自動魚給餌装置
【課題】 液中で停留する飼料を食べない種類の魚および液面に浮上した飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる、汎用性の高い自動魚給餌装置を提供する。
【解決手段】 自動魚給餌装置10は、貯留部本体12と、閉塞体14とを含んで構成される。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。自動魚給餌装置10は、閉塞部材13をさらに含んで構成される。閉塞部材13は、所定途中位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体14が貯留部本体12と共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。
【解決手段】 自動魚給餌装置10は、貯留部本体12と、閉塞体14とを含んで構成される。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。自動魚給餌装置10は、閉塞部材13をさらに含んで構成される。閉塞部材13は、所定途中位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体14が貯留部本体12と共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚に飼料を与える自動魚給餌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来技術に係る自動魚給餌装置である配合餌料給餌装置1の正面図である。配合餌料給餌装置1は、餌料ホッパー2と、計量送り出し手段3と、駆動モータ4と、一時貯留ホッパー5とを備える。配合餌料給餌装置1は、餌料ホッパー2に貯留された餌料を所定量計算し、計量送り出し手段3で一時貯留ホッパー5に送出すことによって、飼育される魚の種類および大きさに対応して、予め設定された投入量および投入時間で餌料を給餌する。
【0003】
【特許文献1】特開平08−308427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
魚の種類によっては、液中で停留する飼料を食べない場合があり、また一度液面に浮上した飼料を食べない場合がある。従来技術に係る配合餌料給餌装置1で養殖槽内に飼料を投入しても、飼料が停留または浮上し、飼育する魚が食べない場合があるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、液中で停留する飼料を食べない種類の魚および液面に浮上した飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる、汎用性の高い自動魚給餌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)に従えば、自動魚給餌装置は、貯留部本体と、閉塞体とを含んで構成される。貯留部本体は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞体は、予め定める所定位置において貯留部本体を閉塞可能可能である。また閉塞体は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が所定位置を移動することを許容する。
【0007】
また本発明(2)に従えば、自動魚給餌装置は、飼育魚検知センサと、駆動部とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサは、魚が飼育される養殖槽内で、貯留部本体近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部は、検知信号に応じて閉塞体を変位させ、閉塞体による貯留部本体の閉塞を解除する。
【0008】
また本発明(3)に従えば、自動魚給餌装置は、閉塞部材をさらに含んで構成される。閉塞部材は、予め定める所定途中位置において貯留部本体を閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体が貯留部本体と共に飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置を移動することを許容する。
【0009】
また本発明(4)に従えば、駆動部は、閉塞体と閉塞部材とによる貯留部本体の閉塞および閉塞の解除を切換え可能であり、閉塞体の、貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、閉塞部材は、貯留部本体を閉塞する。
【0010】
また本発明(5)に従えば、飼料は、生きた魚介類である。
また本発明(6)に従えば、飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含む。
【0011】
また本発明(7)に従えば、閉塞体は、飼料および液体の移動する方向に関して貯留部本体の端部に配置され、角変位可能である。閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって、閉塞体は、貯留部本体の閉塞を行う。また閉塞体が角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。
【0012】
また本発明(8)に従えば、貯留部本体は、複数設けられ、閉塞部は、貯留部本体の個数に対応して複数設けられる。飼育魚検知センサは、複数の貯留部本体に近接した飼育魚の個体数を検出し、検出した飼育魚の個体数に応じた検出信号を出力する。駆動部は、複数の閉塞体の閉塞と解除とを、各閉塞体に個別に切換可能である。また駆動部は、予め定める所定時間内に検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体のうち予め定める個数の閉塞体の閉塞を解除する。
【発明の効果】
【0013】
本発明(1)によれば、自動魚給餌装置は、貯留部本体と、閉塞体とを含んで構成される。これによって、閉塞体を開くことで、飼料を液体と共に放出することができ、魚に対して給餌することができる。飼料を液体と共に放出することによって、飼料を液体と共に移動させ、放出された直後に飼料が停止することを防止することができる。また、飼料が放出された直後に浮上することを防止することができる。これによって、液中で停留または浮上する飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる。したがって、汎用性の高い自動魚給餌装置を実現することができる。
【0014】
また本発明(2)によれば、自動魚給餌装置は、飼育魚検知センサと、駆動部とをさらに含んで構成される。これによって、飼育される魚が、予め定める領域内に存するときに、給餌することができる。したがって、飼料が放出された直後に、飼育される魚が飼料を食する可能性を高くすることができる。飼料は、放出された直後に停留または浮上しないので、停留または浮上する飼料を食べようとしない魚に対しても給餌することができる。したがって、飼料が飼育される魚に食されずに無駄になることを防止することができ、食されずに残る飼料が養殖槽内の液体を汚すことを防止することができる。また飼育される魚が予め定める領域内に存するときに自動的に給餌することによって、人力を省力化することができる。また給餌を自動的に行うことによって、飼育される魚にとって餌の不足が生じることを防止することができる。したがって、飼育される魚が共食いする習性を有する魚であっても、共食いを防止することができる。
【0015】
また本発明(3)によれば、自動魚給餌装置は、閉塞部材をさらに含んで構成される。これによって、閉塞体を開いたときに閉塞部材を閉じることで、貯留部本体の内部に貯留される飼料および液体の全てが放出されることを防止することが可能となる。したがって、閉塞部材を閉塞した状態で飼料および液体が貯留される空間に、予め飼料および液体を貯留しておき、閉塞部材を閉じて閉塞体を開くことによって、予め定める量の飼料および液体を放出することが可能となる。
【0016】
また本発明(4)によれば、駆動部は、閉塞体の、貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、閉塞部材は、貯留部本体を閉塞する。これによって、閉塞体の閉塞を解除して給餌すると、貯留部本体の内部に貯留される飼料及び液体の全てが放出されることを自動的に防止することができる。したがって、閉塞部材と閉塞体との間に位置する飼料および液体の量を規定することができる。これによって、予め定める量の飼料を給餌することができる。
【0017】
また本発明(5)によれば、飼料は、生きた魚介類である。自動魚給餌装置は、飼料を液体と共に貯留し、液体と共に放出することができるので、飼料が新鮮に保たれた状態で給餌することができる。したがって生きた魚介類しか食べようとしない魚に対しても、給餌することができる。
【0018】
また本発明(6)によれば、飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含む。飼育される魚は生きて活動するので、周囲の水温に比べて温度が高い。赤外線カメラは温度の差を検出することができるので、飼育される魚を撮像することができる。また赤外線カメラは、可視光によって撮像するカメラに比べて、養殖槽内の液体に濁りがある場合にも、飼育される魚を撮像することができる。したがって、飼育される魚が予め定める領域内に位置することを、確実に検知することができる。
【0019】
また本発明(7)によれば、閉塞体が角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。これによって、貯留部本体の内部空間に位置する飼料および液体が、閉塞体に荷重を付与することによって、閉塞体を貯留部本体に対してさらに開き、飼料および液体の放出を容易にすることができる。したがって、閉塞体の閉塞の解除に飼料および液体の荷重を利用しない場合に比べて、閉塞が解除されるときの閉塞体の姿勢の変化に必要な駆動力を小さくすることができる。また、飼料および液体の放出に係る時間を短くすることができる。
【0020】
また閉塞体は、閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって、貯留部本体の閉塞を行うので、飼料および液体の放出が終了し、閉塞体に付与される飼料および液体の荷重が解除されたときには、閉塞体のうち貯留部本体に閉塞を行う部分は、角変位の軸線よりも上方に位置する。これによって、駆動部が閉塞体に貯留部本体を閉塞させるために閉塞体に付与する動作を小さくすることができる。
【0021】
また本発明(8)によれば、貯留部本体は、複数設けられ、駆動部は、検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体のうち予め定める個数の閉塞体の閉塞を解除する。これによって、貯留部本体に近接した飼育魚の個体数に応じて放出する飼料の量を変化させることができる。したがって、飼育魚に与えられる飼料の量が飼育魚によって異なることを防止することができる。これによって、飼育魚が等しく成長する可能性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞体14を駆動する一部の斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞部材13を駆動する一部の斜視図である。自動魚給餌装置10は、養殖される飼育魚11などの魚に対して自動的に給餌を行う装置である。自動魚給餌装置10は、この装置に飼育魚11が近接することによって、自動的に給餌を行う。飼育魚11は、たとえば、スズキ目、フグ目、キンメダイ目、カサゴ目、トビウオ目、マトウダイ目、ダツ目、ボラ目、コイ目、タラ目、サケ目などの魚およびそれらの稚魚である。第1実施形態において飼育魚11は、スズキ目・サバ科・マグロ属に属する魚の稚魚であるものとする。飼育魚11の大きさ、たとえば体長、体幅、重量などについては規定しないけれども、飼育魚11に対して与える飼料の大きさは、飼育魚11の大きさに応じて設定されることが好ましい。以下、スズキ目・サバ科・マグロ属に属する魚の稚魚を「マグロの稚魚」、あるいは単に「マグロ」と称することがある。
【0024】
自動魚給餌装置10は、貯留部本体12と、閉塞部材13と、閉塞体14とを含んで構成される。貯留部本体12は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞部材13は、所定途中位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定途中位置16は、飼料および液体の移動の方向に関して内部空間の途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材13は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留する。また閉塞部材13は、閉塞が解除された状態で飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置16を移動することを許容する。
【0025】
閉塞体14は、所定位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定位置は、所定途中位置16とは異なる予め定める位置である。具体的には、所定位置は、貯留部本体12の下流側一端部を蓋する位置である。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。貯留部本体12を移動する飼料および液体の移動の向きに関して、閉塞部材13は上流側に、閉塞体14は下流側に位置するので、閉塞部材13を「上流側部材」と称し、閉塞体14を「下流側部材」と称する。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が、養殖槽40に設置された状態を表す斜視図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が設置される養殖槽40の斜視図である。貯留部本体12は、養殖槽40の流路構成体42が保持する液体の流れに臨んで設置される。養殖槽40は、流路構成体42を含み、流路構成体42は、流路を規定する。流路は無端環状に形成され、流路において液体は、予め定める向きに流れる。本実施形態において流路は、円周形状を成し、流路構成体42に保持される液体は、流路が成す円周の周方向一方に向けて流れる。流路構成体42に保持される液体、および貯留部本体12において飼料と共に貯留される液体は、水、または塩分を含む水であり、たとえば淡水、海水、汽水のいずれてあってもよいけれども、養殖槽40内に保持される液体は、飼育魚11を飼育することに適した液体とする。
【0027】
飼料は、生きた魚介類である。本実施形態において飼育魚11は、マグロの稚魚であるので、これに対応して、飼料は鯛の幼魚とする。「鯛」は、スズキ目、スズキ亜目、タイ科の魚を意味する。養殖槽40では、複数のマグロの稚魚が飼育され、複数のマグロに対する飼料として、一度に複数の鯛が与えられる。いずれの鯛の体長、体幅、重量も、飼育される複数のマグロの平均体長、平均体幅、および平均重量よりも小さいものとする。ただし他の実施形態において飼料は、たとえばイカであってもよい。飼料と共に貯留される液体は、飼料となる魚介類を新鮮に維持することに適した液体である。養殖槽40内に保持される液体と、飼料と共に貯留される液体とは、同じ組成の液体であることが好ましい。
【0028】
第1実施形態において貯留部本体12は、環状に形成され、内部空間を周囲から規定する。以下、第1実施形態において貯留部本体12を「環状部」15と称する。環状部15の軸線は、環状部15の一端部の開口36と他端部の開口とを結び、飼料および液体の移動の方向に一致する。環状部15の一端部は、流路構成体42が保持する液中に配置される。環状部15の他端部は、流路の液体の液面よりも上方に配置される。環状部15は、環状部15の他端部付近における環状部15の軸線が鉛直となる姿勢で配置され、環状部15の他端部から一端部に向けて、環状部15の軸線は滑らかに湾曲する。環状部15の軸線は、環状部15の内部空間内に位置する有限長の曲線を意味するものとする。
【0029】
湾曲する環状部15の軸線は、30度以上90度以下の円周角に対応する円弧として形成され、好ましくは45度以上、さらに好ましくは60度以上90度未満、本実施形態においては80度程度の円周角に対応する円弧として形成される。他の実施形態において環状部15の軸線は、楕円の一部を成す形状として形成されてもよい。環状部15の軸線は、屈折した形状でなく滑らかに湾曲していれば、一部分に直線を含んで形成されてもよい。環状部15の軸線の下端において、上端から下端に向かう向きを鉛直成分と水平成分とに分解すれば、鉛直下方Z2に向かう向きをベクトル成分として含む。
【0030】
環状部15は、他端部から一端部に向けて先細状に形成される。環状部15の内部空間を、環状部15の軸線に垂直な仮想平面で切断したときの断面形状は、他端部から一端部までのいずれの位置においても矩形であるものとする。矩形は、正方形を除く長方形と、正方形との両方を含むものとする。環状部15は、平板状の2つの平板状部材と、湾曲する板状の2つの板状湾曲部材とを含んで構成される。2つの平板状部材は、円弧形状の環状部15の軸線を含む仮想一平面に平行に配置される。この仮想一平面は鉛直であり、この仮想一平面に含まれる水平な方向を「水平一方向」Xと称する。
【0031】
各板状湾曲部材の曲率の中心点は、2つの板状湾曲部材いずれの中心点も、環状部15の他端部から同じ側に位置する。水平一方向Xのうち、環状部15の他端部から2つの板状湾曲部材の曲率の中心点に向かう向きを「水平方向一方」X1と称し、これとは逆の向きを「水平方向他方」X2と称する。各板状湾曲部材の曲率の中心点から遠い位置の板状湾曲部材を「外方湾曲部材」と称し、近い位置の板状湾曲部材を「内方湾曲部材」と称する。
【0032】
環状部15の他端部を成す2つの平板状部材の他端部および2つの板状湾曲部材の他端部は、略水平に配置される。「略水平」は「水平」を含む。換言すれば、環状部15の他端部が規定する開口は、鉛直上方Z1に向けて開口する。環状部15の一端部を形成する外方湾曲部材の一端部は、環状部15の一端部を形成する内方湾曲部材の一端部よりも水平方向一方X1に位置する。内方湾曲部材の一端部と外方湾曲部の一端部とは、2つの平板状部材によって接続される。環状部15の一端部に接する平面に垂直な直線は、水平に対して角度を成し、この直線の方向のうち、環状部15の内部空間から環状部15の外部空間に向かう向きを鉛直方向Z成分と水平一方向X成分とに分解すれば、鉛直上方Z1に向かう向きをベクトル成分として含む。以下、環状部15の一端部に接する平面に垂直な直線を「垂直直線」と称する。
【0033】
上流側部材および下流側部材は、平板状の部材として形成され、上流側部材は、環状部15の内部空間内に設置される。上流側部材が所定途中位置16において環状部15の内部空間を仕切り、環状部15を閉塞した状態において、上流側部材は、鉛直な姿勢をとる。本実施形態において、所定途中位置16は、環状部15の軸線の上端から下端までの中央付近に設定される。上流側部材は、所定途中位置16で鉛直な姿勢をとるときの上端部において内方湾曲部に蝶番によって接続され、蝶番を中心として角変位自在である。上流側部材は、外力が付与されない自然状態において、重量に基づく原動力によって鉛直な姿勢をとる。以下、環状部15の軸線の上端に近い側を「上端側」と称し、下端に近い側を「下端側」と称することがある。
【0034】
下流側部材は、環状部15の一端部に設置され、所定位置は環状部15の一端部近傍に設定される。下流側部材が所定位置に位置して環状部15を閉塞した状態において、下流側部材は、環状部15の一端部に接する。下流側部材は、内方湾曲部の一端部に対して蝶番で接続され、蝶番を中心として角変位自在である。下流側部材は、外力が付与されない自然状態において、重量に基づく原動力によって環状部15の一端部に対して接触し、環状部15の一端部の開口36を閉塞する。
【0035】
また自動魚給餌装置10が養殖槽40内に配置され、閉塞体14および閉塞部材13に液体からの浮力が作用しても、閉塞体14および閉塞部材13は自然状態に保たれ、養殖槽40内を流れる液体が閉塞体14および閉塞部材13に力を付与したときにも、閉塞体14および閉塞部材13は、自然状態に維持される。
【0036】
本実施形態において下流側部材は大略的に矩形に形成され、下流側部材の厚み方向に垂直な表面の面積は、環状部15の一端部における開口36の開口面積よりも大きく設定される。下流側部材が第2所定部において環状部15を閉塞した状態において、下流側部材の一部は、垂直直線に関して半径方向外方に突出する突出部として形成される。突出部は、下流側部材のうち、環状部15側壁の平板状部材に接触する部分に設けられる。
【0037】
自動魚給餌装置10は、飼育魚検知センサ17と、駆動部18とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサ17は、魚が飼育される養殖槽40内で、環状部15の一方の端部近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部18は、検知信号に応じて下流側部材を変位させ、下流側部材による環状部15の閉塞を解除する。飼育魚検知センサ17は、赤外線カメラ34を含む。
【0038】
赤外線カメラ34は、撮像範囲に位置する物体から発せられる赤外線を受光することによって撮像を行う。赤外線カメラ34は、防水構造となっており、液中での撮像が可能である。魚を飼育することに適した温度範囲の物体からは、物体の温度に応じた量の赤外線が発せられる。赤外線カメラ34は、赤外線を受光して撮像を行うことによって、物体の温度の差を検出することができる。飼育される魚は生きて活動するので、周囲の水温に比べて温度が高い。したがって、撮像範囲に飼育魚11が位置すれば、飼育魚11を撮像することができる。たとえば赤外線カメラ34は、赤外線を可視光に変換する波長変換フィルタと、電荷結合素子(Charge Coupled Device, 略称「CCD」)とを含んで構成されてもよい。
【0039】
飼育魚検知センサ17は、画像処理部をさらに含んで構成され、画像処理部は、赤外線カメラ34の画像を処理することによって、赤外線カメラ34の撮像範囲内において飼育魚11の有無を検知する。前記予め定める領域とは、本実施形態において赤外線カメラ34の撮像範囲である。画像処理部は、たとえば微分処理を行うことによって、輪郭抽出を行い、撮像範囲における飼育魚11の有無を判定する。画像処理部は、赤外線カメラ34によって撮像された画像の赤外線の強弱を、画像データの横方向の位置の変化および縦方向の位置の変化によって微分することによって、輪郭抽出を行う。抽出した輪郭の大きさの、画像全体の大きさに対する比によって、飼育魚11が撮像範囲内において赤外線カメラ34に接近したことを検知することができる。飼育魚検知センサ17から出力される検知信号は、制御部35に入力される。制御部35は、飼育魚検知センサ17からの検出信号に応じて、駆動部18を制御し、駆動させる。
【0040】
駆動部18は、第1主動歯車19、第2主動歯車21、第1従動歯車22、第2従動歯車24、第1カム26、第2カム27および駆動源28を含む。第1主動歯車19、第2主動歯車21および駆動源28は、環状部15の他端部近傍に設置される。第1主動歯車19および第2主動歯車21は、角変位軸を共有して設置され、角変位軸は、駆動源28によって角変位される。駆動源28は、たとえばモータによって実現され、本実施形態においてはステップモータによって実現される。角変位軸は、鉛直方向Zおよび水平一方向Xに垂直で、かつ水平な方向に延びて設置される。
【0041】
第1従動歯車22および第1カム26は、上流側部材近傍に設置される。第1従動歯車22と第1カム26とは、互いに固定され、同軸まわりに角変位可能に設置される。第1従動歯車22は、第1チェーン32によって第1主動歯車19に機械的に接続される。第1チェーン32は、第1主動歯車19の角変位を第1従動歯車22に伝達する。第1従動歯車22および第1カム26は、上流側部材よりも環状部15の軸線に関して下端側に配置される。第1従動歯車22および第1カム26は、角変位によって第1姿勢と第2姿勢とをとる。
【0042】
第2姿勢において第1カム26は、上流側部材に対して外力を付与することなく、上流側部材は自然状態となる。第1カム26が第2姿勢から第1姿勢に角変位することによって、第1カム26の一部は、上流側部材を下端側から上端側に押して変位させる。これによって、上流側部材による環状部15の閉塞は、解除される。
【0043】
第2従動歯車24および第2カム27は、下流側部材近傍に設置される。第2従動歯車24と第2カム27とは、互いに固定され、同軸まわりに角変位可能に設置される。第2従動歯車24は、第2チェーン33によって第2主動歯車21に機械的に接続される。第2チェーン33は、第2主動歯車21の角変位を第2従動歯車24に伝達する。第1従動歯車22および第2カム27は、下流側部材の突出部近傍に設置され、とくに第2カム27は、突出部の下方に設置される。第2従動歯車24および第2カム27は、角変位によって第1姿勢と第2姿勢とをとる。
【0044】
第1姿勢において第2カム27は、下流側部材に対して外力を付与することなく、下流側部材は自然状態となる。第2カム27が第1姿勢から第2姿勢に角変位することによって、第2カム27の一部は、下流側部材を下方から上方に押して変位させる。これによって、下流側部材による環状部15の閉塞は、解除される。
【0045】
下流側部材の、環状部15に対する閉塞が解除されることによって、上流側部材は、環状部15を閉塞する。本実施形態ではさらに、上流側部材の環状部15に対する閉塞が解除されることによって、下流側部材は、環状部15を閉塞する。第1主動歯車19、第2主動歯車21、第1従動歯車22、第2従動歯車24、第1カム26、第2カム27および駆動源28の動きは連動しており、第1カム26および第2カム27のいずれか一方が第1姿勢をとるとき、他方も第1姿勢をとる。第1カム26および第2カム27のいずれか一方が第2姿勢をとるとき、他方も第2姿勢をとる。
【0046】
これによって、上流側部材と下流側部材とは、環状部15に対して交互に閉塞を行い、また交互に閉塞の解除を行う。第1カム26および第2カム27が第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢をとる時間は、1秒以内であることが好ましい。中間の姿勢をとる時間が短ければ短いほど、上流側部材と下流側部材との両方が半ば開いた状態で、環状部15に貯留される飼料および液体の下端側への放出量を少なくすることができる。
【0047】
飼料となる鯛の複数の幼魚は、液中において互いが接触することによって傷つかない程度に高い密度で液中に散在させる。液体と共に密集して水槽に入れられた鯛の幼魚は、水槽の中で低い位置に、より多く密集する習性がある。環状部15の内部空間の中で、上流側部材は、上流側部材よりも上端側の内部空間に対して下方に位置し、上流側部材より上端側の鯛の幼魚は上流側部材付近に密集する。環状部15の内部空間の中で、下流側部材は、下流側部材よりも上端側の内部空間に対して下方に位置し、下流側部材より上端側の鯛の幼魚は下流側部材付近に密集する。この習性によって、上流側部材または下流側部材の閉塞を解除したときに、鯛の幼魚は液体と共に放出される。
【0048】
飼料および液体は、環状部15の他端部、すなわち環状部15の上方から環状部15に投入される。環状部15への飼料および液体の投入は、手動で行うことも可能であり、また、環状部15よりも上方に、飼料と液体とを保持する飼料保持容器をさらに設け、環状部15の所定途中位置16よりも上端側に水位センサを設け、水位センサが液面の低下を感知することによって、飼料保持容器から自動的に飼料と液体とを環状部15に供給する構成とすることも可能である。
【0049】
上流側部材が所定途中位置16で環状部15を閉塞している場合には、所定途中位置16よりも上端側に飼料と液体とが貯留される。上流側部材の閉塞が解除されている場合には、下流側部材が所定位置で環状部15を閉塞しているので、飼料および液体は、所定位置よりも上端側に貯留される。環状部15の内部空間のうち、所定途中位置16よりも上端側の容積は、所定位置よりも上流側、かつ所定途中位置16よりも下流側の容積よりも大きいものとする。
【0050】
上流側部材が閉塞した状態から、下流側部材が閉塞して上流側部材の閉塞が解除された状態となったときに、所定途中位置16よりも上端側に貯留された飼料および液体は、所定位置にまで流下し、所定位置よりも上端側の内部空間に移動する。このとき、所定途中位置16よりも上端側で貯留していた飼料および液体の一部によって、所定位置よりも上端側かつ所定途中位置16よりも下端側の内部空間は満たされる。これによって、再び上流側部材が閉塞し、下流側部材の閉塞が解除されたときに、環状部15から放出される飼料および液体の量を一定とすることができる。
【0051】
養殖槽40内のマグロは、マグロが互いに傷つけたりマグロがストレスによって弱ったりすることのない範囲で、高い密度で散在させることが好ましい。マグロは回遊魚であるので、常に一定の速さ以上の速さで泳ぎ続ける性質を有する。またマグロは、移動する群れを追いかける性質があり、群れでなくても、泳いで移動している魚を食べる。逆に停留している魚を食べようとしない習性があり、また一旦液面に浮上した飼料は、生きた魚介類であっても食べようとしない。マグロは、自分よりも小さな魚を食べる。したがって、養殖槽40内の複数の飼育魚11間で成長に差が生じると、先に大きく育ったマグロは、育ちが遅く小さなマグロを共食いしてしまう習性がある。
【0052】
鯛は、広い範囲を速い速度で泳ぎ回る性質を持たず、停留する性質を有する。したがって、鯛の幼魚を飼料として、マグロを飼育する養殖槽40内に放出しても、鯛の幼魚が停留してしまうと、マグロが飼料を食べない。
【0053】
飼育魚検知センサ17は、環状部15に近接した予め定める領域を撮像し、撮像した領域でのマグロの有無を検知する。予め定める領域は、環状部15の一端部の開口36、具体的には外方湾曲部材の一端部から30センチメートル(centimeters, 略号「cm」)以上1メートル(meters, 略号「m」)以内の範囲でよく、さらに30cm以上40cm以内の範囲であってもよい。
【0054】
飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に飼育魚11が位置しないとき、制御部35による駆動部18の制御によって、第1カム26および第2カム27は、第1姿勢に保たれる。マグロが、飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に進入すると、赤外線カメラ34がマグロの画像を撮像し、撮像された画像が画像処理されることによって、マグロの自動魚給餌装置10への接近が検知される。これに伴って飼育魚検知センサ17が検知信号を出力し、検知信号は、制御部35に入力される。制御部35は、マグロが接近したという情報を有する検知信号に応じて駆動部18を稼動する。駆動部18は、第1主動歯車19および第2主動歯車21に接続される角変位軸を角変位させ、第1カム26および第2カム27を第2姿勢に切換える。
【0055】
これによって下流側部材による環状部15の閉塞が解除され、上流側部材が環状部15を閉塞する。上流側部材と下流側部材との間の空間に位置していた飼料および液体は、環状部15の下端側の一端部から放出される。飼料である鯛の幼魚は、液体と共に放出されるので、放出直後には養殖槽40内で停留しない。マグロが自動魚給餌装置10に接近したことで鯛の幼魚が放流され、放流された幼魚は放出された液体と共に移動するので、マグロが鯛の幼魚を食べる確率を高くすることができる。
【0056】
飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知する範囲を、前記予め定める範囲よりも近接した範囲に設定すると、飼育魚11と、放出された飼料との区別が難しくなり、前記予め定める範囲よりも遠い範囲に設定すれば、飼料と液体とを放出しても、飼育魚11が放出された飼料を食べない確率が高くなる。
【0057】
制御部35は、駆動部18に対してさらに時間的な制御を行うことも可能である。たとえば他の実施形態において、給餌を予め定める時刻から、予め定める時間の長さだけ行い、このような給餌を定期的に繰返し行ってもよい。このような給餌を行う場合には、給餌が行われるそれぞれの時間の中で、環状部15にマグロが近接しない状態では、第1カム26および第2カム27は、第1姿勢をとり、環状部15にマグロが接近したときに第2姿勢に切換えられる。
【0058】
第1実施形態によれば、自動魚給餌装置10は、貯蔵部本体と、閉塞部材13と、閉塞体14とを含んで構成される。貯蔵部本体は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞部材13は、所定途中位置16において貯蔵部本体を閉塞可能である。所定途中位置16は、飼料および液体の移動の方向に関して内部空間の途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材13は、閉塞した状態で、飼料および液体を貯蔵部本体と共に貯留、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置16を移動することを許容する。閉塞体14は、所定位置において貯蔵部本体を閉塞可能である。所定位置は、所定途中位置16とは異なる予め定める位置である。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯蔵部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。
【0059】
これによって、閉塞体14を開くことで、飼料を液体と共に放出することができ、魚に対して給餌することができる。また閉塞体14を開いたときに閉塞部材13を閉じれば、貯蔵部本体の内部に貯留される飼料および液体の全てが放出されることを防止することが可能となる。飼料を液体と共に放出することによって、飼料を液体と共に移動させ、放出された直後に飼料が停止することを防止することができる。また、飼料が放出された直後に浮上することを防止することができる。これによって、液中で停留または浮上する飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる。したがって、汎用性の高い自動魚給餌装置10を実現することができる。
【0060】
また第1実施形態によれば、閉塞体14の、貯蔵部本体に対する閉塞が解除されることによって、閉塞部材13は、貯蔵部本体を閉塞する。これによって、閉塞体14の閉塞を解除して給餌すると、貯蔵部本体の内部に貯留される飼料及び液体の全てが放出されることを自動的に防止することができる。これによって、閉塞部材13と閉塞体14との間に位置する飼料および液体の量を規定することができる。したがって、予め定める量の飼料を給餌することができる。
【0061】
また第1実施形態によれば、飼料は、生きた魚介類である。飼料を液体と共に貯留し、液体と共に放出するので、飼料としての生きた魚介類を新鮮な状態で給餌することができる。したがって新鮮な魚介類しか食べようとしない魚に対しても、給餌することができる。
【0062】
また第1実施形態によれば、自動魚給餌装置10は、飼育魚検知センサ17と、駆動部18とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサ17は、魚が飼育される養殖槽40内で、環状部15の一方の端部近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部18は、検知信号に応じて閉塞体14を変位させ、閉塞体14による環状部15の閉塞を解除する。
【0063】
これによって、飼育される魚が、予め定める領域内に存するときに、給餌することができる。これによって、飼料が放出された直後に、飼育される魚が飼料を食する可能性を高くすることができる。飼料は、放出された直後に停留または浮上しないので、停留または浮上する飼料を食べようとしない魚に対しても給餌することができる。したがって、飼料が飼育される魚に食されずに無駄になることを防止することができ、食されずに残る飼料が養殖槽40内の液体を汚すことを防止することができる。
【0064】
また環状部15の軸線は、環状部15の他端部から一端部に向けて滑らかに湾曲する。環状部15の軸線は、屈折した形状でなく滑らかに湾曲する。これによって、環状部15に貯留される飼料および液体が、重量に基づく駆動力によって下方に移動するときに、飼料および液体に対して水平方向一方X1に向かう向きに動力を与えることができる。
【0065】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aの断面図である。図7は、本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aを、図6に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。図6は、自動魚給餌装置10Aを、図7に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図に相当する。第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aは、第1実施形態に係る自動魚給餌装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。
【0066】
第1実施形態では、閉塞体14および閉塞部材13は、複数の歯車と、第1カム26と、第2カム27とを含む駆動部18によって駆動する構成としたけれども、第2実施形態では、後述のようにエアシリンダ37を用いて駆動する構成とした。
【0067】
第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aは、貯留部本体12Aと、閉塞体14Aとを含んで構成される。閉塞体14Aは、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12Aと共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。自動魚給餌装置10Aは、閉塞部材13Aをさらに含んで構成される。閉塞部材13Aは、所定途中位置において貯留部本体12Aを閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体14Aが貯留部本体12Aと共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。貯留部本体12Aを移動する飼料および液体の移動の向きに関して、閉塞部材13Aは上流側に、閉塞体14Aは下流側に位置するので、閉塞部材13Aを「上流側部材」と称し、閉塞体14Aを「下流側部材」と称する。
【0068】
貯留部本体12Aは、飼料を液体と共に貯留する貯留槽と、貯留槽から放出される飼料および液体の通路を構成する通路構成体とを含んで構成される。貯留槽には、周壁の下方の一部に、通路構成体に向けて開かれる開口が形成され、大略的に直方体の形状に形成される。貯留槽は、開口が形成される周壁の厚み方向を水平な方向として設置される。以下、開口が形成される周壁の厚み方向を「水平一方向」Xと称し、水平一方向Xの2つの向きのうち、貯留槽の直方体の中心から、開口が形成される周壁に向かう向きを「水平方向一方」X1と称し、これとは逆の向きを「水平方向他方」X2と称する。
【0069】
貯留槽は、4つの周壁と底部を含み、上方に向けて開放している。4つの周壁のうち、水平方向他方X2の周壁の上方端部から水平方向一方X1の周壁の下方に向けて、底部が配置される。底部は、傾斜面を規定する。傾斜面は、水平方向他方X2の周壁の上方端部において貯留槽の内部に臨む内面から、水平方向一方X1の周壁の下部において貯留槽の内部空間を下方から規定する表面まで滑らかに連なる。傾斜面のうち、水平方向他方X2の周壁の上方端部において貯留槽の内部に臨む部分を「傾斜面上方部分」と称し、水平方向一方X1の周壁の下部において貯留槽の内部空間を下方から規定する部分を「傾斜面下方部分」と称する。
【0070】
水平一方向Xに垂直に交差し、かつ水平な方向を「交差方向」Yと称する。傾斜面の各部分における接面は、傾斜面のいずれの位置においても交差方向Yに平行である。傾斜面は、滑らかに湾曲する曲面であって、傾斜面を交差方向Yに見たときの曲線の曲率半径の中心点は、そのいずれの位置においても傾斜面上方部分よりも水平方向一方X1に位置し、傾斜面下方部分よりも上方に位置する。
【0071】
通路構成体は、水平一方向Xに延びる軸線を有して筒状に形成され、鉛直方向Zを厚み方向とする2つの平板状部分と交差方向Yを厚み方向とする2つの平板状部分を含んで構成される。通路構成体の交差方向Yの寸法は、貯留槽の交差方向Yの寸法以下であるものとし、本実施形態において通路構成体の交差方向Yの寸法と貯留槽の交差方向Yの寸法とは、同じであるものとする。通路構成体の水平一方向Xの途中位置には、所定途中位置と所定位置とが設定される。所定途中位置は、所定位置よりも水平方向他方X2に位置する。所定途中位置と所定位置の2箇所において、通路構成体の底板を成す板状部材には、それぞれ間隙が形成される。所定途中位置に形成される間隙には、所定途中位置で通路構成体を閉塞可能な上流側部材が挿入され、所定位置に形成される間隙には、所定位置で通路構成体を閉塞可能な下流側部材が挿入される。
【0072】
上流側部材および下流側部材は、それぞれ水平一方向Xを厚み方向とする平板状の部材として形成され、通路構成体を閉塞した状態から下方に変位することによって、閉塞が解除される。上流側部材の下方には、交差方向Yに離れる2つのエアシリンダ37が配置される。上流側部材の下方の端部は、エアシリンダ37のピストンロッド38と連結金具39を介して接続される。下流側部材の下方にも、交差方向Yに離れる2つのエアシリンダ37が配置され、下流側部材の下方の端部は、エアシリンダ37のピストンロッド38と連結金具39を介して接続される。
【0073】
上流側部材および下流側部材の交差方向Yの寸法は、通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法にほぼ等しく、かつ通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法よりもわずかに小さく設定される。上流側部材および下流側部材が挿入される間隙の交差方向Yの寸法は、通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法とほぼ等しく設定される。
【0074】
上流側部材および下流側部材の鉛直方向Zの寸法は、通路構成体の鉛直方向Zの寸法よりも大きく設定され、上流側部材および下流側部材は、上方に変位して通路構成体を閉塞した状態でなお、通路構成体よりも下方に突出する。上流側部材および下流側部材が挿入される間隙を規定する部分の下方には、たとえばゴム弾性を有する防水部材が配置され、防水部材は上流側部材および下流側部材に常時接触する。上流側部材および下流側部材が閉塞および閉塞の解除のために上下に変位するとき、防水部材は上流側部材および下流側部材に対して摺動する。防水部材は、通路構成体の内部空間に液体が貯留され、上流側部材および下流側部材が上下に変位しても、通路構成体の内部空間の液体が通路構成体よりも下方に浸出することを防止する。
【0075】
通路構成体よりも下方には、駆動部筐体が配置される。駆動部筐体は、貯留槽の底部と、通路構成体の底板を成す板状部材と共に、密閉された空間を形成する。駆動部筐体は、直方体に形成され、水平一方向Xを厚み方向とする平板状の部分と、交差方向Yを厚み方向とする平板状の部分と底板をなす平板状の部分とを含んで構成される。駆動部筐体の水平一方向Xの寸法および位置は、貯留槽の開口よりも鉛直下方Z2の底部の一部分から、所定位置よりも水平方向一方X1において通路構成体の底板を成す板状部材の一部分までの範囲に対応する。駆動部筐体の交差方向Yの寸法および位置は、貯留槽および通路構成体の交差方向Y全体の範囲に対応する。
【0076】
駆動部筐体の内部空間は、4つのエアシリンダ37と、通路構成体の底板を成す板状部材よりも下方に位置する上流側部材および下流側部材の一部分と、防水部材とを内包する。駆動部筐体の一部には、エアシリンダ37に空気圧を供給する管(図示せず)を挿通するための貫通孔が形成され、管が貫通孔に挿通された状態で、貫通孔は気密を保って遮蔽される。駆動部筐体と、貯留槽の底部の一部と、通路構成体の底板の一部とは、密閉された内部空間を形成するので、自動魚給餌装置10Aが養殖槽40に配置され、駆動部筐体の一部または全部が養殖槽40内の液中に配置され、貯留槽および通路構成体の内部空間に飼料および液体が満たされた状態においても、駆動部筐体の内部空間に液体が進入することは防止される。
【0077】
駆動部18Aは、前記4つのエアシリンダ37と、各エアシリンダ37に対し空気圧の供給および遮断を切換え可能な切換部とを含んで構成される。切換部は、制御部35に接続される。制御部35は、飼育魚検知センサ17に接続され、飼育魚検知センサ17からの検知信号に応じて切換部を制御する。制御部35は、切換部に対して、各エアシリンダ37への空気圧の供給および遮断を切換えさせる。
【0078】
飼育魚検知センサ17は、駆動部筐体の下方に、駆動部筐体に固定して設置される。飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Aに近接した予め定める領域を撮像し、撮像した領域での飼育魚11の有無を検知する。予め定める領域は、30cm以上1m以内の範囲で駆動部筐体から離れた領域よく、さらに30cm以上40cm以内の範囲であってもよい。
【0079】
飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に飼育魚11が位置しないとき、制御部35による駆動部18Aの制御によって、下流側部材は通路構成体を閉塞し、上流側部材は、一旦、通路構成体の閉塞が解除された状態に保たれる。次に上流側部材によって通路構成体を閉鎖する。この状態で飼料および液体の放出の準備が完了する。飼育魚11が、飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に進入すると、飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知し、検知信号を出力する。検知信号は、制御部35に入力される。検知信号を受信した制御部35は、駆動部18Aを制御し、駆動部18Aは、下流側部材による通路構成体の閉塞を解除する。これによって、下流側部材と上流側部材との間に貯留された飼料および液体が放出される。
【0080】
飼料および液体の放出が終了した後、下流側部材によって通路構成体を閉塞し、次に上流側による通路構成体の閉塞を解除する。これによって、貯留槽に貯留された飼料および液体は、下流側部材と上流側部材との間に貯留され、飼料および液体の放出の準備が完了する。放出が終了した後、放出の準備が完了するまでの時間に、飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知しても、放出は行われず、放出の準備が完了した時点で飼育魚検知センサ17が検知する領域内に飼育魚11が位置しているならば、放出が行われる。
【0081】
駆動部18Aは、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37と、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37とを含んで構成され、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37と、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37とは別個に稼動することができる。これによって、閉塞部材13Aが閉じてから閉塞体14Aを開くことが可能となり、閉塞体14Aと閉塞部材13Aとの両方が閉塞を完了していない状態を避けることができる。したがって、飼料および液体が、不所望に放出されることを防止することができる。
【0082】
また貯留槽の内部空間に臨む底部の表面は、水平方向他方X2から水平方向一方X1に向かうにつれて下方に向かう傾斜面として形成される。これによって、貯留槽に貯留される飼料および液体が、重量に基づく駆動力によって下方に移動するときに、飼料および液体に対して水平方向一方X1に向かう向きに動力を与えることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの正面図である。図9は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bを、図8に示す切断面線C−Cで切断して見た断面図である。図10は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの平面図である。
【0084】
第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bは、貯留部本体12Bと、閉塞体14Bとを含んで構成される。貯留部本体12Bは、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞体14Bは、予め定める所定位置において貯留部本体12Bを閉塞可能可能である。また閉塞体14Bは、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12Bと共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が所定位置を移動することを許容する。
【0085】
貯留部本体12Bは、開口が形成された周壁と底部とを含み、内部空間は、周壁と底部とによって形成される。周壁のうち開口を規定する部分から、閉塞体14Bの少なくとも一部が離れることによって、貯留部本体12Bの閉塞は、解除される。貯留部本体12Bは、大略的に直方体に形成される。貯留部本体12Bの周壁は4つの平板状の部分から形成され、4つの平板状の部分のうちの1つに、開口が形成される。貯留部本体12Bは、開口を水平方向一方X1に向けて配置される。
【0086】
閉塞体14Bは、飼料および液体の移動する方向に関して貯留部本体12Bの端部に配置され、角変位可能である。閉塞体14Bが配置される貯留部本体12Bの端部は、貯留部本体12Bの内部空間を移動する飼料および液体の移動方向に関して下流側の端部であり、本実施形態では、開口近傍である。閉塞体14Bは、角変位可能であり、角変位の軸線は、貯留部本体12Bの底部近傍に配置される。閉塞体14Bによる貯留部の閉塞と閉塞の解除とは、閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって切換えられる。角変位の軸線は、交差方向Yに延びて設定される。
【0087】
閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも下部に設けられる錘をさらに有する。閉塞部に対する外力が解除された自然状態において、錘は、角変位の軸線よりも下方に位置する。錘を角変位の軸線よりも下方に位置させた状態で、閉塞部は、立設した姿勢をとる。閉塞体14Bに対する外力が解除されたならば、閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも上方の部分によって貯留部本体12Bの閉塞を行う。また閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体12Bに対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。
【0088】
駆動部18Bは、貯留部本体12Bに対する閉塞体14Bの閉塞と、閉塞の解除とを切換可能である。駆動部18Bは、閉塞体14Bの閉塞と閉塞の解除とを切換える凸部を有する。貯留部本体12Bの内部空間に飼料および液体が貯留された状態で、飼料および液体は、閉塞体14Bに対して開口内部から貯留部の外方に向かう向きに、外力を付与する。駆動部18Bの凸部が閉塞体14Bによる閉塞を解除すると、飼料および液体が閉塞体14Bに付与する外力によって、閉塞体14Bは角変位し、飼料および液体が貯留部本体12Bから放出される。飼料および液体の放出が終了し、内部空間から閉塞体14Bに対する飼料および液体による荷重が解除された状態において、閉塞体14Bは自然状態をとる。自然状態の閉塞体14Bは、駆動部18Bの凸部によって閉塞可能である。
【0089】
自動魚給餌装置10Bは、複数の貯留部本体12Bと複数の閉塞体14Bと、飼育魚検知センサ17とを含んで構成される。飼料は生きた魚であるものとする。複数の閉塞体14Bは、貯留部本体12Bの個数に対応して設けられる。飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数を検出し、検出した飼育魚11の個体数に応じた検出信号を出力する。駆動部18Bは、複数の閉塞体14Bの閉塞と解除とを、各閉塞体14Bに個別に切換可能である。また駆動部18Bは、予め定める時間内に検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体14Bのうち、予め定める個数の閉塞体14Bの閉塞を解除する。
【0090】
各貯留部本体12Bは、透明な部材で形成され、貯留部本体12Bに貯留される飼料の魚の個体数を、外方から確認できる。本実施形態において、貯留部本体12Bは交差方向Yに3つ配置される。交差方向Yに並ぶ貯留部本体12Bの個数は、他の実施形態においては、たとえば2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0091】
第3実施形態によれば、閉塞体14Bは、角変位可能であり、角変位の軸線は、貯留部本体12Bの底部近傍に配置される。閉塞体14Bによる貯留部の閉塞と閉塞の解除とは、閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって切換えられる。これによって、貯留部本体12Bの内部空間に位置する飼料および液体が、閉塞体14Bに荷重を付与することによって、閉塞体14Bを貯留部本体12Bに対してさらに開き、飼料および液体の放出を容易にすることができる。したがって、閉塞体14Bの閉塞の解除に飼料および液体の荷重を利用しない場合に比べて、閉塞が解除されるときの閉塞体14Bの姿勢の変化に必要な駆動力を小さくすることができる。また、飼料および液体の放出に係る時間を短くすることができる。
【0092】
また第3実施形態によれば、閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも下部に設けられる錘をさらに有する。閉塞部に対する外力が解除された自然状態において、閉塞部は、錘を角変位の軸線よりも下方に位置させて立設した姿勢をとる。閉塞体14Bに対する外力が解除された状態において、閉塞体14Bは角変位の軸線よりも上方の部分によって貯留部本体12Bの閉塞が行われる。これによって、飼料および液体が放出された後、閉塞体14Bは、錘の重量に基づく駆動力によって、閉塞した状態に近い姿勢をとることができる。
【0093】
また駆動部18Bは、凸部を有し、閉塞体14Bに対して内部空間からの飼料および液体の荷重が解除された状態において、閉塞体14Bは、駆動部18Bの凸部によって閉塞可能である。これによって、駆動部18Bが閉塞体14Bに貯留部本体12Bを閉塞させるために閉塞体14Bに付与する動作を小さくすることができる。
【0094】
また第3実施形態によれば、飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数に応じた検出信号を出力し、駆動部18Bは、検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体14Bのうち、予め定める個数の閉塞体14Bの閉塞を解除する。これによって、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数に応じて放出する飼料の量を変化させることができる。したがって、飼育魚11に与えられる飼料の量が飼育魚11によって異なることを防止することができる。これによって、飼育魚11が等しく成長する可能性を高くすることができる。
【0095】
また各貯留部本体12Bは、透明な部材で形成され、貯留部本体12Bに貯留される飼料の魚の個体数を、外方から確認できる。これによって、仮に飼料である魚が、液中の上方または下方に偏ることがあっても、貯留部本体12Bの外方から、視認によって確認することが容易になる。したがって、各貯留部本体12Bに等しい量の飼料を投入することが可能となる。
【0096】
第1〜第3実施形態において、自動魚給餌装置は、養殖槽40に設置されたけれども、他の実施形態において、たとえば海に設けられる養殖設備に設置されてもよい。また、第1〜第3実施形態において飼育魚11は、マグロの稚魚であるものとしたけれども、本発明において飼育魚の種類については、規定しない。また第1〜第3実施形態において飼料は、生きた鯛の幼魚であるものとしたけれども、他の実施形態において、たとえばイカなどの生きた魚介類であってもよく、さらに他の実施形態において飼料は、密度が液体とほぼ同じ人工飼料であって、液中で攪拌されることによって、液中に広く分散する固形飼料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞体14を駆動する一部の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞部材13を駆動する一部の斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が、養殖槽40に設置された状態を表す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が設置される養殖槽40の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aの断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aを、図6に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの正面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bを、図8に示す切断面線C−Cで切断して見た断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの平面図である。
【図11】従来技術に係る自動魚給餌装置である配合餌料給餌装置1の正面図である。
【符号の説明】
【0098】
10 自動魚給餌装置
11 飼育魚
12 貯留部本体
13 閉塞部材
14 閉塞体
15 環状部
16 所定途中位置
17 飼育魚検知センサ
18 駆動部
35 制御部
40 養殖槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚に飼料を与える自動魚給餌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来技術に係る自動魚給餌装置である配合餌料給餌装置1の正面図である。配合餌料給餌装置1は、餌料ホッパー2と、計量送り出し手段3と、駆動モータ4と、一時貯留ホッパー5とを備える。配合餌料給餌装置1は、餌料ホッパー2に貯留された餌料を所定量計算し、計量送り出し手段3で一時貯留ホッパー5に送出すことによって、飼育される魚の種類および大きさに対応して、予め設定された投入量および投入時間で餌料を給餌する。
【0003】
【特許文献1】特開平08−308427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
魚の種類によっては、液中で停留する飼料を食べない場合があり、また一度液面に浮上した飼料を食べない場合がある。従来技術に係る配合餌料給餌装置1で養殖槽内に飼料を投入しても、飼料が停留または浮上し、飼育する魚が食べない場合があるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、液中で停留する飼料を食べない種類の魚および液面に浮上した飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる、汎用性の高い自動魚給餌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)に従えば、自動魚給餌装置は、貯留部本体と、閉塞体とを含んで構成される。貯留部本体は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞体は、予め定める所定位置において貯留部本体を閉塞可能可能である。また閉塞体は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が所定位置を移動することを許容する。
【0007】
また本発明(2)に従えば、自動魚給餌装置は、飼育魚検知センサと、駆動部とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサは、魚が飼育される養殖槽内で、貯留部本体近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部は、検知信号に応じて閉塞体を変位させ、閉塞体による貯留部本体の閉塞を解除する。
【0008】
また本発明(3)に従えば、自動魚給餌装置は、閉塞部材をさらに含んで構成される。閉塞部材は、予め定める所定途中位置において貯留部本体を閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体が貯留部本体と共に飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置を移動することを許容する。
【0009】
また本発明(4)に従えば、駆動部は、閉塞体と閉塞部材とによる貯留部本体の閉塞および閉塞の解除を切換え可能であり、閉塞体の、貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、閉塞部材は、貯留部本体を閉塞する。
【0010】
また本発明(5)に従えば、飼料は、生きた魚介類である。
また本発明(6)に従えば、飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含む。
【0011】
また本発明(7)に従えば、閉塞体は、飼料および液体の移動する方向に関して貯留部本体の端部に配置され、角変位可能である。閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって、閉塞体は、貯留部本体の閉塞を行う。また閉塞体が角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。
【0012】
また本発明(8)に従えば、貯留部本体は、複数設けられ、閉塞部は、貯留部本体の個数に対応して複数設けられる。飼育魚検知センサは、複数の貯留部本体に近接した飼育魚の個体数を検出し、検出した飼育魚の個体数に応じた検出信号を出力する。駆動部は、複数の閉塞体の閉塞と解除とを、各閉塞体に個別に切換可能である。また駆動部は、予め定める所定時間内に検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体のうち予め定める個数の閉塞体の閉塞を解除する。
【発明の効果】
【0013】
本発明(1)によれば、自動魚給餌装置は、貯留部本体と、閉塞体とを含んで構成される。これによって、閉塞体を開くことで、飼料を液体と共に放出することができ、魚に対して給餌することができる。飼料を液体と共に放出することによって、飼料を液体と共に移動させ、放出された直後に飼料が停止することを防止することができる。また、飼料が放出された直後に浮上することを防止することができる。これによって、液中で停留または浮上する飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる。したがって、汎用性の高い自動魚給餌装置を実現することができる。
【0014】
また本発明(2)によれば、自動魚給餌装置は、飼育魚検知センサと、駆動部とをさらに含んで構成される。これによって、飼育される魚が、予め定める領域内に存するときに、給餌することができる。したがって、飼料が放出された直後に、飼育される魚が飼料を食する可能性を高くすることができる。飼料は、放出された直後に停留または浮上しないので、停留または浮上する飼料を食べようとしない魚に対しても給餌することができる。したがって、飼料が飼育される魚に食されずに無駄になることを防止することができ、食されずに残る飼料が養殖槽内の液体を汚すことを防止することができる。また飼育される魚が予め定める領域内に存するときに自動的に給餌することによって、人力を省力化することができる。また給餌を自動的に行うことによって、飼育される魚にとって餌の不足が生じることを防止することができる。したがって、飼育される魚が共食いする習性を有する魚であっても、共食いを防止することができる。
【0015】
また本発明(3)によれば、自動魚給餌装置は、閉塞部材をさらに含んで構成される。これによって、閉塞体を開いたときに閉塞部材を閉じることで、貯留部本体の内部に貯留される飼料および液体の全てが放出されることを防止することが可能となる。したがって、閉塞部材を閉塞した状態で飼料および液体が貯留される空間に、予め飼料および液体を貯留しておき、閉塞部材を閉じて閉塞体を開くことによって、予め定める量の飼料および液体を放出することが可能となる。
【0016】
また本発明(4)によれば、駆動部は、閉塞体の、貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、閉塞部材は、貯留部本体を閉塞する。これによって、閉塞体の閉塞を解除して給餌すると、貯留部本体の内部に貯留される飼料及び液体の全てが放出されることを自動的に防止することができる。したがって、閉塞部材と閉塞体との間に位置する飼料および液体の量を規定することができる。これによって、予め定める量の飼料を給餌することができる。
【0017】
また本発明(5)によれば、飼料は、生きた魚介類である。自動魚給餌装置は、飼料を液体と共に貯留し、液体と共に放出することができるので、飼料が新鮮に保たれた状態で給餌することができる。したがって生きた魚介類しか食べようとしない魚に対しても、給餌することができる。
【0018】
また本発明(6)によれば、飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含む。飼育される魚は生きて活動するので、周囲の水温に比べて温度が高い。赤外線カメラは温度の差を検出することができるので、飼育される魚を撮像することができる。また赤外線カメラは、可視光によって撮像するカメラに比べて、養殖槽内の液体に濁りがある場合にも、飼育される魚を撮像することができる。したがって、飼育される魚が予め定める領域内に位置することを、確実に検知することができる。
【0019】
また本発明(7)によれば、閉塞体が角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。これによって、貯留部本体の内部空間に位置する飼料および液体が、閉塞体に荷重を付与することによって、閉塞体を貯留部本体に対してさらに開き、飼料および液体の放出を容易にすることができる。したがって、閉塞体の閉塞の解除に飼料および液体の荷重を利用しない場合に比べて、閉塞が解除されるときの閉塞体の姿勢の変化に必要な駆動力を小さくすることができる。また、飼料および液体の放出に係る時間を短くすることができる。
【0020】
また閉塞体は、閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって、貯留部本体の閉塞を行うので、飼料および液体の放出が終了し、閉塞体に付与される飼料および液体の荷重が解除されたときには、閉塞体のうち貯留部本体に閉塞を行う部分は、角変位の軸線よりも上方に位置する。これによって、駆動部が閉塞体に貯留部本体を閉塞させるために閉塞体に付与する動作を小さくすることができる。
【0021】
また本発明(8)によれば、貯留部本体は、複数設けられ、駆動部は、検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体のうち予め定める個数の閉塞体の閉塞を解除する。これによって、貯留部本体に近接した飼育魚の個体数に応じて放出する飼料の量を変化させることができる。したがって、飼育魚に与えられる飼料の量が飼育魚によって異なることを防止することができる。これによって、飼育魚が等しく成長する可能性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞体14を駆動する一部の斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞部材13を駆動する一部の斜視図である。自動魚給餌装置10は、養殖される飼育魚11などの魚に対して自動的に給餌を行う装置である。自動魚給餌装置10は、この装置に飼育魚11が近接することによって、自動的に給餌を行う。飼育魚11は、たとえば、スズキ目、フグ目、キンメダイ目、カサゴ目、トビウオ目、マトウダイ目、ダツ目、ボラ目、コイ目、タラ目、サケ目などの魚およびそれらの稚魚である。第1実施形態において飼育魚11は、スズキ目・サバ科・マグロ属に属する魚の稚魚であるものとする。飼育魚11の大きさ、たとえば体長、体幅、重量などについては規定しないけれども、飼育魚11に対して与える飼料の大きさは、飼育魚11の大きさに応じて設定されることが好ましい。以下、スズキ目・サバ科・マグロ属に属する魚の稚魚を「マグロの稚魚」、あるいは単に「マグロ」と称することがある。
【0024】
自動魚給餌装置10は、貯留部本体12と、閉塞部材13と、閉塞体14とを含んで構成される。貯留部本体12は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞部材13は、所定途中位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定途中位置16は、飼料および液体の移動の方向に関して内部空間の途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材13は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留する。また閉塞部材13は、閉塞が解除された状態で飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置16を移動することを許容する。
【0025】
閉塞体14は、所定位置において貯留部本体12を閉塞可能である。所定位置は、所定途中位置16とは異なる予め定める位置である。具体的には、所定位置は、貯留部本体12の下流側一端部を蓋する位置である。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。貯留部本体12を移動する飼料および液体の移動の向きに関して、閉塞部材13は上流側に、閉塞体14は下流側に位置するので、閉塞部材13を「上流側部材」と称し、閉塞体14を「下流側部材」と称する。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が、養殖槽40に設置された状態を表す斜視図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が設置される養殖槽40の斜視図である。貯留部本体12は、養殖槽40の流路構成体42が保持する液体の流れに臨んで設置される。養殖槽40は、流路構成体42を含み、流路構成体42は、流路を規定する。流路は無端環状に形成され、流路において液体は、予め定める向きに流れる。本実施形態において流路は、円周形状を成し、流路構成体42に保持される液体は、流路が成す円周の周方向一方に向けて流れる。流路構成体42に保持される液体、および貯留部本体12において飼料と共に貯留される液体は、水、または塩分を含む水であり、たとえば淡水、海水、汽水のいずれてあってもよいけれども、養殖槽40内に保持される液体は、飼育魚11を飼育することに適した液体とする。
【0027】
飼料は、生きた魚介類である。本実施形態において飼育魚11は、マグロの稚魚であるので、これに対応して、飼料は鯛の幼魚とする。「鯛」は、スズキ目、スズキ亜目、タイ科の魚を意味する。養殖槽40では、複数のマグロの稚魚が飼育され、複数のマグロに対する飼料として、一度に複数の鯛が与えられる。いずれの鯛の体長、体幅、重量も、飼育される複数のマグロの平均体長、平均体幅、および平均重量よりも小さいものとする。ただし他の実施形態において飼料は、たとえばイカであってもよい。飼料と共に貯留される液体は、飼料となる魚介類を新鮮に維持することに適した液体である。養殖槽40内に保持される液体と、飼料と共に貯留される液体とは、同じ組成の液体であることが好ましい。
【0028】
第1実施形態において貯留部本体12は、環状に形成され、内部空間を周囲から規定する。以下、第1実施形態において貯留部本体12を「環状部」15と称する。環状部15の軸線は、環状部15の一端部の開口36と他端部の開口とを結び、飼料および液体の移動の方向に一致する。環状部15の一端部は、流路構成体42が保持する液中に配置される。環状部15の他端部は、流路の液体の液面よりも上方に配置される。環状部15は、環状部15の他端部付近における環状部15の軸線が鉛直となる姿勢で配置され、環状部15の他端部から一端部に向けて、環状部15の軸線は滑らかに湾曲する。環状部15の軸線は、環状部15の内部空間内に位置する有限長の曲線を意味するものとする。
【0029】
湾曲する環状部15の軸線は、30度以上90度以下の円周角に対応する円弧として形成され、好ましくは45度以上、さらに好ましくは60度以上90度未満、本実施形態においては80度程度の円周角に対応する円弧として形成される。他の実施形態において環状部15の軸線は、楕円の一部を成す形状として形成されてもよい。環状部15の軸線は、屈折した形状でなく滑らかに湾曲していれば、一部分に直線を含んで形成されてもよい。環状部15の軸線の下端において、上端から下端に向かう向きを鉛直成分と水平成分とに分解すれば、鉛直下方Z2に向かう向きをベクトル成分として含む。
【0030】
環状部15は、他端部から一端部に向けて先細状に形成される。環状部15の内部空間を、環状部15の軸線に垂直な仮想平面で切断したときの断面形状は、他端部から一端部までのいずれの位置においても矩形であるものとする。矩形は、正方形を除く長方形と、正方形との両方を含むものとする。環状部15は、平板状の2つの平板状部材と、湾曲する板状の2つの板状湾曲部材とを含んで構成される。2つの平板状部材は、円弧形状の環状部15の軸線を含む仮想一平面に平行に配置される。この仮想一平面は鉛直であり、この仮想一平面に含まれる水平な方向を「水平一方向」Xと称する。
【0031】
各板状湾曲部材の曲率の中心点は、2つの板状湾曲部材いずれの中心点も、環状部15の他端部から同じ側に位置する。水平一方向Xのうち、環状部15の他端部から2つの板状湾曲部材の曲率の中心点に向かう向きを「水平方向一方」X1と称し、これとは逆の向きを「水平方向他方」X2と称する。各板状湾曲部材の曲率の中心点から遠い位置の板状湾曲部材を「外方湾曲部材」と称し、近い位置の板状湾曲部材を「内方湾曲部材」と称する。
【0032】
環状部15の他端部を成す2つの平板状部材の他端部および2つの板状湾曲部材の他端部は、略水平に配置される。「略水平」は「水平」を含む。換言すれば、環状部15の他端部が規定する開口は、鉛直上方Z1に向けて開口する。環状部15の一端部を形成する外方湾曲部材の一端部は、環状部15の一端部を形成する内方湾曲部材の一端部よりも水平方向一方X1に位置する。内方湾曲部材の一端部と外方湾曲部の一端部とは、2つの平板状部材によって接続される。環状部15の一端部に接する平面に垂直な直線は、水平に対して角度を成し、この直線の方向のうち、環状部15の内部空間から環状部15の外部空間に向かう向きを鉛直方向Z成分と水平一方向X成分とに分解すれば、鉛直上方Z1に向かう向きをベクトル成分として含む。以下、環状部15の一端部に接する平面に垂直な直線を「垂直直線」と称する。
【0033】
上流側部材および下流側部材は、平板状の部材として形成され、上流側部材は、環状部15の内部空間内に設置される。上流側部材が所定途中位置16において環状部15の内部空間を仕切り、環状部15を閉塞した状態において、上流側部材は、鉛直な姿勢をとる。本実施形態において、所定途中位置16は、環状部15の軸線の上端から下端までの中央付近に設定される。上流側部材は、所定途中位置16で鉛直な姿勢をとるときの上端部において内方湾曲部に蝶番によって接続され、蝶番を中心として角変位自在である。上流側部材は、外力が付与されない自然状態において、重量に基づく原動力によって鉛直な姿勢をとる。以下、環状部15の軸線の上端に近い側を「上端側」と称し、下端に近い側を「下端側」と称することがある。
【0034】
下流側部材は、環状部15の一端部に設置され、所定位置は環状部15の一端部近傍に設定される。下流側部材が所定位置に位置して環状部15を閉塞した状態において、下流側部材は、環状部15の一端部に接する。下流側部材は、内方湾曲部の一端部に対して蝶番で接続され、蝶番を中心として角変位自在である。下流側部材は、外力が付与されない自然状態において、重量に基づく原動力によって環状部15の一端部に対して接触し、環状部15の一端部の開口36を閉塞する。
【0035】
また自動魚給餌装置10が養殖槽40内に配置され、閉塞体14および閉塞部材13に液体からの浮力が作用しても、閉塞体14および閉塞部材13は自然状態に保たれ、養殖槽40内を流れる液体が閉塞体14および閉塞部材13に力を付与したときにも、閉塞体14および閉塞部材13は、自然状態に維持される。
【0036】
本実施形態において下流側部材は大略的に矩形に形成され、下流側部材の厚み方向に垂直な表面の面積は、環状部15の一端部における開口36の開口面積よりも大きく設定される。下流側部材が第2所定部において環状部15を閉塞した状態において、下流側部材の一部は、垂直直線に関して半径方向外方に突出する突出部として形成される。突出部は、下流側部材のうち、環状部15側壁の平板状部材に接触する部分に設けられる。
【0037】
自動魚給餌装置10は、飼育魚検知センサ17と、駆動部18とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサ17は、魚が飼育される養殖槽40内で、環状部15の一方の端部近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部18は、検知信号に応じて下流側部材を変位させ、下流側部材による環状部15の閉塞を解除する。飼育魚検知センサ17は、赤外線カメラ34を含む。
【0038】
赤外線カメラ34は、撮像範囲に位置する物体から発せられる赤外線を受光することによって撮像を行う。赤外線カメラ34は、防水構造となっており、液中での撮像が可能である。魚を飼育することに適した温度範囲の物体からは、物体の温度に応じた量の赤外線が発せられる。赤外線カメラ34は、赤外線を受光して撮像を行うことによって、物体の温度の差を検出することができる。飼育される魚は生きて活動するので、周囲の水温に比べて温度が高い。したがって、撮像範囲に飼育魚11が位置すれば、飼育魚11を撮像することができる。たとえば赤外線カメラ34は、赤外線を可視光に変換する波長変換フィルタと、電荷結合素子(Charge Coupled Device, 略称「CCD」)とを含んで構成されてもよい。
【0039】
飼育魚検知センサ17は、画像処理部をさらに含んで構成され、画像処理部は、赤外線カメラ34の画像を処理することによって、赤外線カメラ34の撮像範囲内において飼育魚11の有無を検知する。前記予め定める領域とは、本実施形態において赤外線カメラ34の撮像範囲である。画像処理部は、たとえば微分処理を行うことによって、輪郭抽出を行い、撮像範囲における飼育魚11の有無を判定する。画像処理部は、赤外線カメラ34によって撮像された画像の赤外線の強弱を、画像データの横方向の位置の変化および縦方向の位置の変化によって微分することによって、輪郭抽出を行う。抽出した輪郭の大きさの、画像全体の大きさに対する比によって、飼育魚11が撮像範囲内において赤外線カメラ34に接近したことを検知することができる。飼育魚検知センサ17から出力される検知信号は、制御部35に入力される。制御部35は、飼育魚検知センサ17からの検出信号に応じて、駆動部18を制御し、駆動させる。
【0040】
駆動部18は、第1主動歯車19、第2主動歯車21、第1従動歯車22、第2従動歯車24、第1カム26、第2カム27および駆動源28を含む。第1主動歯車19、第2主動歯車21および駆動源28は、環状部15の他端部近傍に設置される。第1主動歯車19および第2主動歯車21は、角変位軸を共有して設置され、角変位軸は、駆動源28によって角変位される。駆動源28は、たとえばモータによって実現され、本実施形態においてはステップモータによって実現される。角変位軸は、鉛直方向Zおよび水平一方向Xに垂直で、かつ水平な方向に延びて設置される。
【0041】
第1従動歯車22および第1カム26は、上流側部材近傍に設置される。第1従動歯車22と第1カム26とは、互いに固定され、同軸まわりに角変位可能に設置される。第1従動歯車22は、第1チェーン32によって第1主動歯車19に機械的に接続される。第1チェーン32は、第1主動歯車19の角変位を第1従動歯車22に伝達する。第1従動歯車22および第1カム26は、上流側部材よりも環状部15の軸線に関して下端側に配置される。第1従動歯車22および第1カム26は、角変位によって第1姿勢と第2姿勢とをとる。
【0042】
第2姿勢において第1カム26は、上流側部材に対して外力を付与することなく、上流側部材は自然状態となる。第1カム26が第2姿勢から第1姿勢に角変位することによって、第1カム26の一部は、上流側部材を下端側から上端側に押して変位させる。これによって、上流側部材による環状部15の閉塞は、解除される。
【0043】
第2従動歯車24および第2カム27は、下流側部材近傍に設置される。第2従動歯車24と第2カム27とは、互いに固定され、同軸まわりに角変位可能に設置される。第2従動歯車24は、第2チェーン33によって第2主動歯車21に機械的に接続される。第2チェーン33は、第2主動歯車21の角変位を第2従動歯車24に伝達する。第1従動歯車22および第2カム27は、下流側部材の突出部近傍に設置され、とくに第2カム27は、突出部の下方に設置される。第2従動歯車24および第2カム27は、角変位によって第1姿勢と第2姿勢とをとる。
【0044】
第1姿勢において第2カム27は、下流側部材に対して外力を付与することなく、下流側部材は自然状態となる。第2カム27が第1姿勢から第2姿勢に角変位することによって、第2カム27の一部は、下流側部材を下方から上方に押して変位させる。これによって、下流側部材による環状部15の閉塞は、解除される。
【0045】
下流側部材の、環状部15に対する閉塞が解除されることによって、上流側部材は、環状部15を閉塞する。本実施形態ではさらに、上流側部材の環状部15に対する閉塞が解除されることによって、下流側部材は、環状部15を閉塞する。第1主動歯車19、第2主動歯車21、第1従動歯車22、第2従動歯車24、第1カム26、第2カム27および駆動源28の動きは連動しており、第1カム26および第2カム27のいずれか一方が第1姿勢をとるとき、他方も第1姿勢をとる。第1カム26および第2カム27のいずれか一方が第2姿勢をとるとき、他方も第2姿勢をとる。
【0046】
これによって、上流側部材と下流側部材とは、環状部15に対して交互に閉塞を行い、また交互に閉塞の解除を行う。第1カム26および第2カム27が第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢をとる時間は、1秒以内であることが好ましい。中間の姿勢をとる時間が短ければ短いほど、上流側部材と下流側部材との両方が半ば開いた状態で、環状部15に貯留される飼料および液体の下端側への放出量を少なくすることができる。
【0047】
飼料となる鯛の複数の幼魚は、液中において互いが接触することによって傷つかない程度に高い密度で液中に散在させる。液体と共に密集して水槽に入れられた鯛の幼魚は、水槽の中で低い位置に、より多く密集する習性がある。環状部15の内部空間の中で、上流側部材は、上流側部材よりも上端側の内部空間に対して下方に位置し、上流側部材より上端側の鯛の幼魚は上流側部材付近に密集する。環状部15の内部空間の中で、下流側部材は、下流側部材よりも上端側の内部空間に対して下方に位置し、下流側部材より上端側の鯛の幼魚は下流側部材付近に密集する。この習性によって、上流側部材または下流側部材の閉塞を解除したときに、鯛の幼魚は液体と共に放出される。
【0048】
飼料および液体は、環状部15の他端部、すなわち環状部15の上方から環状部15に投入される。環状部15への飼料および液体の投入は、手動で行うことも可能であり、また、環状部15よりも上方に、飼料と液体とを保持する飼料保持容器をさらに設け、環状部15の所定途中位置16よりも上端側に水位センサを設け、水位センサが液面の低下を感知することによって、飼料保持容器から自動的に飼料と液体とを環状部15に供給する構成とすることも可能である。
【0049】
上流側部材が所定途中位置16で環状部15を閉塞している場合には、所定途中位置16よりも上端側に飼料と液体とが貯留される。上流側部材の閉塞が解除されている場合には、下流側部材が所定位置で環状部15を閉塞しているので、飼料および液体は、所定位置よりも上端側に貯留される。環状部15の内部空間のうち、所定途中位置16よりも上端側の容積は、所定位置よりも上流側、かつ所定途中位置16よりも下流側の容積よりも大きいものとする。
【0050】
上流側部材が閉塞した状態から、下流側部材が閉塞して上流側部材の閉塞が解除された状態となったときに、所定途中位置16よりも上端側に貯留された飼料および液体は、所定位置にまで流下し、所定位置よりも上端側の内部空間に移動する。このとき、所定途中位置16よりも上端側で貯留していた飼料および液体の一部によって、所定位置よりも上端側かつ所定途中位置16よりも下端側の内部空間は満たされる。これによって、再び上流側部材が閉塞し、下流側部材の閉塞が解除されたときに、環状部15から放出される飼料および液体の量を一定とすることができる。
【0051】
養殖槽40内のマグロは、マグロが互いに傷つけたりマグロがストレスによって弱ったりすることのない範囲で、高い密度で散在させることが好ましい。マグロは回遊魚であるので、常に一定の速さ以上の速さで泳ぎ続ける性質を有する。またマグロは、移動する群れを追いかける性質があり、群れでなくても、泳いで移動している魚を食べる。逆に停留している魚を食べようとしない習性があり、また一旦液面に浮上した飼料は、生きた魚介類であっても食べようとしない。マグロは、自分よりも小さな魚を食べる。したがって、養殖槽40内の複数の飼育魚11間で成長に差が生じると、先に大きく育ったマグロは、育ちが遅く小さなマグロを共食いしてしまう習性がある。
【0052】
鯛は、広い範囲を速い速度で泳ぎ回る性質を持たず、停留する性質を有する。したがって、鯛の幼魚を飼料として、マグロを飼育する養殖槽40内に放出しても、鯛の幼魚が停留してしまうと、マグロが飼料を食べない。
【0053】
飼育魚検知センサ17は、環状部15に近接した予め定める領域を撮像し、撮像した領域でのマグロの有無を検知する。予め定める領域は、環状部15の一端部の開口36、具体的には外方湾曲部材の一端部から30センチメートル(centimeters, 略号「cm」)以上1メートル(meters, 略号「m」)以内の範囲でよく、さらに30cm以上40cm以内の範囲であってもよい。
【0054】
飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に飼育魚11が位置しないとき、制御部35による駆動部18の制御によって、第1カム26および第2カム27は、第1姿勢に保たれる。マグロが、飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に進入すると、赤外線カメラ34がマグロの画像を撮像し、撮像された画像が画像処理されることによって、マグロの自動魚給餌装置10への接近が検知される。これに伴って飼育魚検知センサ17が検知信号を出力し、検知信号は、制御部35に入力される。制御部35は、マグロが接近したという情報を有する検知信号に応じて駆動部18を稼動する。駆動部18は、第1主動歯車19および第2主動歯車21に接続される角変位軸を角変位させ、第1カム26および第2カム27を第2姿勢に切換える。
【0055】
これによって下流側部材による環状部15の閉塞が解除され、上流側部材が環状部15を閉塞する。上流側部材と下流側部材との間の空間に位置していた飼料および液体は、環状部15の下端側の一端部から放出される。飼料である鯛の幼魚は、液体と共に放出されるので、放出直後には養殖槽40内で停留しない。マグロが自動魚給餌装置10に接近したことで鯛の幼魚が放流され、放流された幼魚は放出された液体と共に移動するので、マグロが鯛の幼魚を食べる確率を高くすることができる。
【0056】
飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知する範囲を、前記予め定める範囲よりも近接した範囲に設定すると、飼育魚11と、放出された飼料との区別が難しくなり、前記予め定める範囲よりも遠い範囲に設定すれば、飼料と液体とを放出しても、飼育魚11が放出された飼料を食べない確率が高くなる。
【0057】
制御部35は、駆動部18に対してさらに時間的な制御を行うことも可能である。たとえば他の実施形態において、給餌を予め定める時刻から、予め定める時間の長さだけ行い、このような給餌を定期的に繰返し行ってもよい。このような給餌を行う場合には、給餌が行われるそれぞれの時間の中で、環状部15にマグロが近接しない状態では、第1カム26および第2カム27は、第1姿勢をとり、環状部15にマグロが接近したときに第2姿勢に切換えられる。
【0058】
第1実施形態によれば、自動魚給餌装置10は、貯蔵部本体と、閉塞部材13と、閉塞体14とを含んで構成される。貯蔵部本体は、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞部材13は、所定途中位置16において貯蔵部本体を閉塞可能である。所定途中位置16は、飼料および液体の移動の方向に関して内部空間の途中位置の、予め定める位置である。閉塞部材13は、閉塞した状態で、飼料および液体を貯蔵部本体と共に貯留、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定途中位置16を移動することを許容する。閉塞体14は、所定位置において貯蔵部本体を閉塞可能である。所定位置は、所定途中位置16とは異なる予め定める位置である。閉塞体14は、閉塞した状態で飼料および液体を貯蔵部本体と共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。
【0059】
これによって、閉塞体14を開くことで、飼料を液体と共に放出することができ、魚に対して給餌することができる。また閉塞体14を開いたときに閉塞部材13を閉じれば、貯蔵部本体の内部に貯留される飼料および液体の全てが放出されることを防止することが可能となる。飼料を液体と共に放出することによって、飼料を液体と共に移動させ、放出された直後に飼料が停止することを防止することができる。また、飼料が放出された直後に浮上することを防止することができる。これによって、液中で停留または浮上する飼料を食べない種類の魚にも飼料を与えることができる。したがって、汎用性の高い自動魚給餌装置10を実現することができる。
【0060】
また第1実施形態によれば、閉塞体14の、貯蔵部本体に対する閉塞が解除されることによって、閉塞部材13は、貯蔵部本体を閉塞する。これによって、閉塞体14の閉塞を解除して給餌すると、貯蔵部本体の内部に貯留される飼料及び液体の全てが放出されることを自動的に防止することができる。これによって、閉塞部材13と閉塞体14との間に位置する飼料および液体の量を規定することができる。したがって、予め定める量の飼料を給餌することができる。
【0061】
また第1実施形態によれば、飼料は、生きた魚介類である。飼料を液体と共に貯留し、液体と共に放出するので、飼料としての生きた魚介類を新鮮な状態で給餌することができる。したがって新鮮な魚介類しか食べようとしない魚に対しても、給餌することができる。
【0062】
また第1実施形態によれば、自動魚給餌装置10は、飼育魚検知センサ17と、駆動部18とをさらに含んで構成される。飼育魚検知センサ17は、魚が飼育される養殖槽40内で、環状部15の一方の端部近傍の予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する。駆動部18は、検知信号に応じて閉塞体14を変位させ、閉塞体14による環状部15の閉塞を解除する。
【0063】
これによって、飼育される魚が、予め定める領域内に存するときに、給餌することができる。これによって、飼料が放出された直後に、飼育される魚が飼料を食する可能性を高くすることができる。飼料は、放出された直後に停留または浮上しないので、停留または浮上する飼料を食べようとしない魚に対しても給餌することができる。したがって、飼料が飼育される魚に食されずに無駄になることを防止することができ、食されずに残る飼料が養殖槽40内の液体を汚すことを防止することができる。
【0064】
また環状部15の軸線は、環状部15の他端部から一端部に向けて滑らかに湾曲する。環状部15の軸線は、屈折した形状でなく滑らかに湾曲する。これによって、環状部15に貯留される飼料および液体が、重量に基づく駆動力によって下方に移動するときに、飼料および液体に対して水平方向一方X1に向かう向きに動力を与えることができる。
【0065】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aの断面図である。図7は、本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aを、図6に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。図6は、自動魚給餌装置10Aを、図7に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図に相当する。第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aは、第1実施形態に係る自動魚給餌装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。
【0066】
第1実施形態では、閉塞体14および閉塞部材13は、複数の歯車と、第1カム26と、第2カム27とを含む駆動部18によって駆動する構成としたけれども、第2実施形態では、後述のようにエアシリンダ37を用いて駆動する構成とした。
【0067】
第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aは、貯留部本体12Aと、閉塞体14Aとを含んで構成される。閉塞体14Aは、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12Aと共に貯留し、閉塞が解除された状態で、飼料および液体が移動の方向に沿って所定位置を移動することを許容する。自動魚給餌装置10Aは、閉塞部材13Aをさらに含んで構成される。閉塞部材13Aは、所定途中位置において貯留部本体12Aを閉塞可能である。所定途中位置は、閉塞体14Aが貯留部本体12Aと共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、飼料および液体の移動方向に関する途中位置の、予め定める位置である。貯留部本体12Aを移動する飼料および液体の移動の向きに関して、閉塞部材13Aは上流側に、閉塞体14Aは下流側に位置するので、閉塞部材13Aを「上流側部材」と称し、閉塞体14Aを「下流側部材」と称する。
【0068】
貯留部本体12Aは、飼料を液体と共に貯留する貯留槽と、貯留槽から放出される飼料および液体の通路を構成する通路構成体とを含んで構成される。貯留槽には、周壁の下方の一部に、通路構成体に向けて開かれる開口が形成され、大略的に直方体の形状に形成される。貯留槽は、開口が形成される周壁の厚み方向を水平な方向として設置される。以下、開口が形成される周壁の厚み方向を「水平一方向」Xと称し、水平一方向Xの2つの向きのうち、貯留槽の直方体の中心から、開口が形成される周壁に向かう向きを「水平方向一方」X1と称し、これとは逆の向きを「水平方向他方」X2と称する。
【0069】
貯留槽は、4つの周壁と底部を含み、上方に向けて開放している。4つの周壁のうち、水平方向他方X2の周壁の上方端部から水平方向一方X1の周壁の下方に向けて、底部が配置される。底部は、傾斜面を規定する。傾斜面は、水平方向他方X2の周壁の上方端部において貯留槽の内部に臨む内面から、水平方向一方X1の周壁の下部において貯留槽の内部空間を下方から規定する表面まで滑らかに連なる。傾斜面のうち、水平方向他方X2の周壁の上方端部において貯留槽の内部に臨む部分を「傾斜面上方部分」と称し、水平方向一方X1の周壁の下部において貯留槽の内部空間を下方から規定する部分を「傾斜面下方部分」と称する。
【0070】
水平一方向Xに垂直に交差し、かつ水平な方向を「交差方向」Yと称する。傾斜面の各部分における接面は、傾斜面のいずれの位置においても交差方向Yに平行である。傾斜面は、滑らかに湾曲する曲面であって、傾斜面を交差方向Yに見たときの曲線の曲率半径の中心点は、そのいずれの位置においても傾斜面上方部分よりも水平方向一方X1に位置し、傾斜面下方部分よりも上方に位置する。
【0071】
通路構成体は、水平一方向Xに延びる軸線を有して筒状に形成され、鉛直方向Zを厚み方向とする2つの平板状部分と交差方向Yを厚み方向とする2つの平板状部分を含んで構成される。通路構成体の交差方向Yの寸法は、貯留槽の交差方向Yの寸法以下であるものとし、本実施形態において通路構成体の交差方向Yの寸法と貯留槽の交差方向Yの寸法とは、同じであるものとする。通路構成体の水平一方向Xの途中位置には、所定途中位置と所定位置とが設定される。所定途中位置は、所定位置よりも水平方向他方X2に位置する。所定途中位置と所定位置の2箇所において、通路構成体の底板を成す板状部材には、それぞれ間隙が形成される。所定途中位置に形成される間隙には、所定途中位置で通路構成体を閉塞可能な上流側部材が挿入され、所定位置に形成される間隙には、所定位置で通路構成体を閉塞可能な下流側部材が挿入される。
【0072】
上流側部材および下流側部材は、それぞれ水平一方向Xを厚み方向とする平板状の部材として形成され、通路構成体を閉塞した状態から下方に変位することによって、閉塞が解除される。上流側部材の下方には、交差方向Yに離れる2つのエアシリンダ37が配置される。上流側部材の下方の端部は、エアシリンダ37のピストンロッド38と連結金具39を介して接続される。下流側部材の下方にも、交差方向Yに離れる2つのエアシリンダ37が配置され、下流側部材の下方の端部は、エアシリンダ37のピストンロッド38と連結金具39を介して接続される。
【0073】
上流側部材および下流側部材の交差方向Yの寸法は、通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法にほぼ等しく、かつ通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法よりもわずかに小さく設定される。上流側部材および下流側部材が挿入される間隙の交差方向Yの寸法は、通路構成体の内部空間の交差方向Yの寸法とほぼ等しく設定される。
【0074】
上流側部材および下流側部材の鉛直方向Zの寸法は、通路構成体の鉛直方向Zの寸法よりも大きく設定され、上流側部材および下流側部材は、上方に変位して通路構成体を閉塞した状態でなお、通路構成体よりも下方に突出する。上流側部材および下流側部材が挿入される間隙を規定する部分の下方には、たとえばゴム弾性を有する防水部材が配置され、防水部材は上流側部材および下流側部材に常時接触する。上流側部材および下流側部材が閉塞および閉塞の解除のために上下に変位するとき、防水部材は上流側部材および下流側部材に対して摺動する。防水部材は、通路構成体の内部空間に液体が貯留され、上流側部材および下流側部材が上下に変位しても、通路構成体の内部空間の液体が通路構成体よりも下方に浸出することを防止する。
【0075】
通路構成体よりも下方には、駆動部筐体が配置される。駆動部筐体は、貯留槽の底部と、通路構成体の底板を成す板状部材と共に、密閉された空間を形成する。駆動部筐体は、直方体に形成され、水平一方向Xを厚み方向とする平板状の部分と、交差方向Yを厚み方向とする平板状の部分と底板をなす平板状の部分とを含んで構成される。駆動部筐体の水平一方向Xの寸法および位置は、貯留槽の開口よりも鉛直下方Z2の底部の一部分から、所定位置よりも水平方向一方X1において通路構成体の底板を成す板状部材の一部分までの範囲に対応する。駆動部筐体の交差方向Yの寸法および位置は、貯留槽および通路構成体の交差方向Y全体の範囲に対応する。
【0076】
駆動部筐体の内部空間は、4つのエアシリンダ37と、通路構成体の底板を成す板状部材よりも下方に位置する上流側部材および下流側部材の一部分と、防水部材とを内包する。駆動部筐体の一部には、エアシリンダ37に空気圧を供給する管(図示せず)を挿通するための貫通孔が形成され、管が貫通孔に挿通された状態で、貫通孔は気密を保って遮蔽される。駆動部筐体と、貯留槽の底部の一部と、通路構成体の底板の一部とは、密閉された内部空間を形成するので、自動魚給餌装置10Aが養殖槽40に配置され、駆動部筐体の一部または全部が養殖槽40内の液中に配置され、貯留槽および通路構成体の内部空間に飼料および液体が満たされた状態においても、駆動部筐体の内部空間に液体が進入することは防止される。
【0077】
駆動部18Aは、前記4つのエアシリンダ37と、各エアシリンダ37に対し空気圧の供給および遮断を切換え可能な切換部とを含んで構成される。切換部は、制御部35に接続される。制御部35は、飼育魚検知センサ17に接続され、飼育魚検知センサ17からの検知信号に応じて切換部を制御する。制御部35は、切換部に対して、各エアシリンダ37への空気圧の供給および遮断を切換えさせる。
【0078】
飼育魚検知センサ17は、駆動部筐体の下方に、駆動部筐体に固定して設置される。飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Aに近接した予め定める領域を撮像し、撮像した領域での飼育魚11の有無を検知する。予め定める領域は、30cm以上1m以内の範囲で駆動部筐体から離れた領域よく、さらに30cm以上40cm以内の範囲であってもよい。
【0079】
飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に飼育魚11が位置しないとき、制御部35による駆動部18Aの制御によって、下流側部材は通路構成体を閉塞し、上流側部材は、一旦、通路構成体の閉塞が解除された状態に保たれる。次に上流側部材によって通路構成体を閉鎖する。この状態で飼料および液体の放出の準備が完了する。飼育魚11が、飼育魚検知センサ17の検知する範囲内に進入すると、飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知し、検知信号を出力する。検知信号は、制御部35に入力される。検知信号を受信した制御部35は、駆動部18Aを制御し、駆動部18Aは、下流側部材による通路構成体の閉塞を解除する。これによって、下流側部材と上流側部材との間に貯留された飼料および液体が放出される。
【0080】
飼料および液体の放出が終了した後、下流側部材によって通路構成体を閉塞し、次に上流側による通路構成体の閉塞を解除する。これによって、貯留槽に貯留された飼料および液体は、下流側部材と上流側部材との間に貯留され、飼料および液体の放出の準備が完了する。放出が終了した後、放出の準備が完了するまでの時間に、飼育魚検知センサ17が飼育魚11を検知しても、放出は行われず、放出の準備が完了した時点で飼育魚検知センサ17が検知する領域内に飼育魚11が位置しているならば、放出が行われる。
【0081】
駆動部18Aは、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37と、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37とを含んで構成され、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37と、閉塞体14Aを駆動するエアシリンダ37とは別個に稼動することができる。これによって、閉塞部材13Aが閉じてから閉塞体14Aを開くことが可能となり、閉塞体14Aと閉塞部材13Aとの両方が閉塞を完了していない状態を避けることができる。したがって、飼料および液体が、不所望に放出されることを防止することができる。
【0082】
また貯留槽の内部空間に臨む底部の表面は、水平方向他方X2から水平方向一方X1に向かうにつれて下方に向かう傾斜面として形成される。これによって、貯留槽に貯留される飼料および液体が、重量に基づく駆動力によって下方に移動するときに、飼料および液体に対して水平方向一方X1に向かう向きに動力を与えることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの正面図である。図9は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bを、図8に示す切断面線C−Cで切断して見た断面図である。図10は、本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの平面図である。
【0084】
第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bは、貯留部本体12Bと、閉塞体14Bとを含んで構成される。貯留部本体12Bは、内部空間を周囲から規定する。内部空間は、飼料が液体と共に貯留され、または移動する空間である。閉塞体14Bは、予め定める所定位置において貯留部本体12Bを閉塞可能可能である。また閉塞体14Bは、閉塞した状態で飼料および液体を貯留部本体12Bと共に貯留し、閉塞が解除された状態で飼料および液体が所定位置を移動することを許容する。
【0085】
貯留部本体12Bは、開口が形成された周壁と底部とを含み、内部空間は、周壁と底部とによって形成される。周壁のうち開口を規定する部分から、閉塞体14Bの少なくとも一部が離れることによって、貯留部本体12Bの閉塞は、解除される。貯留部本体12Bは、大略的に直方体に形成される。貯留部本体12Bの周壁は4つの平板状の部分から形成され、4つの平板状の部分のうちの1つに、開口が形成される。貯留部本体12Bは、開口を水平方向一方X1に向けて配置される。
【0086】
閉塞体14Bは、飼料および液体の移動する方向に関して貯留部本体12Bの端部に配置され、角変位可能である。閉塞体14Bが配置される貯留部本体12Bの端部は、貯留部本体12Bの内部空間を移動する飼料および液体の移動方向に関して下流側の端部であり、本実施形態では、開口近傍である。閉塞体14Bは、角変位可能であり、角変位の軸線は、貯留部本体12Bの底部近傍に配置される。閉塞体14Bによる貯留部の閉塞と閉塞の解除とは、閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって切換えられる。角変位の軸線は、交差方向Yに延びて設定される。
【0087】
閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも下部に設けられる錘をさらに有する。閉塞部に対する外力が解除された自然状態において、錘は、角変位の軸線よりも下方に位置する。錘を角変位の軸線よりも下方に位置させた状態で、閉塞部は、立設した姿勢をとる。閉塞体14Bに対する外力が解除されたならば、閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも上方の部分によって貯留部本体12Bの閉塞を行う。また閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって、貯留部本体12Bに対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられる。
【0088】
駆動部18Bは、貯留部本体12Bに対する閉塞体14Bの閉塞と、閉塞の解除とを切換可能である。駆動部18Bは、閉塞体14Bの閉塞と閉塞の解除とを切換える凸部を有する。貯留部本体12Bの内部空間に飼料および液体が貯留された状態で、飼料および液体は、閉塞体14Bに対して開口内部から貯留部の外方に向かう向きに、外力を付与する。駆動部18Bの凸部が閉塞体14Bによる閉塞を解除すると、飼料および液体が閉塞体14Bに付与する外力によって、閉塞体14Bは角変位し、飼料および液体が貯留部本体12Bから放出される。飼料および液体の放出が終了し、内部空間から閉塞体14Bに対する飼料および液体による荷重が解除された状態において、閉塞体14Bは自然状態をとる。自然状態の閉塞体14Bは、駆動部18Bの凸部によって閉塞可能である。
【0089】
自動魚給餌装置10Bは、複数の貯留部本体12Bと複数の閉塞体14Bと、飼育魚検知センサ17とを含んで構成される。飼料は生きた魚であるものとする。複数の閉塞体14Bは、貯留部本体12Bの個数に対応して設けられる。飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数を検出し、検出した飼育魚11の個体数に応じた検出信号を出力する。駆動部18Bは、複数の閉塞体14Bの閉塞と解除とを、各閉塞体14Bに個別に切換可能である。また駆動部18Bは、予め定める時間内に検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体14Bのうち、予め定める個数の閉塞体14Bの閉塞を解除する。
【0090】
各貯留部本体12Bは、透明な部材で形成され、貯留部本体12Bに貯留される飼料の魚の個体数を、外方から確認できる。本実施形態において、貯留部本体12Bは交差方向Yに3つ配置される。交差方向Yに並ぶ貯留部本体12Bの個数は、他の実施形態においては、たとえば2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0091】
第3実施形態によれば、閉塞体14Bは、角変位可能であり、角変位の軸線は、貯留部本体12Bの底部近傍に配置される。閉塞体14Bによる貯留部の閉塞と閉塞の解除とは、閉塞体14Bが角変位の軸線まわりに角変位することによって切換えられる。これによって、貯留部本体12Bの内部空間に位置する飼料および液体が、閉塞体14Bに荷重を付与することによって、閉塞体14Bを貯留部本体12Bに対してさらに開き、飼料および液体の放出を容易にすることができる。したがって、閉塞体14Bの閉塞の解除に飼料および液体の荷重を利用しない場合に比べて、閉塞が解除されるときの閉塞体14Bの姿勢の変化に必要な駆動力を小さくすることができる。また、飼料および液体の放出に係る時間を短くすることができる。
【0092】
また第3実施形態によれば、閉塞体14Bは、角変位の軸線よりも下部に設けられる錘をさらに有する。閉塞部に対する外力が解除された自然状態において、閉塞部は、錘を角変位の軸線よりも下方に位置させて立設した姿勢をとる。閉塞体14Bに対する外力が解除された状態において、閉塞体14Bは角変位の軸線よりも上方の部分によって貯留部本体12Bの閉塞が行われる。これによって、飼料および液体が放出された後、閉塞体14Bは、錘の重量に基づく駆動力によって、閉塞した状態に近い姿勢をとることができる。
【0093】
また駆動部18Bは、凸部を有し、閉塞体14Bに対して内部空間からの飼料および液体の荷重が解除された状態において、閉塞体14Bは、駆動部18Bの凸部によって閉塞可能である。これによって、駆動部18Bが閉塞体14Bに貯留部本体12Bを閉塞させるために閉塞体14Bに付与する動作を小さくすることができる。
【0094】
また第3実施形態によれば、飼育魚検知センサ17は、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数に応じた検出信号を出力し、駆動部18Bは、検出信号が入力されることによって、複数の閉塞体14Bのうち、予め定める個数の閉塞体14Bの閉塞を解除する。これによって、貯留部本体12Bに近接した飼育魚11の個体数に応じて放出する飼料の量を変化させることができる。したがって、飼育魚11に与えられる飼料の量が飼育魚11によって異なることを防止することができる。これによって、飼育魚11が等しく成長する可能性を高くすることができる。
【0095】
また各貯留部本体12Bは、透明な部材で形成され、貯留部本体12Bに貯留される飼料の魚の個体数を、外方から確認できる。これによって、仮に飼料である魚が、液中の上方または下方に偏ることがあっても、貯留部本体12Bの外方から、視認によって確認することが容易になる。したがって、各貯留部本体12Bに等しい量の飼料を投入することが可能となる。
【0096】
第1〜第3実施形態において、自動魚給餌装置は、養殖槽40に設置されたけれども、他の実施形態において、たとえば海に設けられる養殖設備に設置されてもよい。また、第1〜第3実施形態において飼育魚11は、マグロの稚魚であるものとしたけれども、本発明において飼育魚の種類については、規定しない。また第1〜第3実施形態において飼料は、生きた鯛の幼魚であるものとしたけれども、他の実施形態において、たとえばイカなどの生きた魚介類であってもよく、さらに他の実施形態において飼料は、密度が液体とほぼ同じ人工飼料であって、液中で攪拌されることによって、液中に広く分散する固形飼料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞体14を駆動する一部の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における駆動部18のうち、閉塞部材13を駆動する一部の斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が、養殖槽40に設置された状態を表す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る自動魚給餌装置10が設置される養殖槽40の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aの断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る自動魚給餌装置10Aを、図6に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの正面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bを、図8に示す切断面線C−Cで切断して見た断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る自動魚給餌装置10Bの平面図である。
【図11】従来技術に係る自動魚給餌装置である配合餌料給餌装置1の正面図である。
【符号の説明】
【0098】
10 自動魚給餌装置
11 飼育魚
12 貯留部本体
13 閉塞部材
14 閉塞体
15 環状部
16 所定途中位置
17 飼育魚検知センサ
18 駆動部
35 制御部
40 養殖槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料が液体と共に貯留され、または移動する内部空間を周囲から規定する貯留部本体と、
予め定める所定位置において貯留部本体を閉塞可能な閉塞体であって、
閉塞した状態で前記飼料および液体を前記貯留部本体と共に貯留し、
閉塞が解除された状態で、前記飼料および液体が前記所定位置を移動することを許容する閉塞体とを含むことを特徴とする自動魚給餌装置。
【請求項2】
魚が飼育される養殖槽内で、前記貯留部本体の近傍の、予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する飼育魚検知センサと、
前記検知信号に応じて前記閉塞体を変位させ、前記閉塞体による前記貯留部本体の閉塞を解除する駆動部とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動魚給餌装置。
【請求項3】
前記閉塞体が貯留部本体と共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、前記飼料および液体の移動の方向に関する途中位置の、予め定める所定途中位置において前記貯留部本体を閉塞可能な閉塞部材であって、
閉塞した状態で前記飼料および液体を前記貯留部本体と共に貯留し、
閉塞が解除された状態で、前記飼料および液体が前記移動の方向に沿って所定途中位置を移動することを許容する閉塞部材をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自動魚給餌装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記閉塞体と前記閉塞部材とによる前記貯留部本体の閉塞および閉塞の解除を切換え可能であり、前記閉塞体の、前記貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、前記閉塞部材は、前記貯留部本体を閉塞することを特徴とする請求項3に記載の自動魚給餌装置。
【請求項5】
飼料は、生きた魚介類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項6】
前記飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項7】
前記閉塞体は、前記飼料および液体の移動する方向に関して前記貯留部本体の端部に配置され、角変位可能であり、
前記閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって前記貯留部本体の閉塞が行われ、
前記角変位の軸線まわりに角変位することによって前記貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項8】
前記貯留部本体は、複数設けられ、
前記閉塞部は、前記貯留部本体の個数に対応して複数設けられ、
前記飼育魚検知センサは、前記複数の貯留部本体に近接した飼育魚の個体数を検出し、検出した飼育魚の個体数に応じた検出信号を出力し、
前記駆動部は、前記複数の閉塞体の閉塞と解除とを、前記各閉塞体に個別に切換可能であり、予め定める所定時間内に前記検出信号が入力されることによって、前記複数の閉塞体のうち予め定める個数の前記閉塞体の閉塞を解除することを特徴とする請求項2〜7に記載の自動魚給餌装置。
【請求項1】
飼料が液体と共に貯留され、または移動する内部空間を周囲から規定する貯留部本体と、
予め定める所定位置において貯留部本体を閉塞可能な閉塞体であって、
閉塞した状態で前記飼料および液体を前記貯留部本体と共に貯留し、
閉塞が解除された状態で、前記飼料および液体が前記所定位置を移動することを許容する閉塞体とを含むことを特徴とする自動魚給餌装置。
【請求項2】
魚が飼育される養殖槽内で、前記貯留部本体の近傍の、予め定める領域内の魚を検知し、検知信号を出力する飼育魚検知センサと、
前記検知信号に応じて前記閉塞体を変位させ、前記閉塞体による前記貯留部本体の閉塞を解除する駆動部とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動魚給餌装置。
【請求項3】
前記閉塞体が貯留部本体と共に前記飼料および液体を貯留する空間内において、前記飼料および液体の移動の方向に関する途中位置の、予め定める所定途中位置において前記貯留部本体を閉塞可能な閉塞部材であって、
閉塞した状態で前記飼料および液体を前記貯留部本体と共に貯留し、
閉塞が解除された状態で、前記飼料および液体が前記移動の方向に沿って所定途中位置を移動することを許容する閉塞部材をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自動魚給餌装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記閉塞体と前記閉塞部材とによる前記貯留部本体の閉塞および閉塞の解除を切換え可能であり、前記閉塞体の、前記貯留部本体に対する閉塞が解除される時以前に、前記閉塞部材は、前記貯留部本体を閉塞することを特徴とする請求項3に記載の自動魚給餌装置。
【請求項5】
飼料は、生きた魚介類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項6】
前記飼育魚検知センサは、赤外線カメラを含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項7】
前記閉塞体は、前記飼料および液体の移動する方向に関して前記貯留部本体の端部に配置され、角変位可能であり、
前記閉塞体に対する外力が解除されたならば、角変位の軸線よりも上方に位置する部分によって前記貯留部本体の閉塞が行われ、
前記角変位の軸線まわりに角変位することによって前記貯留部本体に対する閉塞と閉塞の解除とが切換えられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動魚給餌装置。
【請求項8】
前記貯留部本体は、複数設けられ、
前記閉塞部は、前記貯留部本体の個数に対応して複数設けられ、
前記飼育魚検知センサは、前記複数の貯留部本体に近接した飼育魚の個体数を検出し、検出した飼育魚の個体数に応じた検出信号を出力し、
前記駆動部は、前記複数の閉塞体の閉塞と解除とを、前記各閉塞体に個別に切換可能であり、予め定める所定時間内に前記検出信号が入力されることによって、前記複数の閉塞体のうち予め定める個数の前記閉塞体の閉塞を解除することを特徴とする請求項2〜7に記載の自動魚給餌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−207397(P2009−207397A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52701(P2008−52701)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(592002950)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(592002950)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】
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