説明

縄跳び具

【課題】 本発明は、紐の長さを容易に調整することができる縄跳び具を提供すること。
【解決手段】 紐の両端にグリップを取り付けた縄跳び具であって、前端に紐通し孔3を設けた中空のグリップAの後端開口部にハンドル5を回転自在に嵌合し、ハンドル5の軸心位置に配設した紐1の巻取り軸22の前端を、グリップAの前端部に回転自在に支持させ、巻取り軸22の後端をハンドル5の内面中央に、ハンドル5と同時に回転するように支持させ、ハンドル5の内面一側寄りには、紐通し孔3より挿入した紐1の先端を取り付け、上記ハンドル5を回転することにより、紐1が巻取り軸22に螺旋状に巻き込まれるように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐の長さが調整可能な縄跳び具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実開昭61−8065号公報には、グリップの後端に巻取り用のバネを設けた巻取りドラムを軸着し、その手前に紐の引き出しと巻き込みを制御する制動装置を設けた縄跳び具が開示されている。
【0003】
この縄跳び具の紐は、グリップに設けた巻取りドラムに、細い紐を巻き込んで、グリップとグリップの間の紐の長さを調整しようとするものであるが、このような巻取り手段を、一般の縄跳び具に使用されている直径が6mm程度の紐の巻き取りに応用するときは、巻取りドラムの径を大きくする必要があり、実用化は不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−8065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一般の縄跳び具に使用されている太い紐の長さを、使用者の身長に応じて調整し得る縄跳び具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1の縄跳び具は、紐の両端にグリップを取り付けた縄跳び具であって、前端に紐通し孔を設けた中空のグリップの後端開口部にハンドルを回転自在に嵌合し、ハンドルの軸心位置に配設した紐の巻取り軸の前端を、グリップの前端部に回転自在に支持させ、巻取り軸の後端をハンドルの内面中央に、ハンドルと同時に回転するように支持させ、ハンドルの内面一側寄りには、紐通し孔より挿入した紐の先端を取り付け、上記ハンドルを回転することにより、紐が巻取り軸に螺旋状に巻き込まれるように構成したことを特徴としている。
【0007】
上記ハンドルを一方々向に回転すると、紐は巻取り軸の外周に螺旋状に順次巻き込まれ、一対のグリップ間の紐の長さが短くなる。ハンドルを反対方向に回転すると、巻取り軸に巻き付いていた紐が緩み、この緩んだ紐を紐通し孔より引き出すと、一対のグリップ間の紐が長くなる。
【0008】
本発明に係る請求項2の縄跳び具は、上記請求項1の発明において、グリップ本体の後端部とハンドルとの嵌合面に、ハンドルの回転を制御するストップ機構を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記請求項2の縄跳び具にあっては、紐の長さを調節した後、ストップ機構によりハンドルの回転を制御すると、グリップ間の紐の長さが一定に維持される。
【0010】
本発明に係る請求項3の縄跳び具は、上記請求項1又は請求項2の発明において、グリップの前端部と巻取り軸の前端部との間に、傾斜誘導路を形成したことを特徴としている。
【0011】
上記請求項3の縄跳び具は、ハンドル操作により紐が紐通し孔を通過して巻取り軸に巻き込まれる場合、紐は傾斜誘導路により緩やかなカーブを描きながら巻取り軸に送り込まれ、反対に巻き込みが緩んでグリップから引き出される場合、紐は傾斜誘導路により緩やかなカーブを描きながらグリップ外へ繰り出される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1の縄跳び具用グリップは、グリップの後端に嵌合したハンドルの回転操作により、一対のグリップ間の紐の長さが調整されるため、小さな子供でも容易に使用できる。また紐は巻取り軸に整然と巻き込まれるため、従来一般に使用されている太目の紐であっても、大きく伸縮することができ、子供から大人まで使用が可能である。
【0013】
本発明に係る請求項2の縄跳び具は、ストップ機構によりハンドルの回転を停止することにより、グリップへの紐の巻き込み、グリップからの紐の引き出しが阻止されるため、調整された紐の長さを確実に維持して縄跳びをすることができる。
【0014】
本発明に係る請求項3の縄跳び具にあっては、紐が傾斜誘導路に沿って滑らかに走行し、捩れとか絡み合いを生ずることなく、巻取り軸への巻き込み、及びグリップからの引き出しが行われるため、ハンドルを軽快に回転させることができる。従って低年齢の児童も容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る縄跳び具の実施形態を示す平面図である。
【図2】同上横断面図である。
【図3】同上実施形態におけるグリップの分離状態の斜視図である。
【図4】同上グリップの先端部の縦断斜視図である。
【図5】同上グリップの後端部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る縄跳び具の実施形態を図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0017】
符号Aは直径が約6mmの紐1の両端に取り付けた中空のグリップである。このグリップAは、筒状のグリップ本体2と、グリップ本体2の前端に嵌合し、且つ前端中央に紐通し孔3を設けた断面円弧状のキャップ4と、グリップ本体2の後端に回転自在に嵌合したハンドル5により構成している。
【0018】
上記キャップ4には、上下一対の係合部6を設け、この係合部6をグリップ本体2の前端部の上下に設けた連結孔7に嵌合している。また図3及び図5に示すように、グリップ本体2の後端部外周には環状溝8を周設するとともに、グリップ本体2の後端より環状溝8に通ずる上下一対の嵌め込み溝9を設け、この嵌め込み溝9より、ハンドル5の内面の上下に設けた突起10を環状溝8に回転自在に嵌合している。
【0019】
また環状溝8の前側で、且つ上下の嵌め込み溝9に対向する位置に、後端が前記環状溝8に接続した縦溝11と、その先端に直交する横溝12とよりなる鈎型のストップ機構Bを形成している。
【0020】
尚、嵌め込み溝9には、突起10が嵌め込み溝9から離脱し、ハンドル5がグリップ本体2から外れないように突部13を設け、ストップ機構Bにおける縦溝11と横溝12には、突起10が乗り越え可能な突部14を設けている。更に、上下のストップ機構Bの前側には、ハンドル5の操作方向である左右回転方向、ストップ機構Bにおける縦溝方向及び横溝方向を示す矢印等によるガイド15を表示し、ハンドル5の外側には、上下の突起10をストップ機構Bの縦溝11の位置に合致させるための目印16を表示している。
【0021】
上記グリップ本体2の前端部中央には、ホルダー17により軸受け筒18を固定し、ハンドル5の内面中央にはスライド溝19を設けた軸受け筒20を突設している。前記軸受け筒18には、離脱防止用の鍔21を設けた巻取り軸22の前端を回転自在に嵌合し、軸受け筒20には、前記スライド溝19に挿入する突条23を設けた巻取り軸22の後端を嵌合することにより、巻取り軸22がハンドル5とともに回転し、且つハンドル5が進退し得るように形成している。
【0022】
またホルダー17内には、軸受け筒18の外側面に沿って紐1を回動させながら、巻取り軸22に螺旋状に送り込む傾斜誘導路24を形成している。
【0023】
図1、図2及び図5(a)に示す状態において、ハンドル5を右に僅かに回動させてハンドル5を後退させると、突起10がストップ機構Bにおける横溝12及び縦溝11より外れ、図5(b)に示すように、環状溝8内に係合する。この状態において、ハンドル5を左方向に回転すると、図2、図4に示すように、紐1は傾斜誘導路24を通過しながら、巻取り軸22に螺旋状に巻き付けられ、グリップ間の紐の長さが短くなる。
【0024】
反対に、ハンドル5を右方向に回転すると、巻取り軸22に巻き付けられていた紐1が緩むから、これをキャップ4の紐通し孔3から外側に引き出せば、グリップ間の紐1が長くなる。
【0025】
紐1の長さを調整した後、ハンドル5の目印16をストップ機構Bの位置を表示したガイド15に合致させてハンドル5を押し込み、更に左方向に僅かに回動すれば、突起10がストップ機構Bの縦溝11から横溝12に係合し、ハンドル5の回転が阻止される。尚、縦溝11及び横溝12には突起10の移動を防止するための突部14を設けているため、縄跳び中のハンドル5の回動が阻止される。
【0026】
上記実施例にあっては、グリップ本体2の後端に嵌合したハンドル5を左又は右回転することにより、一対のグリップ間の紐1の長さを容易に調整することができ、従来一般の太さの紐1をグリップ内へ長く巻き込むことができるので、小さな子供から大人までに使用することができる。
【0027】
またグリップ本体2におけるホルダー17に傾斜誘導路24を設け、紐1が巻取り軸20に向かって滑らかに導入されるため、捩れとか絡み合いを生じることなく、巻取り軸に整然と巻き込まれる。そのためハンドル5の回転が重くなるとか、回転不能になることがない。
【0028】
尚、上記実施例において、グリップ本体2とともにハンドル5を握って縄跳び運動をすることにより、ハンドルの回転を防止し、紐が伸張しないようにすることもある。この場合はストップ機構を設ける必要がない。また図示していないが、環状溝8に多数の突部を周設し、この突部にハンドル5の突起10を係合させて、縄跳び中のハンドル5の回転を阻止するように構成することもある。
【符号の説明】
【0029】
A グリップ
B ストップ機構
1 紐
2 グリップ本体
3 紐通し孔
4 キャップ
5 ハンドル
8 環状溝
10 突 起
22 巻取り軸
24 傾斜誘導路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐の両端にグリップを取り付けた縄跳び具であって、前端に紐通し孔を設けた中空のグリップの後端開口部にハンドルを回転自在に嵌合し、ハンドルの軸心位置に配設した紐の巻取り軸の前端を、グリップの前端部に回転自在に支持させ、巻取り軸の後端をハンドルの内面中央に、ハンドルと同時に回転するように支持させ、ハンドルの内面一側寄りには、紐通し孔より挿入した紐の先端を取り付け、上記ハンドルを回転することにより、紐が巻取り軸に螺旋状に巻き込まれるように構成したことを特徴とする縄跳び具
【請求項2】
グリップの後端部とハンドルとの嵌合面に、ハンドルの回転を制御するストップ機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の縄跳び具
【請求項3】
グリップの前端部と巻取り軸の前端部との間に、傾斜誘導路を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の縄跳び具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170567(P2012−170567A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34180(P2011−34180)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000134800)株式会社ナナミ (16)