説明

育毛剤

【課題】毛長を伸長させる新規の育毛剤を提供する。
【解決手段】次の一般式(1)で表される複素環誘導体又はその医薬上許容される塩を有効成分とする。


[式(1)中、R、Rは、同一又は異なって、置換されていてもよいアリールを表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又はアルキルを表し、Rは水素原子、アルキル又はハロゲン原子を表す。YはN又はN→Oを表す。また、AはNRを表し、Rは水素原子、アルキル等を表し、Dはヒドロキシで置換されていてもよいアルキレン又はアルケニレンを表し、Eは、フェニレン又は単結合を表し、Gは、O、S等を表し、Qは、カルボキシ、アルコキシカルボニル等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次の一般式(1)で表される複素環誘導体(以下、「本複素環誘導体(1)」という)又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する育毛剤に関するものである。
【化1】


式(1)中、R、Rは、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリールを表し;
、Rは、同一又は異なって、水素原子又はアルキルを表し;
は水素原子、アルキル又はハロゲン原子を表し;
YはN又はN→Oを表し;
AはNRを表し、Rは水素原子、アルキル、アルケニル又はシクロアルキルを表し;
Dはヒドロキシで置換されていてもよいアルキレン又はアルケニレンを表すか、又はAとDとが一緒になって、次の式(2)で表される二価の基を表し;
【化2】


[式(2)中、rは0〜2の整数を表し、qは2又は3を表し、tは0〜4の整数をそれぞれ表す。]
Eは、フェニレン又は単結合を表すか、又はDとEとが一緒になって、次の式(3)で表される二価の基を表し;
【化3】


[式(3)中、uは0〜2の整数を表し、vは0又は1を表す。]
Gは、O、S、SO又はSOを表し;
Qは、カルボキシ、アルコキシカルボニル、テトラゾリル、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又は次の式(4)で表される基を表す。
【化4】


[式(4)中、Rは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、若しくはヒドロキシ、又はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい下記1)〜4)のいずれかの基を表す;
1)アルキル、
2)アリール、
3)アリールオキシ、
4)複素環基。]

【背景技術】
【0002】
近年、ストレスの増加や食生活の変化など様々な社会環境の変化によって、薄毛や抜け毛で悩む男女の数は増加しているといわれている。このため、育毛剤への期待や社会的要求が高まってきている。これまでにも、薄毛や抜け毛の原因を取り除くため、あるいは、薄毛や抜け毛の原因の影響を軽減するために、各種薬剤を配合した育毛剤が検討されてきた。例えば、毛根への血流量を改善するためのセンブリエキス又は酢酸トコフェロールや、頭皮代謝改善のためのヒノキチオールなどの薬剤を配合した育毛剤が、脱毛症の予防および治療のために用いられている。しかし、薄毛や抜け毛は、遺伝的素因、ストレス、食生活の変化や老化などの様々な要因が複雑に絡まって生じると考えられている。このため、従来の育毛剤のように、血行促進や頭皮代謝改善のための薬剤を配合するだけでは満足のいく脱毛防止効果や発毛効果は得られない(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
ウサギにおいて、プロスタグランジンI(以下、「PGI」という。)受容体作動薬であるベラプロストを2週間、皮下投与あるいは経口投与することで毛長の伸長効果が発現することが報告されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
一方、2−{4−[N−(5,6−ジフェニルピラジン−2−イル)−N−イソプロピルアミノ]ブチルオキシ}酢酸(以下、「化合物A」という。)や2−{4−[N−(5,6−ジフェニルピラジン−2−イル)−N−イソプロピルアミノ]ブチルオキシ}−N−(メチルスルホニル)アセトアミド(以下、「化合物B」という。)は、PGI受容体作動剤として、閉塞性動脈硬化症などの治療に有用であることが既に報告されている(例えば、特許文献2を参照)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−331025号
【特許文献2】国際公開第02/088084号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Fragrance Journal、Vol.21、No.9、pp.37-42、1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、主として、新規な育毛剤を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、マウスにおいて、化合物A及び化合物Bが毛長を有意に伸長させることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明としては、例えば、本複素環誘導体(1)又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する育毛剤を挙げることができる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、各試験体投与群の刈毛部面積に対する再発毛部面積の比を表す。縦軸は%を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本複素環誘導体(1)において、例えば、
、Rが、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル及びアルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
、Rが、同一又は異なって、水素原子又はアルキルであり、
が水素原子であり、
YがNであり、
AがNRであり、Rがアルキルであり、
Dがアルキレンであり、
Eが単結合であり、
GがOであり、
Qが、カルボキシ又は式(4)で表される基であり、Rが、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、若しくはヒドロキシ、又はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい下記1)〜4)のいずれかの基である化合物が好ましい。
1)アルキル、
2)アリール、
3)アリールオキシ、
4)複素環基
【0012】
具体的には、例えば、化合物A及び化合物Bを挙げることができ、それらが好ましい。
【0013】
本発明における「アルキル」としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のもの、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルを挙げることができる。とりわけ、炭素数1〜4のものが好ましい。
【0014】
本発明における「ハロアルキル」、「アリールアルキル」、「アルキルチオ」、「アルコキシアルキル」、「アルキルスルホニル」、「モノアルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」、「モノアルキルカルバゾイル」及び「ジアルキルカルバモイル」のアルキル部分としては、前記のアルキルと同じものを挙げることができる。
【0015】
本発明における「アルコキシ」としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6もの、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシを挙げることができる。とりわけ、炭素数1〜4のものが好ましい。
【0016】
本発明における「アルコキシカルボニル」及び「アルコキシアルキル」のアルコキシ部分としては、前記のアルコキシと同じものを挙げることができる。
【0017】
本発明における「アルケニル」としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2〜6のもの、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルを挙げることができる。とりわけ、炭素数3又は4のものが好ましい。
【0018】
本発明における「シクロアルキル」としては、炭素数3〜8のもの、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを挙げることができる。とりわけ、炭素数5〜7のものが好ましい。
【0019】
本発明における「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0020】
本発明における「アリール」としては、炭素数6〜10もの、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを挙げることができる。とりわけ、フェニルが好ましい。
【0021】
本発明における「アリールアルキル」及び「アリールオキシ」のアリール部分としては、前記のアリールと同じものを挙げることができる。
【0022】
本発明における「アルキレン」としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜8のもの、例えば、メチレン、エチレン、1−メチルエチレン、2−メチルエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレンを挙げることができる。とりわけ、炭素数3〜6のものが好ましく、炭素数4のものが特に好ましい。
【0023】
本発明における「アルケニレン」としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2〜8のもの、例えば、エテニレン、1−プロペニレン、2−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、3−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン、4−ペンテニレン、4−メチル−3−ペンテニレン、1−ヘキセニレン、2−ヘキセニレン、3−ヘキセニレン、4−ヘキセニレン、5−ヘキセニレン、1−ヘプテニレン、2−ヘプテニレン、3−ヘプテニレン、4−ヘプテニレン、5−ヘプテニレン、6−ヘプテニレン、1−オクテニレン、2−オクテニレン、3−オクテニレン、4−オクテニレン、5−オクテニレン、6−オクテニレン、7−オクテニレンを挙げることができる。とりわけ、炭素数3〜6のものが好ましく、炭素数4のものが特に好ましい。
【0024】
本発明における「複素環基」としては、次の(1)又は(2)を挙げることができる。
(1)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜4個までのヘテロ原子を有する5若しくは6員の芳香環基、又はそのベンゼン縮合環であって、かかる環構成原子が窒素原子又は硫黄原子の場合、かかる窒素原子、硫黄原子はオキシドを形成していてもよい。例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−インドリル、2−フラニル、3−フラニル、3−ベンゾフラニル、2−チエニル、3−チエニル、3−ベンゾチエニル、1,3−オキサゾール−2−イル、4−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、5−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル、1H−テトラゾール−5−イル、2H−テトラゾール−5−イル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、3−ピラゾリル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルを挙げることができる。
(2)環構成原子として、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を、同一又は異なって、1〜4個含んでいてもよい、4〜8員環の飽和環基、又はそのベンゼン縮合環基であって、環構成原子が窒素原子又は硫黄原子の場合、かかる窒素原子、硫黄原子はオキシドを形成していてもよい。例えば、ピペリジノ、ピペラジニル、3−メチルピペラジン−1−イル、ホモピペラジニル、モノホリノ、チオモノホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、2−テトラヒドロフラニルを挙げることができる。
【0025】
本複素環誘導体(1)は、前記特許文献1(国際公開第02/088084号パンフレット)に記載の方法により合成することができる。
【0026】
本複素環誘導体(1)は、遊離の塩基又は酸のまま医薬として用いることができるが、公知の方法により医薬上許容される塩の形にして用いることもできる。
本複素環誘導体(1)が塩基性を示す場合の「塩」としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、若しくは臭化水素酸の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、若しくはカンファースルホン酸の有機酸の塩を挙げることができる。
本複素環誘導体(1)が酸性を示す場合の「塩」としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、又はカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0027】
本複素環誘導体(1)には、幾何異性体(Z体及びE体)が存在するが、各幾何異性体及びそれらの混合物も本複素環誘導体(1)に含まれる。また、本複素環誘導体(1)には、不斉炭素を有するものも存在するが、各光学異性体及びこれらのラセミ体も本複素環誘導体(1)に含まれる。光学異性体は、上記のようにして得られたラセミ体より、その塩基性を利用して、光学活性な酸(例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、10−カンファースルホン酸)を用いて、公知の方法により光学分割するか、或いは予め調製した光学活性な化合物を原料に用いて製造することができる。
【0028】
本発明に係る育毛剤は、本発明に係る化合物を、そのまま又は医薬上許容される無毒性かつ不活性な担体中に、0.01〜99.5%の範囲内で、好ましくは0.5〜90%の範囲内で含有するものである。
【0029】
上記担体としては、固形、半固形又は液状の希釈剤、充填剤、その他の処方用の助剤を挙げることができる。これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0030】
本発明に係る育毛剤は、固形又は液状の用量単位で、末剤、カプセル剤、錠剤、糖衣剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、トローチ剤等の経口投与製剤、軟膏剤、ローション剤等の非経口投与製剤のいずれの形態をもとることができる。徐放性製剤であってもよい。それらの中で、非経口投与製剤が好ましく、特に軟膏剤、ローション剤が好ましい。
【0031】
末剤は、本発明に係る化合物を適当な細かさにすることにより製造することができる。
【0032】
散剤は、本発明に係る化合物を適当な細かさにし、次いで同様に細かくした医薬用担体、例えば、澱粉、マンニトールのような可食性炭水化物と混合することにより製造することができる。任意に風味剤、保存剤、分散剤、着色剤、香料等を添加することができる。
【0033】
カプセル剤は、まず上述のようにして粉末状となった末剤や散剤あるいは錠剤の項で述べるように顆粒化したものを、例えば、ゼラチンカプセルのようなカプセル外皮の中へ充填することにより製造することができる。滑沢剤や流動化剤、例えば、コロイド状のシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固形のポリエチレングリコールを粉末状となった末剤や散剤と混合し、その後、充填操作を行うことにより製造することもできる。崩壊剤や可溶化剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加すれば、カプセル剤が摂取されたときの医薬の有効性を改善することができる。また、本発明に係る化合物の微粉末を植物油、ポリエチレングリコール、グリセリン、界面活性剤中に懸濁分散し、これをゼラチンシートで包んで軟カプセル剤とすることもできる。
【0034】
錠剤は、粉末化された本発明に係る化合物に賦形剤を加えて粉末混合物を作り、顆粒化もしくはスラグ化し、次いで崩壊剤又は滑沢剤を加えた後、打錠することにより製造することができる。
粉末混合物は、適当に粉末化された本発明に係る化合物を希釈剤や基剤と混合することにより製造することができる。必要に応じて、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール)、溶解遅延化剤(例えば、パラフィン)、再吸収剤(例えば、四級塩)、吸着剤(例えばベントナイト、カオリン)等を添加することができる。
粉末混合物は、まず結合剤、例えば、シロップ、澱粉糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高分子物質溶液で湿らせ、攪拌混合し、これを乾燥、粉砕して顆粒とすることができる。このように粉末を顆粒化する代わりに、まず打錠機にかけた後、得られる不完全な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能である。このようにして作られる顆粒に、滑沢剤としてステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、ミネラルオイル等を添加することにより、互いに付着することを防ぐことができる。
また、錠剤は、上述のように顆粒化やスラグ化の工程を経ることなく、本発明に係る化合物を流動性の不活性担体と混合した後に直接打錠することによっても製造することができる。
こうして製造された錠剤にフィルムコーティングや糖衣を施すことができる。シェラックの密閉被膜からなる透明又は半透明の保護被覆、糖や高分子材料の被覆及びワックスよりなる磨上被覆をも用いることができる。
【0035】
他の経口投与製剤、例えば、液剤、シロップ剤、トローチ剤、エリキシル剤もまたその一定量が本発明に係る化合物の一定量を含有するように用量単位形態にすることができる。
【0036】
シロップ剤は、本発明に係る化合物を適当な香味水溶液に溶解して製造することができる。エリキシル剤は、非毒性のアルコール性担体を用いることにより製造することができる。
【0037】
懸濁剤は、本発明に係る化合物を非毒性担体中に分散させることにより製造することができる。必要に応じて、可溶化剤や乳化剤(例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールエステル類)、保存剤、風味付与剤(例えば、ペパーミント油、サッカリン)等を添加することができる。
【0038】
必要であれば、経口投与のための用量単位処方をマイクロカプセル化することができる。当該処方はまた、被覆をしたり、高分子・ワックス等中に埋め込んだりすることにより作用時間の延長や持続放出をもたらすこともできる。
【0039】
非経口投与製剤は、頭部に塗布するための半固形状の形態、例えば、軟膏剤、ローション剤にすることができる。
【0040】
軟膏剤は、例えば、本発明に係る化合物と疎水性基剤や親水性基剤等の基剤とを混合することにより製造することができる。また、保存剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0041】
ローション剤は、例えば、本発明に係る化合物と溶剤、乳化剤、懸濁化剤等とを常水や精製水等の水性の液体に加え、溶解又は分散させることにより製造することができる。また、保存剤等を添加することもできる。
【0042】
本発明に係る育毛剤の投与量は、体重、年齢等の患者の状態、投与経路、症状の程度等によって異なるが、一般的には成人に対して、本発明に係る化合物の量として、1日当たり1mg〜500mgの範囲内が適当であり、10mg〜50mgの範囲内がより好ましい。場合によっては、これ以下でも足りるし、また逆にこれ以上の用量を必要とする場合もある。また、1日1回から数回の投与又は1日から数日間の間隔で投与することができる。

【実施例】
【0043】
以下に、試験例を掲げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記に示される範囲に限定されるものではない。
【0044】
試験例1
(1)試験体
表1に示されるように、化合物A又は化合物Bが含有される試験体を調製した。表1における各成分の配分を示す数値の単位は重量%である。

【表1】


(2)試験方法
C3H/He系マウス(雄性、7週齢)(日本エスエルシー社製)のものを各試験体につき7〜8匹使用した。一週間馴化させた後、背部を電気バリカンで刈毛後、同日より各試験体を1日1回、一匹当たり0.1mLを30日間滴下した。コントロール群には溶媒のみを滴下した。処置後31日目に屠刹した後、背部の写真撮影を行い、画像解析ソフト(Leica QWin Pro V3.5.1)(Leica社製)を用いて、刈毛部面積に占める毛長の伸長部の面積の比を算出した。なお、コントロール群に対してDunnettの多重比較検定(両側)を実施し、有意差を検定した(###:p<0.001)。
(3)結果
図1に示すように、試験体1又は試験体2を滴下することにより、コントロール群と比べて毛長の伸長部の面積の有意な増加が認められた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表される複素環誘導体又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する育毛剤;
【化1】


式(1)中、R、Rは、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリールを表し;
、Rは、同一又は異なって、水素原子又はアルキルを表し;
は水素原子、アルキル又はハロゲン原子を表し;
YはN又はN→Oを表し;
AはNRを表し、Rは水素原子、アルキル、アルケニル又はシクロアルキルを表し;
Dはヒドロキシで置換されていてもよいアルキレン又はアルケニレンを表すか、又はAとDとが一緒になって、次の式(2)で表される二価の基を表し;
【化2】


[式(2)中、rは0〜2の整数を表し、qは2又は3を表し、tは0〜4の整数をそれぞれ表す。]
Eは、フェニレン又は単結合を表すか、又はDとEとが一緒になって、次の式(3)で表される二価の基を表し;
【化3】


[式(3)中、uは0〜2の整数を表し、vは0又は1を表す。]
Gは、O、S、SO又はSOを表し;
Qは、カルボキシ、アルコキシカルボニル、テトラゾリル、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又は次の式(4)で表される基を表す。
【化4】


[式(4)中、Rは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、若しくはヒドロキシ、又はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい下記1)〜4)のいずれかの基を表す;
1)アルキル、
2)アリール、
3)アリールオキシ、
4)複素環基。]
【請求項2】
複素環誘導体(1)において、R、Rが、同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル及びアルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
、Rが、同一又は異なって、水素原子又はアルキルであり、
が水素原子であり、
YがNであり、
AがNRであり、Rがアルキルであり、
Dがアルキレンであり、
Eが単結合であり、
GがOであり、
Qが、カルボキシ又は式(4)で表される基であり、Rが、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、若しくはヒドロキシ、又はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい下記1)〜4)のいずれかの基である、請求項1に記載の育毛剤。
1)アルキル、
2)アリール、
3)アリールオキシ、
4)複素環基
【請求項3】
次の(1)〜(2)の化合物からなる群から選択される化合物又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する育毛剤;
(1)2−{4−[N−(5,6−ジフェニルピラジン−2−イル)−N−イソプロピルアミノ]ブチルオキシ}酢酸、
(2)2−{4−[N−(5,6−ジフェニルピラジン−2−イル)−N−イソプロピルアミノ]ブチルオキシ}−N−(メチルスルホニル)アセトアミド。


【図1】
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【公開番号】特開2012−92079(P2012−92079A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242887(P2010−242887)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】