説明

蒸気発電プラントにおける増出力運転方法

【課題】蒸気タービンの抽気使用量を制限することで蒸気タービン駆動用蒸気量を増やし、設備変更を行わずに発電機出力を定格出力以上に増出力する方法を提供することである。
【解決手段】給水加熱器バイパス弁の開度を調整することで、給水加熱器を通過する給水流量を減少させることにより、給水加熱器で消費する抽気量を減少させ、発電機と結合した蒸気タービンを駆動する蒸気量を増やすとともに、蒸気発生装置で発生する蒸気供給量を一定にすることにより、増出力をおこなう蒸気発電プラントの増出力運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンの抽気量を制限することで蒸気タービン駆動用蒸気量を増やし、設備変更を行わずに発電機出力を定格出力以上に増出力する蒸気発電プラントにおける増出力運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給については、需要量と供給量のバランスを保つために、あらゆる条件を想定し最大の需要量をまかなえる様な供給量を確保している。しかし、異常気象による需要量の増加や不測の設備トラブル等が重なり需要に対して供給量が逼迫する可能性がある。
【0003】
そのような場合、新たな設備を増設したり、既設の発電設備を改造したり、レンタル機器を設置するなどの手段が考えられるが、いずれも設備の設置にはある程度の期間が必要で、急な需要増に対して間に合わない場合があり、また緊急工事となる場合、コストが高くなる恐れがある。
【0004】
そこで、新設や改造を行うことなく、既設の発電設備の設備余裕代を活用し発電機出力を定格出力以上に増出力することができれば、より高い需要に対して供給安定度を高めることが出来る。
【0005】
発電機出力を増出力させる発電プラントとして例えば、蒸気発電プラントがある。蒸気発電プラントでは、蒸気発生装置にて発生した蒸気にて発電機と結合された蒸気タービンを駆動して発電している。
【0006】
一般的な蒸気発電プラントでは、蒸気タービンの駆動用蒸気の一部を抽気として取りだし、その抽気を給水の加熱や給水ポンプ駆動用蒸気タービンの動力として使用することで蒸気発電プラント全体の効率向上を図っている。
【0007】
蒸気タービンプラントの発電機出力を増出力する方法として、特許文献1には、既設蒸気タービンプラントとは別に設置した蒸気タービンと発電機に、既設蒸気タービンからの抽気を流下することにより増出力をおこなう石炭焚き火力発電システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−132899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1のものでは、新たな設備を設置するため確実に発電機出力を増加することができるが、設置のための期間やコストがかかり急遽供給量が不足する事態には対応できない。また、発電所内に設置スペースを確保することができない等の問題点もある。
【0010】
本発明の目的は、新たな設備を設置することなく蒸気発電プラントの増出力を可能とする運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法は、蒸気発生装置で発生した蒸気にて発電機と結合した蒸気タービンを駆動させることで発電をし、前記蒸気タービンを駆動する蒸気の一部を給水加熱器での給水加熱用の抽気として取りだす方式を採用する蒸気発電プラントにおいて、前記給水加熱器を通過する給水流量を減少させるとともに、前記蒸気発生装置にて発生する蒸気流量を一定とすることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法は、請求項1の発明において、前記給水加熱器は給水加熱器バイパス管を備え、前記給水加熱器バイパス管に設置された給水加熱器バイパス弁の開度を調整することで、前記給水加熱器を通過する給水流量を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法は、請求項2において、前記給水加熱器バイパス弁の開度と発電機出力値の相関カーブをあらかじめ作成しておき、蒸気発電プラント運転中の前記給水加熱器バイパス弁の開度に対する前記発電機出力値を前記相関カーブに基づいて、目標となる発電機出力に対応するバイパス弁開度に調整することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法は、請求項3において、前記給水加熱器バイパス弁の開度と発電機出力値の相関カーブは、熱計算により求めた前記給水加熱器バイパス弁開度に対する前記蒸気発生装置の入口給水温度と、プラント熱計算により求めた前記蒸気発生装置にて発生する蒸気流量を一定とする場合の前記発電機出力値より作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、給水加熱器を通過する給水流量を減少させることで、給水加熱器に流れる給水流量に正の相関を持つ抽気流量を減少させることが出来る。給水流量と熱交換量の関係は、熱通過率流速の0.8乗に比例するDittus-Boelterの方程式等が知られている。
【0016】
蒸気タービンからの抽気量が減り、かつ、蒸気タービン入口蒸気流量は一定で制御されているため、結果的に蒸気タービンを駆動する蒸気流量が増え、蒸気タービンに結合される発電機出力を増加させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、給水加熱器に流れる給水流量を減少させる手段として、給水加熱器バイパス弁の開度を調整することで可能にしている。給水加熱器バイパス弁を操作することで、蒸気発生装置入口の給水流量を変化させずに、容易に給水加熱器に流れる給水流量を調整することができる。蒸気タービン入口の蒸気流量を定格値一定とするためには、蒸気発生装置入口の給水流量を変化させないことが望ましいからである。
【0018】
請求項3の発明によれば、あらかじめ作成した給水加熱器バイパス弁の開度に対する蒸気発電プラントの出力の相関カーブを基に、必要な出力に応じた給水加熱器バイパス弁開度を設定できるため、必要な発電機出力に応じたバイパス弁開度を容易に設定することが出来る。電力の需給状況に応じて、適切な量の増出力運転が可能となる。
【0019】
請求項4の発明によれば、蒸気発電プラントの実運転前に給水加熱器バイパス弁開度に対する蒸気発電プラントの出力値を確認することが出来る。増出力はプラントに多少なりとも負担がかかるので、プラントの健全性を確保しながら実施する必要がある。あらかじめ作成した相関カーブどおりに運転できているか否かで、プラントの健全性を確認する手段の一つとなり得る。
【0020】
このように、実際に蒸気発電プラントで実施する試験運転時の適用可否判断に使用できるほか、増出力運転中に運転値と相関カーブとの差異が大きくなった場合、プラントのどこかに不具合が出ている可能性を早期の段階に発見することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る蒸気発電プラントの概略構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法の実施例1の構成図。
【図3】本発明の実施形態に係る蒸気発電プラントの増出力運転方法の実施例2の構成図。
【図4】給水加熱器の概略構成図。
【図5】相関カーブ(給水加熱器バイパス給水流量−発電機出力)
【図6】相関カーブ(給水加熱器バイパス給水流量−蒸気発生装置入口給水温度)
【図7】相関カーブ(給水加熱器バイパス弁開度−発電機出力)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。かかる実施の形態に示す名称や、構成などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係わる蒸気発電プラントである火力発電プラントの概略構成図である。蒸気発電プラントは、蒸気発生器であるボイラー60と、ボイラー60で発生した蒸気によって駆動される蒸気タービン70と、蒸気タービン70に流入する蒸気量を調整する蒸気加減弁62と、蒸気タービン70と結合される発電機80と、蒸気タービン70を駆動した蒸気を復水に戻す復水器90と、復水器90内の復水を給水として蒸気発生器60に送り出す給水ポンプ100と、給水ポンプ100によって送出された給水を加熱する給水加熱器10と、給水加熱器10を流れる給水をバイパスさせるバイパス管20と、バイパス管20内の給水流量を調整する給水加熱器バイパス弁30と、蒸気タービン70を駆動する蒸気の一部を抽気として給水加熱器10に送出する抽気管40と、抽気管40に設置される抽気弁50とから構成される。図1では、説明のために一般的な構成を簡略化した構成図を示している。
【0024】
ボイラー60にて発生した蒸気は、蒸気タービン70を駆動し、蒸気タービン70に結合された発電機80の出力として電力を発生し、図示省略の電力系統に電力を供給する。発電機80の出力は、ボイラー60にて発生した蒸気の圧力、温度、流量と蒸気加減弁62の開度という各要素にて蒸気流量を調整され、定格運転時には定格の蒸気流量にて運転を行っている。
【0025】
蒸気タービン70にて仕事を終えた蒸気は、復水器90に導かれて水に戻される。復水器90内の水は給水ポンプ100でボイラー60に給水として送出され、ボイラー60で再び蒸気となり蒸気タービン70を駆動させる。給水はボイラー60に入る前に蒸気タービン70から供給される抽気を熱源とした給水加熱器10により暖められることで、蒸気発電プラント全体の効率向上を図っている。
【0026】
そこで、蒸気タービン70から供給される抽気量を減らすことが出来れば、蒸気発電プラント全体としての効率は低下するが、蒸気タービン70を駆動するための蒸気量が増えるため、結果として発電機出力を増出力する事が出来る。
【0027】
しかし、蒸気タービン70からの抽気量を減らしたことにより発電機出力が増加しても、通常は発電機出力を一定にする制御を行っているため、ボイラー60からの蒸気流量を減少させ、もとの発電機出力に戻すようになっている。
【0028】
そこで、発電機出力に応じて蒸気流量を制御するのではなく、蒸気流量を一定に制御することで、ボイラー60の出力流量を変化させることなく、発電機出力を増出力することが出来る。ただし、あくまでボイラー60、蒸気タービン70、発電機80それぞれの機器について増出力が可能な定格値に対する設備余裕代の範囲でおこなうことが可能である。
【0029】
つづいて、抽気量を減らすための具体的な方法について図1および図4を用いて示す。図4は給水加熱器10の構造を示す概略構造図である。給水は給水加熱器10に入った後、熱交換器110である細管を通り出口に流れる。熱交換器110には蒸気タービン70からの抽気が流入するため、抽気と給水とが熱交換を行い、給水の温度を高めている。
【0030】
抽気は給水と熱交換を行うことで冷やされ気体から液体に変化し凝縮し、熱交換器内圧力が減少するため、圧力の高い抽気管40より新たな抽気が供給される。抽気流量は、抽気管40に設けられた抽気弁50によって制御されているわけではなく、あくまで給水加熱器10の熱交換器110での熱交換量に比例した流量が流れている。
【0031】
つまり、抽気と熱交換を行う給水量を減らすことで、抽気との熱交換量が減り、気体から液体に凝縮する抽気量が減ることで、抽気流量を減らすことが出来るのである。
【0032】
各給水加熱器の抽気弁を操作することでも抽気量を減少させることは可能だが、実際のプラントでは給水加熱器は複数存在し、全ての抽気弁を操作することは操作員にとって煩雑であり、全ての給水加熱器の抽気弁を同時に開閉出来ない場合、ヒートバランスが崩れプラントの状態を安定させるのに時間がかかる等、速やかに増出力を実現することが出来ない。
【0033】
新たに制御装置を設置し抽気弁を操作することもできるが、その分改造コストがかかってしまう。それに対し、給水流量を調整する場合、全ての給水加熱器の給水が同時に変化するため、全体的なヒートバランスを崩すことなく速やかに抽気量を減少させることが出来る。
【0034】
つづいて、一般的な火力発電プラントにおける増出力運転方法について示す。図2は一般的な火力発電プラントの構成図である。蒸気発生器であるボイラー60で発生した蒸気は、主蒸気として蒸気加減弁62を通過し高圧タービン71を駆動させる。高圧タービン71を駆動した蒸気は再度ボイラー60で加熱された後、再熱蒸気として中圧タービン72を駆動させ、その排気で低圧タービン73を駆動させ、各タービンと結合された発電機80によって発電している。
【0035】
低圧タービン73の排気は復水器90で水に戻され、復水ポンプ101で脱気器16へ送出される。復水ポンプ101と脱気器16間には低圧タービン73の抽気を用いた低圧給水加熱器14、15があり、脱気器16へ流入する復水温度を高めている。脱気器16では中圧タービン72の抽気等を用いて復水中に含まれる酸素分を除去する。
【0036】
脱気器16の復水は給水ポンプ102により給水としてボイラー60へ送出される。給水ポンプ102とボイラー60間には高圧給水加熱器11、12、13があり中圧タービン72及び高圧タービン71の抽気を利用して給水温度を高める。ボイラー60へ送出された給水は再び蒸気となり高圧タービン71へ送出される。
【0037】
蒸気発電プラントの増出力を行うには、まず、定格出力で安定して運転している状態において、その時の主蒸気流量制御を発電機出力追従制御から主蒸気流量一定制御に切り替える。定格出力で安定して運転しているので、主蒸気流量には変化が無く制御方法を切り替えてもプラントとして変化は起きない。
【0038】
続いて、高圧給水加熱器バイパス弁30の開度を通常運転時の0%から徐々に開いていく。高圧給水加熱器バイパス弁30に給水が流れることで、高圧給水加熱器11、12、13に流れる給水の量が減っていく。高圧給水加熱器11、12、13に流れる給水量が減ることで、流入する抽気量が減る。
【0039】
具体的には、高圧給水加熱器バイパス弁30によって複数の高圧給水加熱器11、12、13に流れる給水量を減らすことが出来るので、複数箇所の抽気流量を同時に減らすことが出来る。高圧給水加熱器の数量はプラントによって異なり、3つや4つであることが多い。
【0040】
抽気流量が減ることで、高圧タービン71及び中圧タービン72、さらに中圧タービン72の出口蒸気が流入する低圧タービン73の駆動用蒸気が増加し発電機出力を増出力することが出来る。なお、高圧給水加熱器11、12、13に流れる給水量を減らした後で、主蒸気流量制御を発電機出力追従制御から主蒸気流量一定制御とし主蒸気流量を定格流量に戻す手順としても良い。
【0041】
なお、前記操作に加えて低圧給水加熱器バイパス弁37を開操作してさらに増出力を行うことも出来る。しかし、低圧給水加熱器14、15をバイパスする復水流量が増えることで、脱気器16に流入する復水温度が低下するため、脱気器16に供給する復水中の酸素分を適切に低下させるためには抽気流量を増やさなければならなくなり、結果的にプラントによっては増出力できない場合も考えられる。
【0042】
また、低圧給水加熱器14、15の復水流量のみを減少させても良いが、低圧給水加熱器14、15への抽気量は減るが、脱気器への復水温度や、その次の段の給水加熱器への給水温度が低下するなど、脱気器やその次の段の給水加熱器において熱交換量が増えてしまい、抽気量が増加するため、結果的に増出力効果は小さくなる。プラントによってはほぼゼロになることもある。
【0043】
図3は実施例2における蒸気発電プラントの構成図である。給水加熱器バイパス弁を給水加熱器ごとに設置してある場合、それぞれの給水加熱器バイパス弁を操作しても良い。その場合、給水温度が高温となる側の給水加熱器から操作を行うことが望ましい。
【0044】
例えば、第1高圧給水加熱器バイパス弁31を操作して、第1高圧給水加熱器11の給水流量を下げてしまうと、さらに高温側の第2高圧給水加熱器12にはその前後で流量は変わらないが温度の低い給水が流れるため、抽気の熱交換量が増えてしまい抽気流量が増えてしまうこととなる。
【0045】
その後第2高圧給水加熱器バイパス弁32を操作し、第2高圧給水加熱器12の給水流量を下げると、一度増えた抽気流量が大幅に減るため、高圧タービン71の駆動蒸気流量が変動してしまいプラントへの影響が大きくなる。そこで、第3高圧給水加熱器13から給水量を減らしていくと、抽気流量の増減量は第1高圧給水加熱器13から給水量を減らした場合に比べて小さいため、変動の少ない安定した蒸気発電プラントとしての運転が可能となる。
【0046】
また、高圧給水加熱器11、12、もしくは低圧給水加熱器14、15いずれかの給水流量のみを減少させた場合は、当該給水加熱器への抽気量は減るが、その次の段の給水加熱器への給水温度が低下するため、その次の段の給水加熱器において熱交換量が増えてしまう。その結果、その次の段の給水加熱器の抽気量が増加するため、増出力効果は小さくなる。プラントによってはほぼゼロになることもある。
【0047】
つづいて、本発明を実際の発電プラントに適用する場合は、適用の可否について十分に確認を行う必要があり、適用の可否については、給水加熱器バイパス弁の開度に応じた蒸気発電プラントの出力をヒートバランス計算によりあらかじめ求め、計算上運転が実施可能か検討をおこなう。
【0048】
計算上実施が可能であると判断された場合、実際に試験運転を行い蒸気発電プラントの各部実測値とヒートバランス計算値との比較をおこなう。実際の試験運転時には、ヒートバランス計算値は発電機出力だけでなく、ボイラ入口給水温度、燃料流量、給水流量、主蒸気流量などの項目においてもあらかじめヒートバランス計算値を求めて比較することが望ましい。
【0049】
ヒートバランス計算は、以下のような手順にて行う。まず基準とする給水加熱器をバイパスさせる給水流量を設定する。給水加熱器バイパス弁開度に対する給水加熱器をバイパスさせる給水流量があらかじめ解っていれば直接給水加熱器バイパス弁開度を設定しても良い。
【0050】
続いて、バイパスさせることで減少する給水加熱器に流れる給水流量から、給水加熱器出口の給水温度を熱計算により求める。さらに、給水加熱器出口の給水と、給水加熱器バイパス管出口の給水を混合した給水温度を求める。これが、ボイラ入口給水温度となる。さらに主蒸気流量を一定とし、プラントのヒートバランス計算を行い、その時の発電機出力を求める。
【0051】
これらのヒートバランス計算を、基準とする給水加熱器バイパス給水流量として例えば10%、20%、30%と変化させてそれぞれ行い、図5に示すような給水加熱器バイパス給水流量と蒸気発電プラントの発電機出力の相関カーブを作成する。その他ヒートバランス計算において、図6に示すような給水加熱器バイパス給水流量とボイラ入口給水温度の相関カーブを作成しても良い。
【0052】
給水加熱器バイパス弁開度と給水加熱器バイパス給水流量の相関が不明な場合には、増出力運転でない通常プラント運転時に、給水加熱器バイパス弁の開度とその時のボイラ給水温度を計測し、相関カーブを作成してヒートバランス計算にて作成した相関カーブより、図7に示すような給水加熱器バイパス弁開度と蒸気発電プラントの発電機出力の相関カーブを作成することが出来る。
【0053】
このような相関カーブを用いることで、蒸気発電プラントにおける増出力運転において、必要な発電機出力に応じた給水加熱器バイパス弁開度が相関カーブより容易に調整することが可能となる。また、増出力運転中に、発電機出力と対応した給水加熱器バイパス弁開度に偏差が生じた場合には、プラントに不具合が生じている可能性があることが解り、早期に対応が可能となる。偏差が大きい場合には警報を発して運転員に知らせるようなシステムとしても良い。
【0054】
以上より、新たな設備改造等を行うことなく蒸気発電プラントの増出力運転が可能となり、さらに実際のプラントへの適用可否の判断や運転中の不具合確認を行うなど安定した運転が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
10…給水加熱器、11…第1高圧給水加熱器、12…第2高圧給水加熱器、13…第3高圧給水加熱器、14…第1低圧給水加熱器、15…第2低圧給水加熱器、16…脱気器、20…給水加熱器バイパス管、21…第1高圧給水加熱器バイパス管、22…第2高圧給水加熱器バイパス管、23…第3高圧給水加熱器バイパス管、24…第1低圧給水加熱器バイパス管、25…第2低圧給水加熱器バイパス管、27…低圧給水加熱器バイパス管、30…給水加熱器バイパス弁、31…第1高圧給水加熱器バイパス弁、32…第2高圧給水加熱器バイパス弁、33…第3高圧給水加熱器バイパス弁、34…第1低圧給水加熱器バイパス弁、35…第2低圧給水加熱器バイパス弁、37…低圧給水加熱器バイパス弁、40…抽気管、41…第1高圧給水加熱器抽気管、42…第2高圧給水加熱器抽気管、43…第3高圧給水加熱器抽気管、44…第1低圧給水加熱器抽気管、45…第2低圧給水加熱器抽気管、50…抽気弁、51…第1高圧給水加熱器抽気弁、52…第2高圧給水加熱器抽気弁、53…第3高圧給水加熱器抽気弁、54…第1低圧給水加熱器抽気弁、55…第2低圧給水加熱器抽気弁、60…ボイラー、61…主蒸気管、62…蒸気加減弁、70…タービン、71…高圧タービン、72…中圧タービン、73…低圧タービン、80…発電機、90…復水器、100、102…給水ポンプ、101…復水ポンプ、110…熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置で発生した蒸気にて発電機と結合した蒸気タービンを駆動させることで発電をし、前記蒸気タービンを駆動する蒸気の一部を給水加熱器での給水加熱用の抽気として取りだす方式を採用する蒸気発電プラントにおいて、
前記給水加熱器を通過する給水流量を減少させるとともに、前記蒸気発生装置にて発生する蒸気流量を一定とすることを特徴とする蒸気発電プラントの増出力運転方法。
【請求項2】
前記給水加熱器は、給水加熱器バイパス管を備え、前記給水加熱器バイパス管に設置された給水加熱器バイパス弁の開度を調整することで、前記給水加熱器を通過する給水流量を調整することを特徴とした請求項1に記載の蒸気発電プラントの増出力運転方法。
【請求項3】
前記給水加熱器バイパス弁の開度と発電機出力値の相関カーブをあらかじめ作成しておき、蒸気発電プラント運転中の前記給水加熱器バイパス弁の開度に対する前記発電機出力値を前記相関カーブに基づいて、目標となる発電機出力に対応するバイパス弁開度に調整することを特徴とした請求項2に記載の蒸気発電プラントの増出力運転方法。
【請求項4】
前記給水加熱器バイパス弁の開度と発電機出力値の相関カーブは、熱計算により求めた前記給水加熱器バイパス弁開度に対する前記蒸気発生装置の入口給水温度と、プラント熱計算により求めた前記蒸気発生装置にて発生する蒸気流量を一定とする場合の前記発電機出力値より作成することを特徴とする請求項3に記載の蒸気発電プラントの増出力運転方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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