説明

舗装用土材料の改質剤、クレイ舗装材、その調製方法および舗装方法

【課題】 土粒子間をつなぐ力(粘着力)を向上させ、耐水性に優れたクレイ舗装材を提供することを目的とする。
【解決手段】 舗装用土材料と、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類の改質剤とを含有するクレイ舗装材、およびその調製方法、ならびに当該クレイ舗装材を用いることを特徴とする舗装方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレイ舗装材、その調製方法および舗装方法に関し、特に各種競技場、校庭等に舗装面を形成する為に使用するクレイ舗装材、その調製方法および舗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトやコンクリートで舗装する全天候型舗装材が普及するに伴い、その上での運動による人体への影響についての様々な研究結果が発表されてきている。この結果、各種競技場、校庭等においては、全天候型の舗装方法ではなく、適度で自然なクッション性が得られ、競技者や生徒の足腰への負担の少ないクレイ舗装面を設ける施工例が多く見られるようになった。
【0003】
表層材として使用される素材には、透水性、保水性、粘性、弾力性などの特性が要求される。土にはそれぞれ固有の特性があり、スポーツ施設の種類によっては、単一土だけで十分に条件を満たせる場合もある。しかしながら、良質な材料が入手できない場合には素材のそれぞれの長所を活用して弱点を補い合わせる為に複数の材料を混合して使用することがある。
【0004】
昨今は開発規制などにより良質の材料が入手しがたく、天然材料の改良材、改良工法等も用いられるようになった。
【0005】
しかし、クレイ舗装を施した舗装面は、降雨と日照りの繰返し等で舗装面は徐々に硬化していく。このため、一定期間経過した舗装面は、土をほぐしてクッション性を回復させる補修作業が必要となる場合がある。また、乾燥により舗装面にひび割れが生じたり、土が砂塵となって舞い上がり近隣住民へ悪影響を及ぼすことを防ぐため、クレイ舗装を施した舗装面は、水を撒くなど普段から良好な管理が必要とされた。更にクレイ舗装を施した舗装面は冬場の土の凍結および霜解けのぬかるみの発生等の問題もあった。
【0006】
これらの問題を解決する為に以下の方法が提案されている。
・特許文献1:ロームにアスファルト乳剤を混合した舗装用素地を用いる方法
・特許文献2:高分子凝集剤処理された上水汚泥に炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化クロムを混合して作成した舗装用素地を用いる方法
・特許文献3:高分子凝集剤処理された上水汚泥およびポリ塩化アルミニウム処理された上水汚泥粉砕物を舗装用素地を用いる方法
・特許文献4:荒木田土等にポリ塩化アルミニウムと塩化第二鉄又は硫酸第二鉄から成る土壌改良剤を混合する方法
・特許文献5:ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム処理された上水汚泥糊状物を舗装土材料に混合する方法
・特許文献6:舗装土材料に塩化マグネシウム或いは塩化カルシウムと酸性コロイダルシリカを混合して土舗装する方法
・特許文献7:硬質粘土に酢酸ビニル系樹脂とセメント又は硫酸カルシウムを混合して作成したクレイ舗装材を用いる方法
・特許文献8:舗装土材料にn−パラフィン、グリセリン、苦汁、塩化カルシウムを混合して土舗装する方法
・特許文献9:舗装土材料にシリコーン、塩化マグネシウム或いは塩化カルシウムを混合して土舗装する方法
【0007】
しかし、上述したアスファルト乳剤の使用した舗装土材料は、含有されるアスファルトの安全性の点で問題があり、子供および乳幼児が遊ぶ校庭、公園の材料として用いる事に問題があった。また、苦汁、塩化カルシウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の無機塩を混合剤として用いた舗装土材料は、無機塩が流出するため、長期間機能を維持することが出来なかった。更に、これら無機塩は、土粒子を疎水化させる機能はあっても、土粒子間をつなぐ力(粘着力)が弱く、日照乾燥および降雨湿潤の繰返しで舗装土表面がひび割れ、土粒子が砂塵となって舞い上がる場合があり、長期安定性に欠けていた。
【0008】
一方、シリコーン、グリセリン、n−パラフィンを使用し、作成された舗装土材料は、保水性、疎水性を土粒子に与える事が出来るが、土粒子間をつなぐ力(粘着力、固結力)が弱く、日照乾燥/降雨湿潤の繰返しで舗装土表面がひび割れ、土粒子が砂塵となって舞い上がる場合があり、長期安定性欠けていた。
【0009】
【特許文献1】特開昭56−142902号公報
【特許文献2】特開昭60−33909号公報
【特許文献3】特開昭60−33908号公報
【特許文献4】特開昭64−85283号公報
【特許文献5】特開平7−34406号公報
【特許文献6】特開平8−302608号公報
【特許文献7】特開平8−134450号公報
【特許文献8】特開平8−109609号公報
【特許文献9】特開平8−109608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、土粒子間をつなぐ力(粘着力)を向上させ、耐水性に優れたクレイ舗装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の側面によると、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類を含む、舗装用土材料の改質剤が提供される。
【0012】
本発明の他の側面によると、舗装用土材料と、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類の改質剤とを含有するクレイ舗装材が提供される。また、本発明の他の側面によると、舗装用土材料と、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類の改質剤とを混合するステップを含む、クレイ舗装材の調製方法が提供される。
【0013】
本発明の他の側面によると、上記クレイ舗装材、または上記方法により調製されたクレイ舗装材を用いることを特徴とする舗装方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以下に詳細に説明するように、本発明によると、土粒子間をつなぐ力(粘着力)を向上させ、耐水性に優れたクレイ舗装材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施の形態によって、限定されるものではない。
【0016】
上記したように、本発明の一の側面によると、クレイ舗装材が提供される。本発明にかかるクレイ舗装材は舗装用土材料を含む。
【0017】
本発明にかかるクレイ舗装材は改質材をさらに含む。改質材は、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類を含む。本明細書において、これらのポリマーは置換基および/または側鎖を有するものも含む。なお、ポリビニルアルコールポリマーは、数平均分子量(GPC測定によるスチレン換算数平均分子量、以下同様)が10000〜100000であることが好ましく、50000〜60000であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールポリマーのケン化度は、80〜95%であることが好ましく、86〜90%であることがさらに好ましい。また、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマーは、数平均粒子径が70〜120nmでることが好ましく、75〜95nmであることがさらに好ましい。スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマーは、ゲル含有率が35〜90%であることが好ましく、60〜80%であることがさらに好ましい。スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマーは、ブタジエン基30〜74重量部に対してスチレン基が25〜69重量部であることが好ましく、ブタジエン基40〜60重量部に対してスチレン基が30〜50重量部であることがさらに好ましい。また、酢酸ビニルエマルジョンポリマーは、数平均分子量が1000〜500000であることが好ましく、1000〜300000であることがさらに好ましい。また、メチルセルロースポリマーは、数平均分子量が5000〜30000であることが好ましく、10000〜20000であることがさらに好ましい。メチルセルロースポリマーにおける水酸基のメトキシル基での置換割合は、20〜40%であることが好ましく、28〜30%であることがさらに好ましい。メチルセルロースポリマーはヒドロキシプロポキシル基を有してもよく、この場合、メチルセルロースポリマーにおける水酸基のヒドロキシプロポキシル基での置換割合は、3〜20%であることが好ましく、7〜12%であることがさらに好ましい。これらの改質材として、日本酢ビ・ポバール(株)、日本ゼオン等が販売している市販の工業用製品を用いることができる。
【0018】
本発明の技術的範囲は理論に束縛されるべきではないが、本発明にかかるクレイ舗装材は、上記改質材を含有することにより、ポリマーが土粒子表面に物理的化学的に結合し、土粒子表面を覆い、土粒子間を互いにつなぎ合わせる架橋作用を発揮すると考えられる。このため、上記改質材は、土粒子表面からの水分の出入りを抑制すると共に、土粒子間を強く結びつけることができ、本発明にかかるクレイ舗装材は、強い粘着力を有し、耐水性が向上すると考えられる。すなわち、本発明者等は、(1)土粒子に吸着することで、土粒子をつなぎ合わせ、固着する特性(架橋性)、および(2)クレイ舗装材が乾燥した際に、土粒子表面に膜を形成する特性(造膜作用、膜を形成することにより土粒子表面の耐水性が向上する。)を有するポリマーを改質材として添加することで、施工後のクレイ舗装材の耐水性(水に接触しても土粒子が崩壊しない性質。)を維持、向上させることができると考えた。本発明者等は、試験の結果、上記ポリマーによると、優れた耐水性を有するクレイ舗装材が得られることを見出した。
【0019】
なお、舗装用土材料100重量部に対し、改質剤の含有量が0.03〜1.2重量部であることが好ましく、0.03〜0.6重量部であることがさらに好ましい。この範囲においては、施工コストを顕著に高くすることなく、特に充分な土粒子の粘着力が得られ、長期安定性を好適に確保できる。
【0020】
本発明にかかるクレイ舗装材は、パラフィンおよびポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種類の疎水化剤をさらに含んでもよい。パラフィンおよびポリプロピレングリコールは、水に不溶または一部可溶の物質であるため、これらが土粒子の表面に付着することで粒子表面を疎水性にし、耐水性を向上させることができる。本明細書において、パラフィンおよびポリプロピレングリコールは置換基および/または側鎖を有するものも含む。特に、パラフィンは流動パラフィンであることが好ましい。本発明においては、特に限定されるものではなく、市販の工業用流動パラフィンを広く用いることができる。パラフィンは、比重が0.820〜0.880であることが好ましく、0.850〜0,870であることがさらに好ましい。また、ポリプロピレングリコールは、数平均分子量が400〜4000であることが好ましく、1000〜3000であることがさらに好ましい。これらの疎水化剤として、一般に市販されている工業製品を用いることができる。なお、舗装用土材料100重量部に対し、疎水化剤の含有量が0.2〜2.0重量部であることが好ましい。この範囲においては、施工コストを上げることなく、好適に効果を得ることができるためである。
【0021】
本発明にかかるクレイ舗装材は上水汚泥および/または粘性土をさらに含んでもよい。上水汚泥および粘性土は、粒度分析におけるシルト分、粘土分の占める割合が高く、砂等と比較し、水を保持する力と粘着力が卓越している。このため、上水汚泥および/または粘性土を加えることで、シルト分、粘土分の割合を増加させ、保水性を向上させることがきる。また、細粒径成分の割合が増加することで粘着力が向上し、施工後の表土における土粒子の固定化が図れるものと推察される。表1および2に例示されるように、上水汚泥および粘性土の含水比、コンシステンシーが一般に、舗装用土材料より高い値を示すことからも、上水汚泥および粘性土により保水力および粘着力を向上させられることが分かる。
【0022】
上水汚泥および/または粘性土の使用は、舗装用土材料の粒度分布が粗粒分側に偏っている場合に特に有効である。具体的には、上水汚泥および/または粘性土の使用は、舗装用土材料における礫分および砂分の合計の含有量が、50重量%以上である場合に特に有効である。粘着力の卓越している上水汚泥および粘性土は、舗装用土材料のバインダーとして働き、粗粒径成分をより好適に固定化させることができるためである。なお、地盤工学会の「土質材料の工学的分類体系」によれば、粗粒分の割合が50重量%以上である場合が粗粒土、未満であれば細粒土である。(粗粒分:砂礫分(0.075〜75mm)、細粒分:シルト、粘土分(0.075mm以下)
【0023】
なお、上水汚泥とは、一般的に、工業用水などの規格に見合った水質を得るため、河川などから取水した原水に硫酸アルミニウム、PAC等の浄化薬剤を添加し、フィルタープレス脱水機などで脱水した後に残る懸濁物質の残渣である。必要に応じて、天日乾燥等により、さらに脱水された上水汚泥を用いることもできる。また、粘性土とは、好ましくは、シルト分および粘土分の含有量の合算値が50重量%より大きい細粒土であって、有機質土および火山灰質粘性土以外の土である。粘性土は、そのコンシステンシーからシルトまたは粘土に分類される。
【0024】
特に、本発明にかかるクレイ舗装材が上水汚泥を含むことが好ましい。上水汚泥は、適度に硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等を含んでいるため、土粒子が疎水性を帯びているためである。
【0025】
本発明にかかるクレイ舗装材は、以下のように調製することができる。すなわち、本発明にかかるクレイ舗装材の調製方法は、舗装用土材料と、上記改質剤とを混合するステップを含む。また、本発明にかかるクレイ舗装材の調製方法は、舗装用土材料と、上水汚泥および/または粘性土とを混合するステップを含んでもよい。
【0026】
本発明にかかるクレイ舗装材の各成分は、任意の順番で混合することができる。すなわち、改質剤は、舗装用土材料、または上水汚泥および/または粘性土(またはこれらの混合物)の何れに添加、混合しても良い。例えば、上記改質材に加えて、舗装用土材料を単独で使用する場合は、改質剤を舗装用土材料に直接添加し、均一に混合するまで攪拌混合することができる。また、上水汚泥および/または粘性土を併用する場合は、改質材を上水汚泥又は粘性土に添加し、これらを十分混合したものを舗装用土材料に混合することができる。また、舗装用土材料と改質剤と上水汚泥および/または粘性土とを同時に混合することもできる。これらの添加および混合方法は、特に限定されるものではない。例えば、添加および混合は、ソイルミキサーを用いて行うことができる。また、混合は、例えば約5分とすることができる。
【0027】
得られたクレイ舗装材は、上水汚泥および/または粘性土の併用の有無に係らず、含水比が10〜40%であることが好ましい。クレイ舗装材の強度が硬すぎたり柔らか過ぎたりして、撒きだしおよび転圧などの施工上の問題が生じることを防ぐためである。なお、クレイ舗装材の含水比は、土粒子の重量に対する水の重量の比を百分率で表したものであり、JIS A 1203:1999に準じて算出することができる。含水比が低い場合、クレイ舗装材に加水、または、施工後の舗装面に散水を行うことで対処できる。また、含水比が高い場合、クレイ舗装材または施工後の舗装面を天日乾燥することで対処できる。
【0028】
また、本発明の他の側面によると、上記クレイ舗装材、または上記方法により調製されたクレイ舗装材を用いることを特徴とする舗装方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、当該方法により得られるクレイ舗装面が提供される。本発明にかかる舗装方法は、上記クレイ舗装材を用いる他は、通常の施工方法と同様とすることができる。すなわち、上記クレイ舗装材をグランドなどの基礎面に運びいれ、転圧を施して舗装面を製造することができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
[実施例1〜12]
実施例1〜12として、舗装用土材料に、各種改質剤および上水汚泥を各種添加量で混合し、得られたクレイ舗装材を水壊試験に供した。
【0031】
[クレイ舗装用材料の原料]
クレイ舗装用材料を作成する為に用いた上水汚泥、舗装用の土材料の性状を表1〜3に示す。また、試験に使用した改質剤の種類を表4に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
[供試体の作り方と評価方法]
今回の試験では、施工条件に近づけるように荷重量の変更を行った。
(1)上水汚泥200mLに対して、本試験に選択した改質剤を適宜添加し、ソイルミキサー(低速140rpm)で十分に混合し、素地を作製した。
(2)次いで、現地土80部に対し素地を20部の容量割合でポリ容器に取り、突き棒、スプーンで混練を繰り返してグランド舗装用の改質土とした。
(3)上記、(2)の改質土50gを砲金製の型枠(φ37.5mm、L:120mm)に詰め、油圧シリンダーで荷重を掛けて圧密成型した。荷重条件:400kN/m2×1分
(4)取り出した供試体を110℃の恒温槽で一晩炉乾燥し、放熱後に水に浸漬し、90分間における崩壊状態から舗装土としての適用性を判定した。評価基準は以下の通りとした。
○:90分間で形状変化がみられない。
△:時間内に一部に亀裂、崩壊がみられる。
×:時間内に崩壊する。
【0037】
[改質剤の試験結果]
改質剤および上水汚泥を添加した場合の水浸結果を表5に示す。
【表5】

【0038】
実施例1〜12より、改質剤を使用した本発明にかかるクレイ舗装用材料は、加熱乾燥後の水壊試験においても、土粒子間を繋ぎ止める粘着性が劣ることなく良好な状態を維持している事が分かる。
【0039】
[実施例13〜21]
実施例13〜21として、舗装用土材料に、各種改質剤および上水汚泥を各種添加量で混合し、得られたクレイ舗装材を水壊試験に供した。
【0040】
(1)脱水処理した上水汚泥300mLまたは400mLに対して、改質剤を適宜添加し、ソイルミキサー(低速140rpm)で十分に混合し、素地を作製した。
(2)所定の容量割合で舗装用の土材料(必要に応じて所定の含水率が得られるよう予め水を添加)と素地をポリ容器に取り、突き棒、スプーンで混練を繰り返してクレイ舗装用材料とした。
以後、上記[供試体の作り方と評価方法]と同様に行った。
【0041】
水壊試験の結果を表6に示す。
【表6】

【0042】
実施例の結果から、本発明の改質剤を使用して作成した素地と舗装用の土材料を混合して作成したクレイ舗装材は、水壊試験において良好な結果を示す事が分かる。スチレンブタジエン共重合体エマルジョンポリマーとポリビニルアルコールとを併用することで、得られたクレイ舗装材の含水比が10%〜40%の範囲であっても水壊試験において良好な効果を示した。
【0043】
[実施例22〜36]
実施例22〜36として、舗装用土材料に、各種改質剤および上水汚泥を各種添加量で混合し、得られたクレイ舗装材を水壊試験に供した。実施例13〜21と同様の手順および評価方法で、供試体を作成し、その評価を行った。
【0044】
水壊試験の結果を表7に示す。
【表7】

【0045】
実施例より、本発明の改質剤を使用したクレイ舗装用材料は、水壊試験においても、土粒子間を繋ぎ止める粘着性が劣ることなく良好な状態を維持している事が分かる。また、本発明の改質剤とパラフィンまたはポリプロピレングリコールとを併用することで(実施例33,34)、パラフィンまたはポリプロピレングリコールを単独で用いた場合(比較例37〜39)と比べて、より少量のパラフィンまたはポリプロピレングリコールで好適な耐水性を得ることができることが分かる。
【0046】
[実施例37,38]
実施例37,38として、舗装用土材料に、各種改質剤および上水汚泥または粘性土を混合し、得られたクレイ舗装材を保水性試験に供した。
【0047】
(1)実施例1〜12と同様に、クレイ舗装剤を調製した。なお、改質剤として、酢酸ビニルとポリビニルアルコールの混合溶液(酢酸ビニル原液:1.0重量部、ポリビニルアルコール:0.48重量部、水:5.2重量部)を試験土(真佐土に上水汚泥または粘性土を加えたもの)に対して1重量%用いた。
(2)圧密成形した試験土の重量を予め測った。
(3)50℃の炉乾燥器に入れて30分後に取り出し、デシケーターで10分間冷却した。
(4)冷却後、試験土の重量を測り、再度、炉乾燥機で水分がなくなるまで乾燥した。
(5)冷却した試験土の重量を測り、蒸発率を算出した。
蒸発率=((50℃、30分後の減量分)/(乾燥前の重量−絶乾後の重量))×100
【0048】
保水性試験の結果を表8に示す。
【表8】

【0049】
これらの結果から、舗装用土材料の真佐土に比較し、舗装用土材料80容量部に上水汚泥20容量部を混合せしめた混合土の水分保持率が高いことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類を含む、舗装用土材料の改質剤。
【請求項2】
舗装用土材料と、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類の改質剤とを含有するクレイ舗装材。
【請求項3】
上水汚泥および/または粘性土を含有する、請求項2に記載のクレイ舗装材。
【請求項4】
前記舗装用土材料100重量部に対し、前記改質剤の含有量が0.03〜1.2重量部である、請求項2または3に記載のクレイ舗装材。
【請求項5】
舗装用土材料と、ポリビニルアルコールポリマー、スチレンブタジエン共重合エマルジョンポリマー、酢酸ビニルエマルジョンポリマーおよびメチルセルロースポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種類の改質剤とを混合するステップを含む、クレイ舗装材の調製方法。
【請求項6】
前記舗装用土材料と、上水汚泥および/または粘性土とを混合するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項2〜4のいずれかに記載のクレイ舗装材、または請求項5または6に記載の方法により調製されたクレイ舗装材を用いることを特徴とする舗装方法。

【公開番号】特開2008−1868(P2008−1868A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175732(P2006−175732)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(390026446)株式会社テルナイト (17)
【出願人】(000239437)福田道路株式会社 (24)
【Fターム(参考)】