説明

自動取引装置

【課題】前面保守型の自動取引装置において、保守作業の効率の低下を回避する。
【解決手段】顧客用表示部及び係員用表示部として兼用して使用される兼用表示部14と、上端部が筐体2の上部に軸支された上部カバー(フロントパネル3)とを有し、上部カバーは、通常時に、兼用表示部を筐体の前面側の所定の位置に固定し、一方、保守時に、筐体の内部から引き出されるユニット6からずれた位置に、兼用表示部を移動させるとともに、兼用表示部の表示面の方向が変更可能な状態で、兼用表示部を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、特に、保守時に、筐体の内部の1乃至複数のユニットが筐体の前面側から引き出される前面保守型の自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や流通機関には、いわゆる「ATM」と称される、自動取引装置が多数設置されている。自動取引装置の中には、前面保守型の装置がある。なお、「前面保守型」とは、保守時に、筐体の内部のユニットを筐体の前面側から引き出して、保守作業を行うことができる構成の装置を意味している。また、「保守作業」とは、ユニットの点検作業や、交換作業、調整作業等の、装置の状態を正常に保つための作業を意味している。
【0003】
前面保守型の自動取引装置は、通常、筐体の前面側の下部部分を保護する下部カバーと、筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーとを有している。係員は、筐体内部の下部側に配置されたユニット(以下、「下部ユニット」と称する)や上部側に配置されたユニット(以下、「上部ユニット」と称する)の保守作業を行う場合に、まず、下部カバーを開き、次に、上部カバーを開いて、保守作業を行う。
【0004】
前面保守型の自動取引装置は、例えば、係員用表示部が、下部カバーの裏面に設置されている。係員用表示部は、係員用表示画面を表示するための表示部であり、係員用表示画面として、装置に収納された現金の残高や装置の保守方法等が表示される。係員は、保守時に、下部カバーの裏面に設置された係員用表示部を見ながら、筐体の内部から各種のユニットを筐体の前面側に引き出して、保守作業を行う。
【0005】
なお、前面保守型の自動取引装置の中には、筐体の前面側に設置された表示部を顧客用表示部及び係員用表示部として兼用して使用する装置(すなわち、通常時に、顧客用表示画面を表示する顧客用表示部として表示部を使用し、また、保守時に、係員用表示画面を表示する係員用表示部として表示部を使用する装置)がある(例えば、特許文献1参照)。以下、係員用表示部が下部カバーの裏面に設置されている前面保守型の自動取引装置を、「第1従来例の自動取引装置」と称する。また、以下、筐体の前面側に設置された表示部を顧客用表示部及び係員用表示部として兼用して使用する前面保守型の自動取引装置を、「第2従来例の自動取引装置」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−334315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、第1従来例の自動取引装置及び第2従来例の自動取引装置は、それぞれ、以下に説明するように、保守時に、作業効率が低下する場合がある、という課題があった。
【0008】
例えば、第1従来例の自動取引装置は、保守時に、まず、係員が、下部カバーを開き、次に、上部カバーを開いて、任意のユニットの保守作業を行う。ここでは、係員が下部ユニットを保守するものとして説明する。その際に、係員は、下部カバーの裏面に設置された係員用表示部を見ながら、下部ユニットを操作する。しかしながら、第1従来例の自動取引装置は、係員用表示部が下部カバーの裏面に設置されているため、下部ユニットが筐体の前面側に引き出されると、係員用表示部の画面が下部ユニットに隠れるときがある。このとき、係員は、表示部の画面が見え難くなるため、保守作業がし難くなる。そこで、係員は、画面を見るために、下部ユニットを筐体の内部に押し込んだり、逆に、下部ユニットを操作するために、下部ユニットを筐体の外部に引き出したりする動作を繰り返し行うことがある。したがって、第1従来例の自動取引装置は、このような場合に、これらの動作を行うことによる煩わしさがあり、作業効率が低下していた。
【0009】
一方、例えば、第2従来例の自動取引装置は、保守時に、第1従来例の自動取引装置と同様に、まず、係員が、下部カバーを開き、次に、上部カバーを開いて、任意のユニットの保守作業を行う。ここでは、係員が上部ユニットを保守するものとして説明する。その際に、係員は、筐体の前面側に設置された表示部の画面を顧客用表示画面から係員用表示画面に切り替え、その表示部に表示された係員用表示画面を見ながら、上部ユニットを操作する。しかしながら、第2従来例の自動取引装置は、表示部が筐体の前面側に設置されているため、上部ユニットが筐体の前面側に引き出されると、表示部の画面が上部ユニットに隠れるときがある。このとき、係員は、表示部の画面が見え難くなるため、保守作業がし難くなる。そこで、係員は、画面を見るために、上部ユニットを筐体の内部に押し込んだり、逆に、上部ユニットを操作するために、上部ユニットを筐体の外部に引き出したりする動作を繰り返し行うことがある。したがって、第2従来例の自動取引装置は、このような場合に、これらの動作を行うことによる煩わしさがあり、作業効率が低下していた。
【0010】
また、第2従来例の自動取引装置は、下部ユニットが引き出される際に、下部ユニットが表示部に接触すると、表示部が損傷する可能性がある、という課題もあった。
【0011】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、保守作業の効率の低下を回避する前面保守型の自動取引装置を提供することを主な目的とする。また、本発明は、表示部が損傷するのを防止する前面保守型の自動取引装置を提供することを副次的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、第1発明は、筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置であって、前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーとを有し、前記上部カバーは、通常時に、前記兼用表示部を前記筐体の前面側の所定の位置に固定し、一方、保守時に、前記筐体の内部から引き出される前記ユニットからずれた位置に、前記兼用表示部を移動させるとともに、前記兼用表示部の当該表示面の方向が変更可能な状態で、前記兼用表示部を支持する構成とする。
【0013】
この自動取引装置は、保守時に、上部カバーが、筐体の内部から引き出されるユニットからずれた位置に、兼用表示部を移動させるとともに、兼用表示部の表示面の方向が変更可能な状態で、兼用表示部を支持する。
【0014】
この自動取引装置は、保守時に、兼用表示部の画面がユニットに隠れて見え難くなるのを回避することができる。そのため、係員は、画面を見るために、ユニットを筐体の内部に押し込んだり、逆に、ユニットを操作するために、ユニットを筐体の外部に引き出したりする動作を繰り返し行う必要がない。したがって、この自動取引装置は、保守作業をし易くすることができ、その結果、保守作業の効率の低下を回避することができる。
【0015】
また、この自動取引装置は、下部ユニットが引き出される際に、兼用表示部が下部ユニットからずれた位置に移動しているため、下部ユニットが兼用表示部に接触するのを回避することができる。そのため、この自動取引装置は、兼用表示部が損傷するのを防止することができる。
【0016】
また、第2発明は、筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置であって、前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーとを有し、前記上部カバーは、通常時に、前記兼用表示部を前記筐体の前面側の所定の位置に固定し、一方、保守時に、前記兼用表示部に対する固定を解除して、前記兼用表示部を前記所定の位置から持ち運び可能な状態にする構成とする。
【0017】
この自動取引装置は、上部カバーが、通常時に、兼用表示部を筐体の前面側の所定の位置に固定し、一方、保守時に、兼用表示部に対する固定を解除して、兼用表示部を所定の位置から持ち運び可能な状態にする。
【0018】
この自動取引装置は、保守時に、兼用表示部の画面がユニットに隠れて見え難くなるのを回避することができる。そのため、係員は、画面を見るために、ユニットを筐体の内部に押し込んだり、逆に、ユニットを操作するために、ユニットを筐体の外部に引き出したりする動作を繰り返し行う必要がない。したがって、この自動取引装置は、保守作業をし易くすることができ、その結果、保守作業の効率の低下を回避することができる。
【0019】
また、この自動取引装置は、下部ユニットが引き出される際に、兼用表示部が下部ユニットからずれた位置に移動しているため、下部ユニットが兼用表示部に接触するのを回避することができる。そのため、この自動取引装置は、兼用表示部が損傷するのを防止することができる。
【0020】
しかも、この自動取引装置は、例えば、下部ユニットを保守する場合に、係員が、屈(かが)みながら、兼用表示部を手元に置いた状態で、下部ユニットを保守することができる。そのため、係員は、兼用表示部を見るために立ち上がったり、下部ユニットを保守するために屈んだりする動作を繰り返すことなく、屈んだ状態のままで、下部ユニットを保守することができる。そのため、この自動取引装置は、下部ユニットを保守する場合に要する係員の労力を低減することもできる。
【0021】
また、第3発明は、筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置であって、前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーと、前記筐体と前記上部カバーとの間に設けられ、かつ、端部が前記筐体に軸支されており、前記兼用表示部を支持した状態で、前記筐体に対して上下方向に回動するパネル部材とを有し、前記上部カバーは、通常時に、前記パネル部材及び前記兼用表示部の上に配置されることにより、前記パネル部材を回動不能な状態にして、前記兼用表示部を前記筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放されることにより、前記パネル部材を回動可能な状態にして、前記兼用表示部に対する固定を解除する構成とする。
【0022】
この自動取引装置は、上部カバーが、通常時に、パネル部材及び兼用表示部の上に配置されることにより、パネル部材を回動不能な状態にして、兼用表示部を筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放(移動)されることにより、パネル部材を回動可能な状態にして、兼用表示部に対する固定を解除する。
【0023】
この自動取引装置は、下部ユニットが引き出される際に、兼用表示部を下部ユニットからずれた位置に移動させることができるため、下部ユニットが兼用表示部に接触するのを回避することができる。そのため、この自動取引装置は、兼用表示部が損傷するのを防止することができる。
【0024】
また、第4発明は、筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置であって、前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーと、前記筐体と前記上部カバーとの間に設けられ、前記兼用表示部を前記筐体に対して上下方向に移動させるリンク機構とを有し、前記上部カバーは、通常時に、前記リンク機構及び前記兼用表示部の上に配置されることにより、前記リンク機構を移動不能な状態にして、前記兼用表示部を前記筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放されることにより、前記リンク機構を移動可能な状態にして、前記兼用表示部に対する固定を解除する構成とする。
【0025】
この自動取引装置は、上部カバーが、通常時に、リンク機構及び兼用表示部の上に配置されることにより、リンク機構を移動不能な状態にして、兼用表示部を筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放(移動)されることにより、リンク機構を移動可能な状態にして、兼用表示部に対する固定を解除する。
【0026】
この自動取引装置は、下部ユニットが引き出される際に、兼用表示部を下部ユニットからずれた位置に移動させることができるため、下部ユニットが兼用表示部に接触するのを回避することができる。そのため、この自動取引装置は、兼用表示部が損傷するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
第1発明及び第2発明の各発明によれば、保守作業の効率の低下を回避する前面保守型の自動取引装置を提供することができる。また、第1発明及び第2発明の各発明によれば、表示部が損傷するのを防止する前面保守型の自動取引装置を提供することもできる。
【0028】
第3発明及び第4発明の各発明によれば、表示部が損傷するのを防止する前面保守型の自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る自動取引装置の構成を示す図(1)である。
【図2】実施形態1に係る自動取引装置の構成を示す図(2)である。
【図3】実施形態1に係る自動取引装置の構成を示す図(3)である。
【図4】実施形態1に係る表示操作部の構成を示す図である。
【図5】実施形態1に用いる固定部の構成を示す図(1)である。
【図6A】実施形態1に用いる固定部の構成を示す図(2)である。
【図6B】実施形態1に用いる固定部の構成を示す図(3)である。
【図7】実施形態1に係る表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図8】実施形態1に係る方向検知部の構成を示す図(1)である。
【図9】実施形態1に係る方向検知部の構成を示す図(2)である。
【図10】実施形態1に係る動作検知部の構成を示す図(1)である。
【図11】実施形態1に係る動作検知部の構成を示す図(2)である。
【図12】実施形態1に係る動作検知部の構成を示す図(3)である。
【図13】実施形態1に係るケーブル保護部材の構成を示す図である。
【図14】実施形態1に係る封止部材の構成を示す図である。
【図15】実施形態1に係る位置規制部材の構成を示す図(1)である。
【図16】実施形態1に係る位置規制部材の構成を示す図(2)である。
【図17A】実施形態1に係るフロントパネルの表示部周りの構成を示す図(1)である。
【図17B】実施形態1に係るフロントパネルの表示部周りの構成を示す図(2)である。
【図18A】実施形態1に係る緩衝部材の構成を示す図(1)である。
【図18B】実施形態1に係る緩衝部材の構成を示す図(2)である。
【図19】実施形態2に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【図20】実施形態3に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【図21】実施形態4に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0031】
[実施形態1]
<自動取引装置の構成>
本実施形態1に係る自動取引装置(以下、「ATM1」と称する)は、表示部を顧客用表示部及び係員用表示部として兼用して使用する前面保守型の装置である。ただし、ATM1は、筐体の後面に後扉を設け、前面側からの保守作業に加え、後面側からの保守作業も行える構成にすることもできる。
【0032】
以下、図1〜図4を参照して、本実施形態1に係るATM1の構成につき説明する。図1〜図3は、それぞれ、実施形態1に係る自動取引装置の構成を示す図である。図4は、実施形態1に係る表示操作部の構成を示す図である。
【0033】
図1に示すように、ATM1は、各種のユニットを内部に収納する筐体2の前面側に、フロントパネル3、ATM扉4、近接センサ11、カード挿入排出口12、通帳挿入排出口13、表示操作部16、ハンドセット17、紙幣入出金口21、及び、硬貨入出金口22を有している。
【0034】
フロントパネル3は、筐体2の前面側の上部部分を保護する上部カバーである。
ATM扉4は、筐体2の前面側の下部部分を保護する下部カバーである。
近接センサ11は、顧客の接近を検知するために用いられるセンサである。
カード挿入排出口12は、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体が挿入及び排出される開口部である。
通帳挿入排出口13は、通帳が挿入及び排出される開口部である。
表示操作部16は、各種の画面を表示したり、各種の指示や情報等の入力を受け付けたりする構成要素である。
ハンドセット17は、例えば弱視者用に設けられ、各種の案内情報を音声で顧客に通知する構成要素である。
紙幣入出金口21は、紙幣が投入及び放出される開口部である。
硬貨入出金口22は、硬貨が投入及び放出される開口部である。
【0035】
ATM1は、表示操作部16が、LCD等の表示部14と、タッチパネル等の操作部15とを組み合わせた構成になっている。表示部14は、通常時に、顧客用画面を表示する顧客用表示部として、また、保守時に、係員用画面を表示する係員用表示部として、兼用して使用される。以下、表示部14を「兼用表示部14」と称する場合もある。
【0036】
後記する制御ユニット7c(図2参照)は、表示制御用の図示せぬ制御部を搭載しており、その図示せぬ制御部は、通常時と保守時とで、状況に応じてモードを切り替えて、顧客用画面及び係員用画面のいずれか一方を表示部14に表示させる。
【0037】
なお、「顧客用画面」は、顧客に提示するための画面を意味している。図7(a)は、その一例としての顧客用画面2014aを示している。また、「係員用画面」は、係員に提示するための画面を意味している。図7(b)は、その一例としての係員用画面2014bを示している。
【0038】
なお、表示操作部16は、通常時に、フロントパネル3と筐体2との間の所定の位置に略水平に配置されている。フロントパネル3は、側面方向から見ると、略垂直な面と略水平な面(厳密には、手前側(前面側)から奥側(後面側)に向けて緩やかに上昇する傾斜面)とを有する略L字型の形状に形成されている。フロントパネル3は、略垂直な面の略中央部分にカード挿入排出口12や通帳挿入排出口13が設けられており、また、略水平な面の手前側(前面側)に表示操作部16やハンドセットが設けられ、略水平な面の奥側(後面側)に紙幣入出金口21や硬貨入出金口22が設けられている。また、フロントパネル3は、略水平な面の表示操作部16と重なる位置に開口部9が設けられている。フロントパネル3は、通常時に、開口部9を介して、表示操作部16を外部に露出させている。
【0039】
なお、フロントパネル3は、表示操作部16に対向する側の面(以下、「対向面」と称する)の、開口部9の周囲に位置する部分が、表示操作部16の表示面又はその枠体(図17A及び図17Bに示す表示操作部16の表示領域18よりも外側の部分)に当接する当接部10(図4(a)参照)となっている。フロントパネル3は、通常時に、当接部10で表示操作部16を筐体2に押さえつけて、表示操作部16を筐体2の前面側の所定の位置(開口部9と重なる位置)に固定する。
【0040】
図2及び図3に示すように、ATM1は、各種のユニット6,7が筐体2の内部に収納されている。ユニット6,7は、筐体2の上部側に収納されたユニット(以下、「上部ユニット」と称する)6と、筐体2の下部側に収納されたユニット(以下、「下部ユニット」と称する)7とに大別される。
【0041】
図2及び図3に示す例では、上部ユニット6として、カードリーダライタ(カードRW)6a、及び、通帳記帳機6bが示されており、また、下部ユニット7として、紙幣入出金機7a、硬貨入出金機7b、制御ユニット7c、及び、電源ユニット7dが示されている。
【0042】
カードリーダライタ6aは、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体から情報を読み取るユニットである。
通帳記帳機6bは、通帳から情報を読み取ったり、通帳に取引情報を記帳したりするユニットである。
紙幣入出金機7aは、紙幣の鑑別や保管等の処理を行うユニットである。
硬貨入出金機7bは、硬貨の鑑別や保管等の処理を行うユニットである。
制御ユニット7cは、ATM1の各部の動作を制御する制御部が搭載されたユニットである。
電源ユニット7dは、ATM1の各部に電源を供給するユニットである。
【0043】
また、図2及び図3に示すように、ATM1は、フロントパネル3の上端部が、第1支点部31によって筐体2の上部に軸支されている。これによって、フロントパネル3は、その下端部が筐体2に対して上下方向に開閉可能な構成となっている。
【0044】
係員は、保守時に、フロントパネル3の下端部を筐体2に対して上方向に持ち上げることによって、フロントパネル3を開く。以下、ATM扉4やフロントパネル3等を開く動作を「開放」と称する場合がある。
【0045】
フロントパネル3は、表示操作部16が後記する固定部によって固定されており、表示操作部16を移動自在に支持している。そのため、フロントパネル3は、保守時に、係員によって開かれると、図2及び図3に示すように、表示操作部16を、筐体2の内部から引き出されるユニット6,7よりも上方にずれた位置に移動させる。
【0046】
なお、フロントパネル3は、開放時に、係員の意図しないタイミングで、勝手に閉じないように(すなわち、下端部が勝手に下方向に回動しないように)することが好ましい。そのためには、フロントパネル3は、好ましくは、開放時の重心が後向きにかかるように、開放時の開放角度が設定されるとよい。
【0047】
又は、フロントパネル3は、好ましくは、開放時に、ガススプリングやステー等の図示せぬ支持部材によって支持されるようにしてもよい。例えば、ATM1は、筐体2とフロントパネル3との間に、ガススプリングやステー等の図示せぬ支持部材を備え、フロントパネル3を開放させる場合に、支持部材によってフロントパネル3を支える構成にするとよい。この場合に、ATM1は、好ましくは、支持部材としてのガススプリングやステーの支点の位置を複数段階で変化できるようにすると、フロントパネル3の開放角度を調整することも可能になる。また、表示操作部16は、表示面の向き(表示面の法線方向)を任意の角度に調整することが可能になる。
【0048】
係る構成において、係員は、例えば、ユニット6,7を保守する場合に、まず、ATM扉4に設けられた扉錠71(図10参照)を開錠して、ATM扉4を開く。これにより、ATM1は、筐体2の下部部分が開放された状態となる。ただし、ATM1は、この時点で、下部ユニット7が筐体2の内部から外部に引き出されると、下部ユニット7が表示操作部16と接触して、表示操作部16が損傷する可能性がある。そこで、本実施形態1では、ATM1は、ATM扉4及びフロントパネル3の双方が開いた場合に、下部ユニット7の引き出しが可能になるように、下部ユニット7の引き出しを規制する図示せぬ機構を備えているものとする。したがって、本実施形態1では、ATM1は、この時点では、下部ユニット7が引き出せない状態になっている。
【0049】
次に、係員は、フロントパネル3に設けられた図示せぬ扉錠を開錠して、フロントパネル3の下端部を上方向(筐体2に対して離間する方向)に持ち上げる。すると、フロントパネル3は、第1支点部31を中心にして矢印R1方向に回転移動(回動)する。これにより、ATM1は、フロントパネル3が開いて、筐体2の上部部分が開放された状態となる。また、ATM1は、表示操作部16を、筐体2の内部から引き出されるユニット6,7よりも上方にずれた位置に移動させる。このとき、ATM1は、ユニット6,7の双方を筐体2から引き出すことが可能な状態になる。
【0050】
この後、係員は、ユニット6,7を筐体2の内部から筐体2の前面側に引き出して、ユニット6,7に対する保守作業を行う。そして、係員は、ユニット6,7に対する保守作業が終了すると、まず、フロントパネル3を閉じて、フロントパネル3に設けられた図示せぬ扉錠を施錠し、次に、ATM扉4を閉じて、ATM扉4に設けられた扉錠71(図10参照)を施錠する。
【0051】
なお、ATM1は、保守時に、フロントパネル3を開けた状態(すなわち、フロントパネル3を図2及び図3に示す矢印R1方向に回動させた状態)で、係員がATM1の前面側から表示操作部16を見ると、表示操作部16の裏面が見える。このとき、表示操作部16は、図4(a)及び図4(b)に示すように、表示操作部16の下端部14bが上に配置され、表示操作部16の上端部14tが下に配置された状態になっている。
【0052】
ATM1は、そのままの状態では、表示操作部16の表示面を係員に見せることができない。そこで、ATM1は、図3に示すように、第2支点部42を中心にして表示操作部16を矢印R2方向に回動させて、表示操作部16の表示面とその裏面とを反転させるための機構を有している。具体的には、ATM1は、フロントパネル3と表示操作部16とが以下のような構成になっている。
【0053】
フロントパネル3は、図2及び図3に示すように、前記した対向面(表示操作部16に対向する側の面)の、当接部10(図4参照)の周囲に、対向面から外方向に突出する第1突出部41が設けられている。その第1突出部41は、先端部に第2支点部42が設けられている。第2支点部42は、保守時に、表示操作部16の表示面とその裏面とが反転するように、表示操作部16を回動可能に軸支する構成要素である。
【0054】
また、フロントパネル3は、紙幣入出金口21(図1参照)を開閉するシャッタ(図示せず)及び硬貨入出金口22(図1参照)を開閉するシャッタ(図示せず)を収納するためのシャッタ収納部26(図3参照)をそれぞれ紙幣入出金口21(図1参照)及び硬貨入出金口22(図1参照)の周囲に備えている。
【0055】
一方、表示操作部16は、図4に示すように、その裏面の上端部14t付近に、裏面から外方向に突出する第2突出部51が設けられている。その第2突出部51は、先端部に係合部52が設けられている。係合部52は、フロントパネル3の第2支点部42(図2参照)と回動自在に係合する構成要素である。
【0056】
表示操作部16は、その第2突出部51の係合部52がフロントパネル3の第2支点部42と回動自在に係合することにより、図3に示すように、第2支点部42を中心にして矢印R2方向に回動することができる。
【0057】
表示操作部16は、矢印R2方向に回動すると、図示せぬストッパと接触して、回動が停止する。これによって、表示操作部16は、表示部がATM1の前面側を向いた状態で保持される。このとき、表示操作部16は、図4(d)に示すように、表示操作部16の上端部14tが上に配置され、表示操作部16の下端部14bが下に配置された状態になる。
【0058】
このようなATM1は、フロントパネル3の第2支点部42(図2参照)と表示操作部16の係合部52(図4参照)とが係合することによって、表示操作部16を回動可能に軸支している。そのため、ATM1は、第2支点部42を中心にして、表示操作部16の表示面とその裏面とを反転させることができる。
【0059】
なお、本実施形態1では、表示操作部16は、矢印R2方向(図3参照)に回動した場合に、図示せぬストッパと接触することによって、回動が停止する構成になっている。しかしながら、表示操作部16は、ストッパと接触する前に、任意の角度で回動を一時的に停止させる構成にするようにしてもよい。この場合に、表示操作部16は、表示面の向き(表示面の法線方向)を任意の角度に調整することが可能になる。
【0060】
(固定部の構成)
フロントパネル3は、前記した通り、表示操作部16が後記する固定部によって固定されており、表示操作部16を移動自在に支持している。その固定部の一例を図4に示す。図4(a)は、フロントパネル3を開けた状態(すなわち、フロントパネル3を図2及び図3に示す矢印R1方向に回動させた状態)での、側面方向から見た表示操作部16の構成を示している。また、図4(b)は、表示操作部16の裏面の構成を示している。また、図4(c)は、表示操作部16をフロントパネル3に固定する固定部の構成を示している。また、図4(d)は、表示操作部16の表示面の構成を示している。
【0061】
図4に示す例では、固定部は、つまみねじ53として構成されている。つまみねじ53は、図4(c)示すように、表示操作部16の下端部14bの近傍に配置されている。つまみねじ53は、雄ねじ53aが、表示操作部16に形成された開口部及び抜け防止用のワッシャー53bを介して、フロントパネル3に形成された雌ねじ53cに嵌め合わされることにより、表示操作部16をフロントパネル3に固定する。
【0062】
なお、前記した固定部(図4に示すつまみねじ53)は、別の構成に変更することができる。以下、図5、図6A、及び、図6Bを参照して、本実施形態1に用いる固定部の別の構成につき説明する。図5、図6A、及び、図6Bは、それぞれ、実施形態1に用いる固定部の構成を示す図である。
【0063】
図5は、固定部をパチン錠55で構成した場合の例を示している。図5(a)及び図5(b)に示す例では、固定部としてのパチン錠55は、表示操作部16の側面に設けられている。図5(c)及び図5(d)に示すように、パチン錠55は、キーパ55a、アーム55b、レバー55c、ベース55d、及び、シャフト55eを備えている。
【0064】
キーパ55aは、フロントパネル3に取り付けられている。ベース55dは、表示操作部16の側面の、キーパ55aに対向する位置に取り付けられている。ベース55dは、シャフト55eによって、レバー55cを軸支している。
【0065】
レバー55cは、図5(c)に示すように、アーム55bがシャフト55eよりも後端側の位置で回動自在に取り付けられている。そのアーム55bは、先端部がキーパ55aに設けられたフックに係合する。
【0066】
パチン錠55は、アーム55bの先端部がキーパ55aのフックに係合した状態で、レバー55cが回動されることにより、アーム55bの先端部がキーパ55aのフックから離間する方向に移動する。その結果、アーム55bの先端部とキーパ55aのフックとが強固に噛み合う。これにより、パチン錠55は、表示操作部16をフロントパネル3に固定する。
【0067】
図6A及び図6Bは、固定部をロックシャフト機構56で構成した場合の例を示している。図6A(a)に示すように、ロックシャフト機構56は、ロックシャフト56a、フック56b、ブラケット56c、及び、ロックスプリング56dを備えている。
【0068】
ロックシャフト56aは、表示操作部16の裏面に当接し、その裏面と平行に摺動する部材である。フック56bは、ロックシャフト56aに係合される部材である。ブラケット56cは、ロックシャフト56aを摺動自在に支持する部材である。ロックスプリング56dは、ロックシャフト56aをフック56bに係合される側に付勢する部材である。
【0069】
ロックシャフト機構56は、ブラケット56cが表示操作部16の側面に取り付けられており、また、フック56bがフロントパネル3の対向面に取り付けられている。なお、フック56bは、パネル3の対向面の、ブラケット56cよりも外側となる位置に、取り付けられている。
【0070】
ブラケット56cは、表示操作部16の裏面と平行な長孔状の開口部56ba(図6A(b)及び図6A(c)参照)が形成されている。ロックシャフト56aは、その開口部56baを貫通するように配置されており、開口部56baの内部を図6A(c)に示す矢印方向に摺動する。
【0071】
ロックシャフト機構56は、通常時に、ロックシャフト56aがフック56bと係合することにより、表示操作部16をフロントパネル3に固定している。
【0072】
係員は、保守時に、図6B(a)に示す矢印方向にロックシャフト56aを摺動させる。これにより、ロックシャフト機構56は、ロックシャフト56aとフック56bとの係合が解かれる。その結果、表示操作部16が、第2支点部42を中心にして、回動可能な状態になる。ロックシャフト機構56は、係員によって表示操作部16が回動されると、ロックシャフト56aがロックスプリング56dの付勢力によって元の位置に戻される。
【0073】
(表示画面の切り替え制御)
係る構成において、ATM1は、好ましくは、通常時と保守時とで、表示画面が顧客用画面及び係員用画面のいずれか一方に自動的に切り替わるようにするとよい。
【0074】
このような構成は、例えば、前記した表示制御用の図示せぬ制御部が、表示操作部16の表示面の法線方向を検知する検知部(以下、「方向検知部」と称する)の検知結果を識別することによって実現することができる。
【0075】
又は、このような構成は、例えば、前記した表示制御用の図示せぬ制御部が、係員によって行われる特定の動作を検知する検知部(以下、「動作検知部」と称する)の検知結果を識別することによっても実現することができる。なお、「係員によって行われる特定の動作」とは、通常時のモードから保守時のモードに切り替える際に行われる動作(例えば、ATM扉4を開ける動作や、表示操作部16から特定の指示を入力する動作等)、保守時のモードから通常時のモードに切り替える際に行われる動作(例えば、ATM扉4を閉める動作や、表示操作部16から特定の指示を入力する動作等)を意味している。
【0076】
以下、図7〜図12を参照して、本実施形態1に係る操作表示部16の表示画面の切り替え動作につき説明する。図7は、実施形態1に係る表示部の表示画面の一例を示す図である。図8及び図9は、それぞれ、実施形態1に係る方向検知部の構成を示す図である。図10〜図12は、それぞれ、実施形態1に係る動作検知部の構成を示す図である。
【0077】
方向検知部は、例えば、図8に示すフォトセンサ62によって構成することができる。以下、図8を参照して、方向検知部としてのフォトセンサ62の構成につき説明する。図8(a)及び図8(b)は、フォトセンサ62とその対となる部材である遮光プレート61の取り付け位置の一例を示している。図8(c)は、遮光プレート61の構成を拡大して示している。図8(d)は、遮光プレート61とフォトセンサ62との関係を示している。
【0078】
図8(a)及び図8(b)に示す例では、ATM1は、遮光プレート61が、表示操作部16の側面の、下端部14bの近傍の位置に取り付けられている。また、フォトセンサ62が、フロントパネル3の対向面の、遮光プレート61に対向する位置に設けられている。
【0079】
図8(c)及び図8(d)に示すように、遮光プレート61は、突起部61aを備えている。一方、図8(d)に示すように、フォトセンサ62は、センサ部62aを備えている。遮光プレート61の突起部61aは、遮光プレート61が図8(d)に示す矢印方向に移動することによって、フォトセンサ62のセンサ部62aの内部に挿入される。
【0080】
センサ部62aは、内部に発光部62aa(図8(d)参照)と受光部62ab(図8(d)参照)とを備えており、光が発光部62aaから受光部62abに照射されている。センサ部62aは、例えば、図8(a)及び図8(b)に示すように、表示操作部16の表示面がATM1の後面側を向いている場合(すなわち、表示操作部16の表示面の法線方向がATM1の後面方向である場合)に、遮光プレート61の突起部61aがセンサ部62aの発光部62aaと受光部62abとの間に挿入される。これによって、発光部62aaから照射された光が遮光される。その結果、フォトセンサ62から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される、受光部62abによる検知信号の状態が変化する。
【0081】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、例えば、表示操作部16の表示面がATM1の後面側及びATM1の前面側のいずれの方向を向いているのかを(すなわち、表示操作部16の表示面の法線方向がATM1の後面方向及び前面方向のいずれの方向であるのかを)検知することができる。
【0082】
また、方向検知部は、例えば、図9に示すマイクロスイッチ67によって構成することができる。以下、図9を参照して、方向検知部としてのマイクロスイッチ67の構成につき説明する。
【0083】
図9(a)及び図9(b)に示す例では、ATM1は、スイッチプレート66が、表示操作部16の側面の、下端部14bの近傍の位置に取り付けられている。また、ブラッケット68が、フロントパネル3の対向面の、スイッチプレート66に対向する位置に設けられている。そのブラッケット68には、マイクロスイッチ67が、取り付けられている。
【0084】
図9(c)に示すように、スイッチプレート66が、突起部66aを備えている。突起部66aは、平坦な板を略中央で折り曲げた形状に形成されている。突起部66aは、表示操作部16の裏面側の先端部から折り曲がった箇所までが表示操作部16の厚さ方向に対して平行に形成されており、折り曲がった箇所から表示操作部16の表示面側の先端部までがマイクロスイッチ67から離間する方向に形成されている。突起部66aは、マイクロスイッチ67と対向する側の面がマイクロスイッチ67のスイッチ67a(図9(d)参照)の先端部と接触する。
【0085】
図9(d)に示すように、マイクロスイッチ67は、スイッチ67aを備えている。スイッチ67aは、図示せぬ付勢手段によって、スイッチプレート66の突起部66aに対して接近する方向に付勢されている。
【0086】
スイッチ67aは、例えば、図9(b)及び図9(e)に示すように、表示操作部16の表示面がATM1の後面側を向いている場合(すなわち、表示操作部16の表示面の法線方向がATM1の後面方向である場合)に、スイッチプレート66の突起部66aと接触して、スイッチプレート66の突起部66aに対して離間する方向に摺動する。その結果、マイクロスイッチ67から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。
【0087】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、例えば、表示操作部16の表示面がATM1の後面側及びATM1の前面側のいずれの方向を向いているのかを(すなわち、表示操作部16の表示面の法線方向がATM1の後面方向及び前面方向のいずれの方向であるのかを)検知することができる。
【0088】
このように方向検知部を用いれば、例えば、フロントパネル3を開放し、表示操作部16の表示面をATM1の前面側の方向に向けたときに、自動的に表示画面を係員用画面に切り替えることができる。
【0089】
動作検知部は、例えば、図10に示すマイクロスイッチ72や、図11に示すマイクロスイッチ75、図12に示すマイクロスイッチ77によって構成することができる。また、動作検知部は、制御ユニット7cに搭載された表示制御用の図示せぬ制御部が、顧客や係員によって行われる表示操作部16の操作内容を検知することによっても、実現することができる。
【0090】
図10に示す例では、ATM1は、マイクロスイッチ72が、ATM扉4の内部に取り付けられている。ATM1は、ATM扉4の周囲に、ATM扉4をロックするための扉錠71が設けられている。扉錠71は、扉キー73が挿入されるキーシリンダを備えている。扉錠71は、係員が扉キー73をキーシリンダに挿入して回動すると、その先端部が回動する構成になっている。
【0091】
図10(b)及び図10(c)に示すように、扉錠71の先端部には、外周方向に突出するスイッチカム71aが設けられている。そのスイッチカム71aの周囲には、マイクロスイッチ72が、設けられている。マイクロスイッチ72は、固定端が図示せぬシャフトによって回動自在に軸支されたレバー72aと、レバー72aによって押下される押ボタン72bとを備えている。レバー72a及び押ボタン72bは、扉錠71の先端部に設けられたスイッチカム71aの外周に対向するように、配置されている。
【0092】
ATM1は、係員が扉キー73をキーシリンダに挿入して、扉キー73を図10(c)に示す「扉開放方向」に回動すると、ATM扉4のロックが開錠される。
【0093】
一方、ATM1は、係員が扉キー73をキーシリンダに挿入して、扉キー73を図10(c)に示す「係員用画面表示方向」に回動すると、スイッチカム71aがマイクロスイッチ72の方向に回動する。これにより、マイクロスイッチ72は、スイッチカム71aの先端がレバー72aの自由端側に接触する。その結果、レバー72aが、転倒して、押ボタン72bを押下する。これにより、マイクロスイッチ72から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。
【0094】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、係員が扉キー73を係員用画面表示方向に回動させたことを検知することができる。
【0095】
なお、係員がATM扉4を閉める場合は、係員が初期位置(扉キー73をキーシリンダに挿入したときの位置)方向に扉キー73を回動する。これにより、スイッチカム71aの先端がレバー72aから離れる。その結果、レバー72aが、起立して、押ボタン72bの頭部から離れる。これにより、マイクロスイッチ72から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。
【0096】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、係員がATM扉4を閉めたことを検知することができる。
【0097】
図11は、別の動作検知部としてのマイクロスイッチ75の構成を示している。図11に示す例では、ATM1は、扉錠71の代わりに、扉錠71Aが設けられている。
【0098】
扉錠71Aは、その先端部がキースライダ74として構成されている。扉錠71Aは、係員が扉キー73をキーシリンダに挿入して回動すると、その先端部のキースライダ74が軸方向に摺動する。そのキースライダ74の摺動方向には、マイクロスイッチ75が、設けられている。
【0099】
マイクロスイッチ75は、固定端が図示せぬシャフトによって回動自在に軸支されたレバー75aと、レバー75aによって押下される押ボタン75bとを備えている。レバー75a及び押ボタン75bは、扉錠71の先端部のキースライダ74に対向するように、配置されている。
【0100】
このマイクロスイッチ75は、係員が扉キー73をキーシリンダに挿入して、扉キー73を「係員用画面表示方向」(図10(c)参照)に回動させると、キースライダ74がレバー75aの自由端側に接触する。その結果、レバー75aが、転倒して、押ボタン75bを押下する。これにより、マイクロスイッチ75から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。
【0101】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、係員がATM扉4を開けたこと(キーシリンダに扉キー73を挿したこと)を検知することができる。
【0102】
なお、係員がATM扉4を閉める場合は、係員が初期位置方向に扉キー73を回動する。これにより、キースライダ74がレバー75aから離れる。その結果、レバー75aが、起立して、押ボタン75bの頭部から離れる。これにより、マイクロスイッチ75から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。
【0103】
前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、係員がATM扉4を閉めたこと(キーシリンダから扉キー73を抜いたこと)を検知することができる。
【0104】
図12は、さらに別の動作検知部としてのマイクロスイッチ77の構成を示している。図12に示す例では、ATM扉4は、その内側の、右辺側に、ATM扉4を軸支する蝶番79が設けられており、その蝶番79を中心にして左辺側が開閉される構成になっている。また、ATM扉4は、その内側の、左辺側に、スイッチブラケット78が設けられている。また、ATM1の筐体2は、スイッチブラケット78と対向する位置に、マイクロスイッチ77が設けられている。図12に示す例では、マイクロスイッチ77は、頭部がスイッチブラケット78と接触する構成になっている。
【0105】
図12(b)に示すように、係員がATM扉4を開けると、スイッチブラケット78がマイクロスイッチ77の頭部から離れる。これにより、マイクロスイッチ77がOFF状態になる。一方、図12(c)に示すように、係員がATM扉4を閉めると、スイッチブラケット78がマイクロスイッチ77の頭部と接触する。これにより、マイクロスイッチ77がON状態になる。その結果、ATM扉4が開閉されると、マイクロスイッチ77から前記した表示制御用の図示せぬ制御部に出力される検知信号の状態が変化する。前記した表示制御用の図示せぬ制御部は、その検知信号の状態を識別することによって、係員がATM扉4を閉めたことを検知することができる。
【0106】
このように動作検知部を用いれば、例えば、係員がATM扉4を開けると、自動的に表示画面を係員用画面に切り替えることができる。
【0107】
(ケーブル保護部材の構成)
ATM1は、表示操作部16と前記した表示制御用の図示せぬ制御部とを通信可能に接続するケーブル81(図13(b)及び図13(c)参照)が、フロントパネル3の対向面に沿って配線されている。
【0108】
そのケーブル81は、表示操作部16がフロントパネル3の当接部10(図4参照)に対して回動する構成になっているため、その一部がフロントパネル3の対向面から表示操作部16に向けて外側に引き出される。そのため、ケーブル81が、その周囲の部材と接触して損傷する可能性がある。
【0109】
そこで、ATM1は、好ましくは、ケーブル81がその周囲の部材と接触して損傷しないように、例えば、図13(a)に示すケーブル保護部材82によってケーブル81を保護する構成にするとよい。
【0110】
なお、図13は、実施形態1に係るケーブル保護部材の構成を示す図である。図13(b)は、ケーブル保護部材82としての連結部材82aの構成を一例として示している。連結部材82aは、内部に空洞が形成され、他の部材と連結することが可能な部材である。図13(c)は、ケーブル保護部材82としてのコルゲートチューブ82bの構成を一例として示している。コルゲートチューブ82bは、樹脂によって構成された筒状体である。ATM1は、ケーブル保護部材82でケーブル81を保護することによって、ケーブル81が損傷するのを防止することができる。
【0111】
(封止部材の構成)
前記した通り、ATM1は、表示操作部16がフロントパネル3の当接部10(図4参照)に対して回動する構成になっている。そのため、ATM1は、表示操作部16とフロントパネル3の当接部10との間に隙間が発生する可能性がある。ATM1は、表示操作部16とフロントパネル3の当接部10との間に隙間が発生すると、異物がATM1の内部に侵入する恐れがあるため、好ましくない。
【0112】
そこで、ATM1は、好ましくは、表示操作部16とフロントパネル3の当接部10(図4参照)との間に隙間ができないように、例えば、図14に示す封止部材3bによって表示操作部16とフロントパネル3の当接部10との間を塞ぐ構成にするとよい。
【0113】
なお、図14は、実施形態1に係る封止部材の構成を示す図である。図14(a)は、表示操作部16の表示面方向から見た、封止部材3bの配置位置を一例として示している。また、図14(b)は、表示操作部16の側面方向から見た、封止部材3bの配置位置を一例として示している。
【0114】
図14に示す例では、フロントパネル3の当接部10は、開口部9の四隅を囲むベゼル3aとして構成されている。封止部材3bは、そのベゼル3aの先端部に設けられている。ATM1は、封止部材3bによって表示操作部16とフロントパネル3の当接部10との間を塞がれているため、異物が内部に侵入するのを防止することができる。
【0115】
なお、封止部材3bとしては、例えば、日東電工製「エプトシーラー」(商品名)等を用いることができる。また、封止部材3bは、弾性を有するものを用いることにより、表示操作部16にかかる衝撃を緩和するクッションとしても機能させることができる。
【0116】
(位置規制部材の構成)
前記した通り、ATM1は、表示操作部16がフロントパネル3の当接部10(図4参照)に対して回動する構成になっている。そのため、ATM1は、表示操作部16の位置が左右方向又は上下方向にずれる可能性がある。
【0117】
ATM1は、表示操作部16の位置がずれると、係員や顧客に違和感を与えるため、好ましくない。例えば、ATM1は、表示操作部16の位置が右方向に2mmずれると、表示操作部16の右辺が開口部9の右辺に2mm接近し、左辺が開口部9の左辺から2mm離間する。そのため、表示操作部16の右辺と左辺とでは、開口部9からの距離の違いが、4mmになる。したがって、ATM1は、表示操作部16の位置がずれると、表示操作部16が所定の位置から著しくずれているかのような、悪い印象を顧客や係員に与え、その結果、ATM1に対する顧客や係員の信頼性を低下させる可能性がある。
【0118】
そこで、ATM1は、好ましくは、例えば、図15に示す位置規制部材85や図16に示す位置規制部材87を有する構成にするとよい。位置規制部材は、フロントパネル3の当接部10(図4参照)に対する表示操作部16の左右方向の位置を規制する部材である。なお、図15及び図16は、それぞれ、実施形態1に係る位置規制部材の構成を示す図である。
【0119】
図15(a)は、表示操作部16の裏面方向から見た、位置規制部材としての位置規制ブラケット85の構成を示している。図15(b)は、表示操作部16の下端部14b方向から見た、位置規制ブラケット85の構成を示している。
【0120】
位置規制ブラケット85は、表示操作部16の下端部14b付近に、表示操作部16の左右に1個ずつ配置されている。位置規制ブラケット85は、平坦な板を両端部で同方向に折り曲げた形状に形成されている。
【0121】
位置規制ブラケット85の一方の端部は、直角に折り曲げられており、固定端として、フロントパネル3の対向面に取り付けられている。また、位置規制ブラケット85の他方の端部は、自由端となっており、表示操作部16の側面から離間するように、鈍角に折れ折り曲げられている。
【0122】
表示操作部16の左右に配置された2個の位置規制ブラケット85は、互いの対向面が、表示操作部16の側面と接触する。これにより、ATM1は、表示操作部16の位置がずれるのを防止することができる。
【0123】
図16(a)は、表示操作部16の裏面方向から見た、位置規制部材としての位置規制ポスト87の構成を示している。図16(b)は、表示操作部16の下端部14b方向から見た、位置規制ポスト87の構成を示している。図16に示す例では、フロントパネル3は、表示操作部16の右側に、位置規制ポスト87が配置されている。
【0124】
位置規制ポスト87は、突出部87aを備え、その突出部87aが、位置規制ポスト87に対向して配置される位置決めプレート86の開口部86aに嵌合する部材である。図16に示す例では、位置規制ポスト87は、フロントパネル3の対向面の、表示操作部16の右辺よりも外側の位置に、配置されている。位置規制ポスト87は、突出部87aが、フロントパネル3の対向面から垂直方向に突出するように形成されている。
【0125】
なお、表示操作部16は、位置決めプレート86が、位置規制ポスト87に対向する位置に取り付けられている。位置決めプレート86は、平坦な板をL字状に折り曲げた形状に形成されている。位置決めプレート86は、開口部86aが、位置規制ポスト87に対向する位置に形成されている。
【0126】
図16に示す例では、ATM1は、位置規制ポスト87が位置決めプレート86の開口部86aに嵌合する。これによって、ATM1は、表示操作部16の位置がずれるのを防止することができる。
【0127】
(開口部の構成)
図15に示す位置規制部材85や図16に示す位置規制部材87は、表示操作部16の位置を物理的に規制することによって、表示操作部16の位置がずれないようにしている。これにより、位置規制部材85,87は、係員や顧客に違和感を与えるのを防止している。
【0128】
しかしながら、ATM1は、フロントパネル3に形成された開口部9の構成を工夫することにより、仮に、表示操作部16の位置がずれても、係員や顧客に違和感を与えるのを防止することができる。
【0129】
以下、図17A及び図17Bを参照して、フロントパネル3に形成された開口部9の構成につき説明する。図17A及び図17Bは、それぞれ、実施形態1に係るフロントパネルの表示部周りの構成を示す図である。
【0130】
図17Aに示す例では、ATM1は、開口部9の内周が、表示操作部16の想定される位置ズレ量に基づくマージン量以上に(例えば、想定される位置ズレ量の2倍、4倍…等の値に)表示操作部16の表示領域18の外周から外側に離間するように、開口部9の内周と表示操作部16の表示領域18の外周との間に、離間領域9aが設けられた構成になっている。
【0131】
例えば、図17Aに示す例では、ATM1は、開口部9の内周の上辺を表示操作部16の表示領域18の外周の上辺から距離a1以上外側に離間させ、開口部9の内周の下辺を表示操作部16の表示領域18の外周の下辺から距離a2以上外側に離間させ、開口部9の内周の左辺を表示操作部16の表示領域18の外周の左辺から距離a3以上外側に離間させ、開口部9の内周の右辺を表示操作部16の表示領域18の外周の右辺から距離a4以上外側に離間させるように、離間領域9aが設けられた構成になっている。
【0132】
これにより、ATM1は、仮に、表示操作部16の位置がずれても、違和感を顧客や係員に与えない程度に、表示操作部16の位置のずれを目立たなくすることができる。
【0133】
また、図17Bに示す例では、ATM1は、開口部9の内周が、表示操作部16の想定される位置ズレ量に基づくマージン量以上に表示操作部16の表示領域18の外周から内側に離間するように、開口部9の内周と表示操作部16の表示領域18の外周との間に、離間領域9aが設けられた構成になっている。
【0134】
例えば、図17Bに示す例では、ATM1は、開口部9の内周の上辺を表示操作部16の表示領域18の外周の上辺から距離b1以上内側に離間させ、開口部9の内周の下辺を表示操作部16の表示領域18の外周の下辺から距離b2以上内側に離間させ、開口部9の内周の左辺を表示操作部16の表示領域18の外周の左辺から距離b3以上内側に離間させ、開口部9の内周の右辺を表示操作部16の表示領域18の外周の右辺から距離b4以上内側に離間させるように、離間領域9aが設けられた構成になっている。
【0135】
これにより、ATM1は、仮に、表示操作部16の位置がずれても、表示操作部16の四隅が開口部9よりも外側に位置するため、フロントパネル3によって、表示操作部16の位置のずれを隠すことができる。
【0136】
(緩衝部材の構成)
前記した通り、ATM1は、表示操作部16がフロントパネル3の当接部10(図4参照)に対して回動する構成になっている。そのため、ATM1は、表示操作部16の表示面の方向が変更される度に、精密機械である表示操作部16に衝撃を与える可能性があり、表示操作部16が損傷する可能性がある。
【0137】
そこで、ATM1は、好ましくは、表示操作部16の表示面の方向が変更される場合に、変更される向きとは逆向きの押圧力を表示操作部16に与えて、表示操作部16にかかる衝撃力を弱める緩衝部材を有する構成にするとよい。
【0138】
緩衝部材としては、例えば、図18Aに示すガススプリング91によって構成することができる。以下、図18Aを参照して、緩衝部材としてのガススプリング91の構成につき説明する。
【0139】
図18Aに示すように、ガススプリング91は、筒92と、筒92の内部を摺動するピストンロッド94とを備える構成となっている。ガススプリング91は、筒92の先端部が第1スタッド93によってフロントパネル3に軸支されている。また、ガススプリング91は、ピストンロッド94の先端部が第2スタッド95によって表示操作部16の第2突出部51aに軸支されている。
【0140】
なお、第2突出部51aは、図4に示す第2突出部51と同様の構成要素であるが、第2スタッド95を配置する必要があるため、図4に示す第2突出部51よりも面積の広い平坦面を有する板状の構成要素として形成されている。第2スタッド95は、その第2突出部51aの係合部52の周囲に配置されている。
【0141】
ガススプリング91は、表示操作部16を図18A(a)に示す矢印R2方向に回動させる場合に、図18A(b)に示す状態から図18A(c)に示す状態に変化する。これにより、表示操作部16の表示面の方向が変更される。このとき、ピストンロッド94は、ガススプリング91の長さ(筒92の先端部からピストンロッド94の先端部までの長さ)が縮む方向に、筒92の内部を摺動する。
【0142】
逆に、ガススプリング91は、表示操作部16を図18A(a)に示す矢印R3方向に回動させる場合に、図18A(c)に示す状態から図18A(b)に示す状態に変化する。これにより、表示操作部16の表示面の方向が変更される。このとき、ピストンロッド94は、ガススプリング91の長さ(筒92の先端部からピストンロッド94の先端部までの長さ)が延びる方向に、筒92の内部を摺動する。
【0143】
ガススプリング91は、筒92の内部にガスが封入されており、ピストンロッド94が筒92の内部を摺動する際に、ガスが筒92の内部を移動する。これによって、ガススプリング91は、ガスがピストンロッド94の進行方向とは逆向きの押圧力をピストンロッド94に与える。そのため、ピストンロッド94は、筒92の内部をゆっくりと摺動する。
【0144】
その結果、ATM1は、表示操作部16の表示面の方向が変更される場合に、変更される向きとは逆向きの押圧力を表示操作部16に与えて、表示操作部16にかかる衝撃力を弱めることができる。
【0145】
なお、ATM1は、好ましくは、例えば、ガススプリング95の支点(図18Aに示す第1スタッド93及び第2スタッド95)の位置を複数段階で変化できるようにすると、表示操作部95の回動角度を調整することも可能になる。この場合に、表示操作部16は、表示面の向き(表示面の法線方向)を任意の角度に調整することが可能になる。
【0146】
また、緩衝部材としては、例えば、図18Bに示すダンパ99によって構成することができる。以下、図18Bを参照して、緩衝部材としてのダンパ99の構成につき説明する。
【0147】
図18Bに示すように、フロントパネル3には、ダンパ99が取り付けられている。また、ギヤ98が、表示操作部16の第2突出部51bに設けられている。なお、第2突出部51bは、図4に示す第2突出部51と同様の構成要素であるが、ギヤ98が取り付けられた構成となっている。
【0148】
ギヤ98は、フロントパネル3の第1突出部41(図2及び図3参照)の第2支点部42(図2及び図3参照)と同軸上に設けられている。ギヤ98は、ダンパ99と噛み合っている。ダンパ99は、表示操作部16が第2支点部42(図2及び図3参照)を中心にして回動する場合に、回動方向とは逆向きの負荷をギヤ98に与える。
【0149】
その結果、ATM1は、表示操作部16の表示面の方向が変更される場合に、変更される向きとは逆向きの押圧力を表示操作部16に与えて、表示操作部16にかかる衝撃力を弱めることができる。
【0150】
このようなATM1は、例えば、保守時に、筐体2の内部から引き出されるユニット6,7からずれた位置に、表示操作部16を移動させることができる。これにより、ATM1は、表示操作部16の画面がユニット6,7に隠れて見え難くなるのを回避することができる。そのため、係員は、画面を見るために、ユニット6,7を筐体2の内部に押し込んだり、逆に、ユニット6,7を操作するために、ユニット6,7を筐体2の外部に引き出したりする動作を繰り返し行う必要がない。したがって、ATM1は、保守作業をし易くすることができ、その結果、保守作業の効率の低下を回避することができる。
【0151】
また、ATM1は、下部ユニット7が引き出される際に、表示操作部16が下部ユニット7からずれた位置に移動しているため、下部ユニット7が表示操作部16に接触するのを回避することができる。そのため、ATM1は、表示操作部16が損傷するのを防止することができる。
【0152】
以上の通り、本実施形態1に係るATM1によれば、保守時に、表示操作部16の画面がユニット6,7に隠れて見え難くなるのを回避することができる。そのため、ATM1によれば、保守作業をし易くすることができ、その結果、保守作業の効率の低下を回避することができる。
【0153】
また、ATM1によれば、下部ユニット7が引き出される際に、下部ユニット7が表示操作部16に接触するのを回避することができる。そのため、ATM1によれば、表示操作部16が損傷するのを防止することもできる。
【0154】
[実施形態2]
本実施形態2に係る自動取引装置(以下、「ATM1B」と称する)は、表示操作部(以下、「表示操作部16B」と称する)が筐体2から取り外して持ち運び可能な構成になっている。
【0155】
以下、図19を参照して、ATM1Bの構成につき説明する。図19は、実施形態2に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【0156】
ATM1Bは、表示操作部16Bが筐体2から取り外し可能な構成になっている。その表示操作部16Bは、ケーブル81によって、筐体2内部の制御ユニット7cに搭載された表示制御用の図示せぬ制御部と通信可能に接続されている。
【0157】
そして、ATM1Bは、通常時に、フロントパネル3が、表示操作部16Bを筐体2の前面側の所定の位置に固定している。また、ATM1Bは、保守時に、フロントパネル3が、表示操作部16Bに対する固定を解除して、表示操作部16Bを所定の位置から持ち運び可能な状態にする。
【0158】
なお、ATM1Bは、好ましくは、表示操作部16Bに対する固定の解除状態を検知する図示せぬセンサを設け、そのセンサを用いて自動的に表示画面を切り替える構成にするとよい。この場合に、ATM1Bは、表示操作部16Bに対する固定が解除されたときに、そのセンサが作動して、自動的に表示画面を係員用画面に切り替えることが可能になる。
【0159】
なお、図19に示す例では、ATM1Bは、表示操作部16Bと表示制御用の図示せぬ制御部との間に、通信を中継する中継基板81aが設けられた構成になっている。そして、ATM1Bは、ケーブル81bによって、表示操作部16Bと中継基板81aとを接続し、さらに、ケーブル81bによって、中継基板81aと表示制御用の図示せぬ制御部とを接続する構成になっている。
【0160】
また、図19に示す例では、ATM1Bは、表示操作部16Bと中継基板81aとの間に、ケーブル81を巻き取るケーブル巻取部112が設けられた構成になっている。ケーブル81は、係員が筐体2から表示操作部16Bを取り外して持ち運ぶ際に、ケーブル巻取部112の内部から外部に引き出される。そのため、係員は、ケーブル巻取部112から引き出されるケーブル81の長さ以内の範囲であれば、表示操作部16Bを自由に持ち運ぶことができる。
【0161】
なお、ケーブル巻取部112は、常に、ケーブル81に対して収納方向に引っ張り力をかけている。そのため、ケーブル巻取部112は、係員が持ち運ばれた表示操作部16Bを筐体2に戻す(装着する)際に、ケーブル81を内部に収納する。そのため、係員は、ケーブル巻取部112から引き出されたケーブル81が障害となることなく、表示操作部16Bを筐体2に戻すことができる。
【0162】
係員は、保守時に、ATM扉4を開き、さらに、フロントパネル3を開いて、表示操作部16Bを筐体2から取り外し可能な状態にする。そして、係員は、表示操作部16Bの画面が上部ユニット6に隠れて見え難くなりそうであれば、表示操作部16Bを筐体2から取り外して持ち運ぶ。これにより、係員は、表示操作部16Bの画面が上部ユニット6に隠れて見え難くなるのを回避することができるため、上部ユニット6を容易に保守することができる。
【0163】
以上の通り、本実施形態2に係るATM1Bによれば、実施形態1に係るATM1と同様に、保守時に、表示操作部16Bの画面がユニット6,7に隠れて見え難くなるのを回避することができる。したがって、ATM1Bによれば、保守作業をし易くすることができ、その結果、保守作業の効率の低下を回避することができる。
【0164】
また、ATM1Bによれば、下部ユニット7が引き出される際に、表示操作部16Bを下部ユニット7からずれた位置に移動させることができるため、下部ユニット7が表示操作部16Bに接触するのを回避することができる。そのため、ATM1Bによれば、表示操作部16Bが損傷するのを防止することもできる。
【0165】
しかも、ATM1Bによれば、例えば、下部ユニット7を保守する場合に、係員が、屈(かが)みながら、表示操作部16Bを手元に置いた状態で、下部ユニット7を保守することができる。したがって、係員は、表示操作部16Bを見るために立ち上がったり、下部ユニット7を保守するために屈んだりする動作を繰り返すことなく、屈んだ状態のままで、下部ユニット7を保守することができる。そのため、ATM1Bによれば、下部ユニット7を保守する場合に要する係員の労力を低減することもできる。
【0166】
[実施形態3]
本実施形態3に係る自動取引装置(以下、「ATM1C」と称する)は、表示操作部(以下、「表示操作部16C」と称する)が後記するパネル部材122によって支持された構成になっている。そして、表示操作部16Cは、パネル部材122が後記する支点部122aを中心にして回動すると、パネル部材122とともに、回動する。
【0167】
以下、図20を参照して、ATM1Cの構成につき説明する。図20は、実施形態3に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【0168】
図20に示すように、ATM1Cは、筐体2とフロントパネル3との間に、パネル部材122を有している。パネル部材122は、表示操作部16Cが組み込まれたLCDアセンブリとして構成されている。
【0169】
パネル部材122は、一方の端部(図20に示す例では、上端部)が支点部122aとして筐体2に軸支されている。そして、パネル部材122は、保守時に、その支点部122aを中心にして、他方の端部(図20に示す例では、下端部)が筐体2に対して上下方向(図20に示す位置P1又は位置P2のいずれかの方向)に回動する構成となっている。
【0170】
ATM1Cは、フロントパネル3が、通常時に、パネル部材122及び表示操作部16Cの上に配置されることにより、パネル部材122を回動不能な状態にして、表示操作部16Cを筐体2の上に固定している。また、フロントパネル3が、保守時に、上方向に回動されることにより、パネル部材122を回動可能な状態にして、表示操作部16Cに対する固定を解除する。その結果、ATM1Cは、図20に示す位置P1から位置P2に、表示操作部16Cを移動させることができるようになる。
【0171】
係員は、保守時に、ATM扉4を開き、さらに、フロントパネル3を開いて、パネル部材122を回動可能な状態にする。そして、係員は、下部ユニット7が引き出される際に、下部ユニット7が表示操作部16Cに接触しそうであれば、パネル部材122とともに、表示操作部16Cを筐体2に対して上方向(図20に示す位置P1から位置P2に向かう方向)に回動させる。これにより、ATM1Cは、下部ユニット7が表示操作部16Cに接触するのを回避することができる。
【0172】
なお、パネル部材122は、保守時に、係員が下部ユニット7を大きく引き出すことができる構成になっているとよい。そのために、パネル部材122は、位置P2方向に回動されたときに、表示操作部16Cの裏面が下部ユニット7の通過する空間から一定の距離以上離間する位置まで、表示操作部16Cを回動(移動)させる構成になっている。また、パネル部材122は、保守時に、係員が表示操作部16Cの画面を容易に見ることができる構成になっているとよい。そのために、パネル部材122は、係員が位置P2方向に回動して下部ユニット7を引き出した後に、位置P1方向に戻され、その際に、例えば、下部ユニット7や図示せぬ支持部材によって、略水平な状態に支持される構成になっている。
【0173】
以上の通り、本実施形態3に係るATM1Cによれば、下部ユニット7が引き出される際に、表示操作部16Cを下部ユニット7からずれた位置に移動させることができるため、下部ユニット7が表示操作部16Cに接触するのを回避することができる。そのため、ATM1Cによれば、表示操作部16Cが損傷するのを防止することができる。
【0174】
[実施形態4]
本実施形態4に係る自動取引装置(以下、「ATM1D」と称する)は、表示操作部(以下、「表示操作部16D」と称する)が後記するリンク機構131によって支持された構成になっている。そして、表示操作部16Dは、リンク機構131が動作すると、上下方向に移動する。
【0175】
以下、図21を参照して、ATM1Dの構成につき説明する。図21は、実施形態4に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【0176】
図21(a)に示すように、ATM1Dは、筐体2とフロントパネル3との間に、リンク機構131を有している。リンク機構131は、表示操作部16Dを上下方向に移動させる機構である。
【0177】
図21(a)に示すように、リンク機構131は、第1リンク部材132と第2リンク部材133とによって構成されている。なお、ATM1Dは、表示操作部16Dの周囲に、第2リンク部材133の一方の端部が軸支される支持プレート136を有している。支持プレート136は、ATM扉4の内側に収まるように、筐体2からATM扉4側に向けて突出するように設けられている。
【0178】
第1リンク部材132及び第2リンク部材133は、それぞれ、長尺な部材によって構成されている。第1リンク部材132及び第2リンク部材133は、それぞれの中央付近が軸134cによって軸支されている。
【0179】
第1リンク部材132及び第2リンク部材133は、それぞれ、表示操作部16Dの上下左右のいずれかの対向する1対の辺に設けられている。図21に示す例では、第1リンク部材132及び第2リンク部材133は、それぞれ、表示操作部16Dの左辺と右辺とに設けられている。
【0180】
第1リンク部材132は、一方の端部が軸134aによって表示操作部16Dの辺に軸支されており、また、他方の端部が軸134eによって筐体2に軸支されている。なお、第1リンク部材132は、他方の端部に長孔135bが形成されている。軸134eは、その長孔135bに摺動可能な状態で挿入されている。
【0181】
また、第2リンク部材133は、一方の端部が軸134bによって筐体2に設けられた支持プレート136に軸支されており、また、他方の端部が軸134dによって表示操作部16Dの辺に軸支されている。なお、第2リンク部材133は、他方の端部に長孔135aが形成されている。軸134dは、その長孔135aに摺動可能な状態で挿入されている。
【0182】
ATM1Dは、フロントパネル3が、通常時に、リンク機構131及び表示操作部16Dの上に配置されることにより、リンク機構131を動作不能な状態にして、表示操作部16Dを筐体2の上に固定している。また、フロントパネル3が、保守時に、上方向に回動されることにより、リンク機構131を動作可能な状態にして、表示操作部16Dに対する固定を解除する。その結果、ATM1Dは、図21(a)に示す位置P1dから位置P2dに、表示操作部16Dを移動させることができるようになる。
【0183】
係員は、保守時に、ATM扉4を開き、さらに、フロントパネル3を開いて、リンク機構131を動作可能な状態にする。そして、係員は、下部ユニット7が引き出される際に、下部ユニット7が表示操作部16Dに接触しそうであれば、リンク機構131を動作させて、表示操作部16Dを筐体2に対して上方向(図21(a)に示す位置P1dから位置P2dに向かう方向)に移動させる。これにより、ATM1Dは、下部ユニット7が表示操作部16Dに接触するのを回避することができる。
【0184】
以上の通り、本実施形態4に係るATM1Dによれば、下部ユニット7が引き出される際に、表示操作部16Dを下部ユニット7からずれた位置に移動させることができるため、下部ユニット7が表示操作部16Dに接触するのを回避することができる。そのため、ATM1Dによれば、表示操作部16Dが損傷するのを防止することができる。
【0185】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0186】
例えば、フロントパネル3は、ガススプリング等によって、筐体2に対して開閉可能な状態で支持される構成にしてもよい。また、ガススプリングは、オイル等の液体が封入されたスプリング機構に代えることができる。
【符号の説明】
【0187】
1,1B,1C,1D 自動取引装置(ATM)
2 筐体
3 フロントパネル(上部カバー)
3a ベゼル
3b 封止部材
4 ATM扉(下部カバー)
6 上部ユニット
6a カードリーダライタ
6b 通帳記帳機
7 下部ユニット
7a 紙幣入出金機
7b 硬貨入出金機
7c 制御ユニット
7d 電源ユニット
9 開口部
9a 離間領域
10 当接部
11 近接センサ
12 カード挿入排出口
13 通帳挿入排出口
14 表示部(兼用表示部)
14b 下端部
14t 上端部
15 操作部(タッチパネル)
16,16B,16C,16D 表示操作部
17 ハンドセット
18 表示領域
21 紙幣入出金口
22 硬貨入出金口
26 シャッタ収納部
41 第1突出部
42 第2支点部
51,51a,51b 第2突出部
52 係合部
53 つまみねじ(固定部)
53a 雄ねじ
53b ワッシャー
53c 雌ねじ
55 パチン錠(固定部)
55a キーパ
55b アーム
55c レバー
55d ベース
55e シャフト
56 ロックシャフト機構(固定部)
56a ロックシャフト
56b フック
56ba,56ca 開口部
56c ブラケット
56d ロックスプリング
61 遮光プレート
62 フォトセンサ(方向検知部)
62a センサ部
66 スイッチプレート
67 マイクロスイッチ(方向検知部)
67a スイッチ
68 ブラケット
71,71A 扉錠
71a スイッチカム
72,75,77 マイクロスイッチ(動作検知部)
72a,75a レバー
72b,75b 押ボタン
73 扉キー
74 キースライダ
78 スイッチブラケット
79 蝶番
81 ケーブル
81a 中継基板
82 ケーブル保護部材
82a 連結部材
82b コルゲートチューブ
85 位置規制ブラケット(位置規制部材)
86 位置決めプレート
86a 開口部
87 位置規制ポスト(位置規制部材)
91 ガススプリング(緩衝部材)
92 筒
93 第1スタッド
94 ピンロッド
95 第2スタッド
98 ギヤ
99 ダンパ(緩衝部材)
112 ケーブル巻取部
122 LCDアセンブリ(パネル部材)
122a 支点部
131 リンク機構
132 第1リンク部材
133 第2リンク部材
134a,134b,134c,134d,134e 軸
135a,135b 長孔
136 支持プレート
2014a 顧客用画面
2014b 係員用画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置において、
前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、
上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーとを有し、
前記上部カバーは、
通常時に、前記兼用表示部を前記筐体の前面側の所定の位置に固定し、
一方、保守時に、前記筐体の内部から引き出される前記ユニットからずれた位置に、前記兼用表示部を移動させるとともに、前記兼用表示部の当該表示面の方向が変更可能な状態で、前記兼用表示部を支持する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記上部カバーは、
前記上端部に設けられ、当該上部カバーの前記下端部を前記筐体に対して上下方向に開閉可能に軸支する第1支点部と、
通常時に、前記筐体に対向し、前記兼用表示部の表示面又はその枠体に当接して前記兼用表示部を前記筐体に押さえつける当接部と、
前記当接部の周囲に設けられ、保守時に、前記兼用表示部の前記表示面とその裏面とが反転するように、前記兼用表示部を回転可能に軸支する第2支点部とを備えている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引装置において、
前記上部カバーは、前記当接部の周囲に設けられ、外方向に突出する第1突出部と、当該第1突出部の先端部に設けられた前記第2支点部とを備えるとともに、
前記兼用表示部は、前記裏面の上端部付近に設けられ、前記裏面から外方向に突出する第2突出部と、当該第2突出部の先端部に設けられ、前記第2支点部と係合する係合部とを備えており、
前記上部カバーは、前記第2支点部と前記係合部とが係合することによって、前記兼用表示部を回転可能に軸支する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の自動取引装置において、
さらに、前記第2支点部によって回転可能に軸支された前記兼用表示部を前記上部カバーに固定する固定部を有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
さらに、前記筐体の内部に設けられた制御部と、
前記兼用表示部の前記表示面の法線方向を検知する方向検知部とを有し、
前記制御部は、前記方向検知部の検知結果に応じて、前記兼用表示部の表示画面を前記顧客用画面及び前記係員用画面のいずれか一方に選択的に切り替える
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
さらに、前記筐体の内部に設けられた制御部と、
前記係員によって行われる特定の動作を検知する動作検知部とを有し、
前記制御部は、前記動作検知部の検知結果に応じて、前記兼用表示部の表示画面を前記顧客用画面及び前記係員用画面のいずれか一方に選択的に切り替える
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
さらに、前記筐体の内部に設けられた制御部と、
前記兼用表示部と前記制御部とを通信可能に接続するケーブルと、
前記ケーブルの周囲を囲って前記ケーブルを保護するケーブル保護部材とを有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
さらに、前記兼用表示部と前記上部カバーとが当接する箇所に設けられ、前記兼用表示部と前記上部カバーとの間の隙間を塞ぐ封止部材を有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
さらに、通常時に、前記上部カバーに対する前記兼用表示部の左右方向の位置を規制する位置規制部材を有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
前記上部カバーは、通常時に、前記兼用表示部の前記表示面を外部に向けて露出させる開口部を備えており、
前記開口部は、その内周が、前記兼用表示部の想定される位置ズレ量に基づくマージン量以上に前記兼用表示部の表示領域の外周から外側に離間して設けられている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
前記上部カバーは、通常時に、前記兼用表示部の前記表示面を外部に向けて露出させる開口部を備えており、
前記開口部は、その内周が、前記兼用表示部の想定される位置ズレ量に基づくマージン量以上に前記兼用表示部の表示領域の外周から内側に離間して設けられている
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の自動取引装置において、
前記上部カバーは、前記兼用表示部の前記表示面の方向が変更される場合に、変更される向きとは逆向きの押圧力を前記兼用表示部に与えて、前記兼用表示部にかかる衝撃力を弱める緩衝部材を有している
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項13】
筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置において、
前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、
上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーとを有し、
前記上部カバーは、
通常時に、前記兼用表示部を前記筐体の前面側の所定の位置に固定し、
一方、保守時に、前記兼用表示部に対する固定を解除して、前記兼用表示部を前記所定の位置から持ち運び可能な状態にする
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動取引装置において、
さらに、前記筐体の内部に設けられた制御部と、
前記兼用表示部と前記制御部とを通信可能に接続するケーブルと、
前記兼用表示部と前記制御部との間に設けられ、前記ケーブルを巻き取るケーブル巻取部とを有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項15】
筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置において、
前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、
上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーと、
前記筐体と前記上部カバーとの間に設けられ、かつ、端部が前記筐体に軸支されており、前記兼用表示部を支持した状態で、前記筐体に対して上下方向に回動するパネル部材とを有し、
前記上部カバーは、通常時に、前記パネル部材及び前記兼用表示部の上に配置されることにより、前記パネル部材を回動不能な状態にして、前記兼用表示部を前記筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放されることにより、前記パネル部材を回動可能な状態にして、前記兼用表示部に対する固定を解除する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項16】
筐体の内部のユニットを当該筐体の前面側から引き出して保守することができる自動取引装置において、
前記筐体の前面側に設けられ、通常時に顧客用画面を表示する顧客用表示部として使用され、保守時に係員用画面を表示する係員用表示部として使用される兼用表示部と、
上端部が前記筐体の上部に軸支されており、下端部が前記筐体に対して上下方向に開閉可能な、前記筐体の前面側の上部部分を保護する上部カバーと、
前記筐体と前記上部カバーとの間に設けられ、前記兼用表示部を前記筐体に対して上下方向に移動させるリンク機構とを有し、
前記上部カバーは、通常時に、前記リンク機構及び前記兼用表示部の上に配置されることにより、前記リンク機構を移動不能な状態にして、前記兼用表示部を前記筐体の上に固定し、一方、保守時に、上方向に開放されることにより、前記リンク機構を移動可能な状態にして、前記兼用表示部に対する固定を解除する
ことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−73391(P2013−73391A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211446(P2011−211446)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】