自動販売機における商品排出装置
【目的】 簡単に商品排出開口の大きさを調整できる自動販売機の商品排出装置を提供する。
【構成】 自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とする。
【構成】 自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に、子供を対象にプラスチック製カプセルに入った商品(以下カプセル商品という。)を販売するための小型の自動販売機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の自動販売機は店先や、デパート内の階段の踊り場などに設けられており、図26に示すように、この自動販売機90では、正規硬貨(例えば100円硬貨)を1枚乃至2枚入れ、ハンドル91を回転させると、商品取出し口92にカプセル商品が排出され、このカプセル商品を商品取出し口92から購入者が手で取り出すようになっている。
【0003】ところで、この自動販売機90は、硬貨選別装置と商品排出装置とを備えている。硬貨選別装置は、投入硬貨が正規硬貨かどうかの選別をし、投入硬貨が正規硬貨である場合だけ、ハンドル91を時計方向に1回転できるようにするものである。また、商品排出装置は、ハンドル91にギア機構を介して連結されるドラムを有し、ハンドル91を1回転させたとき、ドラムを所定量回転させ、ドラムに設けた商品排出開口からカプセル商品を商品取出し口へ1つ排出するようになっている。なお、硬貨選別装置としては、1枚の硬貨の真偽を選別するものと、2枚の硬貨の真偽を選別するものがあり、また、商品排出装置としては、大きいカプセル商品に対応した商品排出開口を持つドラムを備えるものと、小さいカプセル商品に対応した商品排出開口を持つドラムを備えるものとがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の自動販売機では、下記のような問題があった。
【0005】すなわち、硬貨選別装置では、投入枚数毎に専用のものを用いているため、値段を変更する場合等においては、自動販売機自体を変更後の値段に対応するものに変えたり、硬貨選別装置自体を自動販売機から取り外して変更後の値段に対応するものに変えたりする必要があった。
【0006】また、商品排出装置では、カプセル商品の大きさ毎に専用のものを用いているため、販売するカプセル商品の大きさを変更する場合等においては、自動販売機自体を変更後の値段に対応するものに変えたりする必要があった。
【0007】本発明は、このような問題点のうち、後者の問題を解消するためになされたもので、簡単に商品排出開口の大きさを調整できる自動販売機の商品排出装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口規制板は、円盤状に構成され前記軸を中心に回転可能に構成されると共に、前記商品排出開口に対応する位置にその商品排出開口に対応した同形の孔を備え、前記開口規制板および前記ドラムの一方には位置決め突起が付設され、前記ドラムおよび前記開口規制板の他方には、前記実効開口面積の切換え位置に対応して、前記位置決め突起と嵌合する前記位置決め孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】上記した手段によれば、ドラムの上には、商品排出開口と重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されているので、販売しようとするカプセル商品の大きさが変わった場合でも、自動販売機を変えたりしなくても、開口規制板をドラムに対して回転させるだけで、商品の大きさ変更に対応できる。
【0011】
【実施例】以下、図面に基いて実施例について説明する。
【0012】図1は2段重ねの自動販売機の斜視図である。この自動販売機1では、商品収納部2にカプセル商品3(図2)が充填されており、硬貨投入口4に所定硬貨を必要枚数入れて、ハンドル5を時計方向へ1回転することにより、カプセル商品3が1つだけ商品取出し口6に出てくるようになっている。また、この自動販売機1では、カプセル商品3の充填は、前面のカバー7を2点鎖線で示すように手前側に開けて行うようになっている。また、この自動販売機1では、返却ボタン8を押すことにより、誤って投入した硬貨などが返却口9に返却されるようになっている。
【0013】この自動販売機1の構造の詳細を説明すれば、この自動販売機1は図2に示すように硬貨選別装置10(図3)と、商品排出装置60を備えている。
【0014】このうち、硬貨選別装置10は、図4に示すように、本体11、外枠12および中枠13を備えており、外枠12と中枠13との間に、ハンドル5に結合された回転板14が設置された構造となっている。そして、この回転板14はハンドル5を回した際に追従して回転するようになっている。この回転板14には、図5に示すように、投入硬貨を受容できる切欠き部14aが設けられている。一方、図5における回転板14の左隣には、図6(a),(b),(c)に示すように、軸15を中心に左右に揺動する硬貨選別用レバー16,17が2枚重ね状態で設けられている。この硬貨選別用レバー16,17は独立に左右に揺動できるようになっており、各硬貨選別用レバー16,17は、2股状に分岐する板ばね30(図4)の1つの弾性片30aおよび30bによってそれぞれ回転板14の方向へ付勢されている。また、硬貨選別用レバー16には図6に示すように筒体18が付設され、この筒体18を貫通するように結合ピン19が設けられ(図6(a))、この結合ピン19の後端にはノブ20が取り付けられている。また、硬貨選別用レバー16には筒体18と同心的に孔16aが設けられ、また、筒体18内にはばね21が設けられ、このばね21によって、結合ピン19のヘッド19aが孔16aから突出する方向に付勢されている。さらに、筒体18の後部には深さの異なる2種の係止溝18a,18b(図6(b),(c))が設けられ、この係止溝18a,18bのいずれかにノブ20裏に設けた矩形状の係合片20aが着座することができるようになっている。そして、図6(b)に示すように浅い係止溝18aに係合片20aを着座させたときには、図6(a)に示すように、ヘッド19aの前面が硬貨選別用レバー16の前面と面一となり、また、図6(c)に示すように深い係止溝18bに係合片20aを着座させたときには、ヘッド19aの前部が硬貨選別用レバー16の前面から突出するようになっている。一方、硬貨選別用レバー17には、ヘッド19aの前部が硬貨選別用レバー16の前面から突出したときにヘッド19aを受容可能な孔17aが設けられている。そして、硬貨選別用レバー17の孔17aにヘッド19aが差し込まれた際には、硬貨選別用レバー17は硬貨選別用レバー16と結合されて一体的に動作するようになっている。
【0015】このように構成された硬貨選別用レバー16,17の働きを硬貨選別用レバー16を例に説明すれば、図7に示すように、回転板14の切欠き部14aに同図の実線で表す正規硬貨(実施例では100円硬貨)Cが入っているときは、ハンドル5を回転させて回転板14を回転させると、正規硬貨Cにより硬貨選別用レバー16の中間部の摺接箇所が押され(同図の実線)、硬貨選別用レバー16が回転板14に対して後退し、その硬貨選別用レバー16の先端(係止部)が、回転板14の切欠き部14aの端部(硬貨選別用爪部)に当たらないので、回転板14は図8および図9に示すように硬貨選別用レバー16によって回転が妨げられない状態となる。そして、ある程度回転板14が回ると、切欠き部14aに保持されていた硬貨Cは自重により通路A(図4R>4)に落下し、図示しないストッカに蓄えられる。一方、回転板14の切欠き部14aに正規硬貨Cよりも小さい硬貨C’、例えば1円硬貨(同図の破線)が入っているときは、硬貨C’により硬貨選別用レバー16の中間部が押されず、硬貨選別用レバー16は回転板14に対して後退しないので、その硬貨選別用レバー16の先端(係止部)が、回転板14の切欠き部14aの端部(硬貨選別用爪部)に当たり(図7の2点鎖線)、回転板14の回転が妨げられる。このようにして正規硬貨Cと、それよりも小さい硬貨C’との選別がなされる。なお、硬貨選別用レバー17の働きも硬貨選別用レバー16の働きと同様であるので、その詳しい説明は省略するが、正規硬貨Cが2枚必要なカプセル商品3の場合には、2枚重ねの状態で硬貨が切欠き部14aに入るので(図15(a)参照)、その両方の硬貨の真偽を確かめなければならない。したがって、ノブ20の操作により、硬貨選別用レバー17を硬貨選別用レバー16と独立に動作可能な状態にしておく必要がある。一方、正規硬貨Cが1枚必要なカプセル商品3の場合には、1枚の硬貨だけが切欠き部14aに入るので(図15(b)参照)、ノブ20の操作により、硬貨選別用レバー17を硬貨選別用レバー16と一体的に動作可能な状態にしておく必要がある。
【0016】以上のように、正規硬貨Cとそれよりも小さい硬貨C’との選別は硬貨選別用レバー16,17によってなされるが、正規硬貨(例えば100円硬貨)Cとそれよりも大きい硬貨C’(500円硬貨や10円硬貨)との選別は、この実施例では、硬貨投入口4の幅の大きさを正規硬貨Cと同じ程度の幅とすることによって行っている。
【0017】また、この実施例では、正規硬貨(例えば100円硬貨)Cと切欠き部14aに入るその他の硬貨C’(例えば50円硬貨、5円硬貨、1円硬貨)との厚さの相違によって硬貨選別用レバー16,17が誤作動しないような工夫がなされている。すなわち、日本の硬貨で考えると、図10に模式的に示すように100円硬貨の厚さは1.7mm、50円硬貨の厚さは1.8mm、5円および1円硬貨の厚さは1.5mmである。一方、実施例では、硬貨選別用レバー16,17の各厚さを1.8mmとしている。したがって、200円のカプセル商品3を販売する際、100円硬貨Cとその他の硬貨(50円硬貨、5円硬貨、1円硬貨)が投入されると、正規硬貨Cである100円硬貨が同時に2つの硬貨選別用レバー16,17に当接してしまう危険性がある。この場合には、硬貨選別用レバー16,17のどちらかが誤作動して、回転板14が回転してしまう危険性がある。そこで、このような事態を防止するために、各硬貨選別用レバー16,17の対抗面の中間部(摺接箇所)を0.4mm程度切り欠いておき、その部分が同時に1枚の100円硬貨に当たらないようにしてある。なお、切欠きの深さは、硬貨選別用レバー16,17の厚さによって変更しなければならないことは勿論である。要は、硬貨を2枚投入した際に、1枚の正規硬貨Cの同時当接によって2つの硬貨選別用レバー16,17が動作しないような値に設定しておけば良い。
【0018】さらに、この実施例では、1回のハンドル5の操作で1個しかカプセル商品3を排出させないような工夫がなされている。すなわち、図5および図9に示すように、回転板14の外周に係止爪14bが複数設けられる一方、同図における回転板14の右隣には軸31を中心に左右に揺動する逆転防止用レバー32が設けられている。この逆転防止用レバー32は板ばね33によって回転板14の方向へ付勢されている。そして、回転板14の係止爪14bが逆転防止用レバー32を一旦越えた後には、ハンドル5を逆方向へ回しても、図9に示すように回転板14の係止爪14bに逆転防止用レバー32が係合して回転板14の逆回転が阻止されるようになっている。
【0019】また、この実施例では、硬貨選別用レバー16,17の誤作動を防止するため、および、正規硬貨Cでない穴空き硬貨(例えば5円硬貨)が投入されたときに回転板14の回転を阻止するための他の工夫がなされている。すなわち、図11に示すように、中枠13には押付け板35が設けられている。この押付け板35は先端側が楔状に構成され、中間部の側部に設けた軸35a,35aが一対の軸受け板13a,13aにて支持されている。また、この押付け板35の後端部は、外枠12のボス12aにねじ止めされる押え駒36と、ボス12aに巻装されたばね37との間で弾性的に支持されている。押え駒36の押付け板35側の面は傾斜面となっているため、押付け板35の後端がばね37によって押え駒36に押し付けられると、押付け板35の先端は回転板14に押し付けられる。そして、押付け板35の先端下側を硬貨が通過する際に、押付け板35の先端で、その硬貨が外枠12側へ押し付けられ、硬貨選別用レバー16,17の誤作動が防止される。また、押付け板35は穴空き硬貨が入った際に、その穴空き硬貨の穴に食い込み、回転板14の回転を阻止する。なお、押付け板35によって回転板14の回転が阻止された場合には、ハンドル5を逆回転させれば良い。また、この押付け板35は、回転板14が正回転する際、回転板14の回転を妨げない。回転板14には、切欠き部14aに連なって当該切欠き部14a側から離れる方向へ向けて登り勾配を持つ傾斜部14cがあるので(図5)、ハンドル5を正回転させたときには、押付け板35の先端はその傾斜部14cに沿って徐々に持ち上げられるからである。
【0020】さらに、この実施例では、誤って投入された硬貨の返却や、特に正規硬貨Cと同じ大きさ・厚さを持つ鉄製の偽硬貨の返却のための工夫がなされている。すなわち、図4に示すように、返却ボタン8には硬貨押圧ロッド8aとホルダ保持ロッド8b,8bが設けられている。硬貨押圧ロッド8aは、外枠12の孔12bを通して、初期位置にある回転板14の切欠き部14a内に突出可能となっている。また、ホルダ保持ロッド8b,8bは、ばね40,40が巻装された状態で、外枠12の孔12c,12cおよび中枠13の孔13b,13bに挿通され、その先端は、中枠13の後側にまで延びている。そして、このホルダ保持ロッド8b,8bの先端には、磁石ホルダ41がねじ止めされている。この磁石ホルダ41はT字状の切欠き部41aを有し、この切欠き部41aの両側には永久磁石42,42が取り付けられている。また、図3、図11および図12等に示すように、中枠13には後側に突出する「コ」字状の当て部13cが設けられている。この当て部13cの前方には、偽硬貨捕捉部材43が設けられている。この偽硬貨捕捉部材43は、図4および図12に示すように、軸筒44aが付設された偽硬貨用ホルダ44と、この偽硬貨ホルダ44の軸筒44aに差し込まれる軸45aが付設された押圧板45とから構成されている。そして、押圧板45の軸45aは軸筒44aを貫通しており、その先端には打込み座46aが取り付けられ、この押圧板45は前後に動作可能となっていると共に、軸筒44a内に設けられるばね46によって前方に付勢されている。一方、偽硬貨ホルダ44は縁部44b付きとなっている。この縁部44bの深さは、押圧板45を完全に受容した状態で、偽硬貨を2枚捕捉できる値となっている。偽硬貨ホルダ44の裏側には、磁石42,42によって吸着される十字形の鉄板47が設けられている。
【0021】このように構成された偽硬貨捕捉部材43の働きを説明すれば、返却ボタン8が押されない状態では、ばね40,40の作用により、返却ボタン8は本体11から押し出される。これと共に、磁石ホルダ41と、この磁石ホルダ41の磁石42,42に吸着されている偽硬貨ホルダ44も前方へ移動した状態にある(図1212(a))。このときには、押圧板45の前面は、ばね46の作用によって、回転板14の裏面と面一の所に位置している。したがって、この押圧板45によって、回転板14の切欠き部14aに投入された硬貨がその切欠き部14aから脱落するのが防止される。また、返却ボタン8が押されると、硬貨押圧ロッド8aにより、初期位置にある回転板14の切欠き部14aに存在する硬貨Cが後方へ押される一方で、磁石ホルダ41と、これに吸着されている偽硬貨ホルダ44が後退する。このときには、同時に、押圧板45も後退するので、硬貨は回転板14の後側に落ち通路B(図4)から排出され、返却口9に導かれる。以上では、硬貨Cが1枚の場合について説明したが2枚の場合も同様である。
【0022】他方、投入されたものが偽硬貨で、しかも鉄製のものである場合には、その偽硬貨が回転体14の切欠き部14aに入ると、磁石42,42の磁力により、偽硬貨が押圧板45と共に偽硬貨ホルダ44内の奥まで引き込まれる(図13)。その次に投入されたものも偽硬貨の場合には、この偽硬貨も先程の偽硬貨に吸着され、偽硬貨ホルダ44内に入る。図13では1枚しか偽硬貨が入らないように描いてあるが、実際には、2枚までの偽硬貨が偽硬貨ホルダ44内に入るようになっている。一方、偽硬貨が偽硬貨ホルダ44内に入った状態で、返却ボタン8を押すと、偽硬貨ホルダ44は偽硬貨を保持したまま、磁石42,42と一体的に後退するが、偽硬貨捕捉部材43の方は途中で、「コ」字状の当て部13cに突き当たり、その偽硬貨捕捉部材43を残して磁石ホルダ41だけが後退することとなり、偽硬貨捕捉部材43に作用する磁力が急激に弱まり、ばね46によって押圧板45が押し出され、偽硬貨は偽硬貨ホルダ44からこぼれ落ち、通路Bから排出され、返却口9に導かれる。
【0023】また、販売するカプセル商品3が1枚の正規硬貨Cの値段である場合に、正規硬貨Cを連続投入した場合に、2枚目以降の硬貨の通行を阻止するための工夫がなされている。すなわち、図3に示すように、硬貨選別装置10の裏面から突出している2つのピン50a,50aと一体的に上下動するスライダ50(図4)が、本体11と外枠12との間に設置されている。このスライダ50には、鈎状の切欠き部を有する取付部50b,50bが設けられ、この取付部50b,50bk切欠き部には通路規制部材51のロッド51a,51aが差し込まれている。このロッド51a,51aの後端には座金52,52が取り付けられると共に、ロッド51b,51bにはばね53,53が巻装され通路規制部材51は後方へ付勢されている。この通路規制部材51は外枠12に設けられた帯状の開口12dから出没可能となっている。また、通路規制部材51の側部には側方へ突出するピン51c,51cが設けられ、このピン51c,51cはスライダ50の三角状の開口50c,50cから外側へ突出している。なお、この通路規制部材51は外枠12によって上下方向の動作を阻止され、前後方向にのみ移動可能となっている。
【0024】この通路規制部材50の動作を説明すれば、ピン50a,50aを下げた場合には、スライダ50が下降する。このとき、通路規制部材51は、ばね53,53の付勢力により三角状の開口50c,50cに倣って、スライダ50に対して後方へ動き、硬貨投入路内に通路規制部材51が突出する(図14(a))。これにより、硬貨投入路の奥行きは硬貨Cが1枚分の寸法となり、また、投入硬貨Cの上端部は通路規制部材51に重なりあった所で停止するので(図5参照)、次の硬貨Cは回転板14の切欠き部14aには入らなくなる(図15(b))。一方、ピン50a,50aを持ち上げた場合には、スライダ50が上昇する。通路規制部材51は、ばね53,53の付勢力に抗するようにして三角状の開口50c,50cに倣って前方へ動き、硬貨投入路から通路規制部材51が退く(図14(b))。これにより、硬貨投入路の奥行きは硬貨Cが2枚分の寸法となって、回転板14の切欠き部14aには2枚の硬貨が入ることになる(図15(a))。
【0025】なお、通路規制部材51の主面は図4に示すように中央がなだらかに台形状に盛り上がっているので、通路規制部材51が硬貨投入路に突出している場合にも回転板14の回転が妨げられることはない。なぜなら、回転板14の回転によって、台形状に盛り上がった部分に回転板14の切欠き部14aの縁部が当たると、回転板14から受ける力によって通路規制部材51はばね53,53の付勢力に抗して前方へ移動するからである。
【0026】次に、商品排出機構60について説明する。
【0027】図4に示すように、ハンドル5(回転板14)の軸61にはギア62(図2および図3参照)が設けられている。このギア62には、図16に示すように、軸63に付設されたギア64が噛合し、さらに、ギア64には軸65に付設されたギア66が噛合している。また、ギア66にはドラム70に付設されたラックギア71が噛合している。したがって、ハンドル5を回した場合、ギア62,64,66,ラックギア71を介してドラム70が軸73を中心に回転することになる。ドラム70には、図17に示すように、釣り鐘状の商品排出開口70aが複数設けられている。また、このドラム70の上には、ドラム70の釣り鐘状の商品排出開口70aと同形の開口72aが同一ピッチで設けられた開口規制板72が設けられている。この開口規制板72は、図16に示すように、軸73の上端部に螺合されたナット74との間に介装されたばね75によってドラム70に押し付けられている。また、この開口規制板72の下面には、隣合う開口72a,72a間に1つずつボス(位置決め突起)72bが設けられている。一方、ドラム70には、図18に示すように、隣合う商品排出開口70a,70a間に、前記ボス72bと選択的にはまり合う嵌合孔(位置決め孔)70bが2つずつ設けられている。そして、開口規制板72は、ばね75の付勢力に抗してドラム70から引き離した状態で、ボス72bを嵌合孔70bから引き抜くことにより、ドラム70に対して回転させることができるようになっている。また、嵌合孔70bの縁部には図18に示すように半円筒状のストッパ75が設けられている。したがって、開口規制板72を時計方向あるいは反時計方向に回転させると、ボス72bがストッパ75に突き当たり、そのまま手を離せば、ばね75の付勢力によって、確実に、ボス72bが嵌合孔70bにはまり込むことになる。この場合、隣合う商品排出開口70a,70a間の一方の嵌合孔70bにボス72bがはまり合うと、図19に示すように、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとが合致するので、大きいカプセル商品3の排出が可能となる。また、隣合う商品排出開口70a,70a間の他方の嵌合孔70bにボス72bがはまり合うと、図20に示すように、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとが合致しないので、開口規制板72によって商品排出開口70aの一部がふさがれる結果、小さいカプセル商品3しか排出できなくなる。このようにして、販売するカプセル商品3の大きさに応じて簡単に商品排出開口72aの実効開口面積を変えることができる。なお、ここでは2段階に商品排出開口72aの実効開口面積を変えているが、3段階以上に商品排出開口72aの実効開口面積を変えられるようにしても良い。
【0028】また、この実施例では、開口規制板72には、充填されているカプセル商品3を確実に商品排出開口72aに落とし込めるように、棒状ばね79が付設されている。さらに、1つずつカプセル商品3を排出できるように、図17に示すように、商品排出路80a上には棒状ばね80が付設されている。
【0029】さらに、この実施例では、図21に示すように、商品排出路80a内に中扉81が設けられ、商品取出し口6には外扉82が設けられ、外扉82を押した際には、中扉81の三角状のストッパ81aに外扉82が突き当たり(図22)、中扉81が開かないようになっている。これによって、子供等が手を入れた場合の安全性を担保している。
【0030】また、図1の下段の自動販売機1の下側の足は図23に示すようにアジャスタ83となっていて高さ調節ができるようになっている。さらに、その自動販売機1の下側にはキャスタ84が設けられ、転がしながら自由に搬送できるようになっている。また、その自動販売機1の下側には、開閉自在なセイフティバー85が左右に1つずつ設けられ、このセイフティバー85を側方に出すことにより、自動販売機1を安定的に設置できるようになっている。
【0031】さらに、自動販売機1の裏には、図24に示すように、左右にポケット86が設けられ、隣合う自動販売機1,1のポケット86,86同士に断面「コ」字状のジョイント部品87を差し込み、このジョイント部品87を隣合う自動販売機1,1にねじ止めすることによって横方向に自動販売機1を連結することができる。
【0032】また、図1に符号88で示す表示部には、図25に示すように、半円柱状のプレート89が設けられている。このプレート89には2種の値段表示がしてあり、このプレート89を軸89aを中心として回転させることにより、表示部88における値段表示を変えることができる。
【0033】次に、このように構成された自動販売機1の使用方法を、その自動販売機1の内部動作に触れつつ簡単に説明する。
【0034】まず、正規硬貨Cが1枚で済む小さなカプセル商品3を販売する場合を例に説明すれば、自動販売機1の本体から硬貨選別装置10を上方へ引き抜き、硬貨選別装置10の裏側のピン50a,50a(図3)を下降させる。すると、通路規制部材51が硬貨投入路内に突出し(図14(a))、1枚しか硬貨を投入できない状態となる。また、ノブ20を回し、硬貨選別用レバー16,17が一体的に動作するようにしておく。このようにした後、硬貨選別装置10を自動販売機1の本体に取り付ける。一方、図20に示すように、開口規制板72をドラム70に対して回転させ、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとを干渉させ、商品排出開口72aの実効開口面積を小さくしておく。また、プレート88を回して値段表示を適正なものとしておく。
【0035】この状態で、硬貨を硬貨投入口4に入れる。この場合、正規硬貨Cよりも大きい硬貨は硬貨投入口4に入らず、正規硬貨Cおよび正規硬貨Cよりも小さい硬貨だけが硬貨投入口4から硬貨選別装置10の中に入り、回転板14の切欠き部14aにはまり込む。
【0036】ここで、ハンドル5を時計方向へ回すと、硬貨が正規硬貨Cでない場合には、硬貨選別用レバー16,17によって回転板14の回転が妨げられ、ハンドル5が途中でロックされることになる。ハンドル5がロックされた場合には、ハンドル5を反時計方向へ回して初期位置まで戻し、返却ボタン8を押す。すると、押圧ロッド8aが切欠き部14a内の硬貨を押すと共に、偽硬貨ホルダ44および押圧板45が後方へ移動するので、その硬貨は回転板14の後方へ落ち、通路Bから返却口9に導かれる。誤って硬貨を投入してしまった場合も、返却ボタン8を押せば、その硬貨は返却口9に戻される。また、偽硬貨を投入した場合には、偽硬貨ホルダ44によって捕捉され、返却ボタン8を押せば、その偽硬貨も返却口9に戻される。
【0037】一方、硬貨が正規硬貨Cの場合には、硬貨選別用レバー16,17によって回転板14の回転が妨げられないため、正方向へ1回転する。この過程で、正規硬貨Cは切欠き部14aから落下すると共に、ハンドル5の1回転でドラム70が1ピッチ回転してカプセル商品3が1つだけ商品取出し口6に出る。
【0038】なお、正規硬貨Cが2枚必要な大きなカプセル商品3を販売する場合について説明すれば、自動販売機1の本体から硬貨選別装置10を上方へ引き抜き、硬貨選別装置10の裏側のピン50a,50a(図3)を上昇させる。すると、通路規制部材51が硬貨投入路から没し(図14(b)、2枚の硬貨を投入できる状態となる。また、ノブ20を回し、硬貨選別用レバー16,17が独立に動作するようにしておく。このようにした後、硬貨選別装置10を自動販売機1の本体に取り付ける。一方、図19に示すように、開口規制板72をドラム70に対して回転させ、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとを合致させ、商品排出開口72aの実効開口面積を大きくしておく。また、プレート89を回して値段表示を適正なものとしておく。
【0039】このように構成された自動販売機1によれば、下記のような効果を得ることができる。
【0040】すなわち、販売しようとするカプセル商品3の値段が変わった場合でも、自動販売機1あるいは硬貨選別装置10を変えずに、硬貨選別装置10を操作するだけで、カプセル商品3の値段変更に対応できる。
【0041】また、販売しようとするカプセル商品3の大きさが変わった場合でも、自動販売機1を変えたりしなくても、開口規制板72をドラム70に対して回転させるだけで、カプセル商品3の大きさ変更に対応できる。
【0042】以上、本発明者がなした実施例について説明したが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0043】例えば、前記実施例では、2枚の硬貨選別用レバー16,17を重ね合わせた場合について説明したが、3枚あるいはそれ以上の硬貨選別用レバーを重ね合わせても良い。
【0044】また、前記実施例では、商品排出開口72aの実効開口面積を2段に変えることとしたが、3段以上に変えられるようにしても良い。
【0045】さらに、前記実施例では、硬貨選別用レバー16,17の中間部分における対向面の一部を切り欠いたが、要は、硬貨選別用レバー16,17の少なくとも中間部分における対向面間に隙間が存在すれば良いものである。したがって、硬貨選別用レバー16,17を固定のスペーサを介して重ね合わせるようにしても良い。
【0046】以上、硬貨を例に説明したが、ゲームコインなどにも応用可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ドラムの上には、商品排出開口と重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されているので、販売しようとするカプセル商品の大きさが変わった場合でも、自動販売機を変えたりしなくても、開口規制板をドラムに対して回転させるだけで、商品の大きさ変更に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動販売機を2台重ねた状態の斜視図である。
【図2】実施例の自動販売機を右方から見た縦断面図である。
【図3】実施例の自動販売機の硬貨選別装置を斜め後方からみた斜視図である。
【図4】実施例の硬貨選別装置の分解斜視図である。
【図5】実施例の硬貨選別装置の一部を省略して示した裏面図である。
【図6】実施例の硬貨選別用レバーを示す図である。
【図7】実施例の硬貨選別用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図8】実施例の硬貨選別用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図9】実施例の逆転防止用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図10】各種硬貨の厚さを比較するための図である。
【図11】実施例の押付け板を説明するための裏面図である。
【図12】実施例の硬貨返却のためのメカニズムを示す図である。
【図13】実施例の偽硬貨捕捉装置の働きを説明するための図である。
【図14】実施例の通路規制部材の動作を説明するための側面図である。
【図15】実施例の通路規制部材の働きを説明するための側面図である。
【図16】実施例の商品排出装置の半部を示す縦断面図である。
【図17】実施例の商品排出装置のドラムおよび開口規制板の斜視図である。
【図18】実施例の商品排出装置のドラムの平面図である。
【図19】実施例の商品排出装置の開口規制板の働きを説明するための図である。
【図20】実施例の商品排出装置の開口規制板の働きを説明するための図である。
【図21】実施例の商品排出機構の商品取出し口を右方から見た縦断面図である。
【図22】実施例の商品排出機構の商品取出し口を右方から見た縦断面図である。
【図23】実施例の自動販売機の下側部分を示す斜視図である。
【図24】実施例の自動販売機の後側部分を示す斜視図である。
【図25】実施例の自動販売機の値段表示部分の斜視図である。
【図26】従来の自動販売機の斜視図である。
【符号の説明】
1 自動販売機
3 カプセル商品
5 ハンドル
6 商品取出し口
10 硬貨選別装置
60 商品排出機構
70 ドラム
70a 商品排出開口
72 開口規制板
72a 開口
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に、子供を対象にプラスチック製カプセルに入った商品(以下カプセル商品という。)を販売するための小型の自動販売機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の自動販売機は店先や、デパート内の階段の踊り場などに設けられており、図26に示すように、この自動販売機90では、正規硬貨(例えば100円硬貨)を1枚乃至2枚入れ、ハンドル91を回転させると、商品取出し口92にカプセル商品が排出され、このカプセル商品を商品取出し口92から購入者が手で取り出すようになっている。
【0003】ところで、この自動販売機90は、硬貨選別装置と商品排出装置とを備えている。硬貨選別装置は、投入硬貨が正規硬貨かどうかの選別をし、投入硬貨が正規硬貨である場合だけ、ハンドル91を時計方向に1回転できるようにするものである。また、商品排出装置は、ハンドル91にギア機構を介して連結されるドラムを有し、ハンドル91を1回転させたとき、ドラムを所定量回転させ、ドラムに設けた商品排出開口からカプセル商品を商品取出し口へ1つ排出するようになっている。なお、硬貨選別装置としては、1枚の硬貨の真偽を選別するものと、2枚の硬貨の真偽を選別するものがあり、また、商品排出装置としては、大きいカプセル商品に対応した商品排出開口を持つドラムを備えるものと、小さいカプセル商品に対応した商品排出開口を持つドラムを備えるものとがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の自動販売機では、下記のような問題があった。
【0005】すなわち、硬貨選別装置では、投入枚数毎に専用のものを用いているため、値段を変更する場合等においては、自動販売機自体を変更後の値段に対応するものに変えたり、硬貨選別装置自体を自動販売機から取り外して変更後の値段に対応するものに変えたりする必要があった。
【0006】また、商品排出装置では、カプセル商品の大きさ毎に専用のものを用いているため、販売するカプセル商品の大きさを変更する場合等においては、自動販売機自体を変更後の値段に対応するものに変えたりする必要があった。
【0007】本発明は、このような問題点のうち、後者の問題を解消するためになされたもので、簡単に商品排出開口の大きさを調整できる自動販売機の商品排出装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口規制板は、円盤状に構成され前記軸を中心に回転可能に構成されると共に、前記商品排出開口に対応する位置にその商品排出開口に対応した同形の孔を備え、前記開口規制板および前記ドラムの一方には位置決め突起が付設され、前記ドラムおよび前記開口規制板の他方には、前記実効開口面積の切換え位置に対応して、前記位置決め突起と嵌合する前記位置決め孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】上記した手段によれば、ドラムの上には、商品排出開口と重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されているので、販売しようとするカプセル商品の大きさが変わった場合でも、自動販売機を変えたりしなくても、開口規制板をドラムに対して回転させるだけで、商品の大きさ変更に対応できる。
【0011】
【実施例】以下、図面に基いて実施例について説明する。
【0012】図1は2段重ねの自動販売機の斜視図である。この自動販売機1では、商品収納部2にカプセル商品3(図2)が充填されており、硬貨投入口4に所定硬貨を必要枚数入れて、ハンドル5を時計方向へ1回転することにより、カプセル商品3が1つだけ商品取出し口6に出てくるようになっている。また、この自動販売機1では、カプセル商品3の充填は、前面のカバー7を2点鎖線で示すように手前側に開けて行うようになっている。また、この自動販売機1では、返却ボタン8を押すことにより、誤って投入した硬貨などが返却口9に返却されるようになっている。
【0013】この自動販売機1の構造の詳細を説明すれば、この自動販売機1は図2に示すように硬貨選別装置10(図3)と、商品排出装置60を備えている。
【0014】このうち、硬貨選別装置10は、図4に示すように、本体11、外枠12および中枠13を備えており、外枠12と中枠13との間に、ハンドル5に結合された回転板14が設置された構造となっている。そして、この回転板14はハンドル5を回した際に追従して回転するようになっている。この回転板14には、図5に示すように、投入硬貨を受容できる切欠き部14aが設けられている。一方、図5における回転板14の左隣には、図6(a),(b),(c)に示すように、軸15を中心に左右に揺動する硬貨選別用レバー16,17が2枚重ね状態で設けられている。この硬貨選別用レバー16,17は独立に左右に揺動できるようになっており、各硬貨選別用レバー16,17は、2股状に分岐する板ばね30(図4)の1つの弾性片30aおよび30bによってそれぞれ回転板14の方向へ付勢されている。また、硬貨選別用レバー16には図6に示すように筒体18が付設され、この筒体18を貫通するように結合ピン19が設けられ(図6(a))、この結合ピン19の後端にはノブ20が取り付けられている。また、硬貨選別用レバー16には筒体18と同心的に孔16aが設けられ、また、筒体18内にはばね21が設けられ、このばね21によって、結合ピン19のヘッド19aが孔16aから突出する方向に付勢されている。さらに、筒体18の後部には深さの異なる2種の係止溝18a,18b(図6(b),(c))が設けられ、この係止溝18a,18bのいずれかにノブ20裏に設けた矩形状の係合片20aが着座することができるようになっている。そして、図6(b)に示すように浅い係止溝18aに係合片20aを着座させたときには、図6(a)に示すように、ヘッド19aの前面が硬貨選別用レバー16の前面と面一となり、また、図6(c)に示すように深い係止溝18bに係合片20aを着座させたときには、ヘッド19aの前部が硬貨選別用レバー16の前面から突出するようになっている。一方、硬貨選別用レバー17には、ヘッド19aの前部が硬貨選別用レバー16の前面から突出したときにヘッド19aを受容可能な孔17aが設けられている。そして、硬貨選別用レバー17の孔17aにヘッド19aが差し込まれた際には、硬貨選別用レバー17は硬貨選別用レバー16と結合されて一体的に動作するようになっている。
【0015】このように構成された硬貨選別用レバー16,17の働きを硬貨選別用レバー16を例に説明すれば、図7に示すように、回転板14の切欠き部14aに同図の実線で表す正規硬貨(実施例では100円硬貨)Cが入っているときは、ハンドル5を回転させて回転板14を回転させると、正規硬貨Cにより硬貨選別用レバー16の中間部の摺接箇所が押され(同図の実線)、硬貨選別用レバー16が回転板14に対して後退し、その硬貨選別用レバー16の先端(係止部)が、回転板14の切欠き部14aの端部(硬貨選別用爪部)に当たらないので、回転板14は図8および図9に示すように硬貨選別用レバー16によって回転が妨げられない状態となる。そして、ある程度回転板14が回ると、切欠き部14aに保持されていた硬貨Cは自重により通路A(図4R>4)に落下し、図示しないストッカに蓄えられる。一方、回転板14の切欠き部14aに正規硬貨Cよりも小さい硬貨C’、例えば1円硬貨(同図の破線)が入っているときは、硬貨C’により硬貨選別用レバー16の中間部が押されず、硬貨選別用レバー16は回転板14に対して後退しないので、その硬貨選別用レバー16の先端(係止部)が、回転板14の切欠き部14aの端部(硬貨選別用爪部)に当たり(図7の2点鎖線)、回転板14の回転が妨げられる。このようにして正規硬貨Cと、それよりも小さい硬貨C’との選別がなされる。なお、硬貨選別用レバー17の働きも硬貨選別用レバー16の働きと同様であるので、その詳しい説明は省略するが、正規硬貨Cが2枚必要なカプセル商品3の場合には、2枚重ねの状態で硬貨が切欠き部14aに入るので(図15(a)参照)、その両方の硬貨の真偽を確かめなければならない。したがって、ノブ20の操作により、硬貨選別用レバー17を硬貨選別用レバー16と独立に動作可能な状態にしておく必要がある。一方、正規硬貨Cが1枚必要なカプセル商品3の場合には、1枚の硬貨だけが切欠き部14aに入るので(図15(b)参照)、ノブ20の操作により、硬貨選別用レバー17を硬貨選別用レバー16と一体的に動作可能な状態にしておく必要がある。
【0016】以上のように、正規硬貨Cとそれよりも小さい硬貨C’との選別は硬貨選別用レバー16,17によってなされるが、正規硬貨(例えば100円硬貨)Cとそれよりも大きい硬貨C’(500円硬貨や10円硬貨)との選別は、この実施例では、硬貨投入口4の幅の大きさを正規硬貨Cと同じ程度の幅とすることによって行っている。
【0017】また、この実施例では、正規硬貨(例えば100円硬貨)Cと切欠き部14aに入るその他の硬貨C’(例えば50円硬貨、5円硬貨、1円硬貨)との厚さの相違によって硬貨選別用レバー16,17が誤作動しないような工夫がなされている。すなわち、日本の硬貨で考えると、図10に模式的に示すように100円硬貨の厚さは1.7mm、50円硬貨の厚さは1.8mm、5円および1円硬貨の厚さは1.5mmである。一方、実施例では、硬貨選別用レバー16,17の各厚さを1.8mmとしている。したがって、200円のカプセル商品3を販売する際、100円硬貨Cとその他の硬貨(50円硬貨、5円硬貨、1円硬貨)が投入されると、正規硬貨Cである100円硬貨が同時に2つの硬貨選別用レバー16,17に当接してしまう危険性がある。この場合には、硬貨選別用レバー16,17のどちらかが誤作動して、回転板14が回転してしまう危険性がある。そこで、このような事態を防止するために、各硬貨選別用レバー16,17の対抗面の中間部(摺接箇所)を0.4mm程度切り欠いておき、その部分が同時に1枚の100円硬貨に当たらないようにしてある。なお、切欠きの深さは、硬貨選別用レバー16,17の厚さによって変更しなければならないことは勿論である。要は、硬貨を2枚投入した際に、1枚の正規硬貨Cの同時当接によって2つの硬貨選別用レバー16,17が動作しないような値に設定しておけば良い。
【0018】さらに、この実施例では、1回のハンドル5の操作で1個しかカプセル商品3を排出させないような工夫がなされている。すなわち、図5および図9に示すように、回転板14の外周に係止爪14bが複数設けられる一方、同図における回転板14の右隣には軸31を中心に左右に揺動する逆転防止用レバー32が設けられている。この逆転防止用レバー32は板ばね33によって回転板14の方向へ付勢されている。そして、回転板14の係止爪14bが逆転防止用レバー32を一旦越えた後には、ハンドル5を逆方向へ回しても、図9に示すように回転板14の係止爪14bに逆転防止用レバー32が係合して回転板14の逆回転が阻止されるようになっている。
【0019】また、この実施例では、硬貨選別用レバー16,17の誤作動を防止するため、および、正規硬貨Cでない穴空き硬貨(例えば5円硬貨)が投入されたときに回転板14の回転を阻止するための他の工夫がなされている。すなわち、図11に示すように、中枠13には押付け板35が設けられている。この押付け板35は先端側が楔状に構成され、中間部の側部に設けた軸35a,35aが一対の軸受け板13a,13aにて支持されている。また、この押付け板35の後端部は、外枠12のボス12aにねじ止めされる押え駒36と、ボス12aに巻装されたばね37との間で弾性的に支持されている。押え駒36の押付け板35側の面は傾斜面となっているため、押付け板35の後端がばね37によって押え駒36に押し付けられると、押付け板35の先端は回転板14に押し付けられる。そして、押付け板35の先端下側を硬貨が通過する際に、押付け板35の先端で、その硬貨が外枠12側へ押し付けられ、硬貨選別用レバー16,17の誤作動が防止される。また、押付け板35は穴空き硬貨が入った際に、その穴空き硬貨の穴に食い込み、回転板14の回転を阻止する。なお、押付け板35によって回転板14の回転が阻止された場合には、ハンドル5を逆回転させれば良い。また、この押付け板35は、回転板14が正回転する際、回転板14の回転を妨げない。回転板14には、切欠き部14aに連なって当該切欠き部14a側から離れる方向へ向けて登り勾配を持つ傾斜部14cがあるので(図5)、ハンドル5を正回転させたときには、押付け板35の先端はその傾斜部14cに沿って徐々に持ち上げられるからである。
【0020】さらに、この実施例では、誤って投入された硬貨の返却や、特に正規硬貨Cと同じ大きさ・厚さを持つ鉄製の偽硬貨の返却のための工夫がなされている。すなわち、図4に示すように、返却ボタン8には硬貨押圧ロッド8aとホルダ保持ロッド8b,8bが設けられている。硬貨押圧ロッド8aは、外枠12の孔12bを通して、初期位置にある回転板14の切欠き部14a内に突出可能となっている。また、ホルダ保持ロッド8b,8bは、ばね40,40が巻装された状態で、外枠12の孔12c,12cおよび中枠13の孔13b,13bに挿通され、その先端は、中枠13の後側にまで延びている。そして、このホルダ保持ロッド8b,8bの先端には、磁石ホルダ41がねじ止めされている。この磁石ホルダ41はT字状の切欠き部41aを有し、この切欠き部41aの両側には永久磁石42,42が取り付けられている。また、図3、図11および図12等に示すように、中枠13には後側に突出する「コ」字状の当て部13cが設けられている。この当て部13cの前方には、偽硬貨捕捉部材43が設けられている。この偽硬貨捕捉部材43は、図4および図12に示すように、軸筒44aが付設された偽硬貨用ホルダ44と、この偽硬貨ホルダ44の軸筒44aに差し込まれる軸45aが付設された押圧板45とから構成されている。そして、押圧板45の軸45aは軸筒44aを貫通しており、その先端には打込み座46aが取り付けられ、この押圧板45は前後に動作可能となっていると共に、軸筒44a内に設けられるばね46によって前方に付勢されている。一方、偽硬貨ホルダ44は縁部44b付きとなっている。この縁部44bの深さは、押圧板45を完全に受容した状態で、偽硬貨を2枚捕捉できる値となっている。偽硬貨ホルダ44の裏側には、磁石42,42によって吸着される十字形の鉄板47が設けられている。
【0021】このように構成された偽硬貨捕捉部材43の働きを説明すれば、返却ボタン8が押されない状態では、ばね40,40の作用により、返却ボタン8は本体11から押し出される。これと共に、磁石ホルダ41と、この磁石ホルダ41の磁石42,42に吸着されている偽硬貨ホルダ44も前方へ移動した状態にある(図1212(a))。このときには、押圧板45の前面は、ばね46の作用によって、回転板14の裏面と面一の所に位置している。したがって、この押圧板45によって、回転板14の切欠き部14aに投入された硬貨がその切欠き部14aから脱落するのが防止される。また、返却ボタン8が押されると、硬貨押圧ロッド8aにより、初期位置にある回転板14の切欠き部14aに存在する硬貨Cが後方へ押される一方で、磁石ホルダ41と、これに吸着されている偽硬貨ホルダ44が後退する。このときには、同時に、押圧板45も後退するので、硬貨は回転板14の後側に落ち通路B(図4)から排出され、返却口9に導かれる。以上では、硬貨Cが1枚の場合について説明したが2枚の場合も同様である。
【0022】他方、投入されたものが偽硬貨で、しかも鉄製のものである場合には、その偽硬貨が回転体14の切欠き部14aに入ると、磁石42,42の磁力により、偽硬貨が押圧板45と共に偽硬貨ホルダ44内の奥まで引き込まれる(図13)。その次に投入されたものも偽硬貨の場合には、この偽硬貨も先程の偽硬貨に吸着され、偽硬貨ホルダ44内に入る。図13では1枚しか偽硬貨が入らないように描いてあるが、実際には、2枚までの偽硬貨が偽硬貨ホルダ44内に入るようになっている。一方、偽硬貨が偽硬貨ホルダ44内に入った状態で、返却ボタン8を押すと、偽硬貨ホルダ44は偽硬貨を保持したまま、磁石42,42と一体的に後退するが、偽硬貨捕捉部材43の方は途中で、「コ」字状の当て部13cに突き当たり、その偽硬貨捕捉部材43を残して磁石ホルダ41だけが後退することとなり、偽硬貨捕捉部材43に作用する磁力が急激に弱まり、ばね46によって押圧板45が押し出され、偽硬貨は偽硬貨ホルダ44からこぼれ落ち、通路Bから排出され、返却口9に導かれる。
【0023】また、販売するカプセル商品3が1枚の正規硬貨Cの値段である場合に、正規硬貨Cを連続投入した場合に、2枚目以降の硬貨の通行を阻止するための工夫がなされている。すなわち、図3に示すように、硬貨選別装置10の裏面から突出している2つのピン50a,50aと一体的に上下動するスライダ50(図4)が、本体11と外枠12との間に設置されている。このスライダ50には、鈎状の切欠き部を有する取付部50b,50bが設けられ、この取付部50b,50bk切欠き部には通路規制部材51のロッド51a,51aが差し込まれている。このロッド51a,51aの後端には座金52,52が取り付けられると共に、ロッド51b,51bにはばね53,53が巻装され通路規制部材51は後方へ付勢されている。この通路規制部材51は外枠12に設けられた帯状の開口12dから出没可能となっている。また、通路規制部材51の側部には側方へ突出するピン51c,51cが設けられ、このピン51c,51cはスライダ50の三角状の開口50c,50cから外側へ突出している。なお、この通路規制部材51は外枠12によって上下方向の動作を阻止され、前後方向にのみ移動可能となっている。
【0024】この通路規制部材50の動作を説明すれば、ピン50a,50aを下げた場合には、スライダ50が下降する。このとき、通路規制部材51は、ばね53,53の付勢力により三角状の開口50c,50cに倣って、スライダ50に対して後方へ動き、硬貨投入路内に通路規制部材51が突出する(図14(a))。これにより、硬貨投入路の奥行きは硬貨Cが1枚分の寸法となり、また、投入硬貨Cの上端部は通路規制部材51に重なりあった所で停止するので(図5参照)、次の硬貨Cは回転板14の切欠き部14aには入らなくなる(図15(b))。一方、ピン50a,50aを持ち上げた場合には、スライダ50が上昇する。通路規制部材51は、ばね53,53の付勢力に抗するようにして三角状の開口50c,50cに倣って前方へ動き、硬貨投入路から通路規制部材51が退く(図14(b))。これにより、硬貨投入路の奥行きは硬貨Cが2枚分の寸法となって、回転板14の切欠き部14aには2枚の硬貨が入ることになる(図15(a))。
【0025】なお、通路規制部材51の主面は図4に示すように中央がなだらかに台形状に盛り上がっているので、通路規制部材51が硬貨投入路に突出している場合にも回転板14の回転が妨げられることはない。なぜなら、回転板14の回転によって、台形状に盛り上がった部分に回転板14の切欠き部14aの縁部が当たると、回転板14から受ける力によって通路規制部材51はばね53,53の付勢力に抗して前方へ移動するからである。
【0026】次に、商品排出機構60について説明する。
【0027】図4に示すように、ハンドル5(回転板14)の軸61にはギア62(図2および図3参照)が設けられている。このギア62には、図16に示すように、軸63に付設されたギア64が噛合し、さらに、ギア64には軸65に付設されたギア66が噛合している。また、ギア66にはドラム70に付設されたラックギア71が噛合している。したがって、ハンドル5を回した場合、ギア62,64,66,ラックギア71を介してドラム70が軸73を中心に回転することになる。ドラム70には、図17に示すように、釣り鐘状の商品排出開口70aが複数設けられている。また、このドラム70の上には、ドラム70の釣り鐘状の商品排出開口70aと同形の開口72aが同一ピッチで設けられた開口規制板72が設けられている。この開口規制板72は、図16に示すように、軸73の上端部に螺合されたナット74との間に介装されたばね75によってドラム70に押し付けられている。また、この開口規制板72の下面には、隣合う開口72a,72a間に1つずつボス(位置決め突起)72bが設けられている。一方、ドラム70には、図18に示すように、隣合う商品排出開口70a,70a間に、前記ボス72bと選択的にはまり合う嵌合孔(位置決め孔)70bが2つずつ設けられている。そして、開口規制板72は、ばね75の付勢力に抗してドラム70から引き離した状態で、ボス72bを嵌合孔70bから引き抜くことにより、ドラム70に対して回転させることができるようになっている。また、嵌合孔70bの縁部には図18に示すように半円筒状のストッパ75が設けられている。したがって、開口規制板72を時計方向あるいは反時計方向に回転させると、ボス72bがストッパ75に突き当たり、そのまま手を離せば、ばね75の付勢力によって、確実に、ボス72bが嵌合孔70bにはまり込むことになる。この場合、隣合う商品排出開口70a,70a間の一方の嵌合孔70bにボス72bがはまり合うと、図19に示すように、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとが合致するので、大きいカプセル商品3の排出が可能となる。また、隣合う商品排出開口70a,70a間の他方の嵌合孔70bにボス72bがはまり合うと、図20に示すように、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとが合致しないので、開口規制板72によって商品排出開口70aの一部がふさがれる結果、小さいカプセル商品3しか排出できなくなる。このようにして、販売するカプセル商品3の大きさに応じて簡単に商品排出開口72aの実効開口面積を変えることができる。なお、ここでは2段階に商品排出開口72aの実効開口面積を変えているが、3段階以上に商品排出開口72aの実効開口面積を変えられるようにしても良い。
【0028】また、この実施例では、開口規制板72には、充填されているカプセル商品3を確実に商品排出開口72aに落とし込めるように、棒状ばね79が付設されている。さらに、1つずつカプセル商品3を排出できるように、図17に示すように、商品排出路80a上には棒状ばね80が付設されている。
【0029】さらに、この実施例では、図21に示すように、商品排出路80a内に中扉81が設けられ、商品取出し口6には外扉82が設けられ、外扉82を押した際には、中扉81の三角状のストッパ81aに外扉82が突き当たり(図22)、中扉81が開かないようになっている。これによって、子供等が手を入れた場合の安全性を担保している。
【0030】また、図1の下段の自動販売機1の下側の足は図23に示すようにアジャスタ83となっていて高さ調節ができるようになっている。さらに、その自動販売機1の下側にはキャスタ84が設けられ、転がしながら自由に搬送できるようになっている。また、その自動販売機1の下側には、開閉自在なセイフティバー85が左右に1つずつ設けられ、このセイフティバー85を側方に出すことにより、自動販売機1を安定的に設置できるようになっている。
【0031】さらに、自動販売機1の裏には、図24に示すように、左右にポケット86が設けられ、隣合う自動販売機1,1のポケット86,86同士に断面「コ」字状のジョイント部品87を差し込み、このジョイント部品87を隣合う自動販売機1,1にねじ止めすることによって横方向に自動販売機1を連結することができる。
【0032】また、図1に符号88で示す表示部には、図25に示すように、半円柱状のプレート89が設けられている。このプレート89には2種の値段表示がしてあり、このプレート89を軸89aを中心として回転させることにより、表示部88における値段表示を変えることができる。
【0033】次に、このように構成された自動販売機1の使用方法を、その自動販売機1の内部動作に触れつつ簡単に説明する。
【0034】まず、正規硬貨Cが1枚で済む小さなカプセル商品3を販売する場合を例に説明すれば、自動販売機1の本体から硬貨選別装置10を上方へ引き抜き、硬貨選別装置10の裏側のピン50a,50a(図3)を下降させる。すると、通路規制部材51が硬貨投入路内に突出し(図14(a))、1枚しか硬貨を投入できない状態となる。また、ノブ20を回し、硬貨選別用レバー16,17が一体的に動作するようにしておく。このようにした後、硬貨選別装置10を自動販売機1の本体に取り付ける。一方、図20に示すように、開口規制板72をドラム70に対して回転させ、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとを干渉させ、商品排出開口72aの実効開口面積を小さくしておく。また、プレート88を回して値段表示を適正なものとしておく。
【0035】この状態で、硬貨を硬貨投入口4に入れる。この場合、正規硬貨Cよりも大きい硬貨は硬貨投入口4に入らず、正規硬貨Cおよび正規硬貨Cよりも小さい硬貨だけが硬貨投入口4から硬貨選別装置10の中に入り、回転板14の切欠き部14aにはまり込む。
【0036】ここで、ハンドル5を時計方向へ回すと、硬貨が正規硬貨Cでない場合には、硬貨選別用レバー16,17によって回転板14の回転が妨げられ、ハンドル5が途中でロックされることになる。ハンドル5がロックされた場合には、ハンドル5を反時計方向へ回して初期位置まで戻し、返却ボタン8を押す。すると、押圧ロッド8aが切欠き部14a内の硬貨を押すと共に、偽硬貨ホルダ44および押圧板45が後方へ移動するので、その硬貨は回転板14の後方へ落ち、通路Bから返却口9に導かれる。誤って硬貨を投入してしまった場合も、返却ボタン8を押せば、その硬貨は返却口9に戻される。また、偽硬貨を投入した場合には、偽硬貨ホルダ44によって捕捉され、返却ボタン8を押せば、その偽硬貨も返却口9に戻される。
【0037】一方、硬貨が正規硬貨Cの場合には、硬貨選別用レバー16,17によって回転板14の回転が妨げられないため、正方向へ1回転する。この過程で、正規硬貨Cは切欠き部14aから落下すると共に、ハンドル5の1回転でドラム70が1ピッチ回転してカプセル商品3が1つだけ商品取出し口6に出る。
【0038】なお、正規硬貨Cが2枚必要な大きなカプセル商品3を販売する場合について説明すれば、自動販売機1の本体から硬貨選別装置10を上方へ引き抜き、硬貨選別装置10の裏側のピン50a,50a(図3)を上昇させる。すると、通路規制部材51が硬貨投入路から没し(図14(b)、2枚の硬貨を投入できる状態となる。また、ノブ20を回し、硬貨選別用レバー16,17が独立に動作するようにしておく。このようにした後、硬貨選別装置10を自動販売機1の本体に取り付ける。一方、図19に示すように、開口規制板72をドラム70に対して回転させ、ドラム70の商品排出開口70aと、開口規制板72の開口72aとを合致させ、商品排出開口72aの実効開口面積を大きくしておく。また、プレート89を回して値段表示を適正なものとしておく。
【0039】このように構成された自動販売機1によれば、下記のような効果を得ることができる。
【0040】すなわち、販売しようとするカプセル商品3の値段が変わった場合でも、自動販売機1あるいは硬貨選別装置10を変えずに、硬貨選別装置10を操作するだけで、カプセル商品3の値段変更に対応できる。
【0041】また、販売しようとするカプセル商品3の大きさが変わった場合でも、自動販売機1を変えたりしなくても、開口規制板72をドラム70に対して回転させるだけで、カプセル商品3の大きさ変更に対応できる。
【0042】以上、本発明者がなした実施例について説明したが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0043】例えば、前記実施例では、2枚の硬貨選別用レバー16,17を重ね合わせた場合について説明したが、3枚あるいはそれ以上の硬貨選別用レバーを重ね合わせても良い。
【0044】また、前記実施例では、商品排出開口72aの実効開口面積を2段に変えることとしたが、3段以上に変えられるようにしても良い。
【0045】さらに、前記実施例では、硬貨選別用レバー16,17の中間部分における対向面の一部を切り欠いたが、要は、硬貨選別用レバー16,17の少なくとも中間部分における対向面間に隙間が存在すれば良いものである。したがって、硬貨選別用レバー16,17を固定のスペーサを介して重ね合わせるようにしても良い。
【0046】以上、硬貨を例に説明したが、ゲームコインなどにも応用可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ドラムの上には、商品排出開口と重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されているので、販売しようとするカプセル商品の大きさが変わった場合でも、自動販売機を変えたりしなくても、開口規制板をドラムに対して回転させるだけで、商品の大きさ変更に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動販売機を2台重ねた状態の斜視図である。
【図2】実施例の自動販売機を右方から見た縦断面図である。
【図3】実施例の自動販売機の硬貨選別装置を斜め後方からみた斜視図である。
【図4】実施例の硬貨選別装置の分解斜視図である。
【図5】実施例の硬貨選別装置の一部を省略して示した裏面図である。
【図6】実施例の硬貨選別用レバーを示す図である。
【図7】実施例の硬貨選別用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図8】実施例の硬貨選別用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図9】実施例の逆転防止用レバーの働きを説明するための裏面図である。
【図10】各種硬貨の厚さを比較するための図である。
【図11】実施例の押付け板を説明するための裏面図である。
【図12】実施例の硬貨返却のためのメカニズムを示す図である。
【図13】実施例の偽硬貨捕捉装置の働きを説明するための図である。
【図14】実施例の通路規制部材の動作を説明するための側面図である。
【図15】実施例の通路規制部材の働きを説明するための側面図である。
【図16】実施例の商品排出装置の半部を示す縦断面図である。
【図17】実施例の商品排出装置のドラムおよび開口規制板の斜視図である。
【図18】実施例の商品排出装置のドラムの平面図である。
【図19】実施例の商品排出装置の開口規制板の働きを説明するための図である。
【図20】実施例の商品排出装置の開口規制板の働きを説明するための図である。
【図21】実施例の商品排出機構の商品取出し口を右方から見た縦断面図である。
【図22】実施例の商品排出機構の商品取出し口を右方から見た縦断面図である。
【図23】実施例の自動販売機の下側部分を示す斜視図である。
【図24】実施例の自動販売機の後側部分を示す斜視図である。
【図25】実施例の自動販売機の値段表示部分の斜視図である。
【図26】従来の自動販売機の斜視図である。
【符号の説明】
1 自動販売機
3 カプセル商品
5 ハンドル
6 商品取出し口
10 硬貨選別装置
60 商品排出機構
70 ドラム
70a 商品排出開口
72 開口規制板
72a 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とする自動販売機における商品排出装置。
【請求項2】 前記開口規制板は、円盤状に構成され前記軸を中心に回転可能に構成されると共に、前記商品排出開口に対応する位置にその商品排出開口に対応した同形の孔を備え、前記開口規制板および前記ドラムの一方には位置決め突起が付設され、前記ドラムおよび前記開口規制板の他方には、前記実効開口面積の切換え位置に対応して、前記位置決め突起と嵌合する前記位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動販売機における商品排出装置。
【請求項1】 自動販売機に用いられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能で、かつ、上下方向に貫通する商品排出開口が設けられたドラムを有し、このドラムを所定量だけ回転させて前記商品排出開口から商品を排出するように構成された自動販売機における商品排出装置において、前記ドラムの上には、回転により前記商品排出開口に重なり合ってその商品排出開口の実効開口面積を変更可能な開口規制部材が設置されていることを特徴とする自動販売機における商品排出装置。
【請求項2】 前記開口規制板は、円盤状に構成され前記軸を中心に回転可能に構成されると共に、前記商品排出開口に対応する位置にその商品排出開口に対応した同形の孔を備え、前記開口規制板および前記ドラムの一方には位置決め突起が付設され、前記ドラムおよび前記開口規制板の他方には、前記実効開口面積の切換え位置に対応して、前記位置決め突起と嵌合する前記位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動販売機における商品排出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図17】
【図23】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】
【図5】
【図9】
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【図13】
【図14】
【図17】
【図23】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【公開番号】特開平8−212438
【公開日】平成8年(1996)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−41236
【出願日】平成7年(1995)2月6日
【出願人】(000003584)株式会社トミー (248)
【公開日】平成8年(1996)8月20日
【国際特許分類】
【出願日】平成7年(1995)2月6日
【出願人】(000003584)株式会社トミー (248)
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