編組体用エレメント、編組体及び網容器
【課題】耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有していて、菱形の網目となるように無結節に編み込むことができる編組体用エレメント、及び、護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネット、その他の耐久性の網袋やネットとして好適な編組体及び網容器を提供すること。
【解決手段】高抗張力を有する合成繊維製芯材aに架橋剤を含む生ゴムを被覆し屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部11を有する編組体用エレメント10とした。この編組体用エレメント10を編んで網あるいはネット等の編組体とした。さらに、編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状の網容器とした。
【解決手段】高抗張力を有する合成繊維製芯材aに架橋剤を含む生ゴムを被覆し屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部11を有する編組体用エレメント10とした。この編組体用エレメント10を編んで網あるいはネット等の編組体とした。さらに、編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状の網容器とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菱目網に編み組みする編組体用エレメント、編組体及び網容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
菱形金網は、線を山形に加工し、編み合わせて平行四辺形の網目を形成した金網であり、網目の接合点が溶接金網のように固定されていないため、高い衝撃吸収性があり、また、製品の折りたたみが可能で運搬が容易なこと、破損事故の際に補修が可能であることなどの特徴がある。菱形金網の材質は、ポリエチレン被覆鉄線、ビニル被覆鉄線、亜鉛メッキ鉄線、着色塗装亜鉛メッキ鉄線、あるいはステンレス鋼線である。
【0003】
菱形金網の代表的な用途として、ネットフェンスや落石防止網、河川護岸工事用のじゃかごなどがある。近年、テトラポッドの設置は、独特の形状と色彩から日本の海岸の原風景である白砂青松を破壊するものとして批判が強く、テトラポッドに代わるものとして、例えば金網で構成された石詰め用枠に自然石ブロック等を詰め込んで敷き詰める各種護岸工法が採用されてきている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
他方、従来において、ナイロン等の一本の繊維糸で、網目形状が菱形金網と同じ菱目の編み方にすると、網目が最初の一定の大きさに維持されず、小さくなる網目と大きくなる網目とに集中するように網目が大きくずれるので、繊維糸よりなる菱目網の編組体は提供されていない。網目形状が菱形金網と同じ菱目の繊維製の編組体(網やネット)としては、網糸がジグザグに伸びる千鳥型無結節網と、無結節のラッセル網と、有結節網とがあり、これらはレース編み機により作られている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−171687号公報
【特許文献2】特開2001−336156号公報
【特許文献3】特開2000−027151号公報
【特許文献4】特開平09−235715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4の護岸工法のものでは、石詰め用枠が金網で構成されているので、長期間経過すると錆びて鋭利な先端が護岸表面に現れるという、問題点があるので枠蓋については金網ではなくて、繊維糸等よりなる枠蓋の提供が望まれる。
他方、耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有していて、非金属製(菱形金網以外)の編み糸で菱形網目でありかつ網目がくずれ難く、切れたときに取り換えが容易であり、護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネットなどに適用する編組体の提供が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有していて、菱形の網目となるように無結節に編み込むことができる編組体用エレメント、及び、護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネット、その他の耐久性の網袋やネットとして好適な編組体及び網容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の編組体用エレメントは、高抗張力を有する合成繊維製芯材を架橋剤を含む生ゴムで被覆し連続屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の編組体用エレメントは、折り返しとなる中間部を有し、該中間部で折り返した両側部分に、前記波状屈曲部を、線対称に一対備えられていることが好ましい。
【0010】
また本発明の編組体は、前記発明の編組体用エレメントを編んでなる網あるいはネット等の編組体であって、一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントが絡められ、かつ各編組体用エレメントの端が絡み状態から抜け出ないようにループ状に閉じた、ことを特徴とする。
【0011】
また本発明の網容器は、前記発明の編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の編組体用エレメントによれば、可撓性を有する屈曲形状の波状屈曲部を有するから、一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントを絡めて編組体を編み込むことが容易にできる。また、本発明の編組体用エレメントによれば、屈曲形状を形状固定(形状記憶)されてなる波状屈曲部を有するから、菱形金網と同じ無結節の網目を有する編組体として編み込んだ後は、負荷が加わっても網目が崩れにくい(小さくなる網目と大きくなる網目とに集中するように網目が大きくずれることが起きにくい)各種編組体(網やネット等)を編み込むことができる。
【0013】
本発明の編組体及び網容器によれば、編組体用エレメントにより菱形金網と同じ無結節の網目の、かつ編組体として編み込んだ構成であり、編組体用エレメントが耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有し、可撓性を有する屈曲形状に形状固定されているから網目が崩れにくく護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネット、その他の耐久性の網袋やネットとして好適であり、切れたときに鋭利な切断端が生じず、取り換え・編み込みが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
〔実施の形態1〕
まず、編組体用エレメントについて図1(a),(b)、図2を参照して説明する。
図1(a)は編組体用エレメントの形状図であり、図1(b)は編組体用エレメントの中心線を通る拡大縦断面図である。
図1(a)に示すように、編組体用エレメント10は、一列状に三角波形状を備えるストリングである。図1(b)に示すように、編組体用エレメント10は、合成繊維製芯材aと被覆ゴムbとからなる。合成繊維製芯材aは、高抗張力を有する合成繊維よりなり編組体とされたときの強度を担持する役目を果たす。被覆ゴムbは、合成繊維製芯材aを被覆しジグザグな鋸刃形状を保持するとともに耐摩耗性を担持する役目を果たす。
被覆ゴムbは、形状保持性を有しない合成繊維製芯材aを被覆用成形機により未架橋の生ゴムとして被覆され、鋸刃形状に緊張して張り込まれ、両端を固定された状態で加硫缶に収容され一定時間・一定温度・一定圧力で加熱・加圧されてなる。なお、プレス加硫成形でエレメントを成形しても良い。
【0016】
図2は、長矩形板20aに複数のピン20bを千鳥配列で突設し、両端に固定手段20cを配置し備えてなるエレメント材張り込み具20に、図1(b)に示すように、高抗張力を有する合成繊維製芯材aに生ゴムbを被覆したエレメント材10’を複数のピン20bにジグザグに掛けて緊張状態に張り込んだ状態を示すエレメント材張り込み図である。このように、エレメント材張り込み具20にエレメント材10’を張り込み加硫缶に収容して、例えば約2026hPa〜5066hPaの圧力に保ち、100℃〜160℃、30分〜90分加熱して成形されたものが、編組体用エレメント10である。
【0017】
エレメント材10’をジグザグに張り込み加熱すると、合成繊維製芯材が長さは変えないが、合成繊維製芯材を被覆している生ゴムは、加熱されることにより架橋剤の働きで分子間結合を強め(一種の架橋反応)、体積を縮小させて弾性および引張り強さを増大し、かつ耐摩耗性・耐候性・耐油性を増大し、ジグザグの屈曲形状を固定(形状記憶)し、もって弾力性・可撓性・形状記憶性を発現した編組体用エレメント10となる。編組体用エレメント10は、被覆ゴムbが三角波形状を保持する役目を果たす。
【0018】
編組体用エレメント10は、(1)高抗張力を有する合成繊維製芯材aに生ゴムbを被覆してなるエレメント材10’を用いること、(2)エレメント材10’をエレメント材張り込み具20にジグザグに張り込むこと、(3)加硫缶で一定時間、一定の高温に保って加熱・加圧処理することにより、三角波形状の波状屈曲部11を有する固定形状が得られる。
【0019】
編組体用エレメント10を護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネットに利用されるものとするには、例えば、図1(b)に示す、合成繊維製芯材aの直径dを5mm〜15mmとし、生ゴムの肉厚tを0.5mm〜3mmとしたエレメント材10’をエレメント材張り込み具20に張り込み、加熱・加圧処理する。なお、合成繊維製芯材aの直径dの数値、被覆ゴムbの肉厚tの数値は本発明を限定するものではない。
【0020】
この波状屈曲部11は、編組体用エレメント10の全長を占めていると、後述するように、両端の傾斜辺部が中程の傾斜辺部よりも若干長いことが編組体を編み込む上で好ましい。なお、編組体用エレメント10は、波状屈曲部11が両端部を除く残り全長を占めていても良い。
【0021】
高抗張力を有する合成繊維製芯材aは、アラミド繊維、ナイロン繊維、あるいはポリエステル繊維等の単線又は撚線から選択されることが好ましい。合成繊維製芯材aの種類、太さ等は、使用目的(負荷の大きさ)に応じて選ばれる。
アラミド繊維とは、その分子骨格が芳香族(ベンゼン環)からなるポリアミド繊維であり、伸び・縮みが非常に少なく、非常に引張り強度が強い繊維である。
ナイロン繊維とは、ポリアミド系樹脂の総称であり、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできたポリマーであり、種類としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン46、ナイロンMXD6などがある。
ポリエステル繊維とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であり、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等がある
【0022】
合成繊維製芯材aを被覆する生ゴム、すなわち被覆ゴムbとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)などが好ましいが、その他のゴム、具体的には、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、イソプレンゴム(IR)、多硫化ゴム(T)、ノルボルネンゴム(NOR)も除外されない。生ゴムには硫黄、その他、無機のペルオキソ酸化合物、官能基としてペルオキシド又は過カルボン酸を有する化合物等の架橋剤が適度の量含まれる。
【0023】
合成繊維製芯材に生ゴムを被覆したエレメント前駆体の線材は、架橋処理に際して互いに密着一体になることを回避するために、生ゴムの外面に滑り材(くっつき防止剤)を塗膜形成される。この滑り材としては、例えば、タルクが用いられる。
【0024】
次に、編組体について図3〜図7を参照して説明する。
まず、図1に示す2つの編組体用エレメント10を対称的に向き合わせ、互いに近接する波状屈曲部同士を絡めた状態とする(図3参照)。次に、さらに1つの編組体用エレメント10を前記2つ絡みの編組体用エレメント10の一方に対して向きを変えて絡めた状態を図4に示す。4つ目の編組体用エレメント10を3番目に絡めた編組体用エレメント10の一方に対して向きを変えて絡めた状態を図5に示す。こうして、次々に所望数の編組体用エレメント10を絡めた状態を図6に示す。最後に、各編組体用エレメント10の端が絡みが解けないように、端部交差部を平行なすれ違い状態に並べ直してカシメ式締め付け金具25等適宜手段で連結すると、ネット状の編組体30が出来上がる。(図7参照)。
このネット状の編組体30は、護岸用ネット、法面崩落防護用ネット等に利用される。
【0025】
次に、有底円筒状の網容器について図8、図9を参照して説明する。
図7に示すネット状の編組体30を円筒状に巻いて、図8に示すように、該編組体30の両端を、さらに2つの編組体用エレメント10を用いて絡ませると、エンドレスな円筒になり、さらに、図9に示すように、底部に紐状体41を絡み付け絞り込むと底部を閉じることができ、有底円筒状の網容器40となる。なお、他端にも紐状体42を絡み付ける。この網容器40は、護岸形成用網袋、法面形成用網袋等に利用される。
【0026】
エンドレスな円筒とするための編組体30は、先に1つの編組体用エレメント10を絡ませてから円筒状に一巻にすると、一方の端縁の屈曲部と、他方の端縁の屈曲部とは千鳥配置の関係にあるようになるので、残り1つの編組体用エレメント10を用いて絡ませることができる(図8参照)。編組体30と1つの編組体用エレメント10とでエンドレスの筒体にした後は、筒方向の一端を閉じ合せる。この閉じ合せに用いる紐状体41,42としては、編組体用エレメント10と同じ材料で、架橋し紐状体としてものを適宜長さに切断して用いることができる。
【0027】
なお、図1に示す編組体用エレメント10について、網容器40としたときに底側となる端部寄りの部分を端部に向かって次第に小さい三角波となるように形成すると、編組体30を編み込んで行く過程で端部が窄まってきて底面を構成できる。このほか、図7に示すネット状の編組体30を半折してその両側部を閉じ合せて袋状とする場合も、本発明の網容器に含まれる。
【0028】
〔実施の形態2〕
実施の形態2にかかる編組体用エレメント、編組体及び網容器について図10〜図16を参照して説明する。
【0029】
図10は編組体用エレメントの形状図である。編組体用エレメント50は、折り返し二列状に三角波形状を備えるストリングである。編組体用エレメント50は、実施の形態1の編組体用エレメント10と全く同じで、合成繊維製芯材と被覆ゴムとからなる。
【0030】
編組体用エレメント50は、線対称に三角波状に屈曲する一対の波状屈曲部51、51と、一対の波状屈曲部51、51の一端同士を一体に繋いでいる中間部52と、各波状屈曲部51の、中間部52と反対側に平行に延びている短直線状の端部53,53とからなる。
【0031】
図11は、編組体用エレメント50を作るためのエレメント材張り込み図である。
編組体用エレメント50を作るためには、長矩形板60aに複数のピン60bを二列の千鳥配列に対称的配置に突設し、一端に固定手段60cを備えてなるエレメント材張り込み具60を用い、実施の形態1にかかるエレメント材10’と全く同じ、高抗張力を有する合成繊維製芯材に生ゴムを被覆してなるエレメント材50’を用いて張り込む。
張り込み手順として、まず、エレメント材50’を、エレメント材張り込み具60の一方の千鳥配列の複数のピン60bにジグザグに掛け、中間部で折り返し、他方の千鳥配列の複数のピン60bにジグザグに掛けて、両端を引っ張って緊張状態に張り込んで、該両端を固定手段60cで固定した状態とする。
こうしてエレメント材50’を張り込んだエレメント材張り込み具60を加硫缶に収容し、例えば約2026hPa〜5066hPaの圧力に保ち、100℃〜160℃、30分〜90分加熱して成形したものが、図10に示す編組体用エレメント50である。なお、実施の形態1と同様に、プレス加硫成形でエレメントを成形しても良い。
【0032】
この編組体用エレメント50は、実施の形態1にかかる編組体用エレメント10と全く同じ素材の合成繊維製芯材に生ゴムを被覆し、同一条件の加熱・加圧処理して成形されるものであり、合成繊維製芯材は、高抗張力を有する合成繊維よりなり編組体とされたときの強度を担持する役目を果たし、被覆ゴムは、合成繊維製芯材を被覆しジグザグな鋸刃形状を保持すると共に耐摩耗性を担持する役目を果たす。
【0033】
次に、編組体について図12〜図17を参照して説明する。
まず、図10に示す一つの編組体用エレメント50を、一方の波状屈曲部51と他方の波状屈曲部51の互いに近接する屈曲部51a,51a同士を中間部52側から順に絡めていき、一列状に菱目を作り絡めた状態を図12に示す。
続いて、2つ目の編組体用エレメント50を用意し、この編組体用エレメント50の一方の波状屈曲部51を、前記絡めた1つ目の編組体用エレメント50の一側の絡めていない屈曲部に対して中間部52側から絡め、絡める位置を順送りして絡める数を増やしていき、全部の屈曲部51aを絡めた状態を図13に示す。次いで、他方の波状屈曲部51を、先に絡めた前記一方の波状屈曲部51に対して、互いに近接する屈曲部同士を絡めていき、二列状に菱目を作り絡めた状態を図14に示す。
このようにして、次々に所望数の編組体用エレメント50を絡め絡めた状態を図15に示す。最後に、各編組体用エレメント50の両端53,53を絡みが解けないように、端部交差部を平行なすれ違い状態に並べ直してカシメ式締め付け金具25等適宜手段で連結すると、図16に示すネット状の編組体30が出来上がる。
このネット状の編組体70は、護岸用ネット、法面崩落防護用ネットに利用される。
【0034】
次に、有底円筒状の網容器について図17、図18を参照して説明する。
図16に示すネット状の編組体70に対し、図17に示すように、さらに1つの編組体用エレメント50の一方の波状屈曲部51を編組体70の一方の突き合せ端縁の波状屈曲部51に絡ませ、円筒状に一巻きにして、さらに、編組体用エレメント50の他方の波状屈曲部51を自己の前記一方の波状屈曲部51及び編組体70の他方の突き合せ端縁の波状屈曲部51に千鳥状に絡ませ、絡ませる位置を順送りすることにより、エンドレスな円筒とすることができる。その後、筒方向の一端53、53を閉じ合せると、エンドレスな円筒になり、さらに、図18に示すように、底部に紐状体81を絡み付け絞り込むと底部を閉じることができ、他端にも紐状体82を絡み付けると有底円筒状の網容器80となる。この網容器80は、護岸形成用網袋、法面形成用網袋等に利用される。
なお、図10に示す編組体用エレメント50について、網容器80としたときに底側となる端部寄りの部分を端部に向かって次第に小さい三角波となるように形成すると、編組体70を編み込んで行くと、菱目が底側となる端部寄りの部分で窄まってきて底面を構成できる。
【0035】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記実施の形態にこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1に係り、(a)は編組体用エレメントの形状図、(b)は編組体用エレメントの軸線に沿った一部拡大断面図である。
【図2】エレメント材張り込み具にエレメント材を張り込んだ状態を示す正面図である。
【図3】2つの編組体用エレメントを用いて菱目が一列にできるように編み組んだ正面図である。
【図4】3つ目の編組体用エレメントを編み組んだ正面図である。
【図5】4つ目の編組体用エレメントを編み組んだ正面図である。
【図6】図1に示す編組体用エレメントを所望数用いて菱目が複数列にできるように編み組んだ状態の正面図である。
【図7】図6に示す編み組み状態からさらに端部を絡みが解けないようにループに閉じてなる編組体の正面図である。
【図8】図7の編組体を円筒に丸め、さらに1つの編組体用エレメントを用い円筒状の網容器になるように編み組む中途状態を示す要部正面図である。
【図9】図7に示す編み組み状態からさらに底部を編んでなる網容器の概略の斜視図である。
【図10】実施の形態2に係る編組体用エレメントの形状図である。
【図11】エレメント材張り込み具にエレメント材を張り込んだ状態を示す正面図である。
【図12】図10に示す1つ編組体用エレメントを菱目が一列にできるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図13】図10に示す2つの編組体用エレメントで二列目の菱目ができるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図14】図10に示す2つの編組体用エレメントで三列目の菱目ができるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図15】図10に示す編組体用エレメントを所望数用いて菱目が複数列にできるように編み組んだ状態の正面図である。
【図16】図15に示す編み組み状態からさらに端部を絡みが解けないようにループに閉じてなる編組体の正面図である。
【図17】図16に示す編組体を円筒に丸め、さらに1つの編組体用エレメントを用いて網容器となるように編み組む中途状態を示す要部正面図である。
【図18】図16に示す編み組み状態からさらに底部を編んでなる網容器の概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 編組体用エレメント
a 合成繊維製芯材
b 被覆ゴム
30 編組体
40 網容器
50 編組体用エレメント
70 編組体
80 網容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、菱目網に編み組みする編組体用エレメント、編組体及び網容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
菱形金網は、線を山形に加工し、編み合わせて平行四辺形の網目を形成した金網であり、網目の接合点が溶接金網のように固定されていないため、高い衝撃吸収性があり、また、製品の折りたたみが可能で運搬が容易なこと、破損事故の際に補修が可能であることなどの特徴がある。菱形金網の材質は、ポリエチレン被覆鉄線、ビニル被覆鉄線、亜鉛メッキ鉄線、着色塗装亜鉛メッキ鉄線、あるいはステンレス鋼線である。
【0003】
菱形金網の代表的な用途として、ネットフェンスや落石防止網、河川護岸工事用のじゃかごなどがある。近年、テトラポッドの設置は、独特の形状と色彩から日本の海岸の原風景である白砂青松を破壊するものとして批判が強く、テトラポッドに代わるものとして、例えば金網で構成された石詰め用枠に自然石ブロック等を詰め込んで敷き詰める各種護岸工法が採用されてきている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
他方、従来において、ナイロン等の一本の繊維糸で、網目形状が菱形金網と同じ菱目の編み方にすると、網目が最初の一定の大きさに維持されず、小さくなる網目と大きくなる網目とに集中するように網目が大きくずれるので、繊維糸よりなる菱目網の編組体は提供されていない。網目形状が菱形金網と同じ菱目の繊維製の編組体(網やネット)としては、網糸がジグザグに伸びる千鳥型無結節網と、無結節のラッセル網と、有結節網とがあり、これらはレース編み機により作られている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−171687号公報
【特許文献2】特開2001−336156号公報
【特許文献3】特開2000−027151号公報
【特許文献4】特開平09−235715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4の護岸工法のものでは、石詰め用枠が金網で構成されているので、長期間経過すると錆びて鋭利な先端が護岸表面に現れるという、問題点があるので枠蓋については金網ではなくて、繊維糸等よりなる枠蓋の提供が望まれる。
他方、耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有していて、非金属製(菱形金網以外)の編み糸で菱形網目でありかつ網目がくずれ難く、切れたときに取り換えが容易であり、護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネットなどに適用する編組体の提供が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有していて、菱形の網目となるように無結節に編み込むことができる編組体用エレメント、及び、護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネット、その他の耐久性の網袋やネットとして好適な編組体及び網容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の編組体用エレメントは、高抗張力を有する合成繊維製芯材を架橋剤を含む生ゴムで被覆し連続屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の編組体用エレメントは、折り返しとなる中間部を有し、該中間部で折り返した両側部分に、前記波状屈曲部を、線対称に一対備えられていることが好ましい。
【0010】
また本発明の編組体は、前記発明の編組体用エレメントを編んでなる網あるいはネット等の編組体であって、一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントが絡められ、かつ各編組体用エレメントの端が絡み状態から抜け出ないようにループ状に閉じた、ことを特徴とする。
【0011】
また本発明の網容器は、前記発明の編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の編組体用エレメントによれば、可撓性を有する屈曲形状の波状屈曲部を有するから、一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントを絡めて編組体を編み込むことが容易にできる。また、本発明の編組体用エレメントによれば、屈曲形状を形状固定(形状記憶)されてなる波状屈曲部を有するから、菱形金網と同じ無結節の網目を有する編組体として編み込んだ後は、負荷が加わっても網目が崩れにくい(小さくなる網目と大きくなる網目とに集中するように網目が大きくずれることが起きにくい)各種編組体(網やネット等)を編み込むことができる。
【0013】
本発明の編組体及び網容器によれば、編組体用エレメントにより菱形金網と同じ無結節の網目の、かつ編組体として編み込んだ構成であり、編組体用エレメントが耐摩耗性・高抗張力・対海水性・耐候性・可撓性を有し、可撓性を有する屈曲形状に形状固定されているから網目が崩れにくく護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネット、その他の耐久性の網袋やネットとして好適であり、切れたときに鋭利な切断端が生じず、取り換え・編み込みが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
〔実施の形態1〕
まず、編組体用エレメントについて図1(a),(b)、図2を参照して説明する。
図1(a)は編組体用エレメントの形状図であり、図1(b)は編組体用エレメントの中心線を通る拡大縦断面図である。
図1(a)に示すように、編組体用エレメント10は、一列状に三角波形状を備えるストリングである。図1(b)に示すように、編組体用エレメント10は、合成繊維製芯材aと被覆ゴムbとからなる。合成繊維製芯材aは、高抗張力を有する合成繊維よりなり編組体とされたときの強度を担持する役目を果たす。被覆ゴムbは、合成繊維製芯材aを被覆しジグザグな鋸刃形状を保持するとともに耐摩耗性を担持する役目を果たす。
被覆ゴムbは、形状保持性を有しない合成繊維製芯材aを被覆用成形機により未架橋の生ゴムとして被覆され、鋸刃形状に緊張して張り込まれ、両端を固定された状態で加硫缶に収容され一定時間・一定温度・一定圧力で加熱・加圧されてなる。なお、プレス加硫成形でエレメントを成形しても良い。
【0016】
図2は、長矩形板20aに複数のピン20bを千鳥配列で突設し、両端に固定手段20cを配置し備えてなるエレメント材張り込み具20に、図1(b)に示すように、高抗張力を有する合成繊維製芯材aに生ゴムbを被覆したエレメント材10’を複数のピン20bにジグザグに掛けて緊張状態に張り込んだ状態を示すエレメント材張り込み図である。このように、エレメント材張り込み具20にエレメント材10’を張り込み加硫缶に収容して、例えば約2026hPa〜5066hPaの圧力に保ち、100℃〜160℃、30分〜90分加熱して成形されたものが、編組体用エレメント10である。
【0017】
エレメント材10’をジグザグに張り込み加熱すると、合成繊維製芯材が長さは変えないが、合成繊維製芯材を被覆している生ゴムは、加熱されることにより架橋剤の働きで分子間結合を強め(一種の架橋反応)、体積を縮小させて弾性および引張り強さを増大し、かつ耐摩耗性・耐候性・耐油性を増大し、ジグザグの屈曲形状を固定(形状記憶)し、もって弾力性・可撓性・形状記憶性を発現した編組体用エレメント10となる。編組体用エレメント10は、被覆ゴムbが三角波形状を保持する役目を果たす。
【0018】
編組体用エレメント10は、(1)高抗張力を有する合成繊維製芯材aに生ゴムbを被覆してなるエレメント材10’を用いること、(2)エレメント材10’をエレメント材張り込み具20にジグザグに張り込むこと、(3)加硫缶で一定時間、一定の高温に保って加熱・加圧処理することにより、三角波形状の波状屈曲部11を有する固定形状が得られる。
【0019】
編組体用エレメント10を護岸形成用網袋、護岸用ネット、法面形成用網袋、法面崩落防護用ネットに利用されるものとするには、例えば、図1(b)に示す、合成繊維製芯材aの直径dを5mm〜15mmとし、生ゴムの肉厚tを0.5mm〜3mmとしたエレメント材10’をエレメント材張り込み具20に張り込み、加熱・加圧処理する。なお、合成繊維製芯材aの直径dの数値、被覆ゴムbの肉厚tの数値は本発明を限定するものではない。
【0020】
この波状屈曲部11は、編組体用エレメント10の全長を占めていると、後述するように、両端の傾斜辺部が中程の傾斜辺部よりも若干長いことが編組体を編み込む上で好ましい。なお、編組体用エレメント10は、波状屈曲部11が両端部を除く残り全長を占めていても良い。
【0021】
高抗張力を有する合成繊維製芯材aは、アラミド繊維、ナイロン繊維、あるいはポリエステル繊維等の単線又は撚線から選択されることが好ましい。合成繊維製芯材aの種類、太さ等は、使用目的(負荷の大きさ)に応じて選ばれる。
アラミド繊維とは、その分子骨格が芳香族(ベンゼン環)からなるポリアミド繊維であり、伸び・縮みが非常に少なく、非常に引張り強度が強い繊維である。
ナイロン繊維とは、ポリアミド系樹脂の総称であり、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできたポリマーであり、種類としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン46、ナイロンMXD6などがある。
ポリエステル繊維とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であり、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等がある
【0022】
合成繊維製芯材aを被覆する生ゴム、すなわち被覆ゴムbとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)などが好ましいが、その他のゴム、具体的には、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、イソプレンゴム(IR)、多硫化ゴム(T)、ノルボルネンゴム(NOR)も除外されない。生ゴムには硫黄、その他、無機のペルオキソ酸化合物、官能基としてペルオキシド又は過カルボン酸を有する化合物等の架橋剤が適度の量含まれる。
【0023】
合成繊維製芯材に生ゴムを被覆したエレメント前駆体の線材は、架橋処理に際して互いに密着一体になることを回避するために、生ゴムの外面に滑り材(くっつき防止剤)を塗膜形成される。この滑り材としては、例えば、タルクが用いられる。
【0024】
次に、編組体について図3〜図7を参照して説明する。
まず、図1に示す2つの編組体用エレメント10を対称的に向き合わせ、互いに近接する波状屈曲部同士を絡めた状態とする(図3参照)。次に、さらに1つの編組体用エレメント10を前記2つ絡みの編組体用エレメント10の一方に対して向きを変えて絡めた状態を図4に示す。4つ目の編組体用エレメント10を3番目に絡めた編組体用エレメント10の一方に対して向きを変えて絡めた状態を図5に示す。こうして、次々に所望数の編組体用エレメント10を絡めた状態を図6に示す。最後に、各編組体用エレメント10の端が絡みが解けないように、端部交差部を平行なすれ違い状態に並べ直してカシメ式締め付け金具25等適宜手段で連結すると、ネット状の編組体30が出来上がる。(図7参照)。
このネット状の編組体30は、護岸用ネット、法面崩落防護用ネット等に利用される。
【0025】
次に、有底円筒状の網容器について図8、図9を参照して説明する。
図7に示すネット状の編組体30を円筒状に巻いて、図8に示すように、該編組体30の両端を、さらに2つの編組体用エレメント10を用いて絡ませると、エンドレスな円筒になり、さらに、図9に示すように、底部に紐状体41を絡み付け絞り込むと底部を閉じることができ、有底円筒状の網容器40となる。なお、他端にも紐状体42を絡み付ける。この網容器40は、護岸形成用網袋、法面形成用網袋等に利用される。
【0026】
エンドレスな円筒とするための編組体30は、先に1つの編組体用エレメント10を絡ませてから円筒状に一巻にすると、一方の端縁の屈曲部と、他方の端縁の屈曲部とは千鳥配置の関係にあるようになるので、残り1つの編組体用エレメント10を用いて絡ませることができる(図8参照)。編組体30と1つの編組体用エレメント10とでエンドレスの筒体にした後は、筒方向の一端を閉じ合せる。この閉じ合せに用いる紐状体41,42としては、編組体用エレメント10と同じ材料で、架橋し紐状体としてものを適宜長さに切断して用いることができる。
【0027】
なお、図1に示す編組体用エレメント10について、網容器40としたときに底側となる端部寄りの部分を端部に向かって次第に小さい三角波となるように形成すると、編組体30を編み込んで行く過程で端部が窄まってきて底面を構成できる。このほか、図7に示すネット状の編組体30を半折してその両側部を閉じ合せて袋状とする場合も、本発明の網容器に含まれる。
【0028】
〔実施の形態2〕
実施の形態2にかかる編組体用エレメント、編組体及び網容器について図10〜図16を参照して説明する。
【0029】
図10は編組体用エレメントの形状図である。編組体用エレメント50は、折り返し二列状に三角波形状を備えるストリングである。編組体用エレメント50は、実施の形態1の編組体用エレメント10と全く同じで、合成繊維製芯材と被覆ゴムとからなる。
【0030】
編組体用エレメント50は、線対称に三角波状に屈曲する一対の波状屈曲部51、51と、一対の波状屈曲部51、51の一端同士を一体に繋いでいる中間部52と、各波状屈曲部51の、中間部52と反対側に平行に延びている短直線状の端部53,53とからなる。
【0031】
図11は、編組体用エレメント50を作るためのエレメント材張り込み図である。
編組体用エレメント50を作るためには、長矩形板60aに複数のピン60bを二列の千鳥配列に対称的配置に突設し、一端に固定手段60cを備えてなるエレメント材張り込み具60を用い、実施の形態1にかかるエレメント材10’と全く同じ、高抗張力を有する合成繊維製芯材に生ゴムを被覆してなるエレメント材50’を用いて張り込む。
張り込み手順として、まず、エレメント材50’を、エレメント材張り込み具60の一方の千鳥配列の複数のピン60bにジグザグに掛け、中間部で折り返し、他方の千鳥配列の複数のピン60bにジグザグに掛けて、両端を引っ張って緊張状態に張り込んで、該両端を固定手段60cで固定した状態とする。
こうしてエレメント材50’を張り込んだエレメント材張り込み具60を加硫缶に収容し、例えば約2026hPa〜5066hPaの圧力に保ち、100℃〜160℃、30分〜90分加熱して成形したものが、図10に示す編組体用エレメント50である。なお、実施の形態1と同様に、プレス加硫成形でエレメントを成形しても良い。
【0032】
この編組体用エレメント50は、実施の形態1にかかる編組体用エレメント10と全く同じ素材の合成繊維製芯材に生ゴムを被覆し、同一条件の加熱・加圧処理して成形されるものであり、合成繊維製芯材は、高抗張力を有する合成繊維よりなり編組体とされたときの強度を担持する役目を果たし、被覆ゴムは、合成繊維製芯材を被覆しジグザグな鋸刃形状を保持すると共に耐摩耗性を担持する役目を果たす。
【0033】
次に、編組体について図12〜図17を参照して説明する。
まず、図10に示す一つの編組体用エレメント50を、一方の波状屈曲部51と他方の波状屈曲部51の互いに近接する屈曲部51a,51a同士を中間部52側から順に絡めていき、一列状に菱目を作り絡めた状態を図12に示す。
続いて、2つ目の編組体用エレメント50を用意し、この編組体用エレメント50の一方の波状屈曲部51を、前記絡めた1つ目の編組体用エレメント50の一側の絡めていない屈曲部に対して中間部52側から絡め、絡める位置を順送りして絡める数を増やしていき、全部の屈曲部51aを絡めた状態を図13に示す。次いで、他方の波状屈曲部51を、先に絡めた前記一方の波状屈曲部51に対して、互いに近接する屈曲部同士を絡めていき、二列状に菱目を作り絡めた状態を図14に示す。
このようにして、次々に所望数の編組体用エレメント50を絡め絡めた状態を図15に示す。最後に、各編組体用エレメント50の両端53,53を絡みが解けないように、端部交差部を平行なすれ違い状態に並べ直してカシメ式締め付け金具25等適宜手段で連結すると、図16に示すネット状の編組体30が出来上がる。
このネット状の編組体70は、護岸用ネット、法面崩落防護用ネットに利用される。
【0034】
次に、有底円筒状の網容器について図17、図18を参照して説明する。
図16に示すネット状の編組体70に対し、図17に示すように、さらに1つの編組体用エレメント50の一方の波状屈曲部51を編組体70の一方の突き合せ端縁の波状屈曲部51に絡ませ、円筒状に一巻きにして、さらに、編組体用エレメント50の他方の波状屈曲部51を自己の前記一方の波状屈曲部51及び編組体70の他方の突き合せ端縁の波状屈曲部51に千鳥状に絡ませ、絡ませる位置を順送りすることにより、エンドレスな円筒とすることができる。その後、筒方向の一端53、53を閉じ合せると、エンドレスな円筒になり、さらに、図18に示すように、底部に紐状体81を絡み付け絞り込むと底部を閉じることができ、他端にも紐状体82を絡み付けると有底円筒状の網容器80となる。この網容器80は、護岸形成用網袋、法面形成用網袋等に利用される。
なお、図10に示す編組体用エレメント50について、網容器80としたときに底側となる端部寄りの部分を端部に向かって次第に小さい三角波となるように形成すると、編組体70を編み込んで行くと、菱目が底側となる端部寄りの部分で窄まってきて底面を構成できる。
【0035】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記実施の形態にこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1に係り、(a)は編組体用エレメントの形状図、(b)は編組体用エレメントの軸線に沿った一部拡大断面図である。
【図2】エレメント材張り込み具にエレメント材を張り込んだ状態を示す正面図である。
【図3】2つの編組体用エレメントを用いて菱目が一列にできるように編み組んだ正面図である。
【図4】3つ目の編組体用エレメントを編み組んだ正面図である。
【図5】4つ目の編組体用エレメントを編み組んだ正面図である。
【図6】図1に示す編組体用エレメントを所望数用いて菱目が複数列にできるように編み組んだ状態の正面図である。
【図7】図6に示す編み組み状態からさらに端部を絡みが解けないようにループに閉じてなる編組体の正面図である。
【図8】図7の編組体を円筒に丸め、さらに1つの編組体用エレメントを用い円筒状の網容器になるように編み組む中途状態を示す要部正面図である。
【図9】図7に示す編み組み状態からさらに底部を編んでなる網容器の概略の斜視図である。
【図10】実施の形態2に係る編組体用エレメントの形状図である。
【図11】エレメント材張り込み具にエレメント材を張り込んだ状態を示す正面図である。
【図12】図10に示す1つ編組体用エレメントを菱目が一列にできるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図13】図10に示す2つの編組体用エレメントで二列目の菱目ができるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図14】図10に示す2つの編組体用エレメントで三列目の菱目ができるように編み組んだ状態を示す正面図である。
【図15】図10に示す編組体用エレメントを所望数用いて菱目が複数列にできるように編み組んだ状態の正面図である。
【図16】図15に示す編み組み状態からさらに端部を絡みが解けないようにループに閉じてなる編組体の正面図である。
【図17】図16に示す編組体を円筒に丸め、さらに1つの編組体用エレメントを用いて網容器となるように編み組む中途状態を示す要部正面図である。
【図18】図16に示す編み組み状態からさらに底部を編んでなる網容器の概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 編組体用エレメント
a 合成繊維製芯材
b 被覆ゴム
30 編組体
40 網容器
50 編組体用エレメント
70 編組体
80 網容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高抗張力を有する合成繊維製芯材を架橋剤を含む生ゴムで被覆し連続屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部を有する、ことを特徴とする編組体用エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の編組体用エレメントにおいて、
折り返しとなる中間部を有し、該中間部で折り返した両側部分に、前記波状屈曲部を、線対称に一対備えられている、ことを特徴とする編組体用エレメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の編組体用エレメントを編んでなる網あるいはネット等の編組体であって、
一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントが絡められ、かつ各編組体用エレメントの端が絡み状態から抜け出ないようにループ状に閉じた、ことを特徴とする編組体。
【請求項4】
請求項3に記載の前記編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状とした、ことを特徴とする網容器。
【請求項1】
高抗張力を有する合成繊維製芯材を架橋剤を含む生ゴムで被覆し連続屈曲形状に張り込んで加熱・加圧処理して可撓性を有する屈曲形状に形状固定されてなる波状屈曲部を有する、ことを特徴とする編組体用エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の編組体用エレメントにおいて、
折り返しとなる中間部を有し、該中間部で折り返した両側部分に、前記波状屈曲部を、線対称に一対備えられている、ことを特徴とする編組体用エレメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の編組体用エレメントを編んでなる網あるいはネット等の編組体であって、
一つの波状屈曲部とこれに隣接する波状屈曲部との対応する屈曲部同士を絡め、次々に編組体用エレメントが絡められ、かつ各編組体用エレメントの端が絡み状態から抜け出ないようにループ状に閉じた、ことを特徴とする編組体。
【請求項4】
請求項3に記載の前記編組体の端を絡めて網袋状又は網篭状とした、ことを特徴とする網容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−185513(P2009−185513A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26343(P2008−26343)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
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