説明

肩掛け

【課題】本発明は、個人の好みや目的に応じた多様な着用形態を簡単に実現できる実用性とファッション性に優れた肩掛けを提供することにある。
【解決手段】編地で略長方形状に形成された肩掛け本体と、この肩掛け本体の四隅周縁部に設けられる係止具とを備え、係止具が、一対の雄型と雌型とで構成されており、肩掛け本体の長さ方向一端部分における幅方向一端部に雄型が配置されているとともに、同じく長さ方向一端部分における幅方向他端部に雌型が配置され、肩掛け本体の長さ方向他端部分においては、雄型と雌型とが前記長さ方向一端部分に設けられた配置とは逆に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の上から羽織る肩掛けに関するもので、特に、簡単に羽織れて着崩れにくく、ファッション性に優れた肩掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の肩掛けとしては、平面状の布帛の略中央部分に肩幅程度の長さの切れ目を設けて、この切れ目に背中から両腕を通して羽織るケープ状の肩掛けが開示されている (例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−183147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記公報の肩掛けは、切れ目に背中から両腕を通すという不自然な着用方法をとらなければならず、着用が困難である上、着用形態がワンパターンであるのでファッション性に乏しいという不具合がある。また、袖部が大ぶりなので、手作業がしにくいという不具合もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、個人の好みや目的に応じた多様な着用形態を簡単に実現できる実用性とファッション性に優れた肩掛けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の肩掛けは、編地で略長方形状に形成された肩掛け本体と、この肩掛け本体の四隅周縁部に設けられる係止具とを備え、係止具が、一対の雄型と雌型とで構成されており、肩掛け本体の長さ方向一端部分における幅方向一端部に雄型が配置されているとともに、同じく長さ方向一端部分における幅方向他端部に雌型が配置され、肩掛け本体の長さ方向他端部分においては、雄型と雌型とが前記長さ方向一端部分に設けられた配置とは逆に配置されていることを特徴とするものである。
【0005】
また、係止具が、肩掛け本体の長さ方向両端部分に、幅方向端部に沿って所定間隔ごとに複数配置されているものでもよい。
【0006】
さらに、肩掛け本体の長さ方向両端部分が、編地幅が収縮する編組織で構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる肩掛けによれば、編地で略長方形状に形成された肩掛け本体と、この肩掛け本体の四隅周縁部に設けられる係止具とを備え、係止具が、一対の雄型と雌型とで構成されており、肩掛け本体の長さ方向一端部分における幅方向一端部に雄型が配置されているとともに、同じく長さ方向一端部分における幅方向他端部に雌型が配置され、肩掛け本体の長さ方向他端部分においては、雄型と雌型とが前記長さ方向一端部分に設けられた配置とは逆に配置されているので、長辺同士を重ね合わせるように折り畳んだ場合でも、肩掛け本体の短辺同士を重ね合わせるように折り畳んだ場合でも、雄型と雌型とを係止することができる。
【0008】
したがって、係止具を係止せずに、肩掛け本体を広げたり折り畳んだりして使用できることはもちろんのこと、肩掛け本体の長辺同士を重ね合わせるように折り畳んで、対向する雄型と雌型とを係止して、ボレロ風にも着用できるし、肩掛け本体の短辺同士を重ね合わせるように折り畳んで、対向する雄型と雌型とを係止して、ショール風にも着用することができるので、個人の好みや目的に応じた多様な着用形態をとることができる。また、係止具が、雄型と雌型とで構成されているので、容易に着脱することができる。さらに、肩掛け本体が編地で形成されているので、伸縮性がよい上、模様編みや糸の色を変えることで、多様なデザインを施すこともできる。
【0009】
また、係止具が、肩掛け本体の長さ方向両端部分に、幅方向端部に沿って所定間隔ごとに複数配置されているものでは、肩掛け本体の長辺同士を重ね合わせるように折り畳んで、対向する係止具を係止させたときに、肩掛け本体の長さ方向両端部分に筒状の袖部が形成されるので、この袖部に両腕を通すだけで簡単に着用することができる上、着崩れしにくい。さらに、袖部が両腕を覆うので、冬は防寒用、夏は冷房よけや日除け用とするなど、年間を通じて使用できる。
【0010】
また、肩掛け本体の長さ方向中央部が背中の中心に位置するように肩掛けを羽織って、肩掛け本体の短辺同士を着用者の胸元で重ね合わせるようにして、対向する雄型と雌型とを係止すれば、肩掛け本体の長さ方向両端部が連結されるので、着崩れしにくい。
【0011】
また、肩掛け本体の長さ方向両端部分が、編地幅が収縮する編組織で構成されているものでは、肩掛け本体の長さ方向中央部分の編地幅に比べて長さ方向両端部分の編地幅が狭くなるので、袖部が小ぶりで手作業がしやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明にかかる肩掛けの一実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の肩掛け1は、図1に示すように、編地で略長方形状に形成された肩掛け本体2と、この肩掛け本体2の四隅の周縁部分に設けられる係止具3とで構成されている。肩掛け本体2は、全長約150cm、長さ方向中央部21の幅が約57cmで、長さ方向中央部21側から長さ方向両端部22,23にむかって編地幅が狭くなり、長さ方向両端部22,23の幅が約40cmに形成されている。また、肩掛け本体2は、綿繊維の細糸を用いてプレーン編で編成されており、長さ方向両端部22,23に、長さが約5cmのリブ編部24が形成され、幅方向両端部25,26には、幅約2cmの柄編部27が長さ方向全体にわたって縁取り状に一体に形成されている。
【0014】
係止具3は、雄型としてのボタン31,32と雌型としてのボタン穴33,34とで構成されている。そして、肩掛け本体2における長さ方向一端部分28の柄編部27には、幅方向一端部25側に、長さ方向一端部22側から長さ方向中央部21側に向かって5つのボタン31(311〜315)が所定間隔おきに取り付けられ、幅方向他端部26側に、前記ボタン31(311〜315)に対応する5つのボタン穴33(331〜335)が形成されている。なお、長さ方向一端部22側のボタン311から長さ方向中央部21側のボタン315までの間の長さは、約22cmとなっている。
また、肩掛け本体2における長さ方向他端部分29の柄編部27には、ボタン32(321〜325)とボタン穴34(341〜345)とが、前記長さ方向一端部22側に設けられた配置とは逆に配置されている。
【0015】
ここで、本実施形態の肩掛け1の使用例を説明する。まず、第1の使用例としては、肩掛け1を幅方向に半分に折り畳み、長さ方向一端部分28のボタン31(311〜315)をボタン穴33(331〜335)に係止するとともに、長さ方向他端部分29のボタン32(321〜325)をボタン穴34(341〜345)に通して係止して、図2に示すように、肩掛け1の長さ方向両端部分に筒状の袖部4,4を形成する。すると、袖部4,4の間に、袖部4,4の内部に連通する連通部5が形成されるので、着用者は、連通部5から両袖部4,4に両腕を通して、肩掛け1の長さ方向中央部21が背中に配置されるように肩掛け1を羽織る。すると、図3に示すように、肩掛け1が、着用者の首の後ろから背中全体を覆うとともに、肩から両手首までを覆い、さらに、筒状に形成された両袖部4,4が、両肘から手首までの部位をすっぽりと覆うので、ボレロ風に着用できる。
【0016】
次に、第2の使用例を説明する。まず、着用者は、肩掛け1を広げて、肩掛け1の長さ方向中央部21が背中に配置されるとともに、幅方向一端部25が首の後ろに配置されるように肩掛け1を羽織る。次に、肩掛け1の長さ方向両端部22,23を肩から上腕部に回しかけて胸元に配置し、長さ方向両端部22,23の幅方向一端部25に設けられているボタン31(311〜315)をボタン穴34(341〜345)に通して係止させる。すると、図4に示すように、肩掛け1が、着用者の首の後ろから背中全体を覆うとともに、肩から上腕部までを覆い、さらに、首の回りから胸元全体を覆うので、ショール風に着用できる。
【0017】
以上詳述したように、本実施形態の肩掛け1は、編地で略長方形状に形成された肩掛け本体2と、肩掛け本体2の四隅の周縁部分に設けられる係止具3とで構成されており、係止具3が、肩掛け本体2の長さ方向一端部分28における幅方向一端部25に設けられるボタン31(311〜315)と、幅方向他端部26に設けられるボタン穴33(331〜335)と、肩掛け本体2の長さ方向他端部分29において、前記長さ方向一端部分28側の配置とは逆に配置されているボタン32(321〜325)とボタン穴34(341〜345)とからなるので、肩掛け本体2の幅方向両端部25,26を重ね合わせて係止具3を係止してボレロ風に羽織る形態や、肩掛け本体2の長さ方向両端部22,23を重ね合わせて係止具3を係止してショール風に羽織る形態で使用することができる。また、係止具3を係止することなく肩掛け本体2をストール風またはマフラー風に着用する形態でも使用することができる。したがって、個人の好みや目的に応じた多様な着用形態をとることができる。
【0018】
また、首の後ろから肩、背中、腕など冷えやすい部位や、日焼けしやすい部位を覆うことができるので、冬は防寒用、夏は冷房よけや日除け用とするなど、年間を通じて使用できる。また、編地で形成されているので、伸縮性がよく動作を妨げない上、適度な通気性がありムレにくく、さらっとした快適な使用感が得られる。さらに、綿繊維で編成されているので、軽い着用感で着心地がいい上、しなやかで美しいドレープが得られる。また、適度な保温性、吸湿性も有しており、季節を問わず着用しやすい。
【0019】
また、係止具3が、ボタン31,32とボタン穴33,34とで構成されているので、容易に着脱することができる。また、肩掛け本体2の長さ方向両端部22,23をリブ編部24にしたので、デザイン性に優れる上、長さ方向両端部22,23の編地幅を狭くすることができる。したがって、袖部4,4を小ぶりに形成でき、手作業がしやすい。さらに、ボタン31,32とボタン穴33,34とが、長さ方向両端部22,23から約22cmの部分までの間にそれぞれ5つずつ配置されているので、図3に示すボレロ風に羽織ったときには、両肘から手首までの部位を袖部4,4ですっぽりと覆うことができ、洋服に近い感覚ですばやく着用できる上、着崩れしにくく、さらに、両肘から手首までの保温性や日除け効果にも優れる。また、図4に示すショール風に羽織った時には、幅方向一端部25側の柄編部27が胸元に表われ、デザイン性に優れる上、長さ方向両端部22,23を胸元で確実に止着でき、着崩れしにくい。また、肩掛け1によって上半身全体を覆うことができ、保温性にも優れる。
【0020】
なお、着用方法は上記形態に限られず、着用者の創意工夫で多様な着用形態をとることができる。また、肩掛け本体2の編地は、プレーン編に限られず、一部や全体を模様編みにしてもよい。また、多数の色糸を使用して色合いを異ならせてもよい。また、綿繊維でなくてもよく、毛繊維、絹繊維、合成繊維、それらの混紡繊維であってもよい。また、繊維に紫外線吸収加工や、抗菌加工、防臭加工、撥水加工などを施してもよい。
【0021】
また、係止具3は、ボタン31,32とボタン穴33,34とに限られず、面ファスナーやかぎホック、スナップなどでもよい。また、ボタン31,32とボタン穴33,34の数や配置箇所は、本実施形態に限られないが、形成した袖部4,4が肘から手首までの部位を覆う程度の長さがあることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態では、編地幅が収縮する編組織としてリブ編部24を設けたが、これに限られず、例えば、ポリウレタン繊維などの弾性を有する繊維とともに編成した編組織を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる一実施形態の肩掛け1の平面図である。
【図2】図1に示す肩掛け1の係止具3を係止した状態での平面図である。
【図3】図1に示す肩掛け1の一使用例を示す説明図である。
【図4】図1に示す肩掛け1の他の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 肩掛け
2 肩掛け本体
21 長さ方向中央部
22 長さ方向一端部
23 長さ方向他端部
24 リブ編部(編地幅が収縮する編組織)
25 幅方向一端部
26 幅方向他端部
28 長さ方向一端部分
29 長さ方向他端部分
3 係止具
31 ボタン(雄型)
32 ボタン(雄型)
33 ボタン穴(雌型)
34 ボタン穴(雌型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編地で略長方形状に形成された肩掛け本体と、この肩掛け本体の四隅周縁部に設けられる係止具とを備え、
係止具が、一対の雄型と雌型とで構成されており、肩掛け本体の長さ方向一端部分における幅方向一端部に雄型が配置されているとともに、同じく長さ方向一端部分における幅方向他端部に雌型が配置され、肩掛け本体の長さ方向他端部分においては、雄型と雌型とが前記長さ方向一端部分に設けられた配置とは逆に配置されていることを特徴とする肩掛け。
【請求項2】
係止具が、肩掛け本体の長さ方向両端部分に、幅方向端部に沿って所定間隔ごとに複数配置されていることを特徴とする請求項1記載の肩掛け。
【請求項3】
肩掛け本体の長さ方向両端部分が、編地幅が収縮する編組織で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の肩掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−299437(P2006−299437A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119510(P2005−119510)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(397000676)株式会社トモクニ (4)
【Fターム(参考)】