説明

練習用タップシューズ

【課題】 タップダンス体験者が、チップの取り付け、取り外しに手間をかけることなく、またダンス教室が、備え付けのチップの数、または貸し靴の数やサイズの種類を増やすことなく、誰でも手軽に本格的なタップダンスが体験できるようにすることを課題とする。
【解決手段】 練習用タップシューズの靴底以外の本体の材質を、布や皮などの素材で構成して、靴下または靴の上から複数点で結んで装着することにより、個人の足のサイズにぴったりでなくとも装着可能となり、タップダンス実施の動きに問題のないフィット感が得られる。音を出すチップが本体の靴底部分の一定の位置に固定されていることにより、チップの着脱が、両面テープを使用することなく、本体の対となる頂点通しを結んだり解いたりすることで可能となり着脱容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タップダンスをするとき、足に装着して、床と接触することによりに音を出すタップシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タップダンスをするときは、靴底に金属チップが装着された専用のタップシューズを履く。タップシューズは、通常の靴と同様に、タップダンスをする人の足のサイズに合ったものを用意する必要があり、自分専用のものを購入する。または、ダンス教室などでタップダンスを体験する際は、備え付けの貸し靴の中でサイズの合うものがある場合にのみ借りて使用することができる。
【0003】
またタップダンスを体験する際の従来の方法として、タップダンス用チップのみ購入または借りて、両面テープで、通常の靴に取り付けて、一時的に手持ちの靴を、簡易的にタップシューズとして使用する方法がある。
【0004】
なおタップダンスを体験する際の従来の方法として、スニーカーなどの通常の靴を履いて、タップダンスの足や体の動きなどを体験する方法があるが、金属チップの音は出ないため、タップダンスの実感がわかず、本格的な体験はできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、タップダンスを体験する際、着脱容易で、着用可能な足のサイズの範囲が広い練習用のタップシューズを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の練習用タップシューズは、サイズと形とが固定している従来のタップシューズの靴底以外の部分にあたる本体の材質を布素材で構成して、靴下または靴の上から結んで装着することにより、個人の足裏または靴底のサイズや形にぴったりでなくとも、装着可能となる。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の練習用タップシューズは、音を出すチップが本体の靴底部分の一定の位置に固定されていることにより、チップの着脱は本体の対となる頂点通しを結んだり解いたりすることにより可能となり、チップのみを両面テープを使用して着脱する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の練習用タップシューズは、着用可能な足のサイズの範囲が広いので、タップダンス教室等で、貸し出し用チップを用意することなく、ほとんどの足のサイズに対応した貸し靴を用意することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 練習用タップシューズを装着するために開いた時の上面図である。
【図2】 図1の2つ折りの土台を開いた内部構造図である。
【図3】 図1の下面図である。
【図4】 断面図である。
【図5】 練習用タップシューズの装着例の図である。
【図6】 土台の長さを元にした、本体の長さの説明のための補足図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本体の形状は図6のように左右対称(線対称)であり、3対の頂点を持つ。足のつま先を覆って結ぶための左右一対の頂点10、11と、かかとを覆って足首の位置で結ぶための左右一対の頂点14、15と、本体をより足に固定させるために甲の位置で結ぶための左右一対の頂点12、13とを持つ。中心線16の長さは土台の長さ17の1.6倍に近似した長さであり、つま先及び甲の位置で結ぶための片方の頂点10(11)及び12(13)から中心線16までの長さは土台の長さ17の1.2倍に近似した長さであり、かかとを覆って足首の位置で結ぶための片方の頂点14(15)から中心線16まで長さは土台の長さ17の1.4倍に近似した長さとすることにより、3点で結んで足に固定した際、足のサイズに対して本体が小さ過ぎず頂点通しを結びやすい長さであり、かつ足のサイズに対して本体が大き過ぎず足へのフィット感が得られる。
【0011】
本体の素材は20〜30番手に近似した厚さの布で構成し、2枚重ねて袋状に縫い合わせる。本素材とすることにより柔軟性及び耐久性がある。なお、素材に柔軟性があるとは、折り曲げたり結んだりするのに支障がなく、足のような曲線に沿わせた際に違和感のない厚さ及び硬さのことを示す。素材に柔軟性があるため、つま先からかかとまでを覆うことが可能であると共に、本体の対となる頂点通しを結ぶことが可能となる。かつ個人の足のサイズや形に応じて結び方を調整して足に固定させることができるため、足裏または靴底のサイズが土台の長さ17から±0.5cm以内でなくとも足への固定ができ、装着した際、タップダンス実施の動きに問題のないフィット感が得られる。かつ本素材とすることにより耐久性もあるため、数回の使用で磨耗することはない。
【0012】
図3に示すように、本体の下側(床側)に、チップを、従来のタップシューズと同様な位置であるつま先とかかととに配置し、図4に示すように本体と土台とチップとを、つま先用、かかと用チップとも3つずつ有している固定用の穴2(a)を利用して、固定具で固定することにより、タップダンス実施中に、チップが本体からはずれたり、所定の位置からずれたりすることを防ぐ。
【0013】
本体の上側(足の装着側)に、図1のように土台を密着させて固定し、本体の靴底部分の強度を増す。土台の形状は足裏または靴底様の形であり、複数枚重ねた全体の厚さは2mmに近似した板状で、錐(きり)や目打ちで穴が開けられる素材で構成する。足型をした土台を開くと図2のように2つ折りの構造をしており、装着時は折り重ねて図4のようにして土台を複数枚重ねた構造とすることにより、複数枚の土台と土台の間に固定具の上側の留め端が出るようにして足裏を安全に保つ。
【0014】
固定具の長さは、図4のようにチップと本体と土台とを密着して固定できるよう、チップの厚さと本体の厚さと土台の1/2の厚さとを加えた長さに近似し、固定具の下側の留め端は、チップの固定用の穴に収まりチップより下にはみ出ない形状とする。
【0015】
タップダンス体験で貸し靴を借りる際、従来は通常の靴と同様にサイズが±0.5cmの範囲内で合うものがない場合は貸し靴を借りることが出来なかったが、本発明による練習用タップシューズは着用可能な足のサイズの範囲が広いので、ダンス教室が、備え付けの貸し靴の数やサイズの種類を増やすことなく、ほとんどの足のサイズで着用可能となり、体験者のほぼ全員が本格的なタップダンス体験ができるようになる。
【0016】
従来はタップダンス体験者の人数が多く、備え付けの貸し靴の数が不足する場合も、貸し靴を借りることが出来なかったが、従来のタップシューズに比べ練習用タップシューズはコンパクトに収納できるため、タップダンス教室等で、体験者のほぼ全員に貸し出し可能な十分な数の貸し靴を用意することができ、本格的なタップダンスを体験させることが可能となる。
【0017】
タップダンスを体験する際、チップを両面テープで手持ちの靴に取り付けて、一時的に簡易的にタップシューズとして使用する従来の方法に比べ、練習用タップシューズを利用すれば、両面テープでのチップの着脱に手間と時間がかからない。タップダンスをしている間にテープがはがれた場合や、再度体験するために取り付け直しで追加の両面テープが必要とならないし、またチップを取り外すためにテープをはがす際に、テープの跡を時間をかけて取り除く必要がない。このようにチップの着脱が容易にできるため、チップを個人持ちとすることなく、同じチップを使用して、直前・直後の時間に別の人がタップダンスを体験することが容易にできるため、ダンス教室に備え付ける練習用タップシューズの数が従来備え付けていた貸しチップの数より少なくても、体験者のほぼ全員に本格的なタップダンスを体験させることが可能となる。
【0018】
本発明による練習用タップシューズは従来のタップシューズに比べ、コンパクトに収納できることに加え軽いため、教室以外に出かけて実施するワークショップへも、多数を持ち運び可能(現在の実施例では手持ちで20足程度は可能)となる。また上履きの上にも容易に履け、チップを貼ったりはがしたりする必要がないため、タップダンス普及、及び、福祉施設などでの障がいをもった人達の活性化、触れ合いの場での有効な活用が可能となる。
【0019】
本発明による練習用タップシューズは従来のタップシューズに比べ、甲の部分に布を使用するため靴専門職人などの技術に頼る必要性がなく製作過程での専門性が低いため、安価で製作・販売することが可能である。そのため、自宅でテキストやビデオを見ながら個人でレッスンする場合の、本格的にタップダンスを始める前の試行者も、購入して利用しやすく、自宅でも本格的にタップダンスを体験でき、タップダンス普及の促進が可能となる。
【実施例1】
【0020】
本体の素材は、20〜30番手に近似した綿や麻素材などで構成可能である。布であれば、市販品を使用することもでき、または使用者の希望に合わせて、色柄や材質を変えることができる。
【0021】
タップシューズ用の音を出すチップは、従来の金属チップを使用する。
【0022】
本体と土台とチップを固定するための固定具は、市販のカシメやネジを使用することができる。固定具の床側の形態は、床との接触による磨耗を防ぐためにチップの固定用の穴2(a)に収まるものとする。固定具がネジのように折り曲げられない素材の場合は、チップと本体と土台を留められる長さであり、かつ、足裏または靴底を安全に保つために長すぎないものとする(図4参照)。
【0023】
土台は、装着時に固定具から足裏または靴底を安全に保つため2つ折りなどの構造とするが、足裏の汗による湿気からの劣化に強く、ミシンで縫い合わせる(5)などの方法で本体と土台を固定できるよう、土台は防水加工された厚紙や、固めの靴の中敷などの素材及び厚みが適している。
【実施例2】
【0024】
本体の素材は、布素材以外にも、薄手の皮素材などでも構成可能である。皮であれば布と同様に、市販品を使用することもでき、または使用者の希望に合わせて、色柄や材質を変えることができる。
【実施例3】
【0025】
タップシューズ用の音を出すチップは、従来の材質は金属であるが、専用の教室以外でタップダンスを実施する際は、金属チップの接触による床の傷つきを防ぐため、専用の板やリノリウムを敷くことが多い。しかし練習用タップシューズは、タップダンスを本格的に始める前に体験で実施することを主な目的としているため、チップを金属以外の、床との接触で音の出やすい硬質プラスティックなどの素材で構成することにより、床の傷つきを防ぐことができるため、タップダンス用の敷板を不要とすることができる。
【実施例4】
【0026】
実施例1では、本体と土台とチップを固定具で固定する方法としているが、他の固定方法として、本体と土台、本体とチップとを強力に接着することができる接着剤や粘着テープを使用して固定する方法でもよい。または、本体と土台とを接着剤や粘着テープで、本体とチップを固定具で固定するなどの、固定方法を組み合わせる方法でもよい。
【実施例5】
【0027】
実施例1では、本体の対となる頂点通しを結ぶのは3点としているが、本体の結ぶための頂点をつま先と足首の2点とし、つま先から甲の上で交差させて足首部の頂点と結んで、足に固定する方法でもよい。または、甲の部分を2点以上とし、全体で4点以上で結ぶ方法でもよい。
【実施例6】
【0028】
実施例1では、チップを本体をはさんで土台に固定する方法としているが、靴や上履きの上から装着する場合は、固定具の上側の留め端が足裏に直接当たることはないので、土台を使用せずに、本体に直接チップを取り付ける方法でもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
2 タップシューズ用の音を出すチップ、2(a)固定用の穴
3 土台
4 固定具
5 本体と土台を固定するための縫い目
10 足のつま先を覆って結ぶための左の頂点
11 足のつま先を覆って結ぶための右の頂点
12 足に密着して固定させるために甲の位置で結ぶための左の頂点
13 足に密着して固定させるために甲の位置で結ぶための右の頂点
14 足のかかとを覆って結ぶための左の頂点
15 足のかかとを覆って結ぶための右の頂点
16 中心線
17 土台の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足のつま先からかかとまでを覆い、本体の対となる頂点通しを結んで固定することが可能な本体と、タップシューズ用の音を出すチップと、本体とチップを足裏または靴底の一定の位置に固定することを補助するための足型をした板状の土台と、チップを本体をはさんで土台に固定するための固定具とで構成され、本体の複数の対となる頂点通しを結んで足へ固定する練習用タップシューズ。
【請求項2】
本体の形状は左右対称であり、足のつま先を覆って結ぶための左右一対の頂点を有し、かかとを覆って足首の位置で結ぶための左右一対の頂点を有し、本体をより足に固定させるために甲の位置で結ぶための左右一対の頂点を有し、中心線の長さは土台の長さの1.6倍に近似した長さであり、つま先及び甲の位置で結ぶための片方の頂点から中心線までの長さは土台の長さの1.2倍に近似した長さであり、かかとを覆って足首の位置で結ぶための片方の頂点から中心線まで長さは土台の長さの1.4倍に近似した長さの、本体の形状を特徴とする請求項1記載の練習用タップシューズ。
【請求項3】
本体の素材は、つま先からかかとまでを、本体の対となる頂点通しを結んで覆うことが可能な、20〜30番手に近似した厚さの布であり、足裏または靴底のサイズが土台のサイズとぴったり(±0.5cm以内)でなくとも足への固定ができる、本体の素材を特徴とする請求項1または2に記載の練習用タップシューズ。
【請求項4】
土台の形状は足裏または靴底様の形であり、複数枚重ねた全体の厚さは2mmに近似した板状で、錐(きり)や目打ちで穴が開けられる素材で構成されており、複数枚の土台と土台の間に固定具の上側の留め端が出るようにして足裏を安全に保つための土台の形状を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の練習用タップシューズ。
【請求項5】
固定具の長さは、チップと本体と土台とを密着して固定できるよう、チップの厚さと本体の厚さと土台の1/2の厚さを加えた長さに近似し、固定具の下側の留め端は、チップの固定用の穴に収まりチップより下にはみ出ない形状を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の練習用タップシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81731(P2013−81731A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234373(P2011−234373)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(511258824)
【出願人】(511258972)
【Fターム(参考)】