説明

苗移植機

【課題】振動によって予備苗載置機構が重複状態から展開状態へと切り換わらないようにする。
【解決手段】走行車体に設けられ、圃場に苗を植え付ける植付部と、走行車体に固定された支持部材と、支持部材に連結され予備苗を載置する予備苗載置機構とを備える。予備苗載置機構は、上下方向に重なり合う重複状態と前後方向に展開する展開状態とに切り換え可能な複数の予備苗載台47、48と、各予備苗載台を保持する複数の保持フレーム51、52と、それらの保持フレームに回動可能に取り付けられ、予備苗載台の展開状態において前後方向に配列する複数のリンクアーム53、54と、予備苗載台の展開状態において最も前側に位置するリンクアーム53を、予備苗載台が重複状態のときの位置で保持することにより、可動式の予備苗載台47が、重複状態から展開状態へと移動することを防止する状態保持機構59、60とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置を有する機体の側部に予備苗載置機構を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予備苗載置機構を備えた苗移植機として、例えば、特許文献1に開示されたような苗移植機が知られている。
【0003】
図17は、特許文献1における、予備苗載置機構102が重複状態に配列されている状態での乗用型田植機の全体側面図であり、図18は、予備苗載置機構102が展開状態に配列されている状態での乗用型田植機の全体側面図である。
【0004】
図17および図18に示すように、前輪112および後輪113で支持された機体に運転部101が備えられ、また、機体の後部に、油圧シリンダーおよび昇降リンク機構を介して苗植付装置100が昇降駆動自在に支持されている。
【0005】
運転部101におけるフロア107の後部には運転座席105が備えられている。エンジンを覆うボンネット106がフロア107の前方に備えられており、このボンネット106の上部に、前輪112を操向操作する操縦ハンドル104が備えられている。ボンネット106の右および左の横側部には、フロア107につながる右および左のステップ109が備えられており、フロア107およびステップ109の両横外側には、右および左の補助ステップ108が備えられている。
【0006】
さらに、図17および図18に示すように、エンジンから前方にエンジンフレーム111が延出されており、このエンジンフレーム111に、予備苗載置機構102を支持する左右の支持フレーム110が固定されている。これにより、機体前部の左右の横側部に左右の支持フレーム110が装備されていることになる。
【0007】
支持フレーム110の横外側には、3段の予備苗載台103(上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103d)が配設されることにより、機体前部の右側部および左側部に予備苗載置機構102が配設されている。
【0008】
この予備苗載置機構102は、3つの予備苗載台103が平面視で重複した状態で配設された重複状態(図17)と、3つの予備苗載台103が少し斜め後方下方に傾斜して略一直線状になった展開状態(図18)とに、状態切換可能に構成されている。なお、重複状態での3段の予備苗載台103のうちの上段の予備苗載台を103uと表示し、中段の予備苗載台を103mと表示し、下段の予備苗載台を103dと表示する。
【0009】
図17に示すように、3つの予備苗載台、すなわち上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103dのそれぞれに回動自在に取り付けられた第1の連係リンク114によって、3つの予備苗載台103(上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103d)が連結されている。また、上段の予備苗載台103uと中段の予備苗載台103mとは、第2の連係リンク115によっても連結されており、中段の予備苗載台103mと下段の予備苗載台103dとは、第3の連係リンク116によっても連結されている。
【0010】
このような構成により、予備苗載置機構102の3つの予備苗載台103(上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103d)は、中段の予備苗載台103mの第1の連係リンク114との連結部分を中心に回動自在となっている。
【0011】
作業者が、上段の予備苗載台103uに取り付けられた操作具を持ってL方向へ回動させることにより、3つの予備苗載台103(上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103d)を、図17に示す重複状態から図18に示す展開状態へと切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−232809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記した従来の乗用型田植機では、予備苗載置機構102を重複状態として起伏の大きな道を走行した際に、振動や機体の傾斜等によって予備苗載置機構102が重複状態から展開状態へと切り換わってしまう場合があった。
【0014】
予備苗載置機構102を重複状態から展開状態へと切り換える際には、図17のL方向に示すように、上段の予備苗載台103uを少し上に持ち上げながら前方へ移動させるようにして回動させるため、重複状態にして多少の起伏のある道を走行しても展開状態へは切り換わらないが、大きな起伏のある部分を走行する際には大きな振動が生じ、その振動によって上段の予備苗載台103uが大きく持ち上げられると、予備苗載置機構102が重複状態から展開状態へと切り換わってしまうことがある。
【0015】
このような振動によって重複状態から展開状態へと切り換わってしまう場合、このときに各予備苗載台103(上段の予備苗載台103u、中段の予備苗載台103m、下段の予備苗載台103d)へかかる衝撃は大きく、特に上段の予備苗載台103uに載置していた苗が落下し易い。
【0016】
本発明は、このような従来の苗移植機の課題を考慮し、起伏の大きな道の走行時においても、振動によって予備苗載置機構が重複状態から展開状態へと切り換わらない苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
【0018】
第1の本発明は、
走行車体(9)に設けられ、圃場に苗を植え付ける植付部(15)と、
前記走行車体(9)に固定された支持部材(44)と、
前記支持部材(44)に連結され、予備苗を載置する予備苗載置機構(46)とを備え、
前記予備苗載置機構(46)は、
上下方向に重なり合う重複状態と前後方向に展開する展開状態とに切り換え可能な、少なくとも1つが可動式である複数の予備苗載台(47、48)と、
前記各予備苗載台(47、48)を保持する複数の保持フレーム(51、52)と、
前記複数の保持フレーム(51、52)に回動可能に取り付けられ、前記予備苗載台(47、48)の展開状態において前後方向に配列する複数のリンクアーム(53、54)と、
前記複数のリンクアーム(53、54)のうち、前記予備苗載台(47、48)の展開状態において最も前側に位置するリンクアーム(53)を、前記予備苗載台(47、48)が前記重複状態のときの位置で保持することにより、前記可動式の予備苗載台(47)が、前記重複状態から前記展開状態へと移動することを防止する状態保持機構(59、60)とを有することを特徴とする苗移植機である。
【0019】
また、第2の本発明は、
前記状態保持機構(59、60)は第1係止具(59)および第2係止具(60)で構成し、
前記第1係止具(59)が、前記保持フレーム(52)に設けられており、
前記第2係止具(60)が、前記最も前側に位置するリンクアーム(53)に設けられており、
前記予備苗載台(47、48)の重複状態において、前記第1係止具(59)と前記第2係止具(60)とが互いに係止し合うことにより、前記最も前側に位置するリンクアーム(53)を保持して前方へ回動することを規制することを特徴とする、第1の本発明の苗移植機である。
【0020】
また、第3の本発明は、
前記予備苗載置機構(46)は、
前記複数のリンクアーム(53、54)のうちいずれかの前記リンクアーム(54)が連結する前記保持フレーム(52)の連結位置の近傍の前記保持フレーム部分に固定され、前記予備苗載台(47、48)が重複状態となっているときに前記連結したリンクアーム(54)を支える機構であって、前記連結したリンクアーム(54)を支える位置が調節可能になっているリンク支持機構(65)を有する、第1または第2の本発明の苗移植機である。
【0021】
また、第4の本発明は、
前記複数のリンクアーム(53、54)は、同一のV字形状であり、
前記予備苗載台(47、48)の展開状態では、前記各リンクアーム(53、54)の一方の直線部分同士が、側面視で一直線状に位置することを特徴とする、第1から第3のいずれかの本発明の苗移植機である。
【0022】
また、第5の本発明は、
前記支持部材(44)の上部は、上面が水平な受け台(68)で構成され、
前記予備苗載置機構(46)の底部は、下面が前記受け台(68)を覆う大きさの円形である回動部材(61)で構成され、
前記回動部材(61)は、前記円形の下面が前記受け台(68)の上面に接触しながら、前記受け台(68)上を前記円形の中心を軸として回動可能に、前記受け台(68)に連結されていることを特徴とする、第1から第4のいずれかの本発明の苗移植機である。
【発明の効果】
【0023】
第1の本発明によって、予備苗載置機構(46)に状態保持機構(59、60)を設けたことにより、圃場の凹凸や機体の傾斜等で機体が振動してもリンク機構(53、54)が回動することを防止できるので、上段側に載置した苗が落下することが防止され、苗が傷つかず、生育が良好となる。
【0024】
また、状態保持機構(59、60)でリンク機構(53、54)の回動を停止させることにより、走行車体(9)の前側から作業者が乗り込む際に予備苗載置機構(46)を手摺りとして使うことができるので、作業者が機体に乗り降りする際の安全性が向上する。
【0025】
また、状態保持機構(59、60)で前側のリンクアームの回動を規制する構成としたことにより、走行車体(9)の前側から作業者が乗り込む際に機体の外から操作することができるので、状態保持機構(59、60)の操作が簡潔になり、作業能率が向上する。
【0026】
また、リンク機構(53、54)を手動操作するとき以外に、リンク機構(53、54)が回動する際に生じる音の発生を防止できるので、作業者が不快感を覚えず、能率的に作業が行える。
【0027】
第2の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、状態保持機構(59、60)を、第1係止具(59)および第2係止具(60)により構成し、第1係止具(59)を受ける第2係止具(60)を前側のリンクアーム(53)の下端部に設けたことにより、第2係止具(60)を第1係止具(59)に係合させると前側のリンクアーム(53)の回動を規制することができるので、誤操作や機体の振動により前後のリンクアーム(53、54)が回動することが防止され、苗の落下が防止されると共に、異音の発生が防止される。
【0028】
また、状態保持機構(59、60)で前側のリンクアーム(53)の回動を規制する構成としたことにより、走行車体(9)の前側から作業者が乗り込む際に機体の外から操作することができるので、状態保持装置の操作が簡潔になり、作業能率が向上する。
【0029】
第3の本発明によって、第1または第2の本発明の効果に加えて、リンク支持機構(65)を上下動させ、後側のリンクアーム(54)の支持位置を変更することにより、リンク機構(53、54)の回動量を変更して予備苗載置機構(46)の上下高さを変更することができるので、苗移植機(8)を収容する際、上段の予備苗載せ部材(47、51)を外さなくても上下高さが低くなるため、収納や搬送の際の作業能率が向上する。
【0030】
また、作業時には上下の予備苗載せ部材(47、48)の間隔を広げることができるので、積載した苗を傷付けることがなく、苗の生育が安定して作物の品質が向上すると共に、作業者が苗を取り出しやすくなるため、作業能率が向上する。
【0031】
第4の本発明によって、第1から第3のいずれかの本発明の効果に加えて、前後のリンクアーム(53、54)を逆V字としたことにより、重複状態としたときに予備苗載置機構(46)の前後側方に空間部が生じるので、作業者は前側の空間部から苗を積み込みやすく、また後側の空間部から積載した苗を取り出しやすくなるので、作業能率が向上する。
【0032】
また、展開状態としたとき、前後のリンクアーム(53、54)が下側のリンクアーム(53)よりも下方に突出しない構成となるので、予備苗載置機構(46)の作業状態を切り換えても上下高さが変わることが防止され、予備苗載置機構(46)が何かに接触して破損することが防止される。
【0033】
また、前後のリンクアーム(53、54)を同一形状としたことにより、製造にかかるコストが低減され、コストダウンが図られる。
【0034】
第5の本発明によって、第1から第4のいずれかの本発明の効果に加えて、回動操作機構の支持プレート(61)を、予備苗載置機構(46)の回動角度にかかわらず支持可能な円板状としたことにより、この支持プレート(61)が常に予備苗載置機構(46)を下方から支持する構成となるため、予備苗載置機構(46)が苗の重量で撓むことが防止でき、苗の積み込みやすさが向上すると共に、苗が予備苗載置機構(46)から滑り落ちることが防止される。
【0035】
また、撓みが防止されることにより、予備苗載置機構(46)の耐久性が向上する。
【0036】
また、予備苗載置機構(46)を回動操作しても受け台(68)の上面が露出しないので、回動操作の際の摩擦力で受け台(68)の上面に付いた傷(塗装の剥離)などが目立ちにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1の、予備苗載置機構が重複状態のときの田植機の側面図
【図2】本発明の実施の形態1の、予備苗載置機構が重複状態のときの田植機の平面図
【図3】本発明の実施の形態1の、複数の予備苗載台が重複状態のときの予備苗載置機構の側面図
【図4】本発明の実施の形態1の、複数の予備苗載台が展開状態のときの予備苗載置機構の側面図
【図5】(a)本発明の実施の形態1の、複数の予備苗載台が重複状態のときの予備苗載置機構の平面図、(b)本発明の実施の形態1の、複数の予備苗載台が展開状態のときの予備苗載置機構の平面図
【図6】本発明の実施の形態1の、予備苗載置機構が重複状態において、上段予備苗載台と下段予備苗載台との間隔を狭くしたときの予備苗載置機構の側面図
【図7】(a)本発明の実施の形態1の、作業時に予備苗載置機構を重複状態としたときのストッパー部分の要部側面図、(b)本発明の実施の形態1の、田植機収納時のストッパー部分の要部側面図
【図8】本発明の実施の形態1の、予備苗載置機構の主支持フレームとの連結部分の側面図
【図9】本発明の実施の形態1の、予備苗載置機構と受け台との位置関係を説明するための模式平面図
【図10】本発明の実施の形態1の、支持プレートと受け台との関係を説明するための模式平面図
【図11】(a)本発明の実施の形態1の、展開状態の予備苗載置機構の先端を車体前方に向けたときの田植機の平面図、(b)本発明の実施の形態1の、展開状態の予備苗載置機構の先端を車体側方に向けたときの田植機の平面図
【図12】本発明の実施の形態2の、田植機のオートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す図
【図13】本発明の実施の形態2の、田植機の切替カム付近を示す側面図
【図14】本発明の実施の形態2の、他の構成の田植機のオートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す図
【図15】(a)本発明の実施の形態2の田植機の、オートリフト機能によって苗植付部が上昇したときの、オートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す図、(b)本発明の実施の形態2の田植機の、モーターの回転によって苗植付部が自動的に下降したときの、オートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す図、(c)本発明の実施の形態2の田植機の、苗植付部自動下降機能のスイッチをオフにした後、作業者が植付昇降レバーを操作して苗植付部を上昇させたときの、オートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す図
【図16】本発明の実施の形態2の田植機のオートリフトリンク機構部分の模式背面図
【図17】従来の乗用型田植機の予備苗載置機構が重複状態のときの全体側面図
【図18】従来の乗用型田植機の予備苗載置機構が展開状態のときの全体側面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許登録の範囲を拘束するものではない。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の、走行車両を備える乗用型の4条植田植機8の、予備苗載置機構が重複状態のときの側面図を示し、図2は平面図を示している。
【0040】
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
【0041】
車体9の前後には走行車輪として左右一対の前輪10および後輪11が架設されている。車体9の前寄りの上部には操作ボックス12および操縦ハンドル13等を有する操縦装置が設置され、また、車体9の後方には昇降可能な苗植付部15が装備されている。
【0042】
なお、田植機8が、本発明の苗移植機の一例にあたり、苗植付部15が、本発明の植付部の一例にあたる。
【0043】
また、車体9の後部には施肥装置16が設けられ、肥料タンク17に貯留する肥料を各条の繰出部18で所定量ずつ繰り出し、その繰出した肥料をブロワー19からの圧力風により各条の移送ホース20で苗植付部15に設けた吐出口21から圃場に吐出して施肥する構成となっている。
【0044】
操縦装置の後ろ側には、運転席22が設置され、運転席22の下側に田植機8の各部に回転動力を伝達するエンジン23が搭載されている。
【0045】
そして、操縦ハンドル13は、操舵操作によりステアリングポスト内のステアリング軸からステアリングケース内を経て減速回転される出力軸、ピットマンアーム、および操舵ロット等を介して左右の前輪10を操向させ操舵する構成になっている。
【0046】
そして、苗植付部15は、図1に示すように、車体9の後部に昇降リンク機構25を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダー26の伸縮作動により昇降する構成であり、図1に示す田植機8では、昇降用油圧シリンダー26の引き側で苗植付部15を上昇させる構成としている。なお、図2の27は、苗植付部15の昇降を設定するための植付昇降レバーである。
【0047】
そして、苗植付部15には、左右に往復する苗載せ台1、一株分の苗床を掻き取って圃場面に植え込む植込杆28を有する苗植付具4、苗植付面を滑走しながら整地する左右のサイドフロート29と、中央位置のセンターフロート30を備えている。
【0048】
そして、エンジン23の回転動力は、エンジン出力プーリ31からベルト32を経由してHST33の入力プーリ34、入力軸35に伝えられ、この入力軸35から油圧ポンプが駆動され、循環する作動油によって駆動される油圧モータの出力軸から変速動力がミッションケース36の入力軸に伝動される構成となっている。
【0049】
そして、操作ボックス12、すなわちフロントカバーの上部近傍には、HST33を変速操作する変速レバー38が配置され、この変速レバー38の前後方向の切換操作で前進と後進との切換が可能であって、走行速度も傾き度合の操作に応じて選択できる構成となっている。そして、運転席22の前方右側には前輪10および後輪11のブレーキペダルを設けている。
【0050】
そして、ミッションケース36は、前輪10と後輪11とに分配して伝動する四輪駆動に構成すると共に、苗植付部15側とに分配して伝動する構成を採っている。
【0051】
そして、本実施の形態1の田植機8は、図1および図2に示すように、各サイドフロート29、センターフロート30の前側に整地ローター40を軸架して整地する構成としているが、この場合の伝動機構は、後輪11の伝動ケース41から動力取出軸42を介して伝動する構成としている。
【0052】
そして、苗載せ台1は、図1および図2に示すように、各植付条の台の下面に2条の苗送りベルト43を並列状に配置して苗送り装置3を構成し、その上に載置されたマット苗を、前側の苗取出し口2の方向に送り出す構成となっている。
【0053】
そして、苗取出し口2は、苗載せ台1下部の前受板を切欠いで形成されており、苗植付具4が植付軌跡を描きながら突入して通過するときに、マット苗を掻き取って係止し、そのまま圃場面まで回動して植え付ける構成となっている。
【0054】
車体9の前方右側の外側には、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を有する予備苗載置機構46が、車体に固定された主支持フレーム44および副支持フレーム45によって、主支持フレーム44の上端部に支持されている。
【0055】
予備苗載置機構46は、図1において上に配置されている上段予備苗載台47を前方へ移動でき、上段予備苗載台47の後端部分が、下段予備苗載台48の先端部分に連続して一直線に配置されるように展開できるようになっている。
【0056】
また、図2に示すように、車体9の前方左側の外側には、固定予備苗載置機構80が設けられている。なお、図1では、固定予備苗載置機構80の図示を省略している。
【0057】
なお、主支持フレーム44が、本発明の支持部材の一例にあたる。また、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48が、本発明の複数の予備苗載台の一例にあたり、上段予備苗載台47が、本発明の、可動式の予備苗載台の一例にあたる。
【0058】
図3に、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を図1に示すような重複状態としたときの、予備苗載置機構46の側面図を示す。また、図4に、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を展開状態としたときの、予備苗載置機構46の側面図を示す。
【0059】
また、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を重複状態としたときの平面図を図5(a)に示し、展開状態としたときの平面図を図5(b)に示す。
【0060】
圃場に苗を植え付ける前に、予備苗載置機構46を展開状態に切り換えて、車体9前方に延びた上段予備苗載台47の先端側から、苗箱を載せていく。このとき、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48の苗載せ部分が連続するように配置されているので、先に載せた苗箱を後方へ押し込むように次の苗箱を上段予備苗載台47の先端側から載せることにより、先に載せた苗箱を後方の下段予備苗載台48上に移動させることができる。その後、予備苗載置機構46を重複状態にして、圃場にて苗の植え付けを開始する。
【0061】
重複状態において上に配置される上段予備苗載台47は樹脂性であり、図3に示すように上段保持フレーム51に支持されている。重複状態において下に配置される下段予備苗載台48も樹脂性であり、下段保持フレーム52に支持されている。
【0062】
下段保持フレーム52には、支持プレート61および回動軸62が溶接により固定されており、予備苗載置機構46は、支持プレート61および回動軸62によって車体9に固定されている主支持フレーム44の先端部分で連結支持されている。
【0063】
上段保持フレーム51は、前リンクアーム53および後リンクアーム54によって下段保持フレーム52に連結されている。
【0064】
前リンクアーム53の両端には、第1の連結軸55および第2の連結軸56が固定されており、後リンクアーム54の両端には、第3の連結軸57および第4の連結軸58が固定されている。第1の連結軸55および第3の連結軸57が、下段保持フレーム52に設けられたボスに嵌合し、第2の連結軸56および第4の連結軸58が、上段保持フレーム51に設けられたボスに嵌合することにより、前リンクアーム53および後リンクアーム54は、上段保持フレーム51および下段保持フレーム52に対して回動自在に連結されている。
【0065】
前リンクアーム53と後リンクアーム54は、同一のV字形状であり、同一の部品が前リンクアーム53および後リンクアーム54として使用される。前記のとおり、前後のリンクアーム53、54を同一形状の部品としたことにより、製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
また、前リンクアーム53と後リンクアーム54をV字形状としたことにより、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を展開状態としたときに、図4に示すように、前リンクアーム53および後リンクアーム54のそれぞれのV字形状の一方の直線部分が、予備苗載置機構46の下面部分となり、それらの直線部分が、側面視で略一直線状に配置される構成となる。
【0067】
展開状態において、予備苗載置機構46の下面部分となる前リンクアーム53および後リンクアーム54の各直線部分が略一直線状に配置されるので、このときに予備苗載置機構46が何かに接触して破損するのを防止できる。
【0068】
また、展開状態では、図4に示すように、下段保持フレーム52の前方側の上方を向いた先端支持部49に上段保持フレーム51の後端部が当接して上段予備苗載台47の位置が固定されるので、展開状態が安定する。
【0069】
また、図3に示すように、前リンクアーム53の第2の連結軸56は、上段保持フレーム51の前後長手方向の中央位置よりも前方側で上段保持フレーム51に連結している。
【0070】
なお、上段保持フレーム51および下段保持フレーム52が、本発明の複数の保持フレームの一例にあたる。また、前リンクアーム53および後リンクアーム54が、本発明の複数のリンクアームの一例にあたり、前リンクアーム53が、本発明の、展開状態において最も前側に位置するリンクアームの一例にあたる。
【0071】
なお、ここでは、前リンクアーム53および後リンクアーム54の各両端部に連結軸(第1の連結軸55、第2の連結軸56、第3の連結軸57および第4の連結軸58)を設けて、それらの連結軸が上段保持フレーム51および下段保持フレーム52に設けたボスに嵌合して連結することとしたが、上段保持フレーム51および下段保持フレーム52側の連結部分に連結用の軸を設けて、前リンクアーム53および後リンクアーム54の各両端部が、その軸によって回動自在に軸支され、連結する構成としてもよい。
【0072】
本実施の形態1の予備苗載置機構46は、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を重複状態としたときに、走行時の振動によって上段予備苗載台47および下段予備苗載台48が展開状態となるのを防止するロック機構を備えている。
【0073】
図3に示すように、L字型のロック用フック60が、前リンクアーム53の第1の連結軸55側の一端部分に固定されている。ロック用フック60は、図5(a)に示すように、先端部が下段保持フレーム52側へ屈曲している。一方、前リンクアーム53の第1の連結軸55が連結する下段保持フレーム52のボスの近傍に、L字型のロックプレート59が、回動自在に取り付けられている。
【0074】
図3に示すように、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を重複状態としたときに、ロックプレート59がロック用フック60の屈曲部に係合できる位置に、ロック用フック60が前リンクアーム53に固定されている。
【0075】
上段予備苗載台47および下段予備苗載台48が重複状態のときに、ロックプレート59を回動させてロック用フック60に係合させることにより、前リンクアーム53の上段保持フレーム51側の端部が前方へ回動するのを防止する。すなわち、上段予備苗載台47が重複状態から展開状態の位置へ移動するのを防止する。
【0076】
なお、ロックプレート59が、本発明の第1係止具の一例にあたり、ロック用フック60が、本発明の第2係止具の一例にあたる。また、ロックプレート59およびロック用フック60で構成されるロック機構が、本発明の状態保持機構の一例にあたる。
【0077】
なお、本実施の形態1では、状態保持機構として、下段保持フレーム52に設けた第1係止具(ロックプレート59)が前リンクアーム53の端部に設けた第2係止具(ロック用フック60)に係止する構成としたが、その逆の構成、すなわち前リンクアーム53の端部に設けた第2係止具が下段保持フレーム52に設けた第1係止具に係止する構成としてもよい。
【0078】
ロック機構を下段保持フレーム52の前端部に設けたことにより、車体9の前側から作業者が乗り込む際に、ロック機構を機体の外から操作することができるので、作業効率が向上する。また、車体9の外側から作業者が乗り降りする際に、予備苗載置機構46を手摺りとして利用できるので、作業者が機体に乗り降りする際の安全性が向上する。
【0079】
また、下段保持フレーム52には、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48を重複状態に切り換える際に、さらに上段予備苗載台47と下段予備苗載台48との間隔が狭まる向きに回動するのを防止するために、後リンクアーム54に当接する位置にストッパー65が取り付けられている。
【0080】
本実施の形態1のストッパー65は、重複状態における上段予備苗載台47と下段予備苗載台48との間隔、すなわち上段予備苗載台47の高さを調節できる構成となっている。
【0081】
なお、ストッパー65が、本発明のリンク支持機構の一例にあたる。
【0082】
図6に、田植機8を収納する際に、上段予備苗載台47と下段予備苗載台48との間隔を狭くしたときの予備苗載置機構46の側面図を示す。
【0083】
また、図7(a)に、作業時の重複状態としたときのストッパー65部分の要部側面図を示し、図7(b)に、田植機8を収納する際のストッパー65部分の要部側面図を示す。
【0084】
本実施の形態1のストッパー65は、下段保持フレーム52に固定された固定プレート63に、調節ボルト66によって摺動プレート64が固定されている。
【0085】
調節ボルト66が貫通する摺動プレート64の孔は長孔となっており、調節ボルト66を緩めることにより、摺動プレート64は、固定プレート63に対して上下方向に摺動可能となっている。摺動プレート64を摺動させて所望の位置で調節ボルト66を締め付けることにより、摺動プレート64を任意の位置に固定することができる。
【0086】
摺動プレート64は、側面視でL字形状をしており、重複状態において後リンクアーム54に当接する部分であるアーム当接部67には、ゴム等の弾力性を有する部材が使用される。
【0087】
固定プレート63に対する摺動プレート64の位置を調節することにより、図6に示すように、下段予備苗載台48に上段予備苗載台47が重なるように間隔を狭くすることができ、予備苗載置機構46の高さを低くすることができるので、田植機8を収納する際やトラックで搬送する際に、従来のように上段の予備苗載台を取り外す必要がない。
【0088】
また、固定プレート63に対する摺動プレート64の位置を任意の位置に固定できるので、植え付ける苗の種類に応じて、上段予備苗載台47と下段予備苗載台48との間隔を適切な間隔に調節することができる。
【0089】
なお、本実施の形態1では、ストッパー65によって後方に位置する後リンクアーム54を支持する構成としたが、ストッパー65を前リンクアーム53が連結する下段保持フレーム52の近傍に設けて、前方に位置する前リンクアーム53を支持して上段予備苗載台47と下段予備苗載台48との間隔を調節する構成としてもよい。
【0090】
また、本実施の形態1の予備苗載置機構46は、主支持フレーム44の上部に形成された受け台68を中心に回動可能であり、上段予備苗載台47および下段予備苗載台48が展開状態で、上段予備苗載台47の先端が車体前方以外の向きでも停止できるように構成されている。
【0091】
図8に、予備苗載置機構46の主支持フレーム44との連結部分の側面図を示す。
【0092】
図9に、予備苗載置機構46と受け台68との位置関係を説明するための模式平面図を示す。また、図10に、支持プレート61と受け台68との関係を説明するための模式平面図を示す。
【0093】
また、図11(a)は、予備苗載置機構46が展開状態で先端を車体9の前方に向けたときの田植機8の平面図を示し、図11(b)は、予備苗載置機構46が展開状態で先端を車体9の側方に向けたときの田植機8の平面図を示している。
【0094】
主支持フレーム44の上部には、受け台68が形成されており、受け台68は、副支持フレーム45により補強支持されている。
【0095】
受け台68は、支持プレート61の下面に接触する扇状の上面部分を有するプレート受け部70と、回動軸62を挿入して軸支する円筒形状の回動軸支持筒部69を備えている。また、予備苗載置機構46の水平回動位置を固定するための、位置固定軸71および位置固定レバー72を備えている。
【0096】
下段保持フレーム52に固定され、円板形状の支持プレート61の中心を貫通する回動軸62が、回動軸支持筒部69に挿入され、支持プレート61の下面がプレート受け部70の上面に接触することにより、予備苗載置機構46は受け台68によって固定支持される。
【0097】
なお、支持プレート61が、本発明の回動部材の一例にあたる。
【0098】
図10に示すように、支持プレート61には、回動軸62を中心とする同一円周上に、第1の固定用孔73、第2の固定用孔74および第3の固定用孔75の3つの貫通孔が設けられている。
【0099】
受け台68の位置固定軸71は、第1の固定用孔73、第2の固定用孔74および第3の固定用孔75のいずれかを先端が貫通するように上方に付勢されている。また、位置固定軸71は、位置固定レバー72を押し下げることにより、下方へ移動させることができる。
【0100】
第1の固定用孔73は、予備苗載置機構46の先端部、すなわち上段予備苗載台47の先端を田植機8の前方に向けて固定するための孔であり、第2の固定用孔74は、予備苗載置機構46の先端部を機体に対して側方に向けて固定するための孔であり、第3の固定用孔75は、機体の後方に向けて固定するための孔である。
【0101】
位置固定レバー72を押し下げると位置固定軸71が下降し、貫通していた先端部が第1の固定用孔73、第2の固定用孔74または第3の固定用孔75から抜け、予備苗載置機構46を回動軸62を中心に水平に回動できるようになる。このとき、予備苗載置機構46は、支持プレート61の下面がプレート受け部70の上面に接触しながら回動する。
【0102】
そして、第1の固定用孔73、第2の固定用孔74および第3の固定用孔75のいずれかに位置固定軸71の先端を貫通させることにより、予備苗載置機構46を所望の水平位置に固定することができる。
【0103】
円形状の支持プレート61は、その中心位置にある回動軸62を中心として回動するので、受け台68上で予備苗載置機構46を回動させる際、図11に示すように、プレート受け部70の上面が、常に円形の支持プレート61によって覆われた状態で回動する。
【0104】
支持プレート61の下面がプレート受け部70の上面に接触しながら回動するので、プレート受け部70の上面には塗装の剥離などの傷が生じるが、プレート受け部70の上面は常に支持プレート61によって覆われているので、その傷が外部から視認されるのを防止できる。
【0105】
予備苗載置機構46を展開状態にして苗箱を載せる場合、予備苗載置機構46の支持位置が遠いと苗箱を載せたときに撓み易くなるが、プレート受け部70の扇形の上面全面に常に支持プレート61の下面が接触しながら支持される構成としたことにより、支持位置からのオーバーハング量を短くでき、予備苗載置機構46を撓み難くすることができる。
【0106】
したがって、図11(b)に示すように、予備苗載置機構46の先端が車体9の側方に向いている展開状態としたときでも撓み難いので、この位置で予備苗載置機構46を停止できるようにし、側方からも苗箱を載せるようにすることができる。
【0107】
なお、本実施の形態1では、支持プレート61の同一円周上に第1の固定用孔73、第2の固定用孔74および第3の固定用孔75の3つの貫通孔を設け、予備苗載置機構46が3箇所の水平位置で固定される構成としたが、支持プレート61の同一円周上にさらに貫通孔を設けることにより、予備苗載置機構46を他の水平位置、例えば田植機8の機体に対して斜め側方向きに固定することもできる。
【0108】
なお、本実施の形態1では、予備苗載置機構46を、予備苗載台47および48の2つの予備苗載台を有する構成例で説明したが、本発明は、特許文献1に記載されているような3つ以上の予備苗載台を有する構成にも適用できる。
【0109】
(実施の形態2)
実施の形態1の田植機8は、走行車両が旋回する際に苗植付部15を自動的に上昇させるオートリフト機能を備えている。
【0110】
本発明の実施の形態2では、田植機8のオートリフト機能に関連する部分の構成および動作について説明する。
【0111】
本実施の形態2の田植機8は、実施の形態1と同様の構成であり、予備苗載置機構が重複状態のときの側面図は図1に示す通りであり、平面図は図2に示す通りである。
【0112】
なお、以下に説明する本実施の形態2の図面(図12〜図15)は、いずれも右側を機体の前方として記載している。
【0113】
図12は、本実施の形態2の田植機8のオートリフト動作に関連する各部の接続構成を示している。図13は、田植機8の切替カム付近を示す側面図を示している。
【0114】
操縦ハンドル13の回転に応じて、ステアリングアーム91が回動する。ステアリングアーム91に固定されたピットマンアームが、タイロッドおよび前輪ファイナルケースに取り付けられたナックルアームに連結しており、操縦ハンドル13を操舵することにより、左右の前輪10を左右に走行操作できるようになっている。
【0115】
また、ピットマンアームにはオートリフトロッド95が回動自在に連結しており、機体を旋回させるステアリングアーム91の回動に応じて、オートリフトロッド95が後方へ引っ張られる構成となっており、機体の直進方向に対してステアリングアーム91が右旋回する場合も左旋回する場合も、オートリフトロッド95は同様の引っ張り力で後方へ引っ張られる。
【0116】
オートリフトロッド95の前端には、旋回アーム94の一端が回動自在に連結しており、旋回アーム94の他端には、オートリフトケーブル78の一端が回動自在に連結している。
【0117】
旋回アーム94は、その中央部を中心に回動自在となっており、オートリフトロッド95が後方へ引っ張られるのに応じて、他端に接続されているオートリフトケーブル78が引っ張られる構成となっている。
【0118】
オートリフトケーブル78の他端は、図13に示すように、旋回切替操作具83に回動可能に連結されている。
【0119】
苗植付部15の昇降を設定するための植付昇降レバー27の下端は、ブラケットを介して軸に回動可能に取り付けられているとともに、このブラケットには切替カム84の上端が固定されている。したがって、植付昇降レバー27を前後に移動させることによって、切替カム84を回動出来るようになっている。また、切替カム84は、前方方向(図13上、矢印A方向)に常時スプリング(図示せず)によって付勢されている。
【0120】
この切替カム84は、中央に横長形状の窓85が穿設されている。この窓85の上側端縁には4個の溝が並んで形成されている。この窓85には、水平方向に配置された位置決めローラー77の先端が挿入されている。
【0121】
この位置決めローラー77は、常時上方方向にスプリングで付勢されており、窓85の上側端縁に形成された4個の溝のいずれかに半分程度嵌められるが、スプリングに対抗して下方方向へ移動し得るようになっている。この位置決めローラー77は、水平方向に配置されているが、切替カム84の内側(図13上では、切替カム84の向こう側)の部分にはまず、バックリフトアーム76が固定されている。さらに、その内側にはバックリフト入り切りレバー82が回動可能に取り付けられている。
【0122】
さらに、切替カム84とバックリフトアーム76との間の隙間には、旋回切替操作具83が配置されている。そして、この旋回切替操作具83と、バックリフトアーム76は各後端部がそれぞれ共通の支持軸79に回動自在に連結されている。
【0123】
この旋回切替操作具83の前端には、上述したとおりオートリフトケーブル78の端部が回動可能に連結されているので、旋回切替操作具83が、ステアリングアーム91の旋回する向きへの回動によって引っ張られ、下方へ移動するようになっている。
【0124】
また、バックリフトアーム76に固定されているロックピンが、旋回切替操作具83の中央位置に開けられた孔に通常嵌め込まれている。したがって、通常は、旋回切替操作具83の移動にしたがって、バックリフトアーム76も移動するようになっている。
【0125】
そして、そのバックリフトアーム76は位置決めローラー77に固定されているので、バックリフトアーム76の移動にしたがって、位置決めローラー77も上下に移動するようになっている。もちろん、この旋回切替操作具83は手動によって左右方向(紙面に対して垂直方向)に移動でき、任意にバックリフトアーム76のロックピンから外すことができるようになっている。
【0126】
位置決めローラー77が下方へ移動すると、窓85の上側端縁の溝から外れるので、切替カム84は矢印A方向に回動する。
【0127】
他方、バックリフト入り切りレバー82には、逆L字状の切り欠き孔が穿設されており、水平方向に配置されたバーの先端が挿入されている。このバーは、変速レバー38が後進に設定されたとき、ワイヤー、ロッドなどを介して下方向に移動するようになっている。
【0128】
バックリフト入り切りレバー82の切り欠き孔に挿入されているバーが、L字型切り欠き孔の横長部分に位置している場合は、バーが下方向に移動することによって、バックリフト入り切りレバー82は押されて下方向に移動する。一方、そのバーが、L字型切り欠き孔の縦長部分に位置している場合は、バーが下方向に移動しても切り欠き孔内を移動するのみであり、この場合には、バックリフト入り切りレバー82は下方へは移動しない。
【0129】
また、バックリフト入り切りレバー82は位置決めローラー77に対して回動可能に連結されているので、作業者が手で回動して適宜位置決めすることによって、後進の際に、位置決めローラー77を自動的に下方へ押し下げるモードと、押し下げないモードとを任意に選択できるようになっている。
【0130】
植付昇降レバー27は、その位置によって、手前から、「上昇」、「停止」、「下降」、「植え付け」の各モードを切替設定出来るようになっており、それぞれ、切替カム84の窓85の上側端縁に形成された4個の溝に対応している。図13の位置決めローラー77は、「植え付け」位置の溝に嵌まっている状態を示している。
【0131】
植付昇降レバー27を前後に操作することによって、切替カム84を4種類の位置に移動させることが出来る。
【0132】
この切替カム84の移動は、ワイヤーやロッド、アームなどを介して、苗植付部15の昇降用油圧シリンダー26への油路を切り換える切替バルブに連動している。その結果、その連動によって、切替カム84の移動によって、苗植付部15の昇降、停止、下降、植え付けがそれぞれ制御されるようになっている。
【0133】
また、切替カム84の後方の付近には、モーター99などが配設されている。このモーター99は、機体が圃場の端に達して旋回走行に移り、その旋回に伴って後輪11が回転する際、その後輪11が所定数回転した時点で、苗植付部15を自動的に下降させるための手段である。
【0134】
すなわち、モーター99は制御回路からの指示に基づき、モーターアーム支持軸86を時計回り方向に回動させる手段である。このモーターアーム支持軸86にはモーターアーム87が固定されている。したがって、モーターアーム87も時計回り方向に回動する。
【0135】
一方、切替カム84の後方よりの位置にはピンが立設しており、このピンには回動可能に植付アーム81が連結されている。さらに、この植付アーム81にはその長手方向に長孔が開設されており、この長孔に、モーターアーム87の先端に立設したモーターアームピン98が回動可能かつ摺動可能に嵌め合わされている。
【0136】
さらに、切替カム84の後方下端には、切替カム84の位置を検出するために、三角形のプレート90が固定されている。このプレート90の頂点付近にはピンが固定されている。他方、上述したモーター99などの下方には、ポテンショメーター93が設けられている。このポテンショメーター93は、その軸に固定された、長孔が開設されたメーターアーム92を有しており、このメーターアーム92の回動角度を検出するようになっている。そして、メーターアーム92に開設された長孔に上述したプレート90のピンが回動可能かつ摺動可能に嵌め合わされている。したがって、切替カム84の位置に応じてプレート90とその先端に立設したピンが移動し、その結果、メーターアーム92も対応して回動する。これによってポテンショメーター93が、切替カム84の位置を精密に検出することができるようになっている。
【0137】
次に、機体の旋回時における苗植付部15の上昇動作および下降動作を自動に設定しているときの動作について説明する。
【0138】
苗を圃場に植え付ける際、作業者は、変速レバー38を前進に入れて圃場を走行させつつ、苗植付部15を下降させた状態で苗を圃場に植え付けていく。この作業状態では植付昇降レバー27は「植え付け」の位置に設定され、位置決めローラー77は、図13に示す切替カム84の窓85に形成された溝の位置に入った状態となっている。
【0139】
圃場の端に到達すると、作業者は、操縦ハンドル13を回動させる。その操縦ハンドル13の回動に伴って、ステアリングアーム91が回動し、オートリフトロッド95が後方へ移動し、旋回アーム94が回動して、オートリフトケーブル78が引っ張られる。
【0140】
その結果、旋回切替操作具83に連結するオートリフトケーブル78の他端が下方に引っ張られ、旋回切替操作具83が下方に移動する。
【0141】
苗植付部15の上昇動作を自動に設定しているので、バックリフトアーム76は、旋回切替操作具83と共に回動する。
【0142】
したがって、このとき旋回切替操作具83が下方に移動すると、バックリフトアーム76も下方に移動する。バックリフトアーム76が下方に移動すると、バックリフトアーム76に固定されている位置決めローラー77も下方に移動する。その結果、位置決めローラー77が、それまで嵌め込まれていた切替カム84の窓85に形成された溝から外れる。
【0143】
他方、切替カム84はスプリングによって常時前方(矢印A方向)へ付勢されているので、位置決めローラー77が窓85に形成された溝から外れると、自由に移動できるようになって、切替カム84は一気に軸を中心に反時計方向に回動する。その結果、植付昇降レバー27は「上昇」位置まで移動する。
【0144】
その結果、切替カム84の回動に伴い、ワイヤーやロッド、アームなどを介して、苗植付部15の昇降用油圧シリンダー26への油路を切り換える切替バルブが「上昇」側へ切り換わり、苗植付部15が上方へ移動する。
【0145】
このようにして、作業者が圃場の端で操縦ハンドル13を切ると、自動的に苗植付部15が上昇する。これによって、作業者が一々植付昇降レバー27を操作しなくてもよくなる。
【0146】
そして、さらに機体を旋回させていった場合、苗植付部15を自動的に下降させる。
【0147】
すなわち、後輪11の回転数を検出するセンサーによって検出された回転数信号が入力される制御回路は、予め設定されている回転数に達すると、モーター99に駆動信号を出力する。
【0148】
モーター99は、その駆動信号を受けて、切替カム84を移動させる。すなわち、旋回中は苗植付部15は上昇位置に存在しているので、植付昇降レバー27は「上昇」位置にある。そこで、制御回路からの駆動信号を受けると、モーター99は、モーターアーム支持軸86を時計回り方向に回動させる。それによって、モーターアーム87も時計回り方向に回動する。その結果、モーターアーム87に立設しているモーターアームピン98が、切替カム84に連結されている植付アーム81を後方へ(図面上左へ)引っ張るので、切替カム84は時計回り方向に回動する。
【0149】
なお、位置決めローラー77はスプリングによって上方へ付勢されているが、このモーター99による回動力によって、切替カム84が強制的に回動して位置決めローラー77は窓85に形成された溝を順次乗り越えていく。それに伴い、図13に示すような「植え付け」位置まで、切替カム84と植付昇降レバー27が回動する。
【0150】
本実施の形態2の田植機8は、図12に示すように、運転者の足元に配置したフートアクセル88によりエンジン23の回転数を調整する。
【0151】
フートアクセル88を足で踏み込むことにより、フートアクセル88が根元の軸を中心に回動し、フートアクセル88に固定されたアクセルアーム89がフートアクセル88と共に回動する。そして、アクセルアーム89に連結するスロットルケーブル96が、フートアクセル88の回動量に応じて前方へ引っ張られる。そして、スロットルケーブル96の引っ張り量に応じて、エンジン23の回転数が上昇する。
【0152】
本実施の形態2では、エンジン増速ケーブル97によって、旋回アーム94とアクセルアーム89とを連結している。
【0153】
図12に示すように、エンジン増速ケーブル97は、オートリフトケーブル78に並列して旋回アーム94の端部に連結しているので、ステアリングアーム91が旋回する際、オートリフトケーブル78が引っ張られると共に、エンジン増速ケーブル97も引っ張られる。
【0154】
したがって、田植機8の作業者が操縦ハンドル13を直進状態から回動させたとき、すなわち機体が旋回する際、エンジン増速ケーブル97が引っ張られ、アクセルアーム89が回動してスロットルケーブル96を引っ張り、エンジン23の回転数が上昇する。
【0155】
エンジン23の回転数が上がることにより、昇降用油圧シリンダー26の油圧が確保されるので、エンジン23の回転数が変化しない場合よりも、苗植付部15を速い速度で上昇させることができる。
【0156】
従来は、旋回切替操作具83に連結するオートリフトケーブル78を引っ張ることのみで、切替カム84によって苗植付部15を自動的に上昇させていたが、その場合、苗植付部15が上昇し始めるまでにタイムラグが生じ、サイドフロート29やセンターフロート30などが植え付けた苗に当たり、その苗を倒してしまうおそれがあった。
【0157】
本実施の形態2のように、機体が旋回し始める際に、エンジン23の回転数も自動的に上げるようにすることで、苗植付部15の上昇速度を速くでき、植え付けた苗を倒してしまうことを防止できる。
【0158】
図14に、本実施の形態2の他の構成の田植機8のオートリフト動作に関連する各部の接続構成を示す。
【0159】
図12では、一端を旋回アーム94に連結したエンジン増速ケーブル97の他端をアクセルアーム89に連結する構成としたが、図14では、エンジン増速ケーブル97の他端をスロットルケーブル96に接続する構成とし、エンジン増速ケーブル97の引っ張り量が、アクセルアーム89を介さずに直接スロットルケーブル96に伝達される構成としている。
【0160】
図12の構成では、エンジン増速ケーブル97が引っ張られることにより、その引っ張り量に応じてフートアクセル88も回動するが、図14の構成では、フートアクセル88は回動せず、フートアクセル88も単独で使用できる。また、直接スロットルケーブル96に接続する構成としたことにより、図12の場合よりも安価に実現できる。
【0161】
次に、モーター99の回転によって苗植付部15を自動的に下降させる苗植付部自動下降機能のスイッチに、オートリフト機能のオンオフ設定を連動させる構成としてもよい。
【0162】
図15(a)〜(c)に、本実施の形態2の、苗植付部15を自動的に下降させる苗植付部自動下降機能のスイッチにオートリフト機能のオンオフ設定を連動させる構成とした田植機8の、オートリフトリンク機構の状態を示す要部側面透視図を示す。また、図16に、オートリフトリンク150の配置を説明する、オートリフトリンク機構部分の模式背面図を示す。図16は、オートリフト機能をオフにした状態を示している。
【0163】
図15(a)は、機体が圃場の端に達して、作業者が操縦ハンドル13を回動させ、オートリフト機能によって苗植付部15が自動的に上昇した状態を示している。
【0164】
一端が支持軸79に回動自在に支持され、他端がオートリフト入切レバー係止部154によって係止されたオートリフト入切レバー151が設けられている。オートリフト入切レバー151は、オートリフト入切レバー係止部154近傍で、スプリングによって下方に付勢されている。
【0165】
オートリフト入切レバー151には、オートリフトケーブル規制部152でオートリフトケーブル78が固定されている。
【0166】
オートリフトケーブル規制部152は、オートリフトケーブル78の旋回切替操作具83との連結部分からオートリフトケーブル規制部152までの間のオートリフトケーブル78の長さが、所定の長さ以上となる範囲で変化できるように規制している。したがって、旋回切替操作具83との連結部分からオートリフトケーブル規制部152までのオートリフトケーブル78の長さは、常に所定の長さ以上となる。
【0167】
また、一端が、オートリフト支持軸153に回動自在に支持され、他端がオートリフト入切レバー151に回動自在に連結するオートリフトリンク150が設けられている。したがって、オートリフトリンク150は、オートリフト入切レバー151の回動に応じて、オートリフト支持軸153を中心として回動する。
【0168】
図16に示すように、オートリフトリンク150は、機体の左右方向において、モーターアーム87と植付アーム81の間に配置されている。
【0169】
図15(a)では、モーター99の回転によって苗植付部15を自動的に下降させる苗植付部自動下降機能のスイッチが入れられており、それに連動してオートリフト機能もオンに設定された状態となっている。
【0170】
図15(a)は、機体が圃場の端に達して、作業者が操縦ハンドル13を回動させたときを示しており、オートリフトロッド95が後方へ引っ張られることにより旋回アーム94が回動し、オートリフトケーブル78が引っ張られて旋回切替操作具83が引き下げられて、苗植付部15が自動的に上昇位置に移動している。
【0171】
図15(b)は、機体が圃場の端に達して旋回した後、後輪11の所定数の回転が検出されて、モーター99の回転によって苗植付部15が自動的に下降された状態を示している。
【0172】
苗植付部自動下降機能のスイッチが入れられている状態なので、後輪11の所定数の回転が検出されると、モーター99は、モーターアーム87を時計回り方向に回動させ、連結する植付アーム81を後方へ引っ張り、切替カム84を時計回り方向に回動させて、苗植付部15が自動的に植え付けの位置に下降する。
【0173】
図15(a)および図15(b)では、オートリンク入切レバー151の一端はオートリフト入切レバー係止部154に係止されている状態であり、旋回切替操作具83とオートリフトケーブル規制部152間のオートリフトケーブル78は、常に引っ張られている状態で伸縮する。
【0174】
次に、苗植付部15が自動的に下降して植え付けしている状態で、作業者が苗植付部自動下降機能のスイッチをオフにすると、モーター99がモーターアーム87を反時計回り方向に回動させ、モーターアームピン98がオートリフトリンク150を押し上げて、オートリフト機能の設定がオフとなる。
【0175】
このとき、図16に示すように、モーターアーム87の先端に立設したモーターアームピン98がオートリフトリンク150に接触することにより、オートリフトリンク150がオートリフト支持軸153を中心として回動し、オートリフトリンク150の一端が上方へ移動する。
【0176】
図15(c)は、オートリフト機能の設定が解除された状態で、作業者が植付昇降レバー27を操作して、苗植付部15を上昇させたときの状態を示している。
【0177】
図15(c)に示すように、モーターアームピン98がオートリフトリンク150を押し上げることにより、オートリフトリンク150の上方への移動とともに、オートリフト入切レバー151の一端も、オートリフト入切レバー係止部154から離れて上方へ引き上げられる。
【0178】
オートリフト入切レバー151の一端が上方へ移動することにより、その近傍に配置されているオートリフトケーブル規制部152と旋回切替操作具83との間隔が狭まる。オートリフトケーブル規制部152と旋回切替操作具83との間隔が、オートリフトケーブル規制部152によって規制される所定の長さ以下となるので、オートリフトケーブル規制部152と旋回切替操作具83間のオートリフトケーブル78は、緩んだ状態となる。
【0179】
このとき、作業者が操縦ハンドル13を回動させると、オートリフトケーブル78が引っ張られるが、オートリフトケーブル規制部152と旋回切替操作具83間のオートリフトケーブル78は緩んだままであり、旋回切替操作具83は、オートリフトケーブル78によって引き下げられない。すなわち、この場合には、オートリフト機能がオフにされている状態となっている。
【0180】
また、苗植付部自動下降機能のスイッチを、図13(c)に示すようなオフにしている状態から作業者がオンに変更した場合には、モーター99がモーターアーム87を時計回り方向に回動させ、オートリフトリンク150が下がってオートリフト入切レバー係止部154に係止される位置に戻る。
【0181】
すなわち、オートリフト機能は、苗植付部自動下降機能のスイッチをオンにした場合にも連動して、オフ設定からオン設定に切り替わる。
【0182】
このような構成とすることにより、苗植付部自動下降機能のスイッチに連動させてオートリフト機能をオフにすることができるので、苗植付部自動下降機能のスイッチとは別にオートリフト機能設定用のスイッチを設ける必要が無く、また、作業者が複数のスイッチを操作する必要が無くなるので、作業者のスイッチの操作し忘れ等のミスを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明にかかる苗移植機は、起伏の大きな道の走行時においても、振動によって予備苗載置機構が重複状態から展開状態へと切り換わらないので、乗用型田植機など、走行装置を有する機体の側部に予備苗載置機構を備えた苗移植機など、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0184】
1 苗載せ台
2 苗取出し口
3 苗送り装置
4 苗植付具
8 田植機
9 車体
10 前輪
11 後輪
12 操作ボックス
13 操縦ハンドル
15 苗植付部
16 施肥装置
17 肥料タンク
18 繰出部
19 ブロワー
20 移送ホース
21 吐出口
22 運転席
23 エンジン
25 昇降リンク機構
26 昇降用油圧シリンダー
27 植付昇降レバー
28 植込杆
29 サイドフロート
30 センターフロート
31 エンジン出力プーリ
32 ベルト
33 HST
34 入力プーリ
35 入力軸
36 ミッションケース
38 変速レバー
40 整地ローター
41 伝動ケース
42 動力取出軸
43 苗送りベルト
44 主支持フレーム
45 副支持フレーム
46 予備苗載置機構
47 上段予備苗載台
48 下段予備苗載台
49 先端支持部
51 上段保持フレーム
52 下段保持フレーム
53 前リンクアーム
54 後リンクアーム
55 第1の連結軸
56 第2の連結軸
57 第3の連結軸
58 第4の連結軸
59 ロックプレート
60 ロック用フック
61 支持プレート
62 回動軸
63 固定プレート
64 摺動プレート
65 ストッパー
66 調節ボルト
67 アーム当接部
68 受け台
69 回動軸支持筒部
70 プレート受け部
71 位置固定軸
72 位置固定レバー
73 第1の固定用孔
74 第2の固定用孔
75 第3の固定用孔
76 バックリフトアーム
77 位置決めローラー
78 オートリフトケーブル
79 支持軸
80 固定予備苗載置機構
81 植付アーム
82 バックリフト入り切りレバー
83 旋回切替操作具
84 切替カム
85 窓
86 モーターアーム支持軸
87 モーターアーム
88 フートアクセル
89 アクセルアーム
90 プレート
91 ステアリングアーム
92 メーターアーム
93 ポテンショメーター
94 旋回アーム
95 オートリフトロッド
96 スロットルケーブル
97 エンジン増速ケーブル
98 モーターアームピン
99 モーター
100 苗植付装置
101 運転部
102 予備苗載置機構
103 予備苗載台
103u 上段の予備苗載台
103m 中段の予備苗載台
103d 下段の予備苗載台
104 操縦ハンドル
105 運転座席
106 ボンネット
107 フロア
108 補助ステップ
109 ステップ
110 支持フレーム
111 エンジンフレーム
112 前輪
113 後輪
114 第1の連係リンク
115 第2の連係リンク
116 第3の連係リンク
150 オートリフトリンク
151 オートリフト入切レバー
152 オートリフトケーブル規制部
153 オートリフト支持軸
154 オートリフト入切レバー係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(9)に設けられ、圃場に苗を植え付ける植付部(15)と、
前記走行車体(9)に固定された支持部材(44)と、
前記支持部材(44)に連結され、予備苗を載置する予備苗載置機構(46)とを備え、
前記予備苗載置機構(46)は、
上下方向に重なり合う重複状態と前後方向に展開する展開状態とに切り換え可能な、少なくとも1つが可動式である複数の予備苗載台(47、48)と、
前記各予備苗載台(47、48)を保持する複数の保持フレーム(51、52)と、
前記複数の保持フレーム(51、52)に回動可能に取り付けられ、前記予備苗載台(47、48)の展開状態において前後方向に配列する複数のリンクアーム(53、54)と、
前記複数のリンクアーム(53、54)のうち、前記予備苗載台(47、48)の展開状態において最も前側に位置するリンクアーム(53)を、前記予備苗載台(47、48)が前記重複状態のときの位置で保持することにより、前記可動式の予備苗載台(47)が、前記重複状態から前記展開状態へと移動することを防止する状態保持機構(59、60)とを有することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記状態保持機構(59、60)は第1係止具(59)および第2係止具(60)で構成し、
前記第1係止具(59)が、前記保持フレーム(52)に設けられており、
前記第2係止具(60)が、前記最も前側に位置するリンクアーム(53)に設けられており、
前記予備苗載台(47、48)の重複状態において、前記第1係止具(59)と前記第2係止具(60)とが互いに係止し合うことにより、前記最も前側に位置するリンクアーム(53)を保持して前方へ回動することを規制することを特徴とする、請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記予備苗載置機構(46)は、
前記複数のリンクアーム(53、54)のうちいずれかの前記リンクアーム(54)が連結する前記保持フレーム(52)の連結位置の近傍の前記保持フレーム部分に固定され、前記予備苗載台(47、48)が重複状態となっているときに前記連結したリンクアーム(54)を支える機構であって、前記連結したリンクアーム(54)を支える位置が調節可能になっているリンク支持機構(65)を有する、請求項1または2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記複数のリンクアーム(53、54)は、同一のV字形状であり、
前記予備苗載台(47、48)の展開状態では、前記各リンクアーム(53、54)の一方の直線部分同士が、側面視で一直線状に位置することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記支持部材(44)の上部は、上面が水平な受け台(68)で構成され、
前記予備苗載置機構(46)の底部は、下面が前記受け台(68)を覆う大きさの円形である回動部材(61)で構成され、
前記回動部材(61)は、前記円形の下面が前記受け台(68)の上面に接触しながら、前記受け台(68)上を前記円形の中心を軸として回動可能に、前記受け台(68)に連結されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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