脱穀機
【課題】扱胴の駆動速度を変更可能にするための構造の複雑化を避けるとともに、装置の大型化も避けながら、扱胴の速度を変更可能にした脱穀機を提供する。
【解決手段】扱胴駆動用のアウターロータモータ3を、扱胴ドラム41の内部で、扱胴ドラム41を支持する扱胴軸42に装着し、このアウターロータモータ3の外側ロータ部分に、前記扱胴ドラム41に対して駆動力を伝達する駆動部材35を装着してある。
【解決手段】扱胴駆動用のアウターロータモータ3を、扱胴ドラム41の内部で、扱胴ドラム41を支持する扱胴軸42に装着し、このアウターロータモータ3の外側ロータ部分に、前記扱胴ドラム41に対して駆動力を伝達する駆動部材35を装着してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや定置式脱穀機など、回転駆動される扱胴を用いて穀稈を脱穀処理するように構成された脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の脱穀機では、エンジン動力を走行装置の駆動系に伝達するとともに、ベルト伝動機構やギヤ連動機構などを介して扱胴を一定回転数で駆動するように構成していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−142175号公報(段落〔0013〕、〔0016〕、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、刈取り脱穀作業の際の機体の走行速度を、圃場における稲の倒伏状況などに応じて、通常の刈取り作業速度よりも極端に低速にして走行する場合もある。ところが脱穀処理を行うための扱胴の回転速度は、その脱穀性能を確保するために、あまり低速で駆動する訳にはいかず、所定以上の回転数で駆動する必要がある。
このため、従来では、走行駆動系や刈取り駆動系は作業条件に応じて高低変速操作を行うように構成し、脱穀駆動系では予め適正速度として定めた一定速で駆動するように構成していた。
【0005】
しかしながら、扱胴が常に一定速で駆動されていると、例えば脱穀対象の穀稈量が極端に少ない場合には、穀稈に対する扱歯の接触頻度が高くてワラ屑の発生割合が増大し、逆に、脱穀対象の穀稈量が極端に多い場合には、穀稈に対する扱歯の接触頻度が低くて扱き残しが発生し易くなる傾向がある。
このため、穀稈量に応じて扱胴の駆動速度をある程度変更できるようにすることが望ましいが、そのためには、脱穀駆動系に扱胴速度を高精度で変速することのできる変速装置、及びその変速装置を操作するための操作装置を配設する必要があり、構造の複雑化に伴うコスト増、ならびに、それらの変速装置や操作装置の配設スペースを確保する必要から装置の大型化を招く虞がある。
【0006】
本発明の目的は、扱胴の駆動速度を変更可能にするための構造の複雑化を避けるとともに、装置の大型化も避けながら、扱胴の速度を変更可能にした脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の脱穀機における技術手段は、扱胴駆動用のアウターロータモータを、扱胴ドラムの内部で、扱胴ドラムを支持する扱胴軸に装着し、このアウターロータモータの外側ロータ部分に、前記扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着してあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の脱穀機では、扱胴の駆動速度を変更可能な駆動手段としてアウターロータモータを用いたものであり、速度制御が容易な電動モータであるところのアウターモータの駆動力を利用して扱胴の駆動を行うので、構造上の複雑化を避けながら速度変更可能な扱胴を構成することができる。
そして、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部で扱胴軸に備えて、扱胴軸周りで回転駆動される外側ロータ部分に、扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着したものであるから、スペース的に余裕のある扱胴のドラム内空間を駆動手段であるアウターロータモータの配設用空間として利用でき、この駆動手段の配設用空間を確保するために構造の大型化を招くというような不具合がない。
しかも、アウターロータモータの外側ロータ部分に駆動部材を装着して扱胴ドラムを駆動するものであるから、アウターロータモータの構成部材である外側ロータモータも扱胴ドラムの駆動部材としての役割を兼ねることになり、構成部材の兼用化による構造の簡素化をも図ることができる。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の脱穀機における第2の解決手段は、扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の脱穀機では、扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてあるので、扱胴の支持構造を簡素化することができる。
つまり、エンジン側からの駆動力を扱室の外側で扱胴軸に伝動プーリなどを介して回動駆動するように伝え、その回転する扱胴軸に扱胴ドラムを支持させる従来の構造のものでは、扱胴軸を支承する扱き室の前壁及び後壁に備える軸支部に、扱胴ドラム、扱胴軸、扱胴軸に動力を伝えるプーリの各重量、及びそのプーリに作用するベルトテンション、等の全ての負荷が前記軸支部に作用する。このため、前記従来の構造のものでは、前記負荷が作用する軸支部、及び前壁、ならびに後壁を、前記負荷に抗するために必要な比較的高強度を有した構造に構成する必要がある。
【0011】
これに対して本発明のものでは、扱胴軸が扱室の前壁と後壁とに固設してあって、前壁と後壁とを連結することで連結された部材相互の強度向上に役立つ機能を果たすことになる。したがって、その扱胴軸が扱胴ドラムの支持や駆動のための手段としてだけではなく、前壁と後壁とを含めて扱室の補強部材としての役割をも兼ねることになり、この点での構造の簡素化及び軽量化を図り得る利点がある。
そして、前壁と後壁とに固設される扱胴軸は、前壁と後壁とに軸支部を形成する必要もなく、扱胴ドラムとアウターロータモータを支持し得る強度を備えるだけでよく、またアウターロータモータが扱胴ドラムの駆動手段としてのみならず、扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持するための手段としての役割をも兼ねるので、これらの点でも構造の簡素化、小型化を図り得る利点がある。
【0012】
〔解決手段3〕
本発明の脱穀機における第3の解決手段は、脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の脱穀機では、脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて、脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御するものであるから、脱穀負荷の増減の要因となる脱穀対象穀稈量の増減や、穀稈の湿潤度合いの変化など、様々な要因による負荷変動に対応させて適切な扱胴駆動速度を得易いという利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
本発明の脱穀機における第4の解決手段は、脱穀負荷検出手段を脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーで構成し、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の脱穀機では、脱穀負荷検出手段として脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーを備え、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御するものであるから、脱穀対象となる穀稈量の変化に対応させて適切な扱胴駆動速度を得易く、多くのワラ屑が発生したり、扱き残しが多くなるような不具合を回避し易いという利点がある。
【0016】
〔解決手段5〕
本発明の脱穀機における第5の解決手段は、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備してあることを特徴とする。
【0017】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明の脱穀機では、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備したものであるから、扱胴ドラムの脱穀処理方向下手側寄りの部分に比べて脱穀負荷の大きい箇所で扱胴を無理なく駆動することができる。また、その負荷の大きい部分に設けられる駆動部材が扱胴ドラムの補強部材としての機能をも果たし得る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの伝動系を示す線図である。
【図4】脱穀装置の内部を示す断面図である。
【図5】アウターロータモータ部分を示す断面図である。
【図6】主変速レバーの支持構造を示す断面図である。
【図7】主変速レバーの操作形態を示す説明図である。
【図8】制御系統を示すブロック図である。
【図9】穀稈量検出センサーの実施形態を示す側面図である。
【図10】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す側面図であり、(a)はチャフシーブ上での脱穀処理物層の厚みを検出する手段を示し、(b)はチャフリップ板の揺動角度を検出する手段を示す。
【図11】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す説明図であり、扱胴の駆動トルクを検出する手段を示す。
【図12】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す説明図であり、扱胴の駆動トルクを検出する手段を示す。
【図13】扱胴の別実施形態を示す一部切り欠き側面図である。
【図14】図13における扱胴の径方向での断面を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明の脱穀機の一例であるコンバイン全体の構造について説明する。
図1には自脱形コンバインの左側面が示され、図2にはその全体平面が示されている。
このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置11を装備し、機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置2が設けられている。前記機体フレーム1の左後部に脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1の右後部には、脱穀装置4で選別回収された穀粒を貯留し、穀粒搬出用オーガ52を介して外部へ搬出する穀粒貯留装置5を搭載してある。さらに、機体フレーム1の右前部に設けた原動部7、原動部7の上方側に形成した搭乗運転部10などを備えている。また、脱穀装置4の後部には、脱穀済みの排ワラを、長ワラのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、細断して機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成された排ワラ処理装置9が装備されている。
【0020】
〔伝動系の構成〕
クローラ式走行装置11、及び機体フレーム1上の各種装置に対する伝動系は次のように構成されている。
図3に示すように、機体フレーム1上に搭載された原動部7にエンジン70を備え、そのエンジン70の出力軸70aの軸心方向が左右向きになる姿勢で配置されている。そのエンジン70から左右の各クローラ式走行装置11への伝動は、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン70の出力軸70aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置11の駆動輪11Aにわたる走行用の伝動系を介して行われる。
走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置15、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置16、及び、ミッションケース17に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
【0021】
左右の各クローラ式走行装置11は、搭乗運転部10に装備した主変速レバー18を前後方向に揺動操作することで、静油圧式無段変速装置16による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うことができるように構成されている。又、搭乗運転部10に装備した操向操作レバー19を左右方向に揺動操作することで、ミッションケース17内のギヤ式変速装置による直進状態、左右の緩旋回状態、及び左右の急旋回状態の切り換えを行えるように構成されている。
【0022】
刈取搬送装置2は、静油圧式無段変速装置16による変速後の動力がワンウェイクラッチ16aやベルトテンション式の刈取クラッチ20などを介して伝達される。図1及び図2に示されているように、複数の引き起こし装置21、バリカン型の刈取装置22、及び穀稈搬送装置23などが駆動される。機体の走行に伴って、その前端に装備された複数の分草具24が倒伏した植立穀稈を分草し、各引き起こし装置21が分草後の植立穀稈を引き起こし、刈取装置22が引き起こされた植立穀稈の株元側を切断し、穀稈搬送装置23が刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に切り換えながら後方の脱穀装置4に向けて搬送するように構成されている。又、操向操作レバー19を前後方向に揺動操作することで、リフトシリンダ25の作動により刈取搬送装置2の昇降操作を行えるようになっている。
尚、この刈取搬送装置2における刈取速度を、前記静油圧式無段変速装置16による無段階での変速のみならず、圃場の条件や茎稈の倒伏状況などに応じて大きく変化させたい場合には、ミッションケース17内に装備させた専用のギヤ変速機構で構成された刈取変速機構26による高低2段の変速操作を、シフトギヤ(図示せず)のシフト操作で行えるように構成してある。
【0023】
脱穀装置4は、扱室4A内に配備された扱胴40を、扱胴40の内部に配備した後述するアウターロータモータ3で駆動するように構成してある。そのアウターロータモータ3への電力供給は、前記エンジン70の出力軸70aから伝動ベルト71を介して駆動されるオルタネータ12、及びそのオルタネータ12で発電された電力を蓄えるバッテリ13を備え、前記バッテリ13からアウターロータモータ3へ電力供給されるように構成してある。
【0024】
前記エンジン70の出力軸70aから脱穀装置4への伝動系としては、前記伝動ベルト71とは別の伝動ベルト72で分岐された伝動系によって、かつテンションクラッチ式のフィードチェーンクラッチ75を介してエンジン70からの動力が入力されるように構成してある。
この別の伝動ベルト72で分岐された伝動系から伝達される動力は、フィードチェーン49へ駆動力を伝達するものであるが、その伝動途中では、唐箕45の唐箕駆動軸45Aに動力が伝達され、唐箕45を回転駆動するように構成されているとともに、前記唐箕駆動軸45Aからの動力がベルト伝動式の伝動機構73,74を介して1番回収スクリュー47および2番回収スクリュー48にも伝達される。
そして、さらに前記ベルト伝動式の伝動機構73,74から伝えられる動力によってシーブケース46(図4参照)の駆動カム軸46Aをも駆動したのち、フィードチェーン49に前記動力が伝達され、フィードチェーンクラッチ75の入り切り操作に基づいてフィードチェーン49、ならびに前記唐箕45やシーブケース46の駆動、及び駆動停止が行われるように構成してある。
【0025】
穀粒貯留装置5は、グレンタンク51と穀粒排出用オーガ52とを備え、この穀粒排出用オーガ52に対してエンジン70の動力が伝達されるように構成してある。つまり、前記エンジン70の出力軸70aのうち、右側横側方から機体外側に向けて突出させた部分から穀粒貯留装置5の入力部53にわたって伝動ベルト54を掛張し、その伝動ベルト54による動力伝達を入り切り操作するベルトテンション式の穀粒排出用クラッチ50を備えたものである。
【0026】
前記グレンタンク51は、その後部に備えた縦軸心y周りに、その全体がエンジン70の後方に位置する作業位置と、その前部側が機体フレーム1の右外方に張り出してエンジン70の後方を開放するメンテナンス位置とにわたって揺動変位可能に、かつ、図外のロック機構によって作業位置及びメンテナンス位置での位置保持が可能となるように構成されている。
【0027】
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。
すなわち、図3に示すように、伝動ベルト54が掛張される入力プーリ56、及びその入力プーリ56に対して一体回転可能に、かつ相対摺動可能にスプライン嵌合される伝動軸57は機体フレーム1側に設けた軸受けブラケット10bに支持されている。
前記伝動軸57に伝えられた動力は、その伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられ、かつ、その入力伝動軸58のベベルギヤ58aと前記スクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して前記スクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に伝達されるように構成されている。
【0028】
前記入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、前記伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58cを備え、伝動軸57からの回転動力を伝達されながら、軸線方向での抜き差しが可能に構成されているので、前記縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴なう係脱を許容することができる。
図3中の符号59は、伝動軸57を入力伝動軸58側へ押しつけ付勢するための押圧用スプリングである。
【0029】
〔脱穀装置〕
図4に示すように、脱穀装置4は、機体前後方向に向く水平方向軸芯x周りで回転駆動される扱胴40を内装する扱室4Aを上方側に備え、その扱室4Aの下方側に脱穀処理物を選別処理する選別室4Bとを備えている。
【0030】
前記扱胴40は、前記扱室4Aの前壁40Fと後壁40Rとの間にわたって架設された扱胴軸42に、相対回動自在に枢支されている。つまり扱胴軸42は、その両端側が扱室4Aの前壁40Fと後壁40Rとに対して相対回動不能に固定して連結してあり、その扱胴軸42に対して扱胴40が、前後両端側でボールベアリングからなる軸受け部42a,42aを介して相対回動自在に枢支されている。
そして、扱胴40の円筒状の扱胴ドラム41の内部空間には、前記扱胴軸42に対して扱胴40の駆動手段であるアウターロータモータ3が装備されていて、そのアウターロータモータ3の駆動に伴って、扱胴ドラム41を扱胴軸42に対して相対回転させるように構成してある。
この実施形態では、扱胴ドラム41の内部空間における前部側寄りの位置に、すなわち、脱穀負荷が大となる扱胴40の前部側寄りの位置にアウターロータモータ3が配備されている。尚、アウターロータモータ3を扱胴ドラム41の内部空間における後部側寄りの位置や前後中間部に配備してもよい。
【0031】
前記アウターロータモータ3は、次のように構成してある。
すなわち、扱胴ドラム41の内部空間に配設されるアウターロータモータ3は、図5に示すように、扱胴軸42側に固定子となるコア30が扱胴軸42と一体に装着してあり、そのコア30にコイル31が巻き付けられている。
そして、前記コア30を内装するモータケースを兼ねた回転子であるロータ32(外側ロータ部分に相当する)が、前記扱胴軸42に対してボールベアリング34を介して相対回転自在に枢支してあり、そのロータ32の内周面側に前記コア30の外周面側に対向する状態で永久磁石33が取り付けてある。
さらに、前記ロータ32の外周側には、そのロータ32の外周面と扱胴ドラム41の内周面とにわたって半径方向に延設されたステー35(駆動部材に相当する)を設けてあって、ロータ32が回転するに伴って扱胴ドラム41が回転駆動されるように構成してある。
このロータ32の回転は、ロータ32の一端側に形成されているギヤ部32a、及びそのギヤ部32aに噛み合うピニオン62aを介してロータリエンコーダ62(扱胴回転数センサーの一例)で検出されるように構成してあり、このロータリエンコーダ62で検出されたロータ32の回転数が後述する制御装置6に入力され、扱胴40の回転数として判別される。
図中、符号67はコイル31に対する導電線であり、扱胴軸42の外周に沿って配設されている。
【0032】
扱胴40の外周側下方には受網43が、扱胴40の外周面との間に所定間隔を隔てて扱胴40の下半側外周を下方側から覆うように設けてあり、扱胴40による扱き作用を受けて脱粒した穀粒を下方の選別室4B側へ漏下させ、扱き作用に伴って発生したワラ屑などの多量の塵埃を含む脱穀処理物を後方側へ送って扱室4Aの終端側から排出させるように構成してある。
【0033】
図4に示すように選別室4B側では、前記受網43から漏下した多くの穀粒を含む脱穀処理物、及び扱室4Aの終端側から排出された多くの塵埃を含む脱穀処理物を、シーブケース46の揺動による比重選別、及び唐箕45の送風による風選選別によって選別処理するように、前記シーブケース46及び唐箕45が配設されている。
すなわち、シーブケース46の前部には、前記受網43の前半部から漏下した多くの穀粒を含む脱穀処理物を受け止める波形のグレンパン46aが設けられるとともに、その後方には、チャフシーブ46b、および、ストローラック46cが順次設けられ、さらに、前記チャフシーブ46bの下方に精選別用のグレンシーブ46dが備えられている。
【0034】
そして、選別室4Bの下部には、グレンシーブ46dから漏下してきた穀粒(1番物)を回収して穀粒タンク6に搬出する1番回収スクリュー47と、チャフシーブ46bやストローラック46cから漏下してきた枝梗付き穀粒などの2番物を回収して2番還元装置44に送り込む2番回収スクリュー48が設けられ、2番還元装置44で搬送された2番物はシーブケース46の前部に還元されて再度の選別処理を受けるようになっている。ストローラック46cでの篩い選別作用によって、長いワラ屑中に含まれる2番物が回収された後の長いワラ屑などは排塵口4Cから機外に排出されてゆく。
【0035】
〔排ワラ処理装置〕
脱穀装置4の後部からカッターケース90の上部にわたって、フィードチェーン49で挟持搬送された脱穀処理後の排ワラを挟持して後方の排ワラ搬送装置9へ送り込む排ワラ搬送装置91が設けられている。
そして、排ワラ搬送装置91の搬送終端側の下方には、脱穀済みの排ワラを、長ワラのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、細断して機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成された排ワラ処理装置9が装備されている。
この排ワラ処理装置9は、前記カッターケース90、及びカッターケース90に内装されていて、供給された長ワラを細断する排ワラ切断装置92と、前記排ワラ切断装置92に対して排ワラを供給可能な開放姿勢と、供給を阻止して長ワラのままで放出する閉塞姿勢とに姿勢変更可能な開閉蓋93とで構成されている。
【0036】
〔主変速レバーの構造〕
前記静油圧式無段変速装置16による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うための主変速レバー18は次のように構成してある。
図6及び図7に示すように、主変速レバー18は、搭乗運転部10の操縦ボックス80に備えた支軸81に対して前後方向で揺動操作自在に装着してあり、図7に示す前進操作域Fでの変速操作に伴い、中立位置Nから離れるほど高速であるように、前記静油圧式無段変速装置16を前進方向で高低変速操作可能に構成してあり、図7に示す後進操作域Rでの変速操作に伴い、中立位置Nから離れるほど高速であるように、前記静油圧式無段変速装置16を後進方向で高低変速操作可能に構成してある。
【0037】
前記主変速レバー18を支軸81に枢支する箇所では、図6に示すように、支軸81に対して相対回動自在に遊嵌された鍔付き筒体82に対して、主変速レバー18のボス部18aを、ワンウェイクラッチ83を介して装着してある。このワンウェイクラッチ83は、前記主変速レバー18の前進方向への操作時には、主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容し、前記主変速レバー18の後進方向への操作時には、主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止するように構成してある。
前記鍔付き筒体82は、前記支軸81の長さ方向での前後両側に介装したフリクションプレート84,84に挟み込まれた状態に装着してある。そして前記フリクションプレート84,84が、支軸81の突出端側から皿ばね85によって常時所定圧で押圧されていることにより、鍔付き筒体82には、前記支軸81周りでの回動に対して所定の摩擦抵抗が付与された状態にある。
【0038】
上記のように構成された主変速レバー18の枢支構造では、主変速レバー18を前進方向へ操作する際には、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容することにより、鍔付き筒体82にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用しないので、軽快に操作することができる。逆に、主変速レバー18を後進方向へ操作する際には、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止することにより、鍔付き筒体82にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用する。
【0039】
このように主変速レバー18を前進方向へ操作する際にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用しないようにしているのは、静油圧式無段変速装置16自身が備えているところの中立復帰方向への作用力に抗して主変速レバー18を前進方向へ操作する際の操作力を軽減するためである。
逆に、主変速レバー18を後進方向へ操作する際にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用するようにしているのは、後進側への操作であることに対する注意を喚起するためである。
このとき、静油圧式無段変速装置16自身が備えているところの中立復帰方向への作用力は、主変速レバー18が前進操作域Fにある状態で後進方向(中立位置側)へ操作されている状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に抗して主変速レバー18を中立位置N側へ復帰させるための作用力として働くのに対して、主変速レバー18が後進操作域Rにある状態で後進方向(中立位置Nから離れる側)へ操作されている状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に加えて主変速レバー18が中立位置Nから離れる側への操作に対する抵抗力として働く。
つまり、主変速レバー18の前進方向への操作時には前記フリクションプレート84,84の摩擦力は作用せず軽快に操作できるが、主変速レバー18を後進方向へ操作する場合には、その主変速レバー18の位置が前進操作域Fにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力を無段変速装置16の中立位置N側へ復帰作用力で軽減して、少し重い程度の操作力で操作され、主変速レバー18の位置が後進操作域Rにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に無段変速装置16の中立位置N側へ復帰作用力が加算されてさらに重い操作力が必要となる。
【0040】
このように構成された主変速レバー18は、主変速レバー18が前進操作域Fにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力が作用するとともに、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止する方向で作用している。したがって、主変速レバーは、手を離してもその操作位置に保持されるが、主変速レバー18が後進操作域Rにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力は作用しているが、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容する状態に作用している。このため、手を離すと主変速レバー18は中立位置N側へ復帰しようとするが、一般に後進の走行時間は短いものであるため手を添えて後進走行状態を維持するようにすればよい。
【0041】
〔アウターロータモータの制御系統〕
図8にアウターロータモータ3の制御系統を示す。
制御装置6は、脱穀装置4のフィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を脱穀負荷として検出する稈量検出センサー61(脱穀負荷検出手段の一例)からの検出信号、及び、アウターロータモータ3の回転数を検出することによって扱胴40の回転数を検出する扱胴回転数センサーとしてのロータリエンコーダ62の検出信号、ならびに、搭乗運転部に備えられた制御モード設定器63からの設定信号が入力されるモータ制御手段60を備えている。
このモータ制御手段60は、マイクロコンピュータで構成された制御装置6のROMに予め制御プログラムとして記憶されているものであり、制御モード設定器63で設定される2種の制御モードa,bに基づいてアウターロータモータ3の作動を制御するように構成されている。
【0042】
制御モード設定器63が第1制御モードaの位置に操作されていると、フィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を検出する稈量検出センサー61からの検出信号に基づいて穀稈量が検出され、アウターロータモータ3の回転数を検出するロータリエンコーダ62の検出信号に基づいて扱胴40の回転数が検出される。
そして、穀稈量が多いとアウターロータモータ3の回転速度を上昇させ、扱胴40の回転数を上昇させる。穀稈量が少ないとアウターロータモータ3の回転速度を低下させるように制御する。すなわち、制御装置6には、前記稈量検出センサー61で検出される穀稈量の検出結果と、扱胴回転数との相関関係を設定したデータを、予めマップデータとして不揮発性メモリに記憶させてあり、モータ制御手段60は、稈量検出センサー61で検出される穀稈量の検出結果に対応する扱胴40の回転数が得られるように前記アウターロータモータ3の駆動を制御する。
【0043】
前記制御モード設定器63が第2制御モードbの位置に操作されていると、フィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を検出する稈量検出センサー61からの検出信号とともに、アウターロータモータ3の回転数を検出するロータリエンコーダ62の検出信号が入力される。
モータ制御手段60では、前記ロータリエンコーダ62の検出信号に基づいて、所定時間(数秒程度)内でのアウターロータモータ3の回転数の変化量を検出し、穀稈量を検出する前記稈量検出センサー61が穀稈量の増減を検出した場合に、アウターロータモータ3の回転数の変化量が所定範囲内であれば、通常の作業状態が継続されていると判断して、前記第1制御モードaと同様にアウターロータモータ3の回転数を増減する。
しかし、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出した場合にも、アウターロータモータ3の回転数が所定範囲を越えて低下すれば、アウターロータモータ3の回転数を増減せず、搭乗運転部10で操縦者の見やすい位置に設置した表示装置64に対して走行速度の低下を促す表示信号を出力する。これによって、脱穀装置4に対する穀稈の供給量を低減させるための指示を行うことができる。
また、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出しているにも拘わらずアウターロータモータ3の回転数が所定以上に上昇したり、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出していない、もしくは穀稈量の減少を検出しているにも拘わらずアウターロータモータ3の回転数が所定範囲を越えて低下した場合には、何らかのトラブルが生じている可能性があるので、前記表示装置64に負荷異常の表示信号を出力するように構成してある。
【0044】
〔別実施形態の1〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図10(a)に示すように、シーブケース46に設けたチャフシーブ46bにおけるチャフ板46eの上側に堆積した脱穀処理物の層厚を検出するボリュームあるいはポテンショメータからなる層厚センサー65aを用いてもよい。
この場合には、脱穀負荷として検出される各チャフ板46e上の脱穀処理物の層厚が薄くなるほど、脱穀処理物量が少ないので、脱穀対象の穀稈量も少ないことが想定され、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
逆に、脱穀負荷として検出される各チャフ板46e上の脱穀処理物の層厚が厚くなるほど、脱穀処理物量が多いので、脱穀対象の穀稈量も多いことが想定され、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。
つまり、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに脱穀処理物の層厚を検出する手段としての層厚センサー65aを脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0045】
〔別実施形態の2〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図10(b)に示すように、シーブケース46に設けたチャフシーブ46bにおけるチャフ板46eの揺動角度からチャフ開度を検出するところの、ボリュームあるいはポテンショメータからなる開度検出センサー65bを用いてもよい。
このチャフ板46eは、前後のチャフ板46e同士の間隔を狭くするように下端側を上方側へ向けてバネ付勢してあって、チャフ板46e上に乗る脱穀処理物の重量に応じて下端側が下方側へ揺動して脱穀処理物の通過を許すように構成してある。したがって、このチャフ板46eの上端側の揺動支点部分に前記開度検出センサー65bを装着しておくことにより、チャフ板46eの揺動角度から開度を検出することができる。
この場合には、脱穀負荷として検出される各チャフ板46eの揺動角度が水平に近くなるほど、脱穀処理物量が少ないので、脱穀対象の穀稈量も少ないことが想定され、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
逆に、脱穀負荷として検出される各チャフ板46eの揺動角度が鉛直に近くなるほど、脱穀処理物量が多いので、脱穀対象の穀稈量も多いことが想定され、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。
つまり、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに開度検出センサー65bを脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0046】
〔別実施形態の3〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図11に示すように、扱胴軸42に設けた歪みセンサー66を用いて、この歪みセンサー66による扱胴トルクの検出結果から脱穀負荷を検出するように構成したものであってもよい。
すなわち、扱胴軸42は回転しないが、アウターロータモータ3を回転駆動する際に、扱胴40側での回転抵抗が大きいと、扱胴40を回転駆動するアウターロータモータ3の反力受けとなる扱胴軸42に捻れによる歪みが生じるので、その歪みを検出する歪みセンサー66の検出信号によって扱胴40の駆動トルクの大きさを検出することができる。したがって、この扱胴40の駆動トルクを脱穀負荷をして検出することができる。
この場合には、脱穀負荷として検出される扱胴40の駆動トルクが大きいほど、脱穀処理物量が多いと想定されるので、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。逆に、扱胴40の駆動トルクが小さいほど、脱穀処理物量が少ないと想定されるので、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
この実施形態においては、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに歪みセンサー66を脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0047】
〔別実施形態の4〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段のさらに別の例としては、図12に示すように、扱胴40内に装備させたアウタロータモータ3へ電源供給用の導電線67における電流値を検出する電流計68を用いて、アウタロータモータ3における駆動負荷を検出するようにしてもよい。
この場合、電流計68による検出電流が大きいとアウタロータモータ3の負荷が増大している、つまり、穀稈流量が増大していると判断してアウターロータモータ3の回転数を増大する。逆に、電流計68による検出電流が小さいとアウタロータモータ3の負荷が減少している、つまり、穀稈流量が減少していると判断してアウターロータモータ3の回転数を低下させるように制御する。
この実施形態においては、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに電流計68を脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0048】
〔別実施形態の5〕
扱胴ドラム41は、上記実施の形態で示したような全体が一体的な円筒状に形成されたものに限らず、次のように構成したものであってもよい。
図13及び図14に示すように、扱胴ドラム41として、前後に椀状の蓋板部41a,41bを備え、その前後の蓋板部41a,41b同士を周方向の4箇所で接続する接続部材41cを備えて骨組み枠を構成し(図13参照)、この骨組み枠に、図14に示すように部分円弧状の周壁板41dを取り付けて円筒状に形成してある。尚、図13では、前後の蓋板部41a,41b同士を接続部材41cで接続し、側面視で手前側の周壁板41dを切除して内部を開放した状態の断面を示している。
【0049】
前記周壁板41dは、外周側に扱歯41eを取り付けてあるとともに、扱胴ドラム41の長手方向に沿う両端縁のうち、一方側の端縁部分に、鉤状に屈曲して前記接続部材41cに対して係合する屈曲係合部41fを備え、他方側の端縁部分に、隣りの位置の接続部材41cに対してボルト連結可能な連結穴41gを形成してある。
【0050】
このように構成された扱胴ドラム41は、前後の蓋板部41a,41b同士を周方向の4箇所の接続部材41cで接続して構成した骨組み枠に対して、各周壁板41dを組み合わせてボルト41hで接続することにより、円筒状に形成されている。前記ボルト41hを着脱することで任意の位置の周壁板41dを交換したり、扱歯41eの着脱を行うなどの作業を行い易く構成されている。
【0051】
尚、この実施形態では、周方向の4箇所で分割された周壁板41dを用いて扱胴ドラム41を構成したが、これに限らず、周方向での分割箇所を3分割、あるいは2分割、もしくは5分割以上に分割した構造のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の脱穀機は、実施形態で示したコンバインに限らず、定置式の脱穀機であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
3 アウターロータモータ
4 脱穀装置
4A 扱室
6 制御装置
32 外側ロータ部分(ロータ)
35 駆動部材(ステー)
40 扱胴
40F 前壁
40R 後壁
41 扱胴ドラム
42 扱胴軸
61 稈量検出センサー(脱穀負荷検出手段)
65a,65b,66,68 脱穀負荷検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや定置式脱穀機など、回転駆動される扱胴を用いて穀稈を脱穀処理するように構成された脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の脱穀機では、エンジン動力を走行装置の駆動系に伝達するとともに、ベルト伝動機構やギヤ連動機構などを介して扱胴を一定回転数で駆動するように構成していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−142175号公報(段落〔0013〕、〔0016〕、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、刈取り脱穀作業の際の機体の走行速度を、圃場における稲の倒伏状況などに応じて、通常の刈取り作業速度よりも極端に低速にして走行する場合もある。ところが脱穀処理を行うための扱胴の回転速度は、その脱穀性能を確保するために、あまり低速で駆動する訳にはいかず、所定以上の回転数で駆動する必要がある。
このため、従来では、走行駆動系や刈取り駆動系は作業条件に応じて高低変速操作を行うように構成し、脱穀駆動系では予め適正速度として定めた一定速で駆動するように構成していた。
【0005】
しかしながら、扱胴が常に一定速で駆動されていると、例えば脱穀対象の穀稈量が極端に少ない場合には、穀稈に対する扱歯の接触頻度が高くてワラ屑の発生割合が増大し、逆に、脱穀対象の穀稈量が極端に多い場合には、穀稈に対する扱歯の接触頻度が低くて扱き残しが発生し易くなる傾向がある。
このため、穀稈量に応じて扱胴の駆動速度をある程度変更できるようにすることが望ましいが、そのためには、脱穀駆動系に扱胴速度を高精度で変速することのできる変速装置、及びその変速装置を操作するための操作装置を配設する必要があり、構造の複雑化に伴うコスト増、ならびに、それらの変速装置や操作装置の配設スペースを確保する必要から装置の大型化を招く虞がある。
【0006】
本発明の目的は、扱胴の駆動速度を変更可能にするための構造の複雑化を避けるとともに、装置の大型化も避けながら、扱胴の速度を変更可能にした脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の脱穀機における技術手段は、扱胴駆動用のアウターロータモータを、扱胴ドラムの内部で、扱胴ドラムを支持する扱胴軸に装着し、このアウターロータモータの外側ロータ部分に、前記扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着してあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の脱穀機では、扱胴の駆動速度を変更可能な駆動手段としてアウターロータモータを用いたものであり、速度制御が容易な電動モータであるところのアウターモータの駆動力を利用して扱胴の駆動を行うので、構造上の複雑化を避けながら速度変更可能な扱胴を構成することができる。
そして、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部で扱胴軸に備えて、扱胴軸周りで回転駆動される外側ロータ部分に、扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着したものであるから、スペース的に余裕のある扱胴のドラム内空間を駆動手段であるアウターロータモータの配設用空間として利用でき、この駆動手段の配設用空間を確保するために構造の大型化を招くというような不具合がない。
しかも、アウターロータモータの外側ロータ部分に駆動部材を装着して扱胴ドラムを駆動するものであるから、アウターロータモータの構成部材である外側ロータモータも扱胴ドラムの駆動部材としての役割を兼ねることになり、構成部材の兼用化による構造の簡素化をも図ることができる。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の脱穀機における第2の解決手段は、扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の脱穀機では、扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてあるので、扱胴の支持構造を簡素化することができる。
つまり、エンジン側からの駆動力を扱室の外側で扱胴軸に伝動プーリなどを介して回動駆動するように伝え、その回転する扱胴軸に扱胴ドラムを支持させる従来の構造のものでは、扱胴軸を支承する扱き室の前壁及び後壁に備える軸支部に、扱胴ドラム、扱胴軸、扱胴軸に動力を伝えるプーリの各重量、及びそのプーリに作用するベルトテンション、等の全ての負荷が前記軸支部に作用する。このため、前記従来の構造のものでは、前記負荷が作用する軸支部、及び前壁、ならびに後壁を、前記負荷に抗するために必要な比較的高強度を有した構造に構成する必要がある。
【0011】
これに対して本発明のものでは、扱胴軸が扱室の前壁と後壁とに固設してあって、前壁と後壁とを連結することで連結された部材相互の強度向上に役立つ機能を果たすことになる。したがって、その扱胴軸が扱胴ドラムの支持や駆動のための手段としてだけではなく、前壁と後壁とを含めて扱室の補強部材としての役割をも兼ねることになり、この点での構造の簡素化及び軽量化を図り得る利点がある。
そして、前壁と後壁とに固設される扱胴軸は、前壁と後壁とに軸支部を形成する必要もなく、扱胴ドラムとアウターロータモータを支持し得る強度を備えるだけでよく、またアウターロータモータが扱胴ドラムの駆動手段としてのみならず、扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持するための手段としての役割をも兼ねるので、これらの点でも構造の簡素化、小型化を図り得る利点がある。
【0012】
〔解決手段3〕
本発明の脱穀機における第3の解決手段は、脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の脱穀機では、脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて、脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御するものであるから、脱穀負荷の増減の要因となる脱穀対象穀稈量の増減や、穀稈の湿潤度合いの変化など、様々な要因による負荷変動に対応させて適切な扱胴駆動速度を得易いという利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
本発明の脱穀機における第4の解決手段は、脱穀負荷検出手段を脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーで構成し、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の脱穀機では、脱穀負荷検出手段として脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーを備え、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御するものであるから、脱穀対象となる穀稈量の変化に対応させて適切な扱胴駆動速度を得易く、多くのワラ屑が発生したり、扱き残しが多くなるような不具合を回避し易いという利点がある。
【0016】
〔解決手段5〕
本発明の脱穀機における第5の解決手段は、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備してあることを特徴とする。
【0017】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明の脱穀機では、アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備したものであるから、扱胴ドラムの脱穀処理方向下手側寄りの部分に比べて脱穀負荷の大きい箇所で扱胴を無理なく駆動することができる。また、その負荷の大きい部分に設けられる駆動部材が扱胴ドラムの補強部材としての機能をも果たし得る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの伝動系を示す線図である。
【図4】脱穀装置の内部を示す断面図である。
【図5】アウターロータモータ部分を示す断面図である。
【図6】主変速レバーの支持構造を示す断面図である。
【図7】主変速レバーの操作形態を示す説明図である。
【図8】制御系統を示すブロック図である。
【図9】穀稈量検出センサーの実施形態を示す側面図である。
【図10】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す側面図であり、(a)はチャフシーブ上での脱穀処理物層の厚みを検出する手段を示し、(b)はチャフリップ板の揺動角度を検出する手段を示す。
【図11】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す説明図であり、扱胴の駆動トルクを検出する手段を示す。
【図12】脱穀負荷検出センサーの別実施形態を示す説明図であり、扱胴の駆動トルクを検出する手段を示す。
【図13】扱胴の別実施形態を示す一部切り欠き側面図である。
【図14】図13における扱胴の径方向での断面を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明の脱穀機の一例であるコンバイン全体の構造について説明する。
図1には自脱形コンバインの左側面が示され、図2にはその全体平面が示されている。
このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置11を装備し、機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置2が設けられている。前記機体フレーム1の左後部に脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1の右後部には、脱穀装置4で選別回収された穀粒を貯留し、穀粒搬出用オーガ52を介して外部へ搬出する穀粒貯留装置5を搭載してある。さらに、機体フレーム1の右前部に設けた原動部7、原動部7の上方側に形成した搭乗運転部10などを備えている。また、脱穀装置4の後部には、脱穀済みの排ワラを、長ワラのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、細断して機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成された排ワラ処理装置9が装備されている。
【0020】
〔伝動系の構成〕
クローラ式走行装置11、及び機体フレーム1上の各種装置に対する伝動系は次のように構成されている。
図3に示すように、機体フレーム1上に搭載された原動部7にエンジン70を備え、そのエンジン70の出力軸70aの軸心方向が左右向きになる姿勢で配置されている。そのエンジン70から左右の各クローラ式走行装置11への伝動は、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン70の出力軸70aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置11の駆動輪11Aにわたる走行用の伝動系を介して行われる。
走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置15、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置16、及び、ミッションケース17に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
【0021】
左右の各クローラ式走行装置11は、搭乗運転部10に装備した主変速レバー18を前後方向に揺動操作することで、静油圧式無段変速装置16による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うことができるように構成されている。又、搭乗運転部10に装備した操向操作レバー19を左右方向に揺動操作することで、ミッションケース17内のギヤ式変速装置による直進状態、左右の緩旋回状態、及び左右の急旋回状態の切り換えを行えるように構成されている。
【0022】
刈取搬送装置2は、静油圧式無段変速装置16による変速後の動力がワンウェイクラッチ16aやベルトテンション式の刈取クラッチ20などを介して伝達される。図1及び図2に示されているように、複数の引き起こし装置21、バリカン型の刈取装置22、及び穀稈搬送装置23などが駆動される。機体の走行に伴って、その前端に装備された複数の分草具24が倒伏した植立穀稈を分草し、各引き起こし装置21が分草後の植立穀稈を引き起こし、刈取装置22が引き起こされた植立穀稈の株元側を切断し、穀稈搬送装置23が刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に切り換えながら後方の脱穀装置4に向けて搬送するように構成されている。又、操向操作レバー19を前後方向に揺動操作することで、リフトシリンダ25の作動により刈取搬送装置2の昇降操作を行えるようになっている。
尚、この刈取搬送装置2における刈取速度を、前記静油圧式無段変速装置16による無段階での変速のみならず、圃場の条件や茎稈の倒伏状況などに応じて大きく変化させたい場合には、ミッションケース17内に装備させた専用のギヤ変速機構で構成された刈取変速機構26による高低2段の変速操作を、シフトギヤ(図示せず)のシフト操作で行えるように構成してある。
【0023】
脱穀装置4は、扱室4A内に配備された扱胴40を、扱胴40の内部に配備した後述するアウターロータモータ3で駆動するように構成してある。そのアウターロータモータ3への電力供給は、前記エンジン70の出力軸70aから伝動ベルト71を介して駆動されるオルタネータ12、及びそのオルタネータ12で発電された電力を蓄えるバッテリ13を備え、前記バッテリ13からアウターロータモータ3へ電力供給されるように構成してある。
【0024】
前記エンジン70の出力軸70aから脱穀装置4への伝動系としては、前記伝動ベルト71とは別の伝動ベルト72で分岐された伝動系によって、かつテンションクラッチ式のフィードチェーンクラッチ75を介してエンジン70からの動力が入力されるように構成してある。
この別の伝動ベルト72で分岐された伝動系から伝達される動力は、フィードチェーン49へ駆動力を伝達するものであるが、その伝動途中では、唐箕45の唐箕駆動軸45Aに動力が伝達され、唐箕45を回転駆動するように構成されているとともに、前記唐箕駆動軸45Aからの動力がベルト伝動式の伝動機構73,74を介して1番回収スクリュー47および2番回収スクリュー48にも伝達される。
そして、さらに前記ベルト伝動式の伝動機構73,74から伝えられる動力によってシーブケース46(図4参照)の駆動カム軸46Aをも駆動したのち、フィードチェーン49に前記動力が伝達され、フィードチェーンクラッチ75の入り切り操作に基づいてフィードチェーン49、ならびに前記唐箕45やシーブケース46の駆動、及び駆動停止が行われるように構成してある。
【0025】
穀粒貯留装置5は、グレンタンク51と穀粒排出用オーガ52とを備え、この穀粒排出用オーガ52に対してエンジン70の動力が伝達されるように構成してある。つまり、前記エンジン70の出力軸70aのうち、右側横側方から機体外側に向けて突出させた部分から穀粒貯留装置5の入力部53にわたって伝動ベルト54を掛張し、その伝動ベルト54による動力伝達を入り切り操作するベルトテンション式の穀粒排出用クラッチ50を備えたものである。
【0026】
前記グレンタンク51は、その後部に備えた縦軸心y周りに、その全体がエンジン70の後方に位置する作業位置と、その前部側が機体フレーム1の右外方に張り出してエンジン70の後方を開放するメンテナンス位置とにわたって揺動変位可能に、かつ、図外のロック機構によって作業位置及びメンテナンス位置での位置保持が可能となるように構成されている。
【0027】
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。
すなわち、図3に示すように、伝動ベルト54が掛張される入力プーリ56、及びその入力プーリ56に対して一体回転可能に、かつ相対摺動可能にスプライン嵌合される伝動軸57は機体フレーム1側に設けた軸受けブラケット10bに支持されている。
前記伝動軸57に伝えられた動力は、その伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられ、かつ、その入力伝動軸58のベベルギヤ58aと前記スクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して前記スクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に伝達されるように構成されている。
【0028】
前記入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、前記伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58cを備え、伝動軸57からの回転動力を伝達されながら、軸線方向での抜き差しが可能に構成されているので、前記縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴なう係脱を許容することができる。
図3中の符号59は、伝動軸57を入力伝動軸58側へ押しつけ付勢するための押圧用スプリングである。
【0029】
〔脱穀装置〕
図4に示すように、脱穀装置4は、機体前後方向に向く水平方向軸芯x周りで回転駆動される扱胴40を内装する扱室4Aを上方側に備え、その扱室4Aの下方側に脱穀処理物を選別処理する選別室4Bとを備えている。
【0030】
前記扱胴40は、前記扱室4Aの前壁40Fと後壁40Rとの間にわたって架設された扱胴軸42に、相対回動自在に枢支されている。つまり扱胴軸42は、その両端側が扱室4Aの前壁40Fと後壁40Rとに対して相対回動不能に固定して連結してあり、その扱胴軸42に対して扱胴40が、前後両端側でボールベアリングからなる軸受け部42a,42aを介して相対回動自在に枢支されている。
そして、扱胴40の円筒状の扱胴ドラム41の内部空間には、前記扱胴軸42に対して扱胴40の駆動手段であるアウターロータモータ3が装備されていて、そのアウターロータモータ3の駆動に伴って、扱胴ドラム41を扱胴軸42に対して相対回転させるように構成してある。
この実施形態では、扱胴ドラム41の内部空間における前部側寄りの位置に、すなわち、脱穀負荷が大となる扱胴40の前部側寄りの位置にアウターロータモータ3が配備されている。尚、アウターロータモータ3を扱胴ドラム41の内部空間における後部側寄りの位置や前後中間部に配備してもよい。
【0031】
前記アウターロータモータ3は、次のように構成してある。
すなわち、扱胴ドラム41の内部空間に配設されるアウターロータモータ3は、図5に示すように、扱胴軸42側に固定子となるコア30が扱胴軸42と一体に装着してあり、そのコア30にコイル31が巻き付けられている。
そして、前記コア30を内装するモータケースを兼ねた回転子であるロータ32(外側ロータ部分に相当する)が、前記扱胴軸42に対してボールベアリング34を介して相対回転自在に枢支してあり、そのロータ32の内周面側に前記コア30の外周面側に対向する状態で永久磁石33が取り付けてある。
さらに、前記ロータ32の外周側には、そのロータ32の外周面と扱胴ドラム41の内周面とにわたって半径方向に延設されたステー35(駆動部材に相当する)を設けてあって、ロータ32が回転するに伴って扱胴ドラム41が回転駆動されるように構成してある。
このロータ32の回転は、ロータ32の一端側に形成されているギヤ部32a、及びそのギヤ部32aに噛み合うピニオン62aを介してロータリエンコーダ62(扱胴回転数センサーの一例)で検出されるように構成してあり、このロータリエンコーダ62で検出されたロータ32の回転数が後述する制御装置6に入力され、扱胴40の回転数として判別される。
図中、符号67はコイル31に対する導電線であり、扱胴軸42の外周に沿って配設されている。
【0032】
扱胴40の外周側下方には受網43が、扱胴40の外周面との間に所定間隔を隔てて扱胴40の下半側外周を下方側から覆うように設けてあり、扱胴40による扱き作用を受けて脱粒した穀粒を下方の選別室4B側へ漏下させ、扱き作用に伴って発生したワラ屑などの多量の塵埃を含む脱穀処理物を後方側へ送って扱室4Aの終端側から排出させるように構成してある。
【0033】
図4に示すように選別室4B側では、前記受網43から漏下した多くの穀粒を含む脱穀処理物、及び扱室4Aの終端側から排出された多くの塵埃を含む脱穀処理物を、シーブケース46の揺動による比重選別、及び唐箕45の送風による風選選別によって選別処理するように、前記シーブケース46及び唐箕45が配設されている。
すなわち、シーブケース46の前部には、前記受網43の前半部から漏下した多くの穀粒を含む脱穀処理物を受け止める波形のグレンパン46aが設けられるとともに、その後方には、チャフシーブ46b、および、ストローラック46cが順次設けられ、さらに、前記チャフシーブ46bの下方に精選別用のグレンシーブ46dが備えられている。
【0034】
そして、選別室4Bの下部には、グレンシーブ46dから漏下してきた穀粒(1番物)を回収して穀粒タンク6に搬出する1番回収スクリュー47と、チャフシーブ46bやストローラック46cから漏下してきた枝梗付き穀粒などの2番物を回収して2番還元装置44に送り込む2番回収スクリュー48が設けられ、2番還元装置44で搬送された2番物はシーブケース46の前部に還元されて再度の選別処理を受けるようになっている。ストローラック46cでの篩い選別作用によって、長いワラ屑中に含まれる2番物が回収された後の長いワラ屑などは排塵口4Cから機外に排出されてゆく。
【0035】
〔排ワラ処理装置〕
脱穀装置4の後部からカッターケース90の上部にわたって、フィードチェーン49で挟持搬送された脱穀処理後の排ワラを挟持して後方の排ワラ搬送装置9へ送り込む排ワラ搬送装置91が設けられている。
そして、排ワラ搬送装置91の搬送終端側の下方には、脱穀済みの排ワラを、長ワラのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、細断して機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成された排ワラ処理装置9が装備されている。
この排ワラ処理装置9は、前記カッターケース90、及びカッターケース90に内装されていて、供給された長ワラを細断する排ワラ切断装置92と、前記排ワラ切断装置92に対して排ワラを供給可能な開放姿勢と、供給を阻止して長ワラのままで放出する閉塞姿勢とに姿勢変更可能な開閉蓋93とで構成されている。
【0036】
〔主変速レバーの構造〕
前記静油圧式無段変速装置16による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うための主変速レバー18は次のように構成してある。
図6及び図7に示すように、主変速レバー18は、搭乗運転部10の操縦ボックス80に備えた支軸81に対して前後方向で揺動操作自在に装着してあり、図7に示す前進操作域Fでの変速操作に伴い、中立位置Nから離れるほど高速であるように、前記静油圧式無段変速装置16を前進方向で高低変速操作可能に構成してあり、図7に示す後進操作域Rでの変速操作に伴い、中立位置Nから離れるほど高速であるように、前記静油圧式無段変速装置16を後進方向で高低変速操作可能に構成してある。
【0037】
前記主変速レバー18を支軸81に枢支する箇所では、図6に示すように、支軸81に対して相対回動自在に遊嵌された鍔付き筒体82に対して、主変速レバー18のボス部18aを、ワンウェイクラッチ83を介して装着してある。このワンウェイクラッチ83は、前記主変速レバー18の前進方向への操作時には、主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容し、前記主変速レバー18の後進方向への操作時には、主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止するように構成してある。
前記鍔付き筒体82は、前記支軸81の長さ方向での前後両側に介装したフリクションプレート84,84に挟み込まれた状態に装着してある。そして前記フリクションプレート84,84が、支軸81の突出端側から皿ばね85によって常時所定圧で押圧されていることにより、鍔付き筒体82には、前記支軸81周りでの回動に対して所定の摩擦抵抗が付与された状態にある。
【0038】
上記のように構成された主変速レバー18の枢支構造では、主変速レバー18を前進方向へ操作する際には、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容することにより、鍔付き筒体82にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用しないので、軽快に操作することができる。逆に、主変速レバー18を後進方向へ操作する際には、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止することにより、鍔付き筒体82にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用する。
【0039】
このように主変速レバー18を前進方向へ操作する際にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用しないようにしているのは、静油圧式無段変速装置16自身が備えているところの中立復帰方向への作用力に抗して主変速レバー18を前進方向へ操作する際の操作力を軽減するためである。
逆に、主変速レバー18を後進方向へ操作する際にフリクションプレート84,84の摩擦力が作用するようにしているのは、後進側への操作であることに対する注意を喚起するためである。
このとき、静油圧式無段変速装置16自身が備えているところの中立復帰方向への作用力は、主変速レバー18が前進操作域Fにある状態で後進方向(中立位置側)へ操作されている状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に抗して主変速レバー18を中立位置N側へ復帰させるための作用力として働くのに対して、主変速レバー18が後進操作域Rにある状態で後進方向(中立位置Nから離れる側)へ操作されている状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に加えて主変速レバー18が中立位置Nから離れる側への操作に対する抵抗力として働く。
つまり、主変速レバー18の前進方向への操作時には前記フリクションプレート84,84の摩擦力は作用せず軽快に操作できるが、主変速レバー18を後進方向へ操作する場合には、その主変速レバー18の位置が前進操作域Fにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力を無段変速装置16の中立位置N側へ復帰作用力で軽減して、少し重い程度の操作力で操作され、主変速レバー18の位置が後進操作域Rにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力に無段変速装置16の中立位置N側へ復帰作用力が加算されてさらに重い操作力が必要となる。
【0040】
このように構成された主変速レバー18は、主変速レバー18が前進操作域Fにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力が作用するとともに、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を阻止する方向で作用している。したがって、主変速レバーは、手を離してもその操作位置に保持されるが、主変速レバー18が後進操作域Rにある状態では、フリクションプレート84,84の摩擦力は作用しているが、ワンウェイクラッチ83が主変速レバー18と鍔付き筒体82との相対回動を許容する状態に作用している。このため、手を離すと主変速レバー18は中立位置N側へ復帰しようとするが、一般に後進の走行時間は短いものであるため手を添えて後進走行状態を維持するようにすればよい。
【0041】
〔アウターロータモータの制御系統〕
図8にアウターロータモータ3の制御系統を示す。
制御装置6は、脱穀装置4のフィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を脱穀負荷として検出する稈量検出センサー61(脱穀負荷検出手段の一例)からの検出信号、及び、アウターロータモータ3の回転数を検出することによって扱胴40の回転数を検出する扱胴回転数センサーとしてのロータリエンコーダ62の検出信号、ならびに、搭乗運転部に備えられた制御モード設定器63からの設定信号が入力されるモータ制御手段60を備えている。
このモータ制御手段60は、マイクロコンピュータで構成された制御装置6のROMに予め制御プログラムとして記憶されているものであり、制御モード設定器63で設定される2種の制御モードa,bに基づいてアウターロータモータ3の作動を制御するように構成されている。
【0042】
制御モード設定器63が第1制御モードaの位置に操作されていると、フィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を検出する稈量検出センサー61からの検出信号に基づいて穀稈量が検出され、アウターロータモータ3の回転数を検出するロータリエンコーダ62の検出信号に基づいて扱胴40の回転数が検出される。
そして、穀稈量が多いとアウターロータモータ3の回転速度を上昇させ、扱胴40の回転数を上昇させる。穀稈量が少ないとアウターロータモータ3の回転速度を低下させるように制御する。すなわち、制御装置6には、前記稈量検出センサー61で検出される穀稈量の検出結果と、扱胴回転数との相関関係を設定したデータを、予めマップデータとして不揮発性メモリに記憶させてあり、モータ制御手段60は、稈量検出センサー61で検出される穀稈量の検出結果に対応する扱胴40の回転数が得られるように前記アウターロータモータ3の駆動を制御する。
【0043】
前記制御モード設定器63が第2制御モードbの位置に操作されていると、フィードチェーン49部分で供給された穀稈の挟持量を検出する稈量検出センサー61からの検出信号とともに、アウターロータモータ3の回転数を検出するロータリエンコーダ62の検出信号が入力される。
モータ制御手段60では、前記ロータリエンコーダ62の検出信号に基づいて、所定時間(数秒程度)内でのアウターロータモータ3の回転数の変化量を検出し、穀稈量を検出する前記稈量検出センサー61が穀稈量の増減を検出した場合に、アウターロータモータ3の回転数の変化量が所定範囲内であれば、通常の作業状態が継続されていると判断して、前記第1制御モードaと同様にアウターロータモータ3の回転数を増減する。
しかし、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出した場合にも、アウターロータモータ3の回転数が所定範囲を越えて低下すれば、アウターロータモータ3の回転数を増減せず、搭乗運転部10で操縦者の見やすい位置に設置した表示装置64に対して走行速度の低下を促す表示信号を出力する。これによって、脱穀装置4に対する穀稈の供給量を低減させるための指示を行うことができる。
また、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出しているにも拘わらずアウターロータモータ3の回転数が所定以上に上昇したり、前記稈量検出センサー61が穀稈量の増大を検出していない、もしくは穀稈量の減少を検出しているにも拘わらずアウターロータモータ3の回転数が所定範囲を越えて低下した場合には、何らかのトラブルが生じている可能性があるので、前記表示装置64に負荷異常の表示信号を出力するように構成してある。
【0044】
〔別実施形態の1〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図10(a)に示すように、シーブケース46に設けたチャフシーブ46bにおけるチャフ板46eの上側に堆積した脱穀処理物の層厚を検出するボリュームあるいはポテンショメータからなる層厚センサー65aを用いてもよい。
この場合には、脱穀負荷として検出される各チャフ板46e上の脱穀処理物の層厚が薄くなるほど、脱穀処理物量が少ないので、脱穀対象の穀稈量も少ないことが想定され、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
逆に、脱穀負荷として検出される各チャフ板46e上の脱穀処理物の層厚が厚くなるほど、脱穀処理物量が多いので、脱穀対象の穀稈量も多いことが想定され、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。
つまり、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに脱穀処理物の層厚を検出する手段としての層厚センサー65aを脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0045】
〔別実施形態の2〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図10(b)に示すように、シーブケース46に設けたチャフシーブ46bにおけるチャフ板46eの揺動角度からチャフ開度を検出するところの、ボリュームあるいはポテンショメータからなる開度検出センサー65bを用いてもよい。
このチャフ板46eは、前後のチャフ板46e同士の間隔を狭くするように下端側を上方側へ向けてバネ付勢してあって、チャフ板46e上に乗る脱穀処理物の重量に応じて下端側が下方側へ揺動して脱穀処理物の通過を許すように構成してある。したがって、このチャフ板46eの上端側の揺動支点部分に前記開度検出センサー65bを装着しておくことにより、チャフ板46eの揺動角度から開度を検出することができる。
この場合には、脱穀負荷として検出される各チャフ板46eの揺動角度が水平に近くなるほど、脱穀処理物量が少ないので、脱穀対象の穀稈量も少ないことが想定され、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
逆に、脱穀負荷として検出される各チャフ板46eの揺動角度が鉛直に近くなるほど、脱穀処理物量が多いので、脱穀対象の穀稈量も多いことが想定され、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。
つまり、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに開度検出センサー65bを脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0046】
〔別実施形態の3〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としては、上記の実施形態で示した稈量検出センサー61に限らず、例えば図11に示すように、扱胴軸42に設けた歪みセンサー66を用いて、この歪みセンサー66による扱胴トルクの検出結果から脱穀負荷を検出するように構成したものであってもよい。
すなわち、扱胴軸42は回転しないが、アウターロータモータ3を回転駆動する際に、扱胴40側での回転抵抗が大きいと、扱胴40を回転駆動するアウターロータモータ3の反力受けとなる扱胴軸42に捻れによる歪みが生じるので、その歪みを検出する歪みセンサー66の検出信号によって扱胴40の駆動トルクの大きさを検出することができる。したがって、この扱胴40の駆動トルクを脱穀負荷をして検出することができる。
この場合には、脱穀負荷として検出される扱胴40の駆動トルクが大きいほど、脱穀処理物量が多いと想定されるので、アウターロータモータ3の作動を高速側に操作して扱胴40の回転数を上昇させる。逆に、扱胴40の駆動トルクが小さいほど、脱穀処理物量が少ないと想定されるので、アウターロータモータ3の作動を低速側に操作して扱胴40の回転数を低下させる。
この実施形態においては、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに歪みセンサー66を脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0047】
〔別実施形態の4〕
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段のさらに別の例としては、図12に示すように、扱胴40内に装備させたアウタロータモータ3へ電源供給用の導電線67における電流値を検出する電流計68を用いて、アウタロータモータ3における駆動負荷を検出するようにしてもよい。
この場合、電流計68による検出電流が大きいとアウタロータモータ3の負荷が増大している、つまり、穀稈流量が増大していると判断してアウターロータモータ3の回転数を増大する。逆に、電流計68による検出電流が小さいとアウタロータモータ3の負荷が減少している、つまり、穀稈流量が減少していると判断してアウターロータモータ3の回転数を低下させるように制御する。
この実施形態においては、前記実施形態で示した稈量検出センサー61の代わりに電流計68を脱穀負荷検出手段として用いることのできるものであり、その他の構成は前記実施形態に示した構造と同一の構成を用いることができる。
【0048】
〔別実施形態の5〕
扱胴ドラム41は、上記実施の形態で示したような全体が一体的な円筒状に形成されたものに限らず、次のように構成したものであってもよい。
図13及び図14に示すように、扱胴ドラム41として、前後に椀状の蓋板部41a,41bを備え、その前後の蓋板部41a,41b同士を周方向の4箇所で接続する接続部材41cを備えて骨組み枠を構成し(図13参照)、この骨組み枠に、図14に示すように部分円弧状の周壁板41dを取り付けて円筒状に形成してある。尚、図13では、前後の蓋板部41a,41b同士を接続部材41cで接続し、側面視で手前側の周壁板41dを切除して内部を開放した状態の断面を示している。
【0049】
前記周壁板41dは、外周側に扱歯41eを取り付けてあるとともに、扱胴ドラム41の長手方向に沿う両端縁のうち、一方側の端縁部分に、鉤状に屈曲して前記接続部材41cに対して係合する屈曲係合部41fを備え、他方側の端縁部分に、隣りの位置の接続部材41cに対してボルト連結可能な連結穴41gを形成してある。
【0050】
このように構成された扱胴ドラム41は、前後の蓋板部41a,41b同士を周方向の4箇所の接続部材41cで接続して構成した骨組み枠に対して、各周壁板41dを組み合わせてボルト41hで接続することにより、円筒状に形成されている。前記ボルト41hを着脱することで任意の位置の周壁板41dを交換したり、扱歯41eの着脱を行うなどの作業を行い易く構成されている。
【0051】
尚、この実施形態では、周方向の4箇所で分割された周壁板41dを用いて扱胴ドラム41を構成したが、これに限らず、周方向での分割箇所を3分割、あるいは2分割、もしくは5分割以上に分割した構造のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の脱穀機は、実施形態で示したコンバインに限らず、定置式の脱穀機であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
3 アウターロータモータ
4 脱穀装置
4A 扱室
6 制御装置
32 外側ロータ部分(ロータ)
35 駆動部材(ステー)
40 扱胴
40F 前壁
40R 後壁
41 扱胴ドラム
42 扱胴軸
61 稈量検出センサー(脱穀負荷検出手段)
65a,65b,66,68 脱穀負荷検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴駆動用のアウターロータモータを、扱胴ドラムの内部で、扱胴ドラムを支持する扱胴軸に装着し、このアウターロータモータの外側ロータ部分に、前記扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着してある脱穀機。
【請求項2】
扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてある請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御する制御装置を備えた請求項1又は2記載の脱穀機。
【請求項4】
脱穀負荷検出手段を脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーで構成し、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにした請求項3記載の脱穀機。
【請求項5】
アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備してある請求項1〜4のいずれか一項記載の脱穀機。
【請求項1】
扱胴駆動用のアウターロータモータを、扱胴ドラムの内部で、扱胴ドラムを支持する扱胴軸に装着し、このアウターロータモータの外側ロータ部分に、前記扱胴ドラムに対して駆動力を伝達する駆動部材を装着してある脱穀機。
【請求項2】
扱胴軸は、その両端側を扱胴が内装される扱室の前壁及び後壁に固設してあり、この扱胴軸に扱胴ドラムを相対回転自在に支持させてある請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を備え、その脱穀負荷検出手段の検出結果に基づいて脱穀負荷の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにアウターロータモータの作動を制御する制御装置を備えた請求項1又は2記載の脱穀機。
【請求項4】
脱穀負荷検出手段を脱穀対象の穀稈量を検出する稈量検出センサーで構成し、穀稈量の増減に対応させて扱胴回転数を増減変化させるようにした請求項3記載の脱穀機。
【請求項5】
アウターロータモータを扱胴ドラムの内部空間における脱穀処理方向上手側寄りの位置に配備してある請求項1〜4のいずれか一項記載の脱穀機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−44954(P2012−44954A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192000(P2010−192000)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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