説明

脂質代謝改善用組成物

【課題】植物のような天然物由来の成分を有効成分とし、脂肪蓄積抑制、体重増加抑制のような脂質代謝改善作用において、穏やかな作用と確実な脂質代謝改善作用を奏する脂質代謝改善用組成物を提供すること。
【解決手段】レスベラトロール及び難消化性デキストリンを有効成分として含有する脂質代謝改善用組成物からなる。本発明の脂質代謝改善用組成物は、天然物由来成分の穏やかな作用と、成分の組合せによる脂肪蓄積抑制、体重増加抑制における確実な脂質代謝改善作用により、日常的に摂取できる脂質代謝改善用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レスベラトロールと難消化性デキストリンを有効成分とし、天然物由来成分の穏やかな作用と、成分の組合せによる脂肪蓄積抑制、体重増加抑制における相乗的な効果による確実な脂質代謝改善作用を奏する脂質代謝改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は高血圧、高脂血症、高血糖などを併発するメタボリックシンドロームの原因のひとつであり、メタボリックシンドロームは動脈硬化症のリスクを高めることが知られている。日本ではメタボリックシンドロームの罹患者及び予備軍とされる人の増加が以前から認知されており、平成10年度に開始された「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」においてその対策の重要性が指摘されている。しかし健康日本21で推進された「運動や適切な食習慣の推奨」にも関わらず、中高年男性を中心にBMI(体格指数)の増加が続いており、脂肪からのエネルギー摂取の割合も40〜50%という高値になっている(厚生労働省 平成16年国民健康・栄養調査結果の概要)。
【0003】
上述のように肥満の予防には適切なエネルギー摂取や運動が重要であるが、医学的に減量治療が必要な「肥満症」の場合には薬物療法が用いられることがある。現在使用されている肥満症の治療薬としては、マジンドールやシブトラミンといった食欲抑制剤や、アカルボースなどの糖質分解酵素阻害剤が知られている。また、脂肪の腸管での吸収を抑える膵リパーゼ阻害剤としてオルリスタットが知られているが、いずれの薬剤にも副作用が報告されており、必ずしも安全とは言えない(肥満・肥満症の指導マニュアル、医歯薬出版、2003年)。肥満を予防するためにはカロリー摂取を制限することが有効な手段であるが、日常生活で実行することは困難な場合が多い。したがって、食事に含まれる栄養成分の体内への吸収を適度に抑制することは、肥満やメタボリックシンドロームの予防に有用な方法であると考えられる。
【0004】
以上の観点から、近年は、糖質や脂質の吸収を抑制することで肥満の予防を行おうとする試みが検討され、該糖質や脂質の吸収を抑制するのに有効と期待される食品に含まれる機能性成分が注目を集めるようになってきた。このための食品に含まれる機能性成分として、各種のものが開示されている。例えば、食後の血中脂質濃度の上昇を抑制する物質として、植物由来の成分が多く報告されている。かかる植物由来の成分としては、カワラケツメイから抽出、精製することにより調製されたタンニン類が(特開平8−259557号公報)、レモングラス、オールスパイス、シナモン又はクローブの植物又はその抽出物が(特開2001−120237号公報)、キチン−キトサンが(Int. J. Obes. Relat Metab Disord. 23: 174-179, 1999)、ピーマン、かぼちゃ、しめじ、まいたけ、ひじき、緑茶、紅茶、ウーロン茶の水抽出物が(特開平3−219872号公報)開示されている。更には、植物由来の水溶性食物繊維である難消化性デキストリンなどが報告されている(「日本食物繊維研究会誌」Vol.4, No.2, 2000)。
【0005】
一方、ポリフェノールの1種であるレスベラトロール(t-レスベラトロール:3,4’,−5−Trihydroxy-stillben)はブドウや赤ワインに含まれる抗酸化作用を有するフィトアレキシン(抗菌性物質)である。本物質には、心臓病予防改善効果、抗酸化活性、抗炎症効果や脳血栓症予防、抗癌効果や、脳梗塞後の脳組織障害進展抑制効果が示されているほか、サーチュインの活性化による抗肥満効果が示されている。
【0006】
レスベラトロールは、ブドウのほか、ラッカセイやイタドリに含まれていることが知られているが、特開2005−281179号公報には、イタドリの根から高濃度のレスベラトロールを濃縮・回収する方法が開示され、化粧料などの製剤への配合が示されている。また、特開2006−273834号公報には、ブドウ等から抽出したレスベラトロールをAMPK(AMP-activated protein kinase)活性化による脂質代謝促進作用を有する物質として、脂質代謝活性化剤として用いることが、特開2008−239576号公報には、ブドウの芽や蔓から抽出したレスベラトロール類を体脂肪低減剤として用いることが開示されている。更に、特開2009−13159号公報には、アントシアニジンや、プロアントシアニジン、及び、レスベラトロールを含有するコケモモ果実からの抽出物を、フケ防止、カロリー摂取に対するダイエット、抗酸化フリーラジカルの除去、心脳血管の疾病の予防、血栓形成の抑制、及び美白を目的とする機能性食品に用いることが開示されている。
【0007】
上記のとおり、健康機能改善を目的として糖質や脂質の吸収を抑制する物質として、各種の植物由来の成分が見出されているが、これらの植物由来の成分を用いることの最大の狙いは、穏やかな作用で、しかも確実な健康機能を有する物質を提供するということであり、したがって、かかる作用や機能を有する更なる植物成分の探索が望まれるところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−219872号公報
【特許文献2】特開平8−259557号公報
【特許文献3】特開2001−120237号公報
【特許文献4】特開2005−281179号公報
【特許文献5】特開2006−273834号公報
【特許文献6】特開2008−239576号公報
【特許文献7】特開2009−13159号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】肥満・肥満症の指導マニュアル、医歯薬出版、2003年
【非特許文献2】Int. J. Obes. Relat Metab Disord. 23: 174-179, 1999
【非特許文献3】日本食物繊維研究会誌、Vol.4、No.2、2000年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、植物のような天然物由来の成分を有効成分とし、脂肪蓄積抑制、体重増加抑制のような脂質代謝改善作用において、穏やかな作用と確実な脂質代謝改善作用を奏する脂質代謝改善用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、レスベラトロール(3,4’,5−Trihydroxy-stillbene)の生理活性について鋭意検討する中で、レスベラトロールと難消化性デキストリンを組み合わせたものが、脂肪蓄積抑制、体重増加抑制のような脂質代謝改善作用において、相乗的な効果を奏することを見出し、かかる有効成分の組合せにより、各成分それぞれ単独で用いた場合よりも優れた脂質代謝改善作用を奏することを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、レスベラトロール及び難消化性デキストリンを有効成分として含有する脂質代謝改善用組成物からなる。本発明の脂質代謝改善用組成物は、天然物由来成分の穏やかな作用と、成分の組合せによる脂肪蓄積抑制、体重増加抑制における確実な脂質代謝改善作用により、日常的に摂取できる脂質代謝改善用組成物を提供する。
【0012】
本発明の脂質代謝改善用組成物において、レスベラトロールと難消化性デキストリンの含有比は、重量比で、1:10〜1:20であることが好ましい。本発明の脂質代謝改善用組成物の投与形態は特に限定されないが、通常、経口投与の形で投与することが望ましく、作用効果上、連続投与の形で投与することが好ましい。また、本発明の脂質代謝改善用組成物を飲食品の形態で投与(摂取)することもできる。
【0013】
すなわち、具体的には本発は(1)レスベラトロール及び難消化性デキストリンを有効成分として含有する脂質代謝改善用組成物や、(2)脂質代謝改善用組成物が、体重増加抑制用組成物であることを特徴とする上記(1)記載の脂質代謝改善用組成物や、(3)脂質代謝改善用組成物が、脂肪蓄積抑制用組成物であることを特徴とする上記(1)記載の脂質代謝改善用組成物や、(4)組成物中のレスベラトロールと難消化性デキストリンの含有比が、重量比で、1:10〜1:20であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物からなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、植物のような天然物由来の成分を有効成分とし、脂肪蓄積抑制、体重増加抑制のような脂質代謝改善作用において、穏やかな作用と確実な脂質代謝改善作用を奏する脂質代謝改善用組成物を提供する。本発明の脂質代謝改善用組成物は、日常的に摂取可能な脂質代謝改善剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の総摂餌量[対照群(HFD);レスベラトロール0.2%群(0.2%RES);難消化性デキストリン3%(w/w)群(3%難デキ);レスベラトロール0.2%及び難消化性デキストリン3%(w/w)群(0.2%RES+3%難デキ)、における67日間の総摂餌量(3匹)(g/cage)]を示す図である。
【図2】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の経日的な体重(g)の推移を示す図である。
【図3】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の体重あたりの精巣周囲の脂肪重量(mg/g body weight)を示す図である。
【図4】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の体重あたりの腸管膜周囲の脂肪重量(mg/g body weight)を示す図である。
【図5】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の体重あたりの腎周囲の脂肪重量(mg/g body weight)を示す図である。
【図6】本発明の実施例における、高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用についての試験の結果において、試験区各群の体重あたりの皮下脂肪重量(mg/g body weight)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、レスベラトロール及び難消化性デキストリンを有効成分として含有する脂肪蓄積抑制作用、体重増加抑制作用を有する脂質代謝改善用組成物からなる。
【0017】
本発明に用いるレスベラトロール(3,4',5-Trihydroxy-stillbene)は、ポリフェノールの一種であるスチルベントリオールである。レスベラトロールは、エチルアルコールに易溶なポリフェノールでありトランス型とシス型が存在する、またパイシードはレスベラトロールの配糖体である。
【0018】
本発明において、レスベラトロールは、合成や生合成によって得られるものを使用できるほか、レスベラトロールやパイシードを含有する植物や食品をそのままの状態か、切断、破砕、天然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、醗酵の加工を行なったものを使用したり、更に常法に従って、抽出、濃縮、粉末化、顆粒化などの処理を行なって得られたものも使用できる。例えば、ブドウ、落花生、ピーナッツ、及びイタドリやツルドクダミ等のタデ科植物が挙げられる。
【0019】
本発明において有効成分として用いるレスベラトロールの採取源としては、ブドウが特に好ましい。ブドウの種類は、特に限定されるものではないが、デラウエア、巨峰、甲州、ピオーネ、マスカット、シュナンブラン、グレナッシュ、マタロ、ミュラーテュルガウ、トレッビアーノ、ベリーA、カベルネソービニオン、メルロー、ピノノアール、カベルネフラン、シラー、シャルドネ、ソービニヨンブラン、セミヨン、シラー、ガメイ、リースリング、アリゴテ等が好ましい。ブドウ抽出物とは、ブドウ果実、ブドウ葉又はブドウに由来する物からの抽出物を指す。ブドウに由来する物としては、ブドウジュース、ワイン、ワイン製造時の残渣、ワイン濃縮物等をいう。
【0020】
本発明において有効成分として用いるレスベラトロールは、上記天然物由来の材料から、抽出により調製することができる。抽出は、例えば、レスベラトロールはブドウの果皮や葉に多く含まれているので、それらから水や熱水、アルコール水、有機溶剤等を用いた一般的な抽出方法で行う。また、ワイン、ワインの濃縮物又は濃縮乾固した固形物中にも含まれているので、それらを用いることもできる。また、ワイン製造時に発生するブドウの残渣をそのまま用いるか、それから有機溶剤/水等により抽出することもできる。有機溶剤としてはエタノール等のアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0021】
本発明において有効成分として用いられる難消化性デキストリンは、ヒトの消化酵素では加水分解されないデキストリンとして定義される。より具体的には、ヒトで栄養となるグルコースを構成単位とし、グリコシド結合によってグルコースが少なくとも3分子以上結合したものであり、更に、ヒト消化酵素で加水分解されないグリコシド結合を有するものである。また、ヒト消化酵素により加水分解された分解物に、難消化性デキストリンを含むものであれば、ヒト消化酵素で加水分解されるグリコシド結合を有するものであっても良い。したがって、人が摂取する前に、ヒト消化酵素により加水分解されるグリコシド結合を有し、摂取後、胃から小腸に移送されるまでに、ヒト消化酵素により、上記加水分解されるグリコシド結合が加水分解されるものであっても、その分解物に、上記難消化性デキストリンを含むものであれば、本発明でいう難消化性デキストリンに含まれる。芋などの澱粉より製造され、市販されているものであっても良い。
【0022】
本発明の脂質代謝改善用組成物は、その製剤化にあたって、レスベラトロール及び難消化性デキストリンの成分からなる有効成分に加え、適宜、各用途に適した添加剤を含有させることができる。該添加剤としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、システイン、スレオニン等のアミノ酸等があげられる。
【0023】
本発明の組成物には、レスベラトロール及び難消化性デキストリンの成分からなる有効成分に加え、適宜、その他の成分を含有させることでより脂質代謝改善に適した組成物にできる。該その他の成分としては、例えば、麦由来の成分、麦芽、麦汁、ホップ、ホップエキス、生茶葉抽出物、玄米、はと麦、ハブ茶、とうもろこし、コラーゲンペプチド、飲用海洋深層水、乾燥ローズヒップ、黒豆、黒胡麻、キダチアロエ、ゆずの皮、ビタミン、ビタミンC、香辛料抽出物、紅茶、カフェイン、果糖ぶどう糖液糖、食塩、アラニン、シトルリン、有機酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、アルギニン、ピロリン酸鉄、グルコン酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、砂糖、酸味料、ウコン、発酵ウコンエキス、クルクミン、脱脂粉乳、乳タンパク、乳ペプチド、サイクロデキストリン等があげられる。本発明の脂質代謝改善用組成物は、レスベラトロール及び難消化性デキストリンの成分からなる有効成分を含有し、必要に応じて薬理学的に許容される一種または二種以上の担体、更に必要に応じて他の治療のための有効成分を含有していてもよい。
【0024】
本発明の脂質代謝改善用組成物は、レスベラトロール及び難消化性デキストリンの成分からなる有効成分を必要に応じ担体等と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製剤化することができる。製剤の投与形態は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与または、例えば静脈内、腹膜内もしくは皮下投与等の非経口投与をあげることができるが、経口投与がより好ましい。投与する剤形としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、縣濁剤、乳剤、浸剤・煎剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、エリキシル剤、エキス剤、チンキ剤、流エキス剤等の経口剤、注射剤、点滴剤、クリーム剤、坐剤等の非経口剤のいずれでもよいが、経口剤として好適に用いられる。
【0025】
本発明の脂質代謝改善用組成物を製剤化する際には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いることができる。経口投与に適当な、例えばシロップ剤等の液体調製物である場合は、水、蔗糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類などを添加して、製剤化することができる。
【0026】
また、経口投与に適当な、例えば錠剤、散剤、顆粒剤等の場合には、乳糖、白糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール等の糖類、バレイショ、コムギ、トウモロコシ等の澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機物、カンゾウ末、ゲンチアナ末等の植物末等の賦形剤、澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコン油等の滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロース、ゼラチン、澱粉のり液等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤などを添加して、製剤化することができる。
【0027】
また、経口投与に適当な製剤には、一般に飲食品に用いられる添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。
【0028】
経口投与に適当な製剤は、そのまま、または例えばビール、発酵アルコール飲料、ビールテイスト飲料、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、チューインガム、キャンディー、スナック菓子等の菓子類、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等、粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態として脂質代謝改善用の健康食品、機能性食品、栄養補助食品、特定保健用食品等の飲食品として用いてもよい。
【0029】
非経口投与に適当な、例えば注射剤は、好ましくは受容者の血液と等張であるオルニチンまたはその塩を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、潤沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種またはそれ以上の補助成分を添加してもよい。
【0030】
本発明の脂質代謝改善用組成物中のレスベラトロールは、製剤の種類、当該製剤の投与により期待する効果等に応じて適宜選択されるが、通常は0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。また、難消化性デキストリンは通常は0.15〜75.0重量%、好ましくは0.75〜15.0重量%、特に好ましくは1.5〜7.5重量%である。本発明の製剤の投与量および投与回数は、投与形態、投与される者の年齢、体重等に応じて異なるが、成人に対し一日あたりレスベラトロールとして、通常は0.1g〜10g、好ましくは0.2g〜4.0g、特に好ましくは0.5g〜2.0gとなるように、難消化デキストリンとして、通常は1.5g〜150g、好ましくは3.0g〜60.0g、特に好ましくは7.5g〜30.0gとなるように1日に1回ないし数回に分けて投与する。投与期間は、特に限定されないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1日間〜3ヶ月間である。
【0031】
本発明の組成物中の、レスベラトロールと難消化性デキストリンとの割合は、重量比で1:2〜1:100、好ましくは1:5〜1:40、より好ましくは1:10〜1:20である。本発明の医薬または飲食品を投与または摂取することにより脂質代謝を改善することができる。本発明において脂質代謝改善作用は、具体的には脂質蓄積抑制等の作用によるものであり、これらも本発明の用途の一部を構成する。体重増加抑制作用は、脂肪蓄積抑制、特に、内臓脂肪蓄積抑制の作用によるものであり、これも本発明の用途の一部を構成する。
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
[高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験におけるレスベラトロール及び難消化性デキストリンの脂質代謝改善作用]
<試験方法>
5週齢の雌性C57BL/6Jマウス(日本チャールズリバー)をAIN93G飼料(オ
リエンタル酵母)により7日間自由飲水、自由摂餌下で飼育後、試験食の給餌を開始した。試験食は、脂質由来のエネルギー比が60%の高脂肪食(Metabolism, 45, 1539-1546 (1996))を用い、レスベラトロール、難消化性デキストリン、レスベラトロール+難消化性デキストリン投与群には、それぞれにレスベラトロール0.2%、難消化性デキストリン3%或いはレスベラトロール0.2%及び難消化性デキストリン3%(w/w)を混合したものを給餌した。全ての群はn=9で67日間の飼育試験を行った。飼育期間中は一週間に2回の摂餌量の測定を行い、体重測定を1週間に1回行った。飼育最終日に非絶食条件化でエーテル麻酔の後、頚椎脱臼による安楽死を行った。その後、解剖を行い、皮下脂肪組織、精巣周囲脂肪組織、腎周囲脂肪組織、腸間膜周囲脂肪組織をそれぞれ採取し、湿重量を測定した。有意差検定はMann-Whitney U testにより実施し、p<0.05以下の場合に有意差ありとした。
【0034】
<結果>
結果を、図1〜6に示す。図1は、試験区各群の総摂餌量[対照群(HFD);レスベラトロール0.2%群(0.2%RES);難消化性デキストリン3%(w/w)群(3%難デキ);レスベラトロール0.2%及び難消化性デキストリン3%(w/w)群(0.2%RES+3%難デキ)、における67日間の総摂餌量(3匹)(g/cage)]を示す。図2は、試験区各群の経日的な体重(g)の推移を示す。図3は、試験区各群の体重あたりの精巣周囲の脂肪重量(mg/g body weight)を、図4は、試験区各群の体重あたりの腸管膜周囲の脂肪重量(mg/g body weight)を、図5は、試験区各群の体重あたりの腎周囲の脂肪重量(mg/gbody weight)を、図6は、試験区各群の体重あたりの皮下脂肪重量(mg/g body weight)を示す。
【0035】
上記試験において、飼育期間中、各実験群の摂餌量に変化は認められなかった。図に示されるように、体重は、レスベラトロール0/2%群及び難消化性デキストリン3%群ともに対照群に対して低値を示したが、レスベラトロール0.2%+難消化性デキストリン3%の混餌によりさらに低い値で推移した。混餌飼育開始7週間後以降は、レスベラトロール0.2%+難消化性デキストリン3%混餌群のみ対照群に対して場合に有意に低値であった。更に、解剖時脂肪組織重量は皮下、腎周囲、精巣周囲、腸間膜周囲のいずれにおいても、各実験群は対照群よりも低い値を示したが、レスベラトロール0.2%+難消化性デキストリン3%の混餌投与群は、それぞれ単独での投与群よりもさらに低い値を示した。
【0036】
この結果から、レスベラトロール0.2%+難消化性デキストリン3%の混餌投与による体重増加の抑制作用が、脂肪蓄積の抑制によるものであることが示唆された。以上の結果から、体重増加量の抑制、脂肪蓄積量の抑制が示され、レスベラトロール0.2%+難消化性デキストリン3%の同時摂取が、それぞれの成分の相乗的な作用効果が得られ、肥満の予防にそれぞれ単独で用いるよりも有効であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、植物のような天然物由来の成分を有効成分とし、脂肪蓄積抑制、体重増加抑制のような脂質代謝改善作用において、日常的に摂取可能な、穏やかな作用と確実な脂質代謝改善作用を奏する脂質代謝改善用組成物を提供する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスベラトロール及び難消化性デキストリンを有効成分として含有する脂質代謝改善用組成物。
【請求項2】
脂質代謝改善用組成物が、体重増加抑制用組成物であることを特徴とする請求項1記載の脂質代謝改善用組成物。
【請求項3】
脂質代謝改善用組成物が、脂肪蓄積抑制用組成物であることを特徴とする請求項1記載の脂質代謝改善用組成物。
【請求項4】
組成物中のレスベラトロールと難消化性デキストリンの含有比が、重量比で、1:10〜1:20であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−132151(P2011−132151A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291428(P2009−291428)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【出願人】(000001915)メルシャン株式会社 (48)
【Fターム(参考)】