説明

網膜造影デジタル処理デバイス

【課題】操作が簡単で患者に苦痛を与えず低電力で済む、コントラストがはっきりしたイメージが得られるデジタル造影装置を提供する。
【解決手段】携帯可能で軽量なデジタル造影装置は、スリット・スキャンニング構造を用いて、眼、特に網膜の影像を得る。この装置は、一時に照射されるターゲット領域(32)の量を減らすことで望ましくない光の散乱を減らし、よりはっきりしたコントラストの影像を得る。検出構造(38)が網膜面から送られる光を受け、造影する。該装置は、電池電源及び戸外又は室内光のような明るい周囲の状態のもとで操作できる。該装置は、非接触であり、眼の瞳孔を水滴で散乱させる必要がない。該装置は、救急要員、小児科医又は一般の開業医のような眼の専門家でない人でも使用できる。影像は、該装置で観察でき又は離れた位置へアナログ装置(44)を介して送ることができ、眼の前部又は他の小さな構造の影像も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の造影装置として構成された網膜造影デジタル処理デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の網膜は、レーザー光衝撃やその他のトラウマ並びに病気を含む種々の環境上の要因から損傷を受けやすい。一旦損傷すれば、光エネルギーを捉え、これを神経シグナルに変えるようにリスポンスする細胞は、再生されない。実際、網膜の神経細胞は、成人した人間にあっては、簡単に再生できるようになってはいない。損傷がひどい場合には、ある領域における視力を永久的に失ってしまう。健康的な光受容体は、損傷した網膜に置き換わるために損傷領域に向けて長い距離を移動することはしない。
【0003】
損傷した領域が中心窩として知られている黄斑であると、細かく見たり、速読したり、又は、遠くにある対象物を認識する能力を失なってしまう。視力の周辺領域では、これらのことを同程度に行うのに十分なサンプリング濃度を有していない。かくして、視力を奪ってしまうポテンシャルな損傷は、中央視力を保つために早期に検査・発見し、治療することが肝要である。
【0004】
早期に検査・発見する場合の主な問題点の一つは、網膜の僅かな部分において受像できない場合である。黄斑は、6000ミクロンという小さなターゲットになる。細かな観察をしたり、読んだりすることができなくなる損傷をみつけるのに必要な部分は、さらに小さく、約600ミクロンである。このような後者の部分を適確に検査し、その人が永久的に失明してしまう危険をもつか否かを調べるには、黄斑の中央20度にわたり十分に拡大し、コントラストをつけて画像にすることが望ましい。
【0005】
検眼鏡又は眼底カメラは、網膜を眺め、画像化するため用いられてきた。当所は、これらの器具で網膜に白色光をたっぷり照らしていた。次に用いられる器具は、特定の複数の組織又は複数の組織の間のコントラストを見たり又は画像化したりするのに適しているとされる選択的波長のものを用いていた。
【0006】
十分過ぎる照射によって網膜の複数のイメージを作るが、これらのものは、散乱させてしまう面組織の外からのみならず、特に網膜の内部及び近くの組織生物学的組織から長いレンジの散乱によりコントラストがつきにくくなってしまっている。照明源のスキャンニングは、望ましくない散乱を減らして複数のイメージにおけるコントラストを増すための周知の方法である。ウエッブ他は、ダブル・スキャンニング光学装置を開示しており、これは、回転多面多角形反射鏡のような水平スキャンニング要素と反射検流計のような垂直スキャンニング要素を用いて入射光と反射光の両者をスキャンするものである。この器具は、眼底の反射特性を表す二次元出力を与えることができる。米国特許第4,768,873号及び第4,764,005号を参照されたい。ウエッブ他は、レーザー・スキャンニング検眼鏡を開示しており、このものにおいては、眼をラインビームでスキャンしている。米国特許第4,768,874号を参照されたい。
【0007】
スキャンニングレーザー検眼鏡(SLO)での反射率計技術がエルスナー他により開示されている。例えば、Elsner A.E. 他によるReflectometry with ascanning laser ophtalmoscope, Applied Optics, Vol.31, No.19 (July 1992),pp.3697-3710を参照されたい。前記SLOは、反射率、即ち、量的イメージングにとって有利であり、眼底にわたりラスターパターンでスポット照射がスキャンされ、十分過ぎる照射にわたりイメージコントラストが大幅に改善される。望ましくない散乱光は、コントロール開孔を用いて、はねることができるようになっている。この装置は、所望のモードに応じて、直径又は環状の形態が変更できるサークルになっている。所望の光線(光)が検出器に送られる。
【0008】
照射源として、他の波長の光線又はカラーイメージの代わりに近赤外線光線を広く使用することがElsner A.E. 他、Infrared Imaging of Sub-retinal Structures in the Human Ocular Fundus, Vision Res., Vol. 36, No.1 (1996)pp.191-205; Multiply scatterd li: Vertical cavity surface emitting laserarray used for imaging subretinal structures, Laser and Light in Opthalmology,1988; Harnett,M.E. 及び Elsner,A.E., Characteristics of Exudative Age-related Macular Degeneration Determined In Vivo with Confocal and Indirect Infrared Imaging, Ophthalmology, Vol.103, No.1 (1996年1月), pp.58-71; 及びHartnett,M.E.他, Deep Retinal Vascukar AnomalousComplexes in Advanced Age-related Macular Degeneration, Ophthalmology, Vol. 103,No.12 (1996年12月) においてさらに論議されている。スキャンニングレーザー検眼鏡(SLO)での赤外線イメージングを用いて、反射率技術を行い、素早く、健康な組織を冒さないように検眼するようになっている。スキャンニングレーザー装置を装備すれば、眼底における網膜下組織を赤外線及び近赤外線イメージングすることにより網膜下沈殿、視神経乳頭、網膜血管、脈絡膜血管、液体蓄積、高色素沈着、萎縮及びブルック膜破壊が明らかにされる。赤外線光線は、可視光線よりも吸収されず、より長い距離にわたって散乱する。豊富な照射で、これらの特徴が同じ明瞭度又は少ないナバーでしか観察されなかった。比較的吸収されない点は、最低の光線(光)を照射源として使用できる利点がある。しかしながら、反射し、散乱した光線は、これをなんらかの手段で分割しなければならず、関心のある特徴を強調するために使用する光線は、ユーザーに利用できるものでなければならない。
【0009】
これらの特徴を発見し、局限する方法は、発明者と同業者の従来技術に記載されている:Elsner A.E.他, Infrared Imaging of Sub-retinalStructures in the Human Ocular Fundus, Vision Res., Vol.56, No.1 (1996)、 pp.191-205; Elsner A.E.他,Multiply scattered light tomography: Vertical cavity surface emitting laser array used for imaging subretinal structures , Laser and Light in Opthalmology, (1998); ; Elsner A.E.他,Foveal Cone Photopigment Distribution: Small Alterations Associated with Macular Pugment Distribution, Investigative Ophtalomology & Visual Science, Vol.39, No.12 (1998年11月), pp. 2394-2404; Hartnett,M.E. 及び Elsner, A.E., Characteristics of Exudative Age-related Macular Degeneration Determined In Vivo with Confocal and Indirect Infrared Imaging, Ophthalmology, Vol.103, No.1 (1996年1月), pp. 58-71及び Hartnett M.E.他, Deep Retinal Vascular Anomalopus Complexs in Advanced Age-related Macular Degeneration, Ophthalmology, Vol.103, No.12 (1996年12月), pp. 2042-2053 が例となる。特に、得られた網膜イメージが眼底の中心にある黄斑のみの場合、近赤外線光線の照射で示される唯一の特徴は、正常な網膜と脈絡膜血管及び網膜中心窩からのようなポテンシャルな見掛けの反射にしかすぎない。モノクロのイメージにおいては、イメージ明暗度においてのこれらの特徴からの相違が電子信号における固有のノイズを問題とせずに病状として翻訳処理される。視神経乳頭もまたイメージ内にあると、視野の十分の広さ又はこの特徴を組み込んだ前記器具に対する眼の位置決めのいずれかにより、そして、網膜の強度の変化がまた前記構造体の位置と状態を決める。1996年にHartnett 及びElsner、そして、2002年に三浦他により、赤外線照射を用いたモノクロ−ムのイメージがカラー写真技術よりも優れていることが示された。
Harnett,M.E. 及びElsner,A.E.,Characteristics of Exudative Age-related Macular Degeneration Determined In Vivo with Confocal and Indirect Infrared Imaging, Ophtalmology, Vol.103, No.1 (1996年1月), pp.58-71;M.Miura et al.,Grading of Infrared Confocal Scanning Laser Tomography and Vivo Displays of Digitize Color Slides in Exundative Age-Related Macular Degeneration, Retina, Vol. 22, No.3 (2002年), pp,300-308. 適度な値段ではなく、器具を単に使用して、この方法を操作することができる。
【0010】
近年の従来技術における網膜のイメージ形成器具は、フォトダイオード、光電子増倍管又は他のスポット検出器、即ち、シングルポイント検出を用いている。これまでに発表された網膜像形成(イメージング)装置においては、シングルスポット・ディテクタが上記の器具(Webb, 上記)における網膜面又は瞳孔面に光学的に配置されている(Van Norren)。 Norren,D. 及び J.van der Kraats, Acontinuously recording retinal densitometer, Vision Research 21 (1981年),pp.897-905。Koester et al. は、眼ならびに耳の角膜内皮細胞層の研究においてスリット・スキャンニングシステムを用いて共焦点顕微鏡を記載している。Koester,C.J. et al., Optical sectioning with the scanning slit confocal microscope : applications in ophtalmology and ear research, SPIE: New Methods inMicroscopy and Low Light Imaging, Vol. 1161 (1989年), pp.378-38。Koester,C.J.,Scanning mirror microscope with optical sectioning characteristics: applications in ophtalmologu, APPLIED OPTICS, Vol.19,No.11 (1980年6月1日), pp.1749-1757。
【0011】
スキャンニングレーザー検眼鏡(眼球内網膜用)は、診断室や研究所において検眼者又はその他の眼科専門家が使用するには大型で、高価な器具類である。このような設備は、この分野におけるスペッシャリストでない人や救急治療する人の使用に適していない。これまでは、交流電源及び複雑な同調回路が画像(イメージ)を形成し、得るために必要とされ、制御又は補助コンピュータシステムが一般的に必要とされている。これにより、重量、小形化及び電力の点で問題が生じている。欧州及びアメリカ合衆国の構成においては、220V電源に対し110V電源、50Hzに対し60Hzというように設計されるようになっている。さらに、ビデオ標準方式が国ごとに相違し、このため、ビデオレート・イメージングは、二組の回路セットを必要とすることから、より困難なものとなり、面倒なものになってしまう。当分野の人は、検眼鏡(眼球内網膜用)又は眼底カメラ器具のいずれかにより人間の網膜の像を見るようにしている。直接及び間接の検眼鏡(眼球内網膜用)の両者には、各眼の網膜黄斑を見るには、眼の下位専門分科の勉強をしていない医者では殆ど持ち合わせていない高度の熟練度が要求される。これらのイメージは、患者から離れていては見ることができず、したがって、熟練していない人による記述は、大抵の場合、どこかの専門家に伝えられることができるデータのみになってしまう。直接及び間接の検眼鏡(眼球内網膜用)は、記録し、時又は場所を変えて調べることができるイメージ(画像)を作り出すものではない。眼底カメラ装置は、調べた領域をフィルム記録したり、ディジタル記録できる;しかしながら、網膜を広い領域にわたり十分すぎるほどに照射する眼底カメラ装置では、コントラストがはっきりついたイメージを得ることは,稀である。訓練されていない人は、多くの場合、高品質のものを得ることができない。眼底カメラ及び検眼鏡(眼球内網膜用)の両者から得られる網膜のイメージの品質は、瞳孔の直径によるものであり、間接の検眼鏡(眼球内網膜用)及び多くの眼底カメラにおいて許容できるイメージを得るには、大きな直径の瞳孔が必要になる。拡張をほとんど又は全く必要としない散瞳性でない眼底カメラは、イメージを得るにはフラッシュ照射と比較的高価で感度が高い発見光線に依存している。これらの装置は、十分な照射を使用し、スキャンニング構造の光効率に依存しないものであるから、したがって、拡張薬が投薬されていない両眼の瞳孔が収縮してしまうようになる好ましくない明るい光線を用いての操作が一般的になっている。
【0012】
網膜のデジタル受像のために、今日まで商業的に開発されてきているこれらの装置類は、操作するには、専有されているソフトウエアを含むコンピュータシステムが必要になる。このような装置を操作することができるようになるには、エキスパートでない人には、かなりの訓練が必要になる。これらの装置からイメージデータを取得し、これを伝達するには、高度のコンピュータ技術が必要になる場合が多い。該データは、専有フィアルフォーマットに記録されることが多かったり、追加のソフトウエアが必要になるイメージの記録、処理又は伝達方法を必要とし、前記データは、別の患者のデータとは相異なるものである。これらのイメージを解読するには、さらなる訓練が要求されたり、これらイメージからのデータによっては、相談時間や訓練のために装置がある場所へ人を派遣する必要がしばしば生じる。
【0013】
現行のイメージング装置は、人によるデジタル補助、ワイヤレス伝達又はコンシュマー・デジタルカメラを使用のあちらこちらにある記憶装置には適していない。前記のようなイメージは、専有のソフトウエア又はフィルフォーマットを使用するとき、そのままでは伝達されず、共有の環境でラップトップ又はその他のコンピュータで使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、一般使用の“アイセンサー”として構成された装置に関するものであり、操作が簡単で、患者に苦痛を与えず、低電力で済むようになっている。この装置は、小形で、軽量であり、持ち運びでき、コントラストがはっきりしたイメージが得られる。この装置は、外傷性傷害の治療優先順位をきめるのに適しており、遠隔又はテレビ・電話などによる医療用途のために新しいコンピュータ技術と簡単にインターフェースできるようになっている。前記装置は、酷暑又は極寒にあっても、湿度が高くても、動く面にのっていても、そして、コードレスの態様でも操作できるようになっている。前記装置は、これまでのスキャンニングレーザー検眼鏡(眼球内網膜用)よりも大幅にコストダウンしての比較的安価に製造できるものである。
【0015】
前記装置は、照射源、スキャンニングアレンジメント、発見(検出)アレンジメント、ビーム分割アレンジメント及びコントローラを含んでいる。前記スキャンニングアレンジメントは、照射源からターゲットへ至る照射パスに配置され、例えば、網膜面のようなターゲットの所望の焦点面を例えば、瞳孔のような所望の焦点面例よりも狭い入口を介して通る照射パスにおけるスリットを通ってくる光線(光)をスキャンするようになっている。前記発見アレンジメントは、前記ターゲットから送られてくる光線を受けるように配置され、画像を作るようになっている。ビーム分割アレンジメントは、照射パスから分割された前記ターゲットからの戻りのパス上に配置され、前記ターゲットから送られてくる光線を受け、発見(検出)パスの送られてくる光線を前記発見(検出)アレンジメントへ向ける。前記ビーム分割アレンジメントは、前記照射パス及び前記戻りパスに対し十分空間をおいていて、所望の焦点面の外部の源からの反射がないようにし、十分に近接して十分所望の解像度の画像(イメージ)が得られるようになっている。前記コントローラは、前記照射源、前記スキャンニングアレンジメント及び前記発見(検出)アレンジメントと通じている。
【0016】
前記装置は、ハイエンドの装置のコストのほんの僅かなものである、そのの内の一つが近赤外線であることが好ましい一つ又はそれ以上の光源でのスキャンニングを特徴とする点で現在市販されている装置と相違している。前記装置は、ヂジタルカメラに使用されているようなオンボードのデジタルメモリー又は他の貯蔵装置を備えることができる。この装置は、スタンドアロンのものであって;好ましい実施の態様においては、パーソナルコンピュータでの前記装置の操作を必要としない。データは、これをコンピュータ、メモリーデバイス又は無線放映経由を含む他のデバイスへ送ることができる。ラップトップ及びコンシュマグレードのソフトウエアは、コンピュータを使用する場合には、前記画像(イメージ)にアクセスするために必要になるすべてである。
【0017】
前記装置は、重さを軽くし又は大きさを小さくでき、持ち運び可能なもので、特別の眼科医院及び研究所以外での使用に適している。可動部品類、特に、操作するのに電力が必要になるものは、用いられておらず、又は、最小限なものになっている。前記装置は、電池のみで操作できる。前記装置は、直流操作又は交流操作のいずれかを用いて遠隔アクセスのために動かすことができる。前記装置は、単一のケーブルで例えばコンピュータへ電力を供給できるようになっている。前記コンピュータは、ラップトップでよく、持ち運び可能な装置としての使用に合致している。
【0018】
本発明は、次の添付の図面を参考に考慮したとき、以下の記述を参照することによりより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】選ばれた組織及び、反射性が強く、より前部の光学面とは区別されるターゲット焦平面としての網膜面を示す眼の略図。
【図2】大要は、この発明による光学造影システムの略図。
【図3】一つのスキャンニング要素を組み込んだ、この発明の光学造影システムの一つの実施の態様を示す略図。
【図4】一つのスキャンニング要素を組み込み、該要素の三つの部分を利用する三つのスキャンニング事例をもつこの発明の光学造影システムの一つの実施の態様を示す略図。
【図5】照射光線の程度又は照度を調節する照射パスにおけるスリットの一つの実施の態様を示すと共に対となる光学面におけるターゲット焦点面における主たる光線を検出器に先立ちサンプリングしないようにする検出パスにおける焦点共有開孔を示す略図。
【図6】一つのスキャンニング要素に加え、図3の集束要素に一つの集束要素を付加し、レンズをもたないターゲットを造影するようにした光学造影システムの一つの実施の態様を示す略図。
【図7】一つのスキャンニング要素を組み込み、該要素の三つの部分を利用する三つのスキャンニング事例をもち、さらに、図4の集束要素に一つの集束要素を付加し、レンズをもたないターゲットを造影するようにした、この発明の光学造影システムの一つの実施の態様を示す略図。
【図8】伸縮可能又は折畳み可能なヘッドレスト又は顎当て及びアイピースをもつ、本装置のためのケーシングの略図。
【図9】一つの調節ボタン、LCDディスプレイ、目の位置を見るファインダー及びデータ移送媒体又はコネクタ類を位置させる接続口を示す、本装置のためのケーシングの略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、小形で、ポータブルの軽量なもので、眼10(図1)の網膜及び網膜下の層の異常を調べるのに特に適している安価な器具又は装置に関する。この装置は、非接触のもので、眼の瞳孔を希釈するための液を滴下する必要がない。図1を参照すると、網膜14のための装置の焦点面12は、光線(光)が量的に最大限に戻れるようになっている。人の網膜を像にとるには、照射源からの光線(光)をスリットに通して線源を作り、対象となる焦点面よりも細い眼の入射瞳孔16を通ってから眼の所望の焦点面をスキャンさせる。光線(光)は瞳孔の一つ又はそれ以上の部分に通され(模範例としての照射パス18を参照)、戻されて主な他の部分を経て集められるもので(模範例としての検出パス20を参照)、これは、水晶体24及び角膜26のような他の面22から反射された好ましくない光線(光)を集めなくするもので、この好ましくない光線(光)は、照射パスと検出パスとが一致していれば、同じ光軸上にあるものである。以下にさらに述べるターゲットへの照射光線(光)のスリットを経てのスキャンニングは、同時に照射するターゲット領域を減らし。これによって、近接している構造体及び離れている構造体の両者からの好ましくない散乱の量を減らすものであり、これは、前記構造体が前記スリットを経て照射される光線(光)で同時に照射されないからである。これによって、コントラストがはっきりした画像(イメージ)が得られる。所望の焦点面からの光線(光)は、集められ、電子フォーム又は磁気フォームの形でデジタル的に記憶され、そして/又は、必要に応じて離れた場所へ送られる。光学部品装置を小形化でき、前記装置は、直流電池電源で操作できる。主なコントロール装置は、少なく、単純で、主には、電源スイッチ、焦点を結ばせる機構及び照射源の光レベルの増減を行う機構である。
【0021】
図2は、この発明による光学画像形成(イメージング)システムの概略を図示したものである。一つ又はそれ以上のスキャンニング要素30でターゲット32へ光線(光)を当て、そして、いくつかの実施の態様にあっては、ターゲット32から光線(光)を受け、過分な照射の結果の望ましくない散乱光を減らすようになっている。このシステムには、符号34でひとまとめにして示す照射源とビームを形成する光学機器が含まれ、これらは、スキャンニング要素30に入光させ、ついで、この光線(光)をビーム分割要素36に通し、ついでターゲット32へ光線(光)を当てる。この装置のために意図したターゲットは、眼の中にあるが、他のターゲットにも、この装置を使用できる。ターゲット32における照射された部分から光線(光)が戻され、この光線(光)は、ビーム分割要素36を経て検出パスにそう略図で示す符号38の機器類へ送られ、ここでターゲットのイメージ(画像)が作られ、該イメージの捕捉又はイメージの記憶のために光エネルギーが電気又は磁気エネルギーに変換される。ついで、このイメージは、ディスプレイ40に表示され、そして/又は検出パス38にある部品類と通じている記憶装置42に記憶される。このイメージは、さらに、又は、別途、記憶媒体、ケーブル又は無線通信によりデータベース48又はディスプレイ、コンピュータ、パーソナルのデジタル補助装置又は他のデジタル又はアナログ装置44へ送られ、ターゲット32を調べることになる。
【0022】
略図的に符号46で示すコントロール電子機器類又は機械的調節機器類により、エンドユーザーが照射源34、スキャンニング要素30、検出パスにある機器類38、ディスプレイ40及びデータベース48並びにアライメント又はフォーカッシングモニター類、同期(同調)回路、有線又は無線方法を用いる送信、付加のイメージモニター類、イメージ捕捉又は記録装置及びこれらと相互に連結しているイメージ記憶装置類をコントロールできるようになっている。これら出来上がったイメージは、イメージデータのデータベース48へ供給されるか、又は、このデータベースに関係なく使用される。複数のイメージのデータベース48は、機器類44を介して前記ターゲットの状態又は健康度合いに関しての遠隔医療、トレーニング及び離隔教育のために使用できるもので、これは、この装置の使用者が方針決定者から離れた場所にいるか、又は、イメージを得るための技術又はこの種のイメージの解釈の技術に不慣れであるかであるからである。前記データベースは、また、標準データ、分類データ又は量的データ及び前記データの結果についての方針決定手順を包含することができる。
【0023】
分割要素36は、どのような分割要素でもよく、これは、図2に略示されているように、光線を分け、該光線をターゲット32へ向ける反射部分をもつ一方光線をより透過させて検出パス38へ向けるビームスプリッターのようなものでよい。前記ビーム分割器は、また、前記透過部分が前記ターゲットへ光線を分けるが前記ターゲットから戻る光線を反射させるように動作することができるようになっている。ビーム分割器によって、ターゲット32へ向かう光線と該ターゲットから戻る光線との間の空間的に重なる度合い及び同様に前記ターゲットへの入射瞳孔との空間的に重なる度合いがほとんどなく、これによって、前記ターゲットの面にはない反射面からの光線を殆ど集めなくなる利点がある。人間の眼がターゲット32であるとき、図1に関して上記したように、光線は、眼の瞳孔の一つの部分又は複数の部分から入光し、瞳孔の主たる他の部分から戻され、集められる。ビームセパレータ36は、一つ又はそれ以上の反射又は透過部分をもつ。これらの反射又は透過部分は、比較的永久性のリフレクタから作ることができ、さらにはまた、前記ターゲットへ向き、そして、戻る光線の偏光特性により光線を分割する要素から作ることができる。ミラービームスプリッタで、眼に入る光線(光)は、前記ビームスプリッタを経て透過率がより大幅に減り、眼から戻る光線(光)をより多く確保する。前記ビームスプリッタは、LCD、スペーシャルライトモジュレータ又は偏光要素のような既知の電子光学デバイスによりコントロールできる。偏光ビームスプリッタと共に偏光要素を追加使用し、先のセグメントからの望ましくない反射を減らすことができる。前記ビームセパレータは、機械的に配置の要素を使用でき、これによって、前記ターゲットへの、又は、前記ターゲットからの光線の位置又は量をコントロールすることができる。前記ビームセパレータは、反射要素又は透過要素を含むことができ、これらは、90/10ビームスプリッタのようなわずかに部分的に反射性のものである。前記ターゲットが人間の眼であるとき、好ましい実施の態様には、眼からの戻りが比較的少ない小形で強力な照射源34の使用が可能な分割要素が含まれる。
【0024】
図3は、一つの実施の態様を示すもので、この実施の態様においては、光線をターゲット52へ向けるがターゲット52から光線が戻らない単一のスキャンニング要素50がある構成グループが示されている。照射源54からの光線は、ビームシェーピングされ、スリット56においてターゲット52と結合する面に焦点を結ぶようになっている。このスリットは、図5により詳しく図示されている。(図3、図4において、前記スリット長い軸は、図の面に対し直交している)図3において、スリット56を通った光線は、焦点を結ばせる集束要素58によりスキャンニング要素50に当てられ、この要素は、回転又は揺動して、前記スリットの長さ方向軸に対し直交する方向に前記光線を前記ターゲットへシーケンシャルに反射する。スキャンニング要素50からの光線は、一つ又はそれ以上の焦点を結ばせる集束要素60へ向けられ、狭い角度の入口、例えば、瞳孔62を抜けてターゲット52、例えば、網膜面に焦点を結ぶ(図3において、入口と焦平面とは、略図的に示してある;詳しくは、図1を参照)。スリット56における光線は、ターゲット52に結合する光学面にある。スキャンニング要素50における光線は、入口62の狭い角度の面と対の光学面にある。焦点を結ぶ集束要素64は、軸方向に動いて、光線を前記ターゲット52に集束させることができるように取り付けられていることが好ましい。
【0025】
上記のように、前記スリット(及び、後記のように検出パスで再びスキャンニングする)を経て前記ターゲットを通る光線は、得られるイメージにおける望ましくない散乱光を減らすのに役立つ。前記スキャンニングは、色々な手段で行うことができる。例えば、ミラー構成体(コンポーネント)を回転又は揺動する要素、磁気デバイス、スプリング、トーションロッド、又は、ソレノイド又は重力でコントロールされたデバイスのような他の機械的にコントロールされるデバイスに取り付けることができる。このスキャンニング要素は、ボタン押し又はレバー押し、スライディングスイッチ、トグルスイッチ又は操作者によるノブ回転などのような適当な手段で動かすことができる。前記スキャンニング要素は、バッテリー作動の直流モータにより駆動されることが好ましく、これによって、価格が安く、持ち運び可能な装置にすることができる。
【0026】
前記ターゲット52から戻る光線は、ビーム分離要素66において前記ターゲットに当たる光線から分けられる。図3の実施の態様においては、前記分割要素は、鏡として図示されており、これは、照射パスにおけるターゲット52に向かう光線と交差しない。前記鏡は、戻りパスにあって、これと交差し、これによって、検出パスにあるターゲット52から戻る光線を検出器アレイ68へ反射させる。前記分離要素66は、また、ビームスプリッタでもよく、このビームスプリッタは、ターゲット52に照射された光線を前記ターゲットから戻る光線の透過部分で分割する反射部分をもつものか、又は、図2に関して述べた別の要素の組合せたものでもよく、これは、照射パスからの光線をターゲット52から戻る光線から分け、戻ってきた光線を検出パスへ向ける構成になっている。ターゲット52へ向かう光線を前記ターゲットから戻る光線から空間的に分けることにより、前記ターゲットの面にはない焦平面からの望ましくない直接の反射光線をビーム分割器66における空間的な重なり合いを最低限にすることでなくすことができる。前記ターゲットに関しては、前記戻り光線からの検出パスとは若干異なる位置から前記ターゲットに向け照射され、これによって、検出アスと照射パスとの間の重なりが最低限になり、これによって、前記ターゲットが網膜である場合(図1参照)人間の眼の角膜及び水晶体のような前記ターゲットにしばしば関連するようなものを含む光学要素による望ましくない反射をなくすことができる。
【0027】
前記分離要素66は、部分反射面又は全反射面になっていて、ターゲット52に向かう光線と交差しない。前記反射面は、鏡かビームスプリッタでよく、図示のように、反射部分は、ターゲットへ達する光線と交差しない。前記分離要素は、また、反射部分がターゲットへ達する光線と交差せず、透過部分がターゲットへ向かう光線の100%以下のものを反射する鏡を含むか、又は、透過部分がターゲットへ達する光線と交差し、反射部分が前記ターゲットからの光線を通すようになっている別の分離要素でもよい。
【0028】
望ましくない面からの光線(光)をさらに減らすには、ターゲット52からの検出パスにある光線(光)を集束要素(複数でもよい)70に通してから開孔72を通過させればよく、該開孔は、ターゲット52と対になる光学面にある。ついで、この光は、集束要素74,76を通過して二次元の検出アレイ68にイメージを形成する。この検出アレイは、CCD、CMOS、ビデオカメラ又はイメージを得るため及び/又はディスプレイするために光エネルギーを電子エネルギー又は磁気エネルギーに変換するアレイである。
図4は、この発明による光学イメージングシステムのさらなる実施の態様を示す。このシステムには、図1、図2に関して述べた基本要素が含まれ、ここにおいては、光源からの光線(光)は、スキャンニング要素を経てターゲットへ向かい、検出パスへ戻り、照射光と反射光は、分離要素で分離される。図4の実施の態様においては、照射源からの光線(光)は、検出アレイ80に達するまでに3回にわたりスキャンされる。第1のスキャンは、ターゲット82に達する前の照射アスにおいてである。次の2回のスキャンは、分離要素から検出器80屁の検出パスにおいてである。図4の実施の態様においては、スキャンニング要素84は、4つの反射面をもつ回転キューブとして図示されている。第1のスキャンニングは、第1の位置にあるスキャンニング要素84の一つの面を使用して行われ、次の2回のスキャンニングは、別の位置における前記スキャンニング要素の面を用いて行われるもので、すべての位置は、入射瞳と適宜光学的に対になっている面である。この実施の態様においては、前記スキャンニング要素84は、また、前記検出パスへの分離要素としても機能する。
【0029】
図4に図示の実施の態様には、ターゲット82へ入射光を向ける照射源86,88,90が含まれている。イメージング(像を作ること)は、1,2,3又はそれ以上のソースをもつデバイスで行われ、各ソースは、異なる波長、増加したパワー又は異なる偏光特性のようなユニークで便宜がよい特性を与えるものである。照射源のすべては、コントロール電子機器46(図2参照)によってコントロールされ、例えば、以下に述べるように電源のオン・オフを行って照射源を点灯し続けたり、又は、点滅させたり、或は、光線(光)の照度を調節する。各照射源からの光線(光)に対しては、前記光学イメージングシステムにおける付随の要素に達する前にビームシェーピングを行うことができる。
【0030】
前記照射源からの光は、鏡92,94,96で曲げられ、ついで、ビーム・コンバイニング(ビーム合流)要素98,102を介して一つの光束にまとめられる。これらの要素は、反射性及び透過性要素でよかったり;照射源86,88,90の波長の相違を利用する二色性鏡でもよかったり;又は、これら鏡は、照射源86,88,90の偏光特性により反射したり、透過させたりすることができるようになっている。光線(光)が合流(コンバイン)されることで、この実施の態様では、一対のビーム・コンバイニング(組合せ)要素により各照射源を隣合わせに組み合わせる:鏡であるといった第1の要素が方向を定め、第2の要素が二つのビームをまとめ、さらに、一方又は他方のビームの方向を定める。図示の実施の態様においては、照射源90からの光線(光)は、ビームを曲げる鏡96とビーム・コンバイニング要素102により照射源86,88からの主のビームに合流する。前記複数のコンバイニング要素の位置は、光学的配置を簡単にするというものよりも前記装置の設置スペースが最低限にするように配慮されている。
【0031】
前記複数の照射源からの光線(光)の照度は、連続して観察するための既存の技術についで認可されたFDA規準から下のレベルに下げるようにするなど所望に応じて適宜の手段でコントロールできる。例えば、図4において、照射源86,88からの光線(光)は、密度がニュートラルのフィルターのような光学要素でよい照度コントロール要素104により調節される。光線(光)の照度は、機械的にもコントロールでき、この場合にあっては、図3のスリット56又は図4のスリット106が機械的にコントロールできる可変のスリット又は紅彩絞りになる。(例えば、図5の要素は、照射パスにおけるスリットになり、このスリットの幅が図示矢印のように増減する)。前記照射コントロール装置は、このように、ねじを指で回すなどして、機械的に又は電子的に操作できる。光線(光)の照度は、また、図4に104で示した位置における偏光要素で増減できる。多くの光学面が104と対になりコントロールすべき光線を適宜平行にするが、光線照度調節を別の光学要素に先立って行えば、前記装置における望ましくない散乱の量を減らすことができる。照射光線の照度を調節する第4の方法は、例えば、図2に示したようなコントロール電子器具からの電子制御の使用であり、該コントロール電子器具は、前記光源又は照度コントロール要素と通じていて、電力、電圧又は電流を調節するようになっている。ディテクタゲイン・コントロールは、同じように、コントラストの増減に使用できる。
【0032】
図4に示すような3つの照射源を使用する模範的な実施の態様においては、照射源86は、543nm のHeNeレーザーであり、照射源88は、830nm のダイオードレーザーであり、照射源90は、850nm の垂直キャビティ型面発光レーザー(ヴァーチカル・キャビティ・サーフェース・エミッティング・レーザー)(VCSEL)である。これらダイオードレーザーと垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)とは、直流で簡単に操作でき、これによって、1ヶ又は複数の電池で操作できる。電池操作によって、前記光学イメージング装置は、携帯可能なものになり、離れた場所での使用もできるようになる。
【0033】
この実施の態様において、前記垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)90は、光学イメージング装置においては照射源としては通常のものよりもさらに小形のものであって、これは、垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)は、通信と光学コンピューティングに使用されるのが普通であって、光学イメージング装置に使われるものではない。したがって、この照射源を使用する前記装置は、これまでのイメージング装置に較べ、より一層コンパクトなものになり、軽量になる。前記垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)90のエネルギー効率は、非常によく、電池などからの直流が利用できる点でこの発明のイメージング装置は、軽量で、小形なものになる。垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)のレーザー要素の直径は、50ミクロン程度の小さなものであり、さらに加えて、関連のハウジングとビーム形成要素(ビームシェーピング要素)は、これより大きいが、電力供給を除くパッケージ全体としては、容器に入れた小さな集積回路又はトランジスタのサイズ程度である。この点で、前記垂直キャビティ型面発光レーザー(VCSEL)は、電子部品が一つ増えたにすぎない。エネルギー効率が高い点で、9V電池の電池を一つ使用し、電流制限回路の場合、出力が低いmWレンジにすることができる。
【0034】
ダイオードレーザー照射源88は、中間のサイズで、大きさと重量も中間のもので、電池駆動が可能であり、遠隔使用もできる。サイズが適当で、エネルギー効率がよく、電力が密度をもち、ビーム品質がよく、重くない赤外線又は近赤外線照射源が図4の照射源86,88,90に代わる照射源として使用できる。
【0035】
前記ターゲットが人間の眼又は近赤外光線又は赤外光線を送る別のものであれば、図4の実施の態様においては、照射源88又は90を使用して、安全に、そして、(適用できる場合にあっては)快適な量の照射を行って前記ターゲットを見ることができる。近赤外線の光線は、薄い血液層及び白内障病変をもつ水晶体を透過するのに重要である。近赤外線照射源を網膜の像を得るために使用すると、人間の瞳孔を収縮させないから、瞳孔を散大させずに、点滅照射又は継続照射させながら十分な照射を行ってイメージングデバイス(像形成装置)を使用することができる。図2,3又は図4に示されているようなスキャンニングシステムに許容できる品質のビームをもつ近赤外線波長の照射源を用いれば、許容できる品質のイメージが得られる。昼光、室内光、その他の可視波長光線下においては、図4におけるターゲット82と集束レンズ108との間におけるような、光線がターゲット82の面と光学的に対となる面にほぼあるとき、可視波長光線を阻止するフィルターを適当に配置すれば、前記イメージングデバイスが使用できるようになる。
【0036】
図4に示すような照射源86には、照射源88又は90の波長よりも短い波長のものが使用できる。制限するものではないが、例えば、HeNeレーザー、アルゴンレーザー、周波数がダブルのYAGレーザー及びその他の波長が短い照射源、例えば、当業者によく知られている前記ターゲットに対し均一な照度でスリット・スキャンニングできるような十分な電力密度とビーム品質の電球又は発光ダイオードのようなものが含まれる。眼及び他の生体組織においては、短い波長、特に、514nmから594nmの波長を使用することで、血液を含む構造のコントラストをはっきりさせるが、人間の瞳孔を収縮させてしまう。前記検出パスにコストが適度の検出アレイを使用するには、前記収縮にも拘らずイメージが得られる十分明るい照射源を使用する必要がある。したがって、短い波長の光線照射源を使用するには、図4における照射源88又は90のように、ターゲットと近赤外線照射源を使用するイメージングデバイスとを正合させてから、点滅モードで使用する。人間の眼における例は、糖尿性網膜症の発見又は手当てである。同様に、反射率又は蛍光発光イメージング(造影)には、過剰な露光、熱的変化又は光漂白を防ぐためにイメージングに先立ち、正合させるために一つの波長範囲の光線照射源を使用することができる。眼においては、三つの例が挙げられるもので、それらは、網膜及び眼の硝子液におけるフルオレセイン血管造影法及び蛍光測光法と眼の前部に対する涙線膜品質のフルオレセイン染めである。
【0037】
上記したように、照射パスにおける光線は、ビーム整形(ビームシェーピング)される。例えば、図4におけるように、複数の照射源からの光線は、シリンドリカルの要素110により集束され、その結果、前記照射源のパワーは、スリット状に集められ、これは、空間的なフィルター、スリット106を通過できるようになり、これによって、線光源が作られる。スリットは、要素110又は106のいずれかで形成されるが、要素110、106の両者を使用すれば、例えば、図3に示した実施の態様のものよりも前記スリットを通る光線をさらに多く結合してターゲットに向かわせることでエネルギー効率を挙げることができる。前記スリットにおける光線は、前記ターゲット82の面と対になる光学面にある。前記スリットは、透過性又は反射性空間フィルタ並びに空間光変調器のような電子フィルターによって構成することができる。スリット形成後、光線は、集束要素112によりスキャンニング要素84に当てられ、この結果、前記スリットの長い軸に対し直交する方向における動きによって前記ターゲット82にラスターパターンが作られる。この光線は、ほぼ対になっている要素84の3つの面の光学面で同じスキャンニング要素84を3回利用することができる。例えば、スキャンニング要素84は、4つの反射面をもつキューブでよく、このキューブは、中央軸(図の面に対し直交するように延びている)まわりを回転するように取り付けられている。
【0038】
ついで、スキャンニング要素84からの光線は、集束要素108と集束要素104によりターゲット82に焦点を結ぶ。図4においては、集束要素114は、通常のカメラにおける焦点調節のように、機械的又は電子的制御のもとにターゲット82に対し動き、接近したり、離れたりするようになっている。ターゲット82に対する瞳孔入口116の光学面は、スキャンニング要素84により図示されているすべてのスキャンニング表面の面と光学的に対になる。ターゲット82からの光線は、ついで、集束要素114と集束要素108によりスキャンニング要素84へ戻され、ここで光線がターゲット82への照射の部分から空間的に離れている前記スキャンニング要素の一部に当たる。ターゲット82から戻ってくる光線は、ターゲット82へ向かうときに通るパスから空間的に離れているパスを保ち、異なる位置における要素84に当たり、これによって、検出パスからの照射光線を分離するための別個の要素が不要になる。他の実施の態様においては、物理的ビームスプリッタによって、照射パスと検出パスとを分離してもよいが、この場合には、ターゲット82から戻る光線がスキャンニング要素84の部分又はスキャンニング要素84と同期するスキャンニング要素の部分に絶対に来るように、そして、すべてのスキャンニング表面の光学面が入射瞳孔116の光学面と対になるようになっていなければならない。第2のスキャンで、光線をスリット形状に戻し、ターゲット82と光学的に対の面における検出パスにおける焦点共有の開孔118を介して該光線を空間的にフィルターする。
【0039】
図4においては、ターゲット82から送られ、スキャンニング要素84の第2の面に達する光線は、ついで、シリーズになっている鏡120、122により集束要素124へ向けられ、ついで、付随する鏡126、128により曲げられる。焦点共有開孔118は、曲げ鏡126、128の間の網膜面に位置する。鏡128で曲げられた後、光線は、集束要素130と曲げ鏡132、134へ向かう。この光線は、ついで、スキャンニング要素84の第3の面に当たる。この第3のスキャンで焦点共有開孔118におけるスリットからの光線から再びラスターが作られるもので、前記光線は、集束要素136へ向けられ、ついで、二次元ディテクタアレイ80へ向かう。
【0040】
前記ディテクタは、CCDアレイ、CMOSアレイ、ラインスキャンカメラ又はその他の二次元電子ディテクタでよい。リニアアレイは、前記第3のスキャンに先行して配置されていなければならず、その配置位置は、焦点共有開孔118の位置又はこれと対の面であり、さらにまたは、瞳孔と対の面にある場合には、前記焦点共有開孔118に対する入力と同期して動くものでなければならない。これら個々のラインから、ついでラスターが作られなければならない。かくして、図3、4に示したように、適当な価格のライスキャンカメラ又はアレイが使用できるまで、一つ又は三つのスキャンがそれぞれ好ましい態様を表す。前記ディテクタは、一般消費者の電子機器類のグレードでよく、これで経費が安くでき、重量も軽くなる。前記ディテクタは、例えば、網膜面又は網膜下面のような面、又は、眼球の硝子体のような所望の焦点面に置かれる。ターゲット面の位置は、可動のレンズ又は他の集束要素、例えば、図3、6のレンズ64及び図4、7のレンズによって操作される。
【0041】
人間の網膜に対する好ましい実施の態様においては、ターゲット82に対する入射瞳孔の寸法は、小さく、直径で2.5mm以下のものである。これによって、明るく照らされている周囲において又は離れた位置にある加齢者に対し、前記デバイスが使用できる。人間の眼がターゲットの場合、造影すべきターゲットのサイズは、大きく拡大された実験器具によるが約6〜8mmであるが、通常の眼病用カメラにおけるように、視野角約20〜30°の視野が得られる。
【0042】
入射瞳孔と出射瞳孔は、両者で2〜2.5mmに制限されているので、光線の効率は、特に該瞳孔が散大しているときに、関心事になる。二次元スキャンする従来技術の市販されている装置とは異なり、スキャンニングは、一次元で行われる。このスキャンニングは、また、二つのスキャンニング装置により、現在市販されている装置で現在行われているようにして行うことができるもので、これは、軸を中心として揺動させるか、又は、360°回転然させるかして眼の背後に達するビームを動かすようにして行われる。信号のノイズ比率の改善、したがって、イメージ(造影)の品質の改善は、一つの方向又は二つの方向におけるスキャンニングの速度を遅くすることで達成される。
【0043】
構成設計に当たっては、眼からディテクタ(検出器)に達する光(光線)の量をある状態に保つようにすることを基準とする;これは、小さな瞳孔を介しての網膜造影(イメージング)において光量不足の場合に必要なことであり、これによって造影(イメージ)品質が許容できるものになる。前記スキャンニング装置は、25〜60Hzで動作する継続して動く検流計又は回転デバイスのような網膜造影に使用されている代表的なデバイスにおけるよりも、1〜20Hzの範囲近辺でゆっくりと操作可能になっている。これによって、また、電力消費が低減で、機械的に複雑でないデバイスをスキャンニングに使用できるようになる。前記ゆっくりとしたスキャンニングは、前記スキャンニング装置(デバイス)がオペレータにより操作されるときには、前記ターゲットを1回又は制限された回数で拭うようにして行われる。
【0044】
装置(デバイス)によっては、スキャンニング時間を短くしてスピードアップすることができる。前記ディテクイタ(検出器)に達する光線を同じ照度範囲に保つには、前記ターゲットにおけるすべてのポイントに対するスキャンニング速度を同じようなものにしなければならない。このことは、前記ディテクタからのデータが受容される前に遅延させることで達成できる。別の実施の態様においては、シャッターを用いて、前記スキャンニングが適正な速度になるまで前記ディテクタに光線が到達しなようにしている。別の実施の態様においては、前記スキャンニング部材が十分に均等で早い速度でターゲットを通るようになるまで、照射源が点灯されないか、又は、その明るさが増えないようにしてある。
【0045】
スキャンを限られた回数しか行わない別の実施の態様においては、1回又は複数回のフレームの間、低い解像度を用いて、光線レベル、ターゲット位置決め及び集束してのより早いデータの取得を助け、ついで、1回又は複数回の高品質スチルフレームのために解像度を高くする。一般消費者用の電子デバイス類に使用されている多くの二次元アレイが一つのモード、即ち、静止画又はビデオモード以上の複数のモードで操作できる。かくして、スキャンニングと取得速度、光レベル及びゲインは、解像度に対して交換条件になる。
【0046】
瞳孔のサイズが小さく、デバイスのサイズも小さいと、視野の点で制約があり、これは、ほぼ20°のものであり、これは、光学解像度によって約512x512又は640x480画素のデジタル解像度を助ける。視野は、深度が深いものが好ましい。前記装置は、焦点共有分割能力を意図的に制限している。これによって、瞳孔にビームを大きく入力させる必要性を減らしている。焦点を結ばない光線を減らすことで、眼の前部の光学機能部から人為的なものをなくすことがでできる。偏光光学機器を付加使用できる。十分に長いパスの長さを長くし、視野の深度を深くし、造影(イメージ)品質を高める別の手段は、テレスコーピングフレームを使用することである。前記パスの長さは、前記フレームの外部部分にあるか、又は、近くの複数の鏡により延ばすことができ、前記鏡は。動かされたり、又は、別の可動部材の上にある。この装置によって、多くの従来技術の欠点が回避できるもので、該従来技術は、瞳孔面反射が網膜面でサンプルされ、これによって、網膜影像(イメージ)に明るく、好ましくない反射が生じることになるような位置にf値が高いフィナルレンズを有しているものである。
【0047】
この発明においては、焦点を結ばせる機構は、単純にされていることが好ましく、これによって、面倒な使用にならず、サイズも小さく、重さも軽いものにすることができる。焦点を結ばせるには、図4における114又は108のような一つ又は複数の可動の鏡及び/又はレンズを使用して、網膜面と瞳孔面(所望の焦平面と入射面)の関係を増減させることで達成できる。これらの部材類は、機械的又は電気的制御で簡単に操作できる。一つの実施の態様においては、最近のカメラに使用されているような可動のレンズ又は可動のレンズアレイが用いられる。可動の鏡又はレンズは、例えば、1本の指又は親指でノブを回転するなどして手動で操作できる。また、回転するレンズハウジングを掴み、カメラと同じようにして操作できる。スライドスイッチや他の機械的に位置決めする単純な装置によっても操作できる。好ましくは電池駆動のDCモータを使用してモータ駆動することができる。外部交流電源さえあれば、ACモータも使用できる。
【0048】
適正な焦点は、ディスプレイ上の影像(イメージ)を使用するユーザーの目で見付けることができる。この焦点は、また、ターゲットから戻る最も明るい反射の位置を示すインジケータを用いて見付けることもでき、この場合には、前記データを観察する必要がない。前記焦点は、解像度が低い複数の影像(イメージ)を用いるか、又は、焦点を素早く見付けるビデオレートまでの、より早く得られる少数の影像(イメージ)を使用して見付けることができ、その後は、解像度がよくなった影像(イメージ)が得られる。前記焦点は、手動メカニズム又は自動焦点メカニズムになっている。前記焦点は、前記影像(イメージ)のすべて又は一部に基づいて決定できる。
【0049】
前記装置には、液晶ディスプレイ(LCD)のようなユーザーが影像(イメージ)を見ることができるディスプレイが含まれている。しかしながら、オンボードのLCDは、重くなり、壊れやすく、電流が必要になるので、いくつかの実施の態様においては、ディスプレイがなく、焦点インジケーターのみをもつ。上記したように、網膜に焦点が結ばれたとき、この層によって、戻りの光線は、可視スペクトル及び近赤外線での最大光線になる。ついで、影像(イメージ)は、この信号を適当に減らすために、眼の前部に位置するようになるだけでよく、網膜をサンプルする焦平面が最大の明るさに調節される。かくして、影像(イメージ)は、深い深度の視野で焦点を結ぶようにするには有用である一方、インジケータもまた適している。このインジケータは、ディスプレイ、条件が整えば光、受ける光量に対応して増減する光、目盛り、デジタル読取りパネル、音、指針表示器、又は、焦点が得られたことの信号をユーザーに与えることができるその他の要素でよい。
【0050】
前記装置には、影像(イメージ)が得られた後で該イメージを見るためのディスプレイが含まれている。このディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は他の適当なディスプレイ装置でよい。前記イメージデータは、デバイス又はコンピュータへUSB、IEEE1394又は他の接続機構により送られる。前記デバイスには、一つ又は複数のオンボード記憶デバイスが含まれることができ、これらは、集積回路に組みこまれているものや取り外しできるメモリーデバイスであったり、さらには、フィルムであったりするもので、これらは、図2で44として示すような外部観察デバイスへ送られることができるものである。前記データは、有線又は無線方法のいずれかでコンピュータ、パーソナルデスクアシスタント、携帯電話又はその他のデバイスへ送られる。
【0051】
眼の網膜と対になっていない面における構造、即ち、眼の水晶体のような焦点を結ばせるユニットの背後にない構造を見るには、図3のレンズ60、64及び図4のレンズ108、114で示される本質的に焦点を結ばせるアッセンブリーであるものを変更するようにすればよい。別のレンズアッセンブリー又は鏡アッセンブリーを追加するか、すでに設けてあるレンズ又は鏡を取り除くか、又は、前記焦点を結ばせるアッセンブリーを他のレンズ又は鏡に置換させるなどする。図6は、図3に図示の実施の態様に可動のレンズ要素150を追加し、ターゲット152に焦点が結ばれるようにしている点を示す。図7は、図4に図示の実施の態様に可動のレンズ要素160を追加し、ターゲット162に焦点が結ばれるようにしている点を示す。これらの構造には、眼の前部が含まれるが、目の構造に限定されず、皮膚や生体又は非生体構造を含むこともできる。図3と図4に示す実施の態様においては、なんらかの光学分割機能をもつ器具、即ち、ほどほどの解像度を有し、光線が送られてくる面以外の面を拒否する顕微鏡又は汎用造影デバイスとして使用できる器具を容認してはいるが、狭い入射瞳孔及び照射パスと検出パスの分離とによって、前記構成は、最高の軸解像度で光学分割を意図している光学焦点共有顕微鏡と区別されるものである。図示の焦点を結ぶ要素類は、ターゲットの姿を拡大した影像(イメージ)を得るためにうに使用でき、観察のために影像をさらに拡大するには、電子的に拡大でき、かくして、全体として人間の網膜又は眼の他にも潜在用途が広がる。さらに、ターゲットについての照射源のスキャンニングにより、一般的な十分過ぎる照射又は昼光のような既存の外部光源からの照射よりも高いコントラストがついた影像(イメージ)が得られ、このようにして、前記装置が人間の網膜又は眼の範囲以外のものに対する使用できる可能性を高めるものである。
【0052】
人間の眼の前部に対しては、網膜造影デジタルデバイスの焦点レンジにはない補助的又は代替集束要素を使用して造影される構造は、多い。前記デバイスは、角膜手術又は屈折レーザー手術、異物、化学品による傷害又は火傷、紅彩新血管新生、目の外側の損傷、火傷、コンタクトレンズ装着、外側炎症、涙管欠陥、まぶた傷害、翼口傷害、眼のきょう膜傷害、又は紅彩血管傷害又は患者の救急状態又は健康状態を記録するのに必要なその他のデータに起因する角膜傷害又は角膜疾病を造影するために使用できる。
【0053】
本光学造影装置の上記した部品類は、適当なケーシング(筐体)に納められている。オン・オフスイッチと集束コントールのようなコントロール器具は、該ケーシングを介してユーザーによって操作できるようになっている。ヘッドレスト又は顎当てが用意されて、患者が動かずに患者の眼を前記装置に正対させることができるようになっている。図8と図9は、このようなケーシングの二つの例を図示する。図8は、ケーシング202に納められた装置を示す。このケーシングは、頑丈で軽量なものであり、上記したすべての光学及び電子機器・器具類が納められている。ヘッドレスト又は顎当て部206が調節可能になっている顎当て204が設けられていて、患者の眼又はターゲットをアイピース208に合わせるようになっている。このヘッドレスト又は顎当ては、伸縮可能なもので、簡単に梱包し、持ち運びできる装置になっている。別の実施の態様においては、ヘッドレスト又は顎当てが折り畳めるようにできていて、かさばらないようになっている。図9は、別の実施の態様を示すもので、この実施の態様においては、一般のデジタルカメラのようにユーザーが手で持てるようなケーシング220になっている。目で覗く視野ファインダー222が設けられている。該ケーシングにおける一つの調節ボタン224がオン・オフのトグルスイッチとして機能することができるようになっていて、影像(イメージ)を得るための種々のモード及び解像度のために機能する。液晶ディスプレイ226が設けられていて、このディスプレイに影像(イメージ)及び操作情報が表示される。データ移送媒体又はコネクタ類が位置される接続口228が設けられている。
【0054】
本装置のいくつかの実施の態様のものが作られ、テストされて、許容できる眼の影像が安全に簡単に得られ、電池電源であっても、離隔されたソースへ影像を送ることができることが分かった。いくつかの実施の態様のものが当該技術で知られている人間の眼の雛型を使用してテストされた。該眼の雛型を使用して、本装置が眼に安全な許容できる光量を用いて操作し、影像を撮ることができることが分かった。眼の雛型における関連の光量が人間の眼に対してのものに換算され、知ることができている。
【0055】
図4に関連して述べたものに類似の実施の態様のものを作り、光源、前記スキャンニング要素を駆動するモータ及び前記ディテクタに電池電源のみを使用した。これら三つの要素それぞれに9Vの電池を使用した。この装置をまた電源が電池のコンピュータに接続し、複数の影像をコンピュータへ送った。
【0056】
図4に関連して述べたものに類似の実施の態様のものを作り、必要な規制認可を受けた後、人間の眼にテストした。人間の網膜面の適切な影像を撮ったものであり、これらの影像は、適切な解像度及び良好なコントラストをもち、角膜面からの強い反射もないものであった。特に人間の眼にテストした独特の特異性が認識された。
【0057】
この発明は、眼科学、検眼、救急対応、軍隊の目の検査、集団における目の検査、眼の手当てを行う専門家から離れた場所において診断を行うヘルスケアー従事者、遠隔診断、小児科医や集中治療室の技術者又は開業医といった眼のケアに専門知識のない人による眼の検査などの分野に好適なものである。眼が外傷を受けている疑いがあるとき、この装置は、例えば、救急事態に対処する人による使用を主たる用途目的とする。このような場合、眼に傷害を受けている疑いがある人がある程度の時間休息をとってもよいか、又は、そのようなことをせずに、さらに救急治療処置をとるべきかを知るのに大いに役立つ。さらに別な用途は、小児科医や開業医のような眼が主な専門ではない人による遠隔地における検査又は集団検査である。前記装置にとっては、調節制御がほとんど必要ではなく、操作も簡単で、この装置を操作するに当たって高度のトレイニングも不要である。
【0058】
この発明に対して、現今の市販されているスキャンニングレーザー眼球内観察用検眼鏡は、この分野においての携帯装置としての使用には大き過ぎ、価格も高すぎる。さらに、これらの装置は、複雑で、該装置を使用する人及び結果として得られた眼病用の影像を判断する人の両者に高度のトレイニングが必要である。この発明は、大型SLOの目立つ影像品質と、信号の対ノイズレシオを無視するX線断層撮影装置の分割機能を必要としない。
【0059】
上記の記述は、この発明の幾つかの実施の態様に関係する。この発明の多くのバリエーションが当業者により構想される。したがって、これらのバリエーションと改良は、この記述の範囲に包含される。この発明は、請求の範囲に示されたものを除き、特に図示され、記載されたものに限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を備える眼の造影装置:
照射源;
この照射源からターゲットへの照射パスに配置されているスキャンニング装置であって、このスキャンニング装置は、光線を前記照射パスにおけるスリットに通し、所望の焦平面よりも狭い入口から前記ターゲットの所望の焦平面に達するように作動するものであり;
前記ターゲットから送られてくる光線を受け、造影するように作動する検出構成;
前記ターゲットからの戻りのパスに配置されていて、前記照射パスから分離しているビーム分離構成であり、このビーム分離構成は、前記ターゲットからの光線を受け、該光線を検出パスにそって前記検出構成へ向けるものであり;及び
前記照射源、前記スキャンニング装置及び前記検出構成と通じているコントローラー。
【請求項2】
前記ターゲットの焦平面は、眼の網膜における面又は網膜下の組織における面からなる請求項1の装置。
【請求項3】
前記入口は、眼の瞳孔からなる請求項1の装置。
【請求項4】
前記ビーム分離構成は、前記照射パスと戻りパスとを十分に離し、前記所望の焦平面以外の源からの反射を減らし、十分に満足できる解像度をもつ影像をきっちり得ることができるようになっている請求項1の装置。
【請求項5】
前記ビーム分離構成は、前記照射パスと戻りパスとを十分に離し、前記所望の焦平面以外の源からの反射を減らし、直径が2mmの瞳孔の中央領域を介して戻りの光線をきっちり得ることができるようになっている請求項1の装置。
【請求項6】
前記スキャンニング構成と前記検出構成とが1メガピクセルまたはそれより以下の影像にぴったり合致する影像解像度が出せるようになっている請求項1の装置。
【請求項7】
前記照射パスにそって前記ターゲットの所望の焦平面と対になっている面のスリットに光線を通す構成になっている光学構成をさらに備える請求項1の装置。
【請求項8】
前記ターゲットの所望の焦平面と対になっている面の前記照射パスにおける前記スリットに光線を集束させる構成になっている光学構成をさらに備える請求項1の装置。
【請求項9】
前記スキャンニング構成は、回転反射要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項10】
前記スキャンニング構成は、揺動反射要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項11】
前記スキャンニング構成が20Hz以下の周波数でスキャンニングするように構成されている請求項1の装置。
【請求項12】
前記スキャンニング構成が前記入口の面と対になっている面に配置の反射スキャンニング要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項13】
前記ターゲットの所望の焦平面における前記スキャンニング構成からの前記照射パスに光線を集束させる構成になっている光学構成をさらに備える請求項1の装置。
【請求項14】
前記光学要素は、焦点が調節できるように調節可能になっている請求項13の装置。
【請求項15】
水晶体の背後に落ちないターゲットに焦点を結ばせる付加の集束要素をさらに備える請求項13の装置。
【請求項16】
前記ビーム分離構成は、さらに反射面又は透過性面からなる請求項1の装置。
【請求項17】
前記ビーム分離構成は、ビームスプリット装置からなる請求項1の装置。
【請求項18】
前記ビーム分離構成は、偏光ビームスプリット装置からなる請求項1の装置。
【請求項19】
前記ビーム分離構成は、前記ターゲットの所望の焦平面ではない焦平面からの反射光線をなくして、前記検出構成に反射光線が達しないようにする構成になっている請求項1の装置。
【請求項20】
前記ビーム分離構成は、前記照射パスから離れている反射要素又は透過要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項21】
前記ビーム分離構成は、前記ターゲットの所望の焦平面と対になっている光学面に位置する開孔をさらに備え、この開孔は、前記ターゲットの所望の焦平面ではない焦平面からの反射光線をなくして、前記検出構成に反射光線が達しないようにする構成になっている請求項1の装置。
【請求項22】
前記検出構成は、前記所望の焦平面と対になっている面に位置する影像取得要素を含む請求項1の装置。
【請求項23】
前記検出構成は、影像を取得又はディスプレイするためのデジタル構成を含む請求項1の装置。
【請求項24】
前記検出構成は、影像を取得又はディスプレイするためのCCDデバイスを含む請求項1の装置。
【請求項25】
前記検出構成は、影像を取得又はディスプレイするためのCMOSデバイスを含む請求項1の装置。
【請求項26】
前記検出構成は、影像を取得又はディスプレイするためのビデオカメラを含む請求項1の装置。
【請求項27】
前記検出構成は、影像を取得又はディスプレイするために光エネルギーを電子又は磁気エネルギーに変換する要素を含む請求項1の装置。
【請求項28】
前記検出構成は、影像を観察するためのディスプレイを含む請求項1の装置。
【請求項29】
前記ディスプレイは、液晶ディスプレイからなる請求項28の装置。
【請求項30】
前記検出構成は、モノクロームの影像を造影する構成である請求項1の装置。
【請求項31】
前記検出構成は、色彩無しでデバイスにディスプレイできるのに十分な鮮明度をもつモノクロームの影像を造影する構成である請求項1の装置。
【請求項32】
前記照射源は、近赤外線光源である請求項1の装置。
【請求項33】
前記照射源は、赤外線光源である請求項1の装置。
【請求項34】
前記照射源は、HeNeレーザー、アルゴンレーザー又は周波数二重YAGレーザー光源である請求項1の装置。
【請求項35】
前記照射源は、ダイオードレーザー、垂直キャビティ型面発光レーザー、発光ダイオード又は電球である請求項1の装置。
【請求項36】
前記照射源は、前記照射パスに向けられた複数の光源からの光線を備える請求項1の装置。
【請求項37】
前記照射パスに位置する光照度調節要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項38】
前記光照度調節要素は、前記照射源とコントローラーに連通している光学要素、機械的要素、偏光要素又は電子要素からなるものである請求項37の装置。
【請求項39】
前記光照度調節要素は、ニュートラルの密度のフィルターからなるものである請求項37の装置。
【請求項40】
前記コントローラーは、前記照射源を調節して照射点滅させるようにする請求項1の装置。
【請求項41】
前記照射源は、継続照射するようになっている請求項1の装置。
【請求項42】
前記戻りのパスに配置され、前記戻りのパスにおける開孔を通り、前記検出構成における検出要素に当たる光線でスキャンする構成の付加のスキャンニング構成をさらに備える請求項1の装置。
【請求項43】
前記検出要素は、前記入口の面と対になっている面にある請求項1の装置。
【請求項44】
前記照射源、前記検出構成及び前記コントローラーに通じているDC電源をさらに備える請求項1の装置。
【請求項45】
前記DC電源は、少なくとも一つの電池からなる請求項44の装置。
【請求項46】
前記スキャンニング構成は、モータを含む請求項1の装置。
【請求項47】
前記モータは、直流モータである請求項1の装置。
【請求項48】
前記検出構成から外部のデバイスへ影像を送る出力要素をさらに備える請求項1の装置。
【請求項49】
前記出力要素がケーブルポートまたは無線放送デバイスである請求項48の装置。
【請求項50】
前記スキャンニング構成に対し眼の位置を定めるヘッドレスト又は顎当てをさらに備える請求項48の装置。
【請求項51】
前記装置は、十分に携帯できるものである請求項1の装置。
【請求項52】
前記装置から得た影像であるデータベースをさらに備える請求項1の装置。
【請求項53】
前記データベースは、一人の患者につき10又はこれ以下の影像を記憶するサイズであり、各影像は、1メガピクセル又はこれ以下である請求項52の装置。
【請求項54】
前記装置の操作をユーザーに習得させる複数の影像のデータベースをさらに備える請求項1の装置。
【請求項55】
以下を備える請求項1の装置の使用方法:
影像をとる眼の近くに前記装置を位置させ;そして
前記装置を操作して、影像を造影すること。
【請求項56】
前記装置は、電池電源で影像を造影するようになっている請求項55の方法。
【請求項57】
前記装置は、交流電源を使わずに影像を造影するようになっている請求項55の方法。
【請求項58】
遠隔地に得られた影像を送ることをさらに備える請求項55の方法。
【請求項59】
前記影像は、ケーブル又は無線送信で遠隔地に送る請求項58の方法。
【請求項60】
コンピュータを前記装置に取り付け、得られた影像を該コンピュータに送る請求項55の方法。
【請求項61】
前記装置にパーソナル・デジタル補助機器を取り付け、得られた影像を該パーソナル・デジタル補助機器に送る請求項55の方法。
【請求項62】
前記パーソナル・デジタル補助機器に送られる影像は、このパーソナル・デジタル補助機器でほとんどスクロールすることなしに観察できるサイズになっている請求項61の方法。
【請求項63】
前記影像は、眼の瞳孔を散瞳させる散瞳薬を使わずに得られる請求項55の方法。
【請求項64】
前記影像は、昼光状態で得られる請求項55の方法。
【請求項65】
前記影像は、室内光状態で得られる請求項55の方法。
【請求項66】
前記装置は、眼の網膜の影像を撮るようになっている請求項55の方法。
【請求項67】
前記装置は、眼の前部の影像を撮るようになっている請求項55の方法。
【請求項68】
複数の影像のデータベースを使用して前記装置の操作をユーザーに習得させる請求項55の方法。
【請求項69】
前記ユーザーは、前記装置からの結果に基づくアウトカムを判断できるようにオンサイトで訓練を受ける請求項68の方法。
【請求項70】
前記装置から離れた場所にいるユーザーを前記装置からの結果に基づくアウトカムの判断ができるように訓練する請求項55の方法。
【請求項71】
ユーザーが離れた場所に居て別のコンピュータ又はパーソナル電子補助機器類を操作する請求項70の方法。
【請求項72】
以下からなる請求項1の装置の使用方法:
影像造影に十分なレベルの中庸の光線によるスキャンニングにより得られるはっきりしたコントラストを利用して、眼の網膜又は網膜の下の組織の影像を得るために前記装置を使用すること。
【請求項73】
以下からなる請求項1の装置の使用方法:
影像造影に十分なレベルの中庸の光線によるスキャンニングにより得られる、はっきりしたコントラストを利用して、眼の前部のセグメントの影像を得るために前記装置を使用すること。
【請求項74】
以下からなる請求項1の装置の使用方法:
影像造影に十分なレベルの中庸の光線によるスキャンニングにより得られるはっきりしたコントラストを利用して、ターゲットの影像を得るために前記装置を使用すること。
【請求項75】
以下からなる請求項1の装置の使用方法:
影像造影に十分なレベルの中庸の光線によるスキャンニングにより得られるはっきりしたコントラストに加えて、ディスプレイの使用により拡大して、ターゲットの影像を得るために前記装置を使用すること。
【請求項76】
さらに以下からなる請求項1の装置の使用方法:
前記装置を使用して影像を造影すること;
該影像をデータベースに記憶させること;
前記影像をもとにユーザーを訓練して、専門家の助言のもとに又は助言なしに前記装置を操作すること。
【請求項77】
さらに以下からなる請求項1の装置の使用方法:
前記装置を使用して影像を造影すること;
該影像をデータベースに記憶させること;
前記影像をもとにユーザーを訓練して、専門家の助言のもとに又は助言なしに前記装置からの結果に基づくアウトカムを判断すること。
【請求項78】
前記ユーザーは、前記装置を用いて現場で訓練される請求項77の方法。
【請求項79】
前記影像を離れた場所に送信し、その離れた場所で前記ユーザーが訓練される請求項77の方法。
【請求項80】
前記装置は、コードレスの態様で影像を得るように操作される請求項55の方法。
【請求項81】
前記装置は、コードレスの態様で操作される請求項1の装置。
【請求項82】
以下からなる眼の影像を得る方法:
照射源からの光線をスリット状に形成し;
形成された前記光線で眼のターゲットをスキャンし;
眼から戻る光線を眼へ入射される光線から十分に離れるように分離し、前記ターゲット面以外の光線源からの反射を減らし、これによってぴったり所望の十分な解像度の影像を得るようにし;そして
検出された光線から影像を得ること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−29721(P2010−29721A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259152(P2009−259152)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【分割の表示】特願2003−541430(P2003−541430)の分割
【原出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【出願人】(301046787)インディアナ・ユニバーシティ・リサーチ・アンド・テクノロジー・コーポレーション (24)