線形研磨ブラシ部材、線形研磨ブラシ部材の製造方法、及び研磨ブラシ
【課題】フィラメント部が折れ難く、基体部が変形性に優れ、しかも研磨力に優れている線形研磨ブラシ部材を提供すること。
【解決手段】埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材。
【解決手段】埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線形研磨ブラシ部材、その製造方法、及び当該部材からなる研磨ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
研磨ブラシとはブラシの本体と本体から生えている多数のフィラメントとを有し、フィラメントが被削物を摩擦して研磨機能を奏する研磨材をいう。フィラメントとは、小さな断面を有し、長くて曲げやすい毛状の部材をいう。
【0003】
研磨ブラシは複数の部材から構成されることがある。例えば、取っ手や装着部などを備えた本体部に、複数のフィラメントを束ねた部材を固定して、研磨ブラシが構成される。本体部とは別にフィラメント部分をモジュール化すれば、用途に応じて研磨ブラシの形態を変更しやすいからである。本明細書では、複数のフィラメントが束ねられてなる研磨ブラシの部品を、研磨ブラシ部材という。また、研磨ブラシ部材が装着される本体部を支持部材という。
【0004】
図20は線形研磨ブラシ部材の構造を例示した模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。図20(b)において、線形研磨ブラシ部材は、芯材1を挟んで毛材2が2つ折りにされ、折った部分がU字形の金属硬帯3、4でカシメ固定されている。
【0005】
図21は線形研磨ブラシ部材の製造方法を例示した模式図である。毛材2の中央部に芯材1が挟まれ、ダルマ5が芯材1を押して毛材2を折りながら金属硬帯4に押し込んでいる。毛材2の折られた部分は金属硬帯4と一緒にローレット6によって両脇から締め付けられて固定される。
【0006】
線形研磨ブラシ部材はフィラメントを固定する細長い基体部と細長い基体部の側面からほぼ平行に並んで生えている複数のフィラメントとから構成されている。線形研磨ブラシ部材は変形されたり、その基体部が適当な形状の支持部材に固定されて研磨ブラシとなる。使用される支持部材には、例えば円柱状や円板状のものなどがある。
【0007】
しかしながら、上記従来の線形研磨ブラシ部材には次のような問題がある。毛材を金属硬帯でカシメて固定するため、カシメた部分に負荷がかかり、フィラメントが折れやすい。構成部品の点数が多く、製造作業が複雑でコストがかかる。フィラメントが細く円筒形であり、研磨力が弱い。
【0008】
一方、別の従来の実施例として、特許文献1には、熱可塑性エラストマーを主成分とする組成物から基体部とフィラメント部とが一体ものとして成形された研磨ブラシ部材が記載されている。これらは、研磨ブラシとして使用する場合、通常複数枚を積層して用いられる。
【0009】
特許文献1には、一体成形された研磨ブラシ部材を部品として用いて、ホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシに組み立てることが記載されている
【0010】
上記特許文献1において、研磨ブラシ部材は、装着される駆動部材又は支持部材に整合するように、予め一つの寸法や形状を定めて成形されている。このような研磨ブラシ部材では、組み立てた研磨ブラシの外形や寸法の変更が必要になった場合、研磨ブラシ部材の寸法や形状から変更する必要があり、成形金型を作り変えなければならない。したがって、樹脂で一体成形された研磨ブラシ部材を用いた研磨ブラシでは、外形や寸法を変更するために、手間とコストを要している。
【0011】
又、特許文献2には可とう性プラスチックから基体部とフィラメント部とが一体成形された研磨ブラシ部材が記載されている。特許文献2に記載の研磨ブラシ部材の材質は熱可塑性エラストマーではなく、弾性が不十分である。そのためフィラメント部は折れやすく、基体部は変形性に劣る。また、基体部は強度が不十分であり、高速回転研磨ブラシに用いるには安全性に劣る。
【0012】
さらに、特許文献1や、特許文献2には、一体成形された研磨ブラシ部材を部品として用いて、ホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシに組み立てることが記載されている。
【0013】
【特許文献1】特表2001−502185(国際公開第96/33638号パンプレット)
【特許文献2】米国特許第3233272号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
基体部が変形性に優れ、製造時、使用時に破損しにくい線形研磨ブラシ部材を提供すること、及びかかる線形研磨ブラシ部材を用いることにより、種々の形態、サイズで容易に研磨ブラシを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、上記の線形研磨ブラシ部材と、線形研磨ブラシ部材の底面が固定される面を有する支持部材とを含む研磨ブラシが提供される。
【0017】
さらに、本発明によれば、
(1)該線形研磨ブラシの形状に対応した凹部、及び所定の長尺寸法を有する金型、および長尺寸法が限定されない芯材を準備する工程;
(2)金型を開放し、該凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置する工程;
(3)金型を密閉し、樹脂組成物の一体成形を行って、成形体を得る工程;
(4)金型を開放し、成形体を離型して長尺方向に位置をずらすことにより、成形体の端部が金型内に残され、また芯材が該凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように配置される工程;
(5)工程(3)及び工程(4)を繰り返す工程;
を包含する上記線形研磨ブラシ部材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の線形研磨ブラシ部材は基体部が変形性に優れ、適当な形状の支持部材に沿って曲げることで、容易にホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシを提供できる。しかも、線形であるために長さに自由度があり、研磨ブラシの外形や寸法を自由に変更することができる。また、基体部は芯材を有しており、強度を十分確保できる為、ブラシ作製時、その使用中に破損し難い。更に、延伸していない成形体であるフィラメント部は、折れ難く、研磨力に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の線形研磨ブラシ部材の一実施形態を示す斜視図である。棒状の基体部7に対し、複数のフィラメント部8がほぼ平行及び等間隔に並んで固定されている。基体部7は背中合わせになった細長い上面及び底面を有しており、その上面の長さ方向(長尺方向)に沿って複数のフィラメント部が存在している。基体部7には長尺方向全体に芯材9が埋め込まれている。フィラメント部8の形状は厚みを持った略長方形である。
【0020】
図2は本発明の線形研磨ブラシ部材の他の実施形態を示す斜視図である。図2(a)には円柱状のフィラメント部が示されており、図2(b)は一部テーパーを有する円柱状のフィラメント部が示されている。これらには、同様に、基体部7に、長尺方向全体に芯材9が埋め込まれている。
【0021】
基体部は、個々のフィラメントが分離しないように、フィラメントの一方をまとめて固定する部材である。基体部の形状は細長い線状又は棒状である。そのようにすると研磨ブラシ部材は変形しやすく、形状の自由度が大きくなる。その結果、研磨ブラシ部材は様々な形態の支持部材の表面に沿って固定することができ、幅広い形態の研磨ブラシを容易に構成できる。
【0022】
また、基体部を、相互に結合する為、基体部7には、長尺方向に沿った溝やメサ(線状突起)のような勘合構造10が形成されていてよい。
【0023】
基体部の長尺方向と垂直な断面の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)であればよい。基体部の上記断面の断面積は、例えば2〜100mm2、好ましくは5〜30mm2、より好ましくは10〜20mm2である。
【0024】
基体部に、芯材を埋め込む一つの目的は、基体部が、研磨ブラシの製造時、及び、その使用時に破損されることのないようにすることで、研磨ブラシの耐久性を向上せしめることにある。
【0025】
よって、当該芯材の引張破断強度は、線形研磨ブラシ部材のは破損強度が、5kg以上、より好ましくは、10kg以上となるように求められる場合は、その強度が、5kg以上、より好ましくは、10kg以上のものを、用いることで、線形研磨ブラシ部材に加わる外力が、当該芯材で耐え得るようにして、設計すると良い。
【0026】
すなわち、芯材の引張破断強度が、芯材なしの場合の線形研磨ブラシ部材の破断強度以上であり、線形研磨ブラシ部材の作製時、もしくは、その使用時に、該線形研磨ブラシ部材に加えられる外力を、当該芯材で、耐え得るように、設計すると良い。
【0027】
また、芯材は、成形時の温度に劣化することのない耐熱性を有し、引張り強度及び柔軟性に優れた線状材料から選択される。芯材の具体例には、金属線、ワイヤー、木綿糸、炭素繊維などが挙げられる。芯材の太さは、長尺方向と垂直な面で切った基体部の断面積の中で芯材の断面積の占める割合が5〜50%であるとする。芯材が太すぎると柔軟性が悪くなり、細すぎると補強効果が小さくなる。
芯材の構造としては、撚り線のものを用いれば、さらに、線形研磨ブラシ部材の屈曲特性等の機械特性面を向上できる。
【0028】
また、芯材は予め樹脂被覆などの表面処理を施しておいてもよい。基体部の樹脂との接着性が向上するからである。図4は樹脂被覆した芯材の構造を示す模式図である。芯材9は樹脂層12で被覆されている。
【0029】
フィラメント部は、一般的には少なくとも2、より一般的には少なくとも5、より典型的には少なくとも10、最も典型的には少なくとも20のアスペクト比を有する。アスペクト比は、長さを平均幅で除算した値と定義される。
【0030】
フィラメント部は、研磨ブラシの用途に応じて任意の長さまたは幅で良く、フィラメントの長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)であればよい。
【0031】
フィラメント部の上記断面の断面積は、一般的には0.5〜100mm2であり、典型的には2〜50mm2であり、より典型的には5〜20mm2である。断面積は必ずしも一つの値に定まる必要はない。フィラメントの長さは、一般に10〜100mmであり、典型的には20mm〜70mmであり、より典型的には30mm〜50mmである。
【0032】
図3は基体部とフィラメント部とを合わせた形状の一例を示す断面図である。この断面は、線形研磨ブラシ部材の基体部7とフィラメント部8とが結合されている部分を、基体部の長尺方向に垂直な面で切った状態を示している。基体部7には芯材9が埋め込まれている。
【0033】
研磨ブラシが一定方向に駆動されて使用される形態、例えば円盤形、ホイール形である場合は、フィラメント部の上記断面形状は、短辺が駆動方向とほぼ平行、長辺が駆動方向とほぼ垂直になるような長方形であることが好ましい。フィラメント部の先端が被削物に接触する面積が増え、研磨力が向上するからである。
【0034】
フィラメント部の断面形状をそのような長方形にするためには、個々のフィラメント部の外形を、厚みを持った略長方形とすることが好ましい。図19は、長方形の外部形状を有するフィラメント部を有する、好ましい線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。フィラメントの外形における厚みcは、上記断面形状の短辺長さに相当する。フィラメントの外形における長方形の短辺長さdは上記断面形状の長辺長さに相当する。またフィラメントの外形における長方形の長辺長さeはフィラメント部の長さに相当する。
【0035】
好ましい実施形態では、フィラメント部の外形は、長方形の短辺長さに対する長辺長さの比率(e/d)が2〜30、好ましくは5〜20であり、厚みに対する短辺長さの比率(d/c)が0.1〜15、好ましくは0.2〜8である。
【0036】
フィラメント部の外形について具体的な寸法を例示すると、厚みcは0.2mm〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。長方形の短辺長さdは0.2〜30mm、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは1〜15mmである。長方形の長辺長さeは0.5〜100mm、好ましくは1〜60mm、より好ましくは5〜40mmである。
【0037】
本発明の線形研磨ブラシ部材は樹脂組成物、一般には熱可塑性樹脂組成物、好ましくは、熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂組成物から一体成形して製造される。主成分とは含有率が50重量%を上回ることをいう。熱可塑性エラストマーを使用することでフィラメント部および研磨ブラシ部材全体が弾性を持ち、変形しやすく、形状の自由度が大きくなる。また、基体部と一体成形することで、フィラメント部は基体部との接合箇所で折れ難くなる。更に、部品点数が少なく製造作業が単純である。その結果、強靱で変形性に優れた線形研磨ブラシ部材を低コストで得ることができる。
【0038】
好ましい熱可塑性エラストマーは、室温ショアDジュロメーター硬度が、典型的にはASTM D790が決定する少なくとも約30であり、より典型的には約30〜約90である。
【0039】
一体成形の方法は、好ましくは射出成形法を用いる。一般的には、原料である熱可塑性エラストマーを、流動する融解点以上に加熱する。ついで、要すれば研磨粒子や通常使用される添加剤を熱可塑性エラストマー中に混合して樹脂組成物とする。所定形状の空洞が形成された金型に、この樹脂組成物を導入する。
【0040】
そうすると、樹脂組成物は金型の空洞内に流入し、線形研磨ブラシ部材の形が形成される。次いで、冷却して樹脂を凝固させ、金型から成形された線形研磨ブラシ部材を取り出す。得られた線形研磨ブラシ部材は、基体部とフィラメント部とが一体成形されており、強靱で柔軟性もある。
【0041】
金型に樹脂組成物を導入する際、基体部には芯材を入れておく。芯材を入れないと基体部が折れ易く、研磨ブラシの耐久性が低い場合がある。
【0042】
本発明の線形研磨ブラシ部材は長尺寸法が任意であり制限されない。しかしながら、その製造時に用いる金型は、当然長尺寸法が制限される。図5は、所定の長尺寸法を有する金型を用いて、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材を製造する方法を示した、工程図である。
【0043】
まず、金型凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置し、成形樹脂を射出成形する。金型を開いて離型すると、図5(a)に示されるように、基体部7に埋め込まれた芯材9を有する成形体13が得られる。次いで、成形体の位置を長尺方向にずらす。その際、図5(b)に示されるように、成形体は、成形体の端部14が金型15内に残され、また芯材9は金型凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように配置される。
【0044】
再度成形樹脂を射出成形する。金型を開いて離型すると、図5(c)に示されるように、端部14で連結して長尺寸法が伸張された成形体が得られる。その後、図5(d)に示されるように、成形体の位置を長尺方向にずらし、射出成形を行なう工程を繰り返すことにより、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材が得られる。
【0045】
成形樹脂に用いられる熱可塑性エラストマーの例としては、セグメント化ポリエステル熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリウレタン熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリアミド熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリマーの配合物、およびイオノマー性熱可塑性エラストマーがある。
【0046】
好ましい熱可塑性エラストマーについては、例えば、特表2001−502185号公報、第45頁下から第7行〜同第50頁第6行、又は特許第3676804号明細書第8頁第3行〜第12頁第40行に更に詳しく説明されており、出典明示により本明細書の一部とする。
【0047】
フィラメント部の研磨力を高めるのに必要であれば、樹脂組成物に研磨粒子を含有させる。また、樹脂組成物には通常使用される潤滑剤、カップリング剤、充てん剤及び研磨補助剤などを適量含有させてよい。
【0048】
研磨粒子の量は、研磨粒子と樹脂との重量比が0.25〜1、好ましくは0.4〜0.8となる量とする。研磨粒子の量が1を越えると研磨粒子の量が樹脂に比べて多いためフィラメント部の強度が低下してブラシの寿命が短くなる。
【0049】
一般に、研磨粒子は実質的に十分に分散された分布を形成するように散在されるが、それは必須ではない。さらに、研磨粒子の一部は樹脂内に完全に埋め込まれる一方、これは、表面に粒子が樹脂の外側に部分的に露出する。
【0050】
研磨粒子の例としては、溶融酸化アルミニウム、熱処理溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理酸化アルミニウム、炭化珪素、二硼化チタン、アルミニウムジルコニア、ダイヤモンド、炭化硼素、セリア、立方晶系窒化硼素、及びガーネットの粒子、およびこれらを組合せた粒子がある。
【0051】
研磨粒子は、一般的には約0.1〜700μmの範囲の粒子径を有する。粒子径は、典型的には約5〜300μmであり、より典型的には10〜200μmである。例えば、表1に示すように、研磨粒子の粒子径は研磨ブラシの用途や所望の機能に応じて適宜調節することができる。
【0052】
[表1]
*:好ましい範囲
【0053】
本発明の線形研磨ブラシ部材は、要すれば、心棒や円板のような支持部材と組み合わせて、様々な形態の研磨ブラシにすることができる。好ましい研磨ブラシの形態を以下説明する。
【0054】
ホイール形研磨ブラシ
ホイール形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材を、基体部が内輪部、フィラメント部が外輪部になるように渦巻き状に捲いて固定して得られる。図8は、ホイール形研磨ブラシの作製過程を模式的に示す斜視図である。線形研磨ブラシ16の底面がが心棒17の側面上に固定されている。図7は、完成したホイール形研磨ブラシの斜視図である。
【0055】
ディスク形研磨ブラシ
ディスク形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材を適当な長さに切り、基体部が内輪部、フィラメント部が外輪部になるように丸めて両端を結合して得られる。図8は、ディスク形研磨ブラシの正面図である。図9は図8のディスク形研磨ブラシのAA’断面図である。ディスク形研磨ブラシを同心的に重ねてホイール形研磨ブラシを作製してもよい。
【0056】
剣山形研磨ブラシ
剣山形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材をフィラメント部先端が略同一方向を向くように渦巻き状に巻いて固定して得られる。図10は剣山形研磨ブラシの一例を示す斜視図である。線形研磨ブラシ部材16は、底面が、心棒17の先端に設けられた支持部材19の主表面上に固定されている。線形研磨ブラシ部材16は側面が心棒17に巻きつけ固定されてもよく、その場合、支持部材19は不要である。
【0057】
図11は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端18が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。線形研磨ブラシ部材16は、渦巻き状に巻いて固定されている。図12は図11の剣山形研磨ブラシのBB’断面図である。
【0058】
線形研磨ブラシ部材の固定は線形研磨ブラシ部材の側面同士を接着して行ってよく、また平坦な支持部材に底面を接着して行ってもよい。図13は線形研磨ブラシ部材を固定した状態の一例を示す部分断面図である。線形研磨ブラシ部材16の側面同士が勘合して接着されている。図14は線形研磨ブラシ部材を固定した状態の他の例を示す部分断面図である。線形研磨ブラシ部材16の底面が平坦な支持部材19に接着されている。
【0059】
図15は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端18が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。線形研磨ブラシ部材16は底面が平坦な支持部材19に固定されている。また、線形研磨ブラシ部材16は適当な長さに切断され、支持部材19の形状に整合するように整列されている。
【0060】
図16は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。図15に示した剣山形研磨ブラシ20が、複数円板型の支持部材21に固定されている。
【0061】
線形研磨ブラシ部材を用いて研磨ブラシを形成すると、線形研磨ブラシ部材の長さを変更することで容易に研磨ブラシの寸法を調節することができる。そのため、本発明の線形研磨ブラシ部材を用いると、一種類の線形研磨ブラシによって複数の外形寸法の研磨ブラシを容易かつ安価に提供することができる。
【0062】
研磨ブラシを用いて研磨を行う場合は、まず、支持部材の回転中心部にモーターなどを取り付けて駆動し、回転させる。ついで、フィラメント部を被削物に荷重をかけて接触させ摩擦する。
【0063】
図17はホイール形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。図18は剣山形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【0064】
フィラメント部8は柔軟性に富み、湾曲して側面が被削物11の表面に接触する。フィラメント部の側面とは、フィラメント部8を基体部7から立つ柱と見て、柱の周囲側面を意味している。
【0065】
フィラメント部の側面が被削物の表面に接触して研磨ブラシが回転すると、フィラメント部は、被削物との摩擦によって、基体部から抜ける方向に引張られる。ところがこのフィラメント部は基体部と一体成型されているために引張り強度に優れ、抜けることはなく、折れることもない。さらに、弾性に優れているために、被削物の表面から離れるとすぐに、元の状態に復元する。
【0066】
研磨条件は通常の当業者が適用する範囲内である。一般には、研磨ブラシの周速は、被削物に対して約10〜3000m/分程度になるように調節される。切り込みは約0.1〜5.0mm程度である。
【0067】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中の量の表記は全て重量基準である。また、寸法や量の値は厳密でなく適当な幅をもって理解されるべきである。
【実施例】
【0068】
実施例
熱可塑性エラストマー(東レデュポン社製「ハイトレル5527」)100部、添加材(東レダウコーニング社製「シリコンバッチBY27010」)10部を混合して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物及び芯材として太さ0.8mmの木綿糸を用いて、射出成形法により、金型単位の成形体同士が相互に接続された線形研磨ブラシ部材を得た。
【0069】
図19は、得られた線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。基体部の断面形状は略矩形であり、寸法は縦aが5mm、横bが3mmである。基体部の一方の側面には、勘合構造として、幅1mm、深さ1mmの溝が長尺方向に沿って設けられており、他方の側面にはこの溝に勘合するメサが設けられている。フィラメント部の外形は厚みをもった略長方形である。厚みcは1mm、短辺長さdは3mm、長辺長さeは25mmである。
【0070】
得られた線形研磨ブラシ部材がどの程度の湾曲自由度を有しているか、以下のように試験した。
【0071】
曲率D50mm、D40mm、及びD30mmの円柱をそれぞれ支持部材として用いて、得られた線形研磨ブラシ部材を、フィラメント部が外向きになるように円柱の側面に捲きつけてホイール形研磨ブラシを作製した。線形研磨ブラシ部材について、金型単位の成形体同士が接続されている接続部の状態を目視観察し、評価した。結果を表2に示す。
【0072】
比較例
芯材を使用しないこと以外は実施例と同様にして線形研磨ブラシ部材を製造し、ホイール形研磨ブラシを作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0073】
[表2]
【0074】
本発明の方法で製造した線形研磨ブラシ部材は、金型単位の成形体同士が接続されている樹脂界面の強度が弱いが、基体部に芯材を入れることにより、その問題点が解決された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の線形研磨ブラシ部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の線形研磨ブラシ部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】基体部とフィラメント部とを合わせた形状の一例を示す断面図である。
【図4】樹脂被覆した芯材の構造を示す模式図である。
【図5】所定の長尺寸法を有する金型を用いて、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材を製造する方法を示した、工程図である。
【図6】ホイール形研磨ブラシの作製過程を模式的に示す斜視図である。
【図7】完成したホイール形研磨ブラシの斜視図である。
【図8】ディスク形研磨ブラシの一例を示す正面図である。
【図9】図8のディスク形研磨ブラシのAA’断面図である。
【図10】剣山形研磨ブラシの一例を示す斜視図である。
【図11】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図12】図11の剣山形研磨ブラシのBB’断面図である。
【図13】線形研磨ブラシ部材を固定した状態の一例を示す部分断面図である。
【図14】線形研磨ブラシ部材を固定した状態の他の例を示す部分断面図である。
【図15】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図16】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図17】ホイール形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【図18】剣山形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【図19】実施例で作製した線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。
【図20】線形研磨ブラシ部材の構造を例示した模式図である。
【図21】線形研磨ブラシ部材の製造方法を例示した模式図である。
【符号の説明】
【0076】
7…基体部、
8…フィラメント部、
9…芯材、
10…勘合構造、
11…被削物、
12…樹脂層、
13…成形体、
14…成形体の端部、
15…金型、
16…線形研磨ブラシ部材、
17…心棒、
18…フィラメント部先端、
19、21…支持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は線形研磨ブラシ部材、その製造方法、及び当該部材からなる研磨ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
研磨ブラシとはブラシの本体と本体から生えている多数のフィラメントとを有し、フィラメントが被削物を摩擦して研磨機能を奏する研磨材をいう。フィラメントとは、小さな断面を有し、長くて曲げやすい毛状の部材をいう。
【0003】
研磨ブラシは複数の部材から構成されることがある。例えば、取っ手や装着部などを備えた本体部に、複数のフィラメントを束ねた部材を固定して、研磨ブラシが構成される。本体部とは別にフィラメント部分をモジュール化すれば、用途に応じて研磨ブラシの形態を変更しやすいからである。本明細書では、複数のフィラメントが束ねられてなる研磨ブラシの部品を、研磨ブラシ部材という。また、研磨ブラシ部材が装着される本体部を支持部材という。
【0004】
図20は線形研磨ブラシ部材の構造を例示した模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。図20(b)において、線形研磨ブラシ部材は、芯材1を挟んで毛材2が2つ折りにされ、折った部分がU字形の金属硬帯3、4でカシメ固定されている。
【0005】
図21は線形研磨ブラシ部材の製造方法を例示した模式図である。毛材2の中央部に芯材1が挟まれ、ダルマ5が芯材1を押して毛材2を折りながら金属硬帯4に押し込んでいる。毛材2の折られた部分は金属硬帯4と一緒にローレット6によって両脇から締め付けられて固定される。
【0006】
線形研磨ブラシ部材はフィラメントを固定する細長い基体部と細長い基体部の側面からほぼ平行に並んで生えている複数のフィラメントとから構成されている。線形研磨ブラシ部材は変形されたり、その基体部が適当な形状の支持部材に固定されて研磨ブラシとなる。使用される支持部材には、例えば円柱状や円板状のものなどがある。
【0007】
しかしながら、上記従来の線形研磨ブラシ部材には次のような問題がある。毛材を金属硬帯でカシメて固定するため、カシメた部分に負荷がかかり、フィラメントが折れやすい。構成部品の点数が多く、製造作業が複雑でコストがかかる。フィラメントが細く円筒形であり、研磨力が弱い。
【0008】
一方、別の従来の実施例として、特許文献1には、熱可塑性エラストマーを主成分とする組成物から基体部とフィラメント部とが一体ものとして成形された研磨ブラシ部材が記載されている。これらは、研磨ブラシとして使用する場合、通常複数枚を積層して用いられる。
【0009】
特許文献1には、一体成形された研磨ブラシ部材を部品として用いて、ホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシに組み立てることが記載されている
【0010】
上記特許文献1において、研磨ブラシ部材は、装着される駆動部材又は支持部材に整合するように、予め一つの寸法や形状を定めて成形されている。このような研磨ブラシ部材では、組み立てた研磨ブラシの外形や寸法の変更が必要になった場合、研磨ブラシ部材の寸法や形状から変更する必要があり、成形金型を作り変えなければならない。したがって、樹脂で一体成形された研磨ブラシ部材を用いた研磨ブラシでは、外形や寸法を変更するために、手間とコストを要している。
【0011】
又、特許文献2には可とう性プラスチックから基体部とフィラメント部とが一体成形された研磨ブラシ部材が記載されている。特許文献2に記載の研磨ブラシ部材の材質は熱可塑性エラストマーではなく、弾性が不十分である。そのためフィラメント部は折れやすく、基体部は変形性に劣る。また、基体部は強度が不十分であり、高速回転研磨ブラシに用いるには安全性に劣る。
【0012】
さらに、特許文献1や、特許文献2には、一体成形された研磨ブラシ部材を部品として用いて、ホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシに組み立てることが記載されている。
【0013】
【特許文献1】特表2001−502185(国際公開第96/33638号パンプレット)
【特許文献2】米国特許第3233272号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
基体部が変形性に優れ、製造時、使用時に破損しにくい線形研磨ブラシ部材を提供すること、及びかかる線形研磨ブラシ部材を用いることにより、種々の形態、サイズで容易に研磨ブラシを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、上記の線形研磨ブラシ部材と、線形研磨ブラシ部材の底面が固定される面を有する支持部材とを含む研磨ブラシが提供される。
【0017】
さらに、本発明によれば、
(1)該線形研磨ブラシの形状に対応した凹部、及び所定の長尺寸法を有する金型、および長尺寸法が限定されない芯材を準備する工程;
(2)金型を開放し、該凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置する工程;
(3)金型を密閉し、樹脂組成物の一体成形を行って、成形体を得る工程;
(4)金型を開放し、成形体を離型して長尺方向に位置をずらすことにより、成形体の端部が金型内に残され、また芯材が該凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように配置される工程;
(5)工程(3)及び工程(4)を繰り返す工程;
を包含する上記線形研磨ブラシ部材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の線形研磨ブラシ部材は基体部が変形性に優れ、適当な形状の支持部材に沿って曲げることで、容易にホイール形研磨ブラシや円板形研磨ブラシを提供できる。しかも、線形であるために長さに自由度があり、研磨ブラシの外形や寸法を自由に変更することができる。また、基体部は芯材を有しており、強度を十分確保できる為、ブラシ作製時、その使用中に破損し難い。更に、延伸していない成形体であるフィラメント部は、折れ難く、研磨力に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の線形研磨ブラシ部材の一実施形態を示す斜視図である。棒状の基体部7に対し、複数のフィラメント部8がほぼ平行及び等間隔に並んで固定されている。基体部7は背中合わせになった細長い上面及び底面を有しており、その上面の長さ方向(長尺方向)に沿って複数のフィラメント部が存在している。基体部7には長尺方向全体に芯材9が埋め込まれている。フィラメント部8の形状は厚みを持った略長方形である。
【0020】
図2は本発明の線形研磨ブラシ部材の他の実施形態を示す斜視図である。図2(a)には円柱状のフィラメント部が示されており、図2(b)は一部テーパーを有する円柱状のフィラメント部が示されている。これらには、同様に、基体部7に、長尺方向全体に芯材9が埋め込まれている。
【0021】
基体部は、個々のフィラメントが分離しないように、フィラメントの一方をまとめて固定する部材である。基体部の形状は細長い線状又は棒状である。そのようにすると研磨ブラシ部材は変形しやすく、形状の自由度が大きくなる。その結果、研磨ブラシ部材は様々な形態の支持部材の表面に沿って固定することができ、幅広い形態の研磨ブラシを容易に構成できる。
【0022】
また、基体部を、相互に結合する為、基体部7には、長尺方向に沿った溝やメサ(線状突起)のような勘合構造10が形成されていてよい。
【0023】
基体部の長尺方向と垂直な断面の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)であればよい。基体部の上記断面の断面積は、例えば2〜100mm2、好ましくは5〜30mm2、より好ましくは10〜20mm2である。
【0024】
基体部に、芯材を埋め込む一つの目的は、基体部が、研磨ブラシの製造時、及び、その使用時に破損されることのないようにすることで、研磨ブラシの耐久性を向上せしめることにある。
【0025】
よって、当該芯材の引張破断強度は、線形研磨ブラシ部材のは破損強度が、5kg以上、より好ましくは、10kg以上となるように求められる場合は、その強度が、5kg以上、より好ましくは、10kg以上のものを、用いることで、線形研磨ブラシ部材に加わる外力が、当該芯材で耐え得るようにして、設計すると良い。
【0026】
すなわち、芯材の引張破断強度が、芯材なしの場合の線形研磨ブラシ部材の破断強度以上であり、線形研磨ブラシ部材の作製時、もしくは、その使用時に、該線形研磨ブラシ部材に加えられる外力を、当該芯材で、耐え得るように、設計すると良い。
【0027】
また、芯材は、成形時の温度に劣化することのない耐熱性を有し、引張り強度及び柔軟性に優れた線状材料から選択される。芯材の具体例には、金属線、ワイヤー、木綿糸、炭素繊維などが挙げられる。芯材の太さは、長尺方向と垂直な面で切った基体部の断面積の中で芯材の断面積の占める割合が5〜50%であるとする。芯材が太すぎると柔軟性が悪くなり、細すぎると補強効果が小さくなる。
芯材の構造としては、撚り線のものを用いれば、さらに、線形研磨ブラシ部材の屈曲特性等の機械特性面を向上できる。
【0028】
また、芯材は予め樹脂被覆などの表面処理を施しておいてもよい。基体部の樹脂との接着性が向上するからである。図4は樹脂被覆した芯材の構造を示す模式図である。芯材9は樹脂層12で被覆されている。
【0029】
フィラメント部は、一般的には少なくとも2、より一般的には少なくとも5、より典型的には少なくとも10、最も典型的には少なくとも20のアスペクト比を有する。アスペクト比は、長さを平均幅で除算した値と定義される。
【0030】
フィラメント部は、研磨ブラシの用途に応じて任意の長さまたは幅で良く、フィラメントの長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)であればよい。
【0031】
フィラメント部の上記断面の断面積は、一般的には0.5〜100mm2であり、典型的には2〜50mm2であり、より典型的には5〜20mm2である。断面積は必ずしも一つの値に定まる必要はない。フィラメントの長さは、一般に10〜100mmであり、典型的には20mm〜70mmであり、より典型的には30mm〜50mmである。
【0032】
図3は基体部とフィラメント部とを合わせた形状の一例を示す断面図である。この断面は、線形研磨ブラシ部材の基体部7とフィラメント部8とが結合されている部分を、基体部の長尺方向に垂直な面で切った状態を示している。基体部7には芯材9が埋め込まれている。
【0033】
研磨ブラシが一定方向に駆動されて使用される形態、例えば円盤形、ホイール形である場合は、フィラメント部の上記断面形状は、短辺が駆動方向とほぼ平行、長辺が駆動方向とほぼ垂直になるような長方形であることが好ましい。フィラメント部の先端が被削物に接触する面積が増え、研磨力が向上するからである。
【0034】
フィラメント部の断面形状をそのような長方形にするためには、個々のフィラメント部の外形を、厚みを持った略長方形とすることが好ましい。図19は、長方形の外部形状を有するフィラメント部を有する、好ましい線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。フィラメントの外形における厚みcは、上記断面形状の短辺長さに相当する。フィラメントの外形における長方形の短辺長さdは上記断面形状の長辺長さに相当する。またフィラメントの外形における長方形の長辺長さeはフィラメント部の長さに相当する。
【0035】
好ましい実施形態では、フィラメント部の外形は、長方形の短辺長さに対する長辺長さの比率(e/d)が2〜30、好ましくは5〜20であり、厚みに対する短辺長さの比率(d/c)が0.1〜15、好ましくは0.2〜8である。
【0036】
フィラメント部の外形について具体的な寸法を例示すると、厚みcは0.2mm〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。長方形の短辺長さdは0.2〜30mm、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは1〜15mmである。長方形の長辺長さeは0.5〜100mm、好ましくは1〜60mm、より好ましくは5〜40mmである。
【0037】
本発明の線形研磨ブラシ部材は樹脂組成物、一般には熱可塑性樹脂組成物、好ましくは、熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂組成物から一体成形して製造される。主成分とは含有率が50重量%を上回ることをいう。熱可塑性エラストマーを使用することでフィラメント部および研磨ブラシ部材全体が弾性を持ち、変形しやすく、形状の自由度が大きくなる。また、基体部と一体成形することで、フィラメント部は基体部との接合箇所で折れ難くなる。更に、部品点数が少なく製造作業が単純である。その結果、強靱で変形性に優れた線形研磨ブラシ部材を低コストで得ることができる。
【0038】
好ましい熱可塑性エラストマーは、室温ショアDジュロメーター硬度が、典型的にはASTM D790が決定する少なくとも約30であり、より典型的には約30〜約90である。
【0039】
一体成形の方法は、好ましくは射出成形法を用いる。一般的には、原料である熱可塑性エラストマーを、流動する融解点以上に加熱する。ついで、要すれば研磨粒子や通常使用される添加剤を熱可塑性エラストマー中に混合して樹脂組成物とする。所定形状の空洞が形成された金型に、この樹脂組成物を導入する。
【0040】
そうすると、樹脂組成物は金型の空洞内に流入し、線形研磨ブラシ部材の形が形成される。次いで、冷却して樹脂を凝固させ、金型から成形された線形研磨ブラシ部材を取り出す。得られた線形研磨ブラシ部材は、基体部とフィラメント部とが一体成形されており、強靱で柔軟性もある。
【0041】
金型に樹脂組成物を導入する際、基体部には芯材を入れておく。芯材を入れないと基体部が折れ易く、研磨ブラシの耐久性が低い場合がある。
【0042】
本発明の線形研磨ブラシ部材は長尺寸法が任意であり制限されない。しかしながら、その製造時に用いる金型は、当然長尺寸法が制限される。図5は、所定の長尺寸法を有する金型を用いて、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材を製造する方法を示した、工程図である。
【0043】
まず、金型凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置し、成形樹脂を射出成形する。金型を開いて離型すると、図5(a)に示されるように、基体部7に埋め込まれた芯材9を有する成形体13が得られる。次いで、成形体の位置を長尺方向にずらす。その際、図5(b)に示されるように、成形体は、成形体の端部14が金型15内に残され、また芯材9は金型凹部の線形研磨ブラシの基体部形状に対応する溝に沿うように配置される。
【0044】
再度成形樹脂を射出成形する。金型を開いて離型すると、図5(c)に示されるように、端部14で連結して長尺寸法が伸張された成形体が得られる。その後、図5(d)に示されるように、成形体の位置を長尺方向にずらし、射出成形を行なう工程を繰り返すことにより、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材が得られる。
【0045】
成形樹脂に用いられる熱可塑性エラストマーの例としては、セグメント化ポリエステル熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリウレタン熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリアミド熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリマーの配合物、およびイオノマー性熱可塑性エラストマーがある。
【0046】
好ましい熱可塑性エラストマーについては、例えば、特表2001−502185号公報、第45頁下から第7行〜同第50頁第6行、又は特許第3676804号明細書第8頁第3行〜第12頁第40行に更に詳しく説明されており、出典明示により本明細書の一部とする。
【0047】
フィラメント部の研磨力を高めるのに必要であれば、樹脂組成物に研磨粒子を含有させる。また、樹脂組成物には通常使用される潤滑剤、カップリング剤、充てん剤及び研磨補助剤などを適量含有させてよい。
【0048】
研磨粒子の量は、研磨粒子と樹脂との重量比が0.25〜1、好ましくは0.4〜0.8となる量とする。研磨粒子の量が1を越えると研磨粒子の量が樹脂に比べて多いためフィラメント部の強度が低下してブラシの寿命が短くなる。
【0049】
一般に、研磨粒子は実質的に十分に分散された分布を形成するように散在されるが、それは必須ではない。さらに、研磨粒子の一部は樹脂内に完全に埋め込まれる一方、これは、表面に粒子が樹脂の外側に部分的に露出する。
【0050】
研磨粒子の例としては、溶融酸化アルミニウム、熱処理溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理酸化アルミニウム、炭化珪素、二硼化チタン、アルミニウムジルコニア、ダイヤモンド、炭化硼素、セリア、立方晶系窒化硼素、及びガーネットの粒子、およびこれらを組合せた粒子がある。
【0051】
研磨粒子は、一般的には約0.1〜700μmの範囲の粒子径を有する。粒子径は、典型的には約5〜300μmであり、より典型的には10〜200μmである。例えば、表1に示すように、研磨粒子の粒子径は研磨ブラシの用途や所望の機能に応じて適宜調節することができる。
【0052】
[表1]
*:好ましい範囲
【0053】
本発明の線形研磨ブラシ部材は、要すれば、心棒や円板のような支持部材と組み合わせて、様々な形態の研磨ブラシにすることができる。好ましい研磨ブラシの形態を以下説明する。
【0054】
ホイール形研磨ブラシ
ホイール形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材を、基体部が内輪部、フィラメント部が外輪部になるように渦巻き状に捲いて固定して得られる。図8は、ホイール形研磨ブラシの作製過程を模式的に示す斜視図である。線形研磨ブラシ16の底面がが心棒17の側面上に固定されている。図7は、完成したホイール形研磨ブラシの斜視図である。
【0055】
ディスク形研磨ブラシ
ディスク形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材を適当な長さに切り、基体部が内輪部、フィラメント部が外輪部になるように丸めて両端を結合して得られる。図8は、ディスク形研磨ブラシの正面図である。図9は図8のディスク形研磨ブラシのAA’断面図である。ディスク形研磨ブラシを同心的に重ねてホイール形研磨ブラシを作製してもよい。
【0056】
剣山形研磨ブラシ
剣山形研磨ブラシは、線形研磨ブラシ部材をフィラメント部先端が略同一方向を向くように渦巻き状に巻いて固定して得られる。図10は剣山形研磨ブラシの一例を示す斜視図である。線形研磨ブラシ部材16は、底面が、心棒17の先端に設けられた支持部材19の主表面上に固定されている。線形研磨ブラシ部材16は側面が心棒17に巻きつけ固定されてもよく、その場合、支持部材19は不要である。
【0057】
図11は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端18が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。線形研磨ブラシ部材16は、渦巻き状に巻いて固定されている。図12は図11の剣山形研磨ブラシのBB’断面図である。
【0058】
線形研磨ブラシ部材の固定は線形研磨ブラシ部材の側面同士を接着して行ってよく、また平坦な支持部材に底面を接着して行ってもよい。図13は線形研磨ブラシ部材を固定した状態の一例を示す部分断面図である。線形研磨ブラシ部材16の側面同士が勘合して接着されている。図14は線形研磨ブラシ部材を固定した状態の他の例を示す部分断面図である。線形研磨ブラシ部材16の底面が平坦な支持部材19に接着されている。
【0059】
図15は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端18が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。線形研磨ブラシ部材16は底面が平坦な支持部材19に固定されている。また、線形研磨ブラシ部材16は適当な長さに切断され、支持部材19の形状に整合するように整列されている。
【0060】
図16は剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。この図はフィラメント部先端が紙面に対して上方向を向いている状態を示している。図15に示した剣山形研磨ブラシ20が、複数円板型の支持部材21に固定されている。
【0061】
線形研磨ブラシ部材を用いて研磨ブラシを形成すると、線形研磨ブラシ部材の長さを変更することで容易に研磨ブラシの寸法を調節することができる。そのため、本発明の線形研磨ブラシ部材を用いると、一種類の線形研磨ブラシによって複数の外形寸法の研磨ブラシを容易かつ安価に提供することができる。
【0062】
研磨ブラシを用いて研磨を行う場合は、まず、支持部材の回転中心部にモーターなどを取り付けて駆動し、回転させる。ついで、フィラメント部を被削物に荷重をかけて接触させ摩擦する。
【0063】
図17はホイール形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。図18は剣山形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【0064】
フィラメント部8は柔軟性に富み、湾曲して側面が被削物11の表面に接触する。フィラメント部の側面とは、フィラメント部8を基体部7から立つ柱と見て、柱の周囲側面を意味している。
【0065】
フィラメント部の側面が被削物の表面に接触して研磨ブラシが回転すると、フィラメント部は、被削物との摩擦によって、基体部から抜ける方向に引張られる。ところがこのフィラメント部は基体部と一体成型されているために引張り強度に優れ、抜けることはなく、折れることもない。さらに、弾性に優れているために、被削物の表面から離れるとすぐに、元の状態に復元する。
【0066】
研磨条件は通常の当業者が適用する範囲内である。一般には、研磨ブラシの周速は、被削物に対して約10〜3000m/分程度になるように調節される。切り込みは約0.1〜5.0mm程度である。
【0067】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中の量の表記は全て重量基準である。また、寸法や量の値は厳密でなく適当な幅をもって理解されるべきである。
【実施例】
【0068】
実施例
熱可塑性エラストマー(東レデュポン社製「ハイトレル5527」)100部、添加材(東レダウコーニング社製「シリコンバッチBY27010」)10部を混合して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物及び芯材として太さ0.8mmの木綿糸を用いて、射出成形法により、金型単位の成形体同士が相互に接続された線形研磨ブラシ部材を得た。
【0069】
図19は、得られた線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。基体部の断面形状は略矩形であり、寸法は縦aが5mm、横bが3mmである。基体部の一方の側面には、勘合構造として、幅1mm、深さ1mmの溝が長尺方向に沿って設けられており、他方の側面にはこの溝に勘合するメサが設けられている。フィラメント部の外形は厚みをもった略長方形である。厚みcは1mm、短辺長さdは3mm、長辺長さeは25mmである。
【0070】
得られた線形研磨ブラシ部材がどの程度の湾曲自由度を有しているか、以下のように試験した。
【0071】
曲率D50mm、D40mm、及びD30mmの円柱をそれぞれ支持部材として用いて、得られた線形研磨ブラシ部材を、フィラメント部が外向きになるように円柱の側面に捲きつけてホイール形研磨ブラシを作製した。線形研磨ブラシ部材について、金型単位の成形体同士が接続されている接続部の状態を目視観察し、評価した。結果を表2に示す。
【0072】
比較例
芯材を使用しないこと以外は実施例と同様にして線形研磨ブラシ部材を製造し、ホイール形研磨ブラシを作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0073】
[表2]
【0074】
本発明の方法で製造した線形研磨ブラシ部材は、金型単位の成形体同士が接続されている樹脂界面の強度が弱いが、基体部に芯材を入れることにより、その問題点が解決された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の線形研磨ブラシ部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の線形研磨ブラシ部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】基体部とフィラメント部とを合わせた形状の一例を示す断面図である。
【図4】樹脂被覆した芯材の構造を示す模式図である。
【図5】所定の長尺寸法を有する金型を用いて、長尺寸法が限定されない線形研磨ブラシ部材を製造する方法を示した、工程図である。
【図6】ホイール形研磨ブラシの作製過程を模式的に示す斜視図である。
【図7】完成したホイール形研磨ブラシの斜視図である。
【図8】ディスク形研磨ブラシの一例を示す正面図である。
【図9】図8のディスク形研磨ブラシのAA’断面図である。
【図10】剣山形研磨ブラシの一例を示す斜視図である。
【図11】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図12】図11の剣山形研磨ブラシのBB’断面図である。
【図13】線形研磨ブラシ部材を固定した状態の一例を示す部分断面図である。
【図14】線形研磨ブラシ部材を固定した状態の他の例を示す部分断面図である。
【図15】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図16】剣山形研磨ブラシの他の例を示す平面図である。
【図17】ホイール形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【図18】剣山形研磨ブラシのフィラメント部が被削物を摩擦している状態を示した模式図である。
【図19】実施例で作製した線形研磨ブラシ部材の部分拡大斜視図である。
【図20】線形研磨ブラシ部材の構造を例示した模式図である。
【図21】線形研磨ブラシ部材の製造方法を例示した模式図である。
【符号の説明】
【0076】
7…基体部、
8…フィラメント部、
9…芯材、
10…勘合構造、
11…被削物、
12…樹脂層、
13…成形体、
14…成形体の端部、
15…金型、
16…線形研磨ブラシ部材、
17…心棒、
18…フィラメント部先端、
19、21…支持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材。
【請求項2】
前記芯材の引張破断強度が、一芯当たり5kg以上である請求項1記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項3】
前記芯材の構造が、撚り線である請求項1又は2記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項4】
長尺方向と垂直な面で切った前記基体部の断面積において、芯材の断面積の占める割合が5〜50%である請求項1〜3のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項5】
前記樹脂組成物が熱可塑性エラストマーを含むものである請求項1〜4のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材と、線形研磨ブラシ部材が固定される面を有する支持部材とを含む研磨ブラシ。
【請求項7】
前記支持部材が円柱状であり、前記線形研磨ブラシ部材が、基体部が内輪部およびフィラメント部が外輪部となるように渦巻き状に巻かれて、その底面が該支持部材の側面上に固定されたホイール形のものである、請求項6記載の研磨ブラシ。
【請求項8】
前記支持部材が円板状であり、前記線形研磨ブラシ部材が、フィラメント部が略同一方向を向くように渦巻き状に巻かれて、その底面が該支持部材の主表面上に固定された剣山形のものである、請求項6記載の研磨ブラシ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材の製造方法であって、
(1)該線形研磨ブラシ部材の形状に対応した凹部、及び所定の長尺寸法を有する金型、および芯材を準備する工程;
(2)金型を開放し、該凹部の線形研磨ブラシ部材の基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置する工程;
(3)金型を密閉し、樹脂組成物の一体成形を行って、成形体を得る工程;
(4)金型を開放し、得られた成形体を離型して長尺方向に位置をずらすことにより、成形体の端部が金型内に残され、また芯材が該凹部の線形研磨ブラシ部材の基体部形状に対応する溝に沿うように配置される工程;
(5)工程(3)及び工程(4)を繰り返す工程;
を包含する方法。
【請求項1】
埋め込まれた芯材を有し、背中合わせになった細長い上面及び底面を有する棒状の基体部と、該基体部の上面に長尺方向に沿って存在する複数のフィラメント部とを有し、基体部とフィラメント部が樹脂組成物から一体成形されている、線形研磨ブラシ部材。
【請求項2】
前記芯材の引張破断強度が、一芯当たり5kg以上である請求項1記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項3】
前記芯材の構造が、撚り線である請求項1又は2記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項4】
長尺方向と垂直な面で切った前記基体部の断面積において、芯材の断面積の占める割合が5〜50%である請求項1〜3のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項5】
前記樹脂組成物が熱可塑性エラストマーを含むものである請求項1〜4のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材と、線形研磨ブラシ部材が固定される面を有する支持部材とを含む研磨ブラシ。
【請求項7】
前記支持部材が円柱状であり、前記線形研磨ブラシ部材が、基体部が内輪部およびフィラメント部が外輪部となるように渦巻き状に巻かれて、その底面が該支持部材の側面上に固定されたホイール形のものである、請求項6記載の研磨ブラシ。
【請求項8】
前記支持部材が円板状であり、前記線形研磨ブラシ部材が、フィラメント部が略同一方向を向くように渦巻き状に巻かれて、その底面が該支持部材の主表面上に固定された剣山形のものである、請求項6記載の研磨ブラシ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか記載の線形研磨ブラシ部材の製造方法であって、
(1)該線形研磨ブラシ部材の形状に対応した凹部、及び所定の長尺寸法を有する金型、および芯材を準備する工程;
(2)金型を開放し、該凹部の線形研磨ブラシ部材の基体部形状に対応する溝に沿うように芯材を配置する工程;
(3)金型を密閉し、樹脂組成物の一体成形を行って、成形体を得る工程;
(4)金型を開放し、得られた成形体を離型して長尺方向に位置をずらすことにより、成形体の端部が金型内に残され、また芯材が該凹部の線形研磨ブラシ部材の基体部形状に対応する溝に沿うように配置される工程;
(5)工程(3)及び工程(4)を繰り返す工程;
を包含する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−61071(P2009−61071A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231063(P2007−231063)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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