説明

落石検知装置

【課題】鉄道線路に沿って安価に設置可能で、かつ、長期間にわたって安定した動作が可能な検知装置を提供すること。
【解決手段】落石検知柵群と、その両端の端部支柱と、端部支柱に取り付けられたセンサボックスとからなり、落石検知柵群は、所定間隔の柵支柱に支持され、落石検知柵群の上部に沿って取り付けた防護用PF管内に、センサワイヤを摺動自在に収納し、センサワイヤの一端部を、センサボックスにスイッチ作動用として連結し、他端部を他方の端部支柱に固着し、センサボックスは、アクチュエータを有するスイッチと、ばねと、センサワイヤに余長部をもって連結された動作ワイヤと、これらを収納するハウジングとを具備し、アクチュエータを動作ワイヤの動きに連動してスイッチの開閉作動をするようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の安全運行に支障をきたすような所定以上の大きさの落石を確実に検知するとともに、豪雪地方における積雪により誤動作しないようにした落石検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1)傾斜地を転がり落下する落石を、落下物抑止杭にて受け止めて落下抑止する方法は、特許文献1等に記載されている。また、落下物抑止杭の間に、水平方向に一定間隔でワイヤを張り、また、さらに網を付加して落下抑止する方法は、特許文献2等に記載されている。
(2)この特許文献2に記載の水平方向のワイヤは、地表面近くまで張設されているので、検知すべき大きな落石のみならず小動物や小さな落石をも検知し、また、豪雪地帯では、積雪が地表面付近で堅くなり、その堅くなった雪がワイヤに絡まり誤検知する恐れがある。
そこで、杭の上端部にだけロープを張り巡らしたものが特許文献3に記載されている。しかし、このロープは、地上から0.5〜1mの高さのパイプに張られるものであるから、依然として地表面近くの小動物を検知するおそれがあるのみならず、傾斜地を転がり落ちてくる落石は、飛び越えてしまい検知できないおそれがある。さらに、豪雪地帯では、地表面の堅くなった雪がワイヤに絡まり誤動作の恐れがある。
(3)特許文献4に記載の落石監視装置は、ワイヤの一端をアンカーに連結し、ワイヤの他端をばね等のブレーキング部材を介在して支柱の上端部に連結し、前記ワイヤの途中からセンサワイヤを分岐し、このセンサワイヤに余裕を持たせて支柱の上端部の変位検出センサに結合しておくものである。そして、落石等により、支柱が所定角度以上傾き、ブレーキング部材の限界を超えてセンサワイヤが変位検出センサから外れると、警報を発するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172635号公報
【特許文献2】特開平5−295713号公報
【特許文献3】特開平10−97690号公報
【特許文献4】特開2000−321099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の落下物抑止用杭における問題点は、次のとおりである。
(1)落石を抑止杭により直接受けて落下を抑止しようとするものであるから、杭の構造が頑丈で、かつ、地盤への設置もしっかりとしていなければならず、少なくとも数kmにも及ぶ鉄道線路用としては、高価になりすぎる。そのため、この特許文献1に記載の発明では、一部を肉薄にして経済的効果を狙っているが、限度がある。
【0005】
特許文献2に記載の落石防止体の衝撃力吸収装置における問題点は、次のとおりである。
(2)支柱の下端部にコイルばねを介在することにより、落石で支柱が折れ曲がっても復元するようになっており、維持管理を容易にしているが、逆に、落石を十分に防護できない、という問題を有する。また、地表面近くでは、小動物や小さな落石を検知するだけでなく、パイプとロープの高さが精々1mであるから落石が跳躍して飛び越えるおそれがある。さらに、豪雪地帯では、地表面で堅くなった雪がワイヤに絡まり誤動作の恐れがある。
【0006】
特許文献3に記載の地滑り落石警報装置における問題点は、次のとおりである。
(3)パイプの上端部にのみロープを張り巡らしたものであるが、このロープは、高さ0.5〜1mのパイプの上端部に張られるものであるから、依然として地表面近くの小動物を検知するおそれがあるのみならず、傾斜地を転がり落ちてくる落石は、飛び越えてしまい検知できないおそれがある。さらに、豪雪地帯では、地表面の堅くなった雪がワイヤに絡まり誤動作の恐れがある。
【0007】
特許文献4に記載の落石等の監視装置における問題点は、次のとおりである。
(4)この装置は、ワイヤの一端をアンカーに連結し、ワイヤの他端をばね等のブレーキング部材を介在して支柱の上端部に連結し、前記ワイヤの途中からセンサワイヤを分岐し、このセンサワイヤに余裕を持たせて支柱の上端部の変位検出センサに結合しておき、落石等により、支柱が所定角度以上傾き、ブレーキング部材の限界を超えてセンサワイヤが変位検出センサから外れると、警報を発するものであるが、このような装置は、一台の単価が極めて高価なため、鉄道線路に沿って数〜数十キロにわたって設置することは、事実上不可能であり、センサワイヤが変位検出センサから外れたときの維持管理も極めて面倒である。
【0008】
本発明の目的は、次の通りである。
(1)鉄道線路に沿って数kmにわたって安価に設置可能なこと。
(2)豪雪地帯で使用しても積雪による誤動作がないこと。
(3)所定の大きさの落石を確実に検知できること。
(4)長期間にわたって安定した動作が可能なこと。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の落石検知装置は、落石監視区間に設置した落石検知柵群と、この落石検知柵群の両端部に位置してそれぞれ設置された端部支柱と、この端部支柱のいずれか一方に取り付けられたセンサボックスとからなり、前記落石検知柵群は、前記端部支柱の間に所定間隔で立設した柵支柱にて取り付けられ、落石検知柵群の上部に沿って防護用PF管を取り付け、この防護用PF管内に、前記落石検知柵群の傾きにより引き込まれるセンサワイヤを摺動自在に収納し、このセンサワイヤの一端部を、前記センサボックスにスイッチ作動用として連結し、他端部を前記他方の端部支柱に固着し、前記センサボックスは、ハウジングと、このハウジング内に取り付けられ、進退動するアクチュエータを有するスイッチと、前記外部ハウジング内に一端部を取り付けたばねと、このばねの他端部に一端部が連結され、他端部が前記センサワイヤに余長部をもって連結された動作ワイヤとを具備し、前記アクチュエータを前記動作ワイヤの動きに連動してスイッチの開閉作動をするようにしたことを特徴とする。
【0010】
落石検知柵群は、豪雪地域では、積雪による誤動作を防止するため、少なくとも2mの高さを有し、防護用PF管は、この落石検知柵群の上部の横枠にらせんタイで取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、落石監視区間に設置した落石検知柵群と、この落石検知柵群の両端部に位置してそれぞれ設置された端部支柱と、この端部支柱のいずれか一方に取り付けられたセンサボックスとからなり、前記落石検知柵群は、前記端部支柱の間に所定間隔で立設した柵支柱にて取り付けられ、落石検知柵群の上部に沿って防護用PF管を取り付け、この防護用PF管内に、前記落石検知柵群の傾きにより引き込まれるセンサワイヤを摺動自在に収納し、このセンサワイヤの一端部を、前記センサボックスにスイッチ作動用として連結し、他端部を前記他方の端部支柱に固着し、前記センサボックスは、ハウジングと、このハウジング内に取り付けられ、進退動するアクチュエータを有するスイッチと、前記外部ハウジング内に一端部を取り付けたばねと、このばねの他端部に一端部が連結され、他端部が前記センサワイヤに余長部をもって連結された動作ワイヤとを具備し、前記アクチュエータを前記動作ワイヤの動きに連動してスイッチの開閉作動をするようにしたので、鉄道線路に沿って安価に設置可能で、また、所定の大きさの落石を確実に検知でき、かつ、長期間にわたって安定した動作が可能である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、落石検知柵群は、少なくとも2mの高さを有し、防護用PF管は、この落石検知柵群の上部の横枠にらせんタイで取り付けたので、豪雪地帯で使用しても積雪による誤動作がない。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、両端の端部支柱とこれら端部支柱の間に所定間隔で立設した落石検知柵群の柵支柱は、それぞれ個別の基礎コンクリートによって地盤に設置するようにしたので、設置工事の短縮が可能で、しかも、安価に設置可能である。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、両端の端部支柱とこれら端部支柱の間に所定間隔で立設した落石検知柵群の柵支柱は、それぞれ個別の基礎コンクリートによって地盤に設置するとともに、これらの基礎コンクリートのうちのいずれかの基礎コンクリートにおける落石移動方向に直交する面に、受圧板を配置して地盤に設置するようにしたので、基礎前面の受働土圧が確実に基礎コンクリートに伝達され、所定の大きさの落石を確実に検知できる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、防護用PF管の一端部をセンサボックスのハウジングに設けたボックスコネクタに嵌合し、かつ、このボックスコネクタの内部でセンサワイヤと動作ワイヤを連結部で連結したので、センサワイヤに生じた異状なストレスで前記連結部が切断して、センサボックス内が保護され、長期間にわたって安定した動作が可能となる。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、動作ワイヤをアクチュエータの貫通部に貫通し、動作ワイヤのばねとの連結部側であって、貫通部との間に動作しきい値をもって位置調整可能なワイヤクリップを設けたので、スイッチの動作点を、落石の大きさや落石検知柵群の傾きに応じて調整することができる。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、アクチュエータに、動作ワイヤの引き出し方向と逆方向にアクチュエータ引き込み用ばねを設けたので、スイッチの動作後に、センサワイヤと動作ワイヤを元に戻すと、スイッチは、常に元の位置に戻り、次の見地に備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の落石検知装置は、落石監視区間に設置した落石検知柵群13と、この落石検知柵群13の両端部に位置してそれぞれ設置された端部支柱12と、この端部支柱12のいずれか一方に取り付けられたセンサボックス17とからなり、前記落石検知柵群13は、前記端部支柱12の間に所定間隔で立設した柵支柱14にて取り付けられ、落石検知柵群13の上部に沿って防護用PF管19を取り付け、この防護用PF管19内に、前記落石検知柵群13の傾きにより引き込まれるセンサワイヤ18を摺動自在に収納し、このセンサワイヤ18の一端部を、前記センサボックス17にスイッチ作動用として連結し、他端部を前記他方の端部支柱12に固着し、前記センサボックス17は、ハウジング45と、このハウジング45内に取り付けられ、進退動するアクチュエータ27を有するスイッチ26と、前記外部ハウジング45内に一端部を取り付けたばね24と、このばね24の他端部に一端部が連結され、他端部が前記センサワイヤ18に余長部23をもって連結された動作ワイヤ59とを具備し、前記アクチュエータ27を前記動作ワイヤ59の動きに連動してスイッチ26の開閉作動をするようにしたものである。
【0019】
落石検知柵群13は、豪雪地域では、積雪による誤動作を防止するため、少なくとも2mの高さを有し、防護用PF管19は、この落石検知柵群13の上部の横枠50にらせんタイ49で取り付ける。
また、両端の端部支柱12とこれら端部支柱12の間に所定間隔で立設した落石検知柵群13の柵支柱14は、それぞれ個別の基礎コンクリート15によって地盤に設置するとともに、これらの基礎コンクリート15のうちのいずれかの基礎コンクリート15における落石移動方向に直交する面に、受圧板54を配置して地盤に設置する。
【0020】
センサワイヤ18に生じた異状なストレスで連結部61が切断するように、防護用PF管19の一端部をセンサボックス17のハウジング45に設けたボックスコネクタ44に嵌合し、かつ、このボックスコネクタ44の内部でセンサワイヤ18と動作ワイヤ59を連結部61で連結することが好ましい。
【0021】
動作ワイヤ59に急激に大きな引張り力が動作してセンサボックス17内のスイッチ26等が破壊するのを防止するため、動作ワイヤ59をアクチュエータ27の貫通部67に貫通し、動作ワイヤ59のばね24との連結部側であって、貫通部67との間に動作しきい値66をもって位置調整可能なワイヤクリップ64を設け、アクチュエータ27に、動作ワイヤ59の引き出し方向と逆方向にアクチュエータ引き込み用ばね63を設ける。
【実施例1】
【0022】
図面に基づき具体的実施例を説明する。
図4及び図5において、34は、鉄道駅舎、集中管理所などに設置される親機である。28(28a,28b,〜28n)は、落石監視区間に順次設置されるセンサユニットで、複数組が連続して設置される。
前記センサユニット28の一組の構成は、落石検知柵群13と、この落石検知柵群13の両端部に位置してそれぞれ設置された端部支柱12,12と、この端部支柱12のいずれか一方に取り付けられたセンサボックス17とからなる。
前記落石検知柵群13は、1組の長さが70〜100m程度で、この落石検知柵群13の端部のセンサボックス17と前記親機34の間は、メタル伝送ケーブル37で接続される。
前記センサユニット28は、図6(d)に示すように、鉄道線路の盛土58と落石10の恐れのある斜面11との間に沿って左右にそれぞれ複数組のセンサユニット28a,28b〜28nが設置される。こられ複数組のセンサユニット28a,28b〜28nのセンサボックス17a,17b〜17nは、図4に示すように、直列に順次連結し、図5に示すように、左右にそれぞれ1000mずつの監視範囲を持つように構成される。
【0023】
また、図5において、前記親機34の1000m先には、第1の子機35が設置され、電源供給用電源ケーブル39と検知信号等を親機34に伝送する光ファイバケーブル38により接続され、この第1の子機35のさらに1000m先には、第2の子機35が同様に電源ケーブル39と光ファイバケーブル38により接続されて設置される。これらの第1、第2の子機35にも、前記同様片側に1000mの監視範囲を持つように複数組(10〜15組)のセンサユニット28を直列に連結して設置され、メタル伝送ケーブル37によりそれぞれのセンサボックス17に直接接続される。この結果、1つのシステムで、鉄道線路の監視範囲が最大4000mとなっている。ここで、例えば、1組のセンサユニット28の長さを100mとすると、10組で1つの監視範囲とし、70mとすると、14組のセンサユニット28で1つの監視範囲としている。
なお、監視範囲の単位長さは、必ずしも1000mに限られるものではなく、それ以上でもそれ以下であってもよい。
【0024】
前記センサユニット28をさらに詳しく説明する。
図4において、一組のセンサユニット28の長さが100mとすると、100mの間隔をおいた両端に、堅固な2本の端部支柱12が基礎コンクリート15a,15aによって垂直に立設され、この端部支柱12a,12bの間に落石検知柵群13の柵支柱14が基礎コンクリート15bによって垂直に立設されて1組のセンサユニット28が形成される。図1に示す落石検知柵群13は、柵支柱14が太い豪雪用で、図8に示す落石検知柵群13は、柵支柱14がやや細い少雪用又は無雪用である。図4では、10〜14組のセンサユニット28a、28b、28c、…28nが直列に設置されて1単位で1000mの監視範囲が構成されている。
【0025】
前記端部支柱12と落石検知柵群13をさらに詳しく説明する。
図1において、前記端部支柱12は、十分大きな落石10があっても倒れることのないような150×150mm程度のI型鉄鋼材などからなり、地上高さを下記の理由により少なくとも2.2mとし、地中には550mm程度が埋まるように縦、横、高さが350×350×650mm程度の基礎コンクリート15aで固定する。この基礎コンクリート15aにおける落石10の移動方向に直交する2面に縦、横が650×600mm程度の受圧板54aが取り付けられる。
前記端部支柱12のうち、一方端の端部支柱12には、上端部にセンサボックス17が固着され、他方端の端部支柱12の上端部にセンサワイヤ18がターンバックル55を介して固定的に取り付けられる。このセンサワイヤ18は、図3に示すように、防護用PF管19に移動自在に収納保護されている。
【0026】
前記豪雪用の落石検知柵群13を図1に基づき説明する。
この落石検知柵群13は、上下の横枠50と縦の縦枠51との枠組みに金網52を張り付けた高さが約2100mmのフェンスであり、この落石検知柵群13は、1500〜2000mm間隔で垂直に立設された柵支柱14の前記上下の横枠50にUボルト53にて固定的に取り付けられる。前記柵支柱14は、地上高さを2150mm程度とし、地中には500mm程度が埋まるように縦、横、高さが350×350×600mm程度の基礎コンクリート15bで固定する。この基礎コンクリート15bの1つおきに、落石10の移動方向に直交し、かつ、線路側に面した1面に縦、横が600×600mm程度の受圧板54bが取り付けられる。
柵支柱14の間隔は、落石検知柵群13や柵支柱14の強度、積雪量、予想される落石の大きさ、斜面11の勾配などによって設定される。
【0027】
前記基礎コンクリート15a,15bに取り付けられた受圧板54a,54bは、基礎前面の受働土圧が確実に基礎コンクリート15a,15bに伝達されるようにするためのもので、図6(d)に示すように、基礎底面の処理は、次のように行われる。
・基礎底面地盤が砂質土又は粘性土の場合は、砕石を敷き均し、十分に締め固める。
ただし、基礎底面地盤が礫質土の場合には砕石は不要とする。
・基礎底面地盤が岩盤の場合には、不陸整正のみ行う。
埋め戻しの処理は、次のように行われる。
・基礎前面側及び背面側の埋め戻し土57は、十分に締め固める。
・図6(d)に示すように、斜面11に設置される場合には、背面側掘削勾配を主働崩壊角φ56より緩い勾配とし、基礎天端面で水平に埋め戻す。
前記受圧板54a,54bは、施工時にずれや隙間が生じないように、接着剤等を用いて基礎コンクリート15a,15bに密着させて設置する。
【0028】
以上のようにして柵支柱14に落石検知柵群13を取り付けた後、内部にセンサワイヤ18を通した防護用PF管19を上部の横枠50に沿わせてらせんタイ49で移動自在に支持する。センサワイヤ18の一端部は、図3に示すように、センサボックス17内の動作ワイヤ59と連結部61で連結し、他端部は、他方の端部支柱12にターンバックル55を介して固定的に連結する。
【0029】
前記センサボックス17は、図3(a)(b)に示すように、外部ハウジング45が端部支柱12の上端部に取り付け具32にて固定的に取り付けられている。前記外部ハウジング45の内部には、雨水の侵入を防止するために内部ハウジング46が設けられて二重構造となっている。この内部ハウジング46の内部に、スイッチ26,避雷器用端子箱68,ばね24、ばね63が取り付けられている。前記避雷器用端子箱68に接続されたリード線30は、前記スイッチ26に接続され、また外部ハウジング45に設けた端子箱60に接続されている。
前記ばね24の一端部は、ばね取り付け具25に固定的に取り付けられ、他端部にはヒューズ65とワイヤクリップ64が取り付けられた動作ワイヤ59が連結されている。前記スイッチ26を進退するアクチュエータ27の外側に突出している部分が貫通部67を貫通して動作ワイヤ59に移動自在に遊嵌し、このアクチュエータ27は、弱目のばね63によって常時引き込まれてアクチュエータ27がスイッチ26内に押し込まれている。また、貫通部67とワイヤクリップ64の距離は、所定の動作しきい値66となるようにワイヤクリップ64が調整自在に取り付けられる。
【0030】
前記ヒューズ65は、銅線などからなり、動作ワイヤ59が異状に引き出されて内部ハウジング46内のスイッチ26等が破壊するのを防止するためのものである。
前記内部ハウジング46内の動作ワイヤ59は、ケーブルグラント43を通って外部ハウジング45のボックスコネクタ44内の連結部61でセンサワイヤ18と連結される。この連結部61は、センサワイヤ18に異常なストレスがかかったときに切断してセンサボックス17内が破壊されるのを防止する。
前記動作ワイヤ59には、余長部23が設けられており、落石検知柵群13が落石10によって設定された角度、例えば30度以上押し倒されたときにスイッチ26が作動するための遊びである。
【0031】
前記落石検知柵群13の要求機能は、次の通りとする。
(1)基本事項
基本事項は、落石10が発生したことを検知すること。すなわち、落石検知柵群13が倒壊して落石10が限界内に入ってもよいが、早期に鉄道の運行を再開できること、である。そのためには、
・人力で片付けられる程度の大きさの落石10は、落石検知柵群13内に入ってもよい。
・落石10が列車に当たっても運行に支障のない程度の損傷に留まるものは許容する。
本発明装置では、上記許容範囲を超えるものとして、直径50cm以上の落石10を対象とする。ただし、落石10は、形状、比重、落石速度などにより衝撃力が異なるので、直径50cm以下であっても本発明装置は動作することが考えられ、落石10の大きさは、単なる目安とする。
【0032】
(2)落石検知柵群13の要求機能
1)落石を受けたら落石検知柵群13が変形又は崩壊し、落石監視システムが作動すること。
・センサボックス17が作動するための落石検知柵群13に求められる条件は、落石検知柵群13が所定以上の落石10で変形するか倒壊すること。すなわち、δ>δreq(δreq=センサボックス17が作動するセンサワイヤ18の伸び量に対する落石検知柵群13の変形量)を満足すること。
・落石10を受ける部材が落石衝撃力を落石検知柵群13に伝達し、センサワイヤ18が取り付けられている横枠50が変形又は崩壊すること。
2)積雪地域に設置される落石検知柵群13は、積雪(斜面雪圧)に対して作動しないこと。
・斜面雪圧による落石検知柵群13の発生応力σ≦支柱部材の許容応力度σaを満足すること。
3)落石以外(動物、人間、風等)に対して作動しないこと。
・直径50cm未満の落石10であっても落石検知柵群13が変形又は倒壊すればセンサボックス17のスイッチ26は作動する。
・基礎コンクリート15の変形(回転、滑動、沈下)によっても落石検知柵群13に変形が及びセンサボックス17のスイッチ26は作動する。
【0033】
各部の設計条件は、次の通りとする。
(1)落石諸元
・落石径は、列車に当たっても運行に支障のない程度の損傷に留まるものは許容する。この許容する目安として、50cm未満の落石10を想定する。
・飛躍高
落石10の飛躍高は、後述する理由から2m(斜面に直角方向)とする。
(2)積雪条件
設計積雪深:H=2mとする。
積雪の密度:γs=3.5KNm
(3)使用材料
・端部支柱12を構成する鋼材
材質SS400 基本強度=235N/mm
許容応力度σa=140N/mm (安全率=1.7)
・コンクリート
設計基準強度σck=N/mm
(4)基礎構造
許容支持力Qa=100KN/m
【0034】
前記端部支柱12と落石検知柵群13の地上高さを2mとしたのは、次の理由による。
落石の飛躍量は、日本道路協会が平成12年6月に発行した落石対策便覧によれば、次の通りである。
落石現象を巨視的にみると、平面的軌跡は斜面の最大勾配に沿って等高線に直角方向に落下するが、斜面の横断面内では図2(a)に示すような跳躍をしながら落下するという挙動を示す。したがって、落石防護工の設計外力の作用位置としては、同図に示す軌跡の高さとして最大跳躍量hをとればよいこととなる。
既往の実験結果によれば、最大跳躍量hは一般的な斜面形状の場合には落石の形状によらず、ほとんど2m以下であるが、斜面に突起があるとこれを超えることが図2(b)に示されている。
この図2(a)及び(b)において、斜面は凹凸のある植生のないところで、かつ、斜面角度θは40度と55度で実験した。落石10は、塊状で直径dが30cm,50cm,70cmの3種類とした。実験結果では、最大跳躍量hは2mを超えるものも少なからず観察され、また、最大跳躍量hは斜面角度θが大きい方がやや大きくなる傾向にあるが、落石10の直径の大小にはほとんど関係なく、さらに、落下高さHが30m以上であっても30mのとき最大跳躍量hが約2mに収束し、総落石数の80〜85%は2m以下の跳躍量となることが報告されている。図2(b)において、2mを大幅に超えた点線枠で囲まれたデータは、斜面途中の突起に衝突して飛躍したものである。
【0035】
検知すべき落石10の直径dは、列車に当たっても運行に支障のない程度の損傷に留まるものは許容することとし、その許容する目安として50cm未満の落石を想定している。
積雪条件は2mとしている。積雪は2m以上になることは十分予測されるが、2m以上の上層では密度が低く、センサワイヤ18に影響を与えるのは時間とともに密度が高くなる下層であることによる。積雪密度はγs=3.5KNmとした。
【0036】
前述のように、センサボックス17が作動するための落石検知柵群13に求められる条件は、落石検知柵群13が所定以上の大きさの落石10で変形するか倒壊すること。すなわち、δ>δreq(δreq=センサボックス17が作動するセンサワイヤ18の伸び量に対する落石検知柵群13の変形量)を満足すること。この条件を満足するため、実施例では、落石検知柵群13は、図6(d)に示すように、直径50cmの落石10を受けたとき、倒壊角度θが15度程度傾くような強度に設定している。
【0037】
前記センサワイヤ18の余長部23は、任意に設定することができる。このセンサワイヤ18の余長部23を調節することにより、落石検知柵群13の倒壊量とセンサボックス17の動作範囲の設定を行うことが可能となる。この余長部23の設定に関しては、落石検知柵群13の倒壊量の定義の他に想定される誤動作要因もパラメータとして加味する必要がある。
このセンサワイヤ18の余長部23の設定項目は、以下の3項目となる。
(a)落石検知柵群13の倒壊量
落石検知柵群13の倒壊量は、「落石対策便覧の許容最大変位量及び可能吸収エネルギー」に定義される「落石検知柵群13の許容最大変位角は15度とする」に準ずる。
落石検知柵群13の可能吸収エネルギー(Er)は、次式により計算される。
Er=E+E+E
ここに、E:センサワイヤ18の吸収エネルギー
:支柱の吸収エネルギー
:金網の吸収エネルギー
【0038】
落石検知柵群13の高さ2.0mで、センサボックス17の設置高さ及び落石検知柵群13におけるセンサワイヤ18の取り付け位置を1.9mとした場合の落石検知柵群13の倒壊角度15度におけるセンサワイヤ18の伸び量は、約50cmとなる。さらに具体的には、図6(d)に示すように、直径50cm以上の落石10によって落石検知柵群13が約15度傾斜したものとする。センサワイヤ18の線膨張量と施工時のセンサワイヤ18の弛みを無視すると、落石検知柵群13の上端が約51cm傾く。すると、傾斜した落石検知柵群13と傾斜していない落石検知柵群13との間でセンサワイヤ18が約65cmに伸び、したがって、65×2−80=50cmだけセンサワイヤ18が伸び、センサボックス17内の余長部23が引き出される。
【0039】
(b)センサワイヤ18の線膨張量
ステンレスワイヤの線膨張係数は以下の通りである。
20〜200℃(×10−5
SUS304=係数1.73
20〜200℃で使用した場合、20℃から21℃になったときのセンサワイヤ18の長さは、
100mから100.00173m
となり、温度が1℃上昇するたびに1.73mm伸びる計算となる。
仕様上の動作範囲である−20〜+50℃の範囲内での変位量は、以下の通りとなる。
周囲温度20℃から50℃に上昇したとき、+51.9mm
周囲温度20℃から−20℃に低下したとき、−69.2mm
このうち、伸び方向に関してはスイッチ26のアクチュエータ27を動作する方向にならないため、対象となるのは収縮方向となる。
【0040】
(c)施工時のセンサワイヤ18の弛み
ワイヤスイッチ方式は、最大100m未満に敷設することになるセンサワイヤ18の弛みを吸収するプリテンション機能は具備しない。
施工時のワイヤ弛み量を定量化することは不可能であるが、ある程度の長さを考慮する。
【0041】
ワイヤスイッチ方式の余長部23の考え方
上述した項目をもとに、ワイヤスイッチ方式の余長部23を定義する。
a)落石検知柵群13の変位又は倒壊量は、15度以上とする。
b)センサワイヤ18の線膨張量は、周囲温度20℃から−20℃に低下したときの−69.2mmとする。
c)施工時のセンサワイヤ18の弛み量は、定量化できないため、暫定的にセンサワイヤ18の線膨張量と同量とし、それぞれをもって相殺するものとする。
【0042】
ワイヤスイッチ方式の動作量定義
a)ワイヤスイッチ方式の動作は、15度以上の落石検知柵群13の倒壊とする。
b)スイッチ26のアクチュエータ27の余長部23は、50cmとする。
c)センサワイヤ18の線膨張量69.2mmとセンサワイヤ18の施工時の弛み量は、相殺するものとする。
d)これらの数値は、事情により変更できるものとする。
【0043】
親機34と子機35の間の通信仕様は、以下の通りとする。
(1)通信方式は、TDM光モデム(複数の接点情報を集約しTDM方式により光回線で伝送する方式)による光伝送方式とする。
1)名称:デジタル信号双方向光変換モジュール
2)機能構成:デジタル信号双方向光変換モジュール2台及び光ファイバを用いることにより16点のオン・オフ信号、デジタル信号の入出力を光ファイバで双方向通信する。
3)光信号変調方式:TDM(時分割多重変調)方式
(2)適用ケーブル
・適合ケーブル:マルチモードファイバGI(50/125)・(62.5/125)、H−PCF(200/230)
なお、H−PCFは1000mまで。
・適合コネクタ:F01(FC)型(JISC5970)
【0044】
詳細設計
(1)仕様
本発明による装置は、列車の安全運行に支障をきたすような落石災害等を検知し、それを伝達することを目的としたセンサシステムである。
本装置は、落石災害の特性に合わせた検知器、プラットフォームにより的確に崩壊を捉え、警報を出力する。
【0045】
(2)構成
本装置は、親機34(コントロールユニット:CU)、子機35(ターミナルユニット:TUn)を連携するプラットフォームと、それらプラットフォームに接続するセンサボックス17(:SBn−n)を組み合わせる落石災害等検知システムである。
親機34は、本システムの最上位装置であり、監視エリアに1台必要とする。
子機35は、親機34に接続される装置であり、監視エリアの範囲によって0〜2台を接続することができる。
センサボックス17は、親機34に2回路(1回路につきセンサユニット28の最大接続数15台)、子機35に1回路(センサユニット28の最大接続数15台)を直列に接続し、落石災害等を検知する機能を有する。
親機34と子機35の間の最大連携可能距離は1000mであり、プラットフォーム(親機34と1台の子機35)の最大設置間隔は3000mである。
センサボックス17の最大接続距離は、1000mである。落石災害等の監視範囲は、親機34が1台の場合、最大2000m、子機35を1台連携接続する毎に1000mを延長することができる。最大監視範囲は4000mである。
プラットフォームの情報伝送は、光ファイバケーブル38を用いて行い、センサボックス17間の情報伝送は、メタル伝送ケーブル37を用いる。
親機34は、警報/ワイヤスイッチ動作、短絡/故障、バッテリ動作、プラットフォーム間の通信以上を判断し、各情報を端局装置及び特殊信号発光機発光制御用接点に出力する。
プラットフォームは、補助接点36の機能を各装置2回路ずつ実装する。
【0046】
(3)特記事項
本装置は、「300V以下の低圧機器」に該当するためD種設置(接地抵抗値:100Ω以下)工事が必要であり、雷害事故を防止するため設置工事は必須である。
(4)供給電源
親機34で受電する商用AC100V電源を電源ケーブル39で子機35に給電する。親機34と子機35の間は、直列に接続するものとし、給電距離を考慮して240Vの昇圧送電として子機への送電の損失を可能な限り少なくする。
【0047】
以上のように構成された落石検知方法を説明する。
(1)落石10が直径50cm以下であって、落石検知柵群13に衝突しても15度以上の傾きが生じなければ、センサワイヤ18は、余長部23を十分に引き出さず、スイッチ26はオフすることがない。また、直径40cm以下の小さな落石10であって、端部支柱12と落石検知柵群13の間をすり抜けても列車の運行にはほとんど支障がなく、かつ、人力でその落石10を排除できる。
【0048】
(2)落石10が直径50cm以上のときは、落石検知柵群13に衝突して15度以上の傾きが生じたものとする。
ここで、図6(a)に示すように、落石10が落石検知柵群13における基礎コンクリート15bに受圧板54bのない箇所又はその付近に衝突したものとすると、落石検知柵群13の柵支柱14は、基礎コンクリート15bがないので図6(d)のL1のように大きく傾き、その両側の柵支柱14は、基礎コンクリート15bがあるのでわずかな傾きとなる。そのため、センサワイヤ18の弛みは隣接する3本の柵支柱14の中で鋭角に発生する。
また、図6(b)に示すように、落石10が落石検知柵群13における基礎コンクリート15bに受圧板54bのないある箇所又はその付近に衝突したものとすると、落石検知柵群13の柵支柱14は、基礎コンクリート15bがあるので図6(d)のL2のように傾きがやや小さくなるが、1つおいた両側の柵支柱14は、基礎コンクリート15bがあるのでわずかな傾きとなる。そのため、センサワイヤ18の弛みは隣接する5本の柵支柱14の中で図6(a)に比較してやや鋭角さに欠けるが、センサワイヤ18は、センサボックス17を作動するのに十分な引き出し量となる。
【0049】
センサワイヤ18が引き出されて、連結している動作ワイヤ59の余長部23がなくなると、動作ワイヤ59は、ばね24に抗して引き出されて、ワイヤクリップ64と貫通部67との動作しきい値66がなくなり、さらに動作ワイヤ59を引き出すと、貫通部67に連結しているアクチュエータ24をばね63に抗して引き出し、スイッチ26をオフする。
なお、貫通部67がケーブルグラント43に密着するほど動作ワイヤ59が引き出されると、ヒューズ65が切断してアクチュエータ27等の破壊を防止する。
【0050】
センサユニット28が親機34に直結されているものであるときは、センサユニット28a、28b、…28nのうちのいずれのスイッチ26がオフしても落石信号が親機34に送られ、この親機34から集中管理所等へ警報信号として出力される。
センサユニット28が子機35に連結されているものであるときは、センサユニット28a、28b、…28nのうちのいずれのスイッチ26がオフしても落石信号が子機35へ送られ、この子機35で、光電変換して双方向の通信用光ファイバ38で親機34に送られ、この親機34で電気信号に変換してから集中管理所等へ警報信号として出力される。
(3)短絡/故障の信号を検出すると、親機34から直接、又は、子機35から親機34を介してその信号を出力する。
(4)バッテリ動作の異常信号を検出すると、親機34から直接、又は、子機35から親機34を介してその信号を出力する。
(5)通信異常信号を検出すると、親機34から直接、又は、子機35から親機34を介してその信号を出力する。
(6)補助入出力部36(外部接点機能)に接続されている機能の説明を付加する。
(7)その他、端局47に接続された防災システムの機能の説明を付加する。
【実施例2】
【0051】
落石検知柵群13は、積雪が少ないか影響の少ない箇所では、図8に示すように、落石検知柵群13を構成する太さを細い縦枠51を柵支柱14として使用したり、縦枠51の間隔を広くしたりしたものであってもよい。その他の構造は、実施例1の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による落石検知装置の実施例1を示すもので、(a)は、センサユニット28の平面図(b)は、センサユニット28の正面図である。
【図2】(a)は、落石の軌跡の模式図である。 (b)は、落石の跳躍量hと落下高さHの関係を示す特性図である。
【図3】本発明による落石検知装置のセンサボックス17の一実施例を示すもので、(a)は、内部の正面図、(b)は、側面図である。
【図4】本発明による落石検知装置の実施例1を示すもので、センサユニット28を複数組連結した正面図である。
【図5】本発明による落石検知装置の実施例1を示すもので、親機34と子機35にそれぞれセンサユニット28を複数組連結した説明図である。
【図6】(a)は、落石10の衝突により落石検知柵群13が変位した状態の一例を示す平面図である。 (b)は、落石10の衝突により落石検知柵群13が変位した状態の他の例を示す平面図である。 (c)は、落石10の衝突により落石検知柵群13が変位した状態の正面図である。 (d)は、落石10の衝突により落石検知柵群13が変位した状態の側面図である。
【図7】本発明による落石検知装置の落石検知柵群13とセンサボックス17の接続状態を示すブロック図である。
【図8】本発明による落石検知装置の実施例2を示すもので、(a)は、センサユニット28の平面図(b)は、センサユニット28の正面図である。
【符号の説明】
【0053】
10…落石、11…斜面、12…端部支柱、13…落石検知柵群、14…柵支柱、15…基礎コンクリート、16…地盤、17…センサボックス、18…センサワイヤ、19…防護用PF管、23…余長部、24…ばね、25…ばね取り付け具、26…スイッチ、27…アクチュエータ、28…センサユニット、30…リード線、31…導入出部、34…親機、35…子機、36…補助入出力部、37…メタル伝送ケーブル、38…光ファイバケーブル、39…電源ケーブル、40…バッテリ、41…ノイズ計測ケーブル、42…抵抗、43…ケーブルグラント、44…ボックスコネクタ、45…外部ハウジング、46…内部ハウジング、47…端局、48…短絡、49…らせんタイ、50…横枠、51…縦枠、52…金網、53…Uボルト、54…受圧板、55…ターンバックル、56…掘削角φ、57…埋め戻し土、58…盛土、59…動作ワイヤ、60…端子箱、61…連結部、62…差し込み管、63…ばね、64…ワイヤクリップ、65…ヒューズ、66…動作しきい値、67…貫通部、68…避雷器用端子箱、69…蓋、70…ヒンジ、71…異径ジョイント、72…横桟。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落石監視区間に設置した落石検知柵群と、この落石検知柵群の両端部に位置してそれぞれ設置された端部支柱と、この端部支柱のいずれか一方に取り付けられたセンサボックスとからなり、前記落石検知柵群は、前記端部支柱の間に所定間隔で立設した柵支柱にて取り付けられ、落石検知柵群の上部に沿って防護用PF管を取り付け、この防護用PF管内に、前記落石検知柵群の傾きにより引き込まれるセンサワイヤを摺動自在に収納し、このセンサワイヤの一端部を、前記センサボックスにスイッチ作動用として連結し、他端部を前記他方の端部支柱に固着し、前記センサボックスは、ハウジングと、このハウジング内に取り付けられ、進退動するアクチュエータを有するスイッチと、前記外部ハウジング内に一端部を取り付けたばねと、このばねの他端部に一端部が連結され、他端部が前記センサワイヤに余長部をもって連結された動作ワイヤとを具備し、前記アクチュエータを前記動作ワイヤの動きに連動してスイッチの開閉作動をするようにしたことを特徴とする落石検知装置。
【請求項2】
落石検知柵群は、少なくとも2mの高さを有し、防護用PF管は、この落石検知柵群の上部の横枠にらせんタイで取り付けたことを特徴とする請求項1記載の落石検知装置。
【請求項3】
両端の端部支柱とこれら端部支柱の間に所定間隔で立設した落石検知柵群の柵支柱は、それぞれ個別の基礎コンクリートによって地盤に設置するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の落石検知装置。
【請求項4】
両端の端部支柱とこれら端部支柱の間に所定間隔で立設した落石検知柵群の柵支柱は、それぞれ個別の基礎コンクリートによって地盤に設置するとともに、これらの基礎コンクリートのうちのいずれかの基礎コンクリートにおける落石移動方向に直交する面に、受圧板を配置して地盤に設置するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の落石検知装置。
【請求項5】
防護用PF管の一端部をセンサボックスのハウジングに設けたボックスコネクタに嵌合し、かつ、このボックスコネクタの内部でセンサワイヤと動作ワイヤを連結部で連結し、センサワイヤに生じた異状なストレスで前記連結部が切断するようにしたことを特徴とする請求項1,2、3又は4記載の落石検知装置。
【請求項6】
動作ワイヤをアクチュエータの貫通部に貫通し、動作ワイヤのばねとの連結部側であって、貫通部との間に動作しきい値をもって位置調整可能なワイヤクリップを設けたことを特徴とする請求項5記載の落石検知装置。
【請求項7】
アクチュエータに、動作ワイヤの引き出し方向と逆方向にアクチュエータ引き込み用ばねを設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の落石検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−13656(P2009−13656A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176266(P2007−176266)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000230973)日本工営株式会社 (39)
【Fターム(参考)】