説明

緑化パネル

【課題】取扱い易く、しかも、緑化対象面に設置し易い緑化パネルを提供する。また、風雨に晒されても基材シートが破損し難い緑化パネルを提供する。さらに、水分不足が生じ難い緑化パネルを提供する。
【解決手段】植物を根付かせる基材シート20と、該基材シート20を補強して緑化パネル10全体の形状を安定させる補強材50とを備える。また、前記基材シート20の破損を防止する基材シート保護手段(保護ネット30)を備える。さらに、水分を吸収して蓄える保水手段(保水マット40)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化パネルに関するものであり、詳しくは、植物の繁殖を助成するために建築物の壁面や法面等の緑化対象面に設置される緑化パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
法面等においては、植物を繁殖させて緑化することが要望される場合がある。そして、従前より、法面等の緑化対象面において植物の繁殖を助成する緑化技術が種々案出されている。例えば、ヤシ殻繊維などによって形成され、植物を根付かせて植物の繁殖を助成する登攀助材といった基材シートを用いる技術である。
【0003】
【特許文献1】特許第3602948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基材シートは、薄くて軟弱であり、取扱い難い。また、広い法面等に対応させるために幅広で長尺状に形成されているのが通常であり、この点からも取扱い難い。しかも、小さな建築物の壁面の一部等、緑化対象面が狭い場合には、幅広で長尺状の基材シートを緑化対象面の寸法に合わせて切断して設置しなければならず、設置作業も煩わしい。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、取扱い易く、しかも、緑化対象面に設置し易い緑化パネルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主要な手段は、
「植物を根付かせる基材シートと、
該基材シートを補強して緑化パネル全体の形状を安定させる補強材と
を備えることを特徴とする緑化パネル」
である。
【0007】
ここで、「基材シート」の材料としては、ヤシ殻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする織布または不織布、コルク等の木材等、植物が根付き易い適宜の材料を採用することができる。
【0008】
また、「補強材」は、金属や樹脂等の適宜素材によって適度な強度を有するものとして形成されて、基材シートを補強して緑化パネル全体の形状を安定させることができるものであればよく、基材シートの表面に一体化されたものであってもよく、基材シートに埋設されたものであってもよい。
【0009】
上記構成の緑化パネルは、基材シートに補強材を一体化して全体をパネル状としたものであり、軟弱な基材シート単体よりも取扱い易く、また、幅広で長尺状の従来の基材シートよりも設置対象面に設置し易いものである。また、少数を連設したり多数を連設することで、狭い緑化対象面にも広い緑化対象面にも的確に対応することができ、汎用性に優れるものである。
【0010】
よって、上記構成によれば、取扱い易く、しかも、緑化対象面に設置し易い緑化パネルを提供することができる。
【0011】
前述の主要な手段において、
「前記基材シートの破損を防止する基材シート保護手段をさらに具備することを特徴とする緑化パネル」
とするのが好適である。
【0012】
緑化パネルは、基材シートを露呈した状態で緑化対象面に設置されて、長期間、風雨に晒されるものである。よって、ただ単に基材シートを補強材によって補強してパネル状とした緑化パネルでは、植物が十分に繁殖する前に、基材シートに、型崩れ、破れ、素材の部分的な脱落等の破損が生じる虞がある。
【0013】
これに対し、上記のように構成された緑化パネルでは、基材シート保護手段によって基材シートの破損が防止されるため、基材シートが風雨に晒されても破損し難い。よって、上記構成によれば、風雨に晒されても基材シートが破損し難い緑化パネルを提供することができる。
【0014】
なお、「基材シート保護手段」としては、基材シートとは別部材として構成され、基材シートの表面を被って基材シートの表面を保護するネットや適度に穴が開いたシート等の保護部材を例示できる。また、生分解樹脂剤等によって構成され、植物の根によって侵食可能に基材シート自体の表面をコーティングするコーティング剤といった保護剤も例示できる。ここで、保護剤としては、コーティング剤の他、基材シートが繊維状や粒状の素材を絡めて形成されており、多数の空隙を有するものである場合には、基材シートの素材の間隙が確保された状態で基材シートの素材同士を接着する接着剤を例示することもできる。そして、保護剤によって基材シート自体を破損し難くする手法は、基材シートの保護加工として捉えることができる。
【0015】
前述の主要な手段において、
「水分を吸収して蓄える保水手段をさらに具備することを特徴とする緑化パネル」
とするのも好適である。
【0016】
基材シートは、植物の根が吸着し易いように粗い空隙が設けられてなるのが通常の形態であり、それ自体では保水能力に乏しい。よって、ただ単に基材シートを補強材によって補強してパネル状とした緑化パネルでは、晴天が続く環境下等において水分不足が生じ易く、植物の繁殖を良好に助成することができなくなる虞がある。
【0017】
これに対し、上記のように構成された緑化パネルでは、保水手段によって水が蓄えられるため、晴天が続いた環境下等においても水分不足が生じ難い。よって、上記構成によれば、水分不足が生じ難く、植物の繁殖を良好に助成することができる緑化パネルを提供することができる。
【0018】
なお、「保水手段」としては、木綿繊維、麻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする織布または不織布、スポンジ等によってマット状やシート状等の適宜形状に形成され、基材シートよりも細かい多数の空隙を有し、基材シートよりも保水能力が高い保水材を例示することができる。また、保水手段は、保水材自体から構成されたものに限らず、適宜の保水材の小片や、それ自体が保水物質である吸水ポリマー等の保水剤を、透水性を有する袋や容器に詰めてなる保水体を例示することもできる。そして、このように基材シートとは別体の部材として構成された保水材や保水体は、保水部材として捉えることができ、保水部材を緑化パネルに設ける場合は、保水部材を、基材シートの裏面の全面または部分的に添設したり、基材シートの内部の全面または部分的に埋設すればよい。
【0019】
また、保水手段は、基材シートとは別体の保水部材から構成するに限らず、基材シートに吸水ポリマー等の保水物質を混入したり、保水性のある樹脂等を接着剤として基材シートの素材を接着する等、基材シート自体の保水機能を高めるようにした手段であってもよい。この場合には、上記保水物質や上記接着剤によって保水手段が構成されることになり、このように保水物質や接着剤によって基材シート自体の保水能力を高める手法を保水加工と捉えることができる。
【0020】
前述の主要な手段において、
「前記基材シートの破損を防止する基材シート保護手段と、
水分を吸収して蓄える保水手段と
をさらに具備することを特徴とする緑化パネル」
とするのが、より好適である。
【0021】
上記の緑化パネルは、前述した好適な緑化パネルの構成を組合わせたものであり、「基材シート」、「補強材」、「基材シート保護手段」及び「保水手段」の各構成要件の具体的な材料等については、前述の各構成と同様である。
【0022】
そして、上記のように構成された緑化パネルでは、基材シート保護手段によって基材シートの破損が防止されるため、基材シートが風雨に晒されても破損し難い。また、保水手段によって水が蓄えられるため、水分不足が生じ難い。よって、上記構成によれば、風雨に晒されても基材シートが破損し難く、且つ、水分不足が生じ難い緑化パネルを提供することができる。
【0023】
なお、基材シート保護手段が基材シートとは別体の保護部材によって構成されており、保水手段も基材シートとは別体の保水部材によって構成されている場合には、保水部材を、基材シートと保護部材との間に設置してもよく、また、保護部材の内部に設置してもよい。一方、保護部材を、基材シートと保水部材との間に設置してもよく、また、保水部材の内部に設置してもよい。
【0024】
また、保護部材自体に保水加工を施してもよく、保水部材自体に保護加工を施してもよい。さらには、基材シート自体に、保護加工及び保水加工を施してもよい。
【発明の効果】
【0025】
上述した通り、本発明によれば、取扱い易く、しかも、緑化対象面に設置し易い緑化パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る緑化パネルの実施形態としての例を、以下、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の各例においては、1m四方のパネル状とした緑化パネルを示すが、全体の大きさは、適宜変更することができる。
【0027】
また、本発明に係る緑化パネルは、建築物の壁面、法面、護岸壁や橋桁等の各種土木構造物の表面、道路沿いのガードレールや防音壁等の道路設備の表面等、植物を繁殖させて緑化したい適宜の緑化対象面に、単体で設置されたり、複数が連設して設置されるものである。また、緑化の対象物に取付けられるばかりでなく、ガーデニング用のラティスや家周りの塀を構成する資材として、緑化の対象面に設置することもできるものである。
【0028】
<実施例1>
図1に、本発明に係る緑化パネル10の一例を示す。この緑化パネル10は、基材シート20、基材シート保護手段としての保護ネット30、及び、補強材50が順次積層されてなり、要所をC字金具等の適宜の止め具によって連結することで、全体が1枚のパネルとなるように構成されたものである。
【0029】
基材シート20は、ヤシ殻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする織布または不織布、コルク等の木材等によって、5mm厚程度のシート状に形成されたものである。なお、基材シート20を構成する材料としては、これに限らず、植物が根付き易い適宜の材料を採用することができる。
【0030】
保護ネット30は、木綿繊維や麻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする撚糸によって5mm目程度の網状に形成されたものである。なお、保護ネット30を構成する材料としては、樹脂や金属の線材を採用することもできる。
【0031】
補強材50は、金属線材を溶接して、保護ネット30の網目よりも目の大きな格子状に形成されたものである。なお、補強材50を構成する材料としては、樹脂や木材を採用することもできる。
【0032】
緑化パネル10は、上述のように構成された基材シート20、保護ネット30及び補強材50からなるものであり、具体的には、基材シート20の表面全面に保護ネット30を添設し、保護ネット30の表面全面に補強材50を一体化してなるものである。
【0033】
ここで、基材シート20及び保護ネット30だけでは軟弱であり、パネルとして全体形状が安定しないのであるが、補強材50を一体化することで、パネルとしての全体形状が安定する。
【0034】
ところで、補強材50をフラットな格子としてもよいが、本例では、フラットな格子を折り曲げて山・谷が順次繰返されたジグザグ形状となっており、フラットな格子よりも強度に優れる形態としてある。なお、補強材50を波形状とすることで、強度の向上を図ることもできる。
【0035】
基材シート30及び保護ネット30は、補強材50のジグザグ形状に倣って補強材50の裏面側に添設されているのであるが、基材シート20の表面側に保護ネット30が配置されていることから、緑化パネル10が風雨に晒されても、基材シート20の素材が簡単には脱落したりせず、また、基材シート20の表面が破損し難く、長期間に渡って、基材シート20の表面形状を安定させることができる。
【0036】
また、緑化パネル10の設置に際して、または設置後に、工具や石等の種々の物品が緑化パネル10の表面にぶつかっても、保護ネット30によって基材シート20が保護されているため、基材シート20が破損し難い。
【0037】
なお、基材シート20の裏面にも保護ネット30を添設すると、緑化パネル10の設置の際に基材シート20の裏側が破損することを防止でき、好適である。また、保護ネット30の表裏両面に基材シート20を添設してもよい。この場合には、保護ネット30によって、緑化パネル10の表側から与えられる影響に対して、裏側の基材シート20を保護することができ、緑化パネル10の裏側から与えられる影響に対して、表側の基材シート20を保護することができる。
【0038】
以上、緑化パネル10の一例を示したが、基材シート保護手段としては、保護ネット30のように基材シート20とは別体に構成された保護部材を用いるに限らない。例えば、生分解樹脂剤等によって構成され、植物の根によって侵食可能に基材シート20の表面をコーティングするコーティング剤といった保護剤を用いた保護加工であってもよい。また、保護剤としては、コーティング剤の他、基材シート20が繊維状や粒状の素材を絡めて形成されており、多数の空隙を有するものである場合には、基材シート20の素材の間隙が確保された状態で基材シート20の素材同士を接着する接着剤も例示することができる。
【0039】
<実施例2>
図2に、本発明に係る緑化パネル10の別の例を示す。この緑化パネル10は、保水手段としての保水マット40、基材シート20、及び、補強材50が順次積層されてなり、要所をC字金具等の適宜の止め具によって連結することで、全体が1枚のパネルとなるように構成されたものである。
【0040】
保水マット40は、木綿繊維、麻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする織布または不織布、スポンジ等、後述する基材シート20よりも細かい多数の空隙を有して水分を良好に保水する保水材や、吸水ポリマー等の保水物質から形成された保水材によって、基材シート20よりも厚い10mm厚程度のマット状に形成されたものである。なお、保水マット40を構成する材料としては、これに限らず、水分を良好に吸収して蓄える適宜の材料を採用することができる。
【0041】
基材シート20は、ヤシ殻繊維等の天然繊維や化学繊維等の人工繊維等の適宜繊維を素材とする織布または不織布、コルク等の木材等によって、5mm厚程度のシート状に形成されたものである。なお、基材シート20を構成する材料としては、これに限らず、植物が根付き易い適宜の材料を採用することができる。
【0042】
補強材50は、金属線材を溶接して、格子状に形成されたものである。なお、補強材50を構成する材料としては、樹脂や木材を採用することもできる。
【0043】
緑化パネル10は、上述のように構成された保水マット40、基材シート20及び補強材50からなるものであり、具体的には、保水マット40の表面全面に基材シート20を添設し、基材シート20の表面全面に補強材50を一体化してなるものである。
【0044】
ここで、保水マット40及び基材シート20だけでは軟弱であり、パネルとしての全体形状が安定しないのであるが、補強材50を一体化することで、パネルとしての全体形状が安定する。
【0045】
ところで、補強材50をフラットな格子としてもよいが、本例では、フラットな格子を折り曲げて山・谷が順次繰返されたジグザグ形状となっており、フラットな格子よりも強度に優れる形態としてある。なお、補強材50を波形状とすることで、強度の向上を図ることもできる。
【0046】
保水マット40及び基材シート20は、補強材50のジグザグ形状に倣って補強材50の裏面側に添設されているのであるが、基材シート20の裏面側に保水マット40が配置されていることから、保水マット40によって水分が蓄えられ、たとえば晴天が続いて水不足となった環境下においても、保水マット40から基材シート20に水分が浸透したり、基材シート20に根付いた植物の根が保水マット40に到達することで、基材シート20に根付いた植物に水分が提供される。よって、緑化パネル10自体が水分不足になり難く、乾燥した環境下においても植物の繁殖を良好に助成することができる。
【0047】
なお、保水マット40の表裏両面に基材シート20を添設して、基材シート20全体の内部に保水マット40が埋設されるようにしてもよい。この場合には、緑化パネル10を設置した設置物の表面が保水マット40に直接、接触しないことから、保水マット40に蓄えられた水分が設置物へと移行し難い。よって、長期間に渡って保水マット40に水分を蓄えさせることができる。
【0048】
以上、緑化パネル10の別の例を示したが、保水手段としては、保水マット40に限らない。例えば、織布または不織布、スポンジ等、基材シートよりも細かい多数の空隙を有し、基材シート20よりも保水能力が高い保水材の小片や、それ自体が保水物質である吸水ポリマー等の保水剤を、透水性を有する袋や容器に詰めてなる保水体であってもよい。さらに、上述したように基材シート20とは別体の保水部材に限らず、基材シート20に吸水ポリマー等の保水物質を混入したり、保水性のある樹脂等を接着剤として基材シート20の素材を接着する等、基材シート20自体の保水機能を高めるようにした保水加工によって保水手段を構成してもよい。
【0049】
ところで、緑化パネル10に保水手段を付加すると、保水手段の重量や、保水手段に蓄えられた水分の重量によって、緑化パネル10全体の重量が増加するため、基材シート20が変形し易くなる。これに対して、本例では、基材シート20に一体化された補強材50を具備するため、保水手段によって重量が増加しても、補強材50によって基材シート20の形状を安定させることができる。
【0050】
<実施例3>
図3に、本発明に係る緑化パネル10のさらに別の例を示す。この緑化パネル10は、保水手段としての保水マット40、基材シート20、基材シート保護手段としての保護ネット30、及び、補強材50が順次積層されてなり、要所をC字金具等の適宜の止め具によって連結することで、全体が1枚のパネルとなるように構成されたものである。なお、保水手段(保水マット40)、基材シート20、基材シート保護手段(保護ネット30)、及び、補強材50の各構成は、前述した各例と同様であり、説明は省略する。
【0051】
以上の実施例1〜3においては、補強材50の裏面側の全面に基材シート20を添設した例を示したが、図4に示すように、補強材50に対する基材シート20の配置パターンを適宜変更することができる。なお、図4では、補強材50に対して基材シート20が設けられた部分を斜線にて示す。また、図4においては、補強材50の山・谷が上下方向(縦方向)に延設された状態(補強材50の山・谷が左右方向(横方向)に繰返された状態)を示し、この状態にて緑化パネル10が緑化対象面に設置される例を示すが、緑化パネル10としては、補強材50の山・谷が横方向に延設された状態(補強材50の山・谷が縦方向に繰返された状態)にて使用することもできる。
【0052】
図4において、(a)は、補強材50の裏面側の全面に基材シート20を添設した例であるが、(b)に示すように、横方向に間隔をおいて複数の基材シート20を縦方向に延設してもよく、(c)に示すように、縦方向に間隔をおいて複数の基材シート20を横方向に延設してもよい。さらには、(d)に示すように、複数の小さな基材シート20を点在するように配置してもよい。
【0053】
緑化パネルによって繁殖が助成される植物としてツタ科の植物を代表的に挙げることができるが、ツタ科の植物は、吸着型(成長する茎から根を出して繁殖するタイプ)と、巻き蔓型(蔓を巻いて繁殖するタイプ)とに大別される。ここで、本発明に係る緑化パネルでは、吸着型の植物であれば、基材シート20に根付いて繁殖するのであるが、巻き蔓型の植物であっても、補強材50に蔓を巻いて繁殖することができるのであるが、図4(b)〜(d)のように、補強材50に対して基材シート20がない部分をあえて設けることで(換言すれば、補強材に対して基材シートを部分的に設けることで)、巻き蔓型の植物が蔓を巻き易いような空隙を確保することができ、巻き蔓型の植物の繁殖を良好に助成することができる。
【0054】
また、補強材50の全面に基材シート20を設ける場合でも、図5に示すように、基材シート20に、補強材50の形状に合致させて補強材50に添わせる部分(以下「添設部分」という)と、補強材50との間に間隙が形成されるように離間させる部分(以下「離間部分」という)とを設けるのが好適である。添設部分によって主に吸着型の植物の繁殖を助成し、離間部分によって、吸着型及び巻き蔓型の各植物の繁殖を助成することができるからである。
【0055】
一方、保水手段については、基材シート20の全面に添設される全面が平坦となった1枚のマット状のものに限らない。例えば図6に示すように、山・谷にジグザグとなった基材シート20の裏側の凹部に収容可能な形状の複数の保水マット40(保水材や保水体)であってもよい。ここで、保水マット40(保水材や保水体)を基材シート20の凹部に収容させるためには、保水マット40(保水材や保水体)を、基材シート20の凹部に合致させた形状に予め形成したり、基材シート20の凹部に合致するように変形可能に構成すればよい。このようにすることで、緑化パネル10全体の厚みを薄くすることができる。
【0056】
また、基材シート20の全面に保水マット40(保水材や保水体)を設けるに限らず、適宜、基材シート20に対して、保水マット40(保水材や保水体)がない部分を設けてもよい(換言すれば、基材シート20に対して保水マット40(保水材や保水体)を部分的に設けてもよい)。このようにすることで、緑化パネル10全体の軽量化を図ることができる。
【0057】
以上、本発明に係る緑化パネル10の例を示したが、各例の緑化パネル10において、金属や木材等によって板状、棒状、パイプ状等の適宜形状に形成された外枠を補強材50の外縁部分に設けると、緑化パネル10全体の強度をさらに向上させることができる。また、外枠を設けることで、緑化パネル10を設置の対象物に外枠によって固定することができ、緑化パネル10を設置し易くすることができる。さらに、外枠を設けることで、複数の緑化パネル10を連設する場合の連結構造として、隣接する緑化パネル10同士を外枠によって堅固に連結する構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る緑化パネルの一例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る緑化パネルの別の例を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る緑化パネルのさらに別の例を示す分解斜視図である。
【図4】補強材に対する基材シートの種々の配置パターンを示す正面図である。
【図5】補強材に対する基材シートの配置の別例を示す説明図である。
【図6】基材シートに対する保水マット(保水材や保水体)の配置の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
10 緑化パネル
20 基材シート
30 保護ネット(基材シート保護手段)
40 保水マット(保水手段)
50 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を根付かせる基材シートと、
該基材シートを補強して緑化パネル全体の形状を安定させる補強材と
を備えることを特徴とする緑化パネル。
【請求項2】
前記基材シートの破損を防止する基材シート保護手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の緑化パネル。
【請求項3】
水分を吸収して蓄える保水手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の緑化パネル。
【請求項4】
前記基材シートの破損を防止する基材シート保護手段と、
水分を吸収して蓄える保水手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の緑化パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−261356(P2009−261356A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116896(P2008−116896)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000003517)天龍工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】