芯繰り出し装置
【目的】
ノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置を提供する。
【構成】
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる。
ノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置を提供する。
【構成】
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置、具体的にはシャープペンシルや筆記芯ホルダー等に用いられる芯繰り出し装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実開昭55−99887 従来から良く知られているシャープペンシルの構造を図21に示すと共に、その図に基づいて説明する。 図21に示すように、軸筒123の先方には軸継手124を介して、チャック125が設置され、このチャック125の把持部外周には、締め具126が嵌装している。また、チャック125の後端に固着した芯ケース127と軸継手124との間には附勢されたチャックスプリング128が設けられている。このチャックスプリング128により、チャック125が締め具126で締め付けられて、芯129を把持している。また、軸筒123の先端に取付けられた口先部130の先端にはスライダー131が固定されている。このスライダー131は、軸部131aの前方に先端パイプ132が、後方にゴム等の弾性材よりなる保持チャック133が固定されて、芯129は保持チャック133を貫通して先端パイプ132より突出している。この状態から、芯ケースの上端部に取付けられたノックカバー(図示せず)を押圧(ノック)して、チャック125を前進させるとチャック125が締め具126で締め付けられているため、芯129を把持した状態で前進する。そして、締め具126の前端が口先部130に設けられた段部130aに当接し、更にチャック125が前進すると締め具126による締め付けが解除される。また更にチャック125が前進すると、締め具126は段部130aに係止されるため、チャック125のみが前進し、チャック125の先端部の把持部が拡開する。また、ノックした状態を解除すると、芯129は保持チャック133に保持された状態で、更にチャック125の把持部が拡開した状態で、前記チャック125は後退する。そして、締め具26が軸継手124に当接し、締め具126の後退が阻止された状態から、チャック125は芯129の把持を開始する。そして、ノックが終了した時点(初期の状態)でチャック125は芯129の把持を完了する。
【0003】
このように、従来良く知られるシャープペンシルは、ノック操作を繰り返す毎に締め具126の前端が段部130aに当接し、チャック125の把持部が拡開した状態と、締め具126の前端が軸継手124に当接し、チャック125の把持部が把持する状態とを、繰り返すことにより、芯129が順次繰り出される。
前記した従来のシャープペンシルにあっては、筆記に伴い芯が消耗するので時々ノック操作をして芯を繰り出す。このノック操作を忘れると、芯が先端パイプ132の前端まで摩滅し、筆記が擦れたり、ついには硬い先端パイプの前端で紙を破いてしまうことさえある。一方、必要以上にノック操作をして芯を繰り出し、突出した芯が長すぎる場合があり、芯折れの問題が頻発している。また、筆記中に無意識にノックして芯を出しすぎてしまうこともある。
【0004】
上述した問題を解決する手段として、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯が一定長さに維持される筆記芯ホルダーが実開昭55−99887号公報に示されている。
この筆記芯ホルダーについて、図22乃至図25に基づいて説明する。
図に示すように、軸筒151の先端部は、芯を把持するチャック153が嵌合するテーパ孔152が形成されている。また軸筒151の内部には、芯155を収納する管状の芯ケース154が設けられている。
また、前記チャック153の略中間位置に環状突起156が形成されている。そして、前記環状突起156と芯ケース154の間にコイルスプリング157を介装すると共に、前記芯ケース154の下部に設けられた孔154a内に、前記チャック153の上端が摺動可能に取付けられている。また、前記環状突起156と軸筒151(テーパ孔152)の上面との間にコイルスプリング158が介装されている。前記コイルスプリング158は、コイルスプリング157より反発力が強いばねが用いられている。
また、芯ケース154の下部周面に支持腕159が固着されている。この支持腕159の先端部には、チャック153の先端部に嵌合するストッパー160が形成されている。 このように構成された筆記芯ホルダーの動作について説明すると、まず、キャップ161を外して、芯ケース154及びチャック153内に筆記芯155を投入し、前記キャップ161を被せる(図22参照)。
その後、キャップ161をノックすると、芯ケース154がコイルスプリング157を圧縮しつつ、下方に移動する。この移動に伴い、支持腕159も下方に移動し、ストッパー160はチャック153の先端部から離れる(図23参照)。なお、このとき、チャック153の上端部は芯ケース154の孔154a内を摺動する。そして、更にキャップ161をノックすると、芯ケース154がコイルスプリング158を圧縮しつつ、下方に移動する。この移動に伴い、チャック153の先端部(把持部)は拡開し、芯155は自重によりストッパー160まで落下する(図24参照)。
その後、キャップ161のノックを解除(解放)すると、コイルスプリング157,158の反発力で、チャック153及び支持腕159が初期状態に復帰する。このとき、チャック153はテーパ孔152に嵌合によって閉じられ、芯155を把持する。また、芯155がチャック153に保持されているため、ストッパー160から芯155が所定の長さで突出する(図25参照)。
そして、再び、キャップ161をノックすると、芯155はチャック153に保持されているため、支持腕のみが下方に移動し、図24に示す状態となり、ノックを解放すると図25に示す状態となる。
【0005】
このように、この提案された筆記芯ホルダーにあっては、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯を一定長さに維持することができる。
しかしながら、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157とチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158とが、チャック153の環状突起156を挟んで直列に配置された構成となっているので、芯155の突出長さが安定しない不具合がある。例えば、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157の圧縮が進んで附勢力が増し、コレットチャック153を附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力と等しくなった時点で、チャック153の移動が始まり、チャック153の拡開が始まる。即ち、各部材間での摺動抵抗その他の要因によってチャック153の拡開時期が遅れ、芯の突出量が安定しない虞がある。
【0006】
また、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157はチャック153の拡開が始まった以降も引き続き圧縮されるので、ストッパー160は前進を続ける。その結果、芯155の突出量を決定するストッパー160とチャック153先端の距離は離れ続け、芯の突出量が安定しない虞がある。
また、この作動におけるコイルスプリングの附勢力の関係は、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157の初期附勢力をx1、チャック153が拡開を開始する時点の附勢力をx2、またチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力をy1とすると、x1<y1、x2=y1の関係が成り立つ。
チャック153を後方に附勢するコイルスプリング158は、ストッパー160を後方に附勢するコイルスプリング157の附勢力に対して前述の通りの規制(より強い附勢力のコイルスプリング158である必要がある)を受けることとなり、その結果、例えば、シャープペンシル等に於いて芯が細い場合、チャックによって芯が破損、損傷を受け、いわゆる食いちぎられ(破損する)、表面の荒れる(損傷する)懸念がある。
また他の作動として、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157が全圧縮した時点でコレットチャック153の拡開が始まる場合は、コイルスプリング157の全圧縮時の全長は、線材径のばらつきや、巻き数のばらつき、コイルの密着時の径方向のズレなどにより容易に変化する事が考えられる。
また、この作動におけるスプリングの附勢力の関係は、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157の初期附勢力をX1、全圧縮した時の附勢力をX2、またチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力をY1とすると、X1<Y1かつX2<Y1の関係が成り立つ。
この作動においてもチャック153を後方に附勢するコイルスプリング158は、ストッパー160を後方に附勢するコイルスプリング157の附勢力に対して前述の通りの規制(より強い附勢力のコイルスプリング158である必要がある)を受けることとなり、前記したように、芯が細い場合は、チャック153によって芯155が食いちぎられ、また荒れが生じる懸念がある。
また、この筆記芯ホルダーでは、加工が非常に困難と思われる部材を用いていることも、この考案を実現するには不具合となっている。
例えば、軸筒151について述べると、先端にテーパ孔152を設ける他、ストッパー160の支持腕159を挿通するための通孔151a(図23参照)を2箇所設ける必要があり、非常に加工が難しい形状であり、生産性が悪く、非常に高価な部品になることが予想される。
また、支持腕159は芯ケース154の先端までの長い距離を必要とし、さらに軸筒151内を挿通するので、厚み、幅ともに十分には確保できないことが予想される。
また、ストッパー160は、支持腕159に一体に設けられているが、このような支持腕は、非常に加工が難しい形状であり、生産性が悪く、非常に高価な部品になることが予想される。また、この筆記芯ホルダーは組立も困難であるという不具合がある。例えばチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158は、チャック158の中央部に設けられた環状突起156と軸筒151の先端内面間に敷設されているが、推察する限りでは組み付け不可能である。
また上記不具合の他、この考案は筆記芯ホルダーと有るように太い芯を突出させるイメージのものであると推察され、細い芯を使用するシャープペンシルの構造に対しては不具合な構造である。例えば、シャープペンシルにあっては、芯が細く、芯折れ防止するため芯を突出する先端部とチャックの間は剛性を配して心ズレが生じないように配慮される必要がある。また、芯折れ防止するため芯の突出長さは短く設定されており、筆記時に先端が容易に視認されるように筆記具の先端はテーパ状に細く形成する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、芯折れの問題や筆記中に無意識にノックして、芯を繰出してしまう問題を解決するため、ノック操作により筆記具先端から一定長さの芯が突出され、かつノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置であって、芯の突出長さが安定して行われ、先端が容易に視認されて使い勝手が良く、細い芯であってもチャックの把持部で食いちぎられる虞がない芯繰り出し装置を提供することを目的とする。
また、ノック操作部を最前進して、芯が自重落下によりストッパーの当接部に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があり、ストッパーの当接部と芯の前端との間に微小な隙間を生じる。この現象はノック操作の繰り返しに対してほぼ一定した隙間状態にあるので、その分を見込むことによって芯の突出量を一定にすることに支障はない。
ところが、その現象とは別に特にノック操作を速く行うと芯が後退側に引き込まれる現象がある。
この現象は、芯把持機構及び芯ケースが急速に戻る際に芯ケース内の空気圧が変動する影響と推察される。
この現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの当接部と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が発生することが確認された。そのことから、本発明は、この現象による問題の解消をさらに課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明の芯繰り出し装置は以下の構成を有する。
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
また、上述したストッパーは、スライダーの前端近傍の内孔部に設けられて、芯の前端が当接する当接部が形成されてなり、その当接部の前方にスライダーの前端孔部が設けられており、芯の前端が前記当接部に当接して所定の押圧力が懸かったときに当接部を弾性変形して芯が当接部を通過して前端孔部に挿通可能となると共に、ストッパーの当接部後方の内孔部とスライダーの前端孔部が芯径より僅かに大きく設けられている。
【0010】
上述した問題解決の対象である現象は、芯が太く自重が大きい場合には影響が小さく、芯が細く自重の小さいシャープ芯の場合には影響が大きい。また、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段を設けられてることによって、この現象が消滅可能となる。などの知見を得、以下のように構成されている。
芯繰り出し装置の外装となる軸筒側面と軸筒内に内装される芯ケースの側面にそれぞれ通気口が形成されている。
内蔵芯が漏れないように芯ケースの後端孔が閉塞されると共に、芯ケースの後端孔に外気が通気する通気路が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
上記課題を達成するためになされた本発明にかかる芯繰り出し装置は、ノック操作により芯把持機構が芯を解放し、ノック操作を解消した時に芯把持機構が芯を把持する芯繰り出し装置において、軸筒の先端に設けられた口先部の先端孔から前後動可能に突出するスライダーが設けられ、スライダーの内孔部に、芯を挿通可能にすると共に所定の押圧力以下では芯の先端が当接して芯の挿通を阻止する弾性変位可能なストッパーが固定されて、前記スライダーはリング継手を介して芯ケースと連動するようにスプリングにより後方に附勢され、前記スライダー後方に芯把持機構が芯を把持する状態で設けられ、ノック操作を開始すると、芯把持機構は芯を把持した状態を維持し、リング継手を介して芯ケースと連動してスライダーが前進し、スライダーが最前進して前進を阻止された状態で芯の前端がストッパーの当接部から適宜後方に離れる状態となり、更にノック操作が進むと、芯ケースのみが前進すると共に芯把持機構が芯を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、ノック操作の解消時にはスライダーが最前進した位置を維持しながら芯把持機構が芯を把持した後、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が所定の長さで突出する。
このように構成される芯繰り出し装置であっても、基本的には芯が所定長さで突出でき、突出長さを安定させることが可能である。
【0012】
また、芯が自重落下によりストッパーの当接部に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があるが、上述したようにこの現象とは別に芯が後退側に引き込まれる現象がある。
この後者の現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの当接部と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が存在し、芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段を設けることによって問題が解消可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図5は本発明の第1の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第1の実施形態である芯繰出し装置は、図1に示すように、軸筒1、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース14、ノックカバー18等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
【0014】
図に示されるように、固定筒10は、外径方向に略矩形状に突出した鍔部10aを有し、その鍔部10a後方の円筒状の両側部にリブ状のガイド部(図示せず)が形成され、鍔部10aの前端には細径の先筒部10bが形成されている。この先筒部10bの内孔には、締め部として締めリング8が係止や圧入等の手段によって固定されている。
前記締めリング8は筆記具の全体を細くするなどの設計都合によって薄肉の金属製の筒体で形成されるが、本発明の構成としては必ずしも必要ではなく、先筒部10bの内孔締め部として一体に形成することもできる。
チャック7は、通常のシャープペンシルに使用されるチャックと同じであり、把持部7aの外周には二つ割または三つ割のスリットが形成され、拡縮可能に形成されている。
把持機構6は次のように形成されている。
チャック7を固定筒10に固定した締めリング8に挿通し、把持部7aの外周を締めリング内周に係合させると共に、固定筒10の後方からチャック7の後方軸部外周にチャックスプリング11を装着し、固定筒10の前方に形成された内段部にチャックスプリング11の前端を当接させ、チャックスプリング11の後端をチャック継手12の軸部12aの前端に当接させた状態で、チャック7の後端部をチャック継手12の軸部12aに設けられた係止孔に係止や圧入等の手段によって固着させて、固定筒10に対しチャック継手12が前後動するように形成されている。
【0015】
次に、スライダー3について説明する。
スライダー3は、図に示すように後部材5、先部材4、ガイドパイプ4b、ストッパー4aから構成されている。
このスライダー3は、細径の先部材4の内孔の略前端に弾性体よりなるストッパー4aが装着されている。そして、このストッパー4aの後端を押さえるようにガイドパイプ4bの前方部が先部材4の内孔に固定されている。
一方、後部材5は、前端に細径の軸部5b、段部5cを介してその後方に大径の筒部が形成されると共に筒部の側面には後端に開口した窓部が2箇所以上で設けられ、窓部で囲まれた部分が脚部5aとして形成されている。
この後部材5の軸部5bに形成された孔部に先部材4の後方軸部外周が挿入固定されてスライダー3が形成されている。
尚、スライダー3は、ガイドパイプ4bの内孔とストッパー4a内孔を通じて芯が挿通するが、所定の押圧力以下では芯の先端がストッパー4aの当接部4cに当接して、芯が挿通しないように構成されている。このストッパー4aは、基本的には弾性変位可能なゴムや軟質の合成樹脂等の材質で形成されている。
【0016】
次に、本発明の全体の構成について説明する。
軸筒1の前端部外周には螺子部が形成され、前端部内周にはリブ状のガイド部(図示せず)が形成されている。また、螺子部の後方に所要箇所で孔1aが穿設されている。
先ず、軸筒1の前端に固定筒10の鍔部10aの後端を当接させた状態で上述した芯把持機構6が軸筒1の前方から挿入され、鍔部10a後方のリブ状のガイド部が軸筒1のリブ状のガイド部に係合して、軸筒1に対して固定筒10は回転止めされる。
続いて上述したスライダー3が軸筒1の前方から挿入される。このとき、後部材5の窓部に固定筒10の鍔部10aの矩形状両側面が嵌入した状態で挿入される。
また、後部材5の段部5cに後端を当接させた状態でスプリング9が装着され、軸筒1前端の螺子部に螺合して口先部2が固定される。その際、先部材4の前方部が口先部2の前端孔から適宜長さで突出すると共に、スプリング9の前端が口先部2の内孔前方に設けられた段部に当接し、固定筒10の鍔部10aが軸筒1の前端と口先部の後方に設けられた段部との間に狭窄されて軸筒1に対して固定筒10の固定状態が完了する。
また、この状態でスライダー3はスプリング9によって後方側に附勢されると共に、スプリング9の附勢力に抗して前方側に可動可能となされている。
【0017】
また芯ケース14は、図に示すように長い筒状体で、前方外周に鍔状の段部14aを有し、その段部の前方に所要箇所で孔14cが穿設され、更に前方に所要箇所でスリットを設けて弾性片が形成され、その弾性片の前端外周にテーパー状前面とその後面に段部を備えた係止部14bが形成されている。
この段部14aの前端に後端を当接させた状態で芯ケース前方外周にリターンスプリング15が装着され、続けて芯ケースの前端から係止部14bを縮径した状態に弾性変形させてリング継手13が装着され、リング継手13の前端が係止部14bの段部に係合して前記リターンスプリング15が適宜圧縮された状態で敷設される。
芯ケース14は軸筒1の後方から挿入され、前記リング継手13の前方外周が後部材5の後端内周に嵌挿し、やや大きめに形成された後方外周の前端が後部材5の後端に当接状態となり、更に芯ケース14の係止部14bが後部材5の窓部に嵌入した状態となる。
また、芯ケース1は、後端外周と軸筒1の内周との間にリブや溝を設けて係合させるなどの手段で、軸筒1に対して芯ケース14が前後動自在で回転止めされるようになされ、また、芯ケース14の後端が後述する回転筒体17の前端に当接して芯ケース14が後方に離脱しないなどの手段が設けられている。
【0018】
軸筒1の後端孔内周には螺子部が形成され、そこに回転筒体17が螺合され(図示せず)、上述した芯ケース14の後端に回転筒体17の前端が当接される。回転筒体17は、軸筒1の後端に突出した摘み部17aを有し、この摘み部17aを回動することによって軸筒1に対して前後動するが、軸筒1の螺子部に螺合する螺子部の上部にOリング(ゴムや軟質合成樹脂製の弾性体など)が止着されており、軸筒の孔部内周に対して適宜な摩擦抵抗によって不用意に回動しないように配慮されている。
芯ケース14の後端に回転筒体17の前端が当接された状態から、筒状の消しゴム受け体16が回転筒体17の後端から挿入され、その前方の軸部16bが芯ケース14の後端孔に相互間が回転止めされた状態で固定される。
ところで、回転筒体17の内孔周面にはリブが形成され(図示せず)、また消しゴム受け体16の軸側面にリブ16aが形成されており、回転筒体17をほぼ一回転回動したときに、相互のリブが当接して回動が阻止されるように回動が規制されている。このほぼ一回転の回動で前後動する回転筒体17に連動して芯ケース14は前後動することになる。 尚、回転筒体を回動規制する手段は上述した実施形態に限らず設けることが可能であり、回動範囲も一回転に限るものではない。また基本的には、芯ケース14を適宜範囲で前後動させる調節機構は様々な手段で設けることが可能である。
また、消しゴム受け体16後端の軸部16cの孔部に消しゴム19が着脱可能に止着され、軸部16cの外周にノックカバー18が着脱可能に止着されている。
【0019】
次に、図1〜図5に基づいて、第1の実施形態の芯繰り出し装置の動作を説明する。
また、図6は先部材の構造を拡大して示している。
まず、図1及び図2はスライダーの先部材4の前端に芯21の前端がやや突出した作動初期の状態を示している。
この状態からノックカバー18をノックして芯ケース14を前進させ、スプリング9を圧縮して、スライダー3を前進させる。(スプリング9の附勢力に対して、芯ケースの段部14aとリング継手13の後端との間に設けられたリターンスプリング15の附勢力が十分強く設定されている。)
図3に示すように、前進によってスライダーの後部材5に設けられた段部5cが口先部2の内段部2aに当接する。この状態までリターンスプリング15は敷設された状態を維持している。
また、芯把持機構6は静止した状態を維持し、芯21を把持しているので、芯21の前端は先部材4の前端から没入し、ストッパー4aの当接部4cに位置した状態となる。
【0020】
図4に示すように、スライダー3の前進が阻止された状態からノック操作によって芯ケース14がさらに前進すると、リターンスプリング15を圧縮しながら芯ケース14が前進し、芯ケース14の係止部14b前端がチャック継手12の後端に当接状態となる。
【0021】
また図5に示すように、芯ケース14の係止部14b前端がチャック継手12の後端に当接した状態からノック操作によって芯ケース14がさらに前進すると、チャックスプリング11圧縮してチャック継手12と伴にチャック7が前進し、把持部7aの外周が締めリング8の締め付けから開放されて芯21の把持が解除される。
そして、芯21の把持が開放されると、芯21は自重で落下して、芯21の前端がストッパー4aの当接部4cに当接した状態となる。当接部4cにかかる所定の押圧力は、最小で当接部4cへの芯の自重による当接力である。
その状態からノック操作を解除して、芯ケース14を後退させると、スライダー3が最前進位置に保持されたまま、芯ケース14とチャック継手12が後退し、再び芯21が把持される。また、その状態からリターンスプリング15の圧縮状態が解除され、初期の敷設状態に戻り、その時点からスライダー3が後退可能となる。また、それと共にスプリング9の復帰力によって芯ケース14と伴にスライダー3が後退して初期の状態に戻る。
以上の動作から解るように、先部材4の前端から突出する芯21の長さ(突出量)は、基本的には後部材5の段部5cが口先部2の内段部2aに当接する間隔(以下A寸法と呼ぶ)から先部材4の前端とストッパー4aの当接部4cとの間隔(以下B寸法と呼ぶ)を差し引いた長さである。
【0022】
以上のように、本発明の芯繰り出し装置は、ノック操作により芯が一定長さで筆記具先端から突出され、且つノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持されるので、芯折れの問題や筆記中に無意識にノックして芯を繰り出してしまう問題が無く、先端が容易に視認されて使い勝手が良く、細い芯であってもチャックの把持部によって、芯が破損、損傷を受ける懸念がない。
しかしながら、上記A寸法やB寸法は部品の精度誤差等によってバラツキがあり、従って芯の突出量は個々の芯繰出し装置によってバラツキがある。
芯の突出量を一定とするための手段は何通りかあるが、A寸法を調節するのがもっとも容易であると思われる。その具体的な手段として、上述したように回転筒体17の摘み部17aを回動することによって芯ケース14を前後動し、それと連動してA寸法を調節することができ、芯の突出量を一定とすることが可能となる。
また芯の突出量は、芯の種類(芯径、硬度、色など)や芯繰出し装置を使用する人の好みによって異なるのでそのような調節機構が必要である場合と、芯の突出量が適正な状態で固定化されるのが望ましい場合とあり、それぞれニーズに合わせて提供可能である。
【0023】
また、上述したように、ノック操作部を最前進して、芯が自重落下によりストッパー後端に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があり、ストッパーの後端と芯の前端との間に微小な隙間を生じる。この現象はノック操作の繰り返しに対してほぼ一定した隙間状態にあるので、その誤差分を見込むことによって芯の突出量を一定にすることに支障はない。即ち、厳密には、芯の突出量は、A寸法からB寸法と誤差分を差し引いた長さとなる。
また更に、上述したように、更にその現象とは別に芯が後退側に引き込まれる現象がある。 この現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が確認された。そのことから、本発明は、この現象による問題を解消するために、軸筒1の側面に孔1aを穿設し更に芯ケース14の側面に孔14cを穿設することによって芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象によるバラツキが解消可能となった。
また、リング継手13の後方外周に所要箇所で溝13aを設けているが、これは軸筒1の孔1aから芯ケース14の孔14cへの通気流路を十分確保するために設けられたものである。
【0024】
図7乃至図12は本発明の第2の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第2の実施形態である芯繰出し装置は、図6に示すように、軸筒30、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース32、ノックカバー34等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
この第2の実施形態である芯繰出し装置は、第1の実施形態である芯繰出し装置とほぼ同じ構成であり、以下相違点のみ説明する。
芯把持機構6及び芯ケース32が急速に戻る際に芯ケース内の空気圧が変動する影響と推察される芯の引き込み現象に対して、当該実施形態は、消しゴム受け体33後端の軸部33aの内孔部に溝状の通気路33bを形成すると共に、軸部33aに止着されるノックカバー34の側面に孔34aを穿設して、芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象による芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じる問題が解消され、結果として芯の突出量を一定とすることが可能となる。
【0025】
図13乃至図20は本発明の第3の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第3の実施形態である芯繰出し装置は、図13に示すように、前軸40と後軸41を螺合してなる軸筒、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース42、ノックカバー18等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
この第3の実施形態である芯繰出し装置も第1の実施形態である芯繰出し装置とほぼ同じ構成であり、以下相違点のみ説明する。
軸筒が前軸40と後軸41を螺合により接続して設けられ、その接続部に外気と軸筒内を通気する通気口43が形成され、この通気口43から芯ケース42前端のスリット部42aを通じて芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象による芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じる問題が解消され、結果として芯の突出量を一定とすることが可能となる。
尚、芯ケース内を外気と通気する手段は上述した実施形態だけに限定されない。
【0026】
上述した実施形態の芯繰り出し装置をあらためて概説すると、
ノック操作部の所定距離前進まで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、ノック操作部と連動してスライダーが前進して芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となり、ノック操作部を前記所定距離から更に前進すると、ノック操作部とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、ノック操作を解除してノック操作部の後退時には、チャックが後退して芯把持機構が芯を把持した後に、芯ケースとともにスライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる芯繰り出し装置。となる。
しかしながら、ノック操作部とスライダーを直接連動するように設け、また、ノック操作部と芯ケースを一体や連動するように設けて、スライダーと芯ケースが間接的な連動関係となるようになすこともできる。
また、上述した実施形態に於いて、ノック操作部が芯ケースの後端に一体化されているが、ノック操作部は軸筒の側面にノック釦として設けることもできる。また、指によってノック操作するようになされているが、重り等によるハンマー作用や電動等の作動力を使用してノック操作を可能とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図6】スライダー前端の先部材の内部構造を拡大して示した断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図8】第2の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図9】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図11】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図12】通気路部位を示す断面斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図14】第3の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図15】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図16】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図17】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図18】軸筒の接続部を示す断面斜視図である。
【図19】芯ケースの搬断面図である。
【図20】芯ケースの外観を示す斜視図である。
【図21】従来のシャーペンシルの一般的な芯繰り出し装置の断面図である。
【図22】実開昭55−99887で提案されている筆記芯ホルダーの断面図である。
【図23】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【図24】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【図25】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 軸筒
1a 孔
2 口先部
2a 内段部
3 スライダー
4 先部材
4a ストッパー
4b ガイドパイプ
4c 当接部
5 後部材
5a 脚部
5b 軸部
5c 段部
6 芯把持機構
7 チャック
7a 把持部
8 締めリング
9 スプリング
10 固定筒
10a 鍔部
10b 先筒部
11 チャックスプリング
12 チャック継手
12a 軸部
13 リング継手
13a 溝
14 芯ケース
14a 段部
14b 係止部
14c 孔
15 リターンスプリング
16 消しゴム受け体
16a リブ
16b 軸部
16c 軸部
17 回転筒体
17a 摘み部
18 ノックカバー
19 消しゴム
20 Oリング
21 芯
30 軸筒
31 リング継手
32 芯ケース
33 消しゴム受け体
33a 軸部
33b 溝状の通気路
34 ノックカバー
34a 孔
40 前軸
41 後軸
42 芯ケース
42a スリット部
43 通気口
123 軸筒
124 軸継手
125 チャック
126 締め具
127 芯ケース
128 チャックスプリング
129 芯
130 口先部
130a 段部
131 スライダー
131a 軸部
132 先端パイプ
133 保持チャック
151 軸筒
151a 通孔
152 テーパー孔
153 チャック
154 芯ケース
154a 孔
155 芯
156 環状突起
157 コイルスプリング
158 コイルスプリング
159 支持腕
160 ストッパー
161 キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置、具体的にはシャープペンシルや筆記芯ホルダー等に用いられる芯繰り出し装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実開昭55−99887 従来から良く知られているシャープペンシルの構造を図21に示すと共に、その図に基づいて説明する。 図21に示すように、軸筒123の先方には軸継手124を介して、チャック125が設置され、このチャック125の把持部外周には、締め具126が嵌装している。また、チャック125の後端に固着した芯ケース127と軸継手124との間には附勢されたチャックスプリング128が設けられている。このチャックスプリング128により、チャック125が締め具126で締め付けられて、芯129を把持している。また、軸筒123の先端に取付けられた口先部130の先端にはスライダー131が固定されている。このスライダー131は、軸部131aの前方に先端パイプ132が、後方にゴム等の弾性材よりなる保持チャック133が固定されて、芯129は保持チャック133を貫通して先端パイプ132より突出している。この状態から、芯ケースの上端部に取付けられたノックカバー(図示せず)を押圧(ノック)して、チャック125を前進させるとチャック125が締め具126で締め付けられているため、芯129を把持した状態で前進する。そして、締め具126の前端が口先部130に設けられた段部130aに当接し、更にチャック125が前進すると締め具126による締め付けが解除される。また更にチャック125が前進すると、締め具126は段部130aに係止されるため、チャック125のみが前進し、チャック125の先端部の把持部が拡開する。また、ノックした状態を解除すると、芯129は保持チャック133に保持された状態で、更にチャック125の把持部が拡開した状態で、前記チャック125は後退する。そして、締め具26が軸継手124に当接し、締め具126の後退が阻止された状態から、チャック125は芯129の把持を開始する。そして、ノックが終了した時点(初期の状態)でチャック125は芯129の把持を完了する。
【0003】
このように、従来良く知られるシャープペンシルは、ノック操作を繰り返す毎に締め具126の前端が段部130aに当接し、チャック125の把持部が拡開した状態と、締め具126の前端が軸継手124に当接し、チャック125の把持部が把持する状態とを、繰り返すことにより、芯129が順次繰り出される。
前記した従来のシャープペンシルにあっては、筆記に伴い芯が消耗するので時々ノック操作をして芯を繰り出す。このノック操作を忘れると、芯が先端パイプ132の前端まで摩滅し、筆記が擦れたり、ついには硬い先端パイプの前端で紙を破いてしまうことさえある。一方、必要以上にノック操作をして芯を繰り出し、突出した芯が長すぎる場合があり、芯折れの問題が頻発している。また、筆記中に無意識にノックして芯を出しすぎてしまうこともある。
【0004】
上述した問題を解決する手段として、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯が一定長さに維持される筆記芯ホルダーが実開昭55−99887号公報に示されている。
この筆記芯ホルダーについて、図22乃至図25に基づいて説明する。
図に示すように、軸筒151の先端部は、芯を把持するチャック153が嵌合するテーパ孔152が形成されている。また軸筒151の内部には、芯155を収納する管状の芯ケース154が設けられている。
また、前記チャック153の略中間位置に環状突起156が形成されている。そして、前記環状突起156と芯ケース154の間にコイルスプリング157を介装すると共に、前記芯ケース154の下部に設けられた孔154a内に、前記チャック153の上端が摺動可能に取付けられている。また、前記環状突起156と軸筒151(テーパ孔152)の上面との間にコイルスプリング158が介装されている。前記コイルスプリング158は、コイルスプリング157より反発力が強いばねが用いられている。
また、芯ケース154の下部周面に支持腕159が固着されている。この支持腕159の先端部には、チャック153の先端部に嵌合するストッパー160が形成されている。 このように構成された筆記芯ホルダーの動作について説明すると、まず、キャップ161を外して、芯ケース154及びチャック153内に筆記芯155を投入し、前記キャップ161を被せる(図22参照)。
その後、キャップ161をノックすると、芯ケース154がコイルスプリング157を圧縮しつつ、下方に移動する。この移動に伴い、支持腕159も下方に移動し、ストッパー160はチャック153の先端部から離れる(図23参照)。なお、このとき、チャック153の上端部は芯ケース154の孔154a内を摺動する。そして、更にキャップ161をノックすると、芯ケース154がコイルスプリング158を圧縮しつつ、下方に移動する。この移動に伴い、チャック153の先端部(把持部)は拡開し、芯155は自重によりストッパー160まで落下する(図24参照)。
その後、キャップ161のノックを解除(解放)すると、コイルスプリング157,158の反発力で、チャック153及び支持腕159が初期状態に復帰する。このとき、チャック153はテーパ孔152に嵌合によって閉じられ、芯155を把持する。また、芯155がチャック153に保持されているため、ストッパー160から芯155が所定の長さで突出する(図25参照)。
そして、再び、キャップ161をノックすると、芯155はチャック153に保持されているため、支持腕のみが下方に移動し、図24に示す状態となり、ノックを解放すると図25に示す状態となる。
【0005】
このように、この提案された筆記芯ホルダーにあっては、ノック操作により、筆記具先端から一定長さの芯を突出でき、且つノック操作を繰り返しても、突出した芯を一定長さに維持することができる。
しかしながら、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157とチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158とが、チャック153の環状突起156を挟んで直列に配置された構成となっているので、芯155の突出長さが安定しない不具合がある。例えば、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157の圧縮が進んで附勢力が増し、コレットチャック153を附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力と等しくなった時点で、チャック153の移動が始まり、チャック153の拡開が始まる。即ち、各部材間での摺動抵抗その他の要因によってチャック153の拡開時期が遅れ、芯の突出量が安定しない虞がある。
【0006】
また、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157はチャック153の拡開が始まった以降も引き続き圧縮されるので、ストッパー160は前進を続ける。その結果、芯155の突出量を決定するストッパー160とチャック153先端の距離は離れ続け、芯の突出量が安定しない虞がある。
また、この作動におけるコイルスプリングの附勢力の関係は、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157の初期附勢力をx1、チャック153が拡開を開始する時点の附勢力をx2、またチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力をy1とすると、x1<y1、x2=y1の関係が成り立つ。
チャック153を後方に附勢するコイルスプリング158は、ストッパー160を後方に附勢するコイルスプリング157の附勢力に対して前述の通りの規制(より強い附勢力のコイルスプリング158である必要がある)を受けることとなり、その結果、例えば、シャープペンシル等に於いて芯が細い場合、チャックによって芯が破損、損傷を受け、いわゆる食いちぎられ(破損する)、表面の荒れる(損傷する)懸念がある。
また他の作動として、ストッパー160を附勢しているコイルスプリング157が全圧縮した時点でコレットチャック153の拡開が始まる場合は、コイルスプリング157の全圧縮時の全長は、線材径のばらつきや、巻き数のばらつき、コイルの密着時の径方向のズレなどにより容易に変化する事が考えられる。
また、この作動におけるスプリングの附勢力の関係は、ストッパー160を後方に附勢しているコイルスプリング157の初期附勢力をX1、全圧縮した時の附勢力をX2、またチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158の初期附勢力をY1とすると、X1<Y1かつX2<Y1の関係が成り立つ。
この作動においてもチャック153を後方に附勢するコイルスプリング158は、ストッパー160を後方に附勢するコイルスプリング157の附勢力に対して前述の通りの規制(より強い附勢力のコイルスプリング158である必要がある)を受けることとなり、前記したように、芯が細い場合は、チャック153によって芯155が食いちぎられ、また荒れが生じる懸念がある。
また、この筆記芯ホルダーでは、加工が非常に困難と思われる部材を用いていることも、この考案を実現するには不具合となっている。
例えば、軸筒151について述べると、先端にテーパ孔152を設ける他、ストッパー160の支持腕159を挿通するための通孔151a(図23参照)を2箇所設ける必要があり、非常に加工が難しい形状であり、生産性が悪く、非常に高価な部品になることが予想される。
また、支持腕159は芯ケース154の先端までの長い距離を必要とし、さらに軸筒151内を挿通するので、厚み、幅ともに十分には確保できないことが予想される。
また、ストッパー160は、支持腕159に一体に設けられているが、このような支持腕は、非常に加工が難しい形状であり、生産性が悪く、非常に高価な部品になることが予想される。また、この筆記芯ホルダーは組立も困難であるという不具合がある。例えばチャック153を後方に附勢しているコイルスプリング158は、チャック158の中央部に設けられた環状突起156と軸筒151の先端内面間に敷設されているが、推察する限りでは組み付け不可能である。
また上記不具合の他、この考案は筆記芯ホルダーと有るように太い芯を突出させるイメージのものであると推察され、細い芯を使用するシャープペンシルの構造に対しては不具合な構造である。例えば、シャープペンシルにあっては、芯が細く、芯折れ防止するため芯を突出する先端部とチャックの間は剛性を配して心ズレが生じないように配慮される必要がある。また、芯折れ防止するため芯の突出長さは短く設定されており、筆記時に先端が容易に視認されるように筆記具の先端はテーパ状に細く形成する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、芯折れの問題や筆記中に無意識にノックして、芯を繰出してしまう問題を解決するため、ノック操作により筆記具先端から一定長さの芯が突出され、かつノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持される芯繰り出し装置であって、芯の突出長さが安定して行われ、先端が容易に視認されて使い勝手が良く、細い芯であってもチャックの把持部で食いちぎられる虞がない芯繰り出し装置を提供することを目的とする。
また、ノック操作部を最前進して、芯が自重落下によりストッパーの当接部に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があり、ストッパーの当接部と芯の前端との間に微小な隙間を生じる。この現象はノック操作の繰り返しに対してほぼ一定した隙間状態にあるので、その分を見込むことによって芯の突出量を一定にすることに支障はない。
ところが、その現象とは別に特にノック操作を速く行うと芯が後退側に引き込まれる現象がある。
この現象は、芯把持機構及び芯ケースが急速に戻る際に芯ケース内の空気圧が変動する影響と推察される。
この現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの当接部と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が発生することが確認された。そのことから、本発明は、この現象による問題の解消をさらに課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明の芯繰り出し装置は以下の構成を有する。
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
また、上述したストッパーは、スライダーの前端近傍の内孔部に設けられて、芯の前端が当接する当接部が形成されてなり、その当接部の前方にスライダーの前端孔部が設けられており、芯の前端が前記当接部に当接して所定の押圧力が懸かったときに当接部を弾性変形して芯が当接部を通過して前端孔部に挿通可能となると共に、ストッパーの当接部後方の内孔部とスライダーの前端孔部が芯径より僅かに大きく設けられている。
【0010】
上述した問題解決の対象である現象は、芯が太く自重が大きい場合には影響が小さく、芯が細く自重の小さいシャープ芯の場合には影響が大きい。また、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段を設けられてることによって、この現象が消滅可能となる。などの知見を得、以下のように構成されている。
芯繰り出し装置の外装となる軸筒側面と軸筒内に内装される芯ケースの側面にそれぞれ通気口が形成されている。
内蔵芯が漏れないように芯ケースの後端孔が閉塞されると共に、芯ケースの後端孔に外気が通気する通気路が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
上記課題を達成するためになされた本発明にかかる芯繰り出し装置は、ノック操作により芯把持機構が芯を解放し、ノック操作を解消した時に芯把持機構が芯を把持する芯繰り出し装置において、軸筒の先端に設けられた口先部の先端孔から前後動可能に突出するスライダーが設けられ、スライダーの内孔部に、芯を挿通可能にすると共に所定の押圧力以下では芯の先端が当接して芯の挿通を阻止する弾性変位可能なストッパーが固定されて、前記スライダーはリング継手を介して芯ケースと連動するようにスプリングにより後方に附勢され、前記スライダー後方に芯把持機構が芯を把持する状態で設けられ、ノック操作を開始すると、芯把持機構は芯を把持した状態を維持し、リング継手を介して芯ケースと連動してスライダーが前進し、スライダーが最前進して前進を阻止された状態で芯の前端がストッパーの当接部から適宜後方に離れる状態となり、更にノック操作が進むと、芯ケースのみが前進すると共に芯把持機構が芯を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、ノック操作の解消時にはスライダーが最前進した位置を維持しながら芯把持機構が芯を把持した後、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が所定の長さで突出する。
このように構成される芯繰り出し装置であっても、基本的には芯が所定長さで突出でき、突出長さを安定させることが可能である。
【0012】
また、芯が自重落下によりストッパーの当接部に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があるが、上述したようにこの現象とは別に芯が後退側に引き込まれる現象がある。
この後者の現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの当接部と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が存在し、芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段を設けることによって問題が解消可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図5は本発明の第1の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第1の実施形態である芯繰出し装置は、図1に示すように、軸筒1、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース14、ノックカバー18等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
【0014】
図に示されるように、固定筒10は、外径方向に略矩形状に突出した鍔部10aを有し、その鍔部10a後方の円筒状の両側部にリブ状のガイド部(図示せず)が形成され、鍔部10aの前端には細径の先筒部10bが形成されている。この先筒部10bの内孔には、締め部として締めリング8が係止や圧入等の手段によって固定されている。
前記締めリング8は筆記具の全体を細くするなどの設計都合によって薄肉の金属製の筒体で形成されるが、本発明の構成としては必ずしも必要ではなく、先筒部10bの内孔締め部として一体に形成することもできる。
チャック7は、通常のシャープペンシルに使用されるチャックと同じであり、把持部7aの外周には二つ割または三つ割のスリットが形成され、拡縮可能に形成されている。
把持機構6は次のように形成されている。
チャック7を固定筒10に固定した締めリング8に挿通し、把持部7aの外周を締めリング内周に係合させると共に、固定筒10の後方からチャック7の後方軸部外周にチャックスプリング11を装着し、固定筒10の前方に形成された内段部にチャックスプリング11の前端を当接させ、チャックスプリング11の後端をチャック継手12の軸部12aの前端に当接させた状態で、チャック7の後端部をチャック継手12の軸部12aに設けられた係止孔に係止や圧入等の手段によって固着させて、固定筒10に対しチャック継手12が前後動するように形成されている。
【0015】
次に、スライダー3について説明する。
スライダー3は、図に示すように後部材5、先部材4、ガイドパイプ4b、ストッパー4aから構成されている。
このスライダー3は、細径の先部材4の内孔の略前端に弾性体よりなるストッパー4aが装着されている。そして、このストッパー4aの後端を押さえるようにガイドパイプ4bの前方部が先部材4の内孔に固定されている。
一方、後部材5は、前端に細径の軸部5b、段部5cを介してその後方に大径の筒部が形成されると共に筒部の側面には後端に開口した窓部が2箇所以上で設けられ、窓部で囲まれた部分が脚部5aとして形成されている。
この後部材5の軸部5bに形成された孔部に先部材4の後方軸部外周が挿入固定されてスライダー3が形成されている。
尚、スライダー3は、ガイドパイプ4bの内孔とストッパー4a内孔を通じて芯が挿通するが、所定の押圧力以下では芯の先端がストッパー4aの当接部4cに当接して、芯が挿通しないように構成されている。このストッパー4aは、基本的には弾性変位可能なゴムや軟質の合成樹脂等の材質で形成されている。
【0016】
次に、本発明の全体の構成について説明する。
軸筒1の前端部外周には螺子部が形成され、前端部内周にはリブ状のガイド部(図示せず)が形成されている。また、螺子部の後方に所要箇所で孔1aが穿設されている。
先ず、軸筒1の前端に固定筒10の鍔部10aの後端を当接させた状態で上述した芯把持機構6が軸筒1の前方から挿入され、鍔部10a後方のリブ状のガイド部が軸筒1のリブ状のガイド部に係合して、軸筒1に対して固定筒10は回転止めされる。
続いて上述したスライダー3が軸筒1の前方から挿入される。このとき、後部材5の窓部に固定筒10の鍔部10aの矩形状両側面が嵌入した状態で挿入される。
また、後部材5の段部5cに後端を当接させた状態でスプリング9が装着され、軸筒1前端の螺子部に螺合して口先部2が固定される。その際、先部材4の前方部が口先部2の前端孔から適宜長さで突出すると共に、スプリング9の前端が口先部2の内孔前方に設けられた段部に当接し、固定筒10の鍔部10aが軸筒1の前端と口先部の後方に設けられた段部との間に狭窄されて軸筒1に対して固定筒10の固定状態が完了する。
また、この状態でスライダー3はスプリング9によって後方側に附勢されると共に、スプリング9の附勢力に抗して前方側に可動可能となされている。
【0017】
また芯ケース14は、図に示すように長い筒状体で、前方外周に鍔状の段部14aを有し、その段部の前方に所要箇所で孔14cが穿設され、更に前方に所要箇所でスリットを設けて弾性片が形成され、その弾性片の前端外周にテーパー状前面とその後面に段部を備えた係止部14bが形成されている。
この段部14aの前端に後端を当接させた状態で芯ケース前方外周にリターンスプリング15が装着され、続けて芯ケースの前端から係止部14bを縮径した状態に弾性変形させてリング継手13が装着され、リング継手13の前端が係止部14bの段部に係合して前記リターンスプリング15が適宜圧縮された状態で敷設される。
芯ケース14は軸筒1の後方から挿入され、前記リング継手13の前方外周が後部材5の後端内周に嵌挿し、やや大きめに形成された後方外周の前端が後部材5の後端に当接状態となり、更に芯ケース14の係止部14bが後部材5の窓部に嵌入した状態となる。
また、芯ケース1は、後端外周と軸筒1の内周との間にリブや溝を設けて係合させるなどの手段で、軸筒1に対して芯ケース14が前後動自在で回転止めされるようになされ、また、芯ケース14の後端が後述する回転筒体17の前端に当接して芯ケース14が後方に離脱しないなどの手段が設けられている。
【0018】
軸筒1の後端孔内周には螺子部が形成され、そこに回転筒体17が螺合され(図示せず)、上述した芯ケース14の後端に回転筒体17の前端が当接される。回転筒体17は、軸筒1の後端に突出した摘み部17aを有し、この摘み部17aを回動することによって軸筒1に対して前後動するが、軸筒1の螺子部に螺合する螺子部の上部にOリング(ゴムや軟質合成樹脂製の弾性体など)が止着されており、軸筒の孔部内周に対して適宜な摩擦抵抗によって不用意に回動しないように配慮されている。
芯ケース14の後端に回転筒体17の前端が当接された状態から、筒状の消しゴム受け体16が回転筒体17の後端から挿入され、その前方の軸部16bが芯ケース14の後端孔に相互間が回転止めされた状態で固定される。
ところで、回転筒体17の内孔周面にはリブが形成され(図示せず)、また消しゴム受け体16の軸側面にリブ16aが形成されており、回転筒体17をほぼ一回転回動したときに、相互のリブが当接して回動が阻止されるように回動が規制されている。このほぼ一回転の回動で前後動する回転筒体17に連動して芯ケース14は前後動することになる。 尚、回転筒体を回動規制する手段は上述した実施形態に限らず設けることが可能であり、回動範囲も一回転に限るものではない。また基本的には、芯ケース14を適宜範囲で前後動させる調節機構は様々な手段で設けることが可能である。
また、消しゴム受け体16後端の軸部16cの孔部に消しゴム19が着脱可能に止着され、軸部16cの外周にノックカバー18が着脱可能に止着されている。
【0019】
次に、図1〜図5に基づいて、第1の実施形態の芯繰り出し装置の動作を説明する。
また、図6は先部材の構造を拡大して示している。
まず、図1及び図2はスライダーの先部材4の前端に芯21の前端がやや突出した作動初期の状態を示している。
この状態からノックカバー18をノックして芯ケース14を前進させ、スプリング9を圧縮して、スライダー3を前進させる。(スプリング9の附勢力に対して、芯ケースの段部14aとリング継手13の後端との間に設けられたリターンスプリング15の附勢力が十分強く設定されている。)
図3に示すように、前進によってスライダーの後部材5に設けられた段部5cが口先部2の内段部2aに当接する。この状態までリターンスプリング15は敷設された状態を維持している。
また、芯把持機構6は静止した状態を維持し、芯21を把持しているので、芯21の前端は先部材4の前端から没入し、ストッパー4aの当接部4cに位置した状態となる。
【0020】
図4に示すように、スライダー3の前進が阻止された状態からノック操作によって芯ケース14がさらに前進すると、リターンスプリング15を圧縮しながら芯ケース14が前進し、芯ケース14の係止部14b前端がチャック継手12の後端に当接状態となる。
【0021】
また図5に示すように、芯ケース14の係止部14b前端がチャック継手12の後端に当接した状態からノック操作によって芯ケース14がさらに前進すると、チャックスプリング11圧縮してチャック継手12と伴にチャック7が前進し、把持部7aの外周が締めリング8の締め付けから開放されて芯21の把持が解除される。
そして、芯21の把持が開放されると、芯21は自重で落下して、芯21の前端がストッパー4aの当接部4cに当接した状態となる。当接部4cにかかる所定の押圧力は、最小で当接部4cへの芯の自重による当接力である。
その状態からノック操作を解除して、芯ケース14を後退させると、スライダー3が最前進位置に保持されたまま、芯ケース14とチャック継手12が後退し、再び芯21が把持される。また、その状態からリターンスプリング15の圧縮状態が解除され、初期の敷設状態に戻り、その時点からスライダー3が後退可能となる。また、それと共にスプリング9の復帰力によって芯ケース14と伴にスライダー3が後退して初期の状態に戻る。
以上の動作から解るように、先部材4の前端から突出する芯21の長さ(突出量)は、基本的には後部材5の段部5cが口先部2の内段部2aに当接する間隔(以下A寸法と呼ぶ)から先部材4の前端とストッパー4aの当接部4cとの間隔(以下B寸法と呼ぶ)を差し引いた長さである。
【0022】
以上のように、本発明の芯繰り出し装置は、ノック操作により芯が一定長さで筆記具先端から突出され、且つノック操作を繰り返しても芯が一定長さに維持されるので、芯折れの問題や筆記中に無意識にノックして芯を繰り出してしまう問題が無く、先端が容易に視認されて使い勝手が良く、細い芯であってもチャックの把持部によって、芯が破損、損傷を受ける懸念がない。
しかしながら、上記A寸法やB寸法は部品の精度誤差等によってバラツキがあり、従って芯の突出量は個々の芯繰出し装置によってバラツキがある。
芯の突出量を一定とするための手段は何通りかあるが、A寸法を調節するのがもっとも容易であると思われる。その具体的な手段として、上述したように回転筒体17の摘み部17aを回動することによって芯ケース14を前後動し、それと連動してA寸法を調節することができ、芯の突出量を一定とすることが可能となる。
また芯の突出量は、芯の種類(芯径、硬度、色など)や芯繰出し装置を使用する人の好みによって異なるのでそのような調節機構が必要である場合と、芯の突出量が適正な状態で固定化されるのが望ましい場合とあり、それぞれニーズに合わせて提供可能である。
【0023】
また、上述したように、ノック操作部を最前進して、芯が自重落下によりストッパー後端に当接した状態から、ノック操作を解除してノック操作部が後退する際に、チャックが芯把持開放状態から芯把持状態に後退するときに芯とチャックの把持部との摩擦係合で芯を後退側に引きずり込む現象があり、ストッパーの後端と芯の前端との間に微小な隙間を生じる。この現象はノック操作の繰り返しに対してほぼ一定した隙間状態にあるので、その誤差分を見込むことによって芯の突出量を一定にすることに支障はない。即ち、厳密には、芯の突出量は、A寸法からB寸法と誤差分を差し引いた長さとなる。
また更に、上述したように、更にその現象とは別に芯が後退側に引き込まれる現象がある。 この現象によって、芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じ、結果として芯の突出長さが一定しない問題が確認された。そのことから、本発明は、この現象による問題を解消するために、軸筒1の側面に孔1aを穿設し更に芯ケース14の側面に孔14cを穿設することによって芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象によるバラツキが解消可能となった。
また、リング継手13の後方外周に所要箇所で溝13aを設けているが、これは軸筒1の孔1aから芯ケース14の孔14cへの通気流路を十分確保するために設けられたものである。
【0024】
図7乃至図12は本発明の第2の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第2の実施形態である芯繰出し装置は、図6に示すように、軸筒30、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース32、ノックカバー34等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
この第2の実施形態である芯繰出し装置は、第1の実施形態である芯繰出し装置とほぼ同じ構成であり、以下相違点のみ説明する。
芯把持機構6及び芯ケース32が急速に戻る際に芯ケース内の空気圧が変動する影響と推察される芯の引き込み現象に対して、当該実施形態は、消しゴム受け体33後端の軸部33aの内孔部に溝状の通気路33bを形成すると共に、軸部33aに止着されるノックカバー34の側面に孔34aを穿設して、芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象による芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じる問題が解消され、結果として芯の突出量を一定とすることが可能となる。
【0025】
図13乃至図20は本発明の第3の実施形態にかかる芯繰出し装置を示している。
この第3の実施形態である芯繰出し装置は、図13に示すように、前軸40と後軸41を螺合してなる軸筒、口先部2、スライダー3、芯把持機構6、芯ケース42、ノックカバー18等の部品あるいは部品ユニットから構成されている。
この第3の実施形態である芯繰出し装置も第1の実施形態である芯繰出し装置とほぼ同じ構成であり、以下相違点のみ説明する。
軸筒が前軸40と後軸41を螺合により接続して設けられ、その接続部に外気と軸筒内を通気する通気口43が形成され、この通気口43から芯ケース42前端のスリット部42aを通じて芯ケース内に外気が適宜通気されることによって、この現象による芯がチャックで把持されたときにストッパーの後端と芯の前端との間にバラツキの大きな隙間を生じる問題が解消され、結果として芯の突出量を一定とすることが可能となる。
尚、芯ケース内を外気と通気する手段は上述した実施形態だけに限定されない。
【0026】
上述した実施形態の芯繰り出し装置をあらためて概説すると、
ノック操作部の所定距離前進まで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、ノック操作部と連動してスライダーが前進して芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となり、ノック操作部を前記所定距離から更に前進すると、ノック操作部とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、ノック操作を解除してノック操作部の後退時には、チャックが後退して芯把持機構が芯を把持した後に、芯ケースとともにスライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる芯繰り出し装置。となる。
しかしながら、ノック操作部とスライダーを直接連動するように設け、また、ノック操作部と芯ケースを一体や連動するように設けて、スライダーと芯ケースが間接的な連動関係となるようになすこともできる。
また、上述した実施形態に於いて、ノック操作部が芯ケースの後端に一体化されているが、ノック操作部は軸筒の側面にノック釦として設けることもできる。また、指によってノック操作するようになされているが、重り等によるハンマー作用や電動等の作動力を使用してノック操作を可能とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図6】スライダー前端の先部材の内部構造を拡大して示した断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図8】第2の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図9】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図11】第2の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図12】通気路部位を示す断面斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置全体を示す縦断面図である。
【図14】第3の実施形態である芯繰り出し装置の初期状態に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図15】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進初段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図16】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進中段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図17】第3の実施形態である芯繰り出し装置のノック前進最終段階に於ける芯繰り出し装置前方部を示す断面図である。
【図18】軸筒の接続部を示す断面斜視図である。
【図19】芯ケースの搬断面図である。
【図20】芯ケースの外観を示す斜視図である。
【図21】従来のシャーペンシルの一般的な芯繰り出し装置の断面図である。
【図22】実開昭55−99887で提案されている筆記芯ホルダーの断面図である。
【図23】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【図24】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【図25】図22に示した筆記芯ホルダーの動作状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 軸筒
1a 孔
2 口先部
2a 内段部
3 スライダー
4 先部材
4a ストッパー
4b ガイドパイプ
4c 当接部
5 後部材
5a 脚部
5b 軸部
5c 段部
6 芯把持機構
7 チャック
7a 把持部
8 締めリング
9 スプリング
10 固定筒
10a 鍔部
10b 先筒部
11 チャックスプリング
12 チャック継手
12a 軸部
13 リング継手
13a 溝
14 芯ケース
14a 段部
14b 係止部
14c 孔
15 リターンスプリング
16 消しゴム受け体
16a リブ
16b 軸部
16c 軸部
17 回転筒体
17a 摘み部
18 ノックカバー
19 消しゴム
20 Oリング
21 芯
30 軸筒
31 リング継手
32 芯ケース
33 消しゴム受け体
33a 軸部
33b 溝状の通気路
34 ノックカバー
34a 孔
40 前軸
41 後軸
42 芯ケース
42a スリット部
43 通気口
123 軸筒
124 軸継手
125 チャック
126 締め具
127 芯ケース
128 チャックスプリング
129 芯
130 口先部
130a 段部
131 スライダー
131a 軸部
132 先端パイプ
133 保持チャック
151 軸筒
151a 通孔
152 テーパー孔
153 チャック
154 芯ケース
154a 孔
155 芯
156 環状突起
157 コイルスプリング
158 コイルスプリング
159 支持腕
160 ストッパー
161 キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる芯繰り出し装置。
【請求項2】
芯繰り出し装置の外装となる軸筒側面と軸筒内に内装される芯ケースの側面にそれぞれ通気口が形成されてなる請求項1に記載の芯繰り出し装置。
【請求項3】
内蔵芯が漏れないように芯ケースの後端孔が閉塞されると共に、芯ケースの後端孔に外気が通気する通気路が形成されてなる請求項1に記載の芯繰り出し装置。
【請求項1】
ノック操作に連動してスライダーが所定距離前進し、芯の前端がストッパーの当接部から離れる状態となるまで芯把持機構は芯を把持し、かつ固定された状態を維持すると共に、この状態からノック操作を更に進めると、ノック操作とともに芯ケースと連動してチャックが前進すると共に芯把持機構が芯の把持を解放し、芯の自重落下により芯がストッパーの当接部に当接し、この状態からノック操作を解除すると、芯ケースとチャックが後退して芯把持機構が芯を把持し固定された後に、スライダーが初期位置まで後退して芯がストッパーの当接部を挿通し、スライダーの前端から芯が一定の長さで突出可能となるように構成された芯繰り出し装置であって、芯挿通前方開口孔以外の箇所で芯ケース内に外気が適宜通気するように通気手段が設けられてなる芯繰り出し装置。
【請求項2】
芯繰り出し装置の外装となる軸筒側面と軸筒内に内装される芯ケースの側面にそれぞれ通気口が形成されてなる請求項1に記載の芯繰り出し装置。
【請求項3】
内蔵芯が漏れないように芯ケースの後端孔が閉塞されると共に、芯ケースの後端孔に外気が通気する通気路が形成されてなる請求項1に記載の芯繰り出し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2006−21327(P2006−21327A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198715(P2004−198715)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】
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