緑化仮設構造体
【課題】屋外緑化と室内緑化とに適した緑化仮設構造体であって、構築物と一体化することなく簡単に組立て且つ解体し得るとともに、緑化パネルの部分的な交換又はメンテナンスを容易に行うことができる緑化仮設構造体を提供する。
【解決手段】緑化仮設構造体は、フレーム体(8)に緑化ブロック(7)を収容してなる緑化パネル(6)と、緑化パネルを支持する支持体(1)と、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段(4,9)とを備える。支持体は、少なくとも2本の支柱(3)と、支柱間に架け渡された横架材(4)とを有する。支持体の横架材又は支柱に対して、緑化パネルの背面又は両側を装着手段によって装着することにより、支持体の前面に多数の緑化パネルを連続又は不連続に配置した緑化面が構築される。
【解決手段】緑化仮設構造体は、フレーム体(8)に緑化ブロック(7)を収容してなる緑化パネル(6)と、緑化パネルを支持する支持体(1)と、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段(4,9)とを備える。支持体は、少なくとも2本の支柱(3)と、支柱間に架け渡された横架材(4)とを有する。支持体の横架材又は支柱に対して、緑化パネルの背面又は両側を装着手段によって装着することにより、支持体の前面に多数の緑化パネルを連続又は不連続に配置した緑化面が構築される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内及び屋外に設置可能な、緑化パネルを利用した緑化仮設構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物や擁壁などの構築物の表面緑化には、最近、緑化パネルが多く用いられている。緑化パネルは、植生基盤となる植生マットもしくは緑化ブロックを所定のパネル枠に収容して成り、一般的には、擁壁や建物の壁面あるいは屋根面など既設の構築物の被取付け面に、パネル枠を接着剤によって直付けしたり、あるいは取付け治具などを介して固定される(例えば日本国特許公開平11−293689号公報(以下、特許文献1という)と、日本国特開2001−214447号公報(以下、特許文献2という)参照)。
【0003】
また、横方向に間隔をおいて配設されたパネル取付縦枠間に緑化パネルを配設し、緑化パネルの側部をパネル取付縦枠に取付けるようにした緑化パネルも提案されている(日本国特許公開2001−320968号公報(以下、特許文献3という)参照)。この緑化パネルのパネル取付縦枠は、構築物の壁面に固定されたアンカープレートにボルトナットを介して取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−293689号公報
【特許文献2】特開2001−214447号公報
【特許文献3】特開2001−320968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1から3に記載された緑化パネルは、いずれも、構築物の壁面などに固定されて構築物と一体化され、常設されるものであるため、その取り替えが不能あるいは厄介であり、簡単に移動させることもできない。
【0006】
また、これらの従来技術は、緑化パネルが構築物の壁面などに平行に固定され、固定後は緑化パネル背面が隠されてしまうために、メンテナンスが容易でない。しかも、戸外での設置を予定したものであるため、室内の壁面などを手軽に緑化することはできない。
【0007】
本発明の目的は、構築物と一体化されることなく簡単に組み立て及び解体でき、緑化パネルの部分的な取り換えやメンテナンスも容易に行うことができるばかりでなく、屋外緑化と室内緑化にも最適な緑化仮設構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した目的を達成するために、次の構成を備える点に特徴がある。
【0009】
すなわち、請求項1に係る本緑化仮設構造体は、フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルと、この緑化パネルの支持体と、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段とを備える。支持体は、少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とを有する。そして、緑化パネルの背面もしくは両側を支持体の横架材もしくは支柱材に上記装着手段によって装着することにより、支持体前面に多数の緑化パネルを連続もしくは不連続に配置させた緑化面を構築させた、ものである。
【0010】
また、請求項2に係る本緑化仮設構造体は、請求項1に係る緑化仮設構造体の構成に加え、緑化パネルに、水及び/もしくは液肥を供給する給液手段を更に備える、点に特徴を有する。
【0011】
緑化パネルの緑化ブロックは、植生基材(例えばピートモス)に種あるいは種苗を植え付けて形成されている。植生基材には、根張りを良好に確保して植物を生育を可能とする他の種々の基材を用いることができる。緑化パネルの大きさは、仮設構造体の大きさや取扱いの利便性、緑化面のまとまりなどを考慮して適宜設定される。
【0012】
緑化パネルのフレーム体は、緑化ブロックを収容可能なフレーム体であれば、面材や杆材、線材などその材質や構造あるいは形状などの如何を問うものではない。例えば、緑化ブロックの外周面を取囲む帯板材から成る周面フレームと、緑化ブロックを背面から抱持する背面フレームとによって構成される。面材を用いる場合には、パンチングメタルなどの多孔板を採用しても良い。
【0013】
フレーム体の周面フレームを帯板材によって形成する場合、緑化ブロックの外周面を奥行き方向に所要の間隔を置いて取囲むようにし、また背面フレームの場合、緑化ブロック背面を上下方向に所要の間隔を置いて抱持する複数条の帯板材によって形成することもできる。
【0014】
フレーム体を線材によって屈曲形成する場合、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に形成すると良い。
【0015】
緑化パネルを支持する支持体は、例えば、所要の間隔を置いて起立する少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とから成る。
【0016】
支持体は、屋内配置型と屋外配置型とに分けて、それぞれに適した構造を選択すると良い。望ましくは自立可能な構造とする。場合によっては、支持体は、室内壁面などに仮り固定可能な構造にもできる。支柱材には、アングル材、丸棒材、角パイプあるいは丸パイプ材などの杆材が用いられる。また、自立構造の支持体は、底部に滑動部材を設けて移動可能としても良い。
【0017】
支持体を、三点位置に立設された3本の支柱材と、これらの隣り合う支柱材間に架け渡された横架材とによって構成すれば、支柱材間の横架材に前記装着手段を介して複数の緑化ブロックを装着することにより、全体で3つの緑化面が構築される。
【0018】
また、支持体を、所要の間隔を置いて立設された複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とによって自立可能な骨組み体とすることもできる。この骨組み体による支持体であれば、前面と後面とに緑化パネルが装着されて前後2面の緑化面が構築される。
【0019】
前記支持体の横架材を、支柱材間に架け渡される直線状の杆材によって構成する場合、例えば、上向き溝を有する断面略U字状のレール材にすることもできる。この場合、横架材は、緑化パネルの背面に取付けられた掛止め部材とともに前記装着手段を構成し、上向き溝にフック状の掛止め部材を掛け止めさせて緑化パネルを横架材の長手方向に摺動自在に支持する。 掛止め部材は、緑化パネルの背面フレームに一体形成されたものであっても良い。
【0020】
また、支持体の横架材は、直線状でなく、杆材を大径の略U字状に湾曲形成したものであっても良い。複数本の横架材は、それぞれ上下方向に間隔をおくとともに長さ方向任意の複数箇所を前記複数の支柱に固定され、横架材に装着手段を介して装着される緑化パネルは、上下及び左右方向に間隔を置き、平面略馬蹄状に配設される。
【0021】
装着手段は、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する態様のものであれば、その構造を別段制限するものではない。支持体の支柱材及び横架材を丸パイプ材によって形成すれば、装着手段は、緑化パネルの背面フレーム体に固定したクランプ材であっても良い。
【0022】
装着手段によって、緑化パネルは、支持体に上下方向と長さ方向に間隔をおいてあるいは連続もしくは不連続の面を成すように取付けられる。
【0023】
また、装着手段は、緑化パネルを緑化ブロック前面が垂直になった状態で支持体に取付けるものに限定されず、緑化ブロック前面が後傾した状態で緑化パネルを支持体に装着させるものも含む。望ましくは、装着手段は、緑化ブロックの後傾角度を調整自在とする。
【0024】
請求項2に係る発明の給液手段は、例えば、液源と、この液源から各緑化パネルに水もしくは液肥を供給する管路と、管路先端にあって水もしくは液肥を流出させるノズルと、管路中途に設けられた給液用ポンプとを備える。給液手段は、ノズルを緑化パネルの緑化ブロック中に挿脱自在に挿し込みあるいは緑化ブロックと緑化ブロックとの間に挟み込んで、給液用ポンプによって液源からの水もしくは液肥を、管路を介して緑化パネルに送り込む。
【0025】
管路は、例えば、緑化パネルの背後に配管された主管と、この主管から前方に向けて分岐された多数の細いチューブとから成る。各チューブの先端には、水もしくは液肥を噴霧させる針状ノズルが取付けられている。周面フレームの上フレーム材の内面に、上記管路を配設し、緑化ブロックと対面する管路周壁に設けた多数の供給孔から、水等を供給するようにしても良い。上フレーム材は、開閉自在な蓋体構造を成すように形成したものであっても良い。
【0026】
また、給液手段には、タイマーを設け、所定時間に給液用ポンプを稼働させて緑化パネルに水もしくは液肥を供給するようにしても良い。
【0027】
支持体は、下部に、緑化パネルを通過した余剰液を受ける着脱自在なトレイを備える。トレイ内に溜められた余剰液は、再使用のために給液手段に回送させて循環される。
【0028】
支柱間領域前面に配置される緑化パネルは、例えば屋内配置型のものにあっては、当該領域前面を覆い尽くすようにして縦横連続的な面状に配置されるようにすると良い。多数個の緑化パネルを縦横に不連続な面状に配設する場合、不連続部分には装飾パネル及び/もしくはボックスパネルが配設される。これにより、支持体の前面は、緑化パネルと、装飾パネル及び/もしくはボックスパネルによって覆い尽くされる。
【0029】
緑化パネルと装飾パネルとボックスパネルは、ともに装着手段によって支持体に着脱自在に装着される。装飾パネルとボックスパネルは、装着手段によって背面が支持体に着脱自在に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る緑化仮設構造体であって、一つの緑化パネルを取り外した状態の正面図である。
【図2】図2は図1の緑化仮設構造体の緑化パネルの外観分斜視図である。
【図3】図3は支持体と緑化パネルのフレーム体との装着状態を示す斜視図である。
【図4】図4は緑化仮設構造体の拡大側面図である。
【図5】図5は支持体の支柱と横架材との結合部の拡大平面図である。
【図6】図6は緑化パネルへの給液手段の一例を示す外観斜視図である。
【図7】図7は本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【図8】図8は図7の構造体にも用いられる装飾パネルを背面がわから見た斜視図である。
【図9】図9は別の実施例に係る給液手段を示す外観斜視図である。
【図10】図10は本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【図11】図11は図10の緑化仮設構造体の側面図である。
【図12】図12は支持体の支柱と横架材との結合部の拡大平面図である。
【図13】図13は図10の緑化仮設構造体の他例を示す正面図である。
【図14】図14は図13の緑化仮設構造体の側面図である。
【図15】図15は本発明の更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視である。
【図16】図16は図15の緑化仮設構造体に用いられる緑化パネルのフレーム体の側面図である。
【図17】図17は図16のフレーム体の正面図である。
【図18】図18は図16のフレーム体の背面図である。
【図19】図19は本発明の他の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図である。
【図20】図20は本発明に用いられる緑化パネルのフレーム体の他例を示す斜視図である。
【図21】図21は図20のフレーム体を用いた緑化パネルの使用例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る室内緑化仮設構造体の一つの緑化パネルを取り外した状態の正面図、図2は緑化パネルの外観斜視図、図3は支持体と緑化パネルのフレーム体との装着状態を示す組み立て斜視図、図4は緑化仮設構造体の拡大側面図、図5は支持体の支柱と横架材との結合部を拡大して示す平面図、図6は緑化パネルへの給液手段の一例を示す外観斜視図である。
【0033】
図1及び図3において図中符号1は、緑化仮設構造体の骨組み体を成す支持体である。
【0034】
支持体1は、基台2と、この基台2に所要の間隔を置いて立設された左右の支柱3,3と、この支柱間に水平方向に延びる横架材4とから成っている。
【0035】
支柱3は、図3及び図4に見られるようにL型アングル材から成り、溝を互いに内向きにして基端部3aを基台2に固定されている。
【0036】
横架材4は、所定の間隔を保って平行に延びる上溝を有する断面略U字状もしくはJ字状の上レール4a及び下レール4bの両端にL型ブラケット4cを固着して成り、ボルトナットを介してL型ブラケット4cを支柱3の側片に着脱自在に固定されている(図5参照)。横架材4は、後述する緑化パネル6の配置段数分だけ支柱3に横設され、支柱間空間の前面に緑化パネル6を個別に着脱自在に支持する。図1の仮設構造体では上下方向に所定の間隔を置いて5段取付けられている(図3では、5段のうちの下から3段だけを示す)。
【0037】
基台2は、正面板を有しないボックス形状を成し、内面両隅に支柱3の基端部3aが固定されている。基台2の内側には、後述する水もしくは液肥の余剰分などを受けるトレイ5が前後方向に挿脱自在に収納されている。トレイ5には、図示しないドレイン抜きホースを連通させるようにしても良い。
【0038】
6は、支持体1の前面に装着された緑化パネルで、上下方向に5段、左右方向に3列の計15個、配設されている。
【0039】
緑化パネル6は、緑化ブロック7とこれを支持、収容するフレーム体8とから成る。
【0040】
緑化ブロック7は、緑化ブロック本体に種や種苗を植え付けることにより構成されている。緑化ブロック本体は、ピートモスなどの植物遺体の繊維が三次元的に絡み合った構造で空隙率が大きく透水性に富む立体的繊維状体を、天然の澱粉糊やPVA(ポリビニルアルコール)とそのエステル、酢酸エステル、ポリメチルセルロースなどの水溶性高分子を含む結合剤によって結合し、乾燥させたものなどが採用される。この緑化ブロック本体は、軽量で、弾力性に優れ、植物の根張りを保証する。大きさは別段制限されるものではないが、例えば30cm×30cm四方で、厚み8.5cmの直方体形状に形成される。
【0041】
フレーム体8は、図2と図3に示すように、緑化ブロック7の上下左右の4周面を取囲む周面フレーム8aと、背面から左右両側にかけて緑化ブロックを抱持する背面フレーム8bとから成る。
【0042】
周面フレーム8aは、所要幅の帯板材によって枠状に形成され、緑化ブロック7の周面の奥行き幅方向の前方部と後方部の2箇所を取り囲む。2条の周面フレーム8a,8aの間には、緑化ブロック外周面の奥行き幅中間部の表面が枠状に露呈する(図2参照)。
【0043】
背面フレーム8bは、周面フレーム8aと同様に所要幅の帯板材によって、背面部と両側面部とを有する略コ字状に屈曲形成され、両側面部を周面フレーム8aの側面部内面に固着することにより、周面フレームと一体化されている(図3参照)。背面フレーム8bは、緑化ブロック7の背面上下方向に上記した横架材4の上レール4aと下レール4bの間隔をおいて2条、設けられている。
【0044】
背面フレーム8bの背面部外面には、それぞれ上レール4aもしくは下レール4bに摺動自在に掛止される上部フック9aと下部フック9bが取付けられている。上部フック9aと下部フック9bは、ともに左右2個のフック片から成る。
【0045】
緑化パネル6は、背面フレーム8bの上部フック9aを横架材4の上レール4aに、また下部フック9bを同じ横架材4の下レール4bにそれぞれ掛止させることで、支持体の前面に着脱自在に取付けられる。支持体1に取付けられた緑化パネル6は、各段の横架材4のレール4a,4bに沿って横方向に連続するともに、全段の横架材4に掛止されて縦方向に連続し、支持体1の前面を図1に示すように上下左右にほぼ隙間なく、覆う。
【0046】
支持体1には、両側に、左右両端に位置する緑化パネル6の外側面を遮蔽する側板(図示しない)を設けるようにしても良い。側板は、基台2と支柱3の側面に沿って立ち上がり、一方もしくは両方を開閉もしくは着脱自在な構造とする。これにより、フック9をレール4a,4bに沿って摺動させることで、解放された側板のがわから各段の緑化パネル6を外部に引き出すことが可能となる。こうした構造は、特に、特定の緑化パネル6のみを取り替えあるいはメンテナンスする際に有効である。
【0047】
また、同様に図示しないが、支持体1には、最上段の緑化パネル6の上面を覆う天板が取付けられる。基台2の底部には、本緑化構造体を移動可能とするキャスタやローラが設けられる。更に、支持体1の背面には、背面板が取付けられる。
【0048】
支持体1に緑化パネル6を支持させた本緑化構造体には、緑化パネル6の背後に液供給手段としての潅水装置10が設置される。潅水装置10は、各緑化パネル6の緑化ブロック7に水もしくは液肥(以下、水等という)などを供給する。
【0049】
潅水装置10は、図6に示すように、水等を貯溜するタンク11と、水等を緑化ブロック6に噴霧させるノズル12と、タンク11とノズル12とを連通させる供給管13をと備える。タンク11は、支持体1と離れて設けられ、水道管などの水供給源と連通される。供給菅13は、支持体1の横架材背面に、支柱3に沿って立設される縦管13bと、縦管13bの長さ方向所定位置から横方向に延びる横管13cと、縦管基端とタンク11とを連通する主管13aとを有する。
【0050】
縦管13bは、緑化パネル6の左右幅間隔で、緑化パネル6の列の数だけ設けられる。
【0051】
横管13cは、緑化パネル6の高さ間隔で、緑化パネル6の段数分だけ設けられる。横管13cには複数本のチューブ13dが接続され、チューブ13dの先端に針状ノズル12が取付けられている。針状ノズル12は、単一もしくは複数の開孔を有し、緑化ブロック6の背面もしくは上面の露出する部分(周面フレーム8a,8aの間あるいは背面フレーム8b、8bの間)に挿し込まれて、水等を緑化ブロック6の内部に送り込む。
【0052】
縦管13bと横管13cは、支持体1の支柱間の空間、横架材4と背面板との間の空間に収納される。
【0053】
主管13aには、中途にポンプ15と電磁弁16が介装され、コントローラ14によって水等の供給が時間制御される。
【0054】
この緑化仮設構造体の組立て及び使用法について説明する。
【0055】
先ず、基台2に支柱3の基端部をボルトナット締めして左右の支柱3,3を立設する。支柱間の内面空間に潅水装置10の縦管13bと横管13cを配設する。縦管13bの基端部を水等の供給用の主管13aと接続する。
【0056】
支柱3の側板に横架材4のL型ブラケット4cを固定して、前面に5段分のレールを横設する。緑化パネル6は、予め希望する植物を植生等した緑化ブロック7をフレーム体8に収容したものを用意する。緑化パネル6は、フレーム体8が帯板材によって形成されているので、比較的軽量で、取扱いが容易である。
【0057】
横架材4の上レール4aと下レール4bに緑化パネル背面の上下のフック9a,9bを掛止して、緑化パネル6を支持体前面に装着する。緑化パネル6は、下段のものからフック9を対応するレール8a,8bに引っ掛けることにより、上段に向けて順次取付けられる。横架材4の端部がわからレール8a,8bにフック9を挿入するようにして取付けることもできる。
【0058】
次いで、各緑化パネル6の緑化ブロック7の露出部に横管から前方に引き出されたチューブ先端のノズル12を挿し込む。
【0059】
緑化パネル6を上下左右に連続的に取付けて支持体前面を覆った後、背板を取付けるとともに天板、及び側板を固定して、室内の希望する位置に配置する。必要によっては、転倒防止金具などによって壁面に支持体1を固定する。
【0060】
これにより、室内に、起立する緑化面が構築される。緑化面を形成する緑化パネル6は、緑化ブロック7を収容するフレーム体8が帯板材によって形成され、緑化ブロック7の周面と背面の一部が適度に露出し、特に背面が支柱間の空間に露呈するので、通気性に富む。
【0061】
コントローラ14を動作させると、所定の時間ごとにタンク内の水等がポンプによって供給菅内に圧送される。圧送された水等は、主管13aから縦管13b、横管13cを経て、チューブ先端のノズル12より随時適量が緑化ブロック内に送り込まれる。電磁弁16は、主管内の流れを分岐制御する。
【0062】
緑化パネル6は、上下段のものが近接するようにして配置され、緑化ブロック周面の露出部が対面するので、上段の緑化パネル6を通過した余剰水等は、下段の緑化パネル6の緑化ブロック内に滴下浸透する。したがって、供給菅13を介しての下段緑化パネル6への水分供給量は、ノズル12の開孔径を小さくしたりあるいは開孔数を少なくするなどして、上段のものより少量になるように設定すると良い。
【0063】
最下段の緑化パネル6の緑化ブロック内を通過した余剰水は、基台2のトレイ5に受けられ、必要に応じて引き出されて捨てられ、あるいはドレインホースを介して外部に放出される。
【0064】
このようにして、潅水装置10が駆動されることで、緑化構造体に水等が自動的に供給される。 また、余剰水等が不必要にフレーム体内に留まることはなく、背面の露出部から緑化ブロック内に適度の空気が流れ込むので、植栽された植物に根腐れなどを生じさせることもない。
【0065】
一部の緑化パネル6に植栽されている植物の成長が思わしくない場合など、支持体1の側板を外すか開放し、当該特定の緑化パネル6の位置する段の側板がわの緑化パネル6から特定の緑化パネル6までを、順次レール4a,4bに沿って取り外す。特定の緑化パネル6を新しい緑化パネル6に交換した後、側板がわの端部より横方向にスライドさせるようにして、再度装着し、側板を取付ける。
【0066】
緑化面を形成する植物の一部について他のものと異なる種類に変更したい場合、あるいは季節に応じた植物に変更したい場合など、緑化パネル6の交換は、同様の手順によって簡単に行うことができる。
【0067】
緑化仮設構造体を解体するには、金ての緑化パネル6を横架材4に沿って取り外した後、横架材4を支柱3から取り外す。水等の供給管13を取り除くとともに基台2から支柱3を取り外すことで、本仮設構造体は、緑化パネル6と、支柱3と、横架材4と、基台2とに分離される。側板と天板及び背面板は、分解作業中、適宜の工程でそれぞれ分離される。
【0068】
図7は、本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【0069】
この実施例では、支持体前面の緑化面を緑化パネル6によって連続的に覆い尽くすのではなく、一部に装飾パネル26を配置するようにしたものである。図中、奇数段の右端と偶数段の左端に装飾パネル26が配置され、他を緑化パネル6としてある。
【0070】
装飾パネルの構造を図8に示す。
【0071】
装飾パネル26は、前面に緑化パネル6と同じ大きさの飾りプレート27を有し、飾りプレート27の裏側に、緑化パネル6の背面フレーム8bと同じもの28が取付けられている。飾りプレート27は、表面を単一色や複数色によって彩色したもの、図柄や文字を付したもの、絵画、写真、デザイン、あるいは各種広告など、種々のものを選定できる。
【0072】
支持体1への装飾パネル26の装着は、上記した緑化パネル6と同様に背面フレーム28の上下のフック29を支持体横架材4の上下のレール4a,4bに掛止させて行う。
【0073】
緑化パネル6の構造は、前記実施例と異なるものではない。ただし、潅水装置10から供給される水等が飾りプレート27に滴下して汚れるのを避けるため、緑化ブロック6のフレーム体8は、緑化ブロック6の周面と背面のうち、少なくとも周面を全面的に覆うフレーム体を用いるのが望ましい。フレーム体8の背面をパンチングメタルによって覆い、パンチング開口から潅水装置10のノズル12を挿し込むようにすることもできる。パンチングメタルは、支柱間空間で緑化ブロック6の通気性も確保する。
【0074】
緑化パネルの構造は、図8に示すものに限定されるものではなく、例えば、緑化パネルを装着後、不連続部を構成する開口に前方から押し込むようにして取付けられる構造でも良い。この場合、背面フレーム28に設けられるフック29は、レールの前面に押されて弾性的に変位し、レール溝に嵌りこんだ後に復帰して溝内に掛止される弾性爪によって構成すると良い。
【0075】
上記実施例においては、装飾パネルの変わりに、ボックスパネルを用いることもできる。
【0076】
ボックスパネルは、図示しないが、前面が開放される一方、背面に上記した実施例の上下フックを有する、奥行きのあるボックスタイプのパネルである。ボックスパネルの内部には、各種の装飾品や機器などが陳列あるいは載置される。
【0077】
また、ボックスパネルには扉体を取り付けるようにしても良い。
【0078】
図9は、潅水装置の他例を示す
【0079】
この潅水装置20では、緑化ブロック6への給水は、横管33cの管壁に形成した多数の噴射孔32から緑化ブロック6の上部周面に散布するようにして行われる。
【0080】
縦管33bの基端部は、電磁弁36を介して主管33aと連通されている。縦管33bは、前記した実施例と同じように緑化ブロック6の列の数だけ設けられそれぞれ緑化ブロック6の最上段の上部周面に達する長さを有する。横管33cは、縦管33bの上端にのみ設けられる。もちろん、各段ごとに対応する横管33cを延設するようにしても良い。なお、同図中、35はポンプである。
【0081】
図10と図11は、本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図と側面図で、主として屋外に配置されるタイプのものを示す。なお、緑化パネルについては、緑化ブロックを取り外した状態で示してある。緑化ブロックの構成については、前記した実施例と同じである。
【0082】
図中符合101は支持体で、左右一対の支柱材103,103と、支柱材103の高さ方向所定位置に複数段架け渡された横架材104とから成る。支柱材103は、丸パイプによって形成され、横架材104は、図3から図5の例と同じようにレール材によって構成されている(図12参照)。支柱材103の下端には、ジャッキベース102が取付けられ、高さ調整自在となっている。
【0083】
横架材104は、連結金具105を介して両側端を支柱材103に連結されている。連結金具105は、楔式構造のものが採用され、図12に示すように、支柱材103がわに設けられる楔受けリング105aと、横架材104がわに設けられる楔受けブロック105b、楔本体105c、取付けアーム105d、及び傾斜固定板105eを備える。
【0084】
楔受けリング105aは、板面に楔受け孔が放射状に形成され(図示せず)、支柱材103の外周の高さ方向所定位置に水平に嵌め込み固定されている。
【0085】
楔受けブロック105bは、一側中間部に楔受けリングの板面を部分的に挿入可能な凹溝105fを有し、上下方向に楔打込み孔が貫通形成されている。
【0086】
楔受けブロック105bの他側には、取付けアーム105dが水平に張り出すように溶着されている。水平な取付けアーム105dの先端には、L型の傾斜固定板105eがボルト及びナットを用いて着脱自在に固定されている。傾斜固定板105eは、約60度に後傾した状態で取付けアーム105dに固定されている。傾斜固定板105eの前面には、上下一対のレール状横架材104が同様にボルトナット締めされて固定されている。
【0087】
楔受けブロック105bの凹溝105fに楔受けリング105aを挿入し、楔打込み孔と楔受け孔に楔本体105cを打ち込むことにより、連結金具105は横架材104を支柱材103に固定する。
【0088】
横架材104には、前記した実施例と同じ構造の緑化パネル106が掛止される。緑化パネル106は、横架材104が斜め後方に傾斜している関係上、緑化ブロックの正面を日照方向に向けることになる。緑化パネル106の傾斜角度は、横架材104の固定される傾斜固定板を任意角度に調節可能な構造とすることによって、変更可能となる。この場合、緑化パネル106が日照方向に段階的に追随可能な緑化仮設構造体を得ることができる。
【0089】
図10と図11の実施例に係る緑化仮設構造体は、緑化パネル106が左右方向に連続し、上下方向に隙間をあけて配設されているが、図13と図14に示すように左右方向に連続するともに正面から見て上下方向にほとんど隙間を持たない構造にすることもできる。
【0090】
図15は、本発明の更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図を示す。
【0091】
本実施例では、支持体201を構成する横架材204が直線状の丸パイプから成る。横架材204は、支柱材203との交差部をクランプ211によって固定されている。
【0092】
本実施例での緑化パネル206は、図16から図18に示すフレーム体208を備える。このフレーム体は、帯板片の両側を長く起立させた前後フレーム片208aと左右フレーム片208bの互いの底面を十字状に交差させて成る。緑化ブロック207(図15参照)は、このフレーム体208に上方から嵌め込まれている。フレーム体208の前後フレーム片208aの背面にはクランプ208cが固定されている。
【0093】
したがって、緑化パネル206は、横架材204の長さ方向任意位置にフレーム体208のクランプ208cを装着することにより、支持体2−1に支持される。装着手段としてクランプ208cを用いることから、緑化パネル206を丸パイプ材から成る支柱材203に装着させることもできる(図15参照)。
【0094】
この緑化仮設構造体は、横架材204あるいは支柱材203の適所から背後にワイヤで牽引して起立状態を補強するようにしても良い。
【0095】
図19は、更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図を示す。
【0096】
本実施例では、支持体301を構成する横架材304は、丸パイプ材を馬蹄型に湾曲形成して成る。支柱材303は、この横架材304を水平に支持するために、横架材304に沿う位置に4箇所立設されている。横架材と支柱材とは、交差箇所を溶着もしくはクランプによって連結されている。
【0097】
緑化パネル306は、図16から図18と同じ構造のフレーム体を持つものが採用され、横架材304の適宜箇所にフレーム体背面のクランプを介して装着されている。
【0098】
したがって、この緑化仮設構造体によれば、単に上下左右方向に連続する緑化面でなく、前方に突出するように湾曲した緑化面を得ることができる。
【0099】
図20と図21の実施例は、緑化パネル406のフレーム体408を線材によって屈曲形成してある。フレーム体408は、基本的に上記図16から図18の板材より成るフレーム体の外周をかたどった前後フレーム辺408aと左右フレーム辺408bを、互いの底辺を十字状に交差させて成る。緑化ブロック407は、このフレーム体408に上方から嵌め込まれている。
【0100】
両図の実施例が図16から図18の実施例に係る緑化パネルのフレーム体と異なる点は、フレーム体408が線材によって形成されている点と、装着手段として、前後フレーム辺408aの背面にクランプでなく断面コ字状の固定片408cが開口を下向きにして固定されている点である。
【0101】
この緑化パネル406は、例えば図21に見られるような、枠体403の上枠部403aに固定片408cを嵌着して取付けられる。枠体403としては、例えば建枠間に配置される養生パネルなどが用いられる。枠体内の網体部分に、緑化ブロック407に植栽されたつた状植物がからまって養生パネル全体を植生面とする。
【0102】
なお、屋外配置型の緑化仮設構造体(図10〜図21)の例では、図示しないものの、前記屋内配置型の緑化仮設構造体に用いた潅水装置を同様にして組み込むこともできる。こうした潅水装置による水供給あるいは有効肥料成分供給は、外部環境の変化を考慮したタイマーによる時間制御を行うことができる。また、設置環境の違いや、病気、害虫その他、植物の健康や健全な発育を阻害する因子を考慮し、土壌や根、葉、あるいは花についての継続観察データ(例えば乾燥度合いやpHあるいは成長度合いや害虫の存在の有無)を、健全状態時の測定データと比較してマイナス要因側に傾いた状態のときに自動的に適切な処置(pH調整剤、水分、薬剤などの散布)を行うようにしても良い。
【0103】
また、支持体は、支柱材と横架材との組合せにより種々のタイプを採用できる。例えば、支柱材を所要の間隔を置いて三点位置に立設し、隣り合う支柱材間に複数段にわたって横架材を架け渡すことにより、三角柱状の緑化面を構築させることができる。
【0104】
更に、複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とから成る自立可能な骨組み体によって支持体を構成することにより、前面と背面の両面に緑化面を持つ仮設構造体を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の緑化構造体は、フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルを支持体の横架材もしくは支柱材に装着手段によって着脱自在に装着することにより、支持体前面に多数の緑化パネルが連続もしくは不連続に配置された緑化面を構築するようにしてあるので、構築物と一体化されることなく簡単かつ容易に組み立て及び分解が可能な緑化仮設構造体を得ることができる。
【0106】
また、緑化パネルは、装着手段によって個別に支持体に装着されるので、壁面などに恒久的に固定されるものとは異なり、所望の植物が植栽された複数種類の緑化ブロックを任意に組み合わせることができ、望みの緑化面を簡単に得ることができるばかりでなく、部分的な緑化パネルの取り替えやメンテナンスも楽に行うことができる。
【0107】
また、本緑化構造体は、建物の壁面などの被緑化面と一体化されるものではなく、配置及び撤去並びに移動も簡単に行えるよう構成することが可能であるため、屋外のみならず建物内での緑化設備としても利用できる。
【0108】
更に、給液手段を備えた緑化仮設構造体によれば、特に室内に設置する場合に、植物の生育に必要な水や液肥などを適宜の時期に応分量だけ緑化ブロックに供給することができる。
【0109】
緑化パネルを傾斜させた状態で支持体に取付ける装着手段を採用することにより、特に屋外設置の場合に緑化ブロックの緑化面への日照を効率良く行うことができ、植物の良好な生育に寄与できる。また、傾斜角度の調整を可能とすることにより、緑化ブロックへの日照時間を植物あるいは季節に応じて増減できる。
【符号の説明】
【0110】
1 支持体
3 支柱
4 横架材
4a 上レール
4b 下レール
6 下段緑化パネル
7 緑化ブロック
8 フレーム体
8a 周面フレーム
8b 背面フレーム
9 フック
9a 上部フック
9b 下部フック
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内及び屋外に設置可能な、緑化パネルを利用した緑化仮設構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物や擁壁などの構築物の表面緑化には、最近、緑化パネルが多く用いられている。緑化パネルは、植生基盤となる植生マットもしくは緑化ブロックを所定のパネル枠に収容して成り、一般的には、擁壁や建物の壁面あるいは屋根面など既設の構築物の被取付け面に、パネル枠を接着剤によって直付けしたり、あるいは取付け治具などを介して固定される(例えば日本国特許公開平11−293689号公報(以下、特許文献1という)と、日本国特開2001−214447号公報(以下、特許文献2という)参照)。
【0003】
また、横方向に間隔をおいて配設されたパネル取付縦枠間に緑化パネルを配設し、緑化パネルの側部をパネル取付縦枠に取付けるようにした緑化パネルも提案されている(日本国特許公開2001−320968号公報(以下、特許文献3という)参照)。この緑化パネルのパネル取付縦枠は、構築物の壁面に固定されたアンカープレートにボルトナットを介して取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−293689号公報
【特許文献2】特開2001−214447号公報
【特許文献3】特開2001−320968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1から3に記載された緑化パネルは、いずれも、構築物の壁面などに固定されて構築物と一体化され、常設されるものであるため、その取り替えが不能あるいは厄介であり、簡単に移動させることもできない。
【0006】
また、これらの従来技術は、緑化パネルが構築物の壁面などに平行に固定され、固定後は緑化パネル背面が隠されてしまうために、メンテナンスが容易でない。しかも、戸外での設置を予定したものであるため、室内の壁面などを手軽に緑化することはできない。
【0007】
本発明の目的は、構築物と一体化されることなく簡単に組み立て及び解体でき、緑化パネルの部分的な取り換えやメンテナンスも容易に行うことができるばかりでなく、屋外緑化と室内緑化にも最適な緑化仮設構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した目的を達成するために、次の構成を備える点に特徴がある。
【0009】
すなわち、請求項1に係る本緑化仮設構造体は、フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルと、この緑化パネルの支持体と、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段とを備える。支持体は、少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とを有する。そして、緑化パネルの背面もしくは両側を支持体の横架材もしくは支柱材に上記装着手段によって装着することにより、支持体前面に多数の緑化パネルを連続もしくは不連続に配置させた緑化面を構築させた、ものである。
【0010】
また、請求項2に係る本緑化仮設構造体は、請求項1に係る緑化仮設構造体の構成に加え、緑化パネルに、水及び/もしくは液肥を供給する給液手段を更に備える、点に特徴を有する。
【0011】
緑化パネルの緑化ブロックは、植生基材(例えばピートモス)に種あるいは種苗を植え付けて形成されている。植生基材には、根張りを良好に確保して植物を生育を可能とする他の種々の基材を用いることができる。緑化パネルの大きさは、仮設構造体の大きさや取扱いの利便性、緑化面のまとまりなどを考慮して適宜設定される。
【0012】
緑化パネルのフレーム体は、緑化ブロックを収容可能なフレーム体であれば、面材や杆材、線材などその材質や構造あるいは形状などの如何を問うものではない。例えば、緑化ブロックの外周面を取囲む帯板材から成る周面フレームと、緑化ブロックを背面から抱持する背面フレームとによって構成される。面材を用いる場合には、パンチングメタルなどの多孔板を採用しても良い。
【0013】
フレーム体の周面フレームを帯板材によって形成する場合、緑化ブロックの外周面を奥行き方向に所要の間隔を置いて取囲むようにし、また背面フレームの場合、緑化ブロック背面を上下方向に所要の間隔を置いて抱持する複数条の帯板材によって形成することもできる。
【0014】
フレーム体を線材によって屈曲形成する場合、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に形成すると良い。
【0015】
緑化パネルを支持する支持体は、例えば、所要の間隔を置いて起立する少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とから成る。
【0016】
支持体は、屋内配置型と屋外配置型とに分けて、それぞれに適した構造を選択すると良い。望ましくは自立可能な構造とする。場合によっては、支持体は、室内壁面などに仮り固定可能な構造にもできる。支柱材には、アングル材、丸棒材、角パイプあるいは丸パイプ材などの杆材が用いられる。また、自立構造の支持体は、底部に滑動部材を設けて移動可能としても良い。
【0017】
支持体を、三点位置に立設された3本の支柱材と、これらの隣り合う支柱材間に架け渡された横架材とによって構成すれば、支柱材間の横架材に前記装着手段を介して複数の緑化ブロックを装着することにより、全体で3つの緑化面が構築される。
【0018】
また、支持体を、所要の間隔を置いて立設された複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とによって自立可能な骨組み体とすることもできる。この骨組み体による支持体であれば、前面と後面とに緑化パネルが装着されて前後2面の緑化面が構築される。
【0019】
前記支持体の横架材を、支柱材間に架け渡される直線状の杆材によって構成する場合、例えば、上向き溝を有する断面略U字状のレール材にすることもできる。この場合、横架材は、緑化パネルの背面に取付けられた掛止め部材とともに前記装着手段を構成し、上向き溝にフック状の掛止め部材を掛け止めさせて緑化パネルを横架材の長手方向に摺動自在に支持する。 掛止め部材は、緑化パネルの背面フレームに一体形成されたものであっても良い。
【0020】
また、支持体の横架材は、直線状でなく、杆材を大径の略U字状に湾曲形成したものであっても良い。複数本の横架材は、それぞれ上下方向に間隔をおくとともに長さ方向任意の複数箇所を前記複数の支柱に固定され、横架材に装着手段を介して装着される緑化パネルは、上下及び左右方向に間隔を置き、平面略馬蹄状に配設される。
【0021】
装着手段は、緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する態様のものであれば、その構造を別段制限するものではない。支持体の支柱材及び横架材を丸パイプ材によって形成すれば、装着手段は、緑化パネルの背面フレーム体に固定したクランプ材であっても良い。
【0022】
装着手段によって、緑化パネルは、支持体に上下方向と長さ方向に間隔をおいてあるいは連続もしくは不連続の面を成すように取付けられる。
【0023】
また、装着手段は、緑化パネルを緑化ブロック前面が垂直になった状態で支持体に取付けるものに限定されず、緑化ブロック前面が後傾した状態で緑化パネルを支持体に装着させるものも含む。望ましくは、装着手段は、緑化ブロックの後傾角度を調整自在とする。
【0024】
請求項2に係る発明の給液手段は、例えば、液源と、この液源から各緑化パネルに水もしくは液肥を供給する管路と、管路先端にあって水もしくは液肥を流出させるノズルと、管路中途に設けられた給液用ポンプとを備える。給液手段は、ノズルを緑化パネルの緑化ブロック中に挿脱自在に挿し込みあるいは緑化ブロックと緑化ブロックとの間に挟み込んで、給液用ポンプによって液源からの水もしくは液肥を、管路を介して緑化パネルに送り込む。
【0025】
管路は、例えば、緑化パネルの背後に配管された主管と、この主管から前方に向けて分岐された多数の細いチューブとから成る。各チューブの先端には、水もしくは液肥を噴霧させる針状ノズルが取付けられている。周面フレームの上フレーム材の内面に、上記管路を配設し、緑化ブロックと対面する管路周壁に設けた多数の供給孔から、水等を供給するようにしても良い。上フレーム材は、開閉自在な蓋体構造を成すように形成したものであっても良い。
【0026】
また、給液手段には、タイマーを設け、所定時間に給液用ポンプを稼働させて緑化パネルに水もしくは液肥を供給するようにしても良い。
【0027】
支持体は、下部に、緑化パネルを通過した余剰液を受ける着脱自在なトレイを備える。トレイ内に溜められた余剰液は、再使用のために給液手段に回送させて循環される。
【0028】
支柱間領域前面に配置される緑化パネルは、例えば屋内配置型のものにあっては、当該領域前面を覆い尽くすようにして縦横連続的な面状に配置されるようにすると良い。多数個の緑化パネルを縦横に不連続な面状に配設する場合、不連続部分には装飾パネル及び/もしくはボックスパネルが配設される。これにより、支持体の前面は、緑化パネルと、装飾パネル及び/もしくはボックスパネルによって覆い尽くされる。
【0029】
緑化パネルと装飾パネルとボックスパネルは、ともに装着手段によって支持体に着脱自在に装着される。装飾パネルとボックスパネルは、装着手段によって背面が支持体に着脱自在に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る緑化仮設構造体であって、一つの緑化パネルを取り外した状態の正面図である。
【図2】図2は図1の緑化仮設構造体の緑化パネルの外観分斜視図である。
【図3】図3は支持体と緑化パネルのフレーム体との装着状態を示す斜視図である。
【図4】図4は緑化仮設構造体の拡大側面図である。
【図5】図5は支持体の支柱と横架材との結合部の拡大平面図である。
【図6】図6は緑化パネルへの給液手段の一例を示す外観斜視図である。
【図7】図7は本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【図8】図8は図7の構造体にも用いられる装飾パネルを背面がわから見た斜視図である。
【図9】図9は別の実施例に係る給液手段を示す外観斜視図である。
【図10】図10は本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【図11】図11は図10の緑化仮設構造体の側面図である。
【図12】図12は支持体の支柱と横架材との結合部の拡大平面図である。
【図13】図13は図10の緑化仮設構造体の他例を示す正面図である。
【図14】図14は図13の緑化仮設構造体の側面図である。
【図15】図15は本発明の更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視である。
【図16】図16は図15の緑化仮設構造体に用いられる緑化パネルのフレーム体の側面図である。
【図17】図17は図16のフレーム体の正面図である。
【図18】図18は図16のフレーム体の背面図である。
【図19】図19は本発明の他の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図である。
【図20】図20は本発明に用いられる緑化パネルのフレーム体の他例を示す斜視図である。
【図21】図21は図20のフレーム体を用いた緑化パネルの使用例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る室内緑化仮設構造体の一つの緑化パネルを取り外した状態の正面図、図2は緑化パネルの外観斜視図、図3は支持体と緑化パネルのフレーム体との装着状態を示す組み立て斜視図、図4は緑化仮設構造体の拡大側面図、図5は支持体の支柱と横架材との結合部を拡大して示す平面図、図6は緑化パネルへの給液手段の一例を示す外観斜視図である。
【0033】
図1及び図3において図中符号1は、緑化仮設構造体の骨組み体を成す支持体である。
【0034】
支持体1は、基台2と、この基台2に所要の間隔を置いて立設された左右の支柱3,3と、この支柱間に水平方向に延びる横架材4とから成っている。
【0035】
支柱3は、図3及び図4に見られるようにL型アングル材から成り、溝を互いに内向きにして基端部3aを基台2に固定されている。
【0036】
横架材4は、所定の間隔を保って平行に延びる上溝を有する断面略U字状もしくはJ字状の上レール4a及び下レール4bの両端にL型ブラケット4cを固着して成り、ボルトナットを介してL型ブラケット4cを支柱3の側片に着脱自在に固定されている(図5参照)。横架材4は、後述する緑化パネル6の配置段数分だけ支柱3に横設され、支柱間空間の前面に緑化パネル6を個別に着脱自在に支持する。図1の仮設構造体では上下方向に所定の間隔を置いて5段取付けられている(図3では、5段のうちの下から3段だけを示す)。
【0037】
基台2は、正面板を有しないボックス形状を成し、内面両隅に支柱3の基端部3aが固定されている。基台2の内側には、後述する水もしくは液肥の余剰分などを受けるトレイ5が前後方向に挿脱自在に収納されている。トレイ5には、図示しないドレイン抜きホースを連通させるようにしても良い。
【0038】
6は、支持体1の前面に装着された緑化パネルで、上下方向に5段、左右方向に3列の計15個、配設されている。
【0039】
緑化パネル6は、緑化ブロック7とこれを支持、収容するフレーム体8とから成る。
【0040】
緑化ブロック7は、緑化ブロック本体に種や種苗を植え付けることにより構成されている。緑化ブロック本体は、ピートモスなどの植物遺体の繊維が三次元的に絡み合った構造で空隙率が大きく透水性に富む立体的繊維状体を、天然の澱粉糊やPVA(ポリビニルアルコール)とそのエステル、酢酸エステル、ポリメチルセルロースなどの水溶性高分子を含む結合剤によって結合し、乾燥させたものなどが採用される。この緑化ブロック本体は、軽量で、弾力性に優れ、植物の根張りを保証する。大きさは別段制限されるものではないが、例えば30cm×30cm四方で、厚み8.5cmの直方体形状に形成される。
【0041】
フレーム体8は、図2と図3に示すように、緑化ブロック7の上下左右の4周面を取囲む周面フレーム8aと、背面から左右両側にかけて緑化ブロックを抱持する背面フレーム8bとから成る。
【0042】
周面フレーム8aは、所要幅の帯板材によって枠状に形成され、緑化ブロック7の周面の奥行き幅方向の前方部と後方部の2箇所を取り囲む。2条の周面フレーム8a,8aの間には、緑化ブロック外周面の奥行き幅中間部の表面が枠状に露呈する(図2参照)。
【0043】
背面フレーム8bは、周面フレーム8aと同様に所要幅の帯板材によって、背面部と両側面部とを有する略コ字状に屈曲形成され、両側面部を周面フレーム8aの側面部内面に固着することにより、周面フレームと一体化されている(図3参照)。背面フレーム8bは、緑化ブロック7の背面上下方向に上記した横架材4の上レール4aと下レール4bの間隔をおいて2条、設けられている。
【0044】
背面フレーム8bの背面部外面には、それぞれ上レール4aもしくは下レール4bに摺動自在に掛止される上部フック9aと下部フック9bが取付けられている。上部フック9aと下部フック9bは、ともに左右2個のフック片から成る。
【0045】
緑化パネル6は、背面フレーム8bの上部フック9aを横架材4の上レール4aに、また下部フック9bを同じ横架材4の下レール4bにそれぞれ掛止させることで、支持体の前面に着脱自在に取付けられる。支持体1に取付けられた緑化パネル6は、各段の横架材4のレール4a,4bに沿って横方向に連続するともに、全段の横架材4に掛止されて縦方向に連続し、支持体1の前面を図1に示すように上下左右にほぼ隙間なく、覆う。
【0046】
支持体1には、両側に、左右両端に位置する緑化パネル6の外側面を遮蔽する側板(図示しない)を設けるようにしても良い。側板は、基台2と支柱3の側面に沿って立ち上がり、一方もしくは両方を開閉もしくは着脱自在な構造とする。これにより、フック9をレール4a,4bに沿って摺動させることで、解放された側板のがわから各段の緑化パネル6を外部に引き出すことが可能となる。こうした構造は、特に、特定の緑化パネル6のみを取り替えあるいはメンテナンスする際に有効である。
【0047】
また、同様に図示しないが、支持体1には、最上段の緑化パネル6の上面を覆う天板が取付けられる。基台2の底部には、本緑化構造体を移動可能とするキャスタやローラが設けられる。更に、支持体1の背面には、背面板が取付けられる。
【0048】
支持体1に緑化パネル6を支持させた本緑化構造体には、緑化パネル6の背後に液供給手段としての潅水装置10が設置される。潅水装置10は、各緑化パネル6の緑化ブロック7に水もしくは液肥(以下、水等という)などを供給する。
【0049】
潅水装置10は、図6に示すように、水等を貯溜するタンク11と、水等を緑化ブロック6に噴霧させるノズル12と、タンク11とノズル12とを連通させる供給管13をと備える。タンク11は、支持体1と離れて設けられ、水道管などの水供給源と連通される。供給菅13は、支持体1の横架材背面に、支柱3に沿って立設される縦管13bと、縦管13bの長さ方向所定位置から横方向に延びる横管13cと、縦管基端とタンク11とを連通する主管13aとを有する。
【0050】
縦管13bは、緑化パネル6の左右幅間隔で、緑化パネル6の列の数だけ設けられる。
【0051】
横管13cは、緑化パネル6の高さ間隔で、緑化パネル6の段数分だけ設けられる。横管13cには複数本のチューブ13dが接続され、チューブ13dの先端に針状ノズル12が取付けられている。針状ノズル12は、単一もしくは複数の開孔を有し、緑化ブロック6の背面もしくは上面の露出する部分(周面フレーム8a,8aの間あるいは背面フレーム8b、8bの間)に挿し込まれて、水等を緑化ブロック6の内部に送り込む。
【0052】
縦管13bと横管13cは、支持体1の支柱間の空間、横架材4と背面板との間の空間に収納される。
【0053】
主管13aには、中途にポンプ15と電磁弁16が介装され、コントローラ14によって水等の供給が時間制御される。
【0054】
この緑化仮設構造体の組立て及び使用法について説明する。
【0055】
先ず、基台2に支柱3の基端部をボルトナット締めして左右の支柱3,3を立設する。支柱間の内面空間に潅水装置10の縦管13bと横管13cを配設する。縦管13bの基端部を水等の供給用の主管13aと接続する。
【0056】
支柱3の側板に横架材4のL型ブラケット4cを固定して、前面に5段分のレールを横設する。緑化パネル6は、予め希望する植物を植生等した緑化ブロック7をフレーム体8に収容したものを用意する。緑化パネル6は、フレーム体8が帯板材によって形成されているので、比較的軽量で、取扱いが容易である。
【0057】
横架材4の上レール4aと下レール4bに緑化パネル背面の上下のフック9a,9bを掛止して、緑化パネル6を支持体前面に装着する。緑化パネル6は、下段のものからフック9を対応するレール8a,8bに引っ掛けることにより、上段に向けて順次取付けられる。横架材4の端部がわからレール8a,8bにフック9を挿入するようにして取付けることもできる。
【0058】
次いで、各緑化パネル6の緑化ブロック7の露出部に横管から前方に引き出されたチューブ先端のノズル12を挿し込む。
【0059】
緑化パネル6を上下左右に連続的に取付けて支持体前面を覆った後、背板を取付けるとともに天板、及び側板を固定して、室内の希望する位置に配置する。必要によっては、転倒防止金具などによって壁面に支持体1を固定する。
【0060】
これにより、室内に、起立する緑化面が構築される。緑化面を形成する緑化パネル6は、緑化ブロック7を収容するフレーム体8が帯板材によって形成され、緑化ブロック7の周面と背面の一部が適度に露出し、特に背面が支柱間の空間に露呈するので、通気性に富む。
【0061】
コントローラ14を動作させると、所定の時間ごとにタンク内の水等がポンプによって供給菅内に圧送される。圧送された水等は、主管13aから縦管13b、横管13cを経て、チューブ先端のノズル12より随時適量が緑化ブロック内に送り込まれる。電磁弁16は、主管内の流れを分岐制御する。
【0062】
緑化パネル6は、上下段のものが近接するようにして配置され、緑化ブロック周面の露出部が対面するので、上段の緑化パネル6を通過した余剰水等は、下段の緑化パネル6の緑化ブロック内に滴下浸透する。したがって、供給菅13を介しての下段緑化パネル6への水分供給量は、ノズル12の開孔径を小さくしたりあるいは開孔数を少なくするなどして、上段のものより少量になるように設定すると良い。
【0063】
最下段の緑化パネル6の緑化ブロック内を通過した余剰水は、基台2のトレイ5に受けられ、必要に応じて引き出されて捨てられ、あるいはドレインホースを介して外部に放出される。
【0064】
このようにして、潅水装置10が駆動されることで、緑化構造体に水等が自動的に供給される。 また、余剰水等が不必要にフレーム体内に留まることはなく、背面の露出部から緑化ブロック内に適度の空気が流れ込むので、植栽された植物に根腐れなどを生じさせることもない。
【0065】
一部の緑化パネル6に植栽されている植物の成長が思わしくない場合など、支持体1の側板を外すか開放し、当該特定の緑化パネル6の位置する段の側板がわの緑化パネル6から特定の緑化パネル6までを、順次レール4a,4bに沿って取り外す。特定の緑化パネル6を新しい緑化パネル6に交換した後、側板がわの端部より横方向にスライドさせるようにして、再度装着し、側板を取付ける。
【0066】
緑化面を形成する植物の一部について他のものと異なる種類に変更したい場合、あるいは季節に応じた植物に変更したい場合など、緑化パネル6の交換は、同様の手順によって簡単に行うことができる。
【0067】
緑化仮設構造体を解体するには、金ての緑化パネル6を横架材4に沿って取り外した後、横架材4を支柱3から取り外す。水等の供給管13を取り除くとともに基台2から支柱3を取り外すことで、本仮設構造体は、緑化パネル6と、支柱3と、横架材4と、基台2とに分離される。側板と天板及び背面板は、分解作業中、適宜の工程でそれぞれ分離される。
【0068】
図7は、本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図である。
【0069】
この実施例では、支持体前面の緑化面を緑化パネル6によって連続的に覆い尽くすのではなく、一部に装飾パネル26を配置するようにしたものである。図中、奇数段の右端と偶数段の左端に装飾パネル26が配置され、他を緑化パネル6としてある。
【0070】
装飾パネルの構造を図8に示す。
【0071】
装飾パネル26は、前面に緑化パネル6と同じ大きさの飾りプレート27を有し、飾りプレート27の裏側に、緑化パネル6の背面フレーム8bと同じもの28が取付けられている。飾りプレート27は、表面を単一色や複数色によって彩色したもの、図柄や文字を付したもの、絵画、写真、デザイン、あるいは各種広告など、種々のものを選定できる。
【0072】
支持体1への装飾パネル26の装着は、上記した緑化パネル6と同様に背面フレーム28の上下のフック29を支持体横架材4の上下のレール4a,4bに掛止させて行う。
【0073】
緑化パネル6の構造は、前記実施例と異なるものではない。ただし、潅水装置10から供給される水等が飾りプレート27に滴下して汚れるのを避けるため、緑化ブロック6のフレーム体8は、緑化ブロック6の周面と背面のうち、少なくとも周面を全面的に覆うフレーム体を用いるのが望ましい。フレーム体8の背面をパンチングメタルによって覆い、パンチング開口から潅水装置10のノズル12を挿し込むようにすることもできる。パンチングメタルは、支柱間空間で緑化ブロック6の通気性も確保する。
【0074】
緑化パネルの構造は、図8に示すものに限定されるものではなく、例えば、緑化パネルを装着後、不連続部を構成する開口に前方から押し込むようにして取付けられる構造でも良い。この場合、背面フレーム28に設けられるフック29は、レールの前面に押されて弾性的に変位し、レール溝に嵌りこんだ後に復帰して溝内に掛止される弾性爪によって構成すると良い。
【0075】
上記実施例においては、装飾パネルの変わりに、ボックスパネルを用いることもできる。
【0076】
ボックスパネルは、図示しないが、前面が開放される一方、背面に上記した実施例の上下フックを有する、奥行きのあるボックスタイプのパネルである。ボックスパネルの内部には、各種の装飾品や機器などが陳列あるいは載置される。
【0077】
また、ボックスパネルには扉体を取り付けるようにしても良い。
【0078】
図9は、潅水装置の他例を示す
【0079】
この潅水装置20では、緑化ブロック6への給水は、横管33cの管壁に形成した多数の噴射孔32から緑化ブロック6の上部周面に散布するようにして行われる。
【0080】
縦管33bの基端部は、電磁弁36を介して主管33aと連通されている。縦管33bは、前記した実施例と同じように緑化ブロック6の列の数だけ設けられそれぞれ緑化ブロック6の最上段の上部周面に達する長さを有する。横管33cは、縦管33bの上端にのみ設けられる。もちろん、各段ごとに対応する横管33cを延設するようにしても良い。なお、同図中、35はポンプである。
【0081】
図10と図11は、本発明の別の実施例に係る緑化仮設構造体の正面図と側面図で、主として屋外に配置されるタイプのものを示す。なお、緑化パネルについては、緑化ブロックを取り外した状態で示してある。緑化ブロックの構成については、前記した実施例と同じである。
【0082】
図中符合101は支持体で、左右一対の支柱材103,103と、支柱材103の高さ方向所定位置に複数段架け渡された横架材104とから成る。支柱材103は、丸パイプによって形成され、横架材104は、図3から図5の例と同じようにレール材によって構成されている(図12参照)。支柱材103の下端には、ジャッキベース102が取付けられ、高さ調整自在となっている。
【0083】
横架材104は、連結金具105を介して両側端を支柱材103に連結されている。連結金具105は、楔式構造のものが採用され、図12に示すように、支柱材103がわに設けられる楔受けリング105aと、横架材104がわに設けられる楔受けブロック105b、楔本体105c、取付けアーム105d、及び傾斜固定板105eを備える。
【0084】
楔受けリング105aは、板面に楔受け孔が放射状に形成され(図示せず)、支柱材103の外周の高さ方向所定位置に水平に嵌め込み固定されている。
【0085】
楔受けブロック105bは、一側中間部に楔受けリングの板面を部分的に挿入可能な凹溝105fを有し、上下方向に楔打込み孔が貫通形成されている。
【0086】
楔受けブロック105bの他側には、取付けアーム105dが水平に張り出すように溶着されている。水平な取付けアーム105dの先端には、L型の傾斜固定板105eがボルト及びナットを用いて着脱自在に固定されている。傾斜固定板105eは、約60度に後傾した状態で取付けアーム105dに固定されている。傾斜固定板105eの前面には、上下一対のレール状横架材104が同様にボルトナット締めされて固定されている。
【0087】
楔受けブロック105bの凹溝105fに楔受けリング105aを挿入し、楔打込み孔と楔受け孔に楔本体105cを打ち込むことにより、連結金具105は横架材104を支柱材103に固定する。
【0088】
横架材104には、前記した実施例と同じ構造の緑化パネル106が掛止される。緑化パネル106は、横架材104が斜め後方に傾斜している関係上、緑化ブロックの正面を日照方向に向けることになる。緑化パネル106の傾斜角度は、横架材104の固定される傾斜固定板を任意角度に調節可能な構造とすることによって、変更可能となる。この場合、緑化パネル106が日照方向に段階的に追随可能な緑化仮設構造体を得ることができる。
【0089】
図10と図11の実施例に係る緑化仮設構造体は、緑化パネル106が左右方向に連続し、上下方向に隙間をあけて配設されているが、図13と図14に示すように左右方向に連続するともに正面から見て上下方向にほとんど隙間を持たない構造にすることもできる。
【0090】
図15は、本発明の更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図を示す。
【0091】
本実施例では、支持体201を構成する横架材204が直線状の丸パイプから成る。横架材204は、支柱材203との交差部をクランプ211によって固定されている。
【0092】
本実施例での緑化パネル206は、図16から図18に示すフレーム体208を備える。このフレーム体は、帯板片の両側を長く起立させた前後フレーム片208aと左右フレーム片208bの互いの底面を十字状に交差させて成る。緑化ブロック207(図15参照)は、このフレーム体208に上方から嵌め込まれている。フレーム体208の前後フレーム片208aの背面にはクランプ208cが固定されている。
【0093】
したがって、緑化パネル206は、横架材204の長さ方向任意位置にフレーム体208のクランプ208cを装着することにより、支持体2−1に支持される。装着手段としてクランプ208cを用いることから、緑化パネル206を丸パイプ材から成る支柱材203に装着させることもできる(図15参照)。
【0094】
この緑化仮設構造体は、横架材204あるいは支柱材203の適所から背後にワイヤで牽引して起立状態を補強するようにしても良い。
【0095】
図19は、更に別の実施例に係る屋外設置型緑化仮設構造体の外観斜視図を示す。
【0096】
本実施例では、支持体301を構成する横架材304は、丸パイプ材を馬蹄型に湾曲形成して成る。支柱材303は、この横架材304を水平に支持するために、横架材304に沿う位置に4箇所立設されている。横架材と支柱材とは、交差箇所を溶着もしくはクランプによって連結されている。
【0097】
緑化パネル306は、図16から図18と同じ構造のフレーム体を持つものが採用され、横架材304の適宜箇所にフレーム体背面のクランプを介して装着されている。
【0098】
したがって、この緑化仮設構造体によれば、単に上下左右方向に連続する緑化面でなく、前方に突出するように湾曲した緑化面を得ることができる。
【0099】
図20と図21の実施例は、緑化パネル406のフレーム体408を線材によって屈曲形成してある。フレーム体408は、基本的に上記図16から図18の板材より成るフレーム体の外周をかたどった前後フレーム辺408aと左右フレーム辺408bを、互いの底辺を十字状に交差させて成る。緑化ブロック407は、このフレーム体408に上方から嵌め込まれている。
【0100】
両図の実施例が図16から図18の実施例に係る緑化パネルのフレーム体と異なる点は、フレーム体408が線材によって形成されている点と、装着手段として、前後フレーム辺408aの背面にクランプでなく断面コ字状の固定片408cが開口を下向きにして固定されている点である。
【0101】
この緑化パネル406は、例えば図21に見られるような、枠体403の上枠部403aに固定片408cを嵌着して取付けられる。枠体403としては、例えば建枠間に配置される養生パネルなどが用いられる。枠体内の網体部分に、緑化ブロック407に植栽されたつた状植物がからまって養生パネル全体を植生面とする。
【0102】
なお、屋外配置型の緑化仮設構造体(図10〜図21)の例では、図示しないものの、前記屋内配置型の緑化仮設構造体に用いた潅水装置を同様にして組み込むこともできる。こうした潅水装置による水供給あるいは有効肥料成分供給は、外部環境の変化を考慮したタイマーによる時間制御を行うことができる。また、設置環境の違いや、病気、害虫その他、植物の健康や健全な発育を阻害する因子を考慮し、土壌や根、葉、あるいは花についての継続観察データ(例えば乾燥度合いやpHあるいは成長度合いや害虫の存在の有無)を、健全状態時の測定データと比較してマイナス要因側に傾いた状態のときに自動的に適切な処置(pH調整剤、水分、薬剤などの散布)を行うようにしても良い。
【0103】
また、支持体は、支柱材と横架材との組合せにより種々のタイプを採用できる。例えば、支柱材を所要の間隔を置いて三点位置に立設し、隣り合う支柱材間に複数段にわたって横架材を架け渡すことにより、三角柱状の緑化面を構築させることができる。
【0104】
更に、複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とから成る自立可能な骨組み体によって支持体を構成することにより、前面と背面の両面に緑化面を持つ仮設構造体を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の緑化構造体は、フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルを支持体の横架材もしくは支柱材に装着手段によって着脱自在に装着することにより、支持体前面に多数の緑化パネルが連続もしくは不連続に配置された緑化面を構築するようにしてあるので、構築物と一体化されることなく簡単かつ容易に組み立て及び分解が可能な緑化仮設構造体を得ることができる。
【0106】
また、緑化パネルは、装着手段によって個別に支持体に装着されるので、壁面などに恒久的に固定されるものとは異なり、所望の植物が植栽された複数種類の緑化ブロックを任意に組み合わせることができ、望みの緑化面を簡単に得ることができるばかりでなく、部分的な緑化パネルの取り替えやメンテナンスも楽に行うことができる。
【0107】
また、本緑化構造体は、建物の壁面などの被緑化面と一体化されるものではなく、配置及び撤去並びに移動も簡単に行えるよう構成することが可能であるため、屋外のみならず建物内での緑化設備としても利用できる。
【0108】
更に、給液手段を備えた緑化仮設構造体によれば、特に室内に設置する場合に、植物の生育に必要な水や液肥などを適宜の時期に応分量だけ緑化ブロックに供給することができる。
【0109】
緑化パネルを傾斜させた状態で支持体に取付ける装着手段を採用することにより、特に屋外設置の場合に緑化ブロックの緑化面への日照を効率良く行うことができ、植物の良好な生育に寄与できる。また、傾斜角度の調整を可能とすることにより、緑化ブロックへの日照時間を植物あるいは季節に応じて増減できる。
【符号の説明】
【0110】
1 支持体
3 支柱
4 横架材
4a 上レール
4b 下レール
6 下段緑化パネル
7 緑化ブロック
8 フレーム体
8a 周面フレーム
8b 背面フレーム
9 フック
9a 上部フック
9b 下部フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルと、
この緑化パネルの支持体と、
緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段とを備え、
上記支持体は、少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とを有し、
緑化パネルの背面もしくは両側を支持体の横架材もしくは支柱材に上記装着手段によって装着することにより、支持体前面に、多数の緑化パネルが連続もしくは不連続に配置された緑化面を構築した、ことを特徴とする緑化仮設構造体。
【請求項2】
請求項1記載の緑化仮設構造体において、
前記緑化パネルに、水及び/もしくは液肥を供給する給液手段を更に備える、ことを特徴とする緑化仮設構造体。
【請求項3】
前記緑化パネルの緑化ブロックは、ピートモスから成る植生基材に種もしくは種苗を植え付けることにより形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項4】
前記緑化パネルのフレーム体は、前記緑化ブロックの外周面を取囲む帯板材から成る周面フレームと、緑化ブロックを背面から抱持する背面フレームとを備える、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緑化仮設構造体。
【請求項5】
前記フレーム体の周面フレームは、前記緑化ブロックの外周面を奥行き方向に所要の間隔を置いて取囲む複数条の帯板材から成る、ことを特徴とする請求項4記載の緑化仮設構造体。
【請求項6】
前記フレーム体の背面フレームは、前記緑化ブロックの背面を上下方向に所要の間隔を置いて抱持する複数条の帯板材から成る、ことを特徴とする請求項4記載の緑化仮設構造体。
【請求項7】
前記フレーム体は、線材によって、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に屈曲形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項8】
前記フレーム体は、帯板材によって、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に折曲形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項9】
前記支持体は、自立可能な支持体である、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項10】
前記支持体は、所要の間隔を置いて三点位置に立設された3本の支柱材と、これらの隣り合う支柱材間に、架け渡された横架材とから成り、
支柱材間の横架材に前記装着手段を介して複数の緑化ブロックを装着することにより、全体で3つの緑化面が構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項11】
前記支持体は、所要の間隔を置いて立設された複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とから成る自立可能な骨組み体によって形成され、
横架材または横架材と支柱材とに前記装着手段を介して緑化パネルを多数装着することにより、支持体の前後面に2面の緑化面が構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項12】
前記支持体の横架材は、支柱材間に架け渡された直線状の杆材で、上向き溝を有するレール状に形成され、緑化パネルの背面に取付けられた掛止め部材とともに前記装着手段を構成し、
横架材の上向き溝に掛止め部材を横架材の長手方向に摺動自在に掛止めして緑化パネルを支持体に装着する、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項13】
前記掛止め部材は、緑化パネルの背面フレームに固定されたフック部材から成る、ことを特徴とする請求項12記載の緑化仮設構造体。
【請求項14】
前記支持体の横架材は、杆材を大径の略馬蹄状に湾曲形成して成り、
複数本の横架材が、それぞれ上下方向に間隔をおくとともに長さ方向任意の複数箇所を前記複数の支柱に固定され、
横架材に前記装着手段を介して装着される緑化パネルが、上下及び左右方向に間隔を置いて配設された、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項15】
前記支持体の支柱材及び横架材は、丸パイプ材から成り、
前記装着手段は、緑化パネルの背面フレーム体に固定したクランプ材で、
このクランプ材を介して緑化パネルが横架材もしくは横架材及び支柱材に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項16】
前記装着手段は、緑化パネルの緑化ブロック前面を後傾させた状態で支持体に装着させる、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項17】
前記装着手段は、前記緑化ブロックの後傾角度を調整自在とする、ことを特徴とする請求項16記載の緑化仮設構造体。
【請求項18】
前記緑化パネルと支持体と装着手段とによって、支持体前面に、多数の緑化パネルを連続もしくは不連続の面状に配置した緑化面を構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項19】
前記給液手段は、液源と、この液源から各緑化パネルに水もしくは液肥を供給する管路と、管路先端にあって水もしくは液肥を流出させるノズルと、管路中途に設けられた給液用ポンプとを備え、
ノズルを緑化パネルの緑化ブロック中に挿脱自在に挿し込みもしくは緑化ブロックと緑化ブロックとの間に挟みこみ、給液用ポンプによって液源から水もしくは液肥を、管路を介して緑化パネルに送り込む、ことを特徴とする請求項2記載の緑化仮設構造体。
【請求項20】
前記管路は、緑化パネルの背後に配管された主管と、この主管から前方に向けて分岐された多数の細いチューブとから成り、各チューブの先端に水もしくは液肥を噴霧させる針状ノズルが取付けられている、ことを特徴とする請求項19記載の緑化仮設構造体。
【請求項21】
前記給液手段は、タイマーを備え、所定時間に給液用ポンプを稼働させて緑化パネルに水もしくは液肥を供給する、ことを特徴とする請求項2もしくは19記載の緑化仮設構造体。
【請求項22】
前記支持体は、下部に緑化パネルを通過した余剰液を受ける着脱自在なトレイを備え、トレイ内に溜られた余剰液を再使用のために給液手段に回送させて循環させる、ことを特徴とする請求項2記載の緑化仮設構造体。
【請求項23】
支持体間に多数個の緑化パネルを不連続な面状に配設するとともに不連続な部分に装飾パネル及び/もしくはボックスパネルを配設して、支持体の前面を緑化パネル並びに装飾パネル及び/もしくはボックスパネルによって覆い尽くすようにしてあり、
緑化パネルと装飾パネルとボックスパネルが、装着手段によって支持体に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項24】
装飾パネル及びボックスパネルは、装着手段によって背面が支持体に着脱自在に装着される、ことを特徴とする請求項22記載の緑化仮設構造体。
【請求項1】
フレーム体に緑化ブロックを収容した緑化パネルと、
この緑化パネルの支持体と、
緑化パネルを支持体に着脱自在に装着する装着手段とを備え、
上記支持体は、少なくとも2本の支柱材とこの支柱材間に架け渡された横架材とを有し、
緑化パネルの背面もしくは両側を支持体の横架材もしくは支柱材に上記装着手段によって装着することにより、支持体前面に、多数の緑化パネルが連続もしくは不連続に配置された緑化面を構築した、ことを特徴とする緑化仮設構造体。
【請求項2】
請求項1記載の緑化仮設構造体において、
前記緑化パネルに、水及び/もしくは液肥を供給する給液手段を更に備える、ことを特徴とする緑化仮設構造体。
【請求項3】
前記緑化パネルの緑化ブロックは、ピートモスから成る植生基材に種もしくは種苗を植え付けることにより形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項4】
前記緑化パネルのフレーム体は、前記緑化ブロックの外周面を取囲む帯板材から成る周面フレームと、緑化ブロックを背面から抱持する背面フレームとを備える、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緑化仮設構造体。
【請求項5】
前記フレーム体の周面フレームは、前記緑化ブロックの外周面を奥行き方向に所要の間隔を置いて取囲む複数条の帯板材から成る、ことを特徴とする請求項4記載の緑化仮設構造体。
【請求項6】
前記フレーム体の背面フレームは、前記緑化ブロックの背面を上下方向に所要の間隔を置いて抱持する複数条の帯板材から成る、ことを特徴とする請求項4記載の緑化仮設構造体。
【請求項7】
前記フレーム体は、線材によって、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に屈曲形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項8】
前記フレーム体は、帯板材によって、緑化ブロックの底部と左右両側部と前後中央部とを支える形状に折曲形成されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項9】
前記支持体は、自立可能な支持体である、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項10】
前記支持体は、所要の間隔を置いて三点位置に立設された3本の支柱材と、これらの隣り合う支柱材間に、架け渡された横架材とから成り、
支柱材間の横架材に前記装着手段を介して複数の緑化ブロックを装着することにより、全体で3つの緑化面が構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項11】
前記支持体は、所要の間隔を置いて立設された複数本の前方支柱材と、これらの前方支柱材の後方に同様に所要の間隔を置いて立設された複数本の後方支柱材と、これら前方支柱材及び後方支柱材を連結する繋ぎ杆と、隣り合う前方支柱材同士もしくは後方支柱材同士を連結する横架材とから成る自立可能な骨組み体によって形成され、
横架材または横架材と支柱材とに前記装着手段を介して緑化パネルを多数装着することにより、支持体の前後面に2面の緑化面が構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項12】
前記支持体の横架材は、支柱材間に架け渡された直線状の杆材で、上向き溝を有するレール状に形成され、緑化パネルの背面に取付けられた掛止め部材とともに前記装着手段を構成し、
横架材の上向き溝に掛止め部材を横架材の長手方向に摺動自在に掛止めして緑化パネルを支持体に装着する、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項13】
前記掛止め部材は、緑化パネルの背面フレームに固定されたフック部材から成る、ことを特徴とする請求項12記載の緑化仮設構造体。
【請求項14】
前記支持体の横架材は、杆材を大径の略馬蹄状に湾曲形成して成り、
複数本の横架材が、それぞれ上下方向に間隔をおくとともに長さ方向任意の複数箇所を前記複数の支柱に固定され、
横架材に前記装着手段を介して装着される緑化パネルが、上下及び左右方向に間隔を置いて配設された、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項15】
前記支持体の支柱材及び横架材は、丸パイプ材から成り、
前記装着手段は、緑化パネルの背面フレーム体に固定したクランプ材で、
このクランプ材を介して緑化パネルが横架材もしくは横架材及び支柱材に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項16】
前記装着手段は、緑化パネルの緑化ブロック前面を後傾させた状態で支持体に装着させる、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項17】
前記装着手段は、前記緑化ブロックの後傾角度を調整自在とする、ことを特徴とする請求項16記載の緑化仮設構造体。
【請求項18】
前記緑化パネルと支持体と装着手段とによって、支持体前面に、多数の緑化パネルを連続もしくは不連続の面状に配置した緑化面を構築されて成る、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項19】
前記給液手段は、液源と、この液源から各緑化パネルに水もしくは液肥を供給する管路と、管路先端にあって水もしくは液肥を流出させるノズルと、管路中途に設けられた給液用ポンプとを備え、
ノズルを緑化パネルの緑化ブロック中に挿脱自在に挿し込みもしくは緑化ブロックと緑化ブロックとの間に挟みこみ、給液用ポンプによって液源から水もしくは液肥を、管路を介して緑化パネルに送り込む、ことを特徴とする請求項2記載の緑化仮設構造体。
【請求項20】
前記管路は、緑化パネルの背後に配管された主管と、この主管から前方に向けて分岐された多数の細いチューブとから成り、各チューブの先端に水もしくは液肥を噴霧させる針状ノズルが取付けられている、ことを特徴とする請求項19記載の緑化仮設構造体。
【請求項21】
前記給液手段は、タイマーを備え、所定時間に給液用ポンプを稼働させて緑化パネルに水もしくは液肥を供給する、ことを特徴とする請求項2もしくは19記載の緑化仮設構造体。
【請求項22】
前記支持体は、下部に緑化パネルを通過した余剰液を受ける着脱自在なトレイを備え、トレイ内に溜られた余剰液を再使用のために給液手段に回送させて循環させる、ことを特徴とする請求項2記載の緑化仮設構造体。
【請求項23】
支持体間に多数個の緑化パネルを不連続な面状に配設するとともに不連続な部分に装飾パネル及び/もしくはボックスパネルを配設して、支持体の前面を緑化パネル並びに装飾パネル及び/もしくはボックスパネルによって覆い尽くすようにしてあり、
緑化パネルと装飾パネルとボックスパネルが、装着手段によって支持体に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の緑化仮設構造体。
【請求項24】
装飾パネル及びボックスパネルは、装着手段によって背面が支持体に着脱自在に装着される、ことを特徴とする請求項22記載の緑化仮設構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−55843(P2011−55843A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264863(P2010−264863)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2006−550577(P2006−550577)の分割
【原出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(591195189)株式会社杉孝 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2006−550577(P2006−550577)の分割
【原出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(591195189)株式会社杉孝 (22)
【Fターム(参考)】
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