説明

缶ホルダー

【課題】厚紙製の缶ホルダーを人手にて簡単に組み起こしし四缶の飲料缶を安定的に一まとめできるようにし、スーパーやコンビニエンスストアなどの一般店舗側で必要に応じて四缶まとまりの缶飲料商品を提供できるようにする。
【解決手段】飲料缶などの缶体二缶を並べてなる二缶組みを二つ並べて縦と横とに前記缶体が二缶ずつ並らんだ形態となる缶集合物を支持可能な缶ホルダーであり、缶集合物外周を縦周りに周回する形状とした帯部2と、帯部2における天面板4と底面板6との距離を維持し、缶集合物を缶組みごとに分ける仕切り部3とを備えて、帯部2の側面板5と仕切り部3とが同一方向に倒れ込む帯部扁平形態からの組み起こしで仕切り部3を引き起こし可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジュース缶やビール缶などの略円柱状の飲料缶を複数本まとめて持ち運ぶ場合に利用できる缶ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジュースやビールなどの飲料が充填された缶や瓶などを複数本持ち運ぶ場合に利用できて、手持ちが簡単に行えるようにする厚紙製のホルダーが各種提案されている。例えば、特許文献1に示されているように六缶をまとめて支持できるように、縦枠形状の帯部の天面板と底面板とのそれぞれの側辺に内方に折り込む半円形の係止フラップを三面ずつ連接し、この帯部の開放二面からそれぞれで三本の缶体を半分ずつを差し入れてその缶の上部環状部と底部環状部とに上下の前記係止フラップを係止させることで、二本の缶の二缶組みが間ごとに仕切部を介在させて三つ並んだ六缶用のホルダーがある。また、特許文献2に示されているように帯部の天面板と底面板とのそれぞれの側辺に内方に折り込む半円形の係止フラップを二面ずつ連接し、その帯部内方に二缶を配するとともに開放二面それぞれに配されて前記係止フラップにて支持された二缶ずつで帯部内方の前記二缶を挟み込んで保持するようにしたホルダーも提案されている。
【0003】
まとめて収容した複数本の缶や瓶の取り出しが簡単となるように、それらの缶や瓶の集合物を縦周りで包む帯部の一面にファスナを備えて、必要時にそのファスナを切ることで帯部が開くようにした工夫が、例えば特許文献3に示されている。さらに、缶や瓶の集合物を提げて持ち運びできるようにするために取手を一体に備えた厚紙製のホルダーが例えば特許文献4、特許文献5に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭37−010777号公報
【特許文献2】意匠第1176221号公報
【特許文献3】実開昭59−035373号公報
【特許文献4】実公昭44−020880号公報
【特許文献5】実開昭55−061518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した各種の厚紙製ホルダーも含めて従来から利用されているホルダーでは、手提げできる重さの関係から六本を一まとまりとして支持するものが多く流通している。そして、これらの厚紙製のホルダーでは、収容する缶や瓶の重量に十分耐え得る必要があることから、飲料メーカ側で製造ライン上で専用機械を用いてホルダーを組み起こしながら飲料缶や飲料瓶をまとめており、強固な構造に組み起こされたホルダーに支持された、例えば六本組みのものを一商品として出荷し、これらが一般小売店舗で陳列販売されている。
【0006】
ところで、缶飲料商品では上述したように六缶の飲料缶を厚紙製ホルダーでまとめた商品形態もあるが、缶形状がシンプルな略円柱状であって消費者は一缶ごとでも手軽に購入する傾向にあることから、スーパーなどの一般小売店舗においては飲料缶を棚などに並べて陳列する販売形態が多い。そして、このような販売形態を採用している缶飲料商品は、350ml缶の四缶まとまりを一商品とすると、前述したように一缶あたりの取り扱いが容易である認識が一般消費者側に存在することと、四缶一まとまりでもそれほど重量がかさむ商品とならないことから、期間限定や地域限定のキャンペーンなどの販売促進を併せて商品紹介をすれば、女性も店頭購入する傾向にある。そのため、スーパーやコンビニエンスストアなどの一般店舗側で、必要に応じて店員や飲料メーカー側の販売促進員が厚紙製の缶ホルダーを組み起こし、バラで店舗側に搬入されている飲料缶四缶をその缶ホルダーに組み入れて一まとまりの商品とすることができるようにしたい、との要望がある。
【0007】
しかしながら、飲料缶を四缶一まとまりとして、一般店舗側の店員や飲料メーカー側の販売促進員が手作業で簡単に組み起こしして飲料缶をセットできる厚紙製の缶ホルダーは現在のところ存在していない。また、並べた飲料缶二缶を縦周りに巻く厚紙製の缶ホルダーが知られてはいるが、この缶ホルダー構造の応用として、縦と横とに二缶ずつ配した四缶からなる缶集合物を単純に一方向に縦周りで回す缶ホルダーを用いることが考えられるが、その場合、重量により天面部分と底面部分と間が簡単に広がって飲料缶が抜け落ちる可能性がある。
【0008】
そこで本願発明は上記事情に鑑み、厚紙製の缶ホルダーを人手にて簡単に組み起こしし四缶の飲料缶を安定的に一まとめできるようにすることを課題とし、スーパーやコンビニエンスストアなどの一般店舗側で必要に応じて四缶まとまりの缶飲料商品を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、飲料缶などの缶体二缶を並べてなる二缶組みを二つ並べて縦と横とに前記缶体が二缶ずつ並らんだ形態となる缶集合物を支持可能な缶ホルダーであって、
前記二缶組みが二つ並ぶ並び方向にして缶集合物天部に亘る天面板とこの天面板に連続して缶集合物側部に沿う側面板とこの側面板に連続して缶集合物底部に亘る底面板とを有して、この天面板と側面板と底面板とからなり、缶集合物を縦周りに周回する形状とした帯部と、この帯部における前記天面板から底面板の間に亘って位置してこの前記天面板と底面板との距離を維持し、かつ缶集合物を缶組みごとに分ける仕切り部とを備えて、
前記帯部の側面板と仕切り部とが同一方向に倒れ込む帯部扁平形態からの組み起こしで前記仕切り部が引き起こし可能に設けられていて、
前記帯部の天面板には、帯部内に配した缶体の上部に対応位置して天面板下面への折り込みにより、前記缶体の上部環状部に係止可能となる係止フラップが突出しているとともに、前記帯部の底面板には、帯部内に配した缶体の底部に対応位置して底面板上面への折り込みにより、前記缶体の底部環状部に係止可能となる係止フラップが突出していることを特徴とする缶ホルダーを提供して、上記課題を解消するものである。
【0010】
(請求項2の発明)
そして、本発明において、前記帯部の天面板に、指先を差し入れる開口を形成可能とした指掛け形成予定部が設けられていることが良好である。
【0011】
(請求項3の発明)
また、本発明において、前記指掛け形成予定部は、前記天面板の中央から該天面板の長手方向に対向する端部のうちの一方の端部側に偏倚していることが良好である。
【0012】
(請求項4の発明)
また、本発明において、前記帯部の少なくとも一方の側面板に、指先を差し入れる開口を形成可能とした指掛け形成予定部が設けられていることが良好である。
【0013】
(請求項5の発明)
また、本発明において、前記側面板は、該側面板が対応する缶集合物における二缶組みの缶体中心間寸法より幅寸法が大となる幅広に形成されていることが良好である。
【0014】
(請求項6の発明)
さらに、本発明において、前記天面板側の係止フラップと前記底面板側の係止フラップとは半円形であって、上下に積み重ね可能となるように上部環状部が下部環状部より大径とされている前記缶体の形状に応じて、天面板側の係止フラップが底面板側の係止フラップより半径寸法が大きいものとすることが可能である。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1の発明の効果)
本発明によれば、缶体二缶を並べてなる二缶組みを二つ並べて縦と横とに缶体が二缶ずつ並らんだ形態にして四缶の缶体を、仕切り部の存在で天地間隔が広がることのない安定した缶ホルダーで一まとまりにして支持させることができ、四缶がまとまった缶飲料製品の取り扱いが容易になる。そして、帯部の変形に応じて仕切り部がその帯部の側面板と同様に動くので、未使用の缶ホルダーを扁平にすれば嵩張ることが無く、一方、扁平の缶ホルダーを単に組み起こすことで仕切り部も引き起こされ、後は上下の係止フラップそれぞれを帯部内方に向けて折り込むだけで、缶体の組み入れが行えるようになり、四缶を一まとまりする作業が専用機器などを用いずとも、そして、特殊技術を習得することなく簡単に行える。
【0016】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明により、必要時に天面部に指掛け開口を形成してその指掛け開口に指掛けすることで缶セット済みの缶ホルダーを簡単に手持ちできるようになる。
【0017】
(請求項3の発明の効果)
缶集合物の形態で四缶の缶体をこの缶ホルダーに差し入れて支持させたときには、缶集合体の中央で、この缶集合体を二缶組みに仕切る仕切り部で分けられた空間が形成され、この空間の上部に天面板の中央が対応することとなる。そして、上述のように請求項3の発明にあっては、天面板の指掛け形成予定部が、天面板の前記中央から天面板の長手方向に対向する端部のうちの一方の端部側に偏倚しているものとしている。そのため、前記仕切り部が天面板下面に糊代を貼り付けて天面板に繋がる面板材であるとき、その糊代が貼り付けられる部分とは反対側に指掛け形成予定部を配することが簡単であり、指掛け形成予定部と糊代との位置関係で、両者が干渉し合う度合いを極めて少なくしながら、その糊代における仕切り部上部側の折り部分に近接した位置に沿って糊付けを行なうことができるようになる。よって、仕切り部上部の折り部分に近い位置での糊代と天面板との貼り合わせにより、缶集合物をセットした缶ホルダーの天面板に指掛けして持ち上げるような操作をしても、天面板が仕切り部から浮くという状態を防いで缶集合物をより確実に保持するものとすることができる。
【0018】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明により、側面板の指掛け形成予定部で開いてなる指掛けの開口に差し入れた指を掛けて引くことで、棚などに置かれた一まとまりの缶集合物を横方向に移動させることが簡単になる。例えば、冷凍機能を有するドア付きショーウインドウなどで上下間隔が狭い棚に、この缶ホルダーを用いた缶集合物が、缶ホルダーの指掛け形成予定部のある側面を引き出し側に向けて並べるようにすれば、天面板側に手が入らなくとも、その側面板の指掛け形成予定部で指掛けの開口を開け、そして、指掛けして引き出すことで缶集合物が簡単に手前へ引き出すことができるようになる。さらに、天面板側と側面板側とのそれぞれで形成した指掛けの開口の両方にも指を掛けることで、より安定して缶集合物を持つことができるようになる。
【0019】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明により、側面板の外表面を広告面などとして利用し易くなり、四缶一まとまりの缶飲料商品の商品性を高めることができる。
【0020】
(請求項6の発明の効果)
請求項6の発明により、上部環状部が下部環状部より大径とされている缶体が組み入れられても、それぞれに対応する係止フラップが適正に係止し、その缶体をより安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る缶ホルダーの第一の例を示す説明図である。
【図2】第一の例における使用状態を示す説明図である。
【図3】第一の例をブランクの状態で示す説明図である。
【図4】第一の例での缶集合物の中央と指掛け形成予定部とを示す説明図である。
【図5】第二の例を示す説明図である。
【図6】第二の例における使用状態を示す説明図である。
【図7】第二の例をブランクの状態で示す説明図である。
【図8】第二の例での缶集合物の中央と指掛け形成予定部とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
つぎに本発明を図1から図8に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(第一の例)
図中1は厚紙製の缶ホルダーで、該缶ホルダー1は、飲料缶二缶を並べてなる二缶組みを二つ並べて縦と横とに前記飲料缶が二缶ずつ並らんだ形態となる缶集合物を一まとまりとして支持し、一つの缶飲料商品として持ち運びし易くするものであり、図示されているように缶集合物aを縦周りに周回するための帯部2と、この帯部2の内部に位置して缶集合物aの二缶組みを仕切る仕切り部3とを備えてなるものである。
【0023】
缶ホルダー1の上記帯部2は、缶集合物aの天部に対応する天面板4と、この天面板4の相対する端部に連続して缶集合物aの側面に沿うように対応する一対の側面板5と、缶集合物aの底部に対応して両端部が前記側面板5に連続する底面板6とからなり、上述したように缶集合物aを縦周りに周回するように縦枠状に形成されている。
【0024】
また、仕切り部3は帯部2の中央にあって側面板5と平行にして立つ板材であり、天面板4から底面板6の間に亘って位置し、上端が天面板4に接続されているとともに下端が底面板6に接続されてこの天面板4と底面板6との距離を維持する働きを有する。さらに上述したように帯部2に差し入れた四缶の飲料缶bを二缶ずつに分かれるように仕切るものであり、仕切り部3で仕切られた帯部2の内部の二つの保持部7それぞれにおいて、帯部2の一方の開放面側から飲料缶の半身を差し入れるとともに他方の開放面側からももう一缶の飲料缶の半身を差し入れることで、缶胴部を突き合わせて二缶を並べてなる二缶組みcが前記保持部7に位置するようにしており、保持部7それぞれにある二缶組みcが二組にして前記帯部2にセットされることで、その二缶組みcの間に前記仕切り部3が位置するようになる。
【0025】
このように仕切り部3で分けられる形となる二組の二缶組みcからなる缶集合部aに対して、その天部と底部に位置することになる帯部2の天面板4と底面板6とは、それぞれの長手方向が、二缶組みcが二つにして並ぶ方向となる。
なお、帯部2の天面板4と底面板6と、そして仕切り部3を構成する板材とのそれぞれの幅寸法は、二缶組みcにおける二缶の中心間寸法と同じとされていて、帯部2に二組の二缶組みcが配されているときの天面板4の長さ方向に相対する二缶は前記仕切り部3を介在させた状態で並ぶように設けられていて、その天面板4の長さ方向に相対する二缶が直接接触し合うことがないようにしている。
【0026】
帯部2に配する二缶組みcの飲料缶bが抜け落ちないように支持する工夫が天面板4と底面板6とに設けられている。まず、この帯部2の天面板4の長さ方向に沿う辺部それぞれには、保持部7に位置させる二缶組みcそれぞれの飲料缶の上部に対応位置するようにして天面板下面への折り込みできる係止フラップ8が連続していて、この係止フラップ8が辺部の長さ方向に並んだ状態にして二面設けられている。
また、底面板6の長さ方向に沿う辺部それぞれにも、上記天面板4と同様にして保持部7に位置させる二缶組みcそれぞれの飲料缶の底部に対応位置するようにして底面板上面への折り込みできる係止フラップ9が連続していて、この係止フラップ9が辺部の長さ方向に並んだ状態にして二面設けられている。
【0027】
天面板4と底面板6との側辺それぞれに連続している上記係止フラップ8,9は帯部2に差し入れた飲料缶を、引き抜くなどの直接的な抜き操作を加えない通常の取り扱い状態では抜け出ることのないようにして支えるものであり、天面板4の下面に向けて上の係止フラップ8を折り込むとともに、底面板6の上面に向けて下の係止フラップ9を折り込んでから、缶体が並ぶ上記二缶組みcが形成されるように二缶の飲料缶を差し入れることで、上の係止フラップ8がその飲料缶の上部環状部dに係止し、下の係止フラップ9が飲料缶の底部環状部eに係止して、飲料缶が抜け落ちないように支える。
【0028】
上下の係止フラップ8,9は飲料缶の上部環状部dと底部環状部eの内周形状に対応して、その外縁が円弧となる半円形に形成されて突出している。さらに、缶集積部を構成する飲料缶は、一缶ずつ上下に複数段(二、三段)にして積み重ねることができるように上部環状部が底部環状部に対して大径とされ、積み重ね時に上位の飲料缶の底部環状部がその下位の飲料缶の上部環状部内に入って乗る形状とされている。そのため、缶ホルダー1では、上の係止フラップ8の半径は大径の上部環状部の内周形状に応じる半径とし、下の係止フラップ9の半径は底部環状部の内周形状に応じる半径としていて、上の係止フラップ8は下の係止フラップ9に対して半径が大とされている。なお、後述するように缶ホルダーの素材は耐水性があって比較的剛性のある厚紙の紙材であり、上下の係止フラップ8,9を折り込んでもぴったりと天面板、底面板に重なるものではなく、この上下の係止フラップ8,9は起きた状態となって缶の上部環状部、底部環状部に係止する。
【0029】
このように上の係止フラップ8が大型とされ、下の係止フラップ9が小型とされて、係止フラップの大小により缶ホルダーの上下を表しており、大きさの異なる上下の係止フラップ組を天地表現手段としている。そのため、缶体未セット状態の缶ホルダー1においても張り出ている係止フラップ8,9を見てその缶ホルダー1の上下が目視にて簡単になり、よって缶ホルダーの上下を間違えることはなく、飲料缶のセット作業を技術者でなくとも適正に行えるようになる。
【0030】
図1から図4に示すように天面板4の中央には指先の押し込みにより開く指掛け形成予定部10が設けられていて、実施の形態では小フラップ10aを対にして対向配置して指先を差し入れて小フラップ10aを押し下げすることで、指先を係止できる開口が得られるようにしているものである。押し下げで帯部2の内部側に向けて折り込みできるようにするために、小フラップ10aそれぞれは折り罫10bとこの折り罫10bの端部に連続する切断線10cとで囲んで形成されている。よって、この指掛け形成予定部10に人差し指や中指を押し当てて前記切断線10cを切断し、折り罫10bの位置から小フラップ10aを倒し込んで開き、指先を差し入れて鉤状に曲げて指先の腹が、指掛け形成予定部10で得られた開口の周囲の下面を指受け面部にして当たるようにして掛け、他の指で缶ホルダーの側面に沿わせるように掴むことで、片手持ちにて確実に缶集合物を一まとまりとして取り扱える。前記切断線10cは不連続なカット線としたりミシン線とすればよい。
【0031】
なお、この実施の例では指掛け形成予定部10が天面板4の中央に位置し、缶集合物aの中央であって上記仕切り部3が位置している空間f(この空間fは仕切り部3の存在によって二つに分けられた状態となっている)の上部が、天面板4の中央であり、前記指掛け形成予定部10が対応する。そのため、指掛け形成予定部10の下方には仕切り部3の上部が位置することとなり(図4参照)、小フラップ10aの折り込みを可能にして差し入れる指先との干渉を防ぐ切り欠き11を、後述する仕切り部3の縦板部分である仕切り板3aとこれに連続する糊代3bとに亘って設けている。
【0032】
本実施の例では、缶ホルダー1が一枚のブランクを組み起こして形成されるものとしている。図3は缶ホルダー1を展開した状態で示しており、この缶ホルダー1を得るブランク12は、底面板6の半面となる底面板半面部6a側から一方の側面板5と天面板4ともう一方の側面板5ともう一方の底面板半面部6bと仕切り部3とが折り罫を介して順に連接されている。そして、略の字状にこのブランク12を折って前記一方の底面板半面部6aの先端側に連接されている糊代13を他方の底面板半面部6bに貼り付けている。さらに、その底面板半面部6bから折り起こされる仕切り部3は縦板部分3aの上端側に折り罫を介して糊代3bを連接させていて、仕切り部3の上部が天面板4の中央に対応するようにして前記糊代3bを天面板4の裏面に貼り付けて、この缶ホルダー1が得られている。
【0033】
展開状態で示されているように缶ホルダー1における二面の側面板5それぞれは、天面板4や底面板6に比して幅広としており、二缶組みcにおける缶中心間の寸法よりこの側面板5の幅寸法が大となるように設けられている。このように側面板の幅寸法が大きく設定されていることから、缶ホルダー1の立面となる側面板表面を広告面として利用する場合の自由度が頗る高くなる。なお、側面板5それぞれにはファスナ14が設けられており、飲料缶をセットして缶集合物をこの缶ホルダー1にて支持した缶飲料商品を缶ごとにバラすときにこのファスナ14の部分で切断すればよい。
【0034】
缶ホルダー1における帯部2の一対の側面板5は平行に相対しており、また、帯部2の中央に立つ上記仕切り部3も前記側面板5に平行にして相対していて、側面板5それぞれを下端側を中心として同一方向に倒し込むことで前記仕切り部3も同様に倒れ込み、缶ホルダー全体として扁平形状とすることができ、この扁平形状から帯部2組み起こすときにも側面板5それぞれと仕切り部3とが同様にして起き上がるようになる。すなわち、缶ホルダー1を扁平状態とすれば嵩張ることはなく、さらに飲料缶のセット作業をするときにはその扁平状態から帯部2が縦枠状に起こし、上下の係止フラップ8、9を折り込むことで飲料缶を差し入れる状態とすることができ、飲料缶の四缶を一まとまりとする缶飲料商品が簡単に得られる。
【0035】
(第二の例)
図5から図8は第二の例を示していて、上述した例とでは、天面板4の指掛け形成予定部10の部分の構成が相違しているとともに、一方の側面板5にも指掛け形成予定部10を設けている点で相違しており、他の部分の構成については同様であって、同符号を付してその説明を省略する。
【0036】
まず、天面板4の指掛け形成予定部10は、折り込み可能な一対とした小フラップ10aで指掛けの開口となる部分を閉じるようにした上述の例とは異なっている。図示されているように、天面板4の長手方向と直交する方向に直線状とした折り罫10bとこの折り罫10bの端部それぞれに連続して天面板4の一方の端部側(一方の側面板側)に向けて先細りする略山形の不連続な切断線10cとで囲んで一つの小フラップ10aを形成し、この小フラップ10aの部分を指先などで押し込んで、切断線10cの位置を切断して折り罫10bから前記小フラップ10aが帯部2の内方側に折り倒されることで、開口が得られるようにしている。もちろん、押し込み前は、開口が得られる個所は前記小フラップ10aで閉じられている。
【0037】
指掛け形成予定部10において、切断線10cの天面板幅方向に対向する線部分10dそれぞれが天面板4の辺部方向に向けて凸となる曲線形状に設けられていて、小フラップ10aは辺部側に膨らんだ係止部10dを有したものとして形成され、後述するようにこの係止部10dが仕切り部3に係止することで、小フラップ10aの折れ込みを維持し、すなわち指掛けの開口が閉じない状態が維持されるようにしている。
【0038】
第二の例における指掛け形成予定部10は、上記実施の例のようには天面板4の中央に位置しているものではない。上記実施の例は、指掛け形成予定部10の中心10eが、仕切り部3の直上となる位置関係にして天面板4の中心位置4aに対応しているものであるが(図4)、この第二の実施の例における指掛け形成予定部10は、天面板4の中央から該天面板4の長手方向に対向する端部のうちの一方の端部側に偏倚している。具体的には、図8に示すように指掛け形成予定部10の中心10eが、天面板4の中心位置4aに対して一方の端部側に偏倚した位置にあるとともに、この指掛け形成予定部10での上記折り罫10bは、前記天面板4の中心位置4aの近傍ではあるが、この天面板4の中心位置4aに対して前記中心10eが位置する側とは反対側に位置している。すなわち、指掛け形成予定部10全体が天面板4の中心位置4aから一方の端部側に偏倚しているわけではなく、仕切り部3の上端に対応する位置(前記中心位置4aを通る位置)を指掛け形成予定部10が横断し、その指掛け形成予定部10の前記折り罫10bが、仕切り部3の上端に対応する位置に平行にして近接する配置となり、指掛け形成予定部10の中心10eが、仕切り部3の上端に対応する位置から前記一方の端部側に偏倚しているものとなっている。
【0039】
上述のよう天面板4の指掛け形成予定部10が、天面板4の中央からその天面板4の一方の端部側に偏倚していることから、仕切り部3の糊代3bを、天面板4の裏面であって前記指掛け形成予定部10が偏倚している側とは反対側に貼り付けている(図5,6参照)。そして、糊代3bにあっては、前記指掛け形成予定部10の折り罫10bに対する部分、すなわち、上記小フラップ10aの折元部分に対応する個所のみに切り欠き11が及んでいるだけであって、広い重ね合わせ面を確保した状態で指掛け形成予定部10に近接する位置に貼り合わされている。そのため、小フラップ10aを押し倒して指掛けを開口し、その指掛けに通した指先を鉤状に曲げて小フラップ10aを糊代3bに重ねるように指掛けする場合でも、指先の腹を当てた部位の強度が高まっており、天面板全体に大きな変形を生じさせずに缶集合物aをこの缶ホルダー1で緩みなく保持できる。さらに、仕切り板3a上部の折り罫に近い位置で、糊代3bと天面板4とを貼り合わせしていて(糊位置を符号3cで示す)、缶集合物をセットして天面板4に指掛けして持ち上げるような操作をしても、その天面板4が仕切り部3から浮くという状態を防ぎ、よってこの点からも缶集合物をより確実に保持する。
【0040】
上記実施の例と同じように仕切り部3の上部に切り欠き11が位置していて、前述した小フラップ10aを折り込んで天面板裏面側に廻し込む際に仕切り部3の上部の部分にあるこの切り欠き11を通過できるようにしている。
【0041】
また、この第二の実施の例では、図示されているように、一対の側面板5の内、天面板4の指掛け形成予定部10が偏倚している側の側面板5とは反対側の側面板5にも、指先を差し入れる開口を形成可能とした指掛け形成予定部10が設けられていて、二缶組みcでの飲料缶bの間に対応する部分、すなわち、側面板5の縦中心が通る位置にこの指掛け形成予定部10が配置されている。そして、この指掛け形成予定部10にあっては、上述した第一の実施の例の天面板4での指掛け形成予定部10の場合と同じように、それぞれ折り罫10bと切断線10cとで囲まれた小フラップ10aを連接した状態で対向配置し、指先を差し入れて前記小フラップ10aを押し込むことで、指先を係止できる開口が得られるようにしているものである。このように第二の実施の例の缶ホルダー1では一方の側面板5に指掛け形成予定部10が設けられているため、この缶ホルダー1で缶集合物が保持された缶飲料商品が棚などに並んでいる場合に、側面板5の指掛け形成予定部10の部分を開いて指掛けすることで、缶集合物を保持した缶ホルダーを横方向に引き出すことができるようになる。もちろん、側面板5で形成した指掛けの開口と天面板4で形成した指掛けの開口との両者に片手の指を掛けて缶飲料商品を取り扱うようにしてもよく、片手で両方の指掛けに指を掛けることができる位置に、側面板の指掛け形成予定部10が設定されている。
【符号の説明】
【0042】
1…缶ホルダー
2…帯部
3…仕切り部
3a…仕切り板
3b…糊代
4…天面板
5…側面板
6…底面板
7…保持部
8,9…係止フラップ
10…指掛け形成予定部
10a…小フラップ
10b…折り罫
10c…切断線
10d…係止部
11…切り欠き
12…ブランク
14…ファスナ
a…缶集合物
b…飲料缶
c…二缶組み
d…上部環状部
e…底部環状部
f…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料缶などの缶体二缶を並べてなる二缶組みを二つ並べて縦と横とに前記缶体が二缶ずつ並らんだ形態となる缶集合物を支持可能な缶ホルダーであって、
前記二缶組みが二つ並ぶ並び方向にして缶集合物天部に亘る天面板とこの天面板に連続して缶集合物側部に沿う側面板とこの側面板に連続して缶集合物底部に亘る底面板とを有して、この天面板と側面板と底面板とからなり、缶集合物を縦周りに周回する形状とした帯部と、この帯部における前記天面板から底面板の間に亘って位置してこの前記天面板と底面板との距離を維持し、かつ缶集合物を缶組みごとに分ける仕切り部とを備えて、
前記帯部の側面板と仕切り部とが同一方向に倒れ込む帯部扁平形態からの組み起こしで前記仕切り部が引き起こし可能に設けられていて、
前記帯部の天面板には、帯部内に配した缶体の上部に対応位置して天面板下面への折り込みにより、前記缶体の上部環状部に係止可能となる係止フラップが突出しているとともに、前記帯部の底面板には、帯部内に配した缶体の底部に対応位置して底面板上面への折り込みにより、前記缶体の底部環状部に係止可能となる係止フラップが突出していることを特徴とする缶ホルダー。
【請求項2】
前記帯部の天面板に、指先を差し入れる開口を形成可能とした指掛け形成予定部が設けられている請求項1に記載の缶ホルダー。
【請求項3】
前記指掛け形成予定部は、前記天面板の中央から該天面板の長手方向に対向する端部のうちの一方の端部側に偏倚している請求項2に記載の缶ホルダー。
【請求項4】
前記帯部の少なくとも一方の側面板に、指先を差し入れる開口を形成可能とした指掛け形成予定部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の缶ホルダー。
【請求項5】
前記側面板は、該側面板が対応する缶集合物における二缶組みの缶体中心間寸法より幅寸法が大となる幅広に形成されている請求項1から4の何れか一項に記載の缶ホルダー。
【請求項6】
前記天面板側の係止フラップと前記底面板側の係止フラップとは半円形であって、上下に積み重ね可能となるように上部環状部が下部環状部より大径とされている前記缶体の形状に応じて、天面板側の係止フラップが底面板側の係止フラップより半径寸法が大きい請求項1から5の何れか一項に記載の缶ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−6150(P2011−6150A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120881(P2010−120881)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】