自動水栓
【課題】水吐水,湯吐水の吐水種類を選択するための複数の人体検知センサを吐水管に設けることによって吐水管が太くなり、デザイン性,外観が悪化してしまうことのない自動水栓を提供する。
【解決手段】非接触式の人体検知センサを吐水管16に設け、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水と止水とを自動的に行う自動水栓において、水吐水,湯吐水をそれぞれ選択するための水用センサ116,湯用センサ118を吐水管16に設けて、水用センサ116を使用者に近い吐水管16の手前側に、湯用センサ118を奥側に配置しておく。
【解決手段】非接触式の人体検知センサを吐水管16に設け、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水と止水とを自動的に行う自動水栓において、水吐水,湯吐水をそれぞれ選択するための水用センサ116,湯用センサ118を吐水管16に設けて、水用センサ116を使用者に近い吐水管16の手前側に、湯用センサ118を奥側に配置しておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は人体検知センサを吐水管に設けて成る自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水管に人体検知センサを設け、差し出された手等を非接触で検知して(人体検知して)吐水口からの吐水と止水とを自動的に行う自動水栓が公共トイレ等の主として手洗用水栓として広く用いられている。
この種の自動水栓では、吐水口の下方に差し出された手を検知すべく一般に人体検知センサが吐水管先端部の下面に設けられている。
このような自動水栓は手洗いを主目的としたものであるため、人体検知センサが手を検知している間だけ吐水を行い、非検知となったところで止水すれば良く、従って人体検知センサは1つあれば目的を達することができる。
【0003】
しかしながら、例えばキッチン水栓では、水だけでなく湯(所望温度の湯)を出したい場合もあり、水用センサ,湯用センサを設けておくことが望ましい場合もある。
【0004】
詳しくは、この種自動水栓をキッチン水栓に適用することが近年行われているが、キッチン水栓の場合には単に手を洗うだけでなく、シンクに置いた容器内に水を注いで溜めたり、或いは両手を使いながら洗いもの作業のために水を出し続けなければならないことも多く、しかもシンク作業を行いながら吐水・止水の操作を容易に行い得るものでなければならないことに加えて、キッチン作業に際して水を出すだけでなく湯(所望温度の湯)を出したい場合もあり、従ってキッチン水栓を自動水栓として構成する場合にあっては、人体検知センサが手等人体を検知するごとに吐水と止水とを交互に繰り返すようにしたり、また水吐水,湯吐水の吐水種類に応じて水用センサ,湯用センサを吐水管に備えておくことが望ましい。
この場合、水吐水を選択するための水用の人体検知センサ(水用センサ)と湯吐水を選択するための湯用の人体検知センサ(湯用センサ)とを吐水管に設け、これらを管軸方向の同位置において吐水管先端部の右側面と左側面に分けて配置しておくといったことが考えられる。
このようにしておけば右側面の人体検知センサと左側面の人体検知センサとが同時に手等人体を検知してしまう不具合を極力回避し、センサによる誤検知、ひいては水栓の誤動作を回避し易い利点が得られる。
【0005】
しかしながら一方で、このようにすると吐水管先端部が左右に太くなってデザイン性,外観が悪化してしまう。
以上キッチン水栓を代表として述べたが、他の自動水栓においても同じ問題が発生する。
【0006】
尚下記特許文献1には、逆U字状のグースネック形状の吐水管を有し、その吐水管に人体検出部を設けて成る自動水栓が開示されているが、このものは人体検出部が1つであり本発明とは異なっている。
また下記特許文献2には、吐水管上に温水調節用スイッチや吐水量調節スイッチ等複数のスイッチを設けて成る自動水栓が開示されているが、各スイッチは非接触で人体検知するものではなく本発明とは異なっている。
その他、本発明に関連する先行技術として下記特許文献3,特許文献4に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−293410号公報
【特許文献2】実開昭63−100559号公報
【特許文献3】特開2002−212990号公報
【特許文献4】特開2000−305587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、水吐水,湯吐水用の人体検知センサを吐水管に設けた場合において、吐水管が太くなってデザイン性,外観を悪化させてしまう問題を特に生じることのない自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、非接触式の人体検知センサを吐水管に設けてなる自動水栓において、複数の前記人体検知センサとして、水吐水を選択する水用センサと、湯吐水を選択する湯用センサとを前記吐水管に設け、該水用センサを使用者に近い手前側に、該湯用センサを奥側に配置してあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記水用センサと湯用センサとを前記吐水管の管軸方向に配列してあることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとを前記吐水管の上面に設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項3において、前記吐水管が逆U字状のグースネック形状のものであって、前記水用センサと湯用センサとが、該吐水管の最上位の部位から先端に向って下向きとなる部分に設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、使用者に近い前記水用センサの検知距離が、奥側の前記湯用センサよりも短く設定してあることを特徴とする。
【0014】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の該湯用センサによる人体検知を優先するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0015】
以上のように本発明は、水用センサと湯用センサとを吐水管の管軸方向の前(手前側),後(奥側)に位置を異ならせて配置したもので、このようにすれば吐水管が太くなってしまうのを防止して、吐水管のデザイン性,外観を良好に保つことができる。
ここで水用,湯用の各人体検知センサは、人体を検知し続けなくても一旦人体を検知したなら、その後人体非検知となっても各人体検知センサに対応した所要の動作を行わせるものとなしておくことができる。
また各センサは、人体を検知する毎に吐水と止水とを交互に行わせるものとなしておくことができる。
本発明においては、上記水用センサと湯用センサとを吐水管の管軸方向に配列しておくことができる(請求項2)。
【0016】
上記水用センサ及び湯用センサは、それぞれ吐水管の上面に設けておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、センサに手をかざす動作、即ちセンサに手検知させて水栓を操作する際の操作性が良好となる。
【0017】
本発明では、逆U字状のグースネック形状をなす吐水管に対して、その最上位の部位から吐水管先端に向かって下向きとなる部分に上記の水用センサと、湯用センサとを配置しておくことができる(請求項4)。
この場合、温度の低い水を選択するための水用センサが低い位置に、温度の高い湯を選択するための湯用センサが高い位置に位置することとなり、吐水の温度の高低と吐水種類選択用の人体検知センサの位置の高低とが感覚的に直結して、それらの操作がより行い易いものとなる。
【0018】
次に請求項5は、使用者に近い手前側の水用センサの検知距離を奥側の湯用センサの検知距離よりも短く設定したものである。
【0019】
通常奥側の湯用センサに手をかざそうとするとき、即ち奥側の湯用センサを操作しようとするとき、使用者に近い位置にある手前側の水用センサを通過して奥側の湯用センサを操作しようとする。
この場合奥側の湯用センサに手を検知させようとしているにも拘わらず、意に反して手前側の水用センサが手を検知してしまい易い。
しかるに請求項5に従って手前側の水用センサの検知距離を短く設定しておけば、このような誤検知を効果的に防止して、その誤検知による水栓の誤動作を防止することができる。
【0020】
次に請求項6は、使用者に近い手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが実質的に同時に人体検知したとき、より奥側の湯用センサによる人体検知を優先するようになしたものである。
【0021】
例えば使用者が手前側の水用センサだけ操作しようとしたとき、通常その手前側の水用センサよりも奥側まで手を延ばそうとはしない。従って奥側の湯用センサを誤って操作してしまうといった可能性は少ない。
これに対して奥側の湯用センサを操作しようとするときには、手を吐水管の手前側から奥側の湯用センサの方まで延ばそうとするのが普通である。このとき手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが実質的に同時に手を検知した状態となる恐れがある。
【0022】
そこでこの請求項6では、手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが同時に手を検知したときには、奥側の湯用センサによる人体検知を優先するようになしたもので、このようにすることで、奥側の湯用センサを操作しようとしたにも拘わらず手前側の水用センサが手を誤検知して水栓の誤動作を招くのを有効に防止することができる。
【0023】
またこのように請求項5,請求項6に従って水用センサ,湯用センサによる検知距離や優先順位を設けることによって、非接触式の複数のセンサを吐水管の同じ上面に設けたり、また比較的近接して設けたりした場合であっても、良好且つ簡単にセンサの使い分けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓を示す図である。
【図2】同実施形態の自動水栓の流路を示す図である。
【図3】同実施形態の吐水管と各種センサを示す図である。
【図4】同実施形態のバルブユニットを示す斜視図である。
【図5】図4のバルブユニットを互いに異なる切断面で切断して示す斜視図である。
【図6】図4のバルブユニットの図5とは異なった切断面における断面図である。
【図7】同実施形態における混合弁を示す図である。
【図8】図3の吐水管の内部構造を示す断面図である。
【図9】図8における吐水ヘッドを吐水管本体から離した際の図である。
【図10】図8の分解斜視図である。
【図11】図10の一部を詳しく示した図である。
【図12】同実施形態における各人体検知センサを示した図である。
【図13】浄水吐水を行う際の図である。
【図14】同実施形態における流路切換えの説明図である。
【図15】同実施形態におけるコントローラの制御の内容を示すフローチャートである。
【図16】図15に続くフローチャートである。
【図17】コントローラによる制御内容をタイムチャートで表した図である。
【図18】(A)本発明の他の実施形態を示す図である。(B)参考例を示す図である。
【図19】他の参考例を示す図である。
【図20】図19におけるカプラの内部構造を詳しく示した図である。
【図21】更に他の参考例を示す図である。
【図22】図21の例における制御例を示す図である。
【図23】更に他の制御例を示す図である。
【図24】更に他の参考例を示す図である。
【図25】更に他の参考例を示す図である。
【図26】更に他の参考例を示す図である。
【図27】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図28】更に他の参考例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明をキッチン用のホース収納式の自動水栓に適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はキッチンのキャビネットで、12はカウンターであり、このカウンター12上に起立する状態で水栓の本体部14と吐水管16とが設けられている。ここで吐水管16は本体部14に対して所定角度回動可能とされている。
また吐水管16は、図3に示しているように逆U字状のグースネック形状をなしている。
同図に示しているように吐水管16は、先端に吐水口18を有し、可撓性のホース20とともに引出し可能な吐水ヘッド22と、吐水ヘッド22を収納位置に保持するホルダとしての働きを有する吐水管本体24とを有している。
【0026】
図1に示しているように、キャビネット10の内部には一対の止水栓28,30の間の位置においてバルブユニット26が配設されている。
そしてこのバルブユニット26の後述の水流入口92(図5(イ)参照)に対して給水用の元配管(以下単に給水元管と略す)が止水栓28,分岐継手32及び接続ホース34を介して接続されている。
また後述の湯流入口94(図5(イ)参照)に対して給湯用の元配管(以下単に給湯元管と略す)が、止水栓30及び接続ホース36を介して接続されている。
このバルブユニット26の水流出口及び湯流出口からは水,湯のサプライ管38,40が上向きに延び出しており、それらの先端が上記の水栓の本体部14に接続されて、その本体部14に水,湯がそれぞれ供給されるようになっている。
【0027】
本体部14には後述の混合弁58(図2参照)が内蔵されていて、その混合弁58の下流部から水又は湯(混合弁58で温調された湯)を流出させる流出管42が下向きに延び出しており、その先端がカプラ44を介して上記の可撓性のホース20に接続されている。
ここでホース20はカプラ44から上向きに延び出した後、1回転した上で本体部14,吐水管本体24を挿通し吐水ヘッド22に接続されている。
【0028】
キャビネット10の内部にはまた浄水器46が設けられており、バルブユニット26の上流部において給水元管からの水が分岐継手32,ホース48を通じてこの浄水器46に導かれるようになっている。
浄水器46は、水道水を後述のフィルタ66(図2参照)に通して浄化するもので、その浄化後の浄水を流出させるホース50が浄水器46から延び出している。
このホース50の先端はカプラ44を介して、吐水ヘッド22に繋がるホース20に接続されている。
即ち浄水器46から流出した浄水がホース50,20を通じて吐水ヘッド22に導かれ、その先端の吐水口18から吐水されるようになっている。
【0029】
キャビネット10の内部にはまた、バルブユニット26の下側において水栓の動作制御のためのコントローラ(制御部)52が設けられている。
【0030】
図2に示しているように本実施形態において給水元管,給湯元管からの水,湯は給水路54,給湯路56を通じて本体部14に内蔵された混合弁58に供給される。
供給された水と湯とはレバーハンドル60の操作に基づいて所定比率で混合された上、同じくそのレバーハンドル60の操作に基づいて決定された所定流量で流出路62を通じ吐水ヘッド22に送られ、先端の吐水口18から吐水される。
ここでレバーハンドル60は、左右回動操作によって水と湯との混合比率の調節即ち温度調節を行い、また上下回動操作によって流量調節を行う。
【0031】
給水元管からの水はまた、電磁弁68の上流部で給水路54から分岐した浄水路64に取り出され、そして浄水路64上に設けられた浄水器46のフィルタ66を通過してそこで浄化された上で、浄化後の水(浄水)が混合弁58をバイパスして流出路62に導かれ、そしてその流出路62を通じて吐水ヘッド22の吐水口18から吐水されるようになっている。
これら給水路54,給湯路56及び浄水路64のそれぞれには流路を開閉する電磁弁68,70,72及び逆流防止をなす逆止弁74が配設されている。
尚浄水路64には定流量弁73が設けられている。
【0032】
給水路54からはまた、電磁弁68の上流部においてバイパス路76が分岐して延び出しており、その先端が給湯路56且つ電磁弁70及び逆止弁74の下流部に接続されている。
このバイパス路76上にもまた、流路を開閉する電磁弁78と逆止弁74が設けられている。
これら電磁弁68,70,72,78はそれぞれコントローラ52に電気的に接続されていて、コントローラ52によって動作制御される。
【0033】
本実施形態において、給水路54と給湯路56とを連絡するバイパス路76を設けているのは次のような理由による。
即ちレバーハンドル60の操作位置が、混合弁58内における湯の流路を全開、水の流路を全閉状態とする状態にあると、後述する人体検知センサ(水用センサ116)による人体検知に基づいて吐水口18から水吐水させようとしてもこれを行うことができない。
そこで給水路54と給湯路56とをバイパス路76で連絡しておき、混合弁58内において水の流路が全閉状態にあっても、給水元管からの水をバイパス路76,給湯路56,更に流出路62を通じて吐水口18へと供給可能となしているのである。
【0034】
この実施形態の自動水栓では、図14(A)に示しているように電磁弁68及び78が開,電磁弁70,72が閉とされることで、給水路54及びバイパス路76、更に給湯路56の一部を通じて給水元管からの水が混合弁58に送られ、更にその混合弁58を経由して流出路62を通じ、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。
また図14(B)に示しているように電磁弁68及び70が開,電磁弁72及び78が閉の状態の下で、給水元管からの水と給湯元管からの湯がそれぞれ給水路54及び給湯路56を通じて混合弁58に送られてそこで混合され、適温の湯とされた上で流出路62を通じ吐水口18から湯が吐水(湯吐水)される。
一方図14(C)に示しているように電磁弁68,70及び78の何れもが閉で、電磁弁72のみが開の状態の下では、給水元管からの水が浄水器46、つまり浄水路64の側に導かれてフィルタ66を通り、浄水となって流出路62を通じ吐水口18から吐水(浄水吐水)される。
【0035】
図7に上記混合弁58の構成が具体的に示してある。
同図に示しているように混合弁58は、ハウジング80の内部に固定弁体82と、その上面を摺動する可動弁体84とを有しており、その可動弁体84に対してレバーハンドル60が作動的に連結されている。
固定弁体82には水,湯の入口86,86が設けられていて、それら入口86,86を通じて、サプライ管38,40を図中上向きに送られて来た水と湯とが可動弁体84の混合室88内に流入する。
そして混合室88で混合された後の温調後の湯或いは水が出口89から流出管42へと流出して、図2の流出路62を通じ吐水口18へと導かれる。
【0036】
図4〜図6に上記バルブユニット26の構成が具体的に示してある。
これらの図において90はバルブボデーで、図5に示しているように水流入口92,湯流入口94と、それらに連通して給水路54,給湯路56の一部をなす内部流路54a,56aを有している。
そしてそれら内部流路54a,56a上に電磁弁68,70(図6参照)が設けられている。
【0037】
バルブボデー90にはまた、図5(ハ)に示しているように上記バイパス路76の一部を成す分岐流路76aが給水用の内部流路54aから分岐しており、この分岐流路76a上にバイパス路76を開閉するための電磁弁78(図6参照)が設けられている。
バルブボデー90には更に、図5(イ)に示しているように分岐流路76aを給湯路56に合流させるための、バイパス路76の残部をなす合流路76bが設けられており、分岐流路76aからの水がこの合流路76bによって給湯路56に合流し、その後給湯路56を通じて図2の混合弁58へと送られるようになっている。
【0038】
上記電磁弁68,70,78は図6(ロ)に示しているように、主弁としてのダイヤフラム弁98と、その背後に形成された背圧室100と、背圧室100の水抜きを行う水抜水路としてのパイロット水路102と、パイロット水路102を開閉するパイロット弁としてのプランジャ弁104と、固定コア106と、プランジャ弁104を電磁力で動作させるソレノイド108とを有している。
この電磁弁68,70,78においては、ソレノイド108への通電によりプランジャ弁104を開弁させると、パイロット水路102が開放されて背圧室100の圧力が抜け、主弁としてのダイヤフラム弁98が開弁動作する。
【0039】
尚、図4(イ)及び図6(イ)に示しているようにバルブボデー90には内部の水,湯を抜くための水抜栓110と、水抜きに際してダイヤフラム弁98を手動にて開放させるための開放操作部材112とが設けられている。
開放操作部材112は、摘み114を回転操作することでダイヤフラム弁98を手動で開放させる。
【0040】
図3に示しているように、逆U字状のグースネック形状をなす吐水管16における吐水管本体24の先端部、詳しくはその最上位の部位から先端に向かって下向きとなる部分の上面に、水用センサ(水用の人体検知センサ)116及び湯用センサ(湯用の人体検知センサ)118が、所定間隔隔てて管軸方向に一列に配列されている。
ここで水用センサ116は使用者に近い手前側に(前側に)、また湯用センサ118は奥側に設けられている。従って水用センサ116は湯用センサ118に対して下位置に、また湯用センサ118は水用センサ116に対して上位置に位置している。
本実施形態においては、吐水管本体24の側面においても浄水用センサ(浄水用の人体検知センサ)120が設けられている。
尚吐水管本体24の先端部下面には、吐水やシンク或いはシンク内の容器等に光を照射してほのかに照らし出す光照射部122が設けられている。
【0041】
この実施形態の自動水栓では、水用センサ116の上方に手をかざして水用センサ116によりこれを検知させると、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。また水吐水状態の下で再び水用センサ116の上方に手をかざすと、そこで水吐水が停止する。即ち止水する。
一方湯用センサ118の上方に手をかざすと、湯用センサ118による手の検知に基づいて、吐水口18から適正温度に温度調節された湯(温調水)が吐水(湯吐水)され、そしてその湯吐水中に再び湯用センサ118の上方に手をかざすと、そこで湯吐水が停止する。
【0042】
一方図13に示しているように吐水管本体24の先端部側方に手を差し出すと、浄水用センサ120がこれを検知し、吐水口18から浄水が吐水(浄水吐水)される。また浄水吐水状態の下で再び浄水用センサ120に対して手をかざすと、そこで浄水吐水が停止する。
そのようにコントローラ52が対応する各電磁弁68,70,72,78を動作制御する。
【0043】
尚ここでは、水用センサ116の検知距離が奥側の湯用センサ118の検知距離よりも短く設定されている。
即ち各センサ(水用センサ116及び湯用センサ118)が差し出された手の指を検知するものと想定して、ここでは水用センサ116の検知距離が約2cm程度、湯用センサ118の検知距離が約4cm程度に設定されている。
【0044】
図8〜図11に吐水管16の内部構造が具体的に示してある。
図8,図9及び図10に示しているように、吐水管本体24は金属パイプ124と、断面U字状をなして金属パイプ124の内部に挿入され内側においてホース20をガイドし、また外側において上記各水,湯,浄水用の各センサ116,118,120とコントローラ52とを連絡する電気配線をガイドする湾曲形状のインナ部材126と、その先端側に設けられてホース20を挿通ガイドする概略筒状のガイド部材128と、その下側からこれを覆うガイドカバー130とを有している。
【0045】
図11に示しているようにこのガイド部材128の上面には仕切板131が固定されており、そしてその仕切板131の上面に上記水用センサ116,湯用センサ118を有するセンサユニット132,134が載置固定された上、その上側から樹脂製の透光性のセンサカバー136が被せられている。
ガイド部材128には、その側面に浄水用センサ120が取り付けられている。ガイドカバー130は、その浄水用センサ120に対応する部分が透光性とされている。
【0046】
上記湯用センサ118は光電式のものであって、図12(A)に示しているようにこの湯用センサ118を有するセンサユニット134は基板140を有していて、そこに赤外線の発光素子142と、受光素子144と、センサ制御部としてのマイコン146が搭載されている。
基板140にはまた、湯吐水状態であるかそうでないかを表示するためのLED148が搭載されており、湯吐水状態の下ではこのLED148が点滅し、またそうでないときにはLED148が点灯保持するようになっている。
【0047】
一方図12(B)に示しているように、水用センサ116を有するセンサユニット132は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144と、更に水吐水中であるか否かを表示するLED150が搭載されている。
ここでLED150は水吐水中であれば点滅を行い、またそうでないときには点灯状態を保持して、水吐水中であるか否かを表示する。
このセンサユニット132にはまた、基板140に現在の吐水温度を表示するための3色(RGB)LED152が搭載されている。
【0048】
一方図12(C)に示しているように浄水用センサ120を有するセンサユニット138は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144及び浄水吐水中であるか否かを表示するためのLED154が搭載されている。
このLED154は浄水吐水中においては点滅動作し、またそうでないときには点灯状態を保持することによって、浄水吐水中であるか否かを表示する。
【0049】
一方吐水ヘッド22は、図9に示しているように筒状のコア部材156と、これを外周側から覆うカバー158とを有しており、そのコア部材156に対してホース20の先端部が水密に接続固定されている。
この吐水ヘッド22の先端には、吐水口18からの吐水をストレート吐水からシャワー吐水に又はその逆に切換操作する切換操作部160が設けられている。
【0050】
吐水管本体24と吐水ヘッド22との間には、図8及び図9に示しているように、それらによって管軸方向に挟まれるようにして温度表示リング162が取り付けられている。
この温度表示リング162は、概略リング状をなす透光性の樹脂から成っていて、図9の部分拡大図に示しているように後方への延出部164が一体に成形されており、この延出部164に対して上記3色LED152からの光が照射されるようになっている。
3色LED152から延出部164に照射された光は、温度表示リング162の内部を通ってその外周面から周辺に放射される。
【0051】
3色LED152は赤(Red),緑(Green)及び青(Blue)を発色するLEDをユニット化したもので、無段階で連続的に色変化が可能であり、温度表示リング162はその色変化に基づいて吐水温度を表示する。
即ち吐水温度が低いときには青色を、吐水温度が高いときには赤色を、中間のときにはそれらに応じた色を発色して現在の吐水温度がどのような温度であるかをその色変化によって表示する。
【0052】
本実施形態では、浄水用センサ120,湯用センサ118及び水用センサ116が実質的に同時に手を検知した場合には、浄水用センサ120による検知が最も優先し、その次に湯用センサ118による検知が優先するようになっている。
詳しくは、浄水用センサ120が手を検知したときには一定時間他のセンサ即ち湯用センサ118及び水用センサ116の検知が無効化され、一定時間経過後に湯用センサ118,水用センサ116による検知が有効化される。
また湯用センサ118が手を検知したときには、一定時間水用センサ116による検知が無効化され、一定時間経過後に水用センサ116による検知が有効化される。
コントローラ52がそのように吐水の動作を制御する。
【0053】
図15及び図16に、コントローラ52による制御の内容がフローチャートとして具体的に示してある。
図15に示しているように、先ずここでは浄水用センサ120,湯用センサ118等が手を検知することによって水用センサ116が無効化されていないかがステップS10で判断され、その結果水用センサ116が無効化されていない場合には、ステップS12において水用センサ116が手を検知したか否かが判断され、その結果水用センサ116が手を検知したと判断された場合には、ステップS14において水用センサ116を一定時間(例えばここでは数百mS)無効化した上で、次にステップS16において現在水吐水中か否かが判断され、その結果現在水吐水中でない場合即ち止水状態の時には、水吐水が実行される(ステップS18)。
一方現在水吐水中であれば、ステップS20において水吐水の停止即ち止水が実行される。
そしてその後ステップS26へと移行する。
【0054】
尚ステップS10において水用センサ116が無効中であると判断された場合には、ステップS22に移ってそこで無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば、ステップS24において水用センサ116の有効化が実行される(ステップS24)。
そして続いてステップS26が実行される。
【0055】
このステップS26では次に湯用センサ118が無効中か否かが判断され、そして無効中でないと判断されたときにはステップS28において湯用センサ118が手を検知したか否かが判断される。
その結果湯用センサ118が手を検知した場合には、ステップS30において水用センサ116と湯用センサ118の検知が一定時間無効化された上で、続いてステップS32において現在湯吐水中か否かが判断される。
そして現在湯吐水中でなければステップS34において湯吐水が実行され、また湯吐水中であればステップS36において湯吐水の停止即ち止水が実行される。
そしてその後ステップS42に以降する。
【0056】
一方ステップS26において湯用センサ118が無効中であると判断されたときには、その後ステップS38において無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば湯用センサ118の有効化が実行される(ステップS40)。
そしてその後ステップS42が実行される。
【0057】
このステップS42では、浄水用センサ120が無効中か否かが判断され、そして無効中でないと判断されたときにはステップS44において浄水用センサ120が手を検知したか否かが判断され、その結果浄水用センサ120が手を検知していると判断された場合には、ステップS46において水用センサ116,湯用センサ118及び浄水用センサ120が一定時間無効化された上で、ステップS48において現在浄水吐水中か否かが判断され、そして浄水吐水中でなければステップS50において浄水吐水が実行される。
また現在浄水吐水中であるならば、ステップS52において浄水吐水の停止即ち止水が実行される。
【0058】
一方ステップS42において浄水用センサ120が無効中であると判断されたときには、その後ステップS54において無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば浄水用センサ120の有効化が実行される(ステップS56)。
その後再びS10以下の各ステップが再び実行される。
【0059】
図17は上記制御内容をタイムチャートとして表したものである。
図中T3において浄水用センサ120が手を検知し、オン動作したときには所定時間Bだけ他のセンサ(湯用センサ118,水用センサ116)が無効化される結果、その後に湯用センサ118が手を検知してもその検知は無効化され、次に再び浄水用センサ120が手を検知するまでの間、浄水用の電磁弁72が開状態に維持されて吐水口18から浄水が吐水され続ける。
そして次に再び浄水用センサ120が手を検知したところで、浄水用の電磁弁72が閉弁して、そこで浄水吐水が停止する。
【0060】
この浄水用センサ120が2度目にオン動作した場合にも、即ち浄水吐水を停止するために浄水用センサ120が2度目にオン動作しても、その後所定時間Bだけ他のセンサ(湯用センサ118,水用センサ116)が無効扱いされる。
従ってこの所定時間Bの間に水用センサ116が手を検知してもその検知は無効扱いされ、従って水用の電磁弁68及びバイパス用の電磁弁78は閉弁状態に保持されて、吐水口18からの水吐水は行われない。
【0061】
一方図中T1において、水用センサ116が手を検知してオン動作し、これに基づいて水用の電磁弁68及びバイパス用の電磁弁78が開弁し、吐水口18から水吐水を行っている途中で湯用センサ118が手を検知したときには、直ちに所定時間Aだけ水用センサ116が無効化されて、ここにバイパス用の電磁弁78が閉弁動作し(このとき水用の電磁弁68は開弁状態に維持される)、これと同時に給湯路56上の湯用の電磁弁70が開弁して水と湯とが混合弁58に、更には吐水口18に送られてそこから設定温度に温調された湯が吐水される。
そしてその後2度目に湯用センサ118が手を検知したとき、即ち湯用センサ118がオン動作したところで、給水路54上の水用の電磁弁68及び給湯路56上の湯用の電磁弁70が何れも閉弁して温調された湯の吐水が停止する。
このときにも所定時間Aだけ水用センサ116が無効化される。
【0062】
図中T2において、湯用センサ118のオン動作により水用の電磁弁68と湯用の電磁弁70とが開弁し、温調された湯が吐水されているときには、その間に水用センサ116が手を検知しても即ちオン動作しても水吐水への切換えは行われず、そのまま湯吐水が続行される。
【0063】
尚、ここでは水用センサ116がオン動作すると直ちに水吐水するようにしているが、水用センサ116がオン動作した後、所定時間(数百mS)の間他のセンサ(湯用センサ118,浄水用センサ120)のオン動作の有無を待ち、その間にオン動作がなければそこで初めて水吐水するようになしても良い。
この点は湯用センサ118についても同様で、湯用センサ118がオン動作した後、所定時間の間浄水用センサ120がオン動作するのか否かを待って、オン動作がなければ初めて湯吐水するようになしても良い。
【0064】
以上のように本実施形態の自動水栓は、水用センサ116,湯用センサ118を吐水管16の管軸方向に一列に配列したため、吐水管16が太くなってしまうのを防止して吐水管16のデザイン性,外観を良好に保つことができる。
【0065】
また水用センサ116,湯用センサ118は吐水管16の上面に設けてあるため、各センサ116,118に手を検知させて水栓を操作する際の操作性が良好である。
また水用センサ116を使用者に近い手前側に、湯用センサ118を奥側に、詳しくは温度の低い水を選択するための水用センサ116を低い位置に、温度の高い湯を選択するための湯用センサ118を高い位置に設けてあるため、吐水の温度の高低と吐水種類選択用の水用センサ116,湯用センサ118の位置の高低とが感覚的に直結して、それらの操作がより行い易いものとなる。
【0066】
更に本例では使用者に近い手前側の水用センサ116の検知距離を奥側の湯用センサ118の検知距離に対して短く設定してあり、加えて手前側の水用センサ116と奥側の湯用センサ118とが実質的に同時に手を検知したときには、奥側の湯用センサ118による人体検知を優先するようになしてあるため、奥側の湯用センサ118を操作しようとしたにも拘わらず手前側の水用センサ116が手を検知してしまうといった誤検知を効果的に防止し得、その誤検知による水栓の誤動作を防止することができる。
このため水,湯用の非接触式の各センサ116,118を吐水管16の同じ上面に設けているにも拘わらず、各センサの使い分けを容易になし得て支障なく良好に自動水栓の操作をしかも簡単に行うことができる。
【0067】
図18は本発明の他の実施形態を示したもので、図18(A)の例は、水用センサ116と、湯用センサ118と、浄水用センサ120とを吐水管16の上面に且つ手前側から奥側に向かって水用センサ116,湯用センサ118,浄水用センサ120の順に一列に配列した例である。
また図18(B)の例(参考例)は、吐水管16の上面且つ最も手前側に浄水用センサ120を、その奥側に水用センサ116と湯用センサ118とを並んで設けた例である。
【0068】
図19及び図20は本発明の他の参考例を示している。
この例では、給水元管からの水及び給湯元管からの湯をそれぞれ上記のようなバルブユニットを経由することなく、直接本体部14内の混合弁58に供給するようにし、そして流出路62を構成する流出管42とホース20とを接続するカプラ170に、流出路62を開閉する電磁弁172を設けている。
即ちここでは、温調された湯を吐水口18から吐水させ又は止水するための電磁弁172を混合弁58の2次側(下流側)に設けている。
【0069】
また一方、混合弁58の上流部において給水路54から第2の給水路174を分岐して延び出させ、その先端を流出路62且つ電磁弁172の下流部に接続している。
この第2の給水路174上には、定流量弁73と第2の給水路174を開閉する電磁弁176とが設けてある。
【0070】
一方吐水管16には、その上面に湯用センサ118と水用センサ116とが管軸方向に一列に設けられている。
但しここでは湯用センサ118が使用者に近い手前側(前側)に、また水用センサ116が奥側に設けられている。
【0071】
この例においても、使用者に近い手前側の湯用センサ118の検知距離が奥側の水用センサ116の検知距離よりも短く設定してあり、また湯用センサ118と水用センサ116とが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の水用センサ116による人体検知が優先するようになしてある。
【0072】
この例では、第2の給水路174からの水が混合弁58をバイパスして吐水口18から水吐水されることから、水吐水の際の流量調節の機能は有しておらず、一定流量で吐水口18から水吐水される。
【0073】
図20にカプラ170の内部構造が具体的に示してある。
同図に示しているように、ここではカプラ170に、水抜栓110と電磁弁172の主弁をなすダイヤフラム弁98を開放させる開放操作部材112とが電磁弁172と併せて組み込まれている。
【0074】
図21は更に他の参考例を示したもので、ここでは第2の給水路174に代えて浄水路64を設け、それに対応して吐水管16の上面に湯用センサ118と浄水用センサ120とを管軸方向に一列に且つ湯用センサ(原水用センサ)118を使用者に近い手前側に、浄水用センサ120を奥側に設けている。
尚この例において、ハンドル60を水側まで一杯に回動操作しておけば、吐水口18から湯の代りに水が吐水される。即ちここでは湯用センサ118が、吐水口18から原水を吐水させるための原水用センサとしての働きを有する。
但しここでは湯用センサ118を、吐水口18から湯を吐水させるためのものとして説明する。
【0075】
この例においても、湯用センサ118及び浄水用センサ120のうち、使用者に近い手前側の湯用センサ118に対して奥側の浄水用センサ120が優先され、またその検知距離は、奥側の浄水用センサ120に対し手前側の湯用センサ118の検知距離が短く設定されている。
この例の場合、水吐水に代えて浄水吐水が行われる以外は図19及び図20に示す例と基本的に同様である。
尚ここでは奥側の浄水用センサ120を湯用センサ118に対し優先させるものとして説明したが、場合によって手前側の湯用センサ118を浄水用センサ120に対し優先させるようになしても良い。
浄水吐水に比べて湯吐水の方が頻度が高いため、使用頻度の高い湯吐水を使用頻度の少ない浄水吐水に対して優先させるようになすことで、水栓の使い勝手が向上する場合もある。
【0076】
尚、上記のように浄水用センサ120を湯用センサ(原水用センサ)118に対して優先させるとしても、場合によって、浄水用センサ120を操作しようとして(浄水用センサ120にて手検知させようとして)手を延ばしたときに、誤って先に湯用センサ118が手を検知してしまうといったことが生じる可能性もある。
【0077】
例えば現在浄水が吐水されている状態で、浄水吐水を止めようとして手を浄水用センサ120の上方に差し出したときに、先ず湯用センサ118がこれを検知してしまって、浄水吐水を瞬間的に停止、湯吐水を瞬間的に開始動作し、そして開始動作したところで差出した手が浄水用センサ120の上方に延ばされることで、次の瞬間に浄水用センサ120が再び手を検知して湯吐水動作を停止するとともに、再び浄水吐水を開始してしまい、結果的に浄水吐水を止めようとして手を差し出したにも拘わらず、浄水が出続けてしまうといったことも起こり得る。
【0078】
図22(A)はこのような不具合の発生を防止するための制御の一例を示している。
この図22(A)は、浄水吐水中において湯用センサ118,浄水用センサ120のうちの何れが人体検知した場合にも、浄水吐水を停止するようになした例である。
【0079】
詳しくは、浄水用の電磁弁72が開弁状態で浄水吐水中に湯用センサ118が人体検知すると、そこで浄水用の電磁弁72が閉弁して浄水吐水が停止する。即ち止水する。
また浄水用センサ120による人体検知に基づいて浄水を吐水しているときに、浄水用センサ120が人体検知した場合においても、そこで浄水吐水が停止する。
尚、湯用センサ118による人体検知により湯吐水中において、浄水用センサ120が人体検知した場合においても、そこで湯用の電磁弁172が閉弁して湯吐水が停止する。
尚図中Tはセンサ状態無視時間で、ここでは0.5秒に設定されている。
【0080】
一方図22(B)は、浄水吐水中に湯用センサ118が人体検知したときに浄水の吐水を停止(逆に湯吐水中に浄水用センサ120が人体検知したときにも湯吐水を停止)するようになした例である。
即ち吐水種類に対応した人体検知センサではなく、それとは反対の人体検知センサ、つまり浄水吐水に対して湯用センサ118(湯吐水に対しては浄水用センサ120)が人体検知したときに、吐水を停止するようになした例である。
詳しくは、例えば浄水用の電磁弁72が開弁状態にあって浄水吐水しているときに、浄水用センサ120とは逆の湯用センサ118が人体検知したときに始めて浄水吐水が停止する。
【0081】
次に図23(A)は吐水後一定時間で吐水停止するようになした場合の例である。
詳しくは、浄水用の電磁弁72が開弁して浄水吐水を開始した後、予め定めた一定時間T内で浄水用センサ120がオン操作されても、即ち浄水用センサ120が人体検知しても浄水吐水は停止せず、浄水の吐水開始から一定時間Tを経過することで自動的に浄水吐水が停止する。
【0082】
一方図23(B)の例は、浄水吐水を開始した後一定時間Tを経過すると浄水吐水を停止するが、その間に即ち浄水吐水開始してから一定時間T内に浄水用センサ120が再びオン操作された場合即ち人体検知した場合、タイマがリセットされてそこから再度タイムカウントが開始され、そしてそれ以後一定時間T経過したところで浄水吐水が停止する。
尚これらの制御例は、2種類の吐水種類のうちの一方が吐水されているときに、その吐水を停止するための制御の方法として一般的に適用可能である。
【0083】
図24(A)は更に他の参考例を示したもので、この例は湯用センサ(原水用センサ)118と浄水用センサ120の前後及び上下の配置を逆転させて、浄水用センサ120を手前に、湯用センサ118を奥側に設けた例である。
尚、単水栓においては奥側の原水用センサが水用センサ116((B)参照)となる。
【0084】
図25は更に他の参考例を示している。
このうち(A)は、吐水用のオンセンサ180と止水用のオフセンサ182とを吐水管16に且つ管軸方向に配列した例で、ここではオフセンサ182が手前側に、オンセンサ180が奥側に配置してある。
一方(B)の例は、(A)とは逆にオンセンサ180を手前側に、オフセンサ182を奥側に配置した例である。
【0085】
次に図26は更に他の参考例を示したもので、ここでは人体検知センサとして、吐水/止水を行わせるためのオン/オフセンサ184と、流路切替用の切替センサ186とを吐水管16に且つ管軸方向に配列させた例である。
ここではオン/オフセンサ184を手前側に、切替センサ186を奥側に配置している。
一方(B)の例は、これとは逆に切替センサ186を手前側に、オン/オフセンサ184を奥側に配置した例である。
【0086】
図27は複数の人体検知センサを管軸方向に配列させる場合の他の変形例として、吐水管16に突出部188を設け(ここでは突出部188が吐水管16の側面に設けられている)、その突出部188に複数の人体検知センサ190,192を管軸方向に配列した例である。
ここで人体検知センサ190としては上例の様々なセンサを用いることができ、また人体検知センサ192として、これとは種類の異なる他の人体検知センサを用いることができる。
尚このように吐水管16の側方に突出部188を設けて、そこに人体検知センサ190,192を設ける代りに、突出部188をなくして吐水管16の側面自体にこのような人体検知センサ190,192を管軸方向に配列し設けることもできる。
【0087】
図28は更に他の参考例を示している。
この例は、図19及び図20に示す第2の給水路174,図21の例における浄水路64を省略した形態のもので、吐水管16には湯用センサ118のみが設けられている。
他の点については図19〜図21に示す例と同様である。
【0088】
以上本発明の実施形態を参考例とともに詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0089】
16 吐水管
116 水用センサ(人体検知センサ)
118 湯用センサ(人体検知センサ)
120 浄水用センサ(人体検知センサ)
180 オンセンサ(人体検知センサ)
182 オフセンサ(人体検知センサ)
184 オン/オフセンサ(人体検知センサ)
186 切替センサ(人体検知センサ)
190,192 人体検知センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は人体検知センサを吐水管に設けて成る自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水管に人体検知センサを設け、差し出された手等を非接触で検知して(人体検知して)吐水口からの吐水と止水とを自動的に行う自動水栓が公共トイレ等の主として手洗用水栓として広く用いられている。
この種の自動水栓では、吐水口の下方に差し出された手を検知すべく一般に人体検知センサが吐水管先端部の下面に設けられている。
このような自動水栓は手洗いを主目的としたものであるため、人体検知センサが手を検知している間だけ吐水を行い、非検知となったところで止水すれば良く、従って人体検知センサは1つあれば目的を達することができる。
【0003】
しかしながら、例えばキッチン水栓では、水だけでなく湯(所望温度の湯)を出したい場合もあり、水用センサ,湯用センサを設けておくことが望ましい場合もある。
【0004】
詳しくは、この種自動水栓をキッチン水栓に適用することが近年行われているが、キッチン水栓の場合には単に手を洗うだけでなく、シンクに置いた容器内に水を注いで溜めたり、或いは両手を使いながら洗いもの作業のために水を出し続けなければならないことも多く、しかもシンク作業を行いながら吐水・止水の操作を容易に行い得るものでなければならないことに加えて、キッチン作業に際して水を出すだけでなく湯(所望温度の湯)を出したい場合もあり、従ってキッチン水栓を自動水栓として構成する場合にあっては、人体検知センサが手等人体を検知するごとに吐水と止水とを交互に繰り返すようにしたり、また水吐水,湯吐水の吐水種類に応じて水用センサ,湯用センサを吐水管に備えておくことが望ましい。
この場合、水吐水を選択するための水用の人体検知センサ(水用センサ)と湯吐水を選択するための湯用の人体検知センサ(湯用センサ)とを吐水管に設け、これらを管軸方向の同位置において吐水管先端部の右側面と左側面に分けて配置しておくといったことが考えられる。
このようにしておけば右側面の人体検知センサと左側面の人体検知センサとが同時に手等人体を検知してしまう不具合を極力回避し、センサによる誤検知、ひいては水栓の誤動作を回避し易い利点が得られる。
【0005】
しかしながら一方で、このようにすると吐水管先端部が左右に太くなってデザイン性,外観が悪化してしまう。
以上キッチン水栓を代表として述べたが、他の自動水栓においても同じ問題が発生する。
【0006】
尚下記特許文献1には、逆U字状のグースネック形状の吐水管を有し、その吐水管に人体検出部を設けて成る自動水栓が開示されているが、このものは人体検出部が1つであり本発明とは異なっている。
また下記特許文献2には、吐水管上に温水調節用スイッチや吐水量調節スイッチ等複数のスイッチを設けて成る自動水栓が開示されているが、各スイッチは非接触で人体検知するものではなく本発明とは異なっている。
その他、本発明に関連する先行技術として下記特許文献3,特許文献4に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−293410号公報
【特許文献2】実開昭63−100559号公報
【特許文献3】特開2002−212990号公報
【特許文献4】特開2000−305587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、水吐水,湯吐水用の人体検知センサを吐水管に設けた場合において、吐水管が太くなってデザイン性,外観を悪化させてしまう問題を特に生じることのない自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、非接触式の人体検知センサを吐水管に設けてなる自動水栓において、複数の前記人体検知センサとして、水吐水を選択する水用センサと、湯吐水を選択する湯用センサとを前記吐水管に設け、該水用センサを使用者に近い手前側に、該湯用センサを奥側に配置してあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記水用センサと湯用センサとを前記吐水管の管軸方向に配列してあることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとを前記吐水管の上面に設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項3において、前記吐水管が逆U字状のグースネック形状のものであって、前記水用センサと湯用センサとが、該吐水管の最上位の部位から先端に向って下向きとなる部分に設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、使用者に近い前記水用センサの検知距離が、奥側の前記湯用センサよりも短く設定してあることを特徴とする。
【0014】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の該湯用センサによる人体検知を優先するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0015】
以上のように本発明は、水用センサと湯用センサとを吐水管の管軸方向の前(手前側),後(奥側)に位置を異ならせて配置したもので、このようにすれば吐水管が太くなってしまうのを防止して、吐水管のデザイン性,外観を良好に保つことができる。
ここで水用,湯用の各人体検知センサは、人体を検知し続けなくても一旦人体を検知したなら、その後人体非検知となっても各人体検知センサに対応した所要の動作を行わせるものとなしておくことができる。
また各センサは、人体を検知する毎に吐水と止水とを交互に行わせるものとなしておくことができる。
本発明においては、上記水用センサと湯用センサとを吐水管の管軸方向に配列しておくことができる(請求項2)。
【0016】
上記水用センサ及び湯用センサは、それぞれ吐水管の上面に設けておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、センサに手をかざす動作、即ちセンサに手検知させて水栓を操作する際の操作性が良好となる。
【0017】
本発明では、逆U字状のグースネック形状をなす吐水管に対して、その最上位の部位から吐水管先端に向かって下向きとなる部分に上記の水用センサと、湯用センサとを配置しておくことができる(請求項4)。
この場合、温度の低い水を選択するための水用センサが低い位置に、温度の高い湯を選択するための湯用センサが高い位置に位置することとなり、吐水の温度の高低と吐水種類選択用の人体検知センサの位置の高低とが感覚的に直結して、それらの操作がより行い易いものとなる。
【0018】
次に請求項5は、使用者に近い手前側の水用センサの検知距離を奥側の湯用センサの検知距離よりも短く設定したものである。
【0019】
通常奥側の湯用センサに手をかざそうとするとき、即ち奥側の湯用センサを操作しようとするとき、使用者に近い位置にある手前側の水用センサを通過して奥側の湯用センサを操作しようとする。
この場合奥側の湯用センサに手を検知させようとしているにも拘わらず、意に反して手前側の水用センサが手を検知してしまい易い。
しかるに請求項5に従って手前側の水用センサの検知距離を短く設定しておけば、このような誤検知を効果的に防止して、その誤検知による水栓の誤動作を防止することができる。
【0020】
次に請求項6は、使用者に近い手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが実質的に同時に人体検知したとき、より奥側の湯用センサによる人体検知を優先するようになしたものである。
【0021】
例えば使用者が手前側の水用センサだけ操作しようとしたとき、通常その手前側の水用センサよりも奥側まで手を延ばそうとはしない。従って奥側の湯用センサを誤って操作してしまうといった可能性は少ない。
これに対して奥側の湯用センサを操作しようとするときには、手を吐水管の手前側から奥側の湯用センサの方まで延ばそうとするのが普通である。このとき手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが実質的に同時に手を検知した状態となる恐れがある。
【0022】
そこでこの請求項6では、手前側の水用センサと奥側の湯用センサとが同時に手を検知したときには、奥側の湯用センサによる人体検知を優先するようになしたもので、このようにすることで、奥側の湯用センサを操作しようとしたにも拘わらず手前側の水用センサが手を誤検知して水栓の誤動作を招くのを有効に防止することができる。
【0023】
またこのように請求項5,請求項6に従って水用センサ,湯用センサによる検知距離や優先順位を設けることによって、非接触式の複数のセンサを吐水管の同じ上面に設けたり、また比較的近接して設けたりした場合であっても、良好且つ簡単にセンサの使い分けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓を示す図である。
【図2】同実施形態の自動水栓の流路を示す図である。
【図3】同実施形態の吐水管と各種センサを示す図である。
【図4】同実施形態のバルブユニットを示す斜視図である。
【図5】図4のバルブユニットを互いに異なる切断面で切断して示す斜視図である。
【図6】図4のバルブユニットの図5とは異なった切断面における断面図である。
【図7】同実施形態における混合弁を示す図である。
【図8】図3の吐水管の内部構造を示す断面図である。
【図9】図8における吐水ヘッドを吐水管本体から離した際の図である。
【図10】図8の分解斜視図である。
【図11】図10の一部を詳しく示した図である。
【図12】同実施形態における各人体検知センサを示した図である。
【図13】浄水吐水を行う際の図である。
【図14】同実施形態における流路切換えの説明図である。
【図15】同実施形態におけるコントローラの制御の内容を示すフローチャートである。
【図16】図15に続くフローチャートである。
【図17】コントローラによる制御内容をタイムチャートで表した図である。
【図18】(A)本発明の他の実施形態を示す図である。(B)参考例を示す図である。
【図19】他の参考例を示す図である。
【図20】図19におけるカプラの内部構造を詳しく示した図である。
【図21】更に他の参考例を示す図である。
【図22】図21の例における制御例を示す図である。
【図23】更に他の制御例を示す図である。
【図24】更に他の参考例を示す図である。
【図25】更に他の参考例を示す図である。
【図26】更に他の参考例を示す図である。
【図27】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図28】更に他の参考例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明をキッチン用のホース収納式の自動水栓に適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はキッチンのキャビネットで、12はカウンターであり、このカウンター12上に起立する状態で水栓の本体部14と吐水管16とが設けられている。ここで吐水管16は本体部14に対して所定角度回動可能とされている。
また吐水管16は、図3に示しているように逆U字状のグースネック形状をなしている。
同図に示しているように吐水管16は、先端に吐水口18を有し、可撓性のホース20とともに引出し可能な吐水ヘッド22と、吐水ヘッド22を収納位置に保持するホルダとしての働きを有する吐水管本体24とを有している。
【0026】
図1に示しているように、キャビネット10の内部には一対の止水栓28,30の間の位置においてバルブユニット26が配設されている。
そしてこのバルブユニット26の後述の水流入口92(図5(イ)参照)に対して給水用の元配管(以下単に給水元管と略す)が止水栓28,分岐継手32及び接続ホース34を介して接続されている。
また後述の湯流入口94(図5(イ)参照)に対して給湯用の元配管(以下単に給湯元管と略す)が、止水栓30及び接続ホース36を介して接続されている。
このバルブユニット26の水流出口及び湯流出口からは水,湯のサプライ管38,40が上向きに延び出しており、それらの先端が上記の水栓の本体部14に接続されて、その本体部14に水,湯がそれぞれ供給されるようになっている。
【0027】
本体部14には後述の混合弁58(図2参照)が内蔵されていて、その混合弁58の下流部から水又は湯(混合弁58で温調された湯)を流出させる流出管42が下向きに延び出しており、その先端がカプラ44を介して上記の可撓性のホース20に接続されている。
ここでホース20はカプラ44から上向きに延び出した後、1回転した上で本体部14,吐水管本体24を挿通し吐水ヘッド22に接続されている。
【0028】
キャビネット10の内部にはまた浄水器46が設けられており、バルブユニット26の上流部において給水元管からの水が分岐継手32,ホース48を通じてこの浄水器46に導かれるようになっている。
浄水器46は、水道水を後述のフィルタ66(図2参照)に通して浄化するもので、その浄化後の浄水を流出させるホース50が浄水器46から延び出している。
このホース50の先端はカプラ44を介して、吐水ヘッド22に繋がるホース20に接続されている。
即ち浄水器46から流出した浄水がホース50,20を通じて吐水ヘッド22に導かれ、その先端の吐水口18から吐水されるようになっている。
【0029】
キャビネット10の内部にはまた、バルブユニット26の下側において水栓の動作制御のためのコントローラ(制御部)52が設けられている。
【0030】
図2に示しているように本実施形態において給水元管,給湯元管からの水,湯は給水路54,給湯路56を通じて本体部14に内蔵された混合弁58に供給される。
供給された水と湯とはレバーハンドル60の操作に基づいて所定比率で混合された上、同じくそのレバーハンドル60の操作に基づいて決定された所定流量で流出路62を通じ吐水ヘッド22に送られ、先端の吐水口18から吐水される。
ここでレバーハンドル60は、左右回動操作によって水と湯との混合比率の調節即ち温度調節を行い、また上下回動操作によって流量調節を行う。
【0031】
給水元管からの水はまた、電磁弁68の上流部で給水路54から分岐した浄水路64に取り出され、そして浄水路64上に設けられた浄水器46のフィルタ66を通過してそこで浄化された上で、浄化後の水(浄水)が混合弁58をバイパスして流出路62に導かれ、そしてその流出路62を通じて吐水ヘッド22の吐水口18から吐水されるようになっている。
これら給水路54,給湯路56及び浄水路64のそれぞれには流路を開閉する電磁弁68,70,72及び逆流防止をなす逆止弁74が配設されている。
尚浄水路64には定流量弁73が設けられている。
【0032】
給水路54からはまた、電磁弁68の上流部においてバイパス路76が分岐して延び出しており、その先端が給湯路56且つ電磁弁70及び逆止弁74の下流部に接続されている。
このバイパス路76上にもまた、流路を開閉する電磁弁78と逆止弁74が設けられている。
これら電磁弁68,70,72,78はそれぞれコントローラ52に電気的に接続されていて、コントローラ52によって動作制御される。
【0033】
本実施形態において、給水路54と給湯路56とを連絡するバイパス路76を設けているのは次のような理由による。
即ちレバーハンドル60の操作位置が、混合弁58内における湯の流路を全開、水の流路を全閉状態とする状態にあると、後述する人体検知センサ(水用センサ116)による人体検知に基づいて吐水口18から水吐水させようとしてもこれを行うことができない。
そこで給水路54と給湯路56とをバイパス路76で連絡しておき、混合弁58内において水の流路が全閉状態にあっても、給水元管からの水をバイパス路76,給湯路56,更に流出路62を通じて吐水口18へと供給可能となしているのである。
【0034】
この実施形態の自動水栓では、図14(A)に示しているように電磁弁68及び78が開,電磁弁70,72が閉とされることで、給水路54及びバイパス路76、更に給湯路56の一部を通じて給水元管からの水が混合弁58に送られ、更にその混合弁58を経由して流出路62を通じ、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。
また図14(B)に示しているように電磁弁68及び70が開,電磁弁72及び78が閉の状態の下で、給水元管からの水と給湯元管からの湯がそれぞれ給水路54及び給湯路56を通じて混合弁58に送られてそこで混合され、適温の湯とされた上で流出路62を通じ吐水口18から湯が吐水(湯吐水)される。
一方図14(C)に示しているように電磁弁68,70及び78の何れもが閉で、電磁弁72のみが開の状態の下では、給水元管からの水が浄水器46、つまり浄水路64の側に導かれてフィルタ66を通り、浄水となって流出路62を通じ吐水口18から吐水(浄水吐水)される。
【0035】
図7に上記混合弁58の構成が具体的に示してある。
同図に示しているように混合弁58は、ハウジング80の内部に固定弁体82と、その上面を摺動する可動弁体84とを有しており、その可動弁体84に対してレバーハンドル60が作動的に連結されている。
固定弁体82には水,湯の入口86,86が設けられていて、それら入口86,86を通じて、サプライ管38,40を図中上向きに送られて来た水と湯とが可動弁体84の混合室88内に流入する。
そして混合室88で混合された後の温調後の湯或いは水が出口89から流出管42へと流出して、図2の流出路62を通じ吐水口18へと導かれる。
【0036】
図4〜図6に上記バルブユニット26の構成が具体的に示してある。
これらの図において90はバルブボデーで、図5に示しているように水流入口92,湯流入口94と、それらに連通して給水路54,給湯路56の一部をなす内部流路54a,56aを有している。
そしてそれら内部流路54a,56a上に電磁弁68,70(図6参照)が設けられている。
【0037】
バルブボデー90にはまた、図5(ハ)に示しているように上記バイパス路76の一部を成す分岐流路76aが給水用の内部流路54aから分岐しており、この分岐流路76a上にバイパス路76を開閉するための電磁弁78(図6参照)が設けられている。
バルブボデー90には更に、図5(イ)に示しているように分岐流路76aを給湯路56に合流させるための、バイパス路76の残部をなす合流路76bが設けられており、分岐流路76aからの水がこの合流路76bによって給湯路56に合流し、その後給湯路56を通じて図2の混合弁58へと送られるようになっている。
【0038】
上記電磁弁68,70,78は図6(ロ)に示しているように、主弁としてのダイヤフラム弁98と、その背後に形成された背圧室100と、背圧室100の水抜きを行う水抜水路としてのパイロット水路102と、パイロット水路102を開閉するパイロット弁としてのプランジャ弁104と、固定コア106と、プランジャ弁104を電磁力で動作させるソレノイド108とを有している。
この電磁弁68,70,78においては、ソレノイド108への通電によりプランジャ弁104を開弁させると、パイロット水路102が開放されて背圧室100の圧力が抜け、主弁としてのダイヤフラム弁98が開弁動作する。
【0039】
尚、図4(イ)及び図6(イ)に示しているようにバルブボデー90には内部の水,湯を抜くための水抜栓110と、水抜きに際してダイヤフラム弁98を手動にて開放させるための開放操作部材112とが設けられている。
開放操作部材112は、摘み114を回転操作することでダイヤフラム弁98を手動で開放させる。
【0040】
図3に示しているように、逆U字状のグースネック形状をなす吐水管16における吐水管本体24の先端部、詳しくはその最上位の部位から先端に向かって下向きとなる部分の上面に、水用センサ(水用の人体検知センサ)116及び湯用センサ(湯用の人体検知センサ)118が、所定間隔隔てて管軸方向に一列に配列されている。
ここで水用センサ116は使用者に近い手前側に(前側に)、また湯用センサ118は奥側に設けられている。従って水用センサ116は湯用センサ118に対して下位置に、また湯用センサ118は水用センサ116に対して上位置に位置している。
本実施形態においては、吐水管本体24の側面においても浄水用センサ(浄水用の人体検知センサ)120が設けられている。
尚吐水管本体24の先端部下面には、吐水やシンク或いはシンク内の容器等に光を照射してほのかに照らし出す光照射部122が設けられている。
【0041】
この実施形態の自動水栓では、水用センサ116の上方に手をかざして水用センサ116によりこれを検知させると、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。また水吐水状態の下で再び水用センサ116の上方に手をかざすと、そこで水吐水が停止する。即ち止水する。
一方湯用センサ118の上方に手をかざすと、湯用センサ118による手の検知に基づいて、吐水口18から適正温度に温度調節された湯(温調水)が吐水(湯吐水)され、そしてその湯吐水中に再び湯用センサ118の上方に手をかざすと、そこで湯吐水が停止する。
【0042】
一方図13に示しているように吐水管本体24の先端部側方に手を差し出すと、浄水用センサ120がこれを検知し、吐水口18から浄水が吐水(浄水吐水)される。また浄水吐水状態の下で再び浄水用センサ120に対して手をかざすと、そこで浄水吐水が停止する。
そのようにコントローラ52が対応する各電磁弁68,70,72,78を動作制御する。
【0043】
尚ここでは、水用センサ116の検知距離が奥側の湯用センサ118の検知距離よりも短く設定されている。
即ち各センサ(水用センサ116及び湯用センサ118)が差し出された手の指を検知するものと想定して、ここでは水用センサ116の検知距離が約2cm程度、湯用センサ118の検知距離が約4cm程度に設定されている。
【0044】
図8〜図11に吐水管16の内部構造が具体的に示してある。
図8,図9及び図10に示しているように、吐水管本体24は金属パイプ124と、断面U字状をなして金属パイプ124の内部に挿入され内側においてホース20をガイドし、また外側において上記各水,湯,浄水用の各センサ116,118,120とコントローラ52とを連絡する電気配線をガイドする湾曲形状のインナ部材126と、その先端側に設けられてホース20を挿通ガイドする概略筒状のガイド部材128と、その下側からこれを覆うガイドカバー130とを有している。
【0045】
図11に示しているようにこのガイド部材128の上面には仕切板131が固定されており、そしてその仕切板131の上面に上記水用センサ116,湯用センサ118を有するセンサユニット132,134が載置固定された上、その上側から樹脂製の透光性のセンサカバー136が被せられている。
ガイド部材128には、その側面に浄水用センサ120が取り付けられている。ガイドカバー130は、その浄水用センサ120に対応する部分が透光性とされている。
【0046】
上記湯用センサ118は光電式のものであって、図12(A)に示しているようにこの湯用センサ118を有するセンサユニット134は基板140を有していて、そこに赤外線の発光素子142と、受光素子144と、センサ制御部としてのマイコン146が搭載されている。
基板140にはまた、湯吐水状態であるかそうでないかを表示するためのLED148が搭載されており、湯吐水状態の下ではこのLED148が点滅し、またそうでないときにはLED148が点灯保持するようになっている。
【0047】
一方図12(B)に示しているように、水用センサ116を有するセンサユニット132は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144と、更に水吐水中であるか否かを表示するLED150が搭載されている。
ここでLED150は水吐水中であれば点滅を行い、またそうでないときには点灯状態を保持して、水吐水中であるか否かを表示する。
このセンサユニット132にはまた、基板140に現在の吐水温度を表示するための3色(RGB)LED152が搭載されている。
【0048】
一方図12(C)に示しているように浄水用センサ120を有するセンサユニット138は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144及び浄水吐水中であるか否かを表示するためのLED154が搭載されている。
このLED154は浄水吐水中においては点滅動作し、またそうでないときには点灯状態を保持することによって、浄水吐水中であるか否かを表示する。
【0049】
一方吐水ヘッド22は、図9に示しているように筒状のコア部材156と、これを外周側から覆うカバー158とを有しており、そのコア部材156に対してホース20の先端部が水密に接続固定されている。
この吐水ヘッド22の先端には、吐水口18からの吐水をストレート吐水からシャワー吐水に又はその逆に切換操作する切換操作部160が設けられている。
【0050】
吐水管本体24と吐水ヘッド22との間には、図8及び図9に示しているように、それらによって管軸方向に挟まれるようにして温度表示リング162が取り付けられている。
この温度表示リング162は、概略リング状をなす透光性の樹脂から成っていて、図9の部分拡大図に示しているように後方への延出部164が一体に成形されており、この延出部164に対して上記3色LED152からの光が照射されるようになっている。
3色LED152から延出部164に照射された光は、温度表示リング162の内部を通ってその外周面から周辺に放射される。
【0051】
3色LED152は赤(Red),緑(Green)及び青(Blue)を発色するLEDをユニット化したもので、無段階で連続的に色変化が可能であり、温度表示リング162はその色変化に基づいて吐水温度を表示する。
即ち吐水温度が低いときには青色を、吐水温度が高いときには赤色を、中間のときにはそれらに応じた色を発色して現在の吐水温度がどのような温度であるかをその色変化によって表示する。
【0052】
本実施形態では、浄水用センサ120,湯用センサ118及び水用センサ116が実質的に同時に手を検知した場合には、浄水用センサ120による検知が最も優先し、その次に湯用センサ118による検知が優先するようになっている。
詳しくは、浄水用センサ120が手を検知したときには一定時間他のセンサ即ち湯用センサ118及び水用センサ116の検知が無効化され、一定時間経過後に湯用センサ118,水用センサ116による検知が有効化される。
また湯用センサ118が手を検知したときには、一定時間水用センサ116による検知が無効化され、一定時間経過後に水用センサ116による検知が有効化される。
コントローラ52がそのように吐水の動作を制御する。
【0053】
図15及び図16に、コントローラ52による制御の内容がフローチャートとして具体的に示してある。
図15に示しているように、先ずここでは浄水用センサ120,湯用センサ118等が手を検知することによって水用センサ116が無効化されていないかがステップS10で判断され、その結果水用センサ116が無効化されていない場合には、ステップS12において水用センサ116が手を検知したか否かが判断され、その結果水用センサ116が手を検知したと判断された場合には、ステップS14において水用センサ116を一定時間(例えばここでは数百mS)無効化した上で、次にステップS16において現在水吐水中か否かが判断され、その結果現在水吐水中でない場合即ち止水状態の時には、水吐水が実行される(ステップS18)。
一方現在水吐水中であれば、ステップS20において水吐水の停止即ち止水が実行される。
そしてその後ステップS26へと移行する。
【0054】
尚ステップS10において水用センサ116が無効中であると判断された場合には、ステップS22に移ってそこで無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば、ステップS24において水用センサ116の有効化が実行される(ステップS24)。
そして続いてステップS26が実行される。
【0055】
このステップS26では次に湯用センサ118が無効中か否かが判断され、そして無効中でないと判断されたときにはステップS28において湯用センサ118が手を検知したか否かが判断される。
その結果湯用センサ118が手を検知した場合には、ステップS30において水用センサ116と湯用センサ118の検知が一定時間無効化された上で、続いてステップS32において現在湯吐水中か否かが判断される。
そして現在湯吐水中でなければステップS34において湯吐水が実行され、また湯吐水中であればステップS36において湯吐水の停止即ち止水が実行される。
そしてその後ステップS42に以降する。
【0056】
一方ステップS26において湯用センサ118が無効中であると判断されたときには、その後ステップS38において無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば湯用センサ118の有効化が実行される(ステップS40)。
そしてその後ステップS42が実行される。
【0057】
このステップS42では、浄水用センサ120が無効中か否かが判断され、そして無効中でないと判断されたときにはステップS44において浄水用センサ120が手を検知したか否かが判断され、その結果浄水用センサ120が手を検知していると判断された場合には、ステップS46において水用センサ116,湯用センサ118及び浄水用センサ120が一定時間無効化された上で、ステップS48において現在浄水吐水中か否かが判断され、そして浄水吐水中でなければステップS50において浄水吐水が実行される。
また現在浄水吐水中であるならば、ステップS52において浄水吐水の停止即ち止水が実行される。
【0058】
一方ステップS42において浄水用センサ120が無効中であると判断されたときには、その後ステップS54において無効時間が終了したか否かが判断され、その結果無効時間が終了していれば浄水用センサ120の有効化が実行される(ステップS56)。
その後再びS10以下の各ステップが再び実行される。
【0059】
図17は上記制御内容をタイムチャートとして表したものである。
図中T3において浄水用センサ120が手を検知し、オン動作したときには所定時間Bだけ他のセンサ(湯用センサ118,水用センサ116)が無効化される結果、その後に湯用センサ118が手を検知してもその検知は無効化され、次に再び浄水用センサ120が手を検知するまでの間、浄水用の電磁弁72が開状態に維持されて吐水口18から浄水が吐水され続ける。
そして次に再び浄水用センサ120が手を検知したところで、浄水用の電磁弁72が閉弁して、そこで浄水吐水が停止する。
【0060】
この浄水用センサ120が2度目にオン動作した場合にも、即ち浄水吐水を停止するために浄水用センサ120が2度目にオン動作しても、その後所定時間Bだけ他のセンサ(湯用センサ118,水用センサ116)が無効扱いされる。
従ってこの所定時間Bの間に水用センサ116が手を検知してもその検知は無効扱いされ、従って水用の電磁弁68及びバイパス用の電磁弁78は閉弁状態に保持されて、吐水口18からの水吐水は行われない。
【0061】
一方図中T1において、水用センサ116が手を検知してオン動作し、これに基づいて水用の電磁弁68及びバイパス用の電磁弁78が開弁し、吐水口18から水吐水を行っている途中で湯用センサ118が手を検知したときには、直ちに所定時間Aだけ水用センサ116が無効化されて、ここにバイパス用の電磁弁78が閉弁動作し(このとき水用の電磁弁68は開弁状態に維持される)、これと同時に給湯路56上の湯用の電磁弁70が開弁して水と湯とが混合弁58に、更には吐水口18に送られてそこから設定温度に温調された湯が吐水される。
そしてその後2度目に湯用センサ118が手を検知したとき、即ち湯用センサ118がオン動作したところで、給水路54上の水用の電磁弁68及び給湯路56上の湯用の電磁弁70が何れも閉弁して温調された湯の吐水が停止する。
このときにも所定時間Aだけ水用センサ116が無効化される。
【0062】
図中T2において、湯用センサ118のオン動作により水用の電磁弁68と湯用の電磁弁70とが開弁し、温調された湯が吐水されているときには、その間に水用センサ116が手を検知しても即ちオン動作しても水吐水への切換えは行われず、そのまま湯吐水が続行される。
【0063】
尚、ここでは水用センサ116がオン動作すると直ちに水吐水するようにしているが、水用センサ116がオン動作した後、所定時間(数百mS)の間他のセンサ(湯用センサ118,浄水用センサ120)のオン動作の有無を待ち、その間にオン動作がなければそこで初めて水吐水するようになしても良い。
この点は湯用センサ118についても同様で、湯用センサ118がオン動作した後、所定時間の間浄水用センサ120がオン動作するのか否かを待って、オン動作がなければ初めて湯吐水するようになしても良い。
【0064】
以上のように本実施形態の自動水栓は、水用センサ116,湯用センサ118を吐水管16の管軸方向に一列に配列したため、吐水管16が太くなってしまうのを防止して吐水管16のデザイン性,外観を良好に保つことができる。
【0065】
また水用センサ116,湯用センサ118は吐水管16の上面に設けてあるため、各センサ116,118に手を検知させて水栓を操作する際の操作性が良好である。
また水用センサ116を使用者に近い手前側に、湯用センサ118を奥側に、詳しくは温度の低い水を選択するための水用センサ116を低い位置に、温度の高い湯を選択するための湯用センサ118を高い位置に設けてあるため、吐水の温度の高低と吐水種類選択用の水用センサ116,湯用センサ118の位置の高低とが感覚的に直結して、それらの操作がより行い易いものとなる。
【0066】
更に本例では使用者に近い手前側の水用センサ116の検知距離を奥側の湯用センサ118の検知距離に対して短く設定してあり、加えて手前側の水用センサ116と奥側の湯用センサ118とが実質的に同時に手を検知したときには、奥側の湯用センサ118による人体検知を優先するようになしてあるため、奥側の湯用センサ118を操作しようとしたにも拘わらず手前側の水用センサ116が手を検知してしまうといった誤検知を効果的に防止し得、その誤検知による水栓の誤動作を防止することができる。
このため水,湯用の非接触式の各センサ116,118を吐水管16の同じ上面に設けているにも拘わらず、各センサの使い分けを容易になし得て支障なく良好に自動水栓の操作をしかも簡単に行うことができる。
【0067】
図18は本発明の他の実施形態を示したもので、図18(A)の例は、水用センサ116と、湯用センサ118と、浄水用センサ120とを吐水管16の上面に且つ手前側から奥側に向かって水用センサ116,湯用センサ118,浄水用センサ120の順に一列に配列した例である。
また図18(B)の例(参考例)は、吐水管16の上面且つ最も手前側に浄水用センサ120を、その奥側に水用センサ116と湯用センサ118とを並んで設けた例である。
【0068】
図19及び図20は本発明の他の参考例を示している。
この例では、給水元管からの水及び給湯元管からの湯をそれぞれ上記のようなバルブユニットを経由することなく、直接本体部14内の混合弁58に供給するようにし、そして流出路62を構成する流出管42とホース20とを接続するカプラ170に、流出路62を開閉する電磁弁172を設けている。
即ちここでは、温調された湯を吐水口18から吐水させ又は止水するための電磁弁172を混合弁58の2次側(下流側)に設けている。
【0069】
また一方、混合弁58の上流部において給水路54から第2の給水路174を分岐して延び出させ、その先端を流出路62且つ電磁弁172の下流部に接続している。
この第2の給水路174上には、定流量弁73と第2の給水路174を開閉する電磁弁176とが設けてある。
【0070】
一方吐水管16には、その上面に湯用センサ118と水用センサ116とが管軸方向に一列に設けられている。
但しここでは湯用センサ118が使用者に近い手前側(前側)に、また水用センサ116が奥側に設けられている。
【0071】
この例においても、使用者に近い手前側の湯用センサ118の検知距離が奥側の水用センサ116の検知距離よりも短く設定してあり、また湯用センサ118と水用センサ116とが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の水用センサ116による人体検知が優先するようになしてある。
【0072】
この例では、第2の給水路174からの水が混合弁58をバイパスして吐水口18から水吐水されることから、水吐水の際の流量調節の機能は有しておらず、一定流量で吐水口18から水吐水される。
【0073】
図20にカプラ170の内部構造が具体的に示してある。
同図に示しているように、ここではカプラ170に、水抜栓110と電磁弁172の主弁をなすダイヤフラム弁98を開放させる開放操作部材112とが電磁弁172と併せて組み込まれている。
【0074】
図21は更に他の参考例を示したもので、ここでは第2の給水路174に代えて浄水路64を設け、それに対応して吐水管16の上面に湯用センサ118と浄水用センサ120とを管軸方向に一列に且つ湯用センサ(原水用センサ)118を使用者に近い手前側に、浄水用センサ120を奥側に設けている。
尚この例において、ハンドル60を水側まで一杯に回動操作しておけば、吐水口18から湯の代りに水が吐水される。即ちここでは湯用センサ118が、吐水口18から原水を吐水させるための原水用センサとしての働きを有する。
但しここでは湯用センサ118を、吐水口18から湯を吐水させるためのものとして説明する。
【0075】
この例においても、湯用センサ118及び浄水用センサ120のうち、使用者に近い手前側の湯用センサ118に対して奥側の浄水用センサ120が優先され、またその検知距離は、奥側の浄水用センサ120に対し手前側の湯用センサ118の検知距離が短く設定されている。
この例の場合、水吐水に代えて浄水吐水が行われる以外は図19及び図20に示す例と基本的に同様である。
尚ここでは奥側の浄水用センサ120を湯用センサ118に対し優先させるものとして説明したが、場合によって手前側の湯用センサ118を浄水用センサ120に対し優先させるようになしても良い。
浄水吐水に比べて湯吐水の方が頻度が高いため、使用頻度の高い湯吐水を使用頻度の少ない浄水吐水に対して優先させるようになすことで、水栓の使い勝手が向上する場合もある。
【0076】
尚、上記のように浄水用センサ120を湯用センサ(原水用センサ)118に対して優先させるとしても、場合によって、浄水用センサ120を操作しようとして(浄水用センサ120にて手検知させようとして)手を延ばしたときに、誤って先に湯用センサ118が手を検知してしまうといったことが生じる可能性もある。
【0077】
例えば現在浄水が吐水されている状態で、浄水吐水を止めようとして手を浄水用センサ120の上方に差し出したときに、先ず湯用センサ118がこれを検知してしまって、浄水吐水を瞬間的に停止、湯吐水を瞬間的に開始動作し、そして開始動作したところで差出した手が浄水用センサ120の上方に延ばされることで、次の瞬間に浄水用センサ120が再び手を検知して湯吐水動作を停止するとともに、再び浄水吐水を開始してしまい、結果的に浄水吐水を止めようとして手を差し出したにも拘わらず、浄水が出続けてしまうといったことも起こり得る。
【0078】
図22(A)はこのような不具合の発生を防止するための制御の一例を示している。
この図22(A)は、浄水吐水中において湯用センサ118,浄水用センサ120のうちの何れが人体検知した場合にも、浄水吐水を停止するようになした例である。
【0079】
詳しくは、浄水用の電磁弁72が開弁状態で浄水吐水中に湯用センサ118が人体検知すると、そこで浄水用の電磁弁72が閉弁して浄水吐水が停止する。即ち止水する。
また浄水用センサ120による人体検知に基づいて浄水を吐水しているときに、浄水用センサ120が人体検知した場合においても、そこで浄水吐水が停止する。
尚、湯用センサ118による人体検知により湯吐水中において、浄水用センサ120が人体検知した場合においても、そこで湯用の電磁弁172が閉弁して湯吐水が停止する。
尚図中Tはセンサ状態無視時間で、ここでは0.5秒に設定されている。
【0080】
一方図22(B)は、浄水吐水中に湯用センサ118が人体検知したときに浄水の吐水を停止(逆に湯吐水中に浄水用センサ120が人体検知したときにも湯吐水を停止)するようになした例である。
即ち吐水種類に対応した人体検知センサではなく、それとは反対の人体検知センサ、つまり浄水吐水に対して湯用センサ118(湯吐水に対しては浄水用センサ120)が人体検知したときに、吐水を停止するようになした例である。
詳しくは、例えば浄水用の電磁弁72が開弁状態にあって浄水吐水しているときに、浄水用センサ120とは逆の湯用センサ118が人体検知したときに始めて浄水吐水が停止する。
【0081】
次に図23(A)は吐水後一定時間で吐水停止するようになした場合の例である。
詳しくは、浄水用の電磁弁72が開弁して浄水吐水を開始した後、予め定めた一定時間T内で浄水用センサ120がオン操作されても、即ち浄水用センサ120が人体検知しても浄水吐水は停止せず、浄水の吐水開始から一定時間Tを経過することで自動的に浄水吐水が停止する。
【0082】
一方図23(B)の例は、浄水吐水を開始した後一定時間Tを経過すると浄水吐水を停止するが、その間に即ち浄水吐水開始してから一定時間T内に浄水用センサ120が再びオン操作された場合即ち人体検知した場合、タイマがリセットされてそこから再度タイムカウントが開始され、そしてそれ以後一定時間T経過したところで浄水吐水が停止する。
尚これらの制御例は、2種類の吐水種類のうちの一方が吐水されているときに、その吐水を停止するための制御の方法として一般的に適用可能である。
【0083】
図24(A)は更に他の参考例を示したもので、この例は湯用センサ(原水用センサ)118と浄水用センサ120の前後及び上下の配置を逆転させて、浄水用センサ120を手前に、湯用センサ118を奥側に設けた例である。
尚、単水栓においては奥側の原水用センサが水用センサ116((B)参照)となる。
【0084】
図25は更に他の参考例を示している。
このうち(A)は、吐水用のオンセンサ180と止水用のオフセンサ182とを吐水管16に且つ管軸方向に配列した例で、ここではオフセンサ182が手前側に、オンセンサ180が奥側に配置してある。
一方(B)の例は、(A)とは逆にオンセンサ180を手前側に、オフセンサ182を奥側に配置した例である。
【0085】
次に図26は更に他の参考例を示したもので、ここでは人体検知センサとして、吐水/止水を行わせるためのオン/オフセンサ184と、流路切替用の切替センサ186とを吐水管16に且つ管軸方向に配列させた例である。
ここではオン/オフセンサ184を手前側に、切替センサ186を奥側に配置している。
一方(B)の例は、これとは逆に切替センサ186を手前側に、オン/オフセンサ184を奥側に配置した例である。
【0086】
図27は複数の人体検知センサを管軸方向に配列させる場合の他の変形例として、吐水管16に突出部188を設け(ここでは突出部188が吐水管16の側面に設けられている)、その突出部188に複数の人体検知センサ190,192を管軸方向に配列した例である。
ここで人体検知センサ190としては上例の様々なセンサを用いることができ、また人体検知センサ192として、これとは種類の異なる他の人体検知センサを用いることができる。
尚このように吐水管16の側方に突出部188を設けて、そこに人体検知センサ190,192を設ける代りに、突出部188をなくして吐水管16の側面自体にこのような人体検知センサ190,192を管軸方向に配列し設けることもできる。
【0087】
図28は更に他の参考例を示している。
この例は、図19及び図20に示す第2の給水路174,図21の例における浄水路64を省略した形態のもので、吐水管16には湯用センサ118のみが設けられている。
他の点については図19〜図21に示す例と同様である。
【0088】
以上本発明の実施形態を参考例とともに詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0089】
16 吐水管
116 水用センサ(人体検知センサ)
118 湯用センサ(人体検知センサ)
120 浄水用センサ(人体検知センサ)
180 オンセンサ(人体検知センサ)
182 オフセンサ(人体検知センサ)
184 オン/オフセンサ(人体検知センサ)
186 切替センサ(人体検知センサ)
190,192 人体検知センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式の人体検知センサを吐水管に設けてなる自動水栓において
複数の前記人体検知センサとして、水吐水を選択する水用センサと、湯吐水を選択する湯用センサとを前記吐水管に設け、該水用センサを使用者に近い手前側に、該湯用センサを奥側に配置してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記水用センサと湯用センサとを前記吐水管の管軸方向に配列してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとを前記吐水管の上面に設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項3において、前記吐水管が逆U字状のグースネック形状のものであって、前記水用センサと湯用センサとが、該吐水管の最上位の部位から先端に向って下向きとなる部分に設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、使用者に近い前記水用センサの検知距離が、奥側の前記湯用センサよりも短く設定してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の該湯用センサによる人体検知を優先するようになしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項1】
非接触式の人体検知センサを吐水管に設けてなる自動水栓において
複数の前記人体検知センサとして、水吐水を選択する水用センサと、湯吐水を選択する湯用センサとを前記吐水管に設け、該水用センサを使用者に近い手前側に、該湯用センサを奥側に配置してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記水用センサと湯用センサとを前記吐水管の管軸方向に配列してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとを前記吐水管の上面に設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項3において、前記吐水管が逆U字状のグースネック形状のものであって、前記水用センサと湯用センサとが、該吐水管の最上位の部位から先端に向って下向きとなる部分に設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、使用者に近い前記水用センサの検知距離が、奥側の前記湯用センサよりも短く設定してあることを特徴とする自動水栓。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記水用センサと前記湯用センサとが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の該湯用センサによる人体検知を優先するようになしてあることを特徴とする自動水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−94480(P2011−94480A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33297(P2011−33297)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2005−328087(P2005−328087)の分割
【原出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2005−328087(P2005−328087)の分割
【原出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]