説明

耐震マット

【課題】地震などによって引き起こされる振動によって陳列棚に陳列した商品が落下破損するのを防ぐことができると共に、陳列商品を取り出す場合は左程大きな力を要せずに取り出せるようにした耐震マットを提供する。
【解決手段】マット本体1の表裏いずれか一方の面側に、対象物との接触面積を減ずる凹所2を形成し、当該凹所2を形成してある面側が上方を向くようにしてマット本体1を棚板などに貼着させ、マット本体1の上面に対象物を粘着させるようにした。また、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、通孔6または切取線7を形成した粘着調整フィルム5を貼着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地震などによって引き起こされる振動によって陳列棚に陳列してある食器や花瓶等が転倒して割れるのを防ぐ耐震マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の耐震マットとしては、下記の特許文献に示されているような固定手段が知られている。すなわち、この固定手段は机などの上に載せた物が地震などの振動によって落下破損するのを防止するため、荷重が加わると変形する一方、荷重が除去されると復元する粘着性を有する材料(ウレタン系衝撃吸収エラストマー)にて作製した固定板を、机と、机の上に載せる物との間に介在させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−146234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示された固定手段を、例えば商品陳列棚と、陳列品である高価な食器類との間に介在させれば、地震などの振動エネルギーが商品陳列棚に加わったとしても、当該固定手段が棚板と食器類を一体化させるので、落下破損を有効に防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、平時において、購入者が陳列棚から商品を取り出そうとする場合、当該固定手段が棚板と商品を強固に定着させているため、相当大きな力を掛けないと商品を取り出すことができないという問題点がある。また、不用意に商品を引っ張ると、反動によって商品が手から離れ、場合によっては破損してしまうという問題点もある。
【0006】
そこで、本発明は、地震などによって引き起こされる振動によって陳列棚に陳列した商品が落下破損するのを防ぐことができると共に、陳列商品を取り出す場合は左程大きな力を要せずに取り出せるようにした耐震マットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、所要の厚みを有し、表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、対象物との接触面積を減ずる凹所を形成し、当該凹所を形成してある面側が上方を向くようにしてマット本体を棚板などに貼着させ、マット本体の上面に対象物を粘着させるようにしたことを特徴とする耐震マットである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記凹所がマット本体の表面にエンボス状に半球体を突成したことにより形成されている請求項1に記載の耐震マットである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記凹所がマット本体の表面に一定間隔毎に突条を突成したことにより形成されている請求項1に記載の耐震マットである。
【0010】
請求項4に係る発明は、所要の厚みを有し、表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、粘着調整フィルムを貼着し、当該粘着調整フィルムを貼着してある面側が上方を向くようにしてマット本体を棚板などに貼着させ、マット本体の上面に粘着調整フィルムを介して対象物を粘着させるようにしたことを特徴とする耐震マットである。
【0011】
請求項5に係る発明は、粘着調整フィルムは表裏に通じる通孔を形成してあることを特徴とする請求項4に記載の耐震マットである。
【0012】
請求項6に係る発明は、粘着調整フィルムは切取線に沿って必要部分だけ取り外すことができるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の耐震マットである。
【0013】
請求項7に係る発明は、マット本体がエラストマーからなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の耐震マットである。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記エラストマーがイソブチレン系ブロック共重合体からなることを特徴とする請求項7に記載の耐震マットである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る耐震マットは、上記のように表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マット本体の表裏いずれか一方の面側に、対象物との接触面積を減ずる凹所を形成してあるので、これを商品陳列棚に陳列する対象物と棚板との間に介在させれば、地震などの振動から対象物を守ることができると共に、平時においては、陳列棚から対象物を大きな力を掛けなくても取り出すことができるものである。
【0016】
また、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、通孔を穿設してある粘着調整フィルムを貼着してマット本体の粘着力を調整できるようにした耐震マットの場合も、対象物との接触面積を減らすことができるので、平時における陳列商品の取り出しが容易となる。
【0017】
さらに、粘着調整フィルムに切取線を形成し、必要部分だけ取り外すことができるようにしてマット本体の粘着力を調整可能にした耐震マットの場合も、対象物との接触面積を自在に調節することができるので、平時における陳列商品の取り出しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る耐震マットの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す耐震マットのA―A線断面図である。
【図3】本発明に係る耐震マットの他の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3に示す耐震マットのB―B線断面図である。
【図5】本発明に係る耐震マットのさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図6】粘着調整フィルムを貼着する本発明耐震マットの実施形態を示す斜視図である。
【図7】粘着調整フィルムの他の実施形態を示す平面図である。
【図8】粘着調整フィルムのさらに他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的構成を図示の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図中1はマット本体を示し、当該マット本体1は表裏両面にきわめて強い粘着性を示現するエラストマーによって作製されている。なお、マット本体1は図示の実施形態では、所要の厚みを有する方形状に形成されているが、これを対象商品との関係で長方形状、楕円形状、円形状など適宜形状に変更できることは勿論であり、当該外観形態の変更も本発明の範囲に含まれることは云うまでもない。
【0021】
本発明に係る耐震マットで用いるエラストマーとしては、ゴム及び熱可塑性エラストマーであれば特に制限はなく、例えば天然ゴム、ジエン系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴム、アクリルゴム及びシリコンゴムのようなゴム、熱可塑性エラストマー及びウレタン樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
【0022】
ジエン系重合体ゴムとしては、イソプレン重合体ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエン重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレン重合体ゴムなどが適用可能である。
【0023】
オレフィン系重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、イソブチレン・イソプレン共重合体ゴム、ハロゲン化イソブチレン・イソプレン共重合体ゴム、イソブチレン・ハロゲン化メチルスチレン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、イソブチレン重合体ゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体ゴムなどが適用可能である。
【0024】
アクリルゴムとしては、アクリル酸エチルおよび/またはアクリル酸ブチルからなる単量体に、2−クロロエチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエンなどの他の単量体の一種または二種以上を少量共重合させてなるアクリルゴムなどが適用可能である。
【0025】
また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、シリコン系、アイオノマ系などの各種エラストマーが適用可能である。
【0026】
これらの中でも強い粘着性を発現するオレフィン系のイソブチレン系ブロック共重合体が本発明耐震マットに最も好適に用いられる。
【0027】
なお、エラストマー中には、適宜、粘着増強剤、可塑剤などが添加されるのは云うまでもない。また、一般的な添加剤である難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤などを添加することができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明は、上記したコンパウンドを主体とした表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体1の表裏いずれか一方の面側に、対象物との接触面積を減ずる凹所2を形成し、当該凹所2を形成してある面側が上方を向くようにしてマット本体1を図示しない棚板などに貼着させ、マット本体1の上面に骨董品などの対象物を粘着させるようにしたものである。
【0029】
前記凹所2は陳列対象物との接触面積を減ずるためのものであり、図2に示すように半球体3をエンボス状に突成することによって形成されるものとしてもよいし、あるいは図3及び図4に示すようにマット本体1の表面に一定間隔毎に突条4を突成することによって形成されるものとしてもよい。また、突条4は図5に示すような台形状としてもよい。
【0030】
凹所2の全体の面積が広くなれば、これに比例して陳列対象物との接触面積が少なくなり、マット本体1による粘着力は低下する。反対に凹所2の全体の面積が狭くなれば、これに比例して陳列対象物との接触面積が広くなり、マット本体1による粘着力は増加する。従って、凹所2を形成するためのエンボス状半球体3、突条4の大きさや幅などは陳列対象物との関係を考慮して適宜決定する。
【0031】
次に、図6に示す実施形態は、所要の厚みを有し、表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体1の表裏いずれか一方の面側に、粘着調整フィルム5を貼着し、当該粘着調整フィルム5を貼着してある面側が上方を向くようにしてマット本体1を図示しない棚板などに貼着させ、マット本体1の上面に粘着調整フィルム5を介して陳列対象物を粘着させるようにしたものである。
【0032】
なお、粘着調整フィルム5には表裏に通じる通孔6を形成してあり、陳列対象物は当該通孔6内に露出するマット本体1の粘着力によって耐振動性が保持されるものである。従って、粘着調整フィルム5に穿設する通孔6の大きさ、形状、穿設数を変えることによっマット本体1の粘着力を容易に調整することができる。
【0033】
図6に示す粘着調整フィルム5は通孔6を設けることによってマット本体1の粘着力を調整するようにしたものであるが、図7に示す実施形態のように、粘着調整フィルム5に切取線7を形成し、当該切取線7に沿って必要部分だけ取り外すことができるようにすれば、マット本体1の粘着力を陳列対象物との関係で自在に調節することができるものである。
【0034】
なお、粘着調整フィルム5に対する切取線7の形成形態は任意であるが、図7や図8に示す波形状にした場合は、マット本体1の粘着力の調節が容易になって一層好ましい効果を奏することができるものである。
【0035】
以上のように、本発明耐震マットによれば、対象物との接触面積を減ずる凹所2を形成してあるので、これを陳列対象物と棚板との間に介在させれば、地震などの振動から対象物を守ることができると共に、平時においては、陳列棚から対象物を大きな力を掛けなくても取り出すことができる。また、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、前記した粘着調整フィルム5を貼着してマット本体の粘着力を調整できるようにした耐震マットの場合も、対象物との接触面積を調節することができるので、平時における陳列商品の取り出しが容易となる。
【符号の説明】
【0036】
1:マット本体
2:凹所
3:半球体
4:突条
5:粘着調整フィルム
6:通孔
7:切取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の厚みを有し、表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、対象物との接触面積を減ずる凹所を形成し、当該凹所を形成してある面側が上方を向くようにしてマット本体を棚板などに貼着させ、マット本体の上面に対象物を粘着させるようにしたことを特徴とする耐震マット。
【請求項2】
前記凹所がマット本体の表面にエンボス状に半球体を突成したことにより形成されている請求項1に記載の耐震マット。
【請求項3】
前記凹所がマット本体の表面に一定間隔毎に突条を突成したことにより形成されている請求項1に記載の耐震マット。
【請求項4】
所要の厚みを有し、表裏両面にきわめて強い粘着性を示現する耐震マットにおいて、マット本体の表裏いずれか一方の面側に、粘着調整フィルムを貼着し、当該粘着調整フィルムを貼着してある面側が上方を向くようにしてマット本体を棚板などに貼着させ、マット本体の上面に粘着調整フィルムを介して対象物を粘着させるようにしたことを特徴とする耐震マット。
【請求項5】
粘着調整フィルムは表裏に通じる通孔を形成してあることを特徴とする請求項4に記載の耐震マット。
【請求項6】
粘着調整フィルムは切取線に沿って必要部分だけ取り外すことができるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の耐震マット。
【請求項7】
マット本体がエラストマーからなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の耐震マット。
【請求項8】
前記エラストマーがイソブチレン系ブロック共重合体からなることを特徴とする請求項7に記載の耐震マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−579(P2013−579A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228391(P2011−228391)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3170103号
【原出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(511151352)レグザードジャパン株式会社 (1)