説明

自動取引装置および自動取引システム

【課題】暗証番号を入力して取引を行う自動取引システムであって、操作方法がわからない顧客30であっても短時間に取引を行うことを可能とした自動取引システムにおいて、行員20や第三者に暗証番号を盗視されることを確実に防止する。
【解決手段】自動取引装置1はローカウンタ40の内側近傍に配置し、操作端末装置10はローカウンタ40の外側近傍に配置し、ディスプレイ12の表示内容と操作部4の表示内容が同様になるように表示する表示ドライバを備え、顧客30の依頼に基づいて行員20が操作部4を操作し、顧客30がディスプレイ12にて操作部4の操作内容を確認できるようにした自動取引システムにおいて、操作端末装置10により顧客30が操作するタイミングにて、前記自動取引装置1に当該操作画面を表示しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等の店舗に設置される自動取引装置の操作技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動取引装置の利用範囲は、顧客だけの操作で完結できる取引に限定されており、顧客が、所望とする取引の操作方法がわからない場合、行員に操作方法を聞きながら自ら操作を行わなければならず、所望の取引を終了するまでに長い時間がかかり、自動取引装置の稼働率が低くなるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、銀行営業店のカウンタ内に自動取引装置を配置し、行員と顧客が対面しながら行員が自動取引装置の操作を行う自動取引システムが提案され始めている。
【0004】
この自動取引システムでは、顧客に対しては、行員が操作する自動取引装置の操作画面を別のパーソナルコンピュータ等の操作端末装置により表示し、顧客の本人確認となる暗証番号等の入力は操作端末装置に接続されたテンキーやディスプレイのタッチパネルを用いて顧客が入力するようにしている。
【0005】
このとき、顧客の指の動きから暗証番号等を行員や第三者に盗視されるおそれがあるため、テンキーの配置をランダムに変更して表示するなどの方法を採る必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−54862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の自動取引システムでは、テンキーの配置をランダムに変更することにより操作端末装置を用いた顧客の操作は盗視されないようにできるが、この操作画面が行員が操作する自動取引装置の操作部にも表示されるので、自動取引装置の操作部を参照できる行員や第三者に読み取られる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、第1の表示操作部を操作して取引を行う自動取引装置と、第2の表示操作部を操作して取引を行う操作端末装置を備え、前記自動取引装置はローカウンタの内側近傍に配置し、前記操作端末装置はローカウンタの外側近傍に配置し、第1の表示操作部の表示内容と第2の表示操作部の表示内容が同様になるように表示する表示手段を備え、顧客の依頼に基づいて行員が第1の表示操作部を操作し、顧客が第2の表示操作部にて第1の表示操作部の操作内容を確認できる自動取引システムにおいて、前記操作端末装置により顧客が操作するタイミングにて、前記自動取引装置に当該操作画面を表示しないようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自動取引装置によれば、第1の表示操作部を操作して取引を行う自動取引装置と、第2の表示操作部を操作して取引を行う操作端末装置を備え、前記自動取引装置はローカウンタの内側近傍に配置し、前記操作端末装置はローカウンタの外側近傍に配置し、第1の表示操作部の表示内容と第2の表示操作部の表示内容が同様になるように表示する表示手段を備え、顧客の依頼に基づいて行員が第1の表示操作部を操作し、顧客が第2の表示操作部にて第1の表示操作部の操作内容を確認できる自動取引システムにおいて、前記操作端末装置により顧客が操作するタイミングにて、前記自動取引装置に当該操作画面を表示しないようにしたので、行員や第三者に機密性を有する情報の盗視を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の自動取引システムの構成図である。
【図2】実施例1の自動取引システムのソフトウェア構成の説明図である。
【図3】実施例1の自動取引システムの各構成の配置図である。
【図4】実施例1の自動取引装置および操作端末装置の動作フローチャート図である。
【図5】実施例1の自動取引装置および操作端末装置の操作画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお、図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0012】
(構成)
図1は実施例1の自動取引システムの構成図である。同図に示したように、自動取引システムは、自動取引装置1と、操作端末装置10がネットワーク15で接続された構成となっている。そして、操作端末装置10は、操作端末制御部11にタッチパネル機能付のディスプレイ12とテンキー部13が接続された構成となっている。
【0013】
自動取引装置1は、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、透明タッチパネルおよびLCDからなる操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。
【0014】
そして、紙幣入出金口3は、紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。紙幣入出金口3には、シャッタが設けられシャッタが駆動されることにより紙幣入出金口3が開閉される。
【0015】
カード挿入口6は、カードを用いて取引を行う場合、ここからカードが挿入され、取引が終了するとここから排出される。通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了するとここから排出される。また、硬貨入出金口2は、硬貨が投入または排出される開口部である。
【0016】
紙幣入出金口3は、入金紙幣が投入されるとともに、出金紙幣が排出される部分で、その奥部には、図示していないが紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、図示していないがカード処理部が設けられている。
【0017】
硬貨入出金口2は、入金硬貨が投入されるとともに、出金硬貨が排出される部分で、その奥部には、図示していないが、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理部が設けられている。通帳挿入出口5は、通帳が挿入または排出される部分で、その奥部には、図示していないが通帳処理部が設けられている。操作部4は、顧客の操作により各種の入力を行なうとともに、操作ガイダンス等が表示される。
【0018】
次に、実施例1の自動取引システムのソフトウェアの構成を、図2を用いて説明する。同図に示したように、自動取引装置1には、オペレーションシステム(「OS」という)として、例えば、Windows(「Windows」は米国Microsoft社の商標または登録商標)等のOS(1c)と、このOS(1c)上で動作する取引業務アプリケーション1aと、操作部4に表示する画像を操作端末装置10のディスプレイ12に提供するサーバ側として機能する画面共有ドライバ1bが搭載される。
【0019】
一方、操作端末装置10の操作端制御部11には、同様にWindows等のOS(11b)と、当該OS上で動作する自動取引装置1の画面共有ドライバ1bから提供された画像をディスプレイ12に表示するビュワーとして機能する画面共有ドライバ11bが搭載される。
【0020】
以上のように、自動取引装置1および操作端末装置10の双方に画面共有ドライバ1bおよび11aを搭載することにより、自動取引装置1に表示された取引画面を操作端末装置10側のディスプレイ12にも同様に表示し、操作端末装置10のディスプレイ12のタッチパネルやテンキー部13から操作できるようになっている。
【0021】
図3は、実施例1の自動取引システムの配置図であり、通常、ATMコーナに設置される自動取引装置1が営業店のローカウンタ40内に設置され、自動取引装置1の操作は行員20が行い、ローカウンタ40上に操作端末装置10の操作端末制御部11、ディスプレイ12、テンキー部13が配置され、顧客がこれらを操作できるようになっている。勿論、操作端末制御部11は、ローカウンタ40の下に配置して顧客が操作できないような配置としてもよい。
【0022】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引システムは以下のように動作する。以下、図4の動作フローチャート図および図5の操作画面例を用いて詳細な動作を説明する。なお、図5の操作画面例の右側が自動取引装置の操作部4の操作画面に表示される画面であり、左側が操作端末装置10のディスプレイ12に表示される内容となっている。
【0023】
まず、来店した顧客30は、利用したい取引を行員20に口頭またはメモ用紙等で伝えると(ステップS01)、行員20は、顧客30が利用したい取引の操作を、ローカウンタ40内の自動取引装置1を使用して行う(ステップS02)。このとき、顧客30は、自動取引装置1に表示されている画面を操作端末装置10のディスプレイ12により確認する(ステップS03)。このときの操作端末装置10の画面が画面G01であり、自動取引装置1の画面が画面G11である。
【0024】
そして、顧客30は、取引に応じて、持参したカード、通帳、現金等の媒体を行員20に渡すと(ステップ4)、行員20は、顧客30が利用したい取引の操作を、ローカウンタ40内の自動取引装置1を使用して行う(ステップS05)。このとき、顧客30は、自動取引装置1の画面をディスプレイ12にて確認する(ステップS06)。このときの操作端末装置10の画面が画面G02であり、自動取引装置1の画面が画面G12である。
【0025】
機密性を有する情報のため、暗証番号などの情報については、顧客30が、ディスプレイ12のタッチパネルやテンキー部13を使用して入力する必要があるので、テンキー部13およびディスプレイ12のタッチパネルを用いて当該入力をするように促す(ステップS07)。
【0026】
すると、顧客30は、自動取引装置1の画面をディスプレイ12にて確認し(ステップS08)、ディスプレイ12のタッチパネルやテンキー部13を使用して暗証番号の入力を行う(ステップS09)。このときの操作端末装置10の画面が画面G03であり、自動取引装置1の画面が画面G13であり、自動取引装置1の画面G13には暗証番号を入力するテンキー50が表示されていない。
【0027】
なお、自動取引装置1の画面に、最初は画面G03のようにテンキーのある暗証番号入力画面を表示し、顧客30によるテンキー50からの入力が開始されたときに、暗証番号入力画面からテンキー表示を消去するようにしてもよい。
【0028】
そして、暗証番号の入力が完了した後、金額入力画面を表示し顧客30が所望の金額を入力する(ステップS09a)。このときの操作端末装置10の画面が画面G04であり、自動取引装置1の画面が画面G14である。
【0029】
そして、顧客が所望とする取引が終了すると、行員20は、その取引結果を確認するように、顧客30に促す(ステップS10)。すると、顧客30は、ディスプレイ12により、自動取引装置1の画面を確認する(ステップS11)。なお、破線で示したように、テンキー部13の確認ボタンなどを用いて、確認の操作を行うようにしてもよい(ステップS11a)。
【0030】
そして、行員20は、ステップS04にて顧客30から預かった通帳やカードなどを返却し(ステップS12)、本取引を終了する。このとき、出金取引を行った場合は、行員20は、自動取引装置1から出金された紙幣等を顧客30に渡し、顧客30がこれらを受領して、本取引を終了する。
【0031】
なお、以上の実施例の説明では、通常のATMコーナに配置した自動取引装置の暗証番号等の入力画面との関連性については説明しなかったが、上記ステップS09での画面表示の処理を通常の自動取引装置の業務アプリケーションソフトに組み込んでおくようにすれば、ATMコーナ設置の自動取引装置もカウンタ内の自動取引装置も画面制御プログラムを共通化することができ、業務アプリケーションソフトを変更することなくカウンタ内自動取引装置としても使用することができる。
【0032】
例えば、操作端末装置10側の暗証番号入力を制御する制御プログラムが、暗証番号入力中にテンキードライバが動作したことを認識して操作端末装置から自動取引装置に通知するようにしておけば、操作端末装置がないときは、当該通知が発生しないので、通常のように暗証番号入力画面が表示されたままとなり、接続されていれば、操作端末装置により暗証番号を入力すると当該通知が発生するので、暗証番号入力画面が消去される。
【0033】
また、暗証番号入力を制御する制御プログラムが、暗証番号入力中にテンキードライバが動作したことを認識して暗証番号入力画面を消去するようにしておけば、テンキー部13が自動取引装置1に接続された場合でも、テンキー部13の操作によりテンキードライバが動作し暗証番号入力画面が消去される。
【0034】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引システムによればローカウンタ内に行員が操作する自動取引装置を配置し、顧客側に顧客が操作する操作端末装置を配置し、当該操作端末装置のディスプレイに自動取引装置の操作部の表示内容を同様に表示し、行員が自動取引装置を操作し顧客が当該操作を確認できる自動取引装置において、顧客が操作端末装置により機密性を有する情報を入力するときに、操作端末装置の当該入力画面を表示しないようにしたので、行員や第三者に顧客の機密性を有する情報の盗視を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上述べたように、本発明は、金融機関等の店舗に設置される自動取引装置を用いて取引を行う自動取引システムに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 自動取引装置
1b、11a 画面共有ドライバ
4 操作部
10 操作端末装置
11 操作端末制御部
12 ディスプレイ
13 テンキー部
15 ネットワーク
20 行員
30 顧客
40 ローカウンタ
G03、G13 暗証番号入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示操作部を操作して取引を行う自動取引装置と、第2の表示操作部を操作して取引を行う操作端末装置を備え、前記自動取引装置はローカウンタの内側近傍に配置し、前記操作端末装置はローカウンタの外側近傍に配置し、第1の表示操作部の表示内容と第2の表示操作部の表示内容が同様になるように表示する表示手段を備え、顧客の依頼に基づいて行員が第1の表示操作部を操作し、顧客が第2の表示操作部にて第1の表示操作部の操作内容を確認できる自動取引システムであって、
前記操作端末装置により顧客が操作するタイミングにて、前記自動取引装置に当該操作画面を表示しないようにしたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
前記タイミングは、暗証番号入力画面を表示するタイミングまたは暗証番号の入力があったタイミングであることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項3】
第1の表示操作部を操作して取引を行う自動取引装置であって、
第2の表示操作部を操作して取引を行う操作端末装置により顧客が操作するタイミングにて、前記自動取引装置に当該操作画面を表示しないようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
前記タイミングは、暗証番号入力画面を表示するタイミングまたは暗証番号の入力があったタイミングであることを特徴とする請求項3記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−44049(P2011−44049A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192641(P2009−192641)
【出願日】平成21年8月22日(2009.8.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】