説明

美容液を含浸した顔用マスク

【課題】 本発明は、顔の中でも特に美容液の塗布を多めにしたい部位、例えば眼の下方部分とか口のまわり部分に、集中的に美容液を塗布できるようにした点に特徴を有する、美容液を含浸した顔用マスクを提供するものである。
【解決手段】 不織布で構成されるシート片を顔面を覆うことができる程度の大きさのマスク状に成形し、このシート片に美容液を含浸させ、このシート片の両頬部付近に、シート片を折り返して重ね合わせるための切り込み線を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美容液を含浸した顔用マスクに係り、さらに詳しくは、顔部における美容液を塗布する要望が特に大きい部位に、美容液を集中的かつ効果的に塗布できるようにした顔用マスクを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顔をパックするためには、顔にペースト状のパック剤を手又はへらで均一に塗布し、所定時間を経過してから、顔に塗布したパック剤を拭い取ったり、あるいはぬるま湯で洗い流したりしていた。このとき、パック剤を顔部に均一に塗布したり、それを拭い取ったりするのに手間がかかっていた。
【0003】
また美容液を塗布する際には、手のひらに美容液を取り出し、これを手のひらや指先で顔部表面に延ばすように塗布していた。このやり方では、美容液を顔部に均一に塗布することに手間がかかり、さらには塗布した美容液もすぐに発散してしまうため、美容液を長時間(10〜20分程度)顔部に保持し続けることは困難であった。
【0004】
このような不便さに対応するために、不織布等からなるシート状物に液状のパック用化粧料を含浸させ、それを封入袋で個別包装してなる顔用マスク(フェイスマスクとも称される)が市販されている。
【0005】
この顔用マスクとしては、顔部の立体面にマスクが馴染むように、顔用マスクの周縁部の適所に切込みを入れ、さらには顔用マスクにおける眼、鼻又は口に対応する部位に孔を開ける等の工夫が施され、これにより顔用マスクの使用性を向上させていた。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3007228号公報
【特許文献2】特許第2640721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来の美容液を含浸した顔用マスクは、使用時には封入袋内に折畳み収納されているシート状物を、展開状に広げて顔に載せるだけのものであったため、顔全体に均一に簡単に美容液を塗布したり、長時間美容液を顔に保持し続けるということはできていたが、美容液を多めに塗布したい部位に、集中的に、美容液を塗布させることはできなかった。
【0008】
本発明は、顔の中でも特に美容液の塗布を多めにしたい部位、例えばしわの発生が気になる眼の下方部とか口のまわり部に、集中的に美容液を塗布できるようにした点に特徴を有する、美容液を含浸した顔用マスクを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、不織布で構成されるシート片を顔面を覆うことができる程度の大きさのマスク状に成形し、このシート片に美容液を含浸させ、このシート片の両頬部付近に、シート片を折り返して重ね合わせるための切り込み線を形成したことを特徴とする美容液を含浸した顔用マスクである。
【0010】
本発明に係る請求項1記載の美容液を含浸した顔用マスクによれば、切り込み線の存在によりシート片の頬部付近を簡単かつ正確に折り返して重ね合わせることができるようになり、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位に、シート片を折り返して重ね合わせ部を位置させることで、その部分に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるようにした。
【0011】
請求項2は、前記切り込み線が、シート片における頬部から眉間部に向かって凸円弧状になるように形成されていることを特徴とする美容液を含浸した顔用マスクである。
【0012】
本発明に係る請求項2記載の美容液を含浸した顔用マスクによれば、顔部における美容液を塗布する要望が特に大きい部位、すなわち口のまわり部及び目の下方部に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるようにした。
【0013】
請求項3は、シート片におけるあご部付近に、重ね合わせ用の余端部を備えていることを特徴とする美容液を含浸した顔用マスクである。
【0014】
本発明に係る請求項3記載の美容液を含浸した顔用マスクによれば、重ね合わせ用の余端部の存在により、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位、すなわち口のまわり部及び目の下方部に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるようにした。
【0015】
請求項4は、シート片における眼、鼻又は口の各部に孔を開けるようにしたことを特徴とする美容液を含浸した顔用マスクである。
【0016】
本発明に係る請求項4記載の美容液を含浸した顔用マスクによれば、シート片における眼、鼻又は口の各部に孔を開けたため、使用者にとって一層使いやすい顔用マスクとなった。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、請求項1の発明によれば、従来の美容液を含浸した顔用マスクと比較して、切り込み線の存在によりシート片の頬部付近を簡単かつ正確に折り返して重ね合わせることができるようになり、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位に、シート片を折り返した重ね合わせ部を位置させることで、その部分に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるという効果が達成された。
【0018】
請求項2の発明は、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位、すなわち口のまわり部及び目の下方部に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるという効果が達成された。
【0019】
請求項3の発明によれば、重ね合わせ用の余端部の存在により、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位、すなわち口のまわり部及び目の下方部に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるという効果が達成された。
【0020】
請求項4の発明は、シート片における眼、鼻又は口の各部に孔を開けたため、使用者にとって一層使いやすい顔用マスクとなるという効果が達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面に基づいて、本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクの実施例を詳説する。
図1は本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクの正面図、図2は切り込み線部分でシート片の余端部を折り返した状態の正面図、図3は眼、鼻部のシート折り返し片を折り返した状態の正面図である。
【実施例1】
【0022】
図1及び図2に示すように、シート片1は不織布で構成され、その大きさや形状は顔部を覆うことができる程度のマスク状を呈している。
このシート片1には、保湿成分や美白有効成分等を含む美容液が含浸されている。
【0023】
ついで、このシート片1の頬部1a付近には切り込み線2が形成されている。この切り込み線2は、その両端部2a,2bがシート片1の周縁3と接しない状態で形成されている。
この切り込み線2を図1及び2に示すように、頬部1aから眉間部1bに向かって凸円弧状を呈するように形成しておくと、さらに使用性が向上するものとなる。
【0024】
またシート片1のあご部付近に、重ね合わせ用の余端部4を形成しておくと、この余端部4が折り返された際、顔部における美容液を塗布する要望が大きい部位、すなわち口のまわり部及び目の下方部に余端部4が重ね合わせられるため、その重ね合わせ部に美容液を集中的かつ効果的に塗布できるようになる。この余端部4の一部に凹欠部9を形成しておくと、この凹欠部9が口部の孔5の左右との位置合わせの目印となり、大変使い易くなる。
【0025】
またシート片1の従来の製造過程では、シート片1を顔型にカットする際には切り捨てられていた部分を、本発明では重ね合わせ用の余端部4として利用しているので、無駄な切捨て部分の発生を防ぎ、資源の有効利用になっている。
【0026】
ついでシート片1の眼部、鼻部、又は口部には孔5を形成しておくことが好ましく、この孔5が通気や視界を確保するのに役立ち、さらに必要に応じて眼部の折り返し片6や鼻部の折り返し片7等を、一部でシート片1と接続させておくと、これにより折り返し片6,7を容易にかつ好みの方向に折り返せるようになる。
なおシート片1の周縁3に形成してあるカット線8は、シート片1を顔部へ立体的にセットするために設けられているが、このカット線8の設置位置や設置本数は自由に選択できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクは、特に化粧用具として利用価値が高いので化粧品産業界において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクの正面図である。
【図2】本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクの、切り込み線部分でシート片の余端部を折り返した状態の正面図である。
【図3】本発明に係る美容液を含浸した顔用マスクの、眼、鼻部のシート折り返し片を折り返した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1…シート片
1a…シート片の頬部
1b…シート片の眉間部
2…切り込み線
2a、2b…切り込み線の両端
3…シート片の周縁
4…余端部
5…孔
6…眼部の折り返し片
7…鼻部の折り返し片
8…カット線
9…凹欠部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布で構成されるシート片を顔面を覆うことができる程度の大きさのマスク状に成形し、このシート片に美容液を含浸させ、このシート片の両頬部付近に、シート片を折り返して重ね合わせるための切り込み線を形成したことを特徴とする美容液を含浸した顔用マスク。
【請求項2】
前記切り込み線が、シート片における頬部から眉間部に向かって凸円弧状になるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の美容液を含浸した顔用マスク。
【請求項3】
シート片におけるあご部付近に、重ね合わせ用の余端部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の美容液を含浸した顔用マスク。
【請求項4】
シート片における眼、鼻又は口の各部に孔を開けるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の美容液を含浸した顔用マスク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15049(P2006−15049A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197879(P2004−197879)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)