説明

自動チャネル決定方法と装置。

【課題】チャネル決定を集中管理する管理装置MEを市販のパーソナル・コンピュータで実現し、チャネル決定時間がアクセス・ポイントAPの数に依存しないようにすること。
【解決手段】管理装置MEは、アクセス・ポイントAP0,1,2周辺のアクセス・ポイントAP0〜4からの電波干渉量の測定を指示し、干渉量の取得を行なう。干渉量から周辺のアクセス・ポイントAP毎の平均信号強度を計算し、平均信号強度の総和が大きな対象のアクセス・ポイントAPの優先順位を高くする。優先順位の高い対象アクセス・ポイントAPから使用チャネルの決定を行うが、この時干渉量の再測定は行なわず、優先順位決定において計算した平均信号強度を再利用する。この再利用により、チャネル決定までの大幅な時間短縮が可能となる。この効果は、アクセス・ポイントAPの数が増えるほど顕著となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムのアクセス・ポイントで使用するチャネル割当てに関する自動チャネル決定方法と装置に関する。さらに具体的には、無線LANシステム内に点在する多くの無線基地局であるアクセス・ポイントで使用するチャネルを自動的、かつ、速やかに割当て決定することのできる安価なチャネル決定方法と装置を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
図19は、従来の無線基地局であるアクセス・ポイントAP(A)〜AP(E)と干渉が小さいチャネルの配置を示している。5つのアクセス・ポイントAP(A)〜AP(E)が存在し、4つの無線のチャネルc1〜4が使用可能であるとする。ここでアクセス・ポイントAP(E),AP(A),AP(B),AP(C),AP(D)の順にアクセス・ポイントAPが自身の使用チャネルcを選択する場合を考える。
【0003】
最初にアクセス・ポイントAP(E)はチャネルc1を選択する。すでにチャネルc1はアクセス・ポイントAP(E)により使用されているので、アクセス・ポイントAP(A)はチャネルc2を使用する。同様にアクセス・ポイントAP(B)はチャネルc3を、アクセス・ポイントAP(C)はチャネルc4を選択する。アクセス・ポイントAP(D)は4つのチャネルが既に使用されているが、通信環境を調査し、受信信号強度を調査してチャネルc2が最も遠くで使用されていることを知り、チャネルc2の使用を決定する。
【0004】
図20は、従来のアクセス・ポイントAP(A)〜AP(E)と干渉が大きいチャネルの配置を示している。アクセス・ポイントAP(A),(B),(C),(D),(E)の順にアクセス・ポイントAPが自身の使用チャネルcを選択する場合を考える。最初にアクセス・ポイントAP(A)はチャネルc1を選択する。すでにチャネルc1は使用されているので、アクセス・ポイントAP(B)はチャネルc2を使用する。
【0005】
同様に、アクセス・ポイントAP(C)はチャネルc3を、アクセス・ポイントAP(D)はチャネルc4を選択する。チャネルc1〜4はすでに隣りのアクセス・ポイントAP(A)〜AP(D)で使用されており、大きなチャネル干渉が発生する可能性がある。しかしながら、アクセス・ポイントAP(E)はチャネルc1,2,3,4の内では最も通信環境が良いチャネル、例えばチャネルc1を選択せざるを得ない。図19の場合は、同じチャネルc2を使用するアクセス・ポイントAP(A)とAP(D)間の距離が離れており、同じチャネルを使用しても互いの通信に対する影響が比較的少ない。
【0006】
このことから、複数のアクセス・ポイントで使用するチャネルを決定する場合、チャネルを決定する順番も重要であることがわかる。しかし、分散制御方式では各アクセス・ポイントが独自にチャネル決定を行うため、チャネル決定の順番は不定である。一方、集中制御方式では専用の管理装置を使用するため、管理装置が順番を決定することは可能であるが、高機能な製品が多いため高価である。
【0007】
従来の一般的なアクセス・ポイントでは、通信ネットワーク内に配置されたパーソナル・コンピュータを用いて、アクセス・ポイントの使用チャネルを手動で設定している場合がある。また、多くのアクセス・ポイントを1つ1つ手動で設定することは困難となり、自動設定する方法も存在する。自動設定する方式には分散制御方式と集中制御方式が存在する。分散制御方式では、アクセス・ポイント自身が周辺の通信環境を調査し、自身の使用するチャネルを決定する。また、集中制御方式では、通信ネットワーク上に集中管理装置を配置して、アクセス・ポイントから通信環境の情報を収集し、各アクセス・ポイントの使用するチャネルを割り当てている。
【0008】
そこで、高価な専用の集中管理装置に代えて、管理装置を安価な市販のパーソナル・コンピュータ等で実現する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法では最初にアクセス・ポイントが周辺のアクセス・ポイントから受ける電波の干渉量を測定し、干渉量情報に基づいてアクセス・ポイントの優先順位を決定している。そして優先順位の決定後に、アクセス・ポイント毎に再度干渉量の測定を行い干渉量情報を得て、アクセス・ポイントが使用するチャネルを決定する。
【0009】
すなわち、優先順位を決定するために干渉量を測定し、指定チャネル毎に再度干渉量を測定している(特許文献1の請求項1)。そのため、アクセス・ポイントの数が増加するとチャネル決定にかかる時間も増加してしまい、アクセス・ポイントの数の多い通信ネットワークの構成には適していない。
【特許文献1】特開2006-54849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アクセス・ポイントが使用する無線チャネルの決定に関わる分散制御方式では、各アクセス・ポイントが独自にチャネル決定を行うため、チャネル決定の順番は不定であり、通信ネットワーク全体において、最適のチャネル設定をすることはできない。一方、集中制御方式では専用の管理装置を使用するため、管理装置が最適のチャネル設定を決定することは可能であるが、高機能な製品が多いため高価である。
【0011】
集中管理装置を安価な市販のパーソナル・コンピュータ等で実現する方法(例えば、特許文献1)では、最初にアクセス・ポイントが周辺のアクセス・ポイントから受ける電波の干渉量を測定し、干渉量に基づいてアクセス・ポイントの優先順位を決定している。そして優先順位の決定後に、アクセス・ポイント毎に再度干渉量の測定を行いアクセス・ポイントが使用するチャネルを決定する。そのため、アクセス・ポイントの数が増加するとチャネル決定にかかる時間も増加してしまい、アクセス・ポイントの数の多い通信ネットワークの構成には適さないという解決されなければならない課題があった。
【0012】
本発明では、上記の課題を解決するために、チャネル割当を集中管理する管理装置を安価な市販のパーソナル・コンピュータで実現した場合でも、チャネル決定時間がアクセス・ポイント数に依存しないチャネル割当装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における基本動作手段は、
m1)干渉量取得手段
m2)優先順位決定手段
m3)使用チャネル決定手段
m4)チャネル通知手段
m5)アクセス・ポイント検索手段
m6)MEメモリ手段およびME制御手段
を有する使用チャネル決定の管理手段と、
a1)干渉量通知手段
a2)干渉量測定手段
a3)ビーコン制御手段
a4)チャネル取得手段
a5)チャネル制御手段
a6)IPアドレス通知手段,APメモリ手段およびAP制御手段
を有する複数の無線のアクセス・ポイント手段が、インターネット・プロトコル(IP)によるIPネットワークにより接続されている。
【0014】
手段1:
管理手段において、
干渉量取得手段は、アクセス・ポイント検索手段により検索した測定対象となるアクセス・ポイントに対して周辺アクセス・ポイントからの干渉量の測定を指示するため、干渉量測定要求メッセージを送信し、指定された時間の後に干渉量通知要求メッセージを送信して干渉量の取得を行なう。干渉量の測定は、周辺アクセス・ポイントが発射するビーコン(地理的位置表示信号)毎の受信ビーコン数と受信信号強度の総和を得ることにより実行される。
【0015】
優先順位決定手段は、測定対象のアクセス・ポイントから取得した干渉量から周辺のアクセス・ポイント毎の平均信号強度を計算し、対象のアクセス・ポイント毎に平均信号強度の総和を計算し、平均信号強度の総和が大きな対象のアクセス・ポイントの優先順位を高くする。平均信号強度の総和が大きな対象のアクセス・ポイントは、周辺からの干渉量が大きいことを意味し、チャネル決定の優先順位を高くして、干渉の影響を受け難いチャネルを割当てるためである。
【0016】
チャネル決定手段は、優先順位の高い対象アクセス・ポイントから使用チャネルの決定を行なうが、この時干渉量の再測定は行わず、優先順位決定手段において計算した平均信号強度を再利用する。この再利用により、チャネル決定までの大幅な時間短縮が可能となる。この効果は、従来例(特許文献1)に比較すると、アクセス・ポイントの数が増えるほど顕著となる。
【0017】
平均信号強度の再利用は以下のように行う。
対象アクセス・ポイントの使用チャネルを決定する場合、対象アクセス・ポイントよりも優先順位の高い周辺アクセス・ポイントは既に使用チャネルが決まっている。そこで、対象アクセス・ポイントにおいて、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルとは異なるチャネルで測定した優先順位の高い周辺アクセス・ポイントからの平均信号強度を、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用する。対象アクセス・ポイントにおいて、チャネル毎に平均信号強度の最大値を求め、この最大値が一番小さいチャネルをこの対象アクセス・ポイントの使用チャネルとして決定する。
【0018】
チャネル通知手段は対象アクセス・ポイントに対してチャネル変更を要求するため、使用チャネル及びビーコンの送信または停止指示を含むチャネル設定要求メッセージを送信する。以上の動作において、対象アクセス・ポイントの検索は、アクセス・ポイント検索手段において行われ、平均信号強度などの各種データは、MEメモリ手段に書き込み、または、読み出され、ME制御手段は、管理手段における上記の処理が手順通りに行なわれるように制御する。
【0019】
アクセス・ポイント手段において、
干渉量通知手段は管理手段からの干渉量測定要求メッセージを受信すると、AP制御手段に干渉量測定要求メッセージの受信を通知する。また、管理手段からの干渉量通知要求メッセージを受信すると、干渉量測定の後に、AP制御手段から干渉量情報を取得して干渉量通知応答に含めて管理手段に送信する。
【0020】
干渉量測定手段はAP制御手段から干渉量測定の開始を指示されると干渉量の測定を開始し、周辺のアクセス・ポイントが発射するビーコンを受信すると、ビーコンの送信元を表すMACアドレスと受信信号強度をAP制御手段に通知する。また、AP制御手段から干渉量の測定停止を指示されると干渉量の測定を停止する。
【0021】
ビーコン制御手段はAP制御手段からの指示に従いビーコンの送信または停止を制御する。
チャネル取得手段は管理手段からチャネル設定要求メッセージを受信すると、メッセージの受信をAP制御手段に通知する。
チャネル制御手段はAP制御手段からチャネルの変更を指示されると、指定されたチャネルに変更を行う。
IPアドレス通知手段は、管理手段からのIPアドレス通知要求を受けたときに、アクセス・ポイント手段のIPアドレスを管理手段に対して通知する。
APメモリ手段は干渉量測定データなどの各種データを記憶し、AP制御手段はアクセス・ポイント内の各部の制御を行う。
【0022】
手段2:
手段1の優先順位決定手段とチャネル決定手段に代えて以下の手段を使用することができる。
【0023】
測定した干渉量を管理装置内の優先順位決定手段で使用する場合に、優先順位決定手段は対象アクセス・ポイントから取得した干渉量から周辺のアクセス・ポイント毎の平均信号強度を計算し、平均信号強度から隣接チャネル干渉量(干渉量を測定したチャネル以外への影響)を計算する。対象アクセス・ポイント毎に隣接チャネル干渉量の総和を計算し、隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど対象アクセス・ポイントの優先順位を高くする。
【0024】
対象アクセス・ポイントの使用チャネルを決定する場合、対象アクセス・ポイントにおいて、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルとは異なるチャネルで測定した優先順位の高い周辺アクセス・ポイントからの平均信号強度を、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算する。対象アクセス・ポイントにおいて、チャネル毎に隣接チャネル干渉量の最大値を求め、最大値が一番小さいチャネルを対象アクセス・ポイントの使用チャネルとして決定する。
【0025】
手段3:
手段1の優先順位決定手段とチャネル決定手段に代えて、以下の手段を使用することができる。
【0026】
優先順位決定時の干渉量測定において、対象アクセス・ポイントが使用可能な全てのチャネルで干渉量を測定し、各チャネルで受信した周辺アクセス・ポイント毎の平均信号強度を計算し、平均信号強度から隣接チャネル干渉量(干渉量を測定したチャネル以外への影響)を計算する。対象アクセス・ポイント毎に隣接チャネル干渉量の総和を計算し、隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど優先順位を高くする。
【0027】
対象アクセス・ポイントの使用チャネルを決定する場合、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルとは異なるチャネルで測定した、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントからの平均信号強度を、優先順位の高い周辺アクセス・ポイントの使用チャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、各チャネルの周辺アクセス・ポイント毎の平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算する。対象アクセス・ポイントにおいて、チャネル毎に隣接チャネル干渉量の最大値を求め、最大値が一番小さいチャネルを対象アクセス・ポイントの使用チャネルとして決定する。
【発明の効果】
【0028】
本発明を用いれば、従来の分散制御方式よりも優れた結果を得ることのできる順番でチャネルの決定が可能となる。また、従来用いられた専用の集中管理端末が不要であるので、安価に実施可能である。また、ビーコン数と信号強度を用いることで、より詳しく通信環境を調査することが可能となり、より良いチャネル選択が可能となる(手段1)。
【0029】
また、干渉量の測定が優先順位決定時のみに行なわれ、チャネル決定時にはアクセス・ポイント毎に干渉量の測定を行わず、優先順位決定時に用いた干渉量情報をそのまま使用するため、チャネル決定までの時間が短縮でき、そのためにより多くのアクセス・ポイントを含むネットワーク・システムにも適用できる(手段1)。また、隣接チャネル干渉量を考慮することにより、より良いチャネル決定が可能になる(手段2)。さらに、アクセス・ポイントが使用可能な全てのチャネルで干渉量の測定を行うことも可能であるため、本発明を用いないアクセス・ポイントが何れかのチャネルを使用して動作していても検出可能となり、より良いチャネル決定が可能となる(手段3)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の1実施例でもある最良の形態を示している。ネットワーク・システムは管理装置ME、本発明を用いたアクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)、本発明を用いない従来のアクセス・ポイントAP(3), AP(4)から構成される。管理装置MEとアクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)及び従来のアクセス・ポイントAP(3)はIPネットワークIPNを用いて接続される。従来のアクセス・ポイントAP(4)はIPネットワークIPNに接続されていなくてもよい。
【0031】
管理装置MEはアクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)のそれぞれに対して、無線のチャネルを割当・決定する。従来のアクセス・ポイントAP(3)はIPネットワークIPNに接続されてはいるが、本発明による動作をせず、管理装置MEによるチャネル決定はされず、たとえば、従来の分散制御方式により、自己のチャネルを決定している。従来のアクセス・ポイントAP(4)はIPネットワークIPNに接続されておらず、管理装置MEによるチャネル決定はされない。
【0032】
チャネルを決定に先立って、各アクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)における周辺のアクセス・ポイントAPの使用する無線チャネルからの干渉量を測定する。たとえば、アクセス・ポイントAP(1)の干渉量を測定するときには、アクセス・ポイントAP(0), AP(2), AP(3)およびIPネットワークIPNに接続されてはいないアクセス・ポイントAP(4)からの干渉量も測定される。アクセス・ポイントAP(4)は、管理装置MEの管理下にはないが、管理下のアクセス・ポイントAP(0), AP(2), AP(3)の近隣にあり、電波干渉を受けてしまうおそれがあるからである。測定した干渉量から各アクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)の使用するチャネルが、管理装置MEによって決定される。
【0033】
使用チャネル決定までの管理装置MEおよび各アクセス・ポイントAP(0), AP(1), AP(2)の構成及び動作について、説明する。
【0034】
管理装置MEは、干渉量取得部、優先順位決定部、チャネル決定部およびチャネル通知部とを含んでいる。これら管理装置MEに含まれた主要な各部は、以下に述べるように動作する。
【0035】
干渉量取得部は、電波干渉測定対象となる対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))に対して周辺アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))からの干渉量の測定を指示するため、干渉量測定要求メッセージを送信し、所定時間の後に干渉量通知要求メッセージを送信して干渉量の測定結果である干渉量情報の取得を行う。
【0036】
優先順位決定部は、使用チャネルを決定する対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した干渉量情報を用いて周辺アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))毎に平均信号強度の総和を計算し、平均信号強度の総和が大きな対象アクセス・ポイントにおいて使用する使用チャネルを決定する際の優先順位を高くするように決定する。
【0037】
チャネル決定部は、計算した平均信号強度を再利用して優先順位の高い対象アクセス・ポイントから順に使用チャネルの決定をする。チャネル通知部は、対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))に対して使用チャネルの決定により決められたチャネルに設定変更を要求するため、チャネル設定要求メッセージを送信する。
【0038】
アクセス・ポイント(AP)は、
管理装置MEからの干渉量測定要求メッセージを受信し、その後に管理装置MEからの干渉量通知要求メッセージを受信すると、干渉量測定の後に、測定結果である干渉量情報を含む干渉量通知応答を管理装置MEに送信する干渉量通知部と、
干渉量測定要求メッセージを受信することにより干渉量測定の開始を指示されて干渉量の測定を開始し、周辺のアクセス・ポイントが発射するビーコンを受信して干渉量の測定をして干渉量情報を得るための干渉量測定部と、
干渉量測定の開始により、ビーコンの送信をし、所定の期間後に停止をするように制御するためのビーコン制御部と、
管理装置MEおけるチャネル設定要求メッセージを受信することにより、チャネル設定要求メッセージにより指定されたチャネルに変更するためのチャネル取得制御部とを含んでいる。
【実施例1】
【0039】
図2は、本願発明の管理装置MEの実施例を示した内部構成の回路構成図である。管理装置MEは、MEメモリ10、チャネル決定部11、優先順位決定部12、ME制御部13、アクセス・ポイント検索部14、干渉量取得部15、チャネル通知部16およびME有線通信部17を含んでいる。
【0040】
アクセス・ポイント検索部14は、チャネル決定動作に先立って、チャネル決定の対象となる対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))および、それらの周辺アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))を検索する。これにより、干渉量を測定し、チャネル決定の動作がスタートする。
【0041】
干渉量取得部15は、電波干渉測定対象となる対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))に対して周辺アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))からの干渉量の測定を指示するため、干渉量測定要求メッセージを送信し、所定時間の後に干渉量通知要求メッセージを送信して干渉量の測定結果である干渉量情報の取得を行う。
【0042】
優先順位決定部12は、対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した干渉量情報を用いて周辺アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))毎に平均信号強度の総和を計算し、平均信号強度の総和が大きな対象アクセス・ポイントにおいて使用する使用チャネルを決定する際の優先順位を高くするように決定する。
【0043】
チャネル決定部11は、優先順位決定部12において計算した平均信号強度を再利用して優先順位の高い対象アクセス・ポイントから順に使用チャネルの決定をする。この再利用により、チャネル決定までの大幅な時間短縮が可能となる。この効果は、従来例(特許文献1)に比較すると、アクセス・ポイントの数が増えるほど顕著となる。
【0044】
チャネル通知部16は、対象アクセス・ポイント(AP(0),AP(1),AP(2))に対して使用チャネルの決定により決められたチャネルに設定変更を要求するため、チャネル設定要求メッセージを送信する。MEメモリ10は、干渉量情報にもとづく多くのデータをME制御部13の制御により記憶し、または、読み出す。ME有線通信部17は、多くのアクセス・ポイントAPとIPネットワークIPNを介して接続されて、各種の干渉量情報などのデータや、各種のメッセージをやりとりしている。
【0045】
図3は、本願発明のアクセス・ポイントAPの実施例を示した内部構成の回路構成図である。アクセス・ポイントAPは、APメモリ21、AP制御部22、チャネル制御部24、ビーコン制御部25、干渉量測定部26、チャネル取得部27、IPアドレス通知部28、干渉量通知部29、無線通信部30およびAP有線通信部31を含んでいる。
【0046】
干渉量通知部29は、管理装置MEからの干渉量測定要求メッセージを受信し、その後に管理装置MEからの干渉量通知要求メッセージを受信すると、干渉量測定の後に、測定結果である干渉量情報を含む干渉量通知応答を管理装置MEに送信する。
【0047】
干渉量測定部26は、干渉量測定要求メッセージを受信することにより干渉量測定の開始を指示されて干渉量の測定を開始し、周辺のアクセス・ポイントAPが発射するビーコンを、無線通信部30を介して受信し、干渉量の測定をして干渉量情報を得ている。
【0048】
ビーコン制御部25は、干渉量測定の開始により、無線通信部30を介してビーコンの発射をし、所定の期間後に停止をするように制御している。チャネル取得部27は管理装置MEからのチャネル設定要求メッセージを、AP有線通信部31を介して受信して設定すべきチャネルを得る。チャネル制御部24は、設定すべきチャネルに変更するための制御をする。
【0049】
IPアドレス通知部28は、管理装置MEからのIPアドレス通知要求を受けたときに、アクセス・ポイントAPのIPアドレスを管理装置MEに対して通知する。APメモリ21は、測定した干渉量情報に関する多くのデータなどをAP制御部22の制御により記憶し、または、読み出す。AP有線通信部31は、管理装置MEとIPネットワークIPNを介して接続されて、各種の干渉量情報などのデータや各種のメッセージを、AP制御部22の制御により、やりとりしている。
【0050】
本発明における主要な動作は、
1)アクセス・ポイント検索
2)干渉量の測定
3)優先順位の決定
4)チャネル決定
5)チャネル通知
であるから、これらの動作について、詳細に説明する。
【0051】
1)アクセス・ポイント検索
図1を用いて、アクセス・ポイントAPを設置したときのチャネル割当について以下に説明する。説明では本発明を用いたアクセス・ポイントAPの設置台数をMで表し、本発明を用いないアクセス・ポイントの設置台数も含む全てのアクセス・ポイントAPの数をNで表す。図1の場合は、N=5, M=3である。
【0052】
管理装置MEはアクセス・ポイントAP(a)のチャネルを設定する為にアクセス・ポイントAP(a)とIPプロトコルを用いて通信を行なう。ここでa=0,1,・・・,M-1である。IPプロトコルを用いて通信を行う為に、管理装置MEはアクセス・ポイントAP(a)のIPアドレスを知る必要がある。そこで管理装置MEは、最初にIPネットワークIPN上に存在するアクセス・ポイントAP(a)のIPアドレスの取得を行なう。
【0053】
図4は、管理装置MEにおけるアクセス・ポイントAP(a)のIPアドレスを取得するためのシーケンス図である。ここでは、a=0,1,2である。アクセス・ポイントAP(a)のIPアドレスを取得するために、管理装置MEのME制御部13はアクセス・ポイント検索部14に対して、検索を指示する。指示を受けたアクセス・ポイント検索部14は、ME有線通信部17を介してIPネットワークIPNにより接続されたアクセス・ポイントAP(a)に対して、IPアドレス通知要求メッセージQAを送信する。
【0054】
IPアドレス通知要求メッセージQAの送信にはTCP(Transmission Control Protocolの略で、ネットワークのトランスポート層の通信プロトコル)またはUDP(User Datagram Protocolの略で、信頼性を保証しないトランスポート層の通信プロトコル)を用いた独自プロトコルまたはSNMP(Simple Network Management Protocolの略で、ネットワーク管理プロトコルの一種)を使用し、送信元IPアドレスには管理装置MEのIPアドレスa、送信先IPアドレスにブロードキャストIPアドレスを指定する。管理装置ME内のアクセス・ポイント検索部14は、IPアドレス通知要求メッセージQAの送信後から一定期間の間、IPアドレス通知応答メッセージA(a)の到着を待つ。
【0055】
管理端末MEから送信されたIPアドレス通知要求メッセージQAは、アクセス・ポイントAP(a)に到達する。最終的にIPアドレス通知要求メッセージQAはアクセス・ポイントAP(a)内のIPアドレス通知部28に送られる。
【0056】
アクセス・ポイントAP(a)内のIPアドレス通知部28はIPアドレス通知要求メッセージQAを受信すると、アクセス・ポイントAP(a)に設定されているIPアドレスをAP制御部22から取得し、取得したIPアドレスを含むIPアドレス通知応答メッセージA(a)を送信する。IPアドレス通知応答メッセージA(a)(a=0,1,2)の送信元IPアドレスにAP制御部22から取得したIPアドレスを、送信先IPアドレスにはIPアドレス通知要求メッセージの送信元IPアドレスに記載されていたIPアドレスを指定する。
【0057】
アクセス・ポイントAP(a)から送信されたIPアドレス通知応答メッセージA(a)は、管理装置MEに到達し、管理装置ME内のアクセス・ポイント検索部14に送られる。管理装置ME内のアクセス・ポイント検索部14は、IPアドレス通知応答メッセージA(a)を受信すると、IPアドレス通知応答メッセージA(a)内の送信元IPアドレスを取りだし、ME制御部13へ通知する。通知を受けたME制御部13はIPアドレスをMEメモリ10内に保持する。
【0058】
2)干渉量の測定
管理装置MEは、各アクセス・ポイントAP(a)が受ける電波の干渉量を用いてチャネルの決定および割当を行なうために、干渉量を取得する必要がある。そこで管理装置MEはIPアドレス通知応答メッセージA(a)を返信した各アクセス・ポイントAP(a)が受ける干渉量の取得を行う。
【0059】
図5,6,7のそれぞれは、アクセス・ポイントAP(a)が使用するチャネル間干渉量の1回目,2回目,・・・,13回目の測定をするための手順を示すシーケンス図である。各アクセス・ポイントAP(a)の干渉量を取得するために、管理装置MEのME制御部13は干渉量取得部15に対して、干渉量取得を指示する。指示を受けた干渉量取得部15は、各アクセス・ポイントAP(a)を同一チャネル番号Hで動作させるために、アクセス・ポイントAP(a)に設定すべきチャネル番号Hをチャネル通知部16に通知する。ただしHは1,2,・・・,Cの何れかとする。
【0060】
通知を受けたチャネル通知部16は、設定すべきチャネル番号Hを含むチャネル設定要求S(a,H)を送信する。さらに干渉量取得部15は、アクセス・ポイントAP(a)に干渉量の測定を開始させるため、干渉量測定要求メッセージM(a)の送信を行う。
【0061】
図5では測定1回目でチャネル番号H=1としており、管理端末MEから送信されたチャネル設定要求メッセージS(a,H)と干渉量測定要求メッセージM(a)はアクセス・ポイントAP(a)に到達する。チャネル設定要求メッセージS(a,H)は、アクセス・ポイントAP(a)内のチャネル取得部27に送られ、干渉量測定要求メッセージM(a)は、干渉量通知部29に送られている。
【0062】
アクセス・ポイントAP(a)内のチャネル取得部27はチャネル設定要求メッセージS(s,H)を受信すると、チャネル設定要求メッセージS(a,H)に含まれる設定すべきチャネル番号Hを取得し、AP制御部22に通知する。通知を受けたAP制御部22はチャネル制御部24に対してチャネル番号Hへの変更を指示する。指示を受けたチャネル制御部24は無線通信部30で使用するチャネルを変更する。
【0063】
アクセス・ポイントAP(a)の干渉量通知部29は、干渉量測定要求メッセージM(a)を受信すると、AP制御部22にメッセージの受信を通知する。通知を受けたAP制御部22はアクセス・ポイントAP(a)のAPメモリ21内の干渉量情報を消去する。
【0064】
図8はアクセス・ポイントAP(a)のAPメモリ21内の干渉量情報の例である。干渉量情報には周辺アクセス・ポイントのMACアドレスMACと、MACアドレス毎の受信したビーコン数num、受信したビーコンの信号強度の総和psが、メモリ番号nに対応して格納される。ここにMACは、Media Access Controlの略で、構内通信に必須のアクセス制御である。
【0065】
干渉量測定要求メッセージM(a)を受けると、AP制御部22はビーコン制御部25にビーコンの送信を指示し、干渉量測定部26に対して干渉量の測定を指示する。指示を受けたビーコン制御部25はビーコンを無線通信部30を介して発射する。干渉量測定部26は、周辺アクセス・ポイントAP(a)から発射されたビーコン・パケットを受信すると、ビーコン・パケットの送信元のアクセス・ポイントAP(a)の送信元MACアドレスと信号強度をAP制御部22に通知する。
【0066】
図8において、AP制御部22はAPメモリ21に同じMACアドレスが登録されていれば、APメモリ21内の干渉量情報であるMACアドレスに対応したビーコン数numに1を加算し、同時に信号強度の総和psにビーコンの信号強度を加算する。登録されていなければ、APメモリ21内にMACアドレスを登録し、MACアドレスに対応したビーコン数numを1に設定し、同時に信号強度の総和psにビーコンの信号強度を代入する。
【0067】
図5の干渉量測定の1回目において、一定時間経過後、管理装置MEの干渉量取得部15は干渉量通知要求メッセージR(a)を送信する。管理装置ME内の干渉量取得部15は干渉量通知要求メッセージR(a)(a=0,1,2)の送信後、干渉量通知応答メッセージT(a)の到着を待つ。管理端末MEから送信された干渉量通知要求メッセージR(a)は、アクセス・ポイントAP(a)に到達する。最終的に干渉量通知要求メッセージR(a)はアクセス・ポイントAP(a)内の干渉量通知部29に送られる。
【0068】
アクセス・ポイントAP(a)内の干渉量通知部29は干渉量通知要求メッセージR(a)を受信すると、メッセージの受信をAP制御部22に通知する。AP制御部22は干渉量測定部26に干渉量測定停止を指示し、ビーコン制御部25にビーコン送信停止を指示する。またAPメモリ21内の干渉量情報を干渉量通知部29に通知する。干渉量通知部29は、干渉量情報を含む干渉量通知応答メッセージT(a) (a=0,1,2)を管理装置MEに送信する。アクセス・ポイントAP(a)から送信された干渉量通知応答メッセージT(a)は、管理装置MEに到達し、干渉量取得部15に送られる。これにて、干渉量測定の1回目は終了する。
【0069】
図6の測定2回目が始まる。管理装置ME内の干渉量取得部15はME制御部13から、チャネル設定要求メッセージS(a,H)を受信すると、チャネル番号Hを測定1回目のH=1とは異なるチャネル番号、たとえばH=2に変更して再度干渉量の測定を要求する。2回目以降の干渉量測定ではビーコンの送信は停止する。干渉量取得部15は、アクセス・ポイントAP(a)で使用可能な全てのチャネル(H=1〜C、ここに図7の場合は、C=13)で干渉量情報の取得が完了すると、取得した干渉量情報をME制御部13に通知する。ME制御部13は通知された干渉量情報をMEメモリ10に記録する。
【0070】
図5,6,7の例では、最初の測定1回目には、たとえばチャネル番号H=1(図5)で測定を行い、チャネル番号Hを1ずつ増やしながら測定13回目には、たとえばチャネル番号H=13(図7)まで測定を行っている。ここで特徴的なのは、測定1回目においてのみ、ビーコンの発射は行われたが、測定2回目以降最終の測定13回目まで、ビーコンの発射は行われていないことである。測定1回目において取得した干渉量データは、その後も使用され、省略した干渉量測定時間の分だけ、チャネル決定までの時間が短縮される。
【0071】
図9は、管理装置ME内のMEメモリ10に格納されている干渉量情報例を示すメモリ構成図である。アクセス・ポイントAP(a)の番号a=0,1,・・・,M-1に対応する項目には、それぞれアクセス・ポイントAP(0), ・・・,AP(M-1)における干渉量の測定結果が格納されている。ビーコン発射アクセス・ポイントAP(m)の番号m=0,1・・・,M-1,・・・,N-1のうち、m=0〜M-1のアクセス・ポイントAP(a)は管理装置MEにより管理されているが、m=M〜N-1のビーコン発射アクセス・ポイントAP(m)は管理装置MEの管理下にはない。
【0072】
また、m=0〜M-1の範囲のビーコン信号強度和P(a,m,H)は、本発明を用いたアクセス・ポイントAP(a)がチャネルHで受信したアクセス・ポイントAP(0),・・・,AP(M-1)からのビーコンの受信電力の総和である。ビーコン受信数L(a,m,H)には、アクセス・ポイントAP(a)がチャネルHで受けたアクセス・ポイントAP(0),・・・,AP(M-1)からのビーコンの総数が格納されている。
【0073】
また、n=M〜N-1の範囲のビーコン信号強度和P(a,n,c)は、アクセス・ポイントAP(a)においてチャネルcで測定された本発明を用いないアクセス・ポイントAP(n)(図1のAP(3),AP(4))からのビーコンの受信電力の総和である。ビーコン受信数L(a,n,c)には、アクセス・ポイントAP(a)がチャネルcで受けたAP(n)からのビーコンの総数が格納されている。“*”はアクセス・ポイントAP(a)間の距離が離れており、ビーコンが受信されなかったこと、あるいは、アクセス・ポイントAP(a)自身が発射するビーコンは受信の対象ではないことを表す。
【0074】
3)優先順位の決定
干渉量の測定により干渉量情報の取得が完了すると、管理装置ME内のME制御部13はアクセス・ポイントAP(a)の優先順位の決定を優先順位決定部12に指示する。指示を受けた優先順位決定部12は、優先順位計算をしてアクセス・ポイントAP(a)の優先順位決定を行なう。
【0075】
図10,11,12は、それぞれ、アクセス・ポイントAP(0),AP(1),AP(2)のチャネル決定をするための優先順位を決定する場合の優先順位計算のステップSA1,SA2,SA3を表している。ここで、アクセス・ポイントAP(0),AP(1),AP(2)は、図1のアクセス・ポイントAP(0),AP(1),AP(2)を想定している。
【0076】
ステップSA1-1,SA2-1,SA3-1
管理装置ME内のME制御部13は、アクセス・ポイントAP(a)から干渉量情報として受け取り、格納していた干渉量測定結果であるビーコン信号強度和P(a,i,c)およびビーコン受信数 L(a,i,c)をMEメモリ10から読み込み、ビーコンを発射したアクセス・ポイントAP(i)の識別番号i=0,1,・・・,N-1(図1では、i=0〜4であるから、N=5)について平均信号強度PA(a,i,c)を、計算する。
【0077】
ここで、a=0(図10),a=1(図11),a=2(図12)は、ビーコンを受信したアクセス・ポイントAP(0),AP(1),AP(2)の識別番号を表している。c(1〜13)は、使用チャネルを表している。a,i,cのそれぞれについての平均信号強度PA(a,i,c)は、次の式(1)により計算される。
【数1】

(1)
ただし、

【0078】
ステップSA1-2,SA2-2,SA3-2
たとえば、チャネル番号c1で行った通信は、チャネル番号c1とは異なる他のチャネル番号c2の通信にも影響を与える場合がある。これはチャネル番号c1とc2の無線周波数が隣接している場合、すなわち、チャネル間隔|c1-c2|が小さい場合に発生しやすく、隣接チャネル干渉と呼ばれる。この隣接チャネル干渉の影響を考慮するため、使用しているチャネル番号cに対する隣接チャネル番号cbからの隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)を計算する。
【0079】
図13は、図10,11および12のステップSA1-2,SA2-2およびSA2-3における隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)を計算する場合に用いるチャネル間距離dと、あらかじめ定めた計算用の減衰量W(d)の関係を示す減衰量図である。ここでW(d)はチャネル間隔d=|c-cb|とアクセス・ポイントAP(a)の無線通信部30で使用するフィルタの特性等に依存する減衰量である。たとえばチャネル間距離d=0の場合、減衰量W(d)は0とする。またチャネル間距離dが離れるに従い減衰量W(d)は大きく(w1<w2<w3)なり、あるチャネル間距離d以上は減衰量を無限大とする。
【0080】
i;ビーコンを発射したアクセス・ポイントAP(i)の識別番号、(i=0,1,・・・,N-1)
a;ビーコンを受信したアクセス・ポイントAP(a)の識別番号、(a=0,1,・・・,M-1)
cb;受信チャネルcに隣接するチャネル番号、(cb=1,2,・・・,C)
とすると、式(1)の平均信号強度PA(a,i,c)と計算用の減衰量W(d)=W(|c-cb|)をデシベル表示する。
【0081】
そのとき、所定の減衰量W(|c-cb|)よりも平均信号強度PA(a,i,c)が大きくはない場合、すなわち、PA(a,i,c)≦W(|c-cb|)においては、隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)=0である。PA(a,i,c)>W(|c-cb|)においては、隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)は、優先順位決定における平均信号強度PA(a,i,c)と減推量W(|c-cb|)の差で表される。
【0082】
したがって、ステップSA1-2,SA2-2,SA3-2の優先順位決定における隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)は、次の式(2)で計算される。
【数2】

(2) ただし、

【0083】
ステップSA1-3,SA2-3,SA3-3
i;ビーコンを発射したアクセス・ポイントAP(i)の識別番号、(i=0,1,・・・,N-1)
a;ビーコンを受信したアクセス・ポイントAP(a)の識別番号、(a=0,1,・・・,M-1)
cb;受信チャネルcに隣接するチャネル番号、(cb=1,2,・・・,C)
とすると、式(2)の隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)を用いて、
隣接するチャネル番号cb毎に隣接チャネル干渉量の総和PC(a,cb)を次の式(3)により計算する。
【0084】
【数3】

(3)
ただし、

ここでΣは、i=0,1,・・・,N-1の累和を表し、cb=1,2,・・・,C毎のPC(a,cb)を得ている。
【0085】
ステップSA1-4,SA2-4,SA3-4
a;ビーコンを受信したアクセス・ポイントAP(a)の識別番号、(a=0,1,・・・,M-1)
cb;受信チャネルcに隣接するチャネル番号、(cb=1,2,・・・,C)
とあらわす。このステップSA1-4,SA2-4,SA3-4では、使用可能なチャネルc(=1〜13)の中から候補を絞る作業をしている。ここで、チャネル1,5,9を候補として絞り込むための候補絞込み係数X(cb)を、cb=1,5,9のときには、X(cb)=1 であり、cbが1,5,9以外の時には、X(cb)=0 と設定する。
【0086】
特定のチャネル(c=1,5,9)の隣接チャネル(cb=1,5,9)においてのみ隣接チャネル干渉量の総和PC(a,cb)を有効にして優先順位計算を進めるするために、特定チャネルの隣接チャネル(cb=1,5,9)における隣接チャネル干渉量の総和PD(a,cb)を定義すると、特定チャネルにおける隣接チャネル干渉量の総和PD(a,cb)は、次の式(4)およびX(cb)を表す式(5)で示すことができる。
【0087】
【数4】

(4)
【数5】

(5)
【0088】
図10,11および12のステップSA1-4,SA2-4,SA3-4の隣接チャネル干渉量の総和PD(a,cb)は、特定のチャネル(c=1,5,9)の隣接チャネル(cb=1,5,9)においてのみ有効となるから、特定のチャネル(c=1,5,9)では、ステップSA1-4,SA2-4,SA3-4のPD(a,cb)はステップSA1-3,SA2-3,SA3-3のPC(a,cb)に等しいものとなる。
【0089】
ステップSA1-5,SA2-5,SA3-5
特定チャネルにおける隣接チャネル干渉量の総和PD(a,cb)からアクセス・ポイントAP(a)が受ける、PDから得た隣接チャネル干渉量の総和PE(a)を次の式(6)により計算する。
【数6】

(6)
ここでΣは、cb=1,・・・,C(図10,11,12では、cb=1,5,9)におけるPD(a,cb)の累和を表している。
【0090】
図10,11および12のステップSA1-5,SA2-5,SA3-5は、それぞれ、アクセス・ポイントAP(0),(1)および(2)の隣接チャネル干渉量の総和PE(0) ,(1)および(2)の計算結果を示している。
【0091】
図10におけるアクセス・ポイントAP(0)の動作を用いて、以上の説明を要約する。ステップSA1-1で隣接するアクセス・ポイントAP(1)からの受信チャネル1による平均信号強度PA(0,1,1)と、アクセス・ポイントAP(3)からの受信チャネル7による平均信号強度PA(0,3,7)が計算される。
【0092】
ステップSA1-2において、隣接するアクセス・ポイントAP(i)(ここに、i=1)から、チャネルc=1,2,3により発射するビーコン、および、隣接するアクセス・ポイントAP(i)(ここに、i=3)から、チャネルc=5〜9により発射するビーコンを受信することにより、隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)が計算される。
【0093】
ステップSA1-3において、隣接チャネル1〜3,5〜9毎に隣接チャネル干渉量PB(a,i,cb)が加算され、隣接チャネル干渉量の総和PC(a,cb)が計算される。ステップSA1-4により、隣接チャネル1,5,9の隣接チャネル干渉量の総和PD(0,1), PD(0,5), PD(0,9)が残される。最後に、隣接チャネル1,5,9の隣接チャネル干渉量の総和PD(0,1), PD(0,5), PD(0,9)が加算され、PDから得た隣接チャネル1,5,9の隣接チャネル干渉量の総和PE(0)を得ることとなる。
【0094】
図11および12は、それぞれアクセス・ポイントAP(1)およびAP(2)の隣接チャネル干渉量の総和PE(1)およびPE(2)を得るための計算ステップSA2およびSA3の例であり、図10のアクセス・ポイントAP(0)のステップSA1の場合と同様に計算される。
【0095】
a=1,2,・・・,M-1である全てのアクセス・ポイントAP(a)の隣接チャネル干渉量の総和PE(a)を求めた後、PE(a)の大きいアクセス・ポイントAP(a)の優先順位を高くする。アクセス・ポイントAP(a)の優先順位pri(a)を、0≦pri(a)<Mで表し、優先順位pri(a)=0を最優先とする。以降の説明はPE(1)>PE(2)>PE(0)、すなわち、優先順位pri(a)の最も高いpri(1)=0、中間のpri(2)=1、最も低いpri(0)=2として優先順位決定部12が決定し、この決定内容は、MEメモリ10に格納される。図10,11および12のステップSA1-5,SA2-5,SA3-5に示した隣接チャネル干渉量の総和PE(a)から、優先順位を得る場合を例として説明する。
【0096】
図14には、管理装置MEのMEメモリ10に格納された、各アクセス・ポイントAP(a)の優先順位pri(a)が例示されている。ここで、隣接チャネル干渉量の総和PE(1)が最も大きいアクセス・ポイントAP(1)は、隣接チャネル干渉量が最も大きいから、最優先で隣接チャネル干渉量の少ないチャネルを割当るように、決定しなければならない。すなわち、pri(1)=0となっている。
【0097】
隣接チャネル干渉量の総和PE(0)が最も小さいアクセス・ポイントAP(0)は、隣接チャネル干渉量が最も小さいから、最後にチャネルを割当決定すればよい。すなわち、pri(0)=2となっている。隣接チャネル干渉量の総和PE(2)が中間のアクセス・ポイントAP(2)は、隣接チャネル干渉量も中間だから、中間の優先度で隣接チャネル干渉量の中間のチャネルを割当るように、決定しなければならない。すなわち、pri(2)=1となっている。
【0098】
4)チャネル決定
アクセス・ポイントAP(a)の優先順位pri(a)が決まると、管理装置ME内のME制御部13は、アクセス・ポイントAP(a)の使用チャネルcの決定をチャネル決定部11に指示する。指示を受けたチャネル決定部11はアクセス・ポイントAP(a)のチャネル決定を行なう。チャネル決定では最初に優先順位pri(1)=0である最優先のアクセス・ポイントAP(1)から、チャネルを決定する。
【0099】
最優先のアクセス・ポイントAP(1)の使用チャネルが決まると優先順位が次に低いアクセス・ポイントAP(2)についても同様にチャネルを決定する。その次に、優先順位が最も低いアクセス・ポイントAP(0)についても同様にチャネルを決定する。全てのアクセス・ポイントAP(a)において使用チャネルが決まると、チャネル決定部11はその結果をME制御部13に通知する。
【0100】
図15,16および17には、それぞれアクセス・ポイントAP(1),AP(2)およびAP(0)のチャネル決定をする場合の、チャネル決定ステップSB1-1〜5,SB2-1〜5,SB3-1〜5が示されている。アクセス・ポイントAP(1)は最高優先順位、アクセス・ポイントAP(2)の優先順位は中間、アクセス・ポイントAP(0)の優先順位は最下位であると仮定(図14)している。
【0101】
ステップSB1-1,SB2-1,SB3-1
チャネルを決定するアクセス・ポイントAP(2)よりも優先順位の高いアクセス・ポイントAP(1)は既に使用チャネルが決まっており、また優先順位の低いアクセス・ポイントAP(0)はまだ使用チャネルが割り当てられていないため、以下のとおりチャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,m,h(m))を求める。
【0102】
ここでaは、ビーコンを受信しチャネル決定の対象となるアクセス・ポイントAP(a)の識別番号、h(m)はアクセス・ポイントAP(a)に隣接するアクセス・ポイントAP(m)に割り当てられた割当チャネル番号を表し、まだチャネル番号が割り当てられていない場合は仮にHとする。mは、隣接するアクセス・ポイントAP(m)の識別番号であり、m=0,1,・・・,M-1である。
【0103】
優先順位pri(a)がpri(m)よりも大きくはない、pri(a)≦pri(m)、すなわち、アクセス・ポイントAP(a)の優先順位がアクセス・ポイントAP(m)の優先順位よりも高い場合は、チャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,m,h(m))は、式(1)により計算された平均信号強度PA(a,i,c)のi=mとし、c=Hとして、
PF(a,m,h(m))=PA(a,m,H)
とする。
【0104】
優先順位pri(a)がpri(m)よりも大きい、pri(a)>pri(m)、すなわち、アクセス・ポイントAP(a)の優先順位がアクセス・ポイントAP(m)の優先順位よりも低い場合は、電波干渉量が小さく、チャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,m,h(m))は、
PF(a,m,h(m))=0
としても差し支えない。
【0105】
すると、チャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,m,h(m))は、次の式(7)で示される。
【数7】

(7)
ただし、

【0106】
さらに、本発明を用いていないアクセス・ポイントAP(M),・・・,AP(N-1)は、図1の従来のアクセス・ポイントAP(3),AP(4)であり、すでに干渉量測定結果であるビーコン信号強度和P(a,n,c)が計測されMEメモリ10に格納されているチャネル番号cにおいて動作しているため、以下の通りアクセス・ポイントAP(M),・・・,AP(N-1)からの干渉量測定結果であるビーコン信号強度和P(a,n,c)をMEメモリ10から読み込み、干渉量測定結果からチャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,n,c)を計算する。
【0107】
ここで、式(1)の右辺、P(a,i,c)/L(a,i,c) において、i=n=M,・・・,N-1とおいて、チャネル決定における各チャネルの平均信号強度PF(a,n,c)は、次の式(8)により計算される。
【数8】

(8)
ただし、

【0108】
ステップSB1-2,SB2-2,SB3-2
式(2)で示した、優先順位決定部12での動作と同様にチャネル決定における隣接チャネル干渉量PG(a,i,cb)を式(9)により計算する。ここで、cbはcの隣接チャネルであるから、cb=1〜13であり、iは、優先順位決定時の式(1)のビーコン発射アクセス・ポイントAP(i)の識別番号である。
【数9】

(9)
ただし、

【0109】
ステップSB1-3,SB2-3,SB3-3
チャネル毎に隣接チャネル干渉量PG(a,i,cb)の最大値を選択し、PH(a,cb)とする。また、チャネル毎に干渉を与えるアクセス・ポイントPA(a)の数Yを計算する。
【0110】
ステップSB1-4,SB2-4,SB3-4
優先順位決定部12におけるステップSA1-4,SA2-4,SA3-4の動作と同じく、チャネル決定部11においても動作して、式(4)および式(5)の特定チャネルにおける隣接チャネル干渉量の総和PC(a,cb)およびX(cb)を用いて、使用チャネル候補判定値PI(a,cb)を得る。式(4)および式(5)の特定のチャネルに干渉を与えるアクセス・ポイントPA(a)の数Yを計算する。
【0111】
このチャネル決定におけるステップSB1-4,SB2-4,SB3-4では、優先順位計算のステップSA1-4,SA2-4,SA3-4と同じ動作をするから、ステップSA1-4,SA2-4,SA3-4において得たMEメモリ10に格納されているデータ、すなわち、PC(a,cb)およびX(cb)を再利用することができる。かくして、使用チャネル候補判定値PI(a,cb)を式(10)により得る。
【数10】

(10)
【0112】
ステップSB1-5,SB2-5,SB3-5
式(10)において、cb=1,2,・・・Cの内、使用チャネル候補判定値PI(a,cb)が最小となるcbを使用チャネルとして決定し、割当チャネル番号h(a)=cbとしてMEメモリ部10に保持する。また使用チャネル候補判定値PI(a,cb)が最小となるcbが複数ある場合にはアクセス・ポイント数Yが少ないチャネルcbを選択する。ステップSB1-5,SB2-5,SB3-5のそれぞれにおいて、割当チャネル番号h(1)=1,h(2)=9,h(0)=13を決定している。
【0113】
5)チャネル通知
アクセス・ポイントAP(a)の使用する割当チャネル番号h(a)が決定すると、管理装置MEのME制御部13はチャネル通知部16に対して、アクセス・ポイントAP(a)への割当チャネル番号h(a)の通知を指示する。指示を受けたチャネル通知部16は割当チャネル番号h(a)を含むチャネル設定要求メッセージS(a,h(a))を送信する。
【0114】
図18は、チャネル決定のシーケンスを示している。管理端末MEから送信されたチャネル設定要求メッセージS(a,h(a))(a=0,1,2)は、アクセス・ポイントAP(a)に到達し、アクセス・ポイントAP(a)内のチャネル取得部27に送られる。アクセス・ポイントAP(a)内のチャネル取得部27は、チャネル設定要求メッセージS(a,h(a))を受信すると、AP制御部22に、受信したチャネル設定要求メッセージS(a,h(a))により指示されている使用チャネル番号h(a)を通知する。AP制御部22はチャネル制御部24に通知し、チャネル制御部24は通知を受けた使用チャネル番号h(a)に変更する。アクセス・ポイントAP(a)は、この使用チャネル番号h(a)を用いて、無線通信を続けると同時にビーコンを所定の期間発射する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本願発明の一実施形態を示したネットワーク構成図である。(実施例1)
【図2】図1の重要な構成要素である管理装置の内部構成を示す回路構成図である。
【図3】図1の重要な構成要素であるアクセス・ポイントの内部構成を示す回路構成図である。
【図4】図1の管理装置がアクセス・ポイントのIPアドレスを取得するためのシーケンス図である。
【図5】アクセス・ポイントが使用するチャネル間干渉量の1回目の測定をするための手順を示すシーケンス図である。
【図6】アクセス・ポイントが使用するチャネル間干渉量の2回目の測定をするための手順を示すシーケンス図である。
【図7】アクセス・ポイントが使用するチャネル間干渉量の13回目の測定をするための手順を示すシーケンス図である。
【図8】アクセス・ポイント内に格納されている干渉量情報のメモリ構成図である。
【図9】管理装置内に格納されている干渉量情報のメモリ構成図である。
【図10】アクセス・ポイントAP(0)のチャネル決定優先順位を決定する場合の優先順位計算ステップ図である。
【図11】アクセス・ポイントAP(1)のチャネル決定優先順位を決定する場合の優先順位計算ステップ図である。
【図12】アクセス・ポイントAP(2)のチャネル決定優先順位を決定する場合の優先順位計算ステップ図である。
【図13】隣接チャネル干渉量を計算する場合に用いるチャネル間距離と減衰量の関係を示す減衰量図である。
【図14】アクセス・ポイントの隣接チャネル干渉量からチャネル決定の優先順位を決定した例を示す優先順位図である。
【図15】アクセス・ポイントAP(1)のチャネル決定をする場合のチャネル決定ステップ図である。
【図16】アクセス・ポイントAP(2)のチャネル決定をする場合のチャネル決定ステップ図である。
【図17】アクセス・ポイントAP(0)のチャネル決定をする場合のチャネル決定ステップ図である。
【図18】管理装置がアクセス・ポイントのチャネル設定をするためのシーケンス図である。
【図19】従来のアクセス・ポイントAP(A)〜AP(E)と干渉が小さいチャネルの配置を示しているチャネル配置図である。
【図20】従来のアクセス・ポイントAP(A)〜AP(E)と干渉が大きいチャネルの配置を示しているチャネル配置図である。
【符号の説明】
【0116】
10 MEメモリ
11 チャネル決定部
12 優先順位決定部
13 ME制御部
14 アクセス・ポイント検索部
15 干渉量取得部
16 チャネル通知部
17 ME有線通信部
21 APメモリ
22 AP制御部
24 チャネル制御部
25 ビーコン制御部
26 干渉量測定部
27 チャネル取得部
28 IPアドレス通知部
29 干渉量通知部
30 無線通信部
31 AP有線通信部
A IPアドレス通知応答
a 受信AP番号
AP アクセス・ポイント
B ビーコン信号強度和
c チャネル番号
cb cに隣接するチャネル番号
d チャネル間距離
h 割当チャネル番号
IPN IPネットワーク
L ビーコン受信数
M 干渉量測定要求
m 被計算(測定)AP番号
MAC MACアドレス
ME 管理装置
num ビーコン数
P ビーコン信号強度和
PA 優先順位決定における平均信号強度
PB 優先順位決定における隣接チャネル干渉量
PC 隣接チャネル干渉量の総和
PD 特定チャネルにおける隣接チャネル干渉量の総和
PE PDから得た隣接チャネル干渉量の総和
PF チャネル決定における各チャネルの平均信号強度
PG チャネル決定における隣接チャネル干渉量
PH PGの最大値
PI 使用チャネル候補判定値
pri 優先順位
ps ビーコン信号強度の総和
R 干渉量通知要求
S チャネル設定要求
T 干渉量通知応答
W 減衰量
w 減衰量の値
Y アクセス・ポイント数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット・プロトコルによるIPネットワーク(IPN)を介して複数の無線のアクセス・ポイント処理(AP)において使用するチャネルを決定する管理処理(ME)がなされる場合に、
前記管理処理(ME)において、
電波干渉測定対象となる対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))に対して周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))からのビーコンによる干渉量の測定を指示するため、干渉量測定要求メッセージを送信し、所定時間の後に干渉量通知要求メッセージを送信して前記干渉量の測定結果である干渉量情報の取得を行うための干渉量取得処理(15)をし、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した前記干渉量情報を用いて前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))毎に前記平均信号強度の総和を計算し、前記平均信号強度の総和が大きな対象アクセス・ポイント処理において使用する使用チャネルを決定する際の優先順位を高くするように決定するための優先順位決定処理(12)をし、
前記計算した平均信号強度を再利用して優先順位の高い対象アクセス・ポイント処理から順に使用チャネルの決定をするチャネル決定処理(11)をし、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))に対して前記使用チャネルの決定により決められたチャネルに設定変更を要求するため、チャネル設定要求メッセージを送信するチャネル通知処理(16)をし、
前記アクセス・ポイント処理(AP)においては、
前記管理処理(ME)からの干渉量測定要求メッセージを受信し、その後に前記管理処理(ME)からの干渉量通知要求メッセージを受信すると、干渉量測定の後に、測定結果である前記干渉量情報を含む干渉量通知応答を前記管理処理(ME)に送信する干渉量通知処理(29)をし、
前記干渉量測定要求メッセージを受信することにより干渉量測定の開始を指示されて干渉量の測定を開始し、前記周辺アクセス・ポイント処理において発射するビーコンを受信して干渉量の測定をして前記干渉量情報を得るための干渉量測定処理(26)をし、
前記干渉量測定の開始により、ビーコンの送信をし、所定の期間後に停止をするように制御するためのビーコン制御処理(25)をし、
前記管理処理(ME)におけるチャネル設定要求メッセージを受信することにより、前記チャネル設定要求メッセージにより指定されたチャネルに変更するためのチャネル取得変更処理(27,24)をする
自動チャネル決定方法。
【請求項2】
前記チャネル決定処理(11)において、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))において、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用中のチャネルとは異なるチャネルで測定した優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における平均信号強度を、優先順位の高い周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用中のチャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))において、チャネル毎に平均信号強度の最大値を求め、この最大値が一番小さいチャネルをこの対象アクセス・ポイント処理の使用チャネルとして決定する
請求項1の自動チャネル決定方法。
【請求項3】
前記優先順位決定処理(12)において、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した前記干渉量情報を用いて、前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))
毎の平均信号強度を計算し、計算した平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))毎に前記隣接チャネル干渉量の総和を計算し、隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))において使用する前記使用チャネルを決定する際の優先順位を高くする、
請求項1の自動チャネル決定方法。
【請求項4】
前記優先順位決定処理(12)において、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))において使用可能な全てのチャネルで干渉量を測定し、各チャネルで受信した前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、この平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))毎に隣接チャネル干渉量の総和を計算し、この隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど前記使用チャネルを決定する際の優先順位を高くする、
請求項1の自動チャネル決定方法。
【請求項5】
前記優先順位決定処理(12)において、
優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用チャネルとは異なるチャネルで測定した、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))から得た平均信号強度を、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用チャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、
前記優先順位の高い周辺アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の各使用チャネルの平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、
前記対象アクセス・ポイント処理(AP(0),AP(1),AP(2))において、使用可能な全チャネル毎に隣接チャネル干渉量の最大値を求め、
この隣接チャネル干渉量の最大値が一番小さいチャネルを対象アクセス・ポイントの使用チャネルとして決定する、
請求項1の自動チャネル決定方法。
【請求項6】
使用チャネルを決定する管理手段(ME)と複数の無線のアクセス・ポイント手段(AP)がインターネット・プロトコルによるIPネットワーク(IPN)により接続され、
前記管理手段(ME)が、
電波干渉測定対象となる対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))に対して周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))からのビーコンによる干渉量の測定を指示するため、干渉量測定要求メッセージを送信し、所定時間の後に干渉量通知要求メッセージを送信して前記干渉量の測定結果である干渉量情報の取得を行うための干渉量取得手段(15)と、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した前記干渉量情報を用いて前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))毎に前記平均信号強度の総和を計算し、前記平均信号強度の総和が大きな対象アクセス・ポイント手段において使用する使用チャネルを決定する際の優先順位を高くするように決定するための優先順位決定手段(12)と、
前記計算した平均信号強度を再利用して優先順位の高い対象アクセス・ポイント手段から順に使用チャネルの決定をするチャネル決定手段(11)と、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))に対して前記使用チャネルの決定により決められたチャネルに設定変更を要求するため、チャネル設定要求メッセージを送信するチャネル通知手段(16)とを含み、
前記アクセス・ポイント手段(AP)が、
前記管理手段(ME)からの干渉量測定要求メッセージを受信し、その後に前記管理手段(ME)からの干渉量通知要求メッセージを受信すると、干渉量測定の後に、測定結果である前記干渉量情報を含む干渉量通知応答を前記管理手段(ME)に送信する干渉量通知手段(29)と、
前記干渉量測定要求メッセージを受信することにより干渉量測定の開始を指示されて干渉量の測定を開始し、前記周辺アクセス・ポイント手段が発射するビーコンを受信して干渉量の測定をして前記干渉量情報を得るための干渉量測定手段(26)と、
前記干渉量測定の開始により、ビーコンの送信をし、所定の期間後に停止をするように制御するためのビーコン制御手段(25)と、
前記管理手段(ME)におけるチャネル設定要求メッセージを受信することにより、前記チャネル設定要求メッセージにより指定されたチャネルに変更するためのチャネル取得変更手段(27,24)とを含む、
自動チャネル決定装置。
【請求項7】
前記チャネル決定手段(11)が、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))において、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))の使用中のチャネルとは異なるチャネルで測定した優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における平均信号強度を、優先順位の高い周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))の使用中のチャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))において、チャネル毎に平均信号強度の最大値を求め、この最大値が一番小さいチャネルをこの対象アクセス・ポイント手段の使用チャネルとして決定する、
請求項6の自動チャネル決定装置。
【請求項8】
前記優先順位決定手段(12)が、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))から取得した前記干渉量情報を用いて、前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))
毎の平均信号強度を計算し、計算した平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))毎に前記隣接チャネル干渉量の総和を計算し、隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))において使用する前記使用チャネルを決定する際の優先順位を高くするように動作する、
請求項6の自動チャネル決定装置。
【請求項9】
前記優先順位決定手段(12)が、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))において使用可能な全てのチャネルで干渉量を測定し、各チャネルで受信した前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の平均信号強度を計算し、この平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))毎に隣接チャネル干渉量の総和を計算し、この隣接チャネル干渉量の総和の大きいものほど前記使用チャネルを決定する際の優先順位を高くする、
請求項6の自動チャネル決定装置。
【請求項10】
前記優先順位決定手段(12)が、
優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用チャネルとは異なるチャネルで測定した、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))から得た平均信号強度を、優先順位の高い前記周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))における使用チャネルで受信したビーコンの平均信号強度として再利用し、
前記優先順位の高い周辺アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2),AP(3),AP(4))毎の各使用チャネルの平均信号強度から隣接チャネル干渉量を計算し、
前記対象アクセス・ポイント手段(AP(0),AP(1),AP(2))において、使用可能な全チャネル毎に隣接チャネル干渉量の最大値を求め、
この隣接チャネル干渉量の最大値が一番小さいチャネルを対象アクセス・ポイントの使用チャネルとして決定するように動作する、
請求項6の自動チャネル決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−67121(P2008−67121A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243564(P2006−243564)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】