説明

網戸用自走防止装置

【課題】網戸18の開閉操作性を低下させる事なく、この網戸18が閉鎖位置から開放方向へと移動する事を、長期間に亙り安定して防止できる構造を実現する。
【解決手段】網戸18を構成する竪框31aの戸先側端部に、屋内外方向に配置された係止片42を有する網戸側係止部材34を支持固定する。又、縦枠21aの屋外側端部に設けられた屋外側壁76に対して、屋内外方向に配置された受片64を有する窓枠側可動受部材35を、ガイド部材37を利用して、上記屋外側壁76に沿った上下方向に関する移動のみ可能に支持する。これにより、上記窓枠側可動受部材35を上方或いは下方に移動させる事で、上記係止片42に対して上記受片64を、水平方向に係合させる状態と係合しない状態とに切り替え可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の網戸用自走防止装置は、窓枠に対し水平移動自在に建て込まれた網戸が、強風時等に、閉鎖位置から開放方向に移動する事を防止する為に利用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種建造物の窓開口を開閉する為の窓装置として、窓枠内に建て込んだ引戸障子を水平移動させる引戸式の窓装置が、広く知られている。又、虫の侵入防止を図りつつ風通しを確保する等の目的から、窓枠内に建て込まれた引戸障子の屋外側に網戸を建て込む事も、広く一般的に行われている。
【0003】
従来から一般的に使用されている網戸は、アルミニウム合金製の網戸枠に、合成樹脂製或いは金属製の網を張着して成るもので、軽量である。この為、開閉方向への移動には大きな力を要せずに済む。又、近年、網戸の下辺を構成する下框に、窓枠を構成する下枠に形成された網戸用下部案内レール上を走行可能な戸車を設ける等、網戸の開閉方向への移動をより小さな力で行える様にする為の各種構造も採用されている。
【0004】
ところが、上述の様に、網戸の開閉方向への移動には大きな力を要しない為、この網戸を開閉する者の負担は小さく済む反面、強風時等に、網戸に開放方向に向いた力が作用すると、この網戸が閉鎖位置から開放方向に移動(自走)し、閉塞状態を保てなくなる可能性がある。例えば、台風の接近時や高層マンション等の高層建造物では、この様な問題が生じ易くなる。
【0005】
この様な事情に鑑みて、例えば特許文献1には、網戸が閉鎖位置から開放方向に移動する事を防止する為に、窓枠と網戸との間に網戸用自走防止装置を設ける事が提案されている。図33は、特許文献1に記載された従来構造の網戸用自走防止装置1を示している。この網戸用自走防止装置1は、窓枠2を構成する縦枠3に支持固定された雄具4と、網戸5を構成する竪框6に支持固定された雌具7とから構成される。
【0006】
このうちの雄具4は、合成樹脂製で、上記縦枠3に対して1対のねじ8、8により支持固定された取付部9と、この取付部9から上記窓枠2の中央側に向けて突出する係合突起部10とを備える。又、この係合突起部10の先端部には、略菱形状の係合頭部11が形成されている。
【0007】
一方、上記雌具7は、上記竪框6に対して1対のねじ12、12により支持固定された取付部13と、全体形状が略く字形で、この取付部13にその基部を支持された板バネ製の弾性把持部14と、この弾性把持部14の先端部にそれぞれ回転自在に支持された1対のローラ15、15とを備える。
【0008】
そして、上述の様な構成を有する従来構造の網戸用自走防止装置1の場合、上記網戸5を閉鎖位置に迄移動させた際に、上記窓枠2に取り付けられた上記雄具4と、この網戸5に取り付けられた上記雌具7とを弾性的に係合させる。具体的には、この雄具4を構成する係合突起部10の係合頭部11を、上記雌具7を構成する1対のローラ15、15の間部分に押し付け、これら両ローラ15、15を介して、上記弾性把持部14を先端部同士の間隔が大きくなる様に弾性変形させる。そして、上記両ローラ15、15を回転させつつ、上記係合頭部11をこれら両ローラ15、15同士の間を通過させる。その後、上記弾性把持部14の弾性復元力により、上記係合突起部10の基端部を上記両ローラ15、15を介して弾性的に挟持する。
【0009】
上述の様に作動する従来構造の網戸用自走防止装置1によれば、強風時等に於いても、上記雄具4と上記雌具7との弾性的な係合により、上記網戸5が閉鎖位置から開放方向に移動する事を防止できる。但し、上記網戸用自走防止装置1の場合には、長期間に亙る使用により、上記網戸5の閉鎖位置からの移動を十分には防止できなくなる可能性がある。即ち、上記網戸用自走防止装置1の場合には、上記網戸5の閉鎖位置からの移動を防止する為に、上記弾性把持部14の弾力を利用している。この為、長期間に亙る使用によって、上記網戸5の開閉回数(弾性把持部14を弾性変形させる回数)が多くなると、上記弾性把持部14がへたり、この弾性把持部14に所期の弾力を発揮させる事が難しくなる。そして、この弾性把持部14の弾力が小さくなると、強風時等に、上記網戸5に加わる開放方向への力によって、上記雄具4と上記雌具7との係合が外れ、この網戸5が閉鎖位置から開放方向へと移動(自走)する可能性がある。尚、この様な問題を解消すべく、上記弾性把持部14の弾性係数を高くして、この弾性把持部14の弾力を大きくする事も考えられる。但し、この場合には、上記網戸5を閉鎖位置から開放する際の初期動作に要する力が過大になるだけでなく、この網戸5を開放位置から閉鎖する際の終期動作に要する力も過大になり、この網戸5の開閉操作性が低下すると言った新たな問題を招く。又、上記網戸用自走防止装置1の場合には、上記網戸5を一旦閉鎖させると、開放方向への移動防止が常に図られる為、この網戸5の開閉動作を繰り返す場合等には、この網戸5を開閉する者の負担が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭57−54573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、網戸の開閉操作性を低下させる事なく、この網戸が閉鎖位置から開放方向へと移動する事を、長期間に亙り安定して防止できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の網戸用自走防止装置は、窓枠に対し水平移動自在に建て込まれた網戸が、閉鎖位置から開放方向へと移動する事を防止するものである。
特に、本発明の網戸用自走防止装置は、網戸側係止部材と、窓枠側可動受部材と、ガイド部材とを備える。
このうちの網戸側係止部材は、上記網戸を構成する竪框の戸先側端部に支持固定され、その一部に屋内外方向に配置された係止片を有する。
又、上記窓枠側可動受部材は、操作部と、本体部とを組み合わせて成る。
このうちの操作部は、断面略コ字形で、屋内側に配置された屋内板部と、屋外側に配置された屋外板部と、これら屋内、屋外両板部の一端縁同士を連結する連結板部とから成り、上記窓枠を構成する縦枠の屋外側端部に設けられた屋外側壁を覆う状態で設けられている。又、上記操作部を構成する屋内板部と屋外板部との屋内外方向に整合する部分には、それぞれ上下方向に長いガイド長孔が形成されている。
又、上記本体部は、上記屋外側壁と上記操作部を構成する屋外板部との間に挟持され、この屋外板部に対し上下方向に関する相対変位を不能に係合された基板部と、屋内外方向に配置された受片とを有する。又、この基板部のうちで、上記両ガイド長孔と屋内外方向に整合する部分には、上下方向に長い長孔若しくは切り欠きが形成されている。
又、上記ガイド部材は、上記屋外側壁に対して上下方向及び上記網戸の開閉方向(面内方向)に関する相対変位を不能に支持されている。そして、上記ガイド部材のうちで、上記屋外側壁の屋内側面から突出する状態で設けられた屋内側ガイド部を、上記屋内板部に形成されたガイド長孔に係合させると共に、上記屋外側壁の屋外側面から突出する状態で設けられた屋外側ガイド部を、上記基板部に形成された長孔若しくは切り欠き及び上記屋外板部に形成されたガイド長孔にそれぞれ係合させる事で、上記窓枠側可動受部材を上記屋外側壁に沿った上下方向に関する移動(スライド)のみを可能に支持案内している。
そして、本発明の網戸用自走防止装置は、上記網戸を閉鎖位置に迄移動させた状態で、上記窓枠側可動受部材を上方或いは下方に移動させる事によって、この窓枠側可動受部材を構成する本体部に設けられた受片を、上記網戸側係止部材を構成する係止片に対して、水平方向に係合させる状態と、係合させない状態とに切り替え可能としている。
【0013】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、例えば請求項2に記載した発明の様に、上記操作部を構成する屋外板部の上下両端部に、先端側に向かう程板厚が小さくなる方向に傾斜した傾斜面をそれぞれ設ける。
【0014】
又、好ましくは、例えば請求項3に記載した発明の様に、上記操作部を構成する屋内板部に、屋内側に突出する屋内側摘み部を設ける。
【0015】
更に、好ましくは、例えば請求項4に記載した発明の様に、上記本体部を、カバー部材により覆う。そして、このカバー部材の一部に、この本体部を屋外側から上下方向に移動させる為の屋外側摘み部を設ける。
【発明の効果】
【0016】
上述の様に構成する本発明によれば、網戸の開閉操作性を低下させる事なく、この網戸が閉鎖位置から開放方向に移動(自走)する事を長期間に亙り安定して防止できる。
即ち、本発明の網戸用自走防止装置の場合には、前述した従来構造の場合の様に、長期間に亙る使用によって係合状態が変化(係合力が低下)する弾性部材を利用した弾性的な係合ではなく、それぞれが屋内外方向に配置された係止片と受片との機械的な水平方向の係合により、網戸が閉鎖位置から開放方向に移動する事を防止する。この為、強風時等に於いても、網戸の閉鎖位置からの移動を長期間に亙り安定して防止できる。
しかも、本発明の網戸用自走防止装置によれば、窓枠側可動受部材を上方或いは下方に移動させる事によって、上記受片と上記係止片とが係合する状態(ロック状態)と係合しない状態(ロック解除状態)とを、必要に応じて切り替えられる。この為、台風の接近等に伴い強風が吹く可能性がある場合等、網戸の閉鎖位置からの移動を防止したい場合にのみ、上記受片と上記係止片とを係合させ、それ以外の場合には、これら受片と係止片とを係合しない様にする事ができる。従って、網戸の閉鎖位置からの移動防止を図れる構造を、網戸の開閉操作性を低下させる事なく、しかも、網戸を開閉する者の負担を大きくする事なく実現できる。
【0017】
又、前述した請求項2に記載した発明によれば、網戸を構成する竪框の屋内側面にその基部を支持した虫除けシールの先端縁を、屋外側壁に当接(摺接)させる構成を採用した場合にも、この屋外側壁に窓枠側可動受部材を設けた事に起因して、上記虫除けシールの性能を低下させる事を防止できる。即ち、この虫除けシールの先端縁を上記両傾斜面にそれぞれ当接させる事により、この虫除けシールの先端縁と、上記窓枠側可動部材及び上記屋外側壁の屋外側面との間に、虫の侵入経路となり得る隙間が形成される事を有効に防止できる。従って、上記虫除けシールの性能を低下させる事を防止できる。
【0018】
又、前述した請求項3に記載した発明によれば、屋内側摘み部を手指により摘んで、窓枠側可動受部材を屋内側から操作できる為、この窓枠側可動受部材の屋内側からの操作性を向上できる。更に、前述した請求項4に記載した発明によれば、上記窓枠側可動受部材を構成する本体部と接触して手指等を損傷する事を防止できる。又、カバー部材に設けた屋外側摘み部を手指により摘んで、上記窓枠側可動受部材を屋外側から操作できる為、この窓枠側可動受部材の屋外側からの操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、網戸用自走防止装置を組み込んだ引戸式窓装置を建造物の屋外側から見た略正面図。
【図2】図1のA−A断面に相当する図。
【図3】図2のB部拡大図。
【図4】網戸用係止部材を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)。
【図5】同じく斜視図。
【図6】網戸に対する網戸用係止部材の取付手順を説明する為に示す斜視図。
【図7】窓枠側可動受部材を構成する操作部を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)、背面図(C)、左側面図(D)、右側面図(E)。
【図8】同じく図7の(A)のC−C断面図。
【図9】同じく図7の(A)のD−D断面図。
【図10】同じく斜視図。
【図11】窓枠側可動受部材を構成する本体部を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)、右側面図(C)。
【図12】同じく斜視図。
【図13】カバー部材を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)、左側面図(C)。
【図14】同じく斜視図。
【図15】ガイド部材を構成するガイド受板を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)、左側面図(C)。
【図16】同じくガイド筒を取り出して示す正面図(A)、平面図(B)。
【図17】縦枠に対する窓枠側可動受部材とガイド部材と組み付け構造を説明する為に示す分解斜視図。
【図18】縦枠に対する窓枠側可動受部材とガイド部材との組み付け手順を説明する為に示す斜視図。
【図19】窓枠側可動受部材とガイド部材とを組み合わせた状態で示す、正面図(A)、平面図(B)、背面図(C)、左側面図(D)、右側面図(E)。
【図20】網戸用自走防止装置を屋内側斜め上方且つ縦枠の内側面側から見た状態で示す斜視図。
【図21】同じく屋外側斜め上方且つ縦枠の外側面側から見た状態で示す斜視図。
【図22】同じく屋外側斜め上方且つ縦枠の内側面側から見た状態で示す斜視図。
【図23】同じく屋内側斜め上方且つ縦枠の外側面側から見た状態で示す斜視図。
【図24】同じく屋内側斜め下方且つ縦枠の内側面側から見た状態で示す斜視図。
【図25】同じく屋外側斜め下方且つ縦枠の外側面側から見た状態で示す斜視図。
【図26】同じく屋外側斜め下方且つ縦枠の内側面側から見た状態で示す斜視図。
【図27】同じく屋外側斜め下方且つ縦枠の外側面側から見た状態で示す斜視図。
【図28】窓枠側可動受部材を上限まで移動させた状態(A)と、下限まで移動させた状態(B)を、それぞれ竪框の戸先側から見た状態で示す図。
【図29】本発明の実施の形態の第2例を示す、図3に相当する図。
【図30】本発明の実施の形態の第3例を、窓枠側可動受部材を縦枠に対して取り付けた状態で示す断面図。
【図31】同じく本体部を省略して窓枠側可動受部材を屋外から見た状態を示す図。
【図32】同じく本体部を取り出して屋内側から見た状態を示す図。
【図33】従来構造の網戸用自走防止装置を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態の第1例]
図1〜28は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、窓枠16の内側に、1対のガラス障子17a、17b(外障子17a、内障子17b)を水平移動自在に引き違い式に建て込むと共に、網戸18を水平移動自在に建て込んでいる。
【0021】
このうちの窓枠16は、上辺を構成する上枠19と、下辺を構成する下枠20と、左右の縦辺を構成する縦枠21a、21bとにより、矩形に構成している。又、上記各ガラス障子17a、17bは、それぞれの上辺を構成する上框22a、22bと、同じく下辺を構成する下框23a、23bと、それぞれが左右の縦辺を構成する竪框である、召し合わせ框24a、24b及び突き合わせ框25a、25bとにより、ガラスパネル26a、26bの四辺を囲んで成る。
【0022】
又、上記網戸18は、矩形枠状の網戸枠27と、この網戸枠27に張付された網28とを有する。このうちの網戸枠27は、上辺を構成する上框29と、下辺を構成する下框30と、左右の縦辺を構成する竪框31a、31bとから成る。又、これら各框29、30、31a、31bは、それぞれアルミニウム合金の一体押し出し成形材製である。又、上記網28は、合成樹脂(熱可塑性樹脂)製或いは金属製である。
【0023】
上記網戸18は、上記上框29の上面に開口した図示しない上部案内溝内に、上記上枠19の屋外側端部下面に形成された網戸用上部案内レール32を係合させると共に、上記下框30にその長さ方向に離隔して設置された図示しない1対の戸車を、上記下枠20の屋外側端部上面に形成された網戸用下部案内レール33に係合させている。これにより、上記網戸18を、上記窓枠16に対し水平移動自在に建て込んでいる。
【0024】
特に本例の場合には、上述の様にして、上記窓枠16に対し水平移動自在に建て込まれた網戸18と、この窓枠16を構成する縦枠21aとの間部分に、網戸用自走防止装置1aを設けている。そして、強風時に於いても、上記網戸18が閉鎖位置から開放方向へと移動する事を防止(閉塞状態を確保)できる様にしている。
【0025】
上記網戸用自走防止装置1aは、網戸側係止部材34と、窓枠側可動受部材35と、カバー部材36と、ガイド部材37とを備える。このうちの網戸側係止部材34は、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に打ち抜き、折り曲げ形成したもので、図4〜5に示した様に、矩形板状の取付板部38と、略L字形(鉤形)の係止部39とから成る。この取付板部38には、長さ方向(組み付け状態での上下方向)に離隔した状態で、1対の取付孔40、40が形成されている。又、上記係止部39は、上記取付板部38の長さ方向中間部の幅方向一端縁部から、この取付板部38に対してほぼ直角方向に立設された張出板部41と、この張出板部41の先端部からほぼ直角方向に(屋外側に向けて)折れ曲がった係止片42とから成る。
【0026】
そして、本例の場合には、上述の様な構成を有する上記網戸側係止部材34を、上記網戸18を構成する竪框31aの上下方向中央部のうちの戸先側端部に支持固定している。この為に本例の場合には、図6に示した様に、上記竪框31aの戸先側の見込壁43に、上下方向に離隔した1対の通孔44を形成している。そして、これら各通孔44内に、戸先側からポップナット45、45を挿入し、これら各ポップナット45、45の中間部を径方向外方に鍔状に塑性変形(屈曲変形)させて、これら各ポップナット45、45を上記各通孔44内に固定する。その後、上記取付板部38に形成した取付孔40、40を挿通した取付ねじ46、46を、上記各ポップナット45、45に対して螺合し更に締め付ける。これにより、上記係止片42を屋内外方向(図2、3の上下方向)に配置した状態で、上記網戸側係止部材34を上記竪框31aの上下方向中央部に支持固定する。尚、本例の場合には、上記各取付孔40、40を上下方向に長い長孔としている為、上記網戸18(見込壁43)に対する上記網戸側係止部材34の取付位置を上下方向に調整する事ができる。
【0027】
前記窓枠側可動受部材35は、操作部47と、本体部48とを組み合わせて成る。このうちの操作部47は、合成樹脂を射出成形する事により造られており、図7〜10に示した様に、断面略コ字形で、屋内側に配置された屋内板部49と、屋外側に配置された屋外板部50と、これら屋内、屋外両板部49、50の一端縁同士を連結する連結板部51とから成る。そして、上記操作部47のうちで、上記各板部49〜51により三方を囲まれる部分を、案内凹部52としている。
【0028】
又、上記屋内板部49と上記屋外板部50とのうちで、屋内外方向に互いに整合する部分に、それぞれガイド長孔53a、53bを形成している。これら両ガイド長孔53a、53bのうち、上記屋内板部49に形成されたガイド長孔53aは、長矩形状で、後述する屋内側摘み部56の一部を切り欠いた状態で形成されている。又、上記ガイド長孔53aの長さ方向(組み付け状態での上下方向)中央部の互いに対向する内側面には、内側に向けて僅かに突出した半円柱状の係合突起54、54がそれぞれ形成されている。これに対して、上記屋外板部50に形成されたガイド長孔53bは、長円形状(小判形状)である。又、この屋外板部50の外側面(屋外側面)のうちで、上記ガイド長孔53bの開口縁部には、このガイド長孔53bを全周に亙り囲む状態で、ガイド凹溝55が形成されている。
【0029】
又、上記屋内板部49の幅方向他端側半部には、板厚方向(組み付け状態での屋内側)に膨出する状態で、正面視略コ字形状(断面略台形状)の屋内側摘み部56が設けられている。又、上記屋外板部50の内側面(屋内側面)には、外側面側に凹んだ係合凹部57が形成されている。この係合凹部57は、上記屋外板部50の幅方向に関して上記連結板部51とは反対側に開口している。又、この屋外板部50の外側面のうちの長さ方向(上下方向)両端部には、先端側に向かう程板厚が小さくなる方向に傾斜した傾斜面部58a、58bがそれぞれ形成されている。又、上記屋外板部50と上記連結板部51との連続部(折れ曲がり部)には、この連結板部51側に向かう程この屋外板部50の板厚が小さくなる方向に傾斜した傾斜面部58cが形成されている。
【0030】
一方、前記本体部48は、アルミニウム合金の一体押し出し成形材製であり、図11〜12に示した様に、係合基板部59と、持出板部60と、略L字形(鉤形)の受部61とから成る。このうちの係合基板部59は、上記屋外板部50の内側面に形成された係合凹部57に対して、がたつきなく係合可能な外面形状を有するもので、本例の場合には矩形状である。又、上記係合基板部59には、上記屋外板部50に形成されたガイド長孔53bと同形状の(幅寸法及び長さ寸法がほぼ等しい)係合長孔62が形成されている。
【0031】
又、上記持出板部60は、上記係合基板部59の幅方向一端縁部からほぼ直角に(屋外側に向けて)折れ曲がる状態で設けられている。又、上記受部61は、上記持出板部60の長さ方向(組み付け状態での上下方向)中間部の幅方向一端縁部から、この持出板部60に対してほぼ直角方向に(網戸18側に向けて)立設された張出板部63と、この張出板部63の先端部からほぼ直角方向に(屋内側に向けて)折れ曲がった受片64とから成る。尚、上記本体部48としては、アルミニウム合金の一体押し出し成形材製のもの以外にも、例えばステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に打ち抜き、折り曲げ形成したものを使用する事もできる。
【0032】
本例の場合には、上述の様な構成を有する上記本体部48を、図13〜14に示した様な、カバー部材36により覆っている。このカバー部材36は、合成樹脂を射出成形する事により造られており、側面視略T字形で、基部65と、張り出し部66と、屋外側摘み部67とから成る。このうちの基部65は、上下両端部及び先端部をそれぞれ180度折り返して成る係止爪68、68により、上記本体部48のうちの持出板部60に対して上下方向及び板厚方向に関する相対変位を不能に係合し、この持出板部60の先半部(屋外側半部)を覆う。又、上記張り出し部66は、上記基部65に対して直角方向に伸長する状態で形成されており、上記本体部48のうちの張出板部63の屋外側面及び上下両側面を覆う。又、上記屋外側摘み部67は、上記基部65の先端部(組み付け状態での屋外側端部)から膨出する状態で形成されており、組み付け状態での上下方向両端部には、手指を掛けるのに利用可能な、凹曲面部69、69が設けられている。
【0033】
前記ガイド部材37は、矩形板状のガイド受板70と、1対のガイド筒71a、71bと、1対のガイドねじ72a、72bとを一体に連結する事により構成している。このうちのガイド受板70は、図15に示す様に、ステンレス鋼板等の金属製で、矩形板状である。又、このガイド板部70の長さ寸法L70は、上記屋内板部49に形成したガイド長孔53aの長さ寸法L53a の1/2よりも僅かに小さい(2L70<L53a )程度であり、幅寸法は、このガイド長孔53aの幅寸法よりも僅かに小さく、且つ、前記両係合突起54、54の先端部同士の間隔よりも僅かに大きい。この様な寸法関係を有するガイド受板70には、幅方向中央部に長さ方向に離隔した状態で1対の通孔73、73が形成されている。又、これら両通孔73、73の内周面には雌ねじが形成されている。一方、上記両ガイド筒71a、71bは、図16に示す様に、単なる中空の円筒状で、ステンレス等の金属製であるが、例えばポリアミド樹脂等の滑り易い合成樹脂を射出成形する事により造られたものを使用する事もできる。又、上記各ガイドねじ72a、72bは、上記両ガイド筒71a、71bの内側を挿通自在な軸部74、74と、これら各軸部74、74の基端部に設けられた平皿状の頭部75、75とから成る。
【0034】
本例の場合には、前述の様な構成を有する窓枠側可動受部材35を、上述の様な構成を有するガイド部材37を利用して、前記窓枠16を構成する縦枠21aの屋外側端部に設けられた屋外側壁76に対して、この屋外側壁76に沿った上下方向に関する移動のみを可能に支持案内している。この為に本例の場合には、この屋外側壁76の上下方向中央部に、上記ガイド部材37を支持する為の、上下方向に離隔した1対の貫通孔77、77を形成している。これら各貫通孔77、77の内径寸法は、前記屋外板部50に形成されたガイド長孔53bの幅寸法、及び、前記係合基板部59に形成された係合長孔62の幅寸法と同じか僅かに大きく、上記各ガイド筒71a、71bの外径寸法よりも僅かに大きい(貫通孔77の内側でガイド筒71a、71bががたつかない程度に大きい)程度としている。
【0035】
そして、図18の(A)に示した様に、上記各貫通孔77、77を上記係合長孔62の内側に開口させた状態で、上記本体部48を構成する係合基板部59を、上記屋外側壁76の屋外側面に対して当接させる。そして、同図に矢印で示す様に、上記操作部47を、上記屋外側壁76に近づける方向に平行移動させる。これにより、この操作部47の案内凹部52の内側に、上記屋外側壁76及び上記係合基板部59を同時に進入させて、これら屋外側壁76及び係合基板部59を上記操作部47により覆う。この状態で、この係合基板部59が、上記屋外板部50の内側面に形成された係合凹部57に対し上下方向に関する相対変位を不能に係合する。又、上記屋内板部49に形成されたガイド長孔53a及び上記屋外板部50に形成されたガイド長孔53bの内側に、上記各貫通孔77、77がそれぞれ開口する。本例の場合には、この様にして、上記操作部47と上記本体部48とを組み合わせて窓枠側可動受部材35を構成するが、これら操作部47と本体部48とを予め別の場所で組み合わせて窓枠側可動受部材35を構成した後、上記屋外側壁76を覆う様に設ける事もできる。
【0036】
上述の様にして、上記屋外側壁76を覆う様に上記窓枠側可動受部材35を配置した後は、上記両ガイド筒71a、71bの屋内側半部を上記各貫通孔77、77内にそれぞれ挿通すると共に、上記両ガイド筒71a、71bの屋外側半部を上記係合長孔62及び上記ガイド長孔53bにそれぞれ係合させる(がたつきなく挿入する)。そして、上記ガイド受板70を、上記各通孔73、73と上記各貫通孔77、77とを整合させた状態で、上記ガイド長孔53aの内側に配置して、上記ガイド受板70の屋外側面を上記各ガイド筒71a、71bの先端面(屋内側端面)に当接させる。その後、上記各ガイドねじ72a、72bの軸部74、74を、上記各ガイド筒71a、71bの内側に屋外側から屋内側に挿入し、その先端部に形成された雄ねじ部を、上記各通孔73、73の内周面に形成された雌ねじ部に螺合し更に締め付ける。
【0037】
この様な構成により、上記両ガイド筒71a、71bと、これら両ガイド筒71a、71bと一体に構成された(連結された)上記ガイド受板70及び上記両ガイドねじ72a、72bとが(即ち、前記ガイド部材37が)、上記屋外側壁76に対して、上下方向及び前記網戸18の開閉方向に関する相対変位を不能に支持される。
【0038】
そして更に、上述の様に支持された上記ガイド部材37により、前記窓枠側可動受部材35が、上記屋外側壁76に沿った上下方向に関する移動(スライド)のみ可能に支持案内された状態となる。即ち、上記屋外側壁76の屋内側面から突出する状態で設けられた、特許請求の範囲に記載した屋内側ガイド部に相当する、上記ガイド受板70が、上記屋内板部49に形成されたガイド長孔53aに対して幅方向に関するがたつきなく係合し、この屋内板部49にこのガイド長孔53aの長さ方向に関する移動のみを許容する。一方、上記屋外側壁76の屋外側面から突出する状態で設けられた、特許請求の範囲に記載した屋外側ガイド部に相当する、上記両ガイド筒71a、71bの屋外側半部が、上記係合基板部59に形成された係合長孔62及び上記屋外板部50に形成されたガイド長孔53bに対して、やはり幅方向に関するがたつきなくそれぞれ係合し、上記係合基板部59及び上記屋外板部50に、上記各長孔62、53bの長さ方向に関する移動のみを許容する。この結果、上記窓枠側可動受部材35が、上記屋外側壁76に沿った上下方向に関する移動のみ可能に(屋外側壁76の幅方向に関する移動及び回転等を不能として)支持案内された状態となる。又、本例の場合には、上記両ガイド筒71a、71bの屋外側半部を、上記係合基板部59の係合長孔62に関しても係合させている為、前記操作部47と前記本体部48との分離防止を図れる。更に、本例の場合には、上記ガイド受板70と上記両ガイドねじ72a、72bの頭部75、75との間で、上記屋外板部50及び上記係合基板部59に上記屋外側壁76に向いた押し付け力を作用させている。この為、上記窓枠側可動受部材35が上記屋外側壁76に対して屋内外方向にがたつく事も有効に防止できる。但し、本例の場合には、上記窓枠側可動受部材35を上下方向に移動可能とすべく、上記本体部48を構成する係合基板部59の屋内側面と上記屋外側壁76の屋外側面との間に、僅かな隙間(例えば0.3〜0.4mm程度の隙間)を設けている。
【0039】
又、本例の場合、上記窓枠側可動受部材35の上下方向への移動量は、上記ガイド長孔53aの長さ寸法L53a と上記ガイド受板70の長さ寸法L70との差(L53a −L70、=ガイド長孔53b或いは係合長孔62の長さ寸法と、ガイド筒71aの上端縁からガイド筒部71bの下端縁までの長さ寸法との差)となる。具体的には、上記ガイド受板70の長さ寸法よりも僅かに短い程度となる。
【0040】
従って、本例の場合には、上述の様な上記窓枠側可動受部材35の上下方向に関する移動量を踏まえて、上記ガイド部材37と前記網戸側係止部材34との取付位置、並びに、前記係止片42と前記受片64の寸法等を規制している。特に、本例の場合には、上記窓枠側可動受部材35を、上下方向に関する中間位置(ガイド長孔53aの長さ方向中央にガイド受板70が位置する状態、ガイド長孔54bの長さ方向中央に頭部75、75の間部分が位置する状態)よりも上方に移動させた状態で、上記係止片42と上記受片64とが水平方向に対向しない状態となり、反対に、上記窓枠側可動受部材35を上下方向に関する中間位置よりも下方に移動させた状態で、上記係止片42と上記受片64とが水平方向に対向する状態となる様に、上記取付位置及び各部の寸法を規制している。そして、図28の(A)に示す様に、上記窓枠側可動受部材35を上限まで移動させた状態で、上記係止片42の上辺と上記受片64の下辺との間に大きな隙間を形成し、同図の(B)に示した様に、上記窓枠側可動受部材35を下限まで移動させた状態で、上記係止片42と上記受片64とをほぼ全面に亙り水平方向に対向させている。この様に、本例の場合には、上記窓枠側可動部材35を上限或いは下限に移動させた状態での、上記係止片42と上記受片64との係合状態を明確に異ならせている。この為、上記窓枠側可動部材35を操作した者の意図に反して、上記係止片42と上記受片64とが干渉する事を有効に防止できると共に、これら係止片42と受片64とを係合させる際には、係合代を十分に大きく確保して、この受片64を介して上記窓枠側可動部材35にモーメント力が加わる事を防止している。
【0041】
以上の様な構成を有する本例の網戸用自走防止装置1aによれば、前記網戸18の開閉操作性を低下させる事なく、この網戸18が閉鎖位置から開放方向へと移動(自走)する事を、長期間に亙り有効に防止できる。
即ち、本例の網戸用自走防止装置1aの場合には、前述した従来構造の場合の様に、長期間に亙る使用によって係合状態が変化(係合力が低下)する弾性部材(弾性把持部14)を利用した弾性的な係合ではなく、それぞれが屋内外方向に配置された上記係止片42と上記受片64との機械的な水平方向の係合により、上記網戸18が閉鎖位置から開放方向に移動する事を防止できる。この為、強風時等に於いても、この網戸18の閉鎖位置からの移動を長期間に亙り安定して防止でき、この網戸18の閉塞状態を十分に確保できる。
【0042】
しかも、本例の網戸用自走防止装置1aによれば、前記窓枠側可動受部材35を下方或いは上方に移動(スライド)させる事によって、上記受片64と上記係止片42とが係合する状態(ロック状態)と係合しない状態(ロック解除状態)とを、必要に応じて切り替えられる。この為、例えば台風の接近等に伴い強風が吹く可能性がある場合等、上記網戸18の閉鎖位置からの移動を防止したい場合にのみ、上記受片64と上記係止片42とを係合させ、それ以外の場合には、これら受片64と係止片42とを係合しない様にする事ができる。従って、上記網戸18の閉鎖位置からの移動防止を図れる構造を、この網戸18の開閉操作性を低下させる事なく、しかも、網戸18を開閉する者の負担を大きくする事なく実現できる。
【0043】
又、本例の場合には、図2〜3に示した様に、上記網戸18を構成する竪框31aの屋内側面にその基部を支持した虫除けシール78の先端縁を、上記屋外側壁76に当接(摺接)させる構成を採用した場合にも、この屋外側壁76に上記窓枠側可動受部材35を設けた事に起因して、上記虫除けシール78の性能を低下させる事を防止できる。即ち、この虫除けシール78の先端縁を、前記屋外板部50の上下両端部に形成した傾斜面部58a、58bにそれぞれ当接させる事により、この虫除けシール78の先端縁と、上記窓枠側可動受部材35及び上記屋外側壁76の屋外側面との間に、虫の侵入経路となり得る隙間が形成される事を有効に防止できる。又、上記屋外板部50と前記連結板部51との連続部に傾斜面部58cを形成している為、上記網戸18を開放位置から閉鎖方向に移動させる際の、上記虫除けシール78の先端縁の追従性を良好にできる。従って、本例の場合には、この虫除けシール78の性能低下を防止できる。
【0044】
又、本例の場合には、上記窓枠側可動受部材35の屋内側に設けられた前記屋内側摘み部56を手指により摘んで、この窓枠側可動受部材35を屋内側から操作できる為、この窓枠側可動受部材35の屋内側からの操作性を向上できる。更に、前記カバー部材36に屋外側摘み部67を設けている為、この屋外側摘み部67を手指により摘んで、上記窓枠側可動受部材35を屋外側からも操作する事ができる。この為、ベランダ等の屋外に出ている間に、屋内側から上記窓枠側可動受部材35を誤操作された場合にも、この窓枠側可動受部材35を屋外側から容易に操作する事ができて、上記網戸18を開放可能にする事ができる。又、本例の場合には、アルミニウム合金等の金属板より造られた前記本体部48を、合成樹脂製の上記カバー部材36により覆っている為、この本体部48に接触して手指等を損傷する事を有効に防止できる。
【0045】
更に、本例の場合には、上記窓枠側可動受部材35を上限まで上方に移動させた状態(受片64を係止片42から上方に大きく退避させた状態)で、前記ガイド長孔53aの内面に形成された前記両係合突起54、54と、前記ガイド受板70の上辺両端部とを係合させる事ができる。この為、上記窓枠側可動受部材35がその自重等により自然に下方へと移動し、この窓枠側可動部材35を操作した者の意図に反して、上記係止片42と上記受片64とが係合する事を有効に防止できる。反対に、上記窓枠側可動受部材35を下限まで下方に移動させた状態(受片64と係止片42とをほぼ全面に亙り対向させた状態)で、前記両係合突起54、54と、上記ガイド受板70の下辺両端部とを係合させる事ができる。この為、上記窓枠側可動受部材35に吹き付ける風等によって、この窓枠側可動受部材35が上方へと移動する事を有効に防止できる。更に、上記両係合突起54、54を設けた事によって、上記窓枠側可動受部材35を上方或いは下方へと移動させた際にクリック感(操作感)を得られる為、この窓枠側可動受部材35の操作感が良好になる。尚、本発明を実施する場合に、上述した説明とは反対に、上記窓枠側可動受部材35を下限まで移動させた(係合突起54、54とガイド受板70の下辺両端部とを係合させた)状態で、上記係止片42の下辺と上記受片64の上辺との間に大きな隙間を形成し、上記窓枠側可動受部材35を上限まで移動させた(係合突起54、54とガイド受板70の上辺両端部とを係合させた)状態で、上記係止片42と上記受片64とをほぼ全面に亙り水平方向に対向させる事もできる。
【0046】
[実施の形態の第2例]
図29は、やはり総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述した実施の形態の第1例の場合に比べて、網戸18aを屋内側に近付けて建て込んだ構造の引戸式の窓装置に、本発明を適用した場合に就いて示している。この様な本例の場合には、窓枠側可動受部材35aを構成する本体部48aとして、持出板部60aの持出量(屋内外方向に関する幅寸法)が、上記第1例の場合に比べて小さいものを使用している。
【0047】
又、本例の場合には、網戸側係止部材34を、竪框31aの見込壁43のうちの屋外寄り部分に支持固定している。そして、上記網戸18aを閉鎖位置に迄移動させた状態で、上記網戸側係止部材34を構成する張出板部41と、上記竪框31aの戸先側に設けられた屋内壁部79との間部分に、上記窓枠側可動受部材35aを構成する操作部47を、屋内側摘み部56を除いて進入させている。この様に、本例の場合には、上記竪框31aの戸先側部分のスペースの有効利用を図る事により、上記網戸18aを屋内側に近付けて配置した事に起因して、上記窓枠側可動受部材35aが設置できなくなる等の問題が生じる事を防止している。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
【0048】
[実施の形態の第3例]
図30〜32は、やはり総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、操作部47aを構成する屋外板部50aの屋外側面と、ガイドねじ72a、72bの頭部75、75との間に、略矩形板状の座板80を挟持している。この座板80には、上下方向に離隔した1対の通孔81が形成されており、これら各通孔81には、上記各ガイドねじ72a、72bの軸部74、74が挿通自在である。又、上記座板80の幅寸法は、上記屋外板部50aの屋外側面に形成されたガイド凹溝55の幅寸法よりも大きい。
【0049】
この様な本例の場合には、上記窓枠側可動受部材35bの組み付け状態で、上記座板80の屋内側面のうちの幅方向両側部分が、上記屋外板部50aの屋外側面のうちで、上記ガイド凹溝55の幅方向両側に外れた部分に対して、ほぼ全長に亙り当接する。この為、上記ガイドねじ72a、72bの頭部75、75のがたつきを有効に防止する事ができて、上記窓枠側可動受部材35bを構成する本体部48(48a)の係合基板部59を、上記操作部47aに対して、前述した実施の形態の1例及び第2例の場合に比べて、より強固に支持する事ができる。
【0050】
又、本例の場合には、上記係合基板部59の屋内側面の上下両端部(係合長孔62から上下に外れた部分)に、摩擦係数が低く摺動性能に優れた、摺動テープ82、82を貼着している。従って、上記窓枠側可動受部材35bを、縦枠21aを構成する屋外側壁76(図2、3等参照)に対して上下方向に移動させる際に、上記係合基板部59の屋内側面と上記屋外側壁76の屋外側面とが直接摺接する事を防止して、上記窓枠側可動受部材35bの操作性の向上を図れる(円滑な上下移動を実現できる)。又、不快な異音が発生する事を防止できると共に、上記係合基板部59の屋内側面と上記屋外側壁76の屋外側面とが損傷する事も有効に防止できる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
前述した実施の形態の各例では、網戸用自走防止装置を、窓枠を構成する片側の縦枠と、この縦枠に水平方向に対向する網戸を構成する竪框との間に設ける場合に就いて説明したが、本発明を実施する場合に、窓枠を構成する両側の縦枠と、網戸を構成する両側の竪框との間部分に、それぞれ網戸用自走防止装置を設ける事ができる事は言うまでもない。
【0052】
又、前述した実施の形態の各例では、窓枠側可動受部材を屋外側壁に対して上下方向に関する移動のみ可能に支持案内する為のガイド部材として、矩形板状のガイド受板を使用する場合に就いて説明したが、本発明を実施する場合に、このガイド受板の形状は、互いに平行な1対の直線部を有する長円形状等、上下方向に長いガイド長孔と係合する事により、上記窓枠側可動受部材を上下方向にのみ移動可能に案内できるものであれば良い。又、上記ガイド受板は合成樹脂製とする事も可能であり、その場合には、このガイド受板と1対のガイド筒とを一体に形成する事もできる。更に、窓枠側可動受部材に設ける1対のガイド長孔の形状は、前述した実施の形態の各例の場合の様に、互いに異なる形状としても良いし、同じとしても良い。又、上記窓枠側可動受部材の本体部を構成する係合基板部には、前述した実施の形態の各例の場合の様に、上下方向に長い係合長孔を形成しても良いし、上下方向に長い切り欠きを形成しても良い。
【符号の説明】
【0053】
1、1a 網戸用自走防止装置
2 窓枠
3 縦枠
4 雄具
5 網戸
6 竪框
7 雌具
8 ねじ
9 取付部
10 係合突起部
11 係合頭部
12 ねじ
13 取付部
14 弾性把持部
15 ローラ
16 窓枠
17a、17b ガラス障子
18、18a 網戸
19 上枠
20 下枠
21a、21b 縦枠
22a、22b 上框
23a、23b 下框
24a、24b 召し合わせ框
25a、25b 突き合わせ框
26a、26b ガラスパネル
27 網戸枠
28 網
29 上框
30 下框
31a、31b 竪框
32 網戸用上部案内レール
33 網戸用下部案内レール
34 網戸側係止部材
35、35a、35b 窓枠側可動受部材
36 カバー部材
37 ガイド部材
38 取付板部
39 係止部
40 取付孔
41 張出板部
42 係止片
43 見込壁
44 通孔
45 ポップナット
46 取付ねじ
47、47a 操作部
48、48a 本体部
49 屋内板部
50、50a 屋外板部
51 連結板部
52 案内凹部
53a、53b ガイド長孔
54 係合突起
55 ガイド凹溝
56 屋内側摘み部
57 係合凹部
58a〜58c 傾斜面部
59 係合基板部
60、60a 持出板部
61 受部
62 係合長孔
63 張出板部
64 受片
65 基部
66 張り出し部
67 屋外側摘み部
68 係止爪
69 凹曲面部
70 ガイド受板
71a、71b ガイド筒
72a、72b ガイドねじ
73 通孔
74 軸部
75 頭部
76 屋外側壁
77 貫通孔
78 虫除けシール
79 屋内壁部
80 座板
81 通孔
82 摺動テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に対し水平移動自在に建て込まれた網戸が、閉鎖位置から開放方向へと移動する事を防止する為の網戸用自走防止装置に於いて、
網戸側係止部材と、窓枠側可動受部材と、ガイド部材とを備え、
このうちの網戸側係止部材は、上記網戸を構成する竪框の戸先側端部に支持固定され、その一部に屋内外方向に配置された係止片を有するものであり、
上記窓枠側可動受部材は、操作部と、本体部とを組み合わせて成るもので、このうちの操作部は、断面略コ字形で、屋内側に配置された屋内板部と、屋外側に配置された屋外板部と、これら屋内、屋外両板部の一端縁同士を連結する連結板部とから成り、上記窓枠を構成する縦枠の屋外側端部に設けられた屋外側壁を覆う状態で設けられており、上記屋内板部と上記屋外板部との屋内外方向に整合する部分には、それぞれ上下方向に長いガイド長孔が形成されており、上記本体部は、上記屋外側壁と上記屋外板部との間部分に挟持され、この屋外板部に対し上下方向に関する相対変位を不能に係合された基板部と、屋内外方向に配置された受片とを有するものであり、この基板部のうちで上記両ガイド長孔と屋内外方向に整合する部分には、上下方向に長い長孔若しくは切り欠きが形成されており、
上記ガイド部材は、上記屋外側壁に対して上下方向及び上記網戸の開閉方向に関する相対変位を不能に支持されており、上記ガイド部材のうちで上記屋外側壁の屋内側面から突出する状態で設けられた屋内側ガイド部を、上記屋内板部に形成されたガイド長孔に係合させると共に、上記屋外側壁の屋外側面から突出する状態で設けられた屋外側ガイド部を、上記基板部に形成された長孔若しくは切り欠き及び上記屋外板部に形成されたガイド長孔にそれぞれ係合させる事で、上記窓枠側可動受部材を上記屋外側壁に沿った上下方向に関する移動のみを可能に支持案内しており、
上記網戸を閉鎖位置に迄移動させた状態で、上記窓枠側可動受部材を上方或いは下方に移動させる事によって、この窓枠側可動受部材を構成する本体部に設けられた受片が、上記網戸側係止部材を構成する係止片に対して、水平方向に係合する状態と係合しない状態とに切り替え可能とした事を特徴とする網戸用自走防止装置。
【請求項2】
操作部を構成する屋外板部の上下両端部には、先端側に向かう程板厚が小さくなる方向に傾斜した傾斜面がそれぞれ設けられている、請求項1に記載した網戸用自走防止装置。
【請求項3】
操作部を構成する屋内板部には屋内側に突出する屋内側摘み部が設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した網戸用自走防止装置。
【請求項4】
本体部がカバー部材により覆われており、このカバー部材の一部にこの本体部を屋外側から上下方向に移動させる為の屋外側摘み部が設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した網戸用自走防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate