説明

脱型後のコン穴を塞ぐ、キャップの接着固定法。

【課題】 脱型後、コンクリートに残るコン穴を塞ぐキャップの接着固定法の開発。
【解決手段】 〔0021〕
コン穴に残るセパレータ凸部を、本出願キャップに内蔵せしめる鳶口にて喰わえ込み、当該キャップ尻を回転させつつコン穴へ嵌め込む。
〔0022〕
嵌め込まれる当該キャップ側面には、回転を利用して、ポゾラン接着剤を均等に充填塗膜せしめつつ、コン穴にキャップを圧入する。
〔0023〕
キャップ内臓の鳶口がセパレータ先端を喰わえ込んでいるので、圧着が緩む事はない。
〔0024〕
ポゾラン接着剤は硬化後、ポゾラン効果により接着面組織が高密度となって、躯体コンクリートと一体化され、防水性能を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木建築のコンクリート打設用型枠技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱型後、コンクリート表面に残るコン穴は、従来、穴埋めをするか、又は、モルタル製のキャップに樹脂接着剤を添着して、穴に嵌め込む等のどちらかであったが、何れも難点があった。
【0003】
この難点克服のため、当該キャップと躯体コンクリートを同質にし、且つ、当該キャップに躯体コンクリート以上の強度を持たせ、コンクリートとの一体化を図る。
【0004】
そこで、キャップに十分な圧縮強度と捻じり強度を持たせるため、当該キャップ材料に、セメント及びアモルファスシリカ(SiO)とアルミナ(Al)を含むポゾラン材料を添加して製作すれば、アモルファスシリカ(SiO)が、セメントの水酸化カルシウム(Ca(OH))とポゾラン反応を起こし、セメント粒子と結合能力の高い珪素カルシウム(SiCa)の水化物ゲル(C−S−H)を生成する。しかるに、このゲルを構成する珪素カルシウム(SiCa)は、球状を呈し且つ、非常に微細な粒のため、セメント粒子間の隙間に無数に入り込み、空隙を充填して、緩やかに膨張するため、高密度となり、故に高強度なるコンクリートのキャップが製作可能となり、このキャップを用いてコン穴を塞げば、充分に強度を高めることができる。
【特許文献1】 特開2002−255621
【非特許文献1】土木学会学術概要集第5部46巻1991年160−161頁
【0005】
さらに、この反応は、常温でしかも長期に渡り持続するため、当該キャップとコン穴との接着剤としても使用すれば、躯体コンクリートとポゾラン反応を起こし、キャップ接着面の組織が高密度となり、躯体コンクリート組織と隙間なく一体となって防水性能をも確実なものにすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンクリート用型枠施工に於いて、打設コンクリート硬化後、型枠を脱型し、コンを除去した後の躯体コンクリートに残るコン穴は、従来、モルタル等を用い指にて穴埋めをするか、又は、予め製作したモルタル製のキャップに樹脂接着剤を添着し、指にて穴に差し込む等のどちらかであったが、何れも、作業能率が悪く、防水性と接着効果の時間的耐久性に難点があった。即ち、穴埋めタイプの場合は、埋める材料であるモルタルの乾燥収縮のため、コン穴とに微小なる隙間が生じ、漏水の原因となった。キャップを嵌めるタイプの場合は、樹脂接着剤の材質の経年変化のため接着力及び防水力が低下し、信頼性に乏しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
脱型後の躯体コンクリート表面に残るコン穴のセパレータ凸部を利用し、図2に示す如く、本出願キャップに内臓せしめる鳶口で以って、このセパレータ凸部を喰わえ込み、当該キャップ尻を電動工具の回転圧力にて、コン穴へ押し込む。
【0008】
回転しながら尻から捻じ込まれるキャップ側面には、上記ポゾラン接着剤(ノロ状)を用い、回転を利用して当該キャップ側面に充填せしめ、まんべんなく均等に塗覆しコン穴に圧着させる。キャップは、図2に示す如く鳶口がセパレータ凸部を喰わえて離さないのでキャップが穴に接着されるまで接着面が緩む事がない。
【0009】
ポゾラン接着剤硬化後、ポゾラン効果によって、コン穴とキャップ側面との接着面のコンクリート組織は高密度となって固まり、やがて躯体コンクリートと一体となる。
【0010】
キャップ本体は、回転力に対する捻じり耐力を保持させるため、上記載の高強度のコンクリート製を用いる。
【0011】
コン穴にキャップを密着させるために、接着剤の過多のなきようキャップ側面に充填供給せしめ、且つ、不足なきよう、コン穴とキャップとの空隙を埋める接着剤の全容積は、キャップ凹部に挿入されてセパレータ凸部によって排斥される容量と同量に設ける。
【発明の効果】
【0012】
本出願のキャップ側面に塗着せしめる接着剤は、樹脂等の有機質系接着剤を一切用いず、ポゾラン反応を利用した無機質系を使用する。従って、有機物による工学的二次的副作用は生じない。
【0013】
数週間(約8週)後、接着剤は、ポゾラン反応によりキャップ接着面のコンクリート組織が高密度となって、躯体コンクリートと一体となり、防水効果を確実なものにする事ができる。
【0014】
電動工具使用が可能なため、作業性が著しく改善される。
【0015】
キャップの構造が単純なので、低コストなる製造が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
当該キャップの回転を利用し、コン穴との接着面に接着剤をまんべんなく均等に充填塗着せしめる。
【0017】
コン穴に存置するセパレータ先端凸部を、キャップ内臓の鳶口にて喰わえるので、接着効果が発現されるまでキャップの圧着が緩む事がない。
【実施例】
【0018】
図2、は本発明の実施例であり、インパクトレンチを用い、キャップを尻から押し込み、回転により接着剤をキャップ側面に均等に充填せしめ塗着させ、且つ、鳶口にて固着されたキャップは緩む事なく圧着された状態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 脱型後のコン穴の断面
【図2】 コン穴に挿入された当該キャップの納まり図
【図3】 本出願キャップ図
【図4】 当該キャップを嵌め込む際の概念図。
【符号の説明】
【0020】
1:コン穴に残るセパレータ凸部
2:キャップに内臓された鳶口
3:押し込まれるキャップ尻の臍
4:躯体コンクリート
5:コン穴に充填されるポゾラン接着剤
6:本出願キャップ
7:電動工具(インパクトレンチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート用型枠組立補助材(以下、コンと言う)を用いた施工に於ける、脱型後のコン穴に残るセパレータ凸部を、当該キャップに内臓せしめる鳶口にて掴みつつキャップを尻からコン穴へ押し込み、キャップの回転を利用して、ポゾラン接着剤をまんべんなくキャップ表面に充填塗着せしめ、コン穴側面に圧着させる。鳶口がセパレータ凸部を掴むので、接着効果が発現されるまで、キャップが穴から緩む事のない、脱型後のコン穴を塞ぐ、キャップの接着固定法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−52624(P2006−52624A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263067(P2004−263067)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(504340408)
【Fターム(参考)】