説明

自動取引装置、及びフレーム着脱装置

【課題】着脱フレームを装置筐体に対して装着させる時の作業効率を向上できる自動取引装置、及びフレーム着脱装置を提供する。
【解決手段】装置筐体と、前記装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームと、を備える自動取引装置であって、前記着脱フレームは、L字状の第1引掛け爪及び第2引掛け爪を有し、前記装置筐体は、前記第1引掛け爪が挿入されて係止される第1係止穴部と、前記第2引掛け爪が挿入されて係止される第2係止穴部と、を有し、前記第1係止穴部は、前記第1引掛け爪が係止される係止部と、前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第1引掛け爪を呼び込む呼込み部と、前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第1引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、を有することを特徴とする、自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、及びフレーム着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置されている。このような自動取引装置は、顧客との間で硬貨、紙幣、通帳等を用いた取引処理を行う。
【0003】
上記の自動取引装置は、取引処理を行うユニットを収納する装置筐体と、装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームとを有し、例えばメンテンナンス等の際に、着脱フレームの着脱が行われる。装着される着脱フレームは、装置筐体に対して位置決めして固定される。そして、着脱フレームの装置筐体に固定する手法として、例えば特許文献1に記載の固定装置がある。
【0004】
特許文献1の固定装置では、図11に示すように、前板710に固定引掛けリブ712を設け、基板720に前板固定リブ穴722を設け、前板取り付け時に前板固定引掛けリブ712を前板固定リブ穴722にひっかけて上下前後左右の位置決めをしてから、ビスなどで固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−201157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の構成では、前板710の上下前後左右を位置決めするために、固定引掛けリブ712と前板固定リブ穴722を同一の大きさ・幅にする必要がある。このため、固定引掛けリブ712を前板リブ穴722にはめ込む際にピンポイントではめ込む必要があり、前板710の固定作業が煩わしい問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、着脱フレームを装置筐体に対して装着させる時の作業効率を向上できる自動取引装置、及びフレーム着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、装置筐体と、前記装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームと、を備える自動取引装置であって、前記着脱フレームは、L字状の第1引掛け爪及び第2引掛け爪を有し、前記装置筐体は、前記第1引掛け爪が挿入されて係止される第1係止穴部と、前記第2引掛け爪が挿入されて係止される第2係止穴部と、を有し、前記第1係止穴部は、前記第1引掛け爪が係止される係止部と、前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第1引掛け爪を呼び込む呼込み部と、前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第1引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、を有することを特徴とする、自動取引装置が提供される。
【0009】
かかる自動取引装置によれば、着脱フレームが装置筐体に装着される際に、呼込み部によって第1係止爪が挿入されやすくなる。また、挿入された第1係止爪は、ガイド部によって係止部へ向かってガイドされ、係止部に係止される。また、第1引掛け爪がガイドされる際に着脱フレームの装置筐体に対する位置も適正な位置に矯正されるので、第2引掛け爪も第2係止穴部に係止されやすくなる。この結果、第1引掛け爪及び第2引掛け爪を第1引掛け穴部及び第2引掛け穴部に対してピンポイントで挿入する必要が無いので、着脱フレームを装置筐体に装着する際の作業効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記第2係止穴部の穴は、前記第2引掛け爪を呼び込む矩形穴であることとしても良い。
【0011】
また、前記第2係止穴部は、前記第2引掛け爪が係止される係止部と、前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第2引掛け爪を呼び込む呼込み部と、前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第2引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、を有することとしても良い。
【0012】
また、前記第1係止穴部は、前記着脱フレームが取り外される際に、前記第1係止穴部の幅方向の中央側に前記第1引掛け爪をガイドする第2ガイド部を更に有することとしても良い。
【0013】
また、前記第1引掛け爪が前記第1係止穴部に挿入され、かつ前記第2引掛け爪が前記第2係止穴部に挿入された状態で、前記着脱フレームが前記装置筐体に対して所定方向にスライドすることにより、前記第1引掛け爪及び前記第2引掛け爪が係止され、前記第2係止穴部は、前記所定方向において前記第1係止穴部から所定間隔離れて設けられていることとしても良い。
【0014】
また、前記第1引掛け爪及び前記第2引掛け爪は、それぞれ前記着脱フレームの長手方向の両端側に設けられ、前記装置筐体は、前記第1係止穴部及び前記第2係止穴部を2つずつ有し、2つの前記第1係止穴部及び前記第2係止穴部は、それぞれ前記所定方向に直交する方向に沿って設けられていることとしても良い。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、装置筐体と、前記装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームと、を備えるフレーム着脱装置であって、前記着脱フレームは、L字状の第1引掛け爪及び第2引掛け爪を有し、前記装置筐体は、前記第1引掛け爪が挿入されて係止される第1係止穴部と、前記第2引掛け爪が挿入されて係止される第2係止穴部と、を有し、前記第1係止穴部は、前記第1引掛け爪が係止される係止部と、前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第1引掛け爪を呼び込む呼込み部と、前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第1引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、を有することを特徴とする、フレーム着脱装置が提供される。かかるフレーム着脱装置によれば、第1引掛け爪及び第2引掛け爪を第1引掛け穴部及び第2引掛け穴部に対してピンポイントで挿入する必要が無いので、着脱フレームを装置筐体に装着する際の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、着脱フレームを装置筐体に対して装着させる時の作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る自動取引装置の構成を示す斜視図である。
【図2】引掛け穴部の詳細形状を説明するための図である。
【図3】着脱フレームの装着時の、引掛け爪と引掛け穴部の位置関係を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る自動取引装置の構成を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る引掛け穴部と、引掛け爪との関係を示す図である。
【図6】着脱フレームの取外し時の、第1の実施形態に係る引掛け爪と引掛け穴部の位置関係を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る自動取引装置の構成を示す斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る引掛け穴部と、引掛け爪との関係を示す図である。
【図9】第4の実施形態に係る引掛け穴部と、引掛け爪との関係を示す図である。
【図10】引掛け穴部の変形例を示す図である。
【図11】従来例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引装置の構成)
自動取引装置は、例えば現金自動預払機であり、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置される。自動取引装置は、顧客との間で通帳や取引カードを用いた取引処理を行う。
【0020】
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示す斜視図である。なお、図1では、説明の便宜上、自動取引装置1の一部(自動取引装置1の上部)のみが示されている。
【0021】
自動取引装置1は、フレーム着脱装置の一例であり、図1に示すように着脱フレーム10と装置筐体50を有する。
【0022】
着脱フレーム10は、装置筐体50に対して着脱自在に装着される矩形状のフレームである。着脱フレーム10は、所定の厚みを有し、装置筐体50をカバーする機能を有する。着脱フレーム10の表面11には、様々な部品12が実装されている。また、着脱フレーム10は、長手方向の両側面に、L字形状の4つの引掛け爪22、24、26、28を有する。
【0023】
引掛け爪22、24、26、28は、着脱フレーム10を装置筐体50に引っ掛けるためのものである。引掛け爪22、24は、着脱フレーム10の長手方向一端側の側面14から下方に延出するように形成され、引掛け爪26、28は、長手方向他端側の側面16から下方に延出するように形成されている。なお、第1の実施形態においては、引掛け爪22、26が第1引掛け爪に該当し、引掛け爪24、28が第2引掛け爪に該当する。
【0024】
また、着脱フレーム10は、短手方向の一端側に曲げ面18を有する。曲げ面18において長手方向の両端側には、ネジ穴32、34が形成されている。ネジ穴32、34に対して、装置筐体50に引っ掛けられた着脱フレーム10を固定するためのネジ92、94が螺合する。
【0025】
装置筐体50は、自動取引装置1の取引処理を行うユニットを収納する筐体である。装置筐体50の上方に、着脱フレーム10が装着される。装置筐体50の側壁51、52は、台形形状をしており、側壁51、52の斜面に沿って引掛け面54、56が設けられている。
【0026】
引掛け面54は、着脱フレーム10の引掛け爪22、24に対応する位置に形成された引掛け穴部62、64を有する。引掛け面56は、着脱フレーム10の引掛け爪26、28に対応する位置に形成された引掛け穴部66、68を有する。引掛け爪22、24、26、28は、引掛け穴部62、64、66、68に挿入されて係止される(引っ掛る)。具体的には、引掛け爪22、24、26、28が引掛け穴部62、64、66、68に挿入された状態で、着脱フレーム10が図1に示すスライド方向(所定方向に該当)にスライドすることにより、引掛け爪22、24、26、28が引掛け穴部62、64、66、68に係止される。
【0027】
第1の実施形態においては、引掛け穴部62、66が第1係止穴部に該当し、引掛け穴64、68がスライド方向において第1係止穴部から所定間隔離れて設けられた第2係止穴部に該当する。このように、装置筐体50は、第1係止穴部及び第2係止穴部を2つずつ有し、2つの第1係止穴部及び第2係止穴部は、それぞれスライド方向に直交する方向に沿って設けられている。なお、引掛け穴部62、64、66、68の詳細形状については、後述する。
【0028】
また、装置筐体50は、引掛け爪22、24、26、28が引掛け穴部62、64、66、68に係止された際に、着脱フレーム10の曲げ面18に合わさる曲げ面68を有する。曲げ面68の、ネジ穴32、34に対応する位置には、通し穴72、74が形成されている。曲げ面18と曲げ面68が合わさった状態で、通し穴72、74を通過したネジ92、94がネジ穴32、34と螺合することで、着脱フレーム10が装置筐体50に固定される。
【0029】
(1−2.引掛け穴部の詳細形状)
第1の実施形態に係る引掛け穴部62、64、66、68の形状は同じであるので、以下では、引掛け穴部62を例に挙げて、引掛け穴部の詳細形状を説明する。
【0030】
図2は、引掛け穴部62の詳細形状を説明するための図である。引掛け穴部62の幅方向(図2のX方向)の大きさは、引掛け爪22が挿入されやすいように、引掛け爪22の幅方向の大きさより大きい。また、引掛け穴部62の長さ方向(図2のY方向)の大きさL4は、引掛け爪22の長さ方向の大きさL5よりも大きい。引掛け穴部62は、呼込み部の一例である幅大部62aと、係止部の一例である幅小部62bと、ガイド部62cとを有する。
【0031】
幅大部62aは、挿入される引掛け爪22を呼び込む部分である。幅大部62aの幅方向の大きさL1は、図2(a)に示すように、引掛け穴部62に挿入される引掛け爪22を呼び込みやすくするために、引掛け爪22の幅方向の大きさL3よりも十分大きな穴に形成されている。このため、引掛け爪22が幅大部62aに対して多少斜めの状態であっても、引掛け爪22が引掛け穴部62に挿入されやすい。
【0032】
幅小部62bは、引掛け爪22が係止される部分である。幅小部62bの幅方向の大きさL2は、幅大部62aの幅方向の大きさL1より小さく、かつ引掛け爪22の幅方向の大きさL3よりも僅かに大きい穴である。そして、図2(b)に示すように、幅大部62aに挿入された引掛け爪22が、幅小部62bに向かってスライドし、引掛け爪22のフック部22aが引掛け面54のフックされることで、図2に示すX方向及びZ方向への移動が規制される。
【0033】
ガイド部62cは、幅大部62aと幅小部62bを繋げて、幅大部62aに呼び込まれて挿入された引掛け爪22を幅小部62bへ向けてガイドする。ガイド部62cの幅方向の大きさは、幅大部62aから幅小部62bに向かって、小さくなっている。このような形状のガイド部62cによって、幅大部62aに挿入された引掛け爪22が、幅小部62bにスムーズにスライドする。
【0034】
引掛け穴部62、64、66、68が上述した形状を有することにより、着脱フレーム10の装着時の作業効率が向上することになる。以下において、図3を参照しながら説明する。図3は、着脱フレーム10の装着時の、引掛け爪22、24、26、28と引掛け穴部62、64、66、68の位置関係を示す図である。
【0035】
作業者は、着脱フレーム10を装置筐体50に対して上方から装着させるが、着脱フレーム10が装置筐体50に対して斜めにはめこまれることがある。かかる際には、図3に示すように、引掛け爪22、24、26、28が引掛け穴部62、64、66、68に対して斜めに位置することがある。
【0036】
かかる場合でも、引掛け穴部62、64、66、68の幅大部62a、64a、66a、68aによって、引掛け爪22、24、26、28が呼び込まれて挿入されやすくなる。また、挿入された引掛け爪22、24、26、28は、ガイド部62c、64c、66c、68cによって、幅小部62b、64b、66b、68bへ向かってスムーズにスライドし、引っ掛ることとなる。このように、引掛け爪22、24、26、28を引掛け穴部62、64、66、68に対してピンポイントで挿入する必要が無いので、着脱フレーム10を装置筐体50に装着する際の作業効率を向上させることができる。
【0037】
特に、4つの引掛け爪22、24、26、28を4つの引掛け穴部62、64、66、68に同時に挿入させる構成では、幅大部62a、64a、66a、68aを設けることで、引掛け爪22、24、26、28をより効果的に挿入できる。
【0038】
<2.第2の実施形態>
図4及び図5を参照しながら、第2の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図4は、第2の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示す斜視図である。図5は、第2の実施形態に係る引掛け穴部162、164、166、168と、引掛け爪22、24、26、28との関係を示す図である。
【0039】
図4に示す第2の実施形態に係る4つの引掛け穴部162、164、166、168のうちの引掛け穴部162、166の形状は、第1の実施形態の引掛け穴部62、66(図1参照)の形状と同じである。一方で、第2の実施形態に係る引掛け穴部164、168(第2係止穴部に該当)の形状は、第1の実施形態の引掛け穴部64、68の形状と異なる。
【0040】
具体的には、図5に示すように、引掛け穴部164、168の穴は、引掛け爪24、28を呼び込む矩形穴である。ここで、引掛け穴部164、168の幅方向(図4のX方向)の大きさL1は、引掛け幅162、166の幅大部162a、166aの幅方向の大きさL1と同じである。また、引掛け穴部164、168の長さ方向(図4のY方向)の大きさL4は、引掛け幅162、166の長さ方向の大きさL4と同じである。このため、引掛け穴部164、168は、幅方向及び長さ方向において、引掛け爪24、28に比べて十分に大きい。
【0041】
引掛け穴部162、164、166、168が上述した形状を有することにより、第1の実施形態と同様に、着脱フレーム10の装着時の作業効率が向上することになる。すなわち、図5に示すように着脱フレーム10が装置筐体50に対して斜めにはめこまれる場合でも、引掛け爪22、24、26、28が呼び込まれて挿入されやすくなる。また、挿入された引掛け爪22、24、26、28は、ガイド部162c、166cによって、スムーズにスライドし、引掛け穴部162、164、166、168に引っ掛ることとなる。
【0042】
また、第2の実施形態においては、引掛け穴部164、168の穴が矩形穴であることにより、着脱フレーム10の取外し時の作業効率が向上することになる。以下において、図6を参照しながら説明する。図6は、着脱フレーム10の取外し時の、第1の実施形態に係る引掛け爪22、24、26、28と引掛け穴部62、64、66、68の位置関係を示す図である。
【0043】
着脱フレーム10を取り外す際に、着脱フレーム10が装置筐体50に対して斜めに位置する(傾いている)と、例えば、引掛け爪24がガイド部64cに引っ掛かり、引掛け爪28がガイド部68cに引っ掛かる。この場合には、着脱フレーム10の傾きを調整して再度着脱フレーム10を取り外す必要があり、着脱フレーム10の取外し時の作業性が低下する恐れがある。
【0044】
これに対して、第2の実施形態のように引掛け穴部164、168の穴を矩形穴とすることにより、引掛け爪24、28がガイド部に引っ掛かることが無くなり、着脱フレーム10を取外しやすくなる。このように、第2の実施形態によれば、着脱フレーム10の装着時及び取外し時の作業効率を向上させることができる。
【0045】
<3.第3の実施形態>
図7及び図8を参照しながら、第3の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図7は、第3の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示す斜視図である。図8は、第3の実施形態に係る引掛け穴部262、264、266、268と、引掛け爪22、24、26、28との関係を示す図である。
【0046】
図7に示す第3の実施形態に係る4つの引掛け穴部262、264、266、268のうちの引掛け穴部264、268の形状は、第1の実施形態の引掛け穴部64、68(図1参照)の形状と同じである。一方で、第3の実施形態に係る引掛け穴部262、266の形状は、第1の実施形態の引掛け穴部62、66の形状と異なる。
【0047】
具体的には、図8に示すように、引掛け穴部262、266(第1係止穴部に該当)は、幅大部262a、266aと、幅小部262b、266bと、ガイド部262c、266cに加えて、第2ガイド部262d、266dを有する。
【0048】
第2ガイド部262d、266dは、着脱フレーム10が取り外される際に、引掛け爪22、26を引掛け穴部262、266の幅方向(図8のX方向)の中央側に移動するようにガイドする。第2ガイド部262d、266dは、引掛け穴部262、266の長さ方向(図8のY方向)の一端側に形成されている。第2ガイド部262、266dの幅方向の大きさは、長方向の端に向かって小さくなっている。
【0049】
引掛け穴部262、264、266、268が上述した形状を有することにより、第1の実施形態と同様に、着脱フレーム10の装着時の作業効率が向上することになる。すなわち、図8に示すように着脱フレーム10が装置筐体50に対して斜めにはめこまれる場合でも、引掛け爪22、24、26、28が挿入されやすくなる。また、挿入された引掛け爪22、24、26、28は、ガイド部262c、264c、266c、268cによって、スムーズにスライドし、引掛け穴部262、264、266、268に引っ掛ることとなる。
【0050】
また、第3の実施形態においては、第2ガイド部262d、266dを設けたことにより、着脱フレーム10を取り外す時に、引掛け爪22、26を幅方向の中央側に移動し、これに共に、引掛け爪24、28も幅方向の中央側に移動する。このため、図6で示した引掛け爪24、28がガイド部に引っ掛かることが無くなり、着脱フレーム10を取外しやすくなる。このように、第3の実施形態によれば、着脱フレーム10の装着時及び取外し時の作業効率を向上させることができる。
【0051】
<4.第4の実施形態>
図9を参照しながら、第4の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図9は、第4の実施形態に係る引掛け穴部362、364、366、368と、引掛け爪22、24、26、28との関係を示す図である。
【0052】
第4の実施形態の引掛け穴部362、364、366、368は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせたものである。すなわち、引掛け穴部362、366は、第3の実施形態の引掛け穴部262、266と同様の形状(第2ガイド部を有する)であり、引掛け穴部364、368は、第2の実施形態の引掛け穴部164、168と同様の形状(矩形穴)である。
【0053】
このような引掛け穴部362、364、366、368の場合には、着脱フレーム10を取り外す際に、引掛け爪22、24、26、28が引掛け穴部362、364、366、368に引っ掛かることをより一層有効に防止できる。この結果、着脱フレーム10の取外し時の作業効率を一層向上させることができる。
【0054】
ところで、上述した第1〜第4の実施形態においては、引掛け爪と引掛け穴部が4つあることとしたが、これに限定されない。例えば、図10(a)に示すように、2つの引掛け爪22、26と、2つの引掛け穴部462、466のみであっても良い。図10(a)では、引掛け面54、56に引掛け穴部が1つずつ設けられているが、引掛け面54、56のいずれか一方に2つの引掛け穴部462、466が設けられても良い。なお、2つの引掛け穴部のうち引掛け穴部462が第1係止穴部に該当し、引掛け穴部466が第2係止穴部に該当する。
【0055】
また、図10(b)に示すように、3つの引掛け爪22、24、28と、3つの引掛け穴部562、564、568であっても良い。さらに、引掛け爪と引掛け穴部が5つ以上であっても良い。図10は、引掛け穴部の変形例を示す図である。
【0056】
<5.まとめ>
第1〜第4の実施形態で説明したように、装置筐体50の第1係止穴部(ここでは、図1の係止穴部62を例に挙げて説明する)は、幅大部62aとガイド部62cを有する。ここで、幅大部62aは、引掛け爪22が係止される幅小部62bよりも幅が大きく形成され、挿入される引掛け爪22を呼び込む。ガイド部62cは、幅小部62bと幅大部62aを繋げ、幅大部62aに呼び込まれて挿入された引掛け爪22を幅小部62bへガイドする。
【0057】
かかる構成によれば、着脱フレーム10が装置筐体20に装着される際に、幅大部62aによって引掛け爪22が挿入されやすくなる。また、挿入された引掛け爪22は、ガイド部62cによって幅小部62bへ向かってガイドされ、幅小部62bに係止される。また、引掛け爪22がガイドされる際に着脱フレーム10の装置筐体50に対する位置も適正な位置に矯正されるので、他の引掛け爪24、26、28も引掛け穴部64、66、68に係止されやすくなる。この結果、引掛け爪22、24、26、28を引掛け穴部62、64、66、68に対してピンポイントで挿入する必要が無いので、着脱フレーム10を装置筐体50に装着する際の作業効率を向上させることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
上記において、フレーム着脱装置として自動取引装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。フレーム着脱装置は、装置筐体と着脱フレームを有する装置であれば良く、例えば印刷装置や現金処理装置であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 自動取引装置
10 着脱フレーム
18 曲げ面
22、24、26、28 引掛け爪
50 装置筐体
54、56 引掛け面
62、64、66、68 引掛け穴部
62a、64a、66a、68a 幅大部
62b、64b、66b、68b 幅小部
62c、64c、66c、68c ガイド部
162、164、166、168 引掛け穴部
262、264、266、268 引掛け穴部
262d、266d 第2ガイド部
362、364、366、368 引掛け穴部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体と、前記装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームと、を備える自動取引装置であって、
前記着脱フレームは、L字状の第1引掛け爪及び第2引掛け爪を有し、
前記装置筐体は、前記第1引掛け爪が挿入されて係止される第1係止穴部と、前記第2引掛け爪が挿入されて係止される第2係止穴部と、を有し、
前記第1係止穴部は、
前記第1引掛け爪が係止される係止部と、
前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第1引掛け爪を呼び込む呼込み部と、
前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第1引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、
を有することを特徴とする、自動取引装置。
【請求項2】
前記第2係止穴部の穴は、前記第2引掛け爪を呼び込む矩形穴であることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第2係止穴部は、
前記第2引掛け爪が係止される係止部と、
前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第2引掛け爪を呼び込む呼込み部と、
前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第2引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記第1係止穴部は、
前記着脱フレームが取り外される際に、前記第1係止穴部の幅方向の中央側に前記第1引掛け爪をガイドする第2ガイド部を、
更に有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記第1引掛け爪が前記第1係止穴部に挿入され、かつ前記第2引掛け爪が前記第2係止穴部に挿入された状態で、前記着脱フレームが前記装置筐体に対して所定方向にスライドすることにより、前記第1引掛け爪及び前記第2引掛け爪が係止され、
前記第2係止穴部は、前記所定方向において前記第1係止穴部から所定間隔離れて設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記第1引掛け爪及び前記第2引掛け爪は、それぞれ前記着脱フレームの長手方向の両端側に設けられ、
前記装置筐体は、前記第1係止穴部及び前記第2係止穴部を2つずつ有し、
2つの前記第1係止穴部及び前記第2係止穴部は、それぞれ前記所定方向に直交する方向に沿って設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項7】
装置筐体と、前記装置筐体に対して着脱自在に装着される着脱フレームと、を備えるフレーム着脱装置であって、
前記着脱フレームは、L字状の第1引掛け爪及び第2引掛け爪を有し、
前記装置筐体は、前記第1引掛け爪が挿入されて係止される第1係止穴部と、前記第2引掛け爪が挿入されて係止される第2係止穴部と、を有し、
前記第1係止穴部は、
前記第1引掛け爪が係止される係止部と、
前記係止部よりも幅が大きく形成され、前記第1引掛け爪を呼び込む呼込み部と、
前記係止部と前記呼込み部を繋げ、前記呼込み部に呼び込まれて挿入された前記第1引掛け爪を前記係止部へガイドするガイド部と、
を有することを特徴とする、フレーム着脱装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−84206(P2013−84206A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224997(P2011−224997)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】