肥満を減少させ、又は予防するための組成物又は方法
動物における体重管理のために有用な組成物が開示される。その組成物は1種以上のイソフラボン類又はイソフラボン代謝産物を含み、そして或る態様において、共役リノール酸及び/又はL−カルニチンを含む。また、1種以上のイソフラボン類、共役リノール酸及び/又はL−カルニチンを含む組成物を使用する、動物における体重管理のために有用な方法が開示される。好ましくはその組成物及び方法は、1種以上のイソフラボンの組み合わせ、あるいは共役リノール酸及びL−カルニチンと一緒に1種以上のイソフラボン類の組み合わせを使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット動物及び他の家畜の栄養に関する。特に、本発明は、動物における体重管理のために、食物、食物サプリメント、等において単独で又は組み合わせて、イソフラボン類、共役リノール酸及びL−カルニチンを使用する組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ヒトと同様に、イヌ及びネコのようなペット動物は、肥満になる可能性がある。脂肪組織(体脂肪)の過剰な蓄積の結果は、過体重又は肥満である動物を生ずる。
【0003】
脂肪組織は重要なエネルギー貯蔵所である。これは、野性動物の毎日の食物供給が限られており、そして確実でないので、野性動物の生存のために重要である。しかしながら、野性動物における体脂肪濃度は、飼い馴らされている動物の体脂肪濃度よりもずっと低い。
【0004】
飼いイヌ及びネコの25〜44%が、米国及びヨーロッパにおいて過体重又は肥満であると推定された(Vet Clin North Am Small Anim Pract.(1989)19:第447頁〜第474頁におけるHand、MS、Armstrong PJ、Allen TA.による肥満症:発生、治療及び予防;Int.J.Obes.(1994)18:S22〜S28におけるScarlett JM、Donoghue S、Saidla J、Wills J.による過体重ネコ:有病率及び危険要因)。過体重または肥満のイヌは、特に中年期(すなわち6〜8才のイヌ)に健康上の問題を持つ過剰体重であることにより起こされるこれらの健康問題が修正されない場合、真性糖尿病、癌、高血圧、肺疾患、循環器疾患及び退行性関節疾患を包含する数多くの慢性疾患の発生について危険が増大する。さらに、イヌは、感染症に対する抵抗性が減少し、及び死亡率が増大する皮膚疾患をこうむる可能性がある。増大した酸化性ストレスは、肥満に伴う上記疾患の増大した危険性に関与すると、少なくとも部分的に信じられる。さらに肥満が動物の体にストレスを加えることは周知である。
【0005】
エネルギー余剰貯蔵部位としてのその役割に加えて、脂肪組織は内分泌器官である。内分泌系は、ホルモン類及びサイトカイン類を介して動物の身体における種々の機能をコントロールする。これらのホルモン類のホメオスタシスは、肥満では乱れている。
【0006】
レプチンは、食欲、代謝及び性的成熟性を調節する機能を果たすタンパク質ホルモンである。レプチンは脂肪細胞において合成され、そして血流中に分泌される。それ故、レプチンの血清濃度は体脂肪の量と相互に関連する。レプチン濃度は、食べ過ぎ又は体重増加の間に増加し、そして絶食又は体重減少中に減少する。レプチンは、如何に多くの脂肪が身体中に貯えられるかに非常に相互的に関連しており、より多い脂肪を有する個人においてより多くの濃度が見い出され、そしてダイエットしている人々において減少した濃度が見い出されることがヒトにおいて示された。同様に、肥満のイヌにおいて、イヌの品種、年齢及び性別とは無関係に、レプチンの血漿濃度を増加させたことが示された。
【0007】
体重に対するレプチンの作用は、体温、エネルギー消費、また食物摂取をコントロールする視床下部中枢へのその作用を介して仲介されることが知られている。カテコールアミン類、コルチコステロイド類、インスリン、性ホルモン類及び成長ホルモンのような、体重調節又はその分布に包含される他のホルモン類又は内分泌物質類は、レプチンにより誘発される可能性があることが示された。
【0008】
或る種の前炎症性サイトカイン類は脂肪組織において合成される。例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、脂肪細胞において合成され、そして局所的に働く。正常な動物において、TNF−αは脂肪細胞の数を調節し、脂肪蓄積を減少させ、そして脂肪分解を促進する。TNF−αはまた、脂肪細胞からのレプチン合成及び分泌を刺激する。TNF−αはインスリンの作用を阻害し;増大したTNF−αはインスリン抵抗に導く。
【0009】
インターロイキン−6(IL−6)は、脂肪組織に関連する他の前−炎症性サイトカインである。正常な動物において、IL−6は脂肪蓄積を減少させ、食欲を抑制し、そして脂肪分解を増大させる。IL−6は肝臓による急性期タンパク質(例えばC−反応性タンパク質)の分泌を促進する。脂肪細胞によるIL−6の合成及び分泌は、循環しているIL−6の主要な源の1つであり得る。循環しているIL−6濃度は肥満と強く相関している。
【0010】
過剰な脂肪組織は異常に活発な内分泌脂肪器官を生じ、これは次に他の内分泌系(例えばインスリン、等)、代謝機能、酸化性ストレス濃度及び炎症に影響する。
【0011】
増大した酸化性ストレスは肥満と関連していた。イソプロスタン類(isoprostanes)は、酸化性ストレス及び組織損傷の安定なインビボマーカー(標識)である(J.Clin.Invest.(1994)93:第998頁〜第1004頁におけるLynch SM、Morrow JD、RobertsII LJ、Frei B.によるインビトロで酸化性ストレスに曝された血漿及び低密度リポタンパク質における非−シクロオキシゲナーゼ−由来のプロスタノイド類(F2−イソプロスタン類)の形成;Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:第9383頁〜第9387頁におけるMorrow JD、Hill KE、Burk RF、Nammour TM、Badr KF、Roberts II LJによる非−シクロオキシゲナーゼ、フリーラジカル−触媒作用メカニズムによる一連のプロスタグランジンF2−様化合物をヒトにおいてインビボで生成する)。イソプロスタン類は細胞膜リン脂質中のアラキドン酸及び血液中のリポタンパク質の酸化性損傷によりインビボで生成される。それらは脂質過酸化の化学的に安定な最終生成物である。細胞膜リン脂質及びリポタンパク質粒子からのホスホリパーゼにより放出されたイソプロスタン類は血漿中を循環し、そして尿中に排出される。血液及び尿中での高濃度のイソプロスタン類は、インビボにおける一層高い酸化性ストレス及び組織損傷を意味する。
【0012】
肥満のヒトは肥満でないヒトよりも有意に高い血漿濃度のイソプロスタン類を有することが分かった(P<0.05)。イソプロスタン類の血漿濃度は全ての(肥満である及び肥満でない)ヒトにおける肥満度指数(r=0.408;P<0.05):体脂肪重量(r=0.467;P<0.05)、内臓(r=0.387;P<0.05)及び総脂肪面積(r=0.359;P<0.05)と有意に相関していた(J.Clin Endocrinol Metab,(2003年10月)88(10):第4673頁〜第4676頁におけるUrakawa H、Katsuki A、Sumida Y、Gabazza EC、Murashima S、Morioka K、Maruyama N、Kitagawa N、Tanaka T、Hori Y、Nakatani K、Yano Y、Adachi Yによる、酸化性ストレスはヒトにおける肥満症及びインスリン抵抗性に関連する)。
【0013】
肥満それ自体は高血圧を直接導く可能性がある。このことは、イヌに高脂肪の食事を与えることにより肥満を誘導したイヌにおいて示された。イヌにおける体重の増加は、血圧、脈拍数、心拍出量及び糸球体濾過率における増加と関連する。さらに、これらのイヌは、心臓拡張期機能における進行性の変化を示した。アンギオテンシノゲンは血液中に放出され、そこでそれは2種のタンパク質、即ちアンギオテンシン I及びアンギオテンシン IIの前駆体として働く。これらのタンパク質の作用は、腎臓におけるナトリウムの再吸収を介した血圧における増加を導く。
【0014】
動物はエネルギーとして消費されるよりも多くのカロリーを食べることにより脂肪を蓄積する。エネルギーの摂取がその消費を超えるならば、脂肪は蓄積する。脂肪が身体から除去されなければならない場合、より少ないカロリーを摂取しなければならないか又は摂取されるよりも多くのカロリーを使用しなければならない。身体活動は、エネルギーの消費を変化させる。例えば、身体活動の著しい減少は、肥満に導く可能性がある。身体不活動はエネルギー消費を制限し、そして増加した食物摂取の一因となる可能性がある。基礎代謝率(BMR)は、静止している状態における動物により消費されるエネルギーであり、そして正常な身体機能を果たすために必要とされるエネルギーを表す。
【0015】
動物における体脂肪の過剰の蓄積は過剰の体重増加及び肥満を生ずる。このことは、脂肪合成が脂肪分解を超える場合に起こる。脂肪合成を阻害し、及び/又は脂肪分解を促進する物質は、動物における過剰体重増加又は肥満を減少させるか又は予防するかのいずれかのために使用されることができる。現在の体重減少用食事は、体脂肪及び除脂肪体重の両方の減少を生ずる。さらに現在の体重減少用食事は、肥満により起こされる酸化性損傷を減少するようには計画されていない。
【0016】
動物における肥満についての追加の危険な要因は、性器の除去である。去勢、卵巣除去、卵巣摘出、精巣除去、等のような処置は、固体数抑制策のためにしばしば動物で行なわれている。しかしながら、これらの処置の後の動物において体重増加が通常観察されている(J Small Anim Pract.(2001)42:第433頁〜第438頁におけるHarper EJ、Stack DM、Watson TD、Moxham Gによる卵巣子宮摘出後のネコにおける体重、組成及び状態スコアに対する給餌法の効果;Perth,WA.Preb Vet Med.(2003)58:第75頁〜第83頁におけるRobertson IDによる大都市パースからの私的に所有するイヌにおける所有者が気づいている肥満との運動、食事及び他の要因の関連)。体重増加は、性器による性ホルモンの減少した生成及び性器の除去後の内因性性ホルモンの著しく減少した濃度の結果であると信じられる。
【0017】
性ホルモン類の中で、エストロゲン類及びアンドロゲン類は、脂肪組織の代謝において役割を演ずることが見い出された。事実、エストロゲン及びテストステロンの減少した濃度は体脂肪の増大した蓄積と相互的に関連づけられた(Int.J.Obesity(2000)24:S59〜S63におけるPergola GDによる脂肪組織代謝:テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンの役割;Exp Biol Med.(2004)229:第1127頁〜第1135頁におけるCooke PS及びNaaz A.による脂肪細胞発達及び機能におけるエストロゲン類の役割;Eur.J.Endocrinol.(2000)142:第307頁〜第314頁におけるMohamed,MK等による雌ラットにおけるエストロゲン受容体遺伝子の発現上への長期間卵巣摘出及びエストロゲン置換の影響)。性ホルモン類は、例えば脂肪細胞の数及び大きさ、脂質合成及び脂肪分解に影響し、食欲又はエネルギー消費、等を調節することによる、異なる方法で脂肪組織に影響することができる(Int.J.Obesity,(2000)24:S59〜S63におけるPergola GDによる脂肪組織代謝:テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンの役割;Exp Biol Med.(2004)229:第1127頁〜第1135頁におけるCooke PS及びNaaz A.による脂肪細胞発達及び機能におけるエストロゲンの役割;Endocrinol.(2003)144:第3315頁〜第3320頁におけるNaaz等による大豆イソフラボンゲニステインはマウスにおける脂肪沈着を減少させる)。これに関して、ホルモン置換療法及び食事サプリメント供給がこれらの作用を逆転させるための手段として研究された(Menopause.(1999)6:第312頁〜第315頁におけるSayegh,RA等による更年期の女性の体質量及び脂肪組成上へのホルモン置換療法の影響:横断的研究;Am.J.Clin.Nutr.(2002)76:第1191頁〜第1201頁におけるBlathena SJ等による肥満及び糖尿病における食事中の植物エストロゲン類の有益な役割)。
【0018】
食事補給に関して、植物エストロゲン類が脂質代謝を高め、そして脂肪組織の沈着を減少させることにおいて役割を演じることができることを多数の証拠が示唆している(上記Naaz A等(2003);上記Bhathena SJ等(2002);及びArterioscler Thromb Vasc Biol.(2003)23:第2241頁〜第2246頁におけるWagner JD等によるイソフラボンに富むサプリメントではなく、イソフラボン類を有する大豆タンパク質は、動脈低密度リポタンパク質代謝及びアテローム発生を改善する)。植物エストロゲン類は哺乳動物エストロゲン類に類似の構造を有する、植物により生成される化学物質であり、(J Clin Endocrinol Metab.(2001)86:第41頁〜第47頁におけるClarkson TB、Anthony,MS、Morgan TM.による、閉経期後のアテローム性動脈硬化症の進行の阻止:共役ウマエストロゲンと大豆植物エストロゲンとの効果の比較)、そしてヒト、ラット、サル及びマウスを包含する多くの動物種における脂肪組織上のエストロゲン受容体と相互作用をすることができる(上記Naaz A等(2003)文献;Steroids(2002)67:第1029頁〜第1040頁におけるLinford NJ及びDorsa DMによる、17β−エストラジオール及び植物エストロゲンゲニステインは小胞体カルシウム−ATPアーゼ阻害剤タプシガルギンにより誘導されるニューロンのアポトーシスを弱める)。植物エストロゲン類はクメスタン類(coumestans)、リグナン類及びイソフラボン類の、3つの主要なクラスに分類される。イソフラボン類は、それらを投与した被験動物において、脂肪沈着を減少させ、血清低密度リポタンパク質を減少させ、アテローム性動脈硬化症を阻止すること、等々に関して有意にプラスの効果を示した(上記Bhathena,SJ,等(2002);上記Naaz,A,等(2003);上記Wagner JD(2003);J.Agric.Food.Chem.(2004)52:第1764頁〜第1768頁におけるKawakami Y等によるラットにおける生物学的抗酸化システム及び脂質代謝への食事中大豆イソフラボンの調節性作用;及び(2004)15:第142頁〜第148頁におけるFang YC.等によるハムスターにおける血清、肝臓及び低密度リポタンパク質の組織ゲニステイン及び脂質過酸化へのゲニステイン補給の効果)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ヒト及び齧歯類動物における食事補給に関して観察されるプラスの効果にもかかわらず、ペット動物に投与するための食物又は医薬処方物を生成することの必要性が依然として存在し、卵巣切除又は去勢のような性器を除去することの処置を受けたペット動物への投与のためには、なおいっそうそのとおりである。理想的にはそのような食物又は医薬処方物及びこれらを使用する方法は、体脂肪の減少を容易にし、除脂肪体重の減少を最小にし、そして動物における酸化性ストレス損傷を減少させるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
或る面において、本発明は、同時に及び/又は相乗的に、脂肪合成を阻止し、脂肪分解を促進し、そして脂肪酸酸化を増大させることにより、肥満及び過体重動物における体脂肪減少を最大にし、そして除脂肪体重の減少を最少にする、1種以上の栄養物質又は生物活性物質を含む組成物に関する。体脂肪の減少を最大にし、エネルギー源として食事のカロリーを利用することは、肥満及び過体重の動物における体重減少の間に、除脂肪体重を使わないでおく。或る実施態様において、栄養物質及び生物活性物質は、イソフラボン類、イソフラボン類の代謝産物、共役リノール酸、L−カルニチン、あるいは脂肪合成を抑制し、脂肪分解を促進し又は脂肪酸酸化を高める任意の他の栄養物質又は生物活性物質である。
【0021】
したがって、本発明の一つの面は、動物における体重管理のために有効な量で、1種以上のイソフラボン類又はその代謝産物を含む組成物を特徴とする。或る実施態様においてその組成物は、共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む。その組成物は食料、栄養補助食品又は調合薬の形であることができる。
【0022】
或る実施態様において、本組成物は、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、ビオカニン−A、ホルムオノネチン、天然グリコシド、イソフラボン代謝産物、化学的に合成されたイソフラボン又は化学的に合成されたイソフラボン類似体の1種以上を含むイソフラボン類を含む。特定の実施態様において、イソフラボン類は、大豆イソフラボン類、又はエクオルのようなその代謝産物である。
【0023】
本発明の他の面は、そのような組成物を調製するための方法及び工程に関する。本発明の追加の面は、イソフラボン類及び/又はイソフラボン類の代謝産物、そして或る実施態様おいて共役リノール酸又はL−カルニチンを含む組成物を利用する、動物における体重管理のために有用な方法に関する。その組成物及び方法は、脂肪組織の異化作用を高め、脂肪酸酸化を高め、又は脂肪組織の同化作用を減少させることの内の1つ以上を包含するメカニズムにより、動物における体脂肪を減少させるために、又は動物における除脂肪体重を維持するために有効である。本発明組成物及び方法は、去勢された、精巣除去された、又は卵巣除去された動物において、あるいは閉経期後又は雄性休止期後(post−andropause)である動物においての体重管理のために特に十分に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な記載及び実施例を参照することにより理解されるだろう。
【0025】
実施態様の詳細な記載
上記及び開示全体を通じて使用されるものとして、以下の用語は、他に示さない限り、以下の意味を有することが理解される。
【0026】
“有効な量”とは、特定の生物学的な結果を達成させるために有効であり得る、本明細書において記載されるような化合物、物質、組成物及び/又は投薬形態の量を意味する。そのような結果は、肥満の減少及び/又は予防を包含し得るが、しかしそれらに限定されない。そのような有効な活性は、例えば本発明の組成物の摂取を生じさせることにより達成させることができる。
【0027】
“哺乳動物”とは、乳腺により分泌される乳でそれらの子供を養い、そして通常、多かれ少なかれ毛で被われている皮膚を有し、そして動物が閉経期後であるか、雄性休止期後(post−andropause)であるか、精巣除去されているか、卵巣除去されているか、又は去勢されているかのいずれにせよ、齧歯動物(例えば、ネズミ及びラット)、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヒトでない霊長類、ウサギ、白イタチ及びモルモットを非排他的に包含する任意のクラスの温血高等脊椎動物を意味する。
【0028】
“肥満”とは、身体における脂肪の過剰の蓄積の結果として、骨格及び肉体要件の限界を超える体重における増加を意味する。
【0029】
“過体重”とは、正常な又は必要であるより多い重さを有すること、特にその年齢又は身体造り(build)のための正常又は健康と考えられるより多い体重を有することを称する。過体重又は肥満は、ときには、1〜3のBCS(ボディコンディションスコア)が非常に痩せているか又は低体重を示し、4〜5のBCSが理想的な状態又は体重を示し、そして6〜9のBCSが過体重ないし肥満を示す、身体状態得点システムを使用する数値の“得点”として本明細書において言及されることがあり得る。
【0030】
“体重制御プログラム”とは、動物における肥満を予防し、そして/又は減少させるために計画された規制方式(regimen)を称する。そのような規制方式は、限定なしに、特定のダイエット、食物、食料、食事サプリメント又は調合薬を、単独で又は任意の適当な組み合わせで、使用することを包含する。
【0031】
“体重管理”とは、動物が形式化体重制御プログラム上にあるかどうかのいずれにせよ、動物における健康的な体重減少の促進及び健康的な体重維持の促進を意味する。その用語は、体脂肪及び脂肪組織の減少、除脂肪体重の減少の最少化、及び肥満に伴う組織への酸化ストレス損傷の減少を包含する。その用語はまた、体重増加、過剰な体重増加及び肥満の予防、及び除脂肪体重の形成を高めることを包含する。体重管理は、取り分け、脂肪又は脂肪組織の異化作用を高め、脂肪酸酸化を高め、及び/又は脂肪又は脂肪組織の同化作用を減少させることにより達成することができる。
【0032】
或る面において、本発明は動物における肥満の減少及び/又は予防において有用な組成物に関し、該組成物は1種以上のイソフラボン類、共役リノール酸(CLA)及び/又はL−カルニチンを含み、及びその使用方法に関する。本発明の或る面に従う組成物及び方法は、過体重及び肥満動物における体重減少を高めるために有効である。本発明の他の面において、本発明の或る実施態様による組成物及び方法は、正常なボディコンディションスコアを有する動物における脂肪蓄積を減少させ、したがって、正常な動物が過体重又は肥満になるのを予防し、又は過体重又は肥満の状態のままであるのを防止するのに有効である。
【0033】
本発明のいずれの理論又は特定の作用機序に制限されることなしに、本発明の或る実施態様は、脂肪組織の減少を明確に促進する点で有効であると信じられる。本発明の或る面は3つの主要な段階、即ち1)脂肪組織の異化作用を増大させる段階、2)脂肪酸の酸化を増大させる段階、及び3)脂肪組織の同化作用を減少させる段階で働くことにより、動物における脂肪減少を最適化する点で有効であると信じられる。さらに、本発明の或る面によると、体重減少の間の脂肪減少の最適化は、除脂肪体重の減少を防止することができる。さらに、エクオル及びジヒドロダイゼインを包含する、イソフラボン類及びイソフラボン類の代謝産物は、それらのフリーラジカル捕捉活性を介して、肥満に伴う組織損傷を減少させると信じられる。
【0034】
本明細書において用いられるものとして、“脂肪組織”とは、脂肪細胞(fat cells)(又は脂肪細胞(adipocites)と称される)及びそれらを取り囲む細網線維及び細網ネットワークを含む結合組織を表す。脂肪組織は、一般に身体が過剰の脂肪を沈着し、及び貯蔵する場所である。脂肪組織は、限定されないが、白色、褐色及び黄色の脂肪組織を包含する。
【0035】
本明細書において用いられるものとして、“異化作用”とは、より単純な分子への複合分子の代謝的分解を意味する。脂肪組織の異化作用に関して、その用語はエネルギーへの脂肪貯蔵物の代謝的分解及び/又は脂肪細胞の数又は大きさの減少を包含する。
【0036】
本明細書において用いられるものとして“同化作用”とは、単純な物質が複合物質に合成される代謝的プロセスを意味する。脂肪組織の同化作用に関して、その用語はトリグリセリド類の合成、脂肪細胞の生成、及び脂肪細網ネットワークの生成、等を包含する。
【0037】
本明細書において用いられるものとして、“イソフラボン類”とは、ベンゼン基が、ベンゾピラン環の2位置の代わりにその環の3位置に結合されている、フラボンの異性体形である、3−フェニルクロモン類、及びそれらそれぞれの代謝産物を意味する。本明細書において“イソフラボン類”と言う用語が使用されるときはいつでも、それは本明細書において記載されているようなイソフラボン誘導体の特定の例と共に、イソフラボン類の誘導体及び代謝産物を包含することが意図される。イソフラボン類は、大豆を包含するが、しかしそれに限定されない多数の源において見い出すことができる。イソフラボン類の非限定的な例は、ダイゼイン、6−O−マロニルダイゼイン、6−O−アセチルダイゼイン、ゲニステイン、6−O−マロニルゲニステイン、6−O−アセチルゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、6−O−マロニルグリシテイン(6−O−malonyl glycitein)、6−O−アセチルグリシテイン(6−O−acetyl glycitein)、ビオカニン A、ホルムオノネチン又はイソフラボン類の任意の代謝産物を包含する。イソフラボン類及びそれらの使用から誘導される健康に対する或る利点は、科学文献において記載されてきた(例えば、ニューヨークのアカデミックプレス(1988年)発行、Rowland IA監修、The Role of Gut Microflora in Toxicity and Cancer第315頁〜第345頁におけるSetchell KDR、Adlercreutz H.による、哺乳動物のリグナン類(lignans)及び植物エストロゲン.それらの形成、代謝及び健康及び病気における生物学的役割についての最近の研究、を参照)。例えば、大豆は、心臓血管疾患の危険を減少させ;乳癌及び前立腺癌の危険を減少させ;更年期エストロゲン不足に伴う顔面潮紅を緩和し;閉経後の女性における骨粗しょう症を遅延化させ;血漿におけるコレステロール、LDLコレステロール、及びトリグリセリド類の総量を減少させ;閉経後の女性における認知機能を維持し;高血圧の症状を改良し、及び体重減少を促進することが見い出された。
【0038】
イソフラボン類及び代謝産物は、また抗酸化活性を示すことが知られている。エクオル(ダイゼインの代謝産物)は、すべての試験されたイソフラボン類の中で最も大きな抗酸化活性を有する(J.Nutr.(2002)132:第3577頁〜第3584頁におけるSetchell KDR、Brown NM、Lydeking−Olsen Eによる、代謝産物エクオルの臨床的重要性−大豆及びそのイソフラボン類の有効性へのてがかり)。さらに、ダイゼインの他の代謝産物、ジヒドロダイゼインもまた、フリーラジカル捕捉活性を有すると思われる(J.Vas Res(2003)40:第276頁〜第284頁におけるJiang F、Jones GT、Husband AJ、Dusting GJによるアポリポタンパク質E−欠損マウスにおける合成イソフラボン誘導体の心臓血管保護効果)。
【0039】
イソフラボン類及び代謝産物はまた、エストロゲン様活性を示すことが知られている。エクオル(equol)は、任意の他のイソフラボン類よりも一層強く、エストロゲン受容体(ER)−応答性転写(エストロゲン様活性)を誘導する。成人人口の約30〜50%がダイゼインをエクオル(equol)に生体内変化させない(上記J.Nutr.(2002)132:第3577頁〜第3584頁)。ダイゼイン及びグリシテイン(glycitein)は、手術により誘導された月経閉止後のラットにおける体脂肪蓄積を抑制することにおいてエストロゲンによく似ている。
【0040】
イソフラボンゲニステインは、トポイソメラーゼ II(細胞増殖のためのDNA重複に関与する酵素)の阻害剤であることが示された。それはまた、チロシンタンパク質キナーゼを阻害し、したがって制癌剤の性質を提供する。ゲニステインは新脈管形成を抑制する(また制癌剤性質を提供する)。
【0041】
イソフラボン類が身体組成に影響する可能性のあるメカニズムは、イソフラボンゲニステイン及びダイゼインが、ラット脂肪細胞における基礎的且つインスリン刺激脂質生成を抑制し、そして基礎的且つエピネフリン刺激脂肪分解を高めることを示す研究により示唆された(Reprod Nutr Dev.(1999)39:第497頁〜第501頁におけるKandulska K、Nogowski L、Szkudelski T.によるラット脂肪細胞の代謝への或る種の植物エストロゲンの作用)。
【0042】
本明細書において用いられるものとして、“カルニチン”とは、N8,N8,N8−トリメチルリジン及びγ−ブチロベタインから形成されたγ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸のトリメチルアンモニウム(ベタイン)誘導体を意味する。L−カルニチンは、ミトコンドリア膜に関してアシルキャリアであり、したがってそれは、脂肪酸酸化を刺激する。それは、ときにはビタミンBt又はビタミンB7と称せられる(例えば、J.Lipid Res.(1963)4:第279頁におけるFritz IB、Yue KTNによる長鎖カルニチンアシルトランスフェラーゼ、及びカルニチンにより誘発される脂肪酸酸化の触媒作用的増大におけるアシルカルニチン誘導体の役割を参照)。
【0043】
L−カルニチンは、動物体におけるエネルギー生産において重要な役割を演ずる天然に存在する化合物である。L−カルニチンはベータ酸化のために、エネルギー生産に関与する細胞小器官であるミトコンドリアマトリックス中へ、活性化脂肪酸、例えばアシルCoAを輸送する。ベータ酸化は、エネルギー生産のために脂肪酸を分解する過程である。L−カルニチンは主として肝臓及び腎臓でアミノ酸リジン及びメチオニンから合成され、それは他の組織に輸送される。高濃度のL−カルニチンは、他の組織に比較して、骨格筋及び心筋のような、それらの主要なエネルギー源として脂肪酸を使用する組織において見い出される。食肉、家禽、魚及び乳製品はL−カルニチンの豊かな食事源である。
【0044】
本明細書において用いられるものとして“共役リノール酸(CLA)”は必須脂肪酸リノール酸の、位置及び幾何異性体類の混合物を示すために用いられる集合的な用語である(例えば、J.Food Comp.Anal.(1992)5:第185頁〜第197頁におけるChin SF、Liu W、Storkson JM、Ha YL、MW Parizaによるリノール酸の共役ジエン性異性体類、新しく認識されたクラスの抗発癌性物質の食事源を参照)。CLAは、赤色食肉、チーズ、及び全乳を包含する或る種の食物源において天然に見い出される。
【0045】
CLAは、ホルモン感受性リパーゼ活性を高めることにより脂肪組織において脂肪分解を促進する。CLAは脂肪組織における脂質合成のための主要な酵素であるリポタンパク質リパーゼの活性を減少させる。リポタンパク質リパーゼは、トリアシルグリセリドからの脂肪酸の放出に関与している。次に放出された脂肪酸は脂肪細胞により吸収され、再エステル化され、そして脂肪細胞においてトリアシルグリセリドとして貯蔵される。また、CLAは脂肪及び骨格筋の両方においてカルニチンパルミトイルスランスフェラーゼ(CPT)活性を増大させる。CPTは脂肪酸ベータ酸化のための律速酵素である。
【0046】
本発明は、任意の動物、好ましくは哺乳動物に関し;さらに好ましくはネコ、最も好ましくはイヌに関する。
【0047】
本発明の1実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物が提供され、その組成物は動物における肥満の減少及び/又は予防のために有効である。本発明者等は、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせが、体脂肪の減少を促進することにおいて、そして低カロリー食事を与えた動物に投与した場合に、除脂肪体重を保持することにおいて有効であることを本明細書において示した。或る好ましい実施態様において、イソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0048】
本発明の他の実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は動物における肥満の減少及び/又は予防のために有効である。或る好ましい実施態様においてイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0049】
本発明の他の実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は動物における除脂肪体重を保持するために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。本発明者等は本明細書において、イソフラボン類を単独で含む組成物が体重制御プログラムにある動物における除脂肪体重の低下を減少させることができることを示した
【0050】
本発明の追加の面は過剰体脂肪に伴う組織損傷を減少させるために有効な組成物及び方法に関する。組織損傷の非限定的な例は、酸化性ストレスによるDNA、RNA、タンパク質類及び脂質類の酸化性変性を包含する。酸化性ストレスは、ヒドロキシル基のような反応性酸素種(ROS)及び酸化窒素、そして硝酸塩、亜硝酸塩及びペルオキシ亜硝酸塩を包含するその副生成物のような反応性窒素種(RNS)からなる(Antioxid Redox Signal.(2005)7:第256頁〜第268頁におけるDavi G、Falco A、Patrono Cによる、真正糖尿病における脂質過酸化;Curr Med Chem(2005)12:第429頁〜第441頁におけるKang D、Hamasaki Nによる普通の病気及び病気状態:老化、神経退化、心不全、糖尿病及び癌におけるミトコンドリアDNAの交代;Physiol Rev.(2004)84:第1381頁〜第1478頁におけるStocker R、Keaney JF Jr.によるアテローム動脈硬化症における酸化性変異の役割)。増大した酸化性ストレスは肥満と関連していた。慢性疾患の病因論における酸化性ストレスの役割を調べるための重要なツールとして役に立つ、インビボにおける酸化性ストレスの状態を査定するための最も信頼できる方法の1つとしてイソプロスタン類(isoprostanes)が出現した(FASEB J.(2004)18:第1791頁〜第1800頁におけるMontuschi P.、Barnes PJ、Roberts LJ 2nd.による、イソプロスタン類:酸化性ストレスの標識及び媒介物質)。
【0051】
本発明の1つの態様において、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。本発明の他の態様において、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物が提供され、その組成物は肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0052】
本発明の或る面に従えば、本発明の組成物は、例えばダイエット、食物、食料、食事サプリメント、又は獣医学治療薬品として有用であり得る。その組成物は、意図される用途のために適するように選ばれた担体、希釈剤又は賦形剤を随意に含有することができる。
【0053】
例えば、経口的に、経胃的に、又は経幽門的に、のように、経腸的に組成物を投与することができる。組成物の作用を修正することができる多くの要因、例えば体重、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、対象動物の状態、反応感受性及び重症度は、当業者により考慮することができる。連続的に、又は1日に1回又は食事毎に1回のように周期的に投与を行うことができる。
【0054】
本明細書において用いられるものとして、“食料(foodstuff)”とは、食物として使用するために使用するか又は調製することができる任意の物質を意味する。本明細書において用いられるものとして、“食物(food)”とは、成長、修復、生命過程を維持するために、又はエネルギーを供給するために、生命体の身体において用いられる、タンパク質、炭水化物、及び/又は脂肪から本質的になる材料である。食物はまた、ミネラル類、ビタミン類、及び調味料のような補助的な物質を含有することができる。補助的なミネラル類の非限定的な例は、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マンガン、沃素、セレン、等を包含する。補助的なビタミン類の非限定的な例は、ビタミンA、種々のビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKを包含する。追加の食事サプリメントは、例えばナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、等をまた包含することができる。本明細書において用いられるものとして、食物と言う用語はヒト又は動物の消費に適合された飲料を包含する。
【0055】
本明細書において用いられるものとして、“調合薬(pharmaceutical)”とは、医薬(medicinal drug)である。調合薬をまた薬剤(medicament)と称することができる。本明細書において用いられるものとして“食事サプリメント(dietary supplement)”とは、食事を補足するために意図される製品であり、それは以下のダイエット成分、即ちビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物性成分、アミノ酸、(限定なしに、酵素類あるいは諸々の器官又は分泌器官からの組織を包含する)全体的な毎日の摂取を増大させることにより食事を補足するための食事物質、濃縮物、代謝産物、成分、又は抽出物の任意の1種又は任意の組み合わせを保有するか又は含有することができる。
【0056】
本発明の或る態様において、動物における肥満の減少及び/又は予防において有用である食事又は食料が提供され、その食事又は食料は1種以上のイソフラボン類、CLA、及び/又はL−カルニチンを含む。
【0057】
本発明の或る面は、好ましくは(例えば、米国学術会議、イヌのための栄養要件、National Academy Press発行(1985年)、ワシントンD.C.、及びAssociation of American Feed Control Officialsの官報(Official publication)(1996)において記載されているような)完全な且つバランスのとれた食事と組み合わせて用いられる。即ち、この発明の或る面に従うイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用するのが好ましい。本明細書において用いられるものとして、“高品質の市販食品”とは、例えば、イヌのために上記米国学術会議の推奨において記載されているような80%以上の主要な栄養品の消化可能性を生成するために調製された食事を意味する。同様な高い栄養標準は他の動物のために使用されるだろう。
【0058】
本発明の或る面は、優先的に、ペットトリート類(pet treats)を包含する、例えば湿潤した、中間の又は乾燥した組成物(食物)であることができる動物の食事又は食料に関する。湿潤した食物は、通常、錫製容器又はホイル袋中で販売されており、そして約70〜約90%の水分含有量を有する食物を記載する。乾燥食物は通常、類似の組成のものであるが、しかし約5〜約15%の水分含有量を有し、それ故、例えば小さなビスケット状粗びき粒として提供される食物を記載する。それ故、本発明の或る面は、その用語がペット食品配合及び製造のための業界における当業者により認識されているような、缶に入れられた、乾燥又は中間の水分のペット食物製品に適用することができる。
【0059】
食事又は食料品は、例えばオックスフォードのパーガモンプレス発行、ATB Edney監修、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、第57頁〜第74頁における“バランスのとれた食事”と題するA.Rainbirdによる章に記載されているような当業界において知られている任意の方法に従って作成することができる。適当なでんぷん源は、限定なしに、とうもろこし、米、小麦、大麦、オート麦、大豆及びこれらの混合物のような、穀類、豆類を包含する。適当なタンパク質源は、食肉を包含するがしかしそれに限定されない任意の適当な動物又は植物タンパク質源から選ぶことができる。
【0060】
好ましくは食事又は食料に加えられるべきイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンの濃度は、動物により消費されることができる、食事又は食料のエネルギー含有量に基づいて、そして任意の追加の栄養分に基づいて計算される。好ましくは、完全な及びバランスがとれた食物は、本発明の或る態様に従う食事又は食料を含む。
【0061】
本発明の或る面に従えば、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンは、例えば、包装前の最後の工程としての終わりの時点を包含する食事又は食料の製造及び/又は加工の間の任意の時点で加えることができる。
【0062】
本発明の或る面に従えば、イソフラボン類についての好ましい毎日の投与量範囲は、約5mg/日〜約5000mg/日であることができる。好ましくは、イソフラボン類の毎日の投与量は約30mg/日〜約500mg、さらに好ましくは約80mg/日〜約200mg/日である。L−カルニチンについての好ましい毎日の投与量範囲は、約50mg/日〜約5000mg/日であることができる。好ましくはL−カルニチンの毎日の投与量は約80mg/日〜約500mg/日、さらに好ましくは約100mg/日〜約300mg/日である。CLAについての毎日の好ましい投与量範囲は、約50mg/日〜約8000mg/日であることができる。好ましくはCLAの毎日の投与量は、約500mg/日〜約6000mg/日、さらに好ましくは約1000mg/日〜約4000mg/日である。
【0063】
イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの各々の源は、合成又は天然の任意の適当な源であることができる。イソフラボン類の好ましい源は、限定なしに、例えば豆類、クローバー類及び葛の根のような任意のイソフラボン含有植物を包含する。イソフラボン類の好ましい豆類の源は、大豆、ひよこ豆、及びイソフラボン類を含有する他のタイプの豆類を包含する。イソフラボン類の好ましいクローバー源は、むらさきつめくさ及び地下クローバー(subterranean clover)を包含する。好ましい共役リノール酸源は、加水分解されたひまわり油、CLAの合成異性体又は合成CLA類似体又はそれらの2種以上の組み合わせを包含する。さらに好ましくは、CLAの源は加水分解されたひまわり油である。L−カルニチンの好ましい源は、限定なしに、L−カルニチン、及び例えばフマル酸L−カルニチン及び酒石酸L−カルニチンのような任意のL−カルニチン誘導体である。
【0064】
イソフラボン類、共役リノール酸及びL−カルニチンは、食物中に存在しているので、各々が食事/食料の成分中に存在するその各々の濃度を測定し、次に本発明の或る態様に従って、必要とされる水準にまで、各々の合計濃度をもたらすのに十分な量を加えることが好ましいだろう。
【0065】
本発明の或る面に従えば、動物のために適当な栄養補給をも提供する、任意の適当なペット食物配合物を含むことができるダイエットにおいて、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを提供することができる。例えば本発明において使用するための典型的なイヌ(cannine)のダイエットは、約18〜50重量%の粗タンパク質、約4〜30重量%の脂肪、約5〜50重量%の炭水化物、及び約2〜20重量%の総食物繊維を含有することができる。しかしながら、特定のパーセンテージ又は比を必要としない。好ましくは、肥満を減少させ、及び/又は予防するために、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを補足した低カロリー食が動物に与えられる。イヌのための伝統的な低カロリー食は、食物のポンド当たり1400キロカロリー、約25%のタンパク質、約6%の脂肪及び約7%の粗繊維を含む。
【0066】
本発明の他の面に従えば、動物における肥満の減少及び/又は予防のために有用な食事サプリメントが提供され、そのサプリメントは1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む。好ましくはその食事サプリメントはイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせを含む。好ましい態様において、イソフラボン類は大豆イソフラボン類を含む。その食事サプリメントは、限定なしに、液体、固体又は粉末形を包含する任意の都合のよい形であることができる。サプリメントの固体形は、ピル、ビスケット又はトリート(treat)を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0067】
本発明の或る態様に従えば、食事サプリメントは、動物に与える前に“希釈”を必要とする、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンの高濃度を有する食料として形成される。そのサプリメントは、限定なしに、固体(例えば粉末)、半固体(例えば食物状稠度/ゲル)又は液体を包含する任意の形にあることができる。そのサプリメントを任意の適当な様式で動物に投与することができる。例えば、液体形は、食物中に混合されるか、又は例えばスプーンによる、又はパイプ状器具によるような、動物に直接に与えられるのが都合がよい。或る態様において、そのサプリメントはイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンのすべての3種の成分において高含量であることができるか、或いは別々に又は任意の適当な組み合わせで、必要とされる濃度のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを有する、2種以上の成分が組み合わされたパックであることができる。
【0068】
本発明の他の態様は、動物における肥満の減少及び/又は予防において有用な組成物を製造するための方法に関し、その組成物は1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む。好ましくは、その方法は、適当な成分を一緒に混合して混合物を生成し、随意的に、何らかの生の食物成分を調理するためにその混合物を加熱し;そしてその混合物を消費のために適当な形に形成する諸工程を含む。
【0069】
本発明の他の態様は、1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む組成物の有効な量を動物に投与することによる動物における肥満の減少及び/又は予防のための方法に関する。好ましくは、その方法は、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせの有効な量を投与することを含む。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類を含む。好ましくはイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンは例えば本明細書において記載されたようなダイエット、食物、食料、食事サプリメント、又は製薬組成物において動物に投与されることができる。
【0070】
本発明の他の態様は、1種以上のイソフラボン類を含む組成物の有効な量を動物に投与することによる、動物における除脂肪体重を保持するための方法に関する。好ましい態様において、大豆イソフラボン類が投与される。好ましくはイソフラボン類は、例えば本明細書において記載されたような適当なダイエット、食物、食料、食事サプリメント又は製薬組成物において動物に投与することができる。
【0071】
本発明の他の態様は、血漿において循環している性ホルモンの永久的に減少した水準を有する動物における体重の管理のための組成物に関する。性ホルモンは典型的に、去勢、精巣除去、卵巣除去、卵巣摘出又は卵巣子宮摘出、等の後に永久的に減少した濃度にあるか、又は先天的状態に起因して減少した濃度にあるか、又は動物が閉経後及び雄性休止後(post−andropause)である故に減少した濃度にある。性ホルモンはアンドロゲン類、エストロゲン類又はそれらの両方であることができる。好ましい態様において、その組成物は1種以上のイソフラボン類及びそれらの代謝産物、及び随意的にCLA及びL−カルニチンを含み、イソフラボン類は大豆イソフラボン類及びそれらの代謝産物であるのが好ましい。さらに好ましい態様において、その組成物は1種以上のイソフラボン類を含み、好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0072】
本明細書において用いるものとして、“去勢された”とは、そのような状態が先天的に、自然の発育過程により、又は介在する手術により起こっているかのいずれにせよ、生殖器が欠如しているか、又は不完全に発育した若しくは非機能的な生殖器を有する動物を意味する。
【0073】
本明細書において用いるものとして、“精巣除去”とは雄の動物の精巣の除去を意味する。
【0074】
本明細書において用いるものとして、“卵巣除去”とは雌の動物の卵巣の除去を意味する。
【0075】
本発明のその上の他の態様は、血漿中に循環している性ホルモンの永久的に減少した濃度を有する動物における体重管理のための方法に関する。性ホルモンは、去勢、精巣除去、卵巣除去、卵巣摘出又は卵巣子宮摘出、等の後に典型的には、永久的に減少した濃度にあるか、又は先天的状態に起因して減少した濃度にあるか又は動物が閉経後及び雄性休止後であるが故に減少した濃度にある。性ホルモンは、アンドロゲン類、エストロゲン類又はそれら両方であることができる。好ましい態様において、その方法は、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を生じさせることを含み、好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。さらに好ましい態様において、その方法は1種以上のイソフラボン類を含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を含み、そして好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。動物により摂取される組成物は、食料、食事サプリメント、調合薬(pharmaceutical)又はペットトリート(pet treat)の、固体又は液体形で投与することができる。
【実施例】
【0076】
本発明は以下の諸例においてさらに示される。それらの例のすべては実際の例である。それらの例は例示の目的のためのものであり、そして本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0077】
例 1
体重減少
過体重(雄:>22%体脂肪;雌:>26%体脂肪)のイヌを使用した。グループ1(対照食)は、9匹のラブラドールレトリーバー(LRs)及び6匹のシベリアンハスキー(SHs)からなっていた。グループ2(イソフラボン食)は、8匹のLRs及び6匹のSHsからなっていた。グループ3(カクテル食)は、7匹のLRs及び8匹のSHsからなっていた。
【0078】
対照食を与えた動物(グループ1)は、伝統的低カロリー食、即ち1400キロカロリー/ポンド、25%タンパク質、6%脂肪、7%粗繊維を摂取した。イソフラボン食を与えた動物(グループ2)に、10%大豆胚芽粗びき粉(SGM)を含有する該対照食を与えた。カクテル食を与えた動物(グループ3)に、10%SGM、1.5%共役リノール酸(CLA)及び100万当たり100部(100ppm)のL−カルニチンを含有する該対照食を与えた。
【0079】
すべてのイヌは、予備研究MER決定が与えられた。すべてのイヌに、重量減少の最初の3カ月の間にそれらの維持エネルギー要求量(MER)の70%を与えた。3カ月時点で、デュアルエネルギーX線吸光光度測定(Dual Energy X−ray Absorptiometry)(DEXA)により動物を調べた。体重減少の最初の3カ月後に、理想の体脂肪濃度(雄:<17%;雌:<20%)に到達しなかったイヌに、それらのMERの55%を与えてさらに体重減少を誘導した。これらのイヌの体脂肪濃度を6カ月の時点でDEXAにより再び調べた。
【0080】
各々の動物について以下の測定を行った:
・体重、身体状態得点、DEXA。
・イソフラボン類及びそれらの代謝産物の血漿濃度。
・血液レプチン。
・静脈内ぶどう糖負荷試験。
・酸化性ストレス測定(イソプロスタン類(isoprostanes):
フリーラジカル反応によるリン脂質中のアラキドン酸から形成された8−イソプロスタグランジンF2α):3カ月サンプル。
【0081】
結果を図1〜7に示す。体重減少6カ月後に、理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したイヌのパーセンテージは、対照食については53.3%、イソフラボン食については64.3%、そしてカクテル食については66.6%であった。理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したラブラドールレトリーバーイヌのパーセンテージは、対照食については66.7%、イソフラボン食については75%、そしてカクテル食については85.7%であった。理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したシベリアンハスキーイヌのパーセンテージは、対照食については33.3%、イソフラボン食については50%、そしてカクテル食については50%であった。
【0082】
体脂肪減少は、対照食とイソフラボン食との間には差がなかったが、対照食と比較してカクテル食において増加することが観察された。体脂肪減少は、イソフラボン食とカクテル食との間に有意義な差があった(図1、図2)。
【0083】
対照食を与えたイヌは、品種に無関係に、除脂肪体重を減少させた。カクテル食にあるイヌは、除脂肪体重において増加した(p=0.007、対照イヌにおける−399.5gに対して265g)。除脂肪体重減少はまた、イソフラボン食を与えたイヌにおいて減少した(図3)。
【0084】
両方の品種とも、イソフラボングループ及びカクテルグループにおけるイヌのいっそう高いパーセンテージにおいて、対照イヌと比較して体重脂肪濃度が理想濃度(雄:≦17%:雌:≦20%)にまで減少した(図4)。
【0085】
イソフラボン食及びカクテル食の両方は、対照食と比較して血漿イソプロスタン類(脂質酸化性損傷標識)を有意に減少させた(図5)。
【0086】
全ての3つのグループ(対照食、イソフラボン食及びカクテル食)において、ベースラインと比較して、体重減少の3カ月後に、血清レプチン濃度が有意に減少した(図6)。イソフラボンを与えたイヌは体重減少の6カ月後に、インスリンベースラインに対する有意に改良された時間を示した(図7)。
【0087】
ヒト(図8A)及びイヌ(図8B)の血液中のイソフラボン類及びそれらの代謝産物の代謝プロフィールを比較した。エクオルは、試験されたイヌの血液中のイソフラボン代謝産物の優勢な形にあると決定された(図8B)。
【0088】
例 2
体重管理
卵巣除去された、又は去勢された肥満でないイヌ(“正常な”イヌと称せられる、雄:<17.5%体脂肪;雌:<20%体脂肪)を実験に使用した。グループ1(対照食)は、13匹のラブラドールレトリーバー(LRs)からなっていた。グループ2(イソフラボン食)は、14匹のLRsからなっていた。グループ3(カクテル食)は15匹のLRsからなっていた。
【0089】
対照食を与えた動物(グループ1)は、標準の超高品質(superpremium)食(1900キロカロリー/ポンド、30%タンパク質、17%脂肪)を摂取した。イソフラボン食を与えた動物(グループ2)に10%大豆胚芽粗びき粉(SGM)を含有する該対照食を与えた。カクテル食を与えた動物(グループ3)に10%SGM、1.5%共役リノール酸(CLA)及びL−カルニチンの100万当たり100部(100ppm)を含有する該対照食を与えた。
【0090】
全てのイヌの維持エネルギー要求量(MER)を、給餌実験前に調べた。すべてのイヌに12カ月の給餌実験中にそれらのMERの125%を与えた。
【0091】
各々の動物について以下の測定を行った:
・体重、身体状態得点、DEXA。
・イソフラボン類及びそれらの代謝産物の血漿濃度。
【0092】
体重管理結果
正常なイヌにおける体重増加は、給餌の9カ月後(P=0.043、対照グループ対イソフラボングループ)に、及び給餌の12カ月後(P=0.041、対照グループ対イソフラボングループ)に、対照グループにおけるよりもイソフラボングループにおいて有意に低かった。12カ月の研究の全体を通じて、対照イヌにおける平均体重増加は、イソフラボンを与えたイヌのそれよりも2倍ほど多かった(図9)。
【0093】
給餌実験の12カ月にわたって3つのグループのイヌの間で、除脂肪体重変化における差はなく、対照イヌにおける有意に高い重量増加は正常なイヌにおけるいっそう高い体脂肪の蓄積に起因していたことを示す(図10)。
【0094】
対照グループとカクテルグループとの両方はイソフラボングループよりも有意に多い体脂肪を増加させた。対照グループの平均体脂肪増加は、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に5倍多く(P=0.013、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に3倍多く(P=0.007、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に2.7倍多かった(P=0.006、対照グループ対イソフラボングループ)。カクテル食を与えたイヌは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に4.4倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.05、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌9カ月後に2.8倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.014、カルテルグループ対イソフラボングループ)、給餌12カ月後に2.2倍多い平均体脂肪増加を示した(P=0.041、カルテルグループ対ホソフラボングループ)(図11)。
【0095】
対照グループは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける5倍の増加を有し(P=0.011、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける2.8倍の増加を有し(P=0.009、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける2.5倍の増加を有した(P=0.008、対照グループ対イソフラボングループ)。カクテル食を与えたイヌは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に3.9倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.06、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に2.6倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.02、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に1.9倍多い平均体脂肪増加を有した(P=0.098、カルテルグループ対イソフラボングループ)(図12)。
【0096】
この明細書において引用され且つ記載された各々の特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体において参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0097】
本明細書において記載された事項に加えて、本発明の種々の修正変更は上記記載から当業者にとって明らかであろう。そのような修正変更はまた本特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】イヌにおける6カ月体重減少投薬計画中の体脂肪含有量における変化を示す。
【図2】体脂肪減少についての3カ月DEXA結果を示す。イソフラボン対カクテル食についてP=0.018。
【図3】除脂肪体重における変化を測定する3カ月DEXA結果を示す。対照対カクテル食についてp=0.006。
【図4】体重減少の6カ月後に体脂肪濃度が理想的濃度に減少したイヌのパーセンテージを示す。両方の品種においてイソフラボン及びカクテルグループにおけるイヌのより高いパーセントが、それらの体脂肪濃度を、対照イヌと比較して理想的な濃度(雄:≦17%;雌:≦20%)に減少させた。
【図5】酸化性ストレス(損傷)標識血漿イソプロスタン類濃度(ng/ml)についての3カ月の結果を示す。対照対イソフラボンについてP=0.009。対照対カクテルについてP=0.037。
【図6】血清レプチン濃度についてのベースライン及び3カ月の結果を示す。3つの全てのグループにおいて、ベースラインと比較して体重の減少の3カ月後に血清レプチン濃度が有意に減少した。
【図7】体重減少の6カ月後、イソフラボンが、過体重のイヌにおけるインスリンベースラインに対する時間を有意に改良したことを示す。
【図8】イヌ及びヒトの血液中のイソフラボン類及びそれらの代謝産物の、代謝プロフィールにおける差を示す図である。
【図9】正常なイヌにおける体重増加は、給餌の9カ月及び12カ月後、対照グループにおけるより、イソフラボン類グループにおいて有意に低かった(p<0.05)ことを示す。12カ月の実験全体にわたって対照イヌにおける平均体重増加が、イソフラボンを与えたイヌの2倍ほど多かった。
【図10】12カ月の給餌実験にわたって、イヌの3つのグループの間における除脂肪体重変化に差がなかったことを示し、対照イヌにおける有意により高い体重増加が、正常なイヌにおけるいっそう高い体脂肪蓄積に起因していたことを示す。
【図11】対照グループ及びカクテルグループの両方は、イソフラボングループよりも有意に多く体脂肪が増えたことを示す。対照イヌは、6カ月、9カ月及び12カ月のそれぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ5倍、3倍、及び2.7倍多い平均体脂肪増加を有した。カクテルを与えたイヌは、6カ月、9カ月及び12カ月それぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ4.4倍、2.8倍及び2.2倍多い平均体脂肪増加を示した。
【図12】対照グループが、6カ月,9カ月及び12カ月それぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ5倍、2.8倍及び2.5倍の増大を、体脂肪のパーセンテージにおいて、有したことを示す。カクテルを与えたイヌは、6カ月、9カ月及び12カ月のそれぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりもそれぞれ3.9倍、2.6倍及び1.9倍多い平均体脂肪増加を有した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット動物及び他の家畜の栄養に関する。特に、本発明は、動物における体重管理のために、食物、食物サプリメント、等において単独で又は組み合わせて、イソフラボン類、共役リノール酸及びL−カルニチンを使用する組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ヒトと同様に、イヌ及びネコのようなペット動物は、肥満になる可能性がある。脂肪組織(体脂肪)の過剰な蓄積の結果は、過体重又は肥満である動物を生ずる。
【0003】
脂肪組織は重要なエネルギー貯蔵所である。これは、野性動物の毎日の食物供給が限られており、そして確実でないので、野性動物の生存のために重要である。しかしながら、野性動物における体脂肪濃度は、飼い馴らされている動物の体脂肪濃度よりもずっと低い。
【0004】
飼いイヌ及びネコの25〜44%が、米国及びヨーロッパにおいて過体重又は肥満であると推定された(Vet Clin North Am Small Anim Pract.(1989)19:第447頁〜第474頁におけるHand、MS、Armstrong PJ、Allen TA.による肥満症:発生、治療及び予防;Int.J.Obes.(1994)18:S22〜S28におけるScarlett JM、Donoghue S、Saidla J、Wills J.による過体重ネコ:有病率及び危険要因)。過体重または肥満のイヌは、特に中年期(すなわち6〜8才のイヌ)に健康上の問題を持つ過剰体重であることにより起こされるこれらの健康問題が修正されない場合、真性糖尿病、癌、高血圧、肺疾患、循環器疾患及び退行性関節疾患を包含する数多くの慢性疾患の発生について危険が増大する。さらに、イヌは、感染症に対する抵抗性が減少し、及び死亡率が増大する皮膚疾患をこうむる可能性がある。増大した酸化性ストレスは、肥満に伴う上記疾患の増大した危険性に関与すると、少なくとも部分的に信じられる。さらに肥満が動物の体にストレスを加えることは周知である。
【0005】
エネルギー余剰貯蔵部位としてのその役割に加えて、脂肪組織は内分泌器官である。内分泌系は、ホルモン類及びサイトカイン類を介して動物の身体における種々の機能をコントロールする。これらのホルモン類のホメオスタシスは、肥満では乱れている。
【0006】
レプチンは、食欲、代謝及び性的成熟性を調節する機能を果たすタンパク質ホルモンである。レプチンは脂肪細胞において合成され、そして血流中に分泌される。それ故、レプチンの血清濃度は体脂肪の量と相互に関連する。レプチン濃度は、食べ過ぎ又は体重増加の間に増加し、そして絶食又は体重減少中に減少する。レプチンは、如何に多くの脂肪が身体中に貯えられるかに非常に相互的に関連しており、より多い脂肪を有する個人においてより多くの濃度が見い出され、そしてダイエットしている人々において減少した濃度が見い出されることがヒトにおいて示された。同様に、肥満のイヌにおいて、イヌの品種、年齢及び性別とは無関係に、レプチンの血漿濃度を増加させたことが示された。
【0007】
体重に対するレプチンの作用は、体温、エネルギー消費、また食物摂取をコントロールする視床下部中枢へのその作用を介して仲介されることが知られている。カテコールアミン類、コルチコステロイド類、インスリン、性ホルモン類及び成長ホルモンのような、体重調節又はその分布に包含される他のホルモン類又は内分泌物質類は、レプチンにより誘発される可能性があることが示された。
【0008】
或る種の前炎症性サイトカイン類は脂肪組織において合成される。例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、脂肪細胞において合成され、そして局所的に働く。正常な動物において、TNF−αは脂肪細胞の数を調節し、脂肪蓄積を減少させ、そして脂肪分解を促進する。TNF−αはまた、脂肪細胞からのレプチン合成及び分泌を刺激する。TNF−αはインスリンの作用を阻害し;増大したTNF−αはインスリン抵抗に導く。
【0009】
インターロイキン−6(IL−6)は、脂肪組織に関連する他の前−炎症性サイトカインである。正常な動物において、IL−6は脂肪蓄積を減少させ、食欲を抑制し、そして脂肪分解を増大させる。IL−6は肝臓による急性期タンパク質(例えばC−反応性タンパク質)の分泌を促進する。脂肪細胞によるIL−6の合成及び分泌は、循環しているIL−6の主要な源の1つであり得る。循環しているIL−6濃度は肥満と強く相関している。
【0010】
過剰な脂肪組織は異常に活発な内分泌脂肪器官を生じ、これは次に他の内分泌系(例えばインスリン、等)、代謝機能、酸化性ストレス濃度及び炎症に影響する。
【0011】
増大した酸化性ストレスは肥満と関連していた。イソプロスタン類(isoprostanes)は、酸化性ストレス及び組織損傷の安定なインビボマーカー(標識)である(J.Clin.Invest.(1994)93:第998頁〜第1004頁におけるLynch SM、Morrow JD、RobertsII LJ、Frei B.によるインビトロで酸化性ストレスに曝された血漿及び低密度リポタンパク質における非−シクロオキシゲナーゼ−由来のプロスタノイド類(F2−イソプロスタン類)の形成;Proc.Natl.Acad.Sci.(1990)87:第9383頁〜第9387頁におけるMorrow JD、Hill KE、Burk RF、Nammour TM、Badr KF、Roberts II LJによる非−シクロオキシゲナーゼ、フリーラジカル−触媒作用メカニズムによる一連のプロスタグランジンF2−様化合物をヒトにおいてインビボで生成する)。イソプロスタン類は細胞膜リン脂質中のアラキドン酸及び血液中のリポタンパク質の酸化性損傷によりインビボで生成される。それらは脂質過酸化の化学的に安定な最終生成物である。細胞膜リン脂質及びリポタンパク質粒子からのホスホリパーゼにより放出されたイソプロスタン類は血漿中を循環し、そして尿中に排出される。血液及び尿中での高濃度のイソプロスタン類は、インビボにおける一層高い酸化性ストレス及び組織損傷を意味する。
【0012】
肥満のヒトは肥満でないヒトよりも有意に高い血漿濃度のイソプロスタン類を有することが分かった(P<0.05)。イソプロスタン類の血漿濃度は全ての(肥満である及び肥満でない)ヒトにおける肥満度指数(r=0.408;P<0.05):体脂肪重量(r=0.467;P<0.05)、内臓(r=0.387;P<0.05)及び総脂肪面積(r=0.359;P<0.05)と有意に相関していた(J.Clin Endocrinol Metab,(2003年10月)88(10):第4673頁〜第4676頁におけるUrakawa H、Katsuki A、Sumida Y、Gabazza EC、Murashima S、Morioka K、Maruyama N、Kitagawa N、Tanaka T、Hori Y、Nakatani K、Yano Y、Adachi Yによる、酸化性ストレスはヒトにおける肥満症及びインスリン抵抗性に関連する)。
【0013】
肥満それ自体は高血圧を直接導く可能性がある。このことは、イヌに高脂肪の食事を与えることにより肥満を誘導したイヌにおいて示された。イヌにおける体重の増加は、血圧、脈拍数、心拍出量及び糸球体濾過率における増加と関連する。さらに、これらのイヌは、心臓拡張期機能における進行性の変化を示した。アンギオテンシノゲンは血液中に放出され、そこでそれは2種のタンパク質、即ちアンギオテンシン I及びアンギオテンシン IIの前駆体として働く。これらのタンパク質の作用は、腎臓におけるナトリウムの再吸収を介した血圧における増加を導く。
【0014】
動物はエネルギーとして消費されるよりも多くのカロリーを食べることにより脂肪を蓄積する。エネルギーの摂取がその消費を超えるならば、脂肪は蓄積する。脂肪が身体から除去されなければならない場合、より少ないカロリーを摂取しなければならないか又は摂取されるよりも多くのカロリーを使用しなければならない。身体活動は、エネルギーの消費を変化させる。例えば、身体活動の著しい減少は、肥満に導く可能性がある。身体不活動はエネルギー消費を制限し、そして増加した食物摂取の一因となる可能性がある。基礎代謝率(BMR)は、静止している状態における動物により消費されるエネルギーであり、そして正常な身体機能を果たすために必要とされるエネルギーを表す。
【0015】
動物における体脂肪の過剰の蓄積は過剰の体重増加及び肥満を生ずる。このことは、脂肪合成が脂肪分解を超える場合に起こる。脂肪合成を阻害し、及び/又は脂肪分解を促進する物質は、動物における過剰体重増加又は肥満を減少させるか又は予防するかのいずれかのために使用されることができる。現在の体重減少用食事は、体脂肪及び除脂肪体重の両方の減少を生ずる。さらに現在の体重減少用食事は、肥満により起こされる酸化性損傷を減少するようには計画されていない。
【0016】
動物における肥満についての追加の危険な要因は、性器の除去である。去勢、卵巣除去、卵巣摘出、精巣除去、等のような処置は、固体数抑制策のためにしばしば動物で行なわれている。しかしながら、これらの処置の後の動物において体重増加が通常観察されている(J Small Anim Pract.(2001)42:第433頁〜第438頁におけるHarper EJ、Stack DM、Watson TD、Moxham Gによる卵巣子宮摘出後のネコにおける体重、組成及び状態スコアに対する給餌法の効果;Perth,WA.Preb Vet Med.(2003)58:第75頁〜第83頁におけるRobertson IDによる大都市パースからの私的に所有するイヌにおける所有者が気づいている肥満との運動、食事及び他の要因の関連)。体重増加は、性器による性ホルモンの減少した生成及び性器の除去後の内因性性ホルモンの著しく減少した濃度の結果であると信じられる。
【0017】
性ホルモン類の中で、エストロゲン類及びアンドロゲン類は、脂肪組織の代謝において役割を演ずることが見い出された。事実、エストロゲン及びテストステロンの減少した濃度は体脂肪の増大した蓄積と相互的に関連づけられた(Int.J.Obesity(2000)24:S59〜S63におけるPergola GDによる脂肪組織代謝:テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンの役割;Exp Biol Med.(2004)229:第1127頁〜第1135頁におけるCooke PS及びNaaz A.による脂肪細胞発達及び機能におけるエストロゲン類の役割;Eur.J.Endocrinol.(2000)142:第307頁〜第314頁におけるMohamed,MK等による雌ラットにおけるエストロゲン受容体遺伝子の発現上への長期間卵巣摘出及びエストロゲン置換の影響)。性ホルモン類は、例えば脂肪細胞の数及び大きさ、脂質合成及び脂肪分解に影響し、食欲又はエネルギー消費、等を調節することによる、異なる方法で脂肪組織に影響することができる(Int.J.Obesity,(2000)24:S59〜S63におけるPergola GDによる脂肪組織代謝:テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンの役割;Exp Biol Med.(2004)229:第1127頁〜第1135頁におけるCooke PS及びNaaz A.による脂肪細胞発達及び機能におけるエストロゲンの役割;Endocrinol.(2003)144:第3315頁〜第3320頁におけるNaaz等による大豆イソフラボンゲニステインはマウスにおける脂肪沈着を減少させる)。これに関して、ホルモン置換療法及び食事サプリメント供給がこれらの作用を逆転させるための手段として研究された(Menopause.(1999)6:第312頁〜第315頁におけるSayegh,RA等による更年期の女性の体質量及び脂肪組成上へのホルモン置換療法の影響:横断的研究;Am.J.Clin.Nutr.(2002)76:第1191頁〜第1201頁におけるBlathena SJ等による肥満及び糖尿病における食事中の植物エストロゲン類の有益な役割)。
【0018】
食事補給に関して、植物エストロゲン類が脂質代謝を高め、そして脂肪組織の沈着を減少させることにおいて役割を演じることができることを多数の証拠が示唆している(上記Naaz A等(2003);上記Bhathena SJ等(2002);及びArterioscler Thromb Vasc Biol.(2003)23:第2241頁〜第2246頁におけるWagner JD等によるイソフラボンに富むサプリメントではなく、イソフラボン類を有する大豆タンパク質は、動脈低密度リポタンパク質代謝及びアテローム発生を改善する)。植物エストロゲン類は哺乳動物エストロゲン類に類似の構造を有する、植物により生成される化学物質であり、(J Clin Endocrinol Metab.(2001)86:第41頁〜第47頁におけるClarkson TB、Anthony,MS、Morgan TM.による、閉経期後のアテローム性動脈硬化症の進行の阻止:共役ウマエストロゲンと大豆植物エストロゲンとの効果の比較)、そしてヒト、ラット、サル及びマウスを包含する多くの動物種における脂肪組織上のエストロゲン受容体と相互作用をすることができる(上記Naaz A等(2003)文献;Steroids(2002)67:第1029頁〜第1040頁におけるLinford NJ及びDorsa DMによる、17β−エストラジオール及び植物エストロゲンゲニステインは小胞体カルシウム−ATPアーゼ阻害剤タプシガルギンにより誘導されるニューロンのアポトーシスを弱める)。植物エストロゲン類はクメスタン類(coumestans)、リグナン類及びイソフラボン類の、3つの主要なクラスに分類される。イソフラボン類は、それらを投与した被験動物において、脂肪沈着を減少させ、血清低密度リポタンパク質を減少させ、アテローム性動脈硬化症を阻止すること、等々に関して有意にプラスの効果を示した(上記Bhathena,SJ,等(2002);上記Naaz,A,等(2003);上記Wagner JD(2003);J.Agric.Food.Chem.(2004)52:第1764頁〜第1768頁におけるKawakami Y等によるラットにおける生物学的抗酸化システム及び脂質代謝への食事中大豆イソフラボンの調節性作用;及び(2004)15:第142頁〜第148頁におけるFang YC.等によるハムスターにおける血清、肝臓及び低密度リポタンパク質の組織ゲニステイン及び脂質過酸化へのゲニステイン補給の効果)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ヒト及び齧歯類動物における食事補給に関して観察されるプラスの効果にもかかわらず、ペット動物に投与するための食物又は医薬処方物を生成することの必要性が依然として存在し、卵巣切除又は去勢のような性器を除去することの処置を受けたペット動物への投与のためには、なおいっそうそのとおりである。理想的にはそのような食物又は医薬処方物及びこれらを使用する方法は、体脂肪の減少を容易にし、除脂肪体重の減少を最小にし、そして動物における酸化性ストレス損傷を減少させるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
或る面において、本発明は、同時に及び/又は相乗的に、脂肪合成を阻止し、脂肪分解を促進し、そして脂肪酸酸化を増大させることにより、肥満及び過体重動物における体脂肪減少を最大にし、そして除脂肪体重の減少を最少にする、1種以上の栄養物質又は生物活性物質を含む組成物に関する。体脂肪の減少を最大にし、エネルギー源として食事のカロリーを利用することは、肥満及び過体重の動物における体重減少の間に、除脂肪体重を使わないでおく。或る実施態様において、栄養物質及び生物活性物質は、イソフラボン類、イソフラボン類の代謝産物、共役リノール酸、L−カルニチン、あるいは脂肪合成を抑制し、脂肪分解を促進し又は脂肪酸酸化を高める任意の他の栄養物質又は生物活性物質である。
【0021】
したがって、本発明の一つの面は、動物における体重管理のために有効な量で、1種以上のイソフラボン類又はその代謝産物を含む組成物を特徴とする。或る実施態様においてその組成物は、共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む。その組成物は食料、栄養補助食品又は調合薬の形であることができる。
【0022】
或る実施態様において、本組成物は、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、ビオカニン−A、ホルムオノネチン、天然グリコシド、イソフラボン代謝産物、化学的に合成されたイソフラボン又は化学的に合成されたイソフラボン類似体の1種以上を含むイソフラボン類を含む。特定の実施態様において、イソフラボン類は、大豆イソフラボン類、又はエクオルのようなその代謝産物である。
【0023】
本発明の他の面は、そのような組成物を調製するための方法及び工程に関する。本発明の追加の面は、イソフラボン類及び/又はイソフラボン類の代謝産物、そして或る実施態様おいて共役リノール酸又はL−カルニチンを含む組成物を利用する、動物における体重管理のために有用な方法に関する。その組成物及び方法は、脂肪組織の異化作用を高め、脂肪酸酸化を高め、又は脂肪組織の同化作用を減少させることの内の1つ以上を包含するメカニズムにより、動物における体脂肪を減少させるために、又は動物における除脂肪体重を維持するために有効である。本発明組成物及び方法は、去勢された、精巣除去された、又は卵巣除去された動物において、あるいは閉経期後又は雄性休止期後(post−andropause)である動物においての体重管理のために特に十分に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な記載及び実施例を参照することにより理解されるだろう。
【0025】
実施態様の詳細な記載
上記及び開示全体を通じて使用されるものとして、以下の用語は、他に示さない限り、以下の意味を有することが理解される。
【0026】
“有効な量”とは、特定の生物学的な結果を達成させるために有効であり得る、本明細書において記載されるような化合物、物質、組成物及び/又は投薬形態の量を意味する。そのような結果は、肥満の減少及び/又は予防を包含し得るが、しかしそれらに限定されない。そのような有効な活性は、例えば本発明の組成物の摂取を生じさせることにより達成させることができる。
【0027】
“哺乳動物”とは、乳腺により分泌される乳でそれらの子供を養い、そして通常、多かれ少なかれ毛で被われている皮膚を有し、そして動物が閉経期後であるか、雄性休止期後(post−andropause)であるか、精巣除去されているか、卵巣除去されているか、又は去勢されているかのいずれにせよ、齧歯動物(例えば、ネズミ及びラット)、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヒトでない霊長類、ウサギ、白イタチ及びモルモットを非排他的に包含する任意のクラスの温血高等脊椎動物を意味する。
【0028】
“肥満”とは、身体における脂肪の過剰の蓄積の結果として、骨格及び肉体要件の限界を超える体重における増加を意味する。
【0029】
“過体重”とは、正常な又は必要であるより多い重さを有すること、特にその年齢又は身体造り(build)のための正常又は健康と考えられるより多い体重を有することを称する。過体重又は肥満は、ときには、1〜3のBCS(ボディコンディションスコア)が非常に痩せているか又は低体重を示し、4〜5のBCSが理想的な状態又は体重を示し、そして6〜9のBCSが過体重ないし肥満を示す、身体状態得点システムを使用する数値の“得点”として本明細書において言及されることがあり得る。
【0030】
“体重制御プログラム”とは、動物における肥満を予防し、そして/又は減少させるために計画された規制方式(regimen)を称する。そのような規制方式は、限定なしに、特定のダイエット、食物、食料、食事サプリメント又は調合薬を、単独で又は任意の適当な組み合わせで、使用することを包含する。
【0031】
“体重管理”とは、動物が形式化体重制御プログラム上にあるかどうかのいずれにせよ、動物における健康的な体重減少の促進及び健康的な体重維持の促進を意味する。その用語は、体脂肪及び脂肪組織の減少、除脂肪体重の減少の最少化、及び肥満に伴う組織への酸化ストレス損傷の減少を包含する。その用語はまた、体重増加、過剰な体重増加及び肥満の予防、及び除脂肪体重の形成を高めることを包含する。体重管理は、取り分け、脂肪又は脂肪組織の異化作用を高め、脂肪酸酸化を高め、及び/又は脂肪又は脂肪組織の同化作用を減少させることにより達成することができる。
【0032】
或る面において、本発明は動物における肥満の減少及び/又は予防において有用な組成物に関し、該組成物は1種以上のイソフラボン類、共役リノール酸(CLA)及び/又はL−カルニチンを含み、及びその使用方法に関する。本発明の或る面に従う組成物及び方法は、過体重及び肥満動物における体重減少を高めるために有効である。本発明の他の面において、本発明の或る実施態様による組成物及び方法は、正常なボディコンディションスコアを有する動物における脂肪蓄積を減少させ、したがって、正常な動物が過体重又は肥満になるのを予防し、又は過体重又は肥満の状態のままであるのを防止するのに有効である。
【0033】
本発明のいずれの理論又は特定の作用機序に制限されることなしに、本発明の或る実施態様は、脂肪組織の減少を明確に促進する点で有効であると信じられる。本発明の或る面は3つの主要な段階、即ち1)脂肪組織の異化作用を増大させる段階、2)脂肪酸の酸化を増大させる段階、及び3)脂肪組織の同化作用を減少させる段階で働くことにより、動物における脂肪減少を最適化する点で有効であると信じられる。さらに、本発明の或る面によると、体重減少の間の脂肪減少の最適化は、除脂肪体重の減少を防止することができる。さらに、エクオル及びジヒドロダイゼインを包含する、イソフラボン類及びイソフラボン類の代謝産物は、それらのフリーラジカル捕捉活性を介して、肥満に伴う組織損傷を減少させると信じられる。
【0034】
本明細書において用いられるものとして、“脂肪組織”とは、脂肪細胞(fat cells)(又は脂肪細胞(adipocites)と称される)及びそれらを取り囲む細網線維及び細網ネットワークを含む結合組織を表す。脂肪組織は、一般に身体が過剰の脂肪を沈着し、及び貯蔵する場所である。脂肪組織は、限定されないが、白色、褐色及び黄色の脂肪組織を包含する。
【0035】
本明細書において用いられるものとして、“異化作用”とは、より単純な分子への複合分子の代謝的分解を意味する。脂肪組織の異化作用に関して、その用語はエネルギーへの脂肪貯蔵物の代謝的分解及び/又は脂肪細胞の数又は大きさの減少を包含する。
【0036】
本明細書において用いられるものとして“同化作用”とは、単純な物質が複合物質に合成される代謝的プロセスを意味する。脂肪組織の同化作用に関して、その用語はトリグリセリド類の合成、脂肪細胞の生成、及び脂肪細網ネットワークの生成、等を包含する。
【0037】
本明細書において用いられるものとして、“イソフラボン類”とは、ベンゼン基が、ベンゾピラン環の2位置の代わりにその環の3位置に結合されている、フラボンの異性体形である、3−フェニルクロモン類、及びそれらそれぞれの代謝産物を意味する。本明細書において“イソフラボン類”と言う用語が使用されるときはいつでも、それは本明細書において記載されているようなイソフラボン誘導体の特定の例と共に、イソフラボン類の誘導体及び代謝産物を包含することが意図される。イソフラボン類は、大豆を包含するが、しかしそれに限定されない多数の源において見い出すことができる。イソフラボン類の非限定的な例は、ダイゼイン、6−O−マロニルダイゼイン、6−O−アセチルダイゼイン、ゲニステイン、6−O−マロニルゲニステイン、6−O−アセチルゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、6−O−マロニルグリシテイン(6−O−malonyl glycitein)、6−O−アセチルグリシテイン(6−O−acetyl glycitein)、ビオカニン A、ホルムオノネチン又はイソフラボン類の任意の代謝産物を包含する。イソフラボン類及びそれらの使用から誘導される健康に対する或る利点は、科学文献において記載されてきた(例えば、ニューヨークのアカデミックプレス(1988年)発行、Rowland IA監修、The Role of Gut Microflora in Toxicity and Cancer第315頁〜第345頁におけるSetchell KDR、Adlercreutz H.による、哺乳動物のリグナン類(lignans)及び植物エストロゲン.それらの形成、代謝及び健康及び病気における生物学的役割についての最近の研究、を参照)。例えば、大豆は、心臓血管疾患の危険を減少させ;乳癌及び前立腺癌の危険を減少させ;更年期エストロゲン不足に伴う顔面潮紅を緩和し;閉経後の女性における骨粗しょう症を遅延化させ;血漿におけるコレステロール、LDLコレステロール、及びトリグリセリド類の総量を減少させ;閉経後の女性における認知機能を維持し;高血圧の症状を改良し、及び体重減少を促進することが見い出された。
【0038】
イソフラボン類及び代謝産物は、また抗酸化活性を示すことが知られている。エクオル(ダイゼインの代謝産物)は、すべての試験されたイソフラボン類の中で最も大きな抗酸化活性を有する(J.Nutr.(2002)132:第3577頁〜第3584頁におけるSetchell KDR、Brown NM、Lydeking−Olsen Eによる、代謝産物エクオルの臨床的重要性−大豆及びそのイソフラボン類の有効性へのてがかり)。さらに、ダイゼインの他の代謝産物、ジヒドロダイゼインもまた、フリーラジカル捕捉活性を有すると思われる(J.Vas Res(2003)40:第276頁〜第284頁におけるJiang F、Jones GT、Husband AJ、Dusting GJによるアポリポタンパク質E−欠損マウスにおける合成イソフラボン誘導体の心臓血管保護効果)。
【0039】
イソフラボン類及び代謝産物はまた、エストロゲン様活性を示すことが知られている。エクオル(equol)は、任意の他のイソフラボン類よりも一層強く、エストロゲン受容体(ER)−応答性転写(エストロゲン様活性)を誘導する。成人人口の約30〜50%がダイゼインをエクオル(equol)に生体内変化させない(上記J.Nutr.(2002)132:第3577頁〜第3584頁)。ダイゼイン及びグリシテイン(glycitein)は、手術により誘導された月経閉止後のラットにおける体脂肪蓄積を抑制することにおいてエストロゲンによく似ている。
【0040】
イソフラボンゲニステインは、トポイソメラーゼ II(細胞増殖のためのDNA重複に関与する酵素)の阻害剤であることが示された。それはまた、チロシンタンパク質キナーゼを阻害し、したがって制癌剤の性質を提供する。ゲニステインは新脈管形成を抑制する(また制癌剤性質を提供する)。
【0041】
イソフラボン類が身体組成に影響する可能性のあるメカニズムは、イソフラボンゲニステイン及びダイゼインが、ラット脂肪細胞における基礎的且つインスリン刺激脂質生成を抑制し、そして基礎的且つエピネフリン刺激脂肪分解を高めることを示す研究により示唆された(Reprod Nutr Dev.(1999)39:第497頁〜第501頁におけるKandulska K、Nogowski L、Szkudelski T.によるラット脂肪細胞の代謝への或る種の植物エストロゲンの作用)。
【0042】
本明細書において用いられるものとして、“カルニチン”とは、N8,N8,N8−トリメチルリジン及びγ−ブチロベタインから形成されたγ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸のトリメチルアンモニウム(ベタイン)誘導体を意味する。L−カルニチンは、ミトコンドリア膜に関してアシルキャリアであり、したがってそれは、脂肪酸酸化を刺激する。それは、ときにはビタミンBt又はビタミンB7と称せられる(例えば、J.Lipid Res.(1963)4:第279頁におけるFritz IB、Yue KTNによる長鎖カルニチンアシルトランスフェラーゼ、及びカルニチンにより誘発される脂肪酸酸化の触媒作用的増大におけるアシルカルニチン誘導体の役割を参照)。
【0043】
L−カルニチンは、動物体におけるエネルギー生産において重要な役割を演ずる天然に存在する化合物である。L−カルニチンはベータ酸化のために、エネルギー生産に関与する細胞小器官であるミトコンドリアマトリックス中へ、活性化脂肪酸、例えばアシルCoAを輸送する。ベータ酸化は、エネルギー生産のために脂肪酸を分解する過程である。L−カルニチンは主として肝臓及び腎臓でアミノ酸リジン及びメチオニンから合成され、それは他の組織に輸送される。高濃度のL−カルニチンは、他の組織に比較して、骨格筋及び心筋のような、それらの主要なエネルギー源として脂肪酸を使用する組織において見い出される。食肉、家禽、魚及び乳製品はL−カルニチンの豊かな食事源である。
【0044】
本明細書において用いられるものとして“共役リノール酸(CLA)”は必須脂肪酸リノール酸の、位置及び幾何異性体類の混合物を示すために用いられる集合的な用語である(例えば、J.Food Comp.Anal.(1992)5:第185頁〜第197頁におけるChin SF、Liu W、Storkson JM、Ha YL、MW Parizaによるリノール酸の共役ジエン性異性体類、新しく認識されたクラスの抗発癌性物質の食事源を参照)。CLAは、赤色食肉、チーズ、及び全乳を包含する或る種の食物源において天然に見い出される。
【0045】
CLAは、ホルモン感受性リパーゼ活性を高めることにより脂肪組織において脂肪分解を促進する。CLAは脂肪組織における脂質合成のための主要な酵素であるリポタンパク質リパーゼの活性を減少させる。リポタンパク質リパーゼは、トリアシルグリセリドからの脂肪酸の放出に関与している。次に放出された脂肪酸は脂肪細胞により吸収され、再エステル化され、そして脂肪細胞においてトリアシルグリセリドとして貯蔵される。また、CLAは脂肪及び骨格筋の両方においてカルニチンパルミトイルスランスフェラーゼ(CPT)活性を増大させる。CPTは脂肪酸ベータ酸化のための律速酵素である。
【0046】
本発明は、任意の動物、好ましくは哺乳動物に関し;さらに好ましくはネコ、最も好ましくはイヌに関する。
【0047】
本発明の1実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物が提供され、その組成物は動物における肥満の減少及び/又は予防のために有効である。本発明者等は、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせが、体脂肪の減少を促進することにおいて、そして低カロリー食事を与えた動物に投与した場合に、除脂肪体重を保持することにおいて有効であることを本明細書において示した。或る好ましい実施態様において、イソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0048】
本発明の他の実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は動物における肥満の減少及び/又は予防のために有効である。或る好ましい実施態様においてイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0049】
本発明の他の実施態様に従えば、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は動物における除脂肪体重を保持するために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。本発明者等は本明細書において、イソフラボン類を単独で含む組成物が体重制御プログラムにある動物における除脂肪体重の低下を減少させることができることを示した
【0050】
本発明の追加の面は過剰体脂肪に伴う組織損傷を減少させるために有効な組成物及び方法に関する。組織損傷の非限定的な例は、酸化性ストレスによるDNA、RNA、タンパク質類及び脂質類の酸化性変性を包含する。酸化性ストレスは、ヒドロキシル基のような反応性酸素種(ROS)及び酸化窒素、そして硝酸塩、亜硝酸塩及びペルオキシ亜硝酸塩を包含するその副生成物のような反応性窒素種(RNS)からなる(Antioxid Redox Signal.(2005)7:第256頁〜第268頁におけるDavi G、Falco A、Patrono Cによる、真正糖尿病における脂質過酸化;Curr Med Chem(2005)12:第429頁〜第441頁におけるKang D、Hamasaki Nによる普通の病気及び病気状態:老化、神経退化、心不全、糖尿病及び癌におけるミトコンドリアDNAの交代;Physiol Rev.(2004)84:第1381頁〜第1478頁におけるStocker R、Keaney JF Jr.によるアテローム動脈硬化症における酸化性変異の役割)。増大した酸化性ストレスは肥満と関連していた。慢性疾患の病因論における酸化性ストレスの役割を調べるための重要なツールとして役に立つ、インビボにおける酸化性ストレスの状態を査定するための最も信頼できる方法の1つとしてイソプロスタン類(isoprostanes)が出現した(FASEB J.(2004)18:第1791頁〜第1800頁におけるMontuschi P.、Barnes PJ、Roberts LJ 2nd.による、イソプロスタン類:酸化性ストレスの標識及び媒介物質)。
【0051】
本発明の1つの態様において、1種以上のイソフラボン類を含む組成物が提供され、その組成物は肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。本発明の他の態様において、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物が提供され、その組成物は肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0052】
本発明の或る面に従えば、本発明の組成物は、例えばダイエット、食物、食料、食事サプリメント、又は獣医学治療薬品として有用であり得る。その組成物は、意図される用途のために適するように選ばれた担体、希釈剤又は賦形剤を随意に含有することができる。
【0053】
例えば、経口的に、経胃的に、又は経幽門的に、のように、経腸的に組成物を投与することができる。組成物の作用を修正することができる多くの要因、例えば体重、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、対象動物の状態、反応感受性及び重症度は、当業者により考慮することができる。連続的に、又は1日に1回又は食事毎に1回のように周期的に投与を行うことができる。
【0054】
本明細書において用いられるものとして、“食料(foodstuff)”とは、食物として使用するために使用するか又は調製することができる任意の物質を意味する。本明細書において用いられるものとして、“食物(food)”とは、成長、修復、生命過程を維持するために、又はエネルギーを供給するために、生命体の身体において用いられる、タンパク質、炭水化物、及び/又は脂肪から本質的になる材料である。食物はまた、ミネラル類、ビタミン類、及び調味料のような補助的な物質を含有することができる。補助的なミネラル類の非限定的な例は、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マンガン、沃素、セレン、等を包含する。補助的なビタミン類の非限定的な例は、ビタミンA、種々のビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKを包含する。追加の食事サプリメントは、例えばナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、等をまた包含することができる。本明細書において用いられるものとして、食物と言う用語はヒト又は動物の消費に適合された飲料を包含する。
【0055】
本明細書において用いられるものとして、“調合薬(pharmaceutical)”とは、医薬(medicinal drug)である。調合薬をまた薬剤(medicament)と称することができる。本明細書において用いられるものとして“食事サプリメント(dietary supplement)”とは、食事を補足するために意図される製品であり、それは以下のダイエット成分、即ちビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物性成分、アミノ酸、(限定なしに、酵素類あるいは諸々の器官又は分泌器官からの組織を包含する)全体的な毎日の摂取を増大させることにより食事を補足するための食事物質、濃縮物、代謝産物、成分、又は抽出物の任意の1種又は任意の組み合わせを保有するか又は含有することができる。
【0056】
本発明の或る態様において、動物における肥満の減少及び/又は予防において有用である食事又は食料が提供され、その食事又は食料は1種以上のイソフラボン類、CLA、及び/又はL−カルニチンを含む。
【0057】
本発明の或る面は、好ましくは(例えば、米国学術会議、イヌのための栄養要件、National Academy Press発行(1985年)、ワシントンD.C.、及びAssociation of American Feed Control Officialsの官報(Official publication)(1996)において記載されているような)完全な且つバランスのとれた食事と組み合わせて用いられる。即ち、この発明の或る面に従うイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用するのが好ましい。本明細書において用いられるものとして、“高品質の市販食品”とは、例えば、イヌのために上記米国学術会議の推奨において記載されているような80%以上の主要な栄養品の消化可能性を生成するために調製された食事を意味する。同様な高い栄養標準は他の動物のために使用されるだろう。
【0058】
本発明の或る面は、優先的に、ペットトリート類(pet treats)を包含する、例えば湿潤した、中間の又は乾燥した組成物(食物)であることができる動物の食事又は食料に関する。湿潤した食物は、通常、錫製容器又はホイル袋中で販売されており、そして約70〜約90%の水分含有量を有する食物を記載する。乾燥食物は通常、類似の組成のものであるが、しかし約5〜約15%の水分含有量を有し、それ故、例えば小さなビスケット状粗びき粒として提供される食物を記載する。それ故、本発明の或る面は、その用語がペット食品配合及び製造のための業界における当業者により認識されているような、缶に入れられた、乾燥又は中間の水分のペット食物製品に適用することができる。
【0059】
食事又は食料品は、例えばオックスフォードのパーガモンプレス発行、ATB Edney監修、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、第57頁〜第74頁における“バランスのとれた食事”と題するA.Rainbirdによる章に記載されているような当業界において知られている任意の方法に従って作成することができる。適当なでんぷん源は、限定なしに、とうもろこし、米、小麦、大麦、オート麦、大豆及びこれらの混合物のような、穀類、豆類を包含する。適当なタンパク質源は、食肉を包含するがしかしそれに限定されない任意の適当な動物又は植物タンパク質源から選ぶことができる。
【0060】
好ましくは食事又は食料に加えられるべきイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンの濃度は、動物により消費されることができる、食事又は食料のエネルギー含有量に基づいて、そして任意の追加の栄養分に基づいて計算される。好ましくは、完全な及びバランスがとれた食物は、本発明の或る態様に従う食事又は食料を含む。
【0061】
本発明の或る面に従えば、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンは、例えば、包装前の最後の工程としての終わりの時点を包含する食事又は食料の製造及び/又は加工の間の任意の時点で加えることができる。
【0062】
本発明の或る面に従えば、イソフラボン類についての好ましい毎日の投与量範囲は、約5mg/日〜約5000mg/日であることができる。好ましくは、イソフラボン類の毎日の投与量は約30mg/日〜約500mg、さらに好ましくは約80mg/日〜約200mg/日である。L−カルニチンについての好ましい毎日の投与量範囲は、約50mg/日〜約5000mg/日であることができる。好ましくはL−カルニチンの毎日の投与量は約80mg/日〜約500mg/日、さらに好ましくは約100mg/日〜約300mg/日である。CLAについての毎日の好ましい投与量範囲は、約50mg/日〜約8000mg/日であることができる。好ましくはCLAの毎日の投与量は、約500mg/日〜約6000mg/日、さらに好ましくは約1000mg/日〜約4000mg/日である。
【0063】
イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの各々の源は、合成又は天然の任意の適当な源であることができる。イソフラボン類の好ましい源は、限定なしに、例えば豆類、クローバー類及び葛の根のような任意のイソフラボン含有植物を包含する。イソフラボン類の好ましい豆類の源は、大豆、ひよこ豆、及びイソフラボン類を含有する他のタイプの豆類を包含する。イソフラボン類の好ましいクローバー源は、むらさきつめくさ及び地下クローバー(subterranean clover)を包含する。好ましい共役リノール酸源は、加水分解されたひまわり油、CLAの合成異性体又は合成CLA類似体又はそれらの2種以上の組み合わせを包含する。さらに好ましくは、CLAの源は加水分解されたひまわり油である。L−カルニチンの好ましい源は、限定なしに、L−カルニチン、及び例えばフマル酸L−カルニチン及び酒石酸L−カルニチンのような任意のL−カルニチン誘導体である。
【0064】
イソフラボン類、共役リノール酸及びL−カルニチンは、食物中に存在しているので、各々が食事/食料の成分中に存在するその各々の濃度を測定し、次に本発明の或る態様に従って、必要とされる水準にまで、各々の合計濃度をもたらすのに十分な量を加えることが好ましいだろう。
【0065】
本発明の或る面に従えば、動物のために適当な栄養補給をも提供する、任意の適当なペット食物配合物を含むことができるダイエットにおいて、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを提供することができる。例えば本発明において使用するための典型的なイヌ(cannine)のダイエットは、約18〜50重量%の粗タンパク質、約4〜30重量%の脂肪、約5〜50重量%の炭水化物、及び約2〜20重量%の総食物繊維を含有することができる。しかしながら、特定のパーセンテージ又は比を必要としない。好ましくは、肥満を減少させ、及び/又は予防するために、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを補足した低カロリー食が動物に与えられる。イヌのための伝統的な低カロリー食は、食物のポンド当たり1400キロカロリー、約25%のタンパク質、約6%の脂肪及び約7%の粗繊維を含む。
【0066】
本発明の他の面に従えば、動物における肥満の減少及び/又は予防のために有用な食事サプリメントが提供され、そのサプリメントは1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む。好ましくはその食事サプリメントはイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせを含む。好ましい態様において、イソフラボン類は大豆イソフラボン類を含む。その食事サプリメントは、限定なしに、液体、固体又は粉末形を包含する任意の都合のよい形であることができる。サプリメントの固体形は、ピル、ビスケット又はトリート(treat)を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0067】
本発明の或る態様に従えば、食事サプリメントは、動物に与える前に“希釈”を必要とする、イソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンの高濃度を有する食料として形成される。そのサプリメントは、限定なしに、固体(例えば粉末)、半固体(例えば食物状稠度/ゲル)又は液体を包含する任意の形にあることができる。そのサプリメントを任意の適当な様式で動物に投与することができる。例えば、液体形は、食物中に混合されるか、又は例えばスプーンによる、又はパイプ状器具によるような、動物に直接に与えられるのが都合がよい。或る態様において、そのサプリメントはイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンのすべての3種の成分において高含量であることができるか、或いは別々に又は任意の適当な組み合わせで、必要とされる濃度のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを有する、2種以上の成分が組み合わされたパックであることができる。
【0068】
本発明の他の態様は、動物における肥満の減少及び/又は予防において有用な組成物を製造するための方法に関し、その組成物は1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む。好ましくは、その方法は、適当な成分を一緒に混合して混合物を生成し、随意的に、何らかの生の食物成分を調理するためにその混合物を加熱し;そしてその混合物を消費のために適当な形に形成する諸工程を含む。
【0069】
本発明の他の態様は、1種以上のイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンを含む組成物の有効な量を動物に投与することによる動物における肥満の減少及び/又は予防のための方法に関する。好ましくは、その方法は、イソフラボン類、CLA及びL−カルニチンの組み合わせの有効な量を投与することを含む。好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類を含む。好ましくはイソフラボン類、CLA及び/又はL−カルニチンは例えば本明細書において記載されたようなダイエット、食物、食料、食事サプリメント、又は製薬組成物において動物に投与されることができる。
【0070】
本発明の他の態様は、1種以上のイソフラボン類を含む組成物の有効な量を動物に投与することによる、動物における除脂肪体重を保持するための方法に関する。好ましい態様において、大豆イソフラボン類が投与される。好ましくはイソフラボン類は、例えば本明細書において記載されたような適当なダイエット、食物、食料、食事サプリメント又は製薬組成物において動物に投与することができる。
【0071】
本発明の他の態様は、血漿において循環している性ホルモンの永久的に減少した水準を有する動物における体重の管理のための組成物に関する。性ホルモンは典型的に、去勢、精巣除去、卵巣除去、卵巣摘出又は卵巣子宮摘出、等の後に永久的に減少した濃度にあるか、又は先天的状態に起因して減少した濃度にあるか、又は動物が閉経後及び雄性休止後(post−andropause)である故に減少した濃度にある。性ホルモンはアンドロゲン類、エストロゲン類又はそれらの両方であることができる。好ましい態様において、その組成物は1種以上のイソフラボン類及びそれらの代謝産物、及び随意的にCLA及びL−カルニチンを含み、イソフラボン類は大豆イソフラボン類及びそれらの代謝産物であるのが好ましい。さらに好ましい態様において、その組成物は1種以上のイソフラボン類を含み、好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。
【0072】
本明細書において用いるものとして、“去勢された”とは、そのような状態が先天的に、自然の発育過程により、又は介在する手術により起こっているかのいずれにせよ、生殖器が欠如しているか、又は不完全に発育した若しくは非機能的な生殖器を有する動物を意味する。
【0073】
本明細書において用いるものとして、“精巣除去”とは雄の動物の精巣の除去を意味する。
【0074】
本明細書において用いるものとして、“卵巣除去”とは雌の動物の卵巣の除去を意味する。
【0075】
本発明のその上の他の態様は、血漿中に循環している性ホルモンの永久的に減少した濃度を有する動物における体重管理のための方法に関する。性ホルモンは、去勢、精巣除去、卵巣除去、卵巣摘出又は卵巣子宮摘出、等の後に典型的には、永久的に減少した濃度にあるか、又は先天的状態に起因して減少した濃度にあるか又は動物が閉経後及び雄性休止後であるが故に減少した濃度にある。性ホルモンは、アンドロゲン類、エストロゲン類又はそれら両方であることができる。好ましい態様において、その方法は、1種以上のイソフラボン類、CLA及びL−カルニチンを含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を生じさせることを含み、好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。さらに好ましい態様において、その方法は1種以上のイソフラボン類を含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を含み、そして好ましくはイソフラボン類は大豆イソフラボン類である。動物により摂取される組成物は、食料、食事サプリメント、調合薬(pharmaceutical)又はペットトリート(pet treat)の、固体又は液体形で投与することができる。
【実施例】
【0076】
本発明は以下の諸例においてさらに示される。それらの例のすべては実際の例である。それらの例は例示の目的のためのものであり、そして本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0077】
例 1
体重減少
過体重(雄:>22%体脂肪;雌:>26%体脂肪)のイヌを使用した。グループ1(対照食)は、9匹のラブラドールレトリーバー(LRs)及び6匹のシベリアンハスキー(SHs)からなっていた。グループ2(イソフラボン食)は、8匹のLRs及び6匹のSHsからなっていた。グループ3(カクテル食)は、7匹のLRs及び8匹のSHsからなっていた。
【0078】
対照食を与えた動物(グループ1)は、伝統的低カロリー食、即ち1400キロカロリー/ポンド、25%タンパク質、6%脂肪、7%粗繊維を摂取した。イソフラボン食を与えた動物(グループ2)に、10%大豆胚芽粗びき粉(SGM)を含有する該対照食を与えた。カクテル食を与えた動物(グループ3)に、10%SGM、1.5%共役リノール酸(CLA)及び100万当たり100部(100ppm)のL−カルニチンを含有する該対照食を与えた。
【0079】
すべてのイヌは、予備研究MER決定が与えられた。すべてのイヌに、重量減少の最初の3カ月の間にそれらの維持エネルギー要求量(MER)の70%を与えた。3カ月時点で、デュアルエネルギーX線吸光光度測定(Dual Energy X−ray Absorptiometry)(DEXA)により動物を調べた。体重減少の最初の3カ月後に、理想の体脂肪濃度(雄:<17%;雌:<20%)に到達しなかったイヌに、それらのMERの55%を与えてさらに体重減少を誘導した。これらのイヌの体脂肪濃度を6カ月の時点でDEXAにより再び調べた。
【0080】
各々の動物について以下の測定を行った:
・体重、身体状態得点、DEXA。
・イソフラボン類及びそれらの代謝産物の血漿濃度。
・血液レプチン。
・静脈内ぶどう糖負荷試験。
・酸化性ストレス測定(イソプロスタン類(isoprostanes):
フリーラジカル反応によるリン脂質中のアラキドン酸から形成された8−イソプロスタグランジンF2α):3カ月サンプル。
【0081】
結果を図1〜7に示す。体重減少6カ月後に、理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したイヌのパーセンテージは、対照食については53.3%、イソフラボン食については64.3%、そしてカクテル食については66.6%であった。理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したラブラドールレトリーバーイヌのパーセンテージは、対照食については66.7%、イソフラボン食については75%、そしてカクテル食については85.7%であった。理想的な濃度に減少したそれらの体脂肪濃度を有したシベリアンハスキーイヌのパーセンテージは、対照食については33.3%、イソフラボン食については50%、そしてカクテル食については50%であった。
【0082】
体脂肪減少は、対照食とイソフラボン食との間には差がなかったが、対照食と比較してカクテル食において増加することが観察された。体脂肪減少は、イソフラボン食とカクテル食との間に有意義な差があった(図1、図2)。
【0083】
対照食を与えたイヌは、品種に無関係に、除脂肪体重を減少させた。カクテル食にあるイヌは、除脂肪体重において増加した(p=0.007、対照イヌにおける−399.5gに対して265g)。除脂肪体重減少はまた、イソフラボン食を与えたイヌにおいて減少した(図3)。
【0084】
両方の品種とも、イソフラボングループ及びカクテルグループにおけるイヌのいっそう高いパーセンテージにおいて、対照イヌと比較して体重脂肪濃度が理想濃度(雄:≦17%:雌:≦20%)にまで減少した(図4)。
【0085】
イソフラボン食及びカクテル食の両方は、対照食と比較して血漿イソプロスタン類(脂質酸化性損傷標識)を有意に減少させた(図5)。
【0086】
全ての3つのグループ(対照食、イソフラボン食及びカクテル食)において、ベースラインと比較して、体重減少の3カ月後に、血清レプチン濃度が有意に減少した(図6)。イソフラボンを与えたイヌは体重減少の6カ月後に、インスリンベースラインに対する有意に改良された時間を示した(図7)。
【0087】
ヒト(図8A)及びイヌ(図8B)の血液中のイソフラボン類及びそれらの代謝産物の代謝プロフィールを比較した。エクオルは、試験されたイヌの血液中のイソフラボン代謝産物の優勢な形にあると決定された(図8B)。
【0088】
例 2
体重管理
卵巣除去された、又は去勢された肥満でないイヌ(“正常な”イヌと称せられる、雄:<17.5%体脂肪;雌:<20%体脂肪)を実験に使用した。グループ1(対照食)は、13匹のラブラドールレトリーバー(LRs)からなっていた。グループ2(イソフラボン食)は、14匹のLRsからなっていた。グループ3(カクテル食)は15匹のLRsからなっていた。
【0089】
対照食を与えた動物(グループ1)は、標準の超高品質(superpremium)食(1900キロカロリー/ポンド、30%タンパク質、17%脂肪)を摂取した。イソフラボン食を与えた動物(グループ2)に10%大豆胚芽粗びき粉(SGM)を含有する該対照食を与えた。カクテル食を与えた動物(グループ3)に10%SGM、1.5%共役リノール酸(CLA)及びL−カルニチンの100万当たり100部(100ppm)を含有する該対照食を与えた。
【0090】
全てのイヌの維持エネルギー要求量(MER)を、給餌実験前に調べた。すべてのイヌに12カ月の給餌実験中にそれらのMERの125%を与えた。
【0091】
各々の動物について以下の測定を行った:
・体重、身体状態得点、DEXA。
・イソフラボン類及びそれらの代謝産物の血漿濃度。
【0092】
体重管理結果
正常なイヌにおける体重増加は、給餌の9カ月後(P=0.043、対照グループ対イソフラボングループ)に、及び給餌の12カ月後(P=0.041、対照グループ対イソフラボングループ)に、対照グループにおけるよりもイソフラボングループにおいて有意に低かった。12カ月の研究の全体を通じて、対照イヌにおける平均体重増加は、イソフラボンを与えたイヌのそれよりも2倍ほど多かった(図9)。
【0093】
給餌実験の12カ月にわたって3つのグループのイヌの間で、除脂肪体重変化における差はなく、対照イヌにおける有意に高い重量増加は正常なイヌにおけるいっそう高い体脂肪の蓄積に起因していたことを示す(図10)。
【0094】
対照グループとカクテルグループとの両方はイソフラボングループよりも有意に多い体脂肪を増加させた。対照グループの平均体脂肪増加は、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に5倍多く(P=0.013、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に3倍多く(P=0.007、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に2.7倍多かった(P=0.006、対照グループ対イソフラボングループ)。カクテル食を与えたイヌは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に4.4倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.05、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌9カ月後に2.8倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.014、カルテルグループ対イソフラボングループ)、給餌12カ月後に2.2倍多い平均体脂肪増加を示した(P=0.041、カルテルグループ対ホソフラボングループ)(図11)。
【0095】
対照グループは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける5倍の増加を有し(P=0.011、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける2.8倍の増加を有し(P=0.009、対照グループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に体脂肪のパーセンテージにおける2.5倍の増加を有した(P=0.008、対照グループ対イソフラボングループ)。カクテル食を与えたイヌは、イソフラボンを与えたイヌよりも、給餌の6カ月後に3.9倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.06、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌の9カ月後に2.6倍多い平均体脂肪増加を有し(P=0.02、カクテルグループ対イソフラボングループ)、給餌の12カ月後に1.9倍多い平均体脂肪増加を有した(P=0.098、カルテルグループ対イソフラボングループ)(図12)。
【0096】
この明細書において引用され且つ記載された各々の特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体において参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0097】
本明細書において記載された事項に加えて、本発明の種々の修正変更は上記記載から当業者にとって明らかであろう。そのような修正変更はまた本特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】イヌにおける6カ月体重減少投薬計画中の体脂肪含有量における変化を示す。
【図2】体脂肪減少についての3カ月DEXA結果を示す。イソフラボン対カクテル食についてP=0.018。
【図3】除脂肪体重における変化を測定する3カ月DEXA結果を示す。対照対カクテル食についてp=0.006。
【図4】体重減少の6カ月後に体脂肪濃度が理想的濃度に減少したイヌのパーセンテージを示す。両方の品種においてイソフラボン及びカクテルグループにおけるイヌのより高いパーセントが、それらの体脂肪濃度を、対照イヌと比較して理想的な濃度(雄:≦17%;雌:≦20%)に減少させた。
【図5】酸化性ストレス(損傷)標識血漿イソプロスタン類濃度(ng/ml)についての3カ月の結果を示す。対照対イソフラボンについてP=0.009。対照対カクテルについてP=0.037。
【図6】血清レプチン濃度についてのベースライン及び3カ月の結果を示す。3つの全てのグループにおいて、ベースラインと比較して体重の減少の3カ月後に血清レプチン濃度が有意に減少した。
【図7】体重減少の6カ月後、イソフラボンが、過体重のイヌにおけるインスリンベースラインに対する時間を有意に改良したことを示す。
【図8】イヌ及びヒトの血液中のイソフラボン類及びそれらの代謝産物の、代謝プロフィールにおける差を示す図である。
【図9】正常なイヌにおける体重増加は、給餌の9カ月及び12カ月後、対照グループにおけるより、イソフラボン類グループにおいて有意に低かった(p<0.05)ことを示す。12カ月の実験全体にわたって対照イヌにおける平均体重増加が、イソフラボンを与えたイヌの2倍ほど多かった。
【図10】12カ月の給餌実験にわたって、イヌの3つのグループの間における除脂肪体重変化に差がなかったことを示し、対照イヌにおける有意により高い体重増加が、正常なイヌにおけるいっそう高い体脂肪蓄積に起因していたことを示す。
【図11】対照グループ及びカクテルグループの両方は、イソフラボングループよりも有意に多く体脂肪が増えたことを示す。対照イヌは、6カ月、9カ月及び12カ月のそれぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ5倍、3倍、及び2.7倍多い平均体脂肪増加を有した。カクテルを与えたイヌは、6カ月、9カ月及び12カ月それぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ4.4倍、2.8倍及び2.2倍多い平均体脂肪増加を示した。
【図12】対照グループが、6カ月,9カ月及び12カ月それぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりも、それぞれ5倍、2.8倍及び2.5倍の増大を、体脂肪のパーセンテージにおいて、有したことを示す。カクテルを与えたイヌは、6カ月、9カ月及び12カ月のそれぞれの給餌の後に、イソフラボンを与えたイヌよりもそれぞれ3.9倍、2.6倍及び1.9倍多い平均体脂肪増加を有した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における体重管理のために有効な量で、1種以上のイソフラボン類又はその代謝産物を含む組成物。
【請求項2】
共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
組成物が、食料、食事サプリメント又は調合薬(pharmaceutical)の形にある、請求項1の組成物。
【請求項4】
食料が、乾燥食物、湿潤食物、ペットトリート(pet treat)又はそれらの組み合わせを含む、請求項3の組成物。
【請求項5】
食事サプリメントが液体である、請求項3の組成物。
【請求項6】
食事サプリメントが固体である、請求項3の組成物。
【請求項7】
イソフラボン類が、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、ビオカニン A、ホルムオノネチン、天然グリコシド、イソフラボン代謝産物、化学的に合成されたイソフラボン、又は化学的に合成されたイソフラボン類似体の1種以上を含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
イソフラボン類が大豆イソフラボン類又はその代謝産物である、請求項1の組成物。
【請求項9】
大豆イソフラボン代謝産物がエクオル(equol)を含む、請求項7の組成物。
【請求項10】
動物が哺乳動物である、請求項1の組成物。
【請求項11】
動物がイヌである、請求項9の組成物。
【請求項12】
動物がネコである、請求項9の組成物。
【請求項13】
動物が去勢されているか、精巣除去されているか、又は卵巣除去されている、請求項1の組成物。
【請求項14】
動物が閉経後又は雄性休止後(post−andropausal)である、請求項1の組成物。
【請求項15】
動物の体脂肪を減少させるために有効である、請求項1の組成物。
【請求項16】
体重制御プログラムにある動物における除脂肪体重を維持するために有効である、請求項1の組成物。
【請求項17】
組成物が、脂肪組織異化作用を高めるか、脂肪酸酸化を高めるか、又は脂肪組織同化作用を低下させるかのうちの1つ以上のために有効である、請求項1の組成物。
【請求項18】
組成物が、動物における肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である、請求項1の組成物。
【請求項19】
1種以上のイソフラボン類又はそれらの誘導体を含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を生じさせる工程を含む、動物における体重管理のための方法。
【請求項20】
組成物が、共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
体重制御プログラム上にある動物における除脂肪体重を保持するために有効である、請求項19の方法。
【請求項22】
肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である、請求項19の方法。
【請求項1】
動物における体重管理のために有効な量で、1種以上のイソフラボン類又はその代謝産物を含む組成物。
【請求項2】
共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
組成物が、食料、食事サプリメント又は調合薬(pharmaceutical)の形にある、請求項1の組成物。
【請求項4】
食料が、乾燥食物、湿潤食物、ペットトリート(pet treat)又はそれらの組み合わせを含む、請求項3の組成物。
【請求項5】
食事サプリメントが液体である、請求項3の組成物。
【請求項6】
食事サプリメントが固体である、請求項3の組成物。
【請求項7】
イソフラボン類が、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン(glycitein)、ビオカニン A、ホルムオノネチン、天然グリコシド、イソフラボン代謝産物、化学的に合成されたイソフラボン、又は化学的に合成されたイソフラボン類似体の1種以上を含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
イソフラボン類が大豆イソフラボン類又はその代謝産物である、請求項1の組成物。
【請求項9】
大豆イソフラボン代謝産物がエクオル(equol)を含む、請求項7の組成物。
【請求項10】
動物が哺乳動物である、請求項1の組成物。
【請求項11】
動物がイヌである、請求項9の組成物。
【請求項12】
動物がネコである、請求項9の組成物。
【請求項13】
動物が去勢されているか、精巣除去されているか、又は卵巣除去されている、請求項1の組成物。
【請求項14】
動物が閉経後又は雄性休止後(post−andropausal)である、請求項1の組成物。
【請求項15】
動物の体脂肪を減少させるために有効である、請求項1の組成物。
【請求項16】
体重制御プログラムにある動物における除脂肪体重を維持するために有効である、請求項1の組成物。
【請求項17】
組成物が、脂肪組織異化作用を高めるか、脂肪酸酸化を高めるか、又は脂肪組織同化作用を低下させるかのうちの1つ以上のために有効である、請求項1の組成物。
【請求項18】
組成物が、動物における肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である、請求項1の組成物。
【請求項19】
1種以上のイソフラボン類又はそれらの誘導体を含む組成物の有効な量の、動物による規則正しい摂取を生じさせる工程を含む、動物における体重管理のための方法。
【請求項20】
組成物が、共役リノール酸又はL−カルニチンをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
体重制御プログラム上にある動物における除脂肪体重を保持するために有効である、請求項19の方法。
【請求項22】
肥満に伴う組織損傷を減少させるために有効である、請求項19の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−529211(P2007−529211A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503292(P2007−503292)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002865
【国際公開番号】WO2005/089567
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002865
【国際公開番号】WO2005/089567
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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