説明

自動販売機用カギ型固定金具

【課題】
地震時の揺れに対して、脱却しない固定金具を開発し、免震対応とすること
【解決手段】
従来の固定金具をあと施工アンカーボルト打設用開口部を残した状態で2個をL字型に連結した形状となし、そのL字型の角部分に、レベリングスクリューのカギ型開口部を設けたことを特徴とする固定金具

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は自動販売機用カギ型固定金具に関し、更に詳しくは耐震性の優れた自動販売機用カギ型固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】

従来自動販売機の固定金具は、日本自動販売機工業会が推奨するE型固定
金具が通常使用されている。
【0003】
この従来のE型固定金具の一例を示せば図1のAの如くである。但し図1に於いて(1)は脚部(自動販売機の)取り付け位置を示すレベリングスクリュー設置用開口部であり、また(2)はあと施工アンカーボルト打設用位置を示す開口部である。この従来の固定金具の固定方法を図1のB及びCに示す。
図1に於いて、(3)は自動販売機の脚を固定するためのボルト(レベリングスクリュー)であり、(4)はあと施工用のアンカーボルトである。
【0004】
先ず開口部1に自動販売機を固定するためのレベリングスクリュー(3)をはめ込み(図1のB)、次いで所定の据付固定位置に打設したあと施工用アンカーボルト(4)に、固定金具の開口部2をはめ込み、これ等を図1の(C)の如く、締め付けて固定するものである。念のために、更に従来の該固定金具の平面図と断面図を示せば図2の如くである。 但し、図2に於ける番号は図1と同じ事を表わす。
【0005】
この様な従来の固定金具を用いて自動販売機を据付て固定した場合、耐震性については、今まで残念ながら充分な検討がなされていなかった。
【0006】
而して先般の新潟県中越地震の発生時に自動販売機のレベリングスクリューが外れてしまう事態が多々生じ、それ以前の地震でもこう云う現象は多々発生していて、地震に対する安全性に大きな問題点のあることが大きく注目される様になった。幸いにも新潟県中越地震では、自動販売機が転倒するまでには至らなかった。
【0007】
しかし乍ら自動販売機の据付に於いては、その前部や両サイドに段差がある場合がかなり多く、この様な場合では、転倒する恐れも充分にあったと考えられる。尚、この様な段差がある据付場所に自動販売機を据付けて固定する場合の代表的な例を示せば、図3の如くであり、もしレベリングスクリューが外れてしまうと、自動販売機が転倒してしまうことは避けられないであろうことが、図3から極めて明らかである。尚、図3中(5)は、自動販売機、(6)は段差を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の固定金具の難点即ち地震時の安全性について不安があるという難点を解決せんとするものであり、更に詳しくは地震時の揺れに対して、脱却しない安全な固定金具を開発し、免震対応とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、従来の固定金具に於いて、従来の固定金具を、あと施工アンカーボルト打設用開口部を残した状態で、2個をL字型に連結した形状となし、そのL字型の角部分に、レベリングスクリュー用のカギ型開口部を設けることにより解決できる。
【0010】
本発明に於いては、固定金具自体の形状を従来の図1に示す様な形状と異なった形状とする。たとえば例えば図4に示す如く、従来の固定金具をL字型に2つ連結した様な形状となす。この際あと施工アンカーボルト打設用開口部(2)はそのまま残存させ、L字型の角の部分に、レベリングスクリュー用開口部(7)を1つ設けるものである。
【0011】
このL字型については、図4に示した様に、その代表的な形状は、ほぼ角度90°のものであるが、これに限定されるものではなく、例えば60〜120°程度の角度のものも含まれる。
【0012】
この様に、L字型の形状をした固定金具本体に、その角部分の中心部にレベリングスクリュー用開口部(7)を設けているので、地震の揺れに対し、大きな抵抗力が生じ、レベリングスクリューがはずれ難い構造となっている。また据付け固定は、自動販売機を4点で、通常は4角の4点で固定するのが基本であり、この固定金具を自動販売機の4つの角に、用いる事により、大きな安全性が確保できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の固定金具は、金具自体がL字型となっていること、及びその中心部にレベリングスクリュー用カギ型開口部が設けられていることを特徴としており、この構造により地震に対しレベリングスクリューが脱却する事は殆んど生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の固定金具の好ましい実施例は図4〜6に示す如きものである。基本的には従来の固定金具2個をL字型に連結し、その中心部にレベリングスクリュー用カギ型開口部を設けたもので、その他は、従来の固定金具と同じ様な構造のものである。
【0015】
図5はレベリングスクリュー用開口部の形状を若干末広がりとしたものであり、この末広がりの角度等は適宜に調節する事が出来る。
【0016】
図6に示すものは、レベリングスクリュウ用開口部として角度をもたせたものであり、そのAとBとは、各々の開口部を設ける際の方向を反対方向にしたものである。この際の角度もこれ等図示のものに限定されるものではなく、かなり広い範囲で適宜に決定することができる。
【0017】
本発明の固定金具には、表面をメッキすることが望ましく、たとえばクロメートやユニクロメッキが好ましく例示出来る。
【0018】
本発明の固定金具を用いて自動販売機を据付固定する方法は、図7に示す通りである。但し図7のAは本発明の固定金具を、同図Bはこの際用いる部材を、同図Cは据付けた時の状態を示す図面である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は従来の固定金具の斜視図である。
【図2】図2は図1の平面図と切断面である。
【図3】図3は自動販売機を段差のある据付場所に据付固定した時の説明図である。
【図4】図4は本発明の固定金具の一例の平面図及び断面図である。
【図5】図5は本発明の固定金具の他の一例の平面図及び断面図である。
【図6】図6は本発明の固定金具の他の一例の平面図及び断面図である。
【図7】図7は本発明の固定金具を用いて自動販売機を据付固定するときの手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1: レベリングスクリュー用開口部
2: あと施工アンカーボルト用開口部
3: レベリングスクリュー
4: あと施工アンカーボルト
5: 自動販売機
6: 段差
7: レベリングスクリュー用カギ型開口部
8: 同上
9: 同上
10:同上


【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来の固定金具を、あと施工アンカーボルト打設用開口部を残した状態で、2個L字型に連結した形状となし、そのL字型のかど部分に、レベリングスクリュー用カギ型開口部を設けたことを特徴とする自動販売機の据付固定用固定金具
【請求項2】
請求項1の固定金具を用いる自動販売機の据付固定方法






























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−87211(P2009−87211A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258650(P2007−258650)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(500375486)東洋ベンディング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】