッセージは対応した基地局を通過し、層にまたがる試験によって読むことができる。層にまたがる試験の間に、ある特定のプロトコル層(例えば、SIP)のパケットを検閲して該当する情報を別のプロトコル層(例えば、MAC)に供給することができる。この層にまたがる通信は、いずれの方向(すなわち、高位の層から低位の層に、またはその逆)にも行うことができる。
【0032】
例えば、1つのRATの中の、任意の時刻におけるアクティブな呼の全数は、全ての新しい呼要求(call request)(Nrequest)および呼解放(call release)(Nrelease)を追跡することにより推定することができる。従って、任意の時刻T1において、RATの中のアクティブな呼の数(Nactive)は以下の式で表現することができる。
Nactive(T1)=Nactive(T0)+Nrequest(Δt)−Nrelease(Δt)
(式1)
ここで、Δt=T1−T0である。
アクティブな呼の数はサービスタイプ(例えば、狭帯域、広帯域、実時間、非実時間等を含むサービスタイプ)ごとに追跡して保持することができる。同様に、他の動作性能パラメータ(例えば、アクティブなセッションまたは無線ベアラの数)も追跡することができる。マルチRATの、クロスレイヤー通信300を介して取得したリソース状態情報は、各RATの中の呼設定要求の集計した数および/または呼終了メッセージジの集計した数、各RATの中のサービスタイプごとの呼設定要求の数および/またはサービスタイプごとの呼終了メッセージジの数、または、各RATの中の無線ベアラタイプごとの呼設定要求の数および/または無線ベアラタイプごとの呼終了メッセージジの数、を更に含むことができる。
【0033】
図4は、UE110の典型的な構成要素を示す。UE110は、トランシーバ405、処理ユニット410、メモリ415、入力デバイス420、出力デバイス425、およびバス430を含むことができる。
【0034】
トランシーバ405はトランシーバ回路を含むことができ、トランシーバ回路は、1つ以上のアンテナを介して無線周波数信号を使用してシンボルシーケンスを送信および/または受信する。処理ユニット410は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することができる処理論理を含むことができる。処理ユニット410は、データバッファリングを含む、データの入力、出力、および処理を行うための全てのデータ処理機能と、UE制御機能(呼処理制御、ユーザインタフェース制御等)とを実行することができる。
【0035】
メモリ415は、処理ユニット410がデバイス処理機能を実行する際に使用するための、データおよび命令の永久、半永久、または一時動作記憶を提供することができる。メモリ415は、ROM、RAM、大容量記憶デバイス(磁気および/または光学記録媒体、およびそれに対応したドライブ等)、および/または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。入力デバイス420は、データをUE110の中に入力するためのメカニズムを含むことができる。例えば、入力デバイス420は、キーパッド(図示せず)、マイクロフォン(図示せず)、または表示ユニット(図示せず)を含むことができる。キーパッドによって、ユーザはデータをUE110の中へ手動で入力することが可能になる。マイクロフォンは、聴覚入力を電気信号に変換するためのメカニズムを含むことができる。表示ユニットは、スクリーン表示を含むことができ、スクリーン表示は、デバイス機能を選択するためにユーザが使用することができるユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインタフェース)を提供することができる。表示ユニットのスクリーン表示は、任意のタイプの視覚表示(例えば、液晶表示(LCD)、プラズマスクリーン表示、発光ダイオード(LED)表示、ブラウン管(CRT)表示、有機発光ダイオード(OLED)表示等)を含むことができる。
【0036】
出力デバイス425は、データをオーディオ、ビデオおよび/またはハードコピー様式で出力するためのメカニズムを含むことができる。例えば、出力デバイス425は、電気信号を聴覚出力に変換するためのメカニズムを含むスピーカ(図示せず)を含むことができる。出力デバイス425は、出力データをユーザに表示する表示ユニットを更に含むことができる。例えば、表示ユニットは、出力データをユーザに表示するグラフィカルユーザインタフェースを提供することができる。バス430は、UE110の種々の構成要素を相互に接続して、それらの構成要素が互いに通信できるようにすることができる。
【0037】
図4に示されたUE110の構成要素の構成は、例示の目的のためだけに示されている。より多く、または少ない数の構成要素を持つ他の構成、または構成要素の異なる配置もまた実施することができる。
【0038】
図5は基地局500の典型的な実施形態を示す。基地局500は、例えば、図1CのeNodeB160に対応させることができる。基地局500は、トランシーバ505、処理ユニット510、メモリ515、インタフェース520、およびバス525を含むことができる。
【0039】
トランシーバ505はトランシーバ回路を含むことができ、トランシーバ回路は、1つ以上のアンテナを介して無線周波数信号を使用してシンボルシーケンスを送信および/または受信する。処理ユニット510は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することができる処理論理回路を含むことができる。処理ユニット510は、全てのデバイスデータ処理機能を実行することができる。メモリ515は、処理ユニット510がデバイス処理機能を実行する際に使用するための、データおよび/または命令の永久、半永久、または一時動作記憶を提供することができる。メモリ515は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、大容量記憶デバイス(磁気および/または光学記録媒体、およびそれに対応したドライブ等)、および/または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。インタフェース520は、外部のネットワーク(例えば、転送ネットワーク150等)に接続するリンクに対してインタフェースするための回路を含むことができる。バス525は、基地局500の種々の構成要素を相互に接続して、構成要素が互いに通信できるようにすることができる。
【0040】
図5に示された基地局500の構成要素の構成は、例示の目的のためだけに示されている。より多く、または少ない数の構成要素を持つ他の構成、または構成要素の異なる配置もまた実施することができる。
【0041】
図6はRATノード600の機能要素を示す。RATノード600は、例えば、LTERAT140−1のeNodeB160に対応させることができる。従って、RATノード600は、ネットワーク130の主要なRATの中のノードに対応することができる。他の実施形態においては、RATノード600は、LTERAT140−1の中の他のノードに、または他のRAT(例えば、WCDMARATまたはGSMRAT)の中のノードに対応することができる。RATノード600は、リソース状態取得ユニット605、フラグ保持ユニット610、フラグデータベース620、リソースの利用可能性評価装置630、マルチRATアドミッション制御(MRAC)ユニット640、およびRAT選択ユニット650を含むことができる。
【0042】
リソース状態取得ユニット605は、RAT(例えば、図1Aの140−1から140−NまでのRAT)からマルチRATのリソース状態情報を得ることができる。このようなリソース状態情報は、各RATの中のアクティブなセッションまたは呼の全数、各RATの中のアクティブな無線ベアラの数、各RATの中のサービスタイプ(例えば、狭帯域サービス、広帯域サービス、実時間サービス、非実時間サービス等)ごとのアクティブな呼の数、各RATの中の呼設定要求の集計した数、各RATの中の呼終了メッセージの集計した数、各RATの中のサービスタイプごとの呼設定要求の数、各RATの中のサービスタイプごとの呼終了メッセージの数、を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
フラグ保持ユニット610は、マルチRATシステムの総合的なリソース状況を指示するNビットのグローバルフラグを、判定して保持することができる。いくつかの実施形態においては、フラグ保持ユニット610はまた、マルチRATシステムの各単一のRATのリソース状況を指示するローカルフラグを保持することもできる。グローバルフラグおよびローカルフラグに関しては、図7に関連して以下で更なる記述を行う。フラグデータベース620は、フラグ保持ユニット610が判定したグローバルフラグおよび/またはローカルフラグを記憶することができる。
【0044】
リソースの利用可能性評価装置630は、フラグデータベース620からグローバルフラグおよび/またはローカルフラグを検索し、検索したフラグを基礎として使用して、140−1から140−Nまでの複数のRATにわたる、総合的なリソースの利用可能性を判定することができる。MRACユニット640は、リソースの利用可能性評価装置630が判定した、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を使用して、マルチRATのアドミッション制御を実行するか、または実行しないかの判定を行うことができる。RAT選択ユニット650は、評価装置630が判定した、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を使用して、140−1から140−Nまでの複数のRATから、特定のUEのサービス要求に対してサービスを提供するRATを選択することができる。
【0045】
図7は、ネットワーク130の140−1から140−Nまでの複数のRATの総合的なリソースの利用可能性を指示するのに使用することができる典型的なグローバルフラグ700を示す。グローバルフラグ(例えば、グローバルフラグ700)の長さは、マルチRATのアドミッション制御処理に対して定義されるシステム状態の数に関して選択することができる。可能なシステム状態のセット(状態の数を含む)は、選択されたサービスグループに対して、関連する総合的なリソース閾値およびアドミッション条件を定義することにより、システム事業者が規定することができる。例えば、狭帯域サービス要求に対しては全てのRATがサービスを提供することができる。可能なシステム状態のセットは、可能なシステム状態のそれぞれに対応するアドミッション制御の判定という形で規定することができる。グローバルフラグによって規定される、マルチRATの総合的なリソースの利用可能性状態の所定のセットは、以下のものの内の1つ以上を含むことができる。
【0046】
a)全てのサービスの無条件な受け入れ、
b)広帯域保証ビットレート(GBR:guaranteed bit rate)サービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、
c)広帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、狭帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、または、
d)全てのサービスの無条件な拒否。
【0047】
図7に戻ると、典型的なグローバルフラグ700は、フラグ700に対する5つの異なる可能な値を表し、各値は3ビットで表されて、各値はいくつかの状態710の内の異なる1つに対応している。フラグ値「000」720は、全てのサービス要求が受け入れられる状態710に対応している。フラグ値「001」730は、アドミッション制御が広帯域GBRサービスに対してだけ実行することができる状態710に対応している。フラグ値「101」740は、アドミッション制御が広帯域GBRサービスおよび狭帯域GBRサービスに対して実行することができる状態710に対応している。フラグ値「010」750は、アドミッション制御が全てのGBRセッションに対して実行することができる状態710に対応している。フラグ値「011」760は全てのGBRセッションがブロックされる状態に対応している。
【0048】
グローバルフラグ(例えば、グローバルフラグ700)は、他のRATが主要なRATに対して通信する負荷状態および負荷情報に基づいて、主要なRATの中でコンパイルすることができる。全てのRATが全てのサービスをサポートすることができるということではないシステムにおいては、または全てのRATが全てのユーザをサポートすることができるということではないシステムにおいては、グローバルフラグは、RATの全ての可能な組み合わせ(すなわち、システムの中で要求される可能性があるRATのサブセット)を包含しなければならない。グローバルフラグは、マルチRATシステムのRATの内のいずれかのRATから情報が受信されるとすぐさま、単一のRAT情報が記憶されることなしに、直接に再コンパイルされることができる。あるいは、単一のRAT情報は、それを使用して、対応したローカルフラグを維持管理することができる(マルチRATシステムのそれぞれのRATに対して、1つのローカルフラグを主要なRATの中に保持することができる)。
【0049】
あるいは、主要なRATが、グローバルフラグに加えて、マルチRATシステムのそれぞれのRATに対するローカルフラグも保持する場合には、グローバルフラグは、要求に応じて再コンパイルされてもよい。この場合、ローカルフラグは、対応したRATから負荷情報が得られる度ごとに更新することができる。グローバルフラグは、RATに対するローカルフラグに基づいて、周期的に、またはイベントによって起動された後にコンパイルすることができる。ローカルフラグによって表される状態のセットは、全てのRATに対して同一であってよい。この場合であっても、同一の状態は、異なるRATの具体的な技術に依存して、異なるRATの中では異なるように定義することができる。ローカルのグローバル状態に対する状態のセットが一致する場合には、グローバルフラグは、全てのローカルフラグにわたる論理積演算(または論理的「AND」)の結果として求めることができる。
【0050】
図8は、マルチRATシステムの各RATに関連したリソース状態情報を取得するための典型的な処理を示す。図8の典型的な処理は、典型的な実施形態におけるLTERAT140−1のeNodeB160によって実施することができ、この典型的な実施形態では、LTERAT140−1はマルチRATシステムの主要なRATとして行動する。他の実施形態においては、図8の典型的な処理は、LTERAT140−1における他のノード、またはネットワーク130の他のRAT(例えば、WCDMARAT140−2またはGSMRAT140−3)における他のノードの中で実施することができる。
【0051】
典型的な処理は、マルチRATシステムの各RATに対するリソース状態情報の取得から開始することができる(ブロック800)。リソース状態取得ユニット605は、140−1から140−NまでのRATの内の各RATに関連したリソース状態情報を得ることができる。このようなリソース状態情報は、例えば、以下のものを含むことができる。これらは、各RATにおけるアクティブなセッションまたは呼の総数、各RATにおけるアクティブな無線ベアラの数、各RATにおけるサービスタイプ(例えば、狭帯域サービス、広帯域サービス、実時間サービス、非実時間サービス等)ごとのアクティブな呼の数、各RATにおける呼設定要求の集計した数、各RATにおける呼終了メッセージジの集計した数、各RATにおけるサービスタイプごとの呼設定要求の数、または、各RATにおけるサービスタイプごとの呼終了メッセージジの数である。
【0052】
取得したリソース状態情報は、マルチRATシステムのRATのノードの中に収集することができる(ブロック810)。例えば、LTERAT140−1のeNodeB160のリソース状態取得ユニット605は、取得したリソース状態情報を収集してメモリの中に記憶することができる。ローカルフラグは、それぞれの各RATに対して取得したリソース状態情報に基づいてマルチRATシステムの各RATに対して更新することができる(ブロック820)。フラグ保持ユニット610は、取得ユニット605によって得られた各RATに対するリソース状態情報を解析することができ、また、それぞれの各RATに対するローカルフラグのビットを設定することができる。例えば、所与のRATに対して得られたリソース状態情報が、そのRATは現在トラフィックによって過負荷になっているということが示された場合には、フラグ保持ユニット610は、ローカルフラグを1つの値(例えば、「011」)に設定して、全てのサービス要求は拒否されるべきであることを示すことができる。
【0053】
グローバルフラグは、収集したリソース状態情報に基づいて、および/または各RATに対するローカルフラグに基づいて、マルチRATシステムに対して更新することができる(ブロック830)。1つの実施形態においては、フラグ保持ユニット610は、RATのそれぞれに対するローカルフラグを使用して、グローバルフラグのビットを設定することができる。別の実施形態においては、フラグ保持ユニット610は、取得ユニット605によって得られた各RATに対するリソース状態情報を直接に解析して、そのリソース状態情報に基づいてグローバルフラグのビットを設定することができる。例えば、図7のグローバルフラグ700を参照すれば、リソース状態情報の解析が、140−1から140−NまでのRATの内の1つ以上のRATが現在全てのサービスタイプを扱うことができると示す場合には、フラグ700は、「000」720という値に設定して、全てのサービス要求は受け入れられるであろうことを指示することができる。
【0054】
図9は、1つの典型的な処理を示す。これは、総合的なリソースの利用可能性を判定し、判定した総合的なリソースの利用可能性に基づいてマルチRATシステムの中でアドミッション制御を実行するための処理である。図9の典型的な処理は、典型的な実施形態におけるLTERAT140−1のeNodeB160によって実施することができ、この典型的な実施形態では、LTERAT140−1はマルチRATシステムの主要なRATとして行動する。他の実施形態においては、図9の典型的な処理は、LTERAT140−1における他のノード、またはネットワーク130の他のRAT(例えば、WCDMARAT140−2またはGSMRAT140−3)における他のノードの中で実施することができる。
【0055】
典型的な処理は、UEに関連したベアラ要求の受信(ブロック900)から開始することができる。図10に示すように、UE110に対して呼を接続しようとする試み、またはセッションを確立しようとする試みに関連したベアラ要求1000は、UE110に関連したMME180に(例えば、S−GW170を介して)サービス層から転送することができる。ベアラ要求1000は、アドミッション制御嗜好インジケータ(admission control preference indicator)および/またはRAT選択嗜好インジケータ(RAT selection preference indicator)を含むことができる。AC嗜好インジケータは、UEがMRACを経験することを嗜好するか、またはMRACを回避することを望むかを指示することができる。AC嗜好インジケータは、MRACを経験するか否かを選択する際の柔軟性をUEユーザに対して提供する。RAT選択嗜好インジケータは、RAT選択および再指向がベアラ要求に対して受け入れ可能であるか否かを指示することができる。これらのユーザ嗜好に対するシステム事業者の制御は、例えば、柔軟な課金ポリシーによって実行することができる。AC嗜好インジケータおよびRAT選択嗜好インジケータは、UEおよびユーザに対して完全に透明であってよい。ベアラ要求1000の受信に基づいて、MME180は、ベアラ設定要求1005をeNodeB160に転送することができる。ベアラ設定要求1005は、AC嗜好インジケータおよび/またはRAT選択嗜好インジケータを含む。
【0056】
ベアラ要求に関連したUEがアドミッション制御を回避することを嗜好するか否かに関する判定を行うことができる(ブロック910)。eNodeB160は、受信したベアラ設定要求(例えば、ベアラ設定要求1005)を検閲して、AC嗜好インジケータが、対応したUEがアドミッション制御を回避することを嗜好するということを指示しているか否かを判定することができる。もし指示しているのであれば(YES−ブロック910)、アドミッション制御を実行せずに複数のRATの内から1つのRATを選択することができる(ブロック920)。eNodeB160のAC嗜好インジケータに関する検閲が、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好していると識別した場合には、1つの典型的な実施形態では、UEはアドミッション制御を実行せずにアクセスすることを許容されることができる。別の典型的な実施形態では、eNodeB160のAC嗜好インジケータに関する検閲によって、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好していると識別された場合には、eNodeB160は、RAT選択嗜好インジケータを検閲して、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能であるか否かを識別することができる。RAT再選択が受け入れ可能である場合には、eNodeB160は、UEからの呼/セッション要求を扱うために、140−1から140−NまでのRATの内のいずれかのRATを選択することができる。RAT選択嗜好インジケータに従って、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能でない場合には、UEに対してはデフォルトのRATを選択することができる。図10は、eNodeB160で受信されるベアラ設定要求1005を示す。eNodeB160は、ベアラ設定要求1005からのAC嗜好インジケータおよびRAT選択嗜好を検閲して、UEがアドミッション制御を回避することを嗜好するか否かを判定することができる。AC嗜好インジケータが、UEはアドミッション制御を回避することを嗜好すると識別している場合には、eNodeB160は、MRAC1010をスキップして、無線ベアラ設定メッセージ1015をUE110に送信することにより、アクセス許容処理を続行することができる。
【0057】
UEがアドミッション制御を回避することを嗜好しない場合には(NO−ブロック910)、グローバルフラグまたは複数のローカルフラグに基づいて、複数のRATにわたる総合的なリソースの利用可能性を判定することができる(ブロック930)。eNodeB160は、AC嗜好インジケータを検閲して、UEがアドミッション制御を回避しないことを嗜好するか否かを識別することができる。AC嗜好インジケータが、UEはアドミッション制御を回避することを嗜好しないということを指示する場合には、eNodeB160のリソースの利用可能性評価装置630は、フラグデータベース620からグローバルフラグまたは複数のローカルフラグを検索することができる。検索されたグローバルフラグのビット値を検閲することにより、リソースの利用可能性評価装置630は、アドミッション制御の判定という形でマルチRATシステムのリソースの利用可能性状態を識別することができる。例えば、グローバルフラグ700が値「001」730を指示している場合には、リソースの利用可能性評価装置630は、広帯域GBRサービスに関連したサービス要求に対してアドミッション制御を実行するべきであると判定することができる。
【0058】
アドミッション制御は、複数のRATにわたって判定したリソースの利用可能性に基づいて、UEに対して、選択的に実行する、または実行しないとすることができる(ブロック940)。グローバルフラグ(またはローカルフラグ)によって識別されたリソースの利用可能性に基づいて、複数のアドミッション制御行動を実行することができる。グローバルフラグの検閲によって識別されたアドミッション制御行動は、以下のものを含むことができる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0059】
a)全てのサービスの無条件な受け入れ、
b)広帯域保証ビットレート(GBR:guaranteed bit rate)サービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、
c)広帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、狭帯域GBRサービスの条件付き受け入れ、および他の全てのサービスの無条件な受け入れ、または、
d)全てのサービスの無条件な拒否。
【0060】
複数のRATにわたって判定したリソースの利用可能性に基づいて、UEにサービスを提供するRATを複数のRATから選択することができる(ブロック950)。eNodeB160はRAT選択嗜好インジケータを検閲して、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能であるか否かを識別することができる。RAT再選択が受け入れ可能である場合には、eNodeB160は、UEからの呼/セッション要求を扱うために、140−1から140−NまでのRATの内のいずれかのRATを選択することができる。これは、呼/セッション要求の内容(例えば、ベアラ設定要求)に基づいて、および判定したリソースの利用可能性に基づいて行う。RAT選択嗜好インジケータに従って、このUEに対してRAT再選択が受け入れ可能でない場合には、UEに対してデフォルトのRATを選択することができる。図10は、eNodeB160で受信されるベアラ設定要求1005を示す。eNodeB160は、ベアラ設定要求1005からのRAT選択嗜好を検閲して、無線ベアラ設定メッセージ1015をUE110に送信することにより、アクセス許容処理を続行することができる。図10に更に示すように、eNodeB160およびUE110は、無線ベアラ設定確立1020を共同で行うことができる。無線ベアラ確立1020に引き続いて、UE110は、無線ベアラ設定応答1025をeNodeB160に返送して、無線ベアラ設定の確立を確認することができる。次に、eNodeB160は、ベアラ設定応答メッセージ1030をMME180に返送して、無線ベアラ設定を確認することができる。MME180は、ベアラ応答メッセージ1035を、サービス層を介して、例えば、適切なS−GW170に更に送信することができる。
【0061】
実施形態に関するこれまでの記述は、例示と説明とを提供するものであるが、網羅的であることを意図するものではなく、また本発明をここに開示した厳密な形に限定することを意図するものでもない。上記の教示に照らして、変更および変形が可能であり、または本発明を実行する上で変更および変形を行うことができる。例えば、図8および図9に関しては、一連のブロックが記述されているが、他の実施形態においてはブロックの順序を変更することができ、これは本発明の原理と矛盾するものではない。更に、他のブロックに依存していないブロックは、並行して実行することができる。本明細書にはマルチ周波数のマルチRAT(MFMRAT:multi−frequency multi−RAT)システムに関して典型的な実施形態が記述されているが、この典型的な実施形態は、マルチ周波数および単一周波数のマルチRATシステム、およびマルチ周波数の単一RATシステムに適用することもできる。本明細書に記述した実施例では、LTEシステムがマルチRATシステムの主要なRATとして仮定されている。しかしながら、ネットワーク130の中の任意のRATをマルチRATシステムの主要なRATとして実施することができ、従って、任意のRATはシステム全体を代表して、提案しているMRAC方式を実行することができる。リソース状態情報を得るために層にまたがる通信を使用すること、およびリソース状態情報を保持するためにグローバルフラグを使用することはまた、マルチRATのアドミッション制御に加えて、またはその代わりに、負荷分散の中で使用するように適合させることもできる。
【0062】
本発明の視点はまた、方法および/またはコンピュータプログラムによって実行することができる。従って、本発明はハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)の中に組み込むことができる。さらに、本発明はコンピュータが使用可能なまたはコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の上のコンピュータプログラムの形を取ることができ、コンピュータプログラムは、命令実行システムによって、またはそれらとともに使用するための、これら媒体の中に組み込まれた、コンピュータが使用可能なまたはコンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する。本明細書に記述した実施形態を実施するのに使用するための実際のソフトウェアコードまたは特化された制御ハードウェアは、本発明を限定するものではない。従って、実施形態の動作および特性は具体的なソフトウェアコードを参照せずして記述されている。これは、通常の当業者であれば、ソフトウェアおよび制御ハードウェアの設計を行い、本明細書の記述に基づいた視点を実施することが可能であろうと理解されるからである。
【0063】
さらに、本発明のある部分は、1つ以上の機能を実行する「論理」として実施することができる。この論理は、ASIC(application secific integrated circuit)またはFPGA(field programmable gate array)等のハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含むことができる。
【0064】
本発明の特徴の特定の組み合わせが、特許請求の範囲の中で挙げられ、および/または明細書の中で開示されているが、これらの組み合わせは本発明を限定することを意図するものではない。事実、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲の中で挙げた、および/または明細書の中で開示した、具体的な様式とは異なる様式で組み合わせることが可能である。
【0065】
「備える/備えている」という用語は、これらをこの明細書の中で使用する場合には、言及する特徴、数値、ステップ、構成要素、またはグループの存在を規定するものであるが、1つ以上の他の特徴、数値、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないという点が強調されるべきである。
【0066】
本出願の中で使用する、いずれの要素、行為、または命令も、本発明にとって決定的または必須なものであると明白に記述していない限り、本発明にとっては決定的または必須なものではないと解釈されるべきである。また、本明細書において使用する、冠詞「a」は、1つ以上の項目を含むと意図される。1つの項目を意図する場合には、「1つの(one)」という用語または同様の言語を使用している。更に、「に基づいて」という表現は、明白に他様に述べていない限り、「少なくとも部分的に基づいて」いることを意味することを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線アクセス方式(RAT)のシステムに対応したノードにおいて実行される方法であって、
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を取得するステップと、
アドミッション制御または負荷分散の少なくとも何れかで使用可能な前記リソースステータス情報に基づいて、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記無線アクセス方式に関連したリソースの全体での利用可能性を示すフラグを維持管理するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フラグは、前記システムにおける全体でのリソースの利用可能性を示す予め定義された状態のセットに関連付けられており、前記利用可能性を示す状態はアドミッション制御の決定の観点から定義された状態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利用可能性を示す状態は、
i)すべてのサービスについて無条件で許可すること、
ii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、狭帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iv)すべてのサービスについて無条件で拒否すること
のうち少なくとも1つのアドミッション制御による決定を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フラグの内容に基づいてシステムアクセス要求に対するアドミッション制御を実行するステップをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ユーザ装置(UE)からサービス要求を受信するステップと、
前記フラグの内容に基づいて前記ユーザ装置を取り扱うために前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の1つを選択するステップと
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ装置がアドミッション制御手続を回避することを嗜好しているかどうかを示すインジケータを前記サービス要求が含んでいるかを判定するステップをさらに有し、
前記複数の無線アクセス方式のシステムにアドミッション制御を実行するか実行しないかはさらに前記サービス要求に含まれている前記インジケータに基づいて決定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フラグの内容に基づいて前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける複数の無線アクセス方式にわたって呼の負荷分散を実行するステップをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての総数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記リソースステータス情報は、各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方の数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、無線ベアラのタイプごとの呼設定要求と、無線ベアラのタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記リソースステータス情報を取得するステップは、
クロスレイヤー通信を使用して前記呼設定要求および呼終了メッセージのうち一方または両方に関連したプロトコル情報を追跡するステップを含むことを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式は、複数の周波数を使用するか、単一の周波数を使用する無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を再取得するステップと、
再取得された前記リソースステータス情報に基づいて前記フラグを更新するステップと
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記フラグは、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける2つまたは複数の無線アクセス方式に関連付けられたリソースの利用可能性を示していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の無線アクセス方式のシステムは、2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式は、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
広帯域符号分割多元接続(WCDMA)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
汎用地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
高速パケットデータ(HRPD)システムと、
移動体通信用グローバルシステム(GSM)と、
cdma2000システムと
のうち2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の一部は、同一の場所に設置された複数の基地局により利用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の一部は、単一の基地局により利用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
複数の無線アクセス方式(RAT)を使用するシステムにおけるノードであって、
前記システムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を取得するリソースステータス取得ユニットと、
取得された前記リソースステータス情報に基づいて、前記システムにおける前記無線アクセス方式に関連したリソースの利用可能性を示すフラグを維持管理する維持管理ユニットと、
前記フラグの内容に基づいて、システムアクセス要求についてアドミッション制御を実行するか、前記システムにおける前記複数の無線アクセス方式にわたってシステムアクセス要求の負荷分散を実行する1つ以上のユニットと
を有することを特徴とするノード。
【請求項20】
前記フラグは、前記システムにおける全体でのリソースの利用可能性を示す予め定義された状態のセットに関連付けられており、前記利用可能性を示す状態はアドミッション制御の決定の観点から定義された状態であることを特徴とする請求項19に記載のノード。
【請求項21】
前記利用可能性を示す状態は、
i)すべてのサービスについて無条件で許可すること、
ii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、狭帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iv)すべてのサービスについて無条件で拒否すること
のうち少なくとも1つのアドミッション制御による決定を含む
ことを特徴とする請求項20に記載のノード。
【請求項22】
ユーザ装置(UE)から前記システムアクセス要求の1つを受信する手段と、
前記フラグの内容に基づいて、前記ユーザ装置にサービスを提供する、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の1つを選択する無線アクセス方式選択ユニットと
をさらに有することを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項23】
前記ユーザ装置がアドミッション制御手続を回避することを嗜好しているかどうかを示すインジケータを前記システムアクセス要求の1つが含んでいるかを判定する手段をさらに有し、
前記システムにアドミッション制御を実行することはさらに前記システムアクセス要求の1つに含まれている前記インジケータに基づいて決定されることを特徴とする請求項22に記載のノード。
【請求項24】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、呼設定要求と呼終了メッセージとのうち一方または両方についての総数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項25】
前記リソースステータス情報は、各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方の数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項26】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、無線ベアラのタイプごとの呼設定要求と、無線ベアラのタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項27】
前記リソースステータス取得ユニットは、
前記リソースステータス情報を取得するときに、
クロスレイヤー通信を使用して前記呼設定要求および呼終了メッセージのうち一方または両方に関連したプロトコル情報を追跡する
ことを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載のノード。
【請求項28】
前記システムは、2つまたはそれ以上の異なる無線アクセス方式を有していることを特徴とする請求項19に記載のノード。
【請求項29】
前記2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式は、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
広帯域符号分割多元接続(WCDMA)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
汎用地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
高速パケットデータ(HRPD)システムと、
移動体通信用グローバルシステム(GSM)と、
cdma2000システムと
のうち2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含むことを特徴とする請求項28に記載のノード。
【請求項30】
前記システムは、複数の周波数を使用する単一の無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項20ないし29のいずれか1項に記載のノード。
【請求項31】
前記システムは、単一の周波数を使用する単一の無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項20ないし29のいずれか1項に記載のノード。
【請求項1】
複数の無線アクセス方式(RAT)のシステムに対応したノードにおいて実行される方法であって、
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を取得するステップと、
アドミッション制御または負荷分散の少なくとも何れかで使用可能な前記リソースステータス情報に基づいて、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記無線アクセス方式に関連したリソースの全体での利用可能性を示すフラグを維持管理するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フラグは、前記システムにおける全体でのリソースの利用可能性を示す予め定義された状態のセットに関連付けられており、前記利用可能性を示す状態はアドミッション制御の決定の観点から定義された状態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利用可能性を示す状態は、
i)すべてのサービスについて無条件で許可すること、
ii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、狭帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iv)すべてのサービスについて無条件で拒否すること
のうち少なくとも1つのアドミッション制御による決定を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フラグの内容に基づいてシステムアクセス要求に対するアドミッション制御を実行するステップをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ユーザ装置(UE)からサービス要求を受信するステップと、
前記フラグの内容に基づいて前記ユーザ装置を取り扱うために前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の1つを選択するステップと
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ装置がアドミッション制御手続を回避することを嗜好しているかどうかを示すインジケータを前記サービス要求が含んでいるかを判定するステップをさらに有し、
前記複数の無線アクセス方式のシステムにアドミッション制御を実行するか実行しないかはさらに前記サービス要求に含まれている前記インジケータに基づいて決定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フラグの内容に基づいて前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける複数の無線アクセス方式にわたって呼の負荷分散を実行するステップをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての総数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記リソースステータス情報は、各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方の数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、無線ベアラのタイプごとの呼設定要求と、無線ベアラのタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての数を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記リソースステータス情報を取得するステップは、
クロスレイヤー通信を使用して前記呼設定要求および呼終了メッセージのうち一方または両方に関連したプロトコル情報を追跡するステップを含むことを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式は、複数の周波数を使用するか、単一の周波数を使用する無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を再取得するステップと、
再取得された前記リソースステータス情報に基づいて前記フラグを更新するステップと
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記フラグは、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける2つまたは複数の無線アクセス方式に関連付けられたリソースの利用可能性を示していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の無線アクセス方式のシステムは、2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式は、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
広帯域符号分割多元接続(WCDMA)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
汎用地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
高速パケットデータ(HRPD)システムと、
移動体通信用グローバルシステム(GSM)と、
cdma2000システムと
のうち2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の一部は、同一の場所に設置された複数の基地局により利用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の一部は、単一の基地局により利用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
複数の無線アクセス方式(RAT)を使用するシステムにおけるノードであって、
前記システムにおける各無線アクセス方式に関連付けられたリソースステータス情報を取得するリソースステータス取得ユニットと、
取得された前記リソースステータス情報に基づいて、前記システムにおける前記無線アクセス方式に関連したリソースの利用可能性を示すフラグを維持管理する維持管理ユニットと、
前記フラグの内容に基づいて、システムアクセス要求についてアドミッション制御を実行するか、前記システムにおける前記複数の無線アクセス方式にわたってシステムアクセス要求の負荷分散を実行する1つ以上のユニットと
を有することを特徴とするノード。
【請求項20】
前記フラグは、前記システムにおける全体でのリソースの利用可能性を示す予め定義された状態のセットに関連付けられており、前記利用可能性を示す状態はアドミッション制御の決定の観点から定義された状態であることを特徴とする請求項19に記載のノード。
【請求項21】
前記利用可能性を示す状態は、
i)すべてのサービスについて無条件で許可すること、
ii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iii)広帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、狭帯域でビットレートを保証された(GBR)サービスについて条件付きで許可すること、および、他のすべてのサービスについて無条件で許可すること、
iv)すべてのサービスについて無条件で拒否すること
のうち少なくとも1つのアドミッション制御による決定を含む
ことを特徴とする請求項20に記載のノード。
【請求項22】
ユーザ装置(UE)から前記システムアクセス要求の1つを受信する手段と、
前記フラグの内容に基づいて、前記ユーザ装置にサービスを提供する、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける前記複数の無線アクセス方式の1つを選択する無線アクセス方式選択ユニットと
をさらに有することを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項23】
前記ユーザ装置がアドミッション制御手続を回避することを嗜好しているかどうかを示すインジケータを前記システムアクセス要求の1つが含んでいるかを判定する手段をさらに有し、
前記システムにアドミッション制御を実行することはさらに前記システムアクセス要求の1つに含まれている前記インジケータに基づいて決定されることを特徴とする請求項22に記載のノード。
【請求項24】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、呼設定要求と呼終了メッセージとのうち一方または両方についての総数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項25】
前記リソースステータス情報は、各無線アクセス方式ごとに、サービスタイプごとの呼設定要求と、サービスタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方の数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項26】
前記リソースステータス情報は、前記複数の無線アクセス方式のシステムにおける各無線アクセス方式ごとに、無線ベアラのタイプごとの呼設定要求と、無線ベアラのタイプごとの呼終了メッセージとのうち一方または両方についての数を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項27】
前記リソースステータス取得ユニットは、
前記リソースステータス情報を取得するときに、
クロスレイヤー通信を使用して前記呼設定要求および呼終了メッセージのうち一方または両方に関連したプロトコル情報を追跡する
ことを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載のノード。
【請求項28】
前記システムは、2つまたはそれ以上の異なる無線アクセス方式を有していることを特徴とする請求項19に記載のノード。
【請求項29】
前記2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式は、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
広帯域符号分割多元接続(WCDMA)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
拡張進化型汎用地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)のFDDシステムと、
汎用地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)の時分割複信(TDD)システムと、
高速パケットデータ(HRPD)システムと、
移動体通信用グローバルシステム(GSM)と、
cdma2000システムと
のうち2つまたはそれ以上のそれぞれ異なる無線アクセス方式を含むことを特徴とする請求項28に記載のノード。
【請求項30】
前記システムは、複数の周波数を使用する単一の無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項20ないし29のいずれか1項に記載のノード。
【請求項31】
前記システムは、単一の周波数を使用する単一の無線アクセス方式システムを含んでいることを特徴とする請求項20ないし29のいずれか1項に記載のノード。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−511863(P2012−511863A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540656(P2011−540656)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051433
【国際公開番号】WO2010/068155
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051433
【国際公開番号】WO2010/068155
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
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