説明

自動販売機

【課題】ICカード、ICタグ等のデータキャリアを用いて商品を購入し得る自動販売機の操作性を、構成の複雑化を伴わずに改善する。
【解決手段】常時操作可能な状態に維持された購入商品を指定する商品指定スイッチ15の操作がなされた後に、データキャリア2を金額データの読み書きをするリーダライタ12に近づけることで、リーダライタ12により金額データの読取りがなされ、指定された商品の代金を差し引き、差し引き後の残額に対応する更新データをリーダライタ12に送り出し、データキャリア2に書き込ませるまでの精算処理を一括して行わせる。また、商品指定スイッチ15の操作がなされる都度、有効時間設定器5によりデータキャリア2をリーダライタ12に読み取らせる有効時間が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード、ICタグ等、非接触での読取りが可能な金額データが記録されたデータキャリアを用いての商品の購入が可能に構成された自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料、たばこ、雑誌等、種々の商品の販売手段として広く普及している自動販売機は、一般的に、販売商品を収納する本体筐の前面に、商品見本の陳列棚、前記商品見本の夫々に対応する購入商品の指定手段(商品指定スイッチ)、及び購入商品の投出口を設けると共に、商品代金の投入口を設けて構成されており、利用者は、前記投入口に所要の硬貨又は紙幣を投入した後、前記陳列棚に陳列された商品見本を視認し、対応する商品指定スイッチを操作して購入を希望する商品を指定することにより、この指定に応じて本体筐の内部から前記投出口に投出される指定商品を取り出すことができる。
【0003】
ところが、このような自動販売機においては、設置者の側から、投入代金の回収、釣り銭の補充等、煩わしい現金管理を強いられるという問題がある上、前記代金及び釣り銭の盗難被害を被る虞れがあり、また利用者の側から、使用に際し小銭の持ち合わせが必要となり、また釣り銭の取り忘れによる被害を被る虞れがある。
【0004】
このような事情により、磁気により金額データが記録されたプリペイドカードの使用を可能とした自動販売機が実用化されている。この自動販売機は、代金の投入口の代わりに、プリペイドカードに記録された金額データの読取りと、購入商品の代金の差し引きにより更新された金額データのプリペイドカードへの書込みとが可能な読み書き手段(リーダライタ)を設けることにより構成することができる。
【0005】
しかしながらこの種の自動販売機は、別個に販売されるプリペイドカードの代金との精算関係が複雑となることから、特定の交通機関の搭乗用チケット、特定メーカ直販の自動販売機、カード購入機と共に特定地域内に設置された自動販売機等、限定された範囲での適用に限られるという問題がある。また前記リーダライタは、読み書きに際してプリペイドカードの取込みが必要であり、購入に際し利用者は、リーダライタに対するカードの挿入及び取り出しという2回の操作を強いられるという操作性の問題があり、また、更新データの書込み完了後にリーダライタから排出されるカードの取り忘れにより、金銭的な被害を被る虞れがある。
【0006】
このような問題を解消するため、ICカード、ICタグ等のデータキャリアを用いての商品の購入が可能に構成された自動販売機が提案されている。
【0007】
この自動販売機において用いられるデータキャリアは、カード、タグ等のキャリアにICチップを埋め込んで構成されており、磁気記録によるプリペイドカードに比較して格段に大容量の記録が可能である上、暗証番号の確認、暗号処理等のデータ処理を行わせることができ、精算関係を明確となし得ることから、適用範囲の大幅な拡大が可能となる。
【0008】
また、記録データの非接触での読取り及び書込みが可能であることから、非接触での読み書きが可能な読み書き手段を自動販売機側に設けることにより、利用者は、データキャリアを手放すことなく商品を購入することができ、購入後の取り忘れによる金銭的被害が発生する虞れもなく、磁気記録によるプリペイドカードを使用する自動販売機における前述した問題を解消することができる。
【特許文献1】特許第2610607号公報
【特許文献2】特開平10−232965号公報
【特許文献3】特開平10−289354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記特許文献1に開示された自動販売機においては、商品の購入に際し、まずデータキャリアに記録された金額データを読み書き手段に読み取らせ、この読取り結果に基づいて購入可能な商品を表示して購入希望の商品に対応する商品指定スイッチの操作を促し、この操作がなされた後、購入商品の代金を前記金額データから差し引いた残額を求め、この残額を更新データとして前記読み書き手段に送出して前記データキャリアに書き込むという、磁気記録によるプリペイドカードを使用する自動販売機と同じ精算処理がなされており、この場合利用者は、前記読み書き手段に対してデータキャリアを近付ける操作を、前記読取りに際して一回、その後の書込みに際して一回、商品指定スイッチの操作の前後に分けて行う必要があり、特に、複数の商品を購入する場合に煩雑な操作を強いられるという難点があった。
【0010】
特許文献2,特許文献3には、このような操作の煩雑さの解消を図った自動販売機が提案されている。
【0011】
前者においては、利用者の到来を検出する検出手段を設け、到来の検出がなされたとき、まず全ての商品指定スイッチに付設されたランプを点灯して、購入希望の商品に対応する商品指定スイッチの操作を促し、この操作後にデータキャリアに記録された金額データを読み書き手段に読み取らせ、先の操作により指定された商品の代金を差し引いた残額を求め、この残額を更新データとして前記読み書き手段に送出してデータキャリアに書き込むという精算処理がなされている。
【0012】
この自動販売機によれば、読取り及び書込みが一連の動作として行われるため、読み書き手段にデータキャリアを近付ける操作が一回で済み、操作性の改善を図ることができるが、利用者の到来を検出するという特殊な検出手段が必要となり、構成の複雑化を招来する上、周辺を歩行する歩行者を利用者として誤認し、前記ランプの点灯等の無為な動作がなされる虞れがある。
【0013】
また後者においては、商品指定スイッチとは別に、購入金額を指定するスイッチを設け、このスイッチの操作に応じてデータキャリアに記録された金額データを読み書き手段に読み取らせ、先の操作により指定された金額を差し引いた残額を求め、この残額を更新データとして前記読み書き手段に送出してデータキャリアに書き込むという精算処理がなされている。
【0014】
この自動販売機によれば、前者の自動販売機と同様に、読み書き手段にデータキャリアを近付ける操作が一回で済むが、商品指定スイッチの操作前に金額指定スイッチの余分な操作を強いられ、操作性の十分な改善効果が期待し得ないという問題があり、また、一般的な自動販売機に不要である金額指定のための操作が誤ってなされる虞れが高く、誤操作がなされた場合、購入商品の代金との差額を精算する新たな精算処理のために、読み書き手段にデータキャリアを近付ける再度の操作が必要となり、この場合、逆に操作性の悪化を招来することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、常時操作可能な状態に維持された購入商品を指定するための指定手段と、前記指定手段によって指定された商品を投出する投出手段と、金額データが記憶されたデータキャリアに対して金額データの読み書きを非接触にて行う読み書き手段を備え、前記データキャリアを用いて前記指定手段によって指定された商品を購入し投出する自動販売機であって、第1に前記指定手段によって商品を指定操作し、第2に前記データキャリアを前記読み書き手段に近接させて精算処理を行うとともに、前記第1の操作がなされた場合に、精算処理の有効時間を設定する有効時間設定手段によって有効時間をカウントし、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第1の操作に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に新たな商品指定手段の操作がなされた場合は、前回の商品指定手段の操作に対応する商品の指定を無効として前記新たな商品指定手段の操作のみを有効とし、かつ前記前回の商品指定手段の操作によって開始された精算処理の有効時間のカウントをキャンセルして、前記新たな商品指定手段の操作によって設定された精算処理の新たな有効時間のカウントを開始して、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第2の操作の前に行われた前記新たな商品指定手段の操作結果に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記第1の操作自体をキャンセルし、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記新たな商品指定手段の操作自体をキャンセルするので、構成の複雑化及び不自然な操作を伴わずに良好な操作性下にて行わせることが可能な自動販売機を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動販売機は、常時操作可能な状態に維持された購入商品を指定するための指定手段を操作することで設定される精算処理の有効時間が経過するまでであれば、商品指定手段の再操作が可能であり、誤った商品の指定操作をした場合でも、再操作によって希望する商品を速やかに購入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
請求項1に記載の発明は、常時操作可能な状態に維持された購入商品を指定するための指定手段と、前記指定手段によって指定された商品を投出する投出手段と、金額データが記憶されたデータキャリアに対して金額データの読み書きを非接触にて行う読み書き手段を備え、前記データキャリアを用いて前記指定手段によって指定された商品を購入し投出する自動販売機であって、第1に前記指定手段によって商品を指定操作し、第2に前記データキャリアを前記読み書き手段に近接させて精算処理を行うとともに、前記第1の操作がなされた場合に、精算処理の有効時間を設定する有効時間設定手段によって有効時間をカウントし、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第1の操作に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に新たな商品指定手段の操作がなされた場合は、前回の商品指定手段の操作に対応する商品の指定を無効として前記新たな商品指定手段の操作のみを有効とし、かつ前記前回の商品指定手段の操作によって開始された精算処理の有効時間のカウントをキャンセルして、前記新たな商品指定手段の操作によって設定された精算処理の新たな有効時間のカウントを開始して、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第2の操作の前に行われた前記新たな商品指定手段の操作結果に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記第1の操作自体をキャンセルし、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記新たな商品指定手段の操作自体をキャンセルすることにより、新たな商品指定手段の操作によって、前回の操作に対応する商品の指定が無効とされるから、誤った商品を選択した場合、希望する商品に対応する商品指定手段を再度操作でき、希望する商品を速やかに購入することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、読み書き手段に読み取られた金額データから購入商品の代金を差し引いた残額を求め、前記読み書き手段に書込み用の更新データとして送出する一方、前記金額データに基づいて販売の可否を判定する精算処理手段を備え、前記精算処理手段は、自動販売機の電源投入と共に動作を開始して商品指定手段の操作の有無を監視し、前記商品指定手段による指定操作がなされたことを条件として、前記読み書き手段を読み書きが可能なスタンバイ状態に移行させることにより、精算処理手段が、購入商品の指定のために商品指定スイッチ(指定手段)の操作の有無を監視し、この操作がなされたことを条件としてリーダライタ(読み書き手段)をスタンバイ状態に移行させ、例えば、表示ランプの点灯、メッセージの表示等により、ICカード、ICタグ等のデータキャリアを前記リーダライタに近付ける操作を促し、該リーダライタにより前記データキャリアに記録された金額データを読み取らせ、先に指定された購入商品の代金を読み取られた金額データから差し引いて残額を算出し、この残額に対応する更新データをリーダライタに送り出し、該リーダライタにより前記データキャリアに書き込ませるまでの一連の動作を行う。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明にさらに、有効時間は有効時間設定手段により変更可能であるものであり、商品指定スイッチの操作を条件として移行させたリーダライタのスタンバイ状態の有効時間を予め設定し、販売商品の種別、品数、使用頻度等、種々に異なる使用条件への適正な対応を可能とする。
【0020】
(実施の形態1)
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る自動販売機の外観を示す正面図である。
【0021】
本図に示す如く、販売商品を収納する本体筐10の前面上部に、透明樹脂製の前面パネルにより覆われた商品見本の陳列棚11を設け、また、該陳列棚11の一側下部に、ICカード、ICタグ等のデータキャリア2(図2参照)に対して金額データの読み書きを行うリーダライタ(読み書き手段)12と、該リーダライタ12の操作に関連した表示を行う表示部13を設け、更に、本体筐10の前面下部に購入商品の取り出し口14を開設して、飲料販売用の自動販売機1が構成されている。
【0022】
陳列棚11の内部には、販売商品に対応する商品見本A,A・・・が、縦横各複数列に並べて配置されており、陳列棚11の前面パネルには、購入希望の商品を指定するための押しボタン式の商品指定スイッチ15、15・・・が、前記商品見本A,A…の夫々に対応するように前面外部からの操作可能に並設されている。また本体筐10の内部には、前記商品見本A,A・・・の夫々に対応する商品の収納部と、これらの収納部から商品を投出する投出装置16(図2参照)とが備えられ、各収納部に収納された商品は、前記商品指定スイッチ15、15・・・の操作に応じた投出装置16の動作により、前記取り出し口13の内側に設けた取り出し室に選択的に投出されるようになしてある。なお、前記収納部及び投出装置16は、各種の自動販売機において一般的に設けられているものであり、夫々の構成の図示、及び詳細な説明は省略する。
【0023】
以上の如く構成された自動販売機1において、利用者は、陳列棚11内部の商品見本A、A・・・を、これら夫々に付設された代金表示と共に視認して購入希望商品を決定し、次いで、対応する商品指定スイッチ15を押圧操作して商品を指定し、その後、前記リーダライタ12の前部に自身が携帯するデータキャリア2を近接させて、後述する手順にて精算処理を行わせることにより所望の商品を購入することができる。
【0024】
なお図1に示す自動販売機1は、ICカード、ICタグ等のデータキャリア2を使用しての販売専用として構成してあるが、硬貨、紙幣等の現金の投入口を前記リーダライタ12の配設位置の近傍に併設し、該投入口に投入された現金による販売を併せて行い得る構成としてもよい。なお、現金を使用した販売は、従来から行われているように、まず、前記投入口に所要の硬貨又は紙幣を投入し、その後、購入を希望する商品に対応する商品指定スイッチ15を押圧操作する手順により行われる。
【0025】
図2は、以上の如く構成された自動販売機1の制御系の構成を示すブロック図である。図中3は、マイクロプロセッサを用いてなる主制御部、また4は、同じくマイクロプロセッサを用いてなる精算処理部であり、これらは、相互に信号の授受が可能に接続されている。
【0026】
主制御部3入力側には、前記商品指定スイッチ15、15・・・が接続されており、これらからの入力に基づいて主制御部3は、商品指定の有無を認識するようになしてある。なお図中には、複数の商品指定スイッチ15、15・・・が一つのブロックにより示してある。また主制御部3の入力側には、前記精算処理部4から、後述する精算動作を終えたことを示す精算完了信号が与えられており、主制御部3は、前記精算完了信号に基づいて販売の可否を認識するようになしてある。
【0027】
主制御部3の出力は、商品投出のための前記投出装置16に与えられており、該主制御部3は、精算処理部4から精算完了信号が与えられたとき、前記商品指定スイッチ15、15・・・の操作状態に基づいて前記投出装置16に動作指令信号を発し、該投出装置16の動作により前記商品指定スイッチ15、15・・・の操作により指定された商品を投出させる動作をなす。
【0028】
更に主制御部3の入力側には、自動販売機1の各部に配した図示しない状態検出センサの出力が与えられており、主制御部3は、例えば、複数の収納部夫々に収納された商品の量、投出装置の故障の有無等、前記状態検出センサの夫々の出力に基づいて自動販売機1各部の状態を認識し、警報の発生、又は所定の表示により、利用者又は設置者に報知せしめる補助制御動作を行う。この補助制御動作を含めた主制御部3の動作は、自動販売機において従来から広く行われている制御動作であり詳細な説明は省略する。
【0029】
一方、精算処理部4には、本体筐10の前面に前述の如く配されたリーダライタ12が、相互間での信号の授受が可能に接続されている。該リーダライタ12は、前記データキャリア2に記録された金額データの読取り、及びデータキャリア2への金額データの書込みを非接触にて行わせる構成としたものである。リーダライタ12は、前記特許文献3にも開示されているように、例えば、前記本体筐10の前面に露出させた検知面12aの内側に面してコイルアンテナを備え、電磁誘導を利用して、該検知面12aに対し、図中に2点鎖線により示す如く近接対向せしめられたデータキャリア(ICカード)2に対し、前記読み書きを行う構成としたものを用いることができる。
【0030】
また精算処理部4の入力側には、主制御部3におけると同様に、前記商品指定スイッチ15,15・・・が接続されており、これらからの入力に基づいて精算処理部4は、利用者による商品指定の有無を認識するようになしてある。更に精算処理部4の入力側には、前記リーダライタ12が後述するスタンバイ状態を継続する有効時間Tを設定するための有効時間設定器5が接続されている。
【0031】
図3は、有効時間設定器5の一例を示す斜視図である。本図に示す如く有効時間設定器5は、矩形箱形をなすケーシング50の一面に、時間帯設定のための3組の表示窓51、52、53及びこれら夫々に対応する有効時間設定のための3つの表示窓54、55、56を開設すると共に、各1個の送りボタン57及び設定ボタン58を外部からの操作可能に配して構成されており、前記表示窓51〜56の表示を確認しつつ送りボタン57を操作して夫々の表示を代え、設定ボタン58の操作により夫々の表示を確定する手順を繰り返すことにより、前記表示窓51、52、53の表示により示される時間帯毎に、対応する表示窓54、55、56に表示された時間が有効時間Tとして設定されるようになしてある。
【0032】
以上の如く構成された有効時間設定器5は、本体筐10の内部に設置され、例えば、商品補充のためになされる本体筐10の開放時に、自動販売機1の設置者により操作され、前述した有効時間Tの設定が行われる。なお前記表示窓51〜56の夫々への表示、また、送りボタン57及び設定ボタン58の操作に応じた表示の送り及び確定は、ケーシング50に内蔵された制御回路の動作によりなされ、このようにして時間帯毎に設定された有効時間Tは、精算処理部4に与えられる。
【0033】
図4及び図5は、精算処理部4の動作内容を示すフローチャートである。精算処理部4は、自動販売機1の電源投入と共に動作を開始し、入力側に接続された商品指定スイッチ15、15・・・の操作の有無を監視し(ステップ1)、これらの操作がなされるまで待機し、いずれかの商品指定スイッチ15の操作がなされた場合、前記リーダライタ12にスタンバイ指令を発し、該リーダライタ12を読み書きが可能なスタンバイ状態に移行させる(ステップ2)。
【0034】
この移行を行わせた後、精算処理部4は、前記リーダライタ12からの入力により、データキャリア2からの金額データの読取りがなされたか否かを判定し(ステップ3)、また商品指定スイッチ15、15・・・の新たな操作がなされたか否かを判定し(ステップ4)、更に、内蔵タイマの計時により、前記スタンバイ状態への移行後の経過時間が前記有効時間Tに達したか否かを判定する(ステップ5)。
【0035】
ステップ3、ステップ4及びステップ5での判定の結果、前記スタンバイ状態への移行後、リーダライタ12による読み取りがなされず、また商品指定スイッチ15の新たな操作がなされないまま前記有効時間Tが経過したと判定された場合、精算処理部4は、前記リーダライタ12に解除指令を発し、先に設定されたスタンバイ状態を解除させ(ステップ6)、その後、ステップ1に戻り、次なる操作がなされるまで待機する。
【0036】
また前記ステップ3での判定の結果、リーダライタ12による読取りがなされたと判定された場合、図5に示すフローチャートに移行し、読み取られた金額データから購入商品の代金を差し引いて残額を算出し(ステップ11)、この残額を更新データとしてリーダライタ12に送り出し、先に読取りがなされたデータキャリア2に対し更新データを書込ませる精算動作を行い(ステップ12)、これと同時に前記主制御部3に動作指令を与え、該主制御部3の動作により、商品指定スイッチ15、15・・・により有効に指定された商品を投出させる(ステップ13)。次いで、図4に示すフローチャートのステップ1に戻り、次なる操作が行われるまで待機する。
【0037】
更に、前記ステップ4での判定の結果、商品指定スイッチ15、15・・・の新たな操作がなされたと判定された場合、精算処理部4は、先の操作によりなされた商品の指定をキャンセル(無効)とし(ステップ7)、その後ステップ2に戻り、リーダライタ12を新たにスタンバイ状態として前述した動作を繰り返す。
【0038】
以上の如く行われる精算処理部4の動作により、商品指定スイッチ15、15・・・のいずれかが操作されたことを条件としてリーダライタ12が読み書き可能なスタンバイ状態に移行し、このスタンバイ状態が前記有効時間Tが経過するまで継続する。この結果利用者は、まず、購入を希望する商品に対応する商品指定スイッチ15を操作し、購入の意志を十分に固めた後、前記リーダライタ12に対してデータキャリア2を接近させる操作を行えばよく、誤った操作がなされる虞れが少なくなる。
【0039】
また、データキャリア2の読取り操作がなされた場合、図5のフローチャートに移行し、金額データの読取り、購入商品の代金を差し引いた残額の算出、及び残額に対応する更新データの書込みまでの一連の精算処理が速やかに行われる。この結果利用者は、前記リーダライタ12に対するデータキャリア2の接近操作を短時間行えばよく、操作性の改善を図ることができる。なおこのような操作手順は、リーダライタ12に並設された前記表示部13に表示させることができ、この表示により、更なる操作性の改善を図ることができる。
【0040】
また、リーダライタ12のスタンバイ状態は、前記有効時間Tの経過後に解除されるから、利用者は、商品指定スイッチ15を誤って操作した場合、携帯しているデータキャリア2をリーダライタ12に接近させることなく放置することにより、購入を取り止めることができ、不本意な精算処理を強いられる虞れがない。
【0041】
前記有効時間Tは、図3に示す如く構成された有効時間設定器5により可変に設定することができ、前述した購入の取り止めがなされた後に新たな使用の開始が可能な時間を変更することができる。従って、販売商品の種別、品数、使用頻度等、使用条件に応じた適正な有効時間Tを設定することにより、次の利用者に無用な待ち時間を強いることがなくなる。
【0042】
図3に示す有効時間設定器5においては、時間帯毎に異なる有効時間Tの設定が可能であり、夜間、早朝、昼間、夕方等、時間帯毎に異なる使用条件に対し、適正な待ち時間をより細かく設定することができる。
【0043】
また、有効時間T内に新たな商品指定スイッチ15の操作がなされた場合、前回の操作に対応する商品の指定が無効とされるから、利用者は、誤った商品指定スイッチ15を操作した場合、希望する商品に対応する商品指定スイッチ15を再度操作することにより前記有効時間Tの経過を待たずにキャンセルすることができ、その後に正しい商品指定スイッチ15を操作することにより希望する商品を速やかに購入することができる。
【0044】
図6は、精算処理部4の動作内容の他の実施の形態を示すフローチャートである。本図においては、図4のフローチャートにおけるステップ7をなくし、ステップ4での判定の結果、商品指定スイッチ15、15・・・の新たな操作がなされたと判定された場合、無条件にステップ2に戻り、リーダライタ12を新たにスタンバイ状態として前述した動作を繰り返すようにしてある。
【0045】
このようにした場合、商品指定スイッチ15、15・・・の操作が前記有効時間T内に複数回行われた場合、これらの操作による商品の指定が有効なままに残るから、利用者は、商品指定スイッチ15、15・・・を連続して操作することにより、複数の商品をまとめ買いをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の外観を示す正面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の制御系の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る有効時間設定器の一例を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態1に係る精算処理部の動作内容を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1に係る精算処理部の動作内容を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1に係る精算処理部の動作内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0047】
1 自動販売機
2 データキャリア
3 主制御部
4 精算処理部
5 有効時間設定器
10 本体筐
12 リーダライタ
15 商品指定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時操作可能な状態に維持された購入商品を指定するための指定手段と、前記指定手段によって指定された商品を投出する投出手段と、金額データが記憶されたデータキャリアに対して金額データの読み書きを非接触にて行う読み書き手段を備え、前記データキャリアを用いて前記指定手段によって指定された商品を購入し投出する自動販売機であって、第1に前記指定手段によって商品を指定操作し、第2に前記データキャリアを前記読み書き手段に近接させて精算処理を行うとともに、前記第1の操作がなされた場合に、精算処理の有効時間を設定する有効時間設定手段によって有効時間をカウントし、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第1の操作に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に新たな商品指定手段の操作がなされた場合は、前回の商品指定手段の操作に対応する商品の指定を無効として前記新たな商品指定手段の操作のみを有効とし、かつ前記前回の商品指定手段の操作によって開始された精算処理の有効時間のカウントをキャンセルして、前記新たな商品指定手段の操作によって設定された精算処理の新たな有効時間のカウントを開始して、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われれば、前記第2の操作の前に行われた前記新たな商品指定手段の操作結果に基づいて精算処理を行い、前記有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記第1の操作自体をキャンセルし、前記新たな有効時間以内に前記第2の操作が行われなければ、前記新たな商品指定手段の操作自体をキャンセルすることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
読み書き手段に読み取られた金額データから購入商品の代金を差し引いた残額を求め、前記読み書き手段に書込み用の更新データとして送出する一方、前記金額データに基づいて販売の可否を判定する精算処理手段を備え、前記精算処理手段は、自動販売機の電源投入と共に動作を開始して商品指定手段の操作の有無を監視し、前記商品指定手段による指定操作がなされたことを条件として、前記読み書き手段を読み書きが可能なスタンバイ状態に移行させる請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
有効時間は有効時間設定手段により変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−172660(P2007−172660A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72311(P2007−72311)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【分割の表示】特願2000−232430(P2000−232430)の分割
【原出願日】平成12年7月31日(2000.7.31)
【出願人】(000004488)松下冷機株式会社 (25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】