説明

緩衝パーツ並びにその製造方法

【課題】 優れた緩衝性(衝撃吸収性)を発揮し、またその緩衝特性をコントロールできる新規な緩衝パーツとその製造方法を課題とする。
【解決手段】 本発明の緩衝パーツ1は、可撓性を有するケーシング2と、この内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する伸び率500%以上の超変形吸振体3と、パーツに加えられた圧縮荷重を荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造4とを具えて成り、また超変形吸振体3とケーシング2との境界面は、少なくとも一部が固着されて成り、これにより緩衝パーツ1に圧縮荷重が加わった際には、変形許容部構造4における超変形吸振体3の膨らみ変形によって、この圧縮荷重を吸収し、また圧縮荷重が解除された後には、超変形吸振体3が初期付与形状に復元するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツシューズや精密機器等の要緩衝材に装着され、そのままでは要緩衝材に加わってしまう衝撃や振動を吸収できるようにした緩衝パーツに関するものであって、特に優れた緩衝性(衝撃吸収性)を発揮し、またその緩衝特性をコントロールできる新規な緩衝パーツとその製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズや精密機器等の要緩衝材には、そのままでは要緩衝材に加わってしまう衝撃や振動を吸収するために、緩衝パーツ(緩衝資材)が装着されることが多く、本出願人も、この種の緩衝資材について鋭意、研究・開発を行い、特許出願に至っている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1は、熱可塑性樹脂製の柔軟なケーシング(チューブ)の内部にゲル状の緩衝機能材を充填した状態で、ケーシングの両端を封入したものであり、このような構造に因み、緩衝資材を汎用的なものとし得る点で相応の効果を奏している。しかしながら、この種の緩衝資材にあっては、以下のような点でまだ改良の余地があった。
【0003】
すなわち、このような緩衝資材は、加えられた圧縮荷重によってケーシング及び緩衝機能材(充填物)が幾らか押し潰され、このときの潰れ変形によって主に衝撃(振動)が吸収されるものである。しかしながら、特許文献1のような緩衝資材は、チューブ内が完全に密閉された構造(完全封止構造)であるため、ケーシングが、ある限度まで押し潰されると、内部の緩衝機能材が逃げ場を失ったような状態となり、ケーシング内の内圧が限界に達する。このような状態に至ると、緩衝資材は、それ以上潰れることはほとんどなく(この状態から更に潰すには極めて過大な力を要し、最終的には破裂することも考えられる)、急激に反発力(見掛け硬さ)が上昇し、もはや緩衝性能を発揮し得ないものである。
【0004】
言い換えれば、上記特許文献1のような緩衝資材にあっては、あくまでも、このような圧縮限界(潰れ許容限度)内までで緩衝性能を発揮するように設計(意図)されており、許容限度以上の潰れ、例えばケーシングがいわゆるペシャンコ状態になるまで潰れることは想定していなかった。なお、このようなペシャンコ状態とは、見掛け上、対向するケーシング同士がほぼ密着したような状態の潰れを示すが、実際にはケーシング内に緩衝機能材が充填されているためケーシング同士が完全に密着することはない(ただ、本明細書では、このようなペシャンコ状態の潰れを、便宜上「完全潰れ」と称する)。また、このような完全潰れは、極めて大きな荷重が緩衝資材の一カ所に集中して掛かった場合等に生じる現象であるが、現実にはこのような荷重の掛かり方はほとんどないため、従来は、上記特許文献1の密閉構造の緩衝資材でも充分に緩衝機能を発揮していたものである。
しかしながら、この種の緩衝資材にあっては、常に緩衝性能の向上が求められ、且つまた、より一層の低コスト化も併せて要求されており、更なる改良・開発が進められていた。
【特許文献1】特開2007−33662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような開発の一環として成されたものであって、前記特許文献1の緩衝資材の構造を根本から見直し、緩衝機能材をケーシング内部に封入する構造(完全封止構造)を改め、ケーシングが完全潰れ状態になるまで緩衝性能が発揮でき、また、このような完全潰れ状態からでも圧縮荷重を除去した際には容易に元の状態に復元できる新規な緩衝パーツと、この緩衝パーツを能率的に製造できる新規な製造方法の開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず請求項1記載の緩衝パーツは、可撓性を有するケーシングと、この内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体とを具えて成る緩衝パーツであって、前記緩衝パーツは、パーツに加えられた圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造を具え、また超変形吸振体とケーシングとの境界面は、少なくとも一部が固着されて成るものであり、かかる構成により、緩衝パーツに圧縮荷重が加わった際には、前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形によって、この圧縮荷重を吸収するものであり、また圧縮荷重が解除された後には、超変形吸振体が初期付与形状に復元するようにしたことを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項2記載の緩衝パーツは、前記請求項1記載の要件に加え、前記超変形吸振体は、伸び率が500%以上であることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載の緩衝パーツは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記ケーシングは、少なくとも一方の端部が開口された筒状に形成されて成るものであり、また前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形には、少なくとも、ケーシングの開口端部における超変形吸振体の外部への突出変形を含むことを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項4記載の緩衝パーツは、前記請求項3記載の要件に加え、前記ケーシングは、一本の筒状の単体、もしくは複数本の筒体を並列状に並べた連続体として形成されることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項5記載の緩衝パーツは、前記請求項4記載の要件に加え、前記ケーシングが、複数本の筒体を並列状に並べた連続体として構成される場合には、隣り合う筒体の隔壁を介在させないようにしたことを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項6記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4または5記載の要件に加え、前記ケーシングは、両端部が開口されて成り、且つこれら両端部の開口表面積が異なるように形成されることを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項7記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4、5または6記載の要件に加え、前記緩衝パーツが装着される要緩衝材には、緩衝機能を付与したい部位に受入空間が形成され、装着時には、この空間に緩衝パーツを取り付けて成るものであり、また、この受入空間には、ケーシング端部における超変形吸振体の突出変形を許容する変形可能空間が併せて形成されることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項8記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4、5または6記載の要件に加え、前記緩衝パーツが装着される要緩衝材には、緩衝機能を付与したい部位に受入空間が形成され、装着時には、この空間に緩衝パーツを取り付けて成るものであり、また、この受入空間には、ケーシング端部において超変形吸振体が突出変形した際に接触する当接面が形成されるものであり、この接触によって超変形吸振体の以降の突出変形が制限されるようにしたことを特徴として成るものである。
【0014】
また請求項9記載の緩衝パーツは、前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の要件に加え、要緩衝材に装着した状態で、少なくとも一部が外部から目視可能な状態に取り付けられるものであり、また、前記ケーシング及び超変形吸振体は、透明または半透明の素材によって形成されるとともに、更に超変形吸振体は、屈折率が異なる二種以上の素材で形成され、超変形吸振体に適用される二種以上の素材が外観目視されるようにしたことを特徴とすることを特徴として成るものである。
【0015】
また請求項10記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4、5、6、7、8または9記載の要件に加え、圧縮荷重が作用する方向から視て馬蹄形の湾曲状態で、要緩衝材に装着されるものであり、この際、前記ケーシングには、馬蹄内周側の肉厚と馬蹄外周側の肉厚とにおいて、適宜の肉厚差が設けられ、この肉厚差によって予め緩衝パーツに曲げ癖を付与するようにしたことを特徴として成るものである。
【0016】
また請求項11記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4、5、6、7、8、9または10記載の要件に加え、圧縮荷重が作用する方向から視て馬蹄形の湾曲状態で、要緩衝材に装着されるものであり、この際、前記ケーシングは、馬蹄内周側または馬蹄外周側のうち少なくとも一方が蛇腹状に形成され、圧縮荷重に抗することなく潰れ変形を行うように形成されることを特徴として成るものである。
【0017】
また請求項12記載の緩衝パーツは、前記請求項3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の要件に加え、要緩衝材への装着状態で、ケーシング端部における超変形吸振体の外部への突出変形が外観目視可能な状態に取り付けられることを特徴として成るものである。
【0018】
また請求項13記載の緩衝パーツは、前記請求項7、8、9、10、11または12記載の要件に加え、前記ケーシングまたは要緩衝材の受入空間には、予め適宜の印刷が施されて成り、緩衝パーツが要緩衝材に取り付けられた状態で、この印刷が外観目視されるようにしたことを特徴として成るものである。
【0019】
また請求項14記載の緩衝パーツは、前記請求項8、9、10、11または12記載の要件に加え、前記要緩衝材の当接面には、予め適宜の印刷が施されて成り、圧縮荷重によって超変形吸振体がケーシング端部から外部に突出し、この当接面に接触した際に、初めて印刷が外観目視される、または無負荷時とは異なった印刷が外観目視されるようにしたことを特徴として成るものである。
【0020】
また請求項15記載の緩衝パーツの製造方法は、溶融した原料を金型から押し出す押出成形によって、可撓性を有するケーシングと、この内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体とを具えて成る緩衝パーツを製造する方法であって、前記緩衝パーツは、パーツに加えられる圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造を具え、また超変形吸振体とケーシングとの境界面が、少なくとも一部、固着されて成るものであり、かかる構成により、緩衝パーツに圧縮荷重が加わった際には、前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形によって、この圧縮荷重を吸収し、また圧縮荷重が解除された後には初期付与形状に復元するものであり、緩衝パーツの製造にあたっては、超変形吸振体の外側からケーシングの溶融原料を同時に押し出すことにより、ケーシングの内側に超変形吸振体を収めるようにしたことを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0021】
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1記載の発明によれば、緩衝パーツに加わった圧縮荷重を、荷重方向にほぼ直交する超変形吸振体の膨らみ変形として逃がすため、単に衝撃を吸収するだけでなく、超変形吸振体の膨らみ方(変形)を制御することにより、衝撃力の弱め方をコントロールすることができる。例えば、ケーシングの両端を開口し、ここで超変形吸振体を自由に突出変形させる場合には、両端部の開口面積を異ならせれば、超変形吸振体の膨らみ変形(突出変形)は大きな開口面積の方が起こり易いため、大きな開口面積の方に、より多くの荷重(衝撃)を逃がすことができる。
因みに、従来のチューブ状の緩衝資材は、エアを適用したものにしても、ゲルを適用したものにしても、これらをチューブ内に充填・密封したものが多かったため、チューブが圧縮されることに伴い、ある程度の緩衝力は得られても、すぐに圧縮限界に達してしまい、とてもチューブが完全潰れ(圧縮を受けたチューブ同士がほぼ密着するペシャンコ状態)の状態になるまでは想定されていなかった。すなわち、従来の緩衝資材は封止形態であるが故に、チューブが完全潰れ状態になるまで緩衝機能を持たせることは意図していなかったが(充填物が密閉空間に封入された構造であるため、チューブが完全に潰れる前に急激に反発力が上がってしまっていた)、本発明の緩衝パーツでは、超変形吸振体の膨らみ変形によって衝撃を吸収・緩和するため、チューブが完全潰れを起こすまで緩衝性能をコントロールすることができ、また緩衝特性そのものも適宜設定することができるものである。
【0022】
また請求項2記載の発明によれば、ケーシング内に収容される超変形吸振体は、500%以上という極めて高い伸び率を有するため、緩衝パーツが完全潰れ状態になっても、超変形吸振体そのものが千切れてしまうことがない。このため、緩衝性能を比較的長く持続させることができ、また完全潰れ状態からでも容易に初期形状に復元させることができる。また、超変形吸振体がこのような素材であるために、緩衝パーツを鋭角状(二つ折りに近い状態)に曲げて設置することもできる等、取り付け性にも優れる。
【0023】
また請求項3記載の発明によれば、ケーシングは、少なくとも一方の端部が開口され、この開口端部において超変形吸振体を外部に突出変形させて衝撃を吸収するため、この突出変形によって高い緩衝性能(衝撃吸収性)をユーザにアピールすることができる。具体的には、本発明の緩衝パーツをスポーツシューズに取り付けた場合、ケーシング端部における突出変形を外観目視できるようにしておけば、ユーザはシューズの高い緩衝性能を、超変形吸振体の突出変形として認識できる(実際に目で見て実感できる)。なお、一般に、スポーツシューズ等は、デザイン性とともに機能性が重視される商品であり、単にユーザが見た目だけのデザインで商品を選ぶのではなく、実際に緩衝パーツが装着されている部位を手や指等で押してみて、その緩衝性能を確かめることが多いため、このような高緩衝性能が人の感覚として実感できるものは、その商品価値が高いものとなる。
また、ケーシングは、少なくとも一方の端部が開口状態に形成されるため、この端部については熱溶着等の封止を必要とせず、緩衝パーツを低コストで製造することができる。
【0024】
また請求項4記載の発明によれば、ケーシングは一本の筒状単体またはこれを幾つか並べた連続体として形成できるため、緩衝機能を持たせる部位の状況(用途・目的)に合わせて、緩衝パーツを種々のバリエーションで展開することができる。例えば、ある一定の面積を有するエリア全体に、緩衝機能を付与したい場合には、一本の筒状タイプの緩衝パーツを幾つか組み合わせたり、または長く形成した緩衝パーツを湾曲させたりして設置することもできるが、連続体タイプの緩衝パーツであれば、組み合わせ方や、どのように湾曲させか等を考慮する必要がなく、容易に適用することができる。もちろんピンポイント的に緩衝機能を付与したい場合には、一本の筒状タイプの緩衝パーツの適用が好適である。
【0025】
また請求項5記載の発明によれば、連続体タイプの緩衝パーツの場合には、隔壁を介在させないため、連続体そのものが一つの大きなケーシングとなり、ケーシング内における超変形吸振体の変形自由度が増し(ケーシング内では超変形吸振体が隔壁に規制されずに変形できる)、緩衝パーツとしての衝撃吸収性を高めることができる。逆に言うと、例えばケーシングを一本の筒状体で形成した場合には(連続体で隔壁アリも含め)、ケーシング内における超変形吸振体の変形は、ほぼケーシングの軸方向のみに限定されるが、隔壁がない連続体タイプの緩衝パーツの場合には、ケーシング内における超変形吸振体の変形は軸方向にほぼ直角な方向にも許容されるため、その分、衝撃吸収性が向上し、また吸収に要する時間(衝撃を緩和するまでに要する所要時間)も短縮し得るものである。
なお、隔壁がない連続体タイプの緩衝パーツの場合、ケーシングの肉厚を単体のものよりも薄くすることで、更に衝撃吸収性を高めることができる。また、このような隔壁のない連続体タイプの緩衝パーツは、製造段階では通常の二次元的な押出成形で形成したものであっても、装着時には三次元的に柔軟に撓み得るものである。従って、このような緩衝パーツは、複雑な動きを繰り返す人の関節部分などを保護するヒジ当てやヒザ当て等に特に好適と考えられる。
【0026】
また請求項6記載の発明によれば、ケーシングの両端部が開口(開放)され、且つこれらの開口表面積が相違するように形成されるため、緩衝パーツに加わった圧縮荷重(衝撃)を、開口表面積の大きい方に主として逃がすことができる。また、開口表面積の差を調整することにより、衝撃を逃がす方向性だけでなく、どちらの端部にどの程度逃がすかという配分なども設定することができる。
なお、ケーシングの両端部の開口表面積を異ならせるには、緩衝パーツ(ケーシング)の一端側のみを斜めにカットする手法や、両端を真っ直ぐにカットしながらも一端側のみに更に小孔を開口する手法、あるいはケーシング全体をテーパ筒状に形成する手法等が挙げられる。
【0027】
また請求項7記載の発明によれば、緩衝パーツを取り付ける要緩衝材の受入空間には、変形可能空間が形成されるため、ケーシング端部における超変形吸振体の外部への突出変形をフリーな状態で行わせることができる。そのため超変形吸振体そのものの性状(特性)を生かした、高い緩衝性能を充分に発揮させることができる。また、例えば緩衝パーツをスポーツシューズ等の要緩衝材(商品)に装着した状態で、超変形吸振体の突出変形を積極的に外観目視させることができ、その場合には、商品の高い緩衝性能をユーザに視覚的にアピールすることができる。
【0028】
また請求項8記載の発明によれば、要緩衝材の受入空間には、超変形吸振体が突出変形した際に接触する当接面が形成され、それ以降の超変形吸振体の突出変形が制限されるため、荷重が取り除かれた際の復元(戻り)を補助することができる。また接触側端部において緩衝作用を途中で止める一方、もう一方の端部側に衝撃を大きく逃がすなど緩衝特性をコントロールすることができる。更に、当接面に予め何らかの印刷(柄、模様、色等)を施しておき、超変形吸振体が接触した時に、これを外部から目視できる構成としておけば、圧縮荷重が掛かった場合にのみ該印刷を外観目視させたり、あるいは無負荷時(常態)とは異なった印刷を見せること等ができ、見た目の面白さとともに高い緩衝性能を効果的にアピールすることができる。
【0029】
また請求項9記載の発明によれば、要緩衝材に取り付けられる緩衝パーツは、少なくともその一部が外観目視可能な状態に装着され、またケーシング及び超変形吸振体は、ともに透明または半透明の素材で形成され、なお且つ超変形吸振体は、屈折率が異なる二種以上の素材で形成される。このため超変形吸振体が種々変形した場合に、光の屈折や反射等によって屈折率が異なる超変形吸振体同士の境界面が、面白い見え方をし(例えばキラッと輝くような見え方)、特に印刷等を施さなくてもデザイン的な面白さを演出しながら高い緩衝性能をアピールすることができる。
なお、ここでの変形とは、圧縮荷重を受けた際の超変形吸振体の膨らみ変形の他、緩衝パーツを断面方向で見た場合に超変形吸振体が偏平に押し潰される変形、あるいは圧縮荷重が解除された時の戻り変形(復元)、更には要緩衝材がシューズ等であれば装着者の体重移動による撓み変形などが挙げられる。
【0030】
また請求項10記載の発明によれば、馬蹄形の湾曲状態で取り付けられる緩衝パーツにあっては、ケーシングにおける馬蹄内周側と馬蹄外周側とに肉厚差が設けられ(例えば内周側を薄くする)、この肉厚差によって緩衝パーツに予め曲げ癖を付与するため、例えば組み付け時に受入空間に合うように緩衝パーツを曲げる場合、この曲げ形成が行い易く、組み付け性も向上し、更には組み付け後も、その馬蹄形状(湾曲状態)を長期にわたって維持できる。因みに、押出成形では、このような肉厚差を持たせた状態で緩衝パーツを押し出すことができるため、製造段階から上記曲げ癖を緩衝パーツに付与することができる。この際、肉厚差を設けるだけでは、まだ曲げ癖が不充分であれば、押出成形品の肉厚の薄い方を内側にして巻き取るようにしたり(適宜冷却)、肉厚の薄い方を内側にするようなアールを予め金型(フォーミングダイ)に付与しておくこと等によって、所望の曲げ癖を確実に緩衝パーツに付与することができる。
【0031】
また請求項11記載の発明によれば、緩衝パーツを馬蹄形の湾曲状態に取り付ける場合には、馬蹄内周側または馬蹄外周側のうち少なくとも一方が蛇腹状に形成されるため、緩衝パーツが圧縮荷重に抗することなく潰れ、衝撃吸収性の向上を図ることができる。
なお、馬蹄内周側のみを蛇腹状に形成した場合には、蛇腹状の内側で衝撃吸収性の向上を図りながら、装着状態で視認面となる馬蹄外周側は、形状をほぼそのまま維持できるため、デザイン性を向上させることができる。もちろん蛇腹状に形成する部位は、馬蹄内周側だけに限らず、馬蹄外周側も可能であり、内・外周ともに蛇腹状に形成した場合には、超変形吸振体の高い緩衝性能をよりダイレクトに発揮させることができ、また緩衝に要する時間も短縮できる(緩衝特性を制御することにつながる)。
またケーシングを蛇腹状に形成しながら、ケーシングの馬蹄内周側と馬蹄外周側とで肉厚差を設けることも可能であり(例えば馬蹄内周側の肉厚を馬蹄外周側よりも薄くする)、この場合には緩衝パーツに曲げ癖を付与しながら、潰れ易さや、外観目視(デザイン性)を考慮した緩衝パーツが得られるものである。
【0032】
また請求項12記載の発明によれば、緩衝パーツは、ケーシング端部における超変形吸振体の外部への突出変形が外観目視可能な状態で要緩衝材に取り付けられるため、高い緩衝性能をユーザに視覚的に強くアピールすることができる。
因みに、緩衝パーツが取り付けられる要緩衝材が、シューズ等のようにユーザが購入時に直接手に取ることができるような商品の場合には、通常、ユーザは購入時に緩衝パーツ部分を押して、その緩衝性能を確かめるのが一般的である。そのため、このような緩衝性能に直結する超変形吸振体の突出変形が直接目視できるものは、高い商品価値を発揮するものである。もちろん、超変形吸振体の突出変形が単に目視できるだけでなく、この変形部分に直接、ユーザが触れることができるものであれば、更に商品の機能性(もしくは高い性能を持った商品)を、より一層強くユーザにアピールすることができる。
また、このような緩衝パーツを、シューズ等の要緩衝材に左右一対で取り付ければ(イン側とアウト側)、左右の荷重の掛かり方を見せる一種のバランスインジケータとしてのバリエーション展開も可能となる。
【0033】
また請求項13記載の発明によれば、例えば装着時に緩衝パーツの奥側に当たる受入空間に、予め印刷を施しておき、これを透明な緩衝パーツを通して外観目視させることができるため、緩衝パーツの存在や要緩衝材の高い緩衝性能をユーザにアピールすることができる。
また超変形吸振体は、伸縮、押し潰し、撓みなど種々の変形をきたすものであるから、超変形吸振体が一種のレンズ効果を生み、このような種々の変形によって、もともとの印刷を多彩に変化させて外観目視させ得るものである(例えば拡大、縮小、ぼやけ等)。このため、高い緩衝性能のみのアピールにとどまらず、見栄えが変わるというデザイン的な面白さも同時に演出できる。
【0034】
また請求項14記載の発明によれば、例えば圧縮荷重が作用した際に超変形吸振体の突出変形を利用して、要緩衝材の当接面に施していた文字等を浮き上がらせることができ、デザイン的な面白さを演出するとともに、緩衝パーツひいては、このものの高い緩衝性能をユーザに強烈にアピールすることができる。
【0035】
また請求項15記載の発明によれば、超変形吸振体の外側からケーシングの溶融原料を同時に押し出すため、一回の押出成形によって、ケーシング内に超変形吸振体を収容した緩衝パーツが得られ、また該構造の緩衝パーツの製造が能率的に行える。
また、このような同時押出成形では、ケーシングと超変形吸振体との境界面が自然に固着されるため、別途、固着する工程が不要となり、製造工程全体を簡略化できる。更に、押出成形であるため、一例として直径2mm程度の細い径の緩衝パーツであっても製造できる。逆に言えば、例えば、内部が空洞であるホース状のケーシングに、超変形吸振体を充填しても本願の緩衝パーツを製造することはできるが、このような後詰めを行う場合には、ケーシングの内径が細いと(例えば2mm程度)、超変形吸振体を充填することが極めて困難であり、ケーシングの内径に制限があったが、本発明ではこのようなものでも製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
【実施例】
【0037】
本発明の緩衝パーツ1は、一例として図1(a)、(b)に示すように、スポーツシューズ等の履物に装着され、そのままではシューズを履いた人(足)にダイレクトに伝わってしまう衝撃等を吸収・緩和するものである。なお、本明細書では、緩衝パーツ1が装着される履物等を総称して、要緩衝材Sと称するものである。
また、本発明の緩衝パーツ1は、このような履物用の緩衝資材として用いられる他、精密機器等の脚部に防振材として組み込まれるインシュレータ、球技や格闘技用のプロテクタ(衝撃吸収材)、重量機器の免震材、携帯機器の緩衝材、各種クッション、あるいは冷蔵庫における扉等のパッキン材等として適用し得るものである。すなわち、このような場合には、緩衝パーツ1が直接または間接的に取り付けられるインシュレータ(精密機器)、プロテクタ、重量機器、冷蔵庫(扉)等が要緩衝材Sとなる。
【0038】
以下、本発明の緩衝パーツ1について説明する。本発明の緩衝パーツ1は、一例として図5(a)に示すように、両端部が開口(開放)され全体的に自由に撓み得る筒状(チューブ状)のケーシング2と、この内部に収容され主に緩衝機能材としての作用を担う超変形吸振体3とを具えて成るものであり、要緩衝材Sに加えられる圧縮荷重(衝撃)等を吸収・緩和するとともに、圧縮荷重が除去された際には、初期付与形状(無負荷の状態)に復元するものである。なお、本発明の緩衝パーツ1は、図5(a)に示したようなストレート状態で要緩衝材Sに装着されることもあるし、上記図1(b)に示したように馬蹄形の湾曲状態で要緩衝材S(スポーツシューズ)に装着されることもある。
【0039】
また、緩衝パーツ1は、このものに加えられた圧縮荷重を、これとほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造4を具えて成り、緩衝パーツ1に圧縮荷重が加わった際には、この変形許容部構造4における膨らみ変形、例えば超変形吸振体3をケーシング2の開口両端部から外部に膨出させる突出変形によって、圧縮荷重を吸収・緩和し得るものである(逃がし得るものである)。もちろん、どんな過少な圧縮荷重であっても、即、超変形吸振体3が膨らみ変形を起こすものではなく、ある一定以上の圧縮荷重が掛かった場合に膨らみ変形が生じるものである(圧縮荷重の掛かり方や、緩衝パーツ1のどの部位に圧縮荷重が作用するか等によっても異なる)。
【0040】
なお、上記図5(a)では、圧縮荷重が掛かった際に、緩衝パーツ1の中央部が凹むように図示したが、これはパーツ中央部に圧縮荷重が集中的に作用したことを示すものではなく、あくまでも緩衝パーツ1に荷重が掛かったことを概略的に示したに過ぎず、そのため側面図では、荷重が掛かった方向から偏平に潰れる様子(長円形状)を図示している。因みに、通常、緩衝パーツ1に圧縮荷重が掛かる場合は、荷重が均一とは限らないものの、全体的に掛かるのが一般的である。
また、ケーシング2と超変形吸振体3とは、少なくとも、その境界面の一部が固着されて成り、これにより圧縮荷重が除去された際に、超変形吸振体3が元の位置、より詳細には超変形吸振体3をケーシング2に対する初期位置に戻すものである。
なお、超変形吸振体3については、具体的な物性値等を後に詳細に述べるが、これ自体が極めて柔らかで、且つ大きな伸び率を有しており、例えば二つ折り状態(いわば完全潰れ状態)に折り曲げても千切れずに復元するため「超」を付している。
因みに、超変形吸振体3について、本明細書で記述した伸び率は、JIS K6251 (加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠して測定した数値であり、測定にあたってはダンベル型の規定形状の試料(本願ではダンベル3号を使用)を引張試験機で引張り、元の長さに対してどのくらい伸びたかを求めたものである。
【0041】
以下、ケーシング2と超変形吸振体3とについて更に詳細に説明する。
ケーシング2は、一例としてBASF社製のTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)またはアクリル系エラストマーを適用するものであり、これは高透明・低硬度な素材である。なお、ここでは緩衝パーツ1を製造するにあたり、超変形吸振体3及びケーシング2とを溶融状態で同時に押し出す「同時押出成形」によって形成することを想定しているため、上記素材は、超変形吸振体3との硬度差を少なくでき、同時押出成形が行い易い点でも好ましい素材である。
因みに、一本のチューブ単体(例えば円筒)でケーシング2を形成し、これを緩衝パーツ1に適用する場合には、例えばケーシング2の外径(最外径)は10〜13mm程度で、肉厚(外皮厚)は0.5〜1.0mm程度である。また、何本かのチューブを並列状につなげた連続体でケーシング2を形成し、これを緩衝パーツ(これを一本のチューブ単体の緩衝パーツ1と区別したい場合に「連続体タイプの緩衝パーツ1A」とする)に適用する場合には、例えば連設幅が30〜40mm程度で、連続体(緩衝パーツ1A)の高さが6〜8mm程度で、ケーシング2の肉厚(外皮厚)は0.2〜0.5mm程度である(連続体タイプの緩衝パーツ1Aの方が、肉厚が薄い)。
【0042】
一方、超変形吸振体3は、ケーシング2よりも高い伸び率を有するものであって、例えば500%以上の伸び率、好ましくは1000%以上の伸び率が望ましく、またアスカーC硬度が0〜60を有するゲル状のポリエチレン(オレフィン)系エラストマーもしくはスチレン系エラストマー素材が適用される。なお、このような素材としては、一例として株式会社リケンテクノス社製のスチレン系エラストマーゲルが挙げられる。
また、上述したようにケーシング2と超変形吸振体3との境界面は少なくとも一部が固着されるが、同時押出成形によって緩衝パーツ1を製造する場合には、この成形によって自然に上記境界面が固着されるものである。
もちろん押出成形以外の製造手法によって緩衝パーツ1を得ることも可能であり、その場合には、必ずしも上記境界面を全て固着する必要はなく、部分的、より詳細には、ケーシング2の端部(変形許容部構造4に隣接する部位)を固着することが好ましい。それは、超変形吸振体3を初期位置に確実に復元させる目的、ケーシング2に対する超変形吸振体3の移動(ズレ)を防止する目的、境界面からの異物混入を防ぎ、緩衝パーツ1としての強度を保つ目的等によるものである。
【0043】
このように、超変形吸振体3はケーシング2に固着されているため、これらの境界面は、密着して常に動かず、そのため圧縮荷重を受けて緩衝パーツ1が変形しても(潰れても)、境界面は元の位置が固定されたまま、例えば超変形吸振体3の端部のみが軸方向に延びるように突出変形を起こすものである。
なお、変形許容部構造4における超変形吸振体3の膨らみ変形としては、ケーシング2の端部から外部に必ずしも突出しない変形(はみ出ない変形)も含むものである。すなわち、例えば図5(b)に示すように、超変形吸振体3の両端部を最初から凹陥状態に形成したような場合には、圧縮荷重を受けて超変形吸振体3が外方への膨らみ変形を起こしても、この変形が最初の凹陥状態を補う状態となるだけで(埋める合わせるような状態になるだけで)、外観的には超変形吸振体3がケーシング2の端部から外部に何も突出していないかのような状態を呈するものである。
【0044】
従って、本明細書における「ケーシング2の端部における超変形吸振体3の外方への膨らみ変形」とは、超変形吸振体3がケーシング2の端部から外部に、明確に張り出す「突出変形」(文字通り外部に凸状を呈する突出変形)はもちろん、膨らみ変形によって最初の凹陥状態がほぼ平らになり、見た目にはケーシング2の端部から何も突出してないように見える「非突出変形」も含むものである。
更に、本明細書における「変形許容部構造4における超変形吸振体3の膨らみ変形」、もしくは「圧縮荷重とほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形」とは、ケーシング2の端部における膨らみ変形(上記「突出変形」及び「非突出変形」)だけでなく、ケーシング2内における超変形吸振体3の膨らみ変形も含むものである。すなわち、これは例えば図5(c)に示すように、ケーシング2の内部に、超変形吸振体3が存在しない部位を形成するものであり(ここをフリー空間11とする)、このフリー空間11に小孔等のエアー通路12を形成し、このフリー空間11で超変形吸振体3の膨らみ変形を行わせるものである。因みに、上記エアー通路12は、ケーシング2内における超変形吸振体3の膨らみ変形と復元とをスムーズに行わせるための構成であり、従ってエアー通路12を形成する際には、ケーシング2の側周面に等間隔に複数形成されることが好ましい(例えば図5(c)では4等配で形成)。
なお、押出成形時においてフリー空間11を一挙に形成するには、超変形吸振体3の溶融樹脂の供給(金型への送り込み)だけを一時的に停止させることによって、形成し得るものである。
【0045】
次に、このような変形許容部構造4の更なる改変例、特にここではケーシング2の端部を変形許容部構造4とした場合、すなわちケーシング2の端部において超変形吸振体3を外方に突出変形させる場合のバリエーションについて更に説明する。
まず、上記図5(a)に示した実施例は、緩衝パーツ1(ケーシング2)の両端を双方とも軸方向にほぼ垂直にカットし、同じ開口面積(開口部の表面積)を有するように形成したものである。従って、この場合、緩衝パーツ1に均等に圧縮荷重が作用すれば、圧縮荷重による超変形吸振体3の突出変形も両サイドで同じように生じ、衝撃(圧縮荷重)も緩衝パーツ1の両側にほぼ均等に逃がすことになる。
【0046】
このようなことから、緩衝パーツ1の両端の開口部の面積を異ならせることにより、衝撃の逃がし方をコントロールすることが考えられる。より詳細には、開口面積の大きい端部側に、衝撃を多く逃がす制御手法が可能と思われる。すなわち、例えば、図6(a)、(b)は、ともにケーシング2の一端側のみを開放状態としたものであり(他端は封止や閉鎖)、この場合には、超変形吸振体3の突出変形は開口端部のみでしか起こらないため、緩衝パーツ1に作用した圧縮荷重(衝撃)を開口部側のみに一方的に逃がすことになり、緩衝方向を特定する制御手法と言える。
【0047】
また図6(c)は、ケーシング2そのものをテーパ状に形成したものであり、この場合には、テーパという形状も相まって、超変形吸振体3の突出変形は、開口面積の大きい端部の方が、より一層起こり易く、従って該方向に圧縮荷重の多くを逃がすことができるものである。もちろん、圧縮荷重の掛かり方や装着場所等の条件により、緩衝パーツ1に掛かる圧縮荷重が常に同じ状態で作用するような場合には、緩衝パーツ1の両端の開口面積の差異を綿密に調整することにより、どちらの端部にどの程度の割合で圧縮荷重を逃がすのかということまで意図することができる。
【0048】
また、図6(d)は、一端のみを開口したケーシング2(上記図6(b)の状態)に対し、閉鎖した端部付近の側周面に小孔13を開口したものであり、圧縮荷重を受けた際には、この小孔13からも超変形吸振体3を外部に突出させる実施例である。この場合、両端で比較すれば、開口端部側の開口面積が大きいため、超変形吸振体3も当該端部において多く突出し、当該端部に多くの荷重を逃がし得るものである。
また、図6(e)は、一端のみを開口したケーシング2(上記図6(b)の状態)の閉鎖端部に小孔13を形成したものであり、これも超変形吸振体3の突出変形は、開口端部側の方が起こり易いため、当該端部側に圧縮荷重を大きく逃がし得るものである。なお、この実施例は、押出成形を考慮したものであって、長尺の押出部材を適宜の長さに切断するカット工程(端部カット)において、二回に一度、潰しながらカットを行えば、端部に小孔13を有した本実施例の緩衝パーツ1が得られるものである(押出成形時に一挙に小孔13も形成できるものである)。
また、図6(f)は、ケーシング2の両端を軸方向にほぼ垂直に開口させながら(上記図5(a)の状態)、一方の開口端部付近に小孔13を形成したものである。この場合には、小孔13を形成した端部側の開口面積が大きくなるので、当該端部側に圧縮荷重を大きく逃がし得るものである。
【0049】
また図6(g)は、緩衝パーツ1(ケーシング2)の両端部を開口するが、一方の端部を軸方向にほぼ垂直にカットしながら、もう一方の端部については斜めにカットすることにより、双方の開口面積に差異を持たせた実施例である。この場合、斜めにカットされた端部の方が、大きな開口面積を有するため、超変形吸振体3の突出変形も当該端部で起こり易く、この端部側に圧縮荷重を大きく逃がし得るものである。因みに、この実施例も、押出成形を考慮したものであって、カット工程(端部カット)において二回に一度、傾斜カットを行えば、このような緩衝パーツ1が押出成形時に一挙に形成できるものである。
なお、このような傾斜カットを全カット工程において同じ傾斜角度で行った場合には、例えば図6(h)に示すように、側面から視て平行四辺形状の緩衝パーツ1が得られるのであり、また一回のカット工程毎に傾斜角度を交互に変えて傾斜カットを行った場合には、例えば図6(i)に示すように、側面から視て台形状(等脚台形状)の緩衝パーツ1が得られるものである(ただし、図6(h)、(i)は、両端部の開口面積が同じであるため、どちらの端部に、より多くの荷重を逃がすという思想はない)。
【0050】
また図6(j)は、開口両端部の形状を波形に形成した緩衝パーツ1、すなわちカット工程を細かい波形のカッター(刃)で行った場合の緩衝パーツ1であり、両端部の開口部の面積はほぼ同じだが、超変形吸振体3の端部(切り口)が波形であるため、平らにカットされた場合(上記図5(a)の状態)に対し膨らみ方が変わり、違った緩衝特性が得られるものと推測される。このため図6(j)の緩衝パーツ1も、どちらかの開口端部に圧縮荷重を多く逃がすというものではなく、ストレートにカットしたものよりも緩衝特性が変えられるという意味での実施例となる。ただ、この実施例は、後に詳しく後述するが、要緩衝材S(特に後述する当接面39)に予め印刷Pを施しておき、超変形吸振体3の突出変形と接触によって、この印刷Pを外観目視させるような場合等には、変わった見え方が演出でき、標示変化の面白さが楽しめる点で利用価値があるものと考えられる。
【0051】
次に、主に緩衝パーツ1の全体構成に関する種々の改変例について説明する。緩衝パーツ1は、上記説明でも多少触れたが、例えば図7(a)に示すように、一本のチューブ単体でケーシング2を形成することはもちろん、例えば図7(b)〜(f)に示すように、何本かのチューブを並列的につなげてケーシング2を形成してもよく(連続体タイプの緩衝パーツ1A)、更に連続体タイプの緩衝パーツ1Aの場合には、外殻となるケーシング2同士の境界壁面(これを隔壁16とする)は、あっても、なくても構わない。なお、上記図7のうち(b)・(d)は隔壁16を有する緩衝パーツ1Aであり、(e)・(f)は隔壁16のない緩衝パーツ1Aである。
【0052】
なお、このような連続体タイプの緩衝パーツ1Aは、緩衝機能を付与したい部位が面(エリア)である場合に好適である。すなわち、一本のチューブ単体でケーシング2を形成した緩衝パーツ1では、所定エリアに緩衝機能を持たせる場合、例えば図3に示すように、種々の寸法の緩衝パーツ1を適宜組み合わせて設置することができるが、これは組み合わせや配置等を考慮しなければならず、また組み付け設置においても相応の手間や時間を要するものであった。このような場合に、連続体タイプの緩衝パーツ1Aを用いれば、このような組み合わせ等を考慮する必要がなく、また設置も容易に行えるものである。
【0053】
とりわけ、隔壁16がない連続体タイプの緩衝パーツ1Aは、高い緩衝性能が得られるものである。これは、例えば一本のチューブ単体の緩衝パーツ1では、衝撃吸収に大きく寄与する超変形吸振体3の外方への膨らみ変形が、軸方向のみで行われるのに対し(これは隔壁16がある連続体タイプの緩衝パーツ1Aも同様)、隔壁16がない連続体タイプの緩衝パーツ1Aは、ケーシング2内では超変形吸振体3の変形自由度が高く、必ずしも軸方向に限定されないため、言い換えれば最終的には全体的な外方への膨らみ変形として出現するにしても、それまでの間にケーシング2内部では、超変形吸振体3が軸方向はもちろん、これに直交する横方向へも変形し得るため、緩衝機能に直結する超変形吸振体3の変形の自由度が増し、その分、緩衝性能としては高まり、また多くの衝撃を素早く吸収できると考えられる。
【0054】
もちろん、隔壁16がない連続体タイプの緩衝パーツ1Aにおいては、ケーシング2の肉厚を単体タイプの緩衝パーツ1よりも薄くすれば(例えば成形限界とされる0.2mm程度)、緩衝パーツ1Aとして更に高い緩衝性能を持たせることが可能である。
因みに、隔壁16がない連続体タイプの緩衝パーツ1Aは、一般的な押出成形で形成したものであっても、超変形吸振体3の性状、ケーシング2の肉厚の薄さ、隔壁16がないこと等に因み、三次元的に充分に撓み得るため、人の身体、特にヒジやヒザ等の複雑な動きを繰り返す関節部分にフィットさせて、このような関節部分を保護する場合に好適と考えられる。
【0055】
また、ケーシング2を、透明または半透明の透過素材で形成した場合には、例えば図8に示すように、超変形吸振体3を、屈折率が異なる二種以上の透明または半透明の透過素材で形成することが好ましく、これは緩衝パーツ1が、要緩衝材Sに装着された状態で外観目視可能な場合に好適な実施例である。すなわち緩衝パーツ1は、圧縮荷重を受けた際の押し潰しや圧縮荷重が除去された際などの戻り等、種々の変形をきたすため、超変形吸振体3が屈折率の異なる二種以上の透過素材で形成されていれば、超変形吸振体3同士の境界面が、このような変形の際に、光の加減(屈折や反射等)によって、見え方が変化し(例えば、キラッと輝くような見え方)、これが一種のデザイン的な面白さを演出するものである。もちろん、緩衝パーツ1がスポーツシューズ等に装着されている場合には、装着者の体重移動によっても緩衝パーツ1が撓むため、このような場合にも超変形吸振体3の境界面が面白い見え方をするものである。
なお、超変形吸振体3を屈折率の異なる二種以上の透過素材で形成する場合、ケーシング2への収容形態としては、例えば図8(a)、(b)に示すように、断面の中心から等分(等配)するように、交互に二種の超変形吸振体3を配置するだけでなく、図8(c)に示すように、一方の超変形吸振体3が円形で、他方がこれを覆うような三日月形にする等、全く異なる形状同士で収容することも可能である。
【0056】
また緩衝パーツ1(ケーシング2)の断面は、必ずしも円形に限定されるものではなく、長円形状や矩形状でもよく、他にも例えば図9(a)に示すように、蛇腹状に形成することも可能である。これは、緩衝パーツ1が圧縮荷重を受けた際、この圧縮荷重に抗することなく緩衝パーツ1が素直に潰れるように意図したものであり、超変形吸振体3が具備している高い緩衝性能をよりダイレクトに発揮させたい場合に好適な実施例と言える。なお、本図では上下方向から圧縮荷重を受け、この方向に潰れ易い蛇腹断面を図示している。
また、ケーシング2の断面を円形とした場合であっても、例えば図9(b)に示すように、その内部(断面)を上下に二等分するような仕切壁17を形成し、この上下空間に異なった超変形吸振体3を収容することも可能である。なお、本実施例は仕切壁17があることから、この形成方向(横方向)には潰れにくいものであり、このため横方向からの圧縮には形状的に抗するものであり、結果として上下方向の潰れのみを許容するような構造となり、この点では上記図9(a)と類似した構造と言える。
【0057】
また、ケーシング2の肉厚は同一断面において必ずしも一定である必要はなく、例えば図9(c)に示すように、同一断面内の肉厚を異ならせることも可能であり、ここではケーシング2に対し、超変形吸振体3を偏心状態に収容し、肉厚を徐々に変化させた実施例を図示している。なお、本実施例は、例えば緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態に設置する場合等に適しており、例えば押出成形時に、肉厚の薄い方を内側(肉厚が厚い方を外側)として、押出成形品(緩衝パーツ1)を巻き取れば(適宜冷却を行うことが可能)、押出成形工程の中で緩衝パーツ1に曲げ癖を付け易く、要緩衝材Sへの組み付けも行い易くなり、更には組み付け後の湾曲状態を長期にわたって維持できるものである。
【0058】
また、緩衝パーツ1としては、例えば図9(d)に示すように、ケーシング2及び超変形吸振体3の断面形状を、全体的にC字状ないしはU字状等に形成することも可能であり、これは緩衝パーツ1に掛かった衝撃(上下方向からの圧縮荷重)を、緩衝パーツ1の断面形状においても吸収できるようにしたものである。すなわち、本実施例では、超変形吸振体3の性状(柔らかさ、高い伸び率等)及び超変形吸振体3の軸方向の膨らみ変形に加え、緩衝パーツ1そのものが断面的な弾性撓みを行うことで、緩衝パーツ1全体として、より高い緩衝性能を発揮し得るように意図したものである。
また緩衝パーツ1に加わった衝撃を、緩衝パーツ1の断面においても吸収し得る他の実施例としては、例えば図9(e)に示すように、ケーシング2の肉厚部分を二重の同心円状に形成し、この二重同心円の間に超変形吸振体3を収容する実施例も考えられる。本実施例の場合、緩衝パーツ1の最も中心部が空洞状に形成されるため(ここを空洞部18とする)、圧縮荷重が加わった際には、緩衝パーツ1(ケーシング2の最内周部)が空洞部18側に弾性的に撓むことが考えられ、これによっても衝撃を吸収できるようにしたものである。
【0059】
また、緩衝パーツ1としては、例えば図9(f)に示すように、ほぼ半円形断面のものも可能であり、この場合、フラット面の内側をケーシング2及び超変形吸振体3ともに、ウェーブを連続させた波パターン状もしくはジグザグ状(鋸歯状)に形成することが好ましい。それは、このような断面形状の緩衝パーツ1にあっては、フラット面の外側表面に接着剤ADが塗布される等、フラット面(外側)が要緩衝材Sへの接着面として利用されることが多いためである。すなわち、このような緩衝パーツ1であれば、ケーシング2や超変形吸振体3が透明もしくは半透明な素材であっても、フラット面に塗布された接着剤ADが緩衝パーツ1を通して外観目視(透過)されることがなく、良好なビジュアルを維持できるものである。より詳細には、緩衝パーツ1のフラット面内側を波パターン状もしくはジグザグ状に形成することによって、図中の破線で示すように光が屈折し、このため接着剤ADのダイレクトシースルーが抑制できるものである。逆に言えば、例えば図(f′)に示すように、緩衝パーツ1のフラット面内側を平坦なままにした場合には、フラット面の外側に塗布された接着剤ADが、緩衝パーツ1を通して外観目視され易いため(図中の破線参照)、要緩衝材Sとしてのデザイン的な見栄えが著しく低下することが懸念されるものである。
なお、このような形態(被接着面の内側を波パターン状もしくはジグザグ状に形成する構成)は、一本のチューブ単体の緩衝パーツ1に限定されるものではなく、連続体タイプの緩衝パーツ1A、特に上記図7の(d)、(f)等においても、見栄えを向上させたい場合に極めて有効な形態(構成)である。
因みに、光の屈折という観点からすれば、被接着面の内側をウェーブ状に形成するよりも、ジグザグ状に形成した方が、より好ましいかも知れないが、本願では上述したように押出成形による製造を念頭においており、そのため実際の製造段階(押出成形)では、ジグザグ状の先端に必然的に最小Rが形成されるため、波パターン状が現実的と考えられる。
【0060】
また、緩衝パーツ1は、必ずしもケーシング2の内部に超変形吸振体3が全て充填されることを必須とするものではなく、例えば図10(a)に示すように、ケーシング2内を幾つかに区画形成し、そのうちの一区画に限定して超変形吸振体3を収容することも可能である。なお、本実施例では円形断面のケーシング2を二つ並列状に連設した、隔壁16を有する連続体の緩衝パーツ1Aを示しており、このうちの一方の空間(ケーシング2)内に超変形吸振体3を収容した実施例を示している。また、例えば図10(b)に示すように、円形断面のケーシング2の内部を左右に二等分するように仕切壁17を形成し、このうちの一方の空間(区画)のみに超変形吸振体3を収容することも可能である。
なお、図10に示した実施例では、超変形吸振体3が収容されない空間は、その両端を開口したままでも良いし(非充填区画をエアが自由に出入りする状態)、両端を封止してエアクッションとして利用することも可能である。因みに、上記図9(e)も、ケーシング2内に超変形吸振体3を全充填しない実施例に該当するものである。また、このような実施例では、ケーシング2内に収容する超変形吸振体3を少量にしながらも、デザイン的には全充填と変わらない外観が獲得できる点、あるいはシューズ等の要緩衝材Sの軽量化が図れる点で効果を奏するものである(緩衝パーツ1を外観目視させる思想については後述する)。
【0061】
次に、本発明の緩衝パーツ1を、スポーツシューズ等の要緩衝材Sに装着する場合の取り付け状況(設置態様)について説明する。
緩衝パーツ1をスポーツシューズ等の要緩衝材Sに装着する場合、ストレート状に製造した(押出成形した)緩衝パーツ1を、そのままの直線状態で装着することもあるが、圧縮荷重(衝撃)の大きさやその掛かり方等によっては、圧縮荷重が作用する方向(平面)から視て馬蹄形ないしはU字状(C字状)の湾曲状態で装着することも多い。特に、スポーツシューズの場合には、着地の際、装着者の踵部に大きな荷重(衝撃)が掛かるため、例えば図2に示すように、踵部においては緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態に取り付け、圧縮荷重を極力広い面積で受けるようにすることが好ましい。なお、緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態に装着する場合には、上述したように、真っ直ぐに形成しておいた緩衝パーツ1を組みみ付け時に初めて曲げてもよいが、組み付け性等を考慮すると、押出成形時に(製造段階で)予め緩衝パーツ1に曲げ癖を付けておくことが好ましい。
【0062】
もちろん、緩衝パーツ1は、上記図1、2に示したように単独で装着されても構わないが、例えば図3に示すように、幾つかの緩衝パーツ1をストレート状や馬蹄形の湾曲状態で組み合わせて装着することも可能である。
また、スポーツシューズ等にあっては、対象スポーツ等によって、踵部に掛かった衝撃をどの方向に逃がすのか設定したい場合がある。例えばランニングシューズの場合には、踵部に掛かる衝撃を吸収・緩和しながら、これをその後の蹴り出し動作につなげるように(装着者がスムーズに次なる蹴り出し動作に移れるように)、踵部に掛かった荷重をトゥ側(つま先側)に逃がすことが考慮される。
【0063】
以下、このような緩衝パーツ1の種々の設置態様について具体的に説明する。
まず図11(a)に示す実施例は、テーパ状の緩衝パーツ1をストレート状態でスポーツシューズ(要緩衝材S)に装着したものであり、シューズのイン側に緩衝パーツ1の大径部(開口端部の広い方)を向け、且つ緩衝パーツ1の小径部(開口端部の狭い方)をアウト側に向けるように装着した実施例である。本実施例では、圧縮荷重を受けた緩衝パーツ1がイン側に潰れ易いため、踵部に掛かった衝撃をイン側に大きく逃がす緩衝特性を意図するものである。また、本実施例では、例えば緩衝パーツ1の各両端の開口面積(比率)を設定しておくことにより、どちらの端部にどの程度の割合で衝撃を逃がすかも、概ね設定できるものである。
また図11(b)に示す実施例は、テーパ状の緩衝パーツ1をストレート状態で二つ組み合わせて装着したものであり、本図(a)の状態に対し、別の緩衝パーツ1を、トゥ側(つま先側)に大径部、踵側に小径部を向けるように装着したものである。本実施例では、圧縮荷重を受けた各緩衝パーツ1がイン側とトゥ側とに潰れ易いため、踵部に掛かった衝撃をイン側とトゥ側とに逃がす緩衝特性を意図するものである。
【0064】
また図11(c)に示す実施例は、テーパ状の緩衝パーツ1をシューズの踵部外周に沿うように馬蹄形に湾曲設置したものである。すなわち、全体的には両方の開口端部をトゥ側に向けながら、イン側に広い端部側を位置させ、アウト側に狭い端部側を位置させた実施例である。本実施例では、イン側とアウト側とを比べるとイン側に潰れ易いため、本図(a)と同様に、踵部に掛かった圧縮荷重を主にイン側に逃がす緩衝特性となる。ただ、本実施例では、緩衝パーツ1の両方の開口端部をトゥ側に向けているため、衝撃はトゥ側にも幾分逃げるものと考えられる。
また図11(d)に示す実施例も、テーパ状の緩衝パーツ1を馬蹄形に湾曲設置したものであるが、全体的には両方の開口端部をイン側に向けながら、トゥ側に広い端部側を位置させ、踵側に狭い端部側を位置させた実施例である。本実施例では、トゥ側と踵側とを比べるとトゥ側に潰れ易いため、踵部に掛かった圧縮荷重を主にトゥ側に逃がす緩衝特性となる。ただ、本実施例では、緩衝パーツ1の両方の開口端部をイン側に向けているため、衝撃はイン側にも幾分逃げるものと考えられる。
【0065】
また、上記図11(c)のように緩衝パーツ1を踵部外周に沿うように設置する場合、例えば本図(e)に示すように、緩衝パーツ1、特に開口両端部をシューズのソール30に埋め込むように設置しても構わないし、あるいは本図(f)に示すように、緩衝パーツ1を踵部外周に沿って露出させるように設置(接着)することも可能である。なお、本図(e)、(f)も、緩衝パーツ1もしくはスポーツシューズ(要緩衝材S)が緩衝性能に優れていることをユーザに印象付けること(アピール)を意図して、緩衝パーツ1を外観目視させるようにしたものであるが、本図(f)では、更にユーザが超変形吸振体3の突出変形を明確に視認できるため(実感できるため)、ユーザに高い緩衝性能をより強くアピールすることができるものである。なお、本図(e)では、ソール30に埋め込まれた緩衝パーツ1の両端部(超変形吸振体3)が、自由に突出変形できるような設置形態を図示したが、これは意図する緩衝特性等によって一方のみでも構わない。
【0066】
また、踵部に掛かる衝撃が大きいことを重視した場合には、例えば図11(g)、(h)に示すように、踵部のほぼ中央に、連続体タイプの緩衝パーツ1Aを埋め込むように設置することも可能であるし、あるいは本図(i)に示すように、連続体タイプの緩衝パーツ1Aと、馬蹄形の緩衝パーツ1(単体)とを組み合わせて設置することも可能である。ここでも緩衝パーツ1・1Aの端部(超変形吸振体3)が、自由に突出変形できるような設置形態を一例として図示した(意図する緩衝特性等によって一方のみでも構わない)。
【0067】
ここで、上記図11(g)、(h)の設置態様の相違を、対象スポーツという観点から概略的に説明しておく。例えばランニング等、主に走ることが重視されるスポーツの場合には、基本的に前に走ることの想定のみで、装着者の動作(足の運び)は、まず踵部の外側で着地し、足裏全体で接地、母指球からつま先部で蹴り出しという動作になり、着地時の緩衝ストロークによる衝撃緩衝から足裏全面が接地するまでの踵のロール感覚と足裏接地時の緩衝、蹴り出し時のつま先部の反発が必要となるため、例えば本図11(g)のような設置が適する。
これに対し、一般にコートを使用した球技、例えばバスケットボール、ハンドボール、バレーボール、テニス、バドミントン、卓球、サッカー、ラグビー等では、前方のみならず、横、後ろ方向の動きも含め全方向に強烈な引張伸び・圧縮等の剪断応力が掛かるため本図11(h)のような設置が適する。
【0068】
また、緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態で装着する場合には、例えば図1(c)に示すように、馬蹄内周側のケーシング2の肉厚(図ではt1 )を、馬蹄外周側の肉厚(図ではt2 )よりも薄く形成することが可能であり、これは緩衝パーツ1に対し、その断面形状から装着時の曲げ癖を付与し易い点で効果を奏する。すなわち、緩衝パーツ1(ケーシング2)を製造する段階から、このような肉厚差を有した状態で製造する(押し出す)ことにより、製造段階から緩衝パーツ1(押出成形品)に曲げ癖を付与することができるものである。
もちろん、肉厚差を設けた押出成形手法に加え、このような状態に成形した押出成形品を、肉厚の薄い方を内側にして巻き取るようにしたり(適宜冷却することも可能)、肉厚の薄い方を内側にするようなアールを予め金型(フォーミングダイ)に付与しておくこと等により、所望の曲げ癖を確実に緩衝パーツ1に付与することができるものである。更に、組み付け以前に緩衝パーツ1に曲げ癖を付けることによって、緩衝パーツ1の組み付け作業性や取り付け状態の持続性なども向上するものである。
【0069】
また、緩衝パーツ1を馬蹄形に設置する際には、例えば図1(d)に示すように、馬蹄内周側及び馬蹄外周側ともに蛇腹状に形成し、圧縮荷重を受けた際にケーシング2(緩衝パーツ1)が荷重方向にほぼ抗することなく潰れるようにすることが可能である。これは上述したように、超変形吸振体3そのものの高い緩衝性能をよりダイレクトに発揮させたい場合に好適である。
一方、これに対し図1(e)は、緩衝パーツ1の馬蹄内周側のみを蛇腹状に形成した実施例であり、馬蹄外周側は円弧状に形成している。これは、馬蹄内周側においては圧縮荷重による潰れ易さ、つまり超変形吸振体3の高い緩衝性能を素早く発揮させる一方、馬蹄外周側においてはスポーツシューズ等に装着された際の外観目視の見栄え向上を考慮したものである。また、図1(f)は、緩衝パーツ1の馬蹄外周側のみを蛇腹状に形成した実施例であり(馬蹄内周側は円弧状に形成)、馬蹄外周側において超変形吸振体3の高い緩衝性能を素早く発揮させるように意図したものである。
【0070】
また、緩衝パーツ1は、上述したように、装着状態で緩衝パーツ1の一部を敢えて見せることによって、商品価値すなわち要緩衝材Sの高い緩衝性能をユーザに視覚的にアピールすることができ、商品形態としても好ましいため、以下、このような外観目視を想定した取り付け状況(設置態様)について説明する。
例えばスポーツシューズの場合、緩衝パーツ1が取り付けられるソール30は、一例として図1(a)、図2(a)に示すように、複数の部材が積層状態に接合されて成り、これらを下方に位置するものから各々アウターソール31、ミッドソール32、インナーソール33とする。更に、上記ミッドソール32は、下方からアウターベース32a、ミッドベース32b、インナーベース32cが積層されて成り、緩衝パーツ1は、例えばこのアウターベース32aとミッドベース32bとの間に組み込まれる。より具体的には、アウターベース32aに溝状の受入空間36が形成され、ここに緩衝パーツ1を収めるように取り付ける。なお、アウターベース32aには、例えば図2(b)〜(d)に示すように、切欠き状の露見部37が部分的に形成され、装着後の緩衝パーツ1が少なくとも一部、外観目視できるように形成されるが、露見部37は必ずしも切欠き状に形成される必要はなく、透明または半透明な素材つまり透過状(レンズ状)の充実部材で形成されても構わない。
【0071】
このようなことから緩衝パーツ1(ケーシング2)には、例えば図12(a)に示すように、その表面に予め適宜の柄、模様、標示、色等の印刷Pを施しておき、上記露見部37から、この印刷Pを外観目視させることが可能である。これは、単に印刷Pのない緩衝パーツ1を外観目視させる場合よりも、この印刷Pによって緩衝パーツ1の存在をより印象強くユーザにアピールできる点で効果的である。もちろん印刷Pそのものはシューズのデザイン性向上にも寄与するものである(図1(a)、(b)参照)。
またケーシング2及び超変形吸振体3を、透明または半透明な素材で形成した場合には、例えば図12(b)、(c)に示すように、緩衝パーツ1・1Aが組み込まれる要緩衝材Sの奥の面(受入空間36)またはケーシング2の奥側に、予め印刷Pを施しておき、これをケーシング2及び超変形吸振体3を通して、上記露見部37から外観目視させることが可能である。この場合、単に印刷Pが透けて見えるというだけでなく、超変形吸振体3を凸レンズ状の断面に形成すれば、外観者には印刷Pを拡大状態で目視させることが可能である。また緩衝パーツ1は圧縮荷重が掛かった場合や荷重が除去された場合等において様々に変形するため、その都度、超変形吸振体3の厚さ等が変化し、無負荷の非変形状態と変形状態とでは、印刷Pの見え方が変わるというデザイン的な面白さを演出し得るものである。因みに、このような外観目視時における印刷Pの見え方の相違も、緩衝パーツ1の存在をより一層強調し、ユーザにインパクトを与え得るものである。
【0072】
また、印刷Pを外観目視させるという技術思想は、例えば図12(d)、(e)に示すように、ケーシング2内の一部の区画内のみに超変形吸振体3を充填した場合にも適用できるものである。なお、ここでは、非充填側のケーシング2の外表面(奥側)に印刷Pを施し、これを超変形吸振体3が収容されたケーシング2を通して反対側から外観目視する実施例を示している。
また、図12(f)、(g)は、連続体タイプの緩衝パーツ1Aを、シューズの踵部に仕込んだものであり、靴底側から印刷Pが外観目視できるように考慮した実施例である。すなわち、上記図12(a)〜(e)は、主にシューズの側周面から印刷Pを外観目視させることを意図した実施例であるのに対し、本図(f)、(g)では、例えば蹴り出しによって地面から離れたシューズを、後方に位置する外観者から印刷Pが視えるようにした実施例である。
なお、本実施例(f)、(g)では、印刷Pと緩衝パーツ1Aとの間に空間が形成されており、これは圧縮荷重(衝撃)によって緩衝パーツ1Aが変形する際の逃げ代(変形時の逃げ代)になる空間であるが、緩衝パーツ1Aが印刷面に密着することで、印刷Pの見え方を異なったものにさせる効果もある。また、この空間は、シューズの計量化にも寄与するものである。なお、本図中、符号19は、緩衝パーツ1を下方から受ける透過可能な保持部材であり、例えばTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)等で形成される。
【0073】
また、本発明は、緩衝パーツ1に圧縮荷重が加わった際に、例えばケーシング2の端部において超変形吸振体3が突出変形できるようにしたことが大きな特徴であるため、超変形吸振体3の突出変形を外観目視させることでも、ユーザに緩衝パーツ1が組み込まれていること、つまり商品(要緩衝材S)の高い緩衝機能を、より強くアピールすることができる。その場合、例えば図13(a)に示すように、シューズ等の要緩衝材Sには、緩衝パーツ1を取り付ける受入空間36の端部に、超変形吸振体3が突出変形できる充分な空間(これを変形可能空間38とする)を併せて形成するものであり、また要緩衝材Sには、この突出変形を外観目視させるための露見部37が形成される。なお、露見部37を切欠き状に形成し、突出変形した超変形吸振体3にユーザが直接触れられるようにした場合には、緩衝パーツ1を触覚的にも実感(体感)できることになり、ユーザに高い緩衝性(商品の機能)をより一層強くアピールできる(ユーザにより一層強いインパクトを与えることができる)ものである。
【0074】
なお、露見部37を切欠き状ではなく、透過素材(充実部材)で形成した場合には、超変形吸振体3、特に突出変形する端部にゴミやホコリ等が付着することがなく、屋外での使用に好適と考えられる。
もちろん、超変形吸振体3の突出変形を外観目視させると同時に、緩衝パーツ1の表面やその奥部に施した印刷Pを外観目視させることも可能であり、その場合には、ユーザに高い緩衝性能を、更に強烈にアピールすることができるものである。
なお、超変形吸振体3の端部を自由に突出変形させ得る上記実施例は、このような外観上の利点だけでなく、超変形吸振体3の突出変形を全く規制しないため、緩衝パーツ1に加わった圧縮荷重を素早く緩衝させ得るという緩衝特性(機能上の特徴)を有するものである。
【0075】
また、超変形吸振体3の突出変形を自由に行わせる上記実施例の一方で、例えば図13(b)に示すように、超変形吸振体3の突出変形を途中で阻むことも可能である。これは、超変形吸振体3が突出変形した際、要緩衝材S(受入空間36)と当接させるように形成しておき(これを当接面39とする)、当接以後の超変形吸振体3の突出変形を規制するものであり、これにより以下のような緩衝特性が得られる。すなわち、超変形吸振体3の突出変形を途中で阻む上記手法は、圧縮荷重が取り除かれた際の緩衝パーツ1の復元(戻り)を補助したり、加わった衝撃を即座に反発力に変え、次なる運動(作動)に生かしたりすることができるものであり、例えばスポーツシューズであれば、着地の際の衝撃を吸収しながら、これを次なる蹴り出し動作に生かす場合等に適すると考えられる。
【0076】
また、ケーシング2の端部から突出変形した超変形吸振体3を当接面39に接触させる上記実施例にあっては、予め当接面39に、適宜の印刷Pを施しておくことにより、当接時に、この印刷Pを外観目視させることが可能である。
ここで超変形吸振体3が突出変形して要緩衝材Sと接触(当接)した際に初めて印刷Pが外観目視される場合の基本構造を、図13(c)に基づいて説明する。本図では、超変形吸振体3を、透明または半透明の素材で形成するものであり、緩衝パーツ1が突出変形した際に接触する当接面39には、予め適宜の印刷P(ここでは「GEL」という標示(文字))を施しておく。また、無負荷時には緩衝パーツ1を当接面39(印刷面)から幾らか離して設置しておき、この離反状態では、緩衝パーツ1(超変形吸振体3)を通して印刷Pが見えないものとする。このような状態から、緩衝パーツ1に圧縮荷重が掛かり、超変形吸振体3が突出変形し、当接面39に接触すると、当接面39に施されていた印刷Pが超変形吸振体3を通して初めて見えるものである。なお、ここでは印刷Pが超変形吸振体3の軸方向から透過状態に浮かび上がる状況を図示したが、必ずしも目視方向は超変形吸振体3の軸方向に限定されるものではない。
【0077】
そして、このような超変形吸振体3の突出変形及び当接面39との接触(以下、「突出変形/接触」と記載)を利用して、シューズ(要緩衝材S)に施された印刷Pを外観目視させるようにした実施例が、上記図13(b)であり、本図では緩衝パーツ1を、踵部に馬蹄形に設置し、シューズ後方側から緩衝パーツ1を通して当接面39の印刷Pが外観目視できるものである。そのため、ここでは超変形吸振体3だけでなく、ケーシング2も透明または半透明の透過素材で形成される。
また、本実施例においては超変形吸振体3(緩衝パーツ1)の突出変形を外観目視し易くするために(顕著に視認させるために)、超変形吸振体3の端部付近に、光を取り込む採光部40が形成されるが、この採光部40からでも超変形吸振体3の突出変形や当接面39の印刷を外観目視させることも可能であり、従ってその場合には、この採光部40も露見部37に相当する。
【0078】
また、図13(d)に示す実施例は、上述した超変形吸振体3の突出変形/接触によって印刷Pを外観目視させる場合に、目視方向となるケーシング2(緩衝パーツ1)の端部を斜めにカットした実施例であり、印刷Pが見える範囲(外観目視できる視認角)を広げたい場合に採用できる構成である。
また、図13(e)に示す実施例は、ケーシング2の両端部が斜めにカットされた緩衝パーツ1(図6(i)参照)を、シューズに馬蹄形に湾曲設置した実施例である。ここで緩衝パーツ1は、ストレートな状態では概ね台形を成し、このものの斜めカットの長い方を馬蹄外周側に位置させるように設置するものである。すなわち、本実施例は、斜めカットの断面に光を当てたいが、ミッドソール32への固定や、外観的な見栄えを考慮した場合に、断面を露出させることが必ずしも好ましくないことがあり、このような場合に好適な実施例である。換言すれば、本図のような緩衝パーツ1の設置形態を採れば、馬蹄外周側(シューズの外縁側)に斜めカットの長い方がくる配置となるため、固定力強化、見栄え向上が同時に達成できるものである。因みに、ここではシューズの側部から光を取り込む採光部40を、露見部37としても機能させ、ここから外観目視させる構成を採っている。
【0079】
なお、上記図13(c)の説明では、超変形吸振体3が当接面39に接触した際に、初めて印刷Pが見えるように説明したが、例えば無負荷時の離反状態では、印刷Pがぼやけて見えていても構わず、これが圧縮荷重を受けて当接面39に接触した際に、明確に見えるようにする等、種々の印刷Pの見え方が考えられる。つまり、無負荷時(離反状態)と、圧縮荷重時(接触状態)とにおいて、異なった印刷Pの見え方を演出することができれば良く、以下このような印刷Pの見え方の相違についてまとめておく。
【0080】
まず図14(a)は、超変形吸振体3が当接面39から離れている離反状態では、輪郭がぼやけていた印刷P(ここでは「A」という文字)が、圧縮荷重を受けて接触した状態で、はっきり見える実施例を示している。
また図14(b)は、離反状態では薄く見えていた適宜の色(印刷P)が、接触状態で濃くなって見える実施例を示している。
また図14(c)は、離反状態では、ほぼ中央に濃く見えていた印刷P(特に色は問わない)が、接触状態では全体的に広がり且つ淡くなって見える実施例を示している。
また図14(d)は、離反状態では、小さく見えていた印刷P(ここでは「A」という文字)が、接触状態では拡大状態で見える実施例を示している。この場合、圧縮荷重を受けた超変形吸振体3が一種の凸レンズの作用を担うと考えられる。
また図14(e)は、離反状態では、大きく見えていた印刷P(ここでは「A」という文字)が、接触状態では縮小状態で見える実施例を示している。因みに本図14(e)の実施例は、上記図5(b)に示したように、緩衝パーツ1を、端面が凹んだ形状(一種の凹レンズ形状)に形成した場合に想定される印刷Pの見え方と考えられる(もちろん超変形吸振体3の素材や、焦点距離等の条件にも影響すると考えられる)。
【0081】
また、本発明の緩衝パーツ1、例えば圧縮荷重を受けた際にケーシング2の端部から突出変形する超変形吸振体3(緩衝パーツ1)を複数組み合わせてスポーツシューズ(要緩衝材S)に装着した場合には更なるバリエーション展開が可能であり、以下このような実施例について説明する。
図15に示す実施例は、本発明の緩衝パーツ1を、シューズの左右(イン側とアウト側と)に一対、仕込んだ状態を想定しており、これはシューズの左右に掛かる荷重の相違を左右の超変形吸振体3の突出変形量や印刷P(色)などで外観目視させるようにした一種のバランスインジケータとしての実施例である。
なお、超変形吸振体3の突出量が小さく、そのままではインジケータとして採用し難い場合には、例えば図16(a)、(b)に示すように、フレネルレンズシート41や樹脂製の凸レンズ42などを組み込んで、超変形吸振体3の突出量(変形量)を拡大して外観目視させることが可能である。
もちろん超変形吸振体3の突出量そのものを大きくする(同じ圧縮荷重でも大きく突出させる)ことも可能であり、例えば図16(c)に示すように、要緩衝材Sに凸状の押込材43を設けることも可能である。
【0082】
以下、このような緩衝パーツ1が装着される要緩衝材Sについてまとめておく。上記説明では、要緩衝材Sとして主にスポーツシューズを例に挙げたが、本発明の緩衝パーツ1は、スポーツシューズだけでなく、種々の要緩衝材Sを対象とすることができ、例えば図4に示すように、サンダル等にも装着することができるし、あるいはこのような履物の他にも、例えば図19に示すように、各種精密機器の脚部やベース部に取り付けられるインシュレータにも組み込むことができる。また、例えば図20に示すように、ライダースーツにおけるプロテクタ、重量機器の免震材、冷蔵庫の扉のパッキン、クッション、野球の審判等のプロテクタ等にも適用することもできる。
なお、上記図20に示すように、ある程度の範囲に全体的に緩衝機能を付与したい場合には、連続体タイプの緩衝パーツ1Aが好ましく、これはチューブ単体タイプの緩衝パーツ1を複数、組み合わせて配置するよりも、取り付けが容易であり、またコストも安価に抑えられるためである。更に、このような緩衝パーツ1Aにおいて隔壁16を排除した場合等には、緩衝パーツ1Aが適宜の立体形状により柔軟に湾曲し易くなるため、通常の押出成形で形成した緩衝パーツ1Aであっても、装着時には三次元的に自由に撓み、例えば人の関節等を保護する場合に、その複雑な屈伸作動に充分追従できるものである。
【0083】
次に、本発明の緩衝パーツ1の緩衝特性について説明する。本発明の緩衝パーツ1は、単にシューズ等の要緩衝材Sに加わった衝撃を吸収・緩和するというものではなく、加わった衝撃をどのように弱めるのかまでコントロールできるものであり、以下これについて説明する。なお、説明にあたっては、本発明の緩衝パーツ1に対する比較例として、緩衝機能材(ゲル)を充填したチューブの両端を完全に封止した緩衝資材(以下、「完全封止」とする)と、何も緩衝機能材を充填せず、また端部も封止していない緩衝資材(以下、「単なる中空」とする)とを例に挙げ、図17に基づき比較説明する。因みに、図17には、上記三種の緩衝資材をグラフと併せて図示している。
また図17に示すグラフは、これらの緩衝資材に圧縮荷重を加えて行った際の緩衝特性を示すグラフであり、縦軸は緩衝資材の「見掛け硬さ」を示し、横軸は緩衝資材の断面方向での「潰れ度合い」を示している。ここで、「見掛け硬さ」とは、適用素材(部材)そのものの硬度とは異なるものであり(そのために見掛け硬さとした)、無負荷時の状態の緩衝資材の硬さ(見掛け硬さ)を0と仮定して示している。また、「潰れ度合い」とは、緩衝資材の特定断面(例えば圧縮荷重が最も大きく作用する断面)において考慮した場合の、断面方向の潰れ度合い(潰れ量)を示すものである。
【0084】
以下、各緩衝資材毎に説明する。まず、完全封止タイプの緩衝資材に圧縮荷重を加えて行った場合には、図17(a)に示すように、当初は、圧縮荷重にほぼ比例して潰れ度合いが増加し、また潰れ度合いにほぼ比例してチューブの見掛け硬さも増加すると考えられるため、チューブの見掛け硬さは、潰れ度合いにほぼ比例して増加する。もちろん、緩衝資材は、圧縮荷重に応じた潰れ変形を行うことで(言い換えれば見掛け硬さが増して行くことで)、圧縮荷重を吸収するものである。
しかし、図17(a)では完全封止であるため、ある程度、潰れた段階で、内部に封入されている緩衝機能材の逃げ場がなくなり、もうこれ以上は衝撃を吸収し切れない限界に達する(これを「潰れ限度」とする)。この潰れ限度に達すると緩衝資材は、いわゆるパンパンに張った状態となり、以降、見掛け硬さも急激に上昇するものである。このように完全封止タイプの緩衝資材は、内部に緩衝機能材が充填され、しかも両端が完全に封止されているため、比較的早い段階で「潰れ限度」に到達するものである。つまり、完全封止タイプの緩衝資材は、最初は、徐々に圧縮荷重を吸収するが、潰れ限度に至るまでが比較的短い緩衝特性と考えられる。
【0085】
これに対し、単なる中空タイプの緩衝資材に、圧縮荷重を徐々に加えて行った場合には、チューブが中空であり、また封止構造でもないため、図17(b)に示すように、圧縮荷重にほぼ抗することなく緩衝資材は潰れて行く。このため、この中空タイプの場合には、完全封止タイプよりも極めて小さい圧縮荷重で「潰れ限度」に到達する。
しかし、図17(b)の該緩衝資材は、内部に何も充填されていないので、対向するチューブの内面が完全に密着した状態で「潰れ限度」に到達するものであり、このときの潰れ度合いとしては完全封止タイプよりも大きい値と考えられる。逆に言えば、上記完全封止タイプの緩衝資材では、内部に緩衝機能材が充填され、しかも封止されていたので、チューブの対向内面が完全に密着する以前の段階で「潰れ限度」に到達していたものである。また緩衝資材は、通常、この潰れ限度までの範囲内で緩衝部材として用いられるため、「潰れ限度」は、緩衝設定限界とも言える。
このように単なる中空タイプの緩衝資材は、端部が開放状態であり、且つ充填物もないために、同じ圧縮荷重でも完全封止タイプよりも潰れ度合いが大きく(潰れ易く)、「潰れ限度」は、グラフ上、右下位置にずれたように現れる。因みに、単なる中空タイプの緩衝資材の場合には、「潰れ限度」が、本明細書の〔背景技術〕で述べた「完全潰れ」と一致するものである。
【0086】
一方、このような緩衝資材に対して、本発明の緩衝パーツ1(両端開放)は、図17(c)に示すように、見掛け硬さが、潰れ度合いにほぼ比例して増加する。これは、完全封止タイプと同様に、圧縮荷重を加えて行った当初は、圧縮荷重にほぼ比例して潰れ度合いが増し、また、この潰れ度合いにほぼ比例してチューブの見掛け硬さも増加すると考えられるためである。ただし、本発明では、超変形吸振体3が極めて高い伸び率を有する柔らかい素材であるため、完全封止タイプとほぼ同程度もしくはそれより小さい傾斜(変化の割合)で推移すると考えられる。
なお、本発明の緩衝パーツ1では、圧縮荷重がある程度までに至ると、ケーシング2の端部から超変形吸振体3が突出変形するが、実際に、どの程度の圧縮荷重が掛かった際に突出変形が起こるかは、荷重の掛かり方や、ケーシング2や超変形吸振体3の素材、緩衝パーツ1の断面形状や全体構造などにより異なるものである。
【0087】
そして、本発明の緩衝パーツ1は、このような構造であるために、完全封止タイプの「潰れ限度」に相当する段階まで潰されても、ここではまだ潰れ限度に至らず、更に見掛け硬さは、潰れ度合いとともに増加して行くと考えられる。しかし、超変形吸振体3がケーシング2の端部から突出変形する前と後では、見掛け硬さの増加傾向が異なると考えられるため(突出変形を起こす前は、完全封止タイプのように、掛かった荷重がそのまま潰れ変形となって出現するが、突出変形を起こした後は、掛かった圧縮荷重の一部が、突出変形として出現することになる)、グラフ上では変化の割合を変えて示している。
その後、「潰れ限度」に達し、見掛け硬さが急上昇することは上記緩衝資材と同様であるが、ケーシング2内に収容(充填)されている超変形吸振体3が極めて高い伸び率を有するため、「潰れ限度」は、単なる中空タイプとほぼ同じ程度の潰れ度合いまで耐えられるものである(実際には超変形吸振体3が存在するため、本発明の緩衝パーツ1の「潰れ限度」の方が、グラフ上、単なる中空タイプよりも幾らか左にずれると考えられる)。
【0088】
このように、本発明の緩衝パーツ1は、ケーシング2や超変形吸振体3との素材の選択、構造、断面形状等によって、緩衝パーツ1がほぼ完全に潰れるまで(ペシャンコ状態になるまで)、見掛け硬さを制御することができる。少なくとも、本発明の緩衝パーツ1は、完全封止タイプでは潰れ限度に達する状態の圧縮荷重が掛かっても、まだ見掛け硬さを急激に上昇させずに、制御できることが大きな緩衝特性と言える。もちろん、単なる中空タイプのものよりも、潰れ限度内において、はるかに大きい圧縮荷重が掛けられるものである(見掛け硬さが急上昇する点が格段に高いものである)。
【0089】
本発明の緩衝パーツ1は、以上のような基本構造を有するものであり、以下、このような緩衝パーツ1を製造する方法の一例について説明する。
なお、ここでは溶融した樹脂原料を金型から押し出す押出成形を適用するものであり、特に、本発明では、超変形吸振体3がケーシング2の内部に収容される構造に因み、超変形吸振体3の外側からケーシング2の溶融原料を同時に押し出し、上記緩衝パーツ1・1Aを製造するものである。
【0090】
以下、このような押出成形機6について説明する。押出成形機6は、一例として図18に示すように、押出機6aと、金型6bと、成形機6cと、引取機6dと、切断機6eとを具えて成るものであり、以下、各構成部について説明する。
まず押出機6aは、原料となるペレット状の樹脂を溶融し、これを金型6b内に送り込むものであって、一例として略筒状を成す押出機本体61に対して、樹脂原料の投入口となるホッパ62と、ホッパ62から本体内に供給された樹脂原料を加熱、溶融するヒータ(図示略)と、溶融した原料をその回転力で金型6bに押し込むスクリュー63とを具えて成るものである。
なお、本発明においては、押出機6aを少なくとも二基用いるものであり、これはケーシング2内に超変形吸振体3を収容した構造を採ることに起因する。つまりケーシング2用の樹脂を送り込む押出機6aと、超変形吸振体3用の樹脂を送り込む押出機6aとを具備するものである。
【0091】
次に金型6bについて説明する。金型6bは、スクリュー63(押出機6a)によって送り込まれた溶融樹脂を、適宜の断面形状に賦形するものであって、実質的にはフォーミングダイ(ダイス)64によって溶融樹脂を所望形状に賦形する。
なお、同じ金型6bを使用しても、例えば前記スクリュー63の回転速度を調整すること等により、溶融樹脂の押込圧力を制御し、ケーシング2や超変形吸振体3の肉厚を変化させることができる。更には、部分的に超変形吸振体3のみの送り込みを停止させることもでき、これにより上記図5(c)に示したようなフリー空間11を有した緩衝パーツ1を押出成形で製造することができる。
【0092】
次に金型6bの後段に設けられる成形機6c、引取機6d、切断機6eについて説明する。
成形機6cは、冷却槽65を具え、この中で金型6b(フォーミングダイ64)から押し出された成形品(緩衝パーツ1)を冷却し、押出成形品の形状を安定化させるものである。
また引取機6dは、前記冷却槽65(成形機6c)を通過した長尺状の成形品を引き出すものであって、例えば上下一対で回転するローラベルトによって成形品を挟み込んで引き取るものである。なお、引取機6dは、溶融樹脂が金型6bに送り込まれてから成形されるまでの一連の過程、すなわち押出機6a、金型6b、成形機6c(冷却槽65)をスムーズに経由するように、その引取力(引抜力)が調整される。このため、押出機6aから金型6bに送り込まれた溶融樹脂が、金型6bによって賦形され、その後、冷却槽65(成形機6c)に至り形状の安定化が図られ、引取機6dに至るまでの流れが安定して行えるものである。
【0093】
更に、切断機6eは、引取機6dから送り出された成形品をカッタ66によって適宜の長さにカットするものである。なお、切断機6eによるカットは、必ずしも真っ直ぐ(押出成形品の軸方向に対してほぼ垂直な方向)にカットするだけでなく、斜めにカットすることも可能である。この際、このような斜めカットを、常に同じ角度で行った場合には、上記図6(h)に示したように、平行四辺形状の緩衝パーツ1が得られる。また、斜めカットと真っ直ぐカットとを交互に行った場合には、上記図6(g)に示したように、一方の端面側のみが斜めに開口した緩衝パーツ1が得られる。また、斜めカットの向きを一回の切断ごとに交互に変えて行った場合には(角度の大きさは同じ)、上記図6(i)に示したように、台形状(等脚台形状)の緩衝パーツ1が得られる。
【0094】
また、押出成形品を適宜の長さに切断する際に、例えば図18の拡大図に示すように、押出成形品を適宜の長さ(完成品としての緩衝パーツ1の所望長さ)で押圧しながら、その両端でカットするようにした場合には、上記図5(b)に示したように、無負荷時に超変形吸振体3の両端部が凹んだ緩衝パーツ1が得られるものである。ここで、図中符号67は、押出成形品を対向的に押圧する押圧部材である。
因みに、上記図6(e)に示したような、一方の端部のみに小孔13が開口された緩衝パーツ1を得るには、真っ直ぐカットを行う際、二回に一回の割合で、端部を潰しながらカットすることで上記緩衝パーツ1が得られるものである。
また、緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態で要緩衝材Sに装着するのであれば、組み付け段階でストレート状の緩衝パーツ1を初めて曲げるのではなく、製造段階で押出成形品に曲げ癖を付与しておくことが好ましく、これには例えば上述したように押出成形時に緩衝パーツ1の断面における肉厚を異ならせて成形を行うものであり、これに適宜以下の手法を適用することが好ましい。すなわち、肉厚差を設けた押出成形に加え、予め金型6b(フォーミングダイ64)を適宜のR状に形成しておき、長尺状の押出成形品に適宜のR付けを行ったり、あるいはストレート状に成形した押出成形品を、肉厚の薄い方を内側とするように巻取り(適宜冷却することが可能)、巻き癖を付ける手法等が採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の緩衝パーツを装着したシューズ(要緩衝材)を示す側面図(a)、並びにこの緩衝パーツを装着状態で描いた斜視図(b)、並びに図(b)のB方向から視た緩衝パーツの改変例を示す矢視図(c)〜(f)である。
【図2】緩衝パーツをシューズに装着する場合、このシューズのソールを分解して示す斜視図(a)、並びにアウターベースを示す平面図(b)、並びに図(b)のc−c断面図(c)及びd−d断面図(d)である。
【図3】緩衝パーツをシューズに装着する場合において、他の装着状況を示す図2(b)に対応する平面図である。
【図4】緩衝パーツを装着したサンダルを示す側面図である。
【図5】緩衝パーツの三種の実施例を示す説明図(a)〜(c)である。
【図6】主に、ケーシング両端における超変形吸振体の突出変形の度合いを異ならせるようにした種々の実施例を示す説明図である。
【図7】主に、ケーシング(単体としての緩衝パーツ)を複数接続して成る連続体としての緩衝パーツを種々示す説明図である。
【図8】屈折率が異なる数種の超変形吸振体を一つのケーシング内に収容するようにした三種の緩衝パーツを示す断面図である。
【図9】緩衝パーツの断面形状を異ならせた他の実施例を種々示す断面図である。
【図10】ケーシング内に必ずしも超変形吸振体を充実状態に収容しない二種の実施例を示す断面図である。
【図11】緩衝パーツをシューズに装着する場合、種々の装着態様を示す説明図である。
【図12】緩衝パーツもしくはシューズ(要緩衝材)に予め印刷を施しておき、これを外観目視させるようにした種々の実施例を示す説明図である。
【図13】超変形吸振体の突出変形を外観目視させるようにした実施例を示す説明図(a)、並びに該突出変形を利用してシューズ(要緩衝材)に施しておいた印刷を外観目視させるようにした実施例を示す説明図(b)〜(d)、並びに緩衝パーツの端部を斜めにカットした場合の好ましい装着状況を示す説明図(e)である。
【図14】超変形吸振体の突出変形を利用した印刷の見え方の相違を種々示す説明図である。
【図15】本発明の緩衝パーツを、要緩衝材(シューズ)に一対組み込み、荷重の掛かり方を示すようにしたバランスインジケーターとしての実施例を概念的に示す説明図である。
【図16】超変形吸振体の突出変形を拡大して外観目視させる実施例を示す説明図(a)及び(b)、並びに該突出変形そのものを大きく行わせるようにした実施例を示す説明図(c)である。
【図17】本発明の緩衝パーツの緩衝特性を示す説明図である。
【図18】本発明の緩衝パーツの製造方法の一例を示す説明図である。
【図19】本発明の緩衝パーツを、インシューレータとして脚部に装着した精密機器を示す斜視図(a)、並びにその装着状況を示すインシューレータの平面断面図(b)である。
【図20】本発明の連続体タイプの緩衝パーツを、ライダースーツのプロテクタとして適用した実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
1 緩衝パーツ
1A 緩衝パーツ(連続体タイプ)
2 ケーシング
3 超変形吸振体
4 変形許容部構造
6 押出成形機
6a 押出機
6b 金型
6c 成形機
6d 引取機
6e 切断機
11 フリー空間
12 エア通路
13 小孔
16 隔壁
17 仕切壁
18 空洞部
19 保持部材
30 ソール
31 アウターソール
32 ミッドソール
32a アウターベース
32b ミッドベース
32c インナーベース
33 インナーソール
36 受入空間
37 露見部
38 変形可能空間
39 当接面
40 採光部
41 フレネルレンズシート
42 樹脂製の凸レンズ
43 押込材
61 押出機本体
62 ホッパ
63 スクリュー
64 フォーミングダイ(ダイス)
65 冷却槽
66 カッタ
67 押圧部材
AD 接着剤
S 要緩衝材(スポーツシューズ)
P 印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するケーシングと、
この内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体とを具えて成る緩衝パーツであって、
前記緩衝パーツは、パーツに加えられた圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造を具え、
また超変形吸振体とケーシングとの境界面は、少なくとも一部が固着されて成るものであり、
かかる構成により、緩衝パーツに圧縮荷重が加わった際には、前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形によって、この圧縮荷重を吸収するものであり、また圧縮荷重が解除された後には、超変形吸振体が初期付与形状に復元するようにしたことを特徴とする緩衝パーツ。
【請求項2】
前記超変形吸振体は、伸び率が500%以上であることを特徴とする請求項1記載の緩衝パーツ。
【請求項3】
前記ケーシングは、少なくとも一方の端部が開口された筒状に形成されて成るものであり、
また前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形には、少なくとも、ケーシングの開口端部における超変形吸振体の外部への突出変形を含むことを特徴とする請求項1または2記載の緩衝パーツ。
【請求項4】
前記ケーシングは、一本の筒状の単体、もしくは複数本の筒体を並列状に並べた連続体として形成されることを特徴とする請求項3記載の緩衝パーツ。
【請求項5】
前記ケーシングが、複数本の筒体を並列状に並べた連続体として構成される場合には、隣り合う筒体の隔壁を介在させないようにしたことを特徴とする請求項4記載の緩衝パーツ。
【請求項6】
前記ケーシングは、両端部が開口されて成り、且つこれら両端部の開口表面積が異なるように形成されることを特徴とする請求項3、4または5記載の緩衝パーツ。
【請求項7】
前記緩衝パーツが装着される要緩衝材には、緩衝機能を付与したい部位に受入空間が形成され、装着時には、この空間に緩衝パーツを取り付けて成るものであり、
また、この受入空間には、ケーシング端部における超変形吸振体の突出変形を許容する変形可能空間が併せて形成されることを特徴とする請求項3、4、5または6記載の緩衝パーツ。
【請求項8】
前記緩衝パーツが装着される要緩衝材には、緩衝機能を付与したい部位に受入空間が形成され、装着時には、この空間に緩衝パーツを取り付けて成るものであり、
また、この受入空間には、ケーシング端部において超変形吸振体が突出変形した際に接触する当接面が形成されるものであり、この接触によって超変形吸振体の以降の突出変形が制限されるようにしたことを特徴とする請求項3、4、5または6記載の緩衝パーツ。
【請求項9】
前記緩衝パーツは、要緩衝材に装着した状態で、少なくとも一部が外部から目視可能な状態に取り付けられるものであり、
また、前記ケーシング及び超変形吸振体は、透明または半透明の素材によって形成されるとともに、更に超変形吸振体は、屈折率が異なる二種以上の素材で形成され、
超変形吸振体に適用される二種以上の素材が外観目視されるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の緩衝パーツ。
【請求項10】
前記緩衝パーツは、圧縮荷重が作用する方向から視て馬蹄形の湾曲状態で、要緩衝材に装着されるものであり、
この際、前記ケーシングには、馬蹄内周側の肉厚と馬蹄外周側の肉厚とにおいて、適宜の肉厚差が設けられ、この肉厚差によって予め緩衝パーツに曲げ癖を付与するようにしたことを特徴とする請求項3、4、5、6、7、8または9記載の緩衝パーツ。
【請求項11】
前記緩衝パーツは、圧縮荷重が作用する方向から視て馬蹄形の湾曲状態で、要緩衝材に装着されるものであり、
この際、前記ケーシングは、馬蹄内周側または馬蹄外周側のうち少なくとも一方が蛇腹状に形成され、圧縮荷重に抗することなく潰れ変形を行うように形成されることを特徴とする請求項3、4、5、6、7、8、9または10記載の緩衝パーツ。
【請求項12】
前記緩衝パーツは、要緩衝材への装着状態で、ケーシング端部における超変形吸振体の外部への突出変形が外観目視可能な状態に取り付けられることを特徴とする請求項3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の緩衝パーツ。
【請求項13】
前記ケーシングまたは要緩衝材の受入空間には、予め適宜の印刷が施されて成り、
緩衝パーツが要緩衝材に取り付けられた状態で、この印刷が外観目視されるようにしたことを特徴とする7、8、9、10、11または12記載の緩衝パーツ。
【請求項14】
前記要緩衝材の当接面には、予め適宜の印刷が施されて成り、圧縮荷重によって超変形吸振体がケーシング端部から外部に突出し、この当接面に接触した際に、初めて印刷が外観目視される、または無負荷時とは異なった印刷が外観目視されるようにしたことを特徴とする請求項8、9、10、11、12または13記載の緩衝パーツ。
【請求項15】
溶融した原料を金型から押し出す押出成形によって、
可撓性を有するケーシングと、
この内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体とを具えて成る緩衝パーツを製造する方法であって、
前記緩衝パーツは、パーツに加えられる圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造を具え、また超変形吸振体とケーシングとの境界面が、少なくとも一部、固着されて成るものであり、
かかる構成により、緩衝パーツに圧縮荷重が加わった際には、前記変形許容部構造における超変形吸振体の膨らみ変形によって、この圧縮荷重を吸収し、また圧縮荷重が解除された後には初期付与形状に復元するものであり、
緩衝パーツの製造にあたっては、超変形吸振体の外側からケーシングの溶融原料を同時に押し出すことにより、ケーシングの内側に超変形吸振体を収めるようにしたことを特徴とする緩衝パーツの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−291448(P2009−291448A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148770(P2008−148770)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(306026980)株式会社タイカ (62)
【Fターム(参考)】