説明

脱穀装置

【課題】脱穀装置における四番ロスを減少させ、機外損失を低減する。
【解決手段】扱胴(18)を軸架した扱室(15)と排塵処理室(17)とが連通口(23)で連通され、扱室(15)の下側には揺動選別棚(3)を有した選別室(2)が配置され、扱室(15)の横側には扱口(21)が開口された脱穀装置において、扱室(15)における連通口(23)よりも後側の部位に、扱胴(18)後端部の扱歯(19)によってささり粒を回収するささり粒回収室(56)が形成され、扱室(15)とささり粒回収室(56)との間を仕切る仕切板(55)が、扱胴(18)の上方を覆う扱胴カバー(43)の下面に取り付けられた第1仕切板(55a)と、扱口(21)の上側のフレーム(48)に取り付けられた第2仕切板(55b)との接合によって形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の脱穀装置は、脱穀処理した脱穀物を穀粒とその他の排塵物とに選別分離するために、上側に扱室や二番処理室、更には、排塵処理室を配置し、その下側に選別室を設けて構成している。そして、揺動選別装置は、選別室において、上側に設けられ、前記各脱粒処理室から漏下、乃至は落下した被選別物を揺動作用と、唐箕から送られてくる選別風の風選作用とによって選別する構成としている。
そして、上記揺動選別装置は、通常、選別方向の上手側から移送棚、チャフシーブ、ストローラックの順番に配置して一番粒、二番物、排塵物の順番に選別、分離する構成としている。
そして、従来公知の脱穀装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−248048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の脱穀装置では、扱室の出口側で穀粒の混入した排塵物が多くなり、四番ロスを低減することができず、機外損失となる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱胴(18)を軸架した扱室(15)と排塵処理室(17)とが連通口(23)で連通され、前記扱室(15)の下側には揺動選別棚(3)を有した選別室(2)が配置され、前記扱室(15)の横側には扱口(21)が開口された脱穀装置において、前記扱室(15)における連通口(23)よりも後側の部位に、扱胴(18)後端部の扱歯(19)によってささり粒を回収するささり粒回収室(56)が形成され、該扱室(15)とささり粒回収室(56)との間を仕切る仕切板(55)が、扱胴(18)の上方を覆う扱胴カバー(43)の下面に取り付けられた第1仕切板(55a)と、扱口(21)の上側のフレーム(48)に取り付けられた第2仕切板(55b)との接合によって形成されたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、扱室(15)とささり粒回収室(56)との間を仕切る仕切板(55)が、扱胴(18)の上方を覆う扱胴カバー(43)の下面に取り付けられた第1仕切板(55a)と、扱口(21)の上側のフレーム(48)に取り付けられた第2仕切板(55b)との接合によって形成されるので、扱室(15)とささり粒回収室(56)とを充分に仕切ることができ、扱室(15)内の穀粒の混入した排塵物が、仕切板(55)で止められて連通口(23)から排塵処理室(17)へ供給され、ささり回収室(56)には送られにくくなるので、四番ロスが減少し、機外損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】揺動選別棚の一部でプレシーブとチャフシーブとの側断面図
【図2】プレシーブのピン部分の拡大正面図
【図3】脱穀機(脱穀装置)の切断正面図
【図4】脱穀機の内部でチャフシーブの取り付け状態の正面図
【図5】脱穀機の内部を示す側面図
【図6】脱穀機の内部を示す側面図
【図7】シーブプレートの角度調節の作用図
【図8】脱穀機の内部を示す側面図
【図9】扱室内部を示す正面図
【図10】扱室内部の一部拡大正面図
【図11】扱室内部の一部拡大正面図
【図12】扱室内部の側面図
【図13】扱室内部の正面図
【図14】扱室内部の正面図
【図15】扱室内部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
この出願の発明は、以下に、実施例を具体的に説明するが、主として脱穀機(脱穀装置)1の選別室2に、揺動自由に設けた揺動選別棚3に関し、チャフシーブ6のすぐ前側にプレシーブ5を設けて、扱室15などから漏下してきた脱穀物の予備選別を行う構成としている。そして、プレシーブ5は、単粒化している穀粒を一挙に選別して、後続するチャフシーブ6に送る脱穀物(被選別物))の総量を大幅に減らして、チャフシーブ6の選別負担を軽減し、脱穀処理を高能率にしたときでもチャフシーブ6の選別精度を高め、極力、二番物や排塵物への穀粒の混入量を少なくして機外損出を減らすものである。
そして、プレシーブ5は、移送棚後端部位に設け、チャフシーブ6の選別面積を縮小するものではなく、チャフシーブ6に比較すると各シーブプレート(第1シーブプレート)間の選別ピッチを狭くし、上下の板幅も短くしてごく小型に構成している。
このようにして、この発明は、脱穀機の処理能力と選別精度を高めて、穀粒の機外飛散を少なくして、高性能の脱穀機を提供するものである。
以下、実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、脱穀機1は、図5に示すように、上側に扱室15、及び二番処理室16と排塵処理室17とを設け、下側に選別室2を配置して構成している。そして、扱室15は、図面に示すように、長手方向に扱胴18を軸架して設け、該扱胴18の前側には、穀稈の穂部側を扱室15に挿入する扱口21(図3参照)を長手方向に沿わせて開口した構成としている。そして、前記扱胴18は、従来から周知のとおり、外周に多数の扱歯19,19を設けるが、その場合、扱歯19,19に回転に伴って脱穀作用と脱穀物を扱室15の下手側に送る送塵作用との機能を与えるように配列した構成としている。
そして、穀稈挟持搬送装置20は、図3、及び図5に示すように、前記扱口21の外側において、穀稈の搬送方向に沿わせて、上側に挟持杆20aと下側にフィードチエン20bとを設け、穀稈の株元側を上下から挟持して穂先側を前記扱口21から扱室15に挿入した状態で脱穀しながら搬送する構成としている。
そして、選別室2は、図5で解るように、上側に、脱穀物の選別方向に沿わせて揺動選別棚3を揺動自由に支持して設けている。そして、該揺動選別棚3は、選別方向の上手側から移送棚4、プレシーブ5、チャフシーブ6、ストローラック7の順に配置して構成している。そして、実施例の場合、図5に示すように、前部の移送棚4とプレシーブ5とチャフシーブ6の始端部分とを、扱室15、及び二番処理室16の下方に位置させて配置した構成としている。なお、チャフシーブ6は、その始端部が、前記扱室15の終端部分で排塵処理室17への連通路23の下方に位置する構成にしている。そして、前記プレシーブ5は、そのすぐ下手側(選別方向)に配置したチャフシーブ6に比較すると、図1から解るように、各シーブプレート(第1シーブプレート)5a,5b,5c間の選別ピッチPを狭くし、上下幅Hも短くした小型の装置に構成している。
そして、前記プレシーブ5は、図1、乃至図3に示すように、各シーブプレート5a,5b,5cの側部に取り付ける上側の回動支点ピン(第1回動支点ピン)8と、回動連結板(第1回動連結板)9に接続するために取り付ける下側の接続ピン(第1接続ピン)10とは、ピンホルダ24に差し込んで取り付けた構成としているが、この場合、回動支点ピン8と接続ピン10とは、一本の鋼材を素材として曲げ加工により上下一体のコ字状に構成している。そして、プレシーブ5は、図1、乃至図3に示すように、揺動選別棚3の両側の側板3a,3bに、上側に回動支点孔25と下側に調節長孔26とを設けて、それぞれに回動支点ピン8と回動連結板9に接続した接続ピン10を通して傾斜角度を調節して選別ピッチPを選択調節できる構成としている。
そして、実施例の場合、回動連結板9は、図1に示すように、締め付けと緩めができるロックねじ27によって移動調節ができる構成としている。
つぎに、チャフシーブ6は、図1、及び図4に示すように、各シーブプレート(第2シーブプレート)6a,6b,6cの側端部分に設ける回動支点ピン(第2回動支点ピン)11と接続ピン(第2接続ピン)12を樹脂素材の成型加工によって取付用支持部13の上下に一体構成として、取り付けている。この場合、取付用支持部13は、図4に示すように、各シーブプレート6a,6b,6cの両側から側端部に差し込んで連結し、上下のピン11,12を取り付ける構成としている。
そして、前記プレシーブ5のシーブプレート5a,5b,5cに取り付けた回動支点ピン8と接続ピン10とは、チャフシーブ6の各シーブプレート6a,6b,6cの回動支点ピン(第2回動支点ピン)11、及び接続ピン12のピン径(a)より小径に構成しており、そのために、樹脂素材では強度上適さないから、前記の通り、鋼材を使用している。
以上のように、プレシーブ5は、チャフシーブ6の選別方向の上手側に配置して、移送棚4から送られた脱穀物の予備選別ができる構成にしているから、チャフシーブ6に達する前の脱穀物から、既に脱粒されて単粒化している穀粒を選別して下方に分離し、被選別物の総量を少なくすることができる。したがって、チャフシーブ6は、従来のように過度の選別負担を負うことが少なくなり、本来の選別能力を充分に発揮しながら選別作用ができるもので、選別能率は勿論のこと、選別の精度も大幅に向上することができた。
そして、実施例の場合、プレシーブ5は、従来の移送棚の後端部位に相当する位置に設けているから、チャフシーブ6の選別面積を狭めるものではなく、上述の如く、予備選別を行うプレシーブ5を装置することで、チャフシーブ6の負担を大幅に軽くし、揺動選別棚3全体として選別精度を向上することができた。
そして、実施例の場合、プレシーブ5をチャフシーブ6に比較すると、図1から解るように、シーブプレート5a,5b,5cの上下長さ(幅)を短くして選別ピッチPも狭くして全体としてチャフ側より小型にすることによって、図2、及び図3に示すように、回動支点ピン8を受ける棚3の側板3a,3bに開孔した回動支持孔25と接続ピン10の調節長孔26を狭くすることが可能で、大きな孔を必要としないから前記側板3a,3bの頑丈さが保て、全体として小型に構成できる利点がある。
更に、実施例のチャフシーブ6は、図4に示すように、樹脂素材からなる取付用支持部13の上下に両ピン11,12を一体成型したから、全体の軽量化が図られ、しかも、比較的低コストで生産できる特徴もある。そして、プレシーブ5は、既に述べたように、回動支点ピン8と接続ピン9との線径が細いから、樹脂素材から成型加工する手段では強度上適さないが、鋼材(実施例ではピアノ線)の曲げ加工によって製作すると、これは線径が細くても充分の強度が確保できるから、耐久性においても調節操作上も全く支障なく円滑に調節ができるものとなった。
そして、チャフシーブ6は、図1、及び図4に示すように、揺動選別棚3の両側板3a,3bに、上側の回動支点ピン11を回動自由に枢着し、下側の接続ピン12を調節長孔30内を通して回動連結板(第2回動連結板)31に連結し、更に、その回動連結板31を、回動アーム32、調節ワイヤー33に連結して角度調節(選別間隔調節)を可能に構成している。
このように、実施例のチャフシーブ6は、図1、図2、図3、及び図5に示すように、角度調節をプレシーブ5とは独立して別々に行う構成にしたから、麦の場合や穀粒流量が少量の場合、プレシーブを閉じて、チャフ側を開いて漏下させながら選別することが可能であり、又、脱穀作業を高能率にして脱粒容易な品種では、プレシーブ5の開度を大きくして充分な予備選別をすることが可能で、チャフシーブ6の選別負担を軽くできる。
そして、脱穀機1は、図5に示すように、フィードチエン20b側の側板に掃除口35を開口しているから、これを利用して前記プレシーブ5のロックねじ27を操作してシーブプレート5a,5b,5cの角度調節操作ができる特徴がある。
つぎに、プレシーブ5とチャフシーブ6とを後述する連動構成によって、一体調節を可能として、調節操作の簡略化を図った実施例を説明する。
この場合、プレシーブ5とチャフシーブ6とは、図6に示すように、両方の回動連結板9、31とを連動ロッド37で連結して連動調節可能に構成している。そして、連動ロッド37は、図6に示すように、複数の調整孔38a,38b,38cを設け、係合ピン39の抜き差しにより、両者の相対的な角度の関係を調整することができる構成にしている。
なお、この調整操作は、既に説明した脱穀機1の側板に開口している掃除口35を開けて行うことができる。
そして、プレシーブ5とチャフシーブ6とは、図7に作用図で示すように、連動ロッド37で連結して、チャフ側の回動アーム32、調節ワイヤー33を介して外部から調節すると、両方の回動連結板9,31を介して両方のシーブプレート5a,5b,5c,6a,6b,6cが同時に連動し角度が調節される。そのとき、図7に示すように、プレシーブ5側のシーブプレート5aの回動角θ1が、チャフシーブ6側のシーブプレート6aの回動角度θ2より大きくなり、開度の調節範囲が大きくなる構成となっている。
このように構成したプレシーブ5とチャフシーブ6とは、連動調節して選別ピッチを変えて選別作業を行うと、プレシーブ5の方がチャフ側に比較して、常に、極端に閉まり、極端に開くことになるが、開いた場合でも、逆に、閉まった場合でも、プレシーブ5が選別工程の前寄りにあって、後方の選別作用工程が長いから、その間で充分に風選作用等を受けて悪影響が出ることはほとんどない。
それよりも、プレシーブ5は、チャフに対して予備選別を行う作用が大きく、各種の条件適応性が拡大し、既に述べたように、チャフシーブ6の前で予備選別を行う特有の機能を発揮できる優れた利点がある。
つぎに、脱穀機1の扱室15について、内部の具体的な構成を実施例ごとに図面に基づいて説明する。
まず、抵抗板(板体)40は、図8、及び図9に示すように、挟持杆20aの内側において、基部を扱室内側案内板41と挟持杆取付台42とに接続して取り付け、前記扱口21の始端部から終端部に渡り搬送穀稈を上側から押圧しながら層状にして案内するように構成している。そして、実施例の場合、穀稈挟持搬送装置20と抵抗板40は、図8に示すように、略水平状態に軸架されている前記扱胴18に対して、右側(搬送終端側)上がりに形成されている扱口21に沿わせて、順次右上がりに設けた構成としている。そして、抵抗板40は、図9の仮想線で示すように、従来から公知の構成と同様に扱胴カバー43を上方にオープン回動するとき、挟持杆20aと共に上方に一体となって上がる構成となっている。
つぎに、送塵ガイド板44は、図8、及び図9に示すように、側面視で長方形状の板体に形成し、右端部分、すなわち、扱室15の出口に近い部分では、上記抵抗版40の下縁形状に合わせて、斜めに切上部を形成し、中間部位から先端部に至る範囲に、扱歯19,19が通過できる程度の幅のしごき溝45,45を長手方向に櫛状に連続して設け、後部を板状案内部44aに構成している。そして、送塵ガイド板44は、図9に示すように、上記抵抗板40の内側において、脱穀機1の枠組みを構成している前板46と後板47とに架渡して設けた取付フレーム(フレーム)48に基部を取り付け、先端側を扱胴18方向に延長して構成している。そして、送塵ガイド板44は、図面に示すように、先端側を前記扱歯19,19の回転圏内に入り込ませ、扱歯19,19が前記しごき溝45、45内を通過する位置まで扱胴18に接近させて設けた構成(前板から中板までの間)とし、後部の板状安内部44aは、図11に示すように、扱歯19,19の回転圏内から外側に位置させて構成(中板から後板までの間)している。
そして、切刃(第1切刃)50は、図10に示すように、前記取付フレーム48に取り付けるが、その場合、前記送塵ガイド板44を上側にして取付フレーム48をサンドイッチ状に挟んで共締めにして固定している。そして、切刃50は、図10から解るように、扱歯19の回転圏内に臨ませて配置し、扱歯19の回転方向に対して後退角を与えて構成している。
この構成によって、切刃50は、扱歯19によって持ち回られてくる未処理物を、比較的小さい消費馬力で適確に切断して送塵ガイド板44上に落し、更に、送塵ガイド板44は、しごき溝45,45によって扱歯19,19からしごき取った枝梗付着粒や藁屑(穀粒が混入したものが多い)を、扱室15内の抵抗を増加することなく、搬送穀稈の株元から遠ざける扱胴18側に案内することができ、4番ささり粒を大幅に減らすことができる。このとき、切刃50が切断した切断物は、送塵ガイド板44のガイド面(しごき溝45としごき溝45との間の板の部分)上に案内されて穀稈株元から遠い扱胴18側へ案内される。そして、上記取付フレーム48は、図10に示すように、上部を、上側の扱室内側案内板41を伝わって流下する未処理物を受け取るように接近させ、更に、傾斜安内面48aを形成し、未処理物を切刃50に誘導できる構成としている。
そして、取付フレーム48は、図10に示すように、下端縁を内部の切刃50側に折り曲げて回止め部48bを形成し、切断作用が適確にできるようにしている。
つぎに、仕切板55について説明する。
まず、仕切板55は、図12、及び図13に示すように、扱室15と排塵処理室17との連通口23の出口側と、それより更に出口側に位置するささり粒回収室56との間において、扱胴18の上方部分から扱口21に近い部位までを仕切って隔離した構成としている。この実施例に係る仕切板55は、図面に示すように、扱胴カバー43に取り付けた上部仕切板(第1仕切板)55aと、取付フレーム48に取り付けた下部仕切板(第2仕切板)55bとの上下2枚から構成している。そして、上部仕切板55aと下部仕切板55bとは、接合部分でラップさせて構成している。
このように構成すると、扱室15の排塵物は、扱胴18の上方が上記仕切板55で堰き止められた状態で、排塵処理室17に送塵されるべき排塵物が出口側のささり粒回収室に送られるのが止められる。そして、これらの排塵物は、連通口23を経由してほとんどが排塵処理室17に供給される。したがって、出口側のささり粒回収室56は、穀粒の混入した排塵物(塵埃)が少なくなり、機外損失となる四番ロスを大幅に低減することができる効果がある。更に、仕切板55は、扱胴カバー43に取り付けた上部と、切刃50や排塵ガイド板44を取り付ける取付フレーム48を利用して取り付けた下部との2枚分割構成にしたから、前側の下部仕切板55bを扱胴18の軸芯近くまで設けられるから、充分に仕切りができるものとなった。更に、上記仕切板55は、上部55aの下縁部分と下部55bの上縁部分との接合部をラップさせて構成しているから、処理物を挟むことがほとんどなくなり、詰まるおそれもない特徴がある。
つぎに、図14、及び図15に示すように、既に説明した送塵ガイド板44の上側に配置した切刃50に加えて扱室15の奥側にある網枠57の上側にも切刃(第2切刃)58を配列して設けた別の実施例について説明する。
まず、切刃58は、図14、及び図15に示すように、前板46と後板47との間に架渡して設けた取付フレーム60に取り付けて設け、高い位置において、網枠57の上側に配列して設け、扱胴18が扱歯19,19によって持ち回っている脱穀物を切断する構成としている。そして、この場合、切刃58は、図14に示すように、既に説明した前側の切刃50より高い位置にあり、しかも、図15に示すように、異なる切断ライン上に配列して切刃50と別のラインを持ち回られている脱穀物を切断できる配置に構成している。
このように構成すると、扱室15は、前側と、後側とにそれぞれ切刃50、58とを取り付ける取付フレーム48、60を架渡して構成したから、枠組みの剛性が増して頑丈な構成になった特徴がある。そして、扱室15は、両方の切刃50,58とを高い位置に設けたから、受網61の張設範囲が広くなり、室内の選別漏下面積が拡大した付随的な効果がある。
そして、切刃58,50は、扱室15内部に増やすことで、扱胴18が扱歯19,19にひっかけて持ち回る未処理物を適確に切断して、脱粒、及び選別効果を高め、穀粒の機外ロスを減少させる特徴があり、特に、雨天時などの湿材を処理する悪条件下の脱穀作業でも扱室15内での異音の発生を従来よりはるかに少なくなる効果がある。
【符号の説明】
【0009】
15 扱室
17 排塵処理室
18 扱胴
19 扱歯
21 扱口
23 連通口
43 扱胴カバー
48 取付フレーム(フレーム)
55 仕切板
55a 上部仕切板(第1仕切板)
55b 下部仕切板(第2仕切板)
56 ささり粒回収室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(18)を軸架した扱室(15)と排塵処理室(17)とが連通口(23)で連通され、前記扱室(15)の下側には揺動選別棚(3)を有した選別室(2)が配置され、前記扱室(15)の横側には扱口(21)が開口された脱穀装置において、前記扱室(15)における連通口(23)よりも後側の部位に、扱胴(18)後端部の扱歯(19)によってささり粒を回収するささり粒回収室(56)が形成され、該扱室(15)とささり粒回収室(56)との間を仕切る仕切板(55)が、扱胴(18)の上方を覆う扱胴カバー(43)の下面に取り付けられた第1仕切板(55a)と、扱口(21)の上側のフレーム(48)に取り付けられた第2仕切板(55b)との接合によって形成されたことを特徴とする脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−81474(P2013−81474A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−289218(P2012−289218)
【出願日】平成24年12月29日(2012.12.29)
【分割の表示】特願2012−129992(P2012−129992)の分割
【原出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】