説明

芳香装置

【課題】
本発明の目的は、水平かつ平坦な場所に安定して載置することができ、設置が容易な芳香装置を提供する。
【解決手段】 加熱手段15の発熱部22に電力を供給することによって香炉本体13の胴25内に収容される加熱体14を加熱し、加熱体14内の芳香物質を加熱して香気を発生させる。香炉本体13の高台27よりも香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向内方に、第1および第2電極16,17を一部が弾発的に中心軸線aに沿って突出させて設け、第1および第2電極16,17の残余の部分は胴25内で発熱部22に電気的に接続する。載置台12は、香炉本体13を面方向に位置決めして着脱自在に載置することができ、この載置台12に、香炉本体13を載置した状態で、第1電極16および第2電極17が弾発的に当接する第1および第2端子18,19を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力が供給されることによって芳香物質を加熱し、芳香を発散させる芳香装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図19は、従来技術に係る芳香装置である電気香炉1の斜視図である。図19には、電気香炉1の香炉体2とコンセント体3とを外して示す。香炉体2には、下方へ突出した両極端子棒4が設けられ、コンセント体3には、両極端子棒4が挿入される差込み受け口5が設けられる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平2−116877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気香炉1の香炉体2では、両極端子棒4が下方へ突出しているので、香炉体2を水平かつ平坦な場所に香炉を安定して置くことができないという問題点がある。さらに香炉体2をコンセント体3に取付けるときに、両極端子棒4を差込み受け口5に挿入せねばならず、香炉の設置台への設置が煩雑であるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、水平かつ平坦な場所に安定して載置することができ、さらに設置が容易な芳香装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、胴、腰および高台を有する香炉本体と、
香炉本体の前記胴内に収容され、加熱によって香気を発生する芳香物質を収容して加熱するための加熱体と、
電力が供給されることによって発熱する発熱部を有し、この発熱部の熱によって前記加熱体を加熱する加熱手段と、
前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、一部が弾発的に前記中心軸線の方向に沿って突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される第1電極と、
前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、かつ前記第1電極とは異なる位置から同一方向に一部が弾発的に突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される第2電極と、
前記香炉本体を、面方向に位置決めされた状態で着脱自在に載置することができる載置台と、
前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第1電極が弾発的に当接する第1端子と、
前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第2電極が弾発的に当接する第2端子とを含むことを特徴とする芳香装置である。
【0007】
本発明に従えば、芳香装置は、香炉本体と、加熱体と、加熱手段と、第1電極と、第2電極と、載置台と、第1端子と、第2端子とを含んで構成される。香炉本体は、胴、腰および高台を有して構成される。加熱体は、香炉本体の前記胴内に収容され、加熱によって香気を発生する芳香物質を加熱するために収容可能である。加熱手段は、電力が供給されることによって発熱する発熱部を有して構成され、この発熱部の熱によって前記加熱体を加熱する。第1電極は、前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、一部が弾発的に前記中心軸線の方向に沿って突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される。第2電極は、前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、かつ前記第1電極とは異なる位置から同一方向に一部が弾発的に突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される。載置台は、前記香炉本体を面方向に位置決めされた状態で着脱自在に載置することが可能である。第1端子は、前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第1電極が弾発的に当接する。第2端子は、前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第2電極が弾発的に当接する。
【0008】
また本発明は、前記第1および第2電極を下方に向けて弾発的に押圧する弾性部材をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明に従えば、芳香装置は、弾性部材を含んで構成される。弾性部材は、電極を下方に向けて弾発的に押圧する。
【0010】
また本発明は、前記第1および第2端子のうち一方の端子は、円環状に形成され、
前記第1および第2端子のうち他方の端子は、一方の端子の円環の中心位置を含む位置に配置されることを特徴とする。
【0011】
また本発明に従えば、第1および第2端子のうち一方の端子は、円環状に形成される。第1および第2端子のうち他方の端子は、一方の端子の円環の中心位置を含む位置に配置される。
【0012】
また本発明は、載置台の香炉を支持する支持表面部のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部に平行な前記面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部に垂直な方向に隆起する隆起部が設けられることを特徴とする。
【0013】
また本発明に従えば、芳香装置において、香炉を支持する支持表面部のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部に平行な前記面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部に垂直な方向に隆起する隆起部が設けられる。
【0014】
また本発明は、前記香炉本体には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明に従えば、香炉本体には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、芳香装置は、香炉本体を面方向に位置決めされた状態で着脱自在に載置することができる載置台と、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第1電極が弾発的に当接する第1端子と、前記第2電極が弾発的に当接する第2端子とを有するので、電極を端子に確実に接触させることができる。したがって、電極および端子を含めた電力供給路の形成を確実にすることができる。また、従来技術のように、載置台に設けられた凹部に、香炉の電極を挿入することによって電力の供給路が形成される場合に比べて、香炉の載置台への載置を容易にすることができる。また本発明によれば、芳香装置が、香炉本体を含んで構成されているので、加熱体に対して外方から不用意に物体が近接した場合であっても、加熱体に物体が接触することを防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、香炉は、第1および第2電極を下方に向けて弾発的に押圧する弾性部材を含んで構成されているので、弾性部材が設けられていない場合に比べて、電極が端子を押圧する押圧力を大きくすることができる。したがって、弾性部材が設けられていない場合に比べて、第1および第2電極を第1および第2端子に確実に接触させることができ、電極を含めた電力供給路の形成を確実にすることができる。
【0018】
また本発明によれば、第1および第2端子のうち一方の端子は、円環状に形成され、第1および第2端子のうち他方の端子は、一方の端子の円環の中心位置を含む位置に配置されるので、第1および第2電極のうち1つを第1および第2端子のうち一方の端子に、第1および第2電極のうち他の1つを第1および第2端子のうち他方の端子に接触させることができる。したがって、第1および第2端子のうちの他方の端子を通り、支持表面部に垂直な直線まわりに香炉が角変位することを、許容することができる。これによって、電極が第1および第2端子に接続された状態で、香炉の姿勢の変化を許容することができるので、第1および第2電極と第1および第2端子との接続を容易に行うことができる。またこれによって、接続をやり直す必要がなくなり、端子や電極に掛かる負担を軽減し故障を低減することができる。
【0019】
また本発明によれば、載置台の香炉を支持する支持表面部のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部に平行な前記面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部に垂直な方向に隆起する隆起部が設けられることから、前記第1端子と前記第2端子とを除く残余の部分との間に段差が形成される。これによって、前記第1および第2電極が第1および第2端子に接触した状態で、前記段差は、両電極が両端子からずれることを防止することができる。これによって、両電極と両端子との接続が解除されることを防ぐことができる。したがって、形成された電力供給路を維持することができる。
【0020】
また、載置台の支持表面部のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部に平行ないずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部に垂直な方向に隆起する隆起部が設けられることから、支持表面部上に導電性を有する物体が接触した場合において、前記第1端子と第2端子とが導通される可能性を低減することができる。これによって、不所望な温度上昇が生じる可能性を低減することができる。
【0021】
また、前記第1および第2端子は、載置台の支持表面部に形成されるので、前記第1および第2端子が載置台に凹状に形成されている場合に比べて、両電極を両端子に接続および両端子から接続を解除する際に摺動させる必要がなく、両電極および両端子の故障を低減することができる。また、接続および接続を解除する際に摺動させる必要がないので、接続および接続の解除を容易にすることができる。したがって、加熱体内に収容される香や灰などをこぼさずに接続を解除することができる。
【0022】
また本発明によれば、香炉本体には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成されている。これによって、加熱体近傍の香炉本体から、接触部近傍の香炉本体に移動する熱の移動方向に垂直な、香炉本体の断面の断面積を小さくすることができる。また、香炉本体から香炉本体に伝達される熱を、連通孔を通じて外方に放出することができる。したがって、加熱体および発熱部の熱が、加熱体および発熱部からその他の部分に伝えられる速さを遅くすることができる。したがって、連通孔が形成されていない場合に比べて、芳香装置を長時間にわたって使用した場合の芳香装置の温度上昇を、抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0024】
図1は、本実施形態に係る芳香装置10の断面図である。図2は、本実施形態に係る芳香装置10の正面図である。図3は、本実施形態に係る芳香装置10の底面図である。図4は、本実施形態における芳香装置10を、図3に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。また図4は、本実施形態に係る芳香装置10の下部の断面を示している。
【0025】
本発明における芳香装置10は、香炉11と載置台12とを含んで構成される。芳香装置10は、たとえば宗教儀礼に用いられる香を焚くための装置であって、祭壇に設置されて用いられる。
【0026】
本発明における香炉11は、後述する香炉本体13や加熱体14などを含んで構成される。香炉11は、粉末、または粉末を圧縮して固めた状態の香等をランプや電熱線等で加熱し、燃焼させることによって、香り成分を発散させる目的で用いる器である。前記粉末を圧縮して固めた状態の香は、棒状、渦巻き形状、円錐状等のいずれの形状の香も含む。
【0027】
載置台12は、香炉11を安定して載置するための台であって、香炉11を安定して載置するための載置部と、載置部を支える支持部とからなる。
【0028】
本実施形態において、芳香装置10は、香炉本体13と、加熱体14と、加熱手段15と、第1電極16と、第2電極17と、載置台12と、第1端子18と、第2端子19とを含んで構成される。香炉本体13は、加熱体14および加熱体支持部材を含んで構成される。香炉本体13には、加熱体14および加熱体支持部材29などを設置できる内部空間20が形成される。加熱体14には、上部が開放される凹所21が形成され、加熱体14は、凹所21に芳香物質を収容可能である。加熱手段15は、発熱部22を含んで構成され、発熱部22は、電力が供給されて稼動することによって発熱し、加熱体14の一部を加熱する。第1電極16および第2電極17は、香炉本体13よりも下方に突出して配置され、加熱手段15に電力を供給するための供給路の一部を形成する。載置台12は、第1端子18、第2端子19および隆起部23とを含んで構成される。
【0029】
香炉11は、使用されるときにも使用が終了して保管されるときにも、同じ姿勢で載置される。香炉11の大きさおよび重さは、人手によって支持および移動可能に設定され、載置台12への載置、および載置台12からの取外しは、人手によって行われる。たとえば香炉11を使用し、芳香物質を燃焼させたときには、芳香物質の灰が香炉内に残る。第1実施形態において芳香装置10は、室内で使用され、また室内で保管される。したがって、香炉11を載置台12に載置するため、あるいは保管するために支持および移動させたときに、加熱体14内の灰は、散逸しにくいことが望まれる。
【0030】
香炉11を載置台12に載置したときの香炉11の状態を「載置状態」と称する。以下、載置状態における香炉11について説明する。
【0031】
以下の記載において「略水平」は「水平」を含む。
香炉本体13は、載置状態において後述する仕切り部24の周辺で香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向内方に向かってくびれる部分を有する杯状に形成され、内部空間20を半径方向外方から覆うように形成される。香炉本体13は、胴25、腰26および高台27と称される部分を含んで構成される。胴25は、載置状態における香炉本体13において、腰26および高台27よりも上部に位置する部分である。胴25は、香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向外方に凸に湾曲する部分を有して形成される。腰26は、載置状態における香炉本体13において、胴25と高台27との間の部分である。腰26は、前記香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向内方にむけて、凸に湾曲してくびれる。高台27は、腰26の下方に位置する部分である。胴25と腰26と高台27とは、互いに接続される。香炉本体13には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成されてもよい。
【0032】
加熱体14は、伝熱性の高い耐熱性材料、たとえばセラミックスから成る。加熱体14は、椀状であって、上方に向かうにつれてその内径が拡大する。加熱体14は、香炉本体13内部の上部近傍に設けられ、後述する加熱体支持部材29によって支持される。また、加熱体14の上部には、香を載置きするための凹所21が設けられ、凹所21の最上部には、上方に向けて開放された開口を形成する開口部28が設けられる。開口が形成されていることによって、芳香物質を出し入れしやすく、空気の対流によって芳香を発散させることができる。開口は上方に向けて開放されているものに限らない。
【0033】
加熱手段15は、加熱体14と、後述する加熱体14内部に形成される発熱部22とによって実現される。
【0034】
電極は、端子と接触することによって発熱部22に電力を供給する電力供給路を形成する。本実施形態において第1電極16および第2電極17は、それぞれ前記高台27の下面よりも下方に突出可能である。本実施形態において、第1電極16は、香炉本体13の中心軸線a上の位置に設置され、第2電極17は、第1電極16よりも香炉本体13の中心軸線a上に関する半径方向外方に形成される。第1電極16および第2電極17は円柱形状に形成される。
【0035】
また、電極は、数十グラム〜数百グラムである香炉の自重に基づいて下方からの力が付与されれば、上方に引っ込むように形成される。電極は、香炉の自重を付与した場合に、曲がったり折れたりしない程度に太く形成される。本実施形態において、電極はその直径が1.5ミリメートル(millimeters,略号「mm」)以上3.5mm以下、好ましくは2.5mmの導体で形成される。載置した場合に電極の底面は水平になることで、電極の端子への接触が安定に実現され、これによって電力供給路の形成を確実にすることができる。
【0036】
本実施形態において、香炉11は、弾性部材30を含んで構成される。弾性部材30は、電極を下方に向けて弾発的に押圧する。弾性部材30は、電極が香炉の自重に基づく下方からの力によって上方に押し上げられれば、その押し上げる力によって上方に引っ込む。弾性部材30は、下方からの押し上げる力によって上方に引っ込んだ場合には、押し上げる力に反発して、電極を下方に向けて押圧する。
【0037】
香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向内方に設けられる、香炉本体13の内部空間20は、後述する仕切り部24によって上部空間31と下部空間32とに規定される。上部空間31は、仕切り部24よりも上方に形成され、下部空間32は仕切り部24よりも下方に形成される。加熱体14、発熱部22、加熱体支持部材29および後述する基部33は、上部空間31内に形成される。
【0038】
載置台12は、円板状に形成され、香炉11を支持する支持表面部34を有し、第1端子18と、第2端子19と、貫通孔35が設けられる基板36と、第2端子の外方に設けられる基板37とを含む複数の部材から構成される。第1端子18および第2端子19は、発熱部22に電力を供給するための供給路の一部を形成し、載置台12の支持表面部34の一部として形成され、香炉11の電極に電気的に接続可能である。基板37は、中心軸線aに関し半径方向外方に段差部57を含んで形成される。段差部57には、後述する載置面41が形成される。
【0039】
図5は、載置台12の第2端子外方に設けられる基板37の正面からみた断面図である。図6は、図5の平面図である。図7は、載置台の貫通孔が設けられる基板36の断面図である。図8は、基板36の底面図である。図9は、第2端子19の断面図である。図10は、図9の平面図である。
【0040】
載置台12は、経机や仏壇に一体として形成されていてもよく、また載置台12として単体で形成されていてもよい。載置台12を所定の重量として形成することによって、載置台12が単体で形成されて仏壇に対して変位可能な場合にも、香炉11を安定して載置することができる。載置台12が祭壇などに組込まれる場合には、載置台12が祭壇に固定されて、外方から力が加わっても転倒しにくいので、香炉11を安定して載置できる。載置台12は、載置台12に設置される香炉11に臨む載置台表面部を含んで構成される。
【0041】
図11は、載置状態において、載置台12の香炉本体13の中心軸線aを含む位置に設けられる一方の電極の全体図である。本実施形態において、載置台12に関して、載置状態における香炉本体13の中心軸線に一致する仮想的な直線をも、香炉本体13の場合と同様に「中心軸線a」と称する。図12は、載置状態において、載置台12の香炉本体13の中心軸線aに関して半径方向外方に設けられる他方の電極の全体図である。2つの電極は、中心軸線aに沿って貫通して形成され、2つの電極のうち一方の電極である第1電極16は、載置状態における、香炉本体の中心軸線aを含む位置に設けられる。2つの電極のうち他方の電極は、香炉本体13の中心軸線aから半径方向外方にずれた位置に設けられる。
【0042】
香炉本体13の中心軸線aを含む位置に配置される一方の電極48は、大径部48aと中径部48bと小径部48cとから構成される。大径部48aの一端部と中径部48bの一端部とは、機械的に接続される。中径部48bは、大径部48aと接続される一端部とは逆の他端部において小径部48cの一端部と機械的に接続される。電極48は、大径部48a、中径部48b、小径部48cの順に接続されることにより、下方に向かって先細状となる形状に形成される。大径部48aと中径部48bと小径部48cとは、一体に形成されてもよい。
【0043】
香炉本体の中心軸線aから半径方向外方に配置される他方の電極49は、円柱形状に形成される。両電極は、載置状態において載置台側の一端部において、第1端子18およびと電気的に接続される。香炉11の第1電極16は、載置台12の第1端子18に接触して接続され、香炉の第2電極17は、載置台12の第2端子19に接触して接続される。第1および第2電極と、第1および第2端子とは、香炉の発熱部22に供給される電力の供給路の一部を構成する。
【0044】
載置台12の支持表面部34のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、隆起部23が形成される。隆起部23は、前記支持表面部34に平行な面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記端子よりも前記支持表面部34に垂直な方向に隆起する。
【0045】
載置台12の、前記複数の基板のうち、貫通孔が設けられる基板36は、載置状態において、香炉本体13の中心軸線aを含む位置と、中心軸線aから周方向外方の位置とに貫通孔35,51が設けられる。貫通孔35と貫通孔51との間には隆起部23が形成される。基板36は、たとえばポリアセタールまたはポリアセタールコポリマーを含む樹脂で形成される。貫通孔内には、後述する2つの電極がそれぞれ設置される。中心軸線aを含む位置に設けられる貫通孔35は、大径孔35aと小径孔35bとからなり、大径孔35aと小径孔35bとの接続部分に両孔の内径の差によって段差が形成される。大径孔35aの内径は、電極48の大径部48aの外径とほぼ等しく形成され、小径孔35bの内径は、電極48の中径部48bの外径とほぼ等しく形成される。
【0046】
大径孔35aと小径孔35bの接続部分に段差が設けられることにより、大径孔35aの内径とほぼ等しい外径の大径部48aはその段差に引っかかるので、電極48が中心軸線aを含む位置に設けられる貫通孔から下方に抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0047】
端子は、第1端子18および第2端子19から成り、第2端子19は第1端子18を外囲する。第2端子19は、上下方向に見て載置台12の中心位置を中心とする円環状に形成される。第2端子は、中心軸線aに関し半径方向外方に段差部56を有して形成される。第1端子18は、外方の端子の円環の中心位置を中心とする小円形状に形成される。香炉11が載置台12に載置された載置状態において、第1端子18は第1電極16と電気的に接続され、第2端子19は第2電極17と電気的に接続される。載置台12の第1端子18および第2端子19は、電源38と電気的に接続される。本実施形態において第1端子18の中心点から第2端子19の内方周縁までの距離は、第1電極16と第2電極17との間の距離よりも短く形成され、第1端子18の中心点と第2端子19の外方周縁との距離は、第1電極16と第2電極17との間の距離よりも長く形成される。
【0048】
加熱体14は、上下方向に見て円形であって、凹所21と発熱部22と底部39とを含む。凹所21は、加熱体14の上面から下方に向けて凹み、中心軸線aを中心とする円筒状に形成される。凹所21には、空気が流入、流出可能であり、凹所21において空気に温度差が生じると凹所21の空気は対流する。芳香物質は凹所21に載置される。
【0049】
発熱部22は、凹所21の下部に形成され、凹所の底面と熱的に接続される、発熱部22は、後述する加熱体支持部材29と電気的に接続されることにより発熱する。本実施形態において発熱部22はセラミックヒータによって実現される。底部39は、載置状態において略水平に配置される。

本実施形態において加熱体14は、凹所21内に載置される芳香物質を燃焼させることができる範囲で、発熱部22および燃焼する芳香物質からの熱が加熱体14よりも外方に伝達されることを阻止しやすい1つの部材として、形成される。
【0050】
加熱体14の大きさは、小さければ小さいほど、人手による香炉本体13の支持および載置が容易になるけれども、発熱部22および燃焼する芳香物質からの熱が、加熱体14よりも外方に伝達されやすくなる。加熱体14は、大きければ大きいほど、外部への熱の拡散は抑制され、凹所21に多くの芳香物質を収容することができる。これによって、人手による支持および載置が困難になり、製造に必要な材料が多くなることから、製造費用が高くなる。
【0051】
本実施形態において香炉本体13は、上下方向に見て直径が、7.7センチメートル(
centimeters, 略号「cm」)以上、9.0cm以下に形成され、加熱体14の大きさは、上下方向に見て直径が、4.7cm以上、6.0cm以下に形成される。香炉本体13の上下方向の寸法は、6.0cm以上7.0cm以下に形成され、加熱体14の上下方向の寸法は、2.0cm以上3.0cm以下に形成される。
【0052】
香炉本体13の直径に対して香炉本体13の上下方向の寸法が大きくなれば大きくなるほど、香炉本体13が載置状態から傾いたときに、転倒しやすくなり、不安定となる。香炉本体13の直径が一定である場合には、上下方向の寸法が小さくなれば小さくなるほど、転倒はしにくくなるけれども、発熱部22および加熱体14が載置台12および載置面41に近接して配置され、これらに対して熱が伝えられ易くなる。
【0053】
図13は、本実施形態に係る加熱体支持部材29の全体図である。図14は、図13の平面図である。図15は、図13の側面図である。2つの加熱体支持部材29は、それぞれ加熱体14に機械的に接続され、加熱体14を支持する。
【0054】
発熱部22は、平板状に形成され、凹所21の底面と熱的に接続され、加熱体支持部材29と電気的に接続される。発熱部22は、加熱体14の内部であって、凹所21より下方であればいずれの部分に、いずれの形状で形成されてもよい。本実施形態において発熱部22は、載置状態において、香炉本体の中心軸線aを中心とする位置に形成される。
【0055】
発熱部22の温度が高ければ高いほど芳香物質を燃焼させやすいが、高すぎると芳香装置10のうちの発熱部22を除く残余の部分へ伝えられる熱が多くなり、残余の部分の温度が上昇しやすくなるので、芳香装置10を長時間使用するのが難しくなる。発熱部22の温度が低ければ、芳香装置10のうちの発熱部22を除く残余の部分へ伝えられる熱量が少なく、残余の部分の温度の上昇を抑えることができるので、芳香装置10を長時間使用することはできるが、芳香物質を燃焼させるのが難しくなる。したがって、本実施形態において発熱部22の温度は、50℃以上60℃以下に設定される。
【0056】
加熱体支持部材29は加熱体14を支持する支持部42と、支持部42にほぼ直角に屈曲して連なる立ち上がり部43と、立ち上がり部43の前記支持部42が連なる一端部とは反対側の他端部から外側方に突出して連なる略U字状の屈曲部44と前記立ち上がり部43が連なる一端部とは反対側の他端部に連なる取付け部45とを有する。
【0057】
支持部42には、ネジを嵌めこむネジ用孔52が形成され、ネジによって加熱体14と接続される。取付け部45には、後述する基部と接続するためのビス用の孔53が形成される。後述する基部33には、取付け部45と接続するための、ビス用の孔46が設けられ、取付け部45は、ビス47によって後述する基部33に接続される。
【0058】
加熱体支持部材29には、加熱体14に接続される部分と基部33に接続される部分との途中位置で、2つの屈曲部44が形成される。2つの屈曲部44が形成されることにより、加熱体支持部材29の、大気に接触する面積を増加させることができるので、加熱体14を介して発熱部22から伝わる熱を効率よく放熱することができる。
【0059】
支持部42は、香炉本体13の中心軸線aに垂直な方向に一定の面積を有するように形成されるとともに、発熱部22と電気的に接続される。このような構成により、加熱体14を構造的に安定して支持することができるとともに、発熱部22に電気的に安定して導通させることができる。
【0060】
本実施形態では、載置状態において2つの加熱体支持部材29の各端部は上下方向に互いに同じ位置に設けられる。2つの加熱体支持部材29は、基部33に対して発熱部22および加熱体14を固定し支持するために充分な機械的強度を有する。
【0061】
本実施形態において加熱体支持部材29は、載置状態において加熱体支持部材29の上下方向中央部付近でそれぞれ屈曲部44を有して形成される。各屈曲部44は、香炉本体の中心軸線aに関する半径方向外方に凸状に湾曲して形成される。本実施形態において、各屈曲部44は、中心軸線aを挟んで互いに反する方向に凸に形成される。加熱体支持部材29に屈曲した部分が形成されることによって、発熱部22から基部33までの加熱体支持部材29の長さを、発熱部22から基部33までの距離よりも大きくすることができるので、加熱体支持部材29を介して発熱部22から基部33に熱を伝わりにくくすることができる。
【0062】
載置状態において2つの加熱体支持部材29が、上下方向に寸法が大きくなれば大きくなるほど、2つの加熱体支持部材29に支持される加熱体14は不安定になり、2つの加熱体支持部材29が上下方向に寸法が小さくなれば小さくなるほど、2つの加熱体支持部材29に支持される加熱体14は安定するけれども、発熱部22と基部33との距離が近くなるので、加熱体支持部材29および基部33を介して発熱部22の熱が下方に伝わり易くなる。したがって、2つの加熱体支持部材29は加熱体14を安定して支持でき、発熱部22から基部33に熱が伝わりにくい長さに設定される。また、2つの加熱体支持部材29は加熱体14を支持するのに十分な強度に形成される。
【0063】
加熱体支持部材29は基部33において電極と電気的に接続される。加熱体支持部材29は、発熱部22に電力を供給する電力供給路の一部を形成するので、電気を通し易い素材で形成されるのが好ましい。加熱体支持部材29が、電気抵抗および熱伝導性が高い素材で形成されている場合には、芳香装置10の発熱部22以外の残余の部分に熱が伝わり易くなるので、加熱体支持部材29は熱伝導性の低い素材で形成されるのが好ましい。また、これによって発熱部22から基部33や電極に熱を伝わりにくくすることができるので、芳香装置10を長時間使用することができる。本実施形態において加熱体支持部材29は、りん青銅によって形成される。
【0064】
図16は、本実施形態に係る基部33の正面図である。図17は、本実施形態に係る基部33の平面図である。図18は、本実施形態に係る基部33の側面図である。基部33は、載置状態において上下方向の長さよりも左右方向の長さが長く形成された直方体形状であって、載置状態において円形状の各端面が略水平に設けられる。また、基部33は仕切り部24の上方に設けられる。
【0065】
基部33は、加熱体支持部材29と加熱体支持部材29が支持している加熱体14とを支持するための基礎となる部分である。基部33が耐熱性を有する素材で形成されることで、基部33は温度上昇に耐えることができるので、芳香装置10を長時間使用することができる。また基部33が、熱伝導性の低い素材で形成されることで、上部空間の熱が基部33を通じて電極に伝わりにくくすることができるので、長時間使用しても電極の温度上昇を抑制することができる。たとえば基部はフェノール樹脂によって形成される。基部の形状は、直方体形状に限らず、たとえば、円柱形状や平板形状であってもよい。
【0066】
本実施形態において、基部33は仕切り部24の上面に上方から固定され、仕切り部24は香炉本体13に固定される。また、2つの加熱体支持部材29は基部33に固定され、基部33の上方に伸び、その上端部に加熱体14が接続される。本実施形態において基部33には、コンタクトプローブ54が接続される。基部33にはコンタクトプローブ用の孔55が形成される。
【0067】
仕切り部24は、載置状態において上下方向を厚み方向とする平板状に形成され、載置状態において略水平に設けられる。仕切り部24は、上部空間31と下部空間32との間で両空間を仕切り、その両端が香炉本体13と機械的に接続される。
【0068】
また仕切り部24には、上部空間31と下部空間32とを連通する孔が設けられる。仕切り部24が、熱伝導性の低い素材で形成されることにより、上部空間31から下部空間32に熱を伝わりにくくすることができるので、電極の温度上昇を抑制することができる。したがって、芳香装置10を長時間使用することが可能となる。
【0069】
仕切り部24には、下部空間32から上部空間31に上下方向に貫通する2つの貫通孔が形成される。2つの貫通孔のうち一方の貫通孔は、載置状態において、香炉本体の中心軸線aを含む位置に形成され、2つの貫通孔のうち他方の貫通孔は、香炉本体13の中心軸線aに関する半径方向外方に形成される。2つの貫通孔内には第1電極16および第2電極17が上下方向に移動可能な状態で設けられる。貫通孔を形成することによって、電極は上下方向に移動でき、電力供給路を形成することができる。
【0070】
本実施形態において、弾性部材30は、圧縮コイルばねによって実現される。圧縮コイルバネは、その上端部が基部33に機械的に接続され、その下端部が電極と機械的に接続されるように形成される。圧縮コイルバネは、電極が下方から上方に押圧されることによって収縮する。このように圧縮コイルバネは、上下方向に弾性変形するので、電極の位置をバネが伸縮する範囲内で上下に変更することができる。
【0071】
本実施形態において、電極は前記圧縮コイルバネによって弾発力を付与されている。他の実施形態において、弾発性を有する部材が、電極の一部に形成されていてもよい。
【0072】
香炉本体13は加熱体14や加熱体支持部材29等に対して外方から不用意に物体が近接した場合であっても、加熱体14や加熱体支持部材29等に物体が直接接触することを防止し、衝撃による故障を低減する。したがって香炉本体13は、耐衝撃性に優れた素材で形成されることが望ましい。また、香炉本体13は、香炉11を載置させたり移動させたりする場合に、人手による支持する部分であるので、絶縁性が高く伝熱性の低い素材から形成されるのが望ましい。
【0073】
基板は、香炉本体の中心軸線aに関して第1端子より半径方向外方であって、第2端子より半径方向内方に形成される第1基板と、第2端子より香炉本体の中心軸線に関して半径方向外方に形成される第2基板とを含む。第1および第2基板は、それぞれ円環状に形成される。香炉11を載置台12に載置した場合に、香炉11の底部が載置台12に正確に接触できるように、第2端子の外側の円環状部分に形成される基板37の外周部は円環状に少し凹んで形成される。基板37は電力供給路を形成する端子と接して形成されるので、絶縁性の高い素材で形成されることが望ましい。
【0074】
本実施形態によれば、芳香装置10は、香炉本体13を面方向に位置決めされた状態で着脱自在に載置することができる載置台12と、この載置台12に前記香炉本体13が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第1電極16が弾発的に当接する第1端子18と、前記第2電極17が弾発的に当接する第2端子19とを有するので、電極を端子に確実に接触させることができる。したがって、電極および端子を含めた電力供給路の形成を確実にすることができる。また、従来技術のように、載置台に設けられた凹部に、香炉の電極を挿入することによって電力の供給路が形成される場合に比べて、香炉11の載置台12への載置を容易にすることができる。また本発明によれば、芳香装置10が、香炉本体13を含んで構成されているので、加熱体14に対して外方から不用意に物体が近接した場合であっても、加熱体14に物体が接触することを防止することができる。
【0075】
また本実施形態によれば、第1端子18は、円環状に形成され、第2端子19は、一方の端子の円環の中心位置を含む位置に円形状に配置され、一方の端子の内周縁と他方の端子の外周縁との距離は香炉の両電極間の距離とほぼ等しいので、第1電極16を第1端子18に接触させることによって、第2電極17を第2端子19に確実に接触させることができる。したがって、載置面41に垂直な直線まわりに、香炉11が角変位することを、許容することができる。これによって、香炉の電極が端子に接続された状態で、香炉11の姿勢の変化を許容することができるので、電極と端子との接続を容易に行うことができる。またこれによって、接続をやり直す必要がなくなり、端子や電極に掛かる負担を軽減し故障を低減することができる。
【0076】
また本実施形態によれば、載置台12の香炉11を支持する支持表面部34のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部34に平行な前記面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部34に垂直な方向に隆起する隆起部23が設けられることから、第1端子18と第2端子19とを除く残余の部分との間に段差が形成される。これによって、両電極が両端子に接触した状態で、前記段差は、両電極が両端子からずれることを防止することができる。これによって、両電極と両端子との接続が解除されることを防ぐことができる。したがって、形成された電力供給路を維持することができる。
【0077】
また本実施形態によれば、芳香装置10の支持表面部34のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部34に平行ないずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部34に垂直な方向に隆起する隆起部23が設けられることから、支持表面部34上に導電性を有する物体が接触した場合において、第1端子18と第2端子19とが導通される可能性を低減することができる。これによって、不所望な温度上昇が生じる可能性を低減することができる。
【0078】
また本実施形態によれば、第1および第2端子は、載置台12の支持表面部34に形成されるので、第1および第2端子が載置台12に凹状に形成されている場合に比べて、両電極を両端子に接続および両端子から接続を解除する際に摺動させる必要がなく、両電極および両端子の故障を低減することができる。また、接続および接続を解除する際に摺動させる必要がないので、接続および接続の解除を容易にすることができる。したがって、加熱体14の中身をこぼさずに接続を解除することができる。また、載置台12の支持表面部34のうち外縁部は、外縁部よりも中心寄りの部分に比べ、全周にわたって凹み、段差が形成されているので、香炉本体13を外縁部に正確に接続することができる。
【0079】
また本実施形態によれば、香炉本体13には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成されている。これによって、加熱体14近傍の香炉本体13から、電極近傍の香炉本体13に移動する熱の移動方向に垂直な、香炉本体13の断面の断面積を小さくすることができる。また、香炉本体13に伝達される熱を、連通孔を通じて外方に放出することができる。したがって、加熱体14および発熱部22の熱が、加熱体14および発熱部22からその他の部分に伝えられる速さを遅くすることができる。したがって、連通孔が形成されていない場合に比べて、芳香装置10を長時間にわたって使用した場合の芳香装置10の温度上昇を、抑制することができる。
【0080】
また本実施形態によれば、芳香装置10を使用しない際には、家庭の押入れのようにそれほど広さのない場所に保管されることが多い。その場合に、載置台12に香炉11を載置して保管するのでは、狭い場所に収まりが悪い場合がある。本実施形態によれば、従来技術と異なり香炉を保管用の載置台12に載置せずに保管することができるので、狭い場所にも保管することができる。
【0081】
また本実施形態によれば、第1電極16および第2電極17ならびに弾性部材30に外力が付与されていない状態では、両電極は、高台27よりも下方に突出しており、圧縮コイルバネが設けられることによって、両電極に香炉11の自重を付与すれば上方に引っ込むように形成される。これによって、圧縮コイルバネが設けられていない場合に比べて、両電極が両端子を押圧する押圧力を大きくすることができる。したがって、圧縮コイルバネが設けられていない場合に比べて、両電極を両端子に確実に接触させることができ、両電極を含めた電力供給路の形成を確実にすることができる。また、圧縮コイルバネによって第1および第2電極の位置を上下に調節することができるので、各電極と載置面41との高さがそれぞれ異なる略水平面上にも安定して載置することができる。
【0082】
また本実施形態によれば、香炉本体13は、腰26の周辺で香炉本体の中心軸線aに向かうようにくびれる部分を有する杯状に形成され、加熱体14を周方向に覆うように構成されているので、加熱体14に対して外方から不用意に物体が近接した場合であっても、加熱体14に物体が接触することを防止し、芳香物質やその灰を凹所21からとび出しにくくすることができる。
【0083】
また本実施形態によれば、載置状態において、香炉11の自重を載置面41に伝達しているのは、電極および香炉本体13である。載置状態において、両電極は隆起部23と隆起部23との間に位置されるように設置されるので、香炉の姿勢を隆起部23によって制限することができる。また、端子と電極とがずれた位置に設置された場合でも、隆起部23が設けられていることにより容易に電極と端子の位置を合わせることができる。また、本実施形態によれば、電極と端子とが電気的に接続されることにより、電力供給路が形成されるので、香炉の姿勢が、香炉本体13の中心軸線aを中心に、角変位されても電力供給路は形成される。香炉11の姿勢は、上記のように隆起部23によって制限されているので、角変位した際に、電極が中心軸線aから半径方向外方に遠ざかり、電力供給路が解除されることはない。
【0084】
本実施形態において、香炉本体13は香炉本体13の中心軸線aを半径方向外方から外囲するように形成されているけれども、香炉本体13に含まれる高台27については、周方向の一部のみが外囲されている形態でもよい。
【0085】
このような形態とすることにより、香炉本体13の重量を軽くすることができるので、人手によって支持および移動を容易にすることができる。
【0086】
本実施形態において基部33は、直方体または上下方向に見て四角の形状に形成される平板状の部材としたけれども、基部33は、加熱容器支持部材29を固定して支持することができれば、足りる。他の実施形態において基部33は、たとえば上下方向に見て円形に形成されてもよく、楕円の形状に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に係る芳香装置10の断面図である。
【図2】本実施形態に係る芳香装置10の正面図である
【図3】本実施形態に係る芳香装置10の底面図である。
【図4】本実施形態における芳香装置10を、図3に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。
【図5】載置台12の第2端子外方に設けられる基板37の正面からみた断面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】載置台の貫通孔が設けられる基板36の断面図である。
【図8】基板36の底面図である。
【図9】第2端子19の断面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】載置状態において、載置台12の香炉本体の中心軸線aを含む位置に設けられる一方の電極の全体図である。
【図12】載置状態において、載置台12の香炉本体の中心軸線aに関して半径方向外方に設けられる他方の電極の全体図である。
【図13】本実施形態に係る加熱容器支持部材29の全体図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】図13の側面図である。
【図16】本実施形態に係る基部33の正面図である。
【図17】本実施形態に係る基部33の平面図である。
【図18】本実施形態に係る基部33の側面図である。
【図19】従来技術に係る焼香装置である電気香炉1の斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
10 芳香装置
11 香炉
12 載置台
13 香炉本体
14 加熱体
15 加熱手段
16 第1電極
17 第2電極
18 第1端子
19 第2端子
22 発熱部
23 隆起部
25 胴
26 腰
27 高台
30 弾性部材
34 支持表面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴、腰および高台を有する香炉本体と、
香炉本体の前記胴内に収容され、加熱によって香気を発生する芳香物質を収容して加熱するための加熱体と、
電力が供給されることによって発熱する発熱部を有し、この発熱部の熱によって前記加熱体を加熱する加熱手段と、
前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、一部が弾発的に前記中心軸線の方向に沿って突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される第1電極と、
前記香炉本体の高台よりも前記香炉本体の中心軸線に関して半径方向内方に設けられ、かつ前記第1電極とは異なる位置から同一方向に一部が弾発的に突出し、残余の部分が前記胴内で前記発熱部に電気的に接続される第2電極と、
前記香炉本体を、面方向に位置決めされた状態で着脱自在に載置することができる載置台と、
前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第1電極が弾発的に当接する第1端子と、
前記載置台に設けられ、この載置台に前記香炉本体が位置決めされた状態で載置されることによって、前記第2電極が弾発的に当接する第2端子とを含むことを特徴とする芳香装置。
【請求項2】
前記第1および第2電極を下方に向けて弾発的に押圧する弾性部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の芳香装置。
【請求項3】
前記第1および第2端子のうち一方の端子は、円環状に形成され、
前記第1および第2端子のうち他方の端子は、一方の端子の円環の中心位置を含む位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香装置。
【請求項4】
載置台の香炉を支持する支持表面部のうち前記第1および第2端子を除く残余の部分には、前記支持表面部に平行な前記面方向のいずれかの方向に関して前記第1および第2端子の少なくともいずれか1つに隣接し、前記第1および第2端子よりも前記支持表面部に垂直な方向に隆起する隆起部が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の芳香装置。
【請求項5】
前記香炉本体には、外方の空間と内方の空間とを連通する連通孔が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の芳香装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−119702(P2010−119702A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297338(P2008−297338)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)