説明

緑化駐車場とその緑化駐車場の施工方法

【課題】車のタイヤに踏み潰されることなく、比較的広い面積に芝生等を植生することができ、緑化による温度上昇を抑えることができ、しかも車間距離を保って駐車させることができる緑化駐車場と緑化駐車場の施工方法を提供する。
【解決手段】 駐車場1にガイド部材6により駐車エリア4a〜cに位置する入車側を末広がり状としたタイヤガイド部P1,P2,P3を形成する共に、車が通行しない駐車場1の領域を外壁3、車止め5及びガイド部材6により芝生植生部Qを形成し、該芝生植生部Qにはアスファルトカッターで排水孔9を形成し、次に芝生植生部Qに芝生10と用土11を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤを駐車エリアの所定の位置に案内するタイヤガイドを備えた緑化駐車場とその緑化駐車場の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部のアスファルトやコンクリートによる道路舗装整備と都市開発によるオフィス街のビル建設により緑地が減少し、日中の舗装道路やビルの外壁による照り返しによるヒートアイランド現象の問題が取り沙汰されており、ビルの屋上や外壁の緑化の開発が推進されている。
【0003】
しかし、ビルの屋上や外壁の緑化は進んでいるが、コンクリートやアスファルトで舗装された都心の屋外の駐車場においては、その広い面積の舗装からの照り返しがヒートアイランド現象の一因にもなっているにも係わらず、積極的な緑化開発は行なわれていないのが現状である。
【0004】
その理由としては、第1に、駐車場のスペースは殆ど車体幅2m、車体長3mの車両の駐車エリアに占有され、駐車時の車体下に芝生等を植生してもタイヤ等によって踏み潰され、最終的には芝生等の植物が腐ってしまい、結局、芝生等を植生するのは駐車エリア以外の狭いスペースに植生するしかなく、芝生等の植生による緑化の効果が期待できないこと。
【0005】
第2に、現代は老若男女を問わず運転免許を取得し、運転する車社会となっているが、当該運転免許を取得している者は、トラック、タクシーやバス等の車での運搬業を生業としてる者より、運転が不慣れな日曜ドライバーと呼ばれる者が大半であり、それらの多くは、縦列駐車やバックによる駐車は苦手としている。
【0006】
そのため、自宅の慣れた駐車場とは違い、慣れない都心の駐車場では指定された駐車エリアに停めることは難しく、幾度かの方向修正が必要となるが、その際に駐車エリアから車体をはみ出し、駐車エリア外に植生された芝生等をタイヤ等で踏み潰してしまうことが考えられる。
【0007】
また、特許文献1に示す車両止め機能付植生器があるが、かかる植生器の部分のみしか芝生等を植生することができないため、駐車場の緑化面積が少なく緑化による温度上昇を抑えるという効果を期待することができなかった。
【特許文献1】特開2006−333856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は車のタイヤに踏み潰されることなく、比較的広い面積に芝生等を植生することができ、緑化による温度上昇を抑えることができ、しかも車間距離を保って駐車させることができる緑化駐車場と緑化駐車場の施工方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、駐車エリアにガイド部材により入車側に末広がり状の前端部を設けたタイヤガイド部を形成すると共に前記タイヤガイド部を除く駐車エリアに植生部を設けたことを特徴とする緑化駐車場である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記植生部に適宜複数の排水孔を設けたことを特徴とする緑化駐車場である。
【0011】
請求項3記載の発明は、駐車エリアにガイド部材により入車側に末広がり状の前端部を設けたタイヤガイド部を形成すると共に前記タイヤガイド部を除く駐車エリアに植生部を設けたことを特徴とする緑化駐車場の施工方法である。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3の発明において、前記植生部に複数の排水孔を設けたことを特徴とする緑化駐車場の施工方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明に係る緑化駐車場は、駐車エリアにガイド部材により形成されたタイヤガイド部の入車側が末広がり状に形成されているため、車が左右の方向から入り易く、運転が未熟な者であっても、当該タイヤガイド部を目印として入車することにより、所定の駐車エリアに車間距離を保って所定位置に駐車することができる。更に前記タイヤガイド部を除く駐車エリアに設けられた植生部に植生された芝生等の植物は、ガイド部材によりタイヤで踏み潰されることがないので、日中の太陽光の照り返しによる温度上昇を抑えることができる効果を十分に発揮することができる。
【0014】
また、請求項2記載の発明によれば、植生部の余分な水が排水孔より排水され、植生部の下部が排水性を有さない地盤だとしても芝生等植物の根腐れを防止し、植生部の植物の長期的維持に効果がある。
【0015】
次に請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の駐車場を施工することができ、また請求項4記載の発明によれば、全面が水の浸透性が低いアスファルトやコンクリート等の舗装された駐車場であってもアスファルト等に排水孔を設けることによりアスファルト上に植生部を設けても芝生等の植物の根腐れを起こすことがない緑化駐車場に施工することができる。
【実施例】
【0016】
図1〜図4はアスファルト又はコンクリート舗装されたの既存の駐車場に本発明を適用する場合の一実施例を示したものである。
【0017】
図1は既設の駐車場を示した平面図で、1は入出車エリア2と駐車エリア4a〜cをアスファルトで舗装した駐車場、3は外壁、5,5,5はコンクリート製の車止めである。
【0018】
図2は本発明の緑化駐車場化する場合の施工方法の第1段階を示した平面図、図3は図2の一部拡大平面図で、6は高さ10cmの金属性のガイド部材、7は前記ガイド部材6をアスファルトに固定するための固定部で、アンカー8を挿通するための挿通孔が設けれている、9は芝生植生エリアQに設けた排水孔、P1〜P3はタイヤガイド部である。
【0019】
図2に示すように本実施例ではガイド部材6がガイド壁として駐車エリア4a〜cに入車側が末広がり状としたタイヤガイド部P1,P2,P3を形成する共に、車が通行しない駐車場1の芝生植生部Qを外壁3、車止め5及びガイド部材6により芝生植生部Qを形成し、前記芝生植生部Qにはアスファルトカッターで排水孔9を形成する。
【0020】
図4は本発明の緑化駐車場化する施工方法の第2段階を示した平面図、図5は図2のA−A線拡大一部截断面図で、10は用土、11は芝生、12はアスファルトである。
【0021】
かかる第2段階では図2で形成した芝生植生部Q(図4に示す斜線部)に用土10と芝生11を植生することで既存の駐車場1を緑化することができる。
【0022】
このようにして構築した駐車場は、車を駐車エリア4a〜cに駐車する際には各タイヤガイド部P1〜P3を形成するガイド部材6がガイド壁となって車輪を案内し、所定の位置、つまり車は所定の位置及び間隔で設けたタイヤガイド部P1〜P3に案内されて、芝生植生部Qの芝生10をタイヤで踏み荒らすことがなく、駐車エリアP1〜P2の略1/2の面積を緑化することができ、芝生植生部Qに排水孔9を形成することにより雨水等の余分な水が排水孔9により排水され、芝生の根腐れを防止し、芝生植生部Qの芝生を長期的に維持することができる。従って、前述のように、ヒートアイランド化解消の一助となる。
【0023】
また、芝生植生部Qに植生された芝生と、タイヤガイドP1〜P3間に植生された芝生の緑が、線状に規則的に並び、緑の縞模様になるため、駐車場の景観性を向上させる効果がある。
【0024】
なお、本実施例では駐車エリア4における車止め5も本発明のタイヤガイド部Pを形成するガイド部材に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の既設の駐車場の平面図。
【図2】本発明の緑化駐車場の施工方法の第1段階の一実施例を示した平面図。
【図3】図2の一部拡大平面図。
【図4】本発明の緑化駐車場の施工方法の第2段階の一実施例を示した平面図。
【図5】図4のA−A線一部拡大截断面図。
【符号の説明】
【0026】
P タイヤガイド部
Q 芝生植生部
1 駐車場
2 入出車エリア
3 外壁
4a〜c 駐車エリア
5 車止め
6 ガイド部材
7 固定部
8 アンカー
9 排水孔
10 芝生
11 用土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車エリアにガイド部材により入車側に末広がり状の前端部を設けたタイヤガイド部を形成すると共に前記タイヤガイド部を除く駐車エリアに植生部を設けたことを特徴とする緑化駐車場。
【請求項2】
前記植生部に適宜複数の排水孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の緑化駐車場。
【請求項3】
駐車エリアにガイド部材により入車側に末広がり状の前端部を設けたタイヤガイド部を形成すると共に前記タイヤガイド部を除く駐車エリアに植生部を設けたことを特徴とする緑化駐車場の施工方法。
【請求項4】
前記植生部に複数の排水孔を設けたことを特徴とする請求項3記載の緑化駐車場の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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