説明

芳香器

【課題】 特に若い女性向けに需要の多い芳香器に、携帯電話やPHSなどの携帯端末機を充電させる充電機能を備えた実用性のある多機能芳香器を提供することにある。
【解決手段】 電源からの電力を芳香発生のために使用する芳香機能と、電源からの電力を接続させた携帯端末機の充電へ使用する充電機能とを備えた芳香器であって、芳香器起動時に出力電圧及び出力電流を漸次増加させて、多段階に分けて起動させるための多段階起動回路(制御装置)を備えたことを特徴とする。また、芳香機能として芳香剤の揮散する揮散装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPHSなどの携帯端末機の充電器や、ライト等の照明器具としても使用することのできる芳香器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
よい香りや自分の好きな香りをかぐと気持ちが落ち着いてリラックスできる作用がある。ストレスの多い現代にあってはこの香りを利用してストレスを発散させたり、自宅や職場で気持ちよく過ごすために、様々な芳香器が開発され販売されている。
【0003】
一方、携帯電話やPHSなどの携帯端末機もここ数年の間にかなりの数で普及している。これら携帯端末機には、バッテリーの充電がつきものである。とくに、高速データ通信の可能な第3世代の携帯電話では電力消費量も多くなるので、その分充電の頻度も高くなる。
【0004】
ところで、一般的に携帯端末機の充電は、付属するACアダプターをコンセントに差し込むことで行われる。しかしながら、コンセントの数が必ずしも十分にあるとは限らない。とくに、若者の住むようなワンルームマンションではコンセントの数が少なく、携帯端末機や他の電化製品との間でコンセントのやりくりが大変であることが多い。
【0005】
これに対して、下記にあげる特許文献1では、携帯電話の充電器を利用でき且つ電気機器を照明することの可能な照明器具が開示されている(図6を参照)。また、同特許文献2(とくに図3)でも、携帯電話の充電器ホルダーを備えた電気スタンドが開示されている(図7を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−55361公報
【特許文献2】実用新案登録第3080426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、特許文献1に示す照明器具や特許文献2に示す電気スタンドを発想した点は素晴らしい。しかし、これらの発明が実際に実用性を有するか疑問である。
すなわち、特許文献1では、「携帯電話4用の充電器6により電源を供給できるようになっている点に特徴がある」と主張している(明細書[0018]第1文)。しかし、一般的に携帯電話の充電器(ACアダプター)は500〜800mAであることが多いため、特許文献1に示すような照明器具へ直接に携帯電話の充電器(ACアダプター)を使用すると、充電器が急激な負荷変動により過電流保護に入ってしまうおそれが考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記のような課題を解決して、特に若い女性向けに需要の多い芳香器に、携帯電話やPHSなどの携帯端末機を充電させる充電機能を備えた実用性のある多機能芳香器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、電源からの電力を芳香発生のために使用する芳香機能と、電源からの電力を接続させた携帯端末機の充電へ使用する充電機能とを備えた芳香器であって、芳香器起動時に出力電圧及び出力電流を漸次増加させて、多段階に分けて起動させるための多段階起動回路を備えたことを特徴とするものである。ここで「携帯端末機」には、携帯電話やPHSの他に、PDAやノートパソコン、音楽再生機のようなものも含まれる。なお、携帯電話以外を使用する場合、それぞれ専用のコネクタ(例えばUSBなど)を設けることにより使用可能となる。
第2の発明は、電源として、充電する携帯端末機に付属の携帯端末機用ACアダプターを用いてコンセントから電力を得ることとしたことを特徴とするものである。
第3の発明は、各種携帯端末機用ACアダプターに対応したアダプター接続口を備えたことを特徴とするものである。
第4の発明は、携帯端末機用ACアダプターの複数同時接続を防止するための多重接続防止機能を備えたことを特徴とするものである。
第5の発明は、芳香機能として、芳香剤の揮散する揮散装置を備えたことを特徴とするものである。
第6の発明は、揮散装置に、発熱を伴う発熱体を備えたことを特徴とするものである。ここで「発熱体」は芳香剤の揮散を促進させるものであり、例えば、豆球,LED,ヒーターなどがある。
第7の発明は、揮散装置に、発光を伴う発光体を備えたことを特徴とするものである。ここで「発光体」としては、例えば,豆球,電球,LED,ELなどがある。なお、この「発光体」が前記「発熱体」を兼ねる場合もある(例えば、豆球や電球など)。
第8の発明は、揮散装置に、揮散した芳香剤を拡散させる拡散器を備えたことを特徴とするものである。ここで「拡散器」としては、例えば、扇風機(ファン)や送風機などがある。
第9の発明は、備え付けた時計又は/及びタイマーのアラーム信号又はタイマー信号を受信し、芳香機能又は充電機能の作動時間を自在に設定させるための時間設定機能を備えたことを特徴とするものである。ここで「作動時間の設定」とは、作動開始時間又は/及び作動終了時間の設定、1時間や2時間といった作動一定時間の設定などをいう。
第10の発明は、各種携帯端末機に対応した携帯端末機接続口を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を有する。
(1)一台の装置で、芳香機能と携帯端末機の充電機能とを備えた利便性の高い装置を提供できる。例えば、電源をコンセントからとる場合に、目的に応じてその都度コンセントの付け替えをする必要がなくなる。
(2)多段階起動回路を備えることで、携帯端末機用ACアダプターに急激な負荷がかからず、携帯端末機用ACアダプターを正常に起動させることができる。また、発光体(例えば、豆球,電球など)の起動時に急激な負荷がかからず、発光体の劣化を最小限に抑えることができる。さらに、電流定格の低いスイッチでも使用可能である。
(3)携帯端末機用ACアダプターを利用することで、携帯端末機の購入に際して付属品となっている携帯端末機用ACアダプターを有効活用する芳香器を提供できる。また、各種携帯端末機用ACアダプターに対応したアダプター接続口を備えることで、利用者の所持している携帯端末機の機種を問わず、この芳香器を使用できる。さらに、多重接続防止機能を備えることで、携帯端末機用ACアダプターの複数同時接続を防止できる。
(4)芳香機能として揮散装置を備えることで、芳香剤を揮散させることができ、この揮散装置に発熱体を備えることで、芳香剤の揮散を促進させることができる。また、揮散装置に発光体を備えることで、照明(ライト)機能を備えたことにもなる。さらに、拡散器を備えることで、揮散した芳香剤を拡散させることができる。
(5)時間設定機能を備えることで、芳香機能又は充電機能の予約設定を可能にする。
(6)各種携帯端末機に対応した携帯端末機接続口を備えることで、利用者の所持している携帯端末機の機種を問わず、この芳香器を使用して充電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、ここでは、携帯端末機として「携帯電話」を使用して説明する。
【0012】
図1は、本発明の芳香器に関する概念図である。
図示するように、本発明の芳香器は、充電する携帯電話に付属の携帯電話用ACアダプターを使用するため、その携帯電話用ACアダプターを接続可能とするアダプター接続口(携帯電話充電既存コネクタ)を備える。そして、芳香機能と充電機能を切り替えるための切替スイッチを備える。
【0013】
芳香機能には、本発明の特徴である制御装置、すなわち、多段階起動回路を備える。多段階起動回路は、芳香器起動時に出力電圧及び出力電流を漸次増加させて、多段階に分けて起動させるものであり、スローアップ回路ともいう。この多段階起動回路を備えることで、芳香器起動時に携帯電話用ACアダプターに急激な負荷がかからず、ACアダプターを正常に起動させることができるのである。また、芳香剤の揮散する揮散装置に発熱体として発光作用のある電球(ハロゲン球,クリプトン球など)を使用した場合に、起動時に急激な負荷をかけずに当該電球の劣化を最小限に抑えることができるのである。
【0014】
芳香機能には、その他に時計やタイマーを備え付けている。これにより、時計のアラーム信号又はタイマー信号を受信して芳香機能を起動させるタイマー機能を備えることができる。例えば、起床時間の少し前に時計のアラーム又はタイマーをセットすることで、芳香剤が揮散した状態で起床することが可能になり、心地よい目覚めができる。
【0015】
一方、充電機能には接続コードを備え、充電する携帯電話又はその置き台を接続可能とする携帯端末機接続部(コネクタ)を備える。
【0016】
図2は、本発明の芳香器に関する回路図の一例であり、多段階起動回路部分を詳細に記載したものである。多段階起動回路の動作を説明すると、電気が制御回路を通して発光体に供給される時に、この多段階起動回路を通る。多段階起動回路はC1が充電されるまでQ1が動作せず、結果Q2が動作しないので発光体はC1が充電されるまでR6を介して動作する(1段目動作)。そして、C1が充電されるとQ1が動作し、それによってQ2が動作する。Q2が動作した時点で発光体はR6を介さずに動作を始めるのである(2段目動作)。なお、この多段階起動回路を用いた場合の例と用いない場合の例とを比較した電流値のグラフを図3に示す。
【0017】
図4は、本発明の芳香器に関するデザイン図である。
芳香器本体10は、コンセントから電力を得るために携帯電話(充電)用ACアダプター15を接続可能とするアダプター接続口を備える。アダプター接続口は、各種ACアダプターに対応できるように、A社用メスコネクタ12a,B社用メスコネクタ12b,C社用メスコネクタ12cと複数のメスコネクタを備える。なお、符号13は携帯電話充電用ACアダプター15のオスコネクタ、符号14は同充電コード、符号16は同栓刃である。
【0018】
また、アダプター接続口は、複数のメスコネクタに複数同時接続を防止するための多重接続防止機能として多重接続防止カバー11を備える。この多重接続防止カバー11の使用方法を図5および図6で説明する。図5に示すように、多重接続防止カバー11は、一箇所のみに穿孔された接続窓を介して、ACアダプター15のオスコネクタ13をメスコネクタ12bに接続させて使用するものである。これによって、複数のメスコネクタの複数同時接続を防止できる。図6に示すように、多重接続防止カバー11を移動(スライド)可能とすることで、ACアダプター15のオスコネクタ13に対応するメスコネクタに接続窓を位置できる。
【0019】
芳香器本体10は、芳香機能と充電機能を切り替えるための切替スイッチ17を備える。また、その切替スイッチ17に接続された制御装置18を備える。
【0020】
芳香器本体10は、芳香機能として揮散装置を設ける。揮散装置は、本体頂部に上カバー1を設けて、その中に発熱体7を備える。そして、この発熱体7を中心にプレート台6及びプレート5を備える。プレート5には芳香剤4が載置され、発熱体7の発熱によりプレート5上の芳香剤4が熱を受け揮散する。効率のよい揮散のために(自然対流促進のために)、上カバー1には、その下方に吸入穴2,2…及び上方に放出穴3,3…を形成している。また、発熱体7を囲繞するように放熱放出防止カバー8を備えている。さらに、発熱体7が発光体である場合に、効率のよい発光のために、その底面に光拡散板(反射板)9を備える。なお図示省略するが、この揮散装置に扇風機(ファン)や送風機などの拡散器を備えても良い。揮散した芳香剤を拡散させることで、効率よく芳香機能を発揮できるからである。
【0021】
芳香剤4としては、例えば、以下のようなものを使用することができる。
◎香料の分類 水系又は油系香料からなる芳香剤
◎芳香剤の分類 以下の通り
(1)芳香剤をそのままプレートに滴下して、該芳香剤として使う。
(2)芳香剤を吸水性・吸油性を有する物に含ませて、該芳香剤として使う。
(3)芳香剤を親水性・親油性を有するゲル材と混合してゲル状又は固化したものを、該芳香剤として使う。
【0022】
芳香器本体10には、時計19が備え付けられている。そして、時計19には時計アラーム設定スイッチ20,20を備え、所定の時間に芳香機能を起動させるように設定できる。もちろん、単に目覚ましとしてのアラームを設定することも可能である。
【0023】
芳香器本体10は、充電機能として、充電する携帯電話25と接続するための接続コード21を備える。この接続コード21の先端コネクタ22には各種携帯電話25又はその置き台24を接続可能とする携帯端末機接続部(A社用コネクタ23a,B社用コネクタ23b,C社用コネクタ23c)を備える。これによって、携帯電話25の機種を問わず、いずれの携帯電話も充電できる。また、図6に示すように、芳香器本体10はこの接続コード21を収納できる収納ケース26を備える。携帯電話を充電しないときはこの接続コード21を収納ケース26に収納できることで、コード類が嵩張らなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、主に家庭用・個人用の充電機能付き芳香器として広く利用できるものである。但し、これに限らず、業務上のサービスの一環として利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の概念図。
【図2】本発明の回路図。
【図3】電流値を示すグラフ。
【図4】本発明のデザイン説明図。
【図5】アダプター接続口を示す説明図。
【図6】アダプターの多重接続防止機能を示す説明図。
【図7】本発明のその他のデザイン説明図。
【図8】特許文献1に開示された発明を示す説明図。
【図9】特許文献2に開示された発明を示す説明図。
【符号の説明】
【0026】
1 上カバー 14 充電コード
2 吸入穴 15 携帯電話充電用ACアダプター
3 放出穴 16 栓刃
4 芳香剤 17 切替スイッチ
5 芳香剤プレート 18 制御装置(多段階起動回路)
6 プレート台 19 時計
7 発熱体 20 時計アラーム設定スイッチ
8 放熱放出防止カバー 21 接続コード
9 光拡散板(反射板) 22 コネクタ
10 装置本体 23a A社用コネクタ
11 多重接続防止カバー 23b B社用コネクタ
12a A社用メスコネクタ 23c C社用コネクタ
12b B社用メスコネクタ 24 携帯電話用置き台
12c C社用メスコネクタ 25 携帯電話
13 オスコネクタ 26 収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力を芳香発生のために使用する芳香機能と、電源からの電力を接続させた携帯端末機の充電へ使用する充電機能とを備えた芳香器であって、
芳香器起動時に出力電圧及び出力電流を漸次増加させて、多段階に分けて起動させるための多段階起動回路を備えた芳香器。
【請求項2】
電源として、充電する携帯端末機に付属の携帯端末機用ACアダプターを用いてコンセントから電力を得ることとした請求項1記載の芳香器。
【請求項3】
各種携帯端末機用ACアダプターに対応したアダプター接続口を備えた請求項2記載の芳香器。
【請求項4】
携帯端末機用ACアダプターの複数同時接続を防止するための多重接続防止機能を備えた請求項3記載の芳香器。
【請求項5】
芳香機能として、芳香剤の揮散する揮散装置を備えた請求項1から4のいずれかに記載の芳香器。
【請求項6】
揮散装置に、発熱を伴う発熱体を備えた請求項5記載の芳香器。
【請求項7】
揮散装置に、発光を伴う発光体を備えた請求項5,6記載の芳香器。
【請求項8】
揮散装置に、揮散した芳香剤を拡散させる拡散器を備えた請求項5から7のいずれかに記載の芳香器。
【請求項9】
備え付けた時計又は/及びタイマーのアラーム信号又はタイマー信号を受信し、芳香機能又は充電機能の作動時間を自在に設定させるための時間設定機能を備えた請求項1から8のいずれかに記載の芳香器。
【請求項10】
各種携帯端末機に対応した携帯端末機接続口を備えた請求項1から9のいずれかに記載の芳香器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−6562(P2007−6562A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181241(P2005−181241)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(592080903)青木電器工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】