説明

耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材

【課題】耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金から成り、鉄およびシリコンの少なくとも一方が、不純物元素であり、かつその濃度が0.01質量%以下であることを特徴とする、アルコールを含む液体と接触させて用いるアルミニウム材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材、すなわち耐アルコール腐食性に優れた純アルミニウム材およびアルミニウム合金材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム材は、軽量でかつ比較的高い強度が得られ、すなわち比較的高い比強度を有し、かつ価格が比較的安価であることから、自動車部品、電気・電子部品、低温・極低温機器を含む各種機器の部品、低温タンクを含む各種構造物等の極めて広い分野において利用されている。
【0003】
このような分野の1つとして、自動車部品、特に燃料タンクからエンジンに至るまでの燃料と接触する部分に用いる燃料系部品があり、多くのアルミニウム材が用いられている。
【0004】
なお、本明細書において用いる用語「アルミニウム材」とは、意図的に添加元素を加えていない「純アルミニウム材」、および所望の特性の向上を目的に意図的に元素を添加した「アルミニウム合金材」の両方を含む概念である。
【0005】
近年、地球温暖化対策の1つとして、自動車用燃料にエタノール等のアルコール(例えばバイオエタノール)を用いることが多くなっている。エタノール等のアルコールを燃料として使用する場合、アルコール単独で用いる場合と他の燃料等と混合して用いる場合があり、混合する場合には、ガソリンと混合して、エタノール混合ガソリン(アルコール混合ガソリン)として用いられることが多い。
また、次世代の燃料電池車においても、燃料としてアルコールの使用が検討されており、自動車用アルミ部品とアルコールとの接触の機会が増加してきている。
【0006】
エタノール等のアルコールは、アルミニウム材を溶解し、腐食する。このため、燃料が、エタノールおよびエタノール混合ガソリンのような、アルコールを含む液体の場合には燃料系部品に用いるアルミニウム材は、燃料と接触する面の腐食溶解が懸念される。
【0007】
特許文献1は、ホーニングと高温水中処理とを施すことで耐食性を向上できることを開示しているが、従来のベーマイト処理の改良であり、素材中の不純物の影響による皮膜欠陥が生じることが予想され、その皮膜欠陥からアルコールによる腐食が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−277784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような問題は、ベーマイト以外の酸化皮膜、めっきまたは塗装皮膜等においても同様に生ずる。
このため、アルコールを含む液体と接触しても腐食を生じにくい、耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材が要望されていた。
【0010】
本願発明は、このような要望に応えるために、耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成り、鉄およびシリコンの少なくとも一方が、不純物元素であり、かつその濃度が0.01質量%以下であることを特徴とする、アルコールを含む液体と接触させて用いるアルミニウム材である。
【0012】
本発明の態様2は、鉄が、前記不純物元素であり、かつその濃度が0.01質量%以下であることを特徴とする態様1に記載のアルミニウム材である。
【0013】
本発明の態様3は、前記鉄の濃度と前記シリコンの濃度との合計が、0.01質量%以下であることを特徴とする態様1に記載のアルミニウム材である。
【0014】
本発明の態様4は、前記鉄の濃度と前記シリコンの濃度と不純物元素である銅の濃度との合計が、0.01質量%以下であることを特徴とする態様1に記載のアルミニウム材である。
【0015】
本発明の態様5は、アルミニウム合金から成り、該アルミニウム合金が0.15質量%〜12.0質量%のマグネシウムを含有することを特徴とする態様1〜4のいずれかに記載のアルミニウム材である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、不純物元素である、鉄(Fe)およびシリコン(Si)の少なくとも一方の濃度を制御することにより、耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明者らは、詳細は以下に示すが、アルミニウム材に含まれる不純物元素である、鉄とシリコンのうち、少なくとも一方を0.01質量%以下にすることにより、アルミニウム材(純アルミニウムおよびアルミニウム合金)の耐アルコール腐食性を向上できることを見出した。
以下にその詳細を示す。
【0018】
一般にアルミニウムは、ホール・エルー法等の電気分解法により製造されるため、一般に工業的に用いられている純アルミニウムの純度は99%以上程度(質量比、以下同じ。なお、「2N」(2ナイン)と表記する場合がある。同様に例えば純度99.999質量%以上を「5N」(5ナイン)と、純度を示す質量パーセント表記において、先頭から連続する9の数の後にNをつけて表記する場合がある。)であり、1%に近い不純物を含むことが多い。
【0019】
そして、アルミニウム材が含有する不純物元素のうち、量の多い主なものは、鉄(Fe)、シリコン(Si)および銅(Cu)の3種である。
このため、純アルミニウムの純度を調べるのに、この3つの不純物元素、鉄、シリコン、銅の濃度を測定し、100質量%からこれら3元素の合計濃度を引いた残りを純度とすることが広く行われている。
【0020】
これらの3種の不純物元素の中でも鉄とシリコンとが多く、喩え2Nクラスの純度の純アルミニウムでも通常、0.1質量%程度またはそれ以上の鉄と0.05質量%程度またはそれ以上のシリコンを不純物として含んでいる。
そこで、本願発明者は、この鉄とシリコンに注目し、不純物元素である鉄とシリコンの少なくとも一方の濃度を0.01質量%以下(100質量ppm以下)にすることで耐アルコール腐食性に優れたアルミニウム材を得ることができることを見出した。
アルコールによる腐食に関して、このような知見は従来になく、本願発明者らが初めて見出したものである。
【0021】
本願発明者が推測する耐アルコール腐食性向上のメカニズムは以下の通りである。なお、以下のメカニズムは、本願発明者が現時点で得られている知見から推定したものであり、本願発明の範囲を限定することを意図したものではないことに留意されたい。
【0022】
エタノールおよびエタノール混合ガソリンのようなアルコールを含有した液体による腐食は、後述する実施例でも示すように、アルコールのみでは腐食の進行は遅いまたは腐食がほとんど進行しない傾向がある。そして、使用環境下に存在する塩素(あるいは塩素イオン)等の微量な元素または化合物がアルコールを含有した液体に含まれる場合に腐食が進行する傾向がある。
【0023】
また、上述のアルミニウム材に含まれる主な不純物である鉄、銅、シリコンのなかでも、銅は比較的少なく、シリコンと鉄が多い。
鉄とシリコンの両方がアルミニウム中に存在すると、Al−Fe−Si三元系の金属化合物を形成する。しかし、鉄とシリコンの少なくとも一方の濃度が0.01質量%以下であるとこの三元系金属間化合物はほとんど形成されない。
【0024】

以上の事象から、鉄とシリコンのいずれの濃度も高い場合(鉄の濃度が0.01質量%より高く、かつシリコンの濃度が0.01質量%より高い場合)は、腐食を促進する塩素等の物質が、Al−Fe−Si三元系の金属化合物が存在する部分において、触媒的に機能することで、アルコールによるアルミニウムの腐食が進行すると思われる。
これに対して、鉄とシリコンの少なくとも一方の濃度が低い場合(鉄とシリコンの少なくとも一方の濃度が0.01質量%以下の場合)、Al−Fe−Si三元系の金属化合物がほとんど形成されず、従ってアルコールによる局所的な腐食が進行せず、優れた耐アルコール腐食性を示すものと考えられる。
【0025】
好ましくは、本願発目に係るアルミニウム材では、不純物元素である鉄とシリコンのうち、鉄の濃度が0.01質量%以下である。シリコンは、例えば熱膨張の抑制または耐摩耗性向上等を目的に添加元素として、意図的に加える場合があるからである。より好ましくは、不純物元素である鉄の濃度は0.001質量%以下である。より確実に、Al−Fe−Si三元系の金属化合物の形成を抑制し、耐アルコール腐食性を向上できるからである。
【0026】
また、本願発明に係るアルミニウム材は、好ましくは鉄の濃度とシリコンの濃度の合計が0.01質量%以下である、このように、不純物元素である鉄とシリコンの両方の量を少なくすることで、より確実にAl−Fe−Si三元系の金属化合物の形成を抑制でき、従って確実に高い耐アルコール腐食性を得ることができるからである。
【0027】
本願発明に係るアルミニウム材は、より好ましくは鉄の濃度とシリコンの濃度と銅の濃度の合計が0.01質量%以下である。不純物元素である鉄とシリコンの量を少なくすることで、より確実にAl−Fe−Si三元系の金属化合物の形成を抑制できる効果に加え、アルミニウムの主たる不純物元素の1つである銅の量を少なくすることによって、アルコールによる局所的な腐食が起こるのをより確実に抑制できる効果を有するからである。これにより、より確実に高い耐アルコール腐食性を得ることができる。
【0028】
なお、鉄、シリコンおよび銅を含むアルミニウム中の不純物元素の濃度の測定は、例えば固体発光分光分析により行うことができる。また、例えばグロー放電質量分析のような質量分析により測定することもできる。
【0029】
本願発明に係るアルミニウム材は上述のように、純アルミニウムおよびアルミニウム合金の何れをも含む。
すなわち、アルミニウムと不可避不純物(この不可避不純物に鉄、シリコンおよび銅が含まれる)とから成る純アルミニウムであってよく、アルミニウムと不可避不純物以外に他の元素(添加元素)を含む合金であってよい。
【0030】
このような、添加元素として、本願発明に係るアルミニウム材は、例えば銅(Cu)、マンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)から成る群から選択される1つ以上の元素を例示できる。
なお、これらは添加元素の例であり、適宜、これら以外の添加元素を含んでよい。
【0031】
上記に例示した添加元素を添加する場合、銅、マンガン、シリコン、マグネシウムおよび亜鉛についての好ましい濃度(組成)は、それぞれ、銅(Cu):0.5〜7.0質量%、マンガン(Mn):0.3〜1.5質量%、シリコン(Si):0.5〜24.0質量%、マグネシウム(Mg):0.15〜12.0質量%、亜鉛(Zn):4.0〜8.4質量%である。
【0032】
これらの中でもより好ましい元素は、マグネシウムである、アルミニウム合金中に金属間化合物を形成せず、すなわちAl−Fe−Si三元系の金属化合物以外の金属間化合物も存在しないため、より確実に高い耐アルコール腐食性を得ることができるからである。
特に、マグネシウムの濃度が0.15〜12.0質量%であれば、この効果をより確実に得ることができる。この効果を更により確実に得ることができる、より好ましいマグネシウムの濃度は0.2〜5.6質量%である。
【0033】
また、鉄とシリコンのうち、少なくとも一方の濃度が0.01質量%以下である限りは、例えば日本工業規格(JIS)H4000、H4040、H4080、H4100およびH4140に規定されているアルミニウム合金、所謂、1000系(1000番台)、2000系(2000番台)、3000系(3000番台)、4000系(4000番台)、5000系(5000番台)、6000系(6000番台)または7000系(7000番台)合金であってよい。
これらのなかでも1000系合金および5000軽合金が好ましい。金属間化合物がほとんど析出せず、より確実に耐アルコール腐食性を向上できるからである。
【0034】
なお、以上の説明からも判るように、本願発明に係るアルミニウム材は、純アルミニウムにおいて主たる不純物元素である、鉄、シリコン、銅のいずれか1種または2種を添加元素(意図的に添加した元素)として含んでよい。ただし、この場合も当然ながら、鉄とシリコンのうち、少なくとも一方の濃度は0.01質量%以下にする必要があることから、鉄とシリコンの両方が添加元素として含まれていることはない。すなわち、鉄とシリコンのいずれか一方を添加元素として含む場合、他方が不純物元素であり、その濃度が0.01質量%以下である。
【0035】
また、本願明細書において、「アルコール」は、例えばエタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノールおよびメタノールを含む、様々な種類のアルコールであってよい。
【0036】
次に、本願発明に係るアルミニウム材の製造方法を説明する。
アルミニウム材が純アルミニウムである場合、例えば、純度99.99質量%以上(4N)の高純度アルミニウムを用いて、所望の形状に加工することにより本願発明に係るアルミニウム材を得ることができる。
【0037】
このような、高純度アルミニウムの製造方法の1つとして、三層電解法を例示できる。
三層電解法は、Al−Cu合金層に市販の比較的純度の低いアルミニウム(例えば純度99.9%のJIS−H2102の特1種程度のグレード)を投入し、溶融状態で陽極とし、その上に例えばフッ化アルミニウムおよびフッ化バリウム等を含む電解浴を配置し、陰極に高純度のアルミニウムを析出させる方法である。
三層電解法では純度99.999質量%以上の純度のアルミニウムを得ることができる。またアルミニウム中の鉄の濃度を比較的容易に10質量ppm(0.001質量%)以下に抑制することができる。
【0038】
三層電解法等により得た高純度のアルミニウムに、不純物の侵入を抑制して、圧延、押し出し、ダイキャスティング、引き抜きまたは曲げ等の所望の加工を施すことで、所定の形状を有する本願発に係るアルミニウム材を得ることができる。
【0039】
一方、アルミニウム材がアルミニウム合金である場合、例えば、純度99.99質量%以上の高純度アルミニウムを原料として、これを溶融(溶解)し、所望の添加元素を加えて鋳造することで、所望の組成を有するアルミニウム合金インゴットを得た後、このインゴトットに、例えば、鍛造、圧延、押し出し、ダイキャスティング、引き抜きまたは曲げ等の所望の加工を施すことで、所定の形状を有する本願発明に係るアルミニウム材を得ることができる。
【0040】
高純度アルミウムを溶融した際に不純物元素の量が増加することがあるので、溶融に用いる高純度アルミウムは、例えば三層電解法で得た高純度アルミウムのように純度99.999質量%以上(5N)の高純度アルミウムを用いることが好ましい。
【0041】
また、不純物元素の侵入を抑制するように、高純度アルミニウムの溶融は、黒鉛坩堝を用いて、アルゴンガス等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
さらに、いうまでもないが、添加元素についても不純物レベルが管理された、例えば純度99.9質量%以上の高純度材を用いることが好ましい。
【0042】
なお、以上に例示した製造方法で用いる高純度アルミの純度は、上述のように一般には、鉄とシリコンと銅の濃度を100質量%から引いて求めることが多い。しかし、例えば
金属35元素(Li、Be、B、Na、Mg、Si、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Bi)のように、より多くの不純物元素の濃度を測定して、その濃度の合計を100質量%から引いて純度を求めた高純度アルミニウムを用いてもよい。
【実施例】
【0043】
(1)サンプル作製
実施例1および2のサンプル用に、三層電解法で得た高純度アルミウム(5N)を準備し、比較例1および2のサンプル用に純度99.86%の市販の純アルミニウム(広く入手可能なアルミニウム)を準備した。
【0044】
実施例1のサンプルは、以下のように作製した。
上述の高純度アルミウムをアルゴン雰囲気中で黒鉛坩堝を用いて溶融し、添加元素として純度3N5(99.95質量%)のマグネシウムを添加してインゴットを得た。次に、当該インゴットを圧延し、得られた圧延材から板材を切り出した。その後、得られた板材の表面をエタノール洗浄した。
得られたサンプルの大きさは、縦20mm×横20mm×厚さ0.5mmであった。
【0045】
実施例2のサンプルは、上述の高純度アルミウムを圧延し、得られた圧延材から板材を切り出し、表面をエタノール洗浄して得た。得られたサンプルの大きさは、縦20mm×横20mm×厚さ0.5mmであった。
【0046】
比較例1のサンプルは、高純度アルミウムの代わりに上述の純アルミニウムを用いた以外は、実施例1のサンプルと同じ方法で得た。得られたサンプルの大きさも実施例1のサンプルと同じであった。
【0047】
比較例2のサンプルは、高純度アルミウムの代わりに上述の純アルミニウムを用いた以外は、実施例2のサンプルと同じ方法で得た。得られたサンプルの大きさも実施例2のサンプルと同じであった。
【0048】
表1に得られたサンプルの組成を固体発光分光分析により測定した結果を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(2)耐アルコール腐食性の評価
耐アルコール腐食性の評価は、以下のように行った。
和光純薬工業株式会社無水エタノール(水:50ppm以下)300gを78.4℃(沸点)に加熱し、この加熱した無水エタノールに実施例1、2および比較例1〜3のサンプルを4時間浸漬した。
浸漬の前後のサンプルの重量を測定して、浸漬により減少した重量の浸漬前のサンプルの重量に対する割合を溶解率とし、この溶解率の値の大小により耐アルコール腐食性の優劣を判断した(溶解率が小さいほど耐アルコール腐食性に優れる。)。
【0051】
また、アルコールによる腐食を促進するために、無水塩化アルミニウム(AlCl)を0.001mol/L加えた無水エタノール、無水塩化アルミニウム(AlCl)を0.01mol/L加えた無水エタノール、無水塩化アルミニウム(AlCl)を、0.1mol/L加えた無水エタノールを準備し、これらの3種類の無水エタノールのそれぞれにも同じ条件でサンプルを浸漬して溶解率を求めた。
得られた溶解率(%)を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2の空欄の部分は、この条件では評価を行っていないことを示す。
AlClを全く加えていない場合、評価を行ったサンプルはいずれも溶解率が0であり、上述の条件ではアルコールによる腐食は発生しなかった。
【0054】
AlCl濃度が0.001mol/Lの場合、すなわち、触媒である塩素が導入され、その触媒濃度が、実際にアルコールによる腐食が起こる環境に最も近いと考えられる条件の場合、実施例1のサンプルは、比較例1および3のサンプルと比べて顕著な耐アルコール腐食性を示した。
【0055】
AlCl濃度が0.01mol/Lの場合、実施例1のサンプルは、比較例1のサンプルと比べて顕著な耐アルコール腐食性を示した。
【0056】
AlCl濃度が0.1mol/Lと、実際の環境と比べて、腐食をかなり促進する極端に厳しい環境においても、実施例1および2のサンプルは、比較例1および2のサンプルと比べて顕著な耐アルコール腐食性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金から成り、鉄およびシリコンの少なくとも一方が、不純物元素であり、かつその濃度が0.01質量%以下であることを特徴とする、アルコールを含む液体と接触させて用いるアルミニウム材。
【請求項2】
鉄が、前記不純物元素であり、かつその濃度が0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材。
【請求項3】
前記鉄の濃度と前記シリコンの濃度との合計が、0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材。
【請求項4】
前記鉄の濃度と前記シリコンの濃度と不純物元素である銅の濃度との合計が、0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材。
【請求項5】
アルミニウム合金から成り、該アルミニウム合金が0.15質量%〜12.0質量%のマグネシウムを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルミニウム材。

【公開番号】特開2013−91813(P2013−91813A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232593(P2011−232593)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)