膨張シリンジディスプレイ及びモジュール化した構成素子アセンブリを有するシステム並びに方法
改善したディスプレイ、及びモジュール化した構成素子アセンブリを有する膨張シリンジ。本発明は、より詳しくは、膨張シリンジに関連する膨張加圧状態の数値表示及び非数値表示の双方を提供する方法及び装置に関する。膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリによれば、個別の素子は、膨張シリンジの他の構成素子とは独立させて検査することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の代表的な実施例は、バルーンを先端に付けたカテーテルの膨張(インフレーション)を制御するのに用いられる膨張装置に関する。特に、本発明は改善した膨張データディスプレイに関し、このディスプレイにより膨張加圧値の直感的なまた非数値による表示を行いバルーンカテーテルの膨張圧の改善された監視を容易にする。本発明は更に、このシステムにより膨張デバイス装置の組立てを容易にするための、改善したモジュール化素子アセンブリシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
膨張シリンジ及びカテーテル技術は、介入(インターベンショナル)放射線医療及び介入心臓病医療分野において益々重要となってきている。バルーンを先端に付けたカテーテルシステム及び膨張シリンジ装置は、泌尿器学、婦人科学、心臓病学等のような種々の医療分野において用いられている。バルーンを先端に付けたカテーテルシステム及びこれらに関連するシリンジシステムが従来の治療方法を超えて著しく改善されている1つの領域は、冠動脈疾患の治療に関連する領域である。
【0003】
冠動脈疾患及びこれに関連する、酸素を豊富に含む血液を心臓に送給する動脈の狭小化(“狭窄”として知られる状態)は、バルーンを先端に付けたカテーテルがしばしば処置方法として用いられる病状の1つである。従来では、冠状動脈閉塞は、医薬品又は冠動脈バイパス手術の実施により処置されていた。種々の薬剤を投与しうるが、これらは、心拍数を低減させる、又は血管を拡張させる、又は血圧を低下させることにより、心臓の機能を低下させるおそれがある。しかし、このような薬物療法によっては、冠状動脈の狭窄を治療することができない。従って、冠状動脈狭窄が残るばかりか、ある時点で、冠状動脈狭窄が、外科的介入を必要とするほどに重篤となるおそれも存在し続ける。
【0004】
冠動脈バイパス手術では、胸部又は脚部からの血管を、閉塞個所から逸らして移植し、血液がこの閉塞個所を迂回して心臓に達するようにする。ある重篤な症例では、複数のバイパス形成手術を実施する。周知のように、冠動脈バイパス手術は高価で極めて侵襲的な処置であり、しばしば長期の入院及び療養期間を必要とする。
【0005】
ここ数年で、冠動脈疾患を治療する他の方法が開発され、これはバルーン冠動脈血管形成術又はより専門的には経皮経管冠動脈形成術(PTCA)と称されている。PTCAは冠動脈バイパス手術よりも格段に外傷性の少ない処置である。PTCAの実施には約2時間かかり、局所麻酔下で行うことができる。PTCAは、患者回復時間を著しく改善させ、数日中に患者が正常な活動を再開できるようになっている。PTCAは、バイパス手術よりも格段に廉価で低外傷性であり、しかも効果的に閉塞を取り除くことができるため、PTCAは、このような処置の施術数が年々劇的に増加している。
【0006】
一般的なPTCAの手術を実行するために、患者の足の付け根又は患者の腕の動脈に形成した切開部からイントロデューサーシースを挿入する。このシースに導入するカテーテル内にX線感応性染料を冠動脈内に注入する。この染料は、医師が実時間X線技術を用いてテレビモニタ上で患者の脈管構造を鮮明に見えるようにし、これにより閉塞個所を発見できるようにする。X線モニタの補助の下、バルーンを先端に付けたカテーテルを脈管構造内で閉塞個所まで前進させる。
【0007】
PTCA処置の施術数の増加により、PTCAの処置中にバルーンカテーテル又は他の膨張可能なバルーン型装置を膨張させるために用いられる電子監視式膨張シリンジシステムの使用が相当増えてきている。一般的なシリンジシステムは、バレル及びプランジャを有しており、これらは選択的に動作してバルーンカテーテルに加える流体圧力を増大させるとともに、バルーンカテーテルに加えた圧力を処置の終了直後に除去する。シリンジシステムは、ユーザー読み取り可能なフィードバックを数値の形で医療従事者に与え、この医療従事者がバルーンに加わる圧力量を評価するよう構成する。これにより、医療従事者が加圧値を厳密に監視して、処置中に、よりよく制御し、且つシステマチックなバルーン膨張を行うことができる。
【0008】
PTCA処置で用いられる装置の多くは、一回の使用後に廃棄可能で廉価な装置である。使い捨ての装置では、再利用可能な装置のために必要となる、高価で時間がかかる滅菌処置を省略することができる。更に、使い捨て装置は、疾病の患者相互間感染の恐れを回避する。従って、膨張シリンジの設計者及び製造者は、このような使い捨て可能な膨張シリンジの費用を抑え、これら膨張シリンジを多種多様な用途に対し、より費用効果の良いものとするように取り組んできた。その結果、より複雑な装置に対しては、より簡素化した設計に関心が注がれている。このような設計には一般的に、膨張シリンジと関連して設けたディスプレイ上で、膨張圧力を簡単にデジタル的又はアナログ的に読み取るようにすることが含まれる。
【0009】
電子監視式シリンジの1つの代表的なディスプレイは、3〜5個の領域(フィールド)と、場合によって小数点とを有する7セグメント式LEDディスプレイを備えている。このように簡素化されたディスプレイは、伝達できる情報が制限されている。若干のディスプレイはシリンジのその時点での加圧値のみを提供するにすぎない。より高性能なモデルでは、ユーザーが表示を切り替えて付加情報を見ることができる。付加情報を見る機能は有益なものとなりうるが、ユーザーは、追加の情報にアクセスし、データの関連性を読み取り、異なる値が如何に関連しているかを決定するのに精神的な労力と時間とを費やす必要がある。より高価なシリンジは7セグメント式LEDディスプレイを複数個有し、複数の値を同時に表示することもある。しかし、複数の値が表示された場合でも、ユーザーはこれらの値を解釈するとともに互いに関連付け、しかもどのディスプレイが所与の値を表示しているかを記憶するのに時間と精神的な労力とを費やすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改善したディスプレイ、およびモジュール化した素子アセンブリを有する膨張シリンジに関する。本発明は特に、膨張シリンジに関連する膨張加圧値の数値表示及び非数値表示の双方を行う方法及び装置に関する。本発明の一実施例によれば、膨張シリンジの加圧値を表示するための漸進的非数値表示を、この加圧値の数値表示インジケータとともに、行う。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、漸進的表示が、ある範囲の膨張加圧値に対応する複数の指標を有するようにする。これら指標を、医療従事者が、多く時間を費やし且つ直感的でない数値表示の解釈のみに頼る必要なしに、
(1)加圧状態の概略的な大きさを容易に監視し、
(2)加圧状態の変化を直感的に追跡し、
(3)複数の加圧値の関係を簡単に観察できるようにする、
明瞭で直感的な方法で、ある加圧値を示すように表示する。これにより、ユーザーは、その時点のカレント加圧状態と、所望の加圧量と、加圧速度との間の関係を直接的で有益な方法によって確認することができる。
【0012】
本発明の一態様によれば、ディスプレイは、非数値表示に加え、加圧状態を数値として示す数値表示を有する。これにより、非数値表示により得られる視覚的表示を補足する、膨張加圧状態の付加的表示が得られる。加圧に関する数値表示及びこれに関連する数値を提供することにより、ユーザーは、加圧に対するより微小な漸進的変化を認識し、且つある加圧状態の正確な数値を容易に確認することができる。
【0013】
本発明は、膨張加圧値を表す非数値指標を表示する方法にも関するものである。本発明の方法では、膨張加圧における変化を示すために複数の指標を設ける。初期加圧状態を表示した後、その時点のカレント加圧状態及び加圧の状態変化を簡潔且つ直感的にユーザーに表示することができる。例えば、1つまたは複数の指標をカレント加圧状態の表示として機能させることができる。加圧状態の変化に応答して、異なる1つの指標が機能し、その加圧状態の変化を表す。
【0014】
本発明の他の態様によれば、最終最大加圧値など1つ以上の所望タイプの付加的データをユーザーインタフェースにより提供するようにする。例えば、1つ以上の指標を、最終最大加圧量のような代表的な加圧状態の表示を与えるものとして特定する。例えば代表的加圧状態に対応する非数値指標を点灯させるか、このような代表的加圧状態の点滅する数値表示を提供するか、又はその双方によって、代表的な加圧状態を表示した後、その時点におけるカレント加圧状態及び加圧状態の変化がユーザーに簡潔で直感的に表示される。例えば、代表的加圧状態が表示された後、カレント加圧状態表示として、1つ又は複数の指標を機能させることができる。加圧状態の変化に応答して、他の1つの指標を機能させ、加圧状態の変化を表すようにする。一実施形態では、カレント加圧値及び代表的な加圧値の非数値指標を共に表示して、ユーザーがこれら2つの値間における関係を簡単且つ直感的に確認しうるようにする。
【0015】
本発明の一態様によれば、改良したモジュール化構成素子アセンブリシステム、膨張機器を検査し、組立てる方法及びプロセスを提供する。モジュール化した構成素子アセンブリにより、膨張機器の各構成素子を検査するとともに、構成素子をまとめて組立てた後に検査することも可能にする。個別の素子及び組立てた構成素子を検査できることにより、機器の単一の構成素子のみに欠陥がある場合、動作可能な素子又はさらに膨張シリンジ全体の廃棄を低減又は完全に回避することができる。これにより製造者は、個別の素子を検査し、その実行可能性を別々に評価することができる。その結果、他の構成素子とともに動作可能な膨張シリンジに組み込まれる前に、欠陥素子を容易に識別することが可能になる。
【0016】
本発明の上述した及びその他の目的及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲、又は以下に説明する本発明の実施形態から一層明らかとなるであろう。
【0017】
本発明の上述した及びその他の利点並びに特徴が得られる方法を説明するために、簡潔に上述した本発明を、添付図面に示す特定の実施例につき更に詳細に説明する。図面は本発明の代表的な実施形態を示すにすぎず、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではないということを理解して、添付図面を用いて更なる特異性及び詳細につき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】膨張シリンジの加圧量を表す数値指標及び非数値指標の双方を行うディスプレイを有する膨張シリンジを示す斜視図である。
【図2】膨張シリンジの構成素子及び膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリを示す、図1の膨張シリンジの分解図である。
【図3A】膨張シリンジのその時点での加圧量を表示する数値及び非数値指標を有するこの膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3B】非数値指標を利用するユーザーに、最終加圧値情報を表示している膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3C】数値指標及び非数値指標の双方を利用するユーザーに、最終加圧値情報を表示している膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3D】膨張シリンジの再加圧中におけるディスプレイ動作をデモンストレーション表示するための膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図4】数値及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する方法を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジの分解図である。
【図5B】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す膨張シリンジのハウジングベース及びバレルの斜視図である。
【図5C】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す膨張シリンジのハウジングベース及びバレルの斜視図である。
【図6A】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジのディスプレイの分解図である。
【図6B】本発明の一実施形態によるモジュール化された構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジのハウジングベース及びバレルのディスプレイの分解斜視図。
【図6C】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、ディスプレイハウジングの構成素子の斜視図。
【図6D】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示すディスプレイハウジングの側断面図。
【図6E】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示すディスプレイのハウジングにおける構成素子の斜視図。
【図7】モジュール化した構成素子アセンブリを用いて膨張シリンジを検査し、また組立てる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、改善したディスプレイ及びモジュール化した構成素子アセンブリを有する膨張シリンジに関する。本発明は特に、膨張シリンジと関連する膨張加圧の数値及び非数値の双方の表示を行う方法及び装置に関連する。一実施形態によれば、膨張シリンジの加圧値をその数値指標と共に表示する漸進的非数値表示を行う。この漸進的非数値表示には、膨張加圧値の範囲に対応する複数の指標がある。これらの指標が表示されると、任意の加圧値が表示されるとともに、医療従事者は、数値を解釈する必要なく、概略的な加圧量を容易に監視できるようになるばかりでなく、加圧量の変化をも監視できるようになる。これにより、ユーザーは、その時点でのカレント加圧量と、所望の加圧量と、加圧の到達率との間の関係を迅速に確認できる。
【0020】
本発明の1つの態様によると、漸進的表示は、加圧量を数値として表す数値指標を有する。これにより、非数値指標により与えられる視覚表示を補完する、膨張加圧の追加の正確な指標を提供する。本発明の他の態様によると、目標加圧量又は最終最大加圧量を自動的に識別するのに用いうる情報をユーザーが入力しうるようにするユーザーインタフェースを設ける。このユーザーインタフェースは更に、ユーザーが、表示する他のパラメータを選択するようにできる。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、加圧量を表示する方法をも提供する。この方法では、膨張加圧量の変化を示すようにした複数の指標を生じるようにする。これらの指標の1つ以上を、最終最大加圧値のような所望の加圧値の指標として識別する。所望の加圧値を選択した後、膨張加圧量を監視する。1つ以上の指標を加圧量の指標として表示する。加圧量の変化に応答して、異なる指標の1つを表示する。
【0022】
本発明の一態様によれば、改良されたモジュール化構成素子アセンブリシステム、並びに膨張機器の検査、組立て、及びコストを改善する方法並びにプロセスをさらに提供する。この方法では、構成素子を入手し、その後各機能素子を個別に検査する。構成素子を個別に検査した後、構成素子を組立てる。その結果、ある単独の素子に欠陥がある場合、膨張機器全体ではなく、その欠陥素子のみを廃棄する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による膨張シリンジ10を示す。この膨張シリンジ10は、バレル12と、プランジャ16と、ディスプレイ20とを具えている。バレル12は、生理食塩水又はその他の流体のような圧力変換媒体を保持するよう構成した内腔を有する。プランジャ16は、バレル12内の加圧状態を増大又は減少させるよう構成する。ディスプレイ20は加圧情報を簡潔且つ直感的にユーザーに表示する。
【0024】
図示の実施形態では、バレル12はほぼ管状の構造である。シリンジのプランジャ16はバレル12内に摺動可能に取付けるように構成する。プランジャ16は、プランジャ止めナット40の対応するねじ山に適合するよう構成したねじ部17を有する。プランジャ止めナット40は、プランジャ16をバレル12内で固定する。バレル12にはチューブ18の一方の端部を結合し、このチューブの他方の端部は回転可能なルアーカプラ19に結合する。回転可能なルアーカプラ19は、チューブ18をバルーンカテーテル(図示せず)又は膨張可能な他の医療デバイスに接続するよう構成する。
【0025】
プランジャ16の基端部はバレル12の内に液密に配置し、これにより、バレル12内で前進するプランジャ16が正の圧力を発生する。プランジャ16の末端部はハンドル14を有し、このハンドルにより、ユーザーはプランジャ16をバレル12内に更に押し込む圧力を加える又はプランジャ16をバレル12から引き出すことができる。バレル12内に封入された流体に与えられる正の圧力はチューブ18を介してバルーンカテーテルに加えられる。チューブ18は、回転可能なルアーカプラ19によりバルーンカテーテルに接続する。同様に、プランジャ16をバレル12の後方に引くことにより、バルーンカテーテルに加わっていた正の圧力を減少させることができる。本発明の一実施形態によれば、バレル12を所望の加圧量まで加圧し、次にバレル12を負の圧力に減圧する処理を膨張ルーチンとみなすことができる。
【0026】
図示の実施形態では、ディスプレイ20をバレル12の外部に取付ける。このディスプレイ20は、直感的に且つ容易に読み取りを行うことができる構造を提供する。この図示の実施形態では、ディスプレイ20は、数値表示部22、非数値表示部24、タイマー表示モジュール26を有する。数値表示部22及び非数値表示部24の双方を設けることにより、ディスプレイ20は、既存のディスプレイにより得られるよりも多様な情報をユーザーが読み取り且つ理解できるようになる。更に、ディスプレイ20により、ユーザーが既存のディスプレイの出力を解釈するのに必要とする時間及び精神的労力を排除する、有用且つ直感的な方法で加圧情報を提供する。従って、医療従事者は、既存のディスプレイにより得られる個々の数値情報又はその他の情報を解釈することに注意を集中する必要なしに、実行すべき処置の他の局面に集中することができる。
【0027】
図示の実施形態では、ディスプレイ20を圧力変換器などの圧力感知装置(圧力センサ)に結合する。この圧力感知装置は、バレル12の壁部内に一体化する、又はバレル12内に取付ける、又はバレル12の内部と流体連通するように配置する、又はバレル12内の圧力を感知するように構成する。圧力感知装置とバレル12の内部との関係を説明するために用いた用語“流体連通”は、バレル12及びチューブ18内に加わる流体圧力を圧力感知装置に、このような流体圧力が圧力センサにより検出されるように空気又は液体的な伝達を行う(直接的に又は間接的に)ことを含みうるものである。例えば、密閉システム内に封入された流体と(空気圧又は液圧によって或いはその双方によって)接触するように配置したピエゾ抵抗半導体変換器のダイヤフラムを用いて、このような流体圧力を直接伝達することができる。間接伝達は、例えば、変換器をダイヤフラムに結合させ、このダイヤフラムを密閉システム内に封入された流体に接触させることにより達成することができる。
【0028】
圧力感知装置はバレル12の外部上でディスプレイ20に結合し、バレル12の内部と関連する加圧情報を伝達するよう構成する。他の実施形態では、圧力感知装置をディスプレイ20と一体化するとともに、バレル12の内部と流体連通させ、バレル12内の加圧量を感知するよう構成する。一実施形態では、T字状コネクタを介してチューブ18に取付けた接続用チューブの端部に圧力感知装置を位置させる。代案として、圧力感知装置を、ディスプレイ20の内部に収容した電気回路の一部として取付けることができる。更に他の実施形態では、圧力感知装置をバレル12から離れた他の位置に位置させる。この圧力感知装置は、ピエゾ抵抗半導体型の変換器を有することができる。更に他の実施形態では、圧力感知装置がピエゾ抵抗又は半導体装置以外の変換器を有してもよい。例えば、一実施形態では、圧力感知装置は、種々の異なる圧力監視用途に対する技術で用いられている既知の一般的なひずみゲージ変換器、又は光ファイバ変換器を有する。
【0029】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲を限定することなく様々な種類及び定義の膨張ルーチンを用いることができる。例えば、限定されるものではないが、バレル12の加圧が開始した際に膨張ルーチンを開始させるようにすることができ、この膨張ルーチンには、プランジャ16をバレル12内で前進させる、又はプランジャ16をバレル12から引き出す幾つかの段階を含めることができる。この膨張ルーチンは、バレル12から全ての圧力を解除したときに終了させることができる。他の代表的な実施形態では、正の加圧がバレル12内に加わるとき、膨張ルーチンを開始し、バレルの減圧の第1期間が終了した際に膨張ルーチンを終了することができる。一実施形態では、減圧の第1期間の終了時にバレル12から加圧が全て解除されることのないようにできる。従って、全ての圧力がバレル12から解除されなければ、加圧量が前の膨張ルーチンの最大加圧値よりも低い値にあった場合でも、加圧量の増加が再び検出された際に、次の膨張ルーチンを開始させることができる。更に、膨張シリンジ以外の加圧機構に対し膨張ルーチンを用いることもできる。
【0030】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、膨張シリンジ10の機能を、種々のシリンジ又は加圧システムにより得ることができる。一実施形態では、複数回駆動されるプランジャ又は同様に機能する素子により加圧されるとともに、バルブを介して圧力を解除するポンプ装置を、バレル及びプランジャシリンジシステムの代わりに用いる。他の実施形態では、自動加圧装置により、必要とされる圧力をチューブに与え、チューブ内の圧力を検出し且つ監視するようにすることができる。このようなシリンジシステムの一実施形態の更に詳細な説明は、米国特許第5,057,078号明細書に開示されている。
【0031】
図2は、図1の膨張シリンジ10の分解図であり、この膨張シリンジ10の構成素子及び膨張シリンジ10のモジュール化した構成素子アセンブリを示す。図示の例では、プランジャ16及びハンドル14をバレル12から分離させて示す。プランジャ16は基端部30と、ゴム製の先端部32と、ねじ山34とを有する。プランジャ16の末端部は、ハンドル収容素子38及びばね作動式のトリガ36を有する。
【0032】
図示の実施形態では、ゴム製の先端部32がプランジャ16の基端部30に位置する。このゴム製の先端部32はバレル12の内部に液密に係合し、ユーザーがバレル12内に位置する流体に対する加圧を増大させるよう構成する。ユーザーがプランジャ16をバレル12内に更に前進させると、ゴム製の先端部32も前進してバレル12内の正の圧力が増大する。同様に、ユーザーはプランジャ16をバレル12内で後方に引き戻して、バレル12内の加圧を減少させることができる。
【0033】
図示の実施形態では、プランジャ16をプランジャ止めナット40によりバレル12内に固定する。プランジャ止めナット40のこの構成により、ユーザーが、プランジャ止めナット40をバレル固定ねじ山42に螺合させることによりプランジャ16をバレル12内に固定できる。プランジャ止めナット40のこの構成により、プランジャ16をバレル12内で前後に摺動可能にするとともに、プランジャ16をバレル12内に固定する。図示の実施形態では、バレル固定ねじ山42は、膨張シリンジ10の1つ以上の付加的な構成素子と協調動作するよう係合する構成とする。例えば、バレル固定ねじ山42は、プランジャ止めナット40内に一体化に形成した対応する第2ねじ山のセットに適合するよう構成することができる。
【0034】
プランジャ16の末端部には、ばね作動式のトリガ36を収容しまた係合するよう構成したハンドル収容素子38を設ける。図示の実施形態では、ユーザーは、ばね作動式のトリガ36を作動させることにより、シリンジプランジャ16をねじ山17の係合なしに前進させることができる。ユーザーがばね作動式のトリガ36を作動させるとき、このトリガ36の一部がハンドル収容素子38内に引き込まれる。ばね作動式のトリガ36をハンドル収容素子38内に引き込むことにより、ねじ山34がプランジャ止めナット40の対応するねじ山から解放される。その結果、プランジャ16をバレル12内で基端方向又は末端方向に自由に摺動させることができる。トリガ36のハンドル収容素子38側への収縮を解除することにより、ねじ山34がプランジャ止めナット40の対応するねじ山に係合する。ねじ山34とプランジャ止めナット40との間の係合により、プランジャ16を時計方向又はその反時計方向にねじ回することにより、このプランジャ前進又は後退することができるようになる。
【0035】
トリガ36は、ユーザーが膨張シリンジ10のバレル12内の加圧を急速に増加又は減少させることができる。換言すれば、ユーザーは、トリガ36をハンドル収容素子38に押し付けて、プランジャ16をバレル12内でねじ回すことなく前進又は後退させ、バレル12内の加圧を増大又は減少させることができる。次に、ユーザーはトリガ36を釈放し、プランジャ16をバレル12内でねじ回して前進又は後退させることで、より一層正確な所望の加圧状態に、プランジャ16をより漸進的に調整することができる。更に、プランジャ16をバレル12内での付加的なねじ回し前進を使用して、バレル12内の圧力を、ねじ回しによらない前進だけで達成しうるよりも一層大きくすることができる。
【0036】
図示の実施形態では、シリンジバレル12の本体に取付けブラケット110を設ける。この取付けブラケット110は、ディスプレイ20をシリンジバレル12に固定するようにする。この取付けブラケット110は、バレル12の基端部、すなわち先端部に一体的に結合する。図示の実施形態では、バレル12の内部から加圧情報を伝達する目的で、この取付けブラケット110は、バレル12の側壁に形成した開口(図示せず)を経てこのバレル12の内部と流体連通状態にする。
【0037】
図示の実施形態では、加圧情報をユーザーに関連するディスプレイ20を設ける。このディスプレイ20は、表示モジュール44、表示回路46、および筐体48を有する。表示回路46は、表示モジュール44に結合するよう構成する。表示回路46は、表示モジュール44によって表示すべき加圧情報または他の情報を提供する。ハウジング48は、ハウジングベース48b及びハウジングフード48aを具える。ハウジングベース48bは表示回路46及び表示モジュール44を収容するよう構成する。ハウジングフード48aはこの場合、ハウジングベースに固定し、これにより表示回路46及び表示モジュール44をハウジング48内に固定することができる。ハウジングフード48aは、表示モジュール44がユーザーに見えるようこの表示モジュール44を固定する構成とする。
【0038】
表示モジュール44、表示回路46、及びハウジング48などのモジュール化した構成素子をディスプレイ20に関連して設けることにより、製造者は簡単かつ効率的にディスプレイ20の構成素子を組立てることができる。さらに、ディスプレイ20に関連するモジュール化した構成素子を用いることにより、シリンジシステム又は他の膨張デバイスに対する組立ておよび取付けの少なくとも一方を行う前に、製造者はディスプレイ20の各構成素子を個別に検査することができる。このようにして、表示回路46のようなディスプレイ20の単独素子が不良である場合、製造者はディスプレイ20の組立ての前に欠陥がある素子を識別することができる。これにより、ユーザーは、ディスプレイ20および膨張シリンジ10の少なくとも一方の構成素子に欠陥がないディスプレイ全体を廃棄することなく、個別の構成素子を廃棄することができる。モジュール化した構成素子の組立て方法は、図6及び図7の説明につき、以下により一層詳しく説明する。
【0039】
図示の実施形態では、表示モジュール44は、数値指標、非数値指標、タイマー表示モジュールの少なくとも一つを有することができる。数値指標及び非数値指標を設けることにより、加圧情報の簡単且つ直感的な表示をユーザーに与える。表示モジュール44は、膨張加圧情報を表示する手段の一例である。表示回路46は、圧力感知装置から出力される圧力情報を表す電気信号を処理する。この表示回路46は、表示モジュール44が加圧情報を表示する方法を制御することもできる。表示回路46は、圧力感知装置からの電気信号を処理する手段の一例として説明されるものである。電気信号を処理する手段の他の例としては、マイクロチップ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)のような携帯装置があるが、これらに限定されない。数値指標及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する方法を、図4及び5に関する説明と関連して後に説明する。
【0040】
本発明の一態様によれば、ディスプレイ20はさらに圧力感知装置を具える。この圧力感知装置は、バレル12の内部と流体連通するように配置する。図示の実施形態では、圧力感知装置は表示回路46に統合する。表示回路46及び表示回路46の圧力感知装置は、流体連通するようバレル12内に配置する。
【0041】
当業者には明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構造のディスプレイを用いることができる。本発明の一実施形態によれば、ディスプレイを膨張シリンジとは個別に設ける。例えば、使い捨ての膨張シリンジに動作可能に接続する再利用可能なユーザーインタフェースの一部としてディスプレイを設けることができる。膨張加圧状態を表示する手段の他の例も用いることができ、これら他の例としては、以下のものに限定しないが、陰極線管ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、発光ダイオード(LED)群、携帯情報端末(PDA)などの携帯デバイス、ハードコピー表示を印刷するプリンタがある。
【0042】
図3A〜3Dは、本発明の一態様による、加圧情報を簡単且つ直感的にユーザーに表示する数値指標及び非数値指標を有するディスプレイ20を示す。ここで図3Aを参照すると、図示の実施形態では、ディスプレイ20は非数値表示24及び数値表示22を有する。非数値表示24は複数の指標51を有する。これら指標51は膨張シリンジの加圧状態を簡潔且つ直感的に示す漸進的表示を提供するよう構成する。非数値表示及び対応する指標51の漸進的構造により、加圧値の範囲を表示することができる。指標51が表示されると、ユーザーは膨張シリンジ10の加圧状態を迅速に且つ容易に判断でき、医療従事者は、概略的な加圧の大きさを容易に監視できるようになるだけでなく、数値を解釈する必要なしに、加圧の変化を監視できるようになる。従って、ユーザーは、その時点におけるカレント加圧状態と、所望の加圧状態と、および加圧速度との間の関係を、数値解釈の必要なしに、迅速に確認できる。一実施形態では、1平方インチ当たりのポンド値(psi)以外に他の選択的な測定単位値、例えば、気圧又はバール値で表示することができる。
【0043】
図示の実施形態では、ディスプレイ20の数値表示22が膨張シリンジにおける加圧の数値指標を提供する。数値表示22は、非数値指標51により与えられる視覚的表示を補完する膨張加圧の付加的で正確な表示を提供する。図示の実施形態では、数値表示22は、デジタル表示、例えば複数の領域を有する7セグメントLED表示を具える。図示のように、数値表示22は3つの領域を有し、各領域が数値の桁を表す。数値表示22は、その時点でのカレント加圧値を表示する。
【0044】
図示の実施形態では、ディスプレイ20は、さらに、タイマー表示モジュール26を有することができる。このタイマー表示モジュール26は、膨張ルーチンの長さと、膨張ルーチン間の時間長と、特定の加圧値における時間長と、取付けた膨張可能医療デバイスに膨張圧を加える時間長の少なくとも一つの指標を提供する。また、ディスプレイ20は、さらに、最終値表示ボタン52を設けることができる。この最終値表示ボタン52は、ユーザーが数値表示22を切り替えて、直近の、又は先行の膨張ルーチン中に達成された最大加圧値を表示することができるようにするものである。
【0045】
図示の実施形態では、例示的に膨張シリンジのその時点でのカレント加圧値が1インチ当たり200ポンド(200psi)であることを表示している。数値表示22は、典型的にバレル12の内部におけるカレント加圧値である値の正確で直感的な表示を提供する。膨張ルーチン中、数値表示22はリアルタイムで自動的に更新され、医療従事者に膨張シリンジのバレル及びチューブの少なくとも一方の内部における加圧状態に関する即時的で直感的な表示を提供する。図示する7セグメントLED表示は、簡単明瞭で読みやすいデジタル表示を低コストで提供しうる代表的な表示として設けたものである。
【0046】
上述したように、図示の実施形態では、非数値表示24は複数の非数値指標51を有する。非数値指標51の各々は白又は色付きのLEDにより構成する。更に、非数値表示24における複数の非数値指標51の各々は1つ以上の加圧値を表すことができる。非数値指標51と関連させて複数の数値指標50を設け、これにより非数値指標51の1つ又は群に対応する加圧値を表す。
【0047】
図示の実施形態では、各指標51がほぼ5psiに対応する加圧値の範囲を表している。数値指標50a、50b、50c、50d、50e、50f、50gは図示のように、指標51に沿って互いに離間されており、各数値指標はそれぞれ10個の指標51に対応する。その結果、“0”のラベル付けされた数値指標50aは、指標が点灯されていない場合、または指標51aのみ点灯されている場合よりも、膨張シリンジ内の加圧状態が0psiであることをユーザーに明瞭に示す。
【0048】
代表的な非数値指標51bも示している。図示の実施形態では、この非数値指標51bは指標51aからほぼ10個目の非数値指標の位置に配置する。“50”のラベル付けされた数値指標50bは、50psiの膨張シリンジ内の加圧状態を表す指標51bと関連して設ける。その結果、50a〜50bの指標が点灯されると、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧状態が50psiであることを迅速に且つ容易に確認できる。
【0049】
当業者には明らかなように、膨張シリンジ内の加圧状態が0psiと50psiとの間である場合、指標51a及び51bの間に位置する非数値指標51の1つを、膨張シリンジ内の加圧状態の非数値表示として点灯する。例えば、膨張シリンジ内の加圧状態が35psiである場合には、各非数値指標が加圧量の5psiの範囲を表すことから、ほぼ7個の非数値指標が点灯される。膨張シリンジ内の加圧値が45psiである場合には、ほぼ9個の非数値指標が点灯される。ユーザーは、最後に点灯された指標が特定の数値指標にどれ程接近しているかにより、膨張シリンジ内のおよその加圧状態を迅速に確認できる。例えば、膨張シリンジ内の加圧量が35psiである場合、ユーザーは、最後に点灯された非数値指標が0psiよりも大きく、50psiよりも小さいことを迅速に識別できる。更に、ユーザーは、最後に点灯された非数値指標が0psiよりも50psiに近いことを迅速に識別できる。従って、非数値表示24は、ユーザーが膨張シリンジ内のおよその加圧状態を迅速に判断できるようにする。
【0050】
図示の実施形態では、数値指標50cは、指標51cが100psiの加圧値に対応することを表している。数値指標50d〜50gも同様に互いに離間されており、それぞれ、指標51d、51e、51f及び51gが加圧値150psi、200psi、250psi及び300psiをそれぞれ表していることを示している。図示の実施形態では、非数値指標51が漸進的に点灯される。従って、加圧が増大して追加の非数値指標51が点灯されるにつれて、その時点でのカレント加圧値よりも小さい値を表す全ての非数値指標51は点灯された状態に維持される。
【0051】
図3Bは、膨張シリンジの先行する加圧ルーチン後におけるディスプレイ20を示す。図示の実施形態では、膨張シリンジ内に加圧は殆ど或いは全く存在していない。その結果、数値表示22は0psiの加圧状態を示している。更に、非数値指標51a〜51bは点灯されていない。
【0052】
図示の実施形態では、非数値指標51eが点灯されている。非数値指標51は、膨張シリンジにおけるカレント加圧以外の何らかの情報を表す値を表示するものとして点灯する。本発明の一実施形態によれば、非数値指標51eのような指標51は、最終加圧値及び目標加圧値の少なくとも一方を表すために点灯する。混乱を避けるために、最終値及び目標値の少なくとも一方を表す指標51は、異なる色および点滅の少なくとも一方で見えるようにすることができる。図示の実施例では、51a及び51eの間の指標が点灯されないため、非数値指標51がその時点でのカレント加圧値ではなく最終加圧値を表していると容易に判断しうる。当業者には明らかなように、カレント加圧値を点灯しつつ、非数値指標を最終加圧値の指標として点灯することができる。
【0053】
ディスプレイ20には更に、最終加圧値とは異なる目標加圧値をユーザーが設定できるようにするユーザーインタフェースを設けることができる。これは、表示された最終加圧値から増大又は減少調整することにより、或いは目標加圧値を手入力することにより達成しうる。更に他の実施形態では、最終値表示ボタン53により、3つの値間で、すなわち、その時点におけるカレント加圧値と、最終加圧値と、目標加圧値との間で数値表示24を切り替えることができる。目標加圧値は最終加圧値と一緒に又は最終加圧値の代わりに非数値表示24により表すこともでき、これにより、バレルを加圧する際の進行状況の視覚的表示を、最終加圧値又は所望加圧値に達するためにはどの位の進行が必要かのバレル内における進行状況、加圧速度、プランジャのその後の移動により得られる加圧変化表示を、ユーザーに与えることができる。従って、ユーザーは、目標加圧値に達するまでのその後のプランジャの移動に必要とする力を一層容易に確認しうる。ユーザーインタフェースは、ユーザーが表示すべき他のパラメータを選択するようにもできる。
【0054】
図3Cは、ユーザーが最終値表示ボタン52を押した直後に最終値情報をユーザーに表示する他の方法を示している図3A及び3Bのディスプレイを示す。図3Bでは、数値表示22及び非数値表示24により示されているように、膨張シリンジのバレルが完全に減圧されている。ユーザーが正確な最終加圧値を見たい場合、この情報は指標51eによりすぐには表示できない。その理由は、複数のあり得る加圧値が各指標51により表されている為である。正確な最終加圧値を見るために、ユーザーは最終値表示ボタン52を押すことにより、表示を切り替えることができる。図示の実施形態では、ユーザーが最終値表示ボタン52を押した状態である。非数値表示24の指標51eおよび数値表示22の7セグメント表示の双方により、最終値が200psiであることを表示する。最終値加圧情報を非数値表示24及び数値表示22で表示することにより、正確な加圧情報が直感的で容易に読み取りうるようにユーザーに与えられる。
【0055】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ20は、膨張ルーチンの終了時に最終値情報を表示するよう自動的に切り替えるようにすることができる。この実施形態では、次の膨張ルーチンが開始されるまで、ディスプレイ20が、最終値情報を数値表示22及び非数値表示24の双方で表示し続ける。次の膨張ルーチンが開始されると、ディスプレイ20は、非数値表示24を用いて最終値情報を維持したまま、カレント加圧値情報を数値表示22で表示するよう自動的に切り替わるよう復帰させることができる。本発明の一実施形態によれば、精細な最終値情報は、後続する加圧ルーチン中も含めて任意な時点で最終値表示ボタン52を押すことにより得られるようにすることができる。指標51eは異なる色及び点滅の少なくとも一方で見えるようにし、これが最終値を表しているということを示すようにすることができる。他の実施形態において、ユーザーは、最終加圧値とは異なる目標値を設定する際に、どの指標を異なる色及び点滅の少なくとも一方で見えるようにするかを調整することができる。
【0056】
図3Dは、膨張シリンジのカレント加圧値を最終加圧値と同時に提供する、後続加圧ルーチン中のディスプレイ20を示す。図示の実施形態では、非数値指標51eが最終加圧値の指標として示す。換言すれば、非数値指標51eにより、ユーザーが先行膨張ルーチン中の膨張シリンジの最大加圧値を迅速に確認できる。非数値指標51eは200psiの代表的な加圧値に対応するので、ユーザーは、先行加圧ルーチン中に200psiの最大加圧値を用いたことを迅速に確認することができる。このことは、医療従事者が、先行加圧ルーチン中に同程度、より小さい、又はより大きい加圧値を適用したいと望む場合に有用となり得る。ディスプレイ20の上述した構成によれば、カレント加圧値、最終値及び目標加圧値の少なくとも一方に達する進行状況及び到達まで残りの経過状況、加圧速度、プランジャの各移動で達成される進行状況を、ユーザーが直感的に且つ簡単に迅速に確認できるようにする。
【0057】
図示の実施形態では、指標51a〜51cが点灯している。更に、指標51c及び51dの間に位置するほぼ5個の追加の指標が点灯されている。指標51cは100psiの加圧を表している為、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧値が、100psiよりも大きい加圧状態を表していることを迅速に且つ簡単に確認することができる。更に、指標51dは150psiの加圧値に対応することから、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧状態が、150psiよりも小さい加圧量を表していることを迅速に確認することができる。非数値指標51及び非数値表示24は漸進的な特性であるので、ユーザーは、最後に点灯した非数値指標51が100psiと150psiと間のほぼ中間に位置することから、加圧状態はほぼ125psiであることを視覚的に判断できる。このことは、数値指標22を単に瞬時的に見て膨張シリンジ内の加圧値が正確に125psiであることを確認することにより迅速に確認できる。
【0058】
数値表示22に関連して非数値表示24を設けることにより、数値表示のみで示しうるよりも多くの情報を同時にディスプレイ上に表示するとともに、直感的に且つ簡単に読み取れる表示を提供する。例えば、数値表示22はカレント加圧値を提供でき、一方、非数値表示24は現在の加圧値及び最終加圧値を同時に表示することができる。図示の実施形態では、ユーザーが非数値表示24を用いて膨張シリンジのおよその加圧値を確認できるようにする。さらに、ユーザーは、カレント加圧値と、目標とする又は最終の加圧値との間における関係を迅速且つ容易に認識することができる。さらに、非数値表示24は、バレルを加圧する際に予め達成されている進行状況と、最終加圧値又は目標加圧値のような所望値に達するまでに必要とされる追加の加圧がどの位であるかとを視覚的に表示することができる。例えば、ユーザーには、125psiのカレント加圧値が非数値指標51eにより示される最終加圧値のほぼ3分の2であるという視覚的表示が与えられる。更に、非数値指標51gに対応する300psiの最大加圧値の半分よりもカレント加圧値が僅かに小さいということを、ユーザーは迅速に確認することができる。
【0059】
さらに、ディスプレイ20によれば、加圧速度、及びバレル内でのプランジャの各移動による加圧変化をユーザーが容易に監視できる。従って、ユーザーは、所望の加圧値に到達させるために以後のプランジャの移動に必要とする力をより一層迅速に予測できる。図示の実施形態では、非数値表示24の形状を弧状又は曲線状とすることにより、ユーザーが加圧曲線に沿う進行状況を確認できるようにする。加圧曲線の形状は、実際の加圧値に加えて非数値の繊細な表示をも提供する。例えば、加圧曲線の底部に相当する加圧状況、すなわち指標51a〜51cは、一般に所望される最大加圧値よりも低いものとして迅速に認識することができる。加圧状態が加圧曲線のアーチ部または頂部、つまり指標51d〜51fに近づくと、加圧状態が一般に所望される最大加圧値の範囲内にあるということをユーザーが確認することができる。加圧状態が、頂部を通過して最終非数値指標、すなわち、51f〜51gに向かって下降する際に、ユーザーは、加圧状態が一般に所望される最大加圧値を超えることを迅速に確認できる。従って、この非数値指標の形状により、実際の加圧値に加えて、任意の加圧値の望ましさを示す。
【0060】
当業者には明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、様々な非数値表示の種類及び形状を提供しうる。例えば、非数値表示が漸進的ゲージ又はダイヤル(目盛盤)を有してもよい。一実施形態では、目盛盤を、光による表示(例えば、LED)、又は色の変化、又はノッチ、又はその他の指標、又はこれらの任意の組合せを有するデジタル式とすることができる。他の実施形態では、非数値表示は、デジタルゲージ又はダイヤルを有することなく、弧状に旋回して、弧の一部において曲線状に配置した増分に沿って移動するように構成したアームのようなアナログダイヤルを有してもよい。更に他の実施形態では、非数値表示が、カレント加圧状態、及び可能な膨張圧の範囲に沿った加圧進行状況を表示するアナログゲージを有することができる。本発明の一実施形態によれば、非数値表示は、直線又は曲線アレイに配置した指標を有するようにすることができる。更に他の実施形態では、複数の種類の非数値指標を設け、各々が異なる加圧値(例えば、カレント加圧値及び最終値)を表すようにすることができる。更に他の実施形態では、非数値指標を非直線形状に配置することができる。図示の実施形態では、弧状曲線の一方の側がこの弧状曲線の他方の側よりも長くして、これらがそれぞれ上述した値の所望範囲を表すようにすることができる。
【0061】
本発明の他の実施形態によれば、加圧状態が圧力曲線に沿って増大するにつれて、加圧状態の色を異ならせるようにすることができる。例えば、低い加圧値状態では、非数値指標を緑色で点灯させる。中間の加圧状態では、非数値指標を黄色で点灯させる。高い加圧状態では、非数値指標を赤色で点灯させる。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態による、数値指標及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する手順を示すフローチャートである。図示の実施形態では、この手順をステップ60で開始させる。バレル内部の膨張加圧状態をステップ62で検出する。この膨張加圧状態の検出に続いて、加圧状態の数値をステップ64で表示する。次に、加圧状態の非数値による値をステップ66で表示する。加圧状態の数値をステップ64で表示し且つ加圧状態の非数値の値をステップ66で表示した後、加圧状態の変化を膨張ルーチン中にステップ68で検出する。加圧量の変化を膨張ルーチン中に検出した後、加圧値における数値変化及び非数値変化をステップ70で表示する。
【0063】
ステップ68中の加圧値変化の検出、及びステップ70中の加圧値の数値変化及び非数値変化の表示に続いて、その後の加圧状態変化を検出することができる。加圧状態変化を膨張ルーチン中に検出した場合、ステップ68を繰り返する。加圧状態変化を検出しまたステップ68を繰り返した後、加圧値の数値及び非数値変化をステップ70で再び表示する。ステップ72で膨張ルーチンの終了を検出する。膨張ルーチンの終了を検出した後、ステップ74で、先行膨張ルーチンにおける最終の最大膨張値に対応する非数値指標を表示する。膨張加圧値を検出した場合に最終最大膨張値が表示された後、この手順を、ステップ62に戻す。膨張加圧状態が検出されない場合、この手順はステップ76で終了する。
【0064】
膨張加圧状態の検出は、圧力検出変換器のような圧力感知装置により達成しうる。図3A〜3Dに示すようなディスプレイは加圧値の数値を表示し、これにより加圧値の正確な指標を提供することができる。このディスプレイでは、加圧値を示すものとして非数値指標を表示させることもできる。膨張ルーチン中に、圧力感知装置により加圧状態の変化を検出することができ、またこの場合ディスプレイにより、数値指標及び非数値指標を更新して加圧値の変化を表示させることができる。加圧値の変化のステップ68における検出及びステップ70における表示は、加圧ルーチン中に複数回発生する可能性がある。本発明の方法によれば、膨張ルーチンの終了も検出し、続いて、ちょうど終了した膨張ルーチンの最終値又は最大値に対応する非数値指標を表示するようにすることもできる。本発明の一実施形態によれば、本発明の方法を(図1、2及び6に示す)表示回路により遂行することができ、ソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントの少なくとも一方に実装する、又は完全若しくは部分的に実行する、又は上記実装及び実行の双方を行うことができる。
【0065】
図5Aは膨張シリンジ10の斜視図であり、本発明の一実施形態による膨張シリンジ10のモジュール化した構成素子アセンブリを示す。図示の実施形態では、ディスプレイ20はモジュール化した構成素子アセンブリの一部として個別の構成素子を具え、これによりディスプレイ20の個別の構成素子を検査することができる。ディスプレイ20の個別の素子を検査することにより、膨張シリンジ全体を廃棄せずに欠陥素子のみを廃棄することになるため、本発明の膨張シリンジの製造コストを低減することができる。
【0066】
図2につき説明したように、バレル12は、ディスプレイ20を取付ける取付けブラケット110を有する構成にすることができる。取付けブラケット110は、さらに固定ブラケット119を収容する溝孔124を具える。取付けブラケット110、溝孔124はディスプレイを膨張シリンジのバレルに取付けるための手段の一例である。他の取付け手段の例として、以下に限定しないが、クリップ、フック/ループ式ファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0067】
表示回路46及び表示モジュール44は個別に検査し、組付け、そしてディスプレイのハウジングベース48bに配置することができる。表示モジュール44は、加圧情報を表示するために数値指標及び非数値指標を具えることができる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126に接続して表示回路46を設け、ディスプレイ20の組立てを容易にする。さらに、1つ又は複数の電池128をフレキシブルプリント回路板126に取付けることもでき、これにより、検査及び組立て中の利便性をよくすることができる。フレキシブルプリント回路板126は、検査中に電池128が表示回路46に電力を供給し、表示回路46の検査を容易にするよう構成する。
【0068】
表示モジュール44は個別に検査し、また表示回路46に組み付けて、他の検査を行うよう構成する。組付け中、表示回路46はフレキシブルプリント回路板126から取り外し、表示モジュール44に結合することができる。電池128もまたフレキシブルプリント回路板126から取り外し、また表示回路46に電力を供給するよう取付けることができる。アセンブリはその後、ディスプレイのハウジングベース48bに配置する前に、一緒に検査することができる。他の実施形態において、フレキシブルプリント回路板126は、表示回路46及び表示モジュール44に組付けたままでもよい。さらに本発明の他の実施形態においては、フレキシブルプリント回路板126は所望の位置に表示回路46及び電池128を配置する。フレキシブルプリント回路板126はその後表示モジュール44及びハウジング48などの追加素子を組み付けた後、一旦取り外すことができる。
【0069】
ディスプレイのハウジングフード48aは、組付けた表示モジュール44及び表示回路46を固定するよう構成する。ハウジングフード48aは表示モジュール44を収容するよう構成し、ハウジングベース48bに結合する。この際、ハウジングベース48bはバレル12に予め取付けておくことができる。このとき、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bを互いにスナップ嵌合させて容易に組立てることができる。バレル12にディスプレイ20が取付けた後、組立てた膨張シリンジ全体を次に検査することができる。ハウジング48は、取付け手段に処理手段及び表示手段を固定するための手段の一例である。固定手段の他の例としては、以下に限定するものではないが、クリップ、フック/ループ式ファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0070】
図5Bはハウジングベース48bをバレル12に取付ける状況を示す斜視図である。図示の実施形態では、ハウジングベース48b及びバレル12を示す。上述したように、膨張シリンジ装置の組立て中、ハウジングベース48bがバレル12に結合されるよう構成する。本発明の一実施形態によると、ハウジングベース48bは、ディスプレイ20における他の構成素子を組立てる前にバレル12に結合する(図5A参照)。本発明の別の実施形態によれば、ハウジングベース48bをバレル12に結合する前に、ディスプレイ20のハウジング48全体(図5A参照)を組立てる。
【0071】
図示の実施形態では、ハウジングベース48bは、空所112及びボタン収容孔118を有する。バレル12は壁114及び固定ブラケットの溝孔124を具える。図示の実施形態では、圧力センサ(圧力感知装置)116も示す。組立て中、ユーザーは、空所112をバレル12の取付けブラケット110の上方に位置決めすることにより、ハウジングベース48bをバレル12に固定する。ユーザーはその後、ハウジングベース48bを前進させ、取付けブラケット110の壁114が摺動して空所112内に進入する。取付けブラケット110の壁114が空所112内に摺動すると、取付けブラケット110の壁114が空所側壁113に隣接して配置される。本発明の一実施形態によると、この、空隙側壁113と壁114との間の近接した空間的位置関係が生じ、取付けブラケット110に対するハウジングベース48bの側方移動を最小限にすることができる。ハウジングベース48bが取付けブラケット110の底部に隣接して配置されるよう、ユーザーが十分にハウジングベース48bを前進させたとき、固定ブラケット119が取付けブラケット110の固定ブラケット用の溝孔124内に配置される。図示の実施形態において、固定ブラケット119はハウジングベース48bの下面から垂直距離に延びる支柱を有する。固定ブラケット用の溝孔124は取付けブラケット110の後部に位置する切り欠きで構成する。固定ブラケット用の溝孔124が固定ブラケット119の側面部に接触するような寸法で形成するので、固定ブラケット119と固定ブラケット用の溝孔124との間における協調的な係合により、ハウジングベース48bの取付けブラケット110に対する望ましくない運動が最小限に抑えられるか、解消される。
【0072】
図示の実施例では、圧力センサ116は取付けブラケット110内に配置される。装着用ブラケット110及び圧力センサ116の位置は、圧力センサ116がバレル12内部に流体連通するよう配置する。こうして、圧力センサ116は直接又は間接的にバレル12内の流体又は空気の加圧に関する情報を監視し、伝達することができる。
【0073】
取付けブラケット110、固定クリップ118、及びスナップ嵌合部112は膨張シリンジのバレルにディスプレイを取付けるための手段の一例である。他の取付け手段の例としては、以下のものに限定しないが、クリップ、フック/ループ式のファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0074】
図5Cは、ハウジングベースがバレル12にしっかりと結合された際のバレル12及びハウジングベース48bを示す。図示の実施形態から分かるように、ハウジングベース48が取付けブラケット110に固定されるとき、ボタン収容孔118がバレル12の末端部に位置しているため、ユーザーは自由にボタン収容孔118に関連するボタンを利用し操作することができる。従って、ユーザーはボタン収容孔118に関連するボタンを操作し、膨張シリンジの様々な局面を制御又は監視することができる。
【0075】
図示の実施形態では、取付けブラケット110の壁114は僅かなテーパーを有し、これによりユーザーが最初に取付けブラケット110をハウジングベース48bの空所112から摺動進入させるとき、取付けブラケット110の壁114と空所112の側壁113との間に所定量の隙間が生じる。ユーザーがハウジングベース48bをバレル12の方向に前進させ続けると、壁114及び空所側壁113の4つすべての側壁が完全に密着するまで壁114と側壁113との間の隙間が減少する。したがって、いかなる方向への圧力又は接触も、ハウジングベース48bのバレル12に対する意図しない又は望ましくない移動も生じない。
【0076】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、ハウジングをバレルに取付けるための様々な種類及び組合せの機構を用いることができる。例えば、一実施形態において、取付けブラケットをハウジングベースに連結して設け、空所をバレルに連結して設ける。他の実施形態において、取付けブラケットは円状又は楕円状の構成とし、空所は、取付けブラケットの形状に適合するように円状又は楕円状の構成とする。更に別の実施例において、圧力センサは取付けブラケット以外の位置に設ける。更に別の実施例においては、複数の取付けブラケット又はクリップタイプの構成素子を設けてハウジングをバレルに固定する。
【0077】
図6Aはディスプレイ20の構成素子の斜視図であり、本発明の一実施形態によるディスプレイ20の構成素子のアセンブリを示す。図示の実施形態では、ハウジング48(図5A参照)はハウジングフード48a及びハウジングベース48bを具える。さらに、ディスプレイ20は表示モジュール44、表示回路46、圧力センサ116、フレキシブルプリント回路板126a,126b、及び電池128を含む。図示の実施形態では、表示モジュール44及び表示回路46は、表示回路46の表示モジュール44に対する結合の前又は後に互いに別々に検査することができる。したがって、ディスプレイ20の1つ又は複数の構成素子が不良である場合、ディスプレイ20の他の有効かつ使用可能な構成素子を廃棄する必要なしに、個々の欠陥構成素子を廃棄することができる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126a及び126bを用いて、表示モジュール44、表示回路46、及び圧力センサ116を互いに結合する。さらに、図示の実施形態では、電池128がフレキシブルプリント回路板126aに固定されている。フレキシブルプリント回路板126を用いて表示モジュール44、表示回路46、及び固定ブラケット119を固定することにより、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bの組立て中、ハウジングベース48bのハウジングフード48aに対する望ましい結合を生じて、表示モジュール44、表示回路46、及び圧力センサ116のそれぞれを、ハウジングベース48b及びハウジングフード48a内の望ましい位置に位置決めすることができる。
【0078】
図示の実施形態では、ハウジングベースは、着座部201、保持クリップ202、結合機構素子204a,204b、固定支柱208a,208b、及び収容部214を有する。着座部201は圧力センサ116及び表示回路46の一方又は双方を収容するよう構成する。図示の実施形態では、圧力センサ116はハウジングベース48bの空所112内に配置可能であるため、圧力センサ116をバレル12の取付けブラケット110内に収容することができる(図5B参照)。図示の実施形態では、保持クリップ202が着座部201に設ける。保持クリップ202は、表示回路46の底端縁が保持クリップ202の下側に位置しうるように配置される。したがって、表示回路46の底端縁は保持クリップ202とハウジングベース48bの背面又は底面との間に配置される。表示回路46の底端縁が保持クリップ202とハウジングベース48bの底部との間に配置された後、表示回路46はハウジングベース48b内に固定される。
【0079】
ハウジングベースをハウジングフード48aに固定するために、結合機構素子404a,404bは、ハウジングフード48aの構成素子に固定するよう構成する。さらに、固定支柱208a,208bは、ハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定する補助的作用をもたらしつつ、ハウジングフード48aの壁とハウジングベース48bの壁との間における隙間の維持を助けるようになっている。収容部214は、ハウジングベース48bにより生じる容積内に、ディスプレイ20の構成素子を配置しうるオープン領域を提供する。図示の実施形態では、収容部214はフレキシブルプリント回路板126a及び電池128を収容するよう構成する。さらに、圧力センサ116及び表示回路46は収容部214内に位置決めすることができる。
【0080】
図示の実施形態では、ハウジングフード48は結合機構素子206a,206bを含む。結合機構素子206a,206bはハウジングベース48bの結合機構素子204a,204bに固定するよう構成する。
【0081】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構成のディスプレイ構成素子を設けることができる。例えば、一実施形態において、ハウジングフード及びハウジングベースは1つの一体化された構成素子として設けられる。別の実施例において、ハウジングベースはハウジングフードに一体化して結合される。更に別の実施形態において、表示モジュール44、表示回路46、電池128、及びフレキシブルプリント回路板126を含む構成素子のうち、2つ以上を個別に設け、ハウジングフード及びハウジングベースの構成素子内に配置された後、互いに結合される。更に別の実施形態において、ディスプレイ20の構成素子を接続するフレキシブルプリント回路板又は他の配線並びに回路は、個別に設けられるのではなく、ハウジングフード及びハウジングベース内に一体化する。
【0082】
図6Bは本発明の一実施形態によるハウジング20の構成素子の斜視図である。図示の実施形態では、表示モジュール44がハウジングフード48a内に固定される。さらに、圧力センサ116はハウジングベース48bの空所112に通されることにより、フレキシブルプリント回路板126a,126bがハウジングベース48bとハウジングフード48aとの間に挿通される。従って、表示モジュール44をハウジングフード48a内に取付け、またセンサ116をハウジングベース48bに挿通して取付ける間、表示モジュール44は表示回路46及び圧力センサ116に動作可能に接続されたままになる。さらに、電池128がフレキシブルプリント回路板126に固定され、且つ表示回路46がフレキシブルプリント回路板126a及びフレキシブルプリント回路板126bに動作可能に接続されているため、表示モジュール44を、組立て中に、ディスプレイ46と組み合わせて操作し、また検査することができる。
【0083】
図6Cは、本発明の一実施形態によるディスプレイ20の構成素子の組立て中におけるディスプレイ20の構成素子を示す。この図示の実施形態において、表示回路46は着座部201内に配置されており、これにより表示回路46の先導端縁が保持クリップ202の下側に配置される。フレキシブルプリント回路板126aは折り曲げられており、これにより圧力センサ116(図示せず)がハウジングベース48bの空所112(図示せず)を通って配置される。従って、電池128はハウジングベース48bの収容部214内の然るべき位置に配置される。さらにこれにより、着座部201内の表示回路46の適切な配置が可能になる。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、圧力センサ116は空所112に位置決めする(図6B参照)。電池128と圧力センサ116との間に配置する長いフレキシブルプリント回路板126aは、電池128が上向きに配置されるように折り曲げる。電池と表示回路46との間に配置する長いフレキシブルプリント回路板126は、折り曲げ、これにより電池128が上向きに配置し且つ表示回路46がハウジングベース48bの部分に、着座部201に連係するよう配置する。表示回路46が着座部201内に配置した後、長いフレキシブルプリント回路板126は僅かに曲げる又は折り曲げ、電池128と表示回路46との間の短縮された距離に収納する。換言すれば、表示回路46を保持クリップ202の下側に配置すると、電池128と表示回路46との間の変位が少なくなる。このフレキシブルプリント回路板126aの構造により、表示回路46及び電池128の並置におけるこうした変化に適応させるために要される微細な折り曲げ又は他の操作が可能になる。
【0085】
図示の実施形態では、表示モジュールはハウジングフード48a内に固定する。フレキシブルプリント回路板126bは表示モジュール44及び表示回路46に固定する。このような長いフレキシブルプリント回路板126bにより、表示モジュール44と表示回路46との間の接続を維持しつつ、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bの双方間における所望の分離が可能になる。従って、表示モジュール44をハウジングフード48内に配置し、表示回路46をハウジングベース48b内に配置するとき、構成素子を互いに動作可能に接続したまま構成素子の組立てを進行させることが可能になる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126bがもたらす結合により、またディスプレイ20の全構成素子の最終的な組立ての前に、表示回路46及び表示モジュール44を、互いに動作可能に接続したままの状態で検査することが可能になる。ユーザーがハウジングフード48a及びハウジングベース48bの組立てを仕上げようとするとき、フレキシブルプリント回路板126bを電池128と表示モジュール44との間にサンドイッチ状態に配置するとともに、ハウジングフード48a及びハウジングベース48b内に全体が配置されるように、フレキシブルプリント回路板126bを折り曲げる。これにより、ディスプレイ20の構成素子の改善された検査が可能になるともに、ディスプレイ20の構成素子における製造の改善された信頼性及び効率性がもたらされる。
【0086】
本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、ディスプレイ20の構成素子の固定に関して、様々なタイプ及び構成を使用することができることは当業者に理解されるだろう。例えば、本発明の一実施形態において、単一の長いフレキシブルプリント回路板を用いてディスプレイの2つ以上の構成素子を固定することができる。他の実施形態においては、フレキシブルプリント回路板を用いずに電池をディスプレイの他の構成素子に固定する。本発明の更に別の実施例において、ハウジングフードをハウジングベースに固定するとき、ディスプレイの1つ又は複数の構成素子が互いに有機的に固定される。
【0087】
図6Dはディスプレイ20の側断面図であり、膨張シリンジの組立て後の並置したハウジングフード48a及びハウジングベース48bを示す。図示の実施形態では、ハウジングベース48bはハウジングフード48aに固定され、表示回路46の位置をハウジング48内に固定している。図示の実施形態では、結合機構素子204a,bを結合機構素子206a、206bに結合することにより、ハウジングベースがハウジングフードに固定される。結合機構素子204a,204bはハウジングベース48bに関連して設ける。結合機構素子206a,206bはハウジングフード48aに関連して設ける。さらに、本発明の一実施形態によれば、固定支柱208a,208bを使用してハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定する。図示の実施形態では、表示モジュール44、圧力センサ116、フレキシブルプリント回路板126a、及びフレキシブルプリント回路板126bを示していない。しかし、上述したように、表示モジュール、圧力センサ、及びフレキシブルプリント回路板は、ハウジングフード48a及びハウジングベース48b内に動作可能に接続するよう構成する。
【0088】
図6Eはハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定するときの、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bを示す斜視図である。図示の実施形態では、ハウジングフード48a、ハウジングベース48b及び表示回路46の並置状態を示すため、表示モジュールがハウジングフード48a内にない状態で示している。したがって、ユーザーは保持クリップ202を用いて表示回路46が固定される状態を見ることができる。図示の実施形態では、クリップ202はハウジングベース48b内の空所112に隣接して配置される。ユーザーは表示回路46を前進させて、表示回路46の先導端縁が保持クリップ202の下側に位置決めされるようにする。表示回路46が保持クリップ202に対して位置決めされた後、表示回路46をハウジングベース48b内に固定することができる。一実施形態において、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bが協調的に係合することにより表示回路46が着座部201内に固定される。本発明の他の実施形態によれば、ハウジングベース48bの構成素子のみで表示回路46を固定する。他の実施形態において、表示回路46を保持クリップ202に対して位置決めした後、表示回路はハウジングベース48bに溶接する、接着剤で接合する、又は機械的に固定する。図示の実施形態において、表示回路46は、ハウジングベース48bの他の構成素子に対して傾斜した角度で配置することによって、ハウジングベース48b内で角度を付けて配置する。ハウジングベース48bの収容部214内に配置されるフレキシブルプリント回路板、電池、又はその他の構成素子は、表示回路46から阻害されることなく、又は表示回路46に干渉せずに所望通りに配置することができる。
【0089】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構成のハウジングを設けることができる。例えば、本発明の一実施形態において、保持クリップ以外の機構を用いて表示回路を固定する。他の実施形態において、表示回路を専用の容器内に配置し、ディスプレイの他の構成素子からの損傷から保護する。更に別の実施形態では、表示回路をハウジングベースの空所から離して配置し、表示回路を外部環境から保護する。
【0090】
モジュール化した構成素子アセンブリ、及び組立て中における個々の組立てられた構成素子の検査により、欠陥構成素子の認識が可能になる。その結果、欠陥のない構成素子を含みうる膨張シリンジ全体を廃棄することなく、単純に不良素子のみを廃棄することによって、大幅なコスト削減が達成されうる。
【0091】
図7は本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを用いた膨張シリンジを検査し組立てる工程を示すフローチャートである。この工程はステップ130で始まる。ステップ132で、膨張シリンジの構成素子を得る。膨張シリンジを得た後、ステップ134で膨張シリンジバレルの無欠性を検査する。次にステップ136で表示回路の動作が検査される。表示回路の動作を検査した後、ステップ138で表示モジュールの動作を検査する。
【0092】
ハウジングベースをその後、ステップ140で膨張シリンジの取付けブラケットに固定する。ハウジングベースを取付けブラケットに固定した後、ステップ142で、表示モジュール及び表示回路を組立てる。ステップ144で、表示モジュール及び回路をハウジングベース内に配置する。表示モジュール及び表示回路をハウジングベースに配置した後、ステップ146で、ハウジングフードをハウジングベースに結合し、表示モジュール及び表示回路を膨張シリンジに固定する。次にステップ148で、組立て済みのディスプレイを含む組立て済みの膨張シリンジを最終検査にかける。組立て済みの膨張シリンジを最終検査にかけた後、ステップ150でこの工程を終了する。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、予め組立てられた構成素子として、バレル及びプランジャを含む予め組立てられたシリンジシステム、ベース及びフードを含むディスプレイハウジング、表示モジュール、並びに表示回路が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、膨張可能医療機器に接続するよう構成したチューブを、予めバレルに接続しておくこともできる。膨張シリンジのそれぞれの構成素子は個別に検査することができる。この方法により、バレル及びプランジャ並びに他のシリンジシステム素子を含むシリンジシステムの無欠性を検査し、流体密封を確保して、確実にバレルを加圧しかつ加圧を維持することができるようになる。本発明の一実施形態によれば、この検査方法によれば、数値指標及び非数値指標の双方の検査を含めて、表示回路の動作を検査し、表示モジュールの動作を検査することができる。
【0094】
膨張シリンジの構成素子が適切に機能することを検証した後、ハウジングベースを膨張シリンジバレルの取付けブラケットに固定することにより、モジュール化したアセンブリの組立てを開始する。表示モジュール及び表示回路はその後、実装前にまとめて組立てて検査する。表示モジュール及び表示回路を組付けたとき適切に機能する場合、アセンブリはディスプレイのハウジングベース内に配置することができる。表示モジュール及び表示回路はハウジングフードをハウジングベースに結合することにより固定することができる。シリンジバレルにディスプレイを取付けるとき、完全に組立てられた膨張シリンジを検査することができる。
【0095】
本発明は、その精神又は本質的特徴を逸脱することなしに、他の特定の形態で具現化しうる。上述した実施形態は、あらゆる点において説明上のためのものであり、これらに限定されるものではないことに注意すべきである。従って、本発明の範囲は、上述した説明によるものではなく、添付の特許請求の範囲により示されるものである。特許請求の範囲の意味及びその均等範囲に入るあらゆる変更も本発明の範囲に包含されるべきものである。
【技術分野】
【0001】
本発明の代表的な実施例は、バルーンを先端に付けたカテーテルの膨張(インフレーション)を制御するのに用いられる膨張装置に関する。特に、本発明は改善した膨張データディスプレイに関し、このディスプレイにより膨張加圧値の直感的なまた非数値による表示を行いバルーンカテーテルの膨張圧の改善された監視を容易にする。本発明は更に、このシステムにより膨張デバイス装置の組立てを容易にするための、改善したモジュール化素子アセンブリシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
膨張シリンジ及びカテーテル技術は、介入(インターベンショナル)放射線医療及び介入心臓病医療分野において益々重要となってきている。バルーンを先端に付けたカテーテルシステム及び膨張シリンジ装置は、泌尿器学、婦人科学、心臓病学等のような種々の医療分野において用いられている。バルーンを先端に付けたカテーテルシステム及びこれらに関連するシリンジシステムが従来の治療方法を超えて著しく改善されている1つの領域は、冠動脈疾患の治療に関連する領域である。
【0003】
冠動脈疾患及びこれに関連する、酸素を豊富に含む血液を心臓に送給する動脈の狭小化(“狭窄”として知られる状態)は、バルーンを先端に付けたカテーテルがしばしば処置方法として用いられる病状の1つである。従来では、冠状動脈閉塞は、医薬品又は冠動脈バイパス手術の実施により処置されていた。種々の薬剤を投与しうるが、これらは、心拍数を低減させる、又は血管を拡張させる、又は血圧を低下させることにより、心臓の機能を低下させるおそれがある。しかし、このような薬物療法によっては、冠状動脈の狭窄を治療することができない。従って、冠状動脈狭窄が残るばかりか、ある時点で、冠状動脈狭窄が、外科的介入を必要とするほどに重篤となるおそれも存在し続ける。
【0004】
冠動脈バイパス手術では、胸部又は脚部からの血管を、閉塞個所から逸らして移植し、血液がこの閉塞個所を迂回して心臓に達するようにする。ある重篤な症例では、複数のバイパス形成手術を実施する。周知のように、冠動脈バイパス手術は高価で極めて侵襲的な処置であり、しばしば長期の入院及び療養期間を必要とする。
【0005】
ここ数年で、冠動脈疾患を治療する他の方法が開発され、これはバルーン冠動脈血管形成術又はより専門的には経皮経管冠動脈形成術(PTCA)と称されている。PTCAは冠動脈バイパス手術よりも格段に外傷性の少ない処置である。PTCAの実施には約2時間かかり、局所麻酔下で行うことができる。PTCAは、患者回復時間を著しく改善させ、数日中に患者が正常な活動を再開できるようになっている。PTCAは、バイパス手術よりも格段に廉価で低外傷性であり、しかも効果的に閉塞を取り除くことができるため、PTCAは、このような処置の施術数が年々劇的に増加している。
【0006】
一般的なPTCAの手術を実行するために、患者の足の付け根又は患者の腕の動脈に形成した切開部からイントロデューサーシースを挿入する。このシースに導入するカテーテル内にX線感応性染料を冠動脈内に注入する。この染料は、医師が実時間X線技術を用いてテレビモニタ上で患者の脈管構造を鮮明に見えるようにし、これにより閉塞個所を発見できるようにする。X線モニタの補助の下、バルーンを先端に付けたカテーテルを脈管構造内で閉塞個所まで前進させる。
【0007】
PTCA処置の施術数の増加により、PTCAの処置中にバルーンカテーテル又は他の膨張可能なバルーン型装置を膨張させるために用いられる電子監視式膨張シリンジシステムの使用が相当増えてきている。一般的なシリンジシステムは、バレル及びプランジャを有しており、これらは選択的に動作してバルーンカテーテルに加える流体圧力を増大させるとともに、バルーンカテーテルに加えた圧力を処置の終了直後に除去する。シリンジシステムは、ユーザー読み取り可能なフィードバックを数値の形で医療従事者に与え、この医療従事者がバルーンに加わる圧力量を評価するよう構成する。これにより、医療従事者が加圧値を厳密に監視して、処置中に、よりよく制御し、且つシステマチックなバルーン膨張を行うことができる。
【0008】
PTCA処置で用いられる装置の多くは、一回の使用後に廃棄可能で廉価な装置である。使い捨ての装置では、再利用可能な装置のために必要となる、高価で時間がかかる滅菌処置を省略することができる。更に、使い捨て装置は、疾病の患者相互間感染の恐れを回避する。従って、膨張シリンジの設計者及び製造者は、このような使い捨て可能な膨張シリンジの費用を抑え、これら膨張シリンジを多種多様な用途に対し、より費用効果の良いものとするように取り組んできた。その結果、より複雑な装置に対しては、より簡素化した設計に関心が注がれている。このような設計には一般的に、膨張シリンジと関連して設けたディスプレイ上で、膨張圧力を簡単にデジタル的又はアナログ的に読み取るようにすることが含まれる。
【0009】
電子監視式シリンジの1つの代表的なディスプレイは、3〜5個の領域(フィールド)と、場合によって小数点とを有する7セグメント式LEDディスプレイを備えている。このように簡素化されたディスプレイは、伝達できる情報が制限されている。若干のディスプレイはシリンジのその時点での加圧値のみを提供するにすぎない。より高性能なモデルでは、ユーザーが表示を切り替えて付加情報を見ることができる。付加情報を見る機能は有益なものとなりうるが、ユーザーは、追加の情報にアクセスし、データの関連性を読み取り、異なる値が如何に関連しているかを決定するのに精神的な労力と時間とを費やす必要がある。より高価なシリンジは7セグメント式LEDディスプレイを複数個有し、複数の値を同時に表示することもある。しかし、複数の値が表示された場合でも、ユーザーはこれらの値を解釈するとともに互いに関連付け、しかもどのディスプレイが所与の値を表示しているかを記憶するのに時間と精神的な労力とを費やすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改善したディスプレイ、およびモジュール化した素子アセンブリを有する膨張シリンジに関する。本発明は特に、膨張シリンジに関連する膨張加圧値の数値表示及び非数値表示の双方を行う方法及び装置に関する。本発明の一実施例によれば、膨張シリンジの加圧値を表示するための漸進的非数値表示を、この加圧値の数値表示インジケータとともに、行う。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、漸進的表示が、ある範囲の膨張加圧値に対応する複数の指標を有するようにする。これら指標を、医療従事者が、多く時間を費やし且つ直感的でない数値表示の解釈のみに頼る必要なしに、
(1)加圧状態の概略的な大きさを容易に監視し、
(2)加圧状態の変化を直感的に追跡し、
(3)複数の加圧値の関係を簡単に観察できるようにする、
明瞭で直感的な方法で、ある加圧値を示すように表示する。これにより、ユーザーは、その時点のカレント加圧状態と、所望の加圧量と、加圧速度との間の関係を直接的で有益な方法によって確認することができる。
【0012】
本発明の一態様によれば、ディスプレイは、非数値表示に加え、加圧状態を数値として示す数値表示を有する。これにより、非数値表示により得られる視覚的表示を補足する、膨張加圧状態の付加的表示が得られる。加圧に関する数値表示及びこれに関連する数値を提供することにより、ユーザーは、加圧に対するより微小な漸進的変化を認識し、且つある加圧状態の正確な数値を容易に確認することができる。
【0013】
本発明は、膨張加圧値を表す非数値指標を表示する方法にも関するものである。本発明の方法では、膨張加圧における変化を示すために複数の指標を設ける。初期加圧状態を表示した後、その時点のカレント加圧状態及び加圧の状態変化を簡潔且つ直感的にユーザーに表示することができる。例えば、1つまたは複数の指標をカレント加圧状態の表示として機能させることができる。加圧状態の変化に応答して、異なる1つの指標が機能し、その加圧状態の変化を表す。
【0014】
本発明の他の態様によれば、最終最大加圧値など1つ以上の所望タイプの付加的データをユーザーインタフェースにより提供するようにする。例えば、1つ以上の指標を、最終最大加圧量のような代表的な加圧状態の表示を与えるものとして特定する。例えば代表的加圧状態に対応する非数値指標を点灯させるか、このような代表的加圧状態の点滅する数値表示を提供するか、又はその双方によって、代表的な加圧状態を表示した後、その時点におけるカレント加圧状態及び加圧状態の変化がユーザーに簡潔で直感的に表示される。例えば、代表的加圧状態が表示された後、カレント加圧状態表示として、1つ又は複数の指標を機能させることができる。加圧状態の変化に応答して、他の1つの指標を機能させ、加圧状態の変化を表すようにする。一実施形態では、カレント加圧値及び代表的な加圧値の非数値指標を共に表示して、ユーザーがこれら2つの値間における関係を簡単且つ直感的に確認しうるようにする。
【0015】
本発明の一態様によれば、改良したモジュール化構成素子アセンブリシステム、膨張機器を検査し、組立てる方法及びプロセスを提供する。モジュール化した構成素子アセンブリにより、膨張機器の各構成素子を検査するとともに、構成素子をまとめて組立てた後に検査することも可能にする。個別の素子及び組立てた構成素子を検査できることにより、機器の単一の構成素子のみに欠陥がある場合、動作可能な素子又はさらに膨張シリンジ全体の廃棄を低減又は完全に回避することができる。これにより製造者は、個別の素子を検査し、その実行可能性を別々に評価することができる。その結果、他の構成素子とともに動作可能な膨張シリンジに組み込まれる前に、欠陥素子を容易に識別することが可能になる。
【0016】
本発明の上述した及びその他の目的及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲、又は以下に説明する本発明の実施形態から一層明らかとなるであろう。
【0017】
本発明の上述した及びその他の利点並びに特徴が得られる方法を説明するために、簡潔に上述した本発明を、添付図面に示す特定の実施例につき更に詳細に説明する。図面は本発明の代表的な実施形態を示すにすぎず、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではないということを理解して、添付図面を用いて更なる特異性及び詳細につき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】膨張シリンジの加圧量を表す数値指標及び非数値指標の双方を行うディスプレイを有する膨張シリンジを示す斜視図である。
【図2】膨張シリンジの構成素子及び膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリを示す、図1の膨張シリンジの分解図である。
【図3A】膨張シリンジのその時点での加圧量を表示する数値及び非数値指標を有するこの膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3B】非数値指標を利用するユーザーに、最終加圧値情報を表示している膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3C】数値指標及び非数値指標の双方を利用するユーザーに、最終加圧値情報を表示している膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図3D】膨張シリンジの再加圧中におけるディスプレイ動作をデモンストレーション表示するための膨張シリンジのディスプレイを示す図である。
【図4】数値及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する方法を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジの分解図である。
【図5B】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す膨張シリンジのハウジングベース及びバレルの斜視図である。
【図5C】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す膨張シリンジのハウジングベース及びバレルの斜視図である。
【図6A】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジのディスプレイの分解図である。
【図6B】本発明の一実施形態によるモジュール化された構成素子アセンブリを示す、膨張シリンジのハウジングベース及びバレルのディスプレイの分解斜視図。
【図6C】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示す、ディスプレイハウジングの構成素子の斜視図。
【図6D】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示すディスプレイハウジングの側断面図。
【図6E】本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを示すディスプレイのハウジングにおける構成素子の斜視図。
【図7】モジュール化した構成素子アセンブリを用いて膨張シリンジを検査し、また組立てる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、改善したディスプレイ及びモジュール化した構成素子アセンブリを有する膨張シリンジに関する。本発明は特に、膨張シリンジと関連する膨張加圧の数値及び非数値の双方の表示を行う方法及び装置に関連する。一実施形態によれば、膨張シリンジの加圧値をその数値指標と共に表示する漸進的非数値表示を行う。この漸進的非数値表示には、膨張加圧値の範囲に対応する複数の指標がある。これらの指標が表示されると、任意の加圧値が表示されるとともに、医療従事者は、数値を解釈する必要なく、概略的な加圧量を容易に監視できるようになるばかりでなく、加圧量の変化をも監視できるようになる。これにより、ユーザーは、その時点でのカレント加圧量と、所望の加圧量と、加圧の到達率との間の関係を迅速に確認できる。
【0020】
本発明の1つの態様によると、漸進的表示は、加圧量を数値として表す数値指標を有する。これにより、非数値指標により与えられる視覚表示を補完する、膨張加圧の追加の正確な指標を提供する。本発明の他の態様によると、目標加圧量又は最終最大加圧量を自動的に識別するのに用いうる情報をユーザーが入力しうるようにするユーザーインタフェースを設ける。このユーザーインタフェースは更に、ユーザーが、表示する他のパラメータを選択するようにできる。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、加圧量を表示する方法をも提供する。この方法では、膨張加圧量の変化を示すようにした複数の指標を生じるようにする。これらの指標の1つ以上を、最終最大加圧値のような所望の加圧値の指標として識別する。所望の加圧値を選択した後、膨張加圧量を監視する。1つ以上の指標を加圧量の指標として表示する。加圧量の変化に応答して、異なる指標の1つを表示する。
【0022】
本発明の一態様によれば、改良されたモジュール化構成素子アセンブリシステム、並びに膨張機器の検査、組立て、及びコストを改善する方法並びにプロセスをさらに提供する。この方法では、構成素子を入手し、その後各機能素子を個別に検査する。構成素子を個別に検査した後、構成素子を組立てる。その結果、ある単独の素子に欠陥がある場合、膨張機器全体ではなく、その欠陥素子のみを廃棄する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による膨張シリンジ10を示す。この膨張シリンジ10は、バレル12と、プランジャ16と、ディスプレイ20とを具えている。バレル12は、生理食塩水又はその他の流体のような圧力変換媒体を保持するよう構成した内腔を有する。プランジャ16は、バレル12内の加圧状態を増大又は減少させるよう構成する。ディスプレイ20は加圧情報を簡潔且つ直感的にユーザーに表示する。
【0024】
図示の実施形態では、バレル12はほぼ管状の構造である。シリンジのプランジャ16はバレル12内に摺動可能に取付けるように構成する。プランジャ16は、プランジャ止めナット40の対応するねじ山に適合するよう構成したねじ部17を有する。プランジャ止めナット40は、プランジャ16をバレル12内で固定する。バレル12にはチューブ18の一方の端部を結合し、このチューブの他方の端部は回転可能なルアーカプラ19に結合する。回転可能なルアーカプラ19は、チューブ18をバルーンカテーテル(図示せず)又は膨張可能な他の医療デバイスに接続するよう構成する。
【0025】
プランジャ16の基端部はバレル12の内に液密に配置し、これにより、バレル12内で前進するプランジャ16が正の圧力を発生する。プランジャ16の末端部はハンドル14を有し、このハンドルにより、ユーザーはプランジャ16をバレル12内に更に押し込む圧力を加える又はプランジャ16をバレル12から引き出すことができる。バレル12内に封入された流体に与えられる正の圧力はチューブ18を介してバルーンカテーテルに加えられる。チューブ18は、回転可能なルアーカプラ19によりバルーンカテーテルに接続する。同様に、プランジャ16をバレル12の後方に引くことにより、バルーンカテーテルに加わっていた正の圧力を減少させることができる。本発明の一実施形態によれば、バレル12を所望の加圧量まで加圧し、次にバレル12を負の圧力に減圧する処理を膨張ルーチンとみなすことができる。
【0026】
図示の実施形態では、ディスプレイ20をバレル12の外部に取付ける。このディスプレイ20は、直感的に且つ容易に読み取りを行うことができる構造を提供する。この図示の実施形態では、ディスプレイ20は、数値表示部22、非数値表示部24、タイマー表示モジュール26を有する。数値表示部22及び非数値表示部24の双方を設けることにより、ディスプレイ20は、既存のディスプレイにより得られるよりも多様な情報をユーザーが読み取り且つ理解できるようになる。更に、ディスプレイ20により、ユーザーが既存のディスプレイの出力を解釈するのに必要とする時間及び精神的労力を排除する、有用且つ直感的な方法で加圧情報を提供する。従って、医療従事者は、既存のディスプレイにより得られる個々の数値情報又はその他の情報を解釈することに注意を集中する必要なしに、実行すべき処置の他の局面に集中することができる。
【0027】
図示の実施形態では、ディスプレイ20を圧力変換器などの圧力感知装置(圧力センサ)に結合する。この圧力感知装置は、バレル12の壁部内に一体化する、又はバレル12内に取付ける、又はバレル12の内部と流体連通するように配置する、又はバレル12内の圧力を感知するように構成する。圧力感知装置とバレル12の内部との関係を説明するために用いた用語“流体連通”は、バレル12及びチューブ18内に加わる流体圧力を圧力感知装置に、このような流体圧力が圧力センサにより検出されるように空気又は液体的な伝達を行う(直接的に又は間接的に)ことを含みうるものである。例えば、密閉システム内に封入された流体と(空気圧又は液圧によって或いはその双方によって)接触するように配置したピエゾ抵抗半導体変換器のダイヤフラムを用いて、このような流体圧力を直接伝達することができる。間接伝達は、例えば、変換器をダイヤフラムに結合させ、このダイヤフラムを密閉システム内に封入された流体に接触させることにより達成することができる。
【0028】
圧力感知装置はバレル12の外部上でディスプレイ20に結合し、バレル12の内部と関連する加圧情報を伝達するよう構成する。他の実施形態では、圧力感知装置をディスプレイ20と一体化するとともに、バレル12の内部と流体連通させ、バレル12内の加圧量を感知するよう構成する。一実施形態では、T字状コネクタを介してチューブ18に取付けた接続用チューブの端部に圧力感知装置を位置させる。代案として、圧力感知装置を、ディスプレイ20の内部に収容した電気回路の一部として取付けることができる。更に他の実施形態では、圧力感知装置をバレル12から離れた他の位置に位置させる。この圧力感知装置は、ピエゾ抵抗半導体型の変換器を有することができる。更に他の実施形態では、圧力感知装置がピエゾ抵抗又は半導体装置以外の変換器を有してもよい。例えば、一実施形態では、圧力感知装置は、種々の異なる圧力監視用途に対する技術で用いられている既知の一般的なひずみゲージ変換器、又は光ファイバ変換器を有する。
【0029】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲を限定することなく様々な種類及び定義の膨張ルーチンを用いることができる。例えば、限定されるものではないが、バレル12の加圧が開始した際に膨張ルーチンを開始させるようにすることができ、この膨張ルーチンには、プランジャ16をバレル12内で前進させる、又はプランジャ16をバレル12から引き出す幾つかの段階を含めることができる。この膨張ルーチンは、バレル12から全ての圧力を解除したときに終了させることができる。他の代表的な実施形態では、正の加圧がバレル12内に加わるとき、膨張ルーチンを開始し、バレルの減圧の第1期間が終了した際に膨張ルーチンを終了することができる。一実施形態では、減圧の第1期間の終了時にバレル12から加圧が全て解除されることのないようにできる。従って、全ての圧力がバレル12から解除されなければ、加圧量が前の膨張ルーチンの最大加圧値よりも低い値にあった場合でも、加圧量の増加が再び検出された際に、次の膨張ルーチンを開始させることができる。更に、膨張シリンジ以外の加圧機構に対し膨張ルーチンを用いることもできる。
【0030】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、膨張シリンジ10の機能を、種々のシリンジ又は加圧システムにより得ることができる。一実施形態では、複数回駆動されるプランジャ又は同様に機能する素子により加圧されるとともに、バルブを介して圧力を解除するポンプ装置を、バレル及びプランジャシリンジシステムの代わりに用いる。他の実施形態では、自動加圧装置により、必要とされる圧力をチューブに与え、チューブ内の圧力を検出し且つ監視するようにすることができる。このようなシリンジシステムの一実施形態の更に詳細な説明は、米国特許第5,057,078号明細書に開示されている。
【0031】
図2は、図1の膨張シリンジ10の分解図であり、この膨張シリンジ10の構成素子及び膨張シリンジ10のモジュール化した構成素子アセンブリを示す。図示の例では、プランジャ16及びハンドル14をバレル12から分離させて示す。プランジャ16は基端部30と、ゴム製の先端部32と、ねじ山34とを有する。プランジャ16の末端部は、ハンドル収容素子38及びばね作動式のトリガ36を有する。
【0032】
図示の実施形態では、ゴム製の先端部32がプランジャ16の基端部30に位置する。このゴム製の先端部32はバレル12の内部に液密に係合し、ユーザーがバレル12内に位置する流体に対する加圧を増大させるよう構成する。ユーザーがプランジャ16をバレル12内に更に前進させると、ゴム製の先端部32も前進してバレル12内の正の圧力が増大する。同様に、ユーザーはプランジャ16をバレル12内で後方に引き戻して、バレル12内の加圧を減少させることができる。
【0033】
図示の実施形態では、プランジャ16をプランジャ止めナット40によりバレル12内に固定する。プランジャ止めナット40のこの構成により、ユーザーが、プランジャ止めナット40をバレル固定ねじ山42に螺合させることによりプランジャ16をバレル12内に固定できる。プランジャ止めナット40のこの構成により、プランジャ16をバレル12内で前後に摺動可能にするとともに、プランジャ16をバレル12内に固定する。図示の実施形態では、バレル固定ねじ山42は、膨張シリンジ10の1つ以上の付加的な構成素子と協調動作するよう係合する構成とする。例えば、バレル固定ねじ山42は、プランジャ止めナット40内に一体化に形成した対応する第2ねじ山のセットに適合するよう構成することができる。
【0034】
プランジャ16の末端部には、ばね作動式のトリガ36を収容しまた係合するよう構成したハンドル収容素子38を設ける。図示の実施形態では、ユーザーは、ばね作動式のトリガ36を作動させることにより、シリンジプランジャ16をねじ山17の係合なしに前進させることができる。ユーザーがばね作動式のトリガ36を作動させるとき、このトリガ36の一部がハンドル収容素子38内に引き込まれる。ばね作動式のトリガ36をハンドル収容素子38内に引き込むことにより、ねじ山34がプランジャ止めナット40の対応するねじ山から解放される。その結果、プランジャ16をバレル12内で基端方向又は末端方向に自由に摺動させることができる。トリガ36のハンドル収容素子38側への収縮を解除することにより、ねじ山34がプランジャ止めナット40の対応するねじ山に係合する。ねじ山34とプランジャ止めナット40との間の係合により、プランジャ16を時計方向又はその反時計方向にねじ回することにより、このプランジャ前進又は後退することができるようになる。
【0035】
トリガ36は、ユーザーが膨張シリンジ10のバレル12内の加圧を急速に増加又は減少させることができる。換言すれば、ユーザーは、トリガ36をハンドル収容素子38に押し付けて、プランジャ16をバレル12内でねじ回すことなく前進又は後退させ、バレル12内の加圧を増大又は減少させることができる。次に、ユーザーはトリガ36を釈放し、プランジャ16をバレル12内でねじ回して前進又は後退させることで、より一層正確な所望の加圧状態に、プランジャ16をより漸進的に調整することができる。更に、プランジャ16をバレル12内での付加的なねじ回し前進を使用して、バレル12内の圧力を、ねじ回しによらない前進だけで達成しうるよりも一層大きくすることができる。
【0036】
図示の実施形態では、シリンジバレル12の本体に取付けブラケット110を設ける。この取付けブラケット110は、ディスプレイ20をシリンジバレル12に固定するようにする。この取付けブラケット110は、バレル12の基端部、すなわち先端部に一体的に結合する。図示の実施形態では、バレル12の内部から加圧情報を伝達する目的で、この取付けブラケット110は、バレル12の側壁に形成した開口(図示せず)を経てこのバレル12の内部と流体連通状態にする。
【0037】
図示の実施形態では、加圧情報をユーザーに関連するディスプレイ20を設ける。このディスプレイ20は、表示モジュール44、表示回路46、および筐体48を有する。表示回路46は、表示モジュール44に結合するよう構成する。表示回路46は、表示モジュール44によって表示すべき加圧情報または他の情報を提供する。ハウジング48は、ハウジングベース48b及びハウジングフード48aを具える。ハウジングベース48bは表示回路46及び表示モジュール44を収容するよう構成する。ハウジングフード48aはこの場合、ハウジングベースに固定し、これにより表示回路46及び表示モジュール44をハウジング48内に固定することができる。ハウジングフード48aは、表示モジュール44がユーザーに見えるようこの表示モジュール44を固定する構成とする。
【0038】
表示モジュール44、表示回路46、及びハウジング48などのモジュール化した構成素子をディスプレイ20に関連して設けることにより、製造者は簡単かつ効率的にディスプレイ20の構成素子を組立てることができる。さらに、ディスプレイ20に関連するモジュール化した構成素子を用いることにより、シリンジシステム又は他の膨張デバイスに対する組立ておよび取付けの少なくとも一方を行う前に、製造者はディスプレイ20の各構成素子を個別に検査することができる。このようにして、表示回路46のようなディスプレイ20の単独素子が不良である場合、製造者はディスプレイ20の組立ての前に欠陥がある素子を識別することができる。これにより、ユーザーは、ディスプレイ20および膨張シリンジ10の少なくとも一方の構成素子に欠陥がないディスプレイ全体を廃棄することなく、個別の構成素子を廃棄することができる。モジュール化した構成素子の組立て方法は、図6及び図7の説明につき、以下により一層詳しく説明する。
【0039】
図示の実施形態では、表示モジュール44は、数値指標、非数値指標、タイマー表示モジュールの少なくとも一つを有することができる。数値指標及び非数値指標を設けることにより、加圧情報の簡単且つ直感的な表示をユーザーに与える。表示モジュール44は、膨張加圧情報を表示する手段の一例である。表示回路46は、圧力感知装置から出力される圧力情報を表す電気信号を処理する。この表示回路46は、表示モジュール44が加圧情報を表示する方法を制御することもできる。表示回路46は、圧力感知装置からの電気信号を処理する手段の一例として説明されるものである。電気信号を処理する手段の他の例としては、マイクロチップ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)のような携帯装置があるが、これらに限定されない。数値指標及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する方法を、図4及び5に関する説明と関連して後に説明する。
【0040】
本発明の一態様によれば、ディスプレイ20はさらに圧力感知装置を具える。この圧力感知装置は、バレル12の内部と流体連通するように配置する。図示の実施形態では、圧力感知装置は表示回路46に統合する。表示回路46及び表示回路46の圧力感知装置は、流体連通するようバレル12内に配置する。
【0041】
当業者には明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構造のディスプレイを用いることができる。本発明の一実施形態によれば、ディスプレイを膨張シリンジとは個別に設ける。例えば、使い捨ての膨張シリンジに動作可能に接続する再利用可能なユーザーインタフェースの一部としてディスプレイを設けることができる。膨張加圧状態を表示する手段の他の例も用いることができ、これら他の例としては、以下のものに限定しないが、陰極線管ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、発光ダイオード(LED)群、携帯情報端末(PDA)などの携帯デバイス、ハードコピー表示を印刷するプリンタがある。
【0042】
図3A〜3Dは、本発明の一態様による、加圧情報を簡単且つ直感的にユーザーに表示する数値指標及び非数値指標を有するディスプレイ20を示す。ここで図3Aを参照すると、図示の実施形態では、ディスプレイ20は非数値表示24及び数値表示22を有する。非数値表示24は複数の指標51を有する。これら指標51は膨張シリンジの加圧状態を簡潔且つ直感的に示す漸進的表示を提供するよう構成する。非数値表示及び対応する指標51の漸進的構造により、加圧値の範囲を表示することができる。指標51が表示されると、ユーザーは膨張シリンジ10の加圧状態を迅速に且つ容易に判断でき、医療従事者は、概略的な加圧の大きさを容易に監視できるようになるだけでなく、数値を解釈する必要なしに、加圧の変化を監視できるようになる。従って、ユーザーは、その時点におけるカレント加圧状態と、所望の加圧状態と、および加圧速度との間の関係を、数値解釈の必要なしに、迅速に確認できる。一実施形態では、1平方インチ当たりのポンド値(psi)以外に他の選択的な測定単位値、例えば、気圧又はバール値で表示することができる。
【0043】
図示の実施形態では、ディスプレイ20の数値表示22が膨張シリンジにおける加圧の数値指標を提供する。数値表示22は、非数値指標51により与えられる視覚的表示を補完する膨張加圧の付加的で正確な表示を提供する。図示の実施形態では、数値表示22は、デジタル表示、例えば複数の領域を有する7セグメントLED表示を具える。図示のように、数値表示22は3つの領域を有し、各領域が数値の桁を表す。数値表示22は、その時点でのカレント加圧値を表示する。
【0044】
図示の実施形態では、ディスプレイ20は、さらに、タイマー表示モジュール26を有することができる。このタイマー表示モジュール26は、膨張ルーチンの長さと、膨張ルーチン間の時間長と、特定の加圧値における時間長と、取付けた膨張可能医療デバイスに膨張圧を加える時間長の少なくとも一つの指標を提供する。また、ディスプレイ20は、さらに、最終値表示ボタン52を設けることができる。この最終値表示ボタン52は、ユーザーが数値表示22を切り替えて、直近の、又は先行の膨張ルーチン中に達成された最大加圧値を表示することができるようにするものである。
【0045】
図示の実施形態では、例示的に膨張シリンジのその時点でのカレント加圧値が1インチ当たり200ポンド(200psi)であることを表示している。数値表示22は、典型的にバレル12の内部におけるカレント加圧値である値の正確で直感的な表示を提供する。膨張ルーチン中、数値表示22はリアルタイムで自動的に更新され、医療従事者に膨張シリンジのバレル及びチューブの少なくとも一方の内部における加圧状態に関する即時的で直感的な表示を提供する。図示する7セグメントLED表示は、簡単明瞭で読みやすいデジタル表示を低コストで提供しうる代表的な表示として設けたものである。
【0046】
上述したように、図示の実施形態では、非数値表示24は複数の非数値指標51を有する。非数値指標51の各々は白又は色付きのLEDにより構成する。更に、非数値表示24における複数の非数値指標51の各々は1つ以上の加圧値を表すことができる。非数値指標51と関連させて複数の数値指標50を設け、これにより非数値指標51の1つ又は群に対応する加圧値を表す。
【0047】
図示の実施形態では、各指標51がほぼ5psiに対応する加圧値の範囲を表している。数値指標50a、50b、50c、50d、50e、50f、50gは図示のように、指標51に沿って互いに離間されており、各数値指標はそれぞれ10個の指標51に対応する。その結果、“0”のラベル付けされた数値指標50aは、指標が点灯されていない場合、または指標51aのみ点灯されている場合よりも、膨張シリンジ内の加圧状態が0psiであることをユーザーに明瞭に示す。
【0048】
代表的な非数値指標51bも示している。図示の実施形態では、この非数値指標51bは指標51aからほぼ10個目の非数値指標の位置に配置する。“50”のラベル付けされた数値指標50bは、50psiの膨張シリンジ内の加圧状態を表す指標51bと関連して設ける。その結果、50a〜50bの指標が点灯されると、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧状態が50psiであることを迅速に且つ容易に確認できる。
【0049】
当業者には明らかなように、膨張シリンジ内の加圧状態が0psiと50psiとの間である場合、指標51a及び51bの間に位置する非数値指標51の1つを、膨張シリンジ内の加圧状態の非数値表示として点灯する。例えば、膨張シリンジ内の加圧状態が35psiである場合には、各非数値指標が加圧量の5psiの範囲を表すことから、ほぼ7個の非数値指標が点灯される。膨張シリンジ内の加圧値が45psiである場合には、ほぼ9個の非数値指標が点灯される。ユーザーは、最後に点灯された指標が特定の数値指標にどれ程接近しているかにより、膨張シリンジ内のおよその加圧状態を迅速に確認できる。例えば、膨張シリンジ内の加圧量が35psiである場合、ユーザーは、最後に点灯された非数値指標が0psiよりも大きく、50psiよりも小さいことを迅速に識別できる。更に、ユーザーは、最後に点灯された非数値指標が0psiよりも50psiに近いことを迅速に識別できる。従って、非数値表示24は、ユーザーが膨張シリンジ内のおよその加圧状態を迅速に判断できるようにする。
【0050】
図示の実施形態では、数値指標50cは、指標51cが100psiの加圧値に対応することを表している。数値指標50d〜50gも同様に互いに離間されており、それぞれ、指標51d、51e、51f及び51gが加圧値150psi、200psi、250psi及び300psiをそれぞれ表していることを示している。図示の実施形態では、非数値指標51が漸進的に点灯される。従って、加圧が増大して追加の非数値指標51が点灯されるにつれて、その時点でのカレント加圧値よりも小さい値を表す全ての非数値指標51は点灯された状態に維持される。
【0051】
図3Bは、膨張シリンジの先行する加圧ルーチン後におけるディスプレイ20を示す。図示の実施形態では、膨張シリンジ内に加圧は殆ど或いは全く存在していない。その結果、数値表示22は0psiの加圧状態を示している。更に、非数値指標51a〜51bは点灯されていない。
【0052】
図示の実施形態では、非数値指標51eが点灯されている。非数値指標51は、膨張シリンジにおけるカレント加圧以外の何らかの情報を表す値を表示するものとして点灯する。本発明の一実施形態によれば、非数値指標51eのような指標51は、最終加圧値及び目標加圧値の少なくとも一方を表すために点灯する。混乱を避けるために、最終値及び目標値の少なくとも一方を表す指標51は、異なる色および点滅の少なくとも一方で見えるようにすることができる。図示の実施例では、51a及び51eの間の指標が点灯されないため、非数値指標51がその時点でのカレント加圧値ではなく最終加圧値を表していると容易に判断しうる。当業者には明らかなように、カレント加圧値を点灯しつつ、非数値指標を最終加圧値の指標として点灯することができる。
【0053】
ディスプレイ20には更に、最終加圧値とは異なる目標加圧値をユーザーが設定できるようにするユーザーインタフェースを設けることができる。これは、表示された最終加圧値から増大又は減少調整することにより、或いは目標加圧値を手入力することにより達成しうる。更に他の実施形態では、最終値表示ボタン53により、3つの値間で、すなわち、その時点におけるカレント加圧値と、最終加圧値と、目標加圧値との間で数値表示24を切り替えることができる。目標加圧値は最終加圧値と一緒に又は最終加圧値の代わりに非数値表示24により表すこともでき、これにより、バレルを加圧する際の進行状況の視覚的表示を、最終加圧値又は所望加圧値に達するためにはどの位の進行が必要かのバレル内における進行状況、加圧速度、プランジャのその後の移動により得られる加圧変化表示を、ユーザーに与えることができる。従って、ユーザーは、目標加圧値に達するまでのその後のプランジャの移動に必要とする力を一層容易に確認しうる。ユーザーインタフェースは、ユーザーが表示すべき他のパラメータを選択するようにもできる。
【0054】
図3Cは、ユーザーが最終値表示ボタン52を押した直後に最終値情報をユーザーに表示する他の方法を示している図3A及び3Bのディスプレイを示す。図3Bでは、数値表示22及び非数値表示24により示されているように、膨張シリンジのバレルが完全に減圧されている。ユーザーが正確な最終加圧値を見たい場合、この情報は指標51eによりすぐには表示できない。その理由は、複数のあり得る加圧値が各指標51により表されている為である。正確な最終加圧値を見るために、ユーザーは最終値表示ボタン52を押すことにより、表示を切り替えることができる。図示の実施形態では、ユーザーが最終値表示ボタン52を押した状態である。非数値表示24の指標51eおよび数値表示22の7セグメント表示の双方により、最終値が200psiであることを表示する。最終値加圧情報を非数値表示24及び数値表示22で表示することにより、正確な加圧情報が直感的で容易に読み取りうるようにユーザーに与えられる。
【0055】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ20は、膨張ルーチンの終了時に最終値情報を表示するよう自動的に切り替えるようにすることができる。この実施形態では、次の膨張ルーチンが開始されるまで、ディスプレイ20が、最終値情報を数値表示22及び非数値表示24の双方で表示し続ける。次の膨張ルーチンが開始されると、ディスプレイ20は、非数値表示24を用いて最終値情報を維持したまま、カレント加圧値情報を数値表示22で表示するよう自動的に切り替わるよう復帰させることができる。本発明の一実施形態によれば、精細な最終値情報は、後続する加圧ルーチン中も含めて任意な時点で最終値表示ボタン52を押すことにより得られるようにすることができる。指標51eは異なる色及び点滅の少なくとも一方で見えるようにし、これが最終値を表しているということを示すようにすることができる。他の実施形態において、ユーザーは、最終加圧値とは異なる目標値を設定する際に、どの指標を異なる色及び点滅の少なくとも一方で見えるようにするかを調整することができる。
【0056】
図3Dは、膨張シリンジのカレント加圧値を最終加圧値と同時に提供する、後続加圧ルーチン中のディスプレイ20を示す。図示の実施形態では、非数値指標51eが最終加圧値の指標として示す。換言すれば、非数値指標51eにより、ユーザーが先行膨張ルーチン中の膨張シリンジの最大加圧値を迅速に確認できる。非数値指標51eは200psiの代表的な加圧値に対応するので、ユーザーは、先行加圧ルーチン中に200psiの最大加圧値を用いたことを迅速に確認することができる。このことは、医療従事者が、先行加圧ルーチン中に同程度、より小さい、又はより大きい加圧値を適用したいと望む場合に有用となり得る。ディスプレイ20の上述した構成によれば、カレント加圧値、最終値及び目標加圧値の少なくとも一方に達する進行状況及び到達まで残りの経過状況、加圧速度、プランジャの各移動で達成される進行状況を、ユーザーが直感的に且つ簡単に迅速に確認できるようにする。
【0057】
図示の実施形態では、指標51a〜51cが点灯している。更に、指標51c及び51dの間に位置するほぼ5個の追加の指標が点灯されている。指標51cは100psiの加圧を表している為、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧値が、100psiよりも大きい加圧状態を表していることを迅速に且つ簡単に確認することができる。更に、指標51dは150psiの加圧値に対応することから、ユーザーは、膨張シリンジ内の加圧状態が、150psiよりも小さい加圧量を表していることを迅速に確認することができる。非数値指標51及び非数値表示24は漸進的な特性であるので、ユーザーは、最後に点灯した非数値指標51が100psiと150psiと間のほぼ中間に位置することから、加圧状態はほぼ125psiであることを視覚的に判断できる。このことは、数値指標22を単に瞬時的に見て膨張シリンジ内の加圧値が正確に125psiであることを確認することにより迅速に確認できる。
【0058】
数値表示22に関連して非数値表示24を設けることにより、数値表示のみで示しうるよりも多くの情報を同時にディスプレイ上に表示するとともに、直感的に且つ簡単に読み取れる表示を提供する。例えば、数値表示22はカレント加圧値を提供でき、一方、非数値表示24は現在の加圧値及び最終加圧値を同時に表示することができる。図示の実施形態では、ユーザーが非数値表示24を用いて膨張シリンジのおよその加圧値を確認できるようにする。さらに、ユーザーは、カレント加圧値と、目標とする又は最終の加圧値との間における関係を迅速且つ容易に認識することができる。さらに、非数値表示24は、バレルを加圧する際に予め達成されている進行状況と、最終加圧値又は目標加圧値のような所望値に達するまでに必要とされる追加の加圧がどの位であるかとを視覚的に表示することができる。例えば、ユーザーには、125psiのカレント加圧値が非数値指標51eにより示される最終加圧値のほぼ3分の2であるという視覚的表示が与えられる。更に、非数値指標51gに対応する300psiの最大加圧値の半分よりもカレント加圧値が僅かに小さいということを、ユーザーは迅速に確認することができる。
【0059】
さらに、ディスプレイ20によれば、加圧速度、及びバレル内でのプランジャの各移動による加圧変化をユーザーが容易に監視できる。従って、ユーザーは、所望の加圧値に到達させるために以後のプランジャの移動に必要とする力をより一層迅速に予測できる。図示の実施形態では、非数値表示24の形状を弧状又は曲線状とすることにより、ユーザーが加圧曲線に沿う進行状況を確認できるようにする。加圧曲線の形状は、実際の加圧値に加えて非数値の繊細な表示をも提供する。例えば、加圧曲線の底部に相当する加圧状況、すなわち指標51a〜51cは、一般に所望される最大加圧値よりも低いものとして迅速に認識することができる。加圧状態が加圧曲線のアーチ部または頂部、つまり指標51d〜51fに近づくと、加圧状態が一般に所望される最大加圧値の範囲内にあるということをユーザーが確認することができる。加圧状態が、頂部を通過して最終非数値指標、すなわち、51f〜51gに向かって下降する際に、ユーザーは、加圧状態が一般に所望される最大加圧値を超えることを迅速に確認できる。従って、この非数値指標の形状により、実際の加圧値に加えて、任意の加圧値の望ましさを示す。
【0060】
当業者には明らかなように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、様々な非数値表示の種類及び形状を提供しうる。例えば、非数値表示が漸進的ゲージ又はダイヤル(目盛盤)を有してもよい。一実施形態では、目盛盤を、光による表示(例えば、LED)、又は色の変化、又はノッチ、又はその他の指標、又はこれらの任意の組合せを有するデジタル式とすることができる。他の実施形態では、非数値表示は、デジタルゲージ又はダイヤルを有することなく、弧状に旋回して、弧の一部において曲線状に配置した増分に沿って移動するように構成したアームのようなアナログダイヤルを有してもよい。更に他の実施形態では、非数値表示が、カレント加圧状態、及び可能な膨張圧の範囲に沿った加圧進行状況を表示するアナログゲージを有することができる。本発明の一実施形態によれば、非数値表示は、直線又は曲線アレイに配置した指標を有するようにすることができる。更に他の実施形態では、複数の種類の非数値指標を設け、各々が異なる加圧値(例えば、カレント加圧値及び最終値)を表すようにすることができる。更に他の実施形態では、非数値指標を非直線形状に配置することができる。図示の実施形態では、弧状曲線の一方の側がこの弧状曲線の他方の側よりも長くして、これらがそれぞれ上述した値の所望範囲を表すようにすることができる。
【0061】
本発明の他の実施形態によれば、加圧状態が圧力曲線に沿って増大するにつれて、加圧状態の色を異ならせるようにすることができる。例えば、低い加圧値状態では、非数値指標を緑色で点灯させる。中間の加圧状態では、非数値指標を黄色で点灯させる。高い加圧状態では、非数値指標を赤色で点灯させる。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態による、数値指標及び非数値指標を用いて加圧情報を表示する手順を示すフローチャートである。図示の実施形態では、この手順をステップ60で開始させる。バレル内部の膨張加圧状態をステップ62で検出する。この膨張加圧状態の検出に続いて、加圧状態の数値をステップ64で表示する。次に、加圧状態の非数値による値をステップ66で表示する。加圧状態の数値をステップ64で表示し且つ加圧状態の非数値の値をステップ66で表示した後、加圧状態の変化を膨張ルーチン中にステップ68で検出する。加圧量の変化を膨張ルーチン中に検出した後、加圧値における数値変化及び非数値変化をステップ70で表示する。
【0063】
ステップ68中の加圧値変化の検出、及びステップ70中の加圧値の数値変化及び非数値変化の表示に続いて、その後の加圧状態変化を検出することができる。加圧状態変化を膨張ルーチン中に検出した場合、ステップ68を繰り返する。加圧状態変化を検出しまたステップ68を繰り返した後、加圧値の数値及び非数値変化をステップ70で再び表示する。ステップ72で膨張ルーチンの終了を検出する。膨張ルーチンの終了を検出した後、ステップ74で、先行膨張ルーチンにおける最終の最大膨張値に対応する非数値指標を表示する。膨張加圧値を検出した場合に最終最大膨張値が表示された後、この手順を、ステップ62に戻す。膨張加圧状態が検出されない場合、この手順はステップ76で終了する。
【0064】
膨張加圧状態の検出は、圧力検出変換器のような圧力感知装置により達成しうる。図3A〜3Dに示すようなディスプレイは加圧値の数値を表示し、これにより加圧値の正確な指標を提供することができる。このディスプレイでは、加圧値を示すものとして非数値指標を表示させることもできる。膨張ルーチン中に、圧力感知装置により加圧状態の変化を検出することができ、またこの場合ディスプレイにより、数値指標及び非数値指標を更新して加圧値の変化を表示させることができる。加圧値の変化のステップ68における検出及びステップ70における表示は、加圧ルーチン中に複数回発生する可能性がある。本発明の方法によれば、膨張ルーチンの終了も検出し、続いて、ちょうど終了した膨張ルーチンの最終値又は最大値に対応する非数値指標を表示するようにすることもできる。本発明の一実施形態によれば、本発明の方法を(図1、2及び6に示す)表示回路により遂行することができ、ソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントの少なくとも一方に実装する、又は完全若しくは部分的に実行する、又は上記実装及び実行の双方を行うことができる。
【0065】
図5Aは膨張シリンジ10の斜視図であり、本発明の一実施形態による膨張シリンジ10のモジュール化した構成素子アセンブリを示す。図示の実施形態では、ディスプレイ20はモジュール化した構成素子アセンブリの一部として個別の構成素子を具え、これによりディスプレイ20の個別の構成素子を検査することができる。ディスプレイ20の個別の素子を検査することにより、膨張シリンジ全体を廃棄せずに欠陥素子のみを廃棄することになるため、本発明の膨張シリンジの製造コストを低減することができる。
【0066】
図2につき説明したように、バレル12は、ディスプレイ20を取付ける取付けブラケット110を有する構成にすることができる。取付けブラケット110は、さらに固定ブラケット119を収容する溝孔124を具える。取付けブラケット110、溝孔124はディスプレイを膨張シリンジのバレルに取付けるための手段の一例である。他の取付け手段の例として、以下に限定しないが、クリップ、フック/ループ式ファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0067】
表示回路46及び表示モジュール44は個別に検査し、組付け、そしてディスプレイのハウジングベース48bに配置することができる。表示モジュール44は、加圧情報を表示するために数値指標及び非数値指標を具えることができる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126に接続して表示回路46を設け、ディスプレイ20の組立てを容易にする。さらに、1つ又は複数の電池128をフレキシブルプリント回路板126に取付けることもでき、これにより、検査及び組立て中の利便性をよくすることができる。フレキシブルプリント回路板126は、検査中に電池128が表示回路46に電力を供給し、表示回路46の検査を容易にするよう構成する。
【0068】
表示モジュール44は個別に検査し、また表示回路46に組み付けて、他の検査を行うよう構成する。組付け中、表示回路46はフレキシブルプリント回路板126から取り外し、表示モジュール44に結合することができる。電池128もまたフレキシブルプリント回路板126から取り外し、また表示回路46に電力を供給するよう取付けることができる。アセンブリはその後、ディスプレイのハウジングベース48bに配置する前に、一緒に検査することができる。他の実施形態において、フレキシブルプリント回路板126は、表示回路46及び表示モジュール44に組付けたままでもよい。さらに本発明の他の実施形態においては、フレキシブルプリント回路板126は所望の位置に表示回路46及び電池128を配置する。フレキシブルプリント回路板126はその後表示モジュール44及びハウジング48などの追加素子を組み付けた後、一旦取り外すことができる。
【0069】
ディスプレイのハウジングフード48aは、組付けた表示モジュール44及び表示回路46を固定するよう構成する。ハウジングフード48aは表示モジュール44を収容するよう構成し、ハウジングベース48bに結合する。この際、ハウジングベース48bはバレル12に予め取付けておくことができる。このとき、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bを互いにスナップ嵌合させて容易に組立てることができる。バレル12にディスプレイ20が取付けた後、組立てた膨張シリンジ全体を次に検査することができる。ハウジング48は、取付け手段に処理手段及び表示手段を固定するための手段の一例である。固定手段の他の例としては、以下に限定するものではないが、クリップ、フック/ループ式ファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0070】
図5Bはハウジングベース48bをバレル12に取付ける状況を示す斜視図である。図示の実施形態では、ハウジングベース48b及びバレル12を示す。上述したように、膨張シリンジ装置の組立て中、ハウジングベース48bがバレル12に結合されるよう構成する。本発明の一実施形態によると、ハウジングベース48bは、ディスプレイ20における他の構成素子を組立てる前にバレル12に結合する(図5A参照)。本発明の別の実施形態によれば、ハウジングベース48bをバレル12に結合する前に、ディスプレイ20のハウジング48全体(図5A参照)を組立てる。
【0071】
図示の実施形態では、ハウジングベース48bは、空所112及びボタン収容孔118を有する。バレル12は壁114及び固定ブラケットの溝孔124を具える。図示の実施形態では、圧力センサ(圧力感知装置)116も示す。組立て中、ユーザーは、空所112をバレル12の取付けブラケット110の上方に位置決めすることにより、ハウジングベース48bをバレル12に固定する。ユーザーはその後、ハウジングベース48bを前進させ、取付けブラケット110の壁114が摺動して空所112内に進入する。取付けブラケット110の壁114が空所112内に摺動すると、取付けブラケット110の壁114が空所側壁113に隣接して配置される。本発明の一実施形態によると、この、空隙側壁113と壁114との間の近接した空間的位置関係が生じ、取付けブラケット110に対するハウジングベース48bの側方移動を最小限にすることができる。ハウジングベース48bが取付けブラケット110の底部に隣接して配置されるよう、ユーザーが十分にハウジングベース48bを前進させたとき、固定ブラケット119が取付けブラケット110の固定ブラケット用の溝孔124内に配置される。図示の実施形態において、固定ブラケット119はハウジングベース48bの下面から垂直距離に延びる支柱を有する。固定ブラケット用の溝孔124は取付けブラケット110の後部に位置する切り欠きで構成する。固定ブラケット用の溝孔124が固定ブラケット119の側面部に接触するような寸法で形成するので、固定ブラケット119と固定ブラケット用の溝孔124との間における協調的な係合により、ハウジングベース48bの取付けブラケット110に対する望ましくない運動が最小限に抑えられるか、解消される。
【0072】
図示の実施例では、圧力センサ116は取付けブラケット110内に配置される。装着用ブラケット110及び圧力センサ116の位置は、圧力センサ116がバレル12内部に流体連通するよう配置する。こうして、圧力センサ116は直接又は間接的にバレル12内の流体又は空気の加圧に関する情報を監視し、伝達することができる。
【0073】
取付けブラケット110、固定クリップ118、及びスナップ嵌合部112は膨張シリンジのバレルにディスプレイを取付けるための手段の一例である。他の取付け手段の例としては、以下のものに限定しないが、クリップ、フック/ループ式のファスナ、ピン、デテント、ボタン、又はその他の留め具がある。
【0074】
図5Cは、ハウジングベースがバレル12にしっかりと結合された際のバレル12及びハウジングベース48bを示す。図示の実施形態から分かるように、ハウジングベース48が取付けブラケット110に固定されるとき、ボタン収容孔118がバレル12の末端部に位置しているため、ユーザーは自由にボタン収容孔118に関連するボタンを利用し操作することができる。従って、ユーザーはボタン収容孔118に関連するボタンを操作し、膨張シリンジの様々な局面を制御又は監視することができる。
【0075】
図示の実施形態では、取付けブラケット110の壁114は僅かなテーパーを有し、これによりユーザーが最初に取付けブラケット110をハウジングベース48bの空所112から摺動進入させるとき、取付けブラケット110の壁114と空所112の側壁113との間に所定量の隙間が生じる。ユーザーがハウジングベース48bをバレル12の方向に前進させ続けると、壁114及び空所側壁113の4つすべての側壁が完全に密着するまで壁114と側壁113との間の隙間が減少する。したがって、いかなる方向への圧力又は接触も、ハウジングベース48bのバレル12に対する意図しない又は望ましくない移動も生じない。
【0076】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、ハウジングをバレルに取付けるための様々な種類及び組合せの機構を用いることができる。例えば、一実施形態において、取付けブラケットをハウジングベースに連結して設け、空所をバレルに連結して設ける。他の実施形態において、取付けブラケットは円状又は楕円状の構成とし、空所は、取付けブラケットの形状に適合するように円状又は楕円状の構成とする。更に別の実施例において、圧力センサは取付けブラケット以外の位置に設ける。更に別の実施例においては、複数の取付けブラケット又はクリップタイプの構成素子を設けてハウジングをバレルに固定する。
【0077】
図6Aはディスプレイ20の構成素子の斜視図であり、本発明の一実施形態によるディスプレイ20の構成素子のアセンブリを示す。図示の実施形態では、ハウジング48(図5A参照)はハウジングフード48a及びハウジングベース48bを具える。さらに、ディスプレイ20は表示モジュール44、表示回路46、圧力センサ116、フレキシブルプリント回路板126a,126b、及び電池128を含む。図示の実施形態では、表示モジュール44及び表示回路46は、表示回路46の表示モジュール44に対する結合の前又は後に互いに別々に検査することができる。したがって、ディスプレイ20の1つ又は複数の構成素子が不良である場合、ディスプレイ20の他の有効かつ使用可能な構成素子を廃棄する必要なしに、個々の欠陥構成素子を廃棄することができる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126a及び126bを用いて、表示モジュール44、表示回路46、及び圧力センサ116を互いに結合する。さらに、図示の実施形態では、電池128がフレキシブルプリント回路板126aに固定されている。フレキシブルプリント回路板126を用いて表示モジュール44、表示回路46、及び固定ブラケット119を固定することにより、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bの組立て中、ハウジングベース48bのハウジングフード48aに対する望ましい結合を生じて、表示モジュール44、表示回路46、及び圧力センサ116のそれぞれを、ハウジングベース48b及びハウジングフード48a内の望ましい位置に位置決めすることができる。
【0078】
図示の実施形態では、ハウジングベースは、着座部201、保持クリップ202、結合機構素子204a,204b、固定支柱208a,208b、及び収容部214を有する。着座部201は圧力センサ116及び表示回路46の一方又は双方を収容するよう構成する。図示の実施形態では、圧力センサ116はハウジングベース48bの空所112内に配置可能であるため、圧力センサ116をバレル12の取付けブラケット110内に収容することができる(図5B参照)。図示の実施形態では、保持クリップ202が着座部201に設ける。保持クリップ202は、表示回路46の底端縁が保持クリップ202の下側に位置しうるように配置される。したがって、表示回路46の底端縁は保持クリップ202とハウジングベース48bの背面又は底面との間に配置される。表示回路46の底端縁が保持クリップ202とハウジングベース48bの底部との間に配置された後、表示回路46はハウジングベース48b内に固定される。
【0079】
ハウジングベースをハウジングフード48aに固定するために、結合機構素子404a,404bは、ハウジングフード48aの構成素子に固定するよう構成する。さらに、固定支柱208a,208bは、ハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定する補助的作用をもたらしつつ、ハウジングフード48aの壁とハウジングベース48bの壁との間における隙間の維持を助けるようになっている。収容部214は、ハウジングベース48bにより生じる容積内に、ディスプレイ20の構成素子を配置しうるオープン領域を提供する。図示の実施形態では、収容部214はフレキシブルプリント回路板126a及び電池128を収容するよう構成する。さらに、圧力センサ116及び表示回路46は収容部214内に位置決めすることができる。
【0080】
図示の実施形態では、ハウジングフード48は結合機構素子206a,206bを含む。結合機構素子206a,206bはハウジングベース48bの結合機構素子204a,204bに固定するよう構成する。
【0081】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構成のディスプレイ構成素子を設けることができる。例えば、一実施形態において、ハウジングフード及びハウジングベースは1つの一体化された構成素子として設けられる。別の実施例において、ハウジングベースはハウジングフードに一体化して結合される。更に別の実施形態において、表示モジュール44、表示回路46、電池128、及びフレキシブルプリント回路板126を含む構成素子のうち、2つ以上を個別に設け、ハウジングフード及びハウジングベースの構成素子内に配置された後、互いに結合される。更に別の実施形態において、ディスプレイ20の構成素子を接続するフレキシブルプリント回路板又は他の配線並びに回路は、個別に設けられるのではなく、ハウジングフード及びハウジングベース内に一体化する。
【0082】
図6Bは本発明の一実施形態によるハウジング20の構成素子の斜視図である。図示の実施形態では、表示モジュール44がハウジングフード48a内に固定される。さらに、圧力センサ116はハウジングベース48bの空所112に通されることにより、フレキシブルプリント回路板126a,126bがハウジングベース48bとハウジングフード48aとの間に挿通される。従って、表示モジュール44をハウジングフード48a内に取付け、またセンサ116をハウジングベース48bに挿通して取付ける間、表示モジュール44は表示回路46及び圧力センサ116に動作可能に接続されたままになる。さらに、電池128がフレキシブルプリント回路板126に固定され、且つ表示回路46がフレキシブルプリント回路板126a及びフレキシブルプリント回路板126bに動作可能に接続されているため、表示モジュール44を、組立て中に、ディスプレイ46と組み合わせて操作し、また検査することができる。
【0083】
図6Cは、本発明の一実施形態によるディスプレイ20の構成素子の組立て中におけるディスプレイ20の構成素子を示す。この図示の実施形態において、表示回路46は着座部201内に配置されており、これにより表示回路46の先導端縁が保持クリップ202の下側に配置される。フレキシブルプリント回路板126aは折り曲げられており、これにより圧力センサ116(図示せず)がハウジングベース48bの空所112(図示せず)を通って配置される。従って、電池128はハウジングベース48bの収容部214内の然るべき位置に配置される。さらにこれにより、着座部201内の表示回路46の適切な配置が可能になる。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、圧力センサ116は空所112に位置決めする(図6B参照)。電池128と圧力センサ116との間に配置する長いフレキシブルプリント回路板126aは、電池128が上向きに配置されるように折り曲げる。電池と表示回路46との間に配置する長いフレキシブルプリント回路板126は、折り曲げ、これにより電池128が上向きに配置し且つ表示回路46がハウジングベース48bの部分に、着座部201に連係するよう配置する。表示回路46が着座部201内に配置した後、長いフレキシブルプリント回路板126は僅かに曲げる又は折り曲げ、電池128と表示回路46との間の短縮された距離に収納する。換言すれば、表示回路46を保持クリップ202の下側に配置すると、電池128と表示回路46との間の変位が少なくなる。このフレキシブルプリント回路板126aの構造により、表示回路46及び電池128の並置におけるこうした変化に適応させるために要される微細な折り曲げ又は他の操作が可能になる。
【0085】
図示の実施形態では、表示モジュールはハウジングフード48a内に固定する。フレキシブルプリント回路板126bは表示モジュール44及び表示回路46に固定する。このような長いフレキシブルプリント回路板126bにより、表示モジュール44と表示回路46との間の接続を維持しつつ、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bの双方間における所望の分離が可能になる。従って、表示モジュール44をハウジングフード48内に配置し、表示回路46をハウジングベース48b内に配置するとき、構成素子を互いに動作可能に接続したまま構成素子の組立てを進行させることが可能になる。図示の実施形態では、フレキシブルプリント回路板126bがもたらす結合により、またディスプレイ20の全構成素子の最終的な組立ての前に、表示回路46及び表示モジュール44を、互いに動作可能に接続したままの状態で検査することが可能になる。ユーザーがハウジングフード48a及びハウジングベース48bの組立てを仕上げようとするとき、フレキシブルプリント回路板126bを電池128と表示モジュール44との間にサンドイッチ状態に配置するとともに、ハウジングフード48a及びハウジングベース48b内に全体が配置されるように、フレキシブルプリント回路板126bを折り曲げる。これにより、ディスプレイ20の構成素子の改善された検査が可能になるともに、ディスプレイ20の構成素子における製造の改善された信頼性及び効率性がもたらされる。
【0086】
本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、ディスプレイ20の構成素子の固定に関して、様々なタイプ及び構成を使用することができることは当業者に理解されるだろう。例えば、本発明の一実施形態において、単一の長いフレキシブルプリント回路板を用いてディスプレイの2つ以上の構成素子を固定することができる。他の実施形態においては、フレキシブルプリント回路板を用いずに電池をディスプレイの他の構成素子に固定する。本発明の更に別の実施例において、ハウジングフードをハウジングベースに固定するとき、ディスプレイの1つ又は複数の構成素子が互いに有機的に固定される。
【0087】
図6Dはディスプレイ20の側断面図であり、膨張シリンジの組立て後の並置したハウジングフード48a及びハウジングベース48bを示す。図示の実施形態では、ハウジングベース48bはハウジングフード48aに固定され、表示回路46の位置をハウジング48内に固定している。図示の実施形態では、結合機構素子204a,bを結合機構素子206a、206bに結合することにより、ハウジングベースがハウジングフードに固定される。結合機構素子204a,204bはハウジングベース48bに関連して設ける。結合機構素子206a,206bはハウジングフード48aに関連して設ける。さらに、本発明の一実施形態によれば、固定支柱208a,208bを使用してハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定する。図示の実施形態では、表示モジュール44、圧力センサ116、フレキシブルプリント回路板126a、及びフレキシブルプリント回路板126bを示していない。しかし、上述したように、表示モジュール、圧力センサ、及びフレキシブルプリント回路板は、ハウジングフード48a及びハウジングベース48b内に動作可能に接続するよう構成する。
【0088】
図6Eはハウジングフード48aをハウジングベース48bに固定するときの、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bを示す斜視図である。図示の実施形態では、ハウジングフード48a、ハウジングベース48b及び表示回路46の並置状態を示すため、表示モジュールがハウジングフード48a内にない状態で示している。したがって、ユーザーは保持クリップ202を用いて表示回路46が固定される状態を見ることができる。図示の実施形態では、クリップ202はハウジングベース48b内の空所112に隣接して配置される。ユーザーは表示回路46を前進させて、表示回路46の先導端縁が保持クリップ202の下側に位置決めされるようにする。表示回路46が保持クリップ202に対して位置決めされた後、表示回路46をハウジングベース48b内に固定することができる。一実施形態において、ハウジングフード48a及びハウジングベース48bが協調的に係合することにより表示回路46が着座部201内に固定される。本発明の他の実施形態によれば、ハウジングベース48bの構成素子のみで表示回路46を固定する。他の実施形態において、表示回路46を保持クリップ202に対して位置決めした後、表示回路はハウジングベース48bに溶接する、接着剤で接合する、又は機械的に固定する。図示の実施形態において、表示回路46は、ハウジングベース48bの他の構成素子に対して傾斜した角度で配置することによって、ハウジングベース48b内で角度を付けて配置する。ハウジングベース48bの収容部214内に配置されるフレキシブルプリント回路板、電池、又はその他の構成素子は、表示回路46から阻害されることなく、又は表示回路46に干渉せずに所望通りに配置することができる。
【0089】
当業者には理解されるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、様々な種類及び構成のハウジングを設けることができる。例えば、本発明の一実施形態において、保持クリップ以外の機構を用いて表示回路を固定する。他の実施形態において、表示回路を専用の容器内に配置し、ディスプレイの他の構成素子からの損傷から保護する。更に別の実施形態では、表示回路をハウジングベースの空所から離して配置し、表示回路を外部環境から保護する。
【0090】
モジュール化した構成素子アセンブリ、及び組立て中における個々の組立てられた構成素子の検査により、欠陥構成素子の認識が可能になる。その結果、欠陥のない構成素子を含みうる膨張シリンジ全体を廃棄することなく、単純に不良素子のみを廃棄することによって、大幅なコスト削減が達成されうる。
【0091】
図7は本発明の一実施形態によるモジュール化した構成素子アセンブリを用いた膨張シリンジを検査し組立てる工程を示すフローチャートである。この工程はステップ130で始まる。ステップ132で、膨張シリンジの構成素子を得る。膨張シリンジを得た後、ステップ134で膨張シリンジバレルの無欠性を検査する。次にステップ136で表示回路の動作が検査される。表示回路の動作を検査した後、ステップ138で表示モジュールの動作を検査する。
【0092】
ハウジングベースをその後、ステップ140で膨張シリンジの取付けブラケットに固定する。ハウジングベースを取付けブラケットに固定した後、ステップ142で、表示モジュール及び表示回路を組立てる。ステップ144で、表示モジュール及び回路をハウジングベース内に配置する。表示モジュール及び表示回路をハウジングベースに配置した後、ステップ146で、ハウジングフードをハウジングベースに結合し、表示モジュール及び表示回路を膨張シリンジに固定する。次にステップ148で、組立て済みのディスプレイを含む組立て済みの膨張シリンジを最終検査にかける。組立て済みの膨張シリンジを最終検査にかけた後、ステップ150でこの工程を終了する。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、予め組立てられた構成素子として、バレル及びプランジャを含む予め組立てられたシリンジシステム、ベース及びフードを含むディスプレイハウジング、表示モジュール、並びに表示回路が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、膨張可能医療機器に接続するよう構成したチューブを、予めバレルに接続しておくこともできる。膨張シリンジのそれぞれの構成素子は個別に検査することができる。この方法により、バレル及びプランジャ並びに他のシリンジシステム素子を含むシリンジシステムの無欠性を検査し、流体密封を確保して、確実にバレルを加圧しかつ加圧を維持することができるようになる。本発明の一実施形態によれば、この検査方法によれば、数値指標及び非数値指標の双方の検査を含めて、表示回路の動作を検査し、表示モジュールの動作を検査することができる。
【0094】
膨張シリンジの構成素子が適切に機能することを検証した後、ハウジングベースを膨張シリンジバレルの取付けブラケットに固定することにより、モジュール化したアセンブリの組立てを開始する。表示モジュール及び表示回路はその後、実装前にまとめて組立てて検査する。表示モジュール及び表示回路を組付けたとき適切に機能する場合、アセンブリはディスプレイのハウジングベース内に配置することができる。表示モジュール及び表示回路はハウジングフードをハウジングベースに結合することにより固定することができる。シリンジバレルにディスプレイを取付けるとき、完全に組立てられた膨張シリンジを検査することができる。
【0095】
本発明は、その精神又は本質的特徴を逸脱することなしに、他の特定の形態で具現化しうる。上述した実施形態は、あらゆる点において説明上のためのものであり、これらに限定されるものではないことに注意すべきである。従って、本発明の範囲は、上述した説明によるものではなく、添付の特許請求の範囲により示されるものである。特許請求の範囲の意味及びその均等範囲に入るあらゆる変更も本発明の範囲に包含されるべきものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者が医療処置中に所望量の膨張加圧を選択的に行って、血管形成術用バルーン等の医療器具を患者の体内で膨張させうるよう構成した膨張シリンジであって、
内腔を画定し、また所望の膨張圧を保持するよう構成したバレルと、
前記バレルの内腔内に収容し、前記バレル内の加圧状態を増大させるよう構成したプランジャと、
前記バレル内の膨張加圧状態を感知する感知装置と、
前記感知装置に結合し、医療従事者に前記バレル内の膨張加圧状態を表示するディスプレイであり、前記バレル内の膨張加圧状態の数値表示を与える数値指標、及びこの膨張加圧状態の非数値表示を与える非数値指標を有する、該ディスプレイと、
を備えた、膨張シリンジ。
【請求項2】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記プランジャは、前記膨張シリンジの組立て中に、前記バレルに固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項3】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置は、前記膨張シリンジの組立て中に、前記バレルに固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項4】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイは、前記膨張シリンジの組立て中に、前記感知装置に固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項5】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記プランジャ、前記バレル、前記感知装置、及び前記ディスプレイのうち1つ又は複数は、前記膨張シリンジの組立て前に検査し、各構成素子が適正に動作することを確実にし、これにより膨張シリンジ全体を廃棄する必要なしに欠陥構成素子を個別に廃棄することができる構成とした、膨張シリンジ。
【請求項6】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイは、表示モジュール及び表示回路を有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項7】
請求項6に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示モジュール及び前記表示回路は、前記膨張シリンジの組立て中に、ディスプレイのハウジング内に配置する膨張シリンジ。
【請求項8】
請求項7に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイのハウジングは、ハウジングフード及びハウジングベースを有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項9】
請求項8に記載の膨張シリンジにおいて、前記バレルは、前記ディスプレイのハウジングを前記バレルに取付けるための取付けブラケットを有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項10】
膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリであって、
内腔を画定し、また所望の膨張圧を保持するよう構成したバレルと、
前記バレルの内腔内に収容し、前記バレル内の加圧状態を増大させるよう構成したプランジャと、
前記バレル内の膨張加圧状態を感知する感知装置と、
前記感知装置から受信した信号を処理する表示処理回路と、
前記表示処理回路からの前記信号に含まれる情報を表示するために、前記表示処理回路に結合した表示モジュールであり、前記バレル内の膨張加圧状態を表す値を表示するための数値指標及び非数値指標を含む表示モジュールと、
ベース及びフードを含むディスプレイハウジングであって、前記ベースは、前記バレルに取付け、かつ前記表示処理回路及び前記表示モジュールを収容するよう構成し、また前記ディスプレイハウジングのフードは、前記ディスプレイハウジングのベースに結合し、かつ前記表示処理回路及び前記表示モジュールを前記ディスプレイハウジング内に固定するよう構成した、該ディスプレイハウジングと、
を備えた、膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項12】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項13】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示モジュールは、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項14】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記バレルは、前記モジュール化した構成素子アセンブリの前記他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項15】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置、前記表示処理回路、及び前記表示モジュールのうち2つ又はそれ以上は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、一緒に検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項16】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路及び前記表示モジュールを、前記ハウジングフードと前記ハウジングベースとの間に位置決めできる構成とした膨張シリンジ。
【請求項17】
請求項16に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路及び前記表示モジュールは、前記ハウジングフード及び前記ハウジングベースによって、前記膨張シリンジの前記他の部品に固定する構成とした膨張シリンジ。
【請求項18】
請求項17に記載の膨張シリンジにおいて、前記ハウジングフード及び前記ハウジングベースを前記膨張シリンジの他の部品に固定するとき、前記表示処理回路が前記感知装置に動作可能に接続される構成とした膨張シリンジ。
【請求項19】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記膨張シリンジの他の部品に電力を供給するために用いる1つ又は複数の電池は、前記表示モジュール及び前記表示回路の一方又は双方にフレキシブルに接続し、前記電池が前記ハウジングフード及び前記ハウジングベース内で、前記表示モジュール及び前記表示回路の一方又は双方に対して適正に変位できるよう構成した、膨張シリンジ。
【請求項20】
膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリの組立て方法であって、
バレルを有するシリンジシステムを得るステップと、
前記シリンジシステムの無欠性を検査するステップと、
圧力感知装置からの信号を処理するよう構成した処理回路を得るステップと、
前記処理回路の動作を検査するステップと、
圧力感知装置から受信され、数値及び非数値の前記処理回路で処理される前記信号で伝達される情報を表示するよう構成した表示モジュールを得るステップと、
前記表示モジュールの動作を検査するステップと、
ハウジングベースをバレルにおける取付けポイントに固定するステップと、
前記処理回路を前記表示モジュールに結合するステップと、
互いに結合した前記処理回路及び前記表示モジュールを検査するステップと、
前記処理回路及び前記表示モジュールを前記ハウジングベースに配置するステップであって、前記処理回路が、前記バレル内の加圧を感知する前記圧力感知装置からの信号を受信するよう配置するステップと、
ハウジングフードを前記ハウジングベースに結合するステップであって、前記ハウジングフードは、前記処理回路及び前記表示モジュールを固定するよう構成するものとしたステップと、
完全に組立てた前記膨張シリンジの動作を検査するステップと、
を有する膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリの組立て方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、膨張シリンジにおける1つの部品の動作が不良である場合、膨張シリンジの他の部品を廃棄する必要なくして、その不良部品を廃棄し、新しい部品と交換しうる方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、さらに、特定の部品が適正動作していないことを検出するステップを有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、さらに、前記適正動作していない部品を廃棄するステップを有する方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、さらに、前記適正動作していない部品を、新しい部品と交換するステップを有する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、さらに、前記新しい部品が適正動作しているか否かを検査するステップを有する方法。
【請求項1】
医療従事者が医療処置中に所望量の膨張加圧を選択的に行って、血管形成術用バルーン等の医療器具を患者の体内で膨張させうるよう構成した膨張シリンジであって、
内腔を画定し、また所望の膨張圧を保持するよう構成したバレルと、
前記バレルの内腔内に収容し、前記バレル内の加圧状態を増大させるよう構成したプランジャと、
前記バレル内の膨張加圧状態を感知する感知装置と、
前記感知装置に結合し、医療従事者に前記バレル内の膨張加圧状態を表示するディスプレイであり、前記バレル内の膨張加圧状態の数値表示を与える数値指標、及びこの膨張加圧状態の非数値表示を与える非数値指標を有する、該ディスプレイと、
を備えた、膨張シリンジ。
【請求項2】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記プランジャは、前記膨張シリンジの組立て中に、前記バレルに固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項3】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置は、前記膨張シリンジの組立て中に、前記バレルに固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項4】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイは、前記膨張シリンジの組立て中に、前記感知装置に固定できる構成とした膨張シリンジ。
【請求項5】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記プランジャ、前記バレル、前記感知装置、及び前記ディスプレイのうち1つ又は複数は、前記膨張シリンジの組立て前に検査し、各構成素子が適正に動作することを確実にし、これにより膨張シリンジ全体を廃棄する必要なしに欠陥構成素子を個別に廃棄することができる構成とした、膨張シリンジ。
【請求項6】
請求項1に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイは、表示モジュール及び表示回路を有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項7】
請求項6に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示モジュール及び前記表示回路は、前記膨張シリンジの組立て中に、ディスプレイのハウジング内に配置する膨張シリンジ。
【請求項8】
請求項7に記載の膨張シリンジにおいて、前記ディスプレイのハウジングは、ハウジングフード及びハウジングベースを有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項9】
請求項8に記載の膨張シリンジにおいて、前記バレルは、前記ディスプレイのハウジングを前記バレルに取付けるための取付けブラケットを有する構成とした膨張シリンジ。
【請求項10】
膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリであって、
内腔を画定し、また所望の膨張圧を保持するよう構成したバレルと、
前記バレルの内腔内に収容し、前記バレル内の加圧状態を増大させるよう構成したプランジャと、
前記バレル内の膨張加圧状態を感知する感知装置と、
前記感知装置から受信した信号を処理する表示処理回路と、
前記表示処理回路からの前記信号に含まれる情報を表示するために、前記表示処理回路に結合した表示モジュールであり、前記バレル内の膨張加圧状態を表す値を表示するための数値指標及び非数値指標を含む表示モジュールと、
ベース及びフードを含むディスプレイハウジングであって、前記ベースは、前記バレルに取付け、かつ前記表示処理回路及び前記表示モジュールを収容するよう構成し、また前記ディスプレイハウジングのフードは、前記ディスプレイハウジングのベースに結合し、かつ前記表示処理回路及び前記表示モジュールを前記ディスプレイハウジング内に固定するよう構成した、該ディスプレイハウジングと、
を備えた、膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項12】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項13】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示モジュールは、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項14】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記バレルは、前記モジュール化した構成素子アセンブリの前記他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項15】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記感知装置、前記表示処理回路、及び前記表示モジュールのうち2つ又はそれ以上は、前記モジュール化した構成素子アセンブリの他の部品とは独立して、前記感知装置の動作確認をするために、一緒に検査するよう構成した膨張シリンジ。
【請求項16】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路及び前記表示モジュールを、前記ハウジングフードと前記ハウジングベースとの間に位置決めできる構成とした膨張シリンジ。
【請求項17】
請求項16に記載の膨張シリンジにおいて、前記表示処理回路及び前記表示モジュールは、前記ハウジングフード及び前記ハウジングベースによって、前記膨張シリンジの前記他の部品に固定する構成とした膨張シリンジ。
【請求項18】
請求項17に記載の膨張シリンジにおいて、前記ハウジングフード及び前記ハウジングベースを前記膨張シリンジの他の部品に固定するとき、前記表示処理回路が前記感知装置に動作可能に接続される構成とした膨張シリンジ。
【請求項19】
請求項10に記載の膨張シリンジにおいて、前記膨張シリンジの他の部品に電力を供給するために用いる1つ又は複数の電池は、前記表示モジュール及び前記表示回路の一方又は双方にフレキシブルに接続し、前記電池が前記ハウジングフード及び前記ハウジングベース内で、前記表示モジュール及び前記表示回路の一方又は双方に対して適正に変位できるよう構成した、膨張シリンジ。
【請求項20】
膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリの組立て方法であって、
バレルを有するシリンジシステムを得るステップと、
前記シリンジシステムの無欠性を検査するステップと、
圧力感知装置からの信号を処理するよう構成した処理回路を得るステップと、
前記処理回路の動作を検査するステップと、
圧力感知装置から受信され、数値及び非数値の前記処理回路で処理される前記信号で伝達される情報を表示するよう構成した表示モジュールを得るステップと、
前記表示モジュールの動作を検査するステップと、
ハウジングベースをバレルにおける取付けポイントに固定するステップと、
前記処理回路を前記表示モジュールに結合するステップと、
互いに結合した前記処理回路及び前記表示モジュールを検査するステップと、
前記処理回路及び前記表示モジュールを前記ハウジングベースに配置するステップであって、前記処理回路が、前記バレル内の加圧を感知する前記圧力感知装置からの信号を受信するよう配置するステップと、
ハウジングフードを前記ハウジングベースに結合するステップであって、前記ハウジングフードは、前記処理回路及び前記表示モジュールを固定するよう構成するものとしたステップと、
完全に組立てた前記膨張シリンジの動作を検査するステップと、
を有する膨張シリンジのモジュール化した構成素子アセンブリの組立て方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、膨張シリンジにおける1つの部品の動作が不良である場合、膨張シリンジの他の部品を廃棄する必要なくして、その不良部品を廃棄し、新しい部品と交換しうる方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、さらに、特定の部品が適正動作していないことを検出するステップを有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、さらに、前記適正動作していない部品を廃棄するステップを有する方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、さらに、前記適正動作していない部品を、新しい部品と交換するステップを有する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、さらに、前記新しい部品が適正動作しているか否かを検査するステップを有する方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【公表番号】特表2012−511967(P2012−511967A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540970(P2011−540970)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068058
【国際公開番号】WO2010/075083
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500173402)メリット・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068058
【国際公開番号】WO2010/075083
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500173402)メリット・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
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